以下、図面を参照して本発明の一実施形態における保全作業支援装置、保全作業支援方法、保全作業支援プログラム及び記録媒体について詳細に説明する。
先ず、図1を用いて、保全作業支援装置のソフトウェア構成を説明する。図1は、実施形態における保全作業支援装置1のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
図1において、保全作業支援装置1は、動作定義情報取得部11、動作定義情報記憶部11a、作業定義情報取得部12、作業定義情報記憶部12a、手順情報生成部13、手順情報取得部14、手順情報出力部15、実行部16、通信部17、通信部18及び設定ツール19の各機能を有する。また、設定ツール19は、パラメータ設定部191、パラメータ調整部192、テストサポート部193及び報告書作成部194の各機能を有する。保全作業支援装置1の上記各機能は、保全作業支援装置1を制御する保全作業支援プログラムによって実現される機能モジュールである。保全作業支援プログラムは、プログラムを提供するサーバから提供され、又は記録媒体から提供されてもよい。
動作定義情報取得部11は、設備を調整又は設定する設定ツール19の動作を定義する動作定義情報を取得する。動作定義情報取得部11は、動作定義情報を動作定義情報記憶部11aから取得する。但し、動作定義情報取得部11は、動作定義情報を、例えば別途ワークで接続されたクラウドサーバ等の保全作業支援装置1の外部から取得するようにしてもよい。設備とは、例えば、プラントに配置されるフィールド機器である。フィールド機器は、例えば、差圧計、温度計、流量計等の物理量(圧力、温度等)を表す電気信号を生成する機器、又は調節弁の開度等を変更する制御信号を出力する機器である。動作定義情報は、設定ツール19を動作させるための、例えばコマンド、関数、引数等であり、設定ツール19を介してフィールド機器を調整し、又は設定するための情報である。動作定義情報には、例えば、フィールド機器にゼロ点調整を実行させるコマンド、圧力発生器に圧力を発生させるコマンド、あるいはフィールド機器から出力される4〜20mA等の電流信号を読み取るコマンド等がある。動作定義情報は、フィールド機器の種類や型式によってそれぞれ異なる。動作定義情報の詳細は図5等を用いて例示する。動作定義情報取得部11は、動作定義情報記憶部11aから、例えば保全作業支援装置1の起動時に動作定義情報を取得する。動作定義情報取得部11は、取得した動作定義情報を手順情報生成部13に提供する。
なお、図1においては、動作定義情報は、動作定義情報取得部11によって直接的に取得される場合を説明するが、例えば、動作定義情報取得部11が動作定義情報取得用の任意のアプリケーションを呼び出すことにより、間接的に取得されるようにしてもよい。例えば、動作定義情報取得部11が保全作業支援装置1の外部にある動作定義情報取得用のアプリケーションに対して動作定義情報取得のためのコマンドを送信して、そのコマンドに応じた動作定義情報を取得するようにしてもよい。
動作定義情報記憶部11aは、動作定義情報取得部11から読出し可能に動作定義情報を記憶する。動作定義情報記憶部11aは、保全作業支援装置1が有するHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置を用いることにより実現することができる。但し、動作定義情報取得部11は、保全作業支援装置1の外部の、例えばネットワークで接続されたサーバ等に記憶された動作定義情報を取得するようにしてもよい。動作定義情報を動作定義情報取得部11と別個に記憶することにより、動作定義情報の更新等の管理が容易になる。
作業定義情報取得部12は、フィールド機器の保全作業を実施する保全作業者に指示する作業を定義する作業定義情報を取得する。作業定義情報取得部12は、作業定義情報を作業定義情報記憶部12aから取得する。但し、作業定義情報取得部12は、作業定義情報を、例えば別途ワークで接続されたクラウドサーバ等の保全作業支援装置1の外部から取得するようにしてもよい。フィールド機器の保全作業を実施する保全作業者は、フィールド機器が設置されたプラントの現場でフィールド機器を設定等する作業者であって、本実施形態においては、保全作業支援装置1によって生成される作業手順を示す手順情報に基づき作業を実施する者をいう。保全作業者に指示する作業とは、例えば、フィールド機器の操作、メールの送受信等による連絡の実施、作業開始前の確認作業の実施等である。保全作業者に指示する作業には、例えば、フィールド機器のゼロ点調整において、三岐弁を開閉する作業、流量を停止する作業、又は手動によって所定の圧力を発生させる作業等がある。保全作業者に指示する作業の詳細は、図4等を用いて後述する。なお、保全作業者に指示する作業の内容は、保全作業者のスキルに応じて変更するようにしてもよい。作業定義情報取得部12は、作業定義情報記憶部12aから、例えば保全作業支援装置1の起動時に作業定義情報を取得する。作業定義情報取得部12は、取得した作業定義情報を手順情報生成部13に提供する。
作業定義情報記憶部12aは、作業定義情報取得部12から読出し可能に作業定義情報を記憶する。作業定義情報記憶部12aは、保全作業支援装置1が有するHDD等の記憶装置を用いることにより実現することができる。但し、作業定義情報取得部12は、保全作業支援装置1の外部の、例えばネットワークで接続されたサーバ等に記憶された作業定義情報を取得するようにしてもよい。作業定義情報を作業定義情報取得部12と別個に記憶することにより、動作定義情報と同様に作業定義情報の更新等の管理が容易になる。なお、ネットワークで接続されたサーバ等に動作定義情報や作業定義情報を記憶することにより、複数の保全作業支援装置1からこれらの情報を取得可能にすることができる。
手順情報生成部13は、動作定義情報取得部11によって取得された動作定義情報と、作業定義情報取得部12によって取得された作業定義情報とを組合わせて、フィールド機器の保全作業の作業手順を示す手順情報を生成する。動作定義情報と作業定義情報との組合せによって生成される手順情報の作業手順は、動作定義情報と作業定義情報それぞれの情報で定義された作業項目の実行順序で決定される。作業項目の実行順序は、図3を用いて後述する作業手順編集画面上に表示される作業項目を表すアイコンを所定の接続子と接続することによって編集することができる。すなわち、手順情報生成部13は、作業手順編集画面を提供し、作業手順編集画面で編集された作業項目の接続に従い作業手順を示す手順情報を生成することができる。
手順情報取得部14は、動作定義情報と作業定義情報とを組合わせて生成されたフィールド機器の保全作業の作業手順を示す手順情報を取得する。手順情報は手順情報生成部13によって生成されても、保全作業支援装置1以外の装置で生成されてもよい。手順情報取得部14は、手順情報生成部13で生成される代わりに保全作業支援装置1以外の装置で生成された手順情報を取得する。手順情報取得部14は、手順情報を取得したことに応じて、手順情報出力部15に対して取得した手順情報を提供する。例えば、手順情報取得部14は、手順情報を取得したときに、手順情報出力部15に対して手順情報の取得を通知して、手順情報出力部15からの要求に応じて手順情報を提供してもよい。
手順情報出力部15は、手順情報生成部13によって生成された、または手順情報取得部14で取得された手順情報を出力する。手順情報出力部15は手順情報を、例えば、手順情報を保全作業者に対して報知するUI(User Interface)に出力する。UIとは、例えば、手順情報を視認するための表示装置、手順情報を音によって認識するための音声出力装置、手順情報を印字する印字装置等である。UIが表示装置である場合、手順情報出力部15は、作業手順を示す情報を、手順情報として例示する表示装置に表示するための表示データとして(又は、表示データに変換して)、表示装置に出力する。表示された作業手順は、例えば、保全作業者に対して所定の画面操作を促し、保全作業者による画面操作によって表示内容が変更される。手順情報によって表示される作業手順は、例えば、実施すべき作業項目を表すフローチャートやリストで作業の順序や作業方法を示す。同様に、UIがスピーカ等の音声出力装置である場合、手順情報出力部15は、作業手順を音声データとして(又は、音声データに変換して)、出力する。また、UIが印字装置である場合、手順情報出力部15は、作業手順を印字データとして(又は、印字データに変換して)、出力する。以下の説明においては、主に手順情報が表示データである場合を説明する。なお、表示される作業手順の詳細は、図3等を用いて後述する。また、設定ツールが保全作業支援装置1の外部にある場合、手順情報出力部15は、手順情報を外部の設定ツールに出力してもよい。
手順情報出力部15が出力する手順情報は、少なくとも作業手順の一部を示すフローチャートを含む。また、手順情報出力部15が出力する手順情報は、少なくとも作業手順の一部を示すリストを含む。手順情報出力部15が出力する手順情報が表示データであった場合、表示装置の表示画面の制約によって全ての表示データを一度に表示できない場合がある。例えば、表示するフローチャートやリストに含まれる作業項目の数や表示内容によって、表示されるフローチャートやリストの大きさ(長さ)が異なる。手順情報出力部15は、フローチャートやリストの少なくとも一部を表示する表示データを出力して、画面スクロールや画面遷移等によって表示を変更できるようにしてもよい。
また、手順情報出力部15は、手順情報において、フローチャート又はリストを切換えて出力するようにしてもよい。フローチャート又はリストの切替えは、手順情報が表示データである場合、フローチャート又はリストの表示の切替えとなる。表示の切替えは、例えば、フローチャートの表示からリストの表示への切替え、リストの表示からフローチャートの表示への切替え、フローチャートとリストの表示からいずれか一方の表示への切替え、フローチャートとリストの表示からいずれか一方のハイライト表示への切替え、フローチャートとリストの表示レイヤの前面後面の切替え等である。表示の切替えは、表示の一部分(例えば、実行中の作業項目や実行済の作業項目)のハイライト表示、グレーアウト表示、表示の消去等の表示態様の切替えであってもよい。また、表示の切替えは、ポップアップ表示等の新たな情報を表示する表示態様の切替えであってもよい。
また、表示の切替えは、作業項目の関連性に応じたものであってもよい。作業項目の関連性とは、例えば、ゼロ点調整の保全作業を実施する場合、作業項目として、ゼロ点調整をする前に実施する前処理段階の作業、ゼロ点調整を実行する実行段階の作業、さらにゼロ点調整を実行した後に実施する後処理段階の作業が含まれる。それぞれの段階の作業に含まれる複数の作業項目はそれぞれ関連性が高いため、一度に表示した方が作業がしやすい場合がある。手順情報出力部15は、前処理段階の作業、実行段階の作業、さらに後処理段階の作業をまとめて表示するとともに、それぞれの段階の作業毎に表示画面を切換えるようにしてもよい。
なお、表示の切替えのタイミングは、例えば、保全作業者が表示を切換える操作をしたことを手順情報出力部が検出したときである。表示を切換える操作とは、例えば、図4等で後述する「OK」ボタンの押下等である。なお、手順情報が印字データである場合には、表示の切替えに準じて印字内容が切替わるものとする。
また、手順情報出力部15は、手順情報において、作業手順の進捗状況をさらに出力するようにしてもよい。作業手順の進捗状況とは、手順情報が表示データである場合、出力された作業手順がどこまで実施されたかを表示する情報である。作業手順の進捗状況は、例えば、実行中の作業項目をポップアップ表示したり、実行済みの作業項目をグレーアウト表示したり、次に実行予定の作業項目をハイライト表示したりすることで表現することができる。すなわち、作業手順の進捗状況の表示は、フローチャート又はリストの切換え表示の一態様である。
また、手順情報出力部15は、作業手順の粒度を変更して手順情報を出力する。作業手順の粒度とは、作業手順に含まれる作業項目の内容の詳細さである。例えば、1つの作業項目は複数の作業項目の組合せとしてより詳細に表現できる場合がある。一方、複数の作業項目は1つの作業項目としてまとめて表現できる場合がある。作業手順の粒度の変更は、例えば、表示装置の表示画面の大きさ、作業手順を確認する保全作業者、又は作業項目の関連性に応じて行うことができる。
保全作業者に応じた粒度の変更とは、例えば、保全作業者のスキルの高さに応じた変更である。保全作業者には、例えば、一つ一つの機器の操作や計器の確認方法等、作業手順を詳細に説明しないと保全作業を実施できない新人レベルのスキルを持つ者がいる。一方、実施すべき大まかな作業項目だけで機器の操作や計器の確認ができるベテランレベルのスキルを持つ者がいる。手順情報出力部15は、保全作業者のレベル(例えば、新人、中堅、ベテラン、匠等)が指定されたときに、それぞれのレベルに応じた作業項目の粒度で手順情報を出力する。これにより、新人レベルの保全作業者に対しては詳細な作業項目を示して作業ミスや作業漏れを防止するとともに、ベテランレベルの保全作業者に対しては簡素な作業項目を示して視認しやすい作業手順を提供することが可能となる。
また、保全作業者に応じた粒度の変更は、保全作業者からの要求に応じた変更であってもよい。例えば、ベテランレベルの保全作業者であっても、確認のため詳細な作業項目を確認したい場合がある。また、新人レベルの保全作業者であっても、同じ作業を繰り返して実施する場合、詳細な作業項目の確認が不要な場合がある。手順情報出力部15は、保全作業者の明示的な指示や設定により作業項目の粒度を変更してもよい。
また、手順情報出力部15は、手順情報を実行部16で実行される実行データとして(又は、実行データに変換して)、実行部16に対して出力する。実行部16は、手順情報生成部13によって生成された手順情報に含まれる作業項目を作業手順に従って実行する。作業項目には、上述のように、動作定義情で定義された設備を調整又は設定する設定ツールの動作の実行と、作業定義情報で定義された保全作業者に指示する作業の実施を含む。
実行部16は、動作定義情報で定義された設備を調整又は設定する設定ツールの動作を実行する。設定ツールの動作は、設定ツールの1回の動作(例えば、所定電圧の出力を所定時間1回出力する動作等)であっても、ツールの複数回の動作(例えば、電圧値の異なる出力を所定間隔で順次出力する動作等)であってもよい。また、実行部16は、作業手順の順番に基づき、設定ツールの複数の作業項目における動作を順次実行するようにしてもよい。
また、実行部16は、作業定義情報で定義された保全作業の実施を、作業項目の作業手順に従い管理をする。実行部16は、例えば、保全作業者に対して作業項目において実施するべき作業内容を報知して保全作業の実施を促し、保全作業者による作業終了の入力を確認することにより保全作業の実施を管理する。
また、実行部16は、例えば、保全作業者に対して保全作業の結果の入力を促すことにより保全作業の実施を促すことができる。実行部16は、1つの作業項目の実施を確認してから次の作業項目の保全作業の実施を促す。なお、手順情報は、作業項目の開始を示す開始情報と作業項目の終了を示す終了情報とを含み、実行部16は、開始情報から終了情報までの作業項目を実施するようにしてもよい。実行部16は、手順情報に含まれる作業項目の実行結果を記録するようにしてもよい。
通信部17及び通信部18は、それぞれ図2で説明する通信I/F(Interface)107及び通信I/F108を介した通信を制御する。通信部17は、無線LAN通信、有線LAN通信、赤外線通信、近距離無線通信、USB(Universal Serial Bus)等の汎用通信規格に対応した通信の制御を行う。通信部17は、電子メールを送受信するプロトコルを制御するものであってもよい。
通信部18は、有線通信又は無線通信を介して、フィールド機器等の装置との通信を制御する。通信I/F108は、例えば、ISA100、HART(登録商標)、BRAIN(登録商標)、FOUNDATION Fieldbus、PROFIBUS等のフィールド通信規格に対応した通信制御を行なう。
設定ツール19は、フィールド機器を、プラント内の設置現場あるいは離れた計器室などから調整又は設定等をするためのツールである。設定ツール19は、例えば、ノート型PC、タブレット型PC、PDA、又はスマートフォン等の汎用装置、又は保全作業専用の装置上で動作するプログラムであり、図1では、保全作業支援装置1上で動作する場合を例示している。但し、設定ツール19は、保全作業支援装置1と有線又は無線で通信可能なノート型PC等の保全作業支援装置1とは別筐体の装置上で動作するものであってもよい。設定ツール19は、パラメータ設定部191、パラメータ調整部192、テストサポート部193及び報告書作成部194の各機能を有しており、これらの機能の1以上の機能が保全作業支援装置1とは別の筐体の装置上で動作してもよい。本実施形態では、設定ツール19の機能の一部又は全部が保全作業支援装置1とは別の筐体の装置上で動作する場合であっても、設定ツール19の機能を含むシステムは、保全作業支援装置1の一実施形態であるものとする。
パラメータ設定部191は、フィールド機器のパラメータを設定する。フィールド機器のパラメータは、例えば、フィールド機器の機器タグ、機器アドレス、製造者、機器ID又は機器タイプ、モデル名、通信規格等のフィールド機器を特定するための情報、フィールド機器の動作を定めるための設定値、フィールド機器の状態を示す情報、若しくはフィールド機器において測定された測定値等である。すなわち、パラメータには、機器ID等の固定値であるもの、フィールド機器の設定値や測定値等の変動可能な値であるものを含んでいてもよい。パラメータ設定部191は、例えば、特定のフィールド機器のパラメータを電子的に記述したDD(Device Description)を解釈し、フィールド機器のパラメータの設定を行うようにしてもよい。パラメータ設定部191は、タグ/アドレス/ロール設定、設定制限の設定/解除、DTM(Device Type Manager)のインストール、DD(Device Description)のインストール、パラメータ取得、バルブのキャリブレーション、機器のスコーク、ISA100プロビジョニング、機器のオンサービス/オフサービス切替、サービスモード切替、バルブのパーシャルストロークテスト(部分作動検査)を行うようにしてもよい。
パラメータ調整部192は、フィールド機器のパラメータを調整する。パラメータの中には、フィールド機器の出力等を調整するための調整パラメータが含まれる。パラメータ調整部192は、パラメータの設定値の増減等の調整を行う。なお、パラメータ調整部192は、パラメータ設定部191と合せて、設定・調整部としてもよい。
テストサポート部193は、例えば、フィールド機器のゼロ点調整や入力ループテスト等の保全作業をサポートする。入力ループテストにおいてテストサポート部193は、例えば、テスト対象のそれぞれのループに対して、予め用意されたテストパターンに従った擬似信号を出力する。
報告書作成部194は、報告書を作成して出力する。報告書には、例えば、設定ツール19において実施した保全作業の結果、保全作業の途中経過、保全作業中断時の途中経過、保全作業に関連した情報(例えば、保全作業において使用した装置の仕様、型式又はシリアルナンバー等の情報、保全作業で使用する消耗品の在庫情報等)を報告書として出力する。報告書作成部194は、出力する報告書の形式を、複数の形式の中から選択された形式にて出力するようにしてもよい。報告書作成部194は、保全作業の結果を履歴データとして保存するようにしてもよい。
なお、図1においては、保全作業支援装置1が有する、動作定義情報取得部11、動作定義情報記憶部11a、作業定義情報取得部12、作業定義情報記憶部12a、手順情報生成部13、手順情報取得部14、手順情報出力部15、実行部16、通信部17、通信部18及び設定ツール19の各機能がソフトウェアによって実現される場合を説明した。しかし、保全作業支援装置1が有する上記1つ以上の機能は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。また、保全作業支援装置1が有する上記各機能は、1つの機能を複数の機能に分割して実施してもよい。また、保全作業支援装置10が有する上記各機能は、2つ以上の機能を1つの機能に集約して実施してもよい。
次に、図2を用いて、保全作業支援装置1のハードウェア構成を説明する。の一例を示すブロック図である。図2は、実施形態における保全作業支援装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2において、保全作業支援装置1は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD104、タッチパネル105、通信I/F(Interface)106、及び通信I/F107を有する。
保全作業支援装置1は、ノート型PC、タブレット型PC、PDA、又はスマートフォン等の汎用装置、又は保全作業支援専用の装置である。保全作業支援装置1は、図1で説明した保全作業支援プログラムを実行する。
CPU101は、RAM102、ROM103又はHDD104に記憶された保全作業支援プログラムを実行することにより、保全作業支援装置1の制御を行う。保全作業支援プログラムは、例えば、保全作業支援プログラムを記録した記録媒体、又はネットワークを介した保全作業支援プログラムを提供するサーバ等から取得されて、HDD104にインストールされ、RAM102にCPU101から読出し可能に記憶される。
タッチパネル105は、操作入力機能と表示機能とを有する操作表示機能を有する。タッチパネル105は、手順情報出力部15によって出力された表示データに基づき作業手順を表示する。また、タッチパネル105は、設定ツール19によって表示されるフィールド機器2の保全に係る保全情報等の情報を表示する。タッチパネル105は、作業者に対して指先又はタッチペン等を用いた操作入力を可能にする。本実施形態における保全作業支援装置1は操作表示機能を有するタッチパネル105を用いる場合を説明するが、保全作業支援装置1は、表示機能を有する表示装置と操作入力機能を有する操作入力装置とを有するものであってもよい。その場合、タッチパネル105の表示画面は表示装置の表示画面、タッチパネル105の操作は操作入力装置の操作として実施することができる。なお、タッチパネル105は、ヘッドマウント型、メガネ型、腕時計型のディスプレイ等の種々の形態によって実現されてもよい。
通信I/F106は、無線LAN通信、有線LAN通信、赤外線通信、近距離無線通信等の汎用通信を使用する他の装置と、ネットワーク9を介した通信を制御する。他の装置は、例えば、クラウドサーバ91、外部アプリ92が配置される装置等である。クラウドサーバ91とは、クラウドコンピューティングによってクラウドサービスを提供するサーバである。クラウドサーバ91は、動作定義情報や作業定義情報等の情報を記憶することができる。クラウドサーバ91は、図示しない他の保全作業支援装置に対して保全作業支援装置1と共通した情報を提供することができる。外部アプリ92とは、保全作業支援装置1の外部で動作するアプリであって、例えば図1で説明した保全作業支援装置の機能の一部であってもよい。また、通信I/F106は、図示しない、他の保全作業支援装置、汎用通信が可能なフィールド機器2、保全情報を管理する保全情報管理サーバ、DCS(Distributed Control System:分散制御システム)制御装置、PLC(Programmable Logic Controller)等であってもよい。なお、図2においては外部アプリ92がネットワークを介して接続される装置に配される場合を示したが、同機能のアプリは、保全作業支援装置1から読取り可能な記録媒体や、保全作業支援装置1内容に存在してもよい。
通信I/F107は、フィールド機器2において使用可能な通信プロトコルを用いてフィールド機器2とのフィールド通信を制御する。プラントで使用される様々なフィールド機器2においては種々のフィールド通信プロトコルが用いられている。通信I/F107は、例えば、ISA100、HART(登録商標)、BRAIN(登録商標)、FOUNDATION Fieldbus、PROFIBUS等のフィールド通信を使用するフィールド機器2との通信を制御する。保全作業支援装置1は、フィールド通信の種類に応じて複数の通信I/F107を有するものであってもよい。
次に、図3を用いて、手順情報出力部15によって出力された表示データに基づき表示される作業手順編集画面を説明する。図3は、実施形態における保全作業支援装置1の作業手順編集画面の一例を示す図である。
作業手順編集画面1000は、タッチパネル105に表示される表示画面(表示データ)を示している。作業手順編集画面1000は、保全作業支援装置1のユーザに対して、作業手順の編集を可能にするUIである。作業手順編集画面1000は、作業項目選択エリア1001、接続エリア1002、作業手順編集エリア1003を有する。
作業項目選択エリア1001は、動作定義情報に係る作業項目と、作業定義情報に係る作業項目とを選択可能に表示する。動作定義情報とは、フィールド機器を調整又は設定する設定ツール19の動作を定義する情報である。作業定義情報とは、フィールド機器の保全作業を実施する保全作業者に指示する作業を定義する情報である。作業項目選択エリア1001は、それぞれの動作定義情報と作業定義情報とを文字とアイコンで表示するタッチ(ボタン)領域を有する。ユーザはタッチパネル上のタッチ領域を指先等により触れることによりタッチした作業項目を選択することができる。
接続エリア1002は、作業項目選択エリア1001において選択された作業項目に接続される接続子を選択可能に表示する。接続子は、フローチャートの「開始」1002a又は「終了」1002bの「端子」、二重の平行な線で表される「並行性(同期)」1002c、ひし形で表される「判断」1002d等である。接続エリア1002には、例えば、フローチャートの処理の流れを示す流れ線や矢印等の部品を接続子として選択可能に表示してもよい。ユーザは、接続エリア1002に表示された接続子のタッチ領域を指先等により触れることによりタッチした接続子を選択することができる。
作業手順編集エリア1003は、作業項目選択エリア1001において選択された少なくともいずれか1つの作業項目を配置可能に表示する。作業手順編集エリア1003は、選択された作業項目と作業項目、作業項目と接続子を流れ線で接続して配置する。作業項目又は接続子の配置は、例えば、作業項目選択エリア1001に表示された作業項目をマウスで選択して、作業手順編集エリア1003にドラッグしてドロップすることにより行なってもよい。作業項目と作業項目の接続は、例えば、作業手順編集エリア1003に表示された2つの作業項目を実行する順序で選択して接続することにより行なってもよい。作業手順編集エリア1003において作成又は編集した作業手順を示すフローチャートは、例えば図示しない保存ボタンを押下することにより、作成等した作業手順を保存するようにしてもよい。
次に、図4〜図11を用いて、動作定義と作業定義の詳細を説明する。図4〜図11は、作業項目選択エリア1001において選択される作業項目の要素である。
図4は、実施形態における保全作業支援装置の作業定義情報の「完了」要素を示す図である。「完了」要素は、作業項目選択エリア1001に表示される作業定義情報の一例である。
図4(A)は、作業項目選択エリア1001に選択可能に表示される「完了」要素の表示イメージを示している。「完了」要素は、完了した作業内容を意味する「内容」の文字とチェックボックスのアイコンを有している。
図4(B)は、作業手順編集エリア1003に配置された「完了」要素を選択したときの、「完了」要素の編集イメージを示している。「完了」要素の編集イメージは、「内容」に対するテキストボックスと、編集完了を示す「OK」ボタンを有している。ユーザは、テキストボックスに作業項目を示す文字列を入力する。チェックボックスは、作業手順の実行時にチェックボックスを表示するか否かを指定する。ユーザは編集が完了したら「OK」ボタンを押下して「完了」要素の編集を保存する。
また、図4(B)は、実行部16によって作業手順のフローチャートが実行されたときの「完了」要素の表示イメージも表している。保全作業者は、「完了」要素のテキストボックスに示された作業項目を完了したときに、チェックボックスにチェックを入れて、「OK」ボタンを押下することにより、作業手順のフローチャートを次のステップに進めることができる。
なお、図4を含め以下の説明においては、上述のように「OK」ボタンを押下して、作業手順のフローチャートを手動で次のステップに進める場合を例示するが、フローチャートを次のステップに進める方法はこれに限定されない。例えば、保全作業支援装置1が所定の情報を取得したときに、作業手順のフローチャートを自動で次のステップに進めてもよい。所定の情報とは、例えば、メール送信に対する返信(リプライ)の受信、ゼロ点調整等における実行結果の取得、計測器の値が所定の値に達したことの検知信号、作業項目の実施完了を示す信号、あるいは所定の待機時間の経過(時間オーバー)を示す情報等である。
なお、テキストボックスの文字は、保全作業者によって文字を追加したり変更したりする編集が可能であってもよい。保全作業者が文字列を編集可能にすることによって、保全項目実施時の記録をメモすることが可能となる。なお、「完了」要素には、例えば、撮影した画像を添付するボタンや、フィールド機器から取得したパラメータを記録したりするボタンを追加するようにしてもよい。
図5は、実施形態における保全作業支援装置の動作定義情報の「データ取得」要素を示す図である。「データ取得」要素は、作業項目選択エリア1001に表示される動作定義情報の一例である。
図5(A)は、作業項目選択エリア1001に選択可能に表示される「データ取得」要素の表示イメージを示している。「データ取得」要素は、フィールド機器のデータ(パラメータ)の取得を意味する「値取得」の文字とフィールド機器のアイコンを有している。
図5(B)は、作業手順編集エリア1003に配置された「データ取得」要素を選択したときの、「データ取得」要素の編集イメージを示している。「データ取得」要素の編集イメージは、データ取得対象のフィールド機器を示す「To」のテキストボックス、そのフィールド機器から取得するパラメータを示す「パラメータ」のテキストボックス、及び、編集完了を示す「OK」ボタンを有している。図5(B)は、フィールド機器として、型式「FI−1001(EJX)」の圧力伝送器の、「PV」値を取得する設定がされていることを示している。動作定義情報で指定される作業項目は、フィールド機器からのデータ取得等、保全作業者の手作業を介さずに自動的に実行できる作業項目を定義できる。自動的に実行できる作業項目においては、図4(B)で示したような保全作業者による保全項目の完了を示すチェックボックスは不要となる。ユーザは編集が完了したら「OK」ボタンを押下して「データ取得」要素の編集を保存する。
図5(C)は、実行部16によって作業手順のフローチャートが実行されたときの「データ取得」要素の表示イメージも表している。「データ取得結果」には、型式「FI−1001(EJX)」のフィールド機器の「パラメータ」として「PV」値が取得され、PV値を示す「データ」が「20.4KPA」であり、さらに、データ取得の成否を示す「ステータス」が「成功」であることが表示される。
保全作業者は、「データ取得」要素のテキストボックスに示されたフィールド機器から指定されたパラメータ取得の作業項目を完了したときに、「OK」ボタンを押下することにより、作業手順のフローチャートを次のステップに進めることができる。
なお、図5(B)及び図(C)においては、1つのフィールド機器から1つのパラメータを取得する「データ取得」要素を示したが、1つの「データ取得」要素において、1つのフィールド機器から複数のパラメータを取得するように「データ取得」要素を作成できるようにしてもよい。例えば、1つのフィールド機器から所定の時間間隔において所定回数のパラメータ取得をするようにしてもよい。また、複数のフィールド機器からそれぞれ1つ又は複数のパラメータを取得するように「データ取得」要素を作成できるようにしてもよい。例えば、プラントのプロセスにおいてお互いが影響を受けるパラメータを有する2以上のフィールド機器において、それぞれのフィールド機器のパラメータを所定のタイミングで取得するようにしてもよい。
図6は、実施形態における保全作業支援装置の動作定義情報の「データ書込」要素を示す図である。「データ書込」要素は、作業項目選択エリア1001に表示される動作定義情報の一例である。
図6(A)は、作業項目選択エリア1001に選択可能に表示される「データ書込」要素の表示イメージを示している。「データ書込」要素は、フィールド機器2のデータ(パラメータ)の書き込みを意味する「値書込」の文字とフィールド機器のアイコンを有している。
図6(B)は、作業手順編集エリア1003に配置された「データ書込」要素を選択したときの、「データ書込」要素の編集イメージを示している。「データ書込」要素の編集イメージは、データ書込対象のフィールド機器を示す「To」のテキストボックス、そのフィールド機器に書き込むパラメータを示す「パラメータ」のテキストボックス、書き込むパラメータの値を示す「データ」のテキストボックス、及び、編集完了を示す「OK」ボタンを有している。図6(B)は、フィールド機器として、型式「FI−1001(EJX)」の圧力伝送器の、「LRV(下限値)」に対して「0.0KPA」を書き込む設定がされていることを示している。ユーザは編集が完了したら「OK」ボタンを押下して「データ書込」要素の編集を保存する。
図6(C)は、実行部16によって作業手順のフローチャートが実行されたときの「データ書込」要素の表示イメージも表している。「データ取得結果」には、型式「FI−1001(EJX)」のフィールド機器の「パラメータ」である「LRV」に対して、下限値の「データ」が「0.0KPA」が書き込まれ、さらに、データ書き込みの成否を示す「ステータス」が「成功」であることが表示される。
保全作業者は、「データ書込」要素のテキストボックスに示されたフィールド機器に対して指定されたパラメータ書込みの作業項目を完了したときに、「OK」ボタンを押下することにより、作業手順のフローチャートを次のステップに進めることができる。
なお、図6(B)及び図(C)においては、1つのフィールド機器に対して1つのパラメータを書き込む「データ書込」要素を示したが、1つの「データ書込」要素において、1つのフィールド機器に対して複数のパラメータを書き込むように「データ書込」要素を作成できるようにしてもよい。例えば、1つのフィールド機器に対して所定の時間間隔で階段状に変化するパラメータを書き込むようにしてもよい。また、複数のフィールド機器に対してそれぞれ1つ又は複数のパラメータを書き込むように「データ書込」要素を作成できるようにしてもよい。例えば、プラントのプロセスにおいてお互いが影響を受けるパラメータを有する2以上のフィールド機器において、それぞれのフィールド機器のパラメータを所定のタイミングで書き込むようにしてもよい。
図7は、実施形態における保全作業支援装置の動作定義情報の「AP起動」要素を示す図である。「AP起動」要素は、作業項目選択エリア1001に表示される動作定義情報の一例である。
図7(A)は、作業項目選択エリア1001に選択可能に表示される「AP起動」要素の表示イメージを示している。「AP起動」要素は、アプリケーションの起動を意味する「AP名」のテキストとアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」と省略する場合がある。)のアイコンを有している。
図7(B)は、作業手順編集エリア1003に配置された「AP起動」要素を選択したときの、「AP起動」要素の編集イメージを示している。「AP起動」要素の編集イメージは、アプリを利用する保全作業支援装置を指定するための「To」のテキストボックスと、起動するアプリを指定する「AP名」のテキストボックスと、「AP名」で指定したアプリに対して渡す「引数」を指定するテキストボックスと、編集完了を示す「OK」ボタンを有している。図7(B)は、「To」には、アプリの機能を利用する保全作業支援装置として「保全装置1」が指定されている。また、起動するアプリとして「Field Mate」が指定されている。また、引数は指定されていない。「Field Mate」は、設定ツール19における機能を実行するためのアプリである。引数とは、アプリの動作を定義する情報である。アプリに対して引数を渡すことにより、例えばアプリを引数で指定した状態で起動することができる。例えば、設定ツール19における、パラメータ設定機能、パラメータ調整機能、テストサポート機能、又は報告書作成機能等の機能を引数で指定して、指定された機能を実行するようにしてもよい。起動するアプリは、図2の外部アプリ92であってもよい。「AP起動」要素を作業項目に用いることにより、アプリによる様々な機能を保全作業に利用することが可能となる。ユーザは編集が完了したら「OK」ボタンを押下して「AP起動」要素の編集を保存する。なお、起動するアプリは、保全作業支援装置1に含まれる、図1で図示しない、内蔵アプリであってもよい。すなわち、「AP起動」要素においては、起動するアプリの場所を任意に指定できるものとする。
なお、「AP起動」要素は、保全作業者に起動の成否等を「AP起動」要素から報知する必要が無い場合、実行部16によって作業手順のフローチャートが実行されたときの表示を行わないようにすることができる。また、起動を指定するアプリは複数であってもよい。複数起動するアプリは同時に実行されるものであっても、逐次実行されるものであってもよい。
図8は、実施形態における保全作業支援装置の作業定義情報の「アンケート」要素を示す図である。「アンケート」要素は、作業項目選択エリア1001に表示される作業定義情報の一例である。
図8(A)は、作業項目選択エリア1001に選択可能に表示される「アンケート」要素の表示イメージを示している。「アンケート」要素は、コメント入力を意味する「コメント」のテキストとアンケートのアイコンを有している。
図8(B)は、実行部16によって作業手順のフローチャートが実行されたときの「アンケート」要素の表示イメージも表している。保全作業者は、「アンケート」要素のテキストボックスへのコメント入力が完了したときに、「OK」ボタンを押下することにより、作業手順のフローチャートを次のステップに進めることができる。
なお、「アンケート」要素には、例えば、撮影した画像や録音した音声を添付するボタンや、フィールド機器から取得したパラメータを記録したりするボタンを追加するようにしてもよい。
図9(A)は、作業項目選択エリア1001に選択可能に表示される「待機」要素の表示イメージを示している。「待機」要素は、待機時間を意味する「時間」のテキストと時計のアイコンを有している。
図9(B)は、作業手順編集エリア1003に配置された「待機」要素を選択したときの、「待機」要素の編集イメージを示している。「待機」要素の編集イメージは、待機時間を指定するための「時間」のテキストボックスと、編集完了を示す「OK」ボタンを有している。待機時間とは、作業項目が次の要素に進むことを抑制する時間であり、待機時間が経過するまで処理が完了しない。
なお、図9(B)は、待機時間が60秒に指定されているが、待機時間は例えば何らかの条件を変数にした時間を指定できるようにしてもよい。また、待機時間には時刻を指定できるようにしてもよい。ユーザは編集が完了したら「OK」ボタンを押下して「待機」要素の編集を保存する。
図10(A)は、作業項目選択エリア1001に選択可能に表示される「通知」要素の表示イメージを示している。「通知」要素は、メッセージの通知を意味する「メッセージ」のテキストと矢印のアイコンを有している。
図10(B)は、作業手順編集エリア1003に配置された「通知」要素を選択したときの、「通知」要素の編集イメージを示している。「通知」要素の編集イメージは、メッセージの通知先を指定するための「To」のテキストボックスと、メッセージのタイトルを意味する「タイトル」と、通知内容を入力するためのテキストボックスと、添付ファイルを意味する添付ファイルアイコンと、編集完了を示す「OK」ボタンを有している。メッセージは現場の保全作業者から「To」で指定された通知先に通知(送信)される。メッセージの内容はデフォルトの文字列が入力されている。ユーザは編集が完了したら「OK」ボタンを押下して「通知」要素の編集を保存する。
また、図10(B)は、実行部16によって作業手順のフローチャートが実行されたときの「通知」要素の表示イメージも表している。保全作業者は、「通知」要素のテキストボックスへのメッセージ入力が完了したときに、「OK」ボタンを押下することにより、作業手順のフローチャートを次のステップに進めることができる。なお、「通知」要素においては、メッセージの通知先(To)、タイトル、及びメッセージの内容については適宜変更を可能にしてもよい。メッセージの内容は、定型メッセージであっても自由入力のメッセージであってもよい。また、添付ファイルには、撮影した画像や録音した音声の添付を必須の作業条件としてもよい。ユーザは、「OK」ボタンを押下することにより、作業手順のフローチャートを次のステップに進めることができる。
図11(A)は、作業項目選択エリア1001に選択可能に表示される「依頼」要素の表示イメージを示している。「依頼」要素は、作業の依頼を意味する「作業依頼」のテキストと矢印のアイコンを有している。図11(A)の「依頼」要素は、双方向での作業依頼を示している。
図11(B)は、作業手順編集エリア1003に配置された「依頼」要素を選択したときの、「依頼」要素の編集イメージを示している。「依頼」要素の編集イメージは、作業依頼の依頼先を指定するための「To」のテキストボックスと、作業依頼のタイトルを意味する「タイトル」と、依頼する作業内容を入力するためのテキストボックスと、添付ファイルを意味する添付ファイルアイコンと、編集完了を示す「OK」ボタンを有している。メッセージは現場の保全作業者から「To」で指定された依頼先に送信される。「依頼」要素は、依頼先に対してその返信を促す。ユーザは編集が完了したら「OK」ボタンを押下して「依頼」要素の編集を保存する。
また、図11(B)は、実行部16によって作業手順のフローチャートが実行されたときの「依頼」要素の表示イメージも表している。保全作業者は、「依頼」要素のテキストボックスへのメッセージ入力が完了したときに、「OK」ボタンを押下することにより、依頼内容が依頼先に送信される。添付ファイルには、保全作業者が撮影した画像や録音した音声の添付をすることができる。
図11(B)は、実行部16によって作業手順のフローチャートが実行されたときの「依頼」要素の表示イメージも表している。保全作業者は、「依頼」要素のテキストボックスへのメッセージ入力が完了したときに、「OK」ボタンを押下することにより、依頼内容が依頼先に送信される。添付ファイルには、保全作業者が撮影した画像や録音した音声の添付をすることができる。保全作業者は、「OK」ボタンを押下することにより、作業手順のフローチャートを次のステップ(依頼に対する回答待ち)に進めることができる。
図11(C)は、実行部16によって作業手順のフローチャートが実行されたときの「依頼」に対する回答の表示イメージも表している。保全作業者から依頼を受信した依頼先(オペレータ)は、「依頼」要素のテキストボックスの内容を確認した上で、依頼に対する回答を保全作業者に返信する。図11(C)は、回答の内容が作業の許可を示している。保全作業者は、「OK」ボタンを押下することにより、作業手順のフローチャートを次のステップに進めることができる。但し、回答の内容が作業の不許可であった場合、作業手順のスローチャートは次のステップに進めることができないものとする。
次に、図12を用いて、編集された作業手順について説明する。図12は、実施形態における保全作業支援装置で編集された作業手順の一例を示す図である。
図12において、作業手順編集エリア1003には、上述した動作定義情報と作業定義情報による作業項目と、接続子(1002a〜1002d)によって編集されたフローチャートが図示されている。ここで同期1002cは、作業手順において、3つの「依頼」要素が並行して実行され、全ての「依頼」要素が完了したときに「AP起動」要素が実行されることを示している。
また、図12において、分岐1002dは、分岐の条件によって、実行される作業項目が異なることを示している。作業手順編集エリア1003においては、一端保存した作業手順を編集可能とすることにより、作業手順の変更、類似した作業手順の作成等を容易にすることができる。
次に、図13〜図15を用いて、ゼロ点調整を実施するシステム構成を説明する。図13は、実施形態における保全作業支援装置1を用いてゼロ点調整を実施するシステム構成の一例を示す図である。
図13において、フィールド機器(差圧伝送器)2は、信号分岐器を介して、パネル計器とDCSに接続されて制御されている。パネル計器の前にはパネル作業者が、DCSの前にはオペレータがいるものとする。ゼロ点調整は、保全作業者の三岐弁操作によって変更されるフィールド機器の出力をパネル計器を確認するパネル作業者とDCSを確認するオペレータが確認することによって実施される。保全作業支援装置1は、フィールド機器2とフィールド通信にて接続されている。また、保全作業支援装置1は、オペレータとメール連絡が可能になっている。さらに、保全作業支援装置1は、パネル作業者ともメール連絡が可能になっている。
保全作業支援装置1は、作業手順に従って、フィールド機器2の操作とオペレータ又はパネル作業者との連絡を実行できることになり、保全作業の抜けがなくなり、作業の効率化を図ることが可能となる。
一方、図14は、実施形態における保全作業支援装置1を用いてゼロ点調整を実施するシステム構成の他の一例を示す図である。
図14は、図13に比べて、保全作業支援装置1がオペレータのみとメール連絡が可能になっている場合を示している。図14では、フィールド機器の保全作業は、保全装置で実施され、パネル作業者とはトランシーバでやり取りを行うものとする。保全作業者が保全装置による保全作業を実施する場合であっても、保全作業支援装置1を利用することにより、オペレータとの連絡については図13と同様の作業手順とすることができるとともに、パネル作業者とのやり取りについては、トランシーバの利用を前提にした作業手順を生成することが可能となる。すなわち、保全作業支援装置1は、保全作業が実施される環境に応じて柔軟に作業手順の構築ができ、保全作業の効率化を図ることが可能となる。
図15は、実施形態における保全作業支援装置1を用いてフィールド機器2の校正を実施するシステム構成の一例を示す図である。なお、本実施形態におけるフィールド機器2の校正とは、フィールド機器2に対する入力値と出力値とを測定し、誤差(誤差率)等を求める作業をいう。また、本実施形態におけるフィールド機器2の調整とは、誤差を小さくするための出力値の調整作業をいい、例えばゼロ点調整等である。
図15において、加圧ポンプは同じ圧力の校正用エアを、フィールド機器(差圧伝送器)2とキャリブレータに供給する。フィールド機器(差圧伝送器)2は、加圧ポンプから供給される校正用エアの圧力に応じて電流信号をキャリブレータに出力する。キャリブレータは、加圧ポンプから供給される校正用エアの圧力と、フィールド機器2から出力される電流値を高確度で測定できる。ここで、保全作業支援装置1を使用しないでフィールド機器の校正を行う場合、保全作業者は、フィールド機器2、キャリブレータ及び加圧ポンプを図示のように接続し、キャリブレータの操作手順に従って校正作業を実施する。フィールド機器2、キャリブレータ及び加圧ポンプの接続等は、例えば、紙に印字された操作説明書をプラントの現場で確認しながら実施する。校正の手順は、例えば、フィールド機器2の測定レンジにおいて、0%→50%→100%→50%→0%の50%ステップの上り下りの5点計測や、25%ステップの上り下り9点計測を逐次実施する。校正の手順自体は、例えば、キャリブレータに表示される。保全作業者は、校正結果を保全記録に記入したり、キャリブレータから測定データをUSB(Universal Serial Bus)メモリ等に移し替えてデータを保存する。保全作業者は、保存された測定データに基づきフィールド機器2の誤差を確認して、フィールド機器2を調整・設定するツールを用いて調整を行う。
一方、本実施形態において保全作業支援装置1を用いる場合、保全作業支援装置1とキャリブレータはUSB通信において接続される。また、保全作業支援装置1とフィールド機器2はフィールド通信において接続される。保全作業支援装置1は、保全作業者に対して作業手順に従った作業項目を表示して保全作業者の校正をサポートする。
例えば、保全作業支援装置1は、先ず、保全作業支援装置1、フィールド機器2、キャリブレータ及び加圧ポンプの接続等の校正前の準備作業の方法を示す作業項目を表示する。保全作業支援装置1は、例えば、フィールド機器2からパラメータを取得することにより、準備作業の完了を検出し、次の作業項目を表示する。以下、保全作業支援装置1は、調整前の校正の作業項目、設定ツール19を用いたフィールド機器2の調整の作業項目、さらに、調整後の校正の作業項目において、作業手順の表示等の作業手順の管理、フィールド機器2又はキャリブレータのデータの取得や記録等の作業項目の記録等を行う。これにより、保全作業支援装置1は、フィールド機器2の校正又は調整における作業手順を作業者に報知して、作業手順の間違いを低減することにより保全作業の効率向上を支援することができる。
なお、図15においては、保全作業支援装置1を用いて、フィールド機器2が差圧伝送器の校正を実施する場合を説明した。しかし、保全作業支援装置1の用途はこれに限定されず、例えば、フィールド機器2が圧力スイッチである場合の圧力スイッチの抵抗値等の測定、フィールド機器2が真空変換器である場合の動作確認や入出力調整、フィールド機器2が伝送器である場合のループチェック、レコーダ・コントローラの入力指示確認や調整等に用いてもよい。保全作業支援装置1は、多様な設備の保全作業に応じた作業手順を作業者に報知して、作業効率を向上させることが可能となる。
次に、図16を用いて、保全作業支援装置1で編集された作業手順の他の一例を説明する。図16は、実施形態における保全作業支援装置1で編集された作業手順の他の一例を示す図である。
図16は、作業手順を、図12等で示したフローチャートで表す代わりに、リスト表示としたものである。フローチャート表示においては、例えば判断によって処理が分岐する場合に保全作業者にとって作業手順の流れの理解が容易になるが、例えば、作業項目が逐次実施されるような作業手順においてはリスト表示とした方が表で表される情報が増えるため、保全作業者の理解が容易になる場合ある。
また、リスト表示及びフローチャート表示においては、複数の作業項目を1つにまとめて記載したり、1つの作業項目をさらに細かなステップに分解して記載することが容易になる。これにより、前述の通り、例えば、スキルの高い保全作業者に対しては、詳細な作業項目の表示の必要性が低いので、粒度の粗い作業項目のみを表示して、一方、スキルの低い保全作業者に対しては、詳細な作業項目の表示の必要性が高いので、詳細な作業項目を表示する等、保全作業者のスキルに応じた表示方法の変更が容易になる。
以上説明したように、本実施形態における保全作業支援装置は、設備を調整又は設定する設定ツールの動作を定義する動作定義情報と、前記設備の保全作業を実施する保全作業者に指示する作業を定義する作業定義情報とが組合わされた前記設備の保全作業の作業手順を示す手順情報を出力する手順情報出力部を備えることにより、設備の多様な保全作業に応じた作業手順が報知されることにより保全作業者の作業手順の間違いが低減し、保全作業の効率向上を支援することができる。
なお、上述した保全作業支援装置は、上述した機能を有する装置であればよく、例えば、複数の装置の組合わせで構成されてそれぞれの装置を通信可能に接続したシステムで実現されるものであってもよい。また、保全作業支援装置は、ネットワークで接続された他の装置の機能の一部として実現されるものであってもよい。
例えば、図1で説明した保全作業支援装置1が有する、動作定義情報取得部11、動作定義情報記憶部11a、作業定義情報取得部12、作業定義情報記憶部12a、手順情報生成部13、手順情報取得部14、手順情報出力部15、実行部16、通信部17、通信部18及び設定ツール19の各機能は、いずれかの一以上の機能が保全作業支援装置1と通信可能に接続された他の装置において実現されるものであってもよい。例えば、設定ツール19は、専用のツール(機器)で実現されてもよい。
また、上述した保全作業支援装置においては、設定ツールで調整又は設定する設備がプラントに配置されるフィールド機器である場合を説明したが、設定ツールで調整等する設備はこれに限定されるものではない。設定ツールで調整等する設備は、例えば、ビル設備、水道設備、ガス設備、電気設備等であってもよい。すなわち、保全作業支援装置は、これらの設備を調整又は設定する設定ツールの動作を定義する動作定義情報を組合わせて手順情報を出力することにより、これらの分野に適用することができる。
また、本実施形態における保全作業支援方法は、設備を調整又は設定する設定ツールの動作を定義する動作定義情報と、前記設備の保全作業を実施する保全作業者に指示する作業を定義する作業定義情報とが組合わされた前記設備の保全作業の作業手順を示す手順情報を出力する手順情報出力ステップを含むことにより保全作業者の作業手順の間違いが低減し、保全作業の効率向上を支援することができる。本実施形態における保全作業支援方法は、保全作業支援装置における、動作定義情報取得部、作業定義情報取得部、手順情報生成部、手順情報取得部及び表示装置に対応した、動作定義情報取得ステップ、作業定義情報取得ステップ、手順情報生成ステップ、手順情報取得ステップ及び表示ステップを有するものであってもよく、これらの各ステップの実行は、任意の順序で実行されるものであってもよい。
また、本実施形態で説明した装置を構成する機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本実施形態の上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。