JP6792454B2 - アルファ−フェトプロテイン(afp)を操作するための方法 - Google Patents

アルファ−フェトプロテイン(afp)を操作するための方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C.§119(e)の下、2014年4月25日に出願された米国仮出願第61/984,252号および2015年1月9日に出願された米国仮出願第62/101,539号への優先権を主張し、それらの各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
政府支援
本発明は、国立衛生研究所(NIH)により付与された助成金DK-53056下、政府支援をもって成されたものである。政府は、本発明において特定の権利を有する。
技術分野
技術分野は、アルファ−フェトプロテインのレベルおよび活性を調節するための組成物および方法に関する。
背景
アルファ−フェトプロテイン(AFP)は、胎児における主要な血漿タンパク質であり、卵黄嚢および肝臓により産生される(Ingram et al., 1981)。成人においては、腫瘍(例えば肝臓がんまたは奇形腫)が存在する場合を除き、その濃度は非常に低い。アルファ−フェトプロテイン遺伝子およびアルブミン遺伝子はシンテニーであり、哺乳動物のAFP遺伝子および血清アルブミン遺伝子は、3〜5億年前に祖先遺伝子の重複によって生じたと考えられている。
概要
本明細書において記載する組成物および方法は、部分的に、アルファ−フェトプロテイン(AFP)が新生児Fc受容体に対する第3のリガンドであるとの発見に基づいている。本明細書において実証するように、可溶性ヒトFcRnは、アルブミンで観察されるよりも高い親和性でAFPに結合し、FcRn媒介性のIgGの保護およびIgGとの機能的会合を妨害することができる。本明細書においてさらに示すように、FcRn上のAFP結合部位はFcRn上のアルブミン結合部位と重なっており、hFcRn上のアルブミン部位について特異的である抗体は、FcRn媒介性AFP輸送を減少させることができる。加えて、本明細書において実証するように、典型的には酸性pH条件下で結合するIgGおよびアルブミンについて観察されるものよりずっと広いpH範囲にわたり、AFPへのFcRnの結合が生じる。また、本明細書において提供するのは、AFPとヒトFcRnとの結合に影響を及ぼすことができるAFP中の単一ヌクレオチド多型(例えば、AFP-FcRn結合を増加させるG109R、R487S、およびS445L、ならびにAFP-FcRnを減少させるT451IおよびD536V)である。
したがって、本明細書において提供するのは、一部の局面において、AFPレベルの上昇が免疫抑制に関連している疾患または障害における、FcRnとAFPとの相互作用を阻害するための組成物および方法である。また、本明細書において提供するのは、一部の局面において、減少したAFPレベルを有する疾患または障害、あるいは、AFPレベルが免疫抑制に伴い増加する疾患または障害における、FcRnとAFPとの相互作用を強化または増強するための組成物および方法である。
一部の局面において、本明細書において提供するのは、AFP-FcRnの阻害剤と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物であり、AFP-FcRnの該阻害剤はAFPとFcRnとの結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、野生型AFPのT451Iおよび/またはD536V多型を含む。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのY521および/またはV522と、FcRnのR42との結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのP492と、FcRnのR69との結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのQ441および/またはV493と、FcRnのE44との結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのH534および/またはE589と、FcRnのN173との結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPの疎水性コアと、FcRnとの結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのL484、V493、V497、および/またはF512と、FcRnのV57、W59、および/またはW61との結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのT443と、FcRnのE62および/またはW59との結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのD529と、FcRnのS230との結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのS527および/またはD528と、FcRnと複合体化したβ2mのE50および/または67Yとの結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのR604と、FcRnと複合体化したβ2mのE50でのカルボニル酸素との結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのQ597と、FcRnと複合体化したβ2mのE69との結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのE106と、FcRnのH161との結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのS135と、FcRnのH161との結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのF531、F533、F552、および/またはF575と、FcRnのW53との結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、小分子化合物、またはRNAもしくはDNAアプタマーである。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、キメラ抗体、ヒト化抗体、または完全ヒト抗体もしくはその抗原結合フラグメントである。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、FcRn上のAFP結合部位を阻害または遮断する。
また、本明細書において提供するのは、一部の局面において、AFP-FcRn増強剤と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物である。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFP-FcRn結合を増加させる、野生型AFPのG109R、R487S、および/またはS445L多型を含む。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのY521および/またはV522と、FcRnのR42との結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのP492と、FcRnのR69との結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのQ441および/またはV493と、FcRnのE44との結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのH534および/またはE589と、FcRnのN173との結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPの疎水性コアと、FcRnとの結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのL484、V493、V497、および/またはF512と、FcRnのV57、W59、および/またはW61との結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのT443と、FcRnのE62および/またはW59との結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのD529と、FcRnのS230との結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのS527および/またはD528と、FcRnと複合化したβ2mのE50および/または67Yとの結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのR604と、FcRnと複合体化したE50 β2mでのカルボニル酸素との結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのQ597と、FcRnと複合体化したβ2mのE69との結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのE106と、FcRnのH161との結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのS135と、FcRnのH161との結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPの531、F533、F552、および/またはF575と、FcRnのW53との結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、小分子化合物、RNAもしくはDNAアプタマー、またはAFP機能的フラグメントである。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、キメラ抗体、ヒト化抗体、または完全ヒト抗体もしくはその抗原結合フラグメントである。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤はFcRnに結合し、AFP結合を模倣する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPまたはFcRnと結合するかまたは物理的に相互作用して、AFPとFcRnとの相互作用を強化または促進する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのY521および/またはV522を含み、FcRnのR42と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントはAFPのP492を含み、FcRnのR69と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのQ441および/またはV493を含み、FcRnのE44と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのH534および/またはE589を含み、FcRnのN173と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのL484、V493、V497、および/またはF512を含み、FcRnのV57、W59、および/またはW61と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントはAFPのT443を含み、FcRnのE62および/またはW59と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントはAFPのD529を含み、FcRnのS230と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのS527および/またはD528を含み、FcRnと複合体化したβ2mのE50および/または67Yと相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントはAFPのR604を含み、FcRnと複合体化したβ2mのE50でのカルボニル酸素と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントはAFPのQ597を含み、FcRnと複合体化したβ2mのE69と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントはAFPのE106を含み、FcRnのH161と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントはAFPのS135を含み、FcRnのH161と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのF531、F533、F552、および/またはF575を含み、FcRnのW53と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、配列番号4つまりAFP(1-575)を含む。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、配列番号5つまりAFP(484-575)を含む。
一部の局面において、本明細書において提供するのは、本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤を含む薬学的組成物のいずれかの治療有効量を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、AFPレベルの上昇に関連している疾患または障害における、FcRnとAFPとの相互作用を阻害または低下させるための方法である。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、対象はがんを有する、またはそれと診断されている。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、対象は、原始起源のがんもしくは腫瘍、肝臓由来の腫瘍(例えば、肝臓がんなど)、胆管由来の腫瘍(例えば、胆管がん)、胃がん、膵臓がん、または奇形がんを有する、またはそれと診断されている。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、方法は、抗がん治療剤または抗がん剤を対象に投与する段階をさらに含む。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、方法は、腫瘍抗原またはがん抗原を投与する段階をさらに含む。
一部の局面において、本明細書において提供するのは、AFPレベルの減少に関連している疾患または障害における、あるいはAFPレベルを増加させることが有益である、FcRnとAFPとの相互作用を増加または増強させるための方法であって、本明細書において記載するAFP-FcRn増強剤を含む薬学的組成物のいずれかの治療有効量を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、方法である。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、必要とする対象は妊娠している、または妊娠を確立および/または維持することに問題を有するリスクがある。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、対象は、自己免疫疾患もしくは自己免疫疾患を有する、またはそれと診断されている。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、対象は、宿主対移植片病(HVGD)を有する、またはそれと診断されており、臓器もしくは組織移植レシピエントである、または同種移植のレシピエントである。
定義
本明細書において他に定義しない限り、本出願と関連して使用される科学用語および技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般に理解される意味を有するものとする。本発明は、本明細書において記載する特定の方法論、プロトコル、および試薬などに限定されず、そのようなものとして変更することができることを理解すべきである。本明細書において使用する用語は、特定の態様だけを記載する目的のためであり、本発明の範囲を限定することを意図せず、それは、特許請求の範囲のみにより定義される。免疫学および分子生物学における共通用語の定義が、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy, 19th Edition, 出版:Merck Sharp & Dohme Corp., 2011 (ISBN 978-0-911910-19-3);Robert S. Porter et al. (編集者), The Encyclopedia of Molecular Cell Biology and Molecular Medicine, 出版:Blackwell Science Ltd., 1999-2012 (ISBN 9783527600908);およびRobert A. Meyers (編集者), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, 出版:VCH Publishers, Inc., 1995 (ISBN 1-56081-569-8);Immunology by Werner Luttmann, 出版:Elsevier, 2006;Janeway's Immunobiology, Kenneth Murphy, Allan Mowat, Casey Weaver (編集者), Taylor & Francis Limited, 2014 (ISBN 0815345305, 9780815345305);Lewin's Genes XI, 出版:Jones & Bartlett Publishers, 2014 (ISBN-1449659055);Michael Richard Green and Joseph Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 4th ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., USA (2012) (ISBN 1936113414);Davis et al., Basic Methods in Molecular Biology, Elsevier Science Publishing, Inc., New York, USA (2012) (ISBN 044460149X);Laboratory Methods in Enzymology: DNA, Jon Lorsch (編集者) Elsevier, 2013 (ISBN 0124199542);Current Protocols in Molecular Biology (CPMB), Frederick M. Ausubel (編集者), John Wiley and Sons, 2014 (ISBN 047150338X, 9780471503385), Current Protocols in Protein Science (CPPS), John E. Coligan (編集者), John Wiley and Sons, Inc., 2005;およびCurrent Protocols in Immunology (CPI) (John E. Coligan, ADA M Kruisbeek, David H Margulies, Ethan M Shevach, Warren Strobe, (編集者) John Wiley and Sons, Inc., 2003 (ISBN 0471142735, 9780471142737)において見出され、それらの内容は、それらの全体が参照により本明細書中に組み入れられる。
本明細書において使用するように、用語「AFP-FcRn阻害剤」ならびに「アルファ−フェトプロテインおよびFcRn阻害剤」、「AFP-FcRnの阻害剤」、または「AFPとFcRnとの相互作用の阻害剤」は、AFPとFcRnとの相互作用、およびそれらの結果として得られる生物学的または機能的活性(FcRnへのAFP結合およびシグナル伝達により媒介される下流経路の活性、例えば、AFPの経細胞輸送、免疫複合体で初回刺激された樹状細胞を含むIgGによるT細胞刺激の阻害、免疫応答のAFP媒介性阻害、および/またはAFPの血清中半減期の増加を含む)をインビトロ、インサイチュ、および/またはインビボで、有意に遮断、阻害、低下、または干渉する分子または剤を指す。本明細書において記載する種々の局面および態様における使用のために熟慮される例示的なAFP-FcRn阻害剤は、AFPとFcRnとの結合および/または相互作用に関与するAFPおよび/またはFcRn上の1つまたは複数のアミノ酸残基またはエピトープに特異的に結合し、AFPとFcRnとの相互作用および/または結合を阻害する/低下する/遮断する、抗体またはそれらの抗原結合フラグメント;AFPとFcRnとの結合および/または相互作用に関与するAFPおよび/またはFcRn上の1つまたは複数のアミノ酸残基を標的指向するかまたはそれに特異的に結合し、AFPとFcRnとの相互作用および/または結合を阻害する/低下する/遮断する、小分子剤;AFPおよび/またはFcRnに結合し、AFPとFcRnとの相互作用および/または結合を阻害する/低下する/遮断する、RNAまたはDNAアプタマー;ならびに/あるいは、FcRnとの内因性AFP相互作用を遮断する、AFPフラグメントまたはそれらの融合ポリペプチドを含むが、これらに限定されない。
「AFPとFcRnとの相互作用の減少(decreased/decreasing)」、「AFPとFcRnとの相互作用の低下(reduced/reducing)」、「結合を阻害する」、または「AFPとFcRnとの相互作用の阻害(inhibited/inhibiting)」は、本明細書において互換的に使用され、同じ条件下であるが本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤の存在なしでのAFPとFcRnとの相互作用と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも95%、少なくとも98%またはそれ以上、AFPとFcRnとの相互作用またはこれらの結合を低下または阻害することを一般的に意味する。そのような阻害または低下した相互作用を測定するアッセイは当技術分野において公知であり、本明細書の実施例に記載される。
本明細書において使用するように、用語「AFP-FcRn増強剤」、「AFP-FcRn相互作用の増強剤」、「AFP-FcRn活性化剤」、および「AFP-FcRnアゴニスト剤」は、FcRnへのAFP結合の生物学的活性(FcRnへのAFP結合およびシグナル伝達により媒介される下流経路、例えば、AFPの経細胞輸送、免疫複合体で初回刺激された樹状細胞によるT細胞刺激の阻害、免疫応答のAFP媒介性阻害、および/またはAFPの血清中半減期の増加を含む)を、インビトロ、インサイチュ、および/またはインビボで模倣または上方制御する(例えば、増加する、増強する、または補助する)分子または剤を指す。AFP-FcRn増強剤またはアゴニストは、一部の態様において、野生型AFPの少なくとも1つの生物活性を有する、AFPタンパク質フラグメントまたはその誘導体であり得る。AFP-FcRn増強剤は、また、例えばAFPとFcRnとの相互作用を増加させる化合物であり得る。本明細書において記載する種々の局面および態様における使用のために熟慮される例示的なAFP-FcRn増強剤またはアゴニストは、FcRnに結合したAFPに特異的に結合し相互作用を強化する、ならびに/あるいは、アルブミンおよび/またはIgGへのFcRn結合を遮断するがFcRnへのAFPの結合を可能にする、抗体またはそれらの抗原結合フラグメント;FcRnに結合し、FcRnへのAFP結合を模倣するRNAまたはDNAアプタマー;AFP構造類似体またはそのAFPフラグメント、誘導体、もしくは融合ポリペプチド;ならびに、FcRnを標的とするかまたはFcRnに結合し、FcRnへのAFP結合の機能的模倣物として作用する小分子剤、を含むがこれらに限定されない。
本明細書において使用するように、「抗体」またはその「抗原結合フラグメント」は、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化またはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab')フラグメント、Fab発現ライブラリーにより産生されたフラグメント、および/または上記のいずれかの結合フラグメントを含む。抗体は、また、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分(すなわち、抗原結合部位または標的結合部位を含有する分子)または「抗原結合フラグメント」を指す。本明細書において記載する免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、またはサブクラスであることができ、当業者により理解されるとおりである。
用語「抗体フラグメント」または「抗原結合フラグメント」は、(i)VL、CL、VH、およびCH1ドメインを有するFabフラグメント;(ii)CH1ドメインのC末端に1つまたは複数のシステイン残基を有するFabフラグメントであるFab'フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインを有するFdフラグメント;(iv)VHおよびCH1ドメインならびにCH1ドメインのC末端に1つまたは複数のシステイン残基を有するFd'フラグメント;(v)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインを有するFvフラグメント;(vi)VHドメインまたはVLドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al., Nature 341, 544-546 (1989));(vii)単離されたCDR領域;(viii)F(ab')2フラグメント(ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFab'フラグメントを含む二価フラグメント);(ix)単鎖抗体分子(例えば、単鎖Fv;scFv)(Bird et al., Science 242:423-426 (1988);およびHuston et al., PNAS (USA) 85:5879-5883 (1988));(x)同じポリペプチド鎖中で軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む、2つの抗原結合部位を有する「ダイアボディ」(例えば、EP 404,097;WO 93/11161;およびHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)を参照のこと);(xi)相補的軽鎖ポリペプチドと一緒に一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含む「線状抗体(linear antibody)」(Zapata et al. Protein Eng. 8(10):1057-1062 (1995);および米国特許第5,641,870号);および、上記のいずれかの改変バージョン(例えば、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール)または他の適切なポリマーの共有結合により改変)を含む。
本明細書において使用するように、「エピトープ」は、連続アミノ酸、またはタンパク質の3次折り畳み(tertiary folding)により並置された非連続アミノ酸の両方から形成され得る。連続アミノ酸から形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒への曝露時に保持されるのに対し、3次折り畳みにより形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒を用いた処理で失われる。エピトープは、典型的には、固有の空間的な立体構造において、少なくとも3、より通常は、少なくとも5、約9、または約8〜10のアミノ酸を含む。「エピトープ」は、免疫グロブリンVH/VL対により通常結合された構造の単位を含む。エピトープは、抗体に対する最小結合部位を定義し、従って、抗体の特異性の標的を表す。単一ドメイン抗体の場合、エピトープは、単独で可変ドメインにより結合される構造の単位を表す。用語「抗原決定基」および「エピトープ」は、また、本明細書において互換的に使用することができる。
本明細書において使用するように、「小分子阻害剤」は、小ペプチドまたはペプチド様分子、可溶性ペプチド、およびペプチジルではない合成された有機化合物または無機化合物を含むが、これらに限定されない。小分子阻害剤またはアンタゴニストは、約100〜約20,000ダルトン(Da)、約500〜約15,000Da、約1000〜約10,000Daのいずれかの分子量を有することができる。
用語「治療有効量」は、したがって、本明細書において開示する方法を使用した、本明細書において記載する阻害剤または増強剤の量を指し、それは、典型的な対象に投与した場合に特定の効果を提供するために十分である。本明細書において使用する有効量は、また、疾患の症状の発生を遅延させる、症候性疾患の経過を変える(例えば、これに限定されないが、疾患の症状の進行を遅らせる)、または疾患の症状を逆転させるために十分な量を含む。このように、正確な「有効量」を特定することは不可能である。しかし、任意の所与の場合について、適当な「有効量」は、通常の実験だけを使用して当業者により決定することができる。
本明細書において使用する「がん」または「腫瘍」は、身体の臓器および系の正常な機能に干渉する、細胞の制御されない増殖を指す。がんまたは腫瘍を有する対象は、対象の身体に存在する客観的に測定可能ながん細胞を有する対象である。この定義に含まれるのは、良性および悪性のがん、ならびに休眠腫瘍または微小転移巣である。その本来の位置から移動し、重要な臓器に播種するがんは、最終的に、罹患臓器の機能的悪化を通じて対象の死を導く可能性がある。造血がん(例えば、白血病など)は、対象における正常な造血部を打ち負かし、それにより、究極的には死を招く造血異常(貧血、血小板減少、および好中球減少症の形態)を導く可能性がある。
用語「抗がん治療」は、がんを処置する際に有用な治療を指す。抗がん治療剤の例は、例えば、手術、化学療法剤、成長阻害剤、細胞傷害剤、放射線治療において使用される剤、抗血管新生剤、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、およびがんを処置するための他の剤、例えば抗HER-2抗体(例えば、HERCEPTIN(登録商標))、抗CD20抗体、上皮成長因子受容体(EGFR)アンタゴニスト(例えば、チロシンキナーゼ阻害剤)、HER1/EGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、血小板由来成長因子阻害剤(例えば、GLEEVEC(商標)(メシル酸イマチニブ))、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ)、インターフェロン、サイトカイン、以下の標的:ErbB2、ErbB3、ErbB4、PDGFR-β、BlyS、APRIL、BCMA、またはVEGF受容体の1つまたは複数に結合するアンタゴニスト(例えば、中和抗体)、TRAIL/Apo2、ならびに他の生物活性剤および有機化学剤などを含むが、これらに限定されない。それらの組み合わせも、本明細書において記載する方法のために具体的に熟慮される。
本明細書において使用するように、用語「腫瘍抗原」および「がん抗原」は互換的に使用され、がん細胞により差次的に発現されそれによりがん細胞を標的とするために利用されることができる抗原を指す。がん抗原は、潜在的に明らかに腫瘍特異的免疫応答を刺激することができる抗原である。これらの抗原の一部は、必ずしも発現されるわけではないが、正常細胞によりコードされる。これらの抗原は、正常細胞において通常はサイレント(すなわち、発現されない)であるもの、分化の特定の段階でのみ発現されるもの、ならびに一時的に発現されるもの(例えば、胚性抗原および胎児抗原)として特徴付けることができる。他のがん抗原は、変異細胞遺伝子、例えばがん遺伝子(例えば、活性化rasがん遺伝子)、サプレッサー遺伝子(例えば、変異p53)、および内部欠失または染色体転座からもたらされる融合タンパク質によりコードされる。さらに他のがん抗原は、ウイルス遺伝子、例えばRNAおよびDNA腫瘍ウイルスで保有されるものによりコードされることができる。多くの腫瘍抗原は、複数の固形腫瘍に関して定義されている:免疫により定義されるMAGE 1、2、および3;MART-1/Melan-A、gp100、がん胎児性抗原(CEA)、HER-2、ムチン(すなわち、MUC-1)、前立腺特異抗原(PSA)、および前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)を含むが、これらに限定されない。加えて、ウイルスタンパク質、例えばB型肝炎(HBV)、エプスタイン−バール(EBV)、およびヒトパピローマ(HPV)は、それぞれ、肝細胞がん、リンパ腫、および子宮頸がんの発生において重要であることが示されている。しかし、がんと診断された患者の免疫抑制のせいで、これらの患者の免疫系は、多くの場合、腫瘍抗原に応答しない。
本明細書において使用するように、語句「妊娠を確立および/または維持することに問題を有するリスクがある」は、妊娠を確立および/または維持することに問題を経験する素因がある対象(例えば、ヒト)を指す。この素因は、遺伝的(例えば、妊娠を確立および/または維持することで問題を経験する特定の遺伝的傾向、例えば遺伝性疾患)であり得るか、または他の因子(例えば、年齢、妊娠を確立および/または維持することの問題の以前の経験、薬物またはアルコールの使用、環境条件、環境中に存在する有害化合物への曝露など)に起因し得る。このように、本発明を、任意の特定のリスクに限定することを意図しておらず、また本発明を、妊娠を確立および/または維持することの任意の特定の問題に限定することも意図していない。
本明細書において使用するように、「自己免疫疾患」は、対象自身の抗体が宿主組織と反応する、または免疫エフェクターT細胞が内因性自己ペプチドに対して自己反応性であり、組織の炎症および/または破壊を引き起こす疾患のクラスを指す。このように、免疫応答は、対象自身の抗原(自己抗原として言及される)に対して賦与される。本明細書において使用する「自己抗原」は、正常な宿主組織の抗原を指す。正常な宿主組織はがん細胞を含まない。
hAFPが、酸性および中性pHでhFcRnにより経細胞輸送されることを実証する。ヒトFcRnおよびβ2ミクログロブリン(hFcRn/β2m)を同時発現する、またはベクター対照のMDCK II細胞における、pH6および7.4でのヒトAFPの経細胞輸送。B→A:側底から頂側方向、A→B:頂側から側底方向。 hAFPが、マウスFcRnにより経細胞輸送されることを実証する。マウスFcRnおよびβ2ミクログロブリン(mFcRn/mβ2m)を同時発現する、またはベクター対照のMDCK II細胞における、pH 7.4でのヒトAFPの経細胞輸送。B→A:側底から頂側方向、A→B:頂側から側底方向。 hFcRnによるAFP経細胞輸送が、アルブミン結合部位を含有するFcRn上のエピトープに特異的に結合するADM31抗体により遮断されることを実証する。抗ヒトFcRn抗体(ADM31)またはアイソタイプ対照の存在下での、ヒトFcRnおよびβ2ミクログロブリン(mFcRn/mβ2m)を同時発現する、またはベクター対照のMDCK II細胞における、pH7.4でのヒトAFPの経細胞輸送。B→A:側底から頂側方向。 AFPが、FcRn媒介性のIgGの経細胞輸送を妨害することを実証する。pH7.4で、hAFPまたは(対照としての)ヒト血清アルブミン(HSA)と予めインキュベートした、ヒトFcRnおよびβ2ミクログロブリン(hFcRn/hβ2m)を同時発現する、またはベクター対照のMDCK II細胞における、pH6でのヒトIgGの経細胞輸送。側底から頂側方向が示されている。 AFPが、中性pHでヒトFcRnおよびマウスFcRnに結合することを実証する。中性pHでの、hFcRn(左パネル)またはmFcRn(右パネル)へのhAFP結合のSPR分析。 AFPが、酸性pHでhFcRnに結合することを実証する。pH6での、hFcRnへのhAFP結合のSPR分析。 AFPが、IgG免疫複合体(IC)で初回刺激された樹状細胞(DC)によるT細胞刺激を阻害することを実証する。骨髄(BM)からのIgG-IC中の抗原に応答したCD8+(OT-I、左パネル)またはCD4+(OT-II、右パネル)T細胞の増殖(IL-2分泌)を、hAFPは遮断する。hFCGRT/hB2M/mFcgrt-/-ヒトFcRnおよびβ2-ミクログロブリントランスジェニックマウスおよびFcRnノックアウトマウスからのDCを、100μg/mlのhAFPの存在下で、0、0.5、1、または5μg/mlのOVAとともに、100μg/mlのIgGまたはIHH-IgG(FcRn欠損IgG)で処理し、次にOVA特異的CD8+またはCD4+ T細胞のいずれかと同時培養した。刺激後24に上清中のIL-2分泌をELISAにより測定した。 ADM31が、AFP-FcRn媒介性阻害機能を遮断することを実証する。ADM31α-hFcRnモノクローナル抗体は、IgG-IC中の抗原に応答したCD8+ T細胞のIL-2分泌のhAFP阻害を、遮断する。hFCGRT/hB2M/mFcgrt-/-マウスからのBMDCを、50μg/mlのhAFPまたはHSAおよび50μg/mlのADM31またはアイソタイプ対照の存在下で、0.5μg/mlのOVAとともに、100μg/mlのIgGまたはIHH-IgGで処理し、次にOVA特異的CD8+ T細胞と同時培養した。刺激後24に上清中のIL-2分泌をELISAにより測定した。 ADM31が、AFP-FcRn媒介性阻害機能を遮断することを実証する。ADM31α-hFcRnモノクローナル抗体は、IgG-IC中の抗原に応答したCD8+ T細胞増殖のhAFP阻害を、遮断する。hFCGRT/hB2M/mFcgrt-/-マウスからのBMDCを、50μg/mlのhAFPまたはHSAおよび50μg/mlのADM31またはアイソタイプ対照の存在下で、0.5μg/mlのOVAとともに、100μg/mlのIgGまたはIHH-IgGで処理し、次にeFluor670増殖色素で標識したCD8+ T細胞と同時培養した。72時間後、細胞を得た。増殖細胞の割合を表示する。 hAFPの投与が、全身循環からのhIgG抗体のクリアランス増加をもたらすことを実証する。hFCGRT/hB2M/mFcgrt-/-マウスにhIgGを、翌日にhAFPを注射した。24、48、および72時間後に血液サンプルを採取し、hIgGの量をELISAにより定量し、0日目と比較した。この結果は、AFP注射が、循環からのhIgGのより速いクリアランスをもたらしたことを例証する。 ヒト血清アルブミン(HSA)結晶構造(PDB ID:4N0F)に由来するAFPホモロジーモデルを示す。HSAとAFPとの間の高い相同性に基づき、AFPの構造モデルを構築し、RMSDが0.072であるFcRn:HSA:Fc-YTE構造(PDB ID 4N0U)に重ね合わせた。全ての数字を、PyMOL(DELANO SCIENTIFIC)を使用して描き、ラベルを、ADOBE(登録商標)Photoshopを使用して加えた。 HSA(左パネル)またはFcRn-HSA-IgG三元複合体結晶構造(PDB ID:4N0U)(右パネル)上でのAFPモデルの重ね合わせを描写する。 HSA Y497/V498残基がAFP(Y521/V522)において保存され、FcRn R42と相互作用することを描写する。HSA/AFPは、FcRnへの結合を確立する、ドメインIII中の保存残基を有する。 HSA P468残基がAFP(P492)中で保存され、FcRn R69と相互作用することを実証する。FcRnへの結合を確立するドメインIII中のHSA/AFP保存残基。 HSA Q417/V469残基がAFP(Q441/V493)中で保存され、FcRn E44と相互作用することを実証する。ドメインIII中のHSA/AFP保存残基は、FcRn AFPの結合を確立する。HSA V469/AFP V493は、保存されたHSA H464/AFP H488とバックボーン接触を作る。 HSA H510/E565残基がAFP(H534/E589)中で保存され、FcRn N173と相互作用することを実証する。ドメインIII中のHSA/AFP保存残基は、FcRnへの結合を確立する。 HSA L460/V469/V473/F488を中心とする疎水性コアがAFP(L484/V493/V497/F512)中で保存され、FcRn V57/W59/W61と相互作用することを実証する。ドメインIII中のHSA/AFP保存残基は、FcRnへの結合を確立する。 HSA S419残基が、AFP(T443)中では保存されていないが、FcRn E62/W59と相互作用することができることを実証する。ドメインIII中のHSA/AFP非保存残基は、FcRnへのAFP結合を保存する。 AFP(D529)中のHSA E505非保存残基がFcRn S230への結合を保存することを実証する。ドメインIII中のHSA/AFP非保存残基は、FcRnへのAFP結合を保存する。 AFP S527/D528残基が、HSA(N503、A504)中に存在しないβ2m E50および67Yと接触し、新たな相互作用を提供することを実証する。β2mとの新たな接触を通じてFcRnへのAFP結合を増加させるHSA/AFP非保存残基は、pHに依存しない。 AFP R604がβ2m E50との追加接触を作り、新たな相互作用を提供することを実証する。HSA/AFP非保存残基は、β2mへのAFP結合を増加させる。HSA Q580は、これらの相互作用を欠く。 AFP Q597残基が、より良好に位置付けられ、β2m E69と接触を作り、より強い相互作用を提供することを実証する。HSA/AFP非保存残基は、新たな増加したAFP-β2m相互作用を確立する。HSA K573は、これらの相互作用を欠く。 AFP(E106)保存残基(HSA E82を有する)がFcRn H161との長距離相互作用を作ることを実証する。FcRnと相互作用する、ドメイン中の保存されたHSA/AFP残基。 AFP S135によって、AFPの領域がFcRnに近づくことを可能にし、HSA中に存在しないFcRn H161と約3Åの相互作用を作ることを実証する。AFPドメインI-FcRn相互作用は中性pHでの結合を示す。HSA/AFPの近くの保存プロリンは、その領域において同じ空間を占める。 FcRn W53:AFP F552を中心とするAFP(F531/F533/F552/F575)中の十分に保存された疎水性コアが、HSA A528よりも強いAFP-FcRn相互作用をもたらすことを実証する。AFP-FcRn相互作用は、中性pHでの結合と一致する。AFP(F531/F533/F552/F575)対HSA(F507/F509/A528/F551)。
詳細な説明
アルファ−フェトプロテイン(AFP)が新生児Fc受容体つまりFcRnに対する第3のリガンドであるとの本明細書において記載する発見に関係する組成物および方法を本明細書において提供する。
FcRnおよびアルファ−フェトプロテイン
FcRnは、新生児Fc受容体としても公知であり、Fcgrt遺伝子によりコードされる。それは、3つの細胞外ドメイン(α1、α2、およびα3)を含む重鎖、一回膜貫通ドメイン、および短い細胞質尾部からなるMHCクラスI様膜貫通タンパク質である(Burmeister et al., 1994a,b;Martin et al., 2001)。適切な機能のために、FcRn重鎖は、軽鎖としての共通のβ2-ミクログロブリンサブユニットと非共有結合的に会合し、それは、α1-α2プラットフォームの下側およびα3ドメインの側の残基を介してFcRnと相互作用する(West & Bjorkman, 2000)。3次構造は、22〜29%の配列相同性を共有するMHCクラスI分子に似ており(Simister & Mostov, 1989)、マウスおよびヒトのFcRn遺伝子はそれぞれ染色体7および19上のMHC遺伝子座の外側に位置付けられる(Ahouse et al., 1993; Kandil et al., 1996)。古典的なMHC分子からのさらなる分岐において、ペプチド残基がMHCクラスI分子に結合する部位は、アルギニン側鎖およびプロリン残基によりFcRn中に閉鎖されていて、FcRnはペプチド抗原をT細胞に提示しない(Burmeister et al., 1994a,b)。
大半の血清タンパク質は、短い血清中半減期(約1〜2日)を有する。しかし、2種類の血清タンパク質、すなわち、アルブミンおよびIgGクラスの抗体は、大きく延長した血清中半減期を有する。例えば、IgGの大半のサブクラスは、ヒトにおいて約10〜20日の半減期を有する。IgGのFc領域が、この半減期の延長のために必要とされる。このように、Fc領域だけを保有する切断型IgGポリペプチド、および、潜在的にまた、短いFcRn結合ペプチド配列(FcBP)を保有するタンパク質(Sockolosky et al. Proc Natl Acad Sci U S A 2012, 109, 16095-100)もそのような延長した血清中半減期を示す。さらに、Fc領域が融合パートナー(例えば、生物学的に活性なタンパク質)と融合される場合、このFc融合タンパク質は、FcRnとのその相互作用に起因して、延長された血清中半減期を示す。
FcRnがIgGおよびIgG Fc融合タンパク質の血清中半減期を延長する機構は十分に確立されている(Ghetie and Ward, 2000, 2002;Roopenian and Akilesh, 2007)。FcRnは、多くの細胞型(血管内皮を含む)のエンドソーム区画中に局在する。血清タンパク質は常に形質膜陥入され、初期エンドソーム小胞に向けられる。FcRnは、主にこの酸性化小胞中に保持されている。この酸性化環境において、Fc領域はFcRnに結合し、IgG/FcRn複合体は次に頂側または側底側のいずれかでリサイクルされて原形質膜に戻り、中性pH7.2の細胞外環境への曝露によって、循環中へのその放出がもたらされる。対照的に、FcRnに結合しない他の形質膜陥入されたタンパク質はレスキューされず、従ってエンドソーム経路を通じて異化排除へと続き、それらの短い半減期がもたらされる。IgGのFc領域が酸性環境においてFcRnに結合する生化学的機構が理解されている。Fc領域のCH2-CH3-ヒンジ領域は、溶媒で暴露されるヒスチジン残基を含み、それは、プロトン化された場合、十分な親和性でFcRn上の残基と会合し、IgGがFcRnリサイクル経路を利用することを可能にし、異化排除を回避する。
異なる種間で、FcRnはかなりの構造変化を示し、それは、分子の異なるリガンド結合特異性およびその機能におけるわずかな変動を説明する可能性が最も高い。ラットFcRnとマウスFcRnのペプチド配列は、例えば、91%相同であるのに対し(Ahouse et al., 1993)、ヒトFcRnの細胞外領域は、ラットFcRnとわずか65%のアミノ酸配列同一性を共有する(Story et al., 1994)。ウシFcRnは、他方で、そのヒト対応物と77%の相同性を示すが、齧歯類FcRnからさらなる分岐を示す(Kacskovics et al., 2000)。同様に、マウスおよびラットのFcRnは、複数の異なる種(例えば、ウマ、ウサギ、およびヒトなど)のIgGへの不特定な結合を示すが、ヒトFcRnの結合は、ヒトおよびウサギに、有意に、より制限され限定される(Ober et al., 2001)。
結晶構造の解明によって、2つのFcRn分子が2:1の化学量論で単一のIgGに結合することが明らかになった(Huber et al., 1993;Sanchez et al., 1999;Schuck et al., 1999)。各々のIgG重鎖は3つの定常領域(Huber et al., 1976)を含み、FcRn分子のうち1つがIgG Fc領域のCH2-CH3界面に結合している(Huber et al., 1993;Sanchez et al., 1999;Schuck et al., 1999;West & Bjorkman, 2000)。IgGとFcRnとのそのような結合は、厳密なpH依存的な様式で生じ、pH<6.5の場合、低いマイクロ〜ナノモルの親和性であるが、pH 7.5では結合しない(Raghavan et al., 1995)。両方の分子上のいくつかのアミノ酸が、この相互作用のために重要であるとして同定されている。部位特異的変異誘発アプローチによって、IgGの残基Ile253、His310、およびHis435が、異なる種(マウス、ヒト、およびラット)内で、ならびに種間結合について示されるように、FcRnとの相互作用において中心的な役割を果たすことが明らかになっている(Firan et al., 2001;Kim et al., 1994, 1999;Martin et al., 2001;Medesan et al., 1997;Raghavan et al., 1995;Shields et al., 2001)。HisのpKaは6.0〜6.5であり、そのためIgGのいくつかのヒスチジン残基が生理学的pH以下でプロトン化され、FcRn上の酸性残基との塩橋の形成を可能にし、そうすることでIgG-FcRnの厳密なpH依存性相互作用のための構造的基礎が提供される。
ラットFcRnとラットIgG2aとの相互作用において最初に同定されたように、結合IgGに含まれるFcRnの残基は、α2らせん上のGlu117、Glu118、Glu132、Trp133、Glu135、およびAsp137を含む(Martin et al., 2001)。これらの残基は、一般的に、異なる種間で保存されており、3つの細胞外リガンド結合ドメインを有するFcRnの主な3次構造は保存されているが、齧歯類とヒトのFcRn間の違いが特定の残基で記載されており、IgG結合に寄与している(Vaughn et al., 1997)。ヒトFcRnは、そのα2ドメイン中に単一のN-グリカン部分のみを含むが、ラットFcRnは、α1、α2、およびα3ドメイン中に3つの追加のN-グリカン部分を持つ(Ahouse et al., 1993;Kuo et al., 2009;Martin et al., 2001;West & Bjorkman, 2000)。ヒトFcRnにおいては欠損しているが、ラットFcRnのα2ドメイン中のAsn128残基はIgGに結合して機能的な「炭水化物ハンドシェイク」を形成する(Martin et al., 2001;Vaughn & Bjorkman, 1998)。別の例において、ヒトFcRnが、ウサギIgGだけに及ぶ非常に限定された種間IgG結合を示すのに対し(Ober et al., 2001)、ヒトIgGはカニクイザル(cynomolgus)FcRnに結合することができる(Bitonti et al., 2004;Dall'Acqua et al., 2006;Zalevsky et al., 2010)。カニクイザル(cynomolgus)およびヒトのIgGは、カニクイザル(cynomolgus monkey)FcRnに等しく十分に結合し(Dall'Acqua et al., 2006)、それにより、Fc領域とFcRnとの相互作用の進化的な有意性がさらに強化されることが実証されている。齧歯類のFcRnは、しかし、上で考察したように、種々の種からのIgG分子(ヒト、ウサギ、およびウシのIgGを含む)に結合することにより不特定であることが公知である(Ober et al., 2001)。ヒトFcRnのα2ドメイン内の保存が十分ではないLeu137残基を、マウスの対応物(グルタミン酸)に変異させることによるヒトFcRnのマウス化は、マウスIgG1およびIgG2aへのヒトFcRnの結合を与え、一方で、ヒトIgG1への結合を2倍低下させる(Zhou et al., 2003)。L137E変異は、単一のドッキングトポロジーが、IgGへのFcRnの結合において極めて重要であることを実証する。上で考察する残基とは別に、β2m上のIle1がIgG結合に寄与し、IgG-Fcドメインの309位で疎水性残基と相互作用することによる可能性が最も高い。
したがって、用語「FcRn」は、本明細書において使用するように、例えばNP_001129491.1またはNP_004098.1により記載されるように、以下:
Figure 0006792454
のアミノ酸配列を有する365アミノ酸のFcRnの大サブユニットp51前駆体を含む分子を指し、それは、例えば、NP_004039.1により記載されるように、任意の天然の対立遺伝子、スプライス変異体、およびそのプロセシング形態と一緒に、以下:
Figure 0006792454
のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリン(「β2m」)鎖と非共有結合的に会合する。典型的には、FcRnはヒトFcRnを指す。用語「FcRn」は、また、例えば、AFPへの結合など、本明細書において記載する関心対象のFcRn機能または活性を保持するFcRnポリペプチドの切断形態またはフラグメントを指すために使用される。FcRnの任意のそのような形態への言及は、本出願において、例えば「FcRn(24-110)」により特定することができる。FcRnの特定の残基は、例えば、「FcRn(53)」または「FcRnのW53」または「FcRnのβ2mのE69」として言及することができる。
本明細書において記載するように、本発明者らは、FcRnに対する第3のリガンドがアルファ−フェトプロテイン(AFP)であることを発見した。本明細書において実証するように、ヒトAFPは、酸性pHおよび中性pHの両方でFcRnにより経細胞輸送され、ヒトAFPの量の増加によって、FcRn媒介性のIgGの経細胞輸送を阻害することができ、全身循環からのIgGクリアランスの増加ならびに IgG免疫複合体によるT細胞刺激の減少をもたらす。
アルファ−フェトプロテイン(AFP)は、胎児における主要な血漿タンパク質であり、卵黄嚢および肝臓により産生される(Ingram et al., 1981)。成人においては、腫瘍(例えば、肝臓がんまたは奇形腫など)が存在する場合を除き、その濃度は非常に低い。アルファ−フェトプロテイン遺伝子およびアルブミン遺伝子はシンテニーであり、哺乳動物のAFP遺伝子および血清アルブミン遺伝子は、3〜5億年前に祖先遺伝子の重複を通じて生じたと考えられている。出生後、恒常性条件下の宿主において高レベルで発現されないように、AFPは数千倍も下方制御される。AFPは、その後、例えばがん、特に肝臓起源の腫瘍(例えば、肝臓がん)、胆管系の腫瘍(例えば、胆管がん)、およびに原始起源であり分化が不十分な腫瘍(例えば、奇形がん)のような特定の種類の病理に関連するプロセス中に、上昇し、高レベルで発現される可能性がある。加えて、AFPレベルの上昇は、慢性肝臓炎症過程、肝臓再生、および免疫活性化(例えば、同種異系反応など)中に生じる可能性がある。
したがって、用語「AFP」は、本明細書において使用するように、例えばNP_001125.1により記載されるように、任意の天然の対立遺伝子、スプライス変異体、およびそのプロセシング形態と一緒に、以下:
Figure 0006792454
のアミノ酸配列を有する609アミノ酸ポリペプチドを指す。典型的には、AFPはヒトAFPを指す。用語「AFP」は、また、一部の態様において、例えば、FcRnへの結合のような、本明細書において記載する関心対象のAFP機能または活性を保持するAFPポリペプチドの切断形態またはフラグメントを指すために使用することができる。AFPの任意のそのような形態への言及は、本出願において、例えば「AFP(211-402)」により特定することができる。AFPの特定の残基は、例えば、「AFP(531)」または「AFPのF531」として言及することができる。
AFPがFcRnに対する第3のリガンドであるとの本明細書において記載する発見は、AFPのレベルの調節が治療的である状態の処置のための新規の組成物および方法を提供する。
AFP-FcRn相互作用の阻害剤および増強剤
本明細書において提供するのは、アルファ−フェトプロテイン(AFP)が新生児Fc受容体に対する第3のリガンドであるとの発見に部分的に基づく組成物およびその方法である。本明細書において実証するように、可溶性ヒトFcRnは、アルブミンで観察されるより高い親和性で、IgGの親和性よりも小さな親和性でAFPに結合する。本明細書においてさらに示すように、FcRn上のAFP結合部位は、FcRn上のFcRn結合部位上の両方のアルブミン結合部位と直接的に重なっており、主にβ2-ミクログロブリンとの相互作用を介してIgG結合部位と間接的に重なる。FcRnとのIgGの相互作用には、β2-ミクログロブリン内のアミノ酸接触部位が含まれる。hFcRn上のアルブミン部位に対して特異的な抗体は、FcRn媒介性AFP輸送を減少させることができる。本明細書において実証するように、AFPへのFcRnの結合は、IgGおよびアルブミンについて観察されるものよりずっと広いpH範囲にわたって生じ、それらは典型的には酸性pH条件下で結合する。加えて、本明細書において提供するのは、AFPとヒトFcRnとの結合に影響を及ぼすことができるAFP中の一塩基多型、例えばAFP-FcRn結合を増加させるG109R、R487S、およびS445L、ならびにAFP-FcRnを減少させるT451IおよびD536Vである。
したがって、本明細書において提供するのは、一部の局面において、AFPレベルの上昇が免疫抑制に関連している疾患または障害においてFcRnとAFPとの相互作用を阻害または低下させるための組成物および方法である。また、本明細書において提供するのは、一部の局面において、減少したAFPレベルを有する疾患または障害あるいはAFPレベルの増加が治療的である疾患または障害(例えば、免疫抑制の増加を必要とする対象)においてFcRnとAFPとの相互作用を強化または増強するための組成物およびその方法である。
一部の局面において、本明細書において提供するのは、組成物、例えばAFP-FcRnの阻害剤を含む薬学的組成物である。そのような阻害剤は、AFPとFcRnとの相互作用を阻害/遮断し、かつ/またはヒトAFPの経細胞輸送を低下させ、かつ/またはAFPの血清中半減期を低下させるために使用される。特に、本明細書において記載する局面の一部の態様において、そのようなAFP-FcRn阻害剤を使用し、FcRn上のアルブミン結合部位と重なる、FcRn上のAFP結合部位を阻害または遮断することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFP-FcRn結合を減少させる、野生型AFPのT451Iおよび/またはD536V多型を含む。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのY521および/またはV522と、FcRnのR42との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのP492と、FcRnのR69との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのQ441および/またはV493と、FcRnのE44との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのH534および/またはE589と、FcRnのN173との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPの疎水性コアと、FcRnとの結合を阻害する。一部のそのような態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのL484、V493、V497、および/またはF512と、FcRnのV57、W59、および/またはW61との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのT443と、FcRnのE62および/またはW59との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのD529と、FcRnのS230との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのS527および/またはD528と、FcRnと複合体化したβ2mのE50および/または67Yとの結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのR604と、FcRnと複合体化したβ2mのE50でのカルボニル酸素との結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのQ597と、FcRnと複合体化したβ2mのE69との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのE106と、FcRnのH161との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのS135と、FcRnのH161との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのF531、F533、F552、および/またはF575と、FcRnのW53との結合および/または相互作用を阻害する。
本明細書において使用するように、用語「AFP-FcRn阻害剤」ならびに「アルファ−フェトプロテインおよびFcRn阻害剤」、「AFP-FcRnの阻害剤」または「AFPとFcRnとの相互作用の阻害剤」は、AFPとFcRnとの相互作用、およびそれらの結果として得られる生物学的または機能的活性(FcRnへのAFP結合およびシグナル伝達により媒介される下流経路の活性、例えば、AFPの経細胞輸送、免疫複合体で初回刺激された樹状細胞によるT細胞刺激の阻害、免疫応答のAFP媒介性阻害、および/またはAFPの血清中半減期の増加を含む)をインビトロ、インサイチュ、および/またはインビボで、有意に遮断、阻害、低下、または干渉する分子または剤を指す。本明細書において記載する種々の局面および態様における使用のために熟慮される例示的なAFP-FcRn阻害剤は、AFPとFcRnとの結合および/または相互作用に関与するAFPおよび/またはFcRn上の1つまたは複数のアミノ酸残基またはエピトープに特異的に結合し、AFPとFcRnとの相互作用および/または結合を阻害する/低下する/遮断する、抗体またはそれらの抗原結合フラグメント;AFPとFcRnとの結合および/または相互作用に関与するAFPおよび/またはFcRn上の1つまたは複数のアミノ酸残基を標的指向するかまたはそれに特異的に結合し、AFPとFcRnとの相互作用および/または結合を阻害する/低下する/遮断する、小分子剤;AFPおよび/またはFcRnに結合し、AFPとFcRnとの相互作用および/または結合を阻害する/低下する/遮断する、RNAまたはDNAアプタマー;ならびに/あるいはFcRnとの内因性のAFP相互作用を遮断する、AFPフラグメントまたはそれらの融合ポリペプチドを含むが、これらに限定されない。
本明細書において使用するように、AFP-FcRn阻害剤は、AFP-FcRn阻害剤が存在しない場合における相互作用および/または活性と比べて、AFPとFcRnとの相互作用および/またはそれらの結果として得られる生物学的または機能的活性を、インビトロ、インサイチュ、および/またはインビボで少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれ以上、低下または減少させる能力を有する。
「AFPとFcRnとの相互作用の減少(dreased/decreasing)」、「AFPとFcRnとの相互作用の低下(reduced/reducing)」、「結合の阻害」、または「AFPとFcRnとの相互作用の阻害(inhibited/inhibiting)」は、本明細書において互換的に使用され、同じ条件下であるが本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤の存在なしでのAFPとFcRnとの相互作用と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも95%、少なくとも98%またはそれ以上、AFPとFcRnとの相互作用またはこれらの結合を低下または阻害することを一般的に意味する。
本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントである。本明細書において記載する局面の一部の態様において、そのようなAFP-FcRn阻害剤を使用し、本明細書において記載するように、FcRn上のアルブミン結合部位と重なる、FcRn上のAFP結合部位を阻害または遮断することができる。一部の態様において、AFP-FcRnの抗体または抗原結合フラグメント阻害剤は、FcRn上のAFP結合部位を含むエピトープに結合する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの抗体または抗原結合フラグメント阻害剤は、AFPのY521および/またはV522と、FcRnのR42との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの抗体または抗原結合フラグメント阻害剤は、AFPのP492と、FcRnのR69との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの抗体または抗原結合フラグメント阻害剤は、AFPのQ441および/またはV493と、FcRnのE44との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの抗体または抗原結合フラグメント阻害剤は、AFPのH534および/またはE589と、FcRnのN173との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの抗体または抗原結合フラグメント阻害剤は、AFPの疎水性コアと、FcRnとの結合を阻害する。一部のそのような態様において、AFP-FcRnの抗体または抗原結合フラグメント阻害剤は、AFPのL484、V493、V497、および/またはF512と、FcRnのV57、W59、および/またはW61との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの抗体または抗原結合フラグメント阻害剤は、AFPのT443と、FcRnのE62および/またはW59との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの抗体または抗原結合フラグメント阻害剤は、AFPのD529と、FcRnのS230との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの抗体または抗原結合フラグメント阻害剤は、AFPのS527および/またはD528と、FcRnと複合体化したβ2mのE50および/または67Yとの結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの抗体または抗原結合フラグメント阻害剤は、AFPのR604と、FcRnと複合体化したβ2mのE50でのカルボニル酸素との結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの抗体または抗原結合フラグメント阻害剤は、AFPのQ597と、FcRnと複合体化したβ2mのE69との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの抗体または抗原結合フラグメント阻害剤は、AFPのE106と、FcRnのH161との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの抗体または抗原結合フラグメント阻害剤は、AFPのS135と、FcRnのH161との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの抗体または抗原結合フラグメント阻害剤は、AFPのF531、F533、F552、および/またはF575と、FcRnのW53との結合および/または相互作用を阻害する。
本明細書において記載する組成物中での使用のためにおよび方法を実施するために適した、AFP、FcRn、および/またはFcRnに結合したAFPについて特異的であるかまたはそれらに選択的に結合する抗体またはそれらの抗原結合フラグメントは、好ましくはモノクローナルであり、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体(一本鎖抗体を含む)、Fabフラグメント、F(ab')フラグメント、Fab発現ライブラリーにより産生されたフラグメント、および/または上記のいずれかの結合フラグメントを含むが、これらに限定されない。抗体は、また、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分(すなわち、抗原結合部位または標的結合部位を含む分子)または「抗原結合フラグメント」を指す。本明細書において記載する免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM 、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、またはサブクラスであることができ、当業者により理解されるとおりである。
本明細書において記載する用語「抗体フラグメント」または「抗原結合フラグメント」により包含される抗体フラグメントの例は、(i)VL、CL、VH、およびCH1ドメインを有するFabフラグメント;(ii)CH1ドメインのC末端に1つまたは複数のシステイン残基を有するFabフラグメントであるFab'フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインを有するFdフラグメント;(iv)VHおよびCH1ドメインならびにCH1ドメインのC末端に1つまたは複数のシステイン残基を有するFd'フラグメント;(v)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインを有するFvフラグメント;(vi)VHドメインまたはVLドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al., Nature 341, 544-546 (1989));(vii)単離されたCDR領域;(viii)F(ab')2フラグメント(ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFab'フラグメントを含む二価フラグメント);(ix)単鎖抗体分子(例えば、単鎖Fv;scFv)(Bird et al., Science 242:423-426 (1988);およびHuston et al., PNAS (USA) 85:5879-5883 (1988));(x)同じポリペプチド鎖中で軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む、2つの抗原結合部位を有する「ダイアボディ」(例えば、EP 404,097;WO 93/11161;およびHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)を参照のこと);(xi)相補的軽鎖ポリペプチドと一緒に一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含む「線状抗体」(Zapata et al. Protein Eng. 8(10):1057-1062 (1995);および米国特許第5,641,870号);および、上記のいずれかの改変バージョン(例えば、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール)または他の適切なポリマーの共有結合により改変)を含む。
標的または抗原に関して、標的または抗原上の用語「リガンド相互作用部位」は、リガンド、受容体、または他の結合相手への結合のための部位、触媒部位、切断部位、アロステリック相互作用のための部位、標的または抗原の多量体化(例えば、ホモマー化またはヘテロ二量体化など)に関与する部位である、標的または抗原上のアミノ酸残基の部位、エピトープ、抗原決定基、部分、ドメイン、またはストレッチ;標的または抗原(すなわち、AFP、FcRn、またはFcRnに結合したAFP)の生物学的作用または機構に含まれる標的または抗原上のアミノ酸残基の任意の他の部位、エピトープ、抗原決定基、部分、ドメイン、またはストレッチを意味する。例えば、一部の態様において、FcRn上のリガンド相互作用部位は、IgGが結合または相互作用する任意の部位、あるいは、アルブミンが結合または相互作用する任意の部位、あるいは、AFPが結合または相互作用する任意の部位、あるいは、AFPと相互作用する場合にFcRn/β2-ミクログロブリンヘテロ二量体複合体内のアルブミンおよび/またはIgGの結合部位の立体構造に影響を及ぼす任意の部位であることができる。より一般的には、「リガンド相互作用部位」は、AFPとFcRnとの相互作用または結合(および/またはFcRnへのAFP結合により媒介される任意の経路、相互作用、シグナル伝達、生物学的機構、または生物学的効果)が調節されるように、本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤の結合部位が結合することができる標的または抗原上のアミノ酸残基の任意の部位、エピトープ、抗原決定基、部分、ドメイン、またはストレッチであることができる。
抗体またはその抗原結合フラグメントの文脈において、用語「特異性」または「について特異的」は、特定の抗体またはその抗原結合フラグメントが抗原に結合することができる、異なる型の抗原または抗原決定基の数を指す。抗体またはその抗原結合フラグメントもしくは抗原結合部分の特異性は、親和性および/または結合力に基づいて決定することができる。親和性は、抗原と抗原結合タンパク質との解離(KD)についての平衡定数により表され、抗原決定基と抗原結合タンパク質上の抗原結合部位との結合強度についての測定値である: KDの値が小さければ小さいほど、抗原決定基と抗原結合分子との結合強度がより強くなる。あるいは、親和性は親和定数(KA)(1/KDである)として表すこともできる。当業者には明らかであるように、親和性は、関心対象の特異的抗原に依存して、それ自体公知の様式において決定することができる。したがって、本明細書において定義する抗体またはその抗原結合フラグメントは、それが、前記アミノ酸配列またはポリペプチドが別の標的またはポリペプチドに結合する場合の親和性の、少なくとも10倍、例えば少なくとも100倍、好ましくは少なくとも1000倍、および最大10,000倍またはそれ以上に良好である親和性(上記のとおりであり、例えば、KD値として適切に表現される)で、第1の抗原に結合する場合、第2の標的または抗原と比較して、第1の標的または抗原「について特異的」であると言われる。好ましくは、抗体またはその抗原結合フラグメントが、別の標的または抗原と比較し、標的または抗原「について特異的」である場合、それは、該標的または抗原に対して向けられるが、別の標的または抗原に対して向けられない。
しかし、当業者により理解されるように、一部の態様において、標的上の結合部位が複数の異なるリガンドにより共有される、または部分的に共有される場合、抗体またはその抗原結合フラグメントは、標的(例えば、FcRn)に特異的に結合することができ、複数の異なるリガンド(例えば、AFP、アルブミン、および/またはIgG)の結合を阻害する/防止する機能的効果を有する。例えば、本明細書において実証するように、ADM31抗体は、FcRnへのAFP結合ならびにFcRnへのアルブミンの結合を阻害する(Sand, K. M., et B. Dalhus, G. J. Christianson, M. Bern, S. Foss, J. Cameron, D. Sleep, M. Bjoras, D. C. Roopenian, I. Sandlie and J. T. Andersen (2014). "Dissection of the neonatal Fc receptor (FcRn)-albumin interface using mutagenesis and anti-FcRn albumin-blocking antibodies." J Biol Chem 289(24): 17228-17239)。
結合力は、抗原結合分子と関連抗原との結合強度の測定値である。結合力は、抗原結合分子上の抗原決定基とその抗原結合部位との親和性、および抗原結合分子上に存在する関連結合部位の数の両方に関連する。典型的には、抗原結合タンパク質は、それらの同族体または特異的抗原に、解離定数(KD)(10-5〜10-12モル/リットル以下、および、好ましくは10-7〜10-12モル/リットル以下、および、より好ましくは10-8〜10-12モル/リットルのKD(すなわち、105〜1012リットル/モル以上、および、好ましくは107〜1012リットル/モル以上、および、より好ましくは108〜1012リットル/モルの会合定数(KA)有する))で結合する。104モル/リットルよりも大きい任意のKD値(または104M-1より低い任意のKA値)は、一般的に、非特異的な結合を示すと考えられる。意味がある(例えば、特異的)と考えられる生物学的相互作用についてのKDは、典型的には10-10M(0.1nM)から10-5M(10000nM)の範囲である。相互作用が強ければ強いほど、KDはより低くなる。好ましくは、本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤抗体またはその抗原結合フラグメント上の結合部位は、500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満(例えば、500pM未満)の親和性で、AFPおよび/またはFcRnに結合する。抗原または抗原決定基への抗原結合タンパク質の特異的な結合は、それ自体が公知の任意の適切な様式(例えば、スキャッチャード分析および/または競合結合アッセイ、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、およびサンドイッチ競合アッセイを含む)および当技術分野においてそれ自体が公知のそれらの異なる変化形;ならびに本明細書において言及する他の技術において決定することができる。
本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤はモノクローナル抗体である。
用語「モノクローナル抗体」は、本明細書において使用するように、実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、その集団を含む個々の抗体は、少量で存在し得る、可能性のある天然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原に対して向けられる。さらに、典型的には、異なる決定基(エピトープ)に対して向けられた異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル調製物中の各々の抗体は、抗原上の同じ単一の決定基に対して向けられる。用語「モノクローナル抗体」は、それが産生される方法ではなく、単一のクローン(任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンを含む)に由来する抗体を指すことを理解すべきである。本明細書において使用する用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術を通じて産生された抗体に限定されず、修飾因子「モノクローナル」は、任意の特定の方法による抗体の産生を要求とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler, et al., Nature, 256: 495, 1975により最初に記載されたハイブリドーマ法、もしくは以降のその適応により作製することができるか、または組換えDNA法により作製することができる(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)。モノクローナル抗体は、また、例えば、Clackson et al., Nature 352:624-628 (1991)またはMarks et al., J. Mol. Biol. 222:581-597 (1991)において記載される技術を使用してファージ抗体ライブラリーから単離することができる。
本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、AFP、FcRn、および/またはFcRnに結合したAFPに結合する、抗体またはその抗原結合フラグメントのキメラ抗体誘導体である。
本明細書において使用するように、用語「キメラ抗体」は、それらが、所望の生物学的活性を示す限り、重鎖および/または軽鎖のある部分が、特定の種に由来するか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一であるか、またはそれと相同であり、一方で、鎖の残部は、別の種に由来するか、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、およびそのような抗体のフラグメントにおける対応する配列と同一であるか、またはそれと相同である(米国特許第4,816,567号;およびMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 6851-6855 (1984))。キメラ抗体分子は、例えば、ヒト定常領域を有する、マウス、ラット、または他の種の抗体からの1つまたは複数の抗原結合ドメインを含むことができる。キメラ抗体を作製するための種々のアプローチが記載されており、所望の抗原(例えば、AFPおよび/またはFcRn)を認識する免疫グロブリン可変領域を含有するキメラ抗体を作製するために使用することができる。例えば、Takeda et al., 1985, Nature 314:452;Cabilly et al.米国特許第4,816,567号;Boss et al.;Tanaguchi et al. 欧州特許公開EP171496;欧州特許公開第0173494号、英国特許GB 2177096Bを参照のこと。
本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、AFP、FcRn、および/またはFcRnに結合したAFPに結合するアンタゴニスト抗体またはその抗原結合フラグメントのヒト化抗体誘導体である。
非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。大半の部分について、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、それにおいてレシピエントの超可変領域からの残基が、非ヒト種(ドナー抗体)(例えば、所望の特異性、親和性、および能力を有する、マウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類)の超可変領域からの残基により置換される。一部の例において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)の残基を、対応する非ヒト残基により置換する。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体においてまたはドナー抗体において見出されない残基を含むことができる。これらの改変を作り、抗体の性能をさらに改良する。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つの、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、それにおいて、超可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、場合により、また、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくともある部分、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含む。さらなる詳細については、Jones et al., Nature 321: 522-525 (1986);Riechmann et al., Nature 332: 323-329 (1988);およびPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2: 593-596 (1992)を参照のこと。
本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤抗体またはそれらの抗原結合フラグメントのいずれかを含む組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤抗体または抗原結合フラグメントは抗体誘導体である。例えば、抗体誘導体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への連結などにより修飾されている抗体を含むが、これらに限定されない。多数の化学修飾のいずれかを、公知の技術、しかし限定はしないが、特定の化学切断、アセチル化、ホルミル化などにより行うことができる。加えて、誘導体は、1つまたは複数の非古典的アミノ酸、あるいは、FcRnに結合し、AFPを阻害するように操作される代替スキャフォールド、例えば、センチリン、DARPINS、フィナマーを含むことができる。
本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤抗体およびそれらの抗原結合フラグメントは、当技術分野において公知の任意の適切な方法により生成することができる。例えば、FcRnに対するモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体が当技術分野において公知である。必要な程度まで、例えば特定の特徴またはエピトープ特異性を有する抗体を生成するために、当業者は、本明細書において簡単に考察する、または当技術分野において公知である新規モノクローナルまたはポリクローナルAFP-FcRn阻害剤抗体を生成することができる。
ポリクローナル抗体は、当技術分野において周知の種々の手順により産生することができる。例えば、1つまたは複数のAFPおよび/またはFcRn相互作用部位を含むAFP、FcRn、またはそれらのフラグメントを種々の宿主動物(ウサギ、マウス、ラットなどを含むがこれに限定されない)に投与し、そのタンパク質について特異的なポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導することができる。ポリクローナル抗体は、好ましくは、関連抗原およびアジュバントの複数回の皮下(sc)または腹腔内(ip)注射により、動物において産生される。関連抗原を、免疫化される種において免疫原性であるタンパク質、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、または大豆トリプシン阻害剤に、二官能性剤または誘導体化剤、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を通じた抱合)、Nヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を通じて)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2、または式中、RおよびR1は異なるアルキル基であるようなR1N=C=NRを使用して結合させることが有用な場合がある。宿主の種に依存して、種々の他のアジュバントを使用して免疫学的応答を増加させることができ、アジュバントには、フロイント(完全および不完全)、鉱物ゲル、例えば、水酸化アルミニウム、表面活性物質、例えば、リゾレシチンなど、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、および潜在的に有用なヒトアジュバント、例えばBCG(カルメットゲラン桿菌)およびコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)を含むが、これらに限定されない。適切なアジュバントは、また、当業者に周知である。
モノクローナル抗体は、当技術分野において公知の多様な技術(ハイブリドーマ技術、組換え技術、およびファージディスプレイ技術、またはそれらの組み合わせの使用を含む)を使用して調製することができる。本明細書において記載するモノクローナル抗体を作製するための種々の方法を当技術分野において利用可能である。例えば、モノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature, 256:495 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ方法、またはその任意の後に開発された方法を使用して、または組換えDNA方法により、作製することができる(米国特許第4,816,567号)。例えば、モノクローナル抗体は、当技術分野において公知である、例えば、Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed., 1988);Hammer-ling, et al., in: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681 (Elsevier, N.Y., 1981)において教示されるものを含むハイブリドーマ技術を使用して産生することができる(該参考文献は、その全体が参照により組み入れられる)。ハイブリドーマ技術を使用した特異的抗体についての産生およびスクリーニング方法は、日常的であり、当技術分野において周知である。別の例において、本明細書において記載する方法および組成物において有用な抗体は、また、当技術分野において公知の種々のファージディスプレイ方法(例えば、McCafferty et al., Nature, 348:552-554 (1990)において記載される技術を使用して生成された抗体ファージライブラリーからの単離など)を使用して生成することができる。Clackson et al., Nature, 352: 624-628 (1991)およびMarks et al., J. Mol. Biol., 222: 581-597 (1991)は、ファージライブラリーを使用した、それぞれマウス抗体およびヒト抗体の単離を記載している。その後の刊行物は、鎖シャッフリングによる高親和性(nMレベル)ヒト抗体の産生(Marks et al., Bio/Technology, 10: 779-783 (1992))、ならびに組み合わせ感染および非常に大きなファージライブラリーを構築するための戦略としてのインビボ組換え(Waterhouse et al., Nucl. Acids Res., 21: 2265-2266 (1993))を記載している。このように、これらの技術は、モノクローナル抗体の単離のための従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術への実行可能な代替物である。
本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、完全ヒト抗体がAFP-FcRn阻害剤として使用され、それらは、ヒト患者の治療的処置のために特に望ましい。
ヒト抗体は、当技術分野において公知の種々の方法(ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを使用した上記のファージディスプレイ方法を含む)により作製することができる。また、米国特許第4,444,887号および第4,716,111号;ならびにPCT公開WO 98/46645、WO 98/50433、WO 98/24893、WO 98/16654、WO 96/34096、WO 96/33735、およびWO 91/10741を参照のこと。それらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
ヒト抗体は、また、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現するトランスジェニックマウスを使用して産生することができ、免疫化時に内因性免疫グロブリン産生の非存在下でヒト抗体の完全レパートリーを産生することが可能である。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概要については、Lonberg and Huszar, 1995, Int. Rev. Immunol. 13:65-93を参照のこと。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術およびそのような抗体を産生するためのプロトコルの詳細な考察については、例えば、PCT公開WO98/24893;WO 92/01047;WO 96/34096;WO 96/33735;欧州特許第0 598 877号;米国特許第5,413,923号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,569,825号;第5,661,016号;第5,545,806号;第5,814,318号;第5,885,793号;第5,916,771号;および第5,939,598号を参照のこと。それらの内容は、参照によりその全体が本明細書において組み入れられる。加えて、Abgenix, Inc.(Freemont, Calif.)およびMedarex(Princeton, N.J.)のような企業は、上に記載するような技術を使用して、選択された抗原に対するヒト抗体を提供することに従事することができる。また、例えば、Jakobovits et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993);Jakobovits et al., Nature, 362:255-258 (1993);Bruggermann et al., Year in Immuno., 7:33 (1993);およびDuchosal et al. Nature 355:258 (1992)を参照のこと。それらの内容は、参照によりその全体が本明細書において組み入れられる。あるいは、ファージディスプレイ技術(McCafferty et al., Nature 348:552-553 (1990))を使用して、免疫化されていないドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからヒト抗体および抗体フラグメントをインビトロで産生することができる。ヒト抗体は、また、インビトロで活性化されたB細胞により生成することができる(米国特許第5,567,610号および第5,229,275号を参照のこと。それらの内容は、参照によりその全体が本明細書において組み入れられる)。選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「誘導選択(guided selection)」と呼ばれる技術を使用して生成することができる。このアプローチにおいて、選択された非ヒトモノクローナル抗体(例えば、マウス抗体)を使用して、同じエピトープを認識する完全ヒト抗体の選択を導く(Jespers et al., 1994, Bio/technology 12:899-903)。
「Fv」フラグメントは、完全な抗原認識および結合部位を含む抗体フラグメントである。この領域は、密接に会合する1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなり、例えばscFvにおける共有結合性であることができる。この配置において、各々の可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH-VL二量体の表面上の抗体結合部位を定義する。集合的に、6つのCDRまたはそれらのサブセットが抗体に抗原結合特異性を与える。しかし、単一の可変ドメイン(つまり、抗原について特異的な3つのCDRのみを含む、Fvの半分)でさえ抗原を認識し、それに結合する能力を有するが、通常は全結合部位よりも低い親和性である。
本明細書において使用するように、「抗体可変ドメイン」は、相補性決定領域(CDR;すなわち、CDR1、CDR2、およびCDR3)およびフレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列を含む抗体分子の軽鎖および重鎖の部分を指す。VHは、重鎖の可変ドメインを指す。VLは、軽鎖の可変ドメインを指す。本発明において使用する方法に従い、CDRおよびFRに割り当てられたアミノ酸位置は、Kabat(Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1987 and 1991))に従って定義され得る。抗体または抗原結合フラグメントのアミノ酸ナンバリングもKabatのナンバリングに従う。
本明細書において使用するように、用語「相補性決定領域」(CDR;すなわち、CDR1、CDR2、およびCDR3)は、その存在が抗原結合のために必要である抗体可変ドメインのアミノ酸残基を指す。各々の可変ドメインは、典型的には、CDR1、CDR2、およびCDR3として同定される3つのCDR領域を有する。各々の相補性決定領域は、Kabatにより定義される「相補性決定領域」からのアミノ酸残基(すなわち、軽鎖可変ドメイン中の残基約24〜34(L1)、50〜56(L2)、および89〜97(L3)ならびに重鎖可変ドメイン中の31〜35(H1)、50〜65(H2)、および95〜102(H3);Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991))ならびに/あるいは「超可変ループ」からのそれらの残基(すなわち、軽鎖可変ドメイン中の残基約26〜32(L1)、50〜52(L2)、および91-96(L3)ならびに重鎖可変ドメイン中の26〜32(H1)、53〜55(H2)、および96〜101(H3);Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))を含み得る。一部の例において、相補性決定領域は、Kabatに従って定義されたCDR領域および超可変ループの両方からのアミノ酸を含むことができる。例えば、抗体4D5のヒト重鎖のCDRH1は、アミノ酸26〜35を含む。
「フレームワーク領域」(以下、FR)は、CDR残基以外の可変ドメイン残基である。各々の可変ドメインは、典型的には、FR1、FR2、FR3、およびFR4として同定される4つのFRを有する。CDRがKabatに従って定義される場合、軽鎖FR残基は約1〜23残基(LCFR1)、35〜49残基(LCFR2)、57〜88残基(LCFR3)、および98〜107残基(LCFR4)に位置付けられ、重鎖FR残基は、重鎖残基中の残基1〜30(HCFR1)、36〜49(HCFR2)、66〜94(HCFR3)、および103〜113(HCFR4)に位置付けられる。CDRが超可変ループからのアミノ酸残基を含む場合、軽鎖FR残基は、軽鎖中の残基約1〜25(LCFR1)、33〜49(LCFR2)、53〜90(LCFR3)、および97〜107(LCFR4)に位置付けられ、重鎖FR残基は、重鎖残基中の残基1〜25(HCFR1)、33〜52(HCFR2)、56〜95(HCFR3)、および102-113(HCFR4)に位置付けられる。一部の例において、CDRがKabatにより定義されるCDRおよび超可変ループのCDRの両方からのアミノ酸を含む場合、FR残基はそれに応じて調整される。例えば、CDRH1がアミノ酸H26〜H35を含む場合、重鎖FR1残基は位置1〜25にあり、FR2残基は位置36〜49にある。
本明細書において使用するように、「キメラ抗体」は、抗体の異なる部分が異なる動物種に由来する分子を指す(例えば、マウスモノクローナル抗体に由来する可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する抗体)。キメラ抗体を産生するための方法は、当技術分野において公知である。例えば、Morrison, Science, 1985, 229:1202;Oi et al, 1986, Bio-Techniques 4:214;Gillies et al., 1989, J. Immunol. Methods 125:191-202;米国特許第5,807,715号;第4,816,567号;第4,816,397号を参照のこと。それらの内容は、参照によりその全体が本明細書において組み入れられる。
「ヒト化抗体」は、この用語が本明細書において使用される場合、所望の抗原、すなわち、AFP、FcRn、および/またはFcRnに結合したAFPに結合する抗体が、非ヒト種からの1つまたは複数のCDRならびにヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域および定常領域を含む、非ヒト種からの抗体分子を指す。多くの場合、ヒトフレームワーク領域中のフレームワーク残基は、CDRドナー抗体からの対応する残基で置換され、抗原結合を改変、好ましくは改善する。これらのフレームワーク置換は、当技術分野において周知の方法により、例えば、抗原結合のために重要なフレームワーク残基を同定するためのCDRおよびフレームワーク残基の相互作用のモデリングにより、ならびに特定の位置での異常なフレームワーク残基を同定するための配列比較により、同定される(例えば、Queen et al., 米国特許第5,585,089号;Riechmann et al., 1988, Nature 332:323を参照のこと)。抗体は、例えば、CDRグラフティング(EP 239,400;PCT公開WO 91/09967;米国特許第5,225,539号;第5,530,101号;および第5,585,089号)、ベニアリングまたはリサーフェーシング(EP 592,106;EP 519,596;Padlan, Molecular Immunology, 1991, 28(4/5):489-498;Studnicka et al., 1994, Protein Engineering 7(6):805-814;Roguska. et al, 1994, PNAS 91:969-973)、および鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)を含む(これらの内容は、その全体が参照により本明細書において組み入れられる)当技術分野において公知の種々の技術を使用してヒト化することができる。したがって、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からヒト化抗体中に導入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、「インポート」残基と呼ばれ、それらは、典型的には、「インポート」可変ドメインから得られる。ヒト化を、本質的に、Winterおよび共同研究者の方法(Jones et al., Nature 321: 522-525 (1986);Riechmann et al., Nature 332: 323-327 (1988);Verhoeyen et al., Science 239: 1534-1536 (1988) (これらの内容は、その全体が参照により本明細書において組み入れられる))に従い、齧歯類CDRまたはCDR配列を、ヒト抗体の対応する配列について置換することにより実施することができる。したがって、そのような「ヒト化」抗体はキメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号(この内容は、その全体が参照により本明細書において組み入れられる))、それにおいて実質的にインタクトに満たないヒト可変ドメインが、非ヒト種からの対応する配列により置換されている。実際に、ヒト化抗体は、典型的には、ヒト抗体であり、それにおいて、一部のCDR残基および恐らくは一部のFR残基が、齧歯類の抗体中の類似の部位からの残基により置換されている。
「Fab」フラグメントは、軽鎖の可変ドメインおよび定常ドメインならびに重鎖の可変ドメインおよび第1定常ドメイン(CH1)を含む。F(ab')2抗体フラグメントは一対のFabフラグメントを含み、それらは、一般的に、それらとの間のヒンジシステインによりそれらのカルボキシ末端の近くで共有結合的に連結されている。抗体フラグメントの他の化学的結合も当技術分野において公知である。
「一本鎖Fv」または「scFv」抗体フラグメントは、抗体のVHドメインおよびVLドメインを含み、それにおいて、これらのドメインは単一ポリペプチド鎖中に存在する。一般的には、Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、それによって、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することが可能になる。scFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore編集者, Springer-Verlag, New York, pp.269-315 (1994)を参照のこと。
用語「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントを指し、それらのフラグメントは、同じポリペプチド鎖(VHおよびVL)において軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖上で2つのドメイン間での対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは、別の鎖の相補ドメインと対合し、2つの抗原結合部位を作るように強制される。ダイアボディは、例えば、EP 404,097;WO 93/11161;およびHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)により十分に記載されている。
表現「線状抗体」は、Zapata et al., Protein Eng., 8(10):1057-1062 (1995)に記載されている抗体を指す。簡潔には、これらの抗体は、相補的軽鎖ポリペプチドと一緒に一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含む。線状抗体は、二重特異性または単一特異性であることができる。
種々の技術が、抗体または抗原結合フラグメントの産生のために開発されている。本明細書において記載する抗体は、従来の技術を使用して断片化することができ、フラグメントは、抗体全体について上に記載したのと同じ様式において、有用性についてスクリーニングすることができる。従来、これらのフラグメントは、インタクトな抗体のタンパク質分解消化を介して得られた(例えば、Morimoto et al., J Biochem Biophys. Method. 24: 107-117 (1992);およびBrennan et al., Science 229: 81 (1985)を参照のこと)。例えば、本明細書において記載する二重特異性抗体および多重特異性抗体のFabフラグメントおよびF(ab')2フラグメントは、酵素、例えばパパイン(Fabフラグメントを産生するため)またはペプシン(F(ab')2フラグメントを産生するため)を使用した免疫グロブリン分子のタンパク質分解切断により産生することができる。F(ab')2フラグメントは、可変領域、軽鎖定常領域、および重鎖のCH1ドメインを含む。しかし、これらのフラグメントは、現在、組換え宿主細胞により直接的に産生することができる。例えば、抗体フラグメントは、先で考察した抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、Fab'-SHフラグメントを大腸菌(E. coli)から直接的に回収し、化学的に結合させ、F(ab')2フラグメントを形成することができる(Carter et al., Bio/Technology 10: 163-167 (1992))。別のアプローチに従って、F(ab')2フラグメントを組換え宿主細胞培養物から直接的に単離することができる。抗体フラグメントの産生のための他の技術が当業者に明らかであろう。他の態様において、選択される抗体は、一本鎖Fvフラグメント(scFv)である。WO 93/16185を参照のこと。
一本鎖Fvおよび抗体を産生するために使用することができる技術の例は、 米国特許第4,946,778号および第5,258,498号;Huston et al., 1991, Methods in Enzymology 203:46-88;Shu et al., 1993, PNAS 90:7995-7999;およびSkerra et al., 1988, Science 240:1038-1040に記載されている技術を含む。本明細書において記載するとおりの、ヒトにおける抗体のインビボでの使用、およびインビトロでの増殖または細胞毒性アッセイを含む一部の使用のために、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体を使用することが好ましい。
「親和性成熟」抗体は、それらの変化を持たない親抗体と比較して、抗原についての抗体の親和性において改善をもたらす、その1つまたは複数のCDRに1つまたは複数の改変を有する抗体である。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモルまたはさらにはピコモルの親和性を有するであろう。親和性成熟抗体は、当技術分野において公知の手順により産生される。Marks et al., Bio/Technology 10:779-783 (1992)は、VHおよびVLドメインシャッフリングによる親和性成熟を記載している。CDRおよび/またはフレームワーク残基のランダム変異誘発が、Barbas et al. Proc Nat. Acad. Sci, USA 91:3809-3813 (1994);Schier et al. Gene 169:147-155 (1995);Yelton et al. J. Immunol. 155:1994-2004 (1995);Jackson et al., J. Immunol. 154(7):3310-9 (1995);およびHawkins et al., J. Mol. Biol. 226:889-896 (1992)により記載されている。
本明細書において使用するように、「相補的」は、2つの免疫グロブリンドメインが、同族の対またはグループを形成する、またはそのようなファミリーに由来し、この特徴を保持する構造のファミリーに属する場合を指す。例えば、天然抗体のVHドメインおよびVLドメインは相補的である;2つのVHドメインは相補的ではなく、2つのVLドメインは相補的ではない。相補的ドメインは、免疫グロブリンスーパーファミリーの他のメンバー、例えばT細胞受容体のVαおよびVβ(またはγおよびδ)ドメインなどにおいて見出すことができる。人工的であるドメイン(例えば、結合するように設計されていない限り、エピトープに結合しないタンパク質スキャフォールドに基づくドメイン)は非相補的である。同様に、例えば、免疫グロブリンドメインおよびフィブロネクチンドメインに基づく2つのドメインは相補的ではない。
本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、小分子阻害剤、剤、または化合物である。本明細書において記載する局面の一部の態様において、そのようなAFP-FcRn小分子阻害剤またはAFP-FcRnの小分子阻害剤を使用し、本明細書において記載するように、FcRn上のアルブミンおよびIgG結合活性と重なる、FcRn上のAFP結合部位を阻害または遮断することができる。
そのような小分子阻害剤は、小ペプチドまたはペプチド様分子、可溶性ペプチド、およびペプチジルではない合成された有機化合物または無機化合物を含むが、これらに限定されない。小分子阻害剤またはアンタゴニストは、約100〜約20,000ダルトン(Da)、約500〜約15,000Da、約1000〜約10,000Daのいずれかの分子量を有することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの小分子阻害剤は、AFPのY521および/またはV522と、FcRnのR42との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの小分子阻害剤は、AFPのP492と、FcRnのR69との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの小分子阻害剤は、AFPのQ441および/またはV493と、FcRnのE44との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの小分子阻害剤は、AFPのH534および/またはE589と、FcRnのN173との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの小分子阻害剤は、AFPの疎水性コアと、FcRnとの結合を阻害する。一部のそのような態様において、AFP-FcRnの小分子阻害剤は、AFPのL484、V493、V497、および/またはF512と、FcRnのV57、W59、および/またはW61との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの小分子阻害剤は、AFPのT443と、FcRnのE62および/またはW59との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの小分子阻害剤は、AFPのD529と、FcRnのS230との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの小分子阻害剤は、AFPのS527および/またはD528と、FcRnと複合体化したβ2mのE50および/または67Yとの結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの小分子阻害剤は、AFPのR604と、FcRnと複合体化したβ2mのE50でのカルボニル酸素との結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの小分子阻害剤は、AFPのQ597と、FcRnと複合体化したβ2mのE69との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの小分子阻害剤は、AFPのE106と、FcRnのH161との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの小分子阻害剤は、AFPのS135と、FcRnのH161との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの小分子阻害剤は、AFPのF531、F533、F552、および/またはF575と、FcRnのW53との結合および/または相互作用を阻害する。
本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、AFPと結合するかまたは物理的に相互作用して、AFPとFcRnとの相互作用を遮断するRNAまたはDNAアプタマーである。本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、FcRnと結合するかまたは物理的に相互作用して、AFPとFcRnとの相互作用を遮断するRNAまたはDNAアプタマーである。本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、アプタマーは、FcRnのFcRn大サブユニットp51重鎖前駆体に結合する少なくとも1つのRNAまたはDNAアプタマーを含む。本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、アプタマーは、FcRnのβ2mサブユニットに結合する少なくとも1つのRNAまたはDNAアプタマーを含む。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnのRNAまたはDNAアプタマー阻害剤は、AFPのY521および/またはV522と、FcRnのR42との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnのRNAまたはDNAアプタマー阻害剤は、AFPのP492と、FcRnのR69との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnのRNAまたはDNAアプタマー阻害剤は、AFPのQ441および/またはV493と、FcRnのE44との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnのRNAまたはDNAアプタマー阻害剤は、AFPのH534および/またはE589と、FcRnのN173との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnのRNAまたはDNAアプタマー阻害剤は、AFPの疎水性コアと、FcRnとの結合を阻害する。一部のそのような態様において、AFP-FcRnのRNAまたはDNAアプタマー阻害剤は、AFPのL484、V493、V497、および/またはF512と、FcRnのV57、W59、および/またはW61との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnのRNAまたはDNAアプタマー阻害剤は、AFPのT443と、FcRnのE62および/またはW59との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnのRNAまたはDNAアプタマー阻害剤は、AFPのD529と、FcRnのS230との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnのRNAまたはDNAアプタマー阻害剤は、AFPのS527および/またはD528と、FcRnと複合体化したβ2mのE50および/または67Yとの結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnのRNAまたはDNAアプタマー阻害剤は、AFPのR604と、FcRnと複合体化したβ2mのE50でのカルボニル酸素との結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnのRNAまたはDNAアプタマー阻害剤は、AFPのQ597と、FcRnと複合体化したβ2mのE69との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnのRNAまたはDNAアプタマー阻害剤は、AFPのE106と、FcRnのH161との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnのRNAまたはDNAアプタマー阻害剤は、AFPのS135と、FcRnのH161との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnのRNAまたはDNAアプタマー阻害剤は、AFPのF531、F533、F552、および/またはF575と、FcRnのW53との結合および/または相互作用を阻害する。
本明細書において記載する組成物、方法、および使用において使用するためのAFP-FcRn阻害剤は、当技術分野において公知の方法、例えば、タンパク質−タンパク質結合アッセイ、生化学的スクリーニングアッセイ、イムノアッセイ、および細胞ベースのアッセイを使用して同定または特徴付けることができ、それらは、当技術分野において周知されており、本明細書において実施例および図面中に記載されているものを含むが、これらに限定されるわけではない。
例えば、AFPとFcRnとの相互作用を阻害する分子を同定するために、本明細書において記載するように、経細胞輸送アッセイを使用することができる。例えば、細胞(例えばヒトFcRnおよびβ2mを同時発現するMDCK II細胞など)は、推定上のAFP-FcRn阻害剤(すなわち、被試験剤)および対照剤の存在下で、AFPの側底から頂側への経細胞輸送について試験することができる。対照剤の存在における経細胞輸送と比べて、AFP経細胞輸送が、被試験剤の存在により阻害される場合、当該被試験剤は、AFPとFcRnとの結合を阻害する候補阻害剤と見なすことができる。追加のアッセイ(例えば、Biacoreアッセイ)を使用して、候補剤がFcRnとAFPとの結合を阻害するか否か、およびその阻害方法をさらに決定することができる。
また、本明細書において提供するのは、一部の局面において、組成物、例えばAFP-FcRn相互作用の増強剤を含む薬学的組成物である。そのような増強剤を使用し、AFPとFcRnとの相互作用を強化/増加/増強し、かつ/またはヒトAFPの経細胞輸送を増加させ、かつ/またはAFPの血清中半減期を増加させ、それにより、AFPレベルの強化が必要な障害および状態(例えば、自己免疫障害、移植患者、および高リスク妊娠を含む)の処置において、AFPの免疫抑制活性を増加させる。
本明細書において使用するように、用語「AFP-FcRn増強剤」、「AFP-FcRn相互作用の増強剤」、「AFP-FcRn活性化剤」、および「AFP-FcRnアゴニスト剤」は、FcRnへのAFP結合の生物学的活性(FcRnへのAFP結合およびシグナル伝達により媒介される下流経路、例えば、AFPの経細胞輸送、免疫複合体で初回刺激された樹状細胞によるT細胞刺激の阻害、免疫応答のAFP媒介性阻害、および/またはAFPの血清中半減期の増加を含む)を、インビトロ、インサイチュ、および/またはインビボで模倣または上方制御(例えば、増加、増強、または補助)する分子または剤を指す。AFP-FcRn増強剤またはアゴニストは、一部の態様において、野生型AFPの少なくとも1つの生物活性を有する、AFPタンパク質フラグメントまたはその誘導体であることができる。AFP-FcRn増強剤は、例えば、AFPとFcRnとの相互作用を増加させる化合物であることができる。本明細書において記載する種々の局面および態様における使用のために熟慮される例示的なAFP-FcRn増強剤またはアゴニストは、FcRnに結合したAFPに特異的に結合し、相互作用を強化する、かつ/あるいは、アルブミンおよび/またはIgGへのFcRn結合を遮断するが、FcRnへのAFP結合を可能にする抗体またはそれらの抗原結合フラグメント;FcRnに結合し、FcRnへのAFP結合を模倣するRNAまたはDNAアプタマー;AFP構造類似体またはそれらのAFP機能的フラグメント、誘導体、もしくは融合ポリペプチド;ならびに、FcRnを標的とするかまたはそれに結合し、FcRnへのAFP結合の機能的模倣物として作用する小分子剤を含むが、これらに限定されない。
本明細書において使用するように、AFP-FcRn増強剤は、AFP-FcRn増強剤が存在しない場合における活性または発現レベルと比べて、少なくとも5%、少なくとも10% 、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98% 少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍またはそれ以上、FcRnへのAFP結合の活性を増加もしくは強化する、またはFcRnへのAFP結合により媒介される下流の機能的転帰を模倣/複製する能力を有する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFP-FcRn結合を増加させる、野生型AFPのG109R、R487S、および/またはS445L多型を含む。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのY521および/またはV522と、FcRnのR42との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのP492と、FcRnのR69との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのQ441および/またはV493と、FcRnのE44との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのH534および/またはE589と、FcRnのN173との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において, AFP-FcRn増強剤は、AFPの疎水性コアと、FcRnとの結合を強化する。一部のそのような態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのL484、V493、V497、および/またはF512と、FcRnのV57、W59、および/またはW61との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのT443と、FcRnのE62および/またはW59との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのD529と、FcRnのS230との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのS527および/またはD528と、FcRnと複合体化したβ2mのE50および/または67Yとの結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのR604と、FcRnと複合体化したβ2mのE50でのカルボニル酸素との結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのQ597と、FcRnと複合体化したβ2mのE69との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのE106と、FcRnのH161との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのS135と、FcRnのH161との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのF531、F533、F552、および/またはF575と、FcRnのW53との結合および/または相互作用を強化する。
本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、FcRnに結合したAFPと選択的に結合するかまたは物理的に相互作用して、AFPとFcRnとの相互作用を強化し、かつ/あるいは、アルブミンおよび/またはIgGへのFcRn結合を遮断するが、FcRnへのAFPの結合を可能にし、それにより、AFPの経細胞輸送の増加、免疫複合体で初回刺激された樹状細胞によるT細胞刺激の増加、免疫応答のAFP媒介性阻害の増加、および/またはAFPの血清半減期の増加をもたらす抗体またはその抗原結合フラグメントである。下流の経路活性の増加または上方制御を測定するための例示的なアッセイが当業者に公知であり、本明細書において実施例中に提供される。
本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤はモノクローナル抗体である。本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、この用語を本明細書中の他で記載するように、抗体フラグメントまたは抗原結合フラグメントである。
本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、この用語を本明細書中の他で記載するように、AFP-FcRn増強剤抗体およびその抗原結合フラグメントのキメラ抗体誘導体である。
本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、この用語を本明細書中の他で記載するように、ヒト化抗体誘導体である。
一部の態様において、本明細書において記載するAFP-FcRn増強剤抗体およびその抗原結合フラグメントは、共有結合によって抗体が標的抗原に結合することが妨げられないという条件で、修飾された(すなわち、抗体への任意の型の分子の共有結合によって)誘導体を含む。
一部の態様において、本明細書において記載するAFP-FcRn増強剤抗体およびそれらの抗原結合フラグメントは、ヒト患者の治療的処置のために特に望ましい完全ヒト抗体またはそれらの抗原結合フラグメントである。ヒト抗体は、当技術分野において公知であり、本明細書中の他でより詳細に記載するような種々の方法により作製することができる。
本明細書において記載するAFP-FcRn増強剤抗体およびそれらの抗原結合フラグメント、ならびに本明細書において記載する任意の他の抗体またはそれらの抗原結合フラグメントは、当技術分野において公知の任意の適切な方法により生成することができる。
本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、小分子増強剤、活性化剤、またはアゴニストであり、小ペプチドまたはペプチド様分子、およびペプチジルではない合成された有機化合物または無機化合物を含むが、これらに限定されない。小分子活性化剤またはアゴニストは、約100〜約20,000ダルトン(Da)、約500〜約15,000Da、約1000〜約10,000Daのいずれかの分子量を有することができる。本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、FcRnに結合し、AFP結合を模倣する小分子を含む。小分子結合の例示的な部位は、AFPに特異的に結合するFcRnの部分、またはAFP結合部位に隣接するFcRnの部分を含むが、これらに限定されない。
本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPまたはFcRnと結合するかまたは物理的に相互作用して、AFPとFcRnとの相互作用を強化または促進するRNAまたはDNAアプタマーである。
本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFP構造類似体、機能的フラグメント、または誘導体、例えば、FcRn/β2-ミクログロブリン複合体への増加した結合を持つように操作されたAFP変異体を含む。本明細書において使用する用語「AFP構造類似体」、「AFP機能的フラグメント」、または「AFP誘導体」は、生理学的条件下でインビトロまたはインビボでFcRnに結合することができる化合物(例えば、ペプチド)を指し、その結合が、FcRn媒介の生物学的活性を少なくとも部分的に模倣または増加させる。適切なAFP構造類似体、機能的フラグメント、または誘導体は、例えばFcRnへのAFP結合の分子モデリングを通じて設計および合成することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのY521および/またはV522を含み、かつFcRnのR42と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのP492を含み、かつFcRnのR69と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのQ441および/またはV493を含み、かつFcRnのE44と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのH534および/またはE589を含み、かつFcRnのN173と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのL484、V493、V497、および/またはF512を含み、かつFcRnのV57、W59、および/またはW61と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのT443を含み、かつFcRnのE62および/またはW59と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのD529を含み、かつFcRnのS230と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのS527および/またはD528を含み、かつFcRnと複合体化したβ2mのE50および/または67Yと相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのR604を含み、かつFcRnと複合体化したβ2mのE50でカルボニル酸素と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのQ597を含み、かつFcRnと複合体化したβ2mのE69と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのE106を含み、かつFcRnのH161と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのS135を含み、かつFcRnのH161と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、AFPのF531、F533、F552、および/またはF575を含み、かつFcRnのW53と相互作用することができる。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、以下:
Figure 0006792454
を含む。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、以下:
Figure 0006792454
を含む。
用語「AFP機能的フラグメント」は、本明細書において使用するように、FcRnに特異的に結合し、かつ細胞膜を横切って経細胞輸送されることができるAFPのフラグメントを指し、かつ一部の態様において、それが融合または結合されるタンパク質の血清中半減期を増加させることができる。したがって、用語「機能的」は、フラグメント、「誘導体」、または「変異体」と併せて使用される場合、それがフラグメント、誘導体、もしくは変異体である実体または分子の生物学的活性に実質的に類似する所望の生物学的活性を持つタンパク質分子を指す。この文脈において「実質的に類似」とは、生物学的活性、例えば、FcRnに特異的に結合し、細胞膜を介して経細胞輸送され、一部の態様において、それが融合または結合されるタンパク質の血清中半減期を増加させることができることが、参照(例えば、対応する野生型または内因性AFP)の少なくとも50%活性、好ましくは少なくとも60%活性、70%活性、80%活性、90%活性、95%活性、100%活性またはそれより高く(すなわち、変異体または誘導体は野生型よりも大きな活性を有する)、例えば、110%活性、120%またはそれ以上活性であることを意味する。AFP機能的フラグメントの生物学的活性を測定するためのアッセイは、当技術分野において公知であり、非限定的な例を本明細書において実施例中に提供する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、1つまたは複数のアミノ酸または核酸の欠失、付加、置換、または側鎖修飾により内因性AFPとは異なるが、天然分子の1つまたは複数の機能的もしくは生物学的活性を保持する。アミノ酸置換は、アミノ酸が異なる天然アミノ酸残基または非従来型のアミノ酸残基で置換された変化を含む。そのような置換は「保存的」として分類してもよく、その場合において、ポリペプチド中に含まれるアミノ酸残基は、極性、側鎖の機能性、または大きさのいずれかに関して類似の特徴の別の天然アミノ酸で置換されている。本明細書において記載する変異体により包含される置換は「非保存的」でもよく、それにおいて、ペプチド中に存在するアミノ酸残基が異なる特性を有するアミノ酸で置換されている(例えば、荷電または疎水性アミノ酸をアラニンで置換する)、または、代わりに、天然アミノ酸が非従来型のアミノ酸で置換されている。また、用語「変異体」内に包含されるのは、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに関して使用される場合、参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと比較して(例えば、野生型ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと比較して)、それぞれ一次構造、二次構造、または三次構造における変異である。
本明細書において使用するように、用語「誘導体」は、本明細書において記載する野生型AFPに由来するポリペプチド、例えば、AFP機能的フラグメントを指し、かつ、例えば追加側鎖の付加、ユビキチン化、標識化、ペグ化(ポリエチレングリコールでの誘導体化)、および誘導体の基礎である野生型AFPの配列中に通常は生じないアミノ酸模倣体および/または非天然アミノ酸の、挿入、欠失、または置換のような技術により化学的に修飾されたペプチドを含む。例えば、一部の態様において、AFP誘導体は、標識、例えば、エピトープ、例えば、FLAGエピトープまたはV5エピトープまたはHAエピトープを含むことができる。そのようなタグは、例えば、融合タンパク質誘導体を精製するために有用であることができる。用語「誘導体」は、また、誘導体化ポリペプチド、例えば、アミノ酸以外の1つまたは複数の化学的部分を含むように改変されたポリペプチドも包含する。化学的部分は、例えば、アミノ末端アミノ酸残基、カルボキシ末端アミノ酸残基を介して、または内部アミノ酸残基で、ペプチドに共有結合的に連結することができる。そのような修飾は、ポリペプチド中の反応性部分上の保護基またはキャッピング基の付加、検出可能な標識の付加、およびAFP誘導体もしくは融合タンパク質の活性を有害に破壊しない他の変化を含む。一部の態様において、AFP誘導体は、通常は分子の一部ではない追加の化学的部分を含む。そのような部分によって、その溶解性、吸収、生物学的半減期などを改善することができる。この部分は、あるいは、分子の毒性を低下させる、または、分子の望ましくない副作用を排除もしくは減弱することなどができる。そのような効果を媒介することが可能な部分は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition, A. R. Gennaro, Ed., MackPubl., Easton, PA (1990)に開示されている。
一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、天然AFP分子の配列、または所望の生物学的活性を有するAFPのドメインもしくはその部分と比べて、1個の保存的置換、2個の保存的置換、3個の保存的置換、4個の保存的置換、5個の保存的置換、6個の保存的置換、7個の保存的置換、8個の保存的置換、9個の保存的置換、10個以下の保存的置換、15個以下の保存的置換、20個以下の保存的置換、25個以下の保存的置換、30個以下の保存的置換、35個以下の保存的置換、40個以下の保存的置換、45個以下の保存的置換、あるいは50個以下の保存的置換だけ異なるAFP機能的フラグメントを含む。
一部の態様において、AFP機能的フラグメントは、天然AFP分子の配列または所望の生物学的活性を有するAFPのドメインもしくはその部分と比べて、1個以下の非保存的置換、2個以下の非保存的置換、3個以下の非保存的置換、4個以下の非保存的置換、5個以下の非保存的置換、6個以下の非保存的置換、7個以下の非保存的置換、8個以下の非保存的置換、9個以下の非保存的置換、10個以下の非保存的置換、15個以下の非保存的置換だけ異なる。
アミノ酸は、それらの側鎖の特性の類似性に従ってグループ分けすることができる(A. L. Lehninger, in Biochemistry, second ed., pp. 73-75, Worth Publishers, New York (1975)):(1)非極性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M);(2)非荷電極性:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q);(3)酸性:Asp(D)、Glu(E);(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)。あるいは、天然残基は、共通の側鎖特性に基づいてグループに分けることができる:(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;(3)酸性:Asp、Glu;(4)塩基性:His、Lys、Arg;(5)鎖の配向に影響する残基:Gly、Pro;(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスに交換することを必要とする。
好ましい保存的置換は以下のとおりである:AlaからGlyまたはSerへ;ArgからLysへ;AsnからGlnまたはHisへ;AspからGluへ;CysからSerへ;GlnからAsnへ;GluからAspへ;Glyから AlaまたはProへ;HisからAsnまたは Glnへ;IleからLeuまたはValへ;LeuからIleまたはValへ;LysからArg、Gln、またはGluへ;MetからLeu、Tyr、または Ileへ;Pheから Met、Leu、または Tyrへ;SerからThrへ;ThrからSerへ;TrpからTyrへ;TyrからTrpへ;および/またはPheからVal、Ile、またはLeuへ。
本明細書において記載する組成物、方法、および使用において使用するためのAFP-FcRn増強剤は、当技術分野において公知の方法、例えばタンパク質−タンパク質結合アッセイ、生化学的スクリーニングアッセイ、イムノアッセイ、および細胞ベースのアッセイなどを用いて同定または特徴付けすることができ、これらは、当技術分野において周知であり、例えば本明細書において実施例中に記載されているものである。
本明細書において記載する方法および使用の臨床的使用のために、AFP-FcRn阻害剤またはAFP-FcRn増強剤を含む組成物の投与は、非経口投与、例えば、静脈内;粘膜、例えば、鼻腔内;眼内、または他の投与様式のための薬学的組成物または薬学的製剤への製剤化を含むことができる。一部の態様において、本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤またはAFP-FcRn増強剤は、対象において有効な処置をもたらす任意の薬学的に許容される担体化合物、材料、または組成物と共に投与することができる。このように、本明細書において記載する方法における使用のための薬学的製剤は、1つまたは複数の薬学的に許容される成分と組み合わせた、本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤またはAFP-FcRn増強剤を含むことができる。
語句「薬学的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症もなく、合理的なリスク/ベネフィット比に相当する、ヒトおよび動物の組織との接触における使用に適切な化合物、物質、組成物、および/または投与形態を指す。本明細書において使用する語句「薬学的に許容される担体」は、薬学的に許容される材料、組成物、または媒質、例えば液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、媒体、カプセル化材料、製造助剤(例えば、滑沢剤、タルクマグネシウム、ステアリン酸カルシウムもしくはステアリン酸亜鉛、またはステアリン酸)、または溶媒封入材料(AFP-FcRn阻害剤もしくはAFP-FcRn増強剤の安定性、溶解性、もしくは活性を維持することに関与する)を意味する。各々の担体は、製剤の他の成分と適合し、患者に有害でないという意味で「許容可能」でなければならない。薬学的に許容される担体としての役割を果たすことができる材料の一部の例は、以下を含む:(1)糖、例えば、乳糖、グルコース、およびスクロース;(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;(3)セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロース、および酢酸セルロース;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)賦形剤、例えば、カカオバターおよび坐薬ワックス;(8)油、例えばピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および大豆油;(9)グリコール、例えば、プロピレングリコール;(10)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール(PEG);(11)エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(12)寒天;(13)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(14)アルギン酸;(15)発熱物質を含まない水;(16)等張性生理食塩水;(17)リンゲル液;(19)pH緩衝溶液;(20)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物;(21)増量剤、例えば、ポリペプチドおよびアミノ酸;(22)血清成分、例えば、血清アルブミン、HDL、およびLDL;(23)C2-C12アルコール、例えば、エタノール;および(24)薬学的製剤中で用いられる他の非毒性適合物質。放出剤、コーティング剤、保存剤、および抗酸化剤も製剤中に存在することができる。用語、例えば「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容される担体」などは、本明細書において互換的に使用される。
本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤またはAFP-FcRn増強剤は、特に対象への化合物の投与のために、固体、液体、またはゲル形態に製剤化することができ、以下のために適合されるものを含む:(1)非経口投与、例えば、滅菌溶液もしくは懸濁液、または徐放性製剤としての皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射、または硬膜外注射による; (2)局所適用、例えば、クリーム、軟膏、または徐放パッチもしくはスプレーとして皮膚に適用される;(3)膣内または直腸内、例えば、ペッサリー、クリーム、またはフォームとして;(4)眼内;(5)経皮的; (6)経粘膜的;または(7)経鼻。加えて、AFP-FcRn阻害剤またはAFP-FcRn増強剤は、薬物送達システムを使用して患者に埋入することができる、または注射することができる。例えば、Urquhart, et al., Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 24: 199-236 (1984);Lewis, ed. "Controlled Release of Pesticides and Pharmaceuticals" (Plenum Press, New York, 1981);米国特許第3,773,919号;および米国特許第35 3,270,960号を参照のこと。
本明細書において記載する方法において使用することができるAFP-FcRn阻害剤またはAFP-FcRn増強剤を含む組成物の製剤および投与様式のさらなる態様を以下に記載する。
非経口投与形態。AFP-FcRn阻害剤またはAFP-FcRn増強剤の非経口投与形態は、また、種々の経路により対象に投与することもでき、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内、および動脈内を含むが、これらに限定されない。非経口投与形態の投与は、典型的には、混入物に対する患者の自然防御を回避するため、非経口投与形態は、好ましくは、無菌的である、または患者への投与前に滅菌することが可能である。非経口投与形態の例は、注射用の溶液、薬学的に許容される注射用媒質中に溶解または懸濁する準備済の乾燥製品、注射用準備済の懸濁液、徐放性非経口投与形態、および乳剤を含むが、これらに限定されない。
本開示の非経口投与形態を提供するために使用することができる適切な媒質は、当業者に周知である。例は、滅菌水;注射用水USP;生理食塩水;グルコース溶液;水性媒質、例えば、非限定的に、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、デキストロース注射、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射、ならびに乳酸リンゲル注射;水混和性媒質、例えば、非限定的に、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコール;および非水性媒質、例えば、非限定的に、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安息香酸ベンジルを含むが、これらに限定されない。
エアロゾル製剤。AFP-FcRn阻害剤またはAFP-FcRn増強剤は、適切な噴霧剤、例えば、従来のアジュバントを含むプロパン、ブタン、またはイソブタンなどの炭化水素噴霧剤と一緒に加圧エアロゾル容器中に包装することができる。本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤またはAFP-FcRn増強剤は、また、非加圧形態、例えば、ネブライザーまたは噴霧器で投与することができる。本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤またはAFP-FcRn増強剤は、例えば、吸入器の使用により、乾燥粉末の形態で気道に直接的に投与することもできる。
適切な粉末組成物は、例証として、ラクトース、または気管支内投与のために許容可能な他の不活性粉末と十分に混合した、本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤またはAFP-FcRn増強剤の粉末調製物を含む。粉末組成物は、エアロゾルディスペンサーを介して投与されることができる、または、破砕可能なカプセル内に封入されることができ、このカプセルを対象が穿刺して粉末を吸入に適した定常流中に吹き出す装置中に挿入することができる。この組成物は、噴射剤、界面活性剤、および共溶媒を含むことができ、適切な計量バルブにより閉じられた従来のエアロゾル容器中に充填することができる。
気道への送達のためのエアロゾルは、当技術分野において公知である。例えば、Adjei, A. and Garren, J. Pharm. Res., 1: 565-569 (1990);Zanen, P. and Lamm, J.-W. J. Int. J. Pharm., 114: 111-115 (1995);Gonda, I. "Aerosols for delivery of therapeutic and diagnostic agents to the respiratory tract," in Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 6:273-313 (1990);Anderson et al., Am. Rev. Respir. Dis., 140: 1317-1324 (1989)) and have potential for the systemic delivery of peptides and proteins as well (Patton and Platz, Advanced Drug Delivery Reviews, 8:179-196 (1992));Timsina et. al., Int. J. Pharm., 101: 1-13 (1995);およびTansey, I. P., Spray Technol. Market, 4:26-29 (1994);French, D. L., Edwards, D. A. and Niven, R. W., Aerosol Sci., 27: 769-783 (1996);Visser, J., Powder Technology 58: 1-10 (1989));Rudt, S. and R. H. Muller, J. Controlled Release, 22: 263-272 (1992);Tabata, Y, and Y. Ikada, Biomed. Mater. Res., 22: 837-858 (1988);Wall, D. A., Drug Delivery, 2: 10 1-20 1995);Patton, J. and Platz, R., Adv. Drug Del. Rev., 8: 179-196 (1992);Bryon, P., Adv. Drug. Del. Rev., 5: 107-132 (1990);Patton, J. S., et al., Controlled Release, 28: 15 79-85 (1994);Damms, B. and Bains, W., Nature Biotechnology (1996);Niven, R. W., et al., Pharm. Res., 12(9); 1343-1349 (1995);およびKobayashi, S., et al., Pharm. Res., 13(1): 80-83 (1996)を参照のこと。これらの全ての内容は、参照によりその全体が本明細書において組み入れられる。
本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤またはAFP-FcRn増強剤の製剤は、開示する化合物を活性成分として含む無水薬学的組成物および投与形態をさらに包含する。なぜなら、水が一部の化合物の分解を促進することができるためである。例えば、水の添加(例えば、5%)は、例えば製剤の保存寿命または安定性のような特徴を経時的に決定するために、長期保存をシミュレートする手段として製薬業界において広く受け入れられている。例えば、Jens T. Carstensen, Drug Stability: Principles & Practice, 379-80(2nd ed., Marcel Dekker, NY, N.Y.: 1995)を参照のこと。本開示の無水薬学的組成物および投与形態は、無水または低水分含有成分および低水分または低湿度条件を使用して調製することができる。ラクトースと、第1級または第2級アミンを含む少なくとも1つの活性成分とを含む薬学的組成物および投与形態は、製造、包装、および/または保存の間に水分および/または湿気との実質的な接触が予想される場合、好ましくは無水である。無水組成物は、好ましくは、適切な処方キット中に含めることができるように、水への曝露を防止することが公知である材料を使用して包装する。適切な包装の例は、密封ホイル、プラスチック、乾燥剤を含むまたは含まない単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、およびストリップパックを含むが、これらに限定されない。
制御放出および遅延放出投与形態。本明細書において記載する局面の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤またはAFP-FcRn増強剤は、制御放出または遅延放出手段により対象に投与することができる。理想的には、医学的処置における最適に設計された制御放出調製物の使用は、最小限の時間で状態を治癒または制御するために用いられる最小量の薬物物質により特徴付けられる。制御放出製剤の利点は、以下を含む:1)薬物の長期活性;2)投与頻度の低下;3)患者のコンプライアンスの増加;4)より少ない全薬物の使用;5)局所的または全身的な副作用の低下;6)薬物蓄積の最小化;7)血中レベル変動の低下;8)処置の有効性における改善;9)薬物活性の増強の低下または喪失;および10)疾患または状態の制御速度における改善(Kim, Cherng-ju, Controlled Release Dosage Form Design, 2 (Technomic Publishing, Lancaster, Pa.: 2000))。制御放出製剤を使用し、処方(I)の化合物の作用開始、作用の持続時間、治療ウィンドウ内の血漿レベル、およびピーク血中レベルを制御することができる。特に、薬物の不十分な投与(すなわち、最小限の治療レベルを下回る)および薬物の毒性レベルを超えることの両方から生じる可能性がある潜在的な副作用および安全性の懸念を最小限に抑えながら、制御放出または持続放出の投薬形態または製剤を使用してAFP-FcRn阻害剤またはAFP-FcRn増強剤の最大有効性が達成されることを確実にすることができる。
種々の公知の制御放出または持続放出の投与形態、製剤、およびデバイスを、本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤またはAFP-FcRn増強剤との使用のために適合させることができる。例は、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;第4,008,719号;第5674,533号;第5,059,595号;第5,591,767号;第5,120,548号;第5,073,543号;第5,639,476号;第5,354,556号;第5,733,566号;および第6,365,185 B1号を含むが、これらに限定されない。これらの各々は、参照によりその全体が本明細書において組み入れられる。これらの投与形態を使用し、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透システム(例えば、OROS(登録商標)(Alza Corporation, Mountain View, Calif. USA))、多層コーティング、微粒子、リポソーム、もしくはミクロスフェア、またはこれらの組み合わせを使用した、活性成分の1つまたは複数の徐放または制御放出を提供して、所望の放出プロフィールを種々の割合で提供することができる。加えて、イオン交換材料を使用し、開示する化合物の固定された吸着塩形態を調製することができ、このように、薬物の制御送達をもたらすことができる。特定の陰イオン交換体の例は、DUOLITE(登録商標)A568およびDUOLITE(登録商標)AP143(Rohm&Haas, Spring House, Pa. USA)を含むが、これらに限定されない。
本明細書において記載する方法の一部の態様において、本明細書において記載する方法における使用のためのAFP-FcRn阻害剤またはAFP-FcRn増強剤は、持続放出によりまたはパルス中で対象に投与される。パルス治療は、同じ量の組成物を経時的に不連続投与する形態ではなく、低減された頻度での組成物の同じ用量の投与または低減した用量の投与を含む。持続放出またはパルス投与は、障害が対象において連続的に生じる場合、例えば、対象がウイルス感染の症状の持続または慢性症状を有する場合に特に好まれる。各々のパルス用量を低下させることができ、対象または患者への処置過程にわたり投与される、本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤またはAFP-FcRn増強剤の総量を最小限にする。
パルス間の間隔は、必要な場合、当業者により決定されることができる。多くの場合、パルス間の間隔は、組成物または組成物の活性成分が、次のパルスの送達前に対象においてもはや検出できなくなった際、組成物の別の用量を投与することにより算出することができる。組成物のインビボ半減期から間隔を算出することもできる。間隔は、インビボ半減期よりも大きく、または組成半減期の2倍、3倍、4倍、5倍、さらに10倍大きいとして算出することができる。患者への注入または他の形態の送達により組成物をパルスするための種々の方法および装置が、米国特許第4,747,825号;第4,723,958号;第4,948,592号;第4,965,251号、および第5,403,590号において開示されている。
処置の方法ならびにAFP-FcRn阻害剤および増強剤の使用
本明細書において実証するように、アルファ−フェトプロテイン(AFP)は、新生児Fc受容体に対する第3のリガンドであり、可溶性ヒトFcRnは、アルブミンで観察される親和性より大きく、IgGの親和性よりも小さい親和性でAFPに結合する。本明細書においてさらに示すように、FcRn上のAFP結合部位は、FcRnのアルブミンおよびIgG結合活性に干渉し、hFcRn上のアルブミン部位について特異的な抗体は、FcRn媒介性AFP輸送を減少させることができる。本明細書において実証するように、AFPへのFcRnの結合は、典型的には酸性pH条件下で結合するIgGおよびアルブミンについて観察されるものよりずっと広いpH範囲にわたり生じる。加えて、本明細書において提供するのは、AFPとヒトFcRnとの結合に影響を及ぼすことができるAFP中の単一ヌクレオチド多型、例えば、AFP-FcRn結合を増加させるG109R、R487S、およびS445LならびにAFP-FcRnを減少させるT451IおよびD536Vである。
したがって、本明細書において提供するのは、一部の局面において、AFPレベルの上昇が免疫抑制に関連している疾患または障害においてFcRnとAFPとの相互作用を阻害または低下させるための方法であって、AFP-FcRn阻害剤を含む薬学的組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、AFP-FcRn結合を低下させる、野生型AFPのT451Iおよび/またはD536V多型を含む。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、Y521および/またはV522と、FcRnのR42との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、AFPのP492と、FcRnのR69との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、AFPのQ441および/またはV493と、FcRnのE44との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、AFPのH534および/またはE589と、FcRnのN173との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、AFPの疎水性コアと、FcRnとの結合を阻害する。一部のそのような態様において、AFP-FcRn阻害剤は、AFPのL484、V493、V497、および/またはF512と、FcRnのV57、W59、および/またはW61との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、AFPのT443と、FcRnのE62および/またはW59との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、AFPのD529と、FcRnのS230との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、AFPのS527および/またはD528と、FcRnと複合体化したβ2mのE50および/または67Yとの結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、AFPのR604と、FcRnと複合体化したβ2mのE50でのカルボニル酸素との結合を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、AFPのQ597と、FcRnと複合体化したβ2mのE69との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、AFPのE106と、FcRnのH161との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、AFPのS135と、FcRnのH161との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn阻害剤は、AFPのF531、F533、F552、および/またはF575と、FcRnのW53との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFPレベルの上昇に関連している疾患または障害を有する対象は、がんを有する、またはがんと診断されている。
「転移」とは、その原発部位から身体の他の場所へのがんの拡散を意味する。がん細胞は、原発腫瘍から壊れて、リンパ管および血管に浸透し、血流を通じて循環し、身体の他の場所の正常組織中の遠隔病巣において増殖する(転移する)可能性がある。転移は局所的または遠隔的である可能性がある。転移は、逐次的なプロセスであり、腫瘍細胞が原発腫瘍から離脱し、血流を通って移動し、離れた場所で停止することに左右される。新たな部位では、細胞は血液供給を確立し、増殖して、生命を脅かす塊を形成する可能性がある。腫瘍細胞内の刺激性および阻害性の両方の分子経路がこの挙動を調節し、遠隔部位における腫瘍細胞と宿主細胞との相互作用も重要である。
転移は、特定の症状のモニタリングに加えて、磁気共鳴イメージング(MRI)スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、血液および血小板数、肝機能試験、胸部X線、および骨スキャンの単独または組み合わせの使用を通じて最も頻繁に検出される。
がんの例は、がん腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病を含むが、これらに限定されない。そのようながんのより具体的な例は、基底細胞がん、胆道がん;膀胱がん;骨がん;脳およびCNSがん;乳がん;腹膜のがん;子宮頸がん;胆管がん;絨毛がん;結腸および直腸がん;結合組織がん;消化器系のがん;子宮内膜がん;食道がん;目のがん;頭頸部のがん;胃がん(胃腸がんを含む);グリア芽腫;肝がん(hepatic carcinoma);肝細胞がん(hepatoma);上皮内新生物;腎臓がんまたは腎臓がん;喉頭がん;白血病;肝臓がん;肺がん(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、および肺の扁平上皮がん);ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫;メラノーマ;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔がん(例えば、口唇、舌、口、および咽頭);卵巣がん;膵臓がん;前立腺がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸がん;呼吸器系のがん;唾液腺がん;肉腫;皮膚がん;扁平上皮細胞がん;胃がん;奇形がん;精巣がん;甲状腺がん;子宮または子宮内膜がん;泌尿器系のがん;外陰部がん;ならびに他のがん腫および肉腫;ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球(SL)NHL;中等度/濾胞性NHL;中等度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度の小型非切断細胞NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫; AIDS関連リンパ腫;およびワルデンストレームのマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ球性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);毛状細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;移植後リンパ増殖性障害(PTLD);ならびに肉腫症、浮腫に関連している異常な血管増殖(例えば、脳腫瘍に関連しているもの)、原始起源の腫瘍、およびメイグス症候群を含むが、これらに限定されない。
本明細書において記載するこれらの方法および全てのそのような方法の一部の態様において、AFPレベルの上昇に関連している疾患または障害を有する対象は、原始起源のがんまたは腫瘍、肝臓由来の腫瘍(例えば、肝臓がんなど)、胆管由来の腫瘍(例えば、胆管がん)、胃がん、膵臓がん、または奇形がんを有する、またはそれと診断されている。
本明細書において記載するこれらの方法および全てのそのような方法の一部の態様において、この方法は、本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤に加えて、抗がん治療または抗がん剤を対象に投与することをさらに含む。
用語「抗がん治療」は、がんを処置する際に有用な治療を指す。抗がん治療剤の例は、例えば、手術、化学療法剤、成長阻害剤、細胞傷害剤、放射線治療において使用される剤、抗血管新生剤、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、およびがんを処置するための他の剤、例えば抗HER-2抗体(例えば、HERCEPTIN(登録商標))、抗CD20抗体、上皮成長因子受容体(EGFR)アンタゴニスト(例えば、チロシンキナーゼ阻害剤)、HER1/EGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、血小板由来成長因子阻害剤(例えば、GLEEVEC(商標)(メシル酸イマチニブ))、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ)、インターフェロン、サイトカイン、以下の標的PD1、PDL1、PDL2、TIM3または任意のTIMファミリーメンバー、CEACAM1または任意のCEACAMファミリーメンバー、ErbB2、ErbB3、ErbB4、PDGFR-ベータ、BlyS、APRIL、BCMA、またはVEGF受容体の1つまたは複数に結合するアンタゴニスト(例えば、中和抗体)、TRAIL/Apo2、ならびに他の生物活性剤および有機化学剤などを含むが、これらに限定されない。それらの組み合わせも、本明細書において記載する方法のために具体的に熟慮される。
一部の態様において、抗がん治療は免疫療法(例えば、養子細胞移動)を含む。本明細書において使用する「養子細胞転移」は、キメラ抗原受容体(CAR)と呼ばれるその表面上の特別な受容体を産生するための、対象または患者自身のT細胞を遺伝子操作することを含む免疫療法を含む。CARは、T細胞が腫瘍細胞上の特定のタンパク質(抗原)を認識することを可能にするタンパク質である。これらの操作されたCAR T細胞を、次に、数十億になるまで実験室において増殖させる。CAR T細胞の増殖集団を次に患者に注入する。注入後、T細胞を対象の身体内で増殖させ、それらの操作された受容体の誘導により、その表面上の抗原を保有するがん細胞を認識し、死滅させる。
本明細書において使用する用語「細胞傷害剤」は、細胞の機能を阻害もしくは防止する、および/または細胞の破壊を起こす物質を指す。この用語は放射性同位元素(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、およびLuの放射性同位元素)、化学療法剤、および毒素、例えば、細菌、真菌、植物、もしくは動物由来の、活性フラグメントおよび/またはそのフラグメントを含む、小分子毒素または酵素的に活性な毒素を含むことを意図する。
本明細書において記載するこれらの方法および全てのそのような方法の一部の態様において、本方法は、本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤が投与される対象に化学療法剤を投与することをさらに含む。
化学療法剤の非限定的な例は、アルキル化剤(例えば、チオテパおよびCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド);アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン、インプロパスルファン、およびピポスルファン);アジリジン(例えば、ベンゾジオパ、カルボボロン、メトレドパ、およびウレドーパ);アルトレトアミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロールメラミンを含むエチレンイミンおよびメチルアメラミン;アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリースタチン; CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189およびCB1-TM1を含む);エレウテロビン;パンクチャティスタチン;サルコジチイン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニミスチン、トロポスファミド、ウラシルマスタードなど;ニトロソ尿素、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチン;抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えば、カリチアマイシン、特にカリチアマイシンガンマ1IおよびカリチアマイシンオメガI1(例えば、Agnew, Chem. Intl. Ed. Engl., 33: 183-186 (1994)を参照のこと);ダイネミシン(ダイネミシンAを含む);ビスホスホネート(例えば、クロドロネート);エスペラミシン;ならびにネオカルチノスタチン発色団および関連色素タンパク質エンジイン系抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルフォリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、およびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗物質、例えばメトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体(例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート);プリン類似体(例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン);ピリミジン類似体(例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン);アンドロゲン(例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン);抗副腎剤(例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン);葉酸補充剤(例えばフミン酸);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルミチン;エリプチニウム酢酸塩;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイン;メイタンシノイド(例えばメイタンシンおよびアンサマイトシン);ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロゾキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)ポリサッカライド複合体(JHS Natural Products, Eugene, Oreg.);レゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクノン;2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラクリンA、ロリジンA、およびアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド(例えば、TAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)、パクリタキセルのABRAXANE(登録商標)Cremophor不含アルブミン加工ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, Ill);およびTAXOTERE(登録商標)ドセタキセル(doxetaxel)(Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;GEMZAR(登録商標)ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体(例えばシスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチン);ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ナベルビン(NAVELBINE)、ビノレルビン;ノヴァントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロン酸塩;イリノテカン(Camptosar、CPT-11)(5-FUおよびロイコボリンを含むイリノテカンの処置レジメンを含む);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド(例えばレチノイン酸など);カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコボリン(LV);オキサリプラチン(オキサリプラチン処置レジメン(FOLFOX)を含む);ラパチニブ(TYKERB);細胞増殖を減少させる阻害剤のPKC-アルファ、Raf、H-Ras、EGFR(例えば、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、およびVEGF-A、および薬学的に許容される塩、上記のいずれかの酸または誘導体を含むことができる。加えて、処置の方法は、放射線または放射線治療の使用をさらに含むことができる。
本明細書において使用するように、用語「化学療法」または「化学療法剤」は、異常な細胞増殖により特徴付けられる疾患の処置における治療有用性を有する任意の化学物質を指す。そのような疾患は、腫瘍、新生物、およびがんならびに過形成性成長により特徴付けられる疾患を含む。本明細書において使用する化学療法剤は、化学剤および生物剤の両方を包含する。これらの剤は、がん細胞が生存の継続のために依存する細胞活性を阻害するように機能する。化学療法剤のカテゴリーは、アルキル化/アルカロイド剤、代謝拮抗剤、ホルモンまたはホルモン類似体、および様々な抗腫瘍薬を含む。これらの剤の全てではないが、その大半ががん細胞に対して直接的な毒性があり、免疫刺激を必要としない。一態様において、化学療法剤は、固形腫瘍のような新生物を処置する際に使用される剤である。一態様において、化学療法剤は放射性分子である。当業者は、使用する化学療法剤を容易に特定することができる(例えば、Physicians' Cancer Chemotherapy Drug Manual 2014, Edward Chu, Vincent T. DeVita Jr., Jones & Bartlett Learning; Principles of Cancer Therapy, Chapter 85 in Harrison's Principles of Internal Medicine, 18th edition; Therapeutic Targeting of Cancer Cells: Era of Molecularly Targeted Agents and Cancer Pharmacology, Chs. 28-29 in Abeloff's Clinical Oncology, 2013 Elsevier; Baltzer L, Berkery R (eds): Oncology Pocket Guide to Chemotherapy, 2nd ed. St. Louis, Mosby-Year Book, 1995; Fischer D S (ed): The Cancer Chemotherapy Handbook, 4th ed. St. Louis, Mosby-Year Book, 2003)を参照のこと)。
「放射線治療」とは、正常に機能する細胞の能力を制限するために、または細胞を完全に破壊するために、細胞に十分な損傷を誘導するための指向性ガンマ線またはベータ線の使用を意味する。当技術分野において、処置の投与量および期間を決定するための多くの方法が公知であることが理解されるであろう。典型的な処置は1回投与として与えられ、典型的な投与量は1日当たり10〜200単位(グレイ)の範囲である。
これらの方法および本明細書において記載する全てのそのような方法の一部の態様において、本方法は、本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤が投与される対象に腫瘍抗原またはがん抗原を投与することをさらに含む。
特定のがんに関連している多くの腫瘍抗原が同定されている。本明細書において使用するように、用語「腫瘍抗原」および「がん抗原」は互換的に使用され、がん細胞により差次的に発現されることによってがん細胞を標的とするために利用されることができる抗原を指す。がん抗原は、潜在的に明らかに腫瘍特異的免疫応答を刺激することができる抗原である。これらの抗原の一部は、正常細胞によりコードされるが、必ずしも発現されるわけではない。これらの抗原は、正常細胞において通常はサイレントである(すなわち、発現されない)もの、分化の特定の段階でのみ発現されるもの、ならびに胚性抗原および胎児抗原のように一時的に発現されるものとして特徴付けることができる。他のがん抗原は、変異細胞遺伝子、例えばがん遺伝子(例えば、活性化rasがん遺伝子)、サプレッサー遺伝子(例えば、変異p53)、および内部欠失または染色体転座からもたらされる融合タンパク質によりコードされる。さらに他のがん抗原は、ウイルス遺伝子、例えばRNAおよびDNA腫瘍ウイルスで保有されるものなどによりコードされることができる。多くの腫瘍抗原は、複数の固形腫瘍の観点から定義されている:免疫により定義されるMAGE 1、2、および3;MART-1/Melan-A、gp100、がん胎児性抗原(CEA)、HER-2、ムチン(すなわち、MUC-1)、前立腺特異抗原(PSA)、および前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)。加えて、ウイルスタンパク質、例えばB型肝炎(HBV)、エプスタイン−バール(EBV)、およびヒトパピローマ(HPV)は、それぞれ、肝細胞がん、リンパ腫、および子宮頸がんの発生において重要であることが示されている。しかし、がんと診断された患者の免疫抑制のため、これらの患者の免疫系は、しばしば腫瘍抗原に応答しない。
本明細書において記載するがん処置方法の観点から「低下する」または「阻害する」とは、所与のパラメーターまたは症状について、好ましくは20%以上、30%以上、40%以上、45%以上、より好ましくは50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、最も好ましくは75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、あるいは95%以上の全体的な減少を起こす能力を意味する。低下するまたは阻害するとは、例えば、処置されている障害の症状、転移または微小転移の存在または大きさ、原発腫瘍の大きさ、休眠腫瘍の存在または大きさなどを指すことができる。
本明細書において使用するように、「がんまたは腫瘍の症状を緩和する」は、がんに関連する任意の状態または症状、例えば、処置されているがんの症状、転移または微小転移の存在または大きさ、原発腫瘍の大きさ、休眠腫瘍の存在または大きさなどを寛解することである。AFP-FcRn阻害剤の投与前の対象のような同等の未処置対照と比較して、そのような低下または防止の程度は、当業者に公知の任意の標準的技術により測定された場合、少なくとも5%、10%、20%、40%、50%、60%、80%、90%、95% またはそれ以上である。がんまたは腫瘍のために処置されている患者または対象は、医師がそのような状態を有すると診断した患者または対象である。診断は、適切な手段によることができる。
また、本明細書において提供するのは、一部の局面において、AFPレベルの減少に関連している疾患または障害において、あるいは、AFPレベルの増加が有益である場合に、FcRnとAFPとの相互作用を増加または増強するための方法であって、それを必要とする対象にAFP-FcRn増強剤を含む薬学的組成物の治療有効量を投与することを含む、方法である。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFP-FcRn結合を増加させる、野生型AFPのG109R、R487S、および/またはS445L多型を含む。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのY521および/またはV522と、FcRnのR42との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのP492と、FcRnのR69との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのQ441および/またはV493と、FcRnのE44との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのH534および/またはE589と、FcRnのN173との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPの疎水性コアと、FcRnとの結合を強化する。一部のそのような態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのL484、V493、V497、および/またはF512と、FcRnのV57、W59、および/またはW61との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのT443と、FcRnのE62および/またはW59との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのD529と、FcRnのS230との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのS527および/またはD528と、FcRnと複合体化したβ2mのE50および/または67Yとの結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのR604と、FcRnと複合体化したβ2mのE50でのカルボニル酸素との結合を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、AFPのQ597と、FcRnと複合体化したβ2mのE69との結合および/または相互作用を強化する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのE106と、FcRnのH161との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのS135と、FcRnのH161との結合および/または相互作用を阻害する。
これらの局面および本明細書において記載する全てのそのような局面の一部の態様において、AFP-FcRnの阻害剤は、AFPのF531、F533、F552、および/またはF575と、FcRnのW53との結合および/または相互作用を阻害する。
本明細書において記載する組成物、方法、および使用の一部の態様において、AFP-FcRn増強剤は、FcRnに結合したAFPと選択的に結合するかまたは物理的に相互作用して、AFPとFcRnとの相互作用を強化する、ならびに/あるいはアルブミンおよび/またはIgGへのFcRn結合を遮断するが、FcRnへのAFPの結合を可能にし、それにより、AFPの経細胞輸送の増加、免疫複合体で初回刺激された樹状細胞によるT細胞刺激の阻害の増加、免疫応答のAFP媒介性阻害の増加、および/またはAFPの血清中半減期の増加をもたらす抗体またはその抗原結合フラグメントである。
これらの方法および本明細書において記載する全てのそのような方法の一部の態様において、AFPレベルの増加またはAFPとFcRnとの相互作用もしくは結合の増加を必要とする対象は、妊娠している対象である。
これらの方法および本明細書に記載された全てのそのような方法の一部の態様において、AFPレベルの増加またはAFPとFcRnとの相互作用もしくは結合の増加を必要とする対象は、妊娠の確立および/または維持に関する問題を有するリスクのある対象である。
一部の態様において、本明細書において記載するAFP-FcRn増強剤を含む薬学的組成物を対象に投与する前に、対象はまず:胎盤機能不全(例えば、Lepercq and Mahieu-Caputo, 1998, Horm. Res. 49(suppl 2):14-19を参照のこと);妊娠前の特定の母体体重および/または身長(例えば、非満期妊娠のリスクがあると特定される);妊娠中の低い体重増加;非満期妊娠の母体の病歴(例えば、自然流産、死産、新生児死亡、および/または早発分娩);低出生体重を有する過去の出生児;妊娠を危険にさらす特定の母体活動(例えば、喫煙、アルコールおよび/または薬物使用、ならびに/あるいは栄養不足);早期子宮内感染;母体の医学的疾患;多胎妊娠;妊娠中に生じる合併症の病歴、または新たに経験する合併症;ならびに/あるいは、妊娠を確立するおよび/または健康な妊娠の維持についての一般的な願望の1つまたは複数を持つ対象と同定される。
これらの方法および本明細書において記載する全てのそのような方法の一部の態様において、AFPレベルの増加またはAFPとFcRnとの相互作用もしくは結合の増加を必要とする対象は、自己免疫疾患または自己免疫障害を有するか、またはそれと診断されている。
本明細書において記載する方法は、一部の局面において、自己免疫疾患のための処置との関連において用いることができる。
したがって、これらの方法および本明細書において記載する全てのそのような方法の一部の態様において、本明細書において記載する方法を使用して処置または予防される自己免疫疾患は、リウマチ性関節炎、クローン病または大腸炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性脳脊髄炎、重症筋無力症(MG)、橋本甲状腺炎、グッドパスチャー症候群、天疱瘡(例えば、尋常性天疱瘡)、グレーブス病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、抗コラーゲン抗体による強皮症、混合結合組織疾患、多発性筋炎、悪性貧血、特発性アジソン病、自己免疫関連不妊症、糸球体腎炎(例えば、三日月状糸球体腎炎、増殖性糸球体腎炎)、水疱性類天疱瘡、シェーグレン症候群、インスリン抵抗性、および自己免疫性真性糖尿病(1型真性糖尿病、インスリン依存性真性糖尿病)を含むが、これらに限定されない。自己免疫疾患は、また、アテローム性動脈硬化症およびアルツハイマー病を包含すると認識されている。本明細書において記載する局面の一部の態様において、自己免疫疾患は、多発性硬化症、I型糖尿病、橋本甲状腺炎、クローン病または大腸炎、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、胃炎、自己免疫性肝炎、溶血性貧血、自己免疫性血友病、自己免疫性リンパ増殖性症候群(ALPS)、自己免疫性ブドウ膜炎、糸球体腎炎、ギラン・バレー症候群、乾癬、および重症筋無力症からなる群より選択される。
これらの方法および本明細書において記載する全てのそのような方法の一部の態様において、AFPレベルの増加またはAFPとFcRnとの相互作用もしくは結合の増加を必要とする対象は、宿主対移植片疾患(HVGD)を有する、またはそれと診断されている。さらなるそのような態様において、本明細書において記載する方法で処置されている対象は、臓器または組織移植レシピエントである。一部の態様において、この方法は、対象における移植寛容を増加させるために使用される。一部のそのような態様において、対象は同種異系間移植のレシピエントである。
移植は、心臓、腎臓、肝臓、皮膚、膵臓、骨髄、皮膚、または軟骨を含むが、これらに限定されない、任意の臓器または組織移植であることができる。本明細書において使用する「移植寛容」は、レシピエントの免疫系によるドナー臓器の拒絶の欠如を指す。
本明細書において使用するように、本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤または増強剤を含む組成物、方法、および使用のいずれかに関して、用語「処置する」、「処置」、「処置する」、または「寛解」は治療的処置を指し、それにおいて、目的は、疾患または障害に関連している状態の進行または重症度を逆転させる、緩和させる、寛解させる、阻害する、遅くする、または停止させることである。用語「処置する」は、疾患または障害の少なくとも1つの有害作用または症状を低下または緩和することを含む。処置は、一般的に、1つまたは複数の症状または臨床マーカーが低下される場合に「有効」である。あるいは、処置は、疾患の進行が低下または停止した場合に「有効」である。すなわち、「処置」は、症状またはマーカーの改善だけでなく、処置の非存在下で予想される症状の進行または悪化の少なくとも緩徐化の中断も含まれる。有益なまたは望ましい臨床結果は、1つまたは複数の症状の緩和、疾患の範囲の縮小、疾患の安定化(すなわち、悪化しない)、疾患進行の遅延または緩徐化、疾患状態の寛解または緩和、および、検出可能であるかどうかにかかわらず緩解(部分的または全体的であるかにかかわらず)を含むが、これらに限定されない。疾患の用語「処置」は、また、疾患の症状または副作用からの解放(緩和処置を含む)を提供することを含む。
本明細書において記載する方法のいずれかに関して使用される用語「対象」、「患者」、および「個体」は、本明細書において互換的に使用され、動物、例えば本明細書において記載する阻害剤のヒトレシピエントを指す。特定の動物(例えばヒト対象など)について特異的な疾患状態の処置について、用語「対象」は、その特定の動物を指す。用語「非ヒト動物」および「非ヒト哺乳動物」は、本明細書において互換的に使用され、哺乳動物(例えばラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、および非ヒト霊長類)を含む。用語「対象」は、また、任意の脊椎動物(哺乳動物、爬虫類、両生類、および魚を含むが、これらに限定されない)を包含する。しかし、有利には、対象は、哺乳動物(例えばヒト)、または他の哺乳動物(例えば家畜哺乳動物など(例えば、イヌ、ネコ、ウマなど))である。生産哺乳動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタなど)も用語「対象」に包含される。
本明細書において使用する用語「有効量」は、処置されている疾患または障害の少なくとも1つまたは複数の症状を緩和するために必要とされる、本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤または増強剤の量を指し、所望の効果を提供するため、例えば、血清AFPレベルを増加または減少させるための薬理学的組成物の十分な量に関する。用語「治療有効量」は、したがって、本明細書において開示する方法を使用した、本明細書において記載する阻害剤または増強剤の量を指し、それは、典型的な対象に投与した場合に特定の効果を提供するために十分である。本明細書において使用する有効量は、また、疾患の症状の発生を遅延させる、症候性疾患の経過を変える(例えば、非限定的に、疾患の症状の進行を遅らせる)、または病気の症状を逆転させるために十分な量を含む。このように、正確な「有効量」を特定することは可能ではない。しかし、任意の所与の症例について、適当な「有効量」は、通常の実験だけを使用して当業者により決定されることができる。
有効量、毒性、および治療有効性を、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順により決定することができる。投与量は、用いる投与形態および利用する投与経路に依存して変動することができる。毒性作用と治療効果との間の用量比が治療指標であり、比率LD50/ED50として表すことができる。大きい治療指数を示す組成物、方法、および使用が好ましい。治療的に有効な用量は、細胞培養アッセイから最初に推定することができる。また、用量を動物モデルにおいて処方して、細胞培養においてまたは適当な動物モデルにおいて決定されるように、IC50(これは測定された機能または活性の半最大阻害を達成する)を含む循環血漿濃度範囲を達成することができる。血漿中レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。任意の特定の投与量の効果は、適切なバイオアッセイによりモニターすることができる。投与量は、医師が決定し、必要に応じて、処置の観察された効果に適合するように調節されることができる。
本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤または増強剤は、対象において有効な処置をもたらす任意の適当な経路により、それを必要とする対象に投与することができる。本明細書において使用するように、用語「投与する」および「導入する」は互換的に使用され、所望の効果を生み出すように腫瘍部位または炎症部位のような所望の部位でそのような剤の少なくとも部分的な局在をもたらす方法または経路による対象中へのAFP-FcRn阻害剤または増強剤の配置を指す。
一部の態様において、本明細書において記載するAFP-FcRn阻害剤または増強剤は、剤を全身的または所望の表面もしくは標的に送達する任意の投与様式により対象に投与することができ、注射、注入、点滴、および吸入投与を含むことができるが、これらに限定されない。ポリペプチド剤が消化管における不活性化から保護されることができる範囲で、経口投与形態もまた熟慮される。「注射」は、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、脳室内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下腔、脊髄内、脊髄内腔、ならびに胸骨内の注射および注入を含むが、これらに限定されない。
本明細書において使用する語句「非経口投与」および「非経口投与」は、通常は注射による経腸および局所投与以外の投与経路を指す。本明細書において使用する語句「全身投与」、「全身投与される」、「末梢投与」、および「末梢投与される」は、それが対象の循環系に入り、それにより代謝および他の同様のプロセスを受けるような、標的部位、組織、または臓器中への直接以外の、AFP-FcRn阻害剤または増強剤の投与を指す。
先の記載および以下の実施例は、例証的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないと理解される。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示された態様に対する種々の変更および修正を行ってもよく、それらは当業者には明らかであろう。さらに、特定されたすべての特許、特許出願、および刊行物は、例えば、本発明に関連して使用されうるそのような刊行物に記載された方法論を記載および開示する目的で、参照により本明細書に明示的に組み入れられる。これらの刊行物は、本出願の出願日前でのそれらの開示のみのために提供される。この点に関して、本発明者らは、先行する発明のために、または任意の他の理由のために、そのような開示よりも先行する資格がないという承認として解釈すべきではない。これらの文書の内容に関する日付または表現に関する全ての記載は、申請者に入手可能な情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確性についての任意の承認を構成しない。
特定された全ての特許および他の刊行物は、例えば、本発明に関連して使用されることもできるそのような刊行物に記載される方法論を記載および開示する目的で、参照により本明細書において明示的に組み入れられる。これらの刊行物は、本出願の出願日前でのそれらの開示のみのために提供される。この点に関して、本発明者らは、先行する発明のために、または任意の他の理由のために、そのような開示よりも先行する資格がないという承認として解釈すべきではない。これらの文書の内容に関する日付または表現に関する全ての記載は、申請者に入手可能な情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確性についての任意の承認を構成しない。
本明細書において開示する局面の例示的な態様は、以下の番号が付与された項の1つまたは複数により記載することができる:
A.
アルファ−フェトプロテイン(AFP)とFcRnとの結合を阻害する、AFP-FcRnの阻害剤;および
薬学的に許容される担体
を含む、薬学的組成物。
B.
AFP-FcRnの阻害剤が、野生型AFPのT451Iおよび/またはD536V多型を含む、項Aに記載の薬学的組成物。
C.
AFP-FcRnの阻害剤が、AFPのY521および/またはV522と、FcRnのR42との結合を阻害する、項A〜Bのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
D.
AFP-FcRnの阻害剤が、AFPのP492と、FcRnのR69との結合を阻害する、項A〜Cのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
E.
AFP-FcRnの阻害剤が、AFPのQ441および/またはV493と、FcRnのE44との結合を阻害する、項A〜Dのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
F.
AFP-FcRnの阻害剤が、AFPのH534および/またはE589と、FcRnのN173との結合を阻害する、項A〜Eのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
G.
AFP-FcRnの阻害剤が、AFPの疎水性コアと、FcRnとの結合を阻害する、項A〜Fのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
H.
AFP-FcRnの阻害剤が、AFPのL484、V493、V497、および/またはF512と、FcRnのV57、W59、および/またはW61との結合を阻害する、項A〜Gのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
I.
AFP-FcRnの阻害剤が、AFPのT443と、FcRnのE62および/またはW59との結合を阻害する、項A〜Hのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
J.
AFP-FcRnの阻害剤が、AFPのD529と、FcRnのS230との結合を阻害する、項A〜Iのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
K.
AFP-FcRnの阻害剤が、AFPのS527および/またはD528と、FcRnと複合体化したβ2mのE50および/または67Yとの結合を阻害する、項A〜Jのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
L.
AFP-FcRnの阻害剤が、AFPのR604と、FcRnと複合体化したβ2mのE50でのカルボニル酸素との結合を阻害する、項A〜Kのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
M.
AFP-FcRnの阻害剤が、AFPのQ597と、FcRnと複合体化したβ2mのE69との結合を阻害する、項A〜Lのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
N.
AFP-FcRnの阻害剤が、AFPのE106と、FcRnのH161との結合を阻害する、項A〜Mのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
O.
AFP-FcRnの阻害剤が、AFPのS135と、FcRnのH161との結合を阻害する、項A〜Nのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
P.
AFP-FcRnの阻害剤が、AFPのF531、F533、F552、および/またはF575と、FcRnのW53との結合を阻害する、項A〜Oのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
Q.
AFP-FcRnの阻害剤が、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、小分子化合物、またはRNAもしくはDNAアプタマーである、項A〜Pのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
R.
抗体またはその抗原結合フラグメントが、キメラ抗体、ヒト化抗体、または完全ヒト抗体もしくはその抗原結合フラグメントである、項Qに記載の薬学的組成物。
S.
AFP-FcRnの阻害剤が、FcRn上のAFP結合部位を阻害または遮断する、項A〜Rのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
T.
AFP-FcRn増強剤および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
U.
AFP-FcRn増強剤が、
AFP-FcRn結合を増加させる、野生型アルファ−フェトプロテイン(AFP)のG109R、R487S、および/またはS445L多型
を含む、項Tに記載の薬学的組成物。
V.
AFP-FcRn増強剤が、AFPのY521および/またはV522と、FcRnのR42との結合を強化する、項T〜Uのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
W.
AFP-FcRn増強剤が、AFPのP492と、FcRnのR69との結合を強化する、項T〜Vのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
X.
AFP-FcRn増強剤が、AFPのQ441および/またはV493と、FcRnのE44との結合を強化する、項T〜Wのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
Y.
AFP-FcRn増強剤が、AFPのH534および/またはE589と、FcRnのN173との結合を強化する、項T〜Xのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
Z.
AFP-FcRn増強剤が、AFPの疎水性コアと、FcRnとの結合を強化する、項T〜Yのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
AA.
AFP-FcRn増強剤が、AFPのL484、V493、V497、および/またはF512と、FcRnのV57、W59、および/またはW61との結合を強化する、項T〜Zのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
BB.
AFP-FcRn増強剤が、AFPのT443と、FcRnのE62および/またはW59との結合を強化する、項T〜AAのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
CC.
AFP-FcRn増強剤が、AFPのD529と、FcRnのS230との結合を増強する、項T〜BBのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
DD.
AFP-FcRn増強剤が、AFPのS527および/またはD528と、FcRnと複合化したβ2mのE50および/または67Yとの結合を強化する、項T〜CCのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
EE.
AFP-FcRn増強剤が、AFPのR604と、FcRnと複合体化したE50 β2mでのカルボニル酸素との結合を強化する、項T〜DDのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
FF.
AFP-FcRn増強剤が、AFPのQ597と、FcRnと複合体化したβ2mのE69との結合を強化する、項T〜EEのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
GG.
AFP-FcRn増強剤が、AFPのE106と、FcRnのH161との結合を強化する、項T〜FFのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
HH.
AFP-FcRn増強剤が、AFPのS135と、FcRnのH161との結合を強化する、項T〜GGのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
II.
AFP-FcRn増強剤が、AFPの531、F533、F552、および/またはF575と、FcRnのW53との結合を強化する、項T〜HHのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
JJ.
AFP-FcRn増強剤が、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、小分子化合物、RNAもしくはDNAアプタマー、またはAFP機能的フラグメントである、項T〜IIのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
KK.
抗体またはその抗原結合フラグメントが、キメラ抗体、ヒト化抗体、または完全ヒト抗体もしくはその抗原結合フラグメントである、項JJに記載の薬学的組成物。
LL.
AFP-FcRn増強剤がFcRnに結合し、AFP結合を模倣する、項T〜KKのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
MM.
AFP-FcRn増強剤がAFPまたはFcRnと結合するかまたは物理的に相互作用して、AFPとFcRnとの相互作用を強化または促進する、項T〜LLのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
NN.
AFP機能的フラグメントが、AFPのY521および/またはV522を含み、かつFcRnのR42と相互作用することができる、項MMに記載の薬学的組成物。
OO.
AFP機能的フラグメントが、AFPのP492を含み、かつFcRnのR69と相互作用することができる、項JJまたはNNのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
PP.
AFP機能的フラグメントが、AFPのQ441および/またはV493を含み、かつFcRnのE44と相互作用することができる、項JJまたはNN〜OOのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
QQ.
AFP機能的フラグメントが、AFPのH534および/またはE589を含み、かつFcRnのN173と相互作用することができる、項JJまたはNN〜PPのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
RR.
AFP機能的フラグメントが、AFPのL484、V493、V497、および/またはF512を含み、かつFcRnのV57、W59、および/またはW61と相互作用することができる、項JJまたはNN〜QQのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
SS.
AFP機能的フラグメントが、AFPのT443を含み、かつFcRnのE62および/またはW59と相互作用することができる、項JJまたはNN〜RRのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
TT.
AFP機能的フラグメントが、AFPのD529を含み、かつFcRnのS230と相互作用することができる、項JJまたはNN〜SSのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
UU.
AFP機能的フラグメントが、AFPのS527および/またはD528を含み、かつFcRnと複合体化したβ2mのE50および/または67Yと相互作用することができる、項JJまたはNN〜TTのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
VV.
AFP機能的フラグメントが、AFPのR604を含み、かつFcRnと複合体化したβ2mのE50でのカルボニル酸素と相互作用することができる、項JJまたはNN〜UUのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
WW.
AFP機能的フラグメントが、AFPのQ597を含み、かつFcRnと複合体化したβ2mのE69と相互作用することができる、項JJまたはNN〜VVのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
XX.
AFP機能的フラグメントが、AFPのE106を含み、かつFcRnのH161と相互作用することができる、項JJまたはNN〜WWのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
YY.
AFP機能的フラグメントが、AFPのS135を含み、かつFcRnのH161と相互作用することができる、項JJまたはNN〜XXのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
ZZ.
AFP機能的フラグメントが、AFPのF531、F533、F552、および/またはF575を含み、かつFcRnのW53と相互作用することができる、項JJまたはNN〜YYのいずれか一項に記載の薬学的組成物。
AAA.
AFPレベル上昇に関連している疾患または障害における、FcRnとアルファ−フェトプロテイン(AFP)との相互作用を阻害するまたは低下させるための方法であって、それを必要とする対象に項A〜Sのいずれか一項に記載のAFP-FcRn阻害剤を含む薬学的組成物の治療有効量を投与する段階を含む、方法。
BBB.
対象ががんを有する、またはがんと診断されている、項AAAに記載の方法。
CCC.
対象が、原始起源のがんもしくは腫瘍、肝臓由来の腫瘍、例えば肝臓がん、胆管由来の腫瘍、例えば胆管がん、胃がん、膵臓がん、または奇形がんを有する、またはそれと診断されている、項AAAまたはBBBのいずれか一項に記載の方法。
DDD.
抗がん治療剤または抗がん剤を対象に投与する段階をさらに含む、項AAA〜CCCのいずれか一項に記載の方法。
EEE.
腫瘍抗原またはがん抗原を投与する段階をさらに含む、項AAA〜DDDのいずれか一項に記載の方法。
FFF.
AFPレベルの減少に関連している疾患または障害において、あるいは、AFPレベルの増加が有益である場合に、FcRnとアルファ−フェトプロテイン(AFP)との相互作用を増加または増強する方法であって、それを必要とする対象に項T〜ZZのいずれか一項に記載のAFP-FcRn増強剤を含む薬学的組成物の治療有効量を投与する段階を含む、方法。
GGG.
前記必要とする対象が、妊娠している、または妊娠を確立するおよび/もしくは維持することに問題を有するリスクがある、項FFFに記載の方法。
HHH.
対象が、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を有する、またはそれと診断されている、項FFFに記載の方法。
III.
対象が、宿主対移植片病(HVGD)を有するもしくはそれと診断されている、臓器もしくは組織移植レシピエントである、または同種移植のレシピエントである、項FFFに記載の方法。
hAFP経細胞輸送アッセイは、IgGについて以前に記載したとおりに実施した。簡単には、hβ2mおよびhFcRn、またはmβ2mおよびmFcRn、または(hβ2mだけを発現する)ベクター対照を発現するMDCK II細胞を、トランスウェル(Costar)上でコンフルエンスまで増殖させ、4日間にわたり極性化させた。経細胞輸送実験の12時間前に、培地を、抗生物質を含まない無血清培地に交換した。実験の日に、インプットチャンバーにAFP HBSS(pH6.0または7.4)を含有し(有し)出口チャンバーにHBSS(pH 7.4)を含有する、新たな12ウェルプレート(Costar)上に置く前に、トランスウェルをHBSS(pH7.4)を用いて20分間インキュベートした。マウス抗ヒトFcRn抗体(ADM31)またはアイソタイプ対照(IgG2b)でAFP経細胞輸送を遮断するために、トランスウェルをHBSS pH7.4中のそれぞれの抗体と20分間プレインキュベートした後、AFPをチャンバーの同じ側に添加した。36℃および5% CO2で2時間インキュベートした後、反対側のチャンバーの培地を採取し、hAFP濃度を、ELISA法を用いて測定した。IgG経細胞輸送のAFP阻害のために、AFPおよびIgGの両方をHBSS(pH6)中でインプットチャンバーに添加し、2時間後に逆側のチャンバーの培地を採取し、ELISA法を用いてIgGを定量した。
インビトロ交差提示アッセイは、事前に形成させた免疫複合体(0.5μg/ml NIP結合OVA + 100μg/ml抗NIP IgGまたは抗NIP IHH-IgG)を用いて、1×105個の単離DCを2〜3時間パルスすることにより行い、よく洗浄し、2×105個の精製OT-I CD8+ T細胞を添加した。交差提示アッセイは、2×105個の精製OT-II CD4+ T細胞を別個に利用して、それにしたがって行った。状態により、DCを、ADM31またはIgG2bアイソタイプ対照(75または100μg/ml)の存在または非存在下で、hAFP(50または100μg/ml)またはHSA(50または100μg/ml)と共にプレインキュベートした。免疫複合体を、ハプテンNIP(4-ヒドロキシ-3-ヨード-5-ニトロフェニル酢酸)に結合させたオボアルブミンおよびNIP特異的キメラIgG(IgG)またはIHH-IgGを使用して形成した。IHH-IgGは、NIP特異的マウスFabフラグメントおよびヒトIgG1 Fcフラグメントを含有し、かつFc領域中の、FcRnライゲーションに必要な領域である3つの重要なアミノ酸において変異が導入されたためにFcRn結合ができなくなったキメラIgGタンパク質の変異型変異体である。サイトカイン分泌は、24時間または48時間後にELISAにより測定した。増殖の測定のために、OT-1 CD8+ T細胞をeFluor670増殖色素で製造者の指示(eBioscience)に従って染色し、上に記載するように刺激した。
hAFP投与の効果がある時のhIgGのインビボクリアランスを強化するために、hFCGRT/hB2M/mFcgrt-/-マウスにhIgG(100μg/マウス)を、および、翌日にhAFP(100μg/マウス)を腹腔内注射した。24、48、および72時間後に血液サンプルを採取し、hIgGの量をELISAにより定量し、0日目と比較した。
表面プラズモン共鳴は、組換えヒトFcRn&hβ2mヘテロ二量体タンパク質またはマウスFcRn&mβ2m(1000RU)とカップリングさせたCM5センサーチップを用いて、Biacore 3000装置(GE Healthcare)を使用して行った。カップリングは、アミンカップリングキット(GE Healthcare)を使用して、10mM酢酸ナトリウム(pH5.0)中で希釈した25μg/mlのタンパク質を注入することにより実施した。pH6.0またはpH7.4のリン酸緩衝液(67mMリン酸緩衝液、0.15M NaCl、0.005%Tween 20)を泳動緩衝液として使用した。グリシンpH2.5をフローセルの再生のために使用した。hAFP(SinoBiological)を25℃で、25μl/分の流速で注入し、データを、BIAevaluation 4.1ソフトウェアを使用して分析した。ここで、センサーグラムはゼロ調整され、参照細胞値を差し引いた。
図1は、ヒトAFP(hAFP)が、酸性および中性pHでヒトFcRn(hFcRn)により経細胞輸送されることを実証する。FcRnおよびβ2ミクログロブリン(hFcRn /β2m)を同時発現する、またはベクター対照のMDCK II細胞による、pH6および7.4でのAFPの経細胞輸送。B→A:側底から頂側方向、A→B:頂側から側底方向。
図2は、hAFPが、マウスFcRnにより経細胞輸送されることを実証する。マウスFcRnおよびβ2ミクログロブリン(mFcRn /mβ2m)を同時発現する、またはベクター対照のMDCK II細胞による、pH 7.4でのAFPの経細胞輸送。B→A:側底から頂側方向、A→B:頂側から側底方向。
図3は、hFcRnによるhAFP経細胞輸送が、ADM31抗体により遮断されることを実証する。抗ヒトFcRn抗体(ADM31)またはアイソタイプ対照(IgG2b)の存在下で、hFcRn/hβ2m(mFcRn/mβ2m)を同時発現する、またはベクター対照のMDCK II細胞による、pH7.4でのAFPの経細胞輸送。B→A:側底から頂側方向。
図4は、AFPが、FcRn媒介性のIgGの経細胞輸送を妨害することを実証する。pH7.4で、hAFPまたは(対照としての)ヒト血清アルブミン(HSA)と予めインキュベートした、hFcRn/hβ2mを同時発現する、またはベクター対照のMDCK II細胞による、pH6でのヒトIgGの経細胞輸送。側底から頂側方向が示されている。
図5は、AFPが、中性pHでヒトFcRnおよびマウスFcRnに結合することを実証する。中性pHでのhFcRn(左パネル)またはmFcRn(右パネル)へのhAFP結合のSPR分析。
図6は、AFPが、酸性pHでhFcRnに結合することを実証する。pH6でのhFcRnへのhAFP結合のSPR分析。
図7は、AFPが、IgG-ICで初回刺激されたDCによるT細胞刺激を阻害することを実証する。IgG-IC中の抗原に応答したCD8+(OT-I、左パネル)またはCD4+(OT-II、右パネル)T細胞の増殖(IL-2分泌)を、hAFPは遮断する。hFCGRT/hB2M/mFcgrt-/-マウスからのBMDCを、100μg/mlのhAFPの存在下で、0、0.5、1、または5μg/mlのOVAとともに、100μg/mlのIgGまたはIHH-IgGで処理し、次にOVA特異的CD8+またはCD4+ T細胞のいずれかと同時培養した。刺激後24に上清中のIL-2分泌をELISAにより測定した。
図8は、ADM31が、AFP-FcRn媒介性阻害機能を遮断することを実証する。ADM31モノクローナル-抗hFcRn抗体は、IgG-IC中の抗原に応答したCD8+ T細胞のIL-2分泌のhAFP阻害を、遮断する。hFCGRT/hB2M/mFcgrt-/-マウスからのBMDCを、50μg/mlのhAFPまたはHSAおよび50μg/mlのADM31またはアイソタイプ対照の存在下で、0.5μg/mlのOVAとともに、100μg/mlのIgGまたはIHH-IgGで処理し、次にOVA特異的CD8+ T細胞と同時培養した。刺激後24に上清中のIL-2分泌をELISAにより測定した。
図9は、ADM31が、AFP-FcRn媒介性阻害機能を遮断することを実証する。ADM31は、IgG-IC中の抗原に応答したCD8+ T細胞増殖のhAFP阻害を、遮断する。hFCGRT/hB2M/mFcgrt-/-マウスからのBMDCを、50μg/mlのhAFPまたはHSAおよび50μg/mlのADM31またはIgG2bアイソタイプ対照の存在下で、0.5μg/mlのOVAとともに、100μg/mlのIgGまたはIHH-IgGで処理し、次にeFluor670増殖色素で標識したCD8+ T細胞と同時培養した。72時間後、細胞を得た。増殖細胞の割合を表示する。
図10は、hAFPの投与が、全身循環からのhIgG抗体のクリアランス増加をもたらすことを実証する。hFCGRT/hB2M/mFcgrt-/-マウスにhIgGを、翌日にhAFPを注射した。24、48、および72時間後に血液サンプルを採取し、hIgGの量をELISAにより定量し、0日目と比較した。この結果は、AFP注射が、循環からのhIgGのより速いクリアランスをもたらしたことを例証する。
図11は、HSA結晶構造(PDB ID:4N0F)に由来するAFPホモロジーモデルを示す。
図12は、FcRn-HSA-IgGの3次元複合体結晶構造(PDB ID:4N0U)上のAFPモデルの重ね合わせを描写する。
図13は、HSA Y497/V498残基がAFP(Y521/V522)中で保存され、FcRnR42と相互作用することを描写する。FcRnへの結合を確立するドメインIIIのHSA/AFP保存残基。
図14は、HSA P468残基がAFP(P492)中で保存され、FcRn R69と相互作用することを実証する。FcRnへの結合を確立するドメインIII中のHSA/AFP保存残基。
図15は、HSA Q417/V469残基がAFP(Q441/V493)中で保存され、FcRn E44と相互作用することを実証する。FcRn AFPへの結合を確立するドメインIIIのHSA/AFP保存残基。HSA V469/AFPV493は、保存されたHSA H464/AFP H488と骨格接触を作る。
図16は、HSA H510/E565残基がAFP(H534/E589)中で保存され、FcRn N173と相互作用することを実証する。ドメインIII中のHSA/AFP保存残基は、FcRnへの結合を確立する。
図17は、HSA L460/V469/V473/F488を中心とする疎水性コアがAFP(L484/V493/V497/F512)において保存され、FcRn V57/W59/W61と相互作用することを実証する。ドメインIII中のHSA/AFP保存残基はFcRnへの結合を確立する。
図18は、HSA S419残基がAFP(T443)中で保存されていないが、FcRn E62/W59と相互作用することができることを実証する。ドメインIII中のHSA/AFP非保存残基は、FcRnへのAFP結合を保存する。
図19は、AFP(D529)中のHSA E505非保存残基がFcRn S230への結合を保存していることを実証する。ドメインIII中のHSA/AFP非保存残基は、FcRnへのAFP結合を保存する。
図20は、AFP S527/D528残基が、HSA(N503、A504)中に存在しないβ2mE50および67Yと接触し、新たな相互作用を提供することを実証する。β2mとの新たな接触を通じてFcRnへのAFP結合を増加させるHSA/AFP非保存残基は、pHに依存しない。
図21は、AFP R604がβ2mE50との追加接触を作り、新たな相互作用を提供することを実証する。HSA/AFP非保存残基は、β2mへのAFP結合を増加させる。HSA Q580は、これらの相互作用を欠く。
図22は、AFP Q597残基が、β2mE69との接触を作るようにより良好に位置付けられ、より強い相互作用を提供することを実証する。HSA/AFP非保存残基は、新たな増加したAFP-β2m相互作用を確立する。HSA K573はこれらの相互作用を欠く。
図23は、AFP(E106)保存残基(HSA E82を有する)がFcRn H161との長距離相互作用を作ることを実証する。ドメインI中の保存されたHSA/AFP残基は、FcRnと相互作用する。
図24は、AFP S135がAFP界面をFcRnに近づけることを可能にし、HSA中に存在しないFcRn H161と約3Åの相互作用を作ることを実証する。AFPドメインI-FcRn相互作用は、中性pH結合を示唆する。HSA/AFP中の近くの保存されたプロリンは、界面において同じ空間を占める。
図25は、FcRn W53を中心とするAFP(F531/F533/F552/F575)のより大きな疎水性コアを実証する:AFP F552は、HSA A528よりも強いAFP-FcRn相互作用をもたらす。AFP-FcRn相互作用は、中性pH結合を示す。AFP(F531/F533/F552/F575)対HSA(F507/F509/A528/F551)。
(表1)AFPとFCRNとの相互作用の要約
Figure 0006792454

Claims (7)

  1. アルファ−フェトプロテイン(AFP)とFcRnとの結合を阻害する、抗FcRn抗体またはその抗原結合フラグメント;および
    薬学的に許容される担体
    を含む、AFPレベルの上昇に関連しているがんを有する、またはがんと診断されている対象における、FcRnとアルファ−フェトプロテイン(AFP)との相互作用を阻害するまたは低下させることに使用するための薬学的組成物。
  2. 抗FcRn抗体またはその抗原結合フラグメントが、FcRn上のAFP結合部位を阻害または遮断する、請求項1に記載の薬学的組成物。
  3. 抗FcRn抗体またはその抗原結合フラグメントが、キメラ抗体、ヒト化抗体、または完全ヒト抗体もしくはその抗原結合フラグメントである、請求項1または2に記載の薬学的組成物。
  4. 抗FcRn抗体またはその抗原結合フラグメントが、以下においてAFPとFcRnとの間の結合を阻害する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の薬学的組成物;
    (a) AFPのY521および/またはV522と、FcRnのR42、
    (b) AFPのP492と、FcRnのR69、
    (c) AFPのQ441および/またはV493と、FcRnのE44、
    (d) AFPのH534および/またはE589と、FcRnのN173、
    (e) AFPの疎水性コアと、FcRn、
    (f) AFPのL484、V493、V497、および/またはF512と、FcRnのV57、W59、および/またはW61、
    (g) AFPのT443と、FcRnのE62および/またはW59、
    (h) AFPのD529と、FcRnのS230、
    (i) AFPのS527および/またはD528と、FcRnと複合体化したβ2mのE50および/または67Y、
    (j) AFPのR604と、FcRnと複合体化したβ2mのE50でのカルボニル酸素、
    (k) AFPのQ597と、FcRnと複合体化したβ2mのE69、
    (l) AFPのE106と、FcRnのH161、
    (m) AFPのS135と、FcRnのH161、および/または
    (n) AFPのF531、F533、F552、および/またはF575と、FcRnのW53。
  5. 原始起源のがんもしくは腫瘍、肝臓由来の腫瘍、例えば肝臓がん、胆管由来の腫瘍、例えば胆管がん、胃がん、膵臓がん、または奇形がんを有する、またはそれと診断されている対象に投与するための、請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  6. 抗がん治療剤または抗がん剤とともに対象に投与するための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  7. 腫瘍抗原またはがん抗原とともに投与するための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
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