JP6779637B2 - 動力伝達機構の制御装置 - Google Patents

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本発明は、動力伝達機構の制御装置に関する。
従来、変速機等に用いられる油圧クラッチの充填判定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第5676690号公報
変速機などの動力伝達機構において、運転者が操作するシフト操作部と油圧回路のマニュアルバルブとが連動するものにおいては、運転者がPレンジやNレンジなどのオフギヤ状態となるシフトポジションを選択した場合、即座に油圧が解放され、オフギヤ時にショックが発生するという問題がある。
本発明は、以上の点に鑑み、オフギヤ時のショックを低減できる動力伝達機構の制御装置を提供することを目的とする。
[1]上記目的を達成するため、本発明は、
動力伝達機構の係合機構の締結及び解放をリニアソレノイド弁で制御する制御装置であって、
インギヤ要求及びオフギヤ要求を受信可能であり、
オフギヤ要求を受信したときに、係合機構の伝達トルクに対応する油圧を超える油圧を初期油圧に設定し、係合機構の油圧を初期油圧から時間及び油温に応じた減算量の持ち替えを行い、徐々に低下させるようにリニアソレノイド弁を制御して、係合機構を解放させることを特徴とする。
本発明の動力伝達機構の制御装置によれば、係合機構の伝達トルクの状態を維持しながら係合機構の油圧を徐々に低下させるため、係合機構での解放にともなうシャフト等の捩れトルクの開放を抑制して、ショックの発生を抑えることができ、動力伝達機構全体としてのショックの発生を抑制させることができる。
[2]また、本発明の制御装置においては、初期油圧をライン圧指示圧に設定することができる。ライン圧指示圧は、油圧回路において最も高い油圧である。従って、初期油圧をライン圧に設定することで、係合機構の伝達トルクを求めることなく、簡易な制御でショックを抑えることができる。
本発明の実施形態の動力伝達機構の制御装置の作動を示すタイミングチャート。 本実施形態の動力伝達機構の制御装置のクラッチ伝達トルクに対応する油圧を超 える初期油圧を設定するときのタイミングチャート。 本実施形態の動力伝達機構の制御装置の作動を示すフローチャート。 本実施形態の動力伝達機構の制御装置の初期油圧を決定するときの作動を示すフローチャート。 本実施形態の動力伝達機構の制御装置の、クラッチ伝達トルクに基づいて、初期油圧を決定するときの作動を示すフローチャート。
図を参照して、本発明の動力伝達機構の制御装置の実施形態について説明する。本実施形態の動力伝達機構は、原動機としての内燃機関と4つの車輪とを備える車両に搭載されるものであり、回転体同士を連結し又は回転体を筐体に連結して固定する締結状態と、この締結を解除する解放状態とに切換自在な切換機構と、切換機構を制御する制御装置とを備えている。
制御装置は、車両に設けられたシフト操作部の切換に基づいて要求されるインギヤ要求信号と、オフギヤ要求信号とを受信する受信部を備えている。シフト操作部がDレンジ又はRレンジに位置しているときには、制御装置はインギヤ要求を受信し、シフト操作部がPレンジ又はNレンジに位置しているときには、制御装置はオフギヤ要求を受信する。
本実施形態の制御装置は、内燃機関のトルク伝達状態(Dレンジ、Rレンジ)から解放状態(Pレンジ、Nレンジ)へ移行する際やD−R切換の際に、クラッチ、ブレーキ等の摩擦材係合解放する初期容量を現在の伝達トルクに対応する容量となるように設定し、そこから滑らかに容量を下げることでオフギヤのショックを低減する。
従来の動力伝達機構は、マニュアルバルブによる油圧解放であった。運転者が操作するシフトレバーと直接つながったマニュアルバルブの切換時に油圧が連動して解放されていた。即ち、油圧回路装置による油圧解放(オリフィス等)である。また、10速段に変速可能な自動変速機ではシフトバイワイヤ方式が一般的であり、オフギヤ制御もリニアソレノイド弁で制御する。
しかしながら、従来の自動変速機では、油圧の抜け特性が油温で変化するため、マニュアルバルブの切換によって油圧が解放されるものでは、全ての油温の領域でショックを低減させることが困難であった。
また、オフギヤ時に現状の伝達トルクに関わらず油圧回路の特性でオフギヤ油圧が決まるため、伝達トルクが高いとき(DレンジでブレーキON、停車時にアクセルペダルONの場合、内燃機関始動直後の低水温で内燃機関の回転数が高い状況)のショックが悪いという問題がある。
本実施形態では、レンジ変更によるオフギヤ時に、現在の内燃機関のトルクによる伝達トルクに対応する油圧を超えるようにクラッチ、ブレーキの初期油圧を設定し、この初期油圧から油圧の減算を始めることで、伝達トルクの急激な解放によるショックを回避することができる。
また、油温により油圧切れ応答性が異なるため、油温で初期高さ、減算量を持ち替える。
オフギヤ油圧の決め方は、第1に初期圧を現状のライン圧とし、油圧減算を段階的に実施し、又は曲線的に減算する。このメリットは、トルク伝達状態にかかわらず同一制御でショックを改善できることにある。
第2に、現状の伝達トルクを推定し、クラッチ容量がそのトルクより高くなる油圧より減算する。
図1に示すように、減算初期油圧を現状の指示圧(ライン圧とクラッチ指示圧のうち小さい方の指示油圧)にすれば、係合が急激に切れることは無い。低油温では油圧の切れが遅いため、初期圧を下げて減算量を高くする。
図2に示すように、減算初期油圧を係合トルクに対応する油圧を超える油圧にすれば、急激に切れることは無い。クラッチ伝達トルクは内燃機関トルクとゲイン(レシオなどによる)との積で求められる。クラッチ伝達トルク相当油圧は、TP特性(トルク−油圧特性。クラッチ伝達トルク。)から求められる。
低油温では油圧の切れが悪いため、初期圧を下げて、減算量を高くする。
本実施形態の動力伝達機構の制御装置によれば、エンジントルクの高低の相違(アクセルのオン、オフや水温による内燃機関の回転数の違い)によるオフギヤショックを改善できる。
D走行中RシフトやR走行中Dシフトなど、ドライブシャフトねじれが大きい場合にもねじれトルクが急激に解放されることなく、オフギヤ切換時のショックが改善される。
また、シャフトのねじれなどのトルクが急激に解放されないことで、動力伝達機構に加わる衝撃を抑えることができる。
次に、図3のフローについて説明する。図3は、本実施形態の制御装置の初期油圧をライン圧に基づいて設定するときの作動を示すフローである。図3では、前提として動力伝達機構が現在インギヤ状態であるとして説明する。図3のフローは所定のタイムサイクル(例えば10ms)で繰り返し実行される。
まず、STEP11でシフト切換が行われてオフギヤ要求を制御装置が受信したか否かを確認する。シフト切換が行われておらずオフギヤ要求信号を受信していない場合には、そのまま今回の処理を終了する。STEP11でシフト切換が行われてオフギヤ要求を受信した場合には、STEP12に進み、シフト切換が初回であるか否かを確認する。初回でない場合には、STEP13に進み、油圧指示減算処理を実行して今回の処理を終了する。
STEP13の油圧指示減算処理は、時間による減算量の持ち替えを行い、油温による減算量の持ち替えを行う。
STEP12でシフト切換が初回である場合には、STEP14に分岐し、初期圧算出処理を実行して、今回の処理を終了する。
図1及び図2に示すように、時間などで減算量を切り換え、初期は早急に油圧を切るために多めの減算を行い、低油圧領域ではショックを和らげるためにゆっくりと減算させる。
次に図4のフローを説明する。図4は、本実施形態の制御装置の初期油圧を係合機構としてのクラッチの伝達トルクに基づいて設定するときの作動を示すフローである。なお、図4のフローは所定のタイムサイクル(例えば、10ms)で繰り返し実行される。
まず、STEP21でライン指示圧がクラッチ指示圧を超えているか否かを確認する。ライン指示圧がクラッチ指示圧を超えている場合には、STEP22に進み、初期圧として、クラッチ指示圧を代入する。
そして、STEP23に進み、油温センサからの信号に基づき、制御部の記憶装置に予め記憶された油温と補正値とのマップデータなどから補正値を求め、STEP22で得られた初期圧を油温に基づいて補正して、新たな初期圧として更新して、今回の処理を終了する。
また、STEP21でライン指示圧がクラッチ指示圧を超えていない場合には、STEP24に分岐し、初期圧として、ライン圧指示圧を代入する。
そして、STEP23に進み、油温センサからの信号に基づき、制御部の記憶装置に予め記憶された油温と補正値とのマップデータなどから補正値を求め、STEP24で得られた初期圧を油温に基づいて補正して、新たな初期圧として更新して、今回の処理を終了する。
次に、図5のフローを説明する。図5は、クラッチの伝達トルクに基づいて初期油圧を決定するときの制御装置の処理を示すフローである。なお、図5のフローは所定のサイクルタイム(例えば、10ms)で繰り返し実行される。
まず、STEP31で、クラッチ伝達トルクを算出する。そして、STEP32に進み、得られた伝達トルクから初期圧を算出する。
クラッチ伝達トルクは、次式(1)又は次式(2)で求められる。
Tin=k×τ(e)×(NE/1000)×ゲイン ・・・(1)
但し、k:トルコン増幅率、τ:トルコン伝達係数、NE:内燃機関の回転数、e:NMW/NE、NMW:変速機への入力回転数、である。
Tin=k×内燃機関のトルク推定値×ゲイン ・・・(2)
なお、実際にクラッチの伝達トルクは効率分低下するが、高めにしておく分にはショックに影響しないため、上記式(1)及び式(2)では考慮していない。
そして、STEP33に進み、油温センサからの信号に基づき、制御部の記憶装置に予め記憶された油温と補正値とのマップデータなどから補正値を求め、STEP32で得られた初期圧を油温に基づいて補正して、新たな初期圧として更新して、今回の処理を終了する。
本実施形態の動力伝達機構の制御装置によれば、係合機構の伝達トルクの状態を維持しながら係合機構の油圧を徐々に低下させるため、係合機構での解放にともなうシャフト等の捩れトルクの開放を抑制して、ショックの発生を抑えることができ、動力伝達機構全体としてのショックの発生を抑制させることができる。
また、本実施形態の制御装置においては、初期油圧をライン圧指示圧に設定することもできる。ライン圧指示圧は、油圧回路において最も高い油圧である。従って、初期油圧をライン圧に設定することで、係合機構の伝達トルクを求めることなく、簡易な制御処理でショックを抑えることもできる。

Claims (2)

  1. 動力伝達機構の係合機構の締結及び解放をリニアソレノイド弁で制御する制御装置であって、
    インギヤ要求及びオフギヤ要求を受信可能であり、
    オフギヤ要求を受信したときに、係合機構の伝達トルクに対応する油圧を超える油圧を初期油圧に設定し、係合機構の油圧を初期油圧から時間及び油温に応じた減算量の持ち替えを行い、徐々に低下させるようにリニアソレノイド弁を制御して、係合機構を解放させることを特徴とする動力伝達機構の制御装置。
  2. 請求項1記載の動力伝達機構の制御装置であって、
    前記初期油圧をライン圧指示圧に設定することを特徴とする動力伝達機構の制御装置。
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