一つの問題は、スポーツ計時用途で使用した場合、UHFタグは、誘電率が比較的高い身体の極近傍内に在る、という事実に関わるものである。身体の近傍では、タグアンテナのインピーダンスが変化し、それにより、タグは、その最適な作用点から「離調」する。この離調効果により、タグによって生成される変調された後方散乱信号は、非常に小さくなり、したがって、検出が非常に困難になる。この離調は、環境が湿っている場合、例えば、競技者の着衣及び身体の少なくとも一方が湿っていたり汗にぬれている場合、さらに悪くなる。すなわち、信号がさらに劣化し、それにより、検知アンテナを横切るもしくは通過する参加者が、計時システムによって登録されなかったり、あるいは、少なくとも正しく登録されなかったりする虞れが増大する場合がある。
もう一つの問題は、競技者がフィニッシュを通過する際の、検出アンテナに対するUHFスポーツ計時タグの移動に関するものである。タグは、フィニッシュを横切る際の移動及び回転の少なくとも一方によって、検出アンテナに対して向きが最適でなくなる可能性が有る。したがって、タグとリーダーとの間で誤通信が生じ、それにより、参加者が検出アンテナを横切る際の計時又は登録が信頼できなくなる場合がある。
両方の問題が特に存在するスポーツ・イベントの例は、トライアスロン・イベントである。トライアスロンは、その最も一般的な形態では、水泳、サイクリング、及びランニングが、さまざまな距離に亘って次々と行われる。トライアスロンの競技者は、水泳、サイクリング、及びランニングの各構成要素の間の「トランジション」の時間を含む全コースの完了時間の速さを競い合う。トライアスロンの競技者は、検出点における正確な時刻登録のため、身体のどこか、例えば、胸部上、足首の周り、又は、手首の周りに、スポーツ計時タグを装着することができる。
検出アンテナは、スポーツ計時タグによって生成される小さな後方散乱信号の読取ができるよう、弱い信号の読取に対して最適化することができる。例えば、EP2009595A1では、スポーツ計時タグの検出性を増大させるため、フィニッシュ・ラインと平行に配置されるアンテナ・マットを用いる解決策を開示している。EP2009595A1では、フィニッシュ・ライン全体に亘って、均質な質問及び検出電磁(EM)界が生成されるよう、アンテナ・マットの放射電磁界を最適化することによって、ミスの数(すなわち、フィニッシュを横切りはするがアンテナによって検出されないタグ)の数を減らすことを示唆している。この解決策は、しかしながら、タグと検出マットの間の誤配向によるミスの問題を解決しない。均質なEM界が生成されている場合でも、後方散乱信号は、誤配向によって、非常に弱くなる場合がある。さらに、改良されたアンテナ・マットを、既存の計時システムに導入することは、マットの取替えを必要とし、それにより、最適化されていない(レガシーな)検出アンテナを時代遅れなものとし、これは、コスト及び環境問題の点で望ましくない。
したがって、以上のことから言えることは、計時タグと関連する上述の問題に対するコスト効率の良い解決策が、従来の技術に対して求められる、ということである。特に、トライアスロン又は同様のイベントを含むスポーツ・イベントの際に、レガシーな検出アンテナに基づいて、確実に使用できるスポーツ計時タグ・アセンブリが、従来の技術に対して求められる。
本発明の目的は、従来技術における既知の欠点の少なくとも一つを軽減するか排除することである。第1の態様においては、本発明は、タグ・アセンブリの装着者と関連するデータを少なくとも一つの検出アンテナに送信するための、少なくとも第1及び第2のタグ、好ましくは、UHFタグ、より好ましくは、モノポール、ダイポール又は4連装アンテナを含むUHFタグを備える装着可能なスポーツ計時タグ・アセンブリであって、タグ・アセンブリが、タグ・アセンブリを装着者の少なくとも身体部分又は着衣に取り付ける手段を備え、前記身体又は着衣に取り付けられた場合、前記第1のタグのメインの信号送信方向は、第1の方向であり、かつ、前記第2のタグのメインの信号送信方向が、前記第1の方向と異なる第2の方向である、ことを特徴とするスポーツ計時タグ・アセンブリに関する。
従来のスポーツ計時タグを使用する場合は、タグの方向感度と参加者の身体の存在による非常に小さな後方散乱信号及び強い離調との組合せで、RFIDリーダーを通過又は横切る参加者が検出アンテナによって検出されない虞が増大する。スポーツ計時タグ・アセンブリは、予め決められたスペーサ厚さの可撓性基板、例えば、装着可能な又は取り付け可能なバンド上にマルチプル(multiple)なUHFタグを位置させることにより、競技者が装着した場合、後方散乱信号のメインの送信方向が、異なるタグの少なくとも一部で異なるようにして、この問題を解決している。スポーツ計時タグ・アセンブリは、特に、通過がミスされる可能性が高い困難な状況で、例えば、マラソンのスタートの際、又はトライアスロン等のより複雑なスポーツ・イベントの際に、参加者の検出を確実に行うものである。
RFIDリーダーを通過又は横切る際、タグ・アセンブリのタグのうち少なくとも一つは、RFIDリーダーのRF界に向けられ、したがって、後方散乱信号の振幅は、RFID検出器に対する競技者の向き及び競技者の移動のうち少なくとも一方とは無関係に、RFIDリーダーによる検出に対して十分に大きくなる。さらに、スポーツ計時アセンブリは、RFIDリーダーを修正又は交換する必要無しに、ミスの数を大幅に減らすことができる。
一実施形態では、前記第1及び第2のタグは、可撓性支持基板、好ましくは、細長い可撓性支持基板上に配設されている。一実施形態では、前記少なくとも第1及び第2のタグは、前記支持基板の長手方向に均等に配置されている。一実施形態では、前記第1及び第2のタグの長手方向の軸は、前記支持基板の長手方向の軸に対して平行である。一実施形態では、前記第1のタグの長手方向の軸は、前記第2のタグの長手方向の軸とある角度をなしている。一実施形態では、前記第1及び第2のタグは、前記支持基板の長手方向に一列に配置されている。
マルチプル(multiple)なタグが搬送波基板上に配置されると、タグ間の干渉及び結合効果のうち少なくとも一方を最小限度に抑えることができる。
一実施形態では、前記支持基板の厚さは、2mmと15mmとの間、好ましくは、4mmと8mmとの間で選択された厚さを有している。一実施形態では、前記可撓性支持基板は、低誘電(誘電率が1と10の間の)可撓性材料、好ましくは、エラストマー系ポリマー、より好ましくは、ネオプレン又はEPDM発泡材料又はその同等物を備えている。したがって、基板は、アンテナを競技者の身体から離しておくためのスペーサとして効果的に機能し、身体の比較的高い誘電率(水の誘電率は、20℃で約80.4である)による離調を無くすか、あるいは、少なくとも最小限度に抑える。
一実施形態では、少なくとも第1及び第2のタグは、装着者と関連する識別子を記憶するメモリをそれぞれ備え、前記第1のタグに記憶された識別子は、前記第2のタグにおける識別子と同一である。
一実施形態では、少なくとも第1及び第2のタグは、装着者と関連する識別子を記憶するメモリをそれぞれ備え、前記第1のタグに記憶された識別子は、前記第2のタグにおける識別子と同一である。
一実施形態では、前記スポーツ計時タグ・アセンブリは、身体の少なくとも一部の周りに装着されるバンドとして構成されており、好ましくは、前記スポーツ計時タグ・アセンブリは、リスト・バンド又は足首バンドとして構成されている。
一実施形態では、前記バンドは、可撓性のスペーサ層、前記タグを支持するための前記スペーサ層に固定された可撓性支持基板、及び前記タグを保護するための前記可撓性支持基板上の上部層を備えている。
上部層は、少なくとも実質的に耐裂性及び耐水性の少なくとも一方を有する材料でできているか、図形及び文字の少なくとも一方を備えるためにプリント可能となっていることとする請求項12に記載のスポーツ計時タグ・アセンブリ。
一実施形態では、前記スペーサ層の材料は、低誘電可撓性材料、好ましくは、エラストマー系ポリマー、より好ましくは、ネオプレン又はEPDM発泡材料又はその同等物である。
一実施形態では、上部層又はスペーサ層の少なくとも一端は、延長部を備え、身体の少なくとも一部の周りにバンドをフィットさせたとき、延長部をバンドの他端に固定するようになっている。
一実施形態では、延長部は、接着剤を備え、身体の少なくとも一部の周りに装着可能なバンドをフィットさせたとき、延長部を、装着可能なバンドの他端において上部層に固定するようになっている。
本発明の一態様によれば、上述のように、スポーツ計時タグ・アセンブリから、又は、上述のように、スポーツ計時タグ・アセンブリを備える装着可能なバンドからデータを得る、RFIDリーダーにおける方法が提示されている。この方法は、RFIDリーダーの検出アンテナからスポーツ計時タグ・アセンブリの少なくとも第1及び第2のタグの少なくとも一つに信号を送信することを含むことができる。この信号は、検出アンテナにデータを送信する前記タグに電力を供給し、かつ、前記タグを活動状態にすることができる。この方法は、さらに、RFIDリーダーにおいて、前記タグからデータを受信することを含むことができる。この方法は、さらに、RFIDリーダーに通信可能に接続されている記憶装置に前記データを記憶することを含むことができる。
したがって、スポーツ計時タグ・アセンブリ又は装着可能なバンドは、スポーツ計時用に使用することができる。
請求項16の実施形態は、異なるデータでプログラミングされたタグをスポーツ計時タグ・アセンブリに有利に使用できるようにするものである。
本発明の一態様によれば、上述したスポーツ計時タグ・アセンブリ又は上述した装着可能なバンドにおける少なくとも第1及び第2のタグをプログラミングする方法が提示されている。この方法は、第1の指令を有する信号をプログラミング装置からスポーツ計時タグ・アセンブリに送信して、タグ・アセンブリの各タグからタグ識別子を得ることを含むことができる。この方法は、さらに、各タグからプログラミング装置におけるタグ識別子を受信することを含むことができる。この方法は、さらに、受信されたタグ識別子を用いてタグをアドレスすることによって、プログラミング装置から各タグに第2の指令を送信することを含むことができる。第2の指令は、各タグのプログラマブル・メモリに書き込むデータを有することができる。この方法は、さらに、装着可能なバンドに信号を送って、各タグに電力を供給し、かつ、各タグを活動状態にし、かつ、各タグのプログラマブル・メモリからデータを得ることによって、各タグのプログラマブル・メモリに記憶されたデータを確認し、かつ、各タグの得たデータを、タグのプログラミングのためにタグに送信されたデータと比較することを含むことができる。
このように、装着可能なバンドにおけるタグをプログラミングする効率的な方法が提供されており、タグは、一つのプログラミング動作でプログラミングでき、かつ、プログラミングの結果を確認することができる。
以下、本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。しかしながら、これらの実施形態は、本発明の保護の範囲を限定するとは解釈できないことに留意されたい。
以下、本発明の諸実施形態を、図面を参照してさらに詳しく説明する。
図1A及び図1Bは、本発明の一実施形態に係わるスポーツ計時タグ・アセンブリの代表的な一実施形態を示す図である。図1Aは、装着前の、すなわち、実質的に平坦な配向状態のスポーツ計時タグ・アセンブリ100の平面図である。
このタグ・アセンブリは、予め決められた幅及び長さの可撓性支持基板104上に配置されたマルチプル(multiple)な、すなわち、少なくとも二つの、RFIDタグ1021、2を備えることができる。タグは、アンテナ1061、2(例えば、ダイポール・アンテナ)及びマイクロプロセッサ1081、2、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)チップを備えることができる。一般にUHFタグは、アンテナの長さが、検出すべき波長の約半分であるという事実により、細長い形態を有している。この特定の例では、タグは、それらの長手方向の軸が、可撓性基板の長手方向の軸に対して実質的に整合し、かつ、平行となるよう隣接して配置されている。この構成では、タグ間の電磁結合は、無いかあるいは最小限度である。なお、図1Aに示した構成は、非限定的な例であることを主張するものである。多くの変形が可能であり、以下にそれらをより詳しく説明する。一実施形態では、タグは、(受動)UHFRFIDタグとすることができる。タグは、何らかの適当な市販のタグとすることができる。
図1Bは、図1Aの計時タグ・アセンブリの3次元図であって、競技者の身体の少なくとも一部、例えば、足首又は手首の周りに装着された場合を示すものである。図1Bに示すように、基板は、厚さtを有することができる。一実施形態では、基板の厚さは、2mmと15mmとの間、好ましくは、4mmと8mmとの間の範囲内で選択することができる。別の実施形態では、スペーサ材料を、低誘電可撓性材料、好ましくは、エラストマー系ポリマー、例えば、ネオプレン又はEPDM発泡材料又はその同等物等の発泡ゴムとすることができる。ここで、低誘電可撓性材料は、誘電率が身体(主として約80の誘電率を有する水)の誘電率より実質的に低い任意の可撓性材料と解釈してよい。したがって、低誘電材料は、好ましくは、1と10との間の誘電率を有している。例えば、EPDMフォームは、2.6と2.8との間の誘電率を有し、ネオプレンは、約6.7の誘電率を有している。
すなわち、基板は、アンテナを競技者の身体から離しておくためのスペーサとして効果的に機能し、それにより、身体の比較的高い誘電率(水の誘電率は、20℃で約80.4である)による離調を無くすか、あるいは、少なくとも最小限度に抑える。さらに、図1Bに示すように、タグは、競技者が装着した場合、タグのメインの信号送信方向(すなわち、送信信号1081、2が最高強度となる方向)の間でΘの角度が存在するよう、可撓性基板に配置されている。角度Θは、タグ・アセンブリの設計によって、異なる角度を選択することができる。一実施形態では、Θは、10度と180度との間で選択することができる。
以下でより詳しく説明するように、平面ダイポール・アンテナを使用した場合は、RF信号の送信方向は、アンテナ表面に対して直角であり、RF信号の信号強度は、ダイポールの2つのアンテナ部が、マイクロプロセッサ・チップに接続されている箇所で最高となる。タグ・アセンブリは、マルチプル(multiple)なタグをスペーサ基板上に位置させることによって、競技者又は参加者が装着した場合、異なる方向に送信することになり、したがって、タグのうちの少なくとも一つが、最適な、もしくは、検出アンテナに対して十分大きな方向で放射を行う可能性が増大し、したがって、そのタグによって送信された小さな信号が、RFIDシステムによって検出されない可能性は、最小限に抑えられる。例えば、図1Bでは、RFIDリーダー(図示せず)のRF信号は、両方のタグ1061、1062を動作状態にする。しかしながら、リーダーに対する第1のタグ1061の向きが、第2のタグ1062の向きより良い、という事実により、第1の信号の後方散乱信号は、弱すぎてRFIDリーダーが検出できない可能性の有る第2の後方散乱信号より強くなる。タグ・アセンブリのさらなる利点は、既存のRFIDリーダーと併用できることである。したがって、このスポーツ計時アセンブリでは、RFIDリーダーの修正又は交換の必要無しに、ミスの数を大幅に低減することが可能である。
図2Aは、図1A及び1Bに係わるタグ・アセンブリのRFIDリーダー204及びRFIDタグ202を備えるRFIDシステムの動作を模式的に説明する図である。タグは、アンテナ206(例えば、ダイポール・アンテナ)及びマイクロプロセッサ208を備えている。マイクロプロセッサは、RFIDリーダーにより、そのアンテナ212を介して送信されたRF信号210から電力を受け取ることができる。RF信号は、RFIDリーダー内のベース・バンド・プロセッサ214及び送信器モジュール218を用いて生成することができる。
タグは、約860〜960MHzのUHF帯域内で選択された周波数を用いることができる。UHFRFIDシステムは、北米では902〜928MHzで、ヨーロッパでは868MHzで、アジア(日本)では920MHzで動作する。UHFタグは、比較的安く(したがって1回使用の使い捨てタグとして使用でき)、比較的軽量であり、また、高周波(HF)タグ等の周波数がより低いタグと比べて、より長い距離に亘って、より速く読取可能である。タグは、データ、例えば、タグ・アセンブリを装着している競技者を識別するための(固有の)値を、RFIDリーダーに送り返すよう構成すること(例えば、プログラミングすること)ができる。データは、スイッチ216を用いてタグの入力インピーダンスを2つの状態の間で切り替え、それにより、後方散乱信号218を変調することによって送信することができる。RFIDタグは、各インピーダンス状態で、一定のレーダー横断面を呈する。インピーダンス状態の一方は、一般に高く、他方は低く、したがって、後方散乱信号に相当な差が生ずる。変調された後方散乱信号218は、RFIDリーダーの受信器モジュール220内で処理することができる。サーキュレータ222は、送信モードと受信(検出)モードの間でRFIDリーダーを切り替えることができる。
図2Bは、RFIDリーダーによって受信された信号の強度Rを、時間tの関数として
表すグラフを示す。RFIDリーダー204とタグ202との間のデータ交換には、各種の変調及びコーディング・スキーム(例えば、振幅変調及びマンチェスター・コーディング)を用いることができる。順方向リンクで送信されたRF信号210は、図2に示すように、連続波(CW)224a及び変調された指令224bの両方を含むことができる。逆方向リンクでは、データは、タグ・インピーダンスで後方散乱信号が変調されるCWの期間中に、送り返すことができる。図2Bに示すように、変調された後方散乱信号218の強度は、搬送波信号CW224a、224bに比べて、非常に小さい。
モノポール又はダイポール・ベースのRFIDタグの信号放射パターンは、全方位である。例えば、RFIDタグのダイポール・アンテナは、図3の断面図に示すように、アンテナ軸302を中心とする実質的にトロイダル状の電磁界304を生成することができる。後方散乱信号304の電磁界、したがって、信号強度は、ダイポール・アンテナに対して直角の方向が最高であり、アンテナの軸上でゼロとなる。
したがって、変調された後方散乱信号の信号放射パターンは、一般に、タグアンテナの平面に対して直角な方向(すなわち、タグアンテナの平面に対して法線方向)が最高の信号強度となる。この方向は、メインの信号送信方向と呼ぶことができる。したがって、最適な検出のためには、タグアンテナの平面は、好ましくは、RFIDリーダーの検出アンテナに正対させるべきである(もしくは、アンテナ平面の法線が、RFIDリーダーを指向するようにすべきである)。
したがって、従来のスポーツ計時タグを用いる場合は、タグの方向感度と非常に小さな後方散乱信号及び参加者の身体の存在による強い離調との組合せで、RFIDリーダーを通過又は横切る参加者が検出アンテナによって検出されない虞れが増大する。スポーツ計時タグ・アセンブリは、マルチプル(multiple)なUHFタグを、競技者が装着した場合、後方散乱信号のメインの送信方向が、異なるタグの少なくとも一部で異なるように、予め決められたスペーサ厚さの可撓性基板、例えば、装着可能な、又は、取り付け可能なバンド上で位置させることによって、この問題を解決している。スポーツ計時タグ・アセンブリは、通過をミスする可能性が高い特に困難な状況、例えば、マラソンのスタートの際、又は、トライアスロン等のより複雑なスポーツ・イベント中において、参加者の検出を保証する。
図4は、本発明の実施形態に係わるスポーツ計時タグ・アセンブリを装着している競技者の検出を示す図である。スポーツ計時タグ・アセンブリは、異なるやり方、例えば、装着可能なリスト・バンド402又は足首ストラップ410の形態で実用化することができる。別法として、スポーツ計時タグ・アセンブリは、例えば、着衣、身体、レース用胸当て、靴、自転車、ボート又はホイール・チェア等の(スポーツ)装置に取り付けることができる。タグ・アセンブリは、バンド、ベルト、ストラップ、ステッカー、着衣等の一部とすることができる。RFIDリーダーが、例えば、アンテナ・マット406、縦方向のサイド・アンテナ408、又はオーバーヘッド・アンテナ(図示せず)を通過又は横切る際、タグ・アセンブリのタグの少なくとも一つは、後方散乱信号4101、4122、4141の振幅が、RFID検出器に対する競技者の向き及び(又は)競技者の移動とは無関係に、RFIDリーダーの検出に対して十分大きくなるように、RFIDリーダーのRF界4102、4122、4142に向けられる。
好ましくは、タグ・アセンブリにおけるRFIDタグは、半波ダイポール・アンテナ又は四分の一波モノポール・アンテナを備えた(受動)UHFタグとすることができる。タグ・アセンブリにて使用するのに適した市販のタグの例としては、UPMTM又はSMARTRACTM Raflatac DogBoneTMUHFダイポール・タグ等がある。このタグは、93x23mmのアンテナ・サイズ、97x27mmのダイカット・サイズ及び100mmの全長を有しており、それにより、タグ・アセンブリの最小寸法(例えば、幅)が決定されている。
RFIDリーダーのRF信号(変調されたトリガ信号)に応答して、スポーツ計時タグ・アセンブリの一つ又はそれ以上のタグは、変調された後方散乱信号、すなわち、タグ信号に基づいて、タグのチップのメモリに記憶されている情報を検出アンテナに送り返すことができる。すなわち、タグ・アセンブリは、例えば、タグ(複数も可)を識別する固有のID及びタグチップのメモリにプログラミングされた何らか他のデータの少なくとも一方を含むメッセージの送出を開始することができる。検出アンテナは、送信されたメッセージを拾い上げ、メッセージにタイム・スタンプし、かつ、それらをプロセッサに転送することができる。プロセッサは、検出の時刻及び受信されたメッセージの信号強度に基づき、アルゴリズムを実行して、タグと関連する時刻を決定することができる。処理されたデータは、次いで、記憶媒体、例えば、データ・ベースに記憶させて、さらに使用することができる。読取動作ごとに、交換された情報及びタイム・スタンプの記録を行うことができる。これらの記録は、各参加者のイベント完了時間を算出するのに使用することができる。完了時間は、次いで、参加者の順位決定に使用される。
スポーツ計時タグ・アセンブリに、より多くのタグを加えれば、タグのうちの少なくとも一つを、タグ・リーダーに対して、読取可能な位置にすることができる可能性が増大する。また、タグ・アセンブリにおける各タグの向きは、読み取られる可能性がさらに最適なものとなるよう変更することができる。例えば、一実施形態では、タグは、支持基板上で、第1のタグの長手方向の軸が第2のタグの長手方向の軸とある角度をなすように配置することができる。例えば、図5は、本発明の一実施形態に係わるスポーツ計時タグ・アセンブリ502の概略平面図を示す図である。このタグ・アセンブリでは、3個のタグ504、506、508を異なる向きで備えて、タグの長手方向の軸と基板との間の角度が、ゼロ度(504)、45度(506)、及び90度(508)となるようにすることができる。図5におけるタグの向きは、代表的なものと理解すべきであり、タグは、基板上で、任意の角度に位置させることができ、また、タグの数は、変更することができる。
図6A及び6Bは、本発明の別の実施形態に係わるスポーツ計時タグ・アセンブリを示す図である。この構成では、スポーツ計時タグ・アセンブリ602は、長手方向の軸が、支持基板の長手方向の軸に対して実質的に平行な向きである3個又はそれ以上のタグ6041-3を備えることができる。一実施形態では、第1及び第2のタグは、第1及び第2
のタグ間の距離が、長さLのギャップ606で画定されるよう、第1の長手方向の軸610上に配置することができる。また、少なくとも、第3のタグを、前記第1の長手方向の軸に対して平行な第2の長手方向の軸612上に、ある高さのギャップを設けて配置することができる。すなわち、第3のタグは、第3のタグの放射電磁界の強度が、前記ギャップの位置で最高となるよう、前記第1及び第2のタグに対して、配置される。したがって、この方式では、タグ間の干渉及び結合効果の少なくとも一方は、最小限度に抑えられる。すなわち、マルチプル(multiple)なタグは、タグが動作中に離調する虞れが無いよう、搬送波基板上に配置することができる。図6Aに示した配置構成は、マルチプル(multiple)な列のタグにまで容易に拡張することができる。
図6Bは、競技者の足首又はリストの周りに装着されるスポーツ計時タグ・アセンブリの概略を示す図である。スポーツ計時タグ・アセンブリ602は、競技者の身体又は着衣の少なくとも一部の周りにフィットするよう、曲げて使用される。結果として、タグ・アセンブリにおける異なるタグは、異なる方向を向くことになる。異なる方向を向くマルチプル(multiple)なタグの存在は、競技者が検出されないという虞を実質的に低減することになる。
図1Bの例と同様に、各(ダイポール・)タグ・アンテナは、曲げた場合、アンテナ軸を中心として、実質的にトロイダル形の電磁界を生成する。矢印6081-3は、有り得
る後方散乱信号の方向を示すものである。タグのうちのどの一つがトリガされて後方散乱信号を生成するかは、検出アンテナに対するタグ・アセンブリの向きで決まる。場合によっては、2つのタグをトリガして、後方散乱信号を生成させることができる。その場合には、RFIDは、同じタグ・アセンブリから出た2つの後方散乱信号を受信することができる。その場合には、タグ・アセンブリから出たどちらの信号を処理するか(例えば、最も高い信号強度を有する信号の処理を行うかどうか)は、RFIDリーダーにおける既知の衝突メカニズムで決めることができる。
したがって、装着可能なスポーツ計時タグ・アセンブリは、使用の際、対応する身体部分の移動とともに移動し、かつ(あるいは)、使用中、身体部分の周りで回転し、したがって、これらの移動中及び回転中の少なくとも一方において、タグ・アセンブリのタグの少なくとも一つは、RFIDリーダーに対して適切な向きとなり、その結果、リーダーに対して十分強い後方散乱信号が送信される。
図7は、本発明の一実施形態に係わる装着可能なスポーツ計時タグ・アセンブリを示す図である。このスポーツ計時タグ・アセンブリは、例えば、足首又は手首の周りにフィットするよう寸法取りすることができる。より一般的には、この装着可能なバンドは、任意の適切な用途に適するよう、寸法取りすることができる。図7に示すように、この装着可能なスポーツ計時タグ・アセンブリは、(少なくとも)可撓性の長手方向のスペーサ層702、2つ又はそれ以上のタグ7081-3を備える可撓性の長手方向の薄い基板層70
4、及び長手方向の上部層706を備える多層構造を有することができる。これらの層は、積層された場合、タグが埋め込まれたリスト又は足首バンドの形態で、装着可能なタグ・アセンブリを形成する。
この例では、タグ・アセンブリは、薄いプラスチックの箔又は(不織)織成シート材料等の薄い可撓性基板702上で、長手方向に配置された3個のタグ7041-3を備える
ことができる。一実施形態では、タグは、図6A及び6Bを参照して説明した配置に従って、薄い基板上に配置することができる。結果として、装着された場合、タグの少なくとも一つは、足首バンドがリーダーのアンテナに対して実質的にいかなる向きであっても、RFIDリーダーと通信できる可能性が高くなる。
足首バンドとして実用化された場合、このバンドは、成人の足首の周りにフィットするよう、20cmと30cmとの間の範囲内の長さをもたせることができる。表面が平坦なUHFダイポール・アンテナは、一般に80mmと12mmとの間の長さを持たせることができる。UHFタグの全長は、アンテナとプロセッサ及びメモリを有する集積回路とを含めて、約100mmの長さとすることができる。したがって、3個又はそれ以上のタグは、図6A及び6Bを参照して詳述した配置構成にしたがってバンド上に配置すれば、タグ・アセンブリ内に最適に収容することができる。
上部層706は、足首バンドを装着した場合、目に見える最外層である。上部層31は、好ましくは、TyvexTM等の耐裂性及び耐水性の少なくとも一方を有する材料でできている。上部層はまた、ロゴ等の図形及び(又は)参加者の固有の識別番号(「レース番号」とも呼ばれている)等の文字及び任意の他の文字の少なくとも一方を備えていてもよい。
スペーサ702は、バンドが装着された場合、競技者の身体又は着衣に最も近い、あるいは、それと接触する最内層である。スペーサは、タグ・アセンブリと競技者の身体の間に間隔を創り出すよう構成されている。スペーサは、スポーツ計時タグ・アセンブリの装着者の身体の近くに存在して、タグの離調を無くすか、あるいは、少なくとも低減する。スペーサの厚さtは、スポーツ計時タグ・アセンブリが、身体や着衣上の装着箇所、及びスポーツ計時タグ・アセンブリの環境の湿度の少なくとも一方に応じて、約2mmと15mmとの間で選択することができる。スペーサ層が、足首バンドの一部をなす場合、その厚さは、4mmと8mm、好ましくは、6mmとの間で選択することができる。一実施形態では、スペーサ層は、周囲の湿度に応じてその厚さ変えられるよう構成することができる。スペーサ層は、軟質であるが低い誘電率を有する強い材料で作ることができる。例えば、一実施形態では、スペーサ材料として、快適に装着できるEPDMラバー・フォーム等の発泡材料を選択することができる。
タグを支持するための支持基板は、スペーサ層と上部層との間に配設される。基板層及びタグは、足首などの身体部分の周りに装着する場合、タグ・アセンブリが曲げられるよう、可撓性とすることができる。タグは、一つ又はそれ以上のモノポール・タグ、一つ又はそれ以上のダイポール・タグ又はそれらの組合せを備えることができる。タグは、UHFタグとすることができる。
装着の快適さを向上させるため、装着可能なバンドの幅は、基板上のタグの異なる列におけるタグの幅を組み合わせた幅にまで最小限化することができる。さらに、タグ・アセンブリの全長が、長手方向でタグによってカバーされるよう、タグの列の数を最小限度に抑えることができる。装着可能なバンドが、十分に長い場合、例えば、胸部バンドの場合、タグは、単一の列、あるいは、その一部に配置して、バンドが、タグの幅に等しい最小の幅を有するようにすることができる。
装着可能なバンドを形成する層は、異なる長さを有するよう選択することができる。図7の例では、タグの支持基板の長さは、足首バンドの最小径を画定することができる。スペーサ層は、支持基板より(長さ「d」だけ)長く選択することができる。スペーサ層の端部で長さ「d」を有する部分7032は、スペーサの厚さを厚さ「f」まで徐々に減らすのに使用することができる。厚さの同様の低減は、スペーサの他端で、長さ「c」の部分7031において実現することができる。
一実施形態では、長さ「c」及び「d」の傾斜した部分7031、2は、バンドの長さを延長させるのに使用することができる。特に、スペーサの両端の傾斜した部分は、足首の周りにバンドを取り付ける際、これらの傾斜した部分をオーバーラップさせることによって、足首バンドの直径を調整するのに使用することができる。オーバーラップの部分は、足首の直径に左右されてよい。
上部層の長さは、固定部分を創り出すため、タグを支持する支持基板より(長さ「b」だけ)長くなるよう、選択することができる。積層後、上部層の延長部は、バンドを足首の周りに固定するのに使用することができる。すなわち、上部層の延長部には、足首の周りに配置した場合、上部層を上部層の他端に固定するための接着剤を含有させることができる。接着剤上には、使用の前に剥がすことになる保護層を存在させてよい。
図7において、スペーサ層の両端における傾斜した部分は、実質的に同じ方向となっている。別の実施形態では、スペーサ層804の傾斜した部分8021、2は、図8A(スペーサ層のみを示す)に示すように、反対方向に画定することができる。
図8Bは、別の実施形態のスペーサを有する層を示す図である。この例では、スペーサ層の長さは、足首バンドの第2の端部において、長さgの部分806によって延長することができる。この延長部分には、足首の周りにバンドを固定するための接着剤を設けることができる。
なお、身体部分の周りに装着可能なタグ・アセンブリを固定するためには、接着剤を用いる代わりに、何らか他の既知の固定手段を用いることができることを主張するものである。例えば、VelcroTM、バックル及びストラップ又はレースを代わりに使用することができる。さらに、装着可能なバンドの両端を、例えば、弾性バンドで結合することが可能である。さらに、何らかの理由によって、さらなる層(例えば、破断防止のためバンドに特別な強さを与える織成層)を備えていてもよいことも主張するものである。さらに、一つ又はそれ以上のタグを、装着可能なバンド内部の異なる層に配設することもできる。装着可能なスポーツ計時タグ・アセンブリ及びスポーツ計時タグ・アセンブリを含む装着可能なバンドの少なくとも一方は、一回だけの使用を意図することができ、あるいは、一つ又はそれ以上の回数、再使用できるようにすることができる。
図9は、UHFタグのマイクロプロセッサの概略を示す図である。マイクロプロセッサは、アナログ前端部902及びディジタル制御部904を備えることができる。アンテナ・ポート906及び908には、一つ又は二つのアンテナを接続することができる。マイクロプロセッサは、さらに、接地ポート910を備えることができる。タグは、リーダーのRF信号の近接によって動作状態にすることができる。タグがリーダーのRF界に入ると、電力管理ブロック912が、誘起電磁界をチップの電源となるDC電圧に変換する。入力の両端に高い電圧が存在する場合、ESD保護ブロック914は、正及び負の電源から電荷を分流させて、静電気放電(ESD)エネルギーに転換し、チップを損傷から保護する。
変調器/復調器916は、リーダーからの信号を変調する。DSB‐ASK、SSB‐ASK又はPR‐ASK等のさまざまな既知の変調フォーマットが使用できる。タグは、そのアンテナ(複数も可)の反射係数を反射状態と吸収状態の間で切り替えることにより、入射RF波形の後方散乱を介して、リーダーと通信することができる。後方散乱データは、一般に、FMO又はMiller副搬送波変調としてコード化される。リーダーは、マイクロプロセッサに、コード化の種類及びデータ速度を指令することができ、データ速度は、発信器918により制御される。ディジタル制御部におけるタグ・コントローラ・ブロック920は、指令シーケンスを実行する有限状態マシン・ロジックを備えている。
メモリ・ブロック922は、情報を記憶するのに使用することができる。一実施形態では、メモリ・ブロックは、最大96ビットのデータを記憶するプログラマブル電子製品コード(EPC)メモリ部924を備えることができる。一実施形態では、EPCは、タグ・アセンブリを装着している競技者にタグをリンクするのに使用可能なタグ識別子を記憶させるのに使用することができる。一実施形態では、タグ・アセンブリにおけるタグのEPCは、同じタグ識別子を備えることができる。別の実施形態では、メモリ・ブロックは、メモリをリセットするためのキル及びアクセス・パスワード、及びメモリをプログラミングするためのアクセス・コントロールを含む保留メモリ部を備えることができる。また別の実施形態では、メモリ・ブロックは、タグ識別子(TID)926を記憶するための保留メモリ部、例えば、ROMを備えることができる。タグは、活動状態にした場合は、変調された後方散乱信号で、EPC及びTIDの少なくとも一方をRFIDリーダーに送信することができる。
リーダーは、EPC及びTIDの少なくとも一方の受信を時計時刻(例えば、タイム・スタンプ)と関連付け、かつ、EPC及びTIDの少なくとも一方を競技者にリンクするよう構成することができる。スポーツ・イベントにおける競技者達は、各競技者がコースを完了するのに要した時間を基に順位付けられることができる。参加者の数が大きなイベントでは、RFIDシステムを用いて参加者を識別することが多い。RFIDシステムは、参加者がレース・コースを進む際、一定の場所々々で参加者を追跡するのにも使用することができる。スポーツ計時タグ・アセンブリにおけるタグは、一つ又はそれ以上のRFIDリーダーと組み合わせて使用して、参加者の自動計時及び場所登録の少なくとも一方を行うことができる。一般に、スポーツ計時タグ・アセンブリにおけるタグは、(タグのEPC及びTIDの少なくとも一方を用いて)参加者の名前及びアドレスの少なくとも一方と関連付けることができる。
タグ・リーダーは、一般に、単一の装着可能なスポーツ計時タグ・アセンブリにおける異なるタグ間で区別せず、また、異なる装着可能なスポーツ計時タグ・アセンブリのタグ間で区別しない。
タグとの通信には、その場所(すなわち、単一のタグ・アセンブリにおける場所又は異なるタグ・アセンブリにおける場所)とは無関係に、既知のRFID通信及び衝突プロトコルが使用できる。タグ・アセンブリにおける一つ又はそれ以上のタグは、検出アンテナを通過する際、一つ又はそれ以上の回数読み取り可能であり、これは、ただ一つのタグが検出アンテナを通過する際、おそらくは何回も読み取られる既知の装着可能なバンドの場合と同様である。
図10は、スポーツ・イベントのスタートの前に、参加者のレース番号をスポーツ計時タグ・アセンブリの各タグのメモリ、例えば、EPCメモリ部にプログラミングするのに使用することができるRFIDシステムの動作を概略的に示す図である。タグ・アセンブリ1006及びRFIDリーダー1002は、図1A及び1Bを参照して説明したRFIDリーダーと同様のものである。レース番号は、一般に、スポーツ・イベント中に参加者又は競技者を一意的に識別するのに使用される。装着可能なバンドにおけるタグ10081-3は全て、同じ一意的なレース番号をプログラミングすることができ、それにより、
単一のレース番号をタグ・アセンブリに割り当てることができる。この場合、レース中に、タグ・アセンブリにおけるどのタグ又はマルチプル(multiple)なタグが検出アンテナによって読み取られるかは、問題ではない。これらの場合のいずれにおいても、読取動作の結果がレースの識別子となる。
別法として、タグ・アセンブリにおける一つ又はそれ以上のタグを、異なるレース番号又は異なるデータとともにプログラミングすることができ、それにより、マルチプル(multiple)なレース番号又はマルチプル(multiple)なデータ値をタグ・アセンブリに割り当てることができる。この場合、タグ・アセンブリのタグを読み取り後、後処理を行って、読み取られたレース番号又はデータを、例えば、参加者の単一のアイデンティティに整合させることが必要となる場合がある。
タグ・アセンブリにおけるタグは、一つ又はそれ以上のプログラミング作業でプログラミングすることができる。全てのタグを同じレース番号(又は他のデータ)でプログラミングしなければならない場合は、RFIDリーダーは、記憶装置1004からタグに書き込む必要のあるデータを得ることができる。次に、単一のプログラミングメッセージ(データを含む)を、レンジ内の全てのタグに(無線で)送信して、タグ・アセンブリのマルチプル(multiple)なタグのEPCメモリに、データをプログラミングすることができる。
タグを異なるレース番号又は異なるデータでプログラミングしなければならない場合は、RFIDリーダーは、記憶装置からタグのメモリに書き込む必要のあるデータを得ることができる。タグのROMからタグの識別子を得るための指令は、レンジ内の全てのタグに(無線で)送信して、タグにそれらのROM識別子を、RFIDリーダーに対して後方散乱させることになる。次に、レンジ内のタグに、プログラミングのメッセージ(データ及びタグ識別子を含む)を(無線で)送信することができる。すなわち、データは、メモリ内に、好ましくは、タグ・アセンブリのタグのEPCにプログラミングされる。タグは、プログラミングされた後、メモリのプログラミングを確認するため、一回以上読み取ることができる。記憶装置1004又はRFIDリーダーに通信可能に接続される別の記憶装置は、スポーツ計時タグ・アセンブリから受信されたデータを記憶するのに使用することができる。
図11は、RFIDリーダー等のプログラミング装置による、スポーツ計時タグ・アセンブリにおけるタグのプログラミング動作のフローチャートである。この例では、タグは、同じデータ、例えば、参加者のレース番号を受信する。第1のステップ1102では、プログラミング装置は、指令を有する信号をタグに送って、例えば、ROMベースのタグ識別子メモリを読み取る。タグは、プログラミング装置からの信号によって電力を与えられ、かつ、活動状態となり、したがって、各タグは、それらのタグ識別子をプログラミング装置に送信することによって応答することができる(ステップ1104)。
次に、プログラミング指令を有する信号が、タグに送信される(ステップ1106)。プログラミング指令は、目標のタグだけが指令を実行するよう定義することができる。すなわち、プログラミング指令にはタグ識別子を含ませることができ、タグは、それを、それ自体のタグ識別子と整合する。プログラミング指令が実行されると、メモリ、例えば、EPCメモリ部には、レース番号を示すことが可能なデータを書き込むことができる(ステップ1108)。次に、ステップ1110では、プログラミング動作を確認することができる。確認には、スポーツ計時タグ・アセンブリをそれがあたかもスポーツ・イベント中に使用されているかのように、読み取ることを含ませることができる。プログラミング装置は、信号をタグ・アセンブリに送って、タグ・アセンブリのタグに電力を供給し、かつ、それを活動状態にし、また、EPCメモリからデータを読み取ることができる。EPCメモリからのデータとともに、タグ識別子を得ることができる。プログラミング装置は、次いで、各タグの受信されたデータを検証し、タグ識別子によってタグを識別することができる。すなわち、受信されたデータは、タグのプログラミングのため以前にタグに送信されたデータと比較される。
タグには、レース番号の代わりに、任意の他のデータをプログラミングすることができる。一般に、タグにプログラミングされたデータは、スポーツ計時タグ・アセンブリ又は装着可能なバンドの装着者に関係付けられ、かつ、直接、あるいは、リーダー内に受信されたデータを後処理後、参加者を識別するのに使用される。
本発明の一実施形態は、コンピュータ・システムと併用するプログラム製品として実用化することができる。プログラム製品のプログラム(複数も可)は、本実施形態(本明細書で説明した方法を含む)の機能を規定し、かつ、各種のコンピュータ可読記憶媒体に含ませることができる。例示したコンピュータ可読記憶媒体には、以下のものが含まれるが、これらには限定されない。
(i)情報が永久的に記憶される書込み不可能記憶媒体(例えば、CD-ROMドライブによって読取可能なCD-ROMディスク、ROMチップ又は任意のタイプのソリッドステ
ート不揮発性半導体メモリ等のコンピュータ内のリード・オンリー・メモリ装置)、及び(ii)変更可能な情報が記憶される書込み可能記憶媒体(例えば、ディスケット・ドライブ又はハードディスク・ドライブ内のフロッピ・ディスク又は任意のタイプのソリッドステート・ランダムアクセス半導体メモリ又はフラッシュ・メモリ)。さらに、本発明は、上述した実施形態には限定されず、これらは、添付のクレームの範囲内で変更可能である。