以下には、図面を参照して、この発明の実施形態に係る洗濯機1について具体的に説明する。洗濯機1は、洗濯物Qの乾燥機能を有する洗濯乾燥機であってもよい。図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯機1の模式的な縦断面右側面である。図1における上下方向を洗濯機1の上下方向Zといい、図1における左右方向を洗濯機1の前後方向Yという。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。前後方向Yのうち、図1における左側を前側Y1といい、図1における右側を後側Y2という。また、図1の紙面に直交する方向を、洗濯機1の左右方向Xという。また、図1を含む各断面図では、図示の都合上、断面の図示が省略された部分が存在する。洗濯機1は、ボックス状に形成された筐体2と、筐体2内に収容された外槽3、洗濯槽4、水流発生部材5、揚水部材6および駆動機構7とを含む。
筐体2の底壁の下面部の四隅に設けられた脚部10が床(図示せず)に上側Z1から接触することによって、洗濯機1が床に設置される。筐体2の大部分は、例えば金属製であるが、筐体2の天壁を構成する部分は、樹脂製の上面板11である。上面板11には、筐体2の内外を連通させる開口部12と、開口部12を開閉する樹脂製の扉13とが設けられる。扉13は、その後端部の回動軸14まわりに上下に回動することによって開閉され、開いた状態において、別の回動軸15まわりにさらに回動することによって折り畳むことができる。上面板11の上面部において例えば開口部12の前側Y1の領域には、液晶操作パネルなどで構成された操作部16が設けられる。洗濯機1の使用者は、操作部16を操作することによって、洗濯機1で実行される洗濯運転についての運転条件を自由に選択したり、洗濯機1に対して洗濯運転の開始や停止などを指示したりすることができる。
外槽3は、例えば樹脂製であり、有底円筒状に形成される。外槽3は、上下方向Zに延びる略円筒状の円周壁3Aと、円周壁3Aの中空部分を下側Z2から塞いだ底壁3Bとを有する。外槽3には、円周壁3Aの上端縁によって囲まれた出入口20が形成され、出入口20は、円周壁3Aの中空部分つまり外槽3の内部空間に上側Z1から連通した状態にある。外槽3には、出入口20を開閉する扉21が設けられる。扉21は、その後端部の回動軸22まわりに上下に回動することによって開閉される。吊り棒と呼ばれる支持部材23が、上面板11から垂れ下がって円周壁3Aに接続され、外槽3は、支持部材23を介して筐体2によって弾性支持された状態にある。
外槽3内には、水が溜められる。例えば円周壁3Aの上端部には、水道水の蛇口(図示せず)につながった給水路24の一端部が接続され、水道水が給水路24から外槽3内に供給される。給水路24の途中には、給水を開始したり停止したりするために開閉される給水弁25が設けられる。底壁3Bには、排水路26の一端部が下側Z2から接続され、外槽3内の水は、排水路26から機外に排出される。排水路26の途中には、排水を開始したり停止したりするために開閉される排水弁27が設けられる。
洗濯槽4は、外槽3よりも一回り小さい有底円筒状に形成される。洗濯槽4は、上下方向Zに延びる略円筒状の円周壁4Aと、円周壁4Aの中空部分を下側Z2から塞いだ底壁4Bとを有する。例えば、円周壁4Aの大部分は金属製であり、底壁4Bの大部分は樹脂製である。洗濯槽4には、円周壁4Aの上端縁によって囲まれた出入口30が形成され、出入口30は、円周壁4Aの中空部分つまり洗濯槽4の内部空間に上側Z1から連通した状態にある。円周壁4Aにおいて底壁4Bに接続された下端部と、底壁4Bとは、洗濯槽4の底部を構成する。
洗濯槽4は、外槽3内に同軸状で収容される。この状態において洗濯槽40の出入口30は、外槽3の出入口20に下側Z2から連通し、出入口20および30は、前述した扉21によって一括開閉される。使用者は、開放された出入口20および30を介して、洗濯槽4の内部空間に洗濯物Qを出し入れすることができる。洗濯物Qは、洗濯槽4の内部空間に収容される。外槽3内の水は、洗濯槽4の円周壁4Aおよび底壁4Bに形成された貫通穴4Cを介して、外槽3と洗濯槽4との間で行き来できる。これにより、洗濯槽4内には、外槽3と同じ水位となるように水が底壁4B側から溜められる。なお、図示の都合上、後述する図3以降の各図における洗濯槽4では、貫通穴4Cの図示が省略される。
洗濯槽4は、その円中心を通る中心軸線を中心に回転可能である。洗濯槽4の中心軸線を、第1回転軸線J1という。第1回転軸線J1は、上下方向Zつまり鉛直に延びた状態にあるので、洗濯槽4は、縦に配置された状態にある。なお、この明細書において、鉛直の方向は、垂直方向Vに限らず、垂直方向Vに対して傾斜した方向も含み、同様の趣旨により、水平の方向は、水平方向Hに限らず、水平方向Hに対して傾斜した方向も含む。以下では、第1回転軸線J1まわりの周方向を周方向Sといい、第1回転軸線J1を中心とする径方向を径方向Rという。径方向Rのうち、第1回転軸線J1に近付く側を径方向内側R1といい、第1回転軸線J1から離れる側を径方向外側R2という。
円周壁4Aの外周面の上端部には、円環状のバランスリング31が同軸状で取り付けられる。バランスリング31は、回転時における洗濯槽4の振動を低減させるものであって、バランスリング31の内部の空洞31Aには、振動低減に寄与するための液体、例えば塩水が収容される。
水流発生部材5は、いわゆるパルセータであり、上下方向Zに厚さを有する円盤状に形成される。水流発生部材5は、洗濯槽4の底部に対して非接触な状態で、洗濯槽4内の下部における底壁4Bの上側Z1に配置される。水流発生部材5は、その円中心を通る中心軸線を中心に回転可能であり、この中心軸線は、第1回転軸線J1と一致した状態にある。例えば、水流発生部材5の厚さは、第1回転軸線J1へ近づくにつれて大きくなるように設定され、水流発生部材5の上面部には、隆起して径方向Rに延びる複数の隆起部5Aが、周方向Sに等間隔で並んで形成される(後述する図7も参照)。
洗濯槽4の内面を径方向内側R1から見た図2と、図2のA−A矢視断面図である図3とを参照して、揚水部材6は、径方向内側R1へ膨出しかつ上下方向Zに延びる樋状の全体形状を有し、洗濯槽4の円周壁4Aに対して径方向内側R1から取り付けられる。揚水部材6は、複数設けられ、周方向Sに並んで配置される。複数の揚水部材6のうち、2つの揚水部材6は、第1回転軸線J1を挟んで対向配置される(図1参照)。揚水部材6において径方向内側R1の側面部の上端部は、円周壁4Aの上端部と上下方向Zにおいて同じ位置にあり、当該側面部の上端部には、出口35が形成される(図2参照)。揚水部材6と円周壁4Aとの間には、上下方向Zに延びる揚水路36が形成される。揚水路36は、出口35から径方向内側R1に露出される。揚水路36の下端部には、水流発生部材5に径方向外側R2から臨む入口(図示せず)が形成される。
駆動機構7は、洗濯槽4および水流発生部材5のそれぞれを回転させるための駆動力を発生して、洗濯槽4および水流発生部材5のそれぞれに伝達するための機構である。具体的には、図1における駆動機構7およびその周辺を拡大して詳細に示した図4を参照して、駆動機構7は、第1支持軸41と、第2支持軸42と、フレーム43と、第1モータ44と、第2モータ45とを含む。
第1支持軸41は、第1回転軸線J1と一致した中心軸線を有する管状に形成される。外槽3の底壁3Bの円中心部分には、貫通穴3Cが形成され、第1支持軸41の上端部は、貫通穴3Cを通って底壁3Bよりも上側Z1にはみ出して、洗濯槽4の底壁4Bの円中心部分に対して下側Z2から固定される。なお、底壁4Bにおいて第1支持軸41の上端部が固定される部分は、金属製である。第2支持軸42は、第1回転軸線J1と一致した中心軸線を有する円柱状に形成され、第1支持軸41内に挿通される。洗濯槽4の底壁4Bの円中心部分には、貫通穴4Cが形成され、第2支持軸42の上端部は、貫通穴4Cを通って底壁4Bよりも上側Z1にはみ出して、水流発生部材5の円中心部分に対して下側Z2から固定される。なお、水流発生部材5において第2支持軸42の上端部が固定される部分は、金属製である。第1支持軸41と、第2支持軸42において第1支持軸41内に挿通された部分との間には、単数または複数の軸受46が介装される。この状態における第2支持軸42は、第1支持軸41に対して非接触、かつ、第1回転軸線J1まわりに相対回転可能である。軸受46として、例えばすべり軸受が用いられる。
フレーム43は、例えば筒状に形成され、第1支持軸41および第2支持軸42を取り囲んだ状態で外槽3の底壁3Bに対して下側Z2から固定される。フレーム43と第1支持軸41との間には、単数または複数の軸受47が介装される。別の軸受47が、底壁3Bにおいて貫通穴3Cを縁取った内周部と第1支持軸41との間にも介装される。この状態における第1支持軸41は、第1回転軸線J1まわりに回転可能である。軸受47として、例えば転がり軸受が用いられる。なお、底壁3Bにおける貫通穴3Cの内周部には、当該内周部と第1支持軸41との隙間を塞ぐオイルシール48が設けられる。
第1モータ44は、フレーム43の周囲に配置され、外槽3の底壁3Bに対して下側Z2から固定される。第1モータ44は、下側Z2へ突出した出力軸49を有する。第1支持軸41の下端部は、フレーム43から下側Z2へはみ出して配置される。出力軸49および第1支持軸41の下端部にそれぞれ取り付けられたプーリ50と、これらのプーリ50に掛け回された無端状の伝達ベルト51とによって、第1支持軸41と出力軸49とは連結された状態にある。第1モータ44が作動して駆動力を発生すると、この駆動力は、第1支持軸41を回転させる。これにより、第1支持軸41に固定された洗濯槽4が、第1回転軸線J1まわりに駆動回転される。
第2モータ45は、図示しないステーを介して外槽3の底壁3Bに固定される。第2モータ45は、第2支持軸42においてフレーム43および第1支持軸41から下側Z2へはみ出した下端部に対して下側Z2から連結される。第2支持軸42の下端部が第2モータ45の出力軸を兼ねる。第2モータ45が作動して駆動力を発生すると、この駆動力は、第2支持軸42を回転させる。これにより、第2支持軸42に固定された水流発生部材5が、第1回転軸線J1まわりに駆動回転される。なお、第2支持軸42の途中に減速機構52が介在されて、第2支持軸42の回転が減速機構52によって目標の回転速度まで減速されてから水流発生部材5に伝達されてもよい。減速機構52として、公知の構成を用いることができる。このように、洗濯槽4と水流発生部材5とは、それぞれ独立して駆動回転可能である。
洗濯機1で実行される洗濯運転は、洗濯物Qを洗う洗い工程と、洗い工程の後に洗濯物Qをすすぐすすぎ工程と、すすぎ工程の後に洗濯槽4を回転させて洗濯物Qを脱水する脱水工程とを含む。
洗い工程では、給水弁25が所定時間だけ開いて外槽3および洗濯槽4に所定水位まで水が溜まった後に、水流発生部材5が駆動回転される(図1参照)。すると、水流発生部材5の回転に伴って洗濯槽4内に発生した水流によって洗濯槽4内の洗濯物Qが撹拌されたり、回転する水流発生部材5の各隆起部5Aによって水流発生部材5上の洗濯物Qが擦られたりすることにより、洗濯物Qから汚れが効果的に除去される。また、水流発生部材5が発生させた水流は、各揚水路36の下端部の入口(図示せず)を通って揚水路36内を上昇して出口35から洗濯槽4内に戻るように循環し、その際、出口35から洗濯物Qに浴びせられることによって洗濯物Qからの汚れの除去に寄与する。また、洗濯槽4内に洗剤が投入されてもよく、この場合、洗濯槽4内の洗濯物Qは、洗剤によって汚れが分解される。所定の洗い時間が経過すると、排水弁27が開いて外槽3および洗濯槽4が排水されることによって、洗い工程が終了する(図1参照)。
すすぎ工程では、給水弁25が所定時間だけ開いて外槽3および洗濯槽4に所定水位まで水が溜まった後に、水流発生部材5が駆動回転される。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qがすすがれる。所定のすすぎ時間が経過すると、排水弁27が開いて外槽3および洗濯槽4が排水されることによって、すすぎ工程が終了する。すすぎ工程は、複数回実施されてもよい。
脱水工程では、排水弁27が開いた状態で、洗濯槽4が高速で駆動回転される。この高速回転により生じた遠心力によって、洗濯槽4内の洗濯物Qが洗濯槽4の円周壁4Aに押し付けられて脱水される。脱水によって洗濯物Qから染み出た水は、洗濯槽4の貫通穴4Cを通って洗濯槽4の外に流出した後に、排水路26から機外に排出される。なお、脱水工程は、中間脱水工程として、洗い工程およびすすぎ工程のそれぞれの後に実施されてもよい。この場合、最後のすすぎ工程の後に最終的に実行される脱水工程を、中間脱水工程と区別して最終脱水工程という。
鉛直に延びる第1回転軸線J1まわりに駆動回転される洗濯槽4および水流発生部材5を含む洗濯機1は、縦型洗濯機である。そのため、洗濯機1では、洗濯槽4内に直接収容された洗濯物Qについては、以上のような縦型洗濯機の洗濯方式で洗濯できる。
洗濯機1は、図5に示す伝達機構60および収容体61も含む。伝達機構60に関連して、洗濯槽4の円周壁4Aの下部において周方向Sに沿って180度ずつ離れた2つの位置、または、第1回転軸線J1を挟んで対向配置された2つの揚水部材6のそれぞれの下部には、ストッパ62が1つずつ、つまり合計で2つ設けられる。ストッパ62は、洗濯槽4の内部空間に露出されて径方向内側R1に突出したブロック状に形成される。ストッパ62には、その上端面から下側Z2に窪んで径方向内側R1に開放された受入溝63が形成される。受入溝63の底をなす下端は、塞がれた状態にある。2つのストッパ62の受入溝63同士は、第1回転軸線J1を挟んで対向した状態にある。伝達機構60に関連して、水流発生部材5の上面部の円中心部分には、下側Z2へ窪んだ凹部5Bが形成される。凹部5Bは、平面視において円形状の内周面を有し、この内周面には、上下方向Zに延びるセレーション64が周方向Sに並んで形成される(図6参照)。
収容体61に関連して、第1回転軸線J1を挟んで対向配置された2つの揚水部材6のそれぞれには、位置決め部65が1つずつ、つまり合計で2つ設けられる。位置決め部65は、揚水部材6における径方向内側R1の側面部において径方向外側R2へ窪んだ凹部である。これら2つの揚水部材6の位置決め部65同士は、第1回転軸線J1を挟んで対向した状態にある。また、これら2つの揚水部材6における径方向内側R1の側面部には、揚水部材6の上端から下側Z2へ延びて位置決め部65につながったガイド溝66が形成される。ガイド溝66は、揚水部材6の上端から垂直方向Vに沿って下側Z2へ延びた垂直部分66Aと、垂直部分66Aの下端から周方向Sへずれることによって傾斜しながら下側Z2へ延びた傾斜部分66Bと、傾斜部分66Bの下端から水平方向Hに沿って周方向Sに延びて位置決め部65につながった水平部分66Cとを含む(図2参照)。垂直部分66A、傾斜部分66Bおよび水平部分66Cは、位置決め部65とともに径方向内側R1へ露出され、垂直部分66Aの上端部は、洗濯槽4の出入口30から上側Z1へ露出される。
図5における伝達機構60およびその周辺を拡大して詳細に示した図6を参照して、伝達機構60は、フレーム70と、固定部71と、入力部72と、変換部73と、出力部74とを含む。フレーム70は、例えば金属製のボックス状に形成される。図6での伝達機構60の姿勢を基準として、固定部71は、水平方向Hに延びる棒状に形成され、固定部71において長手方向における中央部がフレーム70に対して下側Z2から固定される(図7も参照)。
入力部72は、フレーム70の底壁に形成された貫通穴70Aに挿通されて縦に延びる第1回転軸75と、第1回転軸75において貫通穴70Aから下側Z2にはみ出した下端部に固定された歯車76とを含む。歯車76は、上下方向Zに延びる中心軸線を有する円柱状に形成され、その外周面には、歯車76のギア歯として上下方向Zに延びるセレーション77が当該外周面の周方向に並んで形成される。なお、フレーム70の底壁において貫通穴70Aを縁取った部分と、第1回転軸75との隙間は、パッキンなどのシール部材88によって塞がれた状態にある。
変換部73は、フレーム70内に配置される。変換部73は、第1回転軸75の上端部に固定された第1傘歯車78と、横に延びる第2回転軸79と、フレーム70に固定されて第2回転軸79の長手方向の両端部を回転自在に支持した一対の軸受80と、第2回転軸79において長手方向の途中部に固定されて第1傘歯車78と噛み合った第2傘歯車81とを含む。軸受80として、例えば転がり軸受を用いることができる。
出力部74は、第2回転軸79よりも上側Z1において第2回転軸79と平行に延びる第3回転軸82と、フレーム70に固定されて第3回転軸82の長手方向の両端部を回転自在に支持した一対の軸受83と、第3回転軸82において長手方向の途中部に固定された回転体84とを含む。軸受83として、例えば転がり軸受を用いることができる。フレーム70の上面部には、下側Z2へ窪んだ凹部70Bが形成される。第3回転軸82の途中部および回転体84は、凹部70Bに収容されることによってフレーム70の外に露出される。回転体84は、横に延びる中心軸線を有する円柱状に形成され、その円中心部分が第3回転軸82の途中部に固定される。回転体84の外周面には、複数の突起84Aが当該外周面の周方向に等間隔で並んで設けられる。凹部70Bに収容された回転体84の外周面において上側Z1の領域は、凹部70Bから上側Z1にはみ出して配置される。なお、フレーム70において凹部70Bに臨んで第3回転軸82が挿通された部分70Cと、第3回転軸82との隙間は、パッキンなどのシール部材85によって塞がれた状態にある。なお、フレーム70には、一方の軸受83を収容する収容空間70Dと、収容空間70Dに着脱される際における当該軸受83を通過させる着脱口70Eとが形成され、着脱口70Eは、蓋部材89によって塞がれる。フレーム70における着脱口70Eの周縁部と蓋部材89との隙間は、別のシール部材90によって塞がれた状態にある。
伝達機構60は、第2回転軸79および第3回転軸82のそれぞれに取り付けられたプーリ86と、これらのプーリ86に掛け回された無端状の伝達ベルト87とを含む。プーリ86および伝達ベルト87は、フレーム70内に配置される。プーリ86および伝達ベルト87によって、第2回転軸79と第3回転軸82とが連結された状態にある。
展開した状態における収容体61の縦断面図を示した図8を参照して、収容体61は、第1部品91と第2部品92とに分割可能である。第1部品91および第2部品92は、例えば金属製であり、互いにほぼ同じ形状および大きさを有する。第1部品91および第2部品92のそれぞれは、椀形状の分割本体部93と、半円柱状の第1分割軸94と、半円柱状の第2分割軸95とを一体的に含む。
分割本体部93の具体的な形状は、図8に示す略半球状であってもよいし、略直方体状であってもよい。分割本体部93には、その内部空間をなす窪み93Aと、窪み93Aの入口として窪み93Aを外部に露出させる開口部93Bと、開口部93Bとは別に設けられて窪み93Aを外部に露出させる多数の貫通穴93Cとが形成される。第1分割軸94は、分割本体部93において開口部93Bを縁取った部分から突出して設けられる。第1部品91および第2部品92の互いの第1分割軸94同士は、連結軸96を介して連結された状態にある。
第2分割軸95は、第1分割軸94との間で開口部93Bを挟む位置に配置される。第2分割軸95は、分割本体部93において開口部93Bを縁取った部分から第1分割軸94側とは反対側へ突出して設けられる。そのため、第1部品91および第2部品92のそれぞれにおいて、第1分割軸94と第2分割軸95とは同一直線上に配置される。各第2分割軸95において第1分割軸94から離れた前記反対側の端面95Aには、第1分割軸94側へ窪んだ凹部95Bが形成される。凹部95Bは、端面95Aと、半円柱状の第2分割軸95において端面95Aに直交して開口部93B側に延びる平坦面95Cとの両方から露出される。第1部品91の凹部95Bには、凹部95Bの底からさらに第1分割軸94側へ窪んだ係合溝95Dが形成される。第2部品92の凹部95Bには、凹部95Bを横切って延びる支持軸95Eと、支持軸95Eに連結された係合部材95Fとが設けられる。係合部材95Fは、支持軸95Eまわりに回動可能であり、係合部材95Fにおいて支持軸95E側とは反対側の先端部は、鉤状に折れ曲がって形成される。
図8の収容体61は、第1部品91および第2部品92における全ての第1分割軸94および第2分割軸95が同一直線上に並ぶように展開された状態にある。この状態から、第1部品91および第2部品92の一方を他方に対して連結軸96まわりに相対回動させて、第1部品91および第2部品92の互いの分割本体部93の開口部93B同士を突き合わせると、図9に示すように収容体61が閉じて完成する。完成した収容体61では、第1部品91および第2部品92の分割本体部93同士が組み合わさって1つの中空状の本体部97を構成する。本体部97は、図9では略球状に形成されるが、略直方体状に形成されてもよい。また、完成した収容体61では、第1部品91および第2部品92の第1分割軸94同士が組み合わさって1つの円柱状の第1回転軸98を構成し、第1部品91および第2部品92の第2分割軸95同士が組み合わさって1つの円柱状の第2回転軸99を構成する。第1回転軸98と第2回転軸99と、これらの回転軸によって挟まれた本体部97とは、第2回転軸線J2という同一の直線上に配置される。
完成した収容体61では、第1部品91の第2分割軸95の係合溝95Dに第2部品92の第2分割軸95の係合部材95Fの先端部が係合することによって、第1部品91と第2部品92とが組み合わさった状態が維持される(図8参照)。係合溝95Dに係合した係合部材95Fは、第2回転軸99の表面からはみ出さない位置に配置される。このように第1部品91と第2部品92とをロックするためのロック機構として、係合部材95Fおよび係合溝95Dを用いる構成に限らず、他の構成も用いることができる。以上のように、連結軸96が設けられた一対の第1分割軸94と、係合溝95Dおよび係合部材95Fがどちらかに設けられた一対の第2分割軸95とは、完成した収容体61における回転軸を兼ねる。
収容体61の外表面61Aをなす本体部97の外周面において貫通穴93Cを避けた領域には、複数の窪み100が設けられる。当該領域は、第2回転軸線J2の延びる方向における本体部97の略中央部である。これらの窪み100は、第2回転軸線J2まわりの周方向における当該領域の全域に亘って、当該周方向に沿って等間隔で並ぶ。図9のC−C矢視断面の一部を示す図10に示すように、各窪み100は、例えば本体部97の外壁を第2回転軸線J2側へ凹ませることによって形成される。
展開した収容体61(図8参照)において第1部品91または第2部品92の分割本体部93の窪み93Aに洗濯物Qを配置してから、前述したように収容体61を閉じると、完成した収容体61の本体部97内に洗濯物Qが収容される。この洗濯物Qを洗濯機1において洗濯する場合には、まず、使用者は、扉13および21を開いてから、図6の姿勢の伝達機構60を開口部12、出入口20および30から下降させて洗濯槽4内に装着する(図5も参照)。
図6のように洗濯槽4内に装着された伝達機構60では、固定部71の長手方向の両端部が、周方向Sの遊びを持って各ストッパ62の受入溝63に上側Z1から1つずつ受け入れられて受入溝63の底に載った状態にある(図7も参照)。また、入力部72の歯車76が、水流発生部材5の凹部5Bに上側Z1から嵌まり込んで、凹部5Bのセレーション64と歯車76のセレーション77とがセレーション嵌合した状態にある。ここでのセレーション嵌合の他に、スプライン嵌合や、キー嵌合などを用いて、伝達機構60を水流発生部材5に連結してもよい。また、伝達機構60は、固定部71の両端部という2箇所だけでなく、3箇所以上において洗濯槽4に固定されてもよい。
次に、使用者は、図5に示すように、完成した収容体61の窪み100に指を掛けて収容体61を持ち、開口部12、出入口20および30から下降させて洗濯槽4内に装着する。その際、収容体61における第1回転軸98および第2回転軸99のそれぞれは、対向配置された2つの揚水部材6のそれぞれのガイド溝66における垂直部分66Aに1つずつ上側Z1から進入する。第1回転軸98および第2回転軸99のそれぞれは、ガイド溝66の垂直部分66Aおよび傾斜部分66Bを、この順番で通過し、その後、水平部分66Cにおいて周方向Sへ水平に移動して位置決め部65に嵌る(図2参照)。
位置決め部65に嵌った第1回転軸98および第2回転軸99のそれぞれは、上側Z1へ抜けないように上下方向Zにおいて位置決めされた状態にあるので、洗濯槽4内に装着された収容体61は、洗濯槽4内において上下方向Zにおける定位置で保持される。この状態における収容体61において最も下側Z2に位置する窪み100に対して、伝達機構60の回転体84において最も上側Z1に位置する突起84Aが下側Z2から嵌り込んだ状態にある。また、収容体61において互いに組み合わさった第1部品91と第2部品92との継目Tは、洗濯機1の左右方向Xから見て第2回転軸線J2と一致し、図5では前後方向Yに沿って水平に延びた状態にある。また、収容体61の下側Z2に位置する伝達機構60における第2回転軸79および第3回転軸82(図6参照)は、第2回転軸線J2と平行に延びた状態にある。
次に、扉13および21が閉じられた後に、前述した洗濯運転が開始され、洗い工程、すすぎ工程および脱水工程が実行される。洗い工程では、外槽3および洗濯槽4に所定水位まで水が溜まった後に、水流発生部材5が駆動回転される。この際に水流発生部材5が第2モータ45(図4参照)から受けた駆動力は、図6を参照して、伝達機構60において水流発生部材5とセレーション嵌合した入力部72の第1回転軸75を、第1回転軸線J1まわりに横回転させる。第1回転軸75の横回転は、変換部73の第1傘歯車78および第2傘歯車81によって、第2回転軸79の縦回転に変換される。第2回転軸79の縦回転は、プーリ86および伝達ベルト87を介して第3回転軸82に伝達されて、第3回転軸82および回転体84を縦回転させる。
図5を参照して、回転体84の縦回転は、収容体61の窪み100と、この窪み100に嵌まり込んだ突起84Aとを介して、収容体61に伝達される。このように伝達機構60は、水流発生部材5からの駆動力によって、収容体61を、水平に延びる第2回転軸線J2まわりに縦回転するように駆動回転させる。そのため、洗い工程では、収容体61内の洗濯物Qは、収容体61の縦回転に伴って持ち上げてから自然落下することによって、ドラム式洗濯機のようにたたき洗いされる。たたき洗いでは、縦型洗濯機の洗濯方式における水流発生部材5による擦り洗いと比べて、洗い工程における洗濯物Qの傷みを抑制できる。また、水流発生部材5の回転に伴って洗濯槽4内に発生した水流が、収容体61の貫通穴93Cから収容体61内に進入して収容体61内の洗濯物Qを撹拌させることによって、洗濯物Qからの汚れの除去に寄与する。つまり、収容体61内の洗濯物Qを、水流発生部材5が発生した水流によって洗濯するとともに、収容体61の縦回転に伴うタンブリングによって洗濯することもできるので、洗濯物の効果的な洗濯が可能になる。所定の洗い時間が経過すると、排水弁27が開いて外槽3および洗濯槽4が排水されることによって、洗い工程が終了する。
すすぎ工程では、給水弁25が所定時間だけ開いて外槽3および洗濯槽4に所定水位まで水が溜まった後に、水流発生部材5が駆動回転され、収容体61が、水流発生部材5の回転に連動して、第2回転軸線J2まわりに縦回転する。その際、水流発生部材5の回転に伴って洗濯槽4内に発生した水流が、収容体61内に進入して収容体61内の洗濯物Qをすすいだ後に、収容体61の貫通穴93Cから収容体61の外に流出する。所定のすすぎ時間が経過すると、排水弁27が開いて外槽3および洗濯槽4が排水されることによって、すすぎ工程が終了する。
脱水工程では、排水弁27が開いた状態で、洗濯槽4だけが高速で駆動回転される。そのため、水流発生部材5は駆動回転されない状態にあり、水流発生部材5、伝達機構60および収容体61は、洗濯槽4と一体となって第1回転軸線J1まわりに横回転する。この回転により生じた遠心力によって、収容体61内の洗濯物Qが収容体61の本体部97の内周面に押し付けられて脱水される。脱水によって洗濯物Qから染み出た水は、本体部97の貫通穴93Cを通って本体部97の外に流出した後に、排水路26から機外に排出される。
以上のように収容体61を用いた洗濯運転が終了すると、使用者は、扉13および21を開く。そして、洗濯槽4内に装着された状態の収容体61および伝達機構60を、この順番で開口部12よりも上側Z1へ移動させれば、収容体61および伝達機構60を洗濯槽4内から離脱させることができる。その際、使用者は、収容体61の外表面61Aの窪み100に指を掛けることによって、収容体61を洗濯槽4内に容易に離脱させ、その後、洗濯かごとして物干し場まで容易に持ち運んだりすることができる。また、窪み100を、前述したように収容体61において伝達機構60からの駆動力が伝達される部分として利用することもできるので、収容体61をシンプルに構成できる。
以上のように、洗濯機1では、収容体61に収容された洗濯物Qについては、ドラム式洗濯機の洗濯方式で洗濯できる。つまり、洗濯機1では、縦型洗濯機の洗濯方式とドラム式洗濯機の洗濯方式とを選択できる。そのため、例えば汚れがひどい洗濯物Qについては、洗濯槽4内から収容体61および伝達機構60が離脱された状態における洗濯機1において、縦型洗濯機の洗濯方式によって効果的に洗濯できる(図1参照)。一方、例えば生地が傷みやすい洗濯物Qについては、洗濯槽4内に収容体61および伝達機構60が装着された状態における洗濯機1において、ドラム式洗濯機の洗濯方式によって優しく洗濯できる(図5参照)。
また、収容体61が洗濯槽4内に装着された状態において、互いに組み合わさった第1部品91と第2部品92との継目Tは、水平に延びて、洗濯槽4の第1回転軸線J1と略直交する。そのため、脱水工程において、洗濯槽4が第1回転軸線J1まわりに脱水回転したときの遠心力が第1部品91と第2部品92との継目Tを開くように作用しにくいので、脱水回転中に第1部品91と第2部品92とが不意に分離することを抑制できる。
また、伝達機構60が水流発生部材5からの駆動力によって収容体61を第2回転軸線J2まわりに回転させることにより、第2モータ45(図4参照)という同じ駆動源からの駆動力によって水流発生部材5および収容体61の両方を駆動回転させることができるので、部品点数およびコストの削減を図れる。
また、洗濯槽4と水流発生部材5とは、前述したようにそれぞれ独立して駆動回転可能なので、洗濯槽4と、水流発生部材5に連動する収容体61とは、それぞれ独立して駆動回転可能である。この場合、洗濯槽4および収容体61のそれぞれを同時に駆動回転させれば、収容体61は、第2回転軸線J2まわりに縦回転するだけでなく第1回転軸線J1まわりに横回転する。洗い工程およびすすぎ工程において、このように収容体61を複雑に回転させてもよく、その場合には、収容体61内の洗濯物Qを傷めることなくムラなく効果的に洗濯することができる。なお、乾燥機能を有する洗濯機1において、熱風を収容体61内に供給することによって収容体61内の洗濯物Qを乾燥する場合には、このように横回転および縦回転する収容体61内の洗濯物Qが効果的に撹拌されるので、洗濯物Qをムラなく効果的に乾燥させることができるとともに、乾燥後の洗濯物Qに皺が発生することを抑制できる。
脱水工程においては、前述したように水流発生部材5および収容体61のそれぞれの駆動回転を停止させて洗濯槽4だけを駆動回転させることによって、収容体61は、洗濯槽4と一体となって高速で横回転できる。これにより、縦回転の影響を受けることなく、脱水回転による遠心力を収容体61内の洗濯物Qに集中させて、この洗濯物Qを効果的に脱水できる。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。