JP6792766B2 - 飯台 - Google Patents
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Description
この木製の飯台は水切りが悪く乾燥しづらいため、やがてカビが発生して黒ずみ、衛生的な調理道具とは言えず、まして、その外周には円形に並べた木片を固定するための箍が嵌められ、飯台の洗浄性を妨げている。
この点、特許文献1では、無機充填剤(例えば炭酸カルシウム)や有機充填剤(例えば木粉)を配合した熱可塑性樹脂組成物を素材とし、これを射出成型して製作したすし桶等が提案されている。これにより、特許文献1では木製の飯台に劣らない風合いのある外観を呈するとされている。
そのため、プラスチックで飯台を製作するには、その肉厚を薄くして軽量化する必要がある。しかし、単に肉厚を薄く(約1/3)すると、特に大口径の飯台では全体の剛性が失われ、ペコペコした感覚となり、両手で外周を掴んだときに容易に変形し易く、取扱い上に問題を生じる。また、肉厚が薄くなると単なるプラスチックの容器となり、旨さを印象づける伝統的な木製飯台の外観と大きく異なってしまい、人目に触れるような寿司屋などでは使用できない。
なお、特許文献1の飯台は、人目に触れても問題がないように風合いを出そうとしているが、木粉等の充填材を配合すると、強度が弱くなるという問題がある。この強度問題を解消するためには肉厚にする必要があるが、肉厚にすると反対に重くなってしまい、やはり洗浄や取り回しなどの取扱い性に課題を残す。また、充填材によっては、全体をプラスチックで形成した飯台に比べて水を吸収し易く、乾燥性に欠けて衛生上の問題も生じる。
そして、側面部は、その上下端部に配置された合成樹脂製の上下端部材と、両面に配置された合成樹脂製の側面表面部材を有している。従って、側面部は表面全体が合成樹脂製の材料となり、水分が吸収されることがないため、カビが生えて黒ずむようなこともなく、清潔感があって衛生性に優れている。また、底面部も、合成樹脂製の周縁部材と両面に配置された合成樹脂製の底面表面部材を有して表面全体が合成樹脂製の材料となり、同様に清潔感があって衛生性に優れている。
さらに、側面部は、その側面芯材部の一部に、上下端部材に比べて比重が小さい側面用軽量部材(例えば発泡体)を有し、底面部も、その底面芯材部の一部に、周縁部材に比べて比重が小さい底面用軽量部材(例えば発泡体)を有している。従って、側面部や底面部の厚みを従来の木製飯台と同程度の肉厚状とすることで、一見して木製飯台と同様の外観を呈することができる一方で、このように肉厚状にしても、これらの軽量部材が構成可能である分、製品全体として木製飯台の重量並みの軽量化を図ることができ、取扱いと洗浄が容易となる。
上記構成では、側面部を構成する各部材は、円形のリング状となるための接続部を有している。換言すると、一つ又は分割された複数の材料が円形のリング状となるように接続されているため、射出成型等のように1つの大きなリング状の金型を作る必要がなく、低コスト化を図れる。例えば1枚若しくは複数枚の短冊状の合成樹脂材料を形成し、その後、この合成樹脂材料をリング状に曲げ加工などして、その曲げ方向の各両端面同士を接続すれば、側面部を構成する円形でリング状の各部材を形成できる。また、このような方法で形成すれば、射出成型では容易に形成できない肉薄の部材(例えば側面表面部材)も容易に形成して、軽量化に資することができる。
そして、このように側面部の各部材の夫々が接続部を有していても、その接続部分は、各材料同士の端部を単に重ね合わせて接続するものではなく、その端面同士を突き合わせた状態で接続しているため、側面部の表面に不規則な出っ張りや段差が形成されることなく、一見上の外観に違和感がなく、また円滑な表面として洗浄性に優れた飯台とすることもできる。
このため、側面部を構成する各部材の接続部の周方向の位置関係が同じであることによって生じる、側面部の周方向の同じ位置に応力が集中するような事態を防止することができる。
即ち、材料の端面同士を突き合わせて接続した接続部の強度は、一定の面積で材料同士を重ね合わせて接続した接続部と比較して、接続面積が小さいことに起因して接続強度が低下する。従って、材料の端面同士を突き合わせた接続部という強度的に弱い部分が存在したとしても、側面部の周方向での各部材の接続部の位置がそれぞれ異なる位置関係にあるため、側面部の特定部分での集中応力を分散して強度の高い側面部を形成することができる。
従って、側面部が底面部から上部へ向かって拡がった形状となり、酢飯を調理する際の杓文字の操作がし易くなるのは勿論のこと、複数の飯台どうしを上下に重ねて、保管の際や輸出などの搬送の際のスペースを小さくすることができる。また、側面部は下方に向かうに従って内側となるように傾斜することになるので、例えば、底面部を側面部の内側に嵌める場合にあっては、底面部が抜け落ちる事態を有効に防止することができる。
従って、軽量化のための、側面部の側面用軽量部材や底面部の底面用軽量部材があっても、補強部材により強度の向上を図ることができる。特に、底面部は、調理物の重量を大きく受け、かつ、熱い米飯が載せられて合成樹脂の部分が軟化し、変形したり剛性が低下したりするおそれがあるが、そのようなおそれも有効に防止することができる。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
また、以下の図で同一の符号を付した箇所は同様の構成である。
図1は本発明の第1実施形態に係る飯台10の斜視図、図2は図1の飯台10の側面図である。なお、図2では側面部と底面部の一部を切り欠いて、その断面を図示しているが、その断面の詳細構造を省略して図示している。
これらの図の飯台10は、酢飯やちらし寿司などを調理する際に、米飯などの食材を収容する調理用具であり、例えば、寿司の酢飯を調理する場合は、概ね以下のように使用される。先ず、飯台10に炊かれた後の熱い米飯を入れ、そこにすし酢を回しかけて、杓文字で切るように混ぜる。次いで、うちわ等で扇いで冷まし、あら熱が取れたら杓文字で裏返す。次いで、再びうちわ等で扇いで冷まし、あら熱が取れたら、上側の開口部10Aに布巾等を掛けて乾燥を防いでおく。使用後は洗浄して乾かし、その後保管する。
図の飯台10は、平面視が正円形状であって、内径(側面部20の内径であり、底面部30の直径)L1が約43cm、外径(側面部20の外径)L2が約48cm、高さ(側面部20の全高)Hが約11cmの外形とされている。なお、本発明の飯台はこれに限られず、平面視が例えば楕円形状であっても構わない。
また、側面部20は、少なくとも外部に露出する表面全体が合成樹脂製であり、この点でも洗浄性が高い。本実施形態では全ての部材が合成樹脂製であり、この側面部20の材料などについては後で詳細に説明する。
先ず、このように傾斜角度θ1を設けるのは、側面部20は下方に向かうに従って内側となるように傾斜することになるので、側面部20の内側に嵌められた底面部30の抜け落ちを防止できるからである。
また、傾斜角度θ1が大き過ぎると必要以上に外径が大きくなるばかりで、木製の飯台のイメージから遠ざかり過ぎるので好ましくないからである。
また、酢飯を調理する際に米飯と酢を杓文字で切るように混ぜ合わせる際、側面部20付近の混ぜ合わせを容易にするためである。
また、複数の飯台10,100どうしを上下に重ねた際、上の飯台10の側面部20の大半が下の飯台100の内側空間S1に挿入されることで、重ねた上下の寸法を小さくするためである。このように重ねた上下寸法を小さくするのは、保管や搬送の際のスペースを小さくするためである。
なお、側面部20の内面20aと底面部30の外周端面30aとは、水密性を保つため接着剤などで固着されているのが好ましいが、上記の傾斜角度θ1による上記水密圧力によって一定の水密性が保たれるので、底面部30を固着せず取り外し可能として、分解・洗浄を可能にしてもよい。これは、側面部20と底面部30との交差部分(図2の傾斜角度θ1を表示する部分の角部)は、その断面が角状で洗浄しにくく汚れが溜まりやすいからであるが、当該角部を円弧状に形成して洗浄し易くしてもよい。
図2に示すように、底面部30は、側面部20の下端から約1cm程度の上部に取り付けられ、設置面上で側面部20の下端のみが接触するようにしている。このため、底面部30が例えば加熱や重みで多少歪んでも、高い安定性を確保することができる。
また、色彩についても、本実施形態の場合は木肌色(黄土色ないし茶色)とされ、より木製飯台に似るようにしている。なお、色彩について言えば、必ずしも全体を木肌色とする必要はなく、例えば開口部10A側の縁部21に木肌色とは異なる色彩を付けても構わない。この縁部21の色彩は、異なる飯台10,100毎に異なる色彩としてもよく、これにより、複数の飯台10,100を上下に重ねても、夫々の縁部21,210の色彩が視認可能であり、縁部21,210を見て、どの種類の飯台であるのかを区別できる。従って、例えば酢飯の種類・担当などによって飯台を決めている場合、異なる色彩をその飯台の種別情報とすることができる。
〔側面部について〕
先ず、側面部20について説明する。
図3に示すように、側面部20は、その厚み方向について積層構造とされている。即ち、側面部20は、その厚み方向の中央部に芯材である「側面芯材部23」を有すると共に、この側面芯材部23の主面の両面に配置された合成樹脂製の「側面表面部材28,29」を有している。
側面芯材部23は、主に、側面部20を大きな厚みで形成したとしても軽量化を図るためのものであり、その上下端部に配置された合成樹脂製の「上下端部材(上端部材と下端部材)24,25」と、この上下端部材24,25に比べて比重が小さい材料からなる「側面用軽量部材26」とを有している。
本実施形態の場合、側面芯材部23と側面表面部材28,29とは接着剤で接続され、また、側面用軽量部材26と上下端部材24,25も接着剤で接続されている。
側面用軽量部材26の材料としては、軽量な芯材が構成可能な材料であれば如何なるものも使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ABS等の熱可塑性樹脂の発泡体、また、ウレタン、フェノール、メラミン、ポリエステル、エポキシ等の熱硬化性樹脂の発泡体などで、これらの2〜30倍程度の合成樹脂の発泡体が好ましく使用できる。
また、その他の材料としては、例えば、ハニカムコア材、中空バルーンを配合した軽量樹脂材、樹脂含浸した繊維構造体、木材等、及びこれらの複合体で、内部に空隙を有し、芯材として加工可能な軽量な材料が適用できる。
なお、このように側面用軽量部材26が空隙を有すると、空気が断熱材になって、飯台10内で保管される温かい米飯の温度を可及的に維持することも可能となる。
なお、上下端部材24,25をはじめとして、飯台10の外表面の一部を構成する部材の材料については、安全性の高い適宜な抗菌剤等を配合することで、衛生性をより高めることができる。
下端部材25は、飯台10の高さ方向の寸法H2が、上端部材24の寸法H1に比べて大きく形成されている。この剛性の高い下端部材25の領域に底面部30の外周端面30aが突き当たることで、底面部30と側面部20との接続強度を高めている。
側面用軽量部材26と上下端部材24,25とは接着又は融着して接続可能であり、接着剤で接続する場合は、その接続面を粗面にして、互いの接続強度を高めてもよい。
側面用軽量部材26と上下端部材24,25との接続構造については、図3の飯台10の第1及び第2変形例であり、側面部20の拡大縦断面図である図4に示すようにしても構わない。
側面表面部材28,29は、水分の吸収を防止して乾燥性を向上させる部材である。また、側面用軽量部材26と上下端部材24,25との接続強度を向上させて、側面部20の剛性を確保するための部材でもある。例えば、この側面表面部材28,29があることで、上述したように、縁部21に手の平を載せて荷重をかけても、側面用軽量部材26と上下端部材24,25との位置ずれを有効に防止できる。
また、側面表面部材28,29は、側面芯材部23の主面両面(内側の面と外側の面の全体)に接着剤で接続され、側面部20の外観を形成している。このため、より木肌色に近い色彩を備えるのが好ましく、上下端部材24,25と異なる材料を用いても構わない。図の外側の側面表面部材28と内側の側面表面部材29とは同じ材料で形成されているが、剛性が確保できれば異ならせても構わない。
次に、底面部30について説明する。
底面部30は、全体的には円形状の板体であり、その厚み方向については積層構造とされている。即ち、底面部30は、その厚み方向の中央部に芯材である「底面芯材部33」を有すると共に、この底面芯材部33の主面の両面に配置された合成樹脂製の「底面表面部材38,39」を有している。
底面芯材部33は、主に、底面部30を大きな厚みで形成しても軽量化を図るためのものであり、その周縁部に配置された合成樹脂製の「周縁部材34」と、この周縁部材34に比べて比重が小さい材料からなる「底面用軽量部材36」とを有している。
底面用軽量部材36は、軽量な芯材が構成可能な材料であれば如何なるものも使用でき、材料としては、側面用軽量部材26と同等のもの、好ましくは空隙を有する合成樹脂製の発泡体を用いることができる。
ここで、底面用軽量部材36は、一つ又は複数に分割された材料で構成されていてもよく、この場合には、これら材料は重ね合わされることなく端面同士が突き合わされて接続されるのが好ましい。
周縁部材34は、中実の合成樹脂からなっており、その合成樹脂材料としては、上下端部材24,25と同様のものを利用できる。
この周縁部材34は円形のリング状であって(図1参照)、内側の端面が底面用軽量部材36の外周端面36aに接続固定されている。また、周縁部材34の外側の端面(底面部30の外周端面と同じ)30aは、側面部20の下端部材25が設けられた領域における側面表面部材29と突き当たって接続固定されている。
また、周縁部材34は、底面用軽量部材36の外周を取り巻く円形のリング状に形成されており、側面部20の上下端部材24,25と同様に、一つ又は分割された複数の短冊状の材料で円形のリング状に形成されていてもよく、この場合にも、円形のリング状とする接続部を有し、この接続部は重ね合わされることなく端面同士が突き合わされているのが好ましい。
なお、本発明はこれに限られず、側面部20は周縁部材34の外側の端面30aと対向する部分に側面表面部材29を設けずに、周縁部材34の外側の端面30aと側面部20の下端部材25とが接続固定されても構わない。
本実施形態の外側の端面30aは、側面部20の傾斜角度θ1(図2参照)に対応した角度を有する傾斜面とされ、これにより側面部20に密着している。
底面用軽量部材36と周縁部材34とは接着又は融着して接続可能であり、接着剤で接続する場合は、その接続面を粗面にして、互いの接続強度を高めてもよい。
具体的には、底面表面部材38,39は周縁部材34と同様の材料を利用可能であり、中実の合成樹脂からなり、図の場合の厚みは夫々約1mmである。
また、底面表面部材38,39は、底面芯材部33の主面の両面(上下面の全体)に接着剤で接続され、全体的に見れば円形状の薄い板体であって、底面部30の外観を形成している。このため、より木肌色に近い色彩を備えるのが好ましく、周縁部材34と異なる材料を用いても構わない。図の外側の底面表面部材39と内側の底面表面部材38とは同じ材料で形成されているが、剛性が確保できれば異ならせても構わない。
次に第1実施形態の飯台10の更なる特徴について、図5及び図6を用いて説明する。
図5は図1の飯台10の側面部20の側面表面部材28,29を部分的に切り欠いた斜視図であり、側面部20を構成する各部材がそれぞれリング状に接続されている状態を説明するための図である。また、図6は図5の側面部20の構成を理解するための図であり、側面部20の製造工程の一部(上端部材24をリング状にする製造工程)を示している。
また、図6(A)〜(C)の上端部材24は、1枚(1つ)の長手方向が湾曲した短冊状の材料240で構成されているが、例えば、図6(D)(E)のように、複数の分割された短冊状の材料を円弧形状に湾曲させた材料241,242,243で構成してもよく、これら複数の材料241,242,243の端面同士を接続して、同様のリング状の上端部材24を完成させてもよい。この場合の上端部材24は、複数の接続部JT101、JT102、JT103を有することになる。
なお、図5及び図6(A)〜(C)では、各部材24〜26,28,29は、何れも1つ(1枚)の材料により形成されているが、直径1m程度の大きな飯台もあり、この大きな種類の飯台を製作する場合や、長さが長い材料が入手しづらい場合や、取り扱い上複数に分割した方が成形しやすい場合等には、例えば図6(D)(E)に示すようにリング状となるように接続された複数の材料からなってもよい(即ち、複数の材料を繋いで円形状にした構成にしてもよい)。
また、本発明はこれに限らず、接続部JT1〜JT5におけるいずれの端面同士も、熱融着での接続若しくは接着剤での接続いずれの接続方法も任意に選択できる。熱融着については、例えばヒーター加熱融着、温風加熱融着、超音波加熱融着、高周波加熱融着、等々の方法が適宜選択でき、また、接着剤については、安全性の高い接着剤が好ましく、例えばシリコン系、エポキシ系、ウレタン系、等の接着剤が適宜選択できる。
なお、図の接続部JT1〜JT5について、各部材24〜26,28,29につき一つの接続部を持つが、これら部材の接続部が複数である場合でも、その周方向の位置関係が同一とならないように配置することで、側面部20の強度の低下を防止することができる。
また、おおよそ、同様の接続面積を有する上端部材24の接続部JT1と下端部材25の接続部JT2は略対角方向であり、また、側面用軽量部材26の接続部JT3と側面表面部材28,29の外側又は内側の内いずれか一方との接続部(図の場合は外側の接続部JT4)も略対角方向であり、これらは接続位置が略々平均的に離れた位置関係となっている。なお、側面表面部材28,29の外側又は内側の内いずれか他方の接続部(図の場合は内側の接続部JT5)は、他のいずれの接続部とも周方向の位置が同じとはされていない。
次に、上述のように側面部20の各部材24〜26,28,29を精密に所望の円形のリング状にし、接続部JT1〜JT5の位置を互いに異ならせるための飯台10の製造方法を、図3、図5、及び図6を参照しながら説明する。
本実施形態では、図5に示す側面部20と図3に示す底面部30とは個別に形成された後、側面部20の規定の位置に底面部30を固着して、飯台10を完成させる。
そして、各部材24〜26,28,29を順次配置していく際、図5に示す各接続部JT1〜JT5が上述したように周方向の位置が異なるように、例えば外型に設けられた目印を目安にして外型に配置していく。
なお、側面部20は部品点数が多い関係上、第1に側面芯材部23を成形した後、第2にこの側面芯材部23の両面に側面表面部材28,29を積層成形する、という2工程で製作してもよい。これによって、各部材24〜26,28,29間の接続精度が高められ、より正確で確実な飯台10が製作でき、また、歩留りも向上する。
具体的には、底面部30は、底面部30の下面に対応した円形状の下型に、接着剤を塗布した図3に示す各部材34,36,38,39を整列配置する(ステップ1−1)。なお、底面部30の内の、底面用軽量部材36、及び底面表面部材38,39は平板状なので曲げ加工をする必要はないが、周縁部材34については、図6に示す上端部材24と同様に一つ又は複数の材料を曲げ加工してリング状にし、その端面に接着剤を塗布し、さらに、各部材同士の接続面にも接着剤を塗布した上で、下型に配置する。
次いで、下型に配置された各部材34,36,38,39を、底面部30の上面に対応した上型によって上部から加圧する(ステップ2−1)。これにより、底面芯材部33を構成する底面用軽量部材36の外周に周縁部材34が接合するとともに、底面表面部材38,39が底面芯材部33の両面に積層した概ねの底面部30が成型される(なお、「概ね」とは、積層方向の寸法は下型と上型とで精密に形成できるが、積層方向と直交する方向は精密ではないという意味である)。
また、図3の側面用軽量部材26と底面用軽量部材36とでは、発泡倍率の異なる発泡体が用いられているが、本発明はこれに限られず、発泡倍率が同じ発泡体を用いて構わない。
また、図6で説明したような湾曲した短冊状の材料の端部同士を接続して円形のリング状とした部材で側面板20を構成する場合には、上記各部材24〜26,28,29の内の何れかの部材が、このような円形のリング状とするための接続部を有していればよく、必ずしも全部の部材が同様の接続部を有した部材で構成されていなくても構わない。
この場合、例えば、外観上可能な限り接続部の痕跡を残したくない場合等の側面表面部材28,29を、或いは、側面部20の強度をさらに向上させたい場合等の上下端部材24,25について、継ぎ目の無い一体的に成型された一体成形品を採用するのがよく、上記の接続部が無くなり外観上に違和感なく、また、強度的にも優れた部材にできるうえ、製造工程を簡略化することもできる。
図7は本発明の第2実施形態に係る飯台12であり、図3に対応した拡大断面図である。
この図において、図1〜図6の飯台10と同一の符号を付した箇所は同様の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
図7の飯台12が上記した飯台と異なるのは、底面部30の構成と、この底面部30と側面部20との接続構造についてである。
底面部30は、単なる平板状の形態であり、調理物の重量をほぼ100%受ける部分であり、また、熱い米飯が載せられて合成樹脂製の底面部30が軟化して剛性が低下する可能性もある。このため、底面芯材部33の主面の両面(上下両面)に補強部材42を配設して底面部30の強度向上を図っている。なお、補強部材42の上面側と下面側は同じ構成である。
なお、第2実施形態では、底面部30の底面用軽量部材(発泡体)36の発泡倍率と、側面部20の側面用軽量部材(発泡体)26の発泡倍率とは、同じ発泡倍率(例えば10倍)としている。これは、底面部30が上記補強部材42の採用で効率よく強度アップされるため、発泡体をより軽量として全体の重量増加を低減させるためである。
図8は、本発明の第3実施形態に係る飯台14の側面部20の例であり、図5に対応した斜視図である。
この図において、図1〜図7の飯台10,12と同一の符号を付した箇所は同様の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
図8の飯台14の側面部20が上記した飯台10の側面部20と異なるのは、接続部JT1〜JT5の構成についてである。
図の場合は、例示として、上端部材24と下端部材25の突き合わせの端面は斜めに接続され、また、側面用軽量部材26の突き合わせ端面は斜めの階段状に接続され、また、側面表面部材28,29の突き合わせ端面はコの字の階段状に接続されている。
これにより、図5の垂直方向の直線的接続に比較して、各接続部JT1〜JT5の夫々においても、突き合わせ端面の幅(距離)が周方向へ拡がるため、周方向にかかる応力の集中を拡幅分散させて、側面部20の全体強度を向上できる。なお、接続部JT1〜JT5同士の周方向の位置関係についても、上述したように、可能な限り同一とならないよう考慮し、全ての構成材料の接続位置が略々平均的に離れた位置関係とするのがよい。
例えば、上記実施形態では、一つ又は複数の材料を接続して円形のリング状を形成するようにした各部材24〜26,28,29の夫々の繋ぎ目である接続部JT1〜JT5については、接着剤を主体として突き合せ端面(例えば図6の240a,240b)同士を接続しているが、外観上と強度上の観点と成形性の観点から、突き合せ端面同士を予め熱融着を主体として接続するようにしてもよい。
或いは、射出成型等の合成樹脂の成型加工手段によって、接続部JT1〜JT5を持たない円形状に一体成形した成形品で各部材24〜26,28,29を構成してもよく、飯台の製造が容易となる。
さらに、接続部を持たない部材と接続部を持つ部材を組み合わせて本発明の側面部20を構成するようにしてもよい。
例えば、側面表面部材28,29は外観上目立つ部位であるため、突き合せ端面同士に若干の隙間が発生することは外観上商品価値を下げることになるため、接続部JT4,JT5(図5参照)を持たない材料で構成してもよく、或いは、側面部20の強度をさらに向上させたい場合には、上下端部材24,25について、接続部JT1,JT2を持たない材料で構成して、強度的に優れた側面部としてもよい。
また、内側の側面表面部材29は洗浄性の観点等から円滑な表面であるのが好ましいが、外側の側面表面部材28については、サンドブラスト等で表面処理をして粗面にしてもよい。これにより、外側表面に風合いを出し、また、滑り止めとすることもできる。
Claims (5)
- 上面が開放された円筒状の側面部と、前記側面部の内側に配置されて底面を構成する底面部とを有し、前記底面部の上で主に酢飯を調理するための飯台であって、
前記側面部は、その上下端部に配置された合成樹脂製の上下端部材と、この上下端部材に比べて比重が小さい側面用軽量部材とからなる側面芯材部を有し、さらに、この側面芯材部の主面の両面に配置された合成樹脂製の側面表面部材を有しており、
前記底面部は、その周縁部に配置された合成樹脂製の周縁部材と、この周縁部材に比べて比重が小さい底面用軽量部材とからなる底面芯材部を有し、さらに、この底面芯材部の主面の両面に配置された合成樹脂製の底面表面部材を有する
ことを特徴とする飯台。 - 前記側面部の、前記上下端部材、前記側面用軽量部材、及び前記側面表面部材の内の何れか又は全部は、夫々が一つ又は複数の材料の端面同士を繋ぎ合わせて円形のリング状となるための接続部を有し、前記接続部では前記材料の端部同士が厚み方向に重ね合わされることなく前記端面同士が突き合わされた状態で接続されていることを特徴とする請求項1の飯台。
- 前記上下端部材、前記側面用軽量部材、及び前記側面表面部材は、前記リング状の周方向における夫々の前記接続部の位置が異なっていることを特徴とする請求項2の飯台。
- 前記側面部は、前記底面部に対応した領域から上方へ向かうに従って外側となるように傾斜していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の飯台。
- 前記底面芯材部と前記底面表面部材との間、及び/又は、前記側面芯材部と前記側面表面部材との間には、いずれの部材よりも強度の高い補強部材が配設されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の飯台。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016154220A JP6792766B2 (ja) | 2016-08-05 | 2016-08-05 | 飯台 |
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