JP6779466B2 - 溶融金属とスラグの分離方法 - Google Patents
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Description
レードルから鋳造装置又は冷却装置へ出湯する溶融金属出湯重量のレードル内の溶融混合物全重量に対する比率である出湯比率を90%以下とすることを特徴としている。
本実施形態では、レードル2から出湯された溶融金属Mを鋳型3にて冷却して金属材とし、その一部を採取することで、金属中のスラグ濃度を測定した。
ここで、
C1:金属中スラグ濃度(ppm)
C2:金属中に混入している介在物の濃度(ppm)
C3:介在物中のCa濃度(%)
C4:レードルに残されたスラグ中のCa濃度(%)
である。
図1に示されるような設備において、溶融炉1としては4t/バッチ高周波誘導炉を用い、鋳型3は、上方に広がる台形形状のものを用いた。該鋳型3の内寸法は、底幅が300mm、上幅が500mm、高さが200mm、奥行きが440mmであり、かかる鋳型3で金属材としての分析用検体インゴットを製作し、これから一部を分析用サンプルとして切り出し採取した。分析用サンプルはインゴット中央部分から採取され、一辺が約50mmの立方体とした。試験プロセスフローは図1に示されている通りである。試験では金属を含む混合物を模した鋼材と高炉スラグとの混合物を高周波誘導炉にて溶融して溶融混合物とした後、レードルへ払い出し貯留した。その後、レードルの底の出湯口から溶融金属を鋳型へ出湯し、分析用検体(インゴット)を製作した。冷却凝固後、分析用検体から分析用サンプルを採取し金属中スラグ濃度を測定した。
高周波溶融炉で溶融されて試験に供する金属を含む混合物のうち鋼材は、炭素鋼(SM490B相当)のスクラップ材とした。溶融炉からの出湯温度は、鋼材の融点(約1530℃)に対し、レードル内での貯留時間中の温度降下を考慮した過熱度とした。スラグが多い場合の分離について検討するため、溶融する鋼材約2.5tに対し、溶融金属量の10%に当たる約250kgのスラグを添加して試験用の金属含有混合物として、金属含有混合物を溶融炉にて加熱して溶融し溶融混合物とした。レードルから鋳型へ出湯する溶融金属出湯重量のレードル内の溶融混合物全重量に対する比率を出湯比率と定義し、鋳型へ出湯し製作した分析用検体(インゴット)の重量を測定して、出湯比率を求めた。各試験水準にて、出湯比率を変化させた複数個の分析用検体を製作した。
分析用検体の中央部分を50mm幅で切断した後、断面の高さ方向の中心付近より一辺が50mmの立方体形状に切出し、分析用サンプルを採取した。鋳型内で溶融金属が冷却される際溶存ガスが析出したり偏析が生じてインゴット中に巣が発生することがあるが、分析用サンプルの採取は、スラグ成分が多いと予想される巣の近傍が分析用サンプルに入るように採取箇所を微調整した。分析は前述した測定方法で実施し、金属中スラグ濃度を測定した。なお、数個の分析用検体にて、分析用サンプル採取箇所の上下の位置における金属中スラグ濃度を測定し、分析用検体内の金属中スラグ濃度がほぼ一様であることを確認した。
出湯比率と金属中スラグ濃度の関係を表1に示す。出湯比率が10%程度であるレードルからの溶融金属の出湯の初期から出湯比率が90%以下までは、金属中スラグ濃度は10ppm以下の低い値であって大きな変化はない。しかし、出湯比率が90%を超える場合には、金属中スラグ濃度が急上昇していることが確認できた。これは溶融金属の上に浮いているスラグを巻き込んだことによる上昇と考えられる。出湯比率を90%以下とすれば、言い換えれば、レードル内に残留する溶融混合物重量のレードル内の溶融混合物全重量に対する比率を残湯比率と定義し場合に残湯比率を10%を超えるようにすれば、低い金属中スラグ濃度となる。実際にレードルから鋳型へ出湯する操業の際には、レードルに設けたロードセル等の重量測定装置により溶融金属出湯重量とレードル内の溶融混合物全重量を測定して出湯比率を算出し、出湯比率を90%以下とするように操業することができる。
それぞれの試験水準で静置時間を変化させて採取した分析用検体の、静置時間と移動時間を合わせた貯留時間と金属中スラグ濃度の関係を表1に示す。出湯比率が90%以下の場合には貯留時間の長さと金属中スラグ濃度とに有意な相関は見られず、いずれの試験水準でも10ppmを下回る金属中スラグ濃度となることが確認できた。これは、貯留時間が1分(移動時間を1分とすると静置時間が0分)であっても高周波誘導炉からレードルへの払い出し完了後、この貯留時間にはレードルを鋳型の上まで移動させるのに約1分の移動時間を含んでいるので、その移動時間にスラグが浮上分離したためと考えられる。従って、静置時間と移動時間との合計時間である貯留時間を1分以上とすることにより溶融金属とスラグとを確実に分離できる。溶融炉からレードルへの払い出しから出湯鋳込みまでの間に1分以上の貯留時間を確保できれば、10ppmを下回る金属中スラグ濃度までスラグを分離することができ、溶融金属とスラグとを確実に分離できることが確認できた。
貯留時間を11分以下とすることが好ましい。上述したように貯留時間を1分以上とすることにより、溶融金属とスラグとを分離できることが確認でき、表1に示すように貯留時間の長さと金属中スラグ濃度とに有意な相関は見られず、いずれの試験水準でも10ppmを下回る金属中スラグ濃度となることが確認でき、貯留時間を11分を超えるように設定することは必要でないことも判明した。貯留時間を1分以上11分以下とすることにより、以下の効果を得ることができる。
2 レードル
2A 出湯口
3 鋳型
Claims (2)
- 金属を含む混合物を溶融炉で溶融して、溶融混合物を溶融炉からレードルへ払い出し、レードルから溶融金属を鋳造装置又は冷却装置へ出湯して、溶融金属とスラグとに分離する方法において、
溶融炉からレードルへの溶融混合物の払い出し時から、レードルから鋳造装置又は冷却装置への溶融金属の出湯時までの、レードルで溶融混合物を貯留しておく貯留時間を1分以上として、溶融金属とスラグとに比重分離させ、
レードルから鋳造装置又は冷却装置へ出湯する溶融金属出湯重量のレードル内の溶融混合物全重量に対する比率である出湯比率を90%以下とすることを特徴とする溶融金属とスラグの分離方法。 - レードルで溶融混合物を貯留する貯留時間を1分以上11分以下とすることとする請求項1に記載の溶融金属とスラグの分離方法。
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JP2017095544A JP6779466B2 (ja) | 2017-05-12 | 2017-05-12 | 溶融金属とスラグの分離方法 |
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JP2018194180A JP2018194180A (ja) | 2018-12-06 |
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