JP6777837B1 - ヒトノロウイルス不活化評価法 - Google Patents

ヒトノロウイルス不活化評価法 Download PDF

Info

Publication number
JP6777837B1
JP6777837B1 JP2020542472A JP2020542472A JP6777837B1 JP 6777837 B1 JP6777837 B1 JP 6777837B1 JP 2020542472 A JP2020542472 A JP 2020542472A JP 2020542472 A JP2020542472 A JP 2020542472A JP 6777837 B1 JP6777837 B1 JP 6777837B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hnv
hsio
solution
drug
fbs
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020542472A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2021161390A1 (ja
Inventor
勢造 八城
勢造 八城
悠記 石田
悠記 石田
片山 和彦
和彦 片山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Kitasato Institute
Original Assignee
Kao Corp
Kitasato Institute
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp, Kitasato Institute filed Critical Kao Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP6777837B1 publication Critical patent/JP6777837B1/ja
Publication of JPWO2021161390A1 publication Critical patent/JPWO2021161390A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N7/00Viruses; Bacteriophages; Compositions thereof; Preparation or purification thereof
    • C12N7/04Inactivation or attenuation; Producing viral sub-units
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N7/00Viruses; Bacteriophages; Compositions thereof; Preparation or purification thereof
    • C12N7/04Inactivation or attenuation; Producing viral sub-units
    • C12N7/06Inactivation or attenuation by chemical treatment
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/02Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving viable microorganisms

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

hSIOを用いてHNV不活化剤を適正に評価する方法を提供する。hSIOを用いてHNV不活化剤を評価する方法であって、被検薬剤で処理したウイルス溶液に25体積%濃度以上のFBSを添加した後、超遠心分離し、得られた沈殿物をhSIOに感染させる工程を含む、方法。

Description

本発明は、ヒトノロウイルス(HNV)の不活化評価法に関する。
HNVは、カリシウイルス科、ノロウイルス属に分類されているエンベロープ(膜状構造)を持たないRNAウイルスであり、酸性(胃酸)に対して強い抵抗力を有し、少量(10〜100個程度)で感染することが知られている。
現状では、HNVに対するワクチンや治療薬は存在しないことから、ウイルスが付着し得る調理器具、衣服、手指等を洗浄・消毒することによる除ウイルスやウイルス不活性化により感染を予防することが重要である。
ノロウイルスは、物理化学的抵抗性が強いため、その不活化には多くの細菌類に対して有効であるエタノールやカチオン界面活性剤を含む消毒剤等もノロウイルスに対しては一般的な使用法において十分な効果を得られないと考えられ、塩素系消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム等)が使用される場合が多い。しかしながら、塩素系消毒剤は、金属に対する腐食作用、皮膚に対する刺激・損傷作用、衣類等に対する漂白(脱色)作用があるため、使用対象が制限されるという問題がある。
HNVは、最近までインビトロで株化培養細胞を用いて増殖させることができなかったため、消毒剤によるHNV不活化効果を直接評価できなかった。そのため、HNVと遺伝学上近縁であり、インビトロで増殖させることができるネコカリシウイルス(FCV)やネズミノロウイルス(MNV)を代替えウイルスとして用いて消毒剤を評価し、HNVへの効果を推測していた。
斯かる状況下、近年、代替ウイルスでの評価においてエタノールであってもその濃度を高めたり、副成分を添加することや、pHを調整すること等により代替ウイルスに対する不活化効果が高められると考えられるようになり、それらの知見を応用したアルコール系消毒剤の開発も進められている。しかし、FCVは酸性条件下で、MNVはアルコール処理で容易に不活化可能であるため(非特許文献1)、HNVと性質が著しく異なることが報告されている。つまり、これらのウイルスを使用した評価結果からHNVへの消毒効果を類推するのは困難であると考えられる。
近年、ヒト小腸オルガノイドhSIO:human Small Intestine Organoid(ヒト小腸エンテロイドhSIE:human Small Intestine Enteroid)二次元培養法を用いて、インビトロにおいてHNVを安定的に増殖させることに成功したとの報告を受け(非特許文献2)、当該培養系を利用してHNVの不活化を直接評価することが試みられるようになった。然るに、アルコール系消毒剤や塩素系消毒剤は細胞毒性を有することから、斯かる薬剤を当該HNV培養系で評価するには、細胞に対する作用を抑制する必要がある。例えば、非特許文献3では、エタノールや次亜塩素酸の効果を評価する場合に、培地にウシ胎児血清(FBS:Fetal Bovine Serum)やチオ硫酸ナトリウムを添加することが行われている。
(非特許文献1)Cromeans Theresa et al., Appl. Environ. Microbiol. 80.18 (2014): 5743-5751.
(非特許文献2)Science,353(6306),1387-1393,2016 Sep23
(非特許文献3)Costantini, Veronica, et al. Emerging infectious diseases 24.8 (2018): 1453.
本発明は、hSIOを用いてHNV不活化剤を評価する方法であって、被検薬剤で処理したウイルス溶液に25体積%濃度以上のFBSを添加した後、超遠心分離し、得られた沈殿物をhSIOに感染させる工程を含む、方法、に係るものである。
発明の詳細な説明
本発明は、hSIOを用いてHNV不活化剤を適正に評価する方法を提供することに関する。
本発明者らは、上記課題に鑑み検討した結果、被検薬剤で処理したウイルス溶液に、一定濃度以上のFBSを添加した後、超遠心分離し、得られた沈殿物をhSIOに感染させることにより、hSIOを傷害せずに、薬剤によるHNV不活化効果を安定的に評価できることを見出した。
本発明によれば、hSIOを用いたHNV不活化剤の評価系において、hSIOを傷害せずに、安定的にHNV不活化剤の評価ができる。
本発明のHNV不活化剤の評価方法は、hSIOを用いてHNV不活化剤を評価する方法であって、被検薬剤で処理したウイルス溶液に25体積%濃度以上のFBSを添加した後、超遠心分離し、得られた沈殿物をhSIOに感染させる工程を含むことを特徴とする。
本発明において、hSIOとは、オルガノイド技術によって人体外で永続的に三次元培養可能となったヒト小腸上皮細胞である。hSIOは、公知の方法(GASTROENTEROLOGY 2011;141:1762-1772)によって樹立できる。
斯かるHNVの感染に用いるhSIOは、公知の方法(国際公開第2018/038042号)によって実施でき、例えば以下の1)〜2)の方法で培養することができる。
1)細胞外マトリクス上にヒト腸管上皮幹細胞、ヒト腸管上皮細胞、又はこれらの細胞の内、少なくともいずれかを含む組織を立体培養し、3Dオルガノイドを得る。
2)3Dオルガロイドを分散させて単一細胞を調製し、当該単一細胞を細胞外マトリクス上で単層培養し、分化した腸上皮細胞、腸内分泌細胞、ゴブレット細胞、又はパネート細胞を含むヒト腸管上皮細胞が単層構造となっている2Dオルガノイドを取得する。
ここで、1)の立体培養は、オルガノイドの長期培養に適する培地(例えば、国際公開第2017/199811号等に示される組成の培地、又はIntestiCult Organoid Growth Medium(Human)(STEMCELL Technologies社)等)を用い、ウェルプレート上でマトリゲル(Corning社)に包埋することにより行われる。
2)の単一細胞の調製は、3Dオルガノイドの立体構造を物理的もしくは化学的に崩すことによってなされる。物理的破壊には口径の小さなキャピラリー、シリンジ、ピペットチップ等を用いることができる。化学的破壊にはトリプシンやトリプシン代替試薬(TrypLE Express(Thermo Fisher Scientific社)やGentle Cell Dissociation Reagent(STEMCELL Technologies社)等)を用いることができる。
単層培養は、前記単一細胞を細胞外マトリクス(TypeIコラーゲン、TypeIVコラーゲン、又はマトリゲル等)でコーティングしたウェルプレートに接着させることによって開始される。単層培養における分化誘導は、3Dオルガノイドの培養液からWntアゴニストとp38阻害剤を除いた分化培地で、3日間以上、2日間隔で培地交換を行いながら培養することでなされる。
斯かる分化したhSIOに対して、被検薬剤で処理したウイルス溶液に25体積%濃度以上のFBSを添加した後、超遠心分離し、得られた沈殿物を感染させる。
ウイルス溶液としては、HNVを一定量(50copies/μL以上)含有する溶液であれば使用できるが、例えばHNV罹患者の糞便を、プロテアーゼ阻害剤を含有する緩衝液に懸濁して調製した糞便懸濁液(ウイルス量:50copies/μL以上)等を用いることができる。
なお、ノロウイルスは、ゲノム塩基配列の相同性に基づき7つの遺伝子群(genogroup、GI〜GVII)に分けられ、中でもヒトに感染するHNVはGI9種(GI.1、GI.2、GI.3、GI.4、GI.5、GI.6、GI.7、GI.8、GI.9)、GII19種(GII.1、GII.2、GII.3、GII.4、GII.5、GII.6、GII.7、GII.8、GII.9、GII.10、GII.12、GII.13、GII.14、GII.15、GII.16、GII.17、GII.20、GII.21、GII.22)、GIV1種(GIV.1)であるが、本発明におけるHNVは、これらのいずれの遺伝子型のものであっても良い。
被検薬剤によるウイルス溶液の処理は、被検薬剤とウイルス溶液とを所定の温度、所定の時間で接触させることにより行われる。
接触温度は0〜100℃であり、好ましくは4〜60℃である。また、接触時間は、3秒〜120分間が好ましく、10秒〜60分間がより好ましく、30秒〜30分間がより好ましい。
接触は、被検薬剤溶液とウイルス溶液とを混合又は混合攪拌することにより行えばよいが、ピペッティング又は試験管ミキサーを用いて混合攪拌するのが好ましい。
被検薬剤としては、特に限定されるものではないが、HNV不活化効果が期待される消毒剤や、殺菌・静菌性能、抗ウイルス能が公知である薬剤が挙げられる。
消毒剤としては、例えば、アルコール系(エタノール、イソプロパノールなど)、塩素系(次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸水、次亜塩素酸カルシウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、二酸化塩素等)、アルデヒド系(グルタラール、ホルマリンなど)、過酸化物系(過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酢酸など)、ビグアナイド系、ヨウ素系(ヨードチンキなど)、芳香族系(フェノキシエタノール、安息香酸、パラオキシ安息香酸エステル、クロロキシレノール、トリクロサン等)、界面活性剤系(ジオクチルジメチルアンモニウム塩、ジデシルジメチルアンモニウム塩、ジドデシルジメチルアンモニウム塩、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム塩、テトラデシルジメチルエチルアンモニウム塩、及びヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩カルボベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホン酸又はその塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル等)、グルコン酸クロルヘキシジン系(グルコネート製剤等)の消毒剤、および漂白活性化剤(テトラアセチルエチレンジアミン、グルコースペンタアセテート、テトラアセチルグリコールウリル、アルカノイル若しくはアルケノイル(これらの基の炭素数は8〜14)オキシベンゼンカルボン酸又はその塩、アルカノイル又はアルケノイル(これらの基の炭素数は8〜14)オキシベンゼンスルホン酸塩など)、もしくはチアゾリン系(メチルイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、ベンズイソチアゾリノン等)などを含有する消毒剤が挙げられる。
また、過炭酸ナトリウムを含有する酸素系漂白剤等も好適に挙げられる。このうち、エタノール系消毒剤、ヨウ素系消毒剤、酸素系漂白剤が好ましい。
次いで、被検薬剤で処理したウイルス溶液に対し、25体積%濃度以上のFBSが添加される。
FBSは、56℃で30分間非働化処理したウシ胎児血清の原液を用いることができるが、当該ウシ胎児血清の原液を適当な溶媒で希釈した、FBSを25体積%濃度以上含有する溶液であってもよい。
ここで、希釈溶媒としては、細胞培養に用いられる培地や緩衝液が用いられる。例えばhSIOの培養に用いられる基本培地、蒸留水、PBS等が挙げられるが、hSIOの培養に用いられる基本培地であるのが好ましい。
hSIOの培養に用いられる基本培地としては、例えば、Advanced DMEM/F12(Gibco社)にGlutaMAX I(100×)(Gibco社)、HEPES(ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸)、ペニシリン-ストレプトマイシン溶液を含む培地等が挙げられる。
添加するFBSの濃度は、薬剤によるhSIOへの傷害を抑制(細胞毒性の中和)する点から、25体積%以上であればよく、好ましくは50体積%以上、より好ましくは75体積%以上である。また、希釈しないFBS原液(100体積%FBS)をそのまま用いるのも好ましい。尚、体積%は5〜35℃で測定された値を示す。
FBSの添加量は、薬剤処理ウイルス溶液に対して、2倍量以上となるように添加するのが好ましく、薬剤のhSIOに対する毒性を中和する効果を阻害しない限り10倍量以上、更に20倍量以上であってもよく、更には30倍量程度であってもよい。
次いで、FBSを添加した薬剤処理ウイルス溶液は、超遠心分離にかけて、その沈殿物、すなわち薬剤処理されたHNVが回収される。
超遠心分離は、38nmのノロウイルスが沈降する条件であれば制限されないが、0〜37℃、好ましくは4℃で、最大回転半径部分(Rmax)における遠心力が150000〜190000×g、好ましくは190000×gの遠心力で、1〜2.5時間、好ましくは1.35時間行われる。
斯かる薬剤処理されたHNVに対してFBSを添加した後超遠心分離する操作は、薬剤のhSIOに対する毒性を中和する効果を高める点から、必要に応じて繰り返し行っても良い。
斯くして回収された沈殿物(薬剤処理されたHNVを含有)は、分化したhSIOに供され、適宜、感染効率増加に寄与する胆汁抽出物やセラミド等を添加して、37℃で、1〜3時間、COの条件下でインキュベーションすることにより、hSIOへのウイルス感染が行われる。感染終了後、基本培地で残存ウイルス溶液を十分に洗浄し、分化培地を添加して37℃で、1〜7日間、COの条件下培養する。その後適宜上清を回収してウイルスを検出・測定し、被検薬剤のHNV不活化効果が評価される。
評価は、例えばRT−qPCR法等を用いてHNV genome copy数を測定することが挙げられ、具体的には、市販のノロウイルス検出キットを用いて行うことができる。
上述した実施形態に関し、本発明においては更に以下の態様が開示される。
<1>ヒト小腸オルガノイドを用いてヒトノロウイルス不活化剤を評価する方法であって、被検薬剤で処理したウイルス溶液に25体積%濃度以上のウシ胎児血清を添加した後、超遠心分離し、得られた沈殿物をヒト小腸オルガノイドに感染させる工程を含む、方法。
<2>超遠心分離が150000〜190000×gで1〜2.5時間行われる、<1>の方法。
<3>超遠心分離が190000×gで1〜2.5時間行われる、<2>の方法。
<4>ウシ胎児血清の濃度が、50体積%以上、より好ましくは75体積%以上である<1>〜<3>のいずれかの方法。
<5>ウシ胎児血清を薬剤処理ウイルス溶液に対して2倍量以上、10倍量以上、20倍量以上、更には30倍量程度添加する、<1>〜<4>のいずれかの方法。
<6>被検薬剤が、エタノール系消毒剤、ヨウ素系消毒剤又は酸素系漂白剤である、<1>〜<5>のいずれかの方法。
試験例1:FBSを用いたHNV不活化剤の評価
(1)human Small Intestine Organoid(hSIO)の培養
hSIOは48ウェルプレート上でマトリゲル(Corning,356231)に包埋し三次元培養した。培地はIntestiCult Organoid Growth Medium(Human)(STEMCELL Technologies,ST−06010)を用いた。培地交換・継代・96ウェルプレートを用いた単層化の手技はユーザーマニュアルに従った。トリプシン処理後2日間はアノイキスを阻害するために培地に終濃度10μMとなるようにROCK(Rho−associated coiled−coil forming kinase/Rho結合キナーゼ)阻害剤であるCultureSure Y−27632(富士フィルム和光純薬,036−24023)を添加した。500mLのAdvanced DMEM/F12(Gibco,12634010)に5mLのGlutaMAX I(100×)(Gibco,35050−061)、5mLの1M HEPES(Gibco,15630080)、5mLのPenicillin−Streptomycin(Gibco,15140122)を添加することで基本培地を作成した。基本培地とIntestiCult Organoid Growth MediumのコンポーネントAとを等量混合することで分化培地を作成した。96ウェルプレートで単層化させた細胞に分化培地を1wellあたり200μLずつ2日間隔で交換しながら計6日間分化を誘導した。
(2)HNV(HuNoV)含有糞便の10%乳剤の作成
糞便の10%乳剤はGII.4型のHNV罹患者糞便から作成した。プロテアーゼ阻害剤であるcOmplete protease inhibitor cocktail tablets(Sigma−Aldrich,11697498001)1錠を50mLのD−PBS(−)に懸濁した。糞便1gに対して10mLのcOmplete含有D−PBS(−)で懸濁し、試験管ミキサーを用いてよく混合した。4℃で20分間静置した後に、2,000×g 4℃で10分間遠心した。上清を新たなチューブに回収し、感染実験に供するまで−80℃に保存した。
(3)HNVの不活化処理と薬剤の細胞毒性中和処理
HNV含有10%糞便乳剤を分化培地で10倍に希釈し、1mLのシリンジとMillex HV Filter unit (Millipore,SLHVR04NL)を用いて濾過した。PA微量遠心チューブ(Beckman coulter,357448)中で濾過した糞便溶液5μL(2.8×10 HNV genome copy相当)と表1に示す薬剤溶液45μLとを混合し、表1に示す所定の温度と時間で反応させた。次いでこの薬剤処理された糞便溶液に、56℃で30分間非働化処理を行ったFBS(Fetal bovine serum;BIOWEST社)1.45mLを添加した。遠心チューブを固定角ロータTLA−55(Beckman coulter)にセットしOptima MAX−TL(Beckman coulter)を用いてRmaxにおいて186047×gの遠心力(55000rpm相当)で1.5時間超遠心した後に上清を除去した。ペレットを100μLの分化培地で懸濁し、hSIOへの感染溶液とした。尚、薬剤溶液に代わり基本培地を用いて同様の操作を行い調製したhSIOへの感染溶液を薬剤非処理のコントロールとした。
(4)分化hSIOへの感染
ウェル中の既存の培地を除去した6〜7日間分化誘導後のhSIOに上述の方法で調製した感染溶液をアプライした。インキュベートは37℃で3時間実施した。300μLの基本培地で3回洗浄した後に、終濃度が125ppmとなるようにブタ胆汁抽出物(Sigma−Aldrich,B8631−100G)を加えた分化培地を250μL添加し、37℃、5%COの条件下でサンプリングのタイミングまで培養した。培養開始直後(day 0)と培養3日後(day 3)に10μLの上清を回収した。回収した上清はRT−qPCRに供するまで−80℃で保存した。
(5)RT−qPCR
回収した上清中のHNV genome copy数の定量にはノロウイルス検出キット G1/G2(東洋紡,FIK−273)を用いた。操作はプロトコールに従った。PCR増幅とデータ測定はLightCycler480II(Roche)を用いた。
測定されたウイルス量に基づき、A:HNVを検出下限にまで不活化されている、B:コントロール(薬剤処理無し)よりも減少、C:コントロール(薬剤処理無し)と同等にHNVが増殖している、の3段階で評価した。
(6)細胞傷害性の確認
細胞傷害性について、細胞の生死(○:細胞生存、×:細胞死亡)を、顕微鏡観察により判定した。
比較試験例1:10体積%FBSを用いたHNV不活化剤の評価
上記試験例1と同様に調製したHNV含有10%糞便乳剤を1mLのシリンジとMillex HV Filter unit (Millipore,SLHVR04NL)を用いて濾過した。濾過した糞便溶液5μLと表1に示す薬剤溶液45μLを混合し、表1に示す所定の温度と時間で反応させた。次いでこの薬剤処理された糞便溶液に1450μLの10体積%FBS(FBS原液は56℃で30分間非働化)を含有する基本培地溶液を添加混合した。遠心チューブを固定角ロータTLA−55(Beckman coulter)にセットしOptima MAX−TL(Beckman coulter)を用いてRmaxにおいて186047×gの遠心力(55000rpm相当)で1.5時間超遠心した後に上清を除去した。ペレットを100μLの分化培地で懸濁し、hSIOへの感染溶液とした。上記試験例と同様に、分化hSIOへ感染させた後に細胞傷害性を顕微鏡観察により判定した。
比較試験例1では被検薬剤の細胞毒性を十分に中和できず、細胞が死滅したことによりHNVの不活化効果の評価が実施できなかった。一方、試験例1では披検薬剤の細胞毒性を十分に中和することができHNVの不活化効果の評価を実施できた。
Figure 0006777837
試験例2:各濃度のFBSを用いた細胞傷害性の評価
上記試験例1と同様に調製したHNV含有10%糞便乳剤を分化培地で10倍に希釈し、1mLのシリンジとMillex HV Filter unit(Millipore,SLHVR04NL)を用いて濾過した。PA微量遠心チューブ(Beckman coulter,357448)中で濾過した糞便溶液5μLと表2に示す薬剤溶液45μLとを混合し、室温で30秒間反応させた。次いでこの薬剤処理された糞便溶液に、表2に示す所定濃度のFBSを含有する基本培地溶液又はFBS原液1.45mLを添加した。遠心チューブを固定角ロータTLA−55(Beckman coulter)にセットしOptima MAX−TL(Beckman coulter)を用いてRmaxにおいて186047×gの遠心力(55000rpm相当)で1.5時間超遠心した後に上清を除去した。ペレットを100μLの分化培地で懸濁し、hSIOへの感染溶液とした。上記試験例1と同様に、分化hSIOへ感染させて、細胞傷害性を確認した(表2)。試験例2より披検薬剤の細胞傷害性を十分に中和するためには25体積%以上のFBSを含有する基本培地を用いたウイルスと薬剤の反応液の中和処理が必要であることが分かった。
Figure 0006777837

Claims (2)

  1. ヒト小腸オルガノイドを用いてヒトノロウイルス不活化剤を評価する方法であって、被検薬剤で処理したウイルス溶液に25体積%濃度以上のウシ胎児血清を添加した後、超遠心分離し、得られた沈殿物をヒト小腸オルガノイドに感染させる工程を含む、方法。
  2. 超遠心分離が150000〜190000×gで1〜2.5時間行われる、請求項1記載の方法。
JP2020542472A 2020-02-10 2020-02-10 ヒトノロウイルス不活化評価法 Active JP6777837B1 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2020/005171 WO2021161390A1 (ja) 2020-02-10 2020-02-10 ヒトノロウイルス不活化評価法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6777837B1 true JP6777837B1 (ja) 2020-10-28
JPWO2021161390A1 JPWO2021161390A1 (ja) 2021-08-19

Family

ID=72916128

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020542472A Active JP6777837B1 (ja) 2020-02-10 2020-02-10 ヒトノロウイルス不活化評価法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6777837B1 (ja)
WO (1) WO2021161390A1 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000020565A1 (fr) * 1998-10-05 2000-04-13 The Research Foundation For Microbial Diseases Of Osaka University Immunogene ameliore pour un vaccin inactive contre une infection a virus de l'encephalite japonaise et procede de production associe
JP2007068041A (ja) * 2005-09-01 2007-03-15 Matsushita Electric Ind Co Ltd 広域監視パノラマシステム
US20110020406A1 (en) * 2008-02-29 2011-01-27 Universiteit Gent Viral inactivation process
WO2017059449A1 (en) * 2015-10-02 2017-04-06 Baylor College Of Medicine Cultivation of human noroviruses
WO2018038042A1 (ja) * 2016-08-24 2018-03-01 学校法人慶應義塾 ヒト下痢症ウイルスの感染・増殖培養用2dオルガノイド及びその使用

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007068401A (ja) * 2003-08-07 2007-03-22 Chemo Sero Therapeut Res Inst 西ナイルウイルスワクチン

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000020565A1 (fr) * 1998-10-05 2000-04-13 The Research Foundation For Microbial Diseases Of Osaka University Immunogene ameliore pour un vaccin inactive contre une infection a virus de l'encephalite japonaise et procede de production associe
JP2007068041A (ja) * 2005-09-01 2007-03-15 Matsushita Electric Ind Co Ltd 広域監視パノラマシステム
US20110020406A1 (en) * 2008-02-29 2011-01-27 Universiteit Gent Viral inactivation process
WO2017059449A1 (en) * 2015-10-02 2017-04-06 Baylor College Of Medicine Cultivation of human noroviruses
WO2018038042A1 (ja) * 2016-08-24 2018-03-01 学校法人慶應義塾 ヒト下痢症ウイルスの感染・増殖培養用2dオルガノイド及びその使用

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
COSTANTINI, VERONICA ET AL.: "Human Norovirus Replication in Human Intestinal Enteroids as Model to Evaluate Virus Inactivation", EMERG. INFECT. DIS., vol. 24, JPN6020015377, 2018, pages 1453 - 1464, XP055847142, ISSN: 0004350469, DOI: 10.3201/eid2408.180126 *
戸高玲子 他: "ヒト腸管オルガノイドによるヒトノロウイルス消毒薬評価系の構築", 臨床とウイルス 第60回日本臨床ウイルス学会プログラム・抄録集, vol. 47, JPN6020035775, 2019, pages 87 - 2, ISSN: 0004350470 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2021161390A1 (ja) 2021-08-19
JPWO2021161390A1 (ja) 2021-08-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ryndock et al. A risk for non-sexual transmission of human papillomavirus?
Schlaepfer et al. TLR7/8 triggering exerts opposing effects in acute versus latent HIV infection
Tian et al. Inactivation of the Tulane virus, a novel surrogate for the human norovirus
Pi et al. Stability of SARS coronavirus in human specimens and environment and its sensitivity to heating and UV irradiation
Meyers et al. UVC radiation as an effective disinfectant method to inactivate human papillomaviruses
TW200813228A (en) Method of immunization against the 4 dengue serotypes
Pham et al. Differential viral propagation and induction of apoptosis by grouper iridovirus (GIV) in cell lines from three non-host species
WO2013012007A1 (ja) 抗ウイルス剤組成物
TW201206342A (en) Antibacterial agent
Majeed et al. Development, characterization and application of a new fibroblastic-like cell line from kidney of a freshwater air breathing fish Channa striatus (Bloch, 1793)
Huang et al. Evaluating the virucidal activity of four disinfectants against SARS-CoV-2
Lorena et al. Mycobacterium massiliense BRA100 strain recovered from postsurgical infections: resistance to high concentrations of glutaraldehyde and alternative solutions for high level disinfection
JP6777837B1 (ja) ヒトノロウイルス不活化評価法
US8198256B2 (en) Treatment of influenza
Scroggs et al. Evolution of resistance to fluoroquinolones by dengue virus serotype 4 provides insight into mechanism of action and consequences for viral fitness
Son et al. Mitochondrial metabolism assessment of lycaon-dog fetuses in interspecies somatic cell nuclear transfer
JP2021126049A (ja) ヒトノロウイルス不活化評価法
Atif et al. Serotyping of dengue virus from deadly outbreaks of Pakistan
Cortés-Hinojosa et al. Coinfection of California sea lion adenovirus 1 and a novel polyomavirus in a Hawaiian monk seal (Neomonachus Schauinslandi)
CN106957846A (zh) 有效抑制猪瘟病毒复制和增殖的siRNA及用途
Huynh et al. Oncogenic properties of HIV-Tat in colorectal cancer cells
Abe et al. Effects of several virucidal agents on inactivation of influenza, Newcastle disease, and avian infectious bronchitis viruses in the allantoic fluid of chicken eggs
Mihai et al. Survival of H5N1 influenza virus in water and its inactivation by chemical methods
JP2023547574A (ja) 洗浄剤組成物
Labelle et al. Mousepox detected in a research facility: case report and failure of mouse antibody production testing to identify Ectromelia virus in contaminated mouse serum

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200805

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200805

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20200910

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200923

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201008

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6777837

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250