以下、本発明による脱着型拡大鏡1(1A乃至1K)について、図1乃至図16とともに説明する。
図1は脱着型拡大鏡1Aの説明図を示し、図2は脱着型拡大鏡1を有する診療ユニットXの概略斜視図を示し、図3、図5及び図7は脱着型拡大鏡1A,1B,1Cの脱着方法の説明図を示し、図4、図6はロック機構の説明図を示し、図8乃至図11は脱着型拡大鏡1A,1D,1Eの視準方向調整方法の説明図を示し、図12はデジタル式脱着型拡大鏡1F,1Gの構成説明図を示し、図13はデジタル式脱着型拡大鏡1Fの説明図を示し、図14はデジタル−アナログ切替式・併用式脱着型拡大鏡1H,1Jの説明図を示し、図15は複合観察ユニットYKの構成ブロック図を示し、図16は他の実施形態のHMD1FaやHUD240aの説明図を示している。
詳述すると、図1(a)は頭部装着状態、すなわち拡大鏡本体10がヘッドギア50に装着され、支持アーム100から分離された状態の脱着型拡大鏡1Aの斜視図を示し、図1(b)はアーム支持状態、すなわち拡大鏡本体10が支持アーム100に装着され、ヘッドギア50から分離された状態の脱着型拡大鏡1Aの斜視図を示している。
図3(a)は頭部装着状態、すなわち支持アーム100から分離された拡大鏡本体10がヘッドギア50に装着された状態の脱着型拡大鏡1Aの概略図を示し、図3(b)は頭部装着状態からアーム支持状態へと移行する過程の脱着型拡大鏡1Aと支持アーム100との脱着状態、すなわち拡大鏡本体10が支持アーム100に装着され、ヘッドギア50と拡大鏡本体10の連結状態を解除する状態の概略図を示し、図3(c)はアーム支持状態の脱着型拡大鏡1Aの概略図を示している。
図4(a)は頭部装着状態、すなわちヘッドギア50に連結された拡大鏡本体10がアーム支持状態へと移行する過程における着脱部を連結する状態のロック機構90の概略図を示し、図4(b)は拡大鏡本体10が支持アーム100に装着された状態のロック機構90の概略図を示し、図4(c)は拡大鏡本体10がヘッドギア50から分離された状態、すなわち連結部を分離した状態のロック機構90の概略図を示し、図4(d)は拡大鏡本体10が支持アーム100から分離する状態、すなわち着脱部を分離する状態のロック機構90の概略図を示している。なお、図4において拡大鏡本体10の図示を省略している。
図5(a)は頭部装着状態、すなわち支持アーム100から分離された拡大鏡本体10Bがヘッドギア50に連結された状態の脱着型拡大鏡1Bの概略図を示し、図5(b)は頭部装着状態からアーム支持状態へと移行する過程の脱着型拡大鏡1Bと支持アーム100との脱着状態、すなわち拡大鏡本体10Bが支持アーム100に装着され、ヘッドギア50Bが観察者Mの頭部Hから外れている状態の概略図を示し、図5(c)はアーム支持状態、すなわち拡大鏡本体10Bが支持アーム100に装着され、ヘッドギア50Bが回避された状態の脱着型拡大鏡1Bの概略図を示している。
図6(a)は頭部装着状態、すなわちヘッドギア50Bに連結された拡大鏡本体10Bがアーム支持状態へと移行する過程における着脱部を連結する状態のロック機構90Bの概略図を示し、図6(b)は拡大鏡本体10Bが支持アーム100に装着された状態のロック機構90Bの概略図を示し、図6(c)は拡大鏡本体10Bがヘッドギア50Bから分離する状態、すなわち連結部を分離する状態のロック機構90Bの概略図を示し、図6(d)は拡大鏡本体10Bが支持アーム100から分離された状態、すなわち着脱部を分離した状態のロック機構90Bの概略図を示している。なお、図6において拡大鏡本体10Bの図示を省略している。
図7(a)は頭部装着状態、すなわち支持アーム100aから分離された拡大鏡本体10Cがヘッドギア50に連結された状態の脱着型拡大鏡1Cの概略図を示し、図7(b)は頭部装着状態からアーム支持状態へと移行する過程の脱着型拡大鏡1Cと支持アーム100aとの脱着状態、すなわち拡大鏡本体10Cが支持アーム100aに装着され、ヘッドギア50Cが観察者Mの頭部Hから外れている状態の概略図を示し、図7(c)はアーム支持状態、すなわち拡大鏡本体10Cが支持アーム100aに装着され、ヘッドギア50Cが回避された状態の脱着型拡大鏡1Cの概略図を示している。
図8(a)は装着方向が調整可能な支持アーム100に支持された状態の脱着型拡大鏡1Dの概略図を示し、図8(b)は支持アーム100に支持された状態で視準方向が調整可能な脱着型拡大鏡1Eの概略図を示し、図8(c)は視準方向の調整を行うための視準方向調整アタッチメント110を備えた支持アーム100bに支持された状態の脱着型拡大鏡1Aの概略図を示している。
図9(a)は装着方向が調整可能な支持アーム100に支持された状態の脱着型拡大鏡1Dで水平方向を視準する状態の概略図を示し、図9(b)は脱着型拡大鏡1Dで斜め下方向を視準する状態の概略図を示し、図9(c)は脱着型拡大鏡1Dで下方に視準する状態の概略図を示している。
図10(a)は支持アーム100に支持された状態で視準方向が調整可能な脱着型拡大鏡1Eで直進方向に視準する状態の概略図を示し、図10(b)は脱着型拡大鏡1Eで視準方向を屈曲させて斜め下方に視準する状態の概略図を示し、図10(c)は脱着型拡大鏡1Eで視準方向を屈曲させて下方に視準する状態の概略図を示している。
図11(a)は脱着型拡大鏡1Aが支持アーム100bに支持された状態において視準方向調整アタッチメント110によって直進方向に視準する状態の概略図を示し、図11(b)は視準方向調整アタッチメント110によって視準方向を屈曲させて斜め下方に視準する状態の概略図を示し、図11(c)は視準方向調整アタッチメント110によって視準方向を屈曲させて下方に視準する状態の概略図を示している。
図12(a)はデジタル式脱着型拡大鏡1Fの構成ブロック図を示し、図12(b)は無線デジタル式脱着型拡大鏡1Gの構成ブロック図を示している。図13(a)は支持アーム100に装着されたベース体20から、ヘッドギア50と一体構成した分離体30を分離した状態のデジタル式脱着型拡大鏡1Fの斜視図を示し、図13(b)は頭部装着状態、すなわちヘッドギア50に拡大鏡本体10Fを連結した状態のデジタル式脱着型拡大鏡1Fの斜視図を示している。
図14(a)はデジタル−アナログ切替式脱着型拡大鏡1Hの平面方向の概略図を示し、図14(b)はデジタル−アナログ併用式脱着型拡大鏡1Jの平面方向の概略図を示している。
図16(a)はHMD1Faの概略斜視図を示し、図16(b)はHUD240aの概略斜視図を示している。
脱着型拡大鏡1Aを有する診療ユニットXは、図2に示す歯科診療装置200と、脱着型拡大鏡1Aとともに使用される観察ユニットYとで構成されている。
歯科診療装置200は、図2に示すように、診療器具213(213a〜213e)を備えた器具台210と、施術対象である患者を載せて治療を行うための診療台220とで構成している。
器具台210は、診療台220にアームを介して回動可能に取付けたテーブル211の手前側に器具ホルダ212を備え、器具ホルダ212にエアータービンハンドピース、マイクロモータハンドピースなどの切削工具やスケーラ、スリーウエイシリンジ、バキュームシリンジなどで構成する診療器具213(213a〜213e)を着脱可能に取付けている。
また、診療器具213は、水供給源、エア供給源やエア吸引部に接続されて駆動するが、これらの機構については公知であるため、詳細な説明は省略する。
また、各種操作の入力をするためのフートコントローラ214を備えているが、フートコントローラの機構については公知であるため、詳細な説明は省略する。
患者を載せる診療台220は、図2に示すように、基台221に昇降可能に載置された座部シートと、その座部シートの後方に連接された傾動可能な背板シート223と、その背板シート223の上端に連接された傾動可能なヘッドレスト224とを備え、これらを診療状況に応じた最適位置に制御するため座部シート昇降部、背板シート傾倒部、ヘッドレスト傾倒部が設けられ、フートコントローラ214によって操作制御された油圧シリンダや電動モータ等の駆動によって駆動するように構成している。
また、診療台220には、スピットン225及び治療用スタンドポール230が付設され、治療用スタンドポール230には、途中より分岐し、回動可能に突出させたアーム231と上端に後述する支持アーム100が備えてられている。アーム231の先端には、診療対象である患者の口腔内等を照明するためのデンタルライト250を備えている。
なお、デンタルライト250は、照明用途だけではなく、三次元カメラ(例えば、ステレオカメラ)と一体化されることで、マーカが取り付けられた治療器具や患者の歯の三次元位置を認識する三次元位置検出部260を兼ねていてもよい。
また、治療用スタンドポール230には、モニタ240が設けられている。
なお、スピットン225は、口腔内を濯ぐ際などに給水する給水栓と、排唾鉢とを備えている。さらに、患者の背中又は腹部では診療台220に配設された電気系路、油圧系路又はエア系路等と接続する接続部(不図示)が設けられている。
また、位置調整可能な支持アーム100(支持部に相当)によって脱着型拡大鏡1Aが支持されている。なお、支持アーム100と脱着型拡大鏡1Aとで観察ユニットYを構成している。
支持アーム100は、診療台220に付設された治療用スタンドポール230の上端に対して回動可能に設けられ、複数のアーム101がそれぞれ可動できるように複数の関節部101aで連結された多関節アーム式であり、支持アーム100の先端に脱着可能に装着された脱着型拡大鏡1Aを、所望の位置に移動可能に構成されている。
支持アーム100における脱着型拡大鏡1Aの後方には、脱着型拡大鏡1Aを所望の位置に移動させる、つまり多関節アーム式である支持アーム100を構成する各アームの関節部101aを可動させるために観察者M(図3参照)が把持するハンドル102と、脱着型拡大鏡1Aを着脱可能に装着するアーム側着脱部103とを備えている。
観察者Mによって把持されるハンドル102は、繰り返し減菌処理(例えば、高温高圧下のオートクレーブ処理)に耐えうる滅菌可能部材で交換可能に構成されており、使用ごとに滅菌処理されたハンドル102を装着することで、ハンドル102を把持することによる感染対策を図ることができる。
このように衛生面の観点から優れたハンドル102としては、膨大な回数の繰り返し減菌処理に耐えうる滅菌可能部材で構成されておらずとも、使用ごとに使い捨てるようにしたり、ある程度の回数だけ滅菌処理に耐えうる部材で構成し、繰り返し滅菌処理による劣化が認められた場合に使い捨てるようにしてもよいし、ハンドル102に対して安価な使い捨てのカバー(例えば、樹脂製のシート等)を装着するように構成してもよい。
脱着型拡大鏡1Aに設けた付替え部13に対して着脱自在に着脱するアーム側着脱部103には、先端側に向かって突出する突出片104(挿し込み部に相当:図3参照)が設けられている。
また、支持アーム100は、診療台220に付設された治療用スタンドポール230に設けられずとも、天井、壁、あるいは床から延びるように構成されてもよいし、治療用スタンドポール230とは別のスタンド、ワゴン又はラックに設けられてもよい。さらには、スピットン台225、医療用ロボットやその他の医療機器等から延びるように構成されてもよい。
このように構成された支持アーム100の先端に脱着可能に構成された脱着型拡大鏡1の一例である脱着型拡大鏡1Aは、図1乃至図3に示すように、観察者Mの頭部に装着するヘッドギア50と支持アーム100とに対して着脱して、付け替え可能に構成されている。
ヘッドギア50は、観察者Mの頭部Hに装着するヘッドギア本体51と、ヘッドギア本体51の正面側に設けられた取付支持部52とで構成されている。
ヘッドギア本体51は、バンド部51aと、装着状態において頭の頂部を介してバンド部51aを前後方向に跨ぐ頂部バンド51bとで構成されている。
取付支持部52は、上方に延びるとともに、上端から前方に突出する側面視略逆L字型であり、脱着型拡大鏡1Aに設けた付替え部13に対して着脱自在に連結する頭部側連結部53を備えており、頭部側連結部53には、前方に突出する突出片54が設けられている。
このように構成されたヘッドギア50の頭部側連結部53に連結してヘッドギア50に連結可能な脱着型拡大鏡1Aの拡大鏡本体10Aは、拡大鏡本体10Aにおける観察部位側、つまり装着状態において観察者Mの前方となる側に設けられた対物レンズ部11と、観察者Mの側、つまり装着状態において観察者Mと対向する側に設けられた接眼レンズ部12(図2、図3参照)と、拡大鏡本体10Aの内部において、対物レンズ部11を介して採光した観察部位の光学像を接眼レンズ部12へ伝送する光学像伝送部(図示省略)と、ヘッドギア50及び支持アーム100に対して付け替える付替え部13とで構成されている。
なお、ヘッドギア50を構成する部材のうち、バンド部51a及び頂部バンド51bをはじめ、頭部Hにフィットする部分を、その他の部分から分離できるよう構成してもよい。例えば、バックルやネジ等の固定機構を用いることで、上述の分離動作が可能となる。これにより、例えば、バンド部51a等が摩耗した場合に新品交換をおこなうことができ、また、長時間使用して観察者の汗等でバンド部51aや頂部バンド51bが汚れてしまった場合に清掃・洗濯することが容易にできるなど、利便性が向上する。
また、バンド部51a及び頂部バンド51b等はヘッドギア50からは分離せずとも、吸汗性のパッドやメッシュシートが、観察者Mの頭部Hにフィットする部分に設けられ、両面テープ、マグネット、あるいはマジックテープ(登録商標)などで着脱できるように構成されていてもよい。
なお、拡大鏡本体10Aは、観察部位を観察する拡大鏡であり、上述の光学像伝送部をレンズ等の光学部材で構成したアナログ式であってもよいし、後述するようなデジタル式であってもよい。上記観察部位は、歯牙や歯牙内部、あるいは歯肉など口腔内の部位や、人間や動物の体の一部であってもよい。
付替え部13は、拡大鏡本体10Aの上部略中央に設けられており、対物レンズ部11側に設けられ、上述のアーム側着脱部103に対して着脱自在に着脱する本体側着脱部14と、接眼レンズ部12側に設けられ、上述の頭部側連結部53に対して着脱自在に連結する本体側連結部15とで構成されている(図3参照)。
本体側着脱部14は、アーム側着脱部103が挿入される挿入空間141と、突出片104が挿し込まれ、装着状態を固定する凹状の挿込固定凹部142とを有している(図1参照)。
本体側連結部15は、図3(c)に示すように、頭部側連結部53が挿入される挿入空間151と、突出片54が挿し込まれ、連結状態を固定する凹状の挿込固定凹部152とを有している。
このように構成された付替え部13における本体側着脱部14に対してアーム側着脱部103を嵌合することで脱着型拡大鏡1Aを支持アーム100に対して装着して、脱着型拡大鏡1Aを支持アーム100で支持することができる。また、本体側連結部15に対して頭部側連結部53を嵌合することで脱着型拡大鏡1Aをヘッドギア50に対して連結することができる。つまり、脱着型拡大鏡1Aにおいて、拡大鏡本体10Aの全体が分離部として機能している。
このように構成された脱着型拡大鏡1Aを、ヘッドギア50と支持アーム100に付け替える付け替え動作について図3とともに説明する。
図3(a)に示すように、頭部Hに装着したヘッドギア50に脱着型拡大鏡1Aを装着した観察者Mがハンドル102を把持して、アーム側着脱部103を頭部Hに装着した脱着型拡大鏡1Aの本体側着脱部14に挿入するように支持アーム100を移動させる。そして、図3(b)に示すように、支持アーム100の先端に設けたアーム側着脱部103を本体側着脱部14に嵌合させる。
このように、アーム側着脱部103を本体側着脱部14に嵌合させてから、脱着型拡大鏡1Aの本体側連結部15とヘッドギア50の頭部側連結部53との嵌合を解放することで、図3(c)に示すように、脱着型拡大鏡1Aを支持アーム100に付け替えて支持アーム100で支持することができる。
なお、支持アーム100に支持された脱着型拡大鏡1Aをヘッドギア50に付け替える場合は、上述の説明の逆の動作を行うとよい。
このように、支持アーム100に支持され、観察部位を観察する拡大鏡本体10Aと、観察者Mの頭部Hに装着するヘッドギア50とが備えられ、拡大鏡本体10Aは、観察部位側の対物レンズ部11、観察者Mの側の接眼レンズ部12、並びに対物レンズ部11を介して採光した観察部位の光学像を接眼レンズ部12へと伝送する光学像伝送部で構成されるとともに、拡大鏡本体10Aを分離部として支持アーム100から着脱する着脱部14,103と、拡大鏡本体10Aをヘッドギア50に着脱可能に連結する連結部15,53とが設けられた脱着型拡大鏡1Aは、観察部位を、支持アーム100に支持された状態の拡大鏡本体10Aで観察したり、頭部Hに装着した状態の拡大鏡本体10Aで観察したりすることができる。
詳述すると、観察部位を観察する拡大鏡本体10Aと、観察者Mの頭部Hに装着するヘッドギア50とが備えられ、拡大鏡本体10Aは、観察部位側の対物レンズ部11、観察者Mの側の接眼レンズ部12、並びに対物レンズ部11を介して採光した観察部位の光学像を接眼レンズ部12へと伝送する光学像伝送部で構成されるとともに、接眼レンズ部12を含む拡大鏡本体10Aを分離部として支持アーム100から着脱する着脱部14,103とが備えられているため、脱着型拡大鏡1Aを支持する支持アーム100から分離部として拡大鏡本体10Aを取り外すことができる。
また、観察者Mの頭部Hに装着するヘッドギア50に対して、分離部である拡大鏡本体10Aを着脱可能に連結する連結部15,53を備えているため、着脱部14,103によって、支持アーム100から取り外された拡大鏡本体10Aを観察者Mの頭部Hに装着するヘッドギア50に連結することができる。
したがって、観察者Mは、観察部位を、支持アーム100に支持された状態の拡大鏡本体10Aで負担なく観察したり、頭部Hに装着した状態の拡大鏡本体10Aで、頭部Hの移動が規制されることなく観察したりすることができ、利便性や操作性を向上することができる。
また、本体側着脱部14とアーム側着脱部103とで構成する着脱部において、本体側着脱部14の挿込固定凹部142に挿し込む突出片104をアーム側着脱部103に備えているため、突出片104を本体側着脱部14の挿込固定凹部142に挿し込むことで着脱部14,103を装着し、拡大鏡本体10Aを支持アーム100で支持することができる。したがって、観察者Mは、ヘッドギア50に触れることなく着脱でき、衛生的であるため、感染予防等に貢献することができる。
なお、挿込固定凹部をアーム側着脱部103に備え、挿込固定凹部に挿し込む突出片を本体側着脱部14に備えてもよい。
また、支持アーム100が、観察部位に対して移動可能に構成されているため、支持アーム100を観察部位に対して適切な位置に配置してから観察できるため、より詳細に観察することができる。
詳述すると、上述のように、支持アーム100に関節部101aを有し、関節部101aの動きによって支持アーム100が観察部位に対して移動可能に構成されているため、関節部101aで曲げて支持アーム100で支持する拡大鏡本体10Aを、観察部位に対してより適切な位置に配置してから観察できるため、より詳細に観察することができる。
なお、関節部101aは少なくともひとつあればよく、複数あってもよい。
また、付替え部13における本体側着脱部14や本体側連結部15に嵌合するアーム側着脱部103及び頭部側連結部53には、例えば、後述するように、挿込固定凹部142,152に対する突出片104,54に挿し込みをロックするロック機構90を備えてもよい。
なお、挿込固定凹部142,152に対する突出片104,54に挿し込みをロックするロック機構90は、挿込固定凹部142に対して突出片104が挿し込みされたことによって、挿込固定凹部152に対する突出片54の挿し込み状態を解除する構成である。
上述したロック機構90の例として、プランジャ93を用いた構成を、図4を用いて説明する。
アーム側着脱部103と頭部側連結部53には下部が円柱で上部を円錐状のツメとして形成されたプランジャ93が内蔵されており、バネ94の作用によりプランジャ93の先端にあるツメが飛び出たり、押しこまれたりするように構成されている。付替え部13にはツメと対応した溝があり、ツメが飛び出ているときにはツメが溝の壁面に引っ掛かり、着脱できないようロックされる。逆に、ツメが押し込まれているときにはロックが解除され、着脱可能となる。
例えば、図4(a)を参照すると、ここでは頭部装着状態、すなわちヘッドギア50に連結された拡大鏡本体10がアーム支持状態へと移行する過程における着脱部を連結する状態のロック機構90の概略図を示しており、頭部側連結部53側のプランジャ93のツメが付替え部13の溝に引っ掛かりロックされた状態となっている。
付替え部13の溝内部にはシーソー構造91が備わっており、アーム側着脱部103に内蔵されたプランジャ93は頭部側連結部53に内蔵されたものよりも強いばねが採用されている。よって、図4(b)のように頭部側連結部53とアーム側着脱部103の両方が付替え部13に対して挿しこまれた状態においては、自然状態では、シーソー構造91の作用によって弱いバネ94が採用されている頭部側連結部53の側のプランジャ93のツメは押し込まれ、アーム側着脱部103の側のプランジャ93のツメが飛び出す。すなわち、図4(b),(c)に示すように、アーム側着脱部103が付替え部13に対してロックされ、頭部側連結部53が付替え部13に対してロックが解除され自由に着脱可能な状態となる。
ここでアーム側着脱部103のほうのプランジャ93にはワイヤー95が接続されており、ワイヤー95の反対側はワイヤー95を操作するためのレバー92と接続されている。図4(d)に示すように、観察者Mがレバー92を握ることでワイヤー95が引っ張られ、アーム側着脱部103に内蔵されたプランジャ93のツメが押し込まれる。するとシーソー構造91と頭部側連結部53の側のプランジャ93のバネ94の作用により、頭部側連結部53の側のツメが飛び出す。なお、プランジャ93が収納されているプランジャ93が出没する凹部の内径は、プランジャ93の外径よりも小さいのでプランジャ93が凹部から飛び出すことはない。
すなわち、頭部側連結部53が付替え部13に対してロックされ、アーム側着脱部103が付替え部13に対してロックが解除され自由に着脱可能な状態となる。このように観察者Mはレバー92の操作によってロック/ロック解除の状態を選択でき、利便性が向上する。なお、レバー92はハンドル102の付近に設置されているため、支持アーム100を可動させるための操作と、ロック/ロック解除の操作とで、観察者Mの手の位置を同一とすることができ、操作性が向上する。また感染対策としてレバー92の手で触れる箇所を、交換可能な滅菌可能部材としたり、使い捨てのカバーをかぶせて使用したりすることで、衛生的な操作が可能となる。
ロック機構90を操作する手段としてレバー92を例示したがこれに限らず、ボタン等であってもよい。また、ワイヤー95の引っ張り操作とプランジャ93を用いてツメの飛び出し状態を操作する機構を例示したが、サイドリリースバックルのように、弾性を有した梁構造によって、梁構造の先端に設けられたツメを可動とし、梁構造を押すことでツメの可動状態を操作できるような機構でもよい。また、円柱状のプランジャの代わりにボールプランジャを用いてもよい。
また、ワイヤー95やシーソー構造91を用いて手動で機械的にロック状態を操作する例を示したが、電動的手段(例えば、アクチュエータや電磁石の力でツメの可動を操作したり、モータの回転でワイヤー95を巻き取ったりするなど)で操作できるようにしてもよく、電動的手段とすることで、ロック機構90を操作するためレバー・ボタン等を、付替え部13から遠隔の位置に設置することが容易となり(例えば、フートコントローラやタッチパネルでロック機構90を操作できる)、さらに利便性が向上する。
また、シーソー構造91を介することで、1つのレバー92で2つのツメを操作する構成を示したが、シーソー構造91に限らず、2つのツメが連動して動作する構造であれば何でもよく、歯車、ワイヤー、バネ、あるいはアクチュエータ、さらにこれらの組み合わせ等によって構成されていてもよい。あるいは、頭部側連結部53の側のプランジャ93を操作するレバー92等と、アーム側着脱部103の側のプランジャ93を操作するレバー92等とが、別々に設けられており、それぞれのロック状態を別々に操作できるよう構成されていてもよい。また、図4ではプランジャ93の先端のツメを角張ったように描いているが、丸みを帯びていてもよい。
このように、付替え部13における本体側着脱部14や本体側連結部15に嵌合するアーム側着脱部103及び頭部側連結部53に、挿込固定凹部142,152に対する突出片104,54に挿し込みをロックするロック機構90を備えることによって、上述する付替え部13における本体側着脱部14や本体側連結部15に対するアーム側着脱部103及び頭部側連結部53の嵌合状態をロックすることができる。
さらに、挿込固定凹部142,152に対する突出片104,54に挿し込みをロックするロック機構90は、挿込固定凹部142に対して突出片104が挿し込みされたことによって、挿込固定凹部152に対する突出片54の挿し込み状態を解除する構成であり、挿込固定凹部152に対して突出片54が挿し込みされたことによって、挿込固定凹部142に対する突出片104の挿し込み状態を解除する構成であるため、拡大鏡本体10Aを、支持アーム100とヘッドギア50とに対して安全に付け替えることができる。
上述の脱着型拡大鏡1Aはヘッドギア50と別体で構成し、ヘッドギア50と支持アーム100に付け替えたが、脱着型拡大鏡1の別の例として、ヘッドギア50Bと一体構成され、全体が分離部として機能する脱着型拡大鏡1Bについて、図5とともに説明する。
図5に示す脱着型拡大鏡1Bは、ヘッドギア50Bと拡大鏡本体10Bとが連結されており、一体構成されている。
ヘッドギア50Bは、上述のヘッドギア50のヘッドギア本体51と同じ構成であるが、自立可能な形状保持性を有する素材で構成されている。
また、ヘッドギア50Bは、図示省略するサイズ調整部によって、図5(b)に示すように、拡縮可能に構成されている。なお、サイズ調整部としては、図示省略する回転操作部を操作することによって、ヘッドギア本体51を構成するバンド部51aの周長を拡縮するように構成することができる。
また、上述の脱着型拡大鏡1Aでは、拡大鏡本体10Bの付替え部13に設けられた本体側連結部15で、ヘッドギア50の頭部側連結部53と着脱可能に連結したが、脱着型拡大鏡1Bの拡大鏡本体10Bに備えられた付替え部13Bは、本体側着脱部14を設けられているものの本体側連結部15の代わりに取付支持部52に対して回転可能に連結される回転連結部16が設けられている。
回転連結部16は、拡大鏡本体10Bとヘッドギア50Bとを水平軸を中心に回転可能に連結されている。詳しくは、少なくとも、図5(a)に示すように拡大鏡本体10Bとヘッドギア50Bとが並ぶ状態と、図5(c)に示すような拡大鏡本体10Bとヘッドギア50Bとが直角方向となる状態を維持できるように回転可能に連結されている。
このように構成された脱着型拡大鏡1Bを付け替えするためには、図5(a)に示すように、頭部Hに装着した脱着型拡大鏡1Bを装着した観察者Mがハンドル102を把持して、アーム側着脱部103を頭部Hに装着した脱着型拡大鏡1Bの本体側着脱部14に挿入するように支持アーム100を移動させる。そして、図5(b)に示すように、支持アーム100の先端に設けたアーム側着脱部103を本体側着脱部14に嵌合させるとともに、ヘッドギア50Bを図示省略するサイズ調整部を調整して、頭部Hに対してヘッドギア50Bを拡大調整する。
このように、ヘッドギア50Bを拡大調整してから、回転連結部16によって、ヘッドギア50Bが上方となるように、ヘッドギア50Bを回転移動させることで、図5(c)に示すように、脱着型拡大鏡1Bを支持アーム100に付け替えて支持アーム100で支持することができる。
また、拡大鏡本体10Bに対して、頭部Hに未装着のヘッドギア50Bを回避させる回転連結部16が備えられているため、ヘッドギア50Bが支障することなく、支持アーム100で支持された状態の拡大鏡本体10Bで観察部位を観察することができる。
したがって、観察者Mは、観察部位を、支持アーム100に支持された状態の拡大鏡本体10Bで負担なく観察したり、頭部Hに装着した状態の拡大鏡本体10Bで、頭部Hの移動が規制されることなく観察したりすることができ、利便性や操作性を向上することができる。
なお、サイズ調整部は、上述のような手動の回転操作にもよらず、例えば、ハンドル102の付近やフートコントローラに操作スイッチやレバーを設け、アーム側着脱部103を本体側着脱部14に嵌合させてからの操作スイッチ等の操作によって、モータ駆動や空気の充填、あるいは付勢体の付勢力によって自動的にサイズ調整可能に構成してもよい。
サイズ調整部の別の例として、回転操作部を用いて手動でヘッドギア50Bのサイズ調整を行う場合には、感染予防等の観点から、回転操作部のうち手で触れる箇所を交換可能な滅菌可能部材で構成するか、使い捨てのカバーをかぶせて使用ことが好ましい。
さらには、回転連結部16を介したヘッドギア50Bの回転移動は、例えば、観察者Mの手が触れる箇所を交換可能な滅菌可能部材で構成した回転操作部をヘッドギア本体51に設け、上記回転操作部を把持することでヘッドギア50Bを回転移動させる等の手動で回転移動させてもよいし、アーム側着脱部103を本体側着脱部14に嵌合させてからのハンドル102に設けた操作スイッチの操作によって、モータ駆動や空気の充填、あるいは付勢体の付勢力によって自動的にヘッドギア50Bを回転移動するように構成してもよい。
上記により、観察者Mはヘッドギア50Bに触れることなく、あるいは滅菌可能部材等で感染対策がされた箇所以外の不要な箇所に手で触れることなくアーム支持状態と頭部装着状態とを遷移でき、衛生的であるため、感染予防等に貢献することができる。
また、図6に示すように、アーム側着脱部103と本体側着脱部14との嵌合状態をロックするロック機構90Bを備えてもよい。ロック機構90Bの例として、プランジャ93を用いた機構を採用してもよい。ここでは、図4に図示するロック機構90の構成と比べ、シーソー構造91と、頭部側連結部53の側のプランジャ93とが省かれた構成であり、その他の構造は同一であるため詳細な説明は省略する。
図6におけるロック機構90Bは、図4に図示するロック機構90の構成と同様に、レバー92を握ることで、ワイヤー95が引っ張られ、プランジャ93の先端のツメがアーム側着脱部103の内部に押しこまれる方向に可動し、アーム側着脱部103と付替え部13Bのロック状態が解除され、反対にレバー92を離すと、プランジャ93のバネ94の作用により、アーム側着脱部103が付替え部13Bの本体側着脱部14に対してロックされる。
あるいは、図4に図示するロック機構90にあるようなシーソー構造91をロック機構90Bにも備え、シーソー構造91のうち、アーム側着脱部103の側のプランジャ93と接触する部分とは反対側の端が動作することにより、特定の操作スイッチ等が押され、例えば、サイズ調整部や回転連結部が作動するように構成してもよい。
脱着型拡大鏡1の別の例として、図7に示すように、形状保持性のないヘッドギア50Cと拡大鏡本体10Cとを一体構成して、全体が分離部として機能する脱着型拡大鏡1Cを構成してもよい。脱着型拡大鏡1Cを構成するヘッドギア50Cは、バンド部51aと頂部バンド51bとを可撓性のある変形可能な紐状体で構成しており、図示省略するサイズ調整部を調整して、頭部Hに対してヘッドギア50Cを拡縮調整可能に構成されている。
そのため、頭部Hへの装着後、サイズ調整部を調整して、紐状体で構成したバンド部51a及び頂部バンド51bの長さを調整して、頭部Hにフィットさせるようにして、ヘッドギア50Cを頭部Hに装着することができる。
また、図7に示した脱着型拡大鏡1Cの拡大鏡本体10Cに備えられた付替え部13Cは、本体側着脱部14を設けているものの、図3に示したような本体側連結部15も、図5に示したような回転連結部16も設けられておらず、一方で観察者Mにとって後方となる本体側連結部15aと頂部バンド51bとの交点に、頭部側連結部53Cが備えられており、頭部側連結部53Cには、頭部Hへの装着状態において後方に突出する突出片54Cが設けられている。なお、この頭部側連結部53Cに、上述のサイズ調整部を設けてもよい。
また脱着型拡大鏡1Cを観察者Mの頭部Hへの装着状態から付け替えて支持する支持アーム100aには、アーム側着脱部103の上方に、頭部側連結部53Cが嵌合する本体側連結部15Cを備えている。詳しくは、アーム側着脱部103の背後に鉛直方向上方に延びる支柱151Cが設けられており、支柱151Cの上端に挿込固定凹部152Cが設けられて本体側連結部15Cが構成されている。
このように構成した脱着型拡大鏡1Cを付け替えるためには、図7(a)に示すように、頭部Hに装着した脱着型拡大鏡1Cを装着した観察者Mがハンドル102を把持して、アーム側着脱部103を頭部Hに装着した状態の脱着型拡大鏡1Cの本体側着脱部14に挿入するように支持アーム100aを移動させる。そして、図7(b)に示すように、支持アーム100aの先端に設けたアーム側着脱部103を本体側着脱部14に嵌合させるとともに、ヘッドギア50Cを図示省略するサイズ調整部を調整して、頭部Hに対してヘッドギア50Cを拡大調整する。
このように、ヘッドギア50Cを拡大調整してから、ヘッドギア本体51Cを構成する紐状体を変形させ、頭部側連結部53Cを挿込固定凹部152cと嵌合させることで、図7(c)に示すように、脱着型拡大鏡1Cを支持アーム100aに付け替えて支持アーム100aで支持することができる。
また、観察者Mは、拡大鏡本体10Cに対して、頭部Hに未装着のヘッドギア50Cを回避させる構造(53C、54C、15C、152C)が備えられているため、ヘッドギア50Cが支障することなく、支持アーム100aで支持された状態の拡大鏡本体10Cで観察することができる。
また観察者Mは、観察部位を、支持アーム100aに支持された状態の拡大鏡本体10Cで負担なく観察したり、頭部Hに装着した状態の拡大鏡本体10Cで、頭部Hの移動が規制されることなく観察したりすることができ、利便性や操作性を向上することができる。
なお、サイズ調整部は、上述のような手動の回転操作にもよらず、例えば、ハンドル102の付近やフートコントローラに操作スイッチやレバーを設け、アーム側着脱部103を本体側着脱部14に嵌合させてからの操作スイッチの操作によって、モータ駆動や空気の充填、あるいは付勢体の付勢力によって自動的にサイズ調整可能に構成してもよい。
また、サイズ調整部である回転調整部を頭部側連結部53Cに設け、該回転調整部のうち手で触れる箇所を交換可能な滅菌可能部材で構成し、該回転操作部を把持することで突出片54Cを挿込固定凹部152Cの位置にまで移動させ嵌合するようにしてもよい。
上記により、観察者Mはヘッドギア50Cのうち、滅菌可能部材等で感染対策がされた箇所以外の不要な箇所に手で触れることなくアーム支持状態と頭部装着状態とを移行でき、衛生的であるため、感染予防等に貢献することができる。
なお、ここまでの説明や図においては、突出片104、54、54Cが凸形状であり、挿込固定凹部142、152、152Cが凹形状であるように説明しているが、嵌合する関係にある部材の凹凸形状は逆であってもよい。例えば、アーム側着脱部103の先端が凹形状であり、それと嵌合する本体側着脱部14が凸形状に形成してもよい。
このように、脱着型拡大鏡1A,1B,1Cは、頭部Hと支持アーム100とに付け替えすることで、頭部Hに装着する状態と支持アーム100で支持する状態とを切り替え、所望の状態で観察者Mは観察できるが、支持アーム100に支持された状態で、視準方向を調整できる脱着型拡大鏡1について以下で説明する。
支持アーム100で支持された状態で脱着型拡大鏡1による視準方向を調整するためには、例えば、図8に示すような3種類の脱着型拡大鏡1(1D,1E,1A)がある。図8(a)に示す脱着型拡大鏡1Dは、支持アーム100に支持された状態で、装着角度を調整することで視準方向を調整し、図8(b)に示す脱着型拡大鏡1Eは、支持アーム100に支持された状態で、拡大鏡本体10Eに設けた視準方向調整部によって視準方向を調整し、図8(c)に示す脱着型拡大鏡1Aは、支持アーム100bに支持された状態で、支持アーム100bに設けた視準方向調整アタッチメント110によって視準方向を調整するように構成している。
なお、以下でそれぞれの視準方向の調整について、詳細に説明するが、あくまでもこれらの3種類の視準方向調整方法は例示であり、これらに限定されるものではない。
図8(a)及び図9に示す脱着型拡大鏡1Dは、付替え部13Dにおける本体側着脱部14Dに角度調整部17を設けている。角度調整部17は、ラチェット式で任意の角度に固定でき、所定の力を作用させることで、角度を調整可能に構成されている。
例えば、脱着型拡大鏡1Dで水平方向に視準する場合は、図9(a)に示すように、支持アーム100で支持された状態において、対物レンズ部11と接眼レンズ部12とが水平となるように角度調整部17を調整し、支持アーム100に対する装着角度を調整する。
これに対し、例えば、脱着型拡大鏡1Dで斜め下方向を視準する場合は、図9(b)に示すように、支持アーム100で支持された状態において、接眼レンズ部12に対して対物レンズ部11が斜め下方となるように角度調整部17を調整し、支持アーム100に対する装着角度を調整する。
また、例えば、脱着型拡大鏡1Dで下方向を視準する場合は、図9(c)に示すように、支持アーム100で支持された状態において、接眼レンズ部12に対して対物レンズ部11が下方となるように角度調整部17を調整し、支持アーム100に対する装着角度を調整する。
このように、脱着型拡大鏡1Dでは、支持アーム100による支持状態で、角度調整部17によって、脱着型拡大鏡1Dの支持アーム100に対する装着角度を調整することで、脱着型拡大鏡1Dによって視準する視準方向を任意の方向に調整することができる。
このように、接眼レンズ部12から対物レンズ部11を介して観察する視準方向を調整するために、脱着型拡大鏡1Dは、支持アーム100に対する装着角度を調整する角度調整部17を拡大鏡本体10Dに備えており、角度調整部17によって接眼レンズ部12から対物レンズ部11を介して観察する視準方向を調整することができ、拡大鏡本体10Dをヘッドギア50に連結した状態と、拡大鏡本体10Dを支持アーム100で支持した状態とにおいて、それぞれの状態において適した視準方向で観察することができ、操作性をさらに向上することができる。
視準方向を調整するための別の構成として、図8(b)及び図10に示す脱着型拡大鏡1Eは、拡大鏡本体10Eに、接眼レンズ部12に対する対物レンズ部11の方向を調整する視準方向調整部を設けている。視準方向調整部は、接眼レンズ部12に対する対物レンズ部11の位置を調整するとともに、対物レンズ部11から入光した光学像を接眼レンズ部12に向かうように光路を調整する調整ミラー18を内蔵しており、調整ミラー18は、接眼レンズ部12に対する対物レンズ部11の位置調整に伴って調整ミラー18の向きが調整されるように構成されている。
例えば、脱着型拡大鏡1Eで水平方向に視準する場合は、図10(a)に示すように、支持アーム100で支持された状態において、接眼レンズ部12に対して対物レンズ部11が水平となるように位置調整される。このとき、調整ミラー18は、対物レンズ部11から入光した光学像はそのまま接眼レンズ部12を通るため、調整ミラー18は、光学像が通る領域外に回避している。
これに対し、例えば、脱着型拡大鏡1Eで斜め下方向を視準する場合は、図10(b)に示すように、接眼レンズ部12に対して対物レンズ部11が斜め下方となるように位置調整されるとともに、対物レンズ部11の位置調整に伴って移動した調整ミラー18によって、対物レンズ部11から入光した光学像の進行方向は斜め上向きの方向から水平方向に屈曲し、接眼レンズ部12を通るようになる。
また、例えば、脱着型拡大鏡1Eで下方向を視準する場合は、図10(c)に示すように、接眼レンズ部12に対して対物レンズ部11が下方となるように位置調整されるとともに、対物レンズ部11の位置調整に伴って移動した調整ミラー18によって、対物レンズ部11から入光した光学像の進行方向は上向きの方向から水平方向に屈曲され、接眼レンズ部12を通るようになる。
このように、脱着型拡大鏡1Eでは、支持アーム100による支持状態で、接眼レンズ部12に対する対物レンズ部11の位置を調整するとともに、対物レンズ部11の位置調整に伴って移動する調整ミラー18によって、対物レンズ部11から入光した光学像はその進行方向を水平方向に調整され、接眼レンズ部12を通るように調整することができる。
このように、接眼レンズ部12から対物レンズ部11を介して観察する視準方向を調整する調整ミラー18を備えた拡大鏡本体10Eは、調整ミラー18によって接眼レンズ部12から対物レンズ部11を介して観察する視準方向を調整することができ、拡大鏡本体10Eをヘッドギア50に連結した状態と、拡大鏡本体10Eを支持アーム100で支持した状態とにおいて、それぞれの状態において適した視準方向で観察することができ、操作性をさらに向上することができる。
視準方向を調整するための別の構成として、図8(c)及び図11に示す脱着型拡大鏡1Aが装着される支持アーム100bは、装着された拡大鏡本体10の前方に視準方向調整アタッチメント110が設けられており、脱着型拡大鏡1Aは、視準方向調整アタッチメント110を介して観察部位を観察するように構成されている。
なお、視準方向調整アタッチメント110には、接眼レンズ部12に対する対物レンズ部11の視準方向を調整する視準方向調整部と機能する方向調整ミラー111が設けられており、図示省略する操作部によって、その配向方向を調整可能に構成されている。
例えば、脱着型拡大鏡1Aで水平方向に視準する場合は、図11(a)に示すように、支持アーム100bで支持された状態において、視準方向調整アタッチメント110を経由した光学像はそのまま対物レンズ部11に入光されるため、方向調整ミラー111は、光学像が通る領域外に回避している。
これに対し、例えば、脱着型拡大鏡1Aで斜め下方向を視準する場合は、図11(b)に示すように、斜め下方から視準方向調整アタッチメント110へと入光する光学像を対物レンズ部11に入光されるように位置調整された方向調整ミラー111を経由させることによって、光学像の進行方向が水平方向に屈曲し、対物レンズ部11から入光されるようになる。
また、例えば、脱着型拡大鏡1Aで下方向を視準する場合は、図11(c)に示すように、下方から視準方向調整アタッチメント110へと入光する光学像を対物レンズ部11に入光されるように位置調整された方向調整ミラー111を経由させることによって、光学像の進行方向が水平方向に屈曲され、対物レンズ部11から入光されるようになる。
このように、図11に示した脱着型拡大鏡1Aでは、支持アーム100bによる支持状態で、視準方向調整アタッチメント110における方向調整ミラー111の位置調整によって、さまざまな視準方向にある観察部位の光学像を対物レンズ部11から入光するように調整することができる。
また、視準方向調整アタッチメント110は、対物レンズ部11と観察部位との間の位置にあり、支持アーム100bに対して固定されており、すなわち、脱着型拡大鏡1Aの外部に設置された追加の光学系であり、拡大鏡本体10Aによる視準方向を調整する視準方向調整部として機能しているが、上記追加の光学系には、視準方向調整アタッチメント110以外の光学素子や、上記を組み合わせたものであってもよい。例えば、カバーガラス、カラーフィルタ、照明用光源などの光学素子や、後述する倍率変換レンズであってもよい。上記追加の光学系を備えることにより、脱着型拡大鏡1Aで観察する観察視野に対して、観察内容に応じてより適切に観察することができる。
上記追加の光学系に含まれる光学素子の例として、例えば、観察部位を観察する際の拡大倍率を変換する倍率変換レンズ(図示省略)が備えられてもよい。上記倍率変換レンズを経由した光学像を脱着型拡大鏡1Aを通して観察することで、倍率変換レンズを経由しない場合とは異なる拡大倍率にて、観察部位を観察することができる。また、倍率変換レンズとしてズーム式やリボルバー式の倍率可変レンズとすることで、さまざまな拡大倍率の中から所望の倍率を選択して、観察部位を観察することができる。
ここで、上記ズーム式・リボルバー式といった機構を有する倍率変換レンズや、方向調整ミラーを駆動する調整機構を有する視準方向調整アタッチメント110は一般に重量が大きくなるが、当該倍率変換レンズは支持アーム100bに対して固定されているため、支持アーム100bから分離して頭部に装着する部分(分離部)の重量増加には寄与しないため問題とはならない。
具体的には、視準方向の調整や、レンズの拡大倍率を高倍率に設定しての観察動作は、拡大鏡本体10を支持アーム100bに固定した状態でのみに必要であることが多い。例えば、頭部Hに装着した状態の拡大鏡本体10を使用する際にレンズの拡大倍率を高倍率としてしまうと、観察者Mの視界が極端に小さくなり、頭を動かした際に周囲の障害物に気づかず、障害物に頭部Hが接触するなどの危険があるため、ある程度の広さの視野を確保できる低倍率とした方が有利である。
また、脱着型拡大鏡1Aを頭部Hに装着した状態では、頭部Hを動かせば視準方向もそれに応じて自由に可動するため、方向調整ミラー等は設けなくとも十分である。すなわち、この構成により、分離部として支持アーム100bから分離した頭部Hに装着する部分の構成が最低限、すなわち小型軽量となり、操作性を向上することができ、観察者の満足度と安全性も向上する。
これまで説明した脱着型拡大鏡1は、上述したようにアナログ式の拡大鏡であっても、デジタル式の拡大鏡であってもよいが、以下において、デジタル式であり、接眼レンズ部12が分離部として拡大鏡本体10Fから分離されるデジタル式脱着型拡大鏡1Fについて、図12(a)及び図13とともに説明する。
デジタル式脱着型拡大鏡1Fは、図12(a)及び図13に示すように、拡大鏡本体10Fと、制御部60と、バッテリ70とで構成されている。拡大鏡本体10Fは、対物レンズ部11を有するベース体20と、接眼レンズ部12を有する分離体30とで構成されており、ベース体20と分離体30とを脱着可能に連結する分離連結部40を備えている。また、後述するように、ベース体20と分離体30とは、図示省略する通信部によって制御部60を介して接続されている。
ベース体20は、分離連結部40によって分離体30の前方に脱着可能に連結され、対物レンズ部11と、本体側着脱部14Eと、後述する分離側連結部42とで分離連結部40を構成するベース側連結部41を備えている。本体側着脱部14Eの嵌合に関する構成は、脱着型拡大鏡1Aにおける本体側着脱部14と同様の構成であるが、デジタル式である脱着型拡大鏡1Eは駆動するための電力が必要であるため、アーム側着脱部103に嵌合された状態で、支持アーム100からバッテリ70を備えたベース体20へと電力が供給されるように構成されている。
また、後述する分離側連結部42とで分離連結部40を構成するベース側連結部41は、分離側連結部42と嵌合することで連結可能であり、頭部側連結部53と嵌合する本体側連結部15と同様の嵌合構造で構成されているが、本体側着脱部14Eと同様に、本体側着脱部14Eを介して供給された電力を分離体30に供給可能に構成している。
また、ベース体20は、対物レンズ部11に、観察部位の光学像を光学情報として検出するイメージセンサで構成するカメラ21(撮像部に相当。例えば、可視光を撮像可能な可視光立体カメラ。)を備えている。なお、立体カメラを構成する脱着型拡大鏡1Eでは、左右の視差を有する光学像を検出するため左右の対物レンズ部11のそれぞれに対して左眼用カメラ21aと右眼用カメラ21bとが設けられている。
なお、カメラ21は、図示省略する通信部によって後述する制御部60に接続されている。
また、カメラ21は、左右の眼の視差を利用して観察する両眼タイプ(双眼タイプ)でなくとも1眼タイプの立体カメラであってもよい。
1眼タイプの立体カメラとしては、例えば、三角法、合焦法、Time of Flight法、ライトフィールドカメラ、RGB−Dカメラなどの公知の三次元計測原理を採用した三次元カメラを用いてもよい。また、カメラ21が撮像可能な光の波長帯域は可視光に限らず、赤外光、紫外光、特定の励起光に応じて発光する蛍光色等、様々な波長帯域としてもよい。
また、カメラ21(21a,21b)とは別の三次元計測器を拡大鏡本体10Fの内部または外部に組み込み、別の三次元計測器を用いて観察対象の三次元表面形状情報を取得し、三次元表面形状情報に対して、カメラ21(21a,21b)で撮像した画像を表面テクスチャとして貼り付けることで、立体的な光学像を得る構成としてもよい。また、両眼タイプと1眼タイプを例に挙げたが、もちろん3眼タイプ等、3つ以上の角度で撮像した画像に基づいて立体的な光学像を得る構成であってもよい。
分離体30は、ヘッドギア50のヘッドギア本体51と、取付支持部52を介して一体構成されており、ベース側連結部41と嵌合して分離連結部40を構成する分離側連結部42と、内部における接眼レンズ部12に対応する箇所に表示部31を備えている。
表示部31(31a,31b)は、撮影した画像情報を液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等や、スクリーンに対してプロジェクタを用いて画像を投影するタイプの表示部や、半透過型ディスプレイで構成される表示部や、レーザ走査で観察者Mの網膜に書き込むタイプ、さらには、立体カメラで撮像された立体画像を立体的に表示できるタイプであってもよい。
立体的に表示できる表示部31(31a,31b)の例として、例えば2つのディスプレイ31a,31b(または単一のディスプレイを画面分割し、分割した各領域に別の画像を表示できるようにしたもの)を用いて、視差のある2種の画像(右眼用画像・左眼用画像)を、観察者Mの右目と左目に向けて別々に表示する構成としてもよいし、単一の立体ディスプレイ(シャッタ方式、偏光方式、アナグリフ方式、ライトフィールド方式等の公知の原理に基づく立体ディスプレイ)を用いてもよい。
視差のある2種の画像(右眼用画像・左眼用画像)を得る方法としては、双眼タイプの立体カメラで撮像した光学像であれば、異なる角度で撮像した2種の画像そのものを、右眼用画像・左眼用画像としてもよいし、その他の立体カメラで取得した立体的な光学像であれば、立体的な光学像に対して演算処理(例えばレンダリング処理)を施すことによって、任意の2種の角度で見た画像を計算し、右眼用画像・左眼用画像として取得してもよい。
なお、表示部31に表示される光学像は、動画像(映像)、静止画像、あるいは静止画像のコマ送りなどであってもよい。
分離側連結部42は、ベース側連結部41と嵌合することで連結可能であり、本体側連結部15と嵌合する頭部側連結部53と同様の嵌合構造で構成されているが、ベース側連結部41と嵌合した状態で供給された電力を受電可能に構成している。また、分離側連結部42とベース側連結部41とが嵌合した状態で、ベース体20と分離体30とが制御部60を介して、デジタル情報を通信可能に接続される。
分離体30の内部に設けられた表示部31は、図示省略する通信部(情報伝達部に相当)によって後述する制御部60に接続され、カメラ21で検出した光学像を表示し、接眼レンズ部12から観察可能に構成されている。なお、表示部31は、左眼用カメラ21aと右眼用カメラ21bとで検出した左右の視差を有する光学像を左右の接眼レンズ部12から観察できるように、左右の接眼レンズ部12のそれぞれに対して左眼用表示部31aと右眼用表示部31bとが設けられている。
上述したように、カメラ21及び表示部31が図示省略する通信部によって接続される制御部60は、CPUとROMとRAM等で構成されており、カメラ21で検出した光学像に基づき、表示部31で表示する画像を生成する画像生成部61を有している。
なお、制御部60は、ベース体20及び分離体30のいずれか、あるいは、ベース体20や分離体30と異なる場所に設けられてもよい。あるいは、制御部60はベース体20、分離体30、その他の場所など、複数の場所に設けられてもよくそれぞれが別の処理を行うよう構成されてもよい。
また、分離体30には、蓄電部に対応するバッテリ70が備えられており、少なくとも分離体30における表示部31をバッテリ70の電力によって表示可能に構成し、ベース体20に対して分離体30が連結された状態では、分離連結部40を介してベース体20のカメラ21に対して電力を供給するように構成している。
なお、バッテリ70は、分離体30に内蔵されず、外部に配置されていてもよいし、ベース体20に配置されてもよく、さらには、ヘッドギア50に設けてもよい。また、上述の説明ではバッテリ70として、外部からの給電により充電可能な蓄電池を想定した説明としたが、充電できない交換式の乾電池等や、充電可能な蓄電池と乾電池との組み合わせや、太陽電池等の他の電源と組み合わせたものとしてももちろんよい。
また、バッテリ70の電力を表示部31の表示のために使用する例を示したが、前記電力のその他の用途として、例えば、支持アーム100やヘッドギアの振動・位置・姿勢等を検知するセンサ(ジャイロセンサ等)、別の三次元計測器、観察部位周辺を明るく照らすための照明光源、ロック機構のロック状態を検知するセンサ、レンズのズームやフォーカス状態を電気駆動にて調整するためのアクチュエータやアイリスなど、各種電子デバイスの駆動のために用いてもよい。
このように構成されたデジタル式脱着型拡大鏡1Fは、図13(a)に示すように、支持アーム100の先端に設けたアーム側着脱部103を本体側着脱部14Eに嵌合させて、支持アーム100に支持されたベース体20に対して、分離連結部40におけるベース側連結部41と分離側連結部42との嵌合を解放し、頭部Hに装着したヘッドギア50に一体構成された分離体30を分離部として支持アーム100及びベース体20から分離させることができる。
また、図13(b)に示すように、分離体30を、ベース側連結部41と分離側連結部42とを嵌合させ、ベース体20に連結するとともに、ベース体20における本体側着脱部14Eと支持アーム100の先端に設けたアーム側着脱部103との嵌合を解消させることで、拡大鏡本体10Fを分離部として支持アーム100から分離させることができる。
このように、図13(a)及び(b)に示すように、分離体30を分離部として支持アーム100及びベース体20から分離したり、拡大鏡本体10Fを分離部として支持アーム100から分離したりすることで、さまざまな観察形態に切り替えることができ、いずれの形態においてもベース体20に内蔵されたカメラ21で観察部位の光学像を撮像することができる。
そして、頭部Hに装着したヘッドギア50のヘッドギア本体51に対して一体化された分離体30の接眼レンズ部12を介して、観察者Mは、内蔵された表示部31に表示された画像として、ベース体20に内蔵されたカメラ21で検出した観察部位の光学像を観察することができる。
なお、分離体30がベース体20に対して分離連結部40によって連結され、支持アーム100に支持された状態であっても、分離部として分離体30がベース体20から分離された状態であっても、カメラ21及び表示部31は図示省略する通信部で制御部60に接続されているため、上述したように、観察者Mは、内蔵された表示部31に表示された画像として、ベース体20に内蔵されたカメラ21で検出した観察部位の光学像を観察することができる。
また、デジタル式であるデジタル式脱着型拡大鏡1Fは、表示部31にカメラ21で検出した観察部位の光学像を表示するだけでなく、例えば、図2に示す外部のモニタ240を制御部60に接続することによって、モニタ240にカメラ21で検出した観察部位の光学像を表示することができる。
このように、デジタル式脱着型拡大鏡1Fは、観察部位の光学像を画像として撮像するカメラ21(21a,21b)がベース体20に備えられ、分離体30に、カメラ21(21a,21b)で撮像された観察部位の光学像を表示する表示部31(31a,31b)が備えられ、カメラ21(21a,21b)で撮像された観察部位の光学像に関する情報を分離体30に設けた表示部31(31a,31b)に伝達する通信部を備えているため、レンズ等を組み合わせて光学経路を構成するアナログ式に比べ、さまざまな仕様に対応することができる。
すなわち、アナログ式では、レンズ等を配置し光学像を伝送させるための一定サイズの空洞が拡大鏡本体10Fの内部に必要であり、かつ空洞には光学像を遮るような部品を配置することができないため、設計上の制約を受けるが、一方でデジタル式では、光学像に関する情報を電力信号等に変換し細径かつ屈曲容易なケーブル等の伝送路を用いて伝送させることができるため、設計の自由度が向上し、拡大鏡本体10Fの小型化等を図ることができる。
また、カメラ21(21a,21b)で撮像された光学像はデジタル情報であるため、アナログ式の拡大鏡本体10に比べ、例えば、画像に対して鮮明度を強調する処理や、色補正処理などの光学像に対して様々な加工や処理を施しやすく、また光学像を、静止画像や動画像として録画する等の機能も付与することができ、利便性を向上することができる。
また、拡大鏡本体10Fは、デジタル式であるため、無線型の通信部を用いて分離された分離部との接続がなされるため、ベース体20に対して分離体30を分離可能に構成することができ、支持アーム100で支持されたベース体20と分離体30を分離し、ベース体20で撮像された光学像をヘッドギア50に連結した分離体30で観察することができる。そのため、拡大鏡本体10Fの全部を支持アーム100から取り外してヘッドギア50に連結する場合に比べてコンパクト且つ軽量であり、観察者Mにとっての負担を軽減することができる。
なお、ヘッドギア50の取付支持部52に固定された分離体30が分離部としてベース体20に対して着脱自在に構成されたデジタル式脱着型拡大鏡は、例えば、図16(a)に示すようなヘッドマウントディスプレイ(HMD)1Faで構成してもよい。
観察者Mの頭部に装着するHMD1Faは、観察者Mの視野に相当する表示部31(31a,31b)が備えられており、画像生成部61で生成した画像を、無線通信によって制御部60から受信して表示することができる。
また、診療ユニットXとして、カメラ21(21a,21b)で撮像された観察部位の光学像を表示するモニタ240が備えられており、モニタ240は、接眼レンズ部12に設けられた表示部31(31a,31b)とは別の表示機構であるため、接眼レンズ部12から観察部位を観察する観察者M以外の人も観察することができる。例えば、歯科診療において、被観察者である患者から見ることができる位置にモニタ240を配置することで、診療状況の患者への説明や、インフォームドコンセントなどに有効である。
なお、モニタ240は、接眼レンズ部12に設けられた表示部31(31a,31b)と同じ画像を表示させてもよいし(クローン表示)、例えば、表示倍率や色や、患者情報など表示される情報数が異なる等の別の画像を表示してもよい。
また、モニタ240は、テレビ型のディスプレイや、スクリーンに映像を投影するプロジェクタでもよいし、複数あってもよい。さらには、メガネ型等のHMD等の形態であってもよい。
また、モニタ240は、例えば、図16(b)に示すようなメガネ型のヘッドアップディスプレイ(HUD)240aで構成してもよい。
また、観察者Mがメガネのように装着するHUD240aは、前面のグラス部分に半透過状に投影する投影機(図示省略)が表示部31(31a,31b)として機能し、図12に示す画像生成部61によって生成された画像情報を、無線通信によって制御部60から受信して半透過状に表示する構成である。
なお、HUD240aには、観察者の視線の方向や動きを検出する視線検出部(図示省略)や、観察者Mごとの視線の動きの癖や眼球位置の個体差などを校正データとして記憶する校正情報記憶部(図示省略)、前記校正データや前記視線の方向や動きに応じてHUD240aに表示する画像の表示位置や縮尺を調整する画像補正部(図示省略)があってもよい。
また、HUD240aの画像を表示するグラス部は、一部の領域が不透明(例えば、グラス部の片面が遮光体でマスクされていて現実の視界が遮られている状態で、表示される画像だけをはっきりと視認できる)であり、残りの領域が透明(現実の視界と、表示される画像とが重なって見える)であるような構成でもよい。
なお、表示部31と制御部60の接続については、図12(b)に示すように、無線によって通信可能に構成してもよい。図12(b)に示す無線デジタル式脱着型拡大鏡1Gは、上述のデジタル式脱着型拡大鏡1Fの構成に加え、制御部60に無線通信部62を備えるとともに、分離体30にも無線通信部32を備えることによって、無線通信部32,62が無線通信することで、分離体30がベース体20に対して分離部として分離された状態であっても、ベース体20と分離体30とが分離連結部40によって連結された状態であっても、観察者Mは、内蔵された表示部31に表示された画像として、ベース体20に内蔵されたカメラ21で検出した観察部位の光学像を観察することができる。
もちろん、表示部31と制御部60の接続に加え、カメラ21と制御部60の接続でも無線通信するようにベース体20に無線通信部を備えてもよいし、例えば、制御部60が分離体30に備えられた場合、制御部60と表示部31とを電気回路で接続し、カメラ21とだけ制御部60と無線通信するように構成してもよい。
このように、無線デジタル式脱着型拡大鏡1Gは無線通信可能な無線通信部32,62を備えているため、カメラ21(21a,21b)で撮像された観察部位の光学像に関する情報を接眼レンズ部12に設けた表示部31(31a,31b)に伝達する通信部が有線である場合に比べ、無線で構成された無線通信部32,62は操作性や観測者の動きが制限されることがなく、取扱い性が向上するため、観察者Mの満足度を向上することができる。
これまでの説明では、アナログ式かデジタル式のいずれかで構成された脱着型拡大鏡1について説明したが、以下において、例えば、観察用途に応じてアナログ式かデジタル式かを切り替え可能に構成されたデジタル−アナログ切替式脱着型拡大鏡1H、及び、アナログ式とデジタル式とを併用可能に構成されたデジタル−アナログ併用式脱着型拡大鏡1Jについて、図14とともに説明する。なお、図14(a)の上半側がデジタル−アナログ切替式脱着型拡大鏡1Hにおいてアナログ式で観察する場合を図示し、下半側がデジタル式で観察する場合を図示している。
図14(a)に示すデジタル−アナログ切替式脱着型拡大鏡1Hは、対物レンズ部11と接眼レンズ部12の他に、デジタル−アナログ切替式拡大鏡本体10Hの内部に可動式のミラー80a,80bと、カメラ21Hと、表示部31Hとが設けられている。
カメラ21H及び表示部31Hは、対物レンズ部11と接眼レンズ部12とを結ぶ光学経路の外に配置されている。詳しくは、カメラ21Hは、対物レンズ部11に近い側の側面に沿って、撮像素子で構成されたカメラ21Hの検出面が光学経路に向くように配置され、表示部31Hは、接眼レンズ部12に近い側の側面に沿って、画像を表示する表示面が光学経路に向くように配置されている。
ミラー80aとミラー80bとは、光学経路の外と内とに回動可能に構成されており、図14(a)の上半側に図示するように、アナログ式で観察する場合には、対物レンズ部11と接眼レンズ部12とを結ぶ光学系路外に配置されている。
より詳しくは、カメラ21Hに対応するミラー80aは光学経路を挟んで対向する向きで配置され、表示部31Hに対応するミラー80bは光学経路と表示部31Hとの間に配置されている。これにより、対物レンズ部11から入光された観察部位の光学像を、ミラー80a,ミラー80bに邪魔されることなく、接眼レンズ部12を介して観察者Mが観察することができる。
図14(a)の下半側に図示するように、デジタル式で観察する場合には、ミラー80a,80bは回動し、対物レンズ部11と接眼レンズ部12とを結ぶ光学系路内に配置される。詳しくは、カメラ21Hに対応するミラー80a及び表示部31Hに対応するミラー80bは対物レンズ部11側の端部を軸として、それぞれ反時計回り及び時計回りに回動し、ミラー80a及びミラー80bはデジタル−アナログ切替式拡大鏡本体10Hの幅方向中心に向かって広がるハの字状となる。
これにより、対物レンズ部11から入光された観察部位の光学像は、ミラー80aによって光路方向が調整されカメラ21Hで検出することができる。そして、制御部60の画像生成部61で生成され、表示部31Hに表示された画像は,ミラー80bによって光路調整され、接眼レンズ部12を介して観察者Mが観察することができる。
なお、ミラー80a,ミラー80bの回動は、デジタル−アナログ切替式拡大鏡本体10Hの外部に操作部を設けて手動で操作してもよいし、図14(a)において点線で示すように、ミラー80a,ミラー80bを回動させるミラー駆動部81(図示省略)をデジタル−アナログ切替式拡大鏡本体10Hの内部に設けるとともに、制御部60にミラー駆動部81を制御するミラー駆動制御部63を設けて、ミラー駆動制御部63によってミラー駆動部81を駆動制御して、自動的にミラー80a,ミラー80bを回動させてもよい。
また、ミラー80a及び80bは、上述したような回動動作によって光学経路中への出現有無を切り替えてもよいが、別の動作によって切り替えが実現されてもよい。例えば、光学経路に対して略45°に傾いたミラー80a及び80bが、紙面垂直手前方向にせり上がったり、紙面垂直奥行方向に沈んだりする機構でもよい。
また、図14(b)に示すデジタル−アナログ併用式脱着型拡大鏡1Jでは、上述したアナログ式かデジタル式かを切り替え可能に構成されたデジタル−アナログ切替式脱着型拡大鏡1Hと異なり、アナログ式とデジタル式とを併用可能に構成されている。
デジタル−アナログ併用式脱着型拡大鏡1Jは、観察者Mは接眼レンズ部12を介してアナログ式で観察するとともに、外部のモニタ240にも観察部位の光学像を表示可能にする拡大鏡であり、対物レンズ部11及び接眼レンズ部12に加え、デジタル−アナログ併用式拡大鏡本体10Jの内部に、カメラ21Jと、ハーフミラーなどで構成するビームスプリッタ82を備えている。
詳述すると、カメラ21Jは、デジタル−アナログ切替式脱着型拡大鏡1Hのカメラ21Hと同様に、対物レンズ部11と接眼レンズ部12とを結ぶ光学経路の外において、対物レンズ部11に近い側の側面に沿って、撮像素子で構成されたカメラ21Jの検出面が光学経路に向くように配置されている。
ハーフミラーで構成されたビームスプリッタ82は、対物レンズ部11と接眼レンズ部12とを結ぶ光学系路内において、対物レンズ部11から入光された光学像の一部を透過して接眼レンズ部12を介して観察者Mが観察するとともに、一部を反射してカメラ21Jで観察可能に、対物レンズ部11と接眼レンズ部12とを結ぶ方向に対して交差するとともに、カメラ21Jと斜め方向に対向する向きで配置される。
これにより、上述したように、観察者Mは、対物レンズ部11から入光され、ビームスプリッタ82を透過する光学像の一部を接眼レンズ部12を介して観察者Mが観察するとともに、ビームスプリッタ82を反射し、カメラ21Jで検出した光学像を外部のモニタ240で表示することができる。
なお、デジタル式であるデジタル式脱着型拡大鏡1は、上述したように、カメラ21で検出した観察部位の光学像を表示部31で表示するだけでなく、カメラ21で検出した観察部位の光学像に加えて、X線CT撮影装置によって取得した三次元X線画像情報やシミュレーションに関する画像や観察部位に関する情報などの各種情報を三次元的に合成・重畳した状態で表示部31に表示、あるいは並列した状態や切り替えて表示部31に表示してもよい。
このように、カメラ21で検出した観察部位の光学像に加えて、上述の各種情報を三次元的に合成・重畳した状態で表示、あるいは並列した状態や切り替えて表示する複合観察ユニットYKは、図15に示すように、複合デジタル式脱着型拡大鏡1Kに加えて、制御部60、各種情報記憶部80、及び三次元位置検出部260で構成している。
複合デジタル式脱着型拡大鏡1Kは、上述のデジタル式脱着型拡大鏡1Fと同様の構成であるため、説明は省略する。
制御部60は、CPUとROMとRAM等で構成されており、以下の機能的構成を備えている。
詳述すると、制御部60には、画像生成部61、相対位置算出部65、及び表示方向調整部66を備えている。なお、制御部60は、複合デジタル式脱着型拡大鏡1Kと別に構成しても、複合デジタル式脱着型拡大鏡1Kの中に設けてもよい。
ここで、一例として、ステレオ式の立体カメラ21(例えば、可視光を撮像可能な可視光立体カメラ。単に、カメラとも称す。)で検出した観察部位の光学像とともに三次元X線画像情報をステレオ式の立体ディスプレイである表示部31に重畳させて表示する場合について説明する。図15に示す画像生成部61は、表示部31に表示する各種画像を生成する処理部であり、左眼用表示部31aと右眼用表示部31bとに表示する別々の画像を生成する。
具体的には、左眼用表示部31aに表示する画像は、左眼用カメラ21aで撮像した観察部位の光学像と、三次元X線画像情報を所定の視点から二次元投影視した二次元投影視X線画像とを重畳したもので構成され、右眼用表示部31bに表示する画像も同様に、右眼用カメラ21bで撮像した観察部位の光学像と、三次元X線画像情報を、上記とは別の視点から二次元投影視した二次元投影視X線画像とを重畳したもので構成される。
以下、左眼用表示部31aと右眼用表示部31bとで処理が同様のため、簡単のため左眼用表示部31aについてのみ説明する。画像生成部61は、重畳する両画像(二次元投影視X線画像と、カメラ21aで撮像した光学像)の透明度比の調整及び足し合わせを行い、また、必要に応じて重畳する両画像に対して、明度補正・コントラスト補正・カラーバランス補正といったデジタル画像処理を行う。
相対位置算出部65は、図2にて上述した三次元位置検出部260によって三次元位置を検出した複合デジタル式脱着型拡大鏡1Kの対物レンズ部11及び観察部位の三次元相対位置を算出する算出部である。表示方向調整部66は、相対位置算出部65によって算出された三次元位置検出部260と観察部位との三次元相対位置に基づき、前述の二次元投影視X線画像を生成する際の所定の視点の座標位置を決定するための処理部である。
具体的には、重畳する両画像(二次元投影視X線画像と、カメラ21aで撮像した光学像)がぴったり重なるように表示部31aに表示させるためには、前記所定の視点は、三次元X線画像情報における観察部位(歯列等)の三次元位置から、前記三次元相対位置だけ離れた座標位置に設定するのがよい。
そのため、表示方向調整部66は、前記三次元X線画像情報の座標系と観察部位の三次元位置の座標系とを、ボールマーカや、CT撮影時装着に装着するマウスピース型の治具等の基準物体を介した方法や、特徴点マッチング方等の公知の手法により対応させることで、前記所定の視点の座標位置を決定することができる。
上述したような処理により、左眼用表示部31aについて左眼用カメラ21aで撮像した観察部位の光学像と、三次元X線画像情報を所定の視点から二次元投影視した二次元投影視X線画像とが重畳された画像が得られる。また同様の処理により右眼用表示部31bについても、重畳表示する各種画像が得られる。すなわち、左眼表示用の各種画像に対して、視差が付与された各種画像が右眼表示用として得られる。
よって、上述のような重畳された状態でありかつ視差のある各種画像を、左眼用表示部31aと右眼用表示部31bとに別々に表示することで、観察者Mは立体ディスプレイ31を用いて、前記観察部位の光学像を、三次元X線画像情報が重畳された状態、かつ立体的に観察することができる。
なお、前記観察部位の光学像と前記三次元X線画像情報とを、上述のように重畳された状態で表示するのではなく、例えば、表示部31において並列して表示する場合においては、並列表示された両画像の見える方向は、ぴったり一致している必要が必ずしも無い。
例えば、観察部位の光学像が見えている方向とは異なる視点で三次元X線情報を確認したい状況などもある。その際には、三次元X線画像情報を投影視する際の前記所定の視点の座標位置は、上述のように前記三次元相対位置に基づいて一意に決定するのではなく、表示方向調整部66によって任意の位置となるよう調整してもよい。例えば、フートコントローラ等の操作に応じて、前記所定の視点の座標位置を調整できるようにしてもよい。
また、制御部60は、分離可能に構成されたベース体20と分離体30とのいずれか一方あるいは両方にあってもよく、さらには、拡大鏡本体10Kとは別体で設けられてもよい。また、分離可能に構成されていない形態のデジタル式の脱着型拡大鏡1を用いても、もちろん複合観察ユニットYKを構成することができ、制御部60は、拡大鏡本体10に備わっていたり、あるいは拡大鏡本体10とは別体で設けられていてもよい。
各種情報記憶部80は、HDD、SSD、あるいはRAMなどの記憶装置で構成され、制御部60に接続されるとともに、制御部60の制御によって各種情報の格納あるいは取出しを行う記憶部であり、例えば、X線CT撮影装置によって取得した三次元X線画像情報など、施術対象部位の三次元画像情報や、観察部位に関する情報などを記憶している。
なお、三次元情報としては、核磁気共鳴画像、超音波三次元画像、光干渉断層撮影装置、三次元口腔スキャナで取得した三次元スキャンデータ(モノクロまたはカラー)、インプラントの三次元画像情報、支台歯形成用の三次元モデル情報、あるいはそれらのstlデータ(三次元座標情報と表面テクスチャの法線情報の両方を有する情報)等を三次元X線画像の代わりに、あるいは三次元X線画像とともに記憶してもよい。
また、三次元画像情報を取得するための装置としては、X線コーンビームを被写体に照射し、被写体の回りを旋回するX線検出部で検出することで三次元画像情報を取得するX線CT撮影装置、核磁気共鳴画像を取得する核磁気共鳴撮影装置(MRI)、超音波三次元画像を取得する超音波診断撮影装置、光干渉三次元画像を取得する光干渉断層撮影装置、及び三次元スキャンデータを取得する三次元口腔スキャナなどであってもよい。
三次元位置検出部260は、図2にて上述したように、アーム231の先端に設けられ、観察部位の三次元位置を検出する観察箇所位置検出部261と、複合デジタル式脱着型拡大鏡1Kの対物レンズ部11の三次元位置を検出する対物部位置検出部262とで構成されている。観察箇所位置検出部261や対物部位置検出部262は、三次元位置を検出する検出対象に対して剛体的に装着された設けた複数の球状の位置検出マーカ(図示省略)を視準して三次元位置を検出する構成であってもよいし、検出対象に含まれる特徴点を画像認識することで三次元位置を検出する画像認識位置検出機構で構成してもよい。
さらには、検出対象に反射板を設け、反射板にレーザ光線を照射して、その反射光を測定することによって、三次元位置を測定したり、反射部で反射する赤外線により位置検出する赤外線センサ検出部、あるいは電波発信機から発信された電波信号により位置検出する電波検出部で構成してもよい。
検出対象は、患者の歯などの観察部位だけに限らず、複数あってよい。例えば、診療器具等にも上述の位置検出マーカを設け、三次元位置検出部260(立体カメラなど)で視準することで、観察部位の三次元位置の検出と同時に診療器具等の三次元位置が検出可能となる。
また、表示部としてHUD240aを使用する場合、HUD240aに位置検出マーカ等を設けることで、前記三次元位置検出部260は、HUD240aの三次元位置を検出してもよい。これにより、HUD240aの三次元位置と、観察部位の三次元位置の相対位置が決定されるため、HUD240aに備わっている前記視線検出部(図示省略)や校正情報記憶部(図示省略)での処理と組み合わせることで、現実の視界としてHUD240aの透明なグラス部を通じて見えている前記観察部位の方向を検出することができる。
これにより、現実の視界と、HUD240aのグラス部に半透過状に表示する画像とが、連動して同じ角度に見えるよう、HUD240aに備わった画像補正部や制御部60に備わった表示方向調整部66が機能してもよい。
また、観察箇所位置検出部261と対物部位置検出部262とで種類の異なる検出方法の異なる三次元位置検出機構で構成してもよい。
また、三次元位置検出部260は、図2におけるアーム231の先端の位置にあってもよいし、天井や壁など複合デジタル式脱着型拡大鏡1Kの外部に設置された立体カメラでもよいし、複合デジタル式脱着型拡大鏡1Kが有する立体カメラ自体を、三次元位置検出部260として利用してもよい。複合デジタル式脱着型拡大鏡1Kが有する立体カメラ自体を、三次元位置検出部260として利用する場合、三次元位置そのものが相対位置となるため、相対位置検出部の処理が簡素化できる。
上記ではステレオ式の立体カメラ21で検出した観察部位の光学像とともに三次元X線画像情報をステレオ式の立体ディスプレイである表示部31に重畳させて表示する場合について説明したが、三次元X線画像情報に加えて(あるいは代えて)、該三次元X線画像情報に対して三次元的に座標対応されている別の情報を重畳表示してもよい。例えば、患者の歯に対してインプラント手術を行う場合、インプラントの目標埋入位置を重畳表示することができる。
具体的には、上述した画像生成部61にて、三次元X線画像情報を所定の視点から二次元投影視した二次元投影視X線画像を生成した工程と同様に、インプラントの仮想的な三次元画像を、所定の視点から二次元投影視することで、表示部31に重畳表示するための二次元投影視されたインプラントの画像が生成される。
なお、該インプラントの仮想的な三次元画像は、市販のインプラントシミュレーションソフト等として提供されているような公知の手法によって、前記三次元X線画像情報と三次元的に座標対応された状態で取得することができ、各種情報記憶部80に記憶することができる。
これにより観察者Mは立体ディスプレイである表示部31に重畳表示されたインプラントの仮想的な三次元画像を、インプラントの目標埋入位置として、撮像された観察部位の光学像とともに立体的に確認することができる。
また、表示部31としてHUD240aを使用することにより、上述したようにHUD240aに表示されるインプラントの目標埋入位置の画像と、現実の視界とが、三次元的に連動するよう、HUD240aに備わった画像補正部や制御部60に備わった表示方向調整部66が機能してもよい。
なお、観察部位の光学像とともに三次元X線画像情報やインプラントの目標埋入位置の画像を表示部31に重畳させて表示する場合について説明したが、上述のような重畳表示だけでなく、並列表示したり、あるいは切り替えて表示してもよい。
具体的には、表示部31に表示される各種画像(観察部位の光学像、三次元X線画像情報、インプラントの目標埋入位置の画像)が、コントローラ(例えば、フートコントローラや、タッチ式の操作パネルや、マウス、キーボード、マイク、ジェスチャー入力装置、加速度検知式コントローラなど)への入力操作に合わせて切り替わったり、一定時間おきに自動で切り替わったりするよう操作したり、また、前記コントローラによりインプラントの目標埋入位置の画像の重畳状態(透明度等)を調整したりするように複合観察ユニットYKを構成してもよい。
このように、表示部31(31a,31b)に、カメラ21(21a,21b)で撮像された光学像と異なる画像を、光学像とともに表示する制御部60が備えられているため、例えば、施術のナビゲーションやシミュレーションに関する画像、例えば、インプラントプランニング情報やナビゲーション情報などの情報、レントゲン装置やCT装置やMRI装置で撮影した患者の生体内部の情報、手術具の三次元位置情報、根管治療情報、観察対象である患者に関する情報、施術装置に関する情報など、適宜の情報を、光学像とともに表示でき、観察者Mの満足度をより向上することができる。
以上、本発明の構成と、前述の実施態様との対応において、本実施形態の支持部は支持アーム100に対応し、
以下同様に、
観察器具は拡大鏡本体10に対応し、
観察者は観察者Mに対応し、
頭部は頭部Hに対応し、
頭部装着部はヘッドギア50に対応し、
対物部は対物レンズ部11に対応し、
接眼部は接眼レンズ部12に対応し、
光学像伝送部は光学像伝送部に対応し、
分離部は拡大鏡本体10,脱着型拡大鏡1B,1Cに対応し、
着脱部は着脱部14,103に対応し、
連結部は連結部15,53及び分離連結部40に対応し、
観察装置は脱着型拡大鏡1,1A乃至1E,デジタル式脱着型拡大鏡1F,1Fa,無線デジタル式脱着型拡大鏡1G,デジタル−アナログ切替式脱着型拡大鏡1H及び複合デジタル式脱着型拡大鏡1Kに対応し、
着脱解除部,連結解除部はロック機構に対応し、
回避部は回転連結部16及び回避させる構造(53C、54C、15C、152C)に対応し、
支持側着脱部はアーム側着脱部103に対応し、
分離側着脱部は本体側着脱部14に対応し、
挿し込み部は突出片104に対応し、
視準方向調整部は角度調整部17,調整ミラー18に対応し、
撮像部はカメラ21(21a,21b)に対応し、
表示部は表示部31(31a,31b)に対応し、
情報伝達部は通信部あるいは無線通信部32,62に対応し、
画像制御部は制御部60に対応し、
蓄電部はバッテリ70に対応し、
電力供給部は、本体側着脱部14E,分離連結部40に対応し、
観察ユニットは観察ユニットY,観察ユニットYKに対応し、
関節部は関節部101aに対応し、
表示装置はモニタ240に対応し、
追加の光学系は視準方向調整アタッチメント110、及び倍率変換レンズに対応し、
診療台は診療台220に対応し、
診療ユニットは診療ユニットXに対応するが、上記実施形態に限定するものではない。
例えば、上述の説明では、脱着型拡大鏡1や観察ユニットY、及び診療ユニットXについて歯科診療における観察について説明したが、診療のみならず、実習などに活用してもよいし、さらには、歯科のみならず、耳鼻科や脳外科など精密な診療が必要な他領域においても活用できるし、歯科、医療領域のみならず、脱着型拡大鏡1や観察ユニットYはバイオなどの精密性が求められる分野においても活用することができる。
また、ヘッドギア50は、ヘッドギアタイプだけでなく、ヘルメットタイプ、サンバイザータイプ、ヘッドバンドタイプ、メガネタイプ、観察者Mが視力矯正等のために普段使用しているような一般のメガネのフレームに対してクリップで装着するタイプなど様々なタイプとすることができる。