JP6784149B2 - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents
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Description
そして、目標エンジン回転速度とトルク容量係数とから目標エンジントルクを算出し、これらの目標エンジン回転速度及び目標エンジントルクを達成可能な目標スロットル開度を算出してエンジンのスロットル制御に適用している。また、並行して目標エンジン回転速度が達成されるようにCVT(無段変速機)を変速制御しており、これにより目標加速度による車両の加速を実現している。
また、目標トルクが最大トルクを超えるときには、低ギヤ側への変速制御によりエンジン回転速度を増加させるため、トルク不足分を補って確実に目標加速度が達成される。
その他の態様として、前記目標出力算出手段が、前記車両の車重及び走行抵抗を反映して前記目標加速度から前記エンジンの目標出力を算出することが好ましい。
図1は本実施形態の車両の駆動力制御装置を示す全体構成図である。
車両1には走行用動力源としてエンジン2が搭載され、エンジン2にはCVT3(無段変速機)が連結されている。CVT3の出力側はプロペラシャフト4を介してディファレンシャルギア5に連結され、ディファレンシャルギア5は左右のドライブシャフト6を介して駆動輪7(後輪)に連結されている。図示はしないが、CVT3はプライマリプーリとセカンダリプーリとを無端状ベルトで連結して構成され、プライマリプーリはトルクコンバータ及びクラッチを介してエンジン2の出力軸に連結され、セカンダリプーリはプロペラシャフト4に連結されている。
車室内には、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM,BURAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えたECU10(電子制御ユニット)が設置されており、エンジン2及びCVT3の総合的な制御を行う。
ECU10の入力側には、運転者によるアクセル開度APSを検出するアクセルセンサ11、エンジン2の回転速度Neを検出する回転速度センサ12、車両1の走行時の車速Vを検出する車速センサ13、車両1の前後方向の加速度Gsを検出する加速度センサ14等の各種センサ類が接続され、それらの検出情報が入力されるようになっている。
目標G算出部16には、アクセルセンサ11により検出されたアクセル開度APS及び車速センサ13により検出された車速Vが入力され、それらの情報に基づき、図3に示すマップから車両1の目標加速度Gが算出される(目標加速度算出手段)。予めアクセル開度APS及び車速Vに基づき、目標加速度Gの算出特性を異にした複数のマップがアクセル開速度ΔAPS毎に設定されており、目標G算出部では、アクセル開度APSに基づき算出したアクセル開速度ΔAPSに対応するマップを逐次選択し、そのマップに基づき、時々刻々と変化するアクセル開度APS及び車速Vから目標加速度Gを逐次算出する。
図4〜6は緩急2種のアクセル踏込み(ΔAPS=高・低)後に異なる3種のアクセル開度APS(20,60,100%)に保持された場合の時間経過に応じた目標加速度Gの設定状況及び車速変化を示すタイムチャートである。
より詳しくは図3のマップでは、アクセル開度APSが大であるほど目標加速度G=0の平衡車速が高速域側に設定されると共に、その目標加速度G=0に相当する平衡車速に車両1を到達させるべく、アクセル踏込みの当初により大きな目標加速度Gが設定された上で、車速Vの増加に伴って0に向けて次第に低下される。結果として図4〜6の比較から判るように、アクセル開度APSが大であるほど、車速Vが急激に上昇してより高速域まで車両1が加速し、何れの場合も車両1は逐次算出されるそれぞれの目標加速度Gに倣って加速して個々の平衡車速に到達する。
図2に戻って説明を続けると、以上のようにして目標G算出部16で算出された目標加速度Gは目標W算出部17に入力される。目標W算出部17には車速Vが入力されると共に、走行抵抗算出部18から現在の車両1の走行抵抗が入力される。それらの情報に基づき目標W算出部17ではエンジン2の目標出力Wが算出されるが、その説明の前に、走行抵抗算出部18による走行抵抗の算出処理について述べる。
走行抵抗=空気抵抗+転がり抵抗+勾配抵抗 ……(1)
このため、走行抵抗算出部18では、次式(2)に基づき走行抵抗を算出している。
走行抵抗={(μa×A×V2)+(m×μr×cosθ)+(m×sinθ)}×9.8……(2)
ここに、μaは空気抵抗係数、Aは前面投影面積(m2)、Vは車速(km/h)、mは車重(kg)、μrは転がり抵抗係数、θは路面勾配(%)である。
路面勾配θの算出処理としては従来から種々の手法が提案されており、例えば特開2000−97945号公報に記載のものを挙げることができる。登坂路や降坂路を走行中の車両1に作用する重力加速度には、路面勾配θに起因する加速度Grが含まれる。このため、車両1の搭載された加速度センサ14の検出値Gsは、実際の車両1の前後加速度Gvに加速度Grを加算した値となる。従って、例えば車速センサ13により検出された車速V等に基づき実際の前後加速度Gvを算出した上で、前後加速度Gs,Gvに基づき次式(3)に従って路面勾配θに起因する加速度Grを特定でき、求めた加速度Grから次式(4)に従って路面勾配θを算出できる。なお、算出処理の詳細は上記公報を参照されたい。
sinθ=Gr/g ………(4)
ここに、gは重力加速度である。
以上のようにして路面勾配算出部19で算出された路面勾配θが走行抵抗算出部18に入力され、上式(2)に従って算出された走行抵抗が目標W算出部17に入力される。
G={(K/V)×(W/m)−(走行抵抗/m)}×(1/9.8) ……(5)
ここに、Kは3.6×CVT3の効率、W/mはパワーウエイトレシオ、Wはエンジン2の出力である。
CVT効率はCVT3の仕様等に基づき予め判明しているため、目標W算出部17では、上式(5)に従って目標加速度Gを達成するために必要なエンジン2の目標出力W、換言すると車両1を走行させるための駆動力が算出される(目標出力算出手段)。
エンジン出力はエンジン回転速度Neとエンジントルクとの積であるため、エンジン回転速度Neを増加させてもエンジントルクを増加させても目標出力Wを達成できるが、本実施形態では、エンジントルクの増加を優先している。
図7中に実線で示すように本実施形態では、車速Vの増加に伴ってCVT3の変速比Rが次第に高ギヤ側に制御される。このためエンジン回転速度Neの上昇が抑制され、エンジン2が効率の良好な回転域に保たれる。
そして、トルク不足分を補うための低ギヤ側への変速を実行する場合、例えばCVT3では図8中のハッチング領域内であれば任意のポイントに変速比Rを制御可能である。このため、例えば変速比RがポイントAにあるときに目標トルクTeが最大トルクに達すると、エンジン回転速度Neを目標回転速度に一致可能なポイントBを狙って変速比Rが制御される。なお、遊星歯車式の自動変速機では変速段が有段のため、エンジン回転速度Neが最も目標回転速度に接近する変速段が選択される。即ち、本願はCVTのみならずAT(オートマチックトランスミッション)にも利用できる。
まず、ステップS1でアクセル開度APS、車速V及び加速度Gsを取り込み、続くステップS2で目標加速度Gを算出する(目標G算出部16)。続くステップS3では走行抵抗を算出し(走行抵抗算出部18、路面勾配算出部19)、ステップS4で目標出力Wを算出する(目標W算出部17)。
図7に基づき説明したように、通常時の変速制御が実行されながら車両1が一定車速で走行している状況で、運転者によりアクセル踏込みがなされると、図10,11に示すように、アクセル開度APSの増加に呼応して目標加速度Gが立ち上げられる。上記したように、このときの目標加速度Gは、時々刻々と変化するアクセル開度APS、車速V及びアクセル開速度ΔAPSから逐次算出され、常にそれらのパラメータに応じた値に設定される。そして、これと並行して目標加速度Gを達成可能な目標出力W、及び目標出力Wを達成可能な目標トルクTeも逐次算出される。
また、エンジン2が目標トルクTeを発生不能な場合には、図11に示すように目標トルクTeがエンジン2の最大トルクに達した時点で最大トルクに保持され、以降は低ギヤ側へのCVT3の変速制御によりエンジン回転速度Neが高められて目標出力Wが達成される。何れの場合も逐次算出される目標加速度Gに倣って車両1は加速し、最終的にアクセル開度APSに対応する平衡車速に到達する。
上記したように平衡車速では車両1の駆動力が走行抵抗と釣り合い、この時点で車両1の加速度は0となる。本実施形態では、アクセル開度APSと、アクセル踏込みにより運転者が期待する車速V(=平衡車速)とを、ロードロードの観点に基づき目標加速度G=0を介して関連付けている。具体的には図3のマップ上において、アクセル開度APSに応じて運転者が期待する車速Vを目標加速度G=0の平衡車速として設定している。このため、目標加速度Gに基づくエンジン出力の制御の結果、車両1は図3のマップ上で設定された平衡車速に確実に到達する。
本実施形態によれば、単にアクセル開度APSに応じて目標加速度Gを設定するだけでなく、図3のマップ上で運転者がアクセル開度APSに応じて期待する車速Vを目標加速度G=0の平衡車速として設定している。このため、如何なるアクセル踏込みが行われた場合でも、その後のアクセル開度APSの加減を要することなく車両1は平衡車速、換言すると運転者の期待通りの車速Vに確実に到達する。よって、この点も運転者の感覚と一致する良好な車両1の加速を実現することに大きく貢献している。
また、これに関連して、一般的なオートクルーズ制御では、目標車速への到達に必要なエンジン出力からエンジントルク及びエンジン回転速度Neを算出しているが、これら算出値は到達点での値に過ぎない。よって、目標車速に到達するまでの加速度変化は成り行きに任せたものでしかなく、やはり運転者の期待通りの加速は望めない。本実施形態では、過渡的な加速度変化をきめ細かに設定することにより、オートクルーズ制御においても最適な加速度変化をもって目標車速に到達させることができる。
また、上式(5)に基づき目標加速度Gから目標出力Wを算出する際に車重mや走行抵抗が反映されるため、共通する図3のマップを適用するだけで、車重mや走行抵抗(μa,A,μr等)が異なる車種間で同一の車両挙動を実現でき、より具体的にはアクセル開度APSや車速変化に対して同一の加速状態を実現できる。結果として、図3のマップの適合等を車種毎に実施する必要がなくなり、事前のキャリブレーションに要する工数を大幅に削減して製造コストを低減できるという効果も得られる。
また上記実施形態では、低ギヤ側への変速を実行しない通常時に図7に示す変速制御を実行したが、例えば図12に示すように、エンジン回転速度Neを予め設定された上限値Ne1と下限値Ne2との間に保持するように制御してもよい。
2 エンジン
3 CVT(変速機)
10 ECU(目標加速度算出手段、目標出力算出手段、エンジン出力制御手段)
16 目標G算出部(目標加速度算出手段)
17 目標W算出部(目標出力算出手段)
20 目標Te算出部(エンジン出力制御手段)
Claims (3)
- 少なくともアクセル開度に基づき、アクセル踏込みに応じて車両を加速させる際の目標加速度を算出する目標加速度算出手段と、
前記目標加速度算出手段により算出された目標加速度を達成するために必要なエンジンの目標出力を算出する目標出力算出手段と、
前記目標出力算出手段により算出された目標出力を達成すべく前記エンジンの出力を制御するエンジン出力制御手段と
を備え、
前記エンジン出力制御手段は、前記目標出力を達成する際に、前記エンジンの回転速度の増加よりも高い寄与度をもって該エンジンのトルクを増加させ、
前記エンジン出力制御手段は、現在のエンジン回転速度で前記目標出力を達成可能な目標トルクを算出し、該目標トルクが前記エンジンの前記現在のエンジン回転速度での最大トルク以下のときには、変速機の変速比を維持したまま前記エンジンで前記目標トルクを発生させ、前記目標トルクが前記最大トルクを超えるときには、前記目標トルクを前記最大トルクに設定して前記エンジンで前記最大トルクを発生させつつ、トルク不足分を補って前記目標出力を達成すべく前記変速機を低ギヤ側へ変速させてエンジン回転速度を増加させる
ことを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - 前記アクセル開度が大であるほど、前記車両の駆動力が走行抵抗と釣り合ったときの平衡車速が高速域側に設定されると共に、アクセル踏込みに応じて立ち上げられるときの目標加速度がより大きな値に設定されて車速の増加に伴って次第に低下して前記平衡車速で前記目標加速度が0となる特性のマップが予め設定され、
前記目標加速度算出手段は、前記マップに従って前記アクセル開度及び前記車速に基づき前記目標加速度を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の駆動力制御装置。 - 前記目標出力算出手段は、前記車両の車重及び走行抵抗を反映して前記目標加速度から前記エンジンの目標出力を算出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の駆動力制御装置。
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