以下、本開示の各実施の形態に係る給湯装置1について図面を参照して詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明、例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明等は省略する場合がある。
なお、以下の説明および参照される図面は、当業者が本開示を理解するために提供されるものであって、本開示の請求の範囲を限定するためのものではない。
<給湯装置1の外観の説明>
図1は、給湯装置1の外観を例示した図である。図1に示すように、給湯装置1は、貯湯部100と、注出部200と、を有し、その間がチューブ300にて接続されている。なお、特に図示はしないが、貯湯部100と注出部200とは例えばケーブル等により電気的に接続されており、貯湯部100から注出部200へ、あるいは注出部200から貯湯部100への電源供給を行うことができる。
貯湯部100は、適宜温度制御をしながら湯を貯めておき、必要に応じてチューブ300を介して注出部200に湯を移送する。貯湯部100は、本開示の貯液部の一例である。注出部200は、貯湯部100から移送された湯を、例えばドリッパー内のコーヒー豆に注出する。これにより、コーヒーが抽出される。チューブ300は、例えばシリコン等の断熱性を有する素材で形成されており、貯湯部100からの湯を可能な限り冷めないように注出部200に移送する。チューブ300は、本開示の配管の一例である。なお、本実施の形態では、給湯装置1の設置自由度を向上させるため、貯湯部100と注出部200とが離れた位置に配置され、チューブ300の長さが例えば数メートル程度であって変更可能であることが想定されている。
<貯湯部100の構成>
図2は、貯湯部100の有する構成を例示した図である。また、図3は貯湯部100の内部構成を例示した断面斜視図である。
図2に示すように、貯湯部100は、タンク101、フロート102、フロートスイッチ103、給水部104、給水パイプ105、ヒータ106、余剰水放出口107、オーバーフロー管108、第1沸騰検出部109、第2沸騰検出部110、余剰水タンク111、仕切り板112、第1水温検出部113、第2水温検出部114、取水口115、取水管116、ポンプ117、流量計118、三方弁119、撹拌用管120を有する。
タンク101は、高温の湯を貯水できる耐熱性のタンクであり、箱状のタンク本体1011とタンク本体1011の上面開口を覆う上蓋1012とを有する。タンク101の上部には、タンク101内の水位に連動して上下するフロート102が設けられている。フロート102は、金属や樹脂等の材料により、水面に浮かぶように中空に形成される。また、フロート102の上部には支持棒1021が設けられ、タンク101内の水位に連動してフロート102が上下すると、支持棒1021がフロートスイッチ103に接触する。タンク101の上蓋1012には、フロート102の支持棒1021が通る穴(図示は省略)が設けられている。
フロートスイッチ103は、タンク101の上限水位におけるフロート102の位置に対応した上限水位スイッチ1031と、タンク101の下限水位におけるフロート102の位置に対応した下限水位スイッチ1032と、を有する。上限水位スイッチ1031は、フロート102がタンク101の上限水位にあるとき、支持棒1021と接触する位置に設けられており、下限水位スイッチ1032は、フロート102がタンク101の下限水位にあるとき、支持棒1021と接触する位置に設けられている。このような構成により、フロートスイッチ103は、タンク101内の水位が上限水位または下限水位に達したことを検出する。フロートスイッチ103の上限水位スイッチ1031または下限水位スイッチ1032は、上限水位または下限水位を検出した場合、検出結果を後述する制御部130(図2および図3には図示せず)に送信する。
給水部104は、例えば水道に接続され、タンク内の湯と比較して低温の水をタンク101内に供給する管状部材である。給水部104は、本開示の給液部の一例である。給水部104は、後述する制御部130の制御により、制御部130が要求した量の水をタンク101内に供給する。給水部104は、フィルタや浄水装置等(図示は省略)を有し、タンク101に供給する水を浄化するようにしてもよい。給水部104のタンク側の先端部は、タンク101内の上限水位より高い位置に露出する。タンク101の上蓋1012には、給水部104が通る穴(図示は省略)が設けられている。
給水部104から供給される水は、図2に示すように、給水部104のタンク101側の先端部の延長に位置する給水パイプ105内にすべて流入する。給水部104のタンク101側の先端部と、給水パイプ105の入口1051とは、水の逆流防止のために所定間隔(例えば25mm以上の間隔)を有するように、また給水パイプ105の入口1051がタンク101の上限水位より高い位置となるように、給水パイプ105はタンク101内に固定される。給水パイプ105の出口1052は、図2に示すように、タンク101の底面付近において開口している。
ヒータ106は、後述する制御部130の制御により、タンク101内に貯留された水を加熱して湯とする。ヒータ106は、例えばシーズヒータである。ヒータ106は、タンク101の上蓋1012に取り付けられ、図2に示すようにタンク101の底面付近(より詳細には後述する仕切り板112の上面付近)まで延在する。ヒータ106は、発熱しない部位である非発熱部1061と、発熱する部位である発熱部1062と、を有する。タンク101内に挿入されたヒータ106において、非発熱部1061はタンク101の上蓋1012から下限水位の高さより下方まで延びており、発熱部1062は非発熱部1061の下端より下側の部位である。従って、発熱部1062はタンク101内に貯留された湯の中に浸漬される。これにより、空炊きを防止することができる。
余剰水放出口107は、タンク101の上限水位より僅かに高い位置に設けられた穴であり、オーバーフロー管108が接続されている。タンク101内に貯留された湯が何らかの原因で上限水位を超えた場合、余剰分の湯(余剰水)が余剰水放出口107から放出される。または、タンク101内の湯が沸騰した場合、湯から発生した蒸気が余剰水放出口107から放出される。余剰水放出口107も、上記した給水パイプ105の入口1051と同様に、逆流防止のため給水部104のタンク101側の先端部との距離が所定間隔(例えば25mm以上の間隔)を有するように配置されることが望ましい。
オーバーフロー管108は、余剰水を廃棄するための管である。オーバーフロー管108の余剰水放出口107とは反対側の先端部は余剰水タンク111に接続されており、タンク101内の余剰水は余剰水タンク111に貯留される。余剰水タンク111は給湯装置1の使用者によって任意に取り外しができるようになっており、余剰水タンク111に貯留された余剰水は給湯装置1の使用者によって適宜廃棄される。
オーバーフロー管108は、その中間付近に第1沸騰検出部109を、余剰水タンク111との接続部(終端部)付近に第2沸騰検出部110を、それぞれ有する。なお、第1沸騰検出部109の位置を上記ではオーバーフロー管108の中間付近としたが、検出速度を上げるため、オーバーフロー管108の中間よりも若干タンク101に近い側に配置するようにしてもよい。
図4は、第1沸騰検出部109について例示した図である。図4に示すように、第1沸騰検出部109は、パイプ部1091に温度センサ1092を取り付けた構成を有する。パイプ部1091はオーバーフロー管108の一部を構成する管状部材である。パイプ部1091は、オーバーフロー管108の他の部位と一体に構成されていてもよいし、別体に構成されてオーバーフロー管108の他の部位と接続されていてもよい。
温度センサ1092は例えばサーミスタをねじ状部材により保持した構成を有し、ねじ状部材の先端部がパイプ部1091に設けられた穴(図示せず)に挿入されて固定される。そして、ねじ状部材の先端部から露出したサーミスタはパイプ部1091内を通る余剰水または蒸気により温められる。このような構成により、温度センサ1092は余剰水または蒸気の温度を検出することができる。温度センサ1092は、検出した余剰水または蒸気の温度を、後述する制御部130に送信する。詳しくは後述するが、制御部130は、第1沸騰検出部109のサーミスタの温度が、余剰水または蒸気によって所定温度以上となった場合に、ヒータ106による加熱を停止させる。所定温度とは、タンク101内の沸騰により発生した蒸気によって温められた第1沸騰検出部109の温度であり、例えば83℃である。
第2沸騰検出部110は、例えばバイメタルサーモスタットがオーバーフロー管108に接続されたパイプに取り付けられた構成を有する。オーバーフロー管108内の余剰水または蒸気がパイプを通ると、それにつれてバイメタルサーモスタットの温度が上昇する。バイメタルサーモスタットは、所定温度以上となると、制御部130の制御にかかわらず、ヒータ106への電力供給を物理的に遮断する。所定温度は、上記した第1沸騰検出部109と同じく、例えば83℃である。
このような構成により、ヒータ106によりタンク101内の湯が沸騰し続ける事態が防止される。好適には、第2沸騰検出部110が有するバイメタルサーモスタットは、手動復帰式である。これにより、所定温度以上となったバイメタルサーモスタットが切れると、給湯装置1の使用者によって復帰されない限り、ヒータ106によるタンク101内の湯の加熱が行われないようになっており、タンク101内の湯が沸騰を続ける事態がより好適に回避される。
上記したように、本開示の実施の形態に係る給湯装置1では、貯湯部100は2つの沸騰検出部を有し、それぞれ異なる方式で沸騰検出を行っている。第1沸騰検出部109は、サーミスタがパイプ部1091内に露出した構成を有し、さらに、第1沸騰検出部109の方が第2沸騰検出部110よりオーバーフロー管108の上流側にあり、沸騰を検出する所定温度が同じであるため、タンク101内の湯が沸騰したとき、第2沸騰検出部110よりも沸騰を検出するのが早くなる。なお、本実施形態では、第1沸騰検出部109と第2沸騰検出部110の検知温度が同じであったが、第1沸騰検出部109の検知温度が第2沸騰検出部110の検知温度より低くても良い。この場合、さらにタンク101内の湯が沸騰したとき、第2沸騰検出部110よりも沸騰を検出するのが早くなる。
給湯装置1の通常の動作においては、第1沸騰検出部109が沸騰を検出するとヒータ106の加熱が停止されるので、タンク101内の湯の沸騰が止まり、第2沸騰検出部110が沸騰を検出することはない。第1沸騰検出部109が何らかの理由でタンク101内の湯の沸騰を検出できなかった場合のみ、第2沸騰検出部110が沸騰を検出し、バイメタルサーモスタットが切れてヒータ106への電力供給が物理的に遮断される。すなわち、第2沸騰検出部110は、給湯装置1の通常の動作では動作することはなく、異常時、すなわち第1沸騰検出部109が動作しなかった場合の安全装置のような役割を果たす。
仕切り板112は、図2および図3に示すように、タンク101内に設けられた板状の部材である。図2および図3に示すように、給水パイプ105の出口1052は、仕切り板112よりもタンク101の下側となるように配置されている。また、ヒータ106の発熱部1062の下端は、仕切り板112から所定距離(例えば5mm)だけ上側に離れた位置となるように配置される。
このような構成により、給水部104によって供給された水は、給水パイプ105の出口1052から、タンク101内の仕切り板112より下側に吐出される。従って、タンク101内において仕切り板112より下側に存在する水は、仕切り板112があることにより、ヒータ106の発熱部1062による加熱を受けにくいため、比較的低温のまま保たれる。一方、タンク101内において仕切り板112より上側には、ヒータ106の発熱部1062により加熱された、比較的高温の湯が存在する。なお、以下では、タンク101内において仕切り板112より上側に存在する湯を、単にタンク101内の湯と記載することがある。また、タンク101内において仕切り板112より下側に存在する水を、単にタンク101内の水と記載することがある。
なお、図3に例示するように、仕切り板112には穴や開口部が設けられていてもよい。なお、仕切り板112に設けられる穴や開口部は、図3に例示された位置や形状に限定されず、例えば仕切り板112の両サイドに開口部が設けられるようにしてもよい。
なお、タンク101の中に、比較的高温の湯が存在する層と、比較的低温の水が存在する層とを設け、これらを別々のタンクとしない理由は、以下のような理由である。すなわち、比較的低温の水は、給水部104からタンク101内に供給されるとき、フィルタ等により浄化されており、消毒用の塩素等が除去された状態となっている。このため、比較的低温の水のまま、独立したタンクに長期間貯留すると、比較的低温の水の液面が空気と接するため、衛生的に好ましくない状態となる。本開示の実施の形態に係る給湯装置1では、このような事態を防止するため、比較的低温の水が存在する層の上側を、比較的高温の湯が存在する層で蓋をして、この液面が空気と接触せず密閉するようにしている。
仕切り板112は、タンク101の下限水位とタンク101の底面との間の、タンク101の底面に近い位置に設けられる。このような仕切り板112の位置によって、仕切り板112より上側に存在する湯が、仕切り板112より下側に存在する水より量が多くなる。具体的には、例えば、タンク101の仕切り板112より上側の容量は5.5l、仕切り板112より下側の容量は2.0l程度となるように、仕切り板112は配置される。
第1水温検出部113および第2水温検出部114は、温度センサであり、タンク101内の湯または水の温度を検出して後述する制御部130に送信する。図2および図3に示すように、第1水温検出部113のセンサ部はタンク101の仕切り板112より上側に、第2水温検出部114のセンサ部はタンク101の仕切り板112より下側に、それぞれ配置されている。従って、第1水温検出部113は、タンク101内において仕切り板112より上側に存在する湯の温度(以下、湯温:本発明の第1液温の一例)を検出し、第2水温検出部114は、タンク101内において仕切り板112より下側に存在する水の温度(以下、水温)を検出する。第1水温検出部113は、本発明の液温検出部の一例である。
取水口115は、タンク101内の湯を取水するための開口部であり、取水管116が接続されている。取水口115は、タンク101の下限水位より下側でかつ仕切り板112より十分に上側に配置される。これにより、取水口115から取水される湯の温度は、第1水温検出部113で検出される湯温とほぼ等しくなる。取水管116の取水口115付近には、ポンプ117が設けられている。ポンプ117は、制御部130の制御により動作し、タンク101内の湯を吸い出し、取水管116の下流側に接続されたチューブ300を通じて、注出部200に移送する。
取水管116のポンプ117より下流側(チューブ300側)には流量計118が設けられている。流量計118は、取水管116を流れる湯の流量に関する情報を制御部130に送信する。例えば、取水管116を流れる湯が流量計118に流れて、所定の湯量ごとにパルス情報が制御部130に送信される。
取水管116の流量計118より下流側には三方弁119が設けられている。三方弁119は、取水管116の上流側と、下流側と、撹拌用管120と、を接続している。三方弁119は、例えば電磁弁であり、制御部130の制御により流路を変更する。具体的には、制御部130の制御により、三方弁119における撹拌用管120側が閉止された場合、取水管116の上流側から下流側へ流れる流路が形成される。一方、制御部130の制御により、三方弁119における取水管116の下流側が閉止された場合、撹拌用管120から三方弁119を通って取水管116の上流側へ流れる流路が形成される。なお、取水管116を流れる湯の流路を変更する構成として、三方弁119ではなく、取水管116の上流側、下流側、および撹拌用管120のそれぞれに電磁弁を設けるようにしてもよい。この場合、制御部130が3つの電磁弁を各個制御することで流路の変更がなされる。
撹拌用管120は、一方が三方弁119に、他方がタンク101の仕切り板112より下側に接続されている管状部材である。
<貯湯部100の動作>
次に、貯湯部100の各構成の動作について説明する。上記した貯湯部100の各構成は、制御部130の制御により動作する。図5は、貯湯部100の制御ブロックを例示した図である。
制御部130は、貯湯部100の各構成の動作を制御するための制御ブロックである。制御部130は、図2および図3では図示していないが、貯湯部100の内部に設けられている。制御部130は、例えばCPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、および、RAM(Random Access Memory)等の作業用メモリ等を備える。CPUは、ROMから制御プログラムを読み出してRAMに展開し、展開した制御プログラムと協働して貯湯部100の各構成の動作を制御する。
図5に示すように、制御部130は、フロートスイッチ103、第1沸騰検出部109、第1水温検出部113、第2水温検出部114、流量計118、後述する操作部131、および後述する注出部200の制御部240から送信された情報のうちの少なくともいずれかを用いて、給水部104、ヒータ106、ポンプ117および三方弁119の動作制御を行う。以下では、各情報に応じて制御部130が行う制御について説明する。
[水位に関する制御]
制御部130は、フロートスイッチ103の上限水位スイッチ1031からの上限水位検出結果を参照し、現在のタンク101内の水位が上限水位であるか否かによって、給水部104による水の供給を受けるか否かを決定する。
具体的には、制御部130は、上限水位スイッチ1031からの上限水位検出結果を受信している間は、タンク101内が上限水位であるため、給水部104の動作を停止させ、上限水位検出結果を受信しなくなった場合には、タンク101内の湯が上限水位でなくなったため、給水部104を制御して水の供給を行わせる。
このような制御により、例えばタンク101内の湯が注出部200に移送された場合等、タンク101内の水位が上限水位から下がると、給水部104によりタンク101内に水が供給される。このため、タンク101内の水位は、常に上限水位に保たれる。
[湯の移送に関する制御]
制御部130は、注出部200の制御部240から受信した給湯指示情報に基づいて、ポンプ117を制御して、タンク101内の湯を注出部200へ移送する。給湯指示情報には、注出部200が要求する湯の量に関する情報が含まれており、制御部130は、要求された量だけ湯を移送するように、流量計118から受信した、取水管116を流れる流量に関する情報を用いてポンプ117を制御する。給湯指示情報の詳細については、注出部200の説明において説明する。なお、本実施の形態では、ポンプ117が取水口115から取水管116およびチューブ300を通って注出部200へと湯を移送する場合のポンプ117の吐出方向を順方向と称する。
このような制御により、注出部200において必要とされる湯が注出部200に過不足なく移送される。
[チューブ300の予熱に関する制御]
制御部130は、注出部200の制御部240から受信した後述する予熱指示情報に基づいて、ポンプ117を制御して、タンク101内の湯を所定量だけチューブ300内へ移送する。チューブ300の予熱に使用された湯は、そのまま注出部200で廃棄されてもよいし、注出部200でコーヒーを抽出するために使用される飲料容器を温めるために利用されてもよい。または、制御部130がポンプ117を逆方向に動作させて、チューブ300の予熱を行った後にチューブ300内に残っている湯を、タンク101内に戻すようにしてもよい。なお、所定量とは、チューブ300全体を温めるだけの熱量を持ったできるだけ少量の湯であればよく、所定量の決定方法については本開示では特に限定しない。
[タンク101内の湯の温度に関する制御]
タンク101内の湯の温度に関する制御部130の制御は、設定温度が沸点より低く設定されているか否かによって異なる。設定温度とは、タンク101の湯が保たれるべき温度である。設定温度は、操作部131を介した給湯装置1の使用者による操作に基づいて、制御部130が設定する。制御部130は、設定温度を図示しないメモリ等に記憶する。
なお、操作部131は、例えば貯湯部100の外面に設けられたボタンやスイッチ、タッチパネル等の入力デバイスである(図1から図3では図示を省略)。または、操作部131は、リモコンスイッチのように有線または無線通信にて制御部130と通信可能であって、貯湯部100の本体とは分離可能に構成されていてもよい。操作部131は、例えば給湯装置1の使用者による操作入力を受け付け、操作入力の内容に関する操作情報を制御部130に送信する。操作部131が受け付ける操作入力の内容は、具体的には、例えばタンク101内の湯の設定温度や、タンク101内の湯が設定温度より低い(湯が沸いていない)場合にコーヒーの抽出が不可能であるとして注出部200への湯の移送を停止する下限温度等である。
(1)設定温度が沸点より低く設定されていない場合
設定温度が沸点より低く設定されていない場合、換言すれば、設定温度が設定されていないか、または、設定温度が沸点以上の温度に設定されている場合、制御部130は、以下のような制御を行う。設定温度が沸点以上の温度に設定されている場合とは、例えば、給湯装置1が高所に設置されている等、気圧の変化により沸点が下がった場合に生じ、具体的には、例えば、沸点が95℃、設定温度が97℃等の場合である。
制御部130は、第1水温検出部113から、タンク101内において仕切り板112より上側に存在する湯の温度(湯温)を受信し、受信した湯温が設定温度より低いか否かを判定する。受信した湯温が設定温度より低い場合、タンク101内の湯温が設定温度となるまでヒータ106を制御し、加熱を行わせる。設定温度が設定されていない場合にも、制御部130は、同様にヒータ106を制御して加熱を行わせる。
ここでは、設定温度は設定されていない、または設定温度は沸点より高く設定されている場合について説明しているため、ヒータ106が継続して加熱を行うことにより、タンク101内の湯温は沸点を超え、沸騰する。
制御部130は、オーバーフロー管108に設けられた、第1沸騰検出部109の温度が所定温度(例えば83℃)以上となると、タンク101内の湯が沸騰していると判定する。
制御部130は、第1沸騰検出部109の温度センサ1092が検出した温度が所定温度以上である場合、タンク101内の湯が沸騰していると判定し、ヒータ106を制御して、タンク101内の湯の加熱を停止させる。また、制御部130は、第1沸騰検出部109の温度センサ1092の検出した温度が所定温度未満である場合には、タンク101内の湯が沸騰していると判定せず、ヒータ106を動作させ、タンク101内の湯を加熱させる。
すなわち、制御部130は、タンク101内の湯が沸騰していないと判定したときには、常に湯を加熱させ、沸騰したと判定したときには加熱を停止させるようにヒータ106を制御する。このような制御により、タンク101内の湯は沸騰状態と非沸騰状態とを頻繁に繰り返すことになり、湯温は沸騰直前の温度に保たれる。このような構成により、タンク101内の湯が沸騰を続けることによる危険を回避しつつ、タンク101内の湯をできるだけ高温に保つことができる。
なお、例えば第1沸騰検出部109の故障や、第1沸騰検出部109と制御部130との断線等によって、第1沸騰検出部109がタンク101内の湯の沸騰を検出できなくなった場合には、第2沸騰検出部110が沸騰を検出してヒータ106を強制的に停止させる。具体的には、上記したように、第2沸騰検出部110は、オーバーフロー管108内の余剰水または蒸気の温度が所定温度以上である場合に、制御部130の制御にかかわらず、ヒータ106への電力供給を物理的に遮断する。そして、オーバーフロー管108内の余剰水または蒸気の温度が所定温度以上となって第2沸騰検出部110が一度切れると、給湯装置1の使用者によって復帰されない限り、ヒータ106によるタンク101内の湯の加熱が行われないようになっており、タンク101内の湯が沸騰を続ける事態が好適に回避される。
このように、設定温度が沸点より低く設定されていない場合には、制御部130は、タンク101内の湯ができるだけ高温に(沸点近くに)保たれるように制御を行う。
(2)沸点より低い設定温度が設定されている場合
沸点より低い設定温度が設定されている場合、具体的には、例えば沸点が100℃のとき設定温度が97℃である等の場合、制御部130は、第1水温検出部113から、タンク101内において仕切り板112より上側に存在する湯の温度(湯温)を受信し、受信した湯温が設定温度より低いか否かを判定する。制御部130は、受信した湯温が設定温度より低い場合、タンク101内の湯温が設定温度となるまでヒータ106を制御し、加熱を行わせる。一方、制御部130は、受信した湯温が設定温度以上である場合、ヒータ106の加熱を停止させる。
このように、沸点より低い設定温度であって、現在の湯温より高い設定温度が設定された場合、制御部130は、ヒータ106による加熱を行わせる。一方、現在の湯温より低い設定温度が設定された場合、制御部130は、ヒータ106の加熱を停止させる制御を行う。これにより、時間の経過とともに湯温が低下し、湯温は設定温度と等しくなる。湯温が設定温度よりさらに下がると、制御部130はヒータ106に加熱を行わせるので、湯温は設定温度に保たれる。
しかしながら、自然放熱による湯温の低下には時間がかかる。給湯装置1の使用方法によっては、タンク101内の湯温を速やかに設定温度まで低下することが要求される場合がある。このような場合に対応するための制御部130の制御については、後に詳しく説明する。
<注出部200の説明>
次に、注出部200について説明する。図6は、注出部200の外観を示した斜視図である。図6に示すように、注出部200は、上部構造201、2本の支柱202および203、土台204、ドリッパー台205、操作部206、給湯可否スイッチ207、排水口208、排水溝209、ノズルユニット210を有する。なお、以下の注出部200の説明では、図6に示すように、図6における注出部200の手前側が前、右側が右、上側が上であると定義して説明を行う。
注出部200は、図6に示すように、土台204の左右のほぼ端部に2本の支柱202および203が設けられ、2本の支柱の上端部に上部構造201が設けられた、門のような形状を有する。上部構造201の左右中央付近には、湯を散布するためのノズルユニット210が設けられている。
2本の支柱202および203の上下中央付近には、ドリッパー台205が設けられる。ドリッパー台205の中央には円形の穴が設けられ、漏斗形状のドリッパー2051(後述する図10Aおよび図10B参照)が配置される。なお、本実施の形態では注出部200がドリッパー2051を備えるように説明しているが、本開示はこれに限定されず、注出部200がドリッパー2051を備えなくともよい。ドリッパー台205の穴に嵌入されて固定される大きさの漏斗形状を有するドリッパーであれば、任意のドリッパーが利用されうる。
操作部206は、例えばボタンやスイッチ、タッチパネル等の入力デバイスであり、給湯装置1の使用者の操作入力を受け付ける。操作部206が受け付ける操作入力の内容は、具体的には、ノズルユニット210から散布される湯の量の指定や、貯湯部100から移送される湯がチューブ300によって冷めないように、チューブ300を予熱する指示等である。操作部206は、受け付けた操作入力の内容に関する操作情報を、後述する制御部240へ送信する。
給湯可否スイッチ207は、例えばオン/オフスイッチであり、注出部200におけるノズルユニット210からの湯の供給の可否を設定するためのスイッチである。すなわち、給湯可否スイッチ207がオフの状態では、注出部200は操作部206に対する給湯装置1の使用者の操作入力にかかわらず、ノズルユニット210からの湯の注出を一切行わない。
排水口208は、ドリッパー台205の穴の直下に設けられた穴型の構成であり、図6に示すように湯を通すだけの隙間が空いた蓋がされている。図示は省略するが、ドリッパー台205にドリッパー2051が配置されてコーヒーが抽出される場合には、排水口208の蓋の上に飲料容器(カップ等)が置かれ、抽出されたコーヒーが飲料容器に注入される。排水口208は、例えばノズルユニット210やドリッパー台205からこぼれた湯を排水溝209に流す。排水溝209は、排水口208にこぼれた湯を排出する溝である。
ノズルユニット210は、詳細は後述するが、ドリッパー台205の穴に配置されたドリッパー2051(後述する図10Aを参照)の中に入れられたコーヒーの挽き豆に対して湯を散布する。これにより、コーヒーが抽出される。
なお、貯湯部100と接続されたチューブ300は、注出部200に接続されて貯湯部100からの湯を移送する。チューブ300が接続される注出部200の位置については本開示では特に限定しないが、例えば図6に示すように、土台204の後面側に接続されればよい。
図7は、注出部200の上部構造201、支柱203、土台204の内部構造を説明するための斜視図である。図7では、上部構造201、支柱203、土台204の外壁を透視している。なお、図7では、図6とは反対に、注出部200を後ろ側から見ている。
土台204における支柱203の直下には、モータ221が設けられる。モータ221は、回転軸が注出部200の上下方向に対して平行になるように配置される。モータ221の回転軸には、支柱203の内部に配設されるシャフト222の一端が接続される。シャフト222の他端は、上部構造201内に設けられたプーリ223の回転中心に接続される。プーリ223と、上部構造201の中央付近に配置されたプーリ225とにベルト224が掛けられている。プーリ225の中心部には、後述するノズルヘッド支持部230が設けられている。モータ221は、後述する制御部240の制御により回転する。
このような構成により、モータ221が回転すると、シャフト222を介してプーリ223が回転し、ベルト224によってプーリ223の回転がプーリ225に伝達される。これにより、ノズルヘッド支持部230に支持されたノズルヘッド231(詳細は後述)が回転する。なお、ノズルヘッド支持部230およびノズルヘッド231が上記したノズルユニット210に対応する。
ノズルヘッド231には、上部構造201および支柱202の内部を通る給湯配管226(支柱202内部の給湯配管226の図示は省略)が接続されている。給湯配管226は、チューブ300と接続され、貯湯部100から移送された湯をノズルヘッド231に移送する。
図8は、上部構造201の中央付近に設けられたノズルヘッド支持部230およびノズルヘッド231(すなわち、ノズルユニット210)の断面図である。図8は、上部構造201の中央付近における図7の左右方向に沿った断面図である。
図8に示すように、プーリ225の中心部には円形の穴が開けられており、プーリ225はこの穴の中心を回転中心として回転する。プーリ225の穴の中には給湯配管226とノズルヘッド231とを連通可能に接続するノズルヘッド支持部230が配置されている。ノズルヘッド支持部230は、プーリ225と一体となって回転する。
より詳細には、ノズルヘッド支持部230は管状に形成され、管の下側が上部構造201の下面に設けられた軸受け232から外部に露出するように、上部構造201の内部に配置される。ノズルヘッド支持部230の上端から管の途中までには給湯配管226の一端が嵌入される。ノズルヘッド支持部230の管の途中から下端までにはノズルヘッド231の一部(後述する凸部2311)が着脱可能に螺合されて固定される。給湯配管226の一端付近には、漏れ防止のためにOリング等のシール部材2261が設けられる。同様に、ノズルヘッド231の凸部2311にもシール部材2315が設けられる。
このような構成により、ノズルヘッド支持部230にノズルヘッド231が装着されたとき、給湯配管226により湯がノズルヘッド231内へ供給される。また、モータ221の回転によりプーリ225が回転すると、プーリ225と、ノズルヘッド支持部230と、ノズルヘッド支持部230に螺合されたノズルヘッド231と、が一体となって回転する。なお、ノズルヘッド231の回転中心は、ドリッパー台205に配置されたドリッパー2051の中心と一致する。
図9は、ノズルヘッド231について説明するための図である。図9は、ノズルヘッド231の長手方向に沿った断面図である。図9におけるノズルヘッド231の上側の凸部2311は、ノズルヘッド支持部230に螺合される部位であり、管状に形成されている。凸部2311は、ノズルヘッド231の長手方向のほぼ中心部に設けられている。
ノズルヘッド本体2312は、一端(図9の右側)が解放され、他端(図9の左側)が封止された管状に形成される。ノズルヘッド本体2312の封止された側の端部付近の下側の面には、穴2313が設けられている。なお、図9では穴2313の数が3個である場合を例示しているが、本開示では特に穴の数については限定しない。
また、図9に示すように、ノズルヘッド本体2312の解放された他端には、栓2314が螺合される。栓2314には、漏れ防止のためにシール部材2316が設けられる。
このような構成により、凸部2311がノズルヘッド支持部230に螺合され、給湯配管226から湯が供給されると、凸部2311およびノズルヘッド本体2312の内部を通った湯が穴2313から外部に散布される。穴2313から散布された湯は、後述するドリッパー台205の穴に配置されたドリッパー2051に注がれる。
ノズルヘッド231の穴2313は、図9に示すように封止されたノズルヘッド本体2312の一端側の端部付近に設けられているため、モータ221の回転によりノズルヘッド231がノズルヘッド支持部230と一体となって回転すると、穴2313から散布される湯が注がれる位置も回転する。
また、ノズルヘッド231はノズルヘッド支持部230からの取り外しが可能であり、ノズルヘッド231をノズルヘッド支持部230から外した状態で栓2314を抜くと、ノズルヘッド本体2312の管状をした内部壁面を棒状の洗浄用具(図示せず)等で容易に洗浄することができる。
図10Aおよび図10Bは、ノズルヘッド231から散布される湯について説明するための図である。図10Aは、ノズルヘッド231の回転中心を通る垂直方向の線(図6および図7における上下方向の線)に沿った断面を示している。
図10Aに示すように、ノズルヘッド231の中心と、ドリッパー台205に設けられた穴の中心とが一致するように各構成は配置される。また、ノズルヘッド231から散布される湯が、ドリッパー台205の穴に配置される、漏斗形状に形成されたドリッパー2051の内部に注がれるように、ノズルヘッド231の穴2313が設けられる。より好適には、ノズルヘッド231の穴2313のうち、最も外側の穴から散布される湯が、ドリッパー2051の壁面部分にではなく、ドリッパー2051内に入れられたコーヒーの挽き豆の上に直接滴下されるように、ノズルヘッド231の穴2313は設けられることが望ましい。
ノズルヘッド231がモータ221の回転により回転すると、穴2313から散布される湯の軌跡は図10Bに示す図のようになる。図10Bは、ドリッパー2051内に注がれる湯の軌跡をドリッパー2051の上から見た図である。図10Bに示される同心円のうち最も外側の円がドリッパー2051の漏斗形状の上部の縁部分であり、その内側の3つの円が、図9に例示したノズルヘッド231の3つの穴2313のそれぞれから散布される湯の軌跡を示している。図10Bに示すように、ノズルヘッド231から散布される湯は、ドリッパー2051の内部に同心円状に注がれる。このため、ドリッパー2051内にあらかじめ用意された挽き豆(コーヒー豆)に湯がむらなく均等に注がれるので、品質の高いコーヒーが抽出される。
<注出部200の動作>
次に、給湯装置1の使用者が注出部200を用いてコーヒーを淹れようとする場合の、注出部200の動作について説明する。
図11は、注出部200の制御ブロックを例示した図である。図11に示すように、注出部200の制御部240は、操作部206から送信された操作情報、および、給湯可否スイッチ207のオン/オフに基づいて、モータ221を制御する。また、制御部240は、操作部206から送信された操作情報に基づいて、湯の移送を要求するための給湯指示情報を貯湯部100の制御部130に送信する。
以下、操作部206に対して行われる操作入力の内容と、制御部240の動作について具体的に説明する。
[チューブ300の予熱に関する制御]
使用者は、注出部200を使用してコーヒーを淹れる前に、貯湯部100から移送される湯がチューブ300を通る間に冷めないようにチューブ300の予熱を行う場合、操作部206を介してチューブ300の予熱指示操作を行う。すると、操作部206は予熱指示がなされた旨の情報を制御部240に送信する。予熱指示がなされた旨の情報を受信した制御部240は、チューブ300の予熱を指示する予熱指示情報を生成して貯湯部100の制御部130に送信する。これに応じて、貯湯部100の制御部130が上記説明したチューブ300の予熱に関する制御を行うことにより、チューブ300の予熱が行われる。
チューブ300の予熱に使用された湯は、例えば排水口208から排水溝209を通って廃棄されるか、飲料容器の予熱に使用されればよい。なお、飲料容器の予熱に湯が使用された場合、飲料容器内の湯は、使用者によってコーヒーが淹れられる前に廃棄されればよい。
[ノズルユニット210から湯を供給する動作]
使用者は、注出部200を使用してコーヒーを淹れる場合、操作部206を操作して抽出に必要な湯の量を指定する。具体的には、例えば操作部206が「大」「中」「小」等の湯の量を指定する操作ボタンを有し、使用者が例えば使用するコーヒー豆の量や飲料容器の大きさに応じた操作ボタンを操作すると、操作部206は要求された湯の量を示す情報を制御部240に送信する。
要求された湯の量を示す情報を受信した制御部240は、貯湯部100に対して給湯を指示する給湯指示情報を生成し、貯湯部100の制御部130に送信する。これに応じて、貯湯部100の制御部130が上記説明した湯の移送に関する制御を行うことにより、
貯湯部100から注出部200に対する湯の移送が行われる。
チューブ300を通って注出部200に移送された湯は、給湯配管226を介してノズルユニット210へ移送される。なお、貯湯部100からチューブ300を介した注出部200への湯の移送、および、チューブ300から給湯配管226を介した湯の移送は、貯湯部100のポンプ117により行われる。
制御部240は、使用者により操作部206に対して湯の量を指定する操作がなされると、モータ221を所定回転数で回転させる。このような制御により、モータ221の回転トルクがシャフト222、プーリ223、ベルト224およびプーリ225を介してノズルユニット210に伝達され、ノズルヘッド231が所定回転数で回転する。これにより、あらかじめ使用者によりドリッパー2051内に用意されたコーヒーの挽き豆に湯が注がれ、コーヒーが抽出されて飲料容器に溜まる。
<貯湯部100における湯温低下制御の詳細な説明>
以上、本開示の実施の形態に係る給湯装置1の構成および動作について説明した。以下では、貯湯部100の制御部130による、タンク101内の湯の温度を低下させる制御について、より詳細に説明する。
[湯温低下制御の目的]
現在の湯温より低い設定温度が設定された場合、上述したように、制御部130は、ヒータ106の加熱を停止させる制御を行う。この後、給湯装置1の使用者によっては、タンク101内の湯温を、速やかに設定温度まで低下させたいという要望がある。このような要望は、例えば、Aというコーヒー豆からコーヒーをおいしく抽出するためには湯温95℃が望ましいが、Bというコーヒー豆からおいしく抽出するためには湯温90℃が望ましいことがあらかじめ分かっている場合等に生じうる。
このような状況において、現在95℃のタンク101内の湯温を自然放熱で90℃まで下げるには、長い時間がかかる。本開示は、このような事態に対応するために、貯湯部100のタンク101内の湯温が設定温度より高い場合に、速やかに湯温を設定温度まで低下させることを目的とする。以下では、速やかに湯温を設定温度まで低下させるための、貯湯部100における制御について詳細に説明する。
[湯温低下制御の詳細]
制御部130は、現在の湯温より低い設定温度が設定された場合、以下のような制御を行う。まず、制御部130は、ヒータ106の加熱を停止させる。
そして、制御部130は、仕切り板112より下側に存在する水を用いて、仕切り板112より上側に存在する湯の温度を下げる制御を行う。
具体的には、制御部130は、ポンプ117を逆方向に動作させるとともに、三方弁119の取水管116の下流側を閉止させて、仕切り板112より下側に存在する水を撹拌用管120を通って吸い上げ、取水管116の上流側へ流す。これにより、仕切り板112より下側に存在する比較的低温の水が、取水口115からタンク101内の仕切り板112より上側の比較的高温の湯の中に供給される。
図12Aおよび図12Bは、タンク101内の湯の流路について説明するための図である。図12Aは、タンク101内の湯がチューブ300を介して注出部200へ移送される場合の流路を示している。一方、図12Bは、仕切り板112より下側の水によってタンク101内の湯温を低下させる場合の流路を示している。
図12Aにおいては、制御部130は、注出部200からの給湯指示情報に基づいて、ポンプ117を制御して、タンク101内の湯(仕切り板112より上側に存在する湯)を注出部200へ移送している。この場合、ポンプ117は順方向に動作し、タンク101内の湯は、取水口115から取水管116、ポンプ117、流量計118、三方弁119を通り、取水管116の下流に接続されたチューブ300へと流れる。三方弁119は、制御部130の制御により、撹拌用管120側が閉止され、取水管116の上流側から下流側へ流れる流路が形成されている。このため、撹拌用管120には湯が流れない。
一方、図12Bにおいては、制御部130は、設定温度が現在の湯温より低いことを検知した場合に、三方弁119における取水管116の下流側を閉止させ、ポンプ117を逆方向に動作させている。この場合、ポンプ117を逆方向に動作させることによって、タンク101内の水(仕切り板112より下側に存在する水)が撹拌用管120から吸い出され、三方弁119、流量計118、ポンプ117を通って、取水口115からタンク101内へ送り込まれる。三方弁119は、制御部130の制御により、取水管116の下流側が閉止され、撹拌用管120から取水管116の上流側へ流れる流路が形成されている。このため、取水管116の下流側(チューブ300および注出部200側)へは水が流れない。
このような制御により、タンク101内において仕切り板112より下側に存在する比較的低温の水が、仕切り板より上側に存在する比較的高温の湯の中に混ぜ合わされる。これにより、タンク101内の湯は比較的低温の水によって撹拌され、タンク101内の湯温が低下する。
なお、上述したように、仕切り板112は、仕切り板112より上側に存在する湯が、仕切り板112より下側に存在する水より量が多くなるように配置されている。このため、比較的高温の湯の中に混ぜ合わせることができる、比較的低温の水の量には限りがある。また、仕切り板112より下側の層から水を吸い出して仕切り板112より上側の層に混ぜ合わせているため、仕切り板112より下側に存在する水の温度も次第に上昇する。これにより、比較的高温の湯の中に比較的低温の水を混ぜ合わせることによる、湯温を低下させる効果は、時間が経過するにつれて低下していく。
このような事情から、制御部130は、以下のような制御を行う。すなわち、制御部130は、ポンプ117を逆方向に動作させてタンク101内の比較的低温の水を比較的高温の湯の中へ混ぜ合わせる制御を開始してから、一定時間が経過するまで、ポンプ117の逆方向への動作を継続する。
ここで、制御部130は、第1水温検出部113によるタンク101内の湯温を監視しておき、湯温が目標の設定温度となった場合には、その時点でポンプ117の動作を停止させる。
ポンプ117の逆方向への動作開始から一定時間が経過すると、制御部130は、湯温が目標の設定温度となっていなくても、ポンプ117の逆方向への動作を停止させる。そして、さらにタンク101内の湯温を低下させるため、タンク101内の比較的高温の湯を一部廃棄して、新たに比較的低温の水を給水部104から給水させる制御を行う。
具体的には、制御部130は、ポンプ117の逆方向への動作停止後、ポンプ117を順方向に動作させ、タンク101内の湯を注出部200へ移送する。ここで、制御部130は、熱湯による危険を防止するため、注出部200へ湯の移送が行われることを給湯装置1の使用者に対して報知することが望ましい。
注出部200へ移送された湯は、例えばノズルユニット210から散布され、排水口208から排水溝209を介して廃棄される。
制御部130は、ポンプ117の順方向の動作と並行して、またはポンプ117の順方向の動作終了後に、給水部104によりタンク101内へ給水させる。
このような制御により、タンク101内の湯温が設定温度まで低下する。
なお、制御部130は、タンク101から廃棄する湯の量、および、タンク101に新たに給水する水の量を、ポンプ117の逆方向への動作を終了させた時点で、タンク101内の湯温およびタンク101内の水温に基づいてあらかじめ算出しておくことが望ましい。タンク101から廃棄する湯の量、および、タンク101に新たに給水する水の量の算出方法については、本開示では特に限定しない。
[変形例]
上記した説明では、タンク101内の湯を注出部200に移送するためのポンプ117を逆方向に動作させることによって、タンク101内の水を吸い出していた。このような構成により、給湯装置1の部品コストや製造コストを低減し、給湯装置1の大きさを小さくすることができる。しかしながら、本開示はこのような構成に限定されず、図12Cに示すように、例えばタンク101内の水を仕切り板112より上側に移送するための第2ポンプ121をポンプ117とは別に有していてもよい。
<作用・効果>
以上説明したように、本開示の実施の形態に係る給湯装置1は、湯を貯留するタンク101を有する貯湯部100と、貯湯部100とチューブ300を介して接続され、貯湯部100の湯を用いて飲料の抽出を行う注出部200と、を有する給湯装置であって、貯湯部100は、タンク101と、タンク101内に水を供給する給水部104と、タンク101内の湯を加熱して湯とするヒータ106と、タンク101内の湯温を検出する第1水温検出部113と、を有し、給水部104がタンク101内に水を供給する位置は、ヒータ106がタンク101内の湯の加熱を行う位置より下側である。
このような構成により、湯を貯留する貯湯部100と、飲料の抽出を行う注出部200とを分けて設置することができる。また、このような構成により、タンク101内において、給水部104によって供給された水によって形成される比較的低温の水の層と、ヒータ106によって加熱され、比較的高温の湯となった層と、が形成される。
また、本開示の実施の形態に係る給湯装置1において、貯湯部100は、給水部104がタンク101内に水を供給する位置と、ヒータ106がタンク101内の湯の加熱を行う位置との間に、タンク101内における湯(水)の移動を抑制する仕切り板112をさらに有する。このような構成により、タンク101内において、比較的低温の水と比較的高温の湯とが意図せず混じり合ってしまう事態を防止することができる。そして、仕切り板112は穴を有するので、タンク101内の最低限の対流は可能となる。
また、本開示の実施の形態に係る給湯装置1において、貯湯部100は、タンク101内の湯温を検出する第1水温検出部113と、タンク101内の湯温が保たれるべき温度である設定温度の入力を受け付ける操作部131と、タンク101内の仕切り板112より下側に存在する水を、タンク101内の仕切り板112より上側に移送するポンプ117と、タンク101内の仕切り板112より上側に存在する湯の温度が設定温度より高い場合に、ポンプ117を動作させる制御部130と、を有する。
このような構成により、貯湯部100のタンク101内の湯温が設定温度より高い場合に、速やかに湯温を設定温度まで低下させることができる。
また、本開示の実施の形態に係る給湯装置1において、ポンプ117は、タンク101内の仕切り板112より上側に存在する湯を注出部200に移送するポンプである。このため、貯湯部100の部品コストや製造コストを低減し、給湯装置1の大きさを小さくすることができる。
また、本開示の実施の形態に係る給湯装置1において、制御部130は、ポンプ117を一定時間動作させても貯湯部100のタンク101内の湯温が設定温度より高い場合に、ポンプ117を動作させてタンク101内の仕切り板112より上側に存在する湯を廃棄し、給水部104にタンク101内に水の供給を行わせる。
このような構成により、強制的にタンク101内の湯温を低下させることができる。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素は任意に組み合わせてられてもよい。
上記した実施の形態では、給湯装置1の貯湯部100において、水を温めて湯として貯留していたが、本開示はこれに限定されない。本開示の給湯装置は、水以外の液体に対しても適用が可能である。
上記した実施の形態では、注出部200において、モータ221等各構成の制御を注出部200が有する制御部240が行っていたが、本開示はこれに限定されない。例えば、注出部200が制御部240を有さず、貯湯部100の制御部130が注出部200のすべての構成の制御を行うようにしてもよい。
上記した実施の形態では、注出部200におけるノズルユニット210において、ノズルヘッド231は管状に形成されて回転し、端部付近に設けられた穴2313から湯が円形の軌跡を描くように散布されていたが、本開示はこれに限定されない。例えば、シャワー状に湯を散布するようなノズルヘッドを採用してもよい。