JP6782618B2 - コアンダ気流空調システム - Google Patents
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Description
このコアンダ気流空調システムにおいて、空調対象室の全域を赤外線センサにより端から端まで順次走査し、特定の領域で熱負荷の変動が検知されると、すなわち、冷房時を例にすれば、特定の領域で高い室内温度が検知されると、上述した離脱距離を調整することにより高い室内温度領域に冷風を積極的に送って空調するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
又、本構成によれば、空調装置から遠く離れた最遠エリアにおいて、その最遠室内温度が目標温度から所定温度差以上乖離した場合、制御装置が、空調空気の吹出し風速を増加させる、又は空調空気の吹出し風量と吹出し風速を共に増加させるように制御するので、空調し難い最遠エリアにおいても迅速に所望の状態に空調することが可能となる。
前記制御装置が、前記開口面積変更手段による前記吹出し部の開口面積の変更により前記空調装置からの空調空気の吹出し風速を調整する点にある。
コアンダ気流空調システムは、流体が有するコアンダ効果、すなわち、「流体は平滑な面に付着しながら流動する」という特性を空調システムに応用したものである。そのため、図1に示すように、空調装置1が、空調対象室2の天井面3の近くに配置され、空調装置1の吹出し部4から吹出される空調空気Aが、平坦な天井面3に付着しながら流動するように設置される。
空調装置1の吹出し部4から吹出される空調空気Aは、その一部が吹出し直後から徐々に下方へと離脱して主として空調装置1側を空調し、最終的には、全てが下方へ離脱して空調対象室2の全体を空調することになる。ただし、図1においては、理解を容易にするため、空調空気Aの平均的な流れ(中心部分の流れ)を図示し、吹出し部4から吹出された後、天井面3に付着しながら天井面3に沿って流動し、その後、天井面3から下方へ離脱する様子を示している。
本発明のコアンダ気流空調システムは、空調空気Aの吹出し風量が調整可能な空調装置1において、空調空気Aの離脱距離Lを一定に維持した状態で、空調空気Aの吹出し風量を調整可能にするものである。そのため、空調装置1の作動を自動制御するコンピュータ内蔵の制御装置5を備え、空調装置1の吹出し部4の開口面積を変更するダンパ6(開口面積変更手段の一例)を備えている。ダンパ6は、図2に示すように、吹出し部4の開口部位に設けられ、上下方向に細長い多数の開口部を有する固定板体6aと、同じく上下方向に細長い多数の開口部を有して横方向にスライド可能な可動板体6bを備えている。ちなみに、図2の(a)はダンパ6の全開状態を、図2の(b)は半開状態を示している。
制御装置5は、風量決定手段5aからの情報に基づいて、例えば、空調装置1に内蔵されたファンの回転数を変更調整して、空調装置1からの空調空気Aの吹出し風量を風量決定手段5aによる決定風量に調整する。そして、風速決定手段5bからの情報に基づいて、ダンパ6の可動板体6bをスライドさせて吹出し部4の開口面積を変更調整し、空調装置1からの空調空気Aの吹出し風速を風速決定手段5bによる決定風速に調整する。
なお、この空調空気Aの吹出し風量と吹出し風速(吹出し部4の開口面積)の調整に関しては、例えば、実験などにより予め両者の関係データを収集して制御装置5に記憶させておくことにより対応可能である。
まず最初に、例えば、実験などにより事前に収集したデータなどに基づいて、空調対象室2の全体をほぼ均一に空調するために適した空調空気Aの離脱距離Lを決定して制御装置5に記憶させ、その後、空調対象室2を空調する。
空調対象室2を冷房する場合であれば、空調装置1の吹出し部4から空調空気Aとしての冷風を吹出して、空調対象室2の温度を設定された所望の冷房温度に維持する。
この状態で、例えば、空調対象室2に多数の人が入室して室内温度が全体的に高くなると、風量決定手段5aが、温度センサ7a、7bからの温度情報に基づいて冷風の吹出し風量を増加側に決定し、制御装置5が、その増加された決定風量になるように冷風の吹出し風量を調整する。逆に、室内温度が全体的に低くなると、風量決定手段5aが、冷風の吹出し風量を減少側に決定し、制御装置5が、その減少された決定風量になるように冷風の吹出し風量を調整する。
そして、例えば、図1に示すように、空調装置1から離れた最遠エリアにガラス窓8があり日射の影響によって、最遠エリアに位置する温度センサ7bで検出された最遠室内温度が、所望する冷房温度(目標温度)から予め設定された所定温度差以上乖離すると、制御装置5が、冷風の吹出し風速を増加させるように制御し、最遠エリアの最遠室内温度を所望の冷房温度に迅速に調整する。その後、最遠エリアの最遠室内温度が所望の冷房温度に調整されると、元の制御状態、つまり、冷風の離脱距離Lを一定に維持する制御に戻る。
この状態で、空調対象室2の室内温度が全体的に低くなると、風量決定手段5aが、温度センサ7a、7bからの温度情報に基づいて温風の吹出し風量を増加側に決定し、制御装置5が、温風の吹出し風量を増加された決定風量に調整する。逆に、室内温度が全体的に高くなると、風量決定手段5aが、温風の吹出し風量を減少側に決定し、制御装置5が、温風の吹出し風量を減少された決定風量に調整する。
そして、例えば、ガラス窓8を通しての冷たい外気温の影響で、最遠エリアに位置する温度センサ7bで検出された最遠室内温度が、所望する暖房温度(目標温度)から予め設定された所定温度差以上乖離すると、制御装置5が、温風の吹出し風速を増加させるように制御し、最遠エリアの最遠室内温度を所望の暖房温度に迅速に調整する。その後、最遠エリアの最遠室内温度が所望の暖房温度に調整され次第、温風の離脱距離Lを一定に維持する元の制御に戻る。
(1)先の実施形態では、吹出し部4の開口面積を変更する開口面積変更手段の一例として図2に図示のダンパ6の構成を示したが、図3に示すように、左右横方向に細長い複数の開口部を有する固定板体6cと、同じく横方向に細長い複数の開口部を有して上下方向にスライド可能な可動板体6dからなるダンパ6を開口面積変更手段として使用することもでき、この図3の(a)は全開状態、(b)は半開状態を示す。
更に、図4に示すように、多数の小さな開口部が千鳥格子状に配置された固定板体6eと、同じく多数の小さな開口部が千鳥格子状に配置されて横方向にスライド可能な可動板体6fからなるダンパ6を開口面積変更手段として使用することもでき、この図4の(a)は全開状態、(b)は半開状態を示す。
また、開口面積変更手段としてのダンパ6の設置箇所については、先の実施形態のように吹出し部6の開口部位に限定されるものではなく、例えば吹出し部6における開口部位よりも若干奥側の位置に設置するなどのように、吹出し部6の開口面積を変更可能な範囲において適宜設定することができる。
また、風量決定手段5aが、空調対象室2の室内状況に応じて空調空気Aの吹出し風量を自動的に決定する構成を示したが、空調空気Aの吹出し風量に関しては、例えば、風量調整用のダイヤルやスイッチなどを設けて、使用者が人為操作により人為的に設定できるように構成することもできる。この場合には、風量調整用のダイヤルやスイッチなどからの情報に基づいて、風速決定手段5bが空調空気Aの吹出し風速を決定することになる。
2 空調対象室
3 天井面
4 吹出し部
5 制御装置
5a 風量決定手段
5b 風速決定手段
6 ダンパ(開口面積変更手段)
A 空調空気
L 離脱距離
Claims (3)
- コアンダ効果により空調装置から吹出される空調空気を空調対象室の天井面に付着させながら流動させて空調するコアンダ気流空調システムであって、
前記空調装置からの空調空気の吹出し風量が調整可能に構成され、
前記空調装置の作動を自動制御する制御装置が、前記空調装置からの空調空気が前記天井面から離脱する離脱距離を一定に維持した状態で、前記空調装置からの空調空気の吹出し風量を調整し、
前記制御装置が、前記空調装置から離れた前記空調対象室の最遠エリアにおける最遠室内温度が目標温度から所定温度差以上乖離した場合、前記空調装置からの空調空気の吹出し風速を増加させる、又は前記空調装置からの空調空気の吹出し風量と吹出し風速を共に増加させるコアンダ気流空調システム。 - 前記制御装置が、前記空調対象室の室内状況に応じて前記空調装置からの空調空気の吹出し風量を決定する風量決定手段と、その風量決定手段による決定風量に対応して前記離脱距離を一定に維持するための空調空気の吹出し風速を決定する風速決定手段を備え、前記空調装置からの空調空気の吹出し風量を前記風量決定手段による決定風量に調整するとともに、前記空調装置からの空調空気の吹出し風速を前記風速決定手段による決定風速に調整する請求項1に記載のコアンダ気流空調システム。
- 前記空調装置の吹出し部の開口面積を変更する開口面積変更手段を備え、
前記制御装置が、前記開口面積変更手段による前記吹出し部の開口面積の変更により前記空調装置からの空調空気の吹出し風速を調整する請求項1又は2記載のコアンダ気流空調システム。
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