以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(検体測定装置の概要)
まず、図1を参照して、一実施形態に係る検体測定装置100の概要について説明する。
検体測定装置100は、消耗品を用いて検体の測定を行うように構成されている。
検体は、被検体から採取された生体由来の検体を含む。検体には、測定の対象成分が含まれる。検体は、検体そのものであってもよいし、検体に所定の試薬を添加して調製された測定用試料であってもよい。被検体は、主としてヒトであるが、ヒト以外の他の動物であってもよい。検体測定装置100は、たとえば患者から採取された検体の臨床検査または医学的研究のための測定を行う。生体由来の検体は、たとえば、被検体から採取された血液(全血、血清または血漿)、尿、またはその他の体液などの液体、あるいは、採取された体液や血液に所定の前処理を施して得られた液体などである。また、検体は、たとえば、液体以外の、被検体の組織の一部や細胞などであってもよい。検体測定装置100は、検体中に含有される所定の対象成分を検出する。対象成分は、たとえば、血液や尿検体中の所定の成分、細胞や有形成分を含んでもよい。対象成分は、DNA(デオキシリボ核酸)などの核酸、細胞および細胞内物質、抗原または抗体、タンパク質、ペプチドなどでもよい。
検体測定装置100は、筐体101を備える。また、検体測定装置100は、検体を測定する測定ユニット10を備える。測定ユニット10は、筐体101内に配置されている。また、測定ユニット10は、血球計数装置、血液凝固分析装置、免疫測定装置、尿中有形成分分析装置などの単独の分析装置として機能する測定ユニットである。測定ユニット10は、単独の分析装置としては機能せず、検体測定装置100に含まれる他のユニットとの協働によって、検体の測定を行うために必要な作業を行う構成であってもよい。
測定ユニット10は、検体に含まれる成分の測定を行うように構成されている。具体的には、測定ユニット10は、検体に試薬が添加された測定用試料を測定して、検体の成分を測定する。測定ユニット10による対象成分の測定方法は問わず、化学的方法、光学的方法、電磁気学的方法などの対象成分に応じた方法が採用できる。測定ユニット10による測定結果に基づいて、たとえば対象成分の有無、対象成分の数または量、対象成分の濃度や存在比率などが分析される。
測定ユニット10は、使い捨ての消耗品を使用して測定を行う。使用済みの消耗品は、廃棄物となる。廃棄物は、たとえば1回の測定を行う度に発生する。
消耗品は、たとえば検体を調製するために使用された使用済みのキュベット、検体や試薬などの液体を分注するために使用された使用済みのピペットチップなどを含みうる。使用済みの消耗品は、ユーザによって検体測定装置100から回収され、処分される。
検体測定装置100は、測定ユニット10から発生する使用済みの消耗品を貯留する収容具20を備える。収容具20は、壁部などにより外部に対して区画された内部空間を備え、一定量の使用済みの消耗品を貯留することが可能である。収容具20は、内部空間を構成する箱状又は容器状の構造を有しうる。また、収容具20は、使用済みの消耗品を貯留可能な袋状の部材がかけられた状態で使用されてもよい。
また、検体測定装置100は、収容具20を設置するための載置位置31を含み、筐体101から引き出し可能な引出トレー30を備える。引出トレー30は、筐体101から引き出された状態で、収容具20を引出トレー30から水平方向(XY方向)に取り外し可能に構成されている。
本実施形態の検体測定装置100では、上記の構成によって、収容具20を筐体101から取り出す際に、収容具20が設置された状態の引出トレー30を筐体101から引き出してから、収容具20を引出トレー30から水平方向に取り出すことができる。これにより、収容具20を筐体101から取り出す際に、収容具20の平行を容易に保つことができるので、使用済みの消耗品を貯留する収容具20から使用済みの消耗品がこぼれ落ちることを抑制することができる。また、使用済みの消耗品が貯留された収容具20を上方に取り出す場合に比べて、上方に持ち上げるための大きな力が必要ないので、収容具20を筐体101から容易に取り出すことができる。これらの結果、使用済みの消耗品を貯留する収容具20から使用済みの消耗品がこぼれ落ちることを抑制するとともに、収容具20を筐体101から容易に取り出すことができる。
(検体測定方法)
次に、本実施形態の検体測定方法について説明する。図2に示すように、本実施形態の検体測定方法は、以下のステップS1〜S4を備える。消耗品を用いて検体の測定を行う測定ユニット10において検体を測定する(ステップS1)。測定ユニット10において用いられた消耗品を収容具20に貯留する(ステップS2)。収容具20が載置された状態の引出トレー30が筐体101から引き出される(ステップS3)。筐体101から引き出された引出トレー30から収容具20が水平方向に取り出される(ステップS4)。
本実施形態の検体測定方法では、上記の各ステップによって、収容具20を筐体101から取り出す際に、収容具20が設置された状態の引出トレー30を筐体101から引き出してから、収容具20を引出トレー30から水平方向に取り出すことができる。これにより、収容具20を筐体101から取り出す際に、収容具20を上方に取り出す場合に比べて収容具20の平行を容易に保つことができるので、使用済みの消耗品を貯留する収容具20から使用済みの消耗品がこぼれ落ちることを抑制することができる。また、使用済みの消耗品が貯留された収容具20を上方に取り出す場合に比べて、上方に持ち上げるための大きな力が必要ないので、収容具20を筐体101から容易に取り出すことができる。これらの結果、使用済みの消耗品を貯留する収容具20から使用済みの消耗品がこぼれ落ちることを抑制するとともに、収容具20を筐体101から容易に取り出すことができる。
(廃棄物)
図3および図4に示すように、収容具20は、検体や試薬を収容し、測定のために用いられるキュベット90、および検体を分注するためのピペットチップ93の少なくとも一方を含む使用済みの消耗品を受け入れる。これにより、測定ユニット10において用いられた使用済みの消耗品であるキュベット90やピペットチップ93を収容部に廃棄して、処分することができる。
収容具20が受け入れる使用済みの消耗品は、検体または検体を含んだ検体を収容したキュベットや、検体または検体を含んだ検体を吸引したピペットチップを含む。このような検体と接触した使用済みの消耗品は、バイオハザード用の感染性廃棄物として、他の廃棄物と分けて処分される。
図3では、収容具20は、検体を調製するためのキュベット90を含む使用済みの消耗品を受け入れる。キュベット90は、たとえば検体と試薬とを収容する。図3では、測定ユニット10は、キュベット90に収容された検体の測定を行う。測定ユニット10から発生する測定済みのキュベット90は、収容具20に廃棄される。
図4の例では、収容具20は、検体を分注するためのピペットチップ93を含む使用済みの消耗品を受け入れる。図4では、測定ユニット10が、ピペットチップ93を用いて検体を分注する検体分注部81を含む。検体分注部81は、ノズル82を含み、ノズル82の先端にピペットチップ93を着脱できる。検体分注部81は、ノズル82から負圧を供給することにより、ピペットチップ93内に検体を吸引できる。検体分注部81は、ピペットチップ93内に吸引した検体を図3に示したキュベット90に分注できる。分注後、使用済みのピペットチップ93が収容具20に廃棄される。
(血液凝固測定)
たとえば、図1において、測定ユニット10は、血液凝固測定用のユニットである。血液凝固測定用の測定ユニットは、血液検体と試薬とを混合して測定用試料を調製した後、検体中の血液の凝固反応に伴う変化を測定する。図5に示すように、血液凝固測定用のユニットの測定部11は、検体を収容するキュベット90を保持する容器保持部11aと、キュベット90内の検体に測定光を照射する照射部11bと、検体に照射された光を検出する受光部11cとを含む。このように、測定部11は、キュベット90を受け入れて、受け入れたキュベット90中の検体を測定する。
血液凝固測定用のユニットの測定部11は、検体に試薬を添加することにより調製された測定試料に照射部11bから光を照射し、測定試料に照射された光の透過光または散乱光を受光部11cにより検出する。検体は、血液から分離された血漿または血清である。測定部11は、凝固法、合成基質法、免疫比濁法または凝集法を用いて検体の分析を行う。検体測定装置100は、検出した光に基づいて検体を分析する。
凝固法では、測定試料に光が照射され、試料からの透過光または散乱光の電気信号に基づいて、検体中のフィブリノーゲンがフィブリンに転化する凝固時間が測定される。凝固法の測定項目としては、PT(プロトロンビン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)やFbg(フィブリノーゲン量)などがある。
合成基質法では、測定試料に光が照射され、試料からの透過光の電気信号に基づいて、測定試料中の酵素に対する発色性合成基質の作用による発色度合いが測定される。合成基質法の測定項目としては、ATIII(アンチトロンビンIII)、α2−PI(α2−プラスミンインヒビター)、PLG(プラスミノーゲン)などがある。
免疫比濁法では、検体中の凝固・線溶因子などに対して抗原抗体反応を生じる試薬が検体に添加され、試薬に含有される物質が抗原抗体反応の結果として凝集する。免疫比濁法では、測定試料に光が照射され、試料からの透過光または散乱光の電気信号に基づいて、測定試料中の試薬含有物質の凝集速度が測定される。免疫比濁法の測定項目としては、Dダイマー、FDP(フィブリン分解産物)などがある。
凝集法では、測定試料に光が照射され、試料からの透過光の電気信号に基づいて、測定試料中の血小板などが凝集反応する過程の吸光度変化が測定される。凝集法の測定項目としては、vWF:RCo(フォンビルブランドリストセチンコファクター)や血小板凝集能などがある。
(免疫測定)
また、測定ユニット10は、免疫測定用のユニットであってもよい。免疫測定用の測定ユニットは、血液中の対象成分と試薬中の成分との抗原抗体反応を利用して、対象成分を検出する。対象成分として、たとえば、血液に含まれる抗原または抗体、タンパク質や、ペプチドなどを検出する。免疫測定装置は、血清または血漿を検体として取得して、検体に含まれる抗原または抗体などを定量測定または定性測定する。なお、抗原抗体反応は、抗原と抗体との反応のみならず、アプタマー等の特異的結合物質を用いた反応を含む。アプタマーは、特定の物質と特異的に結合するように合成された核酸分子またはペプチドである。
図6に示すように、免疫測定用のユニットの測定部12は、検体を収容するキュベット90を保持する容器保持部12aと、キュベット90内の検体中の被検物質と結合した標識物質に基づく信号を検出する検出部12bとを含む。このように、測定部12は、キュベット90を受け入れて、受け入れたキュベット90中の検体を測定する。免疫測定用のユニットの測定部12は、キュベット90内の検体から生じた光、すなわち、検体に含まれる被検物質に基づく化学発光を測定する。検体測定装置100は、測定部12が測定した光に基づいて測定データを生成する。
ここで、化学発光とは、化学反応によるエネルギーを利用して発せられる光である。化学発光は、たとえば、化学反応により分子が励起されて励起状態になり、励起状態から基底状態に戻る時に放出される光である。測定部12が測定する化学発光は、たとえば、酵素免疫化学発光法(CLEIA)に基づくものであり、酵素と基質との反応により生じた光である。
酵素免疫化学発光測定法では、たとえば2STEP法では、(1)キュベット90中で検体中の被検物質を固相担体に担持させた後、(2)被検物質を担持した固相と液相とを分離する1次BF分離を行い、(3)キュベット90中の被検物質を担持した固相に標識物質を結合させ、(4)2次BF分離を行い、(5)キュベット90中に化学発光基質を加えて酵素反応を発生させる。酵素免疫化学発光測定法には、2STEP法の他に、公知の1STEP法、D−1STEP法(ディレイドワンステップ法)などがある。2STEP法の測定項目としてはHBsAgがある。1STEP法の測定項目としてはHBsAbがある。D−1STEP法の測定項目としてはFT3、FT4、TSHなどがある。
なお、測定部12が測定する化学発光は、たとえば、化学発光分析法(CLIA)、電気化学発光分析法(ECLIA)、蛍光酵素測定法(FEIA法)、LOCI法(Luminescent Oxygen Channeling Immunoassay)、BLEIA法(生物発光酵素免疫法)などに基づく光であってもよい。
(検体測定装置の具体的な構成例)
次に、図7〜図24を参照して、検体測定装置100の具体的な構成例について詳細に説明する。図7〜図24の例では、検体測定装置100は、第1測定ユニット200と第2測定ユニット300との、2つの測定ユニット10を含む。また、検体測定装置100は、第1測定ユニット200および第2測定ユニット300を含む検体測定装置100の全体を制御する分析部450(図23参照)を備えている。
図7に示すように、検体測定装置100は、第1測定ユニット200および第2測定ユニット300を収容する筐体101を備えている。筐体101は、矩形の箱状であり、前面側に後述する検体搬送部211が配置されている。検体測定装置100において、後述する検体搬送部211が配置されるX1方向側を前面側、X1方向と反対側を奥側とする。X2方向が検体測定装置100の奥行方向である。水平面内でX方向と直交するY方向を検体測定装置100の横方向とする。
第1測定ユニット200および第2測定ユニット300は、筐体110内で横方向に並んで配置されている。筐体110内で、中間領域A3を挟んでY1方向側に第1測定ユニット200が配置され、Y2方向側に第2測定ユニット300が配置されている。図7の例では、筐体110内で、中間領域A3を挟んでY1方向側の領域が、第1領域A1である。筐体110内で、中間領域A3を挟んでY2方向側の領域が、第2領域A2である。なお、中間領域A3を設けずに第1領域A1と第2領域A2とを直接隣接させてもよい。
排出口205は、第1領域A1に配置され、排出口305は、第2領域A2に配置されている。図7の例では、排出口205は、第1測定ユニット200の2箇所に設けられている。排出口305は、第2測定ユニット300の1箇所に設けられている。また、筐体101の下部には、収容具20が設けられている。排出口205および305に廃棄された使用済みの消耗品は、収容具20に貯留される。排出口205および305は、検体測定装置100のX方向における半分の位置よりも奥側(X2方向側)に配置されている。つまり、排出口205および305から廃棄される使用済みの消耗品は、収容具20のX方向における半分の位置よりも奥側(X2方向側)に落下する。
第1測定ユニット200および第2測定ユニット300は、第1領域A1および第2領域A2にそれぞれ、検体の測定を行うための測定部204、304を含む。第1測定ユニット200の測定部204と、第2測定ユニット300の測定部304とは、測定原理または測定項目が異なる。具体的には、第1測定ユニット200は、血液凝固測定用のユニットである。第2測定ユニット300は、免疫測定用のユニットである。これにより、同一の測定ユニットでは測定できない多項目の検体測定を検体測定装置100によってまとめて行うことができる。
第1測定ユニット200および第2測定ユニット300は、第1領域A1および第2領域A2にそれぞれ、試薬容器を収容するための試薬庫201、301を含む。第1測定ユニット200の試薬庫201には、血液凝固測定用の試薬を収容する試薬容器が設置される。第2測定ユニット300の試薬庫301には、免疫測定用の試薬を収容する試薬容器が設置される。これにより、検体測定に用いられる試薬容器を第1領域A1および第2領域A2に別々に設置できるので、試薬を用いた処理を、第1測定ユニット200および第2測定ユニット300においてそれぞれ独立して行うことができる。
第1測定ユニット200および第2測定ユニット300は、第1領域A1および第2領域A2にそれぞれ、検体から測定用の試料を調製するための試料調製部202、302を含む。第1測定ユニット200の試料調製部202は、検体と試薬とを混合し、血液凝固測定用の試料を調製する。第2測定ユニット300の試料調製部302は、検体と試薬とを混合し、免疫測定用の試料を調製する。試料調製部202、302は、たとえば試薬を分注する試薬分注部、検体と試薬との反応を促進する温度に試料を加温するための加温部、などの試料調製に用いられる1つまたは複数の機構を含みうる。これにより、測定に用いられる試料の調製を第1領域A1および第2領域A2で別々に実施できるので、測定用の試料の調製処理を、第1測定ユニット200および第2測定ユニット300においてそれぞれ独立して行うことができる。
第1測定ユニット200および第2測定ユニット300は、第1領域A1および第2領域A2にそれぞれ、キュベット90を供給するための容器供給部203、303を備える。第1測定ユニット200の容器供給部203は、血液凝固測定用のキュベット90を供給する。第2測定ユニット300の容器供給部303は、免疫測定用のキュベット90を供給する。
このように、図7〜図24の例では、第1測定ユニット200および第2測定ユニット300は、互いに干渉することなく、キュベット内に測定用の試料を調製することができる。
(第1測定ユニットの構成)
図8に示すように、第1測定ユニット200は、検体搬送部211と、検体分注部212および213とを備えている。
検体搬送部211には、検体ラック96が設置される。検体ラック96には、検体を収容した検体容器95が複数本設置できる。検体搬送部211は、ユーザにより設置された検体ラック96を搬送して、各検体容器95を平面視における所定の検体吸引位置Paに位置付ける。検体ラック96および検体容器95には、バーコードなどに識別情報を記録したラベルが貼付されている。検体ラック96および検体容器95の識別情報は、搬送経路の途中に設置されたリーダにより読み出される。識別情報によって、検体容器95中の検体と、検体の測定結果とが対応付けられて管理される。検体容器95は、たとえば、採血管である。
検体分注部212および213は、それぞれ、検体を検体容器から分注するように構成されている。具体的には、検体分注部212および213は、それぞれ、検体を収容する検体容器95から検体を吸引して、キュベット90に定量分注するように構成されている。
検体分注部212および213は、それぞれ、検体分注用のピペット214を旋回可能に保持する分注アームにより構成されている。ピペット214は、ポンプと接続されており、検体の定量吸引および定量吐出ができる。検体分注部212および213は、それぞれ、ピペット214を移動させて検体吸引位置Paの検体容器95から所定量の検体を吸引できる。検体分注部212および213は、それぞれ、ピペット214を移動させて、吸引した検体を所定の検体分注位置Pbに配置されたキュベット90内に吐出できる。
第1測定ユニット200は、検体搬送部211および検体分注部212および213を備えずに、予め検体が定量分注されたキュベット90に対して測定を行う構成であってもよい。
第1測定ユニット200は、検体および試薬を収容して測定試料が調製されるキュベット90を各部に移送する機構を備える。図8の構成例では、第1測定ユニット200は、容器テーブル220を備える。容器テーブル220は、平面視でリング形状を有し、周方向に回転できる。容器テーブル220は、周方向に沿って配列された複数の保持孔221を含む。保持孔221には、それぞれ1つずつキュベット90を設置できる。検体分注部212は、平面視における検体分注位置Pbで容器テーブル220に保持された新しいキュベット90に、吸引した検体を分注できる。検体分注部212および212は、容器テーブル220上の検体を収容するキュベット90から、検体を吸引することもできる。
第1測定ユニット200は、新しいキュベット90を検体分注位置Pbに位置付ける移送部230を備えている。移送部230は、キュベット90を設置するための保持孔を備えた設置台を、レールに沿って移動させることができる。保持孔は、たとえば2つ設けられている。検体分注部213は、検体分注位置Pbにおいて移送部230に保持された新しいキュベット90に、吸引した検体を分注できる。
新しいキュベット90は、容器供給部203に多数収納されており、1つずつ取り出される。容器供給部203により取り出されたキュベット90が、把持機構231により把持され、取り出される。把持機構231は、取り出したキュベット90を、容器テーブル220の保持孔221または移送部230の保持孔に設置できる。
第1測定ユニット200の試料調製部202は、キュベット90中の検体に試薬を添加して、測定試料を調製する機能を備えている。測定試料は、検体と試薬との混合液である。
試料調製部202は、試薬庫201に設置された試薬容器241から試薬を吸引および吐出するための試薬分注部242および243を備える。
試薬庫201は、測定に使用する試薬容器241を収容するように構成されている。試薬庫201は、容器テーブル220の内側に配置され、平面視で円形状を有する。試薬庫201には、複数の試薬容器241を周方向に沿って設置できる。試薬庫201は、周方向に回転可能であり、回転によって任意の試薬容器241を平面視における試薬吸引位置PcおよびPdに位置付けることができる。
試薬分注部242および243は、試薬分注用のピペットを備えている。ピペットは、ポンプと接続されており、試薬の定量吸引および吐出ができる。試薬分注部242および243は、それぞれ、試薬庫201上の所定の試薬吸引位置PcおよびPdに位置付けられた試薬容器241から所定量の試薬を吸引できる。試薬分注部242および243は、それぞれ、ピペットを平面視における試薬分注位置PeおよびPfに移動させて、試薬分注位置のキュベット90に所定量の試薬を吐出できる。
試料調製部202は、検体が分注されたキュベット90を保持して加温するための加温テーブル250を備える。加温テーブル250は、検体を収容した複数のキュベット90をそれぞれ保持するための複数の保持孔251と、複数の保持孔251にそれぞれ保持されたキュベット90を加温するためのヒータとを備える。また、加温テーブル250には、キュベット90を把持して移送するための第1容器移送部270が設けられている。
加温テーブル250は、平面視で円形状を有し、複数の保持孔251が周方向に沿って配列されている。加温テーブル250は、周方向に回転可能であり、ヒータによって所定温度に加温しながら、回転によって複数の保持孔251に設置されたキュベット90を周方向に移送できる。第1容器移送部270は、キュベット90を把持して移送し、保持孔251にキュベット90を設置したり、保持孔251からキュベット90を取り出したりできる。第1容器移送部270は、加温テーブル250の中央部の上面上に配置され、回転軸回りに旋回可能、かつ、把持部を半径方向に進退可能に構成されている。
第1容器移送部270は、容器テーブル220または移送部230に設置されたキュベット90を加温テーブル250の保持孔251に移送できる。また、第1容器移送部270は、加温テーブル250の保持孔251において加温されたキュベット90を取り出して、試薬分注位置PeおよびPfにそれぞれ移送できる。第1容器移送部270は、試薬分注部242または243により試薬が分注されたキュベット90を、加温テーブル250の保持孔251に戻す。
第1測定ユニット200は、試薬庫201、試薬分注部242または243、および加温テーブル250を備えずに、調製された測定試料を予め収容させたキュベット90に対して測定を行う構成であってもよい。
第1測定ユニット200の測定部204は、図5に示した測定部11と同様の構成を有する。測定部204は、容器保持部11aと、照射部11bと受光部11cとを含み、キュベット90中の測定試料に対する光学的な測定を行う。
図8の構成例では、測定部204は、容器保持部11aを複数備えている。測定部204は、平面視で第1測定ユニット200の奥側(X2方向側)の1辺に沿うようにY方向に直線状に延びており、複数の容器保持部11aが所定間隔を隔てて2列の直線状に配列されている。容器保持部11aはキュベット90を設置可能な孔を有している。
第1測定ユニット200は、2つの排出口205に対してそれぞれキュベット90を移送して投入可能な把持機構261および262を備える。
把持機構261および262は、直交する3軸方向であるX、YおよびZの各方向にキュベット90を把持して移送できる。把持機構261は、加温テーブル250の保持孔251からキュベット90を取り出して試薬分注位置Peに移送し、試薬が分注された後のキュベット90を測定部204の容器保持部11aに設置できる。把持機構261は、測定済みのキュベット90を容器保持部11aから取り出して、排出口205aに移送できる。このように、把持機構261は、使用済みの消耗品としての測定済みのキュベット90を排出口205に移送するだけでなく、測定前の試料を収容したキュベット90を測定部204に移送できる。
把持機構262は、容器テーブル220の保持孔221から不要なキュベット90を取り出して、排出口205に移送することができる。
以上の第1測定ユニット200の各部が、第1領域A1に配置されている。
また、第1測定ユニット200は、第1領域A1に設けられた検体分注部212、213によって分注された検体を第2測定ユニット300に受け渡すことができる。具体的には、検体測定装置100は、第1領域A1から第2領域A2へ検体を受け渡すための受渡機構306を備える。受渡機構306により、第1測定ユニット200の検体搬送部211にセットされた検体容器95中の検体が、第2測定ユニット300に受け渡される。これにより、第1測定ユニット200に検体容器95をセットするだけで、検体を分注して第2測定ユニット300まで送ることができる。そのため、同一の検体について検体容器95を2組用意して、第1測定ユニット200および第2測定ユニット300にそれぞれセットする必要がなくなるので、測定に関わるユーザの作業負担を軽減することができる。
具体的には、受渡機構306は、検体分注部212または213によってキュベット90に定量分注された検体を、キュベット90ごと第2測定ユニット300に受け渡す。すなわち、検体分注部212または213は、キュベット90に検体を分注する。受渡機構306は、検体が分注されたキュベット90を第2領域A2に受け渡すように構成されている。
(第2測定ユニットの構成)
第2測定ユニット300は、図9に示すように、試薬庫301、試料調製部302、容器供給部303、測定部304を含む。また、第2測定ユニット300は、受渡テーブル311と、把持機構321と、検体供給部313とを含んでいる。
受渡テーブル311は、平面視でリング形状を有し、周方向に回転できる。受渡テーブル311には、周方向に沿って配列された複数の保持孔312が設けられている。保持孔312には、それぞれ1つずつキュベット90を設置できる。第2容器移送部308は、鉛直方向の回転軸線を中心に回転可能であるとともに、鉛直方向に上下移動可能である。
把持機構321は、受渡テーブル311の保持孔312に保持されたキュベット90を検体供給部313の保持孔314に搬送する。また、把持機構321は、検体供給部313の保持孔314に保持されたキュベット90および測定済みの検体が収容されたキュベット90を移送して排出口305に投入する。また、把持機構321は、キュベット90を、測定部304に搬送する。把持機構321は、先端にキャッチャを有し、鉛直方向の回転軸線を中心に回転可能であるとともに、鉛直方向に上下移動可能である。
検体供給部313は、平面視で円形状を有し、周方向に回転できる。検体供給部313には、周方向に沿って配列された複数の保持孔314が設けられている。保持孔314には、それぞれ1つずつキュベットを設置できる。保持孔314には、検体を収容するキュベット90が設置される。
容器供給部303は、複数のキュベット90を貯留している。第2測定ユニット300は、キュベット90を移送するキュベット移送部330を含む。容器供給部303は、平面視で所定のキュベット供給位置Pgにおいて、キュベット移送部330にキュベット90を1つずつ供給できる。また、容器供給部303は、前後方向(X方向)に移動可能である。つまり、容器供給部303は、前面側(X1方向側)に位置する場合に、ユーザにより、キュベット90が供給される。また、容器供給部303は、X2方向側に移動された状態で、キュベット90が検体測定装置100に供給される。なお、キュベット90の供給は、1個ずつ行ってもよいし、ラックなどにより複数個まとめて供給してもよい。また、容器供給部303の前後方向の移動は、ユーザによる手動で行ってもよいし、駆動部などにより自動で行ってもよい。
キュベット移送部330は、キュベット90を移送する。キュベット移送部330は、キュベット供給位置Pgからキュベット90を取得し、後述する加温部370、試薬分注部380、点着部361、BF分離部390などの各々の処理位置にキュベット90を移送する。キュベット移送部330は、キャッチャ331と、支持部材332と、支持部材333と、支持部材334とを含んでいる。
キャッチャ331は、キュベット90を把持する。また、キャッチャ331は、キュベット90を把持した状態で、キュベット90を揺動させることができる。支持部材332は、キャッチャ331を上下方向(Z方向)に移動可能に支持している。支持部材333は、支持部材332を横方向(Y方向)に移動可能に支持している。支持部材334は、支持部材333を前後方向(X方向)に移動可能に支持している。これにより、キャッチャ331は、水平方向(XY方向)に移動可能であるとともに、上下方向(Z方向)に移動可能である。
第2測定ユニット300の試薬庫301は、試薬庫301aと試薬庫301bとを含む。
試薬庫301aは、円筒形状を有し、内部に複数の試薬容器301cを保持することができる。試薬庫301aは、第2測定ユニット300の前面側(X1方向側)に設けられている。試薬庫301aは、平面視で円形状を有する。試薬庫301aには、複数の試薬容器301cを周方向に沿って設置できる。試薬庫301aは、試薬容器301cを周方向に回転可能であり、回転によって任意の試薬容器301cを平面視における所定の試薬吸引位置PhまたはPiに位置付けることができる。また、試薬庫301aには、冷却機構が設けられており、内部に設置された試薬容器301c内の試薬が保管に適した一定温度に保冷される。試薬庫301aには、たとえば、R1試薬、R2試薬およびR3試薬の各試薬容器301cが保持される。また、試薬庫301aの上面の試薬吸引位置PhおよびPiには、それぞれ試薬容器301cからR1試薬およびR2試薬を吸引する際に開閉可能な蓋部341aと、試薬容器301cからR3試薬を吸引する際に開閉可能な蓋部341bとが設けられている。
試薬庫301bは、R4試薬およびR5試薬の試薬容器をそれぞれ収容する。試薬庫301bは、R4試薬およびR5試薬を保管に適した一定温度に保冷する。
第2測定ユニット300の試料調製部302は、分注部350、点着部361、加温部370、試薬分注部380、BF分離部390を含む。
分注部350は、検体分注部351および試薬分注部352を含む。検体分注部351は、検体を吸引して吐出する吸引管により構成されている。試薬分注部352は、試薬を吸引して吐出する吸引管により構成されている。試薬分注部352は、複数の種類の試薬を吸引して吐出するように構成されている。具体的には、試薬分注部352は、R1試薬、R2試薬およびR3試薬を吸引して吐出するように構成されている。検体分注部351および試薬分注部352はX方向に沿って配列されている。分注部350は、X方向に延びる分注部移動機構355に沿って、検体分注部351および試薬分注部352を一体的にX方向に移動させることが可能である。検体分注部351および試薬分注部352は、吸引時および分注時に、分注部移動機構355によって個別に上下方向に昇降移動できる。
検体分注部351は、検体供給部313に保持されたキュベット90内の検体を吸引して、点着部361に保持されたキュベット90に吐出するように構成されている。すなわち、第2測定ユニット300は、キュベット90に収容された検体を、キュベット90とは異なるキュベット90に分注する検体分注部351を含む。これにより、第1測定ユニット200と第2測定ユニット300とで、別々のキュベットを用いて測定処理を行うことができる。そのため、特に第1測定ユニット200と第2測定ユニット300とで、使用する検体の量やキュベットの種類が異なる場合などでも、別々のキュベットでそれぞれの試料測定を適切に行うことができる。そして、別々のキュベットを用いる場合でも、排出口205および排出口305に投入された後は共通の収容具20に貯留されるので、使用済みの消耗品を処分する際のユーザの作業負担を効果的に軽減できる。
試薬分注部352は、試薬庫301a内の試薬容器301cに収容された試薬を吸引して、キュベット90内に分注する。これにより、試薬分注部352により、試薬容器301cから試薬を吸引して分注することができる。なお、検体測定装置100は、検体分注部351および試薬分注部352を、洗浄液を用いて洗浄する洗浄部362を備えている。
点着部361は、キュベット90を保持することができる。点着部361に保持されたキュベット90には、検体供給部313に保持されたキュベット90内の検体が、分注部350によって分注される。また、点着部361では、分注部350によってR1試薬が分注される。また、点着部361では、点着により検体がキュベット90に分注される。具体的には、点着部361では、まず、キュベット90の底に分注部350のノズルを当接させて底突きが行われる。この際、点着部361が下方向に移動して、ノズルによるキュベット90の押圧力が吸収される。そして、ノズルから検体が吐出される。この際に、キュベット90の底に検体が当接するため、検体の表面張力により、検体がキュベット90の底面に吸着する。その後、ノズルを上昇させて、吐出が完了する。点着処理を行うことにより、検体を安定して微量吐出することができる。
分注部350は、吸引位置または吐出位置として、蓋部341a、341b、点着部361、洗浄部362、検体供給部313の各々に、検体分注部351および試薬分注部352を移動させることができる。蓋部341a、341b、点着部361、洗浄部362、検体供給部313は、平面視において、直線状に配置されている。
加温部370は、ヒータおよび温度センサを備え、キュベット90を保持してキュベット90に収容された試料を加温して反応させる。加温部370は、液体が分注されたキュベット90を加温する。加温部370には、複数の保持孔371が設けられている。保持孔371には、それぞれ1つずつキュベット90を設置できる。加温部370の加温により、キュベット90内に収容された検体および試薬が反応する。加温部370は、第2測定ユニット300内に1つまたは複数設けられる。加温部370は、第2測定ユニット300に固定的に設置されていてもよいし、第2測定ユニット300内で移動可能に設けられていてもよい。加温部370が移動可能に構成される場合、加温部370は、キュベット移送部の一部としても機能しうる。
試薬分注部380は、試薬庫301b内の試薬容器に流体的に接続され、R4試薬およびR5試薬をキュベット90に分注する。試薬分注部380は、R4試薬分注部381と、R5試薬分注部382とを含んでいる。R4試薬分注部381は、キュベット移送部330により移送されたキュベット90に、R4試薬を分注する。R5試薬分注部382は、キュベット移送部330により移送されたキュベット90に、R5試薬を分注する。
BF分離部390は、キュベット90から、液相と固相とを分離するBF分離処理を実行する機能を有する。BF分離部390は、液体が分注されたキュベット90に対してBF分離を行う。BF分離部390は、それぞれキュベット90を設置可能な処理ポートを1つまたは複数含む。処理ポートには、R2試薬に含まれる磁性粒子を集磁するための磁力源392(図10参照)と、液相の吸引および洗浄液の供給を行うための洗浄部391(図10参照)とが設けられている。BF分離部390は、後述する免疫複合体が形成された磁性粒子を集磁した状態で、洗浄部391によりキュベット90内の液相を吸引して洗浄液を供給する。洗浄部391は、液相の吸引通路と洗浄液の吐出通路とを備え、図示しない流体回路に接続されている。これにより、液相に含まれる不要な成分を免疫複合体と磁性粒子との結合体から分離して除去できる。
第2測定ユニット300の測定部304は、図6に示した測定部12と同様の構成を有する。測定部204は、試料を収容するキュベット90を保持する容器保持部12aと、キュベット90内の試料中の被検物質と結合した標識物質に基づく信号を検出する検出部12bとを含む。容器保持部12aは、内部にキュベット90を遮光状態で収容可能な箱状形状を有する。検出部12bは、光電子増倍管などにより構成されている。測定部304は、各種処理が行なわれた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を検出部12bで取得することにより、その検体に含まれる抗原の量を測定する。
(免疫測定の概要)
図9に示した構成例では、上記の通り、第2測定ユニット300において、R1試薬〜R5試薬を用いて免疫測定が行われる。図10を参照して、免疫測定の一例として、被検物質3aがB型肝炎表面抗原(HBsAg)である例について説明する。
まず、キュベット90に被検物質3aを含む検体とR1試薬とが分注される。検体分注部351により、キュベット90中に検体が分注される。試薬分注部352により、R1試薬がキュベット90中に分注される。R1試薬は、捕捉物質3dを含有し、被検物質3aと反応して結合する。捕捉物質3dは、捕捉物質3dがR2試薬に含まれる固相担体3bと結合するための結合物質を含む。
この結合物質と固相担体との結合には、たとえばビオチンとアビジン類、ハプテンと抗ハプテン抗体、ニッケルとヒスタチジンタグ、グルタチオンとグルタチオン−S−トランスフェラーゼなどの組み合わせが利用できる。なお、「アビジン類」とは、アビジンおよびストレプトアビジンを含むことを意味する。
たとえば、捕捉物質3dは、ビオチンで修飾された抗体(biotin抗体)である。すなわち、捕捉物質3dには、結合物質としてビオチンが修飾されている。検体とR1試薬との分注後、加温部370においてキュベット90内の試料が所定温度に加温されることにより、捕捉物質3dと被検物質3aとが結合する。
次に、試薬分注部352により、キュベット90にR2試薬が分注される。R2試薬は、固相担体3bを含有する。固相担体3bは、捕捉物質3dの結合物質と結合する。固相担体3bは、たとえばビオチンと結合するストレプトアビジンを固定した磁性粒子(StAvi結合磁性粒子)である。StAvi結合磁性粒子のストレプトアビジンは、結合物質であるビオチンと反応して結合する。R2試薬の分注後、加温部370においてキュベット90内の試料が所定温度に加温される。この結果、被検物質3aと捕捉物質3dとが、固相担体3bと結合する。
固相担体3b上に形成された被検物質3aおよび捕捉物質3dと、未反応の捕捉物質3dとは、BF分離部390による1次BF分離処理によって分離される。BF分離部390の処理ポートにキュベット90がセットされると、BF分離部390は、磁力源392による集磁状態での洗浄部391による液相の吸引と、洗浄液の吐出と、非集磁状態での攪拌と、の各工程を1または複数回実行する。1次BF分離処理によって、未反応の捕捉物質3dなどの不要成分が、キュベット90中から除去される。1次BF分離処理では、最終的にキュベット90内の液相が吸引された状態で、次の工程に進む。
次に、試薬分注部352により、キュベット90にR3試薬が分注される。R3試薬は、標識物質3cを含有し、被検物質3aと反応して結合する。R3試薬の分注後、加温部370においてキュベット90内の試料が所定温度に加温される。この結果、固相担体3b上に、被検物質3aと、標識物質3cと、捕捉物質3dとを含む免疫複合体3eが形成される。図10の例では、標識物質3cは、ALP(アルカリホスファターゼ)標識抗体である。
固相担体3b上に形成された免疫複合体3eと、未反応の標識物質3cとは、2次BF分離処理によって分離される。BF分離部390は、磁力源392による集磁状態での液相の吸引と、洗浄液の吐出と、非集磁状態での攪拌と、の各工程を1または複数回実行する。2次BF分離処理によって、未反応の標識物質3cなどの不要成分が、キュベット90中から除去される。2次BF分離処理では、最終的にキュベット90内の液相が吸引された状態で、次の工程に進む。
その後、R4試薬分注部381およびR5試薬分注部382の各々により、キュベット90にR4試薬およびR5試薬が分注される。R4試薬は、緩衝液を含有する。固相担体3bと結合した免疫複合体3eが緩衝液中に分散される。R5試薬は、化学発光基質を含有する。R4試薬に含有される緩衝液は、免疫複合体3eに含まれる標識物質3cの標識(酵素)と基質との反応を促進する組成を有する。R4、R5試薬の分注後、加温部370においてキュベット90内の試料が所定温度に加温される。標識に対して基質を反応させることによって光が発生し、発生する光の強度が測定部304の検出部12bにより測定される。測定部304の検出信号に基づいて、検体中の被検物質3aの含有量などが分析される。
(収容具)
図11〜図20は、図7〜図10に示した検体測定装置100の具体的な構成例における収容具20を示した図である。収容具20は、測定ユニット10が配置された筐体101内で、測定ユニット10の下方に設けられている。なお、図11は、検体測定装置100を前方側から見た正面図である。また、図12は、検体測定装置100を前方側から見た斜視図である。また、図13は、検体測定装置100の引出トレー30部分を側方側から見た図である。また、図14は、検体測定装置100を前方側から見た斜視図である。また、図15は、検体測定装置100を、上方から見た平面図である。また、図16および図17は、検体測定装置100の引出トレー30部分を上方から見た斜視図である。また、図18は、検体測定装置100の引出トレー30部分を側方から見た図である。また、図19は、検体測定装置100の引出トレー30部分を前方側から見た正面図である。また、図20は、検体測定装置100を前方側から見た斜視図である。
具体的には、収容具20は、第1測定ユニット200および第2測定ユニット300の境界部分に設けられている。また、図11に示すように、収容具20は、第2測定ユニット300の下部の扉102を開放することにより、設置および取り出すことができる。
また、図12に示すように、収容具20は、引出トレー30に設置され、X方向に移動可能に構成されている。つまり、収容具20は、X1方向に引き出された状態の引出トレー30状態に対して載置される、そして、引出トレー30をX2方向に押し入れることにより、筐体101内に配置される。
図13に示すように、引出トレー30の下方には、使用済みの消耗品を受け止める下方トレー40が設けられている。これにより、測定ユニット10(図11参照)により測定動作が継続している場合に、収容具20が取り出されたとしても、発生する使用済みの消耗品を下方トレー40により受け止めることができる。その結果、筐体101内の下方トレー40以外の場所に使用済みの消耗品が到達するのを抑制することができるので、筐体101内が汚染されるのを抑制することができる。
また、下方トレー40は、筐体101から引き出し可能に構成されている。また、下方トレー40は、引出トレー30とは、独立して、X方向に引き出すことが可能である。これにより、下方トレー40が受け止めた使用済みの消耗品を下方トレー40から容易に取り除くことできる。
また、下方トレー40は、筐体101から取り出し可能に構成されている。これにより、使用済みの消耗品を受け止めた下方トレー40を、筐体101から取り外して、容易に洗浄することができる。下方トレー40は、底面部と、底面部におけるX方向およびY方向の端部から上方に立ち上がる側面部とを含んでいる。また、下方トレー40は、金属材料により形成されている。
図14に示すように、引出トレー30は、筐体101から引き出された状態で、収容具20を引出トレー30から水平方向に取り外し可能に構成されている。図14に示す例では、収容具20は、引出トレー30がX1方向に最大に引き出された状態で、X1方向側をY2方向に移動させて、斜めにしてから引出トレー30から取り出される。
図15に示すように、引出トレー30は、第1測定ユニット200の扉103が開いた状態のX方向の位置よりもX1方向側に飛び出ない位置まで引き出すことが可能である。つまり、検体測定装置100のX1方向側に確保するスペース内に引出トレー30の可動範囲が設定されている。
図16に示すように、収容具20は、収容部21と、把持部22と、を含む。収容部21は、上方に向かって広がるように形成されている。把持部22は、収容部21の上方の縁を取り囲むように形成されている。把持部22は、収容具20の設置時、取り外し時にユーザが把持することが可能である。収容具20は、たとえば、樹脂材料により形成されている。これにより、収容具20を金属により形成する場合に比べて、収容具20の軽量化を図ることができる。
検体測定装置100には、収容具20が筐体101内に設置されているか否かを検出する収容具センサ23が設けられている。また、検体測定装置100は、収容具センサ23により収容具20が筐体101内に設置されていないことを検出した場合、測定ユニット10(図11参照)における新たな測定オーダが受け付けられない。これにより、収容具20が筐体101内に設置されていない場合に、新たな測定オーダに基づく測定ユニット10による測定動作により新たな廃棄物が発生するのを抑制することができる。
収容具センサ23は、たとえば、反射型のセンサを含む。また、収容具センサ23は、筐体101内に配置された収容具20の把持部22の存在を検知する。収容具センサ23は、筐体101内に収容具20が配置された場合に、収容具20に隣接する位置に配置されている。収容具センサ23は、照射した光が収容具20に反射されて、反射光を検知した場合に、収容具20があることを検知する。また、収容具センサ23は、照射した光の反射光を検知しない場合に、収容具20がないことを検知する。
図17〜図19に示すように、引出トレー30は、引出トレー30の引き出し方向と直交する水平方向における一方側(Y2方向側)が開放されている。これにより、筐体101から引き出された状態の引出トレー30の水平方向に開放されたY2方向側から収容具20を容易に水平方向に取り出すことができる。また、引出トレー30の水平方向に開放されたY2方向側において、収容具20が引出トレー30から露出するため、収容具と引出トレーとの間の隙間が小さい場合に比べて、引出トレー30に設置された収容具20をユーザが容易に把持することができる。
また、引出トレー30は、底面部32と、側面部33と、規制部34とを含む。底面部32は、水平の板状に形成されている。側面部33は、引出トレー30の引き出し方向(X方向)と直交する水平方向における他方側(Y1方向側)に底面部32から上方に延びるように設けられている。規制部34は、引出トレー30の引き出し方向(X方向)と直交する水平方向における一方側(Y2方向側)に底面部32から上方に延びるように設けられている。また、規制部34は、引出トレー30の引き出し方向(X方向)と直交する水平方向における一方側(Y2方向側)を開放するように側面部33よりも小さい高さに形成されている。これにより、引出トレー30から収容具20を水平方向に取り出す方向と反対側(Y1方向側)の引出トレー30の側面を側面部33により覆うことができるので、引出トレー30の引き出し方向と直交する水平方向における他方側(Y1方向側)に、収容具20が移動するのを抑制することができる。また、引出トレー30から収容具20を水平方向に取り出す方向側(Y2方向側)に高さが小さい規制部34を設けることにより、引出トレー30から収容具20を水平方向に取り出す際に規制部34が邪魔になるのを抑制しつつ、収容具20の設置時に、引出トレー30の引き出し方向と直交する水平方向において、収容具20が移動するのを抑制することができる。また、収容具20は、規制部34を越えるように持ち上げられた状態で水平方向にスライドされることにより取り外されるように構成されている。
また、引出トレー30は、背面部35を含む。背面部35は、引出トレー30の引出方向(X1方向)とは反対側(X2方向側)に底面部32から上方に延びるように設けられている。これにより、引出トレー30の引出方向とは反対側の引出トレー30の背面を背面部35により覆うことができるので、引出トレー30の引出方向とは反対側(X2方向側)に、収容具20が移動するのを抑制することができる。また、引出トレー30は、前面側の壁が背面部35よりも低く形成されている。
また、引出トレー30は、案内部材36を含む。案内部材36は、収容具20を設置する際に、収容具20を載置位置31に案内することが可能である。これにより、引出トレー30の載置位置31に対して収容具20を容易に設置することができる。案内部材36は、引出トレー30のX1方向側の端部近傍のY1方向側に設けられている。つまり、案内部材36は、Y方向において引出トレー30の一部に設けられている。
また、案内部材36は、収容具20を載置位置31に案内するための傾斜面を有する。これにより、収容具20を案内部材36の傾斜面に沿って落とし込みながら案内することができるので、引出トレー30の載置位置31に対して収容具20をより容易に設置することができる。案内部材36の傾斜面は、手前側から奥側に向かって下がるように形成されている。つまり、案内部材36は、収容具20を、引出トレー30の奥側に向けて案内するように構成されている。水平方向に対する傾斜面の角度は、たとえば、45度以上60度以下の所定の角度である。
また、引出トレー30は、規制部34の上端が、案内部材36の上端よりも下方に配置されるように形成されている。これにより、引出トレー30から収容具20を取り出す場合に、案内部材36に沿って収容具20を引き上げることにより、案内部材36よりも上方に収容部を容易に引き上げることができる。これにより、収容具20を引出トレー30から水平方向に容易に取り出すことができる。
また、引出トレー30は、前面部37を含む。前面部37には、把持部37aが設けられている。前面部37は、引出トレー30の引出方向側(X1方向側)に設けられている。前面部37は、引出トレー30の引出方向側(X1方向側)に底面部32から上方に延びるように設けられている。前面部37は、背面部35よりも小さい高さに形成されている。前面部37は、引出トレー30のX1方向側の辺における一部に形成されている。具体的には、前面部37は、引出トレー30のX1方向側の辺におけるY1側の端部付近のみに設けられている。また、前面部37は、側面部33に接続されている。把持部37aは、引出トレー30をX1方向に引き出す際に、ユーザにより把持される。把持部37aは、案内部材36の上方に設けられている。
また、引出トレー30は、一対のレール38を含む。レール38は、X方向に延びるように、側面部33の外側(Y1方向側)の面に配置されている。一対のレール38は、互いに略平行に配置されている。また、一対のレール38は、上下方向において間隔を隔てて配置されている。また、一対のレール38は、板状部材104に固定された一対のレール39に、それぞれ、スライド可能に係合している。
図20に示すように、検体測定装置100に、第2測定ユニット300が設けられておらず、第1測定ユニット200の側方にスペースがある場合は、収容具20は、引出トレー30がX1方向側に引き出された状態で、側方側(Y2方向側)に取り出すことができる。
図21に示すように、検体測定装置100に、第1測定ユニット200および第2測定ユニット300が設けられている場合、第1測定ユニット200の排出口205(205a、205b)は、収容具20の上方に配置される。具体的には、第1測定ユニット200の排出口205(205a、205b)は、収容具20のY1方向側の斜め上方に配置される。また、排出口205(205a、205b)は、第1測定ユニット200の底部11dに設けられている。なお、底部11dは、装置全体の最低面に配置されていなくてもよい。使用済みの消耗品は、排出口205(205a、205b)から通路206を介して収容具20に排出される。第2測定ユニット300の排出口205は、収容具20の上方に配置される。具体的には、第2測定ユニット300の排出口305は、収容具20のY2方向側の斜め上方に配置される。また、排出口305は、第2測定ユニット300の底部11dに設けられている。使用済みの消耗品は、排出口305から通路305aを介して収容具20に排出される。
図22に示すように、検体測定装置100に、第1測定ユニット200が設けられている場合、第1測定ユニット200の排出口205(205a、205b)は、収容具20の上方に配置される。具体的には、第1測定ユニット200の排出口205(205a、205b)は、収容具20のY1方向側の斜め上方に配置される。また、排出口205(205a、205b)は、第1測定ユニット200の底部11dに設けられている。なお、底部11dは、装置全体の最低面に配置されていなくてもよい。使用済みの消耗品は、排出口205(205a、205b)から通路206を介して収容具20に排出される。
(検体測定システムの制御的な構成)
次に、図23および図24を参照して、検体測定装置100の制御的な構成を説明する。
図23および図24に示すように、第1測定ユニット200は、制御部411および記憶部412を含む。第2測定ユニット300は、制御部421および記憶部422を含む。
制御部411および421は、それぞれ、CPUまたはFPGAなどのプロセッサを含む。記憶部412および422は、それぞれ、ROM、RAMおよびハードディスクなどの揮発性および/または不揮発性の記憶装置を含む。プロセッサは、記憶部に記憶された制御プログラムを実行することにより、それぞれの測定ユニット10の制御部として機能する。制御部411は、上述した第1測定ユニット200の各部の動作を制御する。制御部421は、上述した第2測定ユニット300の各部の動作を制御する。
検体測定装置100は、分析部450および通知部470(図23参照)を備える。分析部450は、たとえば、パーソナルコンピュータにより構成される。分析部450は、たとえば、CPUなどのプロセッサと、ROM、RAMおよびハードディスクなどの記憶装置とを含んで構成される。プロセッサは、記憶部に記憶された制御プログラムを実行することにより、検体測定装置100の分析部450として機能する。また、通知部470は、ユーザに対して各種情報を通知する。通知部470は、たとえば表示部471、スピーカ、インジケータランプ、通信により情報を通知する通信部などを含む。
分析部450は、第1測定ユニット200の制御部411および第2測定ユニット300の制御部421と電気的に接続され、各測定ユニット10を制御する。また、分析部450は、それぞれの測定ユニット10の測定結果を分析する。また、分析部450は、図示しないホストコンピュータとネットワークを介して接続され、ホストコンピュータから、各測定ユニット10に対する測定オーダを取得する。分析部450は、取得した測定オーダを順番に実行するように、第1測定ユニット200および第2測定ユニット300を制御する。
(消耗品の検知)
図25の構成例では、検体測定装置100は、収容具20に貯留された使用済みの消耗品の量に関する情報を取得する消耗品情報取得部451を備える。通知部470は、消耗品情報取得部451が取得した使用済みの消耗品の量に関する情報を通知するように構成されている。これにより、ユーザは、通知部470を介して、収容具20に貯留された使用済みの消耗品の量を把握することができる。そのため、第1測定ユニット200および第2測定ユニット300の各々で発生した使用済みの消耗品を共通の収容具20に廃棄する構成であっても、ユーザは、収容具20に貯留された使用済みの消耗品を処分する作業を行う必要性があるか否かを容易に認識できる。
図25の構成例では、分析部450のプロセッサがプログラムを実行することにより、消耗品情報取得部451としても機能する。消耗品情報取得部451のための専用のプロセッサを設けてもよい。
図25に示す例では、消耗品情報取得部451は、測定ユニット10における測定オーダの実行回数に基づいて、使用済みの消耗品の量に関する情報を取得する。具体的には、消耗品情報取得部451は、第1測定ユニット200および第2測定ユニット300の各々における測定オーダの実行回数の合計値に基づいて、使用済みの消耗品の量に関する情報を取得する。すなわち、1回の測定において発生する使用済みの消耗品の量は予め決まっているので、それぞれの測定ユニットにおける測定オーダの実行回数が分かれば、収容具20に排出された使用済みの消耗品の合計量が把握できる。これにより、排出口205および排出口305から廃棄される使用済みの消耗品をセンサなどにより1つずつ直接検出しなくても、各測定ユニットの動作情報から、使用済みの消耗品の量に関する情報を容易に取得できる。
消耗品情報取得部451は、第1測定ユニット200の制御部411および第2測定ユニット300の制御部421から、それぞれ、測定オーダの実行状況を取得する。そして、消耗品情報取得部451は、使用済みの消耗品のカウント開始時または前回のリセット時から現在までの、第1測定ユニット200および第2測定ユニット300の各々における測定オーダの実行回数をカウントする。消耗品情報取得部451は、各測定ユニット10において1回の測定オーダが実行された場合に、測定オーダの実行回数を1回カウントアップする。第1測定ユニット200および第2測定ユニット300の動作は、予め決められたシーケンス動作となるので、たとえば検体を分注する動作など、シーケンス動作に含まれるいずれかの動作が実行されたことを、測定オーダの実行回数としてカウントしてよい。
1回の測定オーダが実行される際に、第1測定ユニット200でN1個の使用済みの消耗品が排出され、第2測定ユニット300でN2個の使用済みの消耗品が排出されるとする。第1測定ユニット200および第2測定ユニット300の各々における測定オーダの実行回数をそれぞれT1、T2とすると、使用済みの消耗品の合計量M1は、M1=(N1×T1)+(N2×T2)で表される。消耗品情報取得部451は、使用済みの消耗品の合計量M1を使用済みの消耗品の量に関する情報として取得する。
図26に示すように、通知部470が画面表示を行う表示部471を含む場合、消耗品情報取得部451は、使用済みの消耗品の量に関する情報を通知部470に表示させる。消耗品情報取得部451には、収容具20に貯留可能な使用済みの消耗品の許容数量M2の情報が予め設定されている。消耗品情報取得部451は、使用済みの消耗品の量に関する情報として、現在貯留されている使用済みの消耗品の合計量M1と、使用済みの消耗品の許容数量M2とを通知部470に表示させる。
なお、図26では、通知部470としての表示部471に、使用済みの消耗品の量に関する情報以外の消耗品の情報も表示させる例を示している。図26では、排液タンクの残量情報、洗浄水の残量情報、キュベット90の各残量情報が、使用済みの消耗品の量に関する情報とともに表示される。
図26の例では、通知部470は、使用済みの消耗品の量が所定以上の場合は、その旨を通知する。これにより、ユーザが使用済みの消耗品の量の確認を怠った場合でも、収容具20に貯留された使用済みの消耗品を取り出して処分する必要があることを、確実にユーザに認識させることができる。
具体的には、消耗品情報取得部451は、使用済みの消耗品の量に応じて、通知部470による通知態様を変更するように構成されている。つまり、図27の例では、使用済みの消耗品の量に応じて段階的に表示態様が変更される。具体的には、使用済みの消耗品を示すアイコン481の表示態様が変更される。図27(A)のように、使用済みの消耗品の合計量M1が閾値未満の場合、アイコン481が第1レベルの通常状態であることを示す第1表示色で表示される。図27(B)のように、使用済みの消耗品の合計量M1が閾値以上、許容数量M2未満の場合、アイコン481が第2表示色で表示される。第2表示色は、収容具20からの使用済みの消耗品の回収をユーザに推奨する第2レベルであることを示す。図27(C)のように、使用済みの消耗品の合計量M1が許容数量M2以上の場合、アイコン481が第3表示色で表示される。第3表示色は、使用済みの消耗品の回収を行わないと異常停止等のエラー要因となり得る第3レベルであることをユーザに警告することを示す。第1表示色、第2表示色、第3表示色は、段階が進むにつれて警戒レベルが上昇することをユーザが直観的に認識できるようにすることが好ましい。第1表示色、第2表示色、第3表示色は、たとえば灰色、黄色、赤色である。
なお、第2レベル以上において、消耗品情報取得部451が通知部470にメッセージ(図29参照)を表示させてもよい。使用済みの消耗品の量が所定以上の場合の通知は、たとえばスピーカによる音声出力、インジケータランプの点灯、メッセージの送信などによって行ってもよい。
なお、図26および図27の例では、消耗品情報取得部451は、リセットアイコン482を表示させる。リセットアイコン482が入力されると、消耗品情報取得部451は、図28に示すように使用済みの消耗品の量に関する情報をリセットするか否かを選択するダイアログ483を表示部471に表示させる。消耗品情報取得部451は、ダイアログ483のYesボタン483aが入力されると使用済みの消耗品の合計量M1のカウントをゼロにリセットし、ダイアログ483のNoボタン483bが入力されると使用済みの消耗品の合計量M1のカウントを維持する。なお、収容具20の前面の扉部の開閉を検知してダイアログ483を表示させてもよい。ユーザが扉部を開いた場合、使用済みの消耗品の回収作業を行うことが推定できるので、扉部が開かれた後、閉じられたことを検知すると、消耗品情報取得部451はダイアログ483を表示させる。
また、収容具20に、使用済みの消耗品を検出するセンサを設けてもよい。図29の例では、収容具20は、収容具20に貯留された使用済みの消耗品を検出するための消耗品センサ452を含む。消耗品情報取得部451は、消耗品センサ452の検出信号に基づいて、使用済みの消耗品の量に関する情報を取得する。
これにより、消耗品センサ452によって使用済みの消耗品の量を検出できる。また、収容具20に多量の使用済みの消耗品を貯留する場合、使用済みの消耗品の積み重なり方によっては、想定以上の体積になったり、密に詰まって想定以上に貯留できたりする場合があり得る。そのため、たとえば収容具20に実際に貯留されている使用済みの消耗品を消耗品センサ452によって直接検出する場合には、収容具20を取り外して収容具20に貯留された使用済みの消耗品を処分する作業を行う必要性があるか否かを正確に認識できる。
図29の例では、消耗品センサ452は、発光部と受光部とを備えた光学式のセンサであり、使用済みの消耗品によって光が遮られることにより使用済みの消耗品の存在を検知する。消耗品センサ452は、収容具20の複数箇所に設けられている。具体的には、収容具20の上端部近傍に消耗品センサ452aが設けられている。また、消耗品センサ452aよりも上方位置で、使用済みの消耗品の通路に消耗品センサ452bが設けられている。消耗品センサ452aは、収容具20が満量の状態となったことを検知する、消耗品センサ452bは、通路において使用済みの消耗品の詰まりが発生した異常状態を検知する。
消耗品情報取得部451は、たとえば、消耗品センサ452aが使用済みの消耗品を検知し、消耗品センサ452bでは検知しない場合に、収容具20が満量の状態となったことを通知部470にメッセージ表示させる。消耗品情報取得部451は、たとえば、消耗品センサ452aおよび消耗品センサ452bの両方で使用済みの消耗品を検知した場合に、測定ユニット10をエラー停止させ、通知部470にエラー停止のメッセージ(図示せず)を表示させる。
また、消耗品センサ452aにより使用済みの消耗品の量が所定以上であることを検出した場合、測定ユニット10の測定処理が停止されてもよい。これにより、測定ユニット10から発生する新たな使用済みの消耗品が収容具20に収まりきらずに、収容具20からこぼれ落ちるのを抑制することができる。
(測定処理動作の説明)
次に、図7〜図24に示した検体測定装置100の測定処理動作を、図30〜図35を用いて説明する。
図30は、分析部450による測定オーダの取得処理を示す。
ステップS11において、検体搬送部211で検体容器95から識別情報が読み出されると、分析部450は、制御部411から識別情報を取得する。ステップS12において、分析部450は、取得した識別情報をホストコンピュータに送信して、検体容器95中に収容された検体と対応付けられた測定オーダを取得する。測定オーダは、第1測定ユニット200による測定項目と、第2測定ユニット300による測定項目と、の少なくとも一方を含む。
(第1測定ユニットの測定処理)
図31は、第1測定ユニット200の測定処理を示す。図31に示す各ステップの処理は、第1測定ユニット200の制御部411によって実行される。第1測定ユニット200の各部については、図8を参照するものとする。
ステップS21において、制御部411は、第1測定ユニット200による測定を行うか否かを判断する。すなわち、制御部411は、分析部450により取得された測定オーダが、第1測定ユニット200による測定項目を含む場合に、処理をステップS22に進める。測定オーダが、第1測定ユニット200による測定項目を含まない場合、その検体に対して第1測定ユニット200による測定は実行されない。
ステップS22において、キュベット90に検体が分注される。具体的には、制御部411は、検体分注部212を動作させ、検体容器95から検体を吸引して、吸引した検体を容器テーブル220に保持された新しいキュベット90に吐出する。
ステップS23において、別の新しいキュベット90に、検体が分注される。具体的には、制御部411は、検体分注部213を動作させ、分注済みのキュベット90から検体を吸引して、吸引した検体を容器テーブル220に保持された新しいキュベット90に吐出する。最初に検体が分注されたキュベット90は、検体の測定結果が生成されて再検査を行わないことが確定するまで、再検査用として容器テーブル220に保持される。後に検体が分注されたキュベット90は加温テーブル250に移送される。
ステップS24において、検体が分注されたキュベット90に試薬が分注されることにより試料が調製される。制御部411は、加温テーブル250においてキュベット90内の検体を所定温度まで加温する。制御部411は、第1容器移送部270により、試薬分注部242および243のうち測定項目に応じた試薬を分注する方の試薬分注位置PeまたはPfにキュベット90を移送させ、試薬分注部242または243によりキュベット90に所定量の試薬を分注させる。これにより、測定用の試料が調製される。なお、制御部411は、測定項目によっては、試薬分注部242または243による試薬分注と、加温テーブル250における加温処理とを複数回行う。
ステップS25において、キュベット90内の試料に対する測定が行われる。制御部411は、把持機構261により、キュベット90を測定部11のいずれかの容器保持部11aへ移送させる。容器保持部11aへのキュベット90の設置に伴い、照射部11bからの光がキュベット90に照射され、キュベット90および測定試料を透過した光を受光した受光部11cが電気信号を出力する。電気信号は、制御部411を介して分析部450に送信される。分析部450は、測定項目に応じた時系列データの分析を行い、分析結果を記憶部に記録する。
ステップS26において、所定の測定時間の経過後、把持機構261が容器保持部11aからキュベット90を取り出して、排出口205aに移送して投入する。排出口205aに投入されたキュベット90は、使用済みの消耗品として収容具20に搬送され貯留される。
なお、分析部450は、分析結果に応じて、再検査を行うか否かを判断し、再検査を行う場合には再検オーダを生成する。ステップS27において、制御部411は、検体に再検オーダが設定されているか否かを判断する。
再検オーダが設定されていない場合、ステップS28において、制御部411は、最初に容器テーブル220に設置しておいた再検査用の検体を収容したキュベット90を排出口205bに廃棄させる。具体的には、制御部411は、把持機構262により、容器テーブル220の保持孔221から不要なキュベット90を取り出して、排出口205bに移送して投入する。排出口205bに投入されたキュベット90は、使用済みの消耗品として収容具20に搬送され貯留される。
再検オーダが設定されている場合、制御部411は、ステップS23に処理を戻す。再検査では、最初に容器テーブル220に設置しておいた再検査用の検体を収容したキュベット90について、上記ステップS23〜S26の処理が行われる。なお、再検査が行われる場合、ステップS27およびS28はスキップされ、ステップS26で再検査用のキュベット90が排出口205aに廃棄されることにより測定処理が終了する。
(第2測定ユニットの測定処理)
第2測定ユニット300で検体の測定が行われる場合、第1測定ユニット200において、図32に示す検体を収容したキュベット90を受け渡すための処理が行われる。図32の処理は、第1測定ユニット200の制御部411により行われる。
ステップS31において、制御部411は、第2測定ユニット300による測定を行うか否かを判断する。すなわち、制御部411は、分析部450により取得された測定オーダが、第2測定ユニット300による測定項目を含む場合に、処理をステップS32に進める。測定オーダが、第2測定ユニット300による測定項目を含まない場合、その検体に対して第2測定ユニット300による測定は実行されない。
ステップS32において、キュベット90に検体が分注される。具体的には、制御部411は、検体分注部212を動作させ、検体容器95から検体を吸引して、吸引した検体を容器テーブル220に保持された新しいキュベット90に吐出する。なお、測定オーダが、第1測定ユニット200による測定項目と、第2測定ユニット300による測定項目との両方を含む場合、第1測定ユニット200による測定用のキュベット90と、第2測定ユニット300へ受渡用のキュベット90とが、別々に用意され、それぞれに検体が分注される。
ステップS33において、制御部411は、受渡用のキュベット90の受渡機構306への移送を開始する。具体的には、制御部411は、第1容器移送部270により、容器テーブル220に保持された受渡用のキュベット90を取り出して、受渡機構306の中継部307へ移送させる。受渡用のキュベット90の移送は、第1測定ユニット200における測定動作と並行して行われる。
図33は、第2測定ユニット300での測定処理を示す。図33に示す各ステップの処理は、第2測定ユニット300の制御部421によって実行される。第2測定ユニット300の各部については、図9を参照するものとする。
ステップS41において、制御部421は、検知部307bの信号に基づいて、受渡機構306の中継部307にキュベット90が設置されているか否かを判断する。中継部307にキュベット90が設置されていることが検知部307bに検知されると、処理がステップS42に進む。
ステップS42において、制御部421は、第2容器移送部308により、中継部307に保持された、受渡用のキュベット90を取り出して、受渡テーブル311へ移送させる。これにより、第2測定ユニット300での測定が開始される。
ステップS43において、制御部421は、キュベット90中の検体を、キュベット90に分注させる。制御部421は、把持機構321により、キュベット90を受渡テーブル311から取り出して、検体供給部313に移送させる。制御部421は、キュベット移送部330により、キュベット90を容器供給部303から点着部361に移送させる。制御部421は、分注部350の検体分注部351により、キュベット90中の検体を吸引させ、キュベット90に分注させる。以降の処理は、キュベット90に対して行われる。制御部421は、把持機構321により、吸引済みのキュベット90を検体供給部313から取り出して、排出口305へ移送して投入する。これにより、キュベット90は、使用済みの消耗品として収容具20内に搬送される。
ステップS44において、制御部421は、キュベット90中に試料を調製させる。すなわち、制御部421は、図10に示した一連の処理を実施する。制御部421は、キュベット移送部330によりキュベット90を点着部361に移送させ、分注部350によりR1試薬を分注させ、キュベット移送部330により加温部370へ移送させて加温させる。制御部421は、キュベット移送部330によりキュベット90を取り出し、分注部350によりR2試薬を分注させ、キュベット移送部330により加温部370へ移送させて加温させる。そして、制御部421は、キュベット移送部330により、キュベット90を加温部370からBF分離部390に搬送し、BF分離部390による1次BF分離処理を実施させる。
制御部421は、キュベット移送部330により、キュベット90をBF分離部390から取り出し、分注部350によりR3試薬を分注させ、キュベット90を加温部370で加温させる。そして、制御部421は、キュベット移送部330により、キュベット90を加温部370からBF分離部390に搬送し、BF分離部390による2次BF分離処理を実施させる。
制御部421は、キュベット移送部330により、キュベット90をR4試薬分注部381に移送させ、R4試薬分注部381によりR4試薬を分注させる。制御部421は、把持機構321により、キュベット90をR5試薬分注部382に移送させ、R5試薬分注部382によりR5試薬を分注させる。R5試薬の分注後、制御部421は、キュベット移送部330により、加温部370にキュベット90が移送される。キュベット90は、加温部370において所定時間の間加温される。以上により、キュベット90中に試料が調製される。
ステップS45において、測定部304による測定が行われる。具体的には、把持機構321によりキュベット90が測定部304に移送される。測定部304により、免疫複合体3eの標識に対して基質を反応させることによって生じる光の強度が測定される。測定部304の検出結果は、制御部421を介して分析部450に出力される。
測定終了後、ステップS46において、制御部421は、把持機構321により、測定済みのキュベット90を測定部304から取り出して、排出口305に移送して投入させる。これにより、測定済みのキュベット90は、使用済みの消耗品として収容具20に貯留される。
(収容具検知処理)
検体測定装置100により分析処理が行われている間、図34に示すように、収容具20が筐体101内に設置されているか否かの検知が行われる。図34の処理は、消耗品情報取得部451により行われる。
ステップS51において、消耗品情報取得部451は、収容具センサ23の検知結果に基づいて、収容具20が筐体101内に設置されているか否かを判断する。収容具20が設置されていれば、ステップS51に戻る。一方、収容具20が設置されていなければ、ステップS52に進み、新たな測定オーダを受け付けないよう、第1測定ユニット200の制御部411および第2測定ユニット300の制御部421に信号を送信する。
(消耗品満量検知処理)
検体測定装置100により分析処理が行われている間、図35に示すように、収容具20の使用済みの消耗品が満量か否かの検知が行われる。図35の処理は、消耗品情報取得部451により行われる。
ステップS61において、消耗品情報取得部451は、消耗品センサ452aの検知結果に基づいて、収容具20に貯留された使用済みの消耗品が満量に達したか否かを判断する。使用済みの消耗品が満量に達していなければ、ステップS61に戻る。一方、使用済みの消耗品が満量に達していれば、ステップS62に進み、測定処理を停止するよう、第1測定ユニット200の制御部411および第2測定ユニット300の制御部421に信号を送信する。
以上により、検体測定装置100による分析処理動作が行われる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。