JP6774094B2 - 微生物を用いたポリオールエステルの製造方法 - Google Patents
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Description
[1] ロドスポリジウム・パルジゲナム(Rhodosporidium paludigenum)を培養し、生成され菌体外に放出されたポリオールエステルを回収することを含む、ポリオールエステルの生産方法。
[2] ポリオールエステルが下記式(I)で表される化合物である、[1]に記載の方法。
R2は直鎖炭化水素基である)
[3] 前記式(I)中、Xは下記式(II)又は(III):
で表される、[2]に記載の方法。
[4] 前記式(I)中、R2がC13H27又はC15H31で表される直鎖炭化水素基である、[2]又は[3]に記載の方法。
[5] 前記アルジトールがマンニトール又はアラビトールである、[2]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6] ポリオールエステルが、2種以上の化合物の混合物である、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7] ポリオールエステルが、前記アルジトールがマンニトールである前記式(I)で表される化合物と、前記アルジトールがアラビトールである前記式(I)で表される化合物との混合物である、[2]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[8] ロドスポリジウム・パルジゲナムがポリオールエステルを菌体外に分泌生産する能力を有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9] ロドスポリジウム・パルジゲナムが、ロドスポリジウム・パルジゲナムBS15株(受託番号NITE P−02292)、1042株(受託番号NITE P−02295)、及び1126株(受託番号NITE P−02296)、並びにポリオールエステルを菌体外に分泌生産する能力を有するそれらの派生株からなる群から選択される、[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10] ロドスポリジウム・パルジゲナムを、炭素源としてグルコースを含む培地で培養する、[1]〜[9]のいずれかに記載の方法。
[11] ロドスポリジウム・パルジゲナムを、炭素源を追加しながら7日以上培養する、[10]に記載の方法。
[12] 回収されたポリオールエステルの混合物から化合物を分離することをさらに含む、[6]又は[7]に記載の方法。
[13] 下記式(I)で表されるポリオールエステルを菌体外に分泌生産する能力を有する、ロドスポリジウム・パルジゲナム菌株。
R2は直鎖炭化水素基である)
[14] ロドスポリジウム・パルジゲナムBS15株(受託番号NITE P−02292)、1042株(受託番号NITE P−02295)、及び1126株(受託番号NITE P−02296)、並びにポリオールエステルを菌体外に分泌生産する能力を有するそれらの派生株からなる群から選択される、[13]に記載のロドスポリジウム・パルジゲナム菌株。
[15] ロドスポリジウム・パルジゲナムBS15株(受託番号NITE P−02292)と比較して50%以上の対糖収率を示す、[13]又は[14]に記載のロドスポリジウム・パルジゲナム菌株。
本発明は、微生物を用いた、脂質、具体的にはポリオールエステルの生産方法に関する。より具体的には、本発明は、酵母ロドスポリジウム・パルジゲナム(Rhodosporidium paludigenum)を用いたポリオールエステルの生産方法に関する。本発明におけるポリオールエステルとは、ポリオール(多価アルコールとも称される)と脂肪酸とのモノエステルである。ここでポリオール及び脂肪酸は、それぞれ独立に、任意の置換基を有し得る。本発明の方法では、ロドスポリジウム・パルジゲナムを培養することにより、大量に産生したポリオールエステルを菌体外に分泌させることができ、それによりポリオールエステルを効率よく生産することができる。
R2は直鎖炭化水素基である)
で表される。アルジトールは、上述のとおりである。R2は脂肪酸残基の炭化水素鎖の一部である。R2は好ましくは直鎖飽和炭化水素基である。R2は、限定するものではないが、炭素数が3以上、典型的には炭素数が9以上、好ましくは13以上(例えば13〜27、好ましくは13〜20又は13〜15)の直鎖炭化水素基である。炭素数が9以上の直鎖炭化水素基であるR2は、長鎖脂肪酸残基の炭化水素鎖の一部である。
で表される化合物である。
対糖収率(%) = 生産されたポリオールエステルの重量(g)÷原料グルコースの重量(g)×100
酵母エキス(粉末;Difco Laboratories)1%、ペプトン(Difco Laboratories)2%、D-グルコース(和光純薬工業)2%を純水に溶かしたものをYPD培地とした。YPD培地の寒天プレートは、YPD培地に寒天を1.5%添加し、オートクレーブ滅菌後、プラスチックシャーレで固化して作製した。YPD培地の寒天プレートを用いて、それぞれ独立した土壌試料(茨城県内で採取)から微生物株BS15株、1126株、及び1042株を単一のコロニーとして分離した。BS15株、1042株、1126株を、5 mLのYPD培地で2日間培養し、遠心することにより菌体を得た。その菌体から、DNA抽出キットISOPLANT(ニッポンジーン)を用いてDNAを抽出・精製した。DNA溶液は100 ng/μLとなるよう水で希釈した。これを鋳型DNAとして、26S rDNAのD1〜D2領域をPCRで増幅した。PCRのため、10×ExTaq buffer(タカラバイオ) 2 μL、2.5 mM dNTP(タカラバイオ) 1.6 μL、ExTaq (5 U/μL、タカラバイオ) 0.05 μL、フォワードプライマー(5'-GCATATCAATAAGCGGAGGAAAAG-3'; 配列番号1)10 pmol、及びリバースプライマー(5'-GGTCCGTGTTTCAAGACGG-3'; 配列番号2)10 pmol、鋳型DNA 100 ngを含む反応液を調製した。PCRの反応条件としては94℃で5分間保持した後、94℃で30秒、56℃で30秒、72℃で1分を1サイクルとして25サイクルの反復を行い、終了後に72℃で5分間保持した後、4℃に保持した。エチジウムブロマイド(EtBr)溶液を添加した1%アガロースゲルを用いて、PCR増幅産物を電気泳動し、600塩基〜700塩基付近にバンドが得られることを確認した。PCR増幅産物をMinElute PCR purification kit(キアゲン)で精製した。このPCR増幅産物の塩基配列をApplied Biosystems 3130xl ジェネティックアナライザ(アプライドバイオシステムズ)又はApplied Biosystems 3730xl DNAアナライザ(アプライドバイオシステムズ)を用いて解析した。解析は株式会社ファスマックに委託した。PCR増幅産物として得られた、フォワードプライマーとリバースプライマーに挟まれた領域の塩基配列は、BS15株、1042株、1126株のいずれも同一であった(配列番号3)。配列番号3に示す塩基配列についてBLAST検索を行ったところ、この配列はロドスポリジウム・パルジゲナム(Rhodosporidium paludigenum)の26S rDNAのD1〜D2領域の上記増幅配列と100%の配列相同性を示し、またこの配列が相同性を示した塩基配列は、ロドスポリジウム・パルジゲナム(Rhodosporidium paludigenum)由来配列として登録されているものが大多数であった。具体的には、BLAST検索の結果、配列番号3に示す塩基配列は、例えば、GenBankアクセッション番号LC053958.1、KJ507303.1、HQ670686.1等で示される多数のロドスポリジウム・パルジゲナムの26S rDNA配列中の対応領域の塩基配列と100%の相同性(配列同一性)を示し、またGenBankアクセッション番号DG531945.1、FJ463627.1、EF644474.1等に示されるロドスポリジウム・パルジゲナムの26S rDNA配列中の対応領域の塩基配列と99%の相同性(配列同一性)を示した。配列解析に基づき、土壌から分離したBS15株、1126株、1042株はいずれも担子菌酵母に属するロドスポリジウム・パルジゲナム(Rhodosporidium paludigenum)であると同定した。
グルコース(和光純薬工業)5%、酵母エキス(粉末; Difco Laboratories)2.5%、リン酸二水素カリウム(和光純薬工業)0.12%、リン酸水素二ナトリウム(和光純薬工業)0.03%、硫酸マグネシウム7水和物(和光純薬工業)0.03%、塩化カルシウム6水和物(和光純薬工業)0.01%を含む液体培地を調製し、BS15株の脂質生産に用いた。この液体培地を、300mL容羽根付フラスコ(旭硝子)に25mL、試験管に5mLを添加し、オートクレーブ滅菌した。5mL液体培地に、寒天プレート上のBS15株を1白金耳分、植菌後、恒温振とう機で30℃、200rpmで1昼夜培養を行った。その後、25mL液体培地に培養物の全量を移し、30℃、140rpmの旋回振とうで本培養を行った。本培養開始から24、48、72、96、120、168、216時間後にグルコース粉末を3gずつ培地に添加した。図1のとおり、培養液の下面(矢印で示す)に脂質(油層)が大量に存在することを確認した上で、12日間で培養を終了した。この脂質はBS15株から菌体外に生産されたものである。
D-グルコース(和光純薬工業)5%、酵母エキス(粉末; Difco Laboratories)1.5%、ペプトン(Difco Laboratories)1.5%、リン酸二水素カリウム(和光純薬工業)0.05%、リン酸水素二カリウム(和光純薬工業)0.05%、硫酸マグネシウム7水和物(和光純薬工業)0.02%、塩化カルシウム6水和物(和光純薬工業)0.005%、硫酸鉄7水和物(和光純薬工業)0.0025%を含む液体培地を調製し、1126株の脂質生産に用いた。この液体培地を、300mL容羽根付フラスコ(旭硝子)に30mL、試験管に5mLを添加し、オートクレーブ滅菌した。5mL液体培地に、寒天プレート上の1126株を1白金耳分、植菌後、恒温振とう機で30℃、200rpmで1日間、前培養を行った。その後、30mL液体培地に前培養の培養物を1mL移し、30℃、140rpmの旋回振とうで本培養を行った。本培養開始から24、48、72、96、120、144、192時間後にグルコース粉末を3gずつ培地に添加した。本培養開始から168時間後に、リン酸二水素カリウム(和光純薬工業)5%及びリン酸水素二カリウム(和光純薬工業)5%の水溶液を培地に1mL添加した。培養液の下面に脂質(油層)が大量に存在することを確認した上で、12日間で本培養を終了した。この脂質は1126株から菌体外に生産されたものである。
D-グルコース(和光純薬工業)10%、酵母エキス(粉末; Difco Laboratories)0.125%、リン酸二水素カリウム(和光純薬工業)0.05%、リン酸水素二カリウム(和光純薬工業)0.05%、硫酸マグネシウム7水和物(和光純薬工業)0.02%、塩化カルシウム6水和物(和光純薬工業)0.005%、硫酸鉄7水和物(和光純薬工業)0.0025%を含む液体培地を試験管に5mLを添加し、オートクレーブ滅菌した(液体培地A)。
実施例2、3、4でそれぞれ得られた脂質(脂質画分)を、薄層クロマトグラフィー(TLC)で分析した。担体としては、TLCシリカゲル 60 F254 アルミシート(メルクミリポア)を、展開溶媒としてはヘキサン(特級、和光純薬工業)及び酢酸エチル(特級、和光純薬工業)の等量混合液を用いた。発色液としては、0.1%プリムリン(東京化成)の80%アセトン溶液を用いた。BS15株、1042株、1126株のそれぞれに由来する脂質をエタノール溶液に10%溶解し、その1μLをシリカゲルシートにスポットした。このシリカゲルシートの下端を展開溶媒に浸し、約15分間展開した。乾燥後、発色液を噴霧し、乾燥後、トランスイルミネーターで紫外線照射を行った。スポットを目視で確認後、担体プレート上に記録し、図2の結果を得た。いずれの菌株由来の菌体外脂質についても菌株間で同様の位置に存在する6個のスポットが検出された。このことから、土壌から分離したロドスポリジウム・パルジゲナム(Rhodosporidium paludigenum)は同様の脂質を菌体外に生産することを確認した。また、この脂質が薄層クロマトグラフィー上で分離される複数の成分から構成される脂質混合物であることが示された。
(1) BS15株由来の菌体外脂質の特徴解析
BS15株由来脂質を、メタノール及び水の等量混合液に溶解し、フーリエ変換イオンサイクロトロン質量分析装置(Bruker Daltonics、Apex 70 IIe、ESI positive)を用いて質量分析を行った。その結果、図3Aのスペクトルが得られた。BS15株由来脂質の主要な分子量ピークは669.34であった。また、BS15株由来脂質を、重クロロホルムに溶解し、NMR測定装置(ブルカーバイオスピン社製、AVANCE 800)を用いて、核磁気共鳴(NMR)解析を行った。その結果、図3Bに示す1H-NMRスペクトルが得られた。
BS15株由来の菌体外脂質に含まれる糖質成分を同定するため、まず、菌体外脂質の加水分解を行った。具体的には、BS15株由来脂質1 gに7 mLの1M水酸化カリウムエタノール溶液を添加し、70℃で30分間加熱した。1N塩酸を8 mL添加し、中和した。ヘキサンを5 mLを混合後、静置し、溶媒層を除去することを2回繰り返した。水-エタノール層を100倍に希釈した後、イオン交換樹脂アンバーライトMB-3(オルガノ)を20分の1量添加して、脱イオン化し、HPLC測定に供した。HPLC装置には荷電化粒子検出器(ESA Biosciences)を備えたProminenceシステム(島津製作所社製)を用いた。分離カラムにはHILICpak VG-50 4E(昭和電工)を使用し、カラム温度は40℃とした。溶出液には92%アセトニトリル水溶液を用い、流速を1.5 mL/分とした。測定の結果、BS15株由来の脂質加水分解物中の成分は、D-マンニトール及びL-アラビトールの標品と保持時間が一致することが確認された。
BS15株由来脂質のエタノール溶液をシリカゲルシートに多数スポットし、実施例5と同じ条件で、薄層クロマトグラフィーを行い、次いで染色によりBS15株由来脂質を構成する各スポットの位置を確認した。その後、図2の上から3番目までのスポット(スポット1、2、3)に相当する位置のシリカゲルを掻きとり、ガラス試験管内のクロロホルム(和光純薬工業)に添加して、各スポットの成分を溶出させた後、クロロホルムを留去して3種の成分を得た。得られた3種の脂質成分をそれぞれスポット1、2、3成分とした。薄層クロマトグラフィーで分離したスポット1、2、3の成分をメタノール、水の等量混合液に溶解し、フーリエ変換イオンサイクロトロン質量分析装置(Bruker Daltonics、Apex 70 IIe、ESI positive)を用いて質量分析を行った。その結果、BS15株由来脂質のスポット1、2、3の成分について、それぞれ図4、図9、図12のマススペクトルが得られた。スポット1、2、3の成分の主要な分子量ピークはそれぞれ、639.33、669.34、627.33であった。
スポット1の成分について実施例6(1)と同じ装置及び溶媒条件で核磁気共鳴(NMR)解析を行い、図5及び図6にそれぞれ示す1H-NMR及び13C-NMRスペクトルを得た。これらのスペクトルと、実施例6(3)で得た図4のマススペクトルに基づき、スポット1に含まれる主要成分の組成式をC31H52O12と決定した。さらに2次元NMR(DQF-COSY、TOCSY、HMBC、HSQC)の測定を行い、図7A、図7B、図8A、図8Bのスペクトルをそれぞれ得た。
精密質量分析:計算値 (M+Na)[C31H52O12Na]+=639.3351、実測値 639.3352
1H NMR (800 MHz, CDCl3)δ[ppm] 5.38(2H, m), 5.17 (1H, m), 5.16 (2H, m), 4.28(1H, d, J=12.5 Hz), 4.27 (2H, m), 4.13 (1H, dd, J=5.0, 2.5 Hz), 3.94 (1H, dd, J=11.7, 7.1 Hz) , 2.59 (1H, dd, J=15.7, 7.8 Hz), 2.54 (1H, dd, J=15.7, 4.9 Hz), 2.13(3H, s), 2.08 (3H, s), 2.06(3H, s), 2.04(3H, s), 2.03 (3H, s), 1.59 (2H, m), 1.24〜1.32 (22H, m), 0.88 (3H, t, J=7.2 Hz)
13C NMR(201 MHz, CDCl3)δ[ppm] 170.44, 170.40, 170.14, 170.08, 169.80, 169.63, 70.32, 68.27, 68.05, 67.96, 62.00, 61.92, 38.93, 34.06, 31.93, 29.69, 29.67, 29.65, 29.64, 29.57, 29.50, 29.38, 29.36, 25.12, 22.70, 21.10, 20.77, 20.66(2C), 20.61, 14.13
スポット2の成分について実施例6(1)と同じ装置及び溶媒条件で核磁気共鳴(NMR)解析を行い、図10及び11にそれぞれ示す1H-NMR及び13C-NMRスペクトルを得た。これらのスペクトルと、実施例6(3)で得た図9のマススペクトルに基づき、スポット2に含まれる主要成分の組成式をC32H54O13と決定した。さらに2次元NMR(DQF-COSY、TOCSY、HMBC、HSQC)の測定を行い、それぞれのスペクトルを得た。
精密質量分析:計算値 (M+Na)[C30H52O12Na]+=627.3351、実測値 627.3350
1-O-(3-アセトキシパルミトイル)-2,3,5,6-テトラ-O-アセチルマンニトールの1H NMRデータ:
1H NMR (800 MHz, CDCl3)δ[ppm]5.29 (1H, m), 5.23 (1H, dd, J=7.2, 1.6 Hz), 5.18 (1H, m), 4.88 (1H, ddd, J=9.6, 4.2, 2.6 Hz), 4.43 (1H, dd, 12.4, 2.6 Hz), 4.42 (1H, dd, J=12.4, 2.7 Hz), 4.34 (1H, dd, 12.4, 2.9 Hz), 4.16 (1H, dd, J=12.4, 6.3 Hz), 3.85 (1H, ddd, J=9.6, 7.0, 1.6 Hz), 3.14 (1H, d, J=7.0 Hz, -OH), 2.59 (1H, dd, J=15.6, 7.6 Hz), 2.54 (1H, dd, J=15.6, 5.0 Hz), 2.13 (3H, s), 2.09 (3H, s), 2.085(3H, s), 2.082 (3H, s), 2.05 (3H, s), 1.55〜1.64 (2H, m), 1.24〜1.33 (22H,m), 0.88 (3H, t, J=7.1Hz)
1-O-(3-アセトキシパルミトイル)-2,4,5,6-テトラ-O-アセチルマンニトールの1H NMRデータ:
1H NMR (800 MHz, CDCl3)δ[ppm] 5.35 (1H, ddd, J=7.7, 5.7, 2.5 Hz), 5.30 (1H, dd, J=7.7, 1.6 Hz), 5.26 (1H, m), 4.86 (ddd, J=10.0, 2.9, 2.4 Hz), 4.39 (1H, dd, J=12.5, 2.5 Hz), 4.37 (1H, dd, J=12.5, 2.9 Hz), 4.30 (1H, dd, J=12.5, 2.4 Hz), 4.19 (1H, dd, J=12.5, 5.7 Hz), 4.08 (1H, ddd, J=10.0, 7.0, 1.6 Hz), 3.59 (1H, d, J=7.0, -OH), 2.61 (1H, dd, J=14.8, 3.8 Hz), 2.55 (1H,dd, J=14.8, 9.4 Hz), 2.11 (3H, s), 2.059 (3H, s), 2.057 (3H, s), 2.05 (3H, s), 2.03 (3H, s), 1.55〜1.64 (2H, m), 1.24〜1.33 (22H, m), 0.88 (3H, t, J=7.1 Hz)
1-O-(3-アセトキシパルミトイル)-2,3,5,6-テトラ-O-アセチルマンニトール及び1-O-(3-アセトキシパルミトイル)-2,4,5,6-テトラ-O-アセチルマンニトールの13C NMRデータ:
13C NMR (201MHz, CDCl3) δ[ppm] 171.45, 171.35, 170.77, 170.70, 170.45, 170.36, 170.32, 170.24, 170.03, 170.00, 169.92, 169.78, 70.97, 70.38, 70.30, 70.08, 69.38, 69.17, 68.82, 68.74, 67.41, 66.51, 62.93, 62.77, 62.65, 62.36, 40.08, 39.00, 34.43, 34.05, 31.93 (2C), 29.69(2C), 29.66 (2C), 29.65(2C), 29.64 (3C), 29.56, 29.53, 29.50, 29.48, 29.36(3C), 25.30, 25.14, 22.70 (2C), 21.11, 21.10, 20.94(2C), 20.92, 20.88, 20.78, 20.75, 20.63(2C), 14.13 (2C)
スポット3の成分について実施例6(1)と同じ装置及び溶媒条件で核磁気共鳴(NMR)解析を行い、図13及び14にそれぞれ示す1H-NMR及び13C-NMRスペクトルを得た。これらのスペクトルと、実施例6(3)で得た図12のマススペクトルに基づき、スポット3に含まれる主要成分の組成式をC30H52O12と決定した。さらに2次元NMR(DQF-COSY、TOCSY、HMBC、HSQC)の測定を行い、それぞれのスペクトルを得た。
精密質量分析:計算値 (M+Na)[C30H52O12Na]+=627.3351、実測値 627.3350
1H NMR (800 MHz, CDCl3)δ[ppm] 5.29 (1H, m), 5.06 (1H, dd, J=7.8, 1.5 Hz), 4.87 (1H, ddd, J=10.0, 2.7, 2.1), 4.49 (1H, dd, J=12.6, 2.7 Hz), 4.31 (1H, m), 4.25 (1H, dd, J=12.7, 2.1 Hz), 4.19〜4.22 (2H, m), 4.16 (1H, dd, J=12.2, 6.5 Hz), 3.47 (1H, d, J=7.11 Hz, -OH), 3.21 (1H, d, J=5.6 Hz, -OH), 2.62 (1H, dd, J=14.7, 3.5 Hz), 2.55 (1H, 14.7, 9.5 Hz), 2.10 (3H, s), 2.08 (3H, s), 2.07 (3H, s), 2.06 (3H, s), 1.24〜1.32 (22H, m), 0.88 (3H, t, J=7.2Hz)
13C NMR (201MHz, CDCl3)δ[ppm] 171.76, 171.32, 170.70, 170.16, 170.11, 71.11, 70.34, 69.43, 68.76, 66.53, 65.58, 62.98, 40.00, 34.53, 31.93, 29.69, 29.66(2C), 29.64, 29.56, 29.54, 29.47, 29.36, 25.19, 22.70, 21.20, 20.91, 20.84, 20.74, 14.13
BS15株由来脂質が、ポリオール上のアセチル化の程度が異なる脂質の混合物であることを確認するため、BS15株由来脂質(ポリオールエステル)の過アセチル化を試みた。具体的には、実施例2で得られたBS15株由来脂質550mgに、2mL無水酢酸(特級、和光純薬工業)と2mLピリジン(特級、和光純薬工業)を加え、室温で16時間反応させた。水2mLを混合し、静置後、水層を除去した。再度、水2mLを混合し、静置後、水層を除去した。得られた油層(脂質)をエタノールに10%になるよう溶解し、薄層クロマトグラフィーの試料とした。薄層クロマトグラフィーは実施例5と同様の方法で実施し、図15の結果を得た。過アセチル化処理を行っていないBS15株由来脂質(未処理)は6個のスポットに分離したが、過アセチル化処理後のBS15株由来脂質は、最もRf値の高いスポット1(水酸基が全てアセチル化されている)と同様の位置に集約された。この結果から、BS15株由来の菌体外脂質は、アセチル化の程度が異なるポリオールエステル誘導体の混合物であることが裏付けられた。なお実施例5において、1042株及び1126株もBS15株と同様の菌体外脂質を生産することが示されている。
Tullochらは、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)、ロドトルラ・グラミニス(Rhodotorula graminis)の菌株を、4%グルコース、0.2%酵母エキス、0.1%のリン酸2水素カリウムを含む培地50 mLを含む三角フラスコに接種し、230rpmで8〜10日間の培養を行ったところ、1〜2 g/Lでポリオールエステルが菌体外に生産されたことを報告している。この結果から、Tullochらが用いた菌株は、対糖収率(培養液に添加した原料グルコースの重量に対する生産ポリオールエステルの重量の比)2.5〜5%であると推測される。対糖収率は、下記式にもとづいて算出した。
対糖収率(%) = 生産されたポリオールエステルの重量(g)÷原料グルコースの重量(g)×100
Claims (10)
- ロドスポリジウム・パルジゲナム(Rhodosporidium paludigenum)を培養し、生成され菌体外に放出されたポリオールエステルを回収することを含む、ポリオールエステルの生産方法であって、ポリオールエステルが下記式(I)で表される化合物である、方法。
(式中、Xは、アルジトールから1つの1級水酸基が除かれた残基であって、かつ1つ以上の水酸基がアセチル化されていてもよいアルジトール残基であり、前記アルジトールはマンニトール又はアラビトールであり、
R 2 はC 13 H 27 又はC 15 H 31 で表される直鎖炭化水素基である) - 前記式(I)中、Xは下記式(II)又は(III):
(式中、R1はそれぞれ独立にアセチル基又は水素原子である)
で表される、請求項1に記載の方法。 - ポリオールエステルが、2種以上の化合物の混合物である、請求項1又は2に記載の方法。
- ポリオールエステルが、前記アルジトールがマンニトールである前記式(I)で表される化合物と、前記アルジトールがアラビトールである前記式(I)で表される化合物との混合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- ロドスポリジウム・パルジゲナムがポリオールエステルを菌体外に分泌生産する能力を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- ロドスポリジウム・パルジゲナムが、ロドスポリジウム・パルジゲナムBS15株(受託番号NITE P−02292)、1042株(受託番号NITE P−02295)、及び1126株(受託番号NITE P−02296)、並びにポリオールエステルを菌体外に分泌生産する能力を有するそれらの派生株からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- ロドスポリジウム・パルジゲナムを、炭素源としてグルコースを含む培地で培養する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- ロドスポリジウム・パルジゲナムを、炭素源を追加しながら7日以上培養する、請求項7に記載の方法。
- 回収されたポリオールエステルの混合物から化合物を分離することをさらに含む、請求項3又は4に記載の方法。
- 下記式(I)で表されるポリオールエステルを菌体外に分泌生産する能力を有する、ロドスポリジウム・パルジゲナムBS15株(受託番号NITE P−02292)、1042株(受託番号NITE P−02295)、及び1126株(受託番号NITE P−02296)、並びにそれらの派生株からなる群から選択される、ロドスポリジウム・パルジゲナム菌株。
(式中、Xは、アルジトールから1つの1級水酸基が除かれた残基であって、かつ1つ以上の水酸基がアセチル化されていてもよいアルジトール残基であり、前記アルジトールはマンニトール又はアラビトールであり、
R2はC 13 H 27 又はC 15 H 31 で表される直鎖炭化水素基である)
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