本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1及び図2を参照して、パチンコ機1の機械的構成を説明する。図1に示すように、パチンコ機1の正面の上半分の部分には、発射ハンドル7の操作により図示外の発射機から発射された遊技媒体としての遊技球が流下する遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持したガラス枠13で保護されている。遊技盤2の下方部には、発射機に遊技球を供給し、且つ賞球を受ける上皿5が設けられている。上皿5には、遊技者が操作可能な操作ボタン22が設けられている。上皿5の直下には賞球を受ける下皿6が設けられ、下皿6の右横には遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。ガラス枠13の上方の左右の角にはスピーカ48が夫々設けられている。ガラス枠13の前面には演出用の電飾ランプが多数設けられている。
また、図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技領域4の略中央には、LCDから構成された表示画面28、LED等を備えた図柄表示装置8が設けられている。図柄表示装置8の左側には普通図柄始動ゲート12が設けられている。図柄表示装置8の下側には、第一始動口14及び第二始動口15が設けられており、その下方には大入賞口16が設けられている。第二始動口15は、開閉部材を備えた普通電動役物であり、開閉部材が開放された場合にのみ、遊技球は第二始動口15に入賞できる。大入賞口16は開閉部材を備えた特別電動役物であり、開閉部材が開放された場合にのみ、遊技球は大入賞口16に入賞できる。各開閉部材はソレノイドによって電気的に開閉される。大入賞口16の左右両側に、複数の普通入賞口17が設けられている。尚、遊技盤2には、上記以外に種々の電飾ランプやその他の電飾用LED、風車及び多数の障害釘等が設けられている。
次に、図柄表示装置8について説明する。図2に示すように、図柄表示装置8は、中央にLCDからなる表示画面28を備えている。表示画面28には動画やメッセージ等様々な映像が表示されるが、特に特別当たり判定の結果を遊技者に報知するために、表示画面28に横並びに3つのデモ図柄表示部が設けられている。そして、3つのデモ図柄表示部に表示されるデモ図柄を変動させた後に、特別当たり判定の結果を示す図柄を確定表示させる変動演出を行うことで、特別当たり判定の結果を遊技者に報知する。更に、変動演出に同期させて表示画面28やスピーカ48等による様々な演出を行い、遊技者の興趣を惹き付ける。
また、表示画面28の右下には、2つの7セグメントLEDによって構成される特別図柄表示部25、及び1つのLEDによって構成される普通図柄表示部24が設けられている。そして、特別図柄表示部25には、特別当たり判定の結果を遊技者に報知するために、アルファベットや数字、又はこれらの組み合わせからなる特別図柄が表示される。先述したデモ図柄の変動開始及び確定表示のタイミングは、特別図柄の変動開始及び停止のタイミングと一致する。また、普通図柄表示部24では、点灯状態が普通当たりの当選を示し、消灯が普通当たりの落選を示しており、点滅状態がこれから普通当たり判定の結果を報知することを示す普通図柄の変動状態とされている。
また、特別図柄表示部25及び普通図柄表示部24の右下には、2つのLEDによって構成される特別図柄記憶数表示LED60及び普通図柄記憶数表示LED59が配設されている。特別図柄記憶数表示LED60は、特別当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数、所謂特別図柄作動保留球数を表示し、普通図柄記憶数表示LED59は普通図柄作動保留球数を表示する。
ここで、本実施形態のパチンコ機1における遊技及び演出の概要について説明する。本実施形態のパチンコ機1では、遊技球が普通図柄始動ゲート12を通過すると、普通当たり判定が行われる。普通当たり判定において当たりと判定された場合、普通当たり遊技が実行される。普通当たり遊技では、第二始動口15の開閉部材が開放される。遊技球が第一始動口14又は第二始動口15に入賞すると、特別当たり判定が行われる。特別当たり判定において特別当たりと判定された場合、その判定結果に応じた特別当たり遊技が実行される。特別当たり遊技では、大入賞口16の開閉部材が所定回数開放される。開放された大入賞口16に遊技球が入賞すると、賞球が遊技者に付与される。
本実施形態では、特別当たり判定の結果として、15R大当たり、2R大当たり、小当たり、及びはずれを含む。大当たりはいわゆる条件装置の作動を伴う当たりであり、小当たりは条件装置の作動を伴わない当たりである。ここで、条件装置が作動するとは、例えば大当たり状態が発生して特別電動役物としての大入賞口16を連続して開閉させるための大当たりフラグがセットされることを意味する。条件装置が作動しないとは、大当たりフラグがセットされないことを意味する。
具体的には、特別当たり判定の結果が15R大当たりである場合、条件装置が作動することで、特別当たり遊技として15R大当たり遊技が実行される。15R大当たり遊技では、1回の特別当たり遊技中に大入賞口16が15回開閉され、遊技者が多数の遊技球を獲得できる。特別当たり判定の結果が2R大当たりである場合、特別当たり遊技として2R大当たり遊技が実行される。2R大当たり遊技では、条件装置が作動することで、1回の特別当たり遊技中に大入賞口16が2回開閉され、且つ1回の開放時間が15R大当たり遊技中よりも短い。特別当たり判定の結果が小当たりである場合、条件装置が作動しないが、特別当たり遊技として小当たり遊技が実行される。小当たり遊技では、大入賞口16の動作が2R大当たり遊技中と同じであり、その前後で遊技状態が変化しない。
また、パチンコ機1では、特別当たりと判定される確率が通常よりも高くなる確率変動状態と、単位時間当たりに行われる特別当たり判定の回数が通常よりも多くなる時短状態とを生起させることができる。すなわち、パチンコ機1の遊技状態には、確率変動状態及び時短状態の何れも生起されていない「通常状態」と、確率変動状態のみが生起されている「確変非時短状態」と、時短状態のみが生起されている「非確変時短状態」と、確率変動状態及び時短状態が共に生起されている「確変時短状態」とがある。そして、特別当たり時に決定された特別図柄が15R大当たりを示す確率変動図柄であれば、15R大当たり遊技終了後に「確変時短状態」が生起される。また、15R大当たりを示す非確率変動図柄であれば、100回の特別当たり判定、及び特別当たり遊技の何れかが実行されるまで継続する「非確変時短状態」が15R大当たり遊技終了後に生起される。また、2R大当たりを示す特別図柄には、確率変動図柄のみが設けられている。2R大当たりと判定された際に時短状態が生起されていれば、2R大当たり遊技終了後には「確変時短状態」が生起される。2R大当たりと判定された際に時短状態が生起されていなければ、2R大当たり遊技終了後には「確変非時短状態」が生起される。
そして、パチンコ機1では、遊技状態が「通常状態」又は「確変非時短状態」である場合、演出モードを変化させることで、遊技状態が「確変非時短状態」であることの期待度を遊技者に報知することができる。この演出モードとは、特別当たり判定の結果を示す変動演出の種別を決定するためのモードであり、変動演出の内容を示す複数の変動パターンの1つが決定されると、決定された変動パターンが示す演出が、その時点で生起されている演出モードに対応させて実行されることとなる。パチンコ機1の演出モードには、「通常モード」、「モードA」、及び「モードB」の3つの演出モードが設けられている。「通常モード」中はデモ図柄の背景色が黒色となり、確変非時短状態であることの期待度が最も低いことを示す。「モードA」中のデモ図柄の背景色は緑色であり、期待度は通常モード中よりも高い。「モードB」中のデモ図柄の背景色は赤色であり、期待度は3つの演出モードの中で最も高い。
次に、本実施形態のパチンコ機1の電気的構成について、図3を参照して説明する。図3は、パチンコ機1の電気的構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御部40は、主基板41、電源基板42、演出制御基板43、払出制御基板45、ランプドライバ基板46、中継基板47、及びサブ統合基板58から構成されている。制御部40は、パチンコ機1(図1参照)の裏側(背面側)に設けられている。
はじめに、主基板41について説明する。パチンコ機1の主制御を司る主基板41には、プログラムに従って各種の処理を行う主基板CPUユニット50が設けられている。この主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、演算処理中に発生するデータの値等を一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム、各種データの初期と、他の基板への指示を行うコマンド等を記憶したROM53とが設けられており、これらは1つのLSIとして一体にモールディングされている。また、主基板CPUユニット50には比率表示器56及び割込信号発生回路57が接続されている。CPU51は、この割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎に、ROM53に記憶されている制御プログラムを実行する。比率表示器56の詳細は、別途後述する。
また、主基板41にはI/Oインタフェイス54が設けられており、サブ統合基板58、払出制御基板45、中継基板47等のサブ基板と、第一始動口14へ入賞した遊技球を検出する第一始動口スイッチ69と、第二始動口15へ入賞した遊技球を検出する第二始動口スイッチ70とが接続されている。また、主基板41のI/Oインタフェイス54には、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する出力ポート55が接続されている。
次いで、払出制御基板45及び中継基板47について説明する。払出制御基板45には、CPU45aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMが内蔵されており、賞球払出装置49に接続されている。そして、主基板41から送信されるコマンドに従って、賞球払出装置49の制御を行う。また、中継基板47には、普通図柄始動ゲート12への遊技球の通過を検出する普通図柄作動スイッチ71、大入賞口16の開閉部材を開放・閉鎖する大入賞口開放ソレノイド72、第二始動口15の開閉部材を開放・閉鎖する電動役物開放ソレノイド73、大入賞口16に入賞した遊技球を検出するための大入賞口スイッチ75、各普通入賞口17に入賞した遊技球を検出するための普通入賞口スイッチ76、普通図柄表示部24、特別図柄表示部25、普通図柄記憶数表示LED59、及び特別図柄記憶数表示LED60が接続されている。そして、中継基板47は、スイッチやソレノイドの配線の中継と、主基板41から直接制御される表示部等への中継とを行っている。尚、第一始動口14、第二始動口15、大入賞口16、及び普通入賞口17に遊技球が入賞すると、所定数の遊技球が払い出される。
次いで、サブ統合基板58、演出制御基板43、及びランプドライバ基板46について説明する。サブ統合基板58には、CPU581、RAM582、及びROM583が設けられており、演出制御基板43、ランプドライバ基板46、及びスピーカ48に接続されている。そして、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行っている。また、演出制御基板43はCPU43aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMを内蔵しており、表示画面28の制御を行っている。また、ランプドライバ基板46にはCPU46aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMが内蔵されており、パチンコ機1の前面に多数設けられている電飾ランプ31が接続されている。そして、サブ統合基板58から送信されるコマンドに基づいて、電飾ランプ31の発光を制御している。
次いで、電源基板42について説明する。電源基板42は、主基板41及び遊技球発射装置37に接続されており、各基板及び遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給している。遊技球発射装置37は、図示外の発射モータや、発射ハンドル7に設けられたタッチセンサ、発射装置停止スイッチ、及び発射強弱調整ボリューム等からなり、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域へ発射する。
次に、主基板41のRAM52の記憶エリアについて、図4を参照して説明する。図4は、主基板41のRAM52の記憶エリアを示す概念図である。図4に示すように、RAM52には、各種のカウンタを記憶するカウンタ記憶エリア5201、普通図柄始動ゲート12、第一始動口14、第二始動口15等の各入賞口に遊技球が入賞したか否かを示すフラグを記憶する入賞球フラグ記憶エリア5202、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過した際に取得される乱数を記憶する普通当たり関係情報記憶エリア5203、普通図柄作動保留球数を記憶する普通図柄作動保留球数記憶エリア5204、第一始動口14又は第二始動口15の何れかへの遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶する特別当たり関係情報記憶エリア5205、特別図柄作動保留球数を記憶する特別図柄作動保留球数記憶エリア5206、主基板41からサブ統合基板58、払出制御基板45、中継基板47等へ出力される制御コマンドを記憶するコマンド関係記憶エリア5207、各種フラグを記憶するフラグ関係記憶エリア5208、後述の遊技情報を記憶する遊技情報記憶エリア5209等が設けられている。更にRAM52には、図示外の各種の記憶エリアが設けられている。
次に、RAM52のカウンタ記憶エリア5201に記憶される各カウンタについて説明する。RAM52に記憶されるカウンタには、乱数を取得するための乱数取得カウンタ、時間を計測するためのタイマカウンタ、入賞球数を計数するための入賞球数カウンタ等がある。
まず、乱数取得カウンタについて説明する。乱数取得カウンタとしては、普通当たり判定カウンタ、特別当たり判定カウンタ、特別図柄決定カウンタ、変動パターン決定カウンタ等がある。これらのカウンタの値は、割込信号発生回路57(図3参照)からの割込信号に基づいて実行されるメイン処理のカウンタ更新処理(S12、図7参照)において、一定間隔の時間(例えば、割込信号発生の間隔である2ms)毎に所定量(例えば「1」)ずつ加算される。また、各カウンタには最小値(下限値)及び最大値(上限値)が設けられており、最小値から最大値までの範囲の数値内を循環するように構成されている。そして、更新により値が一巡して初期値と同じ値となる毎に、新たな初期値が取得され、その初期値に対して「1」ずつの加算が行われる。この新たな初期値の決定には、所定のアルゴリズムにより乱数を発生させる初期値乱数処理によって生成された乱数が用いられる。尚、これらの乱数取得カウンタは、後述するメイン処理の普通図柄処理(S16、図7参照)、及び特別図柄処理(図8及び図9参照)において使用される。
次いで、タイマカウンタについて説明する。タイマカウンタは時間を計測するために使用されるカウンタであり、時間の計測開始時に初期値として所定の値が記憶される。例えば、1秒を計測する場合には初期値として「500」が記憶される。そして、割込信号発生の間隔である2ms毎に行われるカウンタ更新処理(S12、図7参照)において「1」ずつ減算されて、値が「0」でなければ時間の計測中、値が「0」となることで所定時間が経過したと判断される。
次いで、入賞球数カウンタについて説明する。入賞球数カウンタは、大入賞口16が1回の開閉動作を行う間に、この大入賞口16へ入賞した遊技球の個数を計数するために使用される。このカウンタの初期値は「0」であり、後述するメイン処理のスイッチ読込処理(S11、図7参照)において入賞が検出される毎に「1」加算される。そして、大入賞口16が閉鎖すると初期化される。
図5を参照し、RAM52の特別当たり関係情報記憶エリア5205について説明する。特別当たり関係情報記憶エリア5205には、乱数情報記憶エリア及び判定エリアが設けられる。判定エリアには、特別当たり判定時に、乱数情報記憶エリアで判定対象の記憶エリアの乱数が記憶される。特別当たり関係情報記憶エリア5205は、特別図柄処理(S6、図6参照)において使用される。
乱数情報記憶エリアには、記憶エリア番号欄、特別大当たり乱数欄、特別図柄決定乱数欄、変動パターン決定乱数欄、ポインタ欄が設けられる。遊技球が第一始動口14又は第二始動口15の何れかに入賞すると、特別大当たり判定に関係し、その時点で計数される乱数取得カウンタのカウント値が夫々取得される。各カウント値は、取得時に昇順に割り当てられる記憶エリア番号に対応する乱数情報記憶エリアの各欄に記憶される。特別当たり乱数欄には、特別当たり判定に用いられる特別大当たり乱数が記憶される。特別図柄決定乱数欄には、特別図柄の決定に用いられる特別図柄決定乱数が記憶される。変動パターン決定乱数欄には、特別図柄の変動時間を示す変動パターンの決定に用いられる変動パターン決定乱数が記憶される。ポインタ欄には、乱数が取得され、且つ未だ処理が行われていない記憶エリア番号を指し示すポインタが記憶される。ポインタは、乱数の取得順を示す保留1〜4の4つが設けられ、記憶エリア番号を、その値が小さい順に指し示す。
特別図柄作動保留球数の最大値は4である。遊技球が第一始動口14又は第二始動口15の何れかに入賞した時、特別図柄作動保留球数が4未満(0〜3)であれば、記憶エリア番号欄に記憶する記憶エリア番号の値が小さい順に、各欄に乱数が記憶される。CPU51は、保留1のポインタが示す記憶エリア番号に対応する各欄の乱数を判定エリアに書き込み、ポインタを更新して、特別大当たり判定等の各種処理を行う。判定エリアに記憶される乱数に関する処理(具体的には、特別当たり判定結果を報知する報知演出、特別当たり判定結果が特別当たりの場合に実行される特別当たり遊技)が終了すると、更新後の保留1のポインタが示す記憶エリア番号に対応する各欄の乱数が判定エリアに書き込まれ、特別当たり判定等の処理が繰り返される。なお、処理が終了した記憶エリアの乱数は、適宜消去してもよい。
次に、ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブルについて、図6を参照して説明する。変動パターンとは、特別当たり判定の結果を示す際に用いられる図柄の変動パターンである。この変動パターンによって、特別図柄表示部25、及び表示画面28のデモ図柄表示部に表示される図柄の変動時間や、これらの図柄の変動に同期して表示画面28、電飾ランプ31、スピーカ48等によって行われる演出の内容(パターン)が決定される。そして、サブ統合基板58は、主基板41で決定された変動パターンの内容を、その時点で生起されている演出モードに応じた背景色、登場キャラクタ、音楽等と共に表示画面28等に実行させる。
図6に示すように、変動パターン決定テーブルには、特別当たり判定時の遊技状態(通常・確変非時短状態、又は確変時短・非確変時短状態)、及び特別当たり判定の結果(はずれ、15R大当たり、2R大当たり、又は小当たり)に応じたテーブルが設けられている。例えば、確変非時短状態中に2R大当たりと判定され、取得されている変動パターン決定乱数が「35」である場合には、「移行チャンスB」の変動パターンが決定される。
ここで、通常・確変非時短状態中に2R大当たり又は小当たりと判定された場合には、「移行チャンスA〜C」の変動パターンが決定されることとなる。この変動パターンが決定された際に、確変非時短状態が生起されている期待度が最も低い演出モードである「通常モード」が生起されていれば、期待度がより高い「モードA」へ演出モードを移行させる変動演出が表示画面28等によって行われ、演出モードが「モードA」へ移行する。また、「移行チャンスA〜C」が決定された際の演出モードが「モードA」であれば、期待度が最も高い「モードB」へ演出モードを移行させる変動演出が行われ、「モードB」であれば、同一のモードを維持する変動演出が行われる。
また、確変時短・非確変時短状態中に2R大当たりと判定された場合には、「昇格・維持演出A〜C」の変動パターンが決定される。この変動パターンが決定された場合、遊技状態が「確変時短状態」であれば、遊技状態が維持されることを示す変動演出が、「非確変時短状態」であれば、遊技者に最も有利な「確変時短状態」が生起されることを示す変動演出が行われる。また、確変時短・非確変時短状態中に小当たりと判定された場合には、「非昇格・維持演出A〜C」の変動パターンが決定される。この変動パターンが決定された場合、遊技状態が「確変時短状態」であれば遊技状態が維持されることを示す変動演出が、「非確変時短状態」であれば「確変時短状態」への移行抽選に落選したことを示す変動演出が行われる。
次に、パチンコ機1の主基板41による動作の詳細について、図7乃至図9を参照して説明する。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。パチンコ機1の制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムにより行われる。制御プログラムのメイン処理は、割込信号発生回路57(図3参照)が発生する割込信号をCPU51が感知した際に、CPU51において実行される。割込信号は、一定の間隔(本実施形態では2ms)毎に発生されるので、メイン処理は2ms毎に繰り返し実行されることになる。
まず、主基板41で行われるメイン処理について、図7を参照して説明する。図7に示すように、割込信号の感知によってメイン処理が開始されると、まず、コマンド出力処理が行われる(S10)。このコマンド出力処理では、制御コマンドが、I/Oインタフェイス54を介してサブ統合基板58や払出制御基板45、中継基板47等に出力される。制御コマンドには、決定された特別図柄を指定するコマンド、変動パターンを指示するコマンド、特別図柄を停止させるタイミングを指示するコマンド、特別当たり遊技の開始を通知するコマンド、時短状態の終了を通知するコマンド、電動役物の開閉タイミングを指示するコマンド等、多数のコマンドがある。ここで出力される制御コマンドは、前回実施されたメイン処理において、RAM52のコマンド関係記憶エリア5207に出力コマンドとして記憶された制御コマンドである。
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。このスイッチ読込処理では、普通図柄始動ゲート12、第一始動口14、第二始動口15、普通入賞口17、及び大入賞口16への遊技球の入賞を検知するための処理が行われる。具体的には、これらの入賞口に設けられた各スイッチ(図3参照)により遊技球が検出されたか否かが判断され、遊技球が検出された場合には、RAM52の入賞球フラグ記憶エリア5202に記憶された各スイッチに対応したフラグがONとされる。更に、大入賞口16の1回の開放中に入賞した遊技球の個数が入賞球数カウンタによって計数される。尚、スイッチ読込処理の開始時には、入賞球フラグ記憶エリアの全てのフラグがリセットされる。
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。先述したように、このカウンタ更新処理では、RAM52のカウンタ記憶エリア5201に記憶されている乱数取得カウンタの各値が所定量だけ加算され、タイマカウンタの各値が所定量だけ減算される。
次いで、特別電動役物処理が行われる(S13)。この特別電動役物処理では、特別当たり遊技中に、大入賞口16の開閉動作を指示するためのコマンドの処理が行われる。また、特別当たり遊技の終了時には、特別当たり遊技の基となった特別図柄の種類と、特別当たり判定時の遊技状態とに応じて、確変時短状態、非確変時短状態、及び確変非時短状態の何れかを生起させるためのフラグ(確率変動フラグ及び時短中フラグ)の処理が行われる。
次いで、特別図柄処理が行われる(S14)。この特別図柄処理では、特別当たり判定、変動パターンの決定、指示、図柄の変動の開始及び終了の指示等の処理が行われる。この特別図柄処理については、図8及び図9のフローチャートを参照して後述する。
次いで、普通電動役物処理が行われる(S15)。この普通電動役物処理では、普通当たりとなった場合に、第二始動口15の開閉部材を所定時間開放させて遊技球の入賞を容易とする処理が行われる。尚、第二始動口15の1回の開放時間は、非時短状態中よりも時短状態中の方が長い。
次いで、普通図柄処理が行われる(S16)。普通図柄処理では、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過した際に、普通当たり判定カウンタの値が普通当たり乱数として取得される。そして、取得された乱数に基づいて普通当たり判定が行われ、判定結果を普通図柄表示部24に表示させる処理が行われる。尚、普通図柄表示部24に表示される普通図柄の変動時間は、非時短状態中よりも時短状態中の方が短い。
次いで、賞球の払い出しを行う払出処理(S17)、及びエラーチェック(S18)が行われる。払出処理では、払出制御基板45を介して賞球払出装置49から、複数の所定領域(第一始動口14、第二始動口15、大入賞口16、及び普通入賞口17)のうちで遊技球が入賞した領域に応じた数量の賞球を、特典として払い出させる。エラーチェックでは、パチンコ機1にエラーが発生している場合には、表示画面28にエラー表示を行わせたり、スピーカ48にエラー音を発音させたりする。そこで、S10のコマンド出力処理にてサブ統合基板58へ送信するためのエラーコマンドがRAM52のコマンド関係記憶エリア5207に記憶される。
次いで、情報出力処理(S19)において、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の特別当たり情報、始動情報等の各種の情報が出力ポート55を介して出力される。情報出力処理が終わるとメイン処理は終了する。そして、割込信号発生回路57から割込信号を受信すると、また最初からメイン処理が実行される。
次に、メイン処理の特別図柄処理(S14)の詳細について、図8及び図9に示すフローチャートを参照して説明する。先述したように、特別図柄処理では、特別当たり判定、図柄や変動パターンの決定、指示、図柄の変動の開始及び終了の指示等の処理が行われる。
はじめに、特別図柄処理で使用されるフラグについて説明する。RAM52のフラグ関係記憶エリア5208には、特別図柄表示状態フラグ、特別当たり遊技状態フラグ、確率変動フラグ、時短中フラグ等が記憶されている。特別図柄表示状態フラグは特別図柄表示部25の状態を示すフラグであり、特別図柄表示部25が変動している場合(変動中)には「1」、停止表示されている場合(停止表示中)には「2」、変動中、停止表示中の何れでもない場合には「0」が記憶されている。また、特別当たり遊技状態フラグは、特別当たり遊技中に「1」が記憶されて「ON」となっている。また、確率変動フラグは、特別当たりと判定される確率が通常状態中よりも高くなる確率変動中に「1」が記憶されて「ON」となる。そして、時短中フラグは、普通図柄の変動時間が通常よりも短くなり、第二始動口15の開閉部材の開放時間が通常よりも長くなる時短状態中に「1」が記憶されて「ON」となる。
図8に示すように、メイン処理の特別図柄処理が開始されると、第一始動口14又は第二始動口15の何れかに遊技球が入賞しているか否かが判断される(S21)。スイッチ読込処理(S11、図7参照)において、第一始動口14及び第二始動口15の何れにも遊技球の入賞が検出されていない場合には(S21:NO)、そのままS26の判断へ移行する。
第一始動口14又は第二始動口15への遊技球の入賞が検出されている場合には(S21:YES)、その遊技球についての乱数を取得する処理が行われる。しかし、乱数を取得して記憶することができる特別図柄作動保留球数の数は「4」である。そこで、RAM52の特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値が「4」であるか否かの判断が行われ(S22)、「4」である場合には(S22:YES)、この遊技球についての乱数は記憶できないので、そのままS26の判断へ移行する。
特別図柄作動保留球数が「0」〜「3」の何れかである場合には(S22:NO)、特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値に「1」が加算される(S23)。そして特別当たり関係情報記憶エリア5205(図5参照)において、先述のように乱数情報記憶エリアに乱数が記憶される(S24)。具体的には、特別当たり乱数欄には特別当たり判定カウンタの値が、特別図柄決定乱数欄には特別図柄決定カウンタの値が、変動パターン決定乱数欄には変動パターン決定カウンタの値が記憶される。
次いで、特別当たり遊技状態であるか否かの判断が行われる(S26)。特別当たり遊技状態である場合には、特別当たり判定や判定結果の報知は行われない。そこで、特別当たり遊技状態フラグが「ON」であり、特別当たり遊技状態であると判断された場合には(S26:YES)、そのままメイン処理へ戻る。
特別当たり遊技状態フラグが「OFF」である場合には(S26:NO)、特別当たり遊技状態ではないので、特別図柄表示部25及び変動演出の制御に関する処理が行われる。まず、特別図柄表示状態フラグにより、特別図柄表示部25が変動中であるか否かの判断が行われる(S27)。特別図柄表示状態フラグが「1」でなく、変動中でない場合には(S27:NO)、特別図柄が停止表示中であるか否かが判断される(S28)。特別図柄表示状態フラグが「2」でなく、特別図柄表示部25に表示されている特別図柄が停止表示中でなければ(S28:NO)、特別当たり判定が行われる。
そこで、図9のフローチャートに示すように、特別当たり判定を行うべき遊技球が存在するか否かが判断される(S31)。RAM52の特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値が「1」以上でなければ(S31:NO)、特別当たり判定を行うべき遊技球は存在しないので、そのままメイン処理へ戻る。「1」以上であれば(S31:YES)、特別当たり判定を行うべき遊技球が存在するので、特別当たり関係情報記憶エリアで保留1のポインタが指す記憶エリア番号に対応する各乱数が判定エリアに書き込まれる(S32)。ポインタが更新され、特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値が「1」減算される(S33)。
次いで、特別当たり判定が行われる(S35)。ここで、特別当たり判定を行うための判定テーブルには、非確率変動中に用いられる低確率判定テーブルと、確率変動中に用いられ、特別当たりと判定される確率が非確率変動中よりも高くなる高確率判定テーブルとが設けられている。そして、特別当たり判定は、確率変動状態が生起されているか否かに応じて、何れかの判定テーブルが参照されて行われる。
特別当たり判定によって大当たりと判定された場合には(S39:YES)、特別図柄決定乱数欄に記憶されている値に基づいて、ROM53に記憶されている大当たりの組み合わせの中の1つが特別図柄として決定される(S40)。そして、決定された特別図柄が15R大当たりの特別図柄であれば(S41:YES)、変動パターン決定テーブル(図6参照)が参照されて、遊技状態に応じた15R大当たりの変動パターンの1つが決定される(S42)。また、15R大当たりの特別図柄でなく、2R大当たりの特別図柄であれば(S41:NO)、遊技状態に応じて2R大当たりの変動パターンが決定される(S43)。そして、S52の処理へ移行する。
また、特別当たり判定によって大当たりと判定されず(S39:NO)、小当たりと判定された場合には(S45:YES)、小当たりを示す特別図柄(本実施形態では「00」)が決定される(S46)。そして、遊技状態に応じて小当たりの変動パターンが決定されて(S47)、S52の処理へ移行する。また、当たり判定の結果が大当たりでなく(S39:NO)、小当たりでもない場合には(S45:NO)、はずれを示す特別図柄(本実施形態では「−−」)が決定される(S48)。そして、遊技状態に応じてはずれの変動パターンが決定されて(S49)、S52の処理へ移行する。
次いで、決定された変動パターンを示すと共に、特別図柄及びデモ図柄の変動開始を指示するための変動パターン指定コマンドが、RAM52のコマンド関係記憶エリア5207に記憶される(S52)。そして、決定された特別図柄を示す特別図柄指定コマンドがコマンド関係記憶エリア5207に記憶され(S53)、変動パターン毎に決められている特別図柄の変動時間がRAM52の特別図柄変動時間カウンタに記憶される(S54)。そして、特別図柄が変動中であることを示す「1」が特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S55)、メイン処理へ戻る。
また、図8に示すS27の判断において、特別図柄表示状態フラグに「1」が記憶されており、特別図柄表示部25が変動中であると判断された場合には(S27:YES)、変動時間が経過したか否かが判断される(S71)。S54(図9参照)でセットされた特別図柄変動時間カウンタの値が「0」となった場合には、変動時間が経過したので(S71:YES)、RAM52のコマンド関係記憶エリア5207に特別図柄停止コマンドが記憶される(S72)。この特別図柄停止コマンドは、特別図柄表示部25の特別図柄の変動停止、及び表示画面28等によって行われる変動演出の終了を指示するためのコマンドである。そして、所定の停止表示時間が特別図柄停止時間カウンタに記憶され(S73)、特別図柄が停止表示中であることを示す「2」が特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S74)、メイン処理へ戻る。一方で、S71の判断において、特別図柄変動時間カウンタの値が「0」でなく、変動時間がまだ経過していない場合には(S71:NO)、特別図柄の変動が継続される。そこで、そのまま特別図柄処理を終了し、メイン処理へ戻る。
また、S28の判断において、特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶されており、特別図柄表示部25が停止表示中であると判断された場合には(S28:YES)、停止表示時間が経過したか否かが判断される(S75)。S73でセットされた特別図柄停止時間カウンタの値が「0」でない場合には(S75:NO)、そのまま特別図柄処理を終了し、メイン処理へ戻る。一方で、カウンタの値がカウンタ更新処理(S12、図8参照)において減算されて「0」となった場合には、停止表示時間が経過したので(S75:YES)、特別図柄表示部25が停止表示中でも変動中でもないことを示す「0」が特別図柄表示状態フラグに記憶される(S76)。そして、時短中フラグ処理が行われる(S77)。パチンコ機1では、15R大当たり遊技終了後に生起された非確変時短状態は、特別当たり判定が100回行われると終了する。そこで、S77の処理では、非確変時短状態中に当たり判定が100回行われた場合に、時短中フラグを「0」として、非確変時短状態が終了したことを示す時短終了コマンドを記憶する処理が行われる。
次いで、先に行われた特別当たり判定で特別当たりと判定された場合には(S78:YES)、特別当たり遊技状態であることを示す「1」が特別当たり遊技状態フラグに記憶されて「ON」とされ(S79)、特別当たり遊技を開始することをサブ統合基板58へ通知する特別当たり遊技開始コマンドが記憶されて(S80)、メイン処理へ戻る。また、特別当たりと判定されなかった場合には(S78:NO)、そのままメイン処理へ戻る。
次に、サブ統合基板58における処理について、図10を参照して説明する。サブ統合基板処理では、主基板41から送信されるコマンドに従って、表示画面28、電飾ランプ31、スピーカ48等による演出を制御する処理が行われる。特に、主基板41において決定された変動パターンに応じた変動演出の内容を、その時点で生起されている演出モードに対応させて実行させる。
まず、サブ統合基板58のRAM582、及びROM583について説明する。RAM582には、主基板41により指定された変動パターンが記憶される変動パターン記憶エリア、主基板41により指定された特別図柄が記憶される特別図柄記憶エリア、各種カウンタが記憶されるカウンタ記憶エリア、演出制御基板43等に出力される制御コマンドが記憶されるコマンド関係記憶エリア、各種フラグ(例えば、確変中フラグや時短中フラグ)が記憶されるフラグ関係記憶エリア等の記憶エリアが設けられている。また、ROM583には、CPU581がパチンコ機1の制御を補助するための各種プログラム等が記憶されている。
以下、サブ統合基板58で行われるサブ統合基板処理について説明する。図10に示すように、サブ統合基板処理が開始されると、まず、変動パターン指定コマンドを受信したか否かが判断される(S101)。受信した場合には(S101:YES)、コマンドによって指定された変動パターンがRAM582に記憶されて(S102)、変動演出の内容、種別、演出モードの移行等を決定する演出決定処理が行われる(S103)。
次いで、変動パターン指定コマンドと共に主基板41から送信される特別図柄指定コマンドが受信されて(S104)、コマンドによって指定された特別図柄がRAM582に記憶される(S105)。そして、特別図柄に応じて、遊技状態を把握するためのフラグの処理が行われる。特別図柄が大当たりを示す特別図柄でなければ(S108:NO)、当たり判定の結果に起因して遊技状態が変更されることはないため、そのままS101の判断へ戻る。大当たりであれば(S108:YES)、確率変動大当たりを示す特別図柄であるか否かが判断される(S109)。確率変動大当たりでなければ(S109:NO)、大当たりは非確率変動の15R大当たりであるため、確変中フラグに確率変動中でないことを示す「0」が記憶されて「OFF」とされ(S113)、時短状態中であることを示す「1」が時短中フラグに記憶されて「ON」とされて(S114)、S101の判断へ戻る。また、確率変動大当たりであれば(S109:YES)、確変中フラグに確率変動中であることを示す「1」が記憶されて「ON」とされ(S110)、15R大当たりであるか否かが判断される(S111)。大当たりが確率変動の15R大当たりであれば(S111:YES)、更に時短中フラグが「ON」とされて(S114)、S101の判断へ戻る。また、大当たりが2R大当たりであれば(S111:NO)、時短中フラグは変更されることなく、そのままS101の判断へ戻る。
また、変動パターン指定コマンドを受信していない場合には(S101:NO)、特別当たり遊技開始コマンドを受信したか否かが判断され(S116)、受信した場合には(S116:YES)、特別当たり遊技中の演出を開始させる処理が行われて(S117)、S101の判断へ戻る。また、特別当たり遊技開始コマンドを受信していない場合には(S116:NO)、時短終了コマンドを受信したか否かが判断される(S119)。非確変時短状態中に100回の当たり判定が行われ、時短終了コマンドが主基板41から送信された場合には(S119:YES)、時短中フラグが「OFF」とされて(S120)、S101の判断へ戻る。時短終了コマンドを受信していない場合には(S119:NO)、その他の各種処理が行われて(S121)、S101の判断へ戻る。
図11乃至図16を参照して、パチンコ機1の主基板41によって実行される比率情報の報知について説明する。まず図11を参照して、RAM52の遊技情報記憶エリア5209(図4参照)の詳細を説明する。図11に示すように、遊技情報記憶エリア5209には複数の記憶エリアが設けられている。これらの記憶エリアは、1つの累計RAM、複数(本実施形態では、10個)の単位別RAM(以下、単位別RAM1〜10という。)、1つの指定用RAMを含んでいる。
累計RAMは、パチンコ機1が店舗に設置されて稼働開始した時点から現時点までの遊技情報を記憶するための記憶エリアである。本実施形態の遊技情報は、パチンコ機1の遊技時に払い出された賞球に関する情報である。即ち遊技情報は、遊技球が第一始動口14、第二始動口15、大入賞口16、及び普通入賞口17の何れかに入賞した場合に、その入賞に基づいて払い出される賞球に関する情報である。
単位別RAM1〜10の各々は、n個(nは2以上の整数)の連続する集計単位分の遊技情報を記憶するための記憶エリアである。本実施形態では、1つの集計単位(一単位)が、予め定められた単位時間(具体的には、1時間分)である。単位別RAM1〜10の各々は、10個の連続する集計単位分(即ち10時間分)の遊技情報を記憶する。単位別RAMは、集計単位数であるn個と同数(即ち10個)で設けられている。以下では、n個の連続する集計単位分の遊技情報(即ち10時間分の遊技情報)を、集計対象分の遊技情報という。指定用RAMは、単位別RAM1〜10のうちで、集計対象分の遊技情報の記憶が完了した記憶完了RAMを指定するための記憶エリアである。
累計RAMは、更に複数の記憶エリアとして、総賞球累計RAM、役物賞球累計RAM、連続役物賞球累計RAMを含む。総賞球累計RAMは、パチンコ機1が店舗に設置された時点から現時点までに払い出された賞球の累計値(以下、総賞球累計値)を記憶する。役物賞球累計RAMは、パチンコ機1が店舗に設置された時点から現時点までに払い出された役物賞球の累計値(以下、役物賞球累計値)を記憶する。役物賞球は、電動役物(本実施形態では、第二始動口15及び大入賞口16)への入賞時に払い出される賞球である。連続役物賞球累計RAMは、パチンコ機1が店舗に設置された時点から現時点までに払い出された連続役物賞球の累計値(以下、連続役物賞球累計値)を記憶する。
連続役物賞球は、大当たり遊技中における大入賞口16への入賞時に払い出される賞球である。従って、大当たり遊技以外で大入賞口16への入賞時に払い出される賞球は、連続役物賞球に該当しない。例えば、特別当たり遊技のうちで2R大当たり遊技又は15R大当たり遊技が実行されている場合に、大入賞口16への入賞に応じて払い出される賞球は、電動役物及び連続役物賞球の両方に該当する。一方、特別当たり遊技のうちで小当たり遊技が実行されている場合に、大入賞口16への入賞時に払い出される賞球は、役物賞球に該当する一方、連続役物賞球には該当しない。
単位別RAM1〜10の各々は、更に複数の記憶エリアとして、総賞球RAM、役物賞球RAM、連続役物賞球RAMを含む。総賞球RAMは、集計対象分の賞球の合計値を記憶する。役物賞球RAMは、集計対象分の役物賞球の合計値を記憶する。連続役物賞球RAMは、集計対象分の連続役物賞球の合計値を記憶する。以下では説明の便宜のため、単位別RAM1の総賞球RAM、役物賞球RAM、連続役物賞球RAMを、夫々、総賞球RAM1、役物賞球RAM1、連続役物賞球RAM1と表記する(単位別RAM2〜10も同様)。即ち単位別RAM1〜10は、夫々集計対象分(即ち10時間分)の遊技情報を記憶可能であり、詳細には一単位分(即ち1時間分)ずつ異なる集計対象分の遊技情報が記憶されるが、詳細は後述する。
本実施形態のパチンコ機1は、電源が切断された場合にRAM52等の記憶内容を保持するために、公知のバックアップ機能を備えている。従ってパチンコ機1に電断が発生した場合でも、RAM52等の記憶内容は保持されるため、パチンコ機1は電源復帰後に電断直前の状態に戻る。従って、遊技情報記憶エリア5209に記憶されている遊技情報も、パチンコ機1に電断が発生した場合に消去されることなく保持される。
図12を参照して、主基板41で行われる履歴管理処理について説明する。CPU51は、パチンコ機1の電源が投入されるとROM53の制御プログラムに基づいて、メイン処理(図7参照)と並行して履歴管理処理を実行する。図12に示すように、まず賞球ありか判断される(S201)。本実施形態では、メイン処理の払出処理(S17)において賞球払出しが行われた場合、賞球ありと判断される(S201:YES)。この場合、以下の賞球計数処理が実行される(S202)。
図13に示すように、賞球計数処理では、まず払出処理(S17)で払い出された賞球数が、総賞球RAM1〜10の各々に加算され(S211)、更に総賞球累計RAMに加算される(S212)。次に、払い出された賞球が役物入賞による賞球であるか判断される(S213)。役物入賞による賞球である場合(S213:YES)、払い出された賞球数が、役物賞球RAM1〜10の各々に加算され(S214)、更に役物賞球累計RAMに加算される(S215)。役物入賞による賞球でない場合(S213:NO)、又はS215の実行後、払い出された賞球が連続役物入賞による賞球であるか判断される(S216)。連続役物入賞による賞球である場合(S216:YES)、払い出された賞球数が、連続役物賞球RAM1〜10の各々に加算され(S217)、更に連続役物賞球累計RAMに加算される(S218)。連続役物入賞による賞球でない場合(S216:NO)、又はS218の実行後、以下のRAMクリア処理が実行される(S219)。その後、処理は履歴管理処理(図12参照)に戻る。
図14に示すように、RAMクリア処理では、まず前回のRAMクリアから時間t2が経過したか判断される(S221)。本実施形態では、時間t2は先述の集計単位と同じ時間(即ち1時間)である。前回のRAMクリアは、その直前に実行された後述のS225又はS229の処理である。本実施形態では、パチンコ機1の稼働開始から時間t2が経過した場合も、前回のRAMクリアから時間t2が経過したと判断される。前回のRAMクリアから時間t2が経過していない場合(S221:NO)、処理は賞球計数処理(図13参照)に戻る。
前回のRAMクリアから時間t2が経過した場合(S221:YES)、指定用RAMで記憶完了RAMが指定されているか判断される(S222)。本実施形態では、パチンコ機1の稼働開始から集計条件が満たされるまで(即ち、パチンコ機1の稼働開始から10時間分が経過するまで)、単位別RAM1〜10の何れにも集計対象分の遊技情報が記憶されていない。従って、パチンコ機1の稼働開始から集計条件が満たされるまでは、指定用RAMで記憶完了RAMが指定されない(S222:NO)。この場合、RAM52に記憶されている変数pが「1」加算される(S223)。変数pは、後述のS225において、遊技情報をクリアする対象となる単位別RAMを示す。本実施形態では、パチンコ機1の稼働開始時に、変数pに初期値として「1」が設定される。従って、パチンコ機1の稼働開始後に初めて実行されるS223では、変数pが「2」に更新される。
次いで、変数pが単位別RAMの数量(本実施形態では10)より大であるか判断される(S224)。変数pが単位別RAMの数量より大でない場合(S224:NO)、変数pの単位別RAMの遊技情報がクリアされる(S225)。詳細には、変数pの単位別RAMにおける総賞球RAM、役物賞球RAM、連続役物賞球RAMに記憶されている各値が「0」にリセットされる。例えば変数pが「2」である場合は、単位別RAM2の遊技情報がクリアされる。その後、処理は賞球計数処理(図13参照)に戻る。一方、変数pが単位別RAMの数量より大である場合(S224:YES)、指定用RAMにおいて単位別RAM1が記憶完了RAMとして指定されて(S226)、処理はS222に戻る。
指定用RAMで記憶完了RAMが指定されている場合(S222:YES)、その記憶完了RAMには集計対象分(10時間分)の遊技情報が記憶されている。この場合、記憶完了RAMに記憶されている遊技情報に基づいて、その連続役物賞球RAMの合計値(連続役物賞球合計値)が算出され、且つその総賞球RAMの合計値(総賞球合計値)が算出される。そして、連続役物賞球合計値を総賞球合計値で割った値が、連続役物比率(6Y)として算出される(S227)。連続役物賞球合計値は、連続役物賞球RAMに記憶されている集計対象分(即ち10時間分)の連続役物賞球数の合計値である。総賞球合計値は、総賞球RAMに記憶されている集計対象分(即ち10時間分)の賞球数の合計値である。従って連続役物比率(6Y)は、集計対象分の賞球数の合計値に対する、集計対象分の連続役物賞球数の合計値の比率である。算出された連続役物比率(6Y)は、RAM52の所定記憶エリアに記憶される。
次に、記憶完了RAMに記憶されている遊技情報に基づいて、その役物賞球RAMの合計値(役物賞球合計値)が算出され、且つその総賞球RAMの合計値(総賞球合計値)が算出される。そして、役物賞球合計値を総賞球合計値で割った値が、役物比率(7Y)として算出される(S228)。役物賞球合計値は、役物賞球RAMに記憶されている集計対象分(即ち10時間分)の役物賞球数の合計値である。従って役物比率(7Y)は、集計対象分の賞球数の合計値に対する、集計対象分の役物賞球数の合計値の比率である。算出された役物比率(7Y)は、RAM52の所定記憶エリアに記憶される。
その後、記憶完了RAMの遊技情報がクリアされる(S229)。詳細には、記憶完了RAMにおける総賞球RAM、役物賞球RAM、連続役物賞球RAMに記憶されている各値が「0」にリセットされる。次いで、指定用RAMにおいて次の単位別RAMが記憶完了RAMとして指定される(S230)。本実施形態では、所定の記憶順序が、単位別RAM1〜10の昇順に定められており、且つ単位別RAM10の次は単位別RAM1に戻るように定められている。S230では、この所定の記憶順序に基づいて、S229で遊技情報がクリアされた記憶完了RAMに次ぐ単位別RAMが、指定用RAMにおいて記憶完了RAMとして指定される。その後、処理は賞球計数処理(図13参照)に戻る。
図12に示すように、賞球がない場合(S201:NO)、又はS202の実行後、連続役物賞球累計RAMの値を総賞球累計RAMの値で割った値が、連続役物比率(6A)として算出される(S203)。即ち連続役物比率(6A)は、パチンコ機1の稼働開始から現時点までの総賞球累計値に対する、パチンコ機1の稼働開始から現時点までの連続役物賞球累計値の比率である。次に、役物賞球累計RAMの値を総賞球累計RAMの値で割った値が、役物比率(7A)として算出される(S204)。即ち役物比率(7A)は、パチンコ機1の稼働開始から現時点までの総賞球累計値に対する、パチンコ機1の稼働開始から現時点までの役物賞球累計値の比率である。算出された連続役物比率(6A)及び役物比率(7A)は、RAM52の所定記憶エリアに記憶される。
次いで、前回の表示切替から時間t1が経過したか判断される(S205)。本実施形態では、時間t1は5秒である。前回の表示切替は、その直前に実行された後述のS206の処理である。前回の表示切替から時間t1が経過した場合(S221:YES)、算出された各比率(6Y,7Y,6A,7A)の表示切替が行われる(S206)。本実施形態では、RAM52の所定記憶エリアに記憶されている各比率(6Y,7Y,6A,7A)が、比率表示器56において時間t1が経過するごとに、6Y,7Y,6A,7Aの順で切替表示される。従ってS206では、現在表示されている比率に代えて、次に表示すべき比率が比率表示器56に表示される。前回の表示切替から時間t1が経過していない場合(S205:NO)、又はS206の実行後、処理はS201に戻る。
図15及び図16を参照して、比率情報の報知の具体例を説明する。例えばパチンコ機1の稼働開始後に、パチンコ機1において賞球が払い出される毎に(S201:YES)、その賞球に関する遊技情報(賞球数)が累計RAM及び全ての単位別RAM1〜10に追加される(S202)。累計RAMに記憶されている遊技情報に基づいて、最新の連続役物比率(6A)及び役物比率(7A)が算出される(S203、S204)。そして時間t1(即ち5秒)が経過する毎に、算出比率が比率表示器56で切替表示される(S206)。
なお、パチンコ機1の稼働開始時から集計条件が満たされるまでは(即ち10時間が経過するまでは)、指定用RAMで記憶完了RAMが指定されないため、連続役物比率(6Y)及び役物比率(7Y)が算出されない(S222:NO)。従って比率表示器56では、パチンコ機1の稼働開始時から10時間経過するまでの期間は、連続役物比率(6Y)として初期値の「0」が5秒間表示され、次いで役物比率(7Y)として初期値の「0」が5秒間表示され、次いでS203で算出された最新の連続役物比率(6A)が5秒間表示され、次いでS204で算出された最新の役物比率(7A)が5秒間表示され、その後に再び連続役物比率(6Y)が再度表示されるようにループする。
パチンコ機1の稼働開始時から1時間目が経過すると、累計RAMに1時間分の遊技情報(1時間目の総賞球累計値、連続役物賞球累計値、役物賞球累計値)が記憶された状態となり、全ての単位別RAM1〜10に1時間分の遊技情報(1時間目の総賞球値、連続役物賞球値、役物賞球値の各合計値)が記憶された状態となる。この場合、パチンコ機1の稼働開始から時間t2(1時間)が経過しているが(S221:YES)、記憶完了RAMが存在しないため(S222:NO)、変数pが「2」に更新される(S223)。このとき、変数pは単位別RAMの数量である「10」以下であるため(S224:NO)、単位別RAM2の遊技情報がクリアされる(S225)。即ち単位別RAM2では、1時間目の遊技情報がクリアされるため、以後は2時間目以降の遊技情報が記憶されていく。
パチンコ機1の稼働開始時から2時間目が経過すると、累計RAMに2時間分の遊技情報(1〜2時間目の総賞球累計値、連続役物賞球累計値、役物賞球累計値)が記憶された状態となる。以下同様に、累計RAMには時間の経過に応じて、パチンコ機1の稼働開始時から現在までにおける全ての遊技情報が蓄積されていく。これらの遊技情報に基づいて、最新の連続役物比率(6A)及び役物比率(7A)が算出されて(S203、S204)、先述のように算出比率が切替表示される(S206)。
一方、全ての単位別RAM1〜10は、パチンコ機1の稼働開始時から2時間目が経過すると、更に1時間分の遊技情報(2時間目の総賞球値、連続役物賞球値、役物賞球値の各合計値)が追加された状態となる。この場合、先述と同様にして、変数pが「3」に更新されて、単位別RAM3の遊技情報がクリアされる(S222〜S225)。即ち単位別RAM3では、1〜2時間目の遊技情報がクリアされるため、以後は3時間目以降の遊技情報が記憶されていく。
パチンコ機1の稼働開始時から3時間目が経過すると、全ての単位別RAM1〜10に更に1時間分(3時間目)の遊技情報が追加された状態となるが、単位別RAM4の遊技情報はクリアされる(S222〜S225)。即ち単位別RAM4では、1〜3時間目の遊技情報がクリアされるため、以後は4時間目以降の遊技情報が記憶されていく。以下同様にして、時間t2(1時間)が経過するごとに、単位別RAM5〜10に記憶されている遊技情報が順次クリアされる。これにより、単位別RAM1〜10は、先述した所定の記憶順序に沿って一単位分(1時間分)ずつずれるように、遊技情報を記憶した状態となる。
次いで、パチンコ機1の稼働開始時から10時間目が経過すると、全ての単位別RAM1〜10に更に1時間分(10時間目)の遊技情報が追加された状態となる。このとき、単位別RAM1には集計対象分(1〜10時間目までの10時間分)の遊技情報が記憶されているが、まだ記憶完了RAMが指定されていないため(S222:NO)、変数pが「11」に更新される(S223)。この変数pは単位別RAMの数量である「10」より大であるため(S224:YES)、単位別RAM1が記憶完了RAMに指定されて(S226)、S222に戻る。
これにより、記憶完了RAMの指定ありと判断されて(S222:YES)、記憶完了RAMである単位別RAM1に記憶されている集計対象分の遊技情報に基づいて、1〜10時間目の連続役物比率(6Y)及び役物比率(7Y)が算出される(S227、S228)。その後、単位別RAM1の遊技情報がクリアされる(S229)。即ち単位別RAM1では、1〜10時間目の遊技情報がクリアされるため、以後は11時間目以降の遊技情報が記憶されていく。そして次の単位別RAM2が、記憶完了RAMに指定される(S230)。
その後、パチンコ機1の稼働開始時から11時間目の期間中は、算出された1〜10時間目の連続役物比率(6Y)及び役物比率(7Y)が切替表示される(S206)。具体的には、比率表示器56では、1〜10時間目の連続役物比率(6Y)が5秒間表示され、次いで1〜10時間目の役物比率(7Y)が5秒間表示され、次いで最新の連続役物比率(6A)が5秒間表示され、次いで最新の役物比率(7A)が5秒間表示され、その後に再び連続役物比率(6Y)が再度表示されるようにループする。
次いで、パチンコ機1の稼働開始時から11時間目が経過すると、全ての単位別RAM1〜10に更に1時間分(11時間目)の遊技情報が追加された状態となる。このとき、単位別RAM2には集計対象分(2〜11時間目までの10時間分)の遊技情報が記憶されている。記憶完了RAMとして単位別RAM2が指定されているため(S222:YES)、単位別RAM2に記憶されている集計対象分の遊技情報に基づいて、2〜11時間目の連続役物比率(6Y)及び役物比率(7Y)が算出される(S227、S228)。その後、単位別RAM2の遊技情報がクリアされる(S229)。即ち単位別RAM2では、2〜11時間目の遊技情報がクリアされるため、以後は12時間目以降の遊技情報が記憶されていく。そして次の単位別RAM3が、記憶完了RAMに指定される(S230)。
その後、パチンコ機1の稼働開始時から12時間目の期間中は、算出された2〜11時間目の連続役物比率(6Y)及び役物比率(7Y)が切替表示される(S206)。以下同様にして、時間t2(1時間)が経過するごとに、記憶完了RAMに記憶されている遊技情報に基づいて、最新の集計対象分(最新の10時間分)の連続役物比率(6Y)及び役物比率(7Y)が算出される。そして、単位別RAM1〜10の順にループするように、記憶完了RAMが切り替えられる。
図16に示すように、本実施形態の比率表示器56は、主基板41上に設けられた4つの7セグメントディスプレイ(以下、7セグ)56A〜56Dで構成されている。7セグ56A,56Bは、表示対象の比率の種別(6Y,7Y,6A,7A)を示す。7セグ56C,56Dは、表示対象の比率を百分率でパーセント表示する。主基板41は、透明な基板ケース(図示外)に収容された状態で、遊技盤2の背面側に設置されている。従ってホール管理者等は、パチンコ機1の通常稼働時には比率表示器56を目視できない。ホール管理者等は、例えばパチンコ機1のメンテナンス時等に中枠を外枠から開放することで、基板ケース(図示外)を介して比率表示器56を確認できる。
図16に示す例では、連続役物比率(6Y)が「30%」であり、役物比率(7Y)が「20%」であり、連続役物比率(6A)が「25%」であり、役物比率(7A)が「15%」である。この場合、比率表示器56では、まず連続役物比率(6Y)を示す「6Y30」が5秒間表示され、次いで役物比率(7Y)を示す「7Y20」が5秒間表示され、次いで連続役物比率(6A)を示す「6A25」が5秒間表示され、次いで役物比率(7A)を示す「6A15」が5秒間表示され、その後に再び連続役物比率(6Y)が再度表示されるようにループする。
これによりホール管理者等は、最新の10時間分の連続役物比率(6Y)及び役物比率(7Y)と、累計の連続役物比率(6A)及び役物比率(7A)とを確認できる。パチンコ遊技機の場合、風営法の規則により、連続役物比率は0.6未満、役物比率は0.7未満となるように設計しなければならない。従ってホール管理者等は、比率表示器56に基づいて、パチンコ機1の連続役物比率及び役物比率が適正な値であるか否かを確認できる。
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機1によれば、主基板41のRAM52は、n個(nは2以上の整数)の連続する集計単位分の遊技情報を夫々記憶可能な複数の単位別RAMを含む。複数の単位別RAMは、n個以上の数量で設けられ、且つ所定の記憶順序が定められている。CPU51は、記憶順序がm番目(mは1以上の整数)の単位別RAMの各々に、(n×k+m)番目から(n×(k+1)+m−1)番目までの集計単位分の遊技情報が連続して記憶されるように(kは0以上の整数)、遊技情報を順次記憶させる(S211、S214、S217、S225)。CPU51は、複数の単位別RAMの何れかに、n個の連続する集計単位分の遊技情報が記憶された記憶完了RAMが発生した場合、記憶完了RAMに記憶されている遊技情報を破棄する(S229)。
上記の技術的特徴を、本実施形態に照らして具体的に説明する。本実施形態では、1つの集計単位は「1時間」であり且つnは「10」であるため、n個の連続する集計単位分の遊技情報は「10時間分の遊技情報」である。nが「10」であることに対応して、10個の単位別RAM1〜10が設けられている。この場合、各単位別RAM1〜10に記憶される遊技情報は、kの値に応じて以下のように変化する(図15参照)。
例えばkを「0」とした場合、1番目(m=1)の単位別RAM1には、1番目から10番目までの集計単位分の遊技情報(即ち、1〜10時間目の遊技情報)が連続して記憶される。2番目(m=2)の単位別RAM2には、2番目から11番目までの集計単位分の遊技情報(即ち、2〜11時間目の遊技情報)が連続して記憶される。10番目(m=10)の単位別RAM10には、10番目から19番目までの集計単位分の遊技情報(即ち、10〜19時間目の遊技情報)が連続して記憶される。
例えばkを「1」とした場合、1番目(m=1)の単位別RAM1には、11番目から20番目までの集計単位分の遊技情報(即ち、11〜20時間目の遊技情報)が連続して記憶される。2番目(m=2)の単位別RAM2には、12番目から21番目までの集計単位分の遊技情報(即ち、12〜21時間目の遊技情報)が連続して記憶される。図示しないが、10番目(m=10)の単位別RAM10には、20番目から29番目までの集計単位分の遊技情報(即ち、10〜19時間目の遊技情報)が連続して記憶される。
そのうえで、10個の連続する集計単位分(10時間分)の遊技情報が記憶された記憶完了RAMが発生した場合、記憶完了RAMに記憶されている遊技情報が破棄される(S229)。これにより、各単位別RAM1〜10は、上述した集計単位分(10時間分)の遊技情報を上限として、所定の記憶順序に沿って一単位分(1時間分)ずつずれるように遊技情報を記憶した状態となる。
ここで、従来のリングバッファ構成の記憶領域に遊技情報を記憶する場合には、各記憶領域に分散記憶されている遊技情報の履歴を集計する場合に、全ての記憶領域にアクセスして遊技情報を読み出す必要がある。これに対し、本実施形態のパチンコ機1によれば、1つの記憶完了RAMにアクセスして遊技情報を読み出すだけで、複数の集計単位分の遊技情報を取得できる。従って主基板41では、複数の記憶領域にアクセスする必要なく、複数の集計単位分の遊技情報を簡易な処理で記憶及び管理できる。
主基板41は、遊技者に付与された特典に関する情報(本実施形態では、各比率6Y,7Y,6A,7A)を表示する比率表示器56を備える。CPU51は、複数の単位別RAMの何れかに記憶完了RAMが発生した場合、記憶完了RAMに記憶されている遊技情報に基づいて、特典に関する情報を比率表示器56に表示させる(S227、S228、S206)。従ってホール管理者等は、遊技者に付与された特典に関する情報を確認できる。
CPU51は、複数の所定領域(第一始動口14、第二始動口15、大入賞口16、及び普通入賞口17)の何れかに遊技球が入賞した場合に、入賞した所定領域に応じた数量の賞球を特典として付与する(S17)。遊技情報は、付与された賞球の数量である賞球数を示す。従って主基板41では、複数の集計単位分の賞球関連情報(即ち、10時間分の賞球関連情報)を簡易な処理で記憶及び管理できる。
所定領域は、遊技球が入賞した場合に抽選処理の契機となる始動領域(第一始動口14及び第二始動口15)と、抽選処理の結果が特別当たりである場合に生起される特別当たり遊技中に、遊技球が入賞容易となる特別入賞領域(大入賞口16)とを含む。特別当たりは、条件装置が作動する大当たりと、条件装置が作動しない小当たりとを含む。CPU51は、賞球合計値に対する連続役物賞球合計値の割合である連続役物比率(6Y)を算出する(S227)。賞球合計値は、記憶完了RAMに記憶されている遊技情報が各々示す賞球数の合計値である。連続役物賞球合計値は、記憶完了RAMに記憶されている遊技情報のうち、大当たり遊技中に大入賞口16への入賞に基づいて付与された賞球数を示す遊技情報が各々示す賞球数の合計値である。従って主基板41では、複数の集計単位分の賞球関連情報(即ち、10時間分の賞球関連情報)に基づいて、最新の連続役物比率(6Y)を算出できる。
所定領域は、所定条件の成立時に(例えば抽選処理の当選時に)、遊技球が入賞容易となる可変入賞領域(第二始動口15及び大入賞口16)と、所定条件が成立したか否かに関わらず、遊技球が入賞可能な普通入賞領域(第一始動口14及び普通入賞口17)とを含む。CPU51は、賞球合計値に対する役物賞球合計値の割合である役物比率(7Y)を算出する(S228)。役物賞球合計値は、記憶完了RAMに記憶されている遊技情報のうち、可変入賞領域への入賞に基づいて付与された賞球数を示す遊技情報が各々示す賞球数の合計値である。従って主基板41では、複数の集計単位分の賞球関連情報(即ち、10時間分の賞球関連情報)に基づいて、最新の役物比率(7Y)を算出できる。
集計単位は、予め定められた単位時間(本実施形態では1時間)である。この場合、単位別RAM1〜10の各々に、互いに単位時間分ずれた遊技情報を記憶させることができる。
上記実施形態において、パチンコ機1が本発明の「遊技機」に相当する。主基板41が本発明の「主制御手段」に相当する。サブ統合基板58が本発明の「サブ制御手段」に相当する。S17を実行するCPU51が、本発明の「特典付与手段」に相当する。RAM52が本発明の「記憶手段」に相当する。S211、S214、S217、S225、S229を実行するCPU51が、本発明の「記憶制御手段」に相当する。単位別RAM1〜10が本発明の「複数の記憶領域」に相当する。記憶完了RAMが本発明の「記憶完了領域」に相当する。
比率表示器56が本発明の「情報表示手段」に相当する。S227、S228、S206を実行するCPU51が、本発明の「表示制御手段」に相当する。第一始動口14、第二始動口15、大入賞口16、及び普通入賞口17が、本発明の「複数の所定領域」に相当する。第一始動口14及び第二始動口15が、本発明の「始動領域」に相当する。大入賞口16が本発明の「特別入賞領域」に相当する。15R大当たり及び2R大当たりが、本発明の「第一当たり」に相当する。小当たりが本発明の「第二当たり」に相当する。S227を実行するCPU51が、本発明の「第一算出手段」に相当する。第二始動口15及び大入賞口16が、本発明の「可変入賞領域」に相当する。第一始動口14及び普通入賞口17が、本発明の「普通入賞領域」に相当する。S228を実行するCPU51が、本発明の「第二算出手段」に相当する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、各種変形が可能である。例えば、本発明は、パチンコ機のみならず、パチコン機、アレンジボール機などにも適用できる。上記実施形態では、1つの特別図柄が設けられているパチンコ機1を例示したが、複数の特別図柄が設けられているパチンコ機も本発明を適用できることはいうまでもない。更に本発明は、以下のような変形も可能である。
例えば単位別RAMの数量は、上記実施形態(10個)に限定されず、n個の連続する集計単位分の遊技情報に対応してn個以上であればよい。また集計単位は、上記実施形態のように単位時間に限定されず、単位時間以外の基準で定められた集計単位でもよい。図17に示す変形例では、1つの累計RAM、5単位分の単位別RAM(以下、単位別RAM1〜5という。)、1つの指定用RAMが、遊技情報記憶エリア5209(図4参照)に設けられている。累計RAM、各単位別RAM1〜5、及び指定用RAMは、上記実施形態(図11参照)と同様の構造である。ただし本変形例では、1つの集計単位(一単位)が、予め定められた賞球数(例えば、6000発)である。単位別RAM1〜5の各々は、5個の連続する集計単位分(即ち30000発の賞球分)の遊技情報を記憶する。
本変形例の履歴管理処理(図12参照)は、基本的に上記実施形態と同様である。但し、RAMクリア処理(図14参照)のS221において、「前回のRAMクリアから所定球数が払い出されたか?」という判断が行われる点が、上記実施形態と異なる。一例として、所定球数は先述の一単位分と同じ賞球数(即ち6000発)である。本変形例では、パチンコ機1の稼働開始から起算して6000発が払い出された場合も、前回のRAMクリアから所定球数が払い出されたと判断される。
本変形例では、図17に示すように、上記実施形態と同様に、パチンコ機1において賞球が払い出される毎に(S201:YES)、その賞球に関する遊技情報が累計RAM及び全ての単位別RAM1〜5に追加される(S202)。累計RAMに記憶されている遊技情報に基づいて、最新の連続役物比率(6A)及び役物比率(7A)が算出される(S203、S204)。そして時間t1(即ち5秒)が経過する毎に、算出比率が比率表示器56で切替表示される(S206)。
パチンコ機1の稼働開始時から起算して6000発の賞球が払い出されると、累計RAMに1単位目(6000発目までの賞球分)の遊技情報が記憶された状態となり、全ての単位別RAM1〜5に1単位目の遊技情報が記憶された状態となる(S221:YES)。この場合、パチンコ機1の稼働開始から所定球数が払い出されているが(S221:YES)、記憶完了RAMが存在しないため(S222:NO)、変数pが「2」に更新されて(S223)、単位別RAM2の遊技情報がクリアされる(S224:NO、S225)。即ち単位別RAM2では、1単位目の遊技情報がクリアされるため、以後は6001発目の賞球分以降の遊技情報が記憶されていく。
パチンコ機1の稼働開始時から起算して12000発の賞球が払い出されると、累計RAMに2単位分(12000発目までの賞球分)の遊技情報が記憶された状態となる。以下同様に、累計RAMには賞球払出しに応じて、パチンコ機1の稼働開始時から現在までにおける全ての遊技情報が蓄積されていく。これらの遊技情報に基づいて、最新の連続役物比率(6A)及び役物比率(7A)が算出されて(S203、S204)、先述のように算出比率が切替表示される(S206)。
一方、全ての単位別RAM1〜5は、パチンコ機1の稼働開始時から起算して12000発の賞球が払い出されると、更に1単位分(6001〜12000発目の賞球分)の遊技情報が追加された状態となる。この場合、変数pが「3」に更新されて、単位別RAM3の遊技情報がクリアされる(S222〜S225)。即ち単位別RAM3では、1〜2単位目の遊技情報がクリアされるため、以後は12001発目の賞球払出し以降の遊技情報が記憶されていく。
以下同様にして、所定数の賞球(6000発)が払い出されるごとに、単位別RAM3〜5に記憶されている遊技情報が順次クリアされる。これにより、単位別RAM1〜5は、先述した所定の記憶順序に沿って一単位分(6000発の賞球分)ずつずれるように、遊技情報を記憶した状態となる。パチンコ機1の稼働開始時から起算して30000発の賞球が払い出されると、単位別RAM1には集計対象分(1〜30000発目の賞球分)の遊技情報が記憶されているが、まだ記憶完了RAMが指定されていないため(S222:NO)、変数pが「6」に更新される(S223)。この変数pは単位別RAMの数量である「5」より大であるため(S224:YES)、単位別RAM1が記憶完了RAMに指定される(S226)。
これにより、記憶完了RAMの指定ありと判断されて(S222:YES)、記憶完了RAMである単位別RAM1に記憶されている集計対象分の遊技情報に基づいて、1〜30000発目の賞球分における連続役物比率(6Y)及び役物比率(7Y)が算出される(S227、S228)。その後、単位別RAM1の遊技情報がクリアされる(S229)。即ち単位別RAM3では、1〜5単位目の遊技情報がクリアされるため、以後は30001発目の賞球分以降の遊技情報が記憶されていく。そして次の単位別RAM2が、記憶完了RAMに指定される(S230)。
その後、パチンコ機1の稼働開始時から起算して30001〜36000発の賞球が払い出される期間中は、算出された1〜30000発目の賞球分における連続役物比率(6Y)及び役物比率(7Y)が切替表示される(S206)。具体的には、比率表示器56では、1〜30000発目の賞球分における連続役物比率(6Y)が5秒間表示され、次いで1〜30000発目の賞球分における役物比率(7Y)が5秒間表示され、次いで最新の連続役物比率(6A)が5秒間表示され、次いで最新の役物比率(7A)が5秒間表示され、その後に再び連続役物比率(6Y)が再度表示されるようにループする。以降の処理は、上記実施形態と同様であるため、説明を省略する。
上記実施形態及び変形例に代えて、集計単位は賞球払出回数(例えば、1000回)でもよい。この場合、RAMクリア処理(図14参照)のS221において、「前回のRAMクリアから所定回数(1000回)の賞球払出しが行われたか?」という判断が行われればよい。なお、時間t1,t2は、上記実施形態に限定されず、パチンコ機1の製造者等が自由に設定すればよい。遊技情報は、パチンコ機1の賞球数に限定されず、他の情報(例えば、各入賞口への遊技球の入賞数等)でもよい。比率表示器56に代えて、複数の7セグに限定されず、各比率(6Y,7Y,6A,7A)を表示可能なLED等でもよい。複数の単位別RAMは、公知技術と同様に、複数の記憶領域で構成されたリングバッファでもよい。
請求項、明細書及び図面に記載される全ての要素(例えば、演出装置、図柄表示部、電動役物、入賞口等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「主制御手段」や「サブ制御手段」等は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項であり、敢えて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、特許請求の範囲等においてそれらを明確に除外している旨の記載がない限りは、それら全てについて本発明に係る権利範囲に含まれることは言うまでもない。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を、本実施例に記載がなされていないことを理由に遊技機に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはあたらない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。