JP6785072B2 - 赤外線源検出システムおよび赤外線源検出方法 - Google Patents

赤外線源検出システムおよび赤外線源検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、監視空間において人体等の赤外線源から発せられる赤外線を非接触状態で検出するための赤外線源検出システムおよび赤外線源検出方法に関するものである。
従来、監視空間において人体等の赤外線源から発せられる赤外線を非接触状態で検知するために赤外線センサが用いられている。このような赤外線センサを監視空間に向けて設置することで、人体等の赤外線源が監視空間に存在する場合に、その存在を検出することができる。
このような赤外線センサとして、焦電素子やサーモパイル等の熱型(非冷却型)の赤外線センサが用いられる。これらの熱型赤外線センサは、赤外線の熱エネルギーの変化を検出するタイプのセンサである。熱型赤外線センサは、赤外線を受光することで熱によってセンシング面が温められて、素子温度が上昇することで生じる電気的性質の変化を検知する。
特開2001−124864号公報
しかしながら、熱型赤外線センサは、センシング面に赤外線が入射していても、素子温度に変化が生じない場合は赤外線源を検出できないため、侵入者等のように動く赤外線源を対象として赤外線源を検出するのには適しているが、動いていない人、例えば、室内で倒れている人は、赤外線を発しているにもかかわらず、それを検出するのは難しかった。
本発明は、監視空間内で動かない赤外線源を検出可能な赤外線源検出システムおよび赤外線源検出方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、監視空間の赤外線源を検出する赤外線源検出システムであって、この赤外線源検出システムは、入射する赤外線の熱エネルギーの変化を検出する赤外線センサと、前記監視空間からの赤外線を前記赤外線センサに入射させる入射状態と、前記監視空間からの赤外線を前記赤外線センサに入射させない非入射状態とを含む誘導状態を切替可能な素子を備えた赤外線誘導手段と、監視空間からの赤外線を透過させる窓を有するとともに、前記赤外線センサと前記赤外線誘導手段を収容する筐体と、前記赤外線誘導手段の前記素子の前記誘導状態を切り替えることで前記監視空間の動かない赤外線源を検出する制御部とを備えた構成を有している。
この構成により、赤外線誘導手段の素子の誘導状態が入射状態と非入射状態とで切り替えられるので、監視空間に動かない赤外線源がある場合も、非入射状態では赤外線が赤外線センサに入射せず、入射状態で赤外線が赤外線センサに入射し、その結果、赤外線センサに入射する赤外線の熱エネルギーに変化が生じて、赤外線源を検出できる。すなわち、赤外線誘導手段の素子が従来の赤外線源検出システムにおけるチョッパの役割を果たす。
上記の赤外線源検出システムにおいて、前記素子は、角度を変更可能な反射板であってよく、前記入射状態は、前記反射板が前記監視空間からの赤外線を前記赤外線センサに向けて反射させる角度にされた状態であり、前記非入射状態は、前記反射板が前記監視空間からの赤外線を前記赤外線センサに向けて反射させない角度にされた状態であってよい。この構成により、反射板を用いてチョッパの役割を実現できる。
上記の赤外線源検出システムにおいて、前記赤外線誘導手段は、複数の前記素子を有していてよく、前記制御部は、前記複数の素子の各々の前記誘導状態を個別に切り替えてよい。この構成により、監視空間の一部範囲ごとに入射状態と非入射状態とを繰り返すチョッパの役割を実現できる。
上記の赤外線源検出システムにおいて、前記赤外線誘導手段は、複数の前記素子が二次元状に配置されたDMDであってよい。この構成により、DMDを用いて監視空間の一部範囲ごとに入射状態と非入射状態を繰り返すチョッパを実現できる。
上記の赤外線源検出システムにおいて、前記赤外線センサは、焦電素子またはサーモパイルであってよい。
本発明の他の態様は、赤外線源検出方法であって、この赤外線源検出方法は、入射する赤外線の熱エネルギーの変化を検出する赤外線センサと、前記監視空間からの赤外線を前記赤外線センサに入射させる入射状態と、前記監視空間からの赤外線を前記赤外線センサに入射させない非入射状態とを含む誘導状態を切替可能な素子を備えた赤外線誘導手段と、監視空間からの赤外線を透過させる窓を有するとともに、前記赤外線センサと前記赤外線誘導手段を収容する筐体とを備えた赤外線源検出装置によって、前記赤外線誘導手段の前記素子の前記誘導状態を切り替えることで前記監視空間の動かない赤外線源を検出する。
この構成によっても、赤外線誘導手段の素子が入射状態と非入射状態とで切り替えられるので、監視空間に動かない赤外線源がある場合も、非入射状態では赤外線が赤外線センサに入射せず、入射状態で赤外線が赤外線センサに入射し、その結果、赤外線センサに入射する赤外線の熱エネルギーに変化が生じて、赤外線源を検出できる。
上記の赤外線源検出方法において、前記素子は、反射板であってよく、上記の赤外線検出方法は、前記反射板の角度を、前記監視空間からの赤外線を前記赤外線センサのセンシング面に入射する角度にして、前記赤外線センサで赤外線を検出する工程と、前記反射板の角度を、前記監視空間からの赤外線を前記赤外線センサのセンシング面に入射しない角度にして、前記赤外線センサで赤外線を検出する工程と、切替えの前後で前記赤外線センサの出力が所定の閾値より大きいときに赤外線源を検出する工程とを含んでいてよい。この構成により、反射板を用いてチョッパの役割を実現できる。
上記の赤外線源検出方法において、前記赤外線誘導手段は複数の反射板を有し、前記複数の反射板の角度を、前記監視空間の中の特定の範囲から放射される赤外線だけを前記センシング面に入射する角度にして、前記赤外線センサで赤外線を検出する工程と、前記監視空間の中の前記特定の範囲から放射される赤外線を前記センシング面に入射しない角度にして、前記赤外線センサで赤外線を検出する工程と、切り替えの前後で前記赤外線センサの出力が所定の閾値より大きいときに赤外線源を検出する工程とを含んでいてよい。
本発明によれば、赤外線誘導手段の素子が入射状態と非入射状態とで切り替えられるので、監視空間に動かない赤外線源がある場合も、非入射状態では赤外線が赤外線センサに入射せず、入射状態で赤外線が赤外線センサに入射し、その結果、素子温度に変化が生じて、赤外線源を検出できる。
本発明の実施の形態の赤外線源検出システムの構成及び第1の実施の形態の動作(全面が入射状態にある状態)を示す模式図 本発明の実施の形態の赤外線源検出システムの構成及び第1の実施の形態の動作(全面が非入射状態にある状態)を示す模式図 本発明の実施の形態の赤外線源検出システムの構成及び第2の実施の形態の動作(上段が入射状態にある状態)を示す模式図 本発明の実施の形態の赤外線源検出システムの構成及び第2の実施の形態の動作(中段が入射状態にある状態)を示す模式図 本発明の実施の形態の赤外線源検出システムの構成及び第2の実施の形態の動作(下段が入射状態にある状態)を示す模式図 本発明の変形例の赤外線源検出システムの構成を示す模式図
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
図1は、本発明の実施の形態の赤外線源検出システムの構成を示す模式図である。本実施の形態の赤外線源検出システムは、監視空間に向けて設置されて、赤外線源として人体を検出するための人体検知システムである。
人体検知システム10は、検出窓12を有する筐体11内に、赤外線センサとしての焦電素子13と、赤外線誘導手段としてのデジタルミラーデバイス(DMD)14と、制御部15と、プリント基板16とを備えている。検出窓12は、赤外線を透過させる素材で構成されており、筐体11は赤外線を遮断する素材で構成されている。よって、監視空間からの赤外線は検出窓12を介して筐体11内に入射する。
プリント基板16には、焦電素子13と制御部15が実装される。また、プリント基板16には、2本の配線17−1,17−2が接続されており、これらの配線17−1,17−2を介して外部の受信機(不図示)に接続されている。焦電素子13は、プリント基板16上のプリント配線及び配線17−1,17−2を介して外部の受信機に接続されている。
DMD14は、複数の素子を二次元状に配置した赤外線誘導アレイ(二次元アレイ)である。DMD14は、また、複数の素子として角度を変更可能な複数の微小な反射板(マイクロミラー)を有する反射板アレイである。プリント基板16とDMD14とは配線18によって接続されている。制御部15はDMD14の各反射板の角度を変更するための制御信号をプリント基板16上のプリント配線及び配線18を介してDMD14に送出する。この制御信号は、DMD14の複数の反射板の各々について、その角度を指定する信号である。
各反射板は、制御部15からの制御信号を受けて、その制御信号に従って個別に角度を変更可能である。具体的には、各反射板は、監視空間にて発せられて検出窓12を通過して筐体11内に入射した赤外線を焦電素子13のセンシング面131に入射するように反射させる角度(以下、「角度α」といい、角度αにある反射板の状態を「入射状態」という。)と、監視空間にて発せられて検出窓12を通過して筐体11内に入射した赤外線を焦電素子13のセンシング面に入射しないように反射させる角度(以下、「角度β」といい、角度βにある反射板の状態を「非入射状態」という。)との間で、その角度を変更する。
なお、非入射状態にある反射板の角度βは、それらの反射板が監視空間のいずれの方向からの赤外線も焦電素子13のセンシング面131に入射しない角度に設定される。すなわち、角度βとなって非入射状態となった反射板は、監視空間のいずれの方向からの赤外線も焦電素子13のセンシング面131には反射させない。
焦電素子13は、赤外線の熱エネルギーの変化を検出するタイプのセンサであり、PZTなどのセンシング面131に赤外線が入射すると、焦電効果によって赤外線を検出する。具体的には、センシング面131に赤外線が入射して熱で温められ、又は赤外線の入射がなくなり温度が低下すると、そこに帯電する電荷が変化し、焦電素子13は、この電荷の変化を電圧の信号として出力する。
焦電素子13は、検出窓12を通ってDMD14で反射した赤外線を検出するので、焦電素子13のセンシング面131は検出窓12とは平行でなく、所定の角度(図1の例では90度)をなしている。また、焦電素子13は、検出窓12から入射した赤外線が直接センシング面131に入射しないように、筐体12内に設置されている。
制御部15は、CPU、RAM(メモリ)、ROM、補助記憶メモリからなるコンピュータであり、ROMに記憶されたプログラムに従って動作する。制御部15は、焦電素子13の出力が所定の閾値を超えた場合に、監視空間に赤外線源があると判断する。制御部15が赤外線源があると判断した場合には、その情報がプリント基板16上のプリント配線及び配線17−1又は17−2を介して受信機に送られる。また、制御部15は、後述する要領でDMD14の各反射板の角度を制御する。
なお、図1〜図5では、説明の便宜上、模式図として、DMD14のすべての反射板が見えるような向きで描かれているが、実際には上述のように、各反射板が、角度αとされたときに焦電素子13に赤外線を反射させ、角度βとされたときに焦電素子に赤外線を反射しない向きになるように設置されている。なお、角度α又は角度βのいずれかが、各反射板がDMD14における複数の反射板の分布面と平行になる角度であってよい。
次に、以上のように構成された人体検知システム10にて動きのない人体を検出するための動作について説明する。上述のように、人体検知システム10の焦電素子13は、熱エネルギーの変化を信号として出力するものであり、よって、センシング面131に入射する赤外線による熱エネルギーの量が変化しない場合には、赤外線源を検出できない。したがって、例えば、監視空間に人が倒れていて動かない場合には、そのような人を検知できない。
そこで、従来の赤外線検知システムでは、焦電素子の前面に、回転することで焦電素子に入射する赤外線を間欠的に遮断(チョッピング)するチョッパ機構を設けて、焦電センサに赤外線が入射する状態と入射しない状態とを作り出していた。本願発明では、これとは異なる構成で、赤外線の焦電素子13への入射及び非入射の状態を実現する。
以下、人体検知システム10の動作について、図1〜図5を参照して、複数の実施の形態を説明する。なお、図1〜図5において、ハッチングをしていない反射板は角度α、すなわち入射状態にある反射板であり、ハッチングをした反射板は角度β、すなわち非入射状態にある反射板である。
(第1の実施の形態の動作)
図1及び図2は、人体検知システム10の第1の実施の形態の動作を説明するための図である。制御部15は、DMD14を複数の制御状態に制御する。複数の制御状態には、DMD14のすべての反射板が角度αになる制御状態、及び一部の反射板のみが角度αとなって他の反射板が角度βとなる制御状態が含まれる。
図1に示すように、制御部15がDMD14のすべての反射板を角度α、すなわち入射状態に設定すると、監視空間内からの赤外線がDMD14によって反射されて焦電素子13に入射する状態となり、図2に示すように、制御部15がDMD14のすべての反射板を角度β、すなわち非入射状態に設定すると、監視空間内からの赤外線が焦電素子13に入射しない状態になる。制御部15は、例えば1Hzの周期で、図1の制御状態と図2の制御状態とを繰り返す。
図1及び図2に示すように、監視空間に動かない人体Bが存在する場合、図1の制御状態では、人体Bからの赤外線が焦電素子13に入射し、図2の制御状態では人体Bからの赤外線は焦電素子13に入射しない。したがって、図1の制御状態と図2の制御状態とを繰り返すことで、焦電素子13には熱エネルギーの変化が生じて、人体Bを検出できる。
(第2の実施の形態の動作)
図3〜5は、人体検知システムの第2の実施の形態の動作を説明するための図である。この実施の形態では、制御部15は、DMD14の部分領域の反射板のみを角度αにし、それ以外を角度βとし、そのような部分領域を順次変更する。
図3〜図5の例では、DMD14が9×6の反射板アレイで構成されており、部分領域として、上段の3×6の部分領域141、中段の3×6の部分領域142、及び下段の3×6の部分領域143が設定され、それらの部分領域の反射板のみが順に入射状態とされる。これにより、監視空間中の部分空間からの赤外線のみが焦電素子13に入射することとなり、そのような部分空間が上段、中段、下段の順に切り替わることで監視空間が走査される。
図3は、上段の部分領域141の複数の反射板のみが入射状態(角度α)とされ、中段の部分領域142及び下段の部分領域143の複数の反射板は非入射状態(角度β)とされた制御状態を示している。この状態では、監視空間のうちの上段の部分空間からの赤外線のみが上段の部分領域141の反射板で反射して焦電素子13のセンシング面131に入射する。人体Bからの赤外線はいずれの反射板からも焦電素子13のセンシング面131に向けて反射せず、この部分領域141に入射してセンシング面131に向けて反射する方向には他の赤外線源はないので、この状態では焦電素子13のセンシング面131には赤外線は入射しない。
図4は、中段の部分領域142の複数の反射板のみが入射状態(角度α)とされ、上段の部分領域141及び下段の部分領域143の複数の反射板は非入射状態(角度β)とされた制御状態を示している。この状態では、監視空間のうちの中段の部分空間からの赤外線のみが中段の部分領域142の反射板で反射して焦電素子13のセンシング面131に入射する。人体Bからの赤外線はいずれの反射板からも焦電素子13のセンシング面131に向けて反射せず、この部分領域142に入射してセンシング面131に向けて反射する方向には他の赤外線源はないので、この状態では焦電素子13のセンシング面131には赤外線は入射しない。
図5は、下段の部分領域143の複数の反射板のみが入射状態(角度α)とされ、上段の部分領域141及び中段の部分領域142の複数の反射板は非入射状態(角度β)とされた制御状態を示している。この状態では、監視空間のうちの下段の部分空間からの赤外線のみが下段の部分領域143の反射板で反射して焦電素子13のセンシング面131に入射する。人体Bからの赤外線は、部分領域143の反射板によって反射されて焦電素子13のセンシング面131に入射する。
以上のように、制御部15がDMD14を制御して、図3〜5のように制御状態を順に変更すると、図3、図4の状態では焦電素子13に赤外線が入射せず、図5の状態で人体Bからの赤外線が焦電素子13に入射するので、焦電素子13には熱エネルギーの変化が生じて、人体Bを検出できる。
さらに、本実施の形態では、制御部15は、いずれの部分領域を入射状態としたときに熱エネルギーが増加したかに基づいて、監視空間内の人体Bの位置を判定する。このように機能する制御部15は、本願発明の位置判定部に相当する。制御部15は、人体の位置を判定すると、配線17−1,17−2を介して人体の位置の情報を受信機に伝達する。
なお、上記の例では、人体の位置を判定するためにDMD14の複数の反射板を上下方向に分割した部分領域ごとに入射状態としたが、これに加えて、又はこれに代えて、左右方向に分割した部分領域ごとに入射状態として、左右方向の位置を判定するようにしてもよい。例えば、部分領域を二次元状に区画してもよい。また、複数の部分領域は互いに一部が重複する領域であってもよい。さらに、部分領域を1つの反射板としてもよい。
また、部分領域を比較的大きく設定して人体の位置を判定した後に、人体が検知された部分領域をさらに細分化して小部分領域として、入射状態とする小部分領域を切り替えながら焦電素子13で赤外線の熱エネルギーの変化を検知することで、人体の詳細な位置を判定してもよい。さらに、第1の実施の形態の動作を実施した後に、人体が検知された場合に、第2の実施の形態の動作によって人体の位置を判定してもよい。
また、人体からの赤外線が複数の部分領域にまたがって入射する場合には、隣り合う部分領域の間で、焦電素子13に入射する赤外線の熱エネルギーの変化が小さくなり(あるいは、なくなり)、動かない人体の検出が困難になることもある。そこで、入射状態とする部分領域を切り替えるときに、隣の部分領域に切り替えるのではなく、位置の離れた部分領域に切り替えるようにしてもよい。また、入射状態とする部分領域をランダムに切り替えるようにしてもよい。
(第3の実施の形態の動作)
本実施の形態では、制御部15は、第1の実施の形態と第2の実施の形態を組み合わせた動作をするようDMD14を制御する。すなわち、制御部15は、第2の実施の形態のように、部分領域ごとに、当該部分領域全体を入射状態とする状態と当該部分領域全体を非入射状態とする状態とを、例えば1Hzの周期で繰り返す。
そして、制御部15は、そのように入射状態と非入射状態とを繰り返す部分領域を順に切り替えて、監視空間全体について動かない人体を探索する。なお、本実施の形態の場合には、第2の実施の形態で説明したような、人体からの赤外線が複数の部分領域にまたがって入射する場合において部分領域を切り替えても焦電素子13に入射する赤外線の熱エネルギーはわずかにしか変化しない(あるいは、変化しない)という問題は生じず、位置の離れた部分領域に切り替える必要はないという点で有利である。
本実施の形態でも、第2の実施の形態のように、人体が検知された部分領域をさらに細分化して小部分領域として、入射状態とする小部分領域を切り替えることで人体の詳細な位置を判定してもよいし、第1の実施の形態の動作によって人体が検知された場合に、本実施の形態で人体の位置を判定するようにしてもよい。
(変形例)
図6は、変形例の人体検知システムの構成を示す模式図である。上記の実施の形態の人体検知システム10では、赤外線誘導手段として複数の反射板が二次元状に配置されたDMD14を用いたが、本実施の形態の人体検知システム10´では、赤外線誘導手段として、DMD14の代わりに液晶シャッタ14´を採用している。
液晶シャッタ14´は液晶素子が二次元状に配置された二次元アレイであり、各素子が赤外線を透過する入射状態と赤外線を遮断する(あるいは透過率を低下させる)非入射状態との間で個別に制御される。制御部15は、液晶シャッタ14´の各素子の誘導状態(透過/遮断)を制御する。本実施の形態では、このように赤外線誘導アレイが透過型の液晶シャッタ14´であるので、焦電素子13は、液晶シャッタ14´に対して検出窓12とは反対側に配置される。また、焦電素子13は、センシング面131が検出窓12と平行になるように配置される。
この人体検知システム10´において、液晶シャッタ14´のすべての素子を透過状態(入射状態)とする状態と、液晶シャッタ14のすべての素子を遮断状態(非入射状態)とする状態とを繰り返すことで、静止している人体Bから焦電素子13に入射する赤外線の熱エネルギーが変化し、この人体Bを検知できる。
この構成において、第1〜第3の実施の形態のDMD14の動作と同様に、液晶シャッタ14´の複数の素子の入射状態と非入射状態とを切り替えることで、静止している人体を検知することができ、複数の素子の誘導状態(透過/遮断)を個別に切り替えることで、人体の位置も判定できる。
なお、上記の実施の形態及び変形例では、制御部15が焦電素子13が配置されるプリント基板16上に実装されていたが、制御部15の一部又は全部の機能が筐体11の外部に設けられて、そのように外部に設けられたCPUと、残りの構成要素からなる赤外線源検出装置とによって赤外線源検出システムが構成されてもよい。例えば、DMD14や液晶シャッタ14´を制御するCPUが、筐体11を含む赤外線源検出装置とは別に設けられて、赤外線源検出装置と接続されてもよい。
また、上記の実施の形態及び変形例では、本願発明の赤外線源検出システムが監視空間内の動かない人体を検出する人体検知システムとして応用される例を説明したが、本願発明の赤外線源検出システムが検出すべき動かない赤外線源は人体に限られない。
10,10´ 人体検知システム(赤外線源検出システム)
11 筐体
12 検出窓
13 焦電素子(赤外線センサ)
14 DMD(赤外線誘導アレイ)
14´ 液晶シャッタ(赤外線誘導アレイ)
141 上段の部分領域
142 中段の部分領域
143 下段の部分領域
15 制御部
16 プリント基板
17−1,17−2 配線
18 配線
B 人体

Claims (11)

  1. 監視空間の動かない赤外線源を検出する赤外線源検出システムであって、
    入射する赤外線の熱エネルギーの変化を検出する赤外線センサと、
    前記監視空間からの赤外線を前記赤外線センサに入射させる入射状態と、前記監視空間からの赤外線を前記赤外線センサに入射させない非入射状態とを含む誘導状態を切替可能な複数の素子を備えた赤外線誘導手段と
    前記赤外線誘導手段の前記複数の素子の前記誘導状態を切り替えることで前記監視空間の前記動かない赤外線源を検出する制御部と、
    を備え
    前記制御部は、前記監視空間の複数の部分空間の各々に対応して、前記複数の素子の一部であって複数の前記素子の前記誘導状態を切り替え可能であり、前記複数の部分空間のうちから選択した1の前記部分空間に対応する複数の前記素子が前記入射状態となるように前記誘導状態を切り替え、このとき、他の前記部分空間に対応する前記複数の素子を前記非入射状態に切り替えること、
    を特徴とする赤外線源検出システム。
  2. 前記素子は、角度を変更可能な反射板であり、
    前記入射状態は、前記反射板が前記監視空間からの赤外線を前記赤外線センサに向けて反射させる角度にされた状態であり、前記非入射状態は、前記反射板が前記監視空間からの赤外線を前記赤外線センサに向けて反射させない角度にされた状態である請求項1に記載の赤外線源検出システム。
  3. 前記赤外線センサに入射する赤外線の熱エネルギーが増加したときに前記入状態とされている前記素子の位置に基づいて、前記赤外線源の前記監視空間における位置を判定する位置判定部をさらに備えた請求項1又は2に記載の赤外線源検出システム。
  4. 前記赤外線誘導手段は、複数の前記素子が二次元状に配置された二次元アレイである請求項1ないし3のいずれかに記載の赤外線源検出システム。
  5. 前記赤外線センサは、焦電素子である請求項1ないし4のいずれかに記載の赤外線源検出システム。
  6. 前記複数の部分空間は、互いに一部が重複する、請求項1ないし5のいずれかに記載の赤外線源検出システム。
  7. 前記制御部は、前記1の部分空間に対応して前記複数の素子の前記誘導状態を前記入射状態に切り替えた際に前記赤外線センサにて前記熱エネルギーの変化を検出したときは、当該1の部分空間を更に細分化した小部分空間に対応する複数の前記素子の誘導状態を切り替え可能である、請求項1ないし6のいずれかに記載の赤外線源検出システム。
  8. 前記制御部は、前記1の部分空間を、隣り合わない離れた他の部分空間に順次切り替える、請求項1ないし7のいずれかに記載の赤外線源検出システム。
  9. 前記制御部は、前記1の部分空間に対応する前記複数の素子ごとに、当該複数の素子を前記入射状態とする状態と当該複数の素子を前記非入射状態とする状態とを交互に繰り返すことで、当該1の部分空間の前記動かない赤外線源を検出する請求項1ないし8のいずれかに記載の赤外線源検出システム。
  10. 入射する赤外線の熱エネルギーの変化を検出する赤外線センサと、監視空間からの赤外線を前記赤外線センサに入射させる入射状態と、前記監視空間からの赤外線を前記赤外線センサに入射させない非入射状態とを含む誘導状態を切替可能な複数の素子を備えた赤外線誘導手段とを備えた赤外線源検出装置によって、前記監視空間の複数の部分空間の各々に対応して、前記複数の素子の一部であって複数の前記素子が前記入射状態となるように前記誘導状態を切り替えることで前記監視空間の動かない赤外線源を検出する赤外線源検出方法。
  11. 前記複数の素子として複数の反射板を有し、
    前記複数の反射板の角度を、前記複数の部分空間から選択した1の部分空間から放射される赤外線だけを前記赤外線センサに向けて反射して前記赤外線センサに入射させる角度にして前記誘導状態を前記入射状態とする第1工程と、
    当該1の部分空間から放射される赤外線を前記赤外線センサに向けて反射せず前記赤外線センサに入射させない角度にし、前記誘導状態を前記非入射状態とする第2工程と、
    を含み、
    前記第1工程と第2工程とを相互に切り替えて実施し、切り替えの前後における前記赤外線センサの出力の変化に基づいて、前記動かない赤外線源を検出する請求項10に記載の赤外線源検出方法。
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