JP6794082B2 - 成形面ファスナー及び成形面ファスナーの製造方法、並びに成形装置 - Google Patents

成形面ファスナー及び成形面ファスナーの製造方法、並びに成形装置 Download PDF

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Description

本発明は、平板状の基板部に複数の係合素子が配される成形面ファスナーと、その成形面ファスナーを製造する製造方法及びその成形面ファスナーの製造に用いられる成形装置に関する。
従来から、複数のループを有する雌型の面ファスナーと、その雌型面ファスナーに対して着脱可能な雄型の成形面ファスナーとが一対で組み合わされて用いられる面ファスナー製品が知られている。合成樹脂を成形することによって製造される雄型の成形面ファスナーは、一般的に、平板状の基材部の上面に、マッシュルーム状等の形態を有する複数の雄型係合素子が立設されて形成されている。
このような雄型の面ファスナーを有する面ファスナー製品は、現在、多種多様な商品に広く使用されており、例えば使い捨ておむつ、乳幼児のおむつカバー、手足の関節などを保護するサポーター、腰用コルセット(腰痛ベルト)、手袋などのような身体に着脱するような商品にも多く用いられている。
使い捨ておむつ等に用いられる成形面ファスナーにおいて、雄型係合素子の代表的な形態としては、J字状の形態、パームツリー状の形態、マッシュルーム状の形態などが一般的に知られている。例えば、J字状の係合素子は、基材部から上方に向けて突出するとともに、上端部がフック状に湾曲した形態を有する。このようなJ字状の係合素子を有する成形面ファスナーは、国際公開第1998/014086号公報(特許文献1:特表2001−501120号公報が対応)などに記載されている。
パームツリー状の係合素子は、基材部から垂直に突出するステム部と、そのステム部の上端から互いに反対向きとなる2つの方向に向けて湾曲しながら延出するフック状の係合頭部とを備えた形態を有する。このようなパームツリー状の係合素子を有する成形面ファスナーは、米国特許第7,516,524号明細書(特許文献2)などに記載されている。
マッシュルーム状の係合素子は、基材部から垂直に突出するステム部と、ステム部の上方に配され、係合素子の平面視でステム部の上端外周全体から外側に向けて張り出すように一体的に形成される円盤状の係合頭部とを備えた形態を有する。このようなマッシュルーム状の係合素子を有する成形面ファスナーは、国際公開第1994/023610号公報(特許文献3:特表平8−508910号公報が対応)や、国際公開第2000/000053号公報(特許文献4:特表2002−519078号公報が対応)などに記載されている。
国際公開第1998/014086号 米国特許第7,516,524号明細書 国際公開第1994/023610号 国際公開第2000/000053号
例えば上述したようなJ字状の係合素子や、パームツリー状の係合素子を有する成形面ファスナーは、雌型の面ファスナーのループ(例えば不織布の繊維)を係合させた場合に、ループがJ字状又はパームツリー状の係合素子から抜け難くなる。このため、J字状又はパームツリー状の係合素子を有する成形面ファスナーは、雌型面ファスナーに対して高い剥離強度を備える傾向を有する。
これらのJ字状又はパームツリー状の複数の係合素子を有する成形面ファスナーは、一般的に、その係合素子に対応する形状を備えるキャビティが外周面部に複数形成されたダイホイールを用いて、合成樹脂の成形を連続的に行うことにより製造される。また、J字状又はパームツリー状の係合素子をダイホイールで連続的に成形する場合、係合素子の上端部を1つの方向に、又は互いに反対向きとなる2つの方向にフック状に湾曲させるとともに突出させた形状に成形することが必要となる。
しかし、従来の成形においては、ダイホイールのキャビティから係合素子を損傷させることなく引き抜くためには、フック状の係合頭部の向きを、成形体の搬送方向となる機械方向(MD)に沿った方向にしか向けることができない。従って、従来では、フック状の係合頭部の向きが、機械方向(MD)に交差(直交)する交差方向(CD)に向いた係合素子を有する成形面ファスナーを連続的に製造することができなかった。
また、従来のJ字状又はパームツリー状の係合素子の場合、係合素子の上端部がフック状に湾曲しているため、係合素子の上端面(頂端面)の面積が小さい。このため、成形面ファスナーの係合面となる上面側を触ったときに、肌に触れる面積が小さくなる。従って、このような成形面ファスナーを例えば使い捨ておむつやおむつカバーなどの肌に触れ易い製品や、柔らかな触り心地が求められる製品に用いる場合には、製品の肌触りを悪くしてしまうことがある。
更に、従来のJ字状又はパームツリー状の係合素子は、基材部から立ち上がる基端部又はステム部が細く形成され易い。このため、雄型の成形面ファスナーに雌型面ファスナーを(又は、雌型面ファスナーに雄型の成形面ファスナーを)強く押し付けるようにして両者を係合させた場合に、係合素子の基端部又はステム部が押圧力によって曲がり易くなり、成形面ファスナーの破損を招くことも考えられる。
一方、マッシュルーム状の係合素子は、係合素子の上端部に円盤状の係合頭部が形成されているため、係合素子の上端面を、J字状又はパームツリー状の係合素子に比べて広い面積で上方に露呈させることができる。このため、マッシュルーム状の係合素子を有する成形面ファスナーは、肌触りが良いという特徴がある。また、係合素子のステム部を太く形成し易いため、上述のような押圧力を受けてもステム部が曲がり難く、係合素子の形状を安定して維持できる。
更に、マッシュルーム状の係合素子を有する成形面ファスナーは、雌型面ファスナーとなる不織布を係合させるときに、複数のループを安定して係合させることができる。しかし、マッシュルーム状の係合素子は、J字状又はパームツリー状の形態のように係合素子の上端部がフック状に湾曲していない。このため、マッシュルーム状の係合素子の場合、J字状又はパームツリー状の係合素子に比べて剥離強度が弱くなってしまう場合もあり、改善が求められている。
また一般的に、雄型の面ファスナーは、雌型面ファスナーとなる不織布の構造などに応じて、ループの係合率や剥離強度などが変化し易く、不織布との相性によって雄型面ファスナーの性能が左右されることがある。従って、不織布に応じて、また、製品用途に応じて雄型面ファスナーの選択をできるようにするために、係合素子の形態のバリエーションを増やすこと等によって様々なタイプの雄型成形面ファスナーを豊富に揃えておくことが望まれている。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、係合素子が新規で特徴的な形態を有することにより、従来とは異なる性質を有する成形面ファスナーを提供することである。また、本発明の目的は、従来とは異なる性質を有する成形面ファスナーを安定して製造することが可能な製造方法及び成形装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明により提供される成形面ファスナーは、第1方向と前記第1方向に交差する第2方向とに延びる平板状に形成されるともに前記第1方向に長尺な基材部と、前記基材部の上面に立設される複数の係合素子とを有し、前記係合素子は、前記基材部から起立するステム部と、前記ステム部の上端部から前記第2方向に突出する少なくとも1つのフック部とを有する合成樹脂製の成形面ファスナーにおいて、前記フック部は、前記フック部のフック先端に向けて前記第1方向の寸法を漸減させる先細の形状を有し、前記フック部の下面は、前記フック部の上面よりも滑らかに形成された圧縮面を局部的に有し、前記フック部における前記第2方向の最大寸法は、前記フック部の下端位置における前記ステム部の前記第2方向の寸法の半分以下であることを最も主要な特徴とするものである。
本発明に係る成形面ファスナーにおいて、前記フック部の上面は、前記ステム部の上面よりも段差を介して高く配され、前記フック部は、前記係合素子を前記第1方向から見たとき、前記フック部の上面が凸面状を呈し、前記フック部の下面が、非凸面状を呈する形状を有することが好ましい。
また本発明に係る成形面ファスナーにおいて、前記フック部の上面の一部は、前記ステム部の上面から連続的に形成され、前記フック部は、前記係合素子を前記第1方向から見たとき、前記フック部の上面が凸面状を呈し、前記フック部の下面が、非凸面状を呈する形状を有していても良い。
この場合、前記ステム部の上端部の外表面は、球面に形成されていることが好ましい。
更に本発明に係る成形面ファスナーにおいて、前記フック部の上面と前記ステム部の上面とは、単一の平坦面に形成され、前記フック部の先端部は、下方に傾斜して配されていても良い。
この場合、前記係合素子は、前記フック部における前記第1方向の両側に配され、前記フック部の上端部と前記ステム部とを連結する一対の補強リブ部を有することが好ましい。
上述のような本発明の成形面ファスナーにおいて、前記フック部を前記第2方向から見たとき、前記フック部が前記フック部の幅方向に非対称に形成されていることが好ましい。
また、本発明により提供される別の形態に係る成形面ファスナーは、第1方向と前記第
1方向に交差する第2方向とに延びる平板状に形成されるともに前記第1方向に長尺な基材部と、前記基材部の上面に立設される複数の係合素子とを有し、前記係合素子は、前記基材部から起立するステム部と、前記ステム部の上端部から前記第2方向に突出する少なくとも1つのフック部とを有する合成樹脂製の成形面ファスナーにおいて、前記フック部は、前記フック部のフック先端に向けて前記第1方向の寸法を漸減させる先細の形状を有し、前記フック部を前記第2方向から見たとき、前記フック部が前記フック部の幅方向に非対称に形成され、前記フック部の下面は、前記フック部の先端の高さ位置よりも下側に配され、前記フック部における前記第2方向の最大寸法は、前記フック部の下端位置における前記ステム部の前記第2方向の寸法の半分以下であることを最も主要な特徴とするものである。
この場合、前記フック部の下面は、前記フック部の上面よりも滑らかに形成された圧縮面を局部的に有することが好ましい。
また前記フック部が幅方向に非対称に形成される場合、前記フック部の前記圧縮面における前記第1方向の一端部が、同圧縮面における前記第1方向の他端部よりも高い位置に配され、前記係合素子を上方から見たとき、前記フック部の先端部が、前記ステム部の前記第1方向における中心位置に対し、前記第1方向の前記一端部側にずれた位置に配されていることが好ましい。
更に、前記フック部を前記第1方向から見たとき、前記フック部の先端部における曲率半径は、0.06mm以上0.18mm以下の範囲内に設定されることが好ましい。
また本発明の成形面ファスナーでは、1つの前記ステム部に対して1つの前記フック部が配され、前記ステム部は、前記基材部から起立するとともに前記フック部の突出方向に向いて配されるフック配設面を有し、前記フック配設面は、前記フック部よりも下方から、前記基材部に向けて形成されるとともに、前記基材部の上面に直交し、且つ、前記第2方向に直交する単一の平坦面を有することが好ましい。
この場合、前記係合素子を前記第1方向から見たときに、前記ステム部は、前記第2方向に関して前記フック配設面の反対側に配されるステム背面を有し、前記ステム背面は、前記ステム部における前記フック配設面と前記ステム背面との間の寸法を、前記基材部の上面から離れるにつれて漸減させる形状を有することが好ましい。
また、前記ステム背面は、前記係合素子を前記第1方向から見たときに、前記ステム部の上端部に凸状に配される上側曲面部と、前記ステム部の下端部に凹状に配される下側曲面部とを有することが好ましい。
更に、前記フック部は、前記係合素子を前記第1方向から見たとき、前記フック部の上面が、前記ステム部の前記上側曲面部よりも小さな曲率半径を備える凸面状を呈する形状を有することが好ましい。
更にまた本発明の成形面ファスナーにおいて、前記ステム部の前記第2方向における最大寸法は、0.1mm以上1.5mm以下に設定され、前記フック部の前記ステム部から突出する前記第2方向における最大突出寸法は、0.01mm以上0.5mm以下に設定されることが好ましい。
次に、本発明により提供される成形面ファスナーの製造方法は、機械方向に長尺に形成される平板状の基材部と、前記基材部の上面に立設される複数の係合素子とを有する合成樹脂製の成形面ファスナーを製造する製造方法にあって、前記係合素子に対応する形状を備える複数のキャビティが外周面部に形成されたダイホイールを有し、前記キャビティが、前記キャビティ内で成形される前記係合素子がそのままの形状で離型不能なアンダーカット形状を有し、且つ、前記キャビティのキャビティ面に、前記係合素子を引き抜くときに前記係合素子の一部を局部的に押圧圧縮可能なエッジ部が配される成形装置を用いること、前記ダイホイールの外周面に溶融した合成樹脂材料を連続的に押し出して、前記ダイ
ホイールの外周面上で前記基材部を成形するとともに、前記ダイホイールの前記キャビティ内で、前記基材部から起立するステム部と、前記ステム部の上端部から前記機械方向と交差する交差方向に突出する少なくとも1つのフック部とを有する前記係合素子を成形すること、及び、前記係合素子を前記キャビティから強制的に引き抜いて、前記フック部を前記エッジ部で前記フック部の下方から押圧圧縮して前記キャビティと異なる形状に変形させるとともに擦ることにより、前記フック部の下面に圧縮面を局部的に形成し、且つ、前記フック部における前記交差方向の最大寸法を、前記フック部の下端位置における前記ステム部の前記交差方向の寸法の半分以下にすることを含んでなることを最も主要な特徴とするものである。
このような本発明の製造方法は、前記成形装置の下流側に配されるとともに一対の上側挟持ローラと下側挟持ローラを有するピックアップローラを用いて、成形された前記成形面ファスナーを前記ダイホイールから引き剥がすこと、及び、前記成形面ファスナーを前記ダイホイールから引き剥がした後、前記係合素子を前記上側挟持ローラによって押さえることにより、前記キャビティから引き抜かれて斜め上方に向いた前記フック部を塑性変形させることを含むことが好ましい。
更に本発明の製造方法は、前記フック部の上面を、前記ステム部の上面よりも段差を介して高く形成することを含むことが好ましい。
また、本発明により提供される別の形態に係る成形面ファスナーの製造方法は、機械方向に長尺に形成される平板状の基材部と、前記基材部の上面に立設される複数の係合素子とを有する合成樹脂製の成形面ファスナーを製造する製造方法にあって、前記基材部と、前記基材部に立設される複数の仮素子とを有する一次成形体を成形する一次成形工程と、前記一次成形体の前記仮素子を加熱するとともに前記仮素子を上方から押し潰すことにより前記係合素子を有する前記成形面ファスナーを成形する二次成形工程とを含む製造方法において、前記一次成形工程にて、前記仮素子に対応する形状を備える複数のキャビティが外周面部に形成されたダイホイールを有し、前記キャビティが、前記キャビティ内で成形される前記仮素子がそのままの形状で離型不能なアンダーカット形状を有し、前記キャビティのキャビティ面に、前記仮素子を引き抜くときに前記仮素子の一部を局部的に押圧圧縮可能なエッジ部が配される成形装置を用いること、前記ダイホイールの外周面に溶融した合成樹脂材料を連続的に押し出して、前記ダイホイールの外周面上で前記基材部を成形するとともに、前記ダイホイールの前記キャビティ内で、前記基材部から起立する一次ステム部と、前記一次ステム部の上端部から前記機械方向と交差する交差方向に突出する少なくとも1つの一次フック部とを有する前記仮素子を成形すること前記仮素子を前記キャビティから強制的に引き抜いて、前記一次フック部を前記エッジ部で前記一次フック部の下方から押圧圧縮して前記キャビティと異なる形状に変形させるとともに擦ることにより、前記一次フック部の下面に圧縮面を局部的に形成すること、及び、前記二次成形工程後に成形される前記フック部における前記交差方向の最大寸法を、前記フック部の下端位置における前記ステム部の前記交差方向の寸法(W3)の半分以下にすることを含んでなることを最も主要な特徴とするものである。
このような本発明の製造方法は、前記一次成形工程にて、前記成形装置の下流側に配されるとともに一対の上側挟持ローラと下側挟持ローラを有するピックアップローラを用いて、成形された前記一次成形体を前記ダイホイールから引き剥がすこと、及び、前記一次成形体を前記ダイホイールから引き剥がした後、前記仮素子を前記上側挟持ローラによって押さえることにより、前記キャビティから引き抜かれて斜め上方に向いた前記一次フック部を塑性変形させることを含むことが好ましい。
更に本発明の製造方法は、前記一次成形工程にて、前記一次フック部の上面を、前記一次ステム部の上面よりも段差を介して高く形成すること、及び、前記二次成形工程にて、前記仮素子の上端部を上方から押し潰すことにより、前記係合素子におけるフック部の上面とステム部の上面とを単一の平坦面に形成することを含むことが好ましい。
次に、本発明により提供される成形装置は、一方向に回転駆動するダイホイールと、前記ダイホイールに向けて溶融した合成樹脂材料を押し出す押出ノズルとを有し、成形面フ
ァスナーの成形又は成形面ファスナーの一次成形体の成形に用いられる成形装置において、前記ダイホイールの外周面部に、前記成形面ファスナーの係合素子又は前記一次成形体の仮素子に対応する形状を備える複数のキャビティが設けられ、前記キャビティは、前記キャビティ内で成形された前記係合素子又は前記仮素子がそのままの形状で離型不能なアンダーカット形状を有し、前記ダイホイールは、軸方向に積層される複数の円盤状金属プレートを有し、各金属プレートは、軸方向に直交する第1積層面及び第2積層面を備え、前記金属プレートの前記第2積層面は、前記第1積層面の反対側に配され、前記金属プレートは、前記係合素子のフック部又は前記一次成形体の一次フック部を成形する第1キャビティが前記第1積層面に凹設された複数の第1プレートと、前記係合素子のステム部又は前記一次成形体の一次ステム部を成形する第2キャビティが前記第2積層面に凹設された複数の第2プレートとを有し、前記第1プレートと前記第2プレートとは、前記第1キャビティと前記第2キャビティとが連通する向きで互いに隣接して積層され、前記第1キャビティは、前記第1プレートの外周端面から離れた位置に、前記アンダーカット形状を形成する大きさで凹設され、前記第1プレートにおける前記第1キャビティのキャビティ面と前記第1積層面との間に配される円周状の稜線部が、前記係合素子又は前記仮素子を局部的に押圧して圧縮するエッジ部として角張った形状で形成され、前記第2キャビティは、前記第2プレートの外周端面から径方向内側に向けて連続して凹設されてなることを最も主要な特徴とするものである。
本発明の成形装置において、前記第1キャビティにおける径方向の最内側位置が、前記第2キャビティにおける径方向の最内側位置よりも更に径方向の内側に位置し、前記第1キャビティと前記第2キャビティとの間に、前記第2プレートの前記第2積層面による段差が形成されていることが好ましい。
また本発明の成形装置において、前記第1キャビティは、前記第1プレートの前記第1積層面に半球形状に凹設され、前記第1キャビティにおける半球形状の半径は、0.01mm以上0.5mm以下に設定されていることが好ましい。
更に、前記第2キャビティは、前記第2プレートの外周端面から径方向内側に向けて、前記第2プレートの周方向の寸法が漸減する形状を有し、前記第2キャビティの径方向における内側先端面は、0.01mm以上0.5mm以下の曲率半径を有する球面を有することが好ましい。
本発明に係る成形面ファスナーは、第1方向と第2方向とに延びるとともに第2方向よりも第1方向に長尺な平板状の基材部と、基材部の上面に立設される複数の係合素子とを有する。また、各係合素子は、基材部から起立するステム部と、ステム部の上端部から第2方向に突出する少なくとも1つのフック部とを有する。
更に、フック部は、そのフック部のフック先端に向けて第1方向の寸法を漸減させる先細の形状を有する。このフック部の下面は、成形工程において成形金型のキャビティ面(特に、キャビティ面のエッジ部)から押圧圧縮を受けることによりフック部の上面よりも滑らかに形成された圧縮面を局部的に有する。特に、このようなフック部下面の圧縮面は、成形金型から型抜きするときに押圧圧縮を受けることによって、フック部の上面よりも硬く形成されていると思われる。
ここで、本発明における第1方向は、成形面ファスナーの製造工程(成形工程)において成形面ファスナー又は一次成形体が流れる機械方向(M方向又はMD)に沿った方向を言う。また、基材部が第1方向に長尺であるとは、成形工程において基材部が機械方向に沿って長尺に形成されることを言う。言い換えると、成形面ファスナーが成形工程で成形された後にその成形面ファスナーに切断等の加工が行われることもあるが、この場合、切断後の成形面ファスナーの基材部は、第1方向(機械方向)に長尺でないこともある。本発明における第2方向は、機械方向(MD)に直交する交差方向(C方向又はCD)を言い、長尺に成形される基材部の幅方向のことを言う。
上述のような圧縮面が下面に局部的に形成され、且つ先細の形状を有するフック部と、ステム部とを有する本発明の係合素子は、従来のJ字状、パームツリー状、及びマッシュルーム状とは異なる新たな形態を備えている。このような係合素子を有する本発明の成形面ファスナーでは、柱状のステム部を太く形成し易い。このため、本発明の成形面ファスナーに雌型面ファスナーが強く押し付けられて大きな押圧力を受けたとしても、ステム部が曲がり難く、係合素子の形状を安定して維持できる。また、ステム部が大きな強度を確保し易いため、雌型面ファスナーに対する剪断強度を増大させることができる。
更にこの場合、本発明の成形面ファスナーを雌型面ファスナーに対して深く押し込むことが可能となる。それにより、成形面ファスナーの各係合素子を雌型面ファスナーのループの根元付近まで深く挿入して、係合素子にループをしっかりと係合させることができる。
また、本発明では、ステム部の上面が上方に広く露呈するようにして係合素子の頂面(上面)が形成される。このため、本発明の成形面ファスナーを係合面となる上面側から触った場合に、ステム部の上面が肌に広く触れ易くなる。また、フック部はステム部に対して小さく形成されるため、係合素子を触ったときにフック部がその触り心地に与える影響(違和感)を小さくすることができる。従って、本発明の成形面ファスナーは、例えば従来のJ字状又はパームツリー状の係合素子を有する成形面ファスナーよりも良好な肌触りや触り心地を安定して得ることができる。
更に、本発明の係合素子では、上述のようにフック部がステム部から第2方向に向けて突出するとともに、フック部の下面には、フック部の上面よりも滑らかで硬く形成される圧縮面が局部的に形成される。またこのフック部では、フック先端部が先細った形状に形成されている。なお、本発明で言う先細の形状とは、上面視において、フック部の両側縁がフック先端に向けて徐々に接近するように形成されている形状、すなわち、フック部における第1方向の寸法がフック先端に向けて徐々に小さくなる形状を指す。このため、本発明の成形面ファスナーに雌型面ファスナーのループを係合させるときに、本発明の係合素子を雌型面ファスナーのループ間に円滑に挿入できるとともに、係合素子のフック部にループを引っ掛けて、安定して係合させることができる。
しかも、本発明の係合素子は、例えば従来のマッシュルーム状の係合素子を有する成形面ファスナーに比べて、フック部に引っ掛かったループを係合素子から外れ難くすることができる。従って、本発明の成形面ファスナーは、雌型面ファスナーに対して高い剥離強度を有することができる。
すなわち、本発明の成形面ファスナーは、従来には見られない特徴的な形態を有することにより、ステム部が曲がり難く、良好な肌触りが得られるという利点と、雌型面ファスナーに対して高い剥離強度を備えるという利点とを併せ持つ新しいタイプの成形面ファスナーとなる。従って、本発明の成形面ファスナーが、従来の成形面ファスナーに追加して提供されることによって、成形面ファスナーのバリエーションを多くすることができる。その結果、様々なタイプの雌型面ファスナー(不織布)に対してより的確に対応し易くなる。
このような本発明の成形面ファスナーにおいて、各係合素子におけるフック部の上面は、ステム部の上面よりも段差を介して高く配されている。また、フック部は、係合素子を第1方向(MD)から見たとき、フック部の上面(上部外面)が凸面状を呈し、フック部の下面(下部外面)が、非凸面状を呈する形状を有する。
ここで、フック部の上面が凸面状を呈するとは、フック部を第1方向(MD)から見たときに、フック部におけるステム部側の基端部からフック先端部に向けて下り傾斜するフック上面が、上方に盛り上がるように凸状に湾曲する連続的な湾曲線状に見える部分を有することを言う。また、フック部の下面が非凸面状を呈するとは、フック部におけるフック基端部からフック先端部に向けて上り傾斜するフック下面(フック基端部及びフック先端部の下面を除く)が、フック部を第1方向(MD)から見たときに、下方に膨出するように凸状に湾曲する部分を備えてなく、まっすぐに傾斜する直線状の部分と、内側に少し凹むように湾曲する湾曲線状の部分の少なくとも一方により形成されることを言う。
このような形状を有する係合素子では、フック部の上面が凸面状を呈するため、係合素子を触ったときの触り心地に与えるフック部の影響をより小さくして、成形面ファスナーの肌触りをより良好にすることができる。また、フック部の下面が非凸面状に形成されているため、係合素子のフック部がループを捕まえ易くなり、フック部にループをより安定して係合させることができる。更に、フック部の上面がステム部の上面よりも段差を介して高く形成されることにより、係合素子に係合したループが、フック部とステム部の間の段差に引っ掛かり易くなるため、ループを係合素子から外れ難くすることができる。その結果、本発明の成形面ファスナーは、雌型面ファスナーに対してより高い剥離強度を有することができる。
また、本発明の成形面ファスナーでは、フック部の上面がステム部の上面よりも高く配されることなく、フック部の上面の一部が、ステム部の上面から連続的に形成されていても良い。またこの場合も、フック部は、係合素子を第1方向(MD)から見たとき、フック部の上面(上部外面)が凸面状を呈し、フック部の下面(下部外面)が、非凸面状を呈する形状を有する。
このような形状を有する係合素子では、フック部の最も高い位置に配される上面が、ステム部の上面から連続的に形成されるため、係合素子を触ったときの触り心地に与えるフック部の影響を更に小さくできるため、成形面ファスナーの肌触りをより一層良好にすることができる。また、フック部の下面が非凸面状に形成されていることにより、上述したように係合素子のフック部がループを捕まえ易くなり、フック部にループをより安定して係合させることができる。
上述のような2つの形態の係合素子の場合、ステム部の上端部の外表面(上面)は、球面に形成されている。これにより、係合素子の触り心地を効果的に向上させることができる。
更に、本発明の成形面ファスナーでは、係合素子におけるフック部の上面とステム部の上面とが単一の平坦面に形成されているとともに、フック部の先端部が、下方に傾斜して配されていても良い。フック部の上面とステム部の上面とが単一の平坦面に形成されていることにより、係合素子を触ったときの触り心地を向上させることができる。また、フック部の先端部が下方に傾斜していることにより、係合素子のフック部がループを捕まえ易くなるとともに、フック部に引っ掛かったループを係合素子から外れ難くすることができる。
この場合、係合素子は、フック部における第1方向(MD)の両側に配され、フック部の上端部とステム部とを連結する一対の補強リブ部を有する。これにより、フック部の強度を効果的に高めることができる。その結果、雌型面ファスナーに対する成形面ファスナーの剥離強度を増大させることができる。
本発明の成形面ファスナーにおいて、係合素子のフック部を第2方向(CD)から見たとき、フック部がフック部の幅方向(すなわち、第1方向(MD))に非対称に形成されている。すなわち、フック部の幅方向における中心位置を基準にして当該中心位置から第1方向の一方側に配される部分と、当該中心位置から第1方向の他方側に配される部分とが互いに異なる形状を有する。このような独特の形状のフック部を有する係合素子は、上述した圧縮面をフック部の下面に局部的に安定して設けることができるとともに、従来とは異なる新たな形態を備えるため、様々な不織布に対して雄型面ファスナーの選択の幅を広げることができる。
一方、本発明の別の形態に係る成形面ファスナーは、第1方向と第2方向とに延びるとともに第2方向よりも第1方向に長尺な平板状の基材部と、基材部の上面に立設される複数の係合素子とを有する。また、各係合素子は、基材部から起立するステム部と、ステム部の上端部から第2方向に突出する少なくとも1つのフック部とを有する。更に、フック部は、そのフック部のフック先端に向けて第1方向の寸法を漸減させる先細の形状を有する。また、係合素子のフック部を第2方向(CD)から見たとき、フック部がフック部の幅方向(すなわち、第1方向(MD))に非対称に形成されている。
このような独特の形状のフック部を有する本発明の係合素子は、従来には見られない特徴的な形態を有する成形面ファスナーとなる。従って、本発明の成形面ファスナーが、従来の成形面ファスナーに追加して提供されることによって、成形面ファスナーのバリエーションを多くすることができる。その結果、様々なタイプの雌型面ファスナー(不織布)に対する雄型面ファスナーの選択の幅を広げることができる。更に、係合素子のフック部が上述のような特徴的な形状を有することにより、フック部の下面は、フック部の上面よりも滑らかに形成される圧縮面を局部的に有することが可能となる。また、フック部が、フック先端に向けて細くなる先細りの形状に形成されている。その結果、本発明の成形面ファスナーは、ステム部が曲がり難く、良好な肌触りが得られるという利点と、雌型面ファスナーに対して高い剥離強度を備えるという利点とを併せ持つことができる。
更に本発明の成形面ファスナーでは、フック部が幅方向(第1方向)に非対称に形成される場合に、フック部の圧縮面における第1方向の一端部(後端部)が、同圧縮面における第1方向の他端部(前端部)よりも高い位置に配される。更に、係合素子を上方から見たとき、フック部の先端部が、ステム部の第1方向における中心位置に対し、第1方向の一端部側(後方側)にずれた位置に配されている。このようにフック部がねじれた形状に形成されることにより、本発明の係合素子に、上述した圧縮面をフック部の下面に更に安定して設けることができる。
またこの場合、フック部を第1方向(MD)から見た場合に、フック部の先端部における曲率半径は、0.06mm以上0.18mm以下の範囲内に、好ましくは0.12mm以上0.15mm以下の範囲内に設定される。先端部がこのような曲率半径を有するようにフック部が形成されることにより、係合素子のフック部に雌型面ファスナーのループを引っ掛かり易くすることができる。
更に本発明の成形面ファスナーでは、1つのステム部に対して1つのフック部が配される。この場合、ステム部は、基材部から起立するとともにフック部の突出方向に向いて配されるフック配設面を有する。更に、フック配設面は、フック部の下方から基材部に向けて形成される単一の平坦面を有する。この平坦面は、基材部の上面に直交し、且つ、第2方向(CD)に直交して形成される。更にフック部は、この平坦面上から第2方向に突出するように配される。
係合素子が上述のような形状を有することにより、ステム部が所定の形状を安定して有することができる。また、雌型面ファスナーがフック部の突設方向とは反対側の方向に引っ張られても、ループが係合素子に係合している状態をステム部で安定して維持できる。このため、剥離強度を増大させることができる。
この場合、係合素子を第1方向(MD)から見たときに、ステム部は、第2方向に関してフック配設面の反対側に配されるステム背面を有する。このステム背面は、ステム部におけるフック配設面とステム背面との間の寸法を、基材部の上面から離れるにつれて漸減させる形状を有する。これにより、ステム部の強度を安定して確保できる。特に、ループが係合素子に係合している状態で雌型面ファスナーが、第2方向(CD)におけるフック部の突設方向とは反対側の方向に引っ張られても、ステム部が曲がり難い(倒れ難い)ため、雌型面ファスナーに対する剪断強度を増大させることができる。
またこの場合、ステム背面は、係合素子を前記第1方向から見たときに、ステム部の上端部に凸状に配される上側曲面部と、前記ステム部の下端部に凹状に配される下側曲面部とを有する。これにより、成形面ファスナーが良好な肌触りを有するとともに、ステム部の強度を向上させることができる。
更に、フック部は、係合素子を第1方向(MD)から見たとき、フック部の上面が、ステム部の上側曲面部よりも小さな曲率半径を備える凸面状を呈する形状を有する。これにより、成形面ファスナーの良好な肌触りを維持しながら、係合素子に雌型面ファスナーのループを引っ掛かり易くすることができる。
特に本発明の成形面ファスナーでは、ステム部の第2方向(CD)における最大寸法は、0.1mm以上1.5mm以下に、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下に設定される。また、フック部のステム部から突出する第2方向における最大突出寸法は、0.01mm以上0.5mm以下に、好ましくは0.05mm以上0.1mm以下に設定される。このような大きさを有する係合素子が形成された成形面ファスナーであれば、各係合素子の強度や、雌型面ファスナーに対する剥離強度を効果的に増大できる。
次に、上述のような成形面ファスナーを製造する本発明の製造方法は、成形面ファスナーの成形工程において、係合素子に対応する形状を備える複数のキャビティ(キャビティ空間とも言う)が外周面部に形成されたダイホイールを有する成形装置を用いる。特に本発明では、ダイホイールに形成されるキャビティがアンダーカット形状を有するとともに、ダイホイールのキャビティのキャビティ面に、係合素子を引き抜くときに係合素子の一部(フック部)を局部的に押圧圧縮可能なエッジ部が配されている。
ここで、キャビティがアンダーカット形状を有するとは、例えばダイホイールの機械方向(MD)(ダイホイールの周方向)に直交する断面を見たときに、キャビティが、交差方向(CD)(ダイホイールの塾方向に平行な方向)の寸法が最も小さい最少直交寸法部分よりも成形体の引き抜き方向(ダイホイールの径方向)の奥側に、交差方向(CD)の寸法が最少直交寸法部分よりも大きな部分を有することを言う。キャビティがこのようなアンダーカット形状を有することにより、キャビティ内で成形される係合素子が、キャビティに対応するそのままの形状では離型することが不能となる。そのため、キャビティ内で成形される係合素子を、後述するように機械的に引っ張って強制的に引き抜くことにより、係合素子の一部(フック部)が、キャビティ面のエッジ部で擦られるとともに局部的に押圧圧縮される。
本発明の製造方法では、上述のようなアンダーカット形状が設けられたダイホイールの外周面に対して、溶融した合成樹脂材料を連続的に吐出する。それにより、ダイホイールの外周面上で基材部を成形するとともに、ダイホイールのキャビティ内で、基材部から起立するステム部と、ステム部の上端部から機械方向(MD)と交差する交差方向(CD)に突出する少なくとも1つのフック部とを有する係合素子を成形する。
続いて、ダイホイールの外周面上で成形された基材部を引っ張ること等により、ダイホイールのキャビティ内で硬化する係合素子をキャビティから強制的に引き抜く。このとき、係合素子のフック部を、キャビティに設けたエッジ部でフック部の下方から押圧圧縮するとともに擦ることにより、フック部の下面にフック部の上面よりも滑らかな圧縮面を局部的に形成する。これにより、フック部の上面よりも滑らかな圧縮面がフック部の下面に形成された係合素子を有する本発明の成形面ファスナーを、又は、フック部がフック部の幅方向(MD)に非対称に形成された係合素子を有する本発明の成形面ファスナーを、効率的に且つ安定して製造することができる。
このような本発明の製造方法では、ダイホイールのキャビティから係合素子を強制的に引き抜くときに、成形装置の下流側に配されるピックアップローラを用いる。この場合、ピックアップローラは、上下一対の上側挟持ローラ及び下側挟持ローラを有しており、互いに逆回転する上側挟持ローラと下側挟持ローラとで成形面ファスナーを下流側から挟持することにより、キャビティ内で成形された係合素子を引っ張る。これにより、係合素子のフック部の下面に上述した圧縮面が局部的に形成される。またこのとき、フック部が局部的に押圧圧縮されるため、ステム部に対して上り傾斜するように上方に傾くことがある。
そして、ダイホイールのキャビティから引き抜かれた係合素子は、その後上下一対の上側挟持ローラ及び下側挟持ローラ間を通過することにより、ステム部に対して斜め上方に向いたフック部を、上側挟持ローラによる押圧を利用して下方に屈曲するように変形させることもできる。これにより、本発明の成形面ファスナーをより安定して製造することができる。
更に本発明の製造方法では、ダイホイールのキャビティを所定の形状に形成することにより、フック部の上面が、ステム部の上面よりも段差を介して高く形成された係合素子を成形することができる。これにより、雌型面ファスナーに対してより高い剥離強度を有する成形面ファスナーを効率的に製造することができる。
次に、本発明に係る別の成形面ファスナーの製造方法は、基材部と、基材部に立設される複数の仮素子とを有する一次成形体を成形する一次成形工程と、一次成形体の仮素子を加熱するとともに仮素子を上方から押し潰すことにより係合素子を有する本発明の成形面ファスナーを成形する二次成形工程とを含む。
特に本発明の一次成形工程では、一次成形体の仮素子に対応する形状を備える複数のキャビティが外周面部に形成されたダイホイールを有する成形装置を用いる。この場合、ダイホイールに形成されるキャビティがアンダーカット形状を有するとともに、ダイホイールのキャビティのキャビティ面に、仮素子を引き抜くときに仮素子の一部(一次フック部)を局部的に押圧圧縮可能なエッジ部が配されている。
このようなアンダーカット形状が設けられたダイホイールの外周面に対して、溶融した合成樹脂材料を連続的に押し出す。それにより、ダイホイールの外周面上で基材部を成形するとともに、ダイホイールのキャビティ内で、基材部から起立する一次ステム部と、一次ステム部の上端部から交差方向(CD)に突出する少なくとも1つの一次フック部とを有する仮素子を成形する。
続いて、ダイホイールの外周面上で成形された基材部を引っ張ること等により、ダイホイールのキャビティ内で成形されて硬化した仮素子をキャビティから強制的に引き抜く。このとき、仮素子の一次フック部を、キャビティに設けたエッジ部で一次フック部の下方から押圧圧縮するとともに擦ることにより、一次フック部の下面に一次フック部の上面よりも滑らかな圧縮面を局部的に形成する。これにより、一次フック部の上面よりも滑らかな圧縮面が一次フック部の下面に形成された仮素子を有する一次成形体を、又は、一次フック部が一次フック部の幅方向(MD)に非対称に形成された仮素子を有する一次成形体を、効率的に且つ安定して成形することができる。
更に、本発明の二次成形工程では、一次成形体の仮素子の少なくとも一部とステム部の上端部とを上方から押し潰して平坦化することにより、仮素子を変形させる。これによっても、フック部の上面よりも滑らかな圧縮面がフック部の下面に形成された係合素子を有する本発明の成形面ファスナーを、又は、フック部がフック部の幅方向(MD)に非対称に形成された係合素子を有する本発明の成形面ファスナーを、効率的に且つ安定して製造することができる。
このような本発明の製造方法では、一次成形工程においてダイホイールのキャビティから仮素子を強制的に引き抜くときに、成形装置の下流側に配されるとともに上下一対の上側挟持ローラ及び下側挟持ローラを有するピックアップローラを用いる。この場合、互いに逆回転する上側挟持ローラと下側挟持ローラとで一次成形体を下流側から挟持することにより、キャビティ内で成形された仮素子を引っ張る。これにより、仮素子の一次フック部の下面に上述した圧縮面が局部的に形成される。またこのとき、一次フック部が局部的に押圧圧縮されるため、一次ステム部に対して上り傾斜するように上方に傾くことがある。
そして、ダイホイールのキャビティから引き抜かれた仮素子は、その後上下一対の上側挟持ローラ及び下側挟持ローラ間を通過することにより、一次ステム部に対して斜め上方に向いた一次フック部を、上側挟持ローラによる押圧を利用して下方に屈曲するように変形させることもできる。これにより、上述した一次成形体をより安定して作製することができる。
更に本発明の製造方法では、一次成形工程において、ダイホイールのキャビティを所定の形状に形成することにより、一次フック部の上面が、一次ステム部の上面よりも段差を介して高く形成された仮素子を成形することもできる。そしてその後、二次成形工程において、仮素子の上端部を上方から押し潰すことにより、係合素子におけるフック部の上面とステム部の上面とを単一の平坦面に形成するとともに、フック部の先端部を下方に傾斜させることができる。これにより、係合素子の触り心地が良好で、且つ、フック部に引っ掛かったループが係合素子から外れ難くなる成形面ファスナーを効率的に製造することができる。
次に、本発明の成形装置は、成形面ファスナーの成形又は成形面ファスナーの一次成形体の成形に用いられる成形装置であって、一方向に回転駆動するダイホイールと、ダイホイールに向けて溶融した合成樹脂材料を押し出す押出ノズルとを有する。また、ダイホイールの外周面部には、成形面ファスナーの係合素子又は一次成形体の仮素子に対応する形状を備える複数のキャビティが設けられており、それらのキャビティはアンダーカット形状を有するとともに、ダイホイールのキャビティのキャビティ面には、係合素子又は仮素子を引き抜くときにその一部を局部的に押圧圧縮可能なエッジ部が配されている。
また、本発明のダイホイールは、軸方向に積層される複数の円盤状金属プレートを有しており、各金属プレートは、軸方向に直交する第1積層面と、その第1積層面の反対側に配される第2積層面とをそれぞれ備える。この場合、ダイホイールの金属プレートとして、係合素子のフック部又は一次成形体の一次フック部を成形する第1キャビティが第1積層面に凹設された第1プレートと、係合素子のステム部又は一次成形体の一次ステム部を成形する第2キャビティが第2積層面に凹設された第2プレートとが用いられる。
これらの第1プレートと第2プレートとは、第1プレートの第1キャビティと第2プレートの第2キャビティとが連通する向きで互いに隣接して積層されて、ダイホイールを形成する。第1プレートの第1キャビティは、第1プレートの外周端面から離れた位置に凹設されており、第2キャビティは、第2プレートの外周端面から径方向内側に向けて連続して凹設されている。特に第1プレートの第1キャビティは、第1プレートと第2プレートが順番に積層されたときに、第2キャビティに対して、アンダーカット形状を形成する大きさで形成される。
このような本発明の成形装置では、上述のようなアンダーカット形状とエッジ部が設けられるダイホイールを形成することができる。また、本発明の成形装置を用いることにより、上述した本発明の成形面ファスナーや、本発明の成形面ファスナーになる一次成形体を安定して成形することができる。
このような本発明の成形装置において、第1プレートの第1キャビティにおける径方向の最内側位置が、第2プレートの第2キャビティにおける径方向の最内側位置よりも更に径方向の内側に位置する。また、第1キャビティと第2キャビティとの間には、第2プレートの第2積層面による段差が形成されている。
このような成形装置を用いることにより、フック部の上面がステム部の上面よりも段差を介して高く形成された係合素子、又は一次フック部の上面が一次ステム部の上面よりも段差を介して高く形成された仮素子を安定して成形することができる。
更に本発明の成形装置において、第1プレートの第1キャビティは、第1プレートの第1積層面に半球形状に凹設されている。この場合、第1キャビティにおける半球形状の半径は、0.01mm以上0.5mm以下に、好ましくは0.05mm以上0.1mm以下に設定されている。また、第2プレートの第2キャビティは、第2プレートの外周端面から径方向内側に向けて、第2プレートの周方向の寸法が漸減する形状を有する。この場合、第2キャビティの径方向における内側先端面は、0.01mm以上0.5mm以下の曲率半径、好ましくは0.05mm以上0.1mm以下の曲率半径を有する球面を備える。
第1プレートの第1キャビティと第2プレートの第2キャビティとが上述のように形成されていることにより、フック部の下面に上述の圧縮面が形成された係合素子を有する成形面ファスナー、又は、一次フック部の下面に上述の圧縮面が形成された仮素子を有する一次成形体を安定して成形することができる。
本発明の実施例1に係る成形面ファスナーを示す斜視図である。 成形面ファスナーの係合素子のみを示す斜視図である。 係合素子を機械方向(MD)の一方側(前方側)から見た正面図である。 係合素子を交差方向(CD)の一方側(右側)から見た側面図である。 係合素子を交差方向(CD)の他方側(左側)から見た側面図である。 係合素子を上側から見た平面図である。 係合素子のフック部を拡大して示す要部拡大図である。 実施例1の成形面ファスナーを製造する製造装置を模式的に示す模式図である。 製造装置のダイホイールの形態を模式的に示す模式図である。 ダイホイールの外周面部における周方向に直交する断面を示す断面図である。 ダイホイールの外周面部で成形される係合素子が引き抜かれる途中の状態を模式的に示す断面図である。 実施例1の変形例に係る成形面ファスナーを示す斜視図である。 本発明の実施例2に係る成形面ファスナーを示す斜視図である。 成形面ファスナーの係合素子のみを示す斜視図である。 係合素子を機械方向(MD)の一方側(前方側)から見た正面図である。 係合素子を交差方向(CD)の一方側(右側)から見た側面図である。 係合素子を交差方向(CD)の他方側(左側)から見た側面図である。 本発明の実施例3に係る成形面ファスナーを示す斜視図である。 成形面ファスナーの係合素子のみを示す斜視図である。 係合素子を機械方向(MD)の一方側(前方側)から見た正面図である。 係合素子を交差方向(CD)の一方側(右側)から見た側面図である。 係合素子を交差方向(CD)の他方側(左側)から見た側面図である。 実施例3の成形面ファスナーを製造する製造装置を模式的に示す模式図である。 実施例1の変形例に係る係合素子のみを示す斜視図である。 実施例1の別の変形例に係る係合素子を機械方向(MD)の一方側(前方側)から見た正面図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。例えば、以下の各実施例において、成形面ファスナーの基材部に立設される係合素子の個数、配置、及び形成密度などは特に限定されるものではなく、任意に変更することが可能である。
図1は、本実施例1に係る成形面ファスナーを示す斜視図である。図2は、成形面ファスナーの係合素子のみを示す斜視図である。図3〜図6は、それぞれ係合素子の正面図、右側側面図、左側側面図、及び平面図である。更に図7は、係合素子のフック部を示す要部拡大図である。
なお、以下の説明において、成形面ファスナー及び一次成形体についての前後方向とは、後述するように長尺に成形される成形面ファスナー及び一次成形体の長さ方向であり、また、成形面ファスナーの製造工程において成形面ファスナー又は一次成形体が流れる機械方向(M方向又はMD)に沿った方向を言う。
左右方向とは、長さ方向に直交し、且つ、成形面ファスナーの基材部の上面(又は下面)に沿った幅方向を言う。この場合、左右方向及び幅方向は、機械方向(MD)に直交する交差方向(C方向又はCD)と言うこともできる。上下方向(厚さ方向)とは、長さ方向に直交し、且つ、成形面ファスナーの基材部の上面(又は下面)に直交する高さ方向を言う。
図1に示した本実施例1の成形面ファスナー1は、後述する成形装置51を備えた製造装置50を用いて熱可塑性樹脂の成形を行うことにより製造される。この成形面ファスナー1は、平面視において、製造装置50の機械方向に長い矩形のシート状に製造される。なお、本発明において、成形面ファスナー1の長さ寸法及び幅寸法は特に限定されない。例えば製造装置50により製造された成形面ファスナー1を切断すること等により、成形面ファスナー1の大きさ及び形状を任意に変更することが可能である。また、成形面ファスナー1は、平面視にて矩形以外の形状を有していても良い。
成形面ファスナー1を形成する合成樹脂の種類も特に限定されない。本発明における成形面ファスナー1の材質としては、例えばポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、又はそれらの共重合体などの熱可塑性樹脂を採用できる。本実施例1の成形面ファスナー1は、ポリプロピレンにより形成されている。
本実施例1の成形面ファスナー1は、薄板状の基材部10と、基材部10の上面に立設される複数の係合素子20とを有する。基材部10は、機械方向(MD)と交差方向(CD)とに延びて形成されているとともに、機械方向に長尺に形成されている。また、基材部10は、所定の厚さを有して形成されており、基材部10の上面と下面は、平坦で互いに平行に形成されている。
複数の係合素子20は、機械方向(MD)及び交差方向(CD)に沿って規則的に整列して配されている。なお、本発明において、係合素子20の配置パターンは限定されるものではない。例えば複数の係合素子20が、基材部10の上面に千鳥状等のその他の配置パターンで規則的に並べられていても良いし、基材部10の上面にランダムに設けられていても良い。
本実施例1の各係合素子20は、基材部10から起立するステム部21と、ステム部21の上端部から交差方向(CD)に沿って右側のみに突出する1つのフック部31とをそれぞれ有する。本実施例1の場合、各係合素子20のフック部31は、全て、ステム部21から交差方向の同じ向き(右側)に向けて突出している。
係合素子20のステム部21は、基材部10の上面に直立している。このステム部21は、基材部10から立ち上がるとともに外周縁部全体に湾曲面を有する基端部22と、基端部22の上に連続的に配されるステム本体部23とを有する。なお、本実施例1のステム部21は、湾曲面の基端部22を設けずに形成されていても良い。
ステム部21は、機械方向(MD)の中心位置を基準に機械方向(ステム部21の幅方向)に対称的な形状を有する。このステム部21の基端部22は、基材部10に対するステム部21の強度を高めるために、上下方向に直交する断面の面積が基材部10に近付くにつれて漸増するように形成されている。
ステム部21のステム本体部23は、上下方向に直交する断面が、半円に近い形状又は円の弧と弦で囲まれる半円よりも大きな形状を呈する。また、ステム本体部23は、上下方向に直交する断面の面積が基材部10に近付くにつれて漸増する形態を有する。更に、ステム本体部23の上端部の外表面(頂端面)は球面状に形成されている。
この場合、ステム部21の最も高い位置に配されるステム上端(ステム頂端)は、機械方向(MD)について、ステム部21の機械方向における中心位置に配される。また、このステム上端は、交差方向(CD)について、ステム部21の交差方向における中心位置と後述するフック配設面24の位置との間に配される。
ステム部21のステム本体部23は、フック部31が配される平坦なフック配設面24と、上下方向に直交する断面において円弧状を呈するステム外周面とを有する。フック配設面24は、フック部31の下方から基材部10に向けて形成される。また、フック配設面24は、基材部10の上面に直交するとともに、CDに対して直交する単一の平坦面により形成される。
なお、本実施例1の係合素子20では、ステム部21のフック配設面24と基材部10との間に上述した基端部22が配されている。しかし本発明において、ステム部21のフック配設面24は、基材部10から立ち上がって形成されるように、ステム部21の下端位置まで形成されていても良い。
またステム部21は、本実施例1の係合素子20をM方向の前方側(又は後方側)から見た正面視において、図3に示したように、フック配設面24とは反対側に配されるステム背面25を有する。このステム背面25は、係合素子20の正面視において、フック配設面24とステム背面25との間のC方向における寸法を基材部10の上面から離れるにつれて漸減させるように形成される。この場合、ステム背面25は、係合素子20の正面視において、ステム部21の上端部に凸状(又は円弧状)に配される上側曲面部25aと、基材部10に隣接してステム部21の下端部に凹状に配される下側曲面部25bと、上側曲面部25a及び下側曲面部25b間に配される傾斜面部25cとを有する。
更にステム部21は、本実施例1の係合素子20の側面視において、図5(又は図4)に示したように、左右側縁間のMDにおける寸法を基材部10の上面から離れるにつれて漸減させるように形成されている。この場合、ステム部21は、係合素子20の側面視において、ステム部21の上端部に円弧状に配される上側曲面部25aと、基材部10に隣接してステム部21の下端部に凹状に配される下側曲面部25bと、上側曲面部25a及び下側曲面部25b間に配される傾斜面部25cとを有する。
本実施例1のステム部21が、上述のような形態を有することにより、例えば本実施例1の成形面ファスナー1に向けて雌型面ファスナーとなる不織布が強く押し付けられても、ステム部21が折れる等の変形が生じ難いような高い強度を安定して有することができる。特に、ステム部21のステム背面25が上述のように形成されることにより、係合素子20が外力を受けても、ステム部21が交差方向(CD)のステム背面25側(左側)に倒れるように変形し難くなる。それにより、ステム部21の変形によってフック部31が上方に傾くことを抑制できるため、フック部31にループが引っ掛かった状態を維持し易くすることができる。
本実施例1のフック部31は、上方及び左右側方に向く主外周面が球面状に形成されるとともに、後述する成形工程において押圧及び圧縮を受けることにより主外周面よりも滑らかに形成される圧縮面32がフック部31の下面に配される特徴的な形態を有する。ここで、表面が滑らかであるとは、表面に凹凸がより少ないこと、更には表面粗さがより小さいことを言う。
また、フック部31の下面とは、フック部31の先端から、フック部31におけるステム部21との連結部分となる下端部にかけて配され、且つ、下方又は斜め下方を向いて(すなわち、基材部10に向いて)配されるフック部31の外面の部分を言う。特に本実施例1の場合、フック部31の下面は、フック部31の先端の高さ位置よりも下側に配されている。
本実施例1のフック部31の形態についてより具体的に説明すると、本実施例1のフック部31は、図4に示した係合素子20の側面視において、ステム部21との連結部分が円形を呈するとともに、フック部31のCDに直交する断面の面積がステム部21の平坦なフック配設面24から離れるにつれて漸減する形態を有する。
別の言い方をすれば、フック部31の外形は、ステム部21から離れるにつれて先細りの形状を有する。すなわち、フック部31は、フック幅方向における寸法(前後方向の寸法)を、ステム部21から離れるにつれて漸減させるように形成されている。なお、フック部31は、フック上下方向における寸法(高さ方向)も、ステム部21から離れるにつれて漸減させるように形成されていることが好ましい。
このフック部31の上面は球状(半球状)に形成されている。このため、図3に示した正面視におけるフック部31の上端縁の形状も、図4に示した側面視におけるフック部31の上端縁の形状も、盛り上がるように凸形に湾曲する連続的な円弧状(湾曲線状)を呈する。この場合、球状に形成されるフック部31の上面における曲率半径は、ステム部21の球形状の上端部における曲率半径よりも小さく設定される。これにより、本実施例1の成形面ファスナー1にループを係合させるときに係合素子20のフック部31をループ内に挿通させ易くなるため、ループを係合素子20に円滑に係合させることができる。
また、図4に見られるように、このフック部31の幅寸法(M方向)は、ステム部21の幅寸法(M方向)よりも小さく、フック部31の幅方向外側には、平坦なフック配設面24が露出している。すなわち、ステム部21が、フック部31から幅方向の外側に向けて延出している。これにより、本実施例1の成形面ファスナー1にループを係合させるときに係合素子20のフック部31をループ内に挿通させ易くなるとともにステム部21の強度を確保することができる。
特に本実施例1において、フック部31を突出方向側(右側)から見たとき(図4を参照)、フック部31の上面又は上端縁における曲率半径は、0.01mm以上0.5mm以下に、好ましくは0.05mm以上0.1mm以下に設定される。また、ステム部21をM方向から見たとき(図3を参照)、又は、ステム部21をC方向から見たとき(図4又は図5を参照)、ステム部21の上面又は上端縁における曲率半径は、フック部31の上面における曲率半径よりも大きく、且つ、0.01mm以上0.5mm以下に、好ましくは0.05mm以上0.1mm以下に設定される。
更に本実施例1では、フック部31をM方向から見たとき(特に図7に示すようにフック部31を後方側から拡大して見たとき)、フック部31の先端部33が略円弧状を呈する形状を有する。この場合、フック部31の先端部33の外面における曲率半径は、0.06mm以上0.18mm以下の範囲内に、好ましくは0.12mm以上0.15mm以下の範囲内に設定される。
また上述したように、フック部31の下面は、凹面状に形成される圧縮面32を有する。このため、図3に示した係合素子20の正面視において、フック部31の上端縁は上述のように凸形の円弧状を呈するものの、フック部31の下端縁は、内方に少し凹状に湾曲するような非凸面形状の形態を呈する。このようにフック部31の下端縁が、凹面状となる非凸面形状を有することにより、例えば当該下端縁が凸面形状である場合に比べて、フック部31にループを引っ掛け易くする(係合し易くする)ことができる。更に、ループの係合状態を安定して維持し易くなる。なお本実施例1において、フック部31の下端縁は、係合素子20の正面視において、直線的に傾斜することによって非凸面形状を呈する形態を有していても良い。
この場合、フック部31の上面は、非圧縮面として形成されるものの、後述する第1キャビティ56のキャビティ面(エッチング面)が転写されて形成されるため、表面粗さが比較的小さい滑らかな面に形成される。
フック部31の下面に配される圧縮面32は、後述する成形工程において押圧圧縮を受けて塑性変形(歪み)が生じながら擦られることにより形成される。このため、フック部31の圧縮面32は、第1キャビティ56のキャビティ面が転写されていない非転写面であり、フック部31の上面よりも更に滑らかに、また艶やかに形成される。このため、フック部31の圧縮面32は、フック部31の他の面よりも光を多く反射するため、圧縮面32に光沢が局部的に見えることもある。
更に、フック部31の滑らかな圧縮面32は、押圧圧縮を受けて形成されるため、フック部31の上面よりも局部的に硬度が大きくなるものと思われる。フック部31の下面に硬い圧縮面32が配されると、フック部31で雌型面ファスナーのループを捕らえた(保持した)ときに、フック部31の変形を抑制してループがフック部31に係合した状態を安定して維持できる。
更に本実施例1の係合素子20では、ステム部21が上述のように前後方向(ステム部21の幅方向)に対称的な形状を有するものの、フック部31は、前後方向(フック部31の幅方向)に非対称的な形状を有する。
すなわち、フック部31は、図4に示した係合素子20の側面視においても、図6に示した係合素子20の平面視においても、前後方向(MD)の中心位置を基準にして前方に配される前半部と後方に配される後半部とが、互いに非対称的な異なる形態に形成される。
特に、本実施例1のフック部31の下面には上述の圧縮面32が設けられているため、フック部31の下半部がねじれたような形態を有する。このため、フック部31における圧縮面32の後端部は、例えば図3に示した係合素子20の正面視において隠れて見えなくなるように、同圧縮面32の前端部よりも上方の高い位置(基材部10から離れた位置)に配される。
本実施例1において、フック部31におけるステム部21の平坦なフック配設面24から最も離れているフック先端部は、図6に示したように、フック部31の前後方向(MD)の中心位置よりも後方寄りに配される。この場合、フック部31のフック先端部は、係合素子20をC方向のフック突出側(右側)から見たときにフック部31の上面と圧縮面32とに挟まれて形成されるフック先端面34を有する。このフック先端面34は、稜線を介してフック部31の上面及び圧縮面32と区画される。
また、本実施例1の係合素子20では、図2〜図5に示すように、フック部31の上面とステム部21の上面との間に段差(段差部)26が設けられている。この段差26により、フック部31のステム部21に連結する側の基端部22の上面の高さ位置(上下方向における位置)が、ステム部21の上面よりも高く配されており、フック部31の一部がステム部21よりも上方に突出して形成されている。
また本実施例1において、係合素子20の具体的な大きさは、以下のように設定される。
例えば上下方向に関して、係合素子20における基材部10の上面からの最大高さ寸法H1は、0.1mm以上1.5mm以下に、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下に設定される。この場合、ステム部21における基材部10の上面からの最大高さ寸法H2は、0.1mm以上1.5mm以下に、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下に設定される。また、フック部31の上面とステム部21の上面との間に形成される段差26の高さ寸法H3は、0.01mm以上0.3mm以下に設定される。更に、フック部31の先端部における基材部10の上面からの上下方向の高さ寸法H4は、ステム部21の上端における高さ位置よりも低く、且つ、0.1mm以上1.5mm以下に、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下に設定される。
M方向(係合素子20の幅方向)に関して、ステム部21におけるM方向の最大寸法(すなわち、ステム部21の基端部22におけるM方向の寸法)L1は、0.1mm以上1.5mm以下に、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下に設定される。また、フック部31におけるM方向の最大寸法L2は、0.01mm以上1.0mm以下に、好ましくは0.05mm以上0.5mm以下に設定される。
C方向に関して、ステム部21におけるC方向の最大寸法(すなわち、ステム部21の基端部22におけるC方向の寸法)W1は、0.1mm以上1.5mm以下に、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下に設定される。更に、フック部31におけるC方向の最大寸法(すなわち、フック部31の先端からステム部21のフック配設面24までのC方向の寸法)W2は、0.01mm以上1.0mm以下に、好ましくは0.05mm以上0.5mm以下に設定される。
更に、ステム部21の上述した傾斜面部25cにおける上下方向に対する傾斜角度は、5°以上20°以下に設定される。また図3に示したように、フック部31における上述したC方向の最大寸法W2は、フック部31の下端とステム部21のステム背面25との間のC方向に平行な線分の寸法(フック部31の下端位置におけるステム部21のC方向の寸法)W3の半分以下に設定されることが好ましい。言い換えると、寸法W3は、最大寸法W2の2倍の大きさ以上に設定されることが好ましい。寸法W2及び寸法W3がこのような関係を有することにより、後述するように係合素子20を成形するときに、第1プレート55aに球状に形成されるアンダーカット形状の第1キャビティ56から、上述のような圧縮面32を有するフック部31を変形させながら成形できる。また、フック部31が小さいフック頭部を備え、且つ、ステム部21の強度が高い成形面ファスナー1を作製することができる。更にこの場合、図4に示したように、フック部31における上述したM方向の最大寸法L2は、フック部31の下端位置におけるステム部21のM方向の寸法L3の半分以下に設定されることが好ましい。言い換えると、寸法L3は、最大寸法L2の2倍の大きさ以上に設定されることが好ましい。これにより、圧縮面32を有するフック部31を成形できるとともに、ステム部21の強度を適切に確保できる。
なお、本実施例1の成形面ファスナー1では、図1〜図6に示す上述した複数の係合素子20が基材部10に立設されている。しかし、本発明では、基材部10に立設される全ての係合素子20が同じ形状を有していなくても良い。
例えば、本実施例1における係合素子20の大きさは1つ1つが非常に小さいため、全ての係合素子20を同じ形状に揃えることが難しい場合もある。また、後述するような成形装置51を用いて成形面ファスナー1の製造を行う際に、同じ形状の成形キャビティから係合素子20を成形しても、様々な要因が重なることによって係合素子20の形状(特にフック部31の形状)が、他の係合素子20と異なることもある。
このため、本発明では、基材部に立設される全ての係合素子のうちの一部の係合素子が、本発明の特徴を備える係合素子であれば良い。この場合、本発明の特徴を備える係合素子は、基材部に立設される全ての係合素子の個数の10%以上の割合、好ましくは25%以上の割合、特に好ましくは50%以上の割合で形成されていれば良い。このような本発明の特徴を備える係合素子の割合については、後述する実施例2及び3の成形面ファスナー2,3についても同様である。
次に、上述のような本実施例1の成形面ファスナー1を、図8に示した製造装置50を用いて製造する方法について説明する。
この成形面ファスナー1の製造装置50は、成形面ファスナー1(後述する仮成形面ファスナー)の成形を行う成形装置51と、成形された成形面ファスナー1を成形装置51から引き剥がすとともに係合素子20の一部を変形させるピックアップローラ54とを有する。
なお、図8の成形装置51により成形される成形面ファスナーは、フック部に押圧圧縮が施される前の係合素子を有する成形面ファスナーである。このため、成形装置51で成形されてダイホイール52から引き剥がされる前の状態の成形面ファスナーは、図1に示した成形面ファスナー1と形状が少し異なる。言い換えると、ダイホイール52の後述するキャビティ(すなわち、第1キャビティ56、第2キャビティ57、及び補助キャビティ58)に合成樹脂が充填されて形成され、且つ、ダイホイール52から引き剥がされる前の状態の係合素子は、図1に示した係合素子20と形状が少し異なる。このため、ダイホイール52から引き剥がされる前の成形面ファスナー及び係合素子は、それぞれ仮成形面ファスナー及び仮係合素子と言うこともできる。なお、以下では、説明の冗長や誤解が生じることを防ぐため、「仮成形面ファスナー」及び「仮係合素子」も、単に「成形面ファスナー1」及び「係合素子20」と称する。
図8に示した成形装置51は、一方向(図面では反時計回り方向)に駆動回転するダイホイール52と、ダイホイール52の周面に対向して配され、溶融した合成樹脂材料を連続して押し出す押出ノズル53とを有する。
成形装置51に配されるダイホイール52の外周面部には、成形面ファスナー1の係合素子20を成形するために所定の形状を備える複数のキャビティが形成されている。このダイホイール52は、図9に示すように、所要の厚さを有する複数の円盤状(又はドーナツ状)の金属プレート55を、ダイホイール52の回転軸方向に重ねて積層することによって円柱状に形成されている。また、各金属プレート55は、回転軸方向に直交するとともに回転軸方向の一方側(図9では奥側)の面を形成する第1積層面と、回転軸方向に直交するとともに回転軸方向の他方側(図9では手前側)の面を形成する第2積層面とを有する。
ダイホイール52の金属プレート55は、図10に示すように、係合素子20のフック部31を成形する第1キャビティ56が形成された第1プレート55aと、係合素子20のステム部21を成形する第2キャビティ57が形成された第2プレート55bと、スペーサとして配される複数の第3プレート55cとを有する。これらの第1プレート55a〜第3プレート55cは、回転軸方向に1枚ずつ順番に積層されている。
フック部31を成形する第1プレート55aは、フック部31を成形するために第1プレート55aの第1積層面に半球形に凹設される第1キャビティ56と、ステム部21の基端部22の一部を成形するために形成される補助キャビティ58とを有する。第1キャビティ56は、第1プレート55aの外周面から、第1プレート55aの径方向の内側に向けて図1等に示したフック部31と基材部10との間の間隔に対応する距離で離間した位置に配される。すなわち、第1キャビティ56は、第1プレート55aの外周面には開口していない。
この半球形の第1キャビティ56の曲率半径は、図1等に示したフック部31の上面における曲率半径の大きさに設定される。従って、本実施例1の第1キャビティ56の曲率半径は、0.01mm以上0.5mm以下に、好ましくは0.05mm以上0.1mm以下の小さい大きさいに設定される。また、第1プレート55aの第1積層面に開口する第1キャビティ56は、係合素子20のフック部31の上面とステム部21の上面との間の段差26を形成する。すなわち、第1キャビティ56の第1積層面に開口する径方向の最内側の位置が、第2プレート55bにおける第2キャビティ57の第2積層面に開口する径方向の最内側の位置よりも、更に径方向の内側に配されるように形成されている。このため、第1プレート55aと第2プレート55bの間には、第2プレート55bの第2積層面を第1キャビティ56に露呈させる段差59が形成されている。
また、第1プレート55aの補助キャビティ58は、第1プレート55aの第1積層面に凹設されるとともに、第1プレート55aの外周面に開口して形成される。この場合、第1プレート55aの第1キャビティ56と補助キャビティ58との間に配される平坦な第1積層面によって、係合素子20のステム部21のフック配設面24が形成される。
このような第1プレート55aの小さな第1キャビティ56と補助キャビティ58とは、第1プレート55aの第1積層面にハーフエッチング加工を行うことにより形成される。このようなハーフエッチング加工を用いることにより、第1キャビティ56及び補助キャビティ58を所定の形状に形成できる。更に、第1キャビティ56及び補助キャビティ58の各キャビティ面が、滑らかな曲面状のエッチング面により形成される。それにより、成形されるフック部31の後述する押圧圧縮を受けない外面(特に、フック部31の上面)やステム部21の基端部22の一部を、表面粗さが比較的小さい滑らかな面に形成することができる。
ステム部21を成形する第2プレート55bは、第2プレート55bの第2積層面に、第2プレート55bの外周面から第2プレート55bの径方向の内側に向けて延びるように連続的に凹設される第2キャビティ57を有する。この第2キャビティ57は、第1プレート55aの補助キャビティ58とともに、係合素子20のステム部21を形成する。従って、第2キャビティ57は、ステム部21の補助キャビティ58で成形される部分を除く形状を有するように、第2キャビティ57における周方向の寸法を、第1プレート55aの外周面から径方向の内側に向けて漸減させて形成されている。
また、本実施例1の第2キャビティ57は、径方向の最も内側に配される部分のキャビティ面が球面を呈するように形成されている。この第2プレート55bの第2キャビティ57は、第2プレート55bの第2積層面にハーフエッチング加工を行うことにより形成される。それにより、第2キャビティ57のキャビティ面が、滑らかな曲面状のエッチング面により形成される。このため、成形されるステム部21の外面を、フック部31の上面と同様に、表面粗さが比較的小さい滑らかな面に形成することができる。
本実施例1の第3プレート55cは、キャビティが形成されていない円盤状のプレートにより形成されている。また、この第3プレート55cの厚さ(回転軸方向の寸法)は、成形面ファスナー1に設ける係合素子20の交差方向(CD)における形成ピッチに応じて設定される。
上述のような第1プレート55a〜第3プレート55cは、第1プレート55aの第1積層面と第2プレート55bの第2積層面を対面させ、第2プレート55bの第1積層面と第3プレート55cの第2積層面を対面させ、第3プレート55cの第1積層面と第1プレート55aの第2積層面を対面させるようにして、順番に繰り返し積層されて固定される。これにより、第1プレート55aと第2プレート55bが互いに隣接して積層され、且つ、第1プレート55aの第1キャビティ56及び補助キャビティ58と、第2プレート55bの第2キャビティ57とが連通した状態で本実施例1のダイホイール52が形成される。
このような本実施例1のダイホイール52について、図10に、ダイホイール52をステム部21の機械方向(MD)における中心位置にて回転軸方向に沿って切断した断面図を示す。この図10の断面図において、係合素子20を成形するキャビティ全体について、第1キャビティ56の径方向外側に隣接する位置における第1プレート55aの第1積層面と第2プレート55bの第2キャビティ57のキャビティ面との間の回転軸方向(CD)における寸法をD1とする。また、第1キャビティ56の第1積層面から最も深い位置のキャビティ面と第2プレート55bの第2キャビティ57のキャビティ面との間の回転軸方向(CD)における寸法をD2とする。
この場合、本実施例1のダイホイール52の外周面部には、上述の寸法D1を、当該寸法D1よりも径方向の内側に位置する上述の寸法D2よりも小さくして、係合素子20用の成形キャビティが形成されている。これにより、第1プレート55aの第1キャビティ56は、ダイホイール52の外周面から内側に離間した位置に、後述する仮成形面ファスナーがそのままの形状では離型不能なアンダーカット形状として形成されている。
更に、第1プレート55aには、第1キャビティ56のキャビティ面と第1積層面とを略直交させるようにして、円周状の稜線部が角張った形状で形成されている。この円周状の稜線部のうち、径方向の外側に配される円弧部分の稜線部が、ダイホイール52のキャビティから係合素子20を引き抜くときに係合素子20のフック部31の下面を局部的に押圧して圧縮するエッジ部60として配されている。
また、本実施例1のダイホイール52には、ダイホイール52を一方向に回転させる図示しない回転駆動ローラが設けられている。更に、本実施例1のダイホイール52には、冷却液を流通させる図示しない冷却ジャケットをダイホイール52の内部に設けることも可能である。それにより、ダイホイール52の外周面部で成形される成形面ファスナー1を効率的に冷却することが可能となる。
図8に示したピックアップローラ54は、ダイホイール52の周面部で成形される成形面ファスナー1(仮成形面ファスナー)を上下から挟持して引っ張る一対の上側挟持ローラ54a及び下側挟持ローラ54bを有する。また、上側挟持ローラ54aの成形面ファスナー1が接触する外周面部と、下側挟持ローラ54bの成形面ファスナー1が接触する外周面部とには、ポリウレタンエラストマー等のエラストマーからなる図示しない表面層が設けられている。
上側挟持ローラ54aと下側挟持ローラ54bとは、所定の間隔を開けて対向して配されている。これらの上側挟持ローラ54aと下側挟持ローラ54bとが、それぞれ所定の方向に所定の速度で回転することにより、成形面ファスナー1をダイホイール52から連続的に引き剥がしながら下流側に円滑に送り出すことができる。
上述のような製造装置50を用いて成形面ファスナー1の製造を行う場合、先ず、溶融した合成樹脂材料を押出ノズル53からダイホイール52の外周面に向けて連続して吐出する。このとき、ダイホイール52は一方向に駆動回転している。従って、ダイホイール52の周面に溶融樹脂材料が押し出されることにより、連続押出ノズル53と回転するダイホイール52との間の空間部に合成樹脂材料が連続的に充填されるとともに、ダイホイール52の外周面部に設けた各成形用キャビティ(空間部)内にも合成樹脂材料が充填される。
このとき、溶融した合成樹脂材料は、ダイホイール52の外周面から、第1プレート55aの補助キャビティ58と第2プレート55bの第2キャビティ57に流れ込み、更に、第2プレート55bの第2キャビティ57を介して第1プレート55aの第1キャビティ56に流れ込む。これにより、第1キャビティ56、第2キャビティ57、及び補助キャビティ58によって形成される係合素子成形用キャビティの空間部分が合成樹脂材料によって満たされる。
続いて、上述のように連続押出ノズル53とダイホイール52との間に充填されるとともにダイホイール52の各キャビティ内に充填された合成樹脂材料は、一方向に回転するダイホイール52の外周面に担持されながら、融点よりも低い温度に冷却される。それによって、ダイホイール52に設けられたキャビティの形状に対応する複数の係合素子(仮係合素子)が、ダイホイール52の外周面上で成形される基材部10に立設された成形面ファスナー(仮成形面ファスナー)が成形される。すなわち、このとき成形されるキャビティ内で樹脂が充填された状態の係合素子(仮係合素子)は、図示を省略するものの、上述したステム部21と、そのステム部21からC方向に突出する半球形状のフック部(仮フック部)とを有する。また、この成形される半球形状のフック部(仮フック部)における上面と下面を含む外面は、第1キャビティ56のキャビティ面により形成される。
このダイホイール52の外周面部で成形された成形面ファスナー(仮成形面ファスナー)は、その後、上述したピックアップローラ54によってダイホイール52の外周面部から連続的に、且つ強制的に(無理矢理に)引き剥がされる。このとき、ダイホイール52の外周面部に形成されたキャビティにおいて、第1プレート55aの第1キャビティ56が上述したように、アンダーカット形状に形成されている。
このため、図11に示すように、ピックアップローラ54によって成形面ファスナー1が引っ張られることによって、キャビティ内で成形された係合素子(仮係合素子)の半球形状のフック部が、同キャビティから引き抜かれる際に、第1プレート55aに形成された上述のエッジ部60によって、フック部の下面側から押圧されて圧縮される。このとき、ダイホイール52は機械方向に回転しているため、押圧を受けるフック部は、第1プレート55aのエッジ部60によって機械方向にねじれるような外力も受ける。
特に本実施例1では、第1プレート55aと第2プレート55bの間に、上述したように第2プレート55bの第2積層面が第1キャビティ56に露呈するような段差59が形成されている。このため、仮係合素子の半球形状のフック部を、第1プレート55aの第1キャビティ56から更に抜け難くすることができる。それにより、第1プレート55aのエッジ部60によりフック部の下面を、押圧及び圧縮することができる。
仮係合素子が引き抜かれながら半球形状のフック部が第1プレート55aのエッジ部60によってある程度の範囲(体積)で押圧及び圧縮された後、係合素子20のステム部21は、フック部が第1キャビティ56から抜け易くなるように、ステム背面25側に傾倒するように少し変形(弾性変形)する。また同時に、フック部は、フック部の下面が第1プレート55aのエッジ部60によって更に押圧されるとともに擦られながら、第1プレート55aの第1キャビティ56から抜け出る。このように半球形状のフック部の下面が第1プレート55aのエッジ部60によって押圧されて圧縮されるとともに擦られることにより、フック部31の下面には、上述したような滑らかで硬い圧縮面32が形成される。
更にフック部が第1キャビティ56から抜け出るときに、フック部がエッジ部60から上述のようなねじれる外力を受けながら同エッジ部60で押圧される。このため、フック部が、ステム部21からフック先端に向けて上り傾斜するように上方に向けて傾斜又は湾曲するように全体的に変形するとともに、M方向に非対称的な形状に変形する。更に、フック部が第1プレート55aの第1キャビティ56から抜け出た後には、係合素子が連続的に引っ張られることにより、係合素子全体がダイホイール52のキャビティから引き抜かれる。
そして、ダイホイール52から引き剥がされてフック部が変形している成形面ファスナーは、その直後に、ピックアップローラ54の互いに所定間隔で離間して配される上側挟持ローラ54aと下側挟持ローラ54bの間に導入され、これら上側挟持ローラ54a及び下側挟持ローラ54b間に挟まれる。このとき、上述のようにダイホイール52のキャビティから引き抜かれてステム部21から上方に向けて変形したフック部が、上側挟持ローラ54aによって上方から押圧される。それにより、上り傾斜するように変形したフック部を、C方向に向くように強制的に(積極的に)下方へ塑性変形させることができる。これによって、図1に示した本実施例1の成形面ファスナー1が製造される。
その後、ピックアップローラ54の上側挟持ローラ54a及び下側挟持ローラ54b間を通過した機械方向に長尺の成形面ファスナー1は、図示しない切断部に向けて搬送され、同切断部にて所定の長さに切断されて回収される。或いは、長尺の成形面ファスナー1のままで回収ローラ等にロール状に巻き取られて回収される。
上述のようにして製造される本実施例1の成形面ファスナー1は、基材部10から太く立設するステム部21と、ステム部21の上端部からC方向に突出する微小なフック部31とを有する。更に、係合素子20のフック部31をC方向から見たとき(図4を参照)、フック部31がフック部31の幅方向(MD)に非対称に形成されている。このようなフック部31が形成された本実施例1の係合素子20は、従来のJ字状、パームツリー状、及びマッシュルーム状とは全く異なる特徴的な形態を有する。そして、このような特徴的な形態の係合素子20を有する成形面ファスナー1は、従来の成形面ファスナーでは得られない以下のような特徴的な性質を有する。
具体的に説明すると、本実施例1の成形面ファスナー1では、係合素子20のステム部21が、太く、且つステム部21の上面(頂端面)が球面を呈するように形成される。このため、ステム部21の強度を高めることができるとともに、係合素子20の肌触りを良好にすることができる。
このようにステム部21の強度が高いことより、本実施例1の成形面ファスナー1が、例えば雌型面ファスナーに強く押し付けられて大きな押圧力を受けたとしても、ステム部21が曲がり難くなり、係合素子20の形状を安定して保持できる。更にそれにより、本実施例1の成形面ファスナー1を雌型面ファスナーに対してより深い位置まで押し込むこと、言い換えると、成形面ファスナー1の各係合素子20を雌型面ファスナーのループの根元付近まで深く挿入することが可能となる。その結果、本実施例1の成形面ファスナー1は、雌型面ファスナーのループをより捕捉し易くなるため、雌型面ファスナーと円滑に且つ安定して係合することができる。
また、上述のようにステム部21の強度が高いことより、成形面ファスナー1の雌型面ファスナーに対する剪断強度を増大させることができる。ここで、剪断強度とは、成形面ファスナー1に雌型面ファスナーが貼り合せられて両者が係合した状態で、成形面ファスナー1と雌型面ファスナーとを相対的に成形面ファスナー1の長さ方向や幅方向にずらすように引っ張ったときの係合強度のことを言う。
更に本実施例1の係合素子20では、極めて小さなフック部31が、ステム部21の上端部からC方向に向けて突出する。更に、係合素子20のフック部31の下面が、上述したようにフック部31の上面よりも滑らかに形成された圧縮面32を局部的に有する。このため、本実施例1の成形面ファスナー1に雌型面ファスナーのループを係合させるときに、係合素子20を雌型面ファスナーのループ間に円滑に挿入できるとともに、係合素子20のフック部31にループを安定して係合させることができる。
更に、フック部31の下面が硬く滑らかな圧縮面32を有することにより、ループが上方に引っ張られてもフック部31自体が上を向くように変形し難い。しかも、ステム部21が太くその強度が高いため、ステム部21自体もフック部31が上を向くように変形することも効果的に防止できる。その上、本実施例1の成形面ファスナー1では、フック部31の上面がステム部21の上面よりも段差26を介して高く設けられている。それにより、係合素子20に係合したループが、フック部31とステム部21の間の段差26に引っ掛かり易くなる。
その結果、本実施例1の成形面ファスナー1では、係合素子20のフック部31に引っ掛かって係合しているループが、当該係合素子20から外れ難くなる。このため、本実施例1の成形面ファスナー1によれば、雌型面ファスナーに対して高い剥離強度を安定して得ることができる。ここで、剥離強度とは、成形面ファスナー1に雌型面ファスナーが貼り合せられて両者が係合した状態で、成形面ファスナー1と雌型面ファスナーとを相対的に成形面ファスナー1の高さ方向に引き離すように引っ張ったときの係合強度のことを言う。
以上のように、本実施例1の成形面ファスナー1は、従来には見られない特徴的な形態を有することにより、ステム部21が曲がり難く、良好な肌触りが得られるという利点と、雌型面ファスナーに対して高い剥離強度や剪断強度を備えるという利点とを併せ持つ新しいタイプの成形面ファスナー1となる。
このように剥離強度や剪断強度が高く、且つ、肌触りの良い本実施例1の成形面ファスナー1は、例えば使い捨ておむつ、乳幼児のおむつカバー、手足の関節などを保護するサポーター、腰用コルセット、手袋などのような身体に着脱される商品に対して特に好適に用いられる。更に、本実施例1のような従来にはない新規の成形面ファスナー1が、従来の成形面ファスナーに追加して提供されることによって、成形面ファスナーのバリエーションを多くすることができる。その結果、様々なタイプの雌型面ファスナー(不織布)に対してより的確に対応し易くなる。
なお、上述した実施例1の成形面ファスナー1は、各係合素子20のフック部31が、左右方向(CD)のうちの一方向に突出する係合素子20のみを有して形成されている。しかし、本発明の成形面ファスナーは、例えば各係合素子のフック部が左右方向のうちの他方向に突出する係合素子のみを有して形成されていても良い。また、本発明の成形面ファスナーは、図12に示すように、フック部31が左右方向の一方向に突出した係合素子20と、フック部31が左右方向の他方向に突出した係合素子20aとが混在して形成された成形面ファスナー1aであっても良い。この場合、本発明では、左右方向の一方向に突出した係合素子20と左右方向の他方向に突出した係合素子20aの配置、各係合素子20,20aの配設個数及び割合等は、任意に選択することが可能である。
図13は、本実施例2に係る成形面ファスナーを示す斜視図である。図14は、成形面ファスナーの係合素子のみを示す斜視図である。図15〜図17は、それぞれ係合素子の正面図、右側側面図、及び左側側面図である。
本実施例2の成形面ファスナー2では、前述の実施例1の成形面ファスナー1と比較して、係合素子20bが、フック部31bのステム部21に対する相対的な位置を異ならせて形成されている。一方、基材部10の形状、ステム部21の形状、及びフック部31b自体の形状は、前述の実施例1の基材部10の形状、ステム部21の形状、及びフック部31の形状と同様である。
従って、本実施例2、及び後述する実施例3においては、前述の実施例1に係る成形面ファスナー1と異なる部分又は部位について主に説明することとし、前述の実施例1に係る成形面ファスナー1と実質的に同じ形態又は構成を有する部分又は部材については同じ符号を用いて表すことによって、その説明を省略することとする。
本実施例2の成形面ファスナー2は、薄板状の基材部10と、基材部10の上面に立設される複数の係合素子20bとを有する。基材部10は、前述の実施例1の基材部10と同様に形成されている。
本実施例2の各係合素子20bは、基材部10から起立するステム部21と、ステム部21の上端部から交差方向(CD)に沿って突出する1つのフック部31bとをそれぞれ有する。本実施例1の場合、各係合素子20bのフック部31bは、全て、ステム部21から交差方向の同じ向き(右側)に向けて突出している。
本実施例2のステム部21は、前述の実施例1のステム部21と同様に形成されている。
本実施例2のフック部31b自体は、前述の実施例1のフック部31と同様に形成されている。すなわち、本実施例2のフック部31bは、上方及び左右側方に向く主外周面が球面状に形成されるとともに、このフック部31bの下面には、成形工程において押圧及び圧縮を受けることにより主外周面よりも滑らかに形成される圧縮面32が配されている。また、本実施例2のフック部31bは、前後方向(ステム部21の幅方向)に非対称的な形状を有する。
一方、本実施例2におけるフック部31bのステム部21に対する相対的な位置は、前述の実施例1の場合と異なる。例えば前述の実施例1の係合素子20では、フック部31の上面とステム部21の上面との間に段差26が設けられている。しかし、本実施例2の係合素子20bでは、フック部31bの上面の一部が、ステム部21の上面から連続的に配されており、フック部31bの上面とステム部21の上面との間には前述の実施例1のような段差26が設けられていない。
このフック部31bは、ステム部21からC方向の一方側(右側)に向いて突出するように形成されている。この場合、フック部31bの上面とステム部21の上面とが連続的に配されていても、フック部31bのステム部21に隣接する上面と、ステム部21のフック部31bに隣接する上面とは、互いに異なる角度(向き)で配されている(言い換えると、フック部31bのステム部21に隣接する上面と、ステム部21のフック部31bに隣接する上面とは、接線方向が互いに異なる)。
このため、係合素子20bの正面図(図15)において、フック部31bの上面とステム部21の上面との間には、凹んだような境界部が配されることがある。なお、フック部31bの突出方向によっては上述のような境界部が形成されず、フック部31bの上面の一部とステム部21の上面とが滑らかに連続して形成されることもある。
この場合、フック部31bの上面(フック部31bの上端縁)における曲率半径は、前述の実施例1の場合と同様に、0.01mm以上0.5mm以下(好ましくは0.05mm以上0.1mm以下)に設定される。ステム部21の上面(正面視又は側面視におけるステム部21の上端縁)における曲率半径は、フック部31bの上面における曲率半径よりも大きく、且つ、0.01mm以上0.5mm以下(好ましくは0.05mm以上0.1mm以下)に設定される。
上述のような係合素子20bを有する本実施例2の成形面ファスナー2は、前述の実施例1の場合と同様に、図8に示したような製造装置50を用いて製造される。本実施例2の製造装置50に用いられるダイホイール52では、係合素子20bを成形するためにダイホイール52の外周面部に形成される成形用キャビティが、前述の実施例1の場合と異なる形状を有する。
すなわち、本実施例2のダイホイール52は、ダイホイール52の回転軸方向に重ねて積層される複数の円盤状の金属プレート55を有する。このダイホイール52の金属プレート55は、図示を省略するものの、係合素子20bのフック部31bを成形する半球形状の第1キャビティ及びステム部21の基端部22の一部を成形する補助キャビティが形成された第1プレートと、係合素子20bのステム部21を成形する第2キャビティ57が形成された第2プレート55bと、スペーサとして配される複数の第3プレート55cとを有する。
この場合、本実施例2の第2プレート55b及び第3プレート55cは、前述の実施例1の第2プレート55b及び第3プレート55cと同様である。一方、第1プレートの第1積層面に開口する第1キャビティは、係合素子20bのフック部31bの上面とステム部21の上面との間の段差を設けていない。すなわち、第1キャビティの第1積層面に開口する径方向の最内側の位置が、第2プレート55bにおける第2キャビティ57の第2積層面に開口する径方向の最内側の位置に合わせられて形成される。なお、本実施例2のダイホイール52は、第1プレートの第1キャビティの相対的な位置が異なることを除いて、前述の実施例1のダイホイール52と実質的に同様に形成されている。
従って、本実施例2のダイホイール52においても、第1プレートの第1キャビティが、ダイホイール52の外周面から内側に離間した位置に、アンダーカット形状として形成されている。また、本実施例2の第1プレートでは、第1キャビティのキャビティ面と第1積層面との間に配される円周状の稜線部のうち、径方向の外側に配される円弧部分の稜線部が、ダイホイール52のキャビティから係合素子を引き抜くときにフック部の下面を局部的に押圧して圧縮するエッジ部として配されている。
本実施例2では、上述のような係合素子20bの成形用キャビティが形成されたダイホイール52を有する製造装置50を用いて、成形面ファスナー2の製造が前述の実施例1の場合と同様に行われる。
すなわち、溶融した合成樹脂材料を押出ノズル53からダイホイール52の外周面に向けて連続して押し出して、ダイホイール52の外周面部で成形面ファスナー(仮成形面ファスナー)を成形する。この成形面ファスナーは、回転するダイホイール52の外周面部に担持されながら、融点よりも低い温度に冷却される。
続いて、ダイホイール52の外周面部で成形された成形面ファスナーは、上述したピックアップローラ54によってダイホイール52の外周面部から連続的に、且つ強制的に(無理矢理に)引き剥がされる。このとき、ダイホイール52のキャビティ内で成形された係合素子(仮係合素子)のフック部が、第1プレートの上述したエッジ部によって押圧されて圧縮されるとともに擦られる。これにより、フック部の下面に滑らかな圧縮面32が形成される。更にこのとき、フック部がエッジ部からねじれる外力を受けながら同エッジ部で押圧されることにより、フック部が、ステム部からフック先端に向けて上り傾斜するように上方に向けて傾斜又は湾曲するように全体的に変形するとともに、M方向に非対称的な形状に変形する。
そして、ダイホイール52から引き剥がされた成形面ファスナーは、その直後に、ピックアップローラ54の互いに所定間隔で離間して配される上側挟持ローラ54aと下側挟持ローラ54bとの間に導入され、これら上側挟持ローラ54a及び下側挟持ローラ54b間に挟まれる。これにより、前述の実施例1の場合と同様に、ステム部21から上方に向けて変形したフック部が、上側挟持ローラ54aによって上方から押圧されるため、その上方に変形したフック部を、左右方向(CD)に向くように強制的に(積極的に)塑性変形させることができる。これによって、図13に示した本実施例2の成形面ファスナー2が製造される。
その後、ピックアップローラ54の上側挟持ローラ54a及び下側挟持ローラ54b間を通過した機械方向に長尺の成形面ファスナー2は、図示しない切断部に向けて搬送され、同切断部にて所定の長さに切断されて回収される。或いは、長尺の成形面ファスナー2のままで回収ローラ等にロール状に巻き取られて回収される。
上述のようにして製造される本実施例2の成形面ファスナー2では、ステム部21自体とフック部31b自体が、それぞれ前述の実施例1のステム部21及びフック部31と同様の特徴的な形態を有する。すなわち、係合素子20bのステム部21が、太く、且つステム部21の上面(頂端面)が球面を呈するように形成される。更に本実施例2では、フック部31bの上面とステム部21の上面との間に段差26が設けられてなく、フック部31bの上面とステム部21の上面とが連続的に配されている。このため、本実施例2の成形面ファスナー2では、前述の実施例1の成形面ファスナー2よりも良好な肌触りを得ることができる。
また、係合素子20bのステム部21の強度が高いため、成形面ファスナー2の雌型面ファスナーに対する剪断強度を増大させることができる。更に、係合素子20bのフック部31bがステム部21の上端部から左右方向(CD)に向けて突出するとともに、フック部31bの下面に、滑らかで且つ硬い圧縮面32が局部的に設けられている。このため、本実施例2の成形面ファスナー2では、係合素子20bのフック部31bに引っ掛かったループが、係合素子20bから外れ難くなるため、雌型面ファスナーに対して高い剥離強度を得ることができる。
図18は、本実施例3に係る成形面ファスナーを示す斜視図である。図19は、成形面ファスナーの係合素子のみを示す斜視図である。図20〜図22は、それぞれ係合素子の正面図、右側側面図、及び左側側面図である。
本実施例3の成形面ファスナー3は、薄板状の基材部10と、基材部10の上面に立設される複数の係合素子70とを有する。基材部10は、前述の実施例1及び2の基材部10と同様に形成されている。
本実施例3の各係合素子70は、基材部10から起立するステム部71と、ステム部71の上端部から交差方向(CD)に沿って突出する1つのフック部81とをそれぞれ有する。本実施例3の場合も、各係合素子70のフック部81は、全て、ステム部71から交差方向の同じ向きに突出している。
係合素子70のステム部71は、基材部10の上面に直立している。このステム部71は、基材部10から立ち上がるとともに外周縁部全体に湾曲面を有する基端部72と、基端部72の上に連続的に配されるステム本体部73と、ステム本体部73の上に配され、上方から潰されたような形状を備えるステム頭部76とを有する。本実施例3のステム部71は、機械方向(MD)の中心位置を基準に機械方向(ステム部71の幅方向)に対称的な形状を有する。
このステム部71の基端部72は、基材部10に対するステム部71の強度を高めるために、上下方向に直交する断面の面積が基材部10に近付くにつれて漸増するように形成されている。
ステム本体部73は、上下方向に直交する断面が、半円に近い形状又は円の弧と弦で囲まれる半円よりも大きな形状を呈する。また、ステム本体部73は、上下方向に直交する断面の面積が基材部10に近付くにつれて漸増する形態を有する。
また、ステム本体部73は、フック部81が配される平坦なフック配設面74と、上下方向に直交する断面において円弧状を呈するステム外周面とを有する。フック配設面74は、基材部10の上面に直交するとともに、CDに対して直交する単一の平坦面により形成される。
またステム部71は、係合素子70の正面視において(図20を参照)、フック配設面74とは反対側に配されるステム背面75を有する。このステム背面75は、係合素子70の正面視において、フック配設面74とステム背面75との間のCDにおける寸法を基材部10の上面から離れるにつれて漸減させるように形成されている。
この場合、ステム背面75は、係合素子70の正面視において、ステム頭部76に配される上端背面部75dと、ステム本体部73の上端部に凸状(又は円弧状)に配される上側曲面部75aと、基材部10に隣接してステム部71の下端部に凹状に配される下側曲面部75bと、上側曲面部75a及び下側曲面部75b間に配される傾斜面部75cとを有する。
更にステム本体部73は、係合素子70の側面視において(図21又は図22を参照)、左右側縁間のM方向における寸法を基材部10の上面から離れるにつれて漸減させるように形成されている。
本実施例3のステム本体部73が上述のように形成されていることにより、ステム部71が高い強度を有することができるため、係合素子70が外力を受けても変形し難くすることができる。特に、ステム部71がC方向のステム背面75側に倒れるように変形し難くすることができる。
ステム部71のステム頭部76は、ステム本体部73の上に、小さい高さ寸法で薄く形成されている。このステム頭部76は、上下方向に直交する断面の形状がどの高さ位置でも略同じ形状を有するように形成されている。ステム頭部76の上面76a(言い換えると、ステム部71の上面又は頂端面)は、基材部10の上面に平行な平坦面に形成されている。また、ステム頭部76の上面76aは、フック部81の後述する基端側上面85aと単一の平坦面を形成するように配されている。
本実施例3のフック部81は、フック先端部86が下方に傾斜するとともに、フック部81の下面に、フック上面85よりも滑らかに形成される圧縮面82が配されるという特徴的な形態を有する。ここで、フック部81の下面とは、前述したようにフック部81の先端から、フック部81におけるステム部71との連結部分の下端部にかけて配されるとともに、下方又は斜め下方を向いて(すなわち、基材部10に向いて)配されるフック部81の外面の部分を言う。
また、本実施例3のフック部81は、ステム部71から左右方向(CD)に突出するフック本体部83と、フック本体部83の上端部から前後方向(MD)に張り出すように配される前後一対の補強リブ部84とを有する。フック本体部83は、ステム部71から離れるにつれて小さくなる先細り形状を有する。すなわち、フック本体部83は、ステム幅方向における寸法(前後方向の寸法)を、ステム部71から離れるにつれて漸減させるように形成されている。このように形成することにより、ループをフック本体部83に引っ掛かり易くすることができる。なお、フック本体部83は、ステム上下方向における寸法も、ステム部71から離れるにつれて漸減させるように形成されていることが好ましい。また、フック本体部83の前後両側に補強リブ部84が配されていることにより、フック部81の強度を効果的に向上させることができる。
このフック部81の上面(フック上面)85は、図20に示すように、フック基端部(ステム連結側の端部)に配される基端側上面85aと、基端側上面85aからフック先端に向けて下り傾斜する先端側上面85bとを有する。フック部81の基端側上面85aは、ステム頭部76の上面76aから連続して配され、且つ、そのステム頭部76の上面76aと単一の平坦面を形成する。この場合、フック部81の平坦な基端側上面85aは、フック本体部83と前後の補強リブ部84とに跨って配されている。
本実施例3の係合素子70では、上述のようにステム頭部76の上面76aとフック部81の基端側上面85aとが基材部10の上面に平行な平坦面に形成される。それとともに、フック部81の先端側上面85bがフック先端に向けて下り傾斜して形成される。これにより、成形面ファスナー3を上面側から触ったときの係合素子70の上端部の肌触りを良好にすることができる。
フック部81の下面は、例えば係合素子70の正面視において(図20を参照)、フック先端からステム部71に向けて、基材部10との間の間隔を漸増するように少し上り傾斜してから、基材部10との間の間隔を漸減するよう下り傾斜する形状に形成される。すなわち、本実施例3のフック部81はフック先端部86が下方に傾斜して形成されることにより、フック部81の下面が、係合素子70の正面視において、フック先端とステム部71と間にループが引っ掛かるような凹状に小さく湾曲又は屈曲する曲面(凹面)を備えて形成される。
また、フック部81の凹面状に形成される下面は、押圧及び圧縮を受けることによってフック部81の上面よりも滑らかに、また艶やかに形成される圧縮面82を有する。この圧縮面82は、フック部81の上面よりも光を多く反射して、圧縮面82に光沢が局部的に見えることもある。また、フック部81の圧縮面82は、フック部81の上面よりも硬く形成されることが好ましい。
更に本実施例3では、フック部81を機械方向から見たとき(特にフック部81を後方側から見たとき)、フック部81の先端部86の外面における曲率半径が、前述の実施例1の場合と同様に、0.06mm以上0.18mm以下の範囲内に、好ましくは0.12mm以上0.15mm以下の範囲内に設定される。
本実施例3の係合素子70では、ステム部71がM方向(ステム部71の幅方向)に対称的な形状を有するものの、フック部81は、M方向(フック部81の幅方向)に非対称的な形状を有する。すなわち、フック部81は、M方向の中心位置を基準にして前方に配される前半部と後方に配される後半部とが、互いに非対称的な全く異なる形態に形成される。また、係合素子70をC方向のフック部81側から見た側面視(図21を参照)において、フック部81の先端側上面85bと圧縮面82とに挟まれるように先端面87が配される。
この場合、フック先端部86は、フック部81の前後方向(MD)の中心位置よりも後方寄りに配される。また、フック部81における圧縮面82の後端部は、例えば図20に示した係合素子70の正面視において隠れて見えなくなるように、同圧縮面82の前端部よりも高い位置に配される。
また本実施例3において、係合素子70の具体的な大きさは、以下のように設定される。
例えば上下方向に関して、係合素子70における基材部10の上面からの最大高さ寸法H1は、0.1mm以上1.5mm以下に、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下に設定される。フック部81の先端部86における基材部10の上面からの上下方向の高さ寸法H4は、上記最大高さ寸法H1よりも小さく、且つ、0.1mm以上1.5mm以下に、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下に設定される。
M方向(係合素子20の幅方向)に関して、ステム部71における機械方向の最大寸法(すなわち、ステム部71の基端部72における機械方向の寸法)L1は、0.1mm以上1.5mm以下に、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下に設定される。また、フック部81における機械方向の最大寸法L2は、0.01mm以上1.0mm以下に、好ましくは0.05mm以上0.5mm以下に設定される。
C方向に関して、ステム部71における交差方向の最大寸法(すなわち、ステム部71の基端部72における交差方向の寸法)W1は、0.1mm以上1.5mm以下に、好ましくは0.1mm以上1.0mm以下に設定される。また、フック部81の交差方向の最大寸法(すなわち、フック部81の先端からステム部71のフック配設面74までの交差方向の寸法)W2は、0.01mm以上1.0mm以下に、好ましくは0.05mm以上0.5mm以下に設定される。
更に、ステム部71の上述した傾斜面部75cにおける上下方向に対する傾斜角度は、5°以上20°以下に設定される。フック部81における上述したC方向の最大寸法W2は、フック部81の下端とステム部71のフック配設面74との間のC方向に平行な線分の寸法W3の半分以下に設定されることが好ましい(言い換えると、寸法W3は、最大寸法W2の2倍の大きさ以上に設定されることが好ましい)。フック部81における上述したM方向の最大寸法L2は、フック部81の下端位置におけるステム部71のM方向の寸法L3の半分以下に設定されることが好ましい(言い換えると、寸法L3は、最大寸法L2の2倍の大きさ以上に設定されることが好ましい)。
上述のような本実施例3の成形面ファスナー3は、図23に示した製造装置90を用いて製造される。
この製造装置90は、成形面ファスナー3の後述する一次成形体の成形を行う成形装置51と、成形された一次成形体を成形装置51から引き剥がすとともに一次成形体の後述する仮素子の一部を変形させるピックアップローラ54と、ピックアップローラ54から送り出される一次成形体を加熱して押圧する加熱押圧装置91とを有する。
この場合、本実施例3の成形装置51及びピックアップローラ54には、前述した実施例1と同じ成形装置51及びピックアップローラ54が用いられる。従って、本実施例3のダイホイール52には、第1プレート55aの第1キャビティ56が、ダイホイール52の外周面から内側に離間した位置に、成形面ファスナー3の後述する一次成形体がそのままの形状で離型不能なアンダーカット形状として形成されている。更に、第1プレート55aに設けられる円周状の稜線部のうち、径方向の外側に配される円弧部分の稜線部が、一次成形体の仮素子を引き抜くときに仮素子の一次フック部の下面を局部的に押圧して圧縮するエッジ部60として配されている。
本実施例3の加熱押圧装置91は、上下一対の押圧ローラ(カレンダローラ)91a,91bを有する。上側押圧ローラ91aと下側押圧ローラ91bとは、所定の間隔を開けて対向して配される。この場合、上側押圧ローラ91a及び下側押圧ローラ91b間の間隔は、図示しない高さ調整手段により調整可能である。本実施例3の場合、製造する成形面ファスナー3の基材部10の下面(裏面)からステム頭部76の上面76aまでの高さ寸法に対応して調整される。
上側押圧ローラ91aは、内部に図示しない加熱源を備える。この場合、上側押圧ローラ91aの表面温度は、成形面ファスナー3を形成する合成樹脂を軟化させることが可能な温度に設定される。具体的には、「その合成樹脂の融点−40℃の温度」以上、「当該融点−10℃の温度」以下の所定の温度となるように設定される。また、上側押圧ローラ91aは、図23において反時計回りに回転するように配される。上側押圧ローラ91aの外周面は、一次成形工程で成形された一次成形体の加熱された仮素子を上方から押圧する面となる。
下側押圧ローラ91bは、図23において時計回りに回転するように配され、搬送される一次成形体を下から支持する支持面となる。なお、本発明では、上側押圧ローラ91a及び/又は下側押圧ローラ91bの代わりに、図示しない上側ベルト機構及び/又は下側ベルト機構を利用することも可能である。この場合、上側ベルト機構及び下側ベルト機構は、それぞれ、無端ベルトと、その無端ベルトが巻き掛けられるとともに、無端ベルトを一方向に回転させる左右一対の回転ローラとを有する。
上述のような成形装置51、ピックアップローラ54、及び加熱押圧装置91を有する製造装置90を用いて本実施例3の成形面ファスナー3を製造する場合、先ず、成形装置51により成形面ファスナー3の一次成形体を成形する一次成形工程を行う。本実施例3の一次成形工程は、前述の実施例1の成形工程と同様に行われる。
すなわち、本実施例3の一次成形工程では、溶融した合成樹脂材料を押出ノズル53からダイホイール52の外周面に向けて連続して押し出すことにより、連続押出ノズル53と回転するダイホイール52との間の空間部と、ダイホイール52の外周面部に設けられた各キャビティ(空間部)内に合成樹脂材料が充填される。
更に、充填された合成樹脂材料がダイホイール52の外周面に担持されながら、融点よりも低い温度に冷却されることにより、図示しない一次フック部と一次ステム部とを有する複数の仮素子が基材部10の上面に立設された一次成形体(仮一次成形体)が成形される。このとき成形される一次成形体(仮一次成形体)は、前述の実施例1の仮成形面ファスナーと同じである。
その後、ダイホイール52で成形された一次成形体は、上述したピックアップローラ54によってダイホイール52の外周面部から連続的に、且つ強制的に(無理矢理に)引き剥がされる。このとき、ダイホイール52の外周面部に形成されたキャビティにおいて、第1プレート55aの第1キャビティ56は、上述したようにアンダーカット形状に形成されている。
このため、ピックアップローラ54によって一次成形体が引っ張られることによって、キャビティ内で成形された仮素子の半球形状の一次フック部が、第1プレート55aに形成された上述のエッジ部60によって、一次フック部の下面側から押圧されて圧縮される。このとき、ダイホイール52は機械方向に回転しているため、一次フック部は、第1プレート55aのエッジ部60によって機械方向にねじれるような外力も受ける。これにより、一次フック部の下面に、前述の実施例1の場合と同様に、滑らかで硬い圧縮面82が形成される。
更に一次フック部が第1キャビティ56から抜け出るときに、一次フック部が第1プレート55aのエッジ部60から外力を受けながら同エッジ部60で押圧されることにより、一次フック部が、一次ステム部からフック先端に向けて上り傾斜するように上方に向けて傾斜又は湾曲するように全体的に変形するとともに、M方向に非対称的な形状に変形する。
ダイホイール52から引き剥がされた一次成形体は、その直後に、ピックアップローラ54の上側挟持ローラ54aと下側挟持ローラ54bとの間に導入されて挟まれる。このとき、仮素子の上方に向けて変形した一次フック部が、上側挟持ローラ54aによって上方から押圧される。それにより、上り傾斜するように変形した一次フック部を、C方向に向くように強制的に(積極的に)下方へ塑性変形させることができる。これにより、本実施例3の一次成形体が作製される。このとき作製される本実施例3の一次成形体は、図1に示した前述の実施例1の成形面ファスナー1と同じ構成(構造)を有する。
すなわち、本実施例3の一次成形体は、基材部10と、基材部10に立設される複数の仮素子(実施例1の係合素子20)とを有する。また、仮素子は、基材部10から起立する一次ステム部(実施例1のステム部21)と、その一次ステム部の上端部からC方向に突出する一次フック部(実施例1のフック部31)とを有する。更に、仮素子の一次ステム部と一次フック部との間には、一次フック部の上面を一次ステム部の上面よりも高くする段差が形成されている。
続いて、ピックアップローラ54を通過して得られた上述の一次成形体(実施例1の成形面ファスナー1)は、二次成形工程を行う加熱押圧装置91に向けて搬送されて、加熱押圧装置91の上側押圧ローラ91aと下側押圧ローラ91bの間に導入される。更に、一次成形体が上側押圧ローラ91a及び下側押圧ローラ91b間を通過することにより、仮素子における一次ステム部の上端部及び一次フック部の上端部(すなわち、実施例1の係合素子70におけるステム部71の上端部及びフック部81の上端部)が、上側押圧ローラ91aによって加熱されて軟化するとともに、上方から押圧されて押し潰される。
このような二次成形工程を行うことにより、フック部81の先端が二次成形工程を行う前よりもより下方に屈曲させることが可能となる。また、一次成形体の一次ステム部の上端部と一次フック部の上端部とが拡がりながら平坦化されるように熱変形し、ステム頭部76の上面76aとフック部81の基端側上面85aとが単一の平坦面として形成される。更に、フック部81の一対の補強リブ部84が形成される。
これによって、図18〜図22に示したような本実施例3の係合素子70が成形されるため、図18に示した本実施例3の成形面ファスナー3が製造される。その後、加熱押圧装置91を通過した機械方向に長尺の成形面ファスナー3は、図示しない切断部に向けて搬送され、同切断部にて所定の長さに切断されて回収される。或いは、長尺の成形面ファスナー3のままで回収ローラ等にロール状に巻き取られて回収される。
上述のようにして製造される本実施例3の成形面ファスナー3は、基材部10から太く立設するステム部71と、ステム部71の上端部からCDに突出する微小なフック部81とを有する。更に、係合素子70のフック部81は、フック先端部86が下方に傾斜して形成されるとともに、係合素子70のフック部81をC方向から見たとき(図21を参照)、フック部81がフック部81の幅方向(M方向)に非対称に形成されている。このようなフック部81が設けられた本実施例3の係合素子70は、従来のJ字状、パームツリー状、及びマッシュルーム状とは全く異なる特徴的な形態を有しており、それによって、従来では得られない以下のような特徴的な性質を有する。
具体的に説明すると、本実施例3の成形面ファスナー3では、係合素子70のステム部71が太く形成されるため、ステム部71の強度を高めることができる。従って、本実施例3の成形面ファスナー3は、前述の実施例1の場合と同様に、成形面ファスナー3の係合素子70に雌型面ファスナーのループを引っ掛け易くして安定して係合させることができる。更にステム部71の強度が高いことより、成形面ファスナー3の雌型面ファスナーに対する剪断強度を増大させることができる。
また、本実施例3の係合素子70では、極めて小さなフック部81が、ステム部71の上端部から左右方向(CD)に向けて突出するとともに、フック先端部86が下方に傾斜して配されている。更に、係合素子70のフック部81の下面が、上述したようにフック部81の上面よりも滑らかに形成された圧縮面82を局部的に有する。また、フック本体部83は、ステム部71から離れるにつれて先細りとなる形状を有している。
従って、本実施例3の成形面ファスナー3では、係合素子70のフック部81にループに引っかかりやすく、また、その引っ掛かったループが、係合素子70から外れ難くなるため、雌型面ファスナーに対して高い剥離強度を安定して得ることができる。
更に本実施例3の係合素子70では、ステム部71におけるステム頭部76の上面76aとフック部81の基端側上面85aとが、基材部10の上面と平行な連続する平坦面に形成されている。また、このように平坦なステム頭部76の上面76aとフック部81の基端側上面85aとが、成形面ファスナー3の上方に広い面積で露呈する。それにより、成形面ファスナー3を上面側から触ったときの良好な肌触りや良好な触り心地を安定して得ることができる。
以上のような特徴的な性質を有する本実施例3の成形面ファスナー3は、例えば使い捨ておむつ、乳幼児のおむつカバー、手足の関節などを保護するサポーター、腰用コルセット、手袋などのような身体に着脱される商品に対して特に好適に用いられる。更に、本実施例3のような従来にはない新規の成形面ファスナー3が、従来の成形面ファスナーに追加して提供されることによって、成形面ファスナーのバリエーションを多くすることができる。その結果、様々なタイプの雌型面ファスナー(不織布)に対してより的確に対応し易くなる。
なお、本実施例3の成形面ファスナー3は、成形面ファスナー3の製造工程において、成形装置51及びピックアップローラ54を用いて、図1に示した前述の実施例1の成形面ファスナー1(図1を参照)と同じ構成(構造)を有する一次成形体を作製し、その後、その得られた一次成形体を加熱押圧装置91の上側押圧ローラ91aと下側押圧ローラ91bの間に導入することによって製造される。
しかし本実施例3では、ピックアップローラ54の上側挟持ローラ54a及び下側挟持ローラ54b間を通過した一次成形体が、前述の実施例1の成形面ファスナー1ではなく、前述の実施例2の成形面ファスナー2(図13を参照)と同じ構成(構造)を有するものであっても良い。
このような一次成形体(すなわち、実施例2の成形面ファスナー2)を加熱押圧装置91に導入して上述した二次成形工程を行うことによっても、本実施例3で説明した係合素子70と略同じ構成(構造)を有する複数の係合素子が基材部10に立設された成形面ファスナーを製造することができる。このようして製造される成形面ファスナーは、実施例3の変形例に係る成形面ファスナーとなり、図18〜図22に示した実施例3の成形面ファスナー3と同様の効果を得ることができる。
なお、前述した実施例1〜実施例3では、成形面ファスナーの各係合素子が1つのステム部と、そのステム部から交差方向(CD)に突出する1つのフック部とを有する場合について説明している。しかし本発明では、係合素子の1つのステム部に対して、複数のフック部が突出して配されていても良い。
ここで、例えば実施例1の変形例について図面を参照しながら具体的に説明する。図24に実施例1の変形例に係る係合素子20cを示す。この図24の係合素子20cは、基材部10から起立するステム部21cと、ステム部21cの上端部から交差方向の同じ向きに突出する2つのフック部31とを有する。
この変形例に係るステム部21cは、前述の実施例1のステム部21と同じ形状を有するものの、前述の実施例1のステム部21よりも大きく形成されている。すなわち、変形例に係るステム部21cと前述の実施例1のステム部21とは、相似の関係を有する。また、変形例に係る2つのフック部31は、それぞれが前述の実施例1のフック部31と同じ形状及び同じ大きさで形成されている。
また、図25に実施例1の別の変形例に係る係合素子20dを示す。この図25の係合素子20dは、基材部10から起立するステム部21dと、ステム部21dの上端部から交差方向に突出する2つのフック部31とを有する。また、フック部31は、ステム部21dから互いに交差方向の反対向きに突出する。
この別の変形例に係るステム部21dには、前述の実施例1のようなステム背面25が形成されておらず、ステム部21dの左右両側に平坦なフック配設面24が配されている。なお、この別の変形例に係るステム部21dは、係合素子20dを交差方向(CD)から見たときには、前述の実施例1のステム部21と同じ形状を呈する。
また、この係合素子20dにおいて、2つのフック部31は、互いに面対称な形状を有する。この場合、一方のフック部31は、前述の実施例1のフック部31と同じ形状、同じ大きさ、及び同じ向きで形成されている。
本発明には、上述した2つの変形例のような1つのステム部21c,21dと2つのフック部31とを有する複数の係合素子20c,20dが基材部10に立設された成形面ファスナーも含まれる。これらの変形例に係る成形面ファスナーでは、前述の実施例1の成形面ファスナー1よりも高い剥離強度が得られる。また、このような変形例に係る成形面ファスナーでは、前述の実施例1の成形面ファスナー1における剥離強度以外の効果も同様に得られる。このような1つのステム部に複数のフック部が配される係合素子は、実施例1の成形面ファスナー1だけでなく、実施例2の成形面ファスナー2や実施例3の成形面ファスナー3にも同様に適用可能である。
更に、前述した実施例1〜実施例3では、ダイホイール52を有する成形装置51を用いて、成形面ファスナーの成形工程又は一次成形工程を行う場合について説明している。しかし、本発明では、成形面ファスナーの成形工程又は一次成形工程において、その他の形態の成形装置を用いることも可能である。
例えば、成形工程又は一次成形工程に用いる成形装置として、例えば、一方向に駆動回転するダイホイール52と、そのダイホイール52との間に所定の間隔を開けて配され、ダイホイール52とは反対の方向に駆動回転するプレスホイールと、ダイホイール52とプレスホイールの間に向けて溶融した合成樹脂材料を押し出す押出ノズルとを有するような変形例に係る成形装置を用いることが可能である。
この場合、変形例に係る成形装置のダイホイール52は、前述の実施例1等で説明したダイホイール52と同様の構造を有する。また、変形例に係る成形装置では、ダイホイール52の下流側に、図8に示したような成形面ファスナー又は一次成形体をダイホイール52から強制的に引き剥がすピックアップローラ54が配される。
このようなダイホイール52及びプレスホイールを有する変形例の成形装置を用いて成形面ファスナーの製造工程を行うことによっても、前述の実施例1〜実施例3等で説明したような本発明に係る成形面ファスナーを安定して製造することができる。
1,1a 成形面ファスナー
2,3 成形面ファスナー
10 基材部
20、20a 係合素子
20b、20c 係合素子
20d 係合素子
21 ステム部
21c、21d ステム部
22 基端部
23 ステム本体部
24 フック配設面
25 ステム背面
25a 上側曲面部
25b 下側曲面部
25c 傾斜面部
26 段差(段差部)
31,31b フック部
32 圧縮面
33 フック部の先端部
34 フック先端面
50 製造装置
51 成形装置
52 ダイホイール
53 押出ノズル
54 ピックアップローラ
54a 上側挟持ローラ
54b 下側挟持ローラ
55 金属プレート
55a 第1プレート
55b 第2プレート
55c 第3プレート
56 第1キャビティ
57 第2キャビティ
58 補助キャビティ
59 段差
60 エッジ部
70 係合素子
71 ステム部
72 基端部
73 ステム本体部
74 フック配設面
75 ステム背面
75a 上側曲面部
75b 下側曲面部
75c 傾斜面部
75d 上端背面部
76 ステム頭部
76a ステム頭部の上面
81 フック部
82 圧縮面
83 フック本体部
84 補強リブ部
85 フック部の上面(フック上面)
85a 基端側上面
85b 先端側上面
86 フック部の先端部(フック先端部)
87 先端面
90 製造装置
91 加熱押圧装置
91a 上側押圧ローラ
91b 下側押圧ローラ
D1 第1キャビティの径方向外側に隣接する位置における第1プレートの第1積層面と第2プレートの第2キャビティのキャビティ面との間の回転軸方向における寸法
D2 第1キャビティの第1積層面から最も深い位置のキャビティ面と第2プレートの第2キャビティのキャビティ面との間の回転軸方向における寸法
H1 係合素子の最大高さ寸法
H2 ステム部の最大高さ寸法
H3 段差の高さ寸法
H4 フック部の先端部における高さ寸法
L1 ステム部におけるM方向の最大寸法
L2 フック部におけるM方向の最大寸法
L3 フック部の下端位置におけるステム部のM方向の寸法
W1 ステム部におけるC方向の最大寸法
W2 フック部のC方向の最大寸法
W3 フック部の下端とステム部のフック配設面との間のC方向に平行な線分の寸法(フック部の下端位置におけるステム部のC方向の寸法)

Claims (26)

  1. 第1方向と前記第1方向に交差する第2方向とに延びる平板状に形成されるともに前記第1方向に長尺な基材部(10)と、前記基材部(10)の上面に立設される複数の係合素子(20,20a,20b,20c,20d,70) とを有し、前記係合素子(20,20a,20b,20c,20d,70)は、前記基材部(10)から起立するステム部(21,21c,21d,71)と、前記ステム部(21,21c,21d,71) の上端部から前記第2方向に突出する少なくとも1つのフック部(31,31b,81) とを有する合成樹脂製の成形面ファスナー(1,1a,2,3)において、
    前記フック部(31,31b,81) は、前記フック部(31,31b,81)のフック先端に向けて前記第1方向の寸法を漸減させる先細の形状を有し、
    前記フック部(31,31b,81) の下面は、前記フック部(31,31b,81) の上面よりも滑らかに形成された圧縮面(32,82) を局部的に有し
    前記フック部(31,31b,81) における前記第2方向の最大寸法(W2)は、前記フック部(31,31b,81) の下端位置における前記ステム部(21,21c,21d,71) の前記第2方向の寸法(W3)の半分以下である、
    ことを特徴とする成形面ファスナー。
  2. 前記フック部(31)の上面は、前記ステム部(21,21c,21d)の上面よりも段差(26)を介して高く配され、
    前記フック部(31)は、前記係合素子(20,20c,20d)を前記第1方向から見たとき、前記フック部(31)の上面が凸面状を呈し、前記フック部(31)の下面が、非凸面状を呈する形状を有してなる、
    請求項1記載の成形面ファスナー。
  3. 前記フック部(31b) の上面の一部は、前記ステム部(21)の上面から連続的に形成され、
    前記フック部(31b) は、前記係合素子(20b) を前記第1方向から見たとき、前記フック部(31b) の上面が凸面状を呈し、前記フック部(31b) の下面が、非凸面状を呈する形状を有してなる、
    請求項1記載の成形面ファスナー。
  4. 前記ステム部(21,21c,21d)の上端部の外表面は、球面に形成されてなる請求項2又は3記載の成形面ファスナー。
  5. 前記フック部(81)の上面と前記ステム部(71)の上面とは、単一の平坦面に形成され、
    前記フック部(81) の先端部は、下方に傾斜して配されてなる、
    請求項1記載の成形面ファスナー。
  6. 前記係合素子(70)は、前記フック部(81)における前記第1方向の両側に配され、前記フック部(81)の上端部と前記ステム部(71)とを連結する一対の補強リブ部(84)を有してなる請求項5記載の成形面ファスナー。
  7. 前記フック部(31,31b,81) を前記第2方向から見たとき、前記フック部(31,31b,81) が前記フック部(31,31b,81) の幅方向に非対称に形成されてなる請求項1〜6のいずれかに記載の成形面ファスナー。
  8. 第1方向と前記第1方向に交差する第2方向とに延びる平板状に形成されるともに前記第1方向に長尺な基材部(10)と、前記基材部(10)の上面に立設される複数の係合素子(20,20a,20b,20c,20d,70) とを有し、前記係合素子(20,20a,20b,20c,20d,70)は、前記基材部(10)から起立するステム部(21,21c,21d,71)と、前記ステム部(21,21c,21d,71) の上端部から前記第2方向に突出する少なくとも1つのフック部(31,31b,81) とを有する合成樹脂製の成形面ファスナー(1,1a,2,3)において、
    前記フック部(31,31b,81) は、前記フック部(31,31b,81)のフック先端に向けて前記第1方向の寸法を漸減させる先細の形状を有し、
    前記フック部(31,31b,81) を前記第2方向から見たとき、前記フック部(31,31b,81) が前記フック部(31,31b,81) の幅方向に非対称に形成され
    前記フック部(31,31b,81) の下面は、前記フック部(31,31b,81) の先端の高さ位置よりも下側に配され、
    前記フック部(31,31b,81) における前記第2方向の最大寸法(W2)は、前記フック部(31,31b,81) の下端位置における前記ステム部(21,21c,21d,71) の前記第2方向の寸法(W3)の半分以下である、
    ことを特徴とする成形面ファスナー。
  9. 前記フック部(31,31b,81) の下面は、前記フック部(31,31b,81) の上面よりも滑らかに形成された圧縮面(32,82) を局部的に有してなる、
    請求項8記載の成形面ファスナー。
  10. 前記フック部(31,31b,81) の前記圧縮面(32,82) における前記第1方向の一端部が、同圧縮面(32,82) における前記第1方向の他端部よりも高い位置に配され、
    前記係合素子(20,20a,20b,20c,20d,70) を上方から見たとき、前記フック部(31,31b,81)の先端部が、前記ステム部(21,21c,21d,71) の前記第1方向における中心位置に対し、前記第1方向の前記一端部側にずれた位置に配されてなる、
    請求項7又は9記載の成形面ファスナー。
  11. 前記フック部(31,31b,81) を前記第1方向から見たとき、前記フック部(31,31b,81) の先端部における曲率半径は、0.06mm以上0.18mm以下の範囲内に設定されてなる請求項7〜10のいずれかに記載の成形面ファスナー。
  12. 1つの前記ステム部(21,71) に対して1つの前記フック部(31,31b,81) が配され、
    前記ステム部(21,71) は、前記基材部(10)から起立するとともに前記フック部(31,31b,81) の突出方向に向いて配されるフック配設面(24,74) を有し、
    前記フック配設面(24,74) は、前記フック部(31,31b,81) よりも下方から、前記基材部(10)に向けて形成されるとともに、前記基材部(10)の上面に直交し、且つ、前記第2方向に直交する単一の平坦面を有してなる、
    請求項1〜11のいずれかに記載の成形面ファスナー。
  13. 前記係合素子(20,20a,20b,70) を前記第1方向から見たときに、前記ステム部(21,71)は、前記第2方向に関して前記フック配設面(24,74) の反対側に配されるステム背面(25,75) を有し、前記ステム背面(25,75) は、前記ステム部(21,71) における前記フック配設面(24,74) と前記ステム背面(25,75) との間の寸法を、前記基材部(10)の上面から離れるにつれて漸減させる形状を有してなる請求項12記載の成形面ファスナー。
  14. 前記ステム背面(25,75) は、前記係合素子(20,20a,20b,70) を前記第1方向から見たときに、前記ステム部(21,71) の上端部に凸状に配される上側曲面部(25a,75a) と、前記ステム部(21,71) の下端部に凹状に配される下側曲面部(25b,75b) とを有してなる請求項13記載の成形面ファスナー。
  15. 前記フック部(31,31b,81) は、前記係合素子(20,20a,20b,70) を前記第1方向から見たとき、前記フック部(31,31b,81) の上面が、前記ステム部(21,71) の前記上側曲面部(25a,75a) よりも小さな曲率半径を備える凸面状を呈する形状を有してなる請求項14記載の成形面ファスナー。
  16. 前記ステム部(21,21c,21d,71) の前記第2方向における最大寸法は、0.1mm以上1.5mm以下に設定され、
    前記フック部(31,31b,81) の前記ステム部(21,21c,21d,71) から突出する前記第2方向における最大突出寸法は、0.01mm以上0.5mm以下に設定されてなる、
    請求項1〜15のいずれかに記載の成形面ファスナー。
  17. 機械方向に長尺に形成される平板状の基材部(10)と、前記基材部(10)の上面に立設される複数の係合素子(20,20a,20b,20c,20d)とを有する合成樹脂製の成形面ファスナー(1,1a,2)を製造する製造方法にあって、
    前記係合素子(20,20a,20b,20c,20d)に対応する形状を備える複数のキャビティが外周面部に形成されたダイホイール(52)を有し、前記キャビティが、前記キャビティ内で成形される前記係合素子(20,20a,20b,20c,20d)がそのままの形状で離型不能なアンダーカット形状を有し、且つ、前記キャビティのキャビティ面に、前記係合素子(20,20a,20b,20c,20d) を引き抜くときに前記係合素子(20,20a,20b,20c,20d)の一部を局部的に押圧圧縮可能なエッジ部(60)が配される成形装置(51)を用いること、
    前記ダイホイール(52)の外周面に溶融した合成樹脂材料を連続的に押し出して、前記ダイホイール(52)の外周面上で前記基材部(10)を成形するとともに、前記ダイホイール(52)の前記キャビティ内で、前記基材部(10)から起立するステム部(21,21c,21d)と、前記ステム部(21,21c,21d)の上端部から前記機械方向と交差する交差方向に突出する少なくとも1つのフック部(31,31b)とを有する前記係合素子(20,20a,20b,20c,20d)を成形すること、及び、
    前記係合素子(20,20a,20b,20c,20d)を前記キャビティから強制的に引き抜いて、前記フック部(31,31b)を前記エッジ部(60)で前記フック部(31,31b)の下方から押圧圧縮して前記キャビティと異なる形状に変形させるとともに擦ることにより、前記フック部(31,31b)の下面に圧縮面(32)を局部的に形成し、且つ、前記フック部(31,31b)における前記交差方向の最大寸法(W2)を、前記フック部(31,31b)の下端位置における前記ステム部(21,21c,21d)の前記交差方向の寸法(W3)の半分以下にすること、
    を含んでなることを特徴とする成形面ファスナーの製造方法。
  18. 前記成形装置(51)の下流側に配されるとともに一対の上側挟持ローラ(54a) と下側挟持ローラ(54b) を有するピックアップローラ(54)を用いて、成形された前記成形面ファスナーを前記ダイホイール(52)から引き剥がすこと、及び、
    前記成形面ファスナーを前記ダイホイール(52)から引き剥がした後、前記係合素子(20,20a,20b,20c,20d)を前記上側挟持ローラ(54a) によって押さえることにより、前記キャビティから引き抜かれて斜め上方に向いた前記フック部(31,31b)を塑性変形させること、
    を含んでなる請求項17記載の成形面ファスナーの製造方法。
  19. 前記フック部(31,31b)の上面を、前記ステム部(21,21c,21d)の上面よりも段差(26)を介して高く形成することを含んでなる請求項17又は18記載の成形面ファスナーの製造方法。
  20. 機械方向に長尺に形成される平板状の基材部(10)と、前記基材部(10)の上面に立設される複数の係合素子(70)とを有する合成樹脂製の成形面ファスナー(3) を製造する製造方法にあって、前記基材部(10)と、前記基材部(10)に立設される複数の仮素子とを有する一次成形体を成形する一次成形工程と、前記一次成形体の前記仮素子を加熱するとともに前記仮素子を上方から押し潰すことにより前記係合素子(70)を有する前記成形面ファスナー(3) を成形する二次成形工程とを含む製造方法において、
    前記一次成形工程にて、前記仮素子に対応する形状を備える複数のキャビティが外周面部に形成されたダイホイール(52)を有し、前記キャビティが、前記キャビティ内で成形される前記仮素子がそのままの形状で離型不能なアンダーカット形状を有し、前記キャビティのキャビティ面に、前記仮素子を引き抜くときに前記仮素子の一部を局部的に押圧圧縮可能なエッジ部(60)が配される成形装置(51)を用いること、
    前記ダイホイール(52)の外周面に溶融した合成樹脂材料を連続的に押し出して、前記ダイホイール(52)の外周面上で前記基材部(10)を成形するとともに、前記ダイホイール(52)の前記キャビティ内で、前記基材部(10)から起立する一次ステム部と、前記一次ステム部の上端部から前記機械方向と交差する交差方向に突出する少なくとも1つの一次フック部とを有する前記仮素子を成形すること
    前記仮素子を前記キャビティから強制的に引き抜いて、前記一次フック部を前記エッジ部(60)で前記一次フック部の下方から押圧圧縮して前記キャビティと異なる形状に変形させるとともに擦ることにより、前記一次フック部の下面に圧縮面(82)を局部的に形成すること、及び、
    前記二次成形工程後に成形される前記フック部(81)における前記交差方向の最大寸法(W2)を、前記フック部(81)の下端位置における前記ステム部(71)の前記交差方向の寸法(W3)の半分以下にすること、
    を含んでなることを特徴とする成形面ファスナーの製造方法。
  21. 前記一次成形工程にて、前記成形装置(51)の下流側に配されるとともに一対の上側挟持ローラ(54a) と下側挟持ローラ(54b) を有するピックアップローラ(54)を用いて、成形された前記一次成形体を前記ダイホイール(52)から引き剥がすこと、及び、
    前記一次成形体を前記ダイホイール(52)から引き剥がした後、前記仮素子を前記上側挟持ローラ(54a) によって押さえることにより、前記キャビティから引き抜かれて斜め上方に向いた前記一次フック部を塑性変形させること、
    を含んでなる請求項20記載の成形面ファスナーの製造方法。
  22. 前記一次成形工程にて、前記一次フック部の上面を、前記一次ステム部の上面よりも段差を介して高く形成すること、及び、
    前記二次成形工程にて、前記仮素子の上端部を上方から押し潰すことにより、前記係合素子(70)におけるフック部(81)の上面とステム部(71)の上面とを単一の平坦面に形成すること、
    を含んでなる請求項20又は21記載の成形面ファスナーの製造方法。
  23. 一方向に回転駆動するダイホイール(52)と、前記ダイホイール(52)に向けて溶融した合成樹脂材料を押し出す押出ノズル(53)とを有し、成形面ファスナー(1,1a,2)の成形又は成形面ファスナー(3) の一次成形体の成形に用いられる成形装置(51)において、
    前記ダイホイール(52)の外周面部に、前記成形面ファスナー(1,1a,2)の係合素子(20,20a,20b,20c,20d)又は前記一次成形体の仮素子に対応する形状を備える複数のキャビティが設けられ、
    前記キャビティは、前記キャビティ内で成形された前記係合素子(20,20a,20b,20c,20d)又は前記仮素子がそのままの形状で離型不能なアンダーカット形状を有し、
    前記ダイホイール(52)は、軸方向に積層される複数の円盤状金属プレート(55)を有し、
    各金属プレート(55)は、軸方向に直交する第1積層面及び第2積層面を備え、
    前記金属プレート(55)の前記第2積層面は、前記第1積層面の反対側に配され、
    前記金属プレート(55)は、前記係合素子(20,20a,20b,20c,20d)のフック部(31,31b)又は前記一次成形体の一次フック部を成形する第1キャビティ(56)が前記第1積層面に凹設された複数の第1プレート(55a) と、前記係合素子(20,20a,20b,20c,20d)のステム部(21,21c,21d)又は前記一次成形体の一次ステム部を成形する第2キャビティ(57)が前記第2積層面に凹設された複数の第2プレート(55b) とを有し、
    前記第1プレート(55a) と前記第2プレート(55b) とは、前記第1キャビティ(56)と前記第2キャビティ(57)とが連通する向きで互いに隣接して積層され、
    前記第1キャビティ(56)は、前記第1プレート(55a) の外周端面から離れた位置に、前記アンダーカット形状を形成する大きさで凹設され、
    前記第1プレート(55a) における前記第1キャビティ(56)のキャビティ面と前記第1積層面との間に配される円周状の稜線部が、前記係合素子(20,20a,20b,20c,20d)又は前記仮素子を局部的に押圧して圧縮するエッジ部(60)として角張った形状で形成され、
    前記第2キャビティ(57)は、前記第2プレート(55b) の外周端面から径方向内側に向けて連続して凹設されてなる、
    ことを特徴とする成形装置。
  24. 前記第1キャビティ(56)における径方向の最内側位置が、前記第2キャビティ(57)における径方向の最内側位置よりも更に径方向の内側に位置し、前記第1キャビティ(56)と前記第2キャビティ(57)との間に、前記第2プレート(55b) の前記第2積層面による段差(59)が形成されてなる請求項23記載の成形装置。
  25. 前記第1キャビティ(56)は、前記第1プレート(55a) の前記第1積層面に半球形状に凹設され、
    前記第1キャビティ(56)における半球形状の半径は、0.01mm以上0.5mm以下に設定されてなる、
    請求項23又は24記載の成形装置。
  26. 前記第2キャビティ(57)は、前記第2プレート(55b) の外周端面から径方向内側に向けて、前記第2プレート(55b) の周方向の寸法が漸減する形状を有し、
    前記第2キャビティ(57)の径方向における内側先端面は、0.01mm以上0.5mm以下の曲率半径を有する球面を有してなる、
    請求項23〜25のいずれかに記載の成形装置。
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