以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する部分を省略する。
[光モジュールの構成]
図1に示されるように、光モジュール1は、ベースBを備えている。ベースBは、支持層2と、支持層2上に設けられたデバイス層3と、支持層2とデバイス層3との間に設けられた中間層4と、備えている。支持層2、デバイス層3及び中間層4は、SOI基板によって構成されている。具体的には、支持層2は、SOI基板の第1シリコン層である。デバイス層3は、SOI基板の第2シリコン層である。中間層4は、SOI基板の絶縁層である。支持層2、デバイス層3及び中間層4は、それらの積層方向であるZ軸方向(Z軸に平行な方向)から見た場合に、例えば、一辺が10mm程度の矩形状を呈している。支持層2及びデバイス層3のそれぞれの厚さは、例えば数百μm程度である。中間層4の厚さは、例えば数μm程度である。なお、図1では、デバイス層3の1つの角部及び中間層4の1つの角部が切り欠かれた状態で、デバイス層3及び中間層4が示されている。
デバイス層3は、実装領域31と、実装領域31に接続された駆動領域32と、を有している。駆動領域32は、一対のアクチュエータ領域33と、一対の弾性支持領域34と、を含んでいる。実装領域31及び駆動領域32(すなわち、実装領域31並びに一対のアクチュエータ領域33及び一対の弾性支持領域34)は、MEMS技術(パターニング及びエッチング)によってデバイス層3の一部に一体的に形成されている。
一対のアクチュエータ領域33は、X軸方向(Z軸に直交するX軸に平行な方向)において実装領域31の両側に配置されている。つまり、実装領域31は、X軸方向において一対のアクチュエータ領域33に挟まれている。各アクチュエータ領域33は、中間層4を介して支持層2に固定されている。各アクチュエータ領域33における実装領域31側の側面には、第1櫛歯部33aが設けられている。各第1櫛歯部33aは、その直下の中間層4が除去されることで、支持層2に対して浮いた状態となっている。各アクチュエータ領域33には、第1電極35が設けられている。
一対の弾性支持領域34は、Y軸方向(Z軸及びX軸に直交するY軸に平行な方向)において実装領域31の両側に配置されている。つまり、実装領域31は、Y軸方向において一対の弾性支持領域34に挟まれている。各弾性支持領域34の両端部34aは、中間層4を介して支持層2に固定されている。各弾性支持領域34の弾性変形部34b(両端部34aの間の部分)は、複数の板バネが連結された構造を有している。各弾性支持領域34の弾性変形部34bは、その直下の中間層4が除去されることで、支持層2に対して浮いた状態となっている。各弾性支持領域34において両端部34aのそれぞれには、第2電極36が設けられている。
実装領域31には、各弾性支持領域34の弾性変形部34bが接続されている。実装領域31は、その直下の中間層4が除去されることで、支持層2に対して浮いた状態となっている。つまり、実装領域31は、一対の弾性支持領域34によって支持されている。実装領域31における各アクチュエータ領域33側の側面には、第2櫛歯部31aが設けられている。各第2櫛歯部31aは、その直下の中間層4が除去されることで、支持層2に対して浮いた状態となっている。互いに対向する第1櫛歯部33a及び第2櫛歯部31aにおいては、第1櫛歯部33aの各櫛歯が第2櫛歯部31aの各櫛歯間に位置している。
一対の弾性支持領域34は、X軸に平行な方向Aに対して両側から実装領域31を挟んでおり、実装領域31が方向Aに沿って移動すると、実装領域31が初期位置に戻るように実装領域31に弾性力を作用させる。したがって、第1電極35と第2電極36との間に電圧が印加されて、互いに対向する第1櫛歯部33a及び第2櫛歯部31a間に静電引力が作用すると、当該静電引力と一対の弾性支持領域34による弾性力とがつり合う位置まで、方向Aに沿って実装領域31が移動させられる。このように、駆動領域32は、静電アクチュエータとして機能する。
光モジュール1は、可動ミラー5と、固定ミラー6と、ビームスプリッタ7と、光入射部8と、光出射部9と、を更に備えている。可動ミラー5、固定ミラー6及びビームスプリッタ7は、マイケルソン干渉光学系である干渉光学系10を構成するように、デバイス層3上に配置されている。
可動ミラー5は、X軸方向におけるビームスプリッタ7の一方の側において、デバイス層3の実装領域31に実装されている。可動ミラー5が有するミラー部51のミラー面51aは、デバイス層3に対して支持層2とは反対側に位置している。ミラー面51aは、例えばX軸方向に垂直な面(すなわち、方向Aに垂直な面)であり、ビームスプリッタ7側に向いている。
固定ミラー6は、Y軸方向におけるビームスプリッタ7の一方の側において、デバイス層3の実装領域37に実装されている。固定ミラー6が有するミラー部61のミラー面61aは、デバイス層3に対して支持層2とは反対側に位置している。ミラー面61aは、例えばY軸方向に垂直な面であり、ビームスプリッタ7側に向いている。
光入射部8は、Y軸方向におけるビームスプリッタ7の他方の側において、デバイス層3に実装されている。光入射部8は、例えば光ファイバ及びコリメートレンズ等によって構成されている。光入射部8は、外部から干渉光学系10に測定光を入射させるように配置されている。
光出射部9は、X軸方向におけるビームスプリッタ7の他方の側において、デバイス層3に実装されている。光出射部9は、例えば光ファイバ及びコリメートレンズ等によって構成されている。光出射部9は、干渉光学系10から外部に測定光(干渉光)を出射させるように配置されている。
ビームスプリッタ7は、光学機能面7aを有するキューブタイプのビームスプリッタである。光学機能面7aは、デバイス層3に対して支持層2とは反対側に位置している。ビームスプリッタ7は、デバイス層3に形成された矩形状の開口3aの1つの隅部にビームスプリッタ7の底面側の1つの角部が接触させられることで、位置決めされている。ビームスプリッタ7は、位置決めされた状態で接着等によって支持層2に固定されることで、支持層2に実装されている。
以上のように構成された光モジュール1では、光入射部8を介して外部から干渉光学系10に測定光L0が入射すると、測定光L0の一部は、ビームスプリッタ7の光学機能面7aで反射されて可動ミラー5に向かって進行し、測定光L0の残部は、ビームスプリッタ7の光学機能面7aを透過して固定ミラー6に向かって進行する。測定光L0の一部は、可動ミラー5のミラー面51aで反射されて、同一光路上をビームスプリッタ7に向かって進行し、ビームスプリッタ7の光学機能面7aを透過する。測定光L0の残部は、固定ミラー6のミラー面61aで反射されて、同一光路上をビームスプリッタ7に向かって進行し、ビームスプリッタ7の光学機能面7aで反射される。ビームスプリッタ7の光学機能面7aを透過した測定光L0の一部と、ビームスプリッタ7の光学機能面7aで反射された測定光L0の残部とは、干渉光である測定光L1となり、測定光L1は、光出射部9を介して干渉光学系10から外部に出射する。光モジュール1によれば、方向Aに沿って可動ミラー5を高速で往復動させることができるので、小型且つ高精度のFTIRを提供することができる。
[可動ミラー及びその周辺構造]
図2、図3及び図4に示されるように、ベースBは、互いに対向する第1表面Ba及び第2表面Bbを備えている。第1表面Baは、デバイス層3における支持層2と反対側の表面であり、第2表面Bbは、デバイス層3における支持層2側の表面である。可動ミラー5は、ミラー面51aが第1表面Baと交差(例えば、直交)する平面上に位置し、かつミラー面51aがベースBの第1表面Ba側に位置した状態において、ベースBに実装されている。
可動ミラー(光学素子)5は、ミラー部(光学部)51と、弾性部52と、支持部53と、連結部54と、を有している。可動ミラー5は、MEMS技術(パターニング及びエッチング)によって一体的に形成されている。このため、可動ミラー5の厚さ(ミラー面51aに直交するX軸方向の寸法)は、各部において一定であり、例えば10μm以上20μm以下程度である。また、ミラー部51、弾性部52、支持部53及び連結部54は、Y軸方向(ミラー面51a及び第1表面Baの双方に沿った方向)から見た場合に互いに同一平面上に位置するように設けられている。
ミラー部51は、ミラー面(光学面)51aを主面として有する板状(例えば、円板状)に形成されている。ミラー面51aの直径は、例えば1mm程度である。弾性部52は、X軸方向から見た場合にミラー部51から離間しつつミラー部51を囲む弧状(例えば、半円弧状)に形成されている。
支持部53は、一対の脚部55A,55Bと、一対の係止部(突出部)56と、一対の折返部57と、を有している。一対の脚部55A,55Bは、Y軸方向にミラー部51を挟むように設けられ、弾性部52の両端部にそれぞれ接続されている。
脚部55A及び脚部55Bのそれぞれは、一端が弾性部52に接続された第1部分58aと、第1部分58aの他端に接続された第2部分58bと、を有している。脚部55Aの第1部分58aは、Z軸方向(第1表面Baに直交する方向)に沿って延在している。脚部55Bの第1部分58aは、X軸方向から見た場合に、ミラー部51の外縁に沿って弧状に延在している。脚部55A及び脚部55Bそれぞれの第2部分58bは、弾性部52から遠ざかるほど(Z軸負方向に向かうにつれて)互いに近づくように傾斜して延在している。
一対の係止部56は、各第2部分58bにおける弾性部52とは反対側の端部にそれぞれ設けられている。一対の係止部56のそれぞれは、X軸方向から見た場合に内側(互いに近づく側)に例えばV字状に屈曲するように形成されている。各係止部56は、傾斜面56a及び傾斜面56bを含む。傾斜面56a及び傾斜面56bは、一対の係止部56における互いに対向する面の反対側の面である(外面である)。
一対の係止部56間において、傾斜面56aは、Z軸負方向に向かうにつれて互いに近づくように傾斜している。傾斜面56bは、Z軸負方向に向かうにつれて互いに離れるように傾斜している。X軸方向から見た場合に、Z軸に対する傾斜面56aの傾斜角αは、Z軸方向に対する傾斜面56bの傾斜角βと等しい又は僅かに大きい。例えば、傾斜角αは、約45度であり、傾斜角βは約35度である。
一対の係止部56は、一対の脚部55A,55Bを介して弾性部52にそれぞれ接続されている。これにより、例えばY軸方向の両側から挟むように一対の脚部55A,55Bに力を加えることにより、弾性部52をY軸方向に圧縮するように弾性変形させ、一対の係止部56間の距離を縮小させることができる。すなわち、Y軸方向における一対の係止部56間の距離は、弾性部52の弾性変形に応じて可変である。また、一対の係止部56には、弾性部52の弾性力が付与され得る。
一対の折返部57は、各係止部56における弾性部52とは反対側の端部にそれぞれ設けられている。一対の折返部57のそれぞれは、X軸方向から見た場合に外側(互いに遠ざかる側)かつZ軸正方向側に向かって延びている。各折返部57は、傾斜面57aを含む。傾斜面57aは、折返部57における係止部56と対向する面である。一対の折返部57間において、傾斜面57aは、Z軸正方向に向かうにつれて互いに離れるように傾斜している。X軸方向から見た場合に、Z軸方向に対する傾斜面57aの傾斜角γは、傾斜角αよりも僅かに大きい。傾斜角γは、例えば約60度である。
連結部54は、ミラー部51と脚部55Bとを互いに連結している。連結部54は、X軸方向から見た場合に、所定方向においてミラー部51の中心に対して弾性部52と反対側において、ミラー部51に連結されている。この所定方向は、Y軸方向及びZ軸方向の双方に交差する方向である。連結部54は、第1部分58aと第2部分58bとの接続部分において、脚部55Bに連結されている。ミラー部51の中心は、中心線CL1に対してY軸方向の一方の側(脚部55B側)に位置している。中心線CL1は、後述する第1開口31bの中心を通りZ軸方向に延びる仮想的な直線である。
ここで、ベースBの実装領域31には、第1開口31bと、一対の第2開口31cと、が形成されている。第1開口31b及び各第2開口31cは、Z軸方向にデバイス層3を貫通し、第1表面Ba及び第2表面Bbの双方に開口している。一対の第2開口31cは、第1開口31bをY軸方向に挟むように設けられている。第1開口31b及び第2開口31cの詳細については後述する。
一対の係止部56は、互いに離れる方向に弾性部52の弾性力が付与された状態において、第1開口31bに挿入されている。各係止部56は、第1開口31bを介して第2表面Bbから突出している。各係止部56は、傾斜面56aにおいて第1開口31bの第1表面Ba側の縁部31dに当接している。各折返部57は、各係止部56から第2表面Bbに向かって延び、第2表面Bb側から第2開口31cに入り込んでいる。各折返部57は、傾斜面57aにおいて第2開口31cの第2表面Bb側の縁部31eに当接している。このように、係止部56が第1開口31bの第1表面Ba側の縁部31dに当接し、かつ折返部57が第2開口31cの第2表面Bb側の縁部31eに当接していることにより、可動ミラー5がZ軸方向に抜け止めされている。
ここで、中間層4には、開口41が形成されている。開口41は、Z軸方向において中間層4の両側に開口している。支持層2には、開口21が形成されている。開口21は、Z軸方向において支持層2の両側に開口している。光モジュール1では、中間層4の開口41内の領域及び支持層2の開口21内の領域によって、一続きの空間S1が構成されている。つまり、空間S1は、中間層4の開口41内の領域及び支持層2の開口21内の領域を含んでいる。
空間S1は、支持層2とデバイス層3との間に形成されており、少なくとも実装領域31及び駆動領域32に対応している。具体的には、中間層4の開口41内の領域及び支持層2の開口21内の領域は、Z軸方向から見た場合に実装領域31が移動する範囲を含んでいる。中間層4の開口41内の領域は、実装領域31及び駆動領域32のうち支持層2から離間させるべき部分(すなわち、支持層2に対して浮いた状態とすべき部分であって、例えば、実装領域31の全体、各弾性支持領域34の弾性変形部34b、第1櫛歯部33a及び第2櫛歯部31a)を支持層2から離間させるための隙間を形成している。
空間S1には、可動ミラー5が有する各係止部56の一部が位置している。具体的には、各係止部56の一部は、中間層4の開口41内の領域を介して、支持層2の開口21内の領域に位置している。各係止部56の一部は、第2表面Bbから空間S1内に、例えば100μm程度突出している。上述したように、中間層4の開口41内の領域及び支持層2の開口21内の領域は、Z軸方向から見た場合に実装領域31が移動する範囲を含んでいるため、実装領域31が方向Aに沿って往復動した際に、可動ミラー5の各係止部56うち空間S1に位置する一部が、中間層4及び支持層2と接触することはない。
ここで、図4(b)に示されるように、第1開口31bの内面は、Y軸方向に互いに対向する一対の傾斜面SAと、Y軸方向に互いに対向する一対の傾斜面SBと、を含む。各傾斜面SAは、一端SAa及び他端SAbを含み、各傾斜面SBは、一端SBa及び他端SBbを含む。Z軸方向から見た場合に、一対の傾斜面SAは、一端SAaから他端SAbに向けて互いの距離が拡大するように(例えば、X軸方向に対して)傾斜し、一対の傾斜面SBは、一端SBaから他端SBbに向けて互いの距離が拡大するように(例えば、X軸方向に対して)、一対の傾斜面SAと反対側に傾斜している。傾斜面SAと傾斜面SBとは、X軸方向(一対の傾斜面SA同士が対向するY軸方向に直交する方向)において互いに対向している。
Y軸方向の両側それぞれにおいて、傾斜面SAの他端SAbと傾斜面SBの他端SBbとは、X軸方向に沿って延在する接続面SCを介して互いに接続されている。Y軸方向の両側それぞれにおいて、傾斜面SA、傾斜面SB及び接続面SCは、1つの角部を規定している。X軸方向の両側それぞれにおいて、傾斜面SAの一端SAaと傾斜面SBの一端SBaとは、Y軸方向に延在する接続面SDを介して互いに接続されている。接続面SDは、Z軸方向から見た場合に、中間部において外側(互いに離れる側)にV字状に拡幅した形状を有している。第1開口31bは、Z軸方向から見た場合に、第1開口31bの中心を通りY軸方向に平行な中心線CL2に関して線対称な形状を有している。ここでの第1開口31bは、Z軸方向から見た場合に十角形状を有している。
各第2開口31cの内面は、X軸方向に互いに対向する一対の傾斜面SEを含む。一対の傾斜面SEは、Z軸方向から見た場合に、第1開口31bから遠ざかるほど互いに離れるように傾斜している。Y軸方向において、一方の傾斜面SEは傾斜面SAと対向し、他方の傾斜面SEは傾斜面SBと対向している。一対の傾斜面SEは、Z軸方向から見た場合に、傾斜面SA及び傾斜面SBとY軸方向に関して線対称な形状を有している。各第2開口31cは、Z軸方向から見た場合に、中心線CL2に関して線対称な形状を有している。ここでの第2開口31cは、Z軸方向から見た場合に六角形状を有している。
Y軸方向における第1開口31bの寸法の最大値(すなわち、一対の傾斜面SAの他端SAb同士の間隔)は、一対の係止部56が第1開口31b内に配置されているときに弾性部52の弾性変形の一部のみが解放され得る(すなわち、弾性部52が自然長に至らない)値である。したがって、第1開口31b内に一対の係止部56を配置すると、弾性部52の弾性力によって一対の係止部56が第1開口31bの内面を押圧し、第1開口31bの内面からの反力が一対の係止部56に付与されることになる。可動ミラー5は、当該反力によりベースBに支持されている。より詳細には、弾性部52の弾性力によって、各係止部56が第1開口31bの傾斜面SA及び傾斜面SBによって規定される角部に内接し、かつ各折返部57が傾斜面SEに当接した状態となっている。これにより、可動ミラー5がX軸方向及びY軸方向に位置決めされている。
次に、図5及び図6を参照しつつ、可動ミラー5の実装過程の一例を説明する。まず、図5に示されるように、一対の係止部56間の距離を縮小させた状態において、一対の係止部56を第1表面Ba側から第1開口31bに挿入する。このとき、一対の係止部56は、第1開口31bの内面に当接していない。
続いて、図6に示されるように、一対の係止部56間の距離を拡大させる。これにより、各係止部56が第1開口31bの傾斜面SA及び傾斜面SBによって規定される角部に向かって移動する。このとき、可動ミラー5の姿勢によっては、各係止部56が傾斜面SA及び傾斜面SBの一方(以下、当接面という)に先に当接する場合がある。この場合、各係止部56は、弾性部52の弾性力によって当接面上をY軸方向の外側(第2開口31c側)に向けて摺動し、当接面に接触しながら傾斜面SA及び傾斜面SBの他方(すなわち、当接面と対向する対向面)に突き当てられる。これにより、各係止部56は、傾斜面SA及び傾斜面SBによって規定される角部に内接し、X軸方向及びY軸方向に位置決めされる(弾性力によりセルフアライメントされる)。
また、各係止部56は、傾斜面56aにおいて第1開口31bの第1表面Ba側の縁部51dに当接する。各係止部56は、弾性部52の弾性力によって縁部51d上をZ軸正方向側に向けて摺動する。これにより、各折返部57が第2開口31cに第2表面Bb側から入り込む。各折返部57は、傾斜面57aが第2開口31cの第2表面Bb側の縁部51eに当接する位置(図4の位置)まで移動する。これにより、当該位置において一対の係止部56が係止され、可動ミラー5がZ軸方向に位置決めされる(弾性力によりセルフアライメントされる)。つまり、可動ミラー5においては、弾性部52の弾性力を利用して、3次元的にセルフアライメントがなされる。
[固定ミラー及びその周辺構造]
固定ミラー6及びその周辺構造は、実装領域が可動しないことを除いて、上記の可動ミラー5及びその周辺構造と同様となっている。すなわち、図7及び図8に示されるように固定ミラー(光学素子)6は、ミラー部(光学部)61と、弾性部62と、支持部63と、連結部64と、を有している。固定ミラー6は、ミラー面61aが第1表面Baと交差(例えば、直交)する平面上に位置し、かつミラー面61aがベースBの第1表面Ba側に位置した状態において、ベースBに実装されている。固定ミラー6は、MEMS技術(パターニング及びエッチング)によって一体的に形成されている。このため、固定ミラー6の厚さ(ミラー面61aに直交するY軸方向の寸法)は、各部において一定であり、例えば10μm以上20μm以下程度である。また、ミラー部61、弾性部62、支持部63及び連結部64は、X軸方向(ミラー面61a及び第1表面Baの双方に沿った方向)から見た場合に互いに同一平面上に位置するように設けられている。
ミラー部61は、ミラー面(光学面)61aを主面として有する板状(例えば、円板状)に形成されている。ミラー面61aの直径は、例えば1mm程度である。弾性部62は、Y軸方向から見た場合にミラー部61から離間しつつミラー部61を囲む弧状(例えば、半円弧状)に形成されている。
支持部63は、一対の脚部65A,65Bと、一対の係止部(突出部)66と、一対の折返部67と、を有している。一対の脚部65A,65Bは、X軸方向にミラー部61を挟むように設けられ、弾性部62の両端部にそれぞれ接続されている。
脚部65A及び脚部65Bのそれぞれは、一端が弾性部62に接続された第1部分68aと、第1部分68aの他端に接続された第2部分68bと、を有している。脚部65Aの第1部分68aは、Z軸方向(第1表面Baに直交する方向)に沿って延在している。脚部65Bの第1部分68aは、Y軸方向から見た場合に、ミラー部61の外縁に沿って円弧状に延在している。脚部65A及び脚部65Bそれぞれの第2部分68bは、弾性部62から遠ざかるほど(Z軸負方向に向かうにつれて)互いに近づくように傾斜して延在している。
一対の係止部66は、各第2部分68bにおける弾性部62とは反対側の端部にそれぞれ設けられている。一対の係止部66のそれぞれは、Y軸方向から見た場合に内側(互いに近づく側)に例えばV字状に屈曲するように形成されている。各係止部66は、傾斜面66a及び傾斜面66bを含む。傾斜面66a及び傾斜面66bは、一対の係止部66における互いに対向する面の反対側の面である(外面である)。
一対の係止部66間において、傾斜面66aは、Z軸負方向に向かうにつれて互いに近づくように傾斜している。傾斜面66bは、Z軸負方向に向かうにつれて互いに離れるように傾斜している。Y軸方向から見た場合に、Z軸方向に対する傾斜面66a,66bの傾斜角は、可動ミラー5における傾斜面56a,56bと同様である。
一対の係止部66は、一対の脚部65A,65Bを介して弾性部62にそれぞれ接続されている。これにより、例えばX軸方向の両側から挟むように一対の脚部65A,65Bに力を加えることにより、弾性部62をX軸方向に圧縮するように弾性変形させ、一対の係止部66間の距離を縮小させることができる。すなわち、X軸方向における一対の係止部66間の距離は、弾性部62の弾性変形に応じて可変である。また、一対の係止部66には、弾性部62の弾性力が付与され得る。
一対の折返部67は、各係止部66における弾性部62とは反対側の端部にそれぞれ設けられている。各折返部67は、Y軸方向から見た場合に外側(互いに遠ざかる側)かつZ軸正方向側に向かって延びている。各折返部67は、傾斜面67aを含む。傾斜面67aは、折返部67における係止部66と対向する面である。一対の折返部67間において、傾斜面67aは、Z軸正方向に向かうにつれて互いに離れるように傾斜している。Y軸方向から見た場合に、Z軸方向に対する傾斜面67aの傾斜角は、可動ミラー5における傾斜面57aと同様である。
連結部64は、ミラー部61と脚部65Bとを互いに連結している。連結部64は、Y軸方向から見た場合に、ミラー部61の中心に対して所定方向における弾性部62とは反対の側において、ミラー部61に連結されている。この所定方向は、X軸方向及びZ軸方向の双方に交差する方向である。連結部64は、第1部分68aと第2部分68bとの接続部分において、脚部65Bに連結されている。ミラー部61の中心は、中心線CL3に対してX軸方向の一方の側(脚部65B側)に位置している。中心線CL3は、後述する第1開口37aの中心を通りZ軸方向に延びる仮想的な直線である。
ここで、ベースBの実装領域37には、第1開口37aと、一対の第2開口37bと、が形成されている。第1開口37a及び各第2開口37bは、Z軸方向にデバイス層3を貫通し、第1表面Ba及び第2表面Bbの双方に開口している。一対の第2開口37bは、第1開口37aをX軸方向に挟むように設けられている。
一対の係止部66は、互いに離れる方向に弾性部62の弾性力が付与された状態において、第1開口37aに挿入されている。各係止部66は、第1開口37aを介して第2表面Bbから突出している。各係止部66は、傾斜面66aにおいて第1開口37aの第1表面Ba側の縁部に当接している。一対の折返部67は、各係止部66から第2表面Bbに向かって延び、第2表面Bb側から第2開口37bに入り込んでいる。各折返部67は、傾斜面67aにおいて第2開口37bの第2表面Bb側の縁部に当接している。このように、係止部66が第1開口37aの第1表面Ba側の縁部に当接し、かつ折返部67が第2開口37bの第2表面Bb側の縁部に当接していることにより、固定ミラー6がZ軸方向に抜け止めされている。
ここで、中間層4には、開口42が形成されている。開口42は、Z軸方向から見た場合に実装領域37の第1開口37aを含んでおり、Z軸方向において中間層4の両側に開口している。支持層2には、開口22が形成されている。開口22は、Z軸方向から見た場合に実装領域37の第1開口37aを含んでおり、Z軸方向において支持層2の両側に開口している。光モジュール1では、中間層4の開口42内の領域及び支持層2の開口22内の領域によって、一続きの空間S2が構成されている。つまり、空間S2は、中間層4の開口42内の領域及び支持層2の開口22内の領域を含んでいる。
空間S2には、固定ミラー6が有する各係止部66の一部が位置している。具体的には、各係止部66の一部は、中間層4の開口42内の領域を介して、支持層2の開口22内の領域に位置している。各係止部66の一部は、デバイス層3における中間層4側の表面から空間S2内に、例えば100μm程度突出している。
ここで、第1開口37a及び第2開口37bの内面は、それぞれ、実装領域31における第1開口31b及び第2開口31cの内面と同様に構成されている。したがって、第1開口37a内に一対の係止部66を配置すると、弾性部62の弾性力によって一対の係止部66が第1開口37aの内面を押圧し、第1開口37aの内面からの反力が一対の係止部66に付与されることになる。固定ミラー6は、当該反力によりベースBに支持されている。固定ミラー6においても、可動ミラー5の場合と同様に、第1開口37aの内面と弾性力とを利用した3次元的なセルフアライメントがなされる。
[作用及び効果]
光モジュール1では、第1表面Ba及び第2表面Bbに開口する第1開口31b、並びに第2表面Bbに開口する第2開口31c部がベースBに設けられている。また、光学部をベースBに支持する支持部53が、第1開口31bを介して第2表面Bbから突出した係止部56と、係止部56から第2表面Bbに向かって延び、第2表面Bb側から第2開口31cに入り込んだ折返部57と、を含んでいる。これにより、例えば衝撃により可動ミラー5が第1表面Baに交差する方向に外れようとした場合でも、折返部57が第2開口31cの第2表面Bb側の縁部31eに当接することで、可動ミラー5の脱落を抑制することができる。よって、光モジュール1によれば、可動ミラー5の確実な実装を実現することができる。
また、光モジュール1では、第2開口31cが第1開口31bを挟むように一対設けられており、折返部57が一対の係止部56それぞれに設けられて一対の第2開口31cにそれぞれ入り込んでいる。これにより、可動ミラー5の脱落をより確実に抑制することができる。
また、光モジュール1では、係止部56が第1開口31bの第1表面Ba側の縁部31dに当接している。これにより、可動ミラー5の脱落をより一層確実に抑制することができる。
また、光モジュール1では、折返部57が第2開口31cの第2表面Bb側の縁部31eに当接している。これにより、可動ミラー5の脱落をより一層確実に抑制することができる。特に、係止部56が第1開口31bの第1表面Ba側の縁部31dに当接し、かつ折返部57が第2開口31cの第2表面Bb側の縁部31eに当接している場合、係止部56と折返部57とによってベースBを近接した二点間で挟んで支持するため、X軸方向及びZ軸方向の衝撃に対する耐性を一層向上することができる。
また、光モジュール1では、一対の係止部56が、弾性部52の弾性変形に応じて弾性力が付与されると共に互いの距離が可変とされ、弾性部52の弾性力が付与された状態において第1開口31bに挿入されている。そして、可動ミラー5が、第1開口31bの内面から一対の係止部56に付与される弾性力の反力によりベースBに支持されている。これにより、弾性部52の弾性力を利用して可動ミラー5をベースBに実装することができる。更に、弾性力を利用して可動ミラー5がベースBに実装され、しかも、折返部57によって可動ミラー5の脱落が抑制されているため、接着剤の使用量を低減すること、或いは接着剤を不要とすることが可能となる。接着剤の使用量の低減により、次のような利点が得られる。すなわち、接着材のはみ出しにより、ミラー面51aに汚染等が生じたり、光モジュール1の駆動領域32に破壊や動作不良が生じたりするのを抑制することができる。また、接着材の形成のための領域(構成要素間のスペース)が削減されることで、光モジュール1の小型化を図ることもできる。
また、光モジュール1では、一対の係止部56が、互いに離れる方向に弾性部52の弾性力が付与された状態において第1開口31bに挿入されている。これにより、弾性力を利用して可動ミラー5をベースBに好適に実装することができる。
また、光モジュール1では、第1開口31bの内面が、Z軸方向から見た場合に、一端SAaから他端SAbに向けて互いの距離が拡大するように傾斜した一対の傾斜面SAと、一対の傾斜面SA同士が対向するY軸方向に直交するX軸方向において一対の傾斜面SAと対向する一対の傾斜面SBと、を含む。これにより、係止部56を第1開口31bに挿入して弾性部52の弾性変形の一部を解放したときに、弾性力によって係止部56を傾斜面SAに摺動させて傾斜面SBに突き当てることで、第1表面Baに沿った方向に可動ミラー5を位置決めすることができる。
また、光モジュール1では、ベースBが、支持層2と、支持層2上に設けられ、第1表面Ba及び第2表面Bbを含むデバイス層3と、を有している。これにより、可動ミラー5の確実な実装のための構成を好適に実現することができる。
また、光モジュール1では、ベースBが、支持層2とデバイス層3との間に設けられた中間層4を有している。これにより、可動ミラー5の確実な実装のための構成を一層好適に実現することができる。
また、光モジュール1では、可動ミラー5、固定ミラー6及びビームスプリッタ7が、干渉光学系10を構成するように配置されている。これにより、感度が向上されたFTIRを得ることができる。
また、光モジュール1では、支持層2がSOI基板の第1シリコン層であり、デバイス層3がSOI基板の第2シリコン層であり、中間層4がSOI基板の絶縁層である。これにより、デバイス層3に対する可動ミラー5の確実な実装のための構成をSOI基板によって好適に実現することができる。
また、光モジュール1では、光入射部8が、外部から干渉光学系10に測定光を入射させるように配置されており、光出射部9が、干渉光学系10から外部に測定光を出射させるように配置されている。これにより、光入射部8及び光出射部9を備えるFTIRを得ることができる。
また、光モジュール1では、可動ミラー5がデバイス層3の実装領域31を貫通しており、可動ミラー5の各係止部56の一部が支持層2とデバイス層3との間に形成された空間S1に位置している。これにより、例えば係止部56や折返部57のサイズ等が制限されないため、デバイス層3の実装領域31に可動ミラー5を安定的に且つ強固に固定することができる。すなわち、光モジュール1では、空間S1を有する構成を採用することで、可動ミラー5の形状として折返部57を備えた形状を採用することが可能となっているそして、脆弱な可動ミラー5の形状として敢えて折返部57を備えた形状を採用することで、外力や環境変化への耐性を高め、ポータブル機器等への搭載に耐え得る光モジュール1を実現している。
[変形例]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば、各構成の材料及び形状は、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。
また、図9に示される第1変形例のように第1開口31bが構成されてもよい。第1変形例では、Y軸方向の両側それぞれにおいて、傾斜面SAの他端SAbと傾斜面SBの他端SBbとが互いに直接に接続されている。Z軸方向から見た場合に、一方の傾斜面SAの他端SAbと他方の傾斜面SAの他端SAbとを通る直線(ここでは、中心線CL2)に対する一対の傾斜面SAの傾斜角δは、45度以下である。傾斜角δは、例えば約35度である。第1変形例においても、上記実施形態と同様に、第1開口31bは、Z軸方向から見た場合に中心線CL2に関して線対称な形状を有している。このような第1変形例によっても、上記実施形態と同様に、可動ミラー5の確実な実装を実現することができる。更に、係止部56に付与される弾性力の反力を、Y軸方向よりもX軸方向に多く分散することができる。これにより、FTIRの信頼性の向上のために重要なX軸方向の衝撃に対する耐性を向上することができる。
また、上記実施形態では、第1開口31bが一対の傾斜面SAと一対の傾斜面SBとを含んでいたが、第1開口31bは、一対の傾斜面SAと、一対の傾斜面SAの他端SAb同士を互いに接続する基準線(図4では、中心線CL2)に沿って延在する基準面と、を含んでもよい。この場合、係止部56を第1開口31bに挿入して弾性部52の弾性変形の一部を解放したときに、弾性力によって係止部56を傾斜面SAに摺動させて当該基準面に突き当てることで、第1表面Baに沿った方向に可動ミラー5を位置決めすることができる。
また、上記実施形態では、ミラー面51aがベースBの第1表面Ba側に位置していたが、可動ミラー5は、ミラー面51aの一部又は全部がベースBの第2表面Bb側に突出した状態でベースBに実装されてもよい。この場合、実装領域31において第1開口31bを画定する部分のうちミラー面51aに対向する部分は、測定光L0を通過させるために、切り欠かれる。また、弾性部52は、X軸方向から見た場合に、ミラー部51から離間しつつミラー部51を取り囲むように環状(例えば、円環状)に形成されてもよい。また、上記実施形態では、係止部56が傾斜面56aにおいて第1開口31bの第1表面Ba側の縁部31dに当接していたが、これに加えて、係止部56は、傾斜面56bにおいて第1開口31bの第2表面Bb側の縁部に当接してもよい。
また、上記実施形態において、各第2開口31cは、第1表面Baに開口していなくてもよく、例えば、第2表面Bbに開口する凹部であってもよい。また、第1開口31bと第2開口31cとは、連通していてもよい。例えば、第1開口31bと第2開口31cとの間に第2表面Bbに開口する凹部が設けられ、当該凹部を介して第1開口31bと第2開口31cとが連通していてもよい。また、折返部57は、第2開口31cに入り込んでいればよく、第2開口31cの第2表面Bb側の縁部31eから離間していてもよい。
また、図10及び図11に示される変形例のように可動ミラー5Aが構成されてもよい。可動ミラー5Aでは、支持部53の脚部55A及び脚部55Bは、互いに平行にZ軸方向に沿って延在している。一対の係止部56のそれぞれは、X軸方向から見た場合に外側(互いに離れる側)にV字状に屈曲するように形成されている。各係止部56の傾斜面56a及び傾斜面56bは、一対の係止部56における互いに対向する面である(内面である)。一対の係止部56間において、傾斜面56aは、Z軸負方向に向かうにつれて互いに離れるように傾斜している。傾斜面56bは、Z軸負方向に向かうにつれて互いに近づくように傾斜している。一対の折返部57のそれぞれは、X軸方向から見た場合に内側(互いに近づく側)かつZ軸正方向側に向かって延びている。一対の折返部57間において、傾斜面57aは、Z軸正方向に向かうにつれて互いに近づくように傾斜している。連結部54は、中心線CL1上においてミラー部51と弾性部52と連結している。ミラー部51の中心は、中心線CL1上に位置している。
可動ミラー5Aは、ハンドル59を更に有している。ハンドル59は、弾性部52の両端部にそれぞれ接続された一対の変位部59aを有する。一対の変位部59aは、Y軸方向において互いに対向するように設けられ、弾性部52の端部からZ軸正方向に向かって延びている。各変位部59aの中間部は、X軸方向から見た場合に内側にV字状に屈曲している。一対の変位部59aは、可動ミラー5Aが実装領域37に実装された状態において、ミラー部51、弾性部52及び支持部53に対してZ軸正方向側に位置する。この変形例では、実装領域31には、第2開口31cが1つ形成されると共に、第2開口31cをY軸方向に挟むように第1開口31bが一対形成されている。一対の係止部56は、互いに近づく方向に弾性部52の弾性力が付与された状態において、一対の第1開口31bにそれぞれ挿入されている。
可動ミラー5AをベースBに実装する際には、一対の変位部59aに力を付加することにより一対の係止部56間の距離を拡大させた状態において、一対の係止部56を一対の第1開口31bにそれぞれ挿入する。例えば、一方の係止部56を先に第1開口31bに挿入して第1開口31bの縁部に当接させた後に、一対の変位部59aに力を付加することにより、当該一方の係止部56から遠ざかるように他方の係止部56を変位させた状態において、他方の係止部56を第1開口31bに挿入する。続いて、一対の変位部59aに付加していた力を解放することにより、一対の係止部56を第1開口31bの内面に当接させて可動ミラー5をベースBに固定する。弾性部52の弾性力を利用して3次元的にセルフアライメントがなされる点、及び一対の折返部57が第2表面Bb側から第2開口31cにそれぞれ入り込んで第2開口31cの第2表面Bb側の縁部に当接する点は、上記実施形態と同様である。このような変形例によっても、上記実施形態と同様に、可動ミラー5の確実な実装を実現することができる。なお、上記変形例では、第2開口31cが1つ形成されていたが、第2開口31cは、一対の第1開口31bによって挟まれるように一対形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、固定ミラー6がデバイス層3に実装されていたが、固定ミラー6は、支持層2又は中間層4に実装されていてもよい。また、上記実施形態では、ビームスプリッタ7が支持層2に実装されていたが、ビームスプリッタ7は、デバイス層3又は中間層4に実装されていてもよい。また、ビームスプリッタ7は、キューブタイプのビームスプリッタに限定されず、プレートタイプのビームスプリッタであってもよい。
また、光モジュール1は、光入射部8に加え、光入射部8に入射させる測定光を発生させる発光素子を備えていてもよい。或いは、光モジュール1は、光入射部8に代えて、干渉光学系10に入射させる測定光を発生させる発光素子を備えていてもよい。また、光モジュール1は、光出射部9に加え、光出射部9から出射された測定光(干渉光)を検出する受光素子を備えていてもよい。或いは、光モジュール1は、光出射部9に代えて、干渉光学系10から出射された測定光(干渉光)を検出する受光素子を備えていてもよい。
また、各アクチュエータ領域33に電気的に接続された第1貫通電極、及び各弾性支持領域34の両端部34aのそれぞれに電気的に接続された第2貫通電極が、支持層2及び中間層4(中間層4が存在しない場合には支持層2のみ)に設けられており、第1貫通電極と第2貫通電極との間に電圧が印加されてもよい。また、実装領域31を移動させるアクチュエータは、静電アクチュエータに限定されず、例えば、圧電式アクチュエータ、電磁式アクチュエータ等であってもよい。また、光モジュール1は、FTIRを構成するものに限定されず、他の光学系を構成するものであってもよい。
さらに、上記実施形態においては、ベースBに実装される光学素子として、可動ミラー及び固定ミラーを例示した。この例では、光学面はミラー面である。しかしながら、実装対象となる光学素子はミラーに限定されず、例えば、グレーティングや光学フィルタ等の任意のものとすることができる。