JP6791714B2 - 移動式クレーン用フック装置及びこれを備えた移動式クレーン - Google Patents
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Description
この回転駆動式揚重フック装置は、遠隔操作可能な回転駆動装置を備え、揚重用フックを遠隔操作によって回転可能に構成されたものである。
特に、移動式クレーンは、地下トンネル工事などで使用されることが多々あり、移動式クレーンを設置した地表から地下数十メートルまでフックを降下させることが出来るため、少しの操作ミスによって衝突が容易に発生する。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、回転駆動機構の耐衝突性を向上することが可能な移動式クレーン用フック装置及びこれを備えた移動式クレーンを提供することを第1の目的としている。
第1実施形態に係る第1のフック装置6Aは、図1〜図4に示すように、第1シーブ15Aと、第2シーブ15Bと、フック16と、第1のシーブカバー30Aと、第2のシーブカバー30Bとを備えている。更に、フック支持軸を兼ねる第1シーブ軸31と、抜止板32と、フック抜止34と、一対のブラケット36と、一対の取付部材37と、2つのガイドローラ38とを備えている。
この第1のフック装置6Aは、図1(a)及び(b)に示すように、クレーン1Aの備えるブーム5の先端部から、ワイヤロープ14によって吊り下げられている。
第1のシーブカバー30Aは、ブーム5の先端を正面視して正面(前方)側に設けられ、第2のシーブカバー30Bは、ブーム5の先端を正面視して第1のシーブカバー30Aと対向して背面(後方)側に設けられている。また、第1及び第2のシーブカバー30A及び30Bは、正面視で、上部が台形状で下部が半円状に形成されている。
フック16は、第1シーブ軸31の中軸部31aに設けられた貫通孔31cにフック軸16aを下側から上側に向かって挿通させて、中軸部31aの上部にてスラスト軸受39を介して第1シーブ軸31の回動軸線と直交する軸を中心として回転自在に取り付けられている。フック抜止34は、フック16の上端側に取り付けられており、フック16の第1シーブ軸31からの抜け落ちを防止している。
第1のフック装置6Aは、更に、図1〜図4に示すように、電動モータ40と、バッテリ41と、遠隔制御装置42と、減速機44と、取付部材45と、バッテリ取付部材46と、第1の自稼発電機47Aと、第2の自稼発電機47Bと、防水カバー48とを備えている。
この取付部材45は、第1シーブ軸31の中軸部31aの上面の、第2の貫通孔45bが第1シーブ軸31の貫通孔31cと同心となる位置に重ねて設けられている。加えて、自身の長手方向が第1シーブ軸31の回転軸線かつフック軸16aの回転軸線と直交する向きに設けられている。取付部材45は、この状態で、第1の貫通孔45aの全体を含む一部分が、第1シーブ軸31の中軸部31aから第1及び第2シーブ15A及び15Bに挟まれた空間内に向かって突出するように構成されている。加えて、この突出部分の長さは、取付部材45の全体が第1及び第2のシーブカバー30A及び30Bに挟まれた空間内に収まる長さに構成されている。
従って、例えば、第1及び第2のシーブカバー30A及び30Bとして既存のものを流用した場合に、第1及び第2のシーブカバー30A及び30Bのサイズや形状、内側の空間の大きさ等に合わせて、上記構成を満足するサイズ及び形状の電動モータを既存のものから選択するか、又は作製する。
従って、例えば、第1及び第2のシーブカバー30A及び30Bとして既存のものを流用した場合に、第1及び第2のシーブカバー30A及び30Bのサイズや形状、内側の空間の大きさ等に合わせて、上記構成を満足するサイズ及び形状のバッテリを既存のものから選択するか、又は作製する。
従って、遠隔制御装置42についても、例えば、第1及び第2のシーブカバー30A及び30Bとして既存のものを流用した場合に、第1及び第2のシーブカバー30A及び30Bのサイズや形状、内側の空間の大きさ等に合わせて、上記構成を満足するサイズ及び形状に設計する。
また、上記構成によって、電動モータ40、バッテリ41及び遠隔制御装置42は、第1シーブ軸31を中心に、電動モータ40の質量と、バッテリ41及び遠隔制御装置42の合計質量とがバランスする(釣り合う)位置関係に配置される。
第1平歯車44aと第2平歯車44bとは、互いの歯の一部が噛み合わされている。そして、電動モータ40の発生する回転駆動力によってモータ軸40aが回転すると、これと同期して第1平歯車44aが回転する。第1平歯車44aが回転すると、第2平歯車44bが予め設計された減速比に応じた回転速度で回転する。第2平歯車44bが回転すると、これと同期してフック軸16aが回転する。
一方、第1及び第2の自稼発電機47A及び47Bは、同一構成の発電機から構成されており、例えば、振動等の外力を受けて自稼発電するものである。第1及び第2の自稼発電機47A及び47Bによって自稼発電された電力はバッテリ41の充電電力として利用される。また、第1実施形態では、第1及び第2の自稼発電機47A及び47Bとして、リニア発電機を採用している。
第1の自稼発電機47Aは、第1及び第2のシーブカバー30A及び30Bの上部台形状の左側傾斜部に、該傾斜部と直交する姿勢で前後方向に掛け渡されて取り付けられている。また、第2の自稼発電機47Bは、第2のシーブカバー30Bの上部台形部分の表面に第1シーブ軸31と前後方向に直交する姿勢で取り付けられている。
以上説明した、電動モータ40、バッテリ41、遠隔制御装置42及び減速機44は、第1のフック装置6Aの回転駆動機構を構成する。
図5に示すように、フック遠隔操作機100は、フック回転スイッチ101と、送信機102とを備えている。
フック回転スイッチ101は、作業者のスイッチ操作に応じてフック16をその操作内容に応じた方向に同操作内容に応じた回転量だけ回転させるための回転指示情報を生成し、生成した回転指示情報を送信機102に出力する。
一方、遠隔制御装置42は、受信機42aと、制御装置42bとを備えている。
受信機42aは、フック遠隔操作機100から無線送信された遠隔操作信号を受信し、受信した遠隔操作信号を復調して回転指示情報を抽出する。そして、抽出した回転指示情報を制御装置42bに出力する。
制御装置42bは、受信機42aから入力された回転指示情報に基づき、この指示情報に応じた回転方向に同指示情報に応じた回転量だけフック16を回転させるためのモータ駆動信号を生成する。そして、生成したモータ駆動信号を電動モータ40に出力する。
一方、電動モータ40は、そのモータ軸40aが、減速機44を介してフック軸16aと機械的に接続されている。
これにより、電動モータ40が回転駆動し、この回転駆動力が減速機44を介してフック軸16aに伝達されフック16がフック軸16aを中心に回転する。
以下、第1及び第2の自稼発電機47A及び47Bを、区別する必要が無いときに「自稼発電機47」と記載する場合がある。
自稼発電機47は、図6に示すように、略円筒状のケース47aを備え、このケース47aの内側の空間は、仕切部47bによって、2つの空間S1及びS2に分かれている。ケース47aの空間S1側には、その長手方向の中央位置に、内周面に沿って周方向に巻線が巻かれた構成のコイル47cがケース47aの内壁に形成された窪み部分に固定配置されている。加えて、空間S1内には、その長手方向にS極とN極とが配された円柱状の磁石47dがコイル47cの内側を通って空間S1内を進退自在に設けられている。更に、仕切部47bの空間S1側の面と、この面と対向するケース47aの内側端面とには、これらの面と垂直方向(即ち、磁石47dの進退方向)の弾性力を生じるバネ47eが設けられている。このバネ47eに磁石47dが衝突することで、バネ47eが収縮しその復元力によって衝突時とは逆方向の力を磁石47dに付与する。この構成によって、磁石47dの進退方向の往復動を容易としている。
また、バネ47eには、磁石47dが衝突する力を直接ケース47a及び仕切部47bに伝達させない、クッションとしての役目もあり、破損防止としての役目もある。
一方、仕切部47bには、コイル47cの巻線開始端と巻線終了端とからそれぞれ伸びる2本の配線47fを空間S2側に通すための貫通穴47gが設けられている。加えて、空間S2内には、整流回路47hと、充電回路47iとが配設されている。
整流回路47hは、全波整流回路(図示略)を備えており、配線47fを介して入力される交流電力を、全波整流回路において全波整流して、直流電力に変換する。そして、この直流電力を、充電回路47iに出力する。
充電回路47iは、平滑コンデンサ(図示略)を備えており、入力された直流電力を平滑化する。そして、平滑化後の直流電力を、電気ケーブル47jを介してバッテリ41に供給する。
なお、充電回路47i、整流回路47hは、第1の自稼発電機47Aおよび第2の自稼発電機47B内に共に組み込まれた構造として示しているが、この構造に限らず、制御装置42b内に組み込む構造としても良い。
また、第1実施形態に係るクレーン1Aは、非作業時や移動時に第1のフック装置6Aを格納する機能を有している。更に、クレーン1Aは、車両搭載型のクレーンである。
この固定状態では、図7(b)に示すように、第1の自稼発電機47Aの長手方向(磁石の進退方向)が鉛直方向(クレーンの上下方向)を向いた姿勢となる。一方、第2の自稼発電機47Bは、図8に示すように、その長手方向がブーム5の長手方向と直交する方向(クレーンの左右方向)を向いた姿勢となる。
フック格納状態では、例えば、走行中にトラック13が上下方向の振動を受けることで、第1の自稼発電機47Aの磁石47dがコイル47cとの相対移動方向の力を受けてケース47aの空間S1内をコイル47cの内側を通過しつつ上下方向に進退移動する。これにより、第1の自稼発電機47Aでは、電磁誘導による誘導起電力が発生し発電する。一方、トラック13が左右方向の振動を受けることで、第2の自稼発電機47Bの磁石47dがコイル47cとの相対移動方向の力を受けてケース47aの空間S1内をコイル47cの内側を通過しつつ左右方向に進退移動する。これにより、第2の自稼発電機47Bでは、電磁誘導による誘導起電力が発生し発電する。これら発電した電力は、バッテリ41に充電される。
ここで、第1シーブ軸31がシーブ軸に対応し、第1及び第2シーブ15A及び15Bが複数のシーブに対応し、第1及び第2のシーブカバー30A及び30Bが2つのシーブカバーに対応する。
また、減速機44が伝達部材に対応し、取付部材45が取付部材に対応し、第1の貫通孔45aが挿通部に対応し、モータ軸40aがモータ回転軸に対応する。
(1)第1実施形態に係る第1のフック装置6Aは、第1シーブ軸31の軸方向の一端側及び他端側に回転自在に取り付けられた、ワイヤロープ14が掛回される第1及び第2シーブ15A及び15Bを備える。加えて、第1シーブ軸31の軸方向の一端及び他端に回転自在に嵌合された第1及び第2のシーブカバー30A及び30Bと、第1シーブ軸31の回転軸線と直交する軸回りに回転自在に設けられたフック16とを備える。更に、遠隔操作信号の受信に応じてフック16がフック軸16aの軸回りに回転駆動する回転駆動機構とを備える。回転駆動機構は、電動モータ40と、遠隔操作信号の受信機42aと、受信機42aで受信した遠隔操作信号に基づき電動モータ40を駆動制御する制御装置42bと、電動モータ40、受信機42a及び制御装置42bに電力を供給するバッテリ41と、電動モータ40の回転駆動力をフック16に伝達する減速機44とを備える。そして、上記回転駆動機構は、その全体が、第1及び第2のシーブカバー30A及び30Bに挟まれた空間内に収容されている。
この構成であれば、第1シーブ軸31の横側にブラケット等の取付部材を介して電動モータを取り付ける従来の構成と比較して、電動モータ40が第1シーブ軸31の中軸部31aに極めて近接するよう配置されるため、第1及び第2のシーブカバー30A及び30Bに挟まれた空間内への電動モータの左右方向の収容性を向上することが可能となる。即ち、取付部材の左右方向への出っ張り分が無くなるので、その分だけ左右方向のスペースを確保することが可能となる。
この構成であれば、第1及び第2のシーブカバー30A及び30Bに挟まれた空間内でかつ中軸部31aの上側の空間を利用して、回転駆動力の伝達部材である減速機44を設けることが可能となる。これによって、空きスペースを有効利用することが可能となり、フック装置の小型化や既存部品の流用等が可能となる。
この構成であれば、フック16の第1シーブ軸31回りの回動において質量バランスを取ることが可能となり、吊荷が無い状態(無負荷状態)でフック16の傾きが無いようにすることが可能となる。
この構成であれば、例えば、第1のフック装置6Aを搭載したクレーンの移動中に発生する振動によって発電することが可能となり、作業現場へ移動中にバッテリ41を充電することが可能となる。これによって、作業中にバッテリを交換するなどの煩わしい作業が発生するのを低減することが可能となる。
この構成であれば、第1のフック装置6Aを、例えば車両搭載型のクレーンに搭載することで、クレーンの移動時に発生する上下方向の振動と、左右方向の振動とによって、効率良く発電を行うことが可能となる。その結果、クレーンの移動中にバッテリ41を効率良く充電することが可能となる。
第2実施形態に係る第2のフック装置6Bは、上記第1実施形態の第1のフック装置6Aと比較して、シーブを支持するシーブ軸とフックを支持するフック支持軸との二軸構成となっている点と、シーブ軸とフックとの間に回転駆動機構が設けられている点とが異なる。
具体的に、第2のフック装置6Bは、図10〜図12に示すように、フック18と、第3シーブ17Aと、第4シーブ17Bと、第3のシーブカバー60Aと、第4のシーブカバー60Bと、フック支持軸61と、第2シーブ軸63とを備えている。
第3のシーブカバー60Aは、図10において、正面(前方)側に設けられ、第4のシーブカバー60Bは、図10において、第3のシーブカバー60Aと対向して背面(後方)側に設けられている。また、第3及び第4のシーブカバー60A及び60Bは、正面視で、上部が台形状で中間部が台形の底辺を上辺とした矩形状で下部がこの矩形の下辺を底辺として頂点が下端となる上下反転した二等辺三角形状に形成されている。
第2シーブ軸63は、第3のシーブカバー60Aと第4のシーブカバー60Bとのそれぞれの略中央に設けられた円形の貫通穴60h1に、第2シーブ軸63の両端部を嵌合させることで、第3及び第4のシーブカバー60A及び60B間に回動可能に設けられている。
フック18は、フック支持軸61の中軸部61aに設けられた貫通孔61cにフック軸18aを下側から上側に向かって挿通させて、中軸部61aの上部にてスラスト軸受39を介してフック支持軸61の回動軸線と直交する軸を中心として回転自在に取り付けられている。
第2のフック装置6Bは、更に、電動モータ70と、バッテリ71と、遠隔制御装置72と、減速機74と、取付部材75と、第3の自稼発電機47Cと、第4の自稼発電機47Dと、第5の自稼発電機47Eとを備えている。
この取付部材75は、フック軸18aの上方でかつ第2シーブ軸63の下方の空間内に設けられており、自身の長手方向がフック支持軸61の揺動軸線かつフック軸18aの回転軸線と直交する向きに設けられている。取付部材75は、第3及び第4のシーブカバー60A及び60Bに挟まれた空間内に収まる長さに構成されている。
バッテリ71は、上記第1実施形態のバッテリ41と同様の構成を有する充電式のバッテリであり、電動モータ70及び遠隔制御装置72に電力を供給するものである。
遠隔制御装置72は、上記第1の実施形態の遠隔制御装置42と同様の構成を有し、受信機(図示略)及び制御装置(図示略)を備えている。
なお、フック18はその質量から、常に鉛直下向きの方向になる。これは、フック18が鋼製であり、その質量が電動モータ70、バッテリ71、遠隔制御装置72、及び減速機74からなる回転駆動機構に取付部材75及びバッテリ取付部材を加えた、フック支持軸61より上部の構成体よりもはるかに重いためである。
第3平歯車74aと第4平歯車74bとは、互いの歯の一部が噛み合わされている。そして、電動モータ70の発生する回転駆動力によってモータ軸70aが回転すると、これと同期して第3平歯車74aが回転する。第3平歯車74aが回転すると、第4平歯車74bが予め設計された減速比に応じた回転速度で回転する。第4平歯車74bが回転すると、これと同期してフック軸18aが回転しフック18の全体が回転する。
第3の自稼発電機47Cは、第3及び第4のシーブカバー60A及び60Bの上部台形状の背面側傾斜部に、該傾斜部と直交する姿勢で左右方向に掛け渡されて取り付けられている。また、第4の自稼発電機47Dは、第3のシーブカバー60Aの上部表面に第2シーブ軸63と前後方向に直交する姿勢で取り付けられている。また、第5の自稼発電機47Eは、第4のシーブカバー60Aの中間部の上部側表面に第2シーブ軸63と上下方向に直交する姿勢で取り付けられている。
また、第2実施形態に係るクレーン1Bは、非作業時や移動時に第2のフック装置6Bを格納する機能を有している。更に、クレーン1Bは、車両搭載型のクレーンである。
具体的に、図10Aの状態から第2のフック装置6Bを格納する場合には、ウインチを操作して第2のフック装置6Bを巻上げる。巻上げられた第2のフック装置6Bは、上昇して図10(b)に示す状態になり上端部がブーム8先端の下端部に当接する。これにより格納状態となる。
以上の構成によって、バッテリ71から電動モータ70及び遠隔制御装置72に電力が供給されると、電動モータ70及び遠隔制御装置72が作動可能状態となる。この状態において、作業者がフック遠隔操作機100のフック回転スイッチ101を操作すると、送信機102を介して遠隔操作信号が無線送信される。無線送信された遠隔操作信号は、遠隔制御装置72の受信機で受信される。この受信機は、受信した遠隔操作信号から回転指示情報を抽出し、抽出した回転指示情報を制御装置に出力する。この制御装置は、入力された回転指示情報に基づき、回転指示情報に応じたモータ駆動信号を生成し、生成したモータ駆動信号を、電動モータ70に出力する。
第2実施形態に係るクレーン1Bは、超大型のクレーンであり、図13に示すように、荷台を有する大型のトラック19(例えば20[t]トラック)に搭載されている。このクレーン1Bのブーム8は、最縮小状態でトラック19の荷台上部に亘って後方に真っ直ぐ伸びており、この状態のブーム8先端部にて、第2のフック装置6Bが格納状態となっている。そして、トラック19は、このフック格納状態で作業現場に向けて走行することになる。
ここで、第2シーブ軸63がシーブ軸に対応し、第3及び第4シーブ17A及び17Bが複数のシーブに対応し、第3及び第4のシーブカバー60A及び60Bが2つのシーブカバーに対応し、減速機74が伝達部材に対応する。
(1)第2実施形態に係る第2のフック装置6Bは、第2シーブ軸63の軸方向の一端側及び他端側に回転自在に取り付けられた、ワイヤロープ82が掛回される第3及び第4シーブ17A及び17Bを備える。加えて、第2シーブ軸63の軸方向の一端及び他端に回動可能に嵌合された第3及び第4のシーブカバー60A及び60Bを備える。更に、第2シーブ軸63の下方において、軸方向の一端及び他端が第3及び第4のシーブカバー60A及び60Bの下端に回転自在に嵌合されたフック支持軸61と、フック支持軸61の揺動軸線と直交する軸回りに回転自在に設けられたフック18とを備える。更に、遠隔操作信号の受信に応じてフック18をフック軸18aの軸回りに回転駆動する回転駆動機構とを備える。回転駆動機構は、電動モータ70と、遠隔操作信号の受信機及び受信機で受信した遠隔操作信号に基づき電動モータ70を駆動制御する制御装置とを有する遠隔制御装置72と、電動モータ70及び遠隔制御装置72に電力を供給するバッテリ71と、電動モータ70の回転駆動力をフック18に伝達する減速機74とを備える。そして、上記回転駆動機構は、その全体が、第3及び第4のシーブカバー60A及び60Bに挟まれた空間内に収容されている。
即ち、第2シーブ軸63とフック支持軸61とを備える二軸タイプのフック装置についても、上記第1実施形態のシーブ軸とフック支持軸とを共通化した一軸タイプのフック装置と同様の作用及び効果を得ることが可能である。
加えて、二軸タイプとすることで、第2シーブ軸63とフック支持軸61との間に比較的大きいスペースを確保することが可能となり、一軸タイプと比較して回転駆動機構の各構成部の配置位置、サイズ、形状等の自由度を高くすることが可能となる。
この構成であれば、フック18のフック支持軸61回りの揺動において質量バランスを取ることが可能となり、吊荷が無い状態(無負荷状態)でフック18の傾きが無いようにすることが可能となる。
この構成であれば、第2のフック装置6Bを、例えば車両搭載型のクレーンに搭載することで、クレーンの移動時に発生する上下方向の振動と、左右方向及び前後方向の振動とによって、効率良く発電を行うことが可能となる。その結果、クレーンの移動中にバッテリ71を効率良く充電することが可能となる。
上記第1実施形態において、第1のフック装置6Aを車両搭載型のクレーン1Aに適用する構成を例に挙げて説明したが、この構成に限らない。例えば、図14に示すように、第1のフック装置6Aを、フック格納機能を有する自走式のクローラクレーン1Cに搭載する構成としてもよい。このクローラクレーン1Cは、機体(車体)上に、ブーム5及びウインチ10を有するクレーン装置、アウトリガ装置及び運転席4が設けられている。そして、機体の下部には、クローラ装置7が装備されており、このクローラ装置7で走行可能になっている。この構成とした場合も、トラック13に搭載されたクレーン1Aと同様の作用及び効果が得られる。また、クローラ型ではなく車輪型の自走式クレーンに適用する構成としてもよい。
また、上記各実施形態において、自稼発電機を、クレーン搭載車両の上下方向の揺れ、前後方向の揺れ及び左右方向の揺れに対応する姿勢に設ける構成としたが、この構成に限らない。例えば、これらの方向のうちいずれか一方向の揺れに対してのみ自稼発電機を設ける構成としてもよい。また、上記第1実施形態では3つ以上の自稼発電機を、上記第2実施形態では4つ以上の自稼発電機を設けて、車両の他の揺れ方向にも対応する構成としてもよい。例えば、走行時のローリング、ヨーイング及びピッチングによって受ける車両の各方向の揺れに対応する自稼発電機を設ける構成としてもよい。
また、上記各実施形態では、既存のシーブカバーに合わせて、既存のモータや既存のバッテリから適切なサイズや形状のものを選択するか、適切なサイズや形状のものを作製する構成を例に挙げたが、この構成に限らない。例えば、大型のモータや、大型のバッテリを搭載する必要があり、かつ既存のシーブカバーでは対応できない場合は、シーブカバー側で対応する構成としてもよい。
1B クローラクレーン
5 ブーム
6A 第1のフック装置
6B 第2のフック装置
7 クローラ装置
10 ウインチ
14 ワイヤロープ
15A、15B 第1、第2シーブ
16、18 フック
16a、18a フック軸
17A、17B 第3、第4シーブ
30A、30B 第1、第2のシーブカバー
31、63 第1、第2シーブ軸
40、70 電動モータ
40g、41g 重心
41、71 バッテリ
42、72 遠隔制御装置
42a 受信機
42b 制御装置
44、74 減速機
45、75 取付部材
45a 第1の貫通孔
47A〜47E 第1〜第5の自稼発電機
47c コイル
47d 磁石
60A、60B 第3、第4のシーブカバー
61 フック支持軸
Claims (6)
- シーブ軸の軸方向の一端側及び他端側に回転自在に取り付けられた、ワイヤロープが掛回される複数のシーブと、
前記シーブ軸の軸方向の一端及び他端に取り付けられた2つのシーブカバーと、
前記シーブ軸の回転軸線と直交する軸回りに回転自在に設けられたフックと、
遠隔操作信号の受信に応じて前記フックを前記直交する軸回りに回転駆動する回転駆動機構と、を備え、
前記回転駆動機構は、その全体が前記2つのシーブカバーで挟まれた空間内に収容されており、電動モータと、遠隔操作信号の受信機と、前記受信機で受信した前記遠隔操作信号に基づき前記電動モータを駆動制御する制御装置と、前記電動モータ、前記受信機及び前記制御装置に電力を供給するバッテリと、前記電動モータの回転駆動力を前記フックに伝達する伝達部材とを備え、
前記フックは、前記シーブ軸の長手方向の中央に該シーブ軸の回転軸線と直交する軸回りに回転自在に取り付けられており、
前記シーブ軸の長手方向の中央上部に固定支持されかつ前記シーブカバーの内側の空間内における前記シーブ軸の回転軸線及び前記フックの回転軸線と直交する方向に延在する取付部材を備え、
前記電動モータは、前記取付部材の延在部分の下側に該電動モータの本体部分が位置するように前記取付部材に固定支持されており、
前記電動モータと前記バッテリ及び前記遠隔操作信号の受信機とは、
前記シーブ軸を中心にして平面視で互いに反対側となる位置関係に配置され、かつ、前記電動モータの重心と前記バッテリ及び前記受信機の重心とが前記シーブ軸よりも下方に位置するように配置されており、
加えて、平面視にて前記シーブ軸を境として、電動モータ側の前記取付部材の質量を加味した電動モータの質量に、前記取付部材の質量を加味した電動モータの重心と前記シーブ軸との間の距離を乗じた値と、バッテリ側の前記取付部材の質量を加味したバッテリ及
び前記受信機の質量に、前記取付部材の質量を加味したバッテリ及び前記受信機の重心と前記シーブ軸との間の距離を乗じた値とが等しくなる位置関係に配置されていることを特徴とする移動式クレーン用フック装置。 - 前記取付部材は、前記延在部分に前記電動モータのモータ回転軸が挿通可能な挿通部を有し、
前記電動モータは、前記モータ回転軸の先端に、前記伝達部材の一部が、前記挿通部を介して前記取付部材の上側に突出するように固定支持されており、
前記フックは、前記シーブ軸を貫通してその先端が該シーブ軸の上側に突出するように設けられており、
前記伝達部材は、前記2つのシーブカバーの内側でかつ前記シーブ軸の上側の空間内に設けられ、前記取付部材の上側のモータ回転軸から前記シーブ軸の上側のフック部分へと回転駆動力を伝達するように構成されている請求項1に記載の移動式クレーン用フック装置。 - 振動エネルギーを電気エネルギーに変換して電力を発電する自稼発電機を更に備え、
前記バッテリは、充電式のバッテリであり、
前記自稼発電機で発電した電力を用いて前記バッテリを充電するように構成されている請求項1又は2に記載の移動式クレーン用フック装置。 - 前記自稼発電機は、
コイルと磁石の相対移動による電磁誘導によって発電するリニア発電機を含んで構成されており、
移動式クレーンが走行姿勢のときに、コイルと磁石との相対移動方向が鉛直方向となる姿勢に設けられている請求項3に記載の移動式クレーン用フック装置。 - 前記自稼発電機は、
コイルと磁石との相対移動による電磁誘導によって発電するリニア発電機を含んで構成されており、
移動式クレーンが走行姿勢のときに、コイルと磁石との相対移動方向が水平方向となる姿勢に設けられている請求項3に記載の移動式クレーン用フック装置。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の移動式クレーン用フック装置を備える移動式クレーン。
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