JP6773818B2 - 貴金属ナノ粒子の水性懸濁液を調製する方法 - Google Patents

貴金属ナノ粒子の水性懸濁液を調製する方法 Download PDF

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Description

関連出願
本願は、2013年1月25日出願の米国仮出願第61/756,622号の利益を主張する。
本発明は、貴金属ナノ粒子の水性懸濁液を生成する方法、特に生体分子を含む官能性リガンドにバイオコンジュゲーション(bioconjugation)するための、金ナノ粒子の水性懸濁液を生成する方法に関する。
貴金属ナノ粒子(PMNP)およびコロイドPMNPは、貴金属ナノコロイド(PMNC)とも呼ばれ、多種多様な生物学的および医学的適用におけるそれらの潜在的な使用について広く研究されている。PMNCの適用として、造影剤、検知剤、遺伝子調節剤、標的薬物送達担体、または光応答性抗菌治療剤としてのPMNCの使用が挙げられる。これらの適用のほとんどでは、表面官能化とも呼ばれるPMNPの表面修飾が必要である。
過去には、ほとんどのPMNCは、イオン状態の貴金属の還元に基づくプロセス、またはリガンド分子との錯イオンの形成に基づくプロセスなどの化学合成プロセスによって生成されてきた。本来的に、化学合成では、貴金属の還元中の対となる反応の結果として形成される副生成物などの化学的副生成物が生じて、コロイド溶液の電解質にイオンが残留する。さらに、化学合成によって生成された現在市販されているPMNCは、PMNPが凝集してコロイド溶液から沈殿するのを防止する安定化剤を含有する。安定化剤または化学的副生成物の残留イオンが存在すると、その後のバイオコンジュゲーションプロセス中にコロイド系が不安定性になるおそれがある。しかし、ナノ粒子の沈殿がない安定に生じるPMNCを得ることが、バイオ用途のためのPMNPの表面官能化にとって望ましい。
図1Aは、ナノ粒子を作製するための従来技術の化学合成プロセスと、その後のバイオコンジュゲーションを示す流れ図である。示されている通り、プロセス100は、工程102において化学合成法によって作製されたPMNPのコロイド溶液(すなわち、PMNC)から始まる。PMNCの製造後、コロイド溶液は、その後のバイオコンジュゲーションプロセス(工程106)まで、キャップ付きガラス容器などの容器に一定期間保存される(工程104)。調製工程102は、市販のPMNCを購入することによって行うことができ、これらのPMNCは、通常、容器に入れて配送され、保存される。
リガンド交換反応は、PMNCを含む様々な無機コロイドナノ粒子の表面を修飾するための強力な手法であることが見出されており、様々なコア材料および官能基を有する有機水溶性ナノ粒子を生成するために使用される。リガンド交換反応をPMNCに適用する最も困難な局面の1つは、実質的に完全なリガンド交換を達成すること、ならびに反応中のコロイド懸濁液の安定性を維持することである。
液体パルスレーザーアブレーション(PLAL)は、官能性ナノ粒子をバルク材料から直接合成するのに適した方法であり、完全にリガンドを含まないナノ粒子を提供することができる。共同所有の米国特許出願公開第2012/0225021号は、トップダウン製造方法によってPLAL法を使用して、バルク金を標的材料として用いて、水中で安定な裸のコロイド金ナノ粒子を生成する方法を開示している。その結果から、520ナノメートル(nm)の金ナノコロイドの局在化表面プラズモン共鳴法の吸光度の変化をモニタすることによって特徴付けられた、チオール化ポリエチレングリコール(PEG)による表面官能化中における金ナノ粒子のコロイド安定性が達成されることが実証された。
図1Bは、バイオコンジュゲーションのためのナノ粒子を作製するための、従来技術のPLAL法を示す流れ図である。示されている通り、プロセス101の工程112では、貴金属(PM)標的材料および懸濁液が準備される。工程114では、PMNPは、レーザーパルスの焦点をPM標的材料に合わせることによって作製される。作製されたPMNPを懸濁液と合わせると、PMNPを有するコロイド懸濁液が形成される。工程116では、コロイド懸濁液は、容器に一定期間(すなわち保存期間)保存され、次に、生体分子リガンドをPMNPと合わせるためのバイオコンジュゲーションプロセスで使用される(工程118)。
PLAL法におけるこのような近年の進歩にも関わらず、プロセス全体がバイオコンジュゲーション反応のためのPMNPの作製から考慮される場合、少なくとも2つの課題が残されている。1つは、ナノ粒子の作製プロセスにおける、PMNPの正確なサイズ制御である。もう1つは、生成されたPMNCがバイオコンジュゲーション反応に特異的になるように調整するためのその後の手順の際の、電解質のイオン濃度の制御である。
C.Rehbockら(2012年10月3日に刊行されたPhys.Chem.Chem.Phys.、「Size control of laser−fabricated surfactant−free gold nanoparticle with highly diluted electrolytes and their subsequent bioconjugation」、DOI:10.1039/C2CP42641B)は、ナノ粒径の制御プロセスを実証した。その実施形態には、ナノ秒のPLAL手法およびサイズの制御プロセスと、高度に希釈された電解質を使用することによって、バイオコンジュゲーションのための金ナノ粒子(AuNP)を作製することが記載されている。より具体的には、AuNPが作製され、微量の塩を含有する水のキャリア蒸気に分散させられる。高度に希釈された電解質を用いるPLAL法によって作製されるAuNPのサイズを制御するために、C.Rehbockらは、公知の量の特定のイオンを水に導入することによって、AuNPのサイズを制御できる可能性があることを実証した。直径10nm以上のAuNPを生成するために、C.Rehbockらは、イオン濃度が30マイクロモル(μM)未満の範囲である場合には、生成されるAuNPのサイズがイオン濃度に応じて大きく変化するので、イオン濃度の正確な制御が必要であることを示している。このような低濃度範囲では、ナノ粒径に対する汚染などの、外部から導入される微量のイオンの作用はもはや無視できない。
誘導結合血漿質量分析法(ICP−MS)などの元素分析に基づく、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフィー−質量分析法(LC−MS)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)およびラマン散乱法(RS)などの分子分析に基づく、電解質における個々のイオンを分析するための様々な方法がある。しかし、これらの測定のすべては、バイオコンジュゲーションのためのPMNCの能力を評価するために、バイオコンジュゲーションの前に毎回実施するにはあまりにも高価であり、時間がかかり過ぎる。
したがって、バイオコンジュゲーションのためのPMNCの能力を予測し、PMNCが入れられる溶液の電解質のイオン濃度を制御することが望ましい。
米国特許出願公開第2012/0225021号
C.Rehbockら(2012年10月3日に刊行されたPhys.Chem.Chem.Phys.、「Size control of laser−fabricated surfactant−free gold nanoparticle with highly diluted electrolytes and their subsequent bioconjugation」、DOI:10.1039/C2CP42641B) 「Engineering Chemistry」R.Mukhopadhyay and S.Datta from New Age International Publishers、278〜291頁、(2007年) S.J.Hurstら、「Maximizing DNA Loading on a Range of Gold Nanoparticle Sizes」、Anal.Chem.2006年、78、8313〜8318頁
少なくとも1つの実施形態では、本発明は、電解質を含む液体中、0.01nMを超える濃度を有する貴金属ナノ粒子を含み、25μS/cm以下の電気伝導率を有するコロイド懸濁液を含む。
少なくとも1つの実施形態では、本発明は、電気伝導率を有する液体を準備する工程と、液体の電気伝導率を25μS/cm未満に調整する工程と、ナノ粒子を容器内に準備する工程と、ナノ粒子を、調整した液体と容器内で合わせて、少なくとも0.01nMのナノ粒子濃度を有するコロイド溶液を形成する工程とを含む、コロイド溶液を生成する方法を含む。
少なくとも1つの実施形態では、本発明は、貴金属ナノ粒子を準備する工程と、貴金属ナノ粒子を液体と合わせて、コロイド懸濁液を形成する工程と、コロイド懸濁液を精製して、コロイド溶液の総イオン濃度を25μS/cm以下に低減する工程と、コロイド懸濁液の電気伝導率をモニタする工程と、必要に応じて、コロイド懸濁液の電気伝導率を25μS/cm未満に調整する工程とを含む、コロイド懸濁液を生成する方法を含む。
少なくとも1つの実施形態では、本発明は、電気伝導率を有する液体の供給源;供給源から液体を受け取り、液体の電気伝導率を調整するように構成された、電気伝導率調整システム;入口で電気伝導率調整システムから電気伝導率が調整された液体を受け取るように構成され、出口でコロイド懸濁液を生成するように構成された容器;入口に近接して容器内に置かれた電気伝導率モニタリングデバイスを含む装置であって、電気伝導率調整システムが、電気伝導率モニタリングデバイスに応答して、液体の電気伝導率を25μS/cm以下に維持するように構成されている装置を含む。
少なくとも1つの実施形態では、本発明は、バイオコンジュゲーションのためのコロイド懸濁液を生成する方法であって、アブレーション容器内に、貴金属を含む標的材料と、分散媒としての脱イオン水および電解質を含有する液体とを準備する工程と、1つまたは複数の伝導率モニタリングデバイスを用いて分散媒の電気伝導率をモニタし、必要に応じて、伝導率調整システムによって分散媒の電気伝導率を25μS/cm以下になるように調整する工程と、レーザーパルスを標的材料に送り標的材料をアブレーションすることによって貴金属ナノ粒子を作製し、貴金属ナノ粒子のコロイド懸濁液を形成し、コロイド懸濁液が少なくとも0.01nMの貴金属ナノ粒子を含有するように調整する工程とを含む、方法を含む。
少なくとも1つの実施形態では、本発明は、分散媒中の貴金属ナノ粒子のコロイド懸濁液を受け取ることと、1つまたは複数の伝導率モニタリングデバイスを用いて前記コロイド懸濁液の電気伝導率をモニタし、必要に応じて、分散媒の電気伝導率を25μS/cm以下になるように調整することと、前記コロイド懸濁液を生体分子と混合することによって、前記ナノ粒子を前記生体分子とをバイオコンジュゲーションし、それによって、前記生体分子の少なくとも一部を、前記貴金属ナノ粒子に付着させることとを含む、バイオコンジュゲーションの方法を含む。
記載の実施形態の他の態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲および添付の図からより十分に明らかになり、これらにおける類似した参照番号は、類似または同一の要素を識別する。
バイオコンジュゲーション反応のためのナノ粒子を作製するための、従来技術の化学合成プロセスを示す従来技術の流れ図である。 バイオコンジュゲーション反応のためのナノ粒子を作製するための、従来技術のPLAL法を示す従来技術の流れ図である。 本発明の例示的な実施形態に係るPLAL法を使用してバルク貴金属標的とバイオコンジュゲーションするためのPMNCを生成する、レーザーベースシステムの概略図である。 ナノ粒子の作製から、図2に示した本発明の例示的な実施形態に係るPLAL法によるバイオコンジュゲーションまでのプロセスを示す流れ図である。 本発明の例示的な実施形態に係る市販の4つの異なる容器内で室温において保存した電解質を含有する脱イオン水における、電気伝導率の時間発展の一例を示す図である。 本発明の例示的な実施形態に係るPLAL法によって作製した異なる伝導率の電解質におけるAuNPの粒径のプロットである。 本発明の例示的な実施形態に係るPLAL法によって伝導率2.7μS/cmで作製したAuNPの粒径分布のプロットである。 本発明の例示的な実施形態に係るPLAL法を使用してワイヤ形状の貴金属標的とバイオコンジュゲーションするためのPMNCを生成する、レーザーベースシステムの概略図である。 ナノ粒子の調製から、本発明の例示的な実施形態に係る化学的方法によるナノ粒子の合成に基づくバイオコンジュゲーションまでのプロセスを示す流れ図である。 図7に示した本発明の例示的な実施形態に係る化学的方法によって合成されたナノ粒子のための、遠心分離ベースの精製プロセス704を示す流れ図である。 本発明の例示的な実施形態に係る化学的方法によって合成された金ナノ粒子(AuNP)のための、遠心分離ベースの精製プロセスを示すブロック図である。 本発明の例示的な実施形態に係る遠心分離ベースの精製プロセスの前および後の、図9に示されている市販の化学合成されたAuNCのUV−Vis吸光度(光学密度)のプロットである。 本発明の例示的な実施形態に係る異なる濃度のPEG MW20000を含むAuNC−PCSNCのUV−Visスペクトルの発展のプロットである。 本発明の例示的な実施形態に係るPLAL法によって生成され、様々な電気伝導率およびレベルのmPEG−SH MW8500のmPEG−SH MW8500分子とコンジュゲートしたAuNCの組合せに関する実験結果を示すプロットである。 本発明の例示的な実施形態に係るPLAL法によって生成され、様々な電気伝導率およびレベルのmPEG−SH MW20000のmPEG−SH MW20000分子とコンジュゲートしたAuNCの組合せに関する実験結果を示すプロットである。 本発明の例示的な実施形態に係る化学合成法によって生成され、様々な電気伝導率およびレベルのmPEG−SH MW8500のmPEG−SH MW8500分子とコンジュゲートしたAuNCの組合せに関する実験結果を示すプロットである。 本発明の例示的な実施形態に係る化学合成法によって生成され、様々な電気伝導率およびレベルのmPEG−SH MW20000のmPEG−SH MW20000分子とコンジュゲートしたAuNCの組合せに関する実験結果を示すプロットである。
以下、例示的な実施形態を、図を参照して記載する。
本明細書で使用される場合、用語「コロイド懸濁液」、「懸濁液」、「コロイド溶液」、「コロイド」および「PMNC」は、交換可能に使用され、ナノ粒子が分散媒に分散したコロイド系を指す。例えば、懸濁液は、金属ナノ粒子、脱イオン水および電解質を含有することができる。
本明細書で使用される場合、ナノ粒子が懸濁すべき媒体は、「分散媒」または簡単に「媒体」と呼ばれる。例えば、媒体は、脱イオン水および1つまたは複数の電解質を含有することができる。
本明細書で使用される場合、「懸濁液」、「コロイド懸濁液」および「液体」は、ナノ粒子を含有していても含有していなくてもよい前述の媒体を指すために、交換可能に使用される。この3つの用語は、媒体中に粒子が存在するかしないかを特定する必要がない場合にのみ、交換可能に使用される。
貴金属(PM)として、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、および先に列挙した金属の少なくとも1つを含む合金が挙げられる。貴金属ナノ粒子(PMNP)は、貴金属微粒子または貴金属微粒子の凝集体を指す。ナノ粒子は、1ナノメートル〜1000ナノメートルの範囲の直径を有する、ほぼ球形の形状であり得る。他のナノ粒子は、いくらか不規則な形状であってもよく、1ナノメートル〜1000ナノメートルの範囲の平均直径を特徴とすることができ、または最長寸法1ナノメートル〜1000ナノメートルの平均サイズを特徴とすることができる。先に列挙した貴金属、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、およびオスミウム(Os)の対応するナノ粒子は、これらの元素の原子記号を使用して、それぞれAuNP、AgNP、CuNP、PtNP、PdNP、RhNP、RuNP、IrNP、およびOsNPと略される。貴金属ナノコロイド(PMNC)は、PMNPのコロイド懸濁液を指す。それに応じて、先に列挙した貴金属、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、およびオスミウム(Os)のナノコロイドは、それぞれAuNC、AgNC、CuNC、PtNC、PdNC、RhNC、RuNC、IrNC、およびOsNCと略される。
本明細書で使用される場合、用語「表面官能化」は、官能性リガンド分子のナノ粒子の表面へのコンジュゲーションを指す。用語「バイオコンジュゲーション」は、生体分子リガンドによるナノ粒子の表面の「表面官能化」を指す。用語「生体分子リガンド」は、限定されるものではないが、少なくとも1つの生物学的に関連する官能基を有する、生物学的に活性な分子、生物学的に重要な分子、および生物学的に相溶性のある分子を含めた生物学的に関連するリガンド分子を指す。また「生体分子リガンド」は、本明細書および特許請求の範囲では、「生体分子」と略すこともできる。
本明細書では、用語「レーザービーム」および「パルスレーザービーム」は、交換可能に使用され、標的材料を照射するための少なくとも1つのパルスを供給する間欠的レーザー処理ビームを指し、(時間的)パルス幅、パルス持続時間、パルスエネルギー、ピーク電力、フルエンス、ビームサイズ、ビームプロファイル、スポット分布、またはスポットサイズなどのパラメータによってさらに特徴付けることができる。パルスレーザービームは、短い持続時間の爆発的パルスを含むことができる。
本明細書では、用語「安定な」は、生体分子がコンジュゲートしていない状態の対照試料に関する、バイオコンジュゲーション中のUV−Vis吸光度スペクトルの変化に基づく本発明のコロイド系の安定性について定義する。Auナノコロイドについては、安定性の判断基準には、以下の2つの条件の両方が満たされることが必要である。
i)約15〜20nmサイズのAuNPについて、典型的に約520nmである表面プラズモン共鳴(SPR)の波長における光学的吸光度の変化が、対照吸光度に対してプラス/マイナス15%以内にあること。
ii)(650nmにおける吸光度)/(SPRにおける吸光度)の比<0.2であること。
また、以下の詳細な説明では、一般に当技術分野で周知のいくつかの頭字語を利用する。典型的に、各頭字語が最初に出現した場合に定義を提示するが、便宜上、表1では、本願および特許請求の範囲で使用される頭字語および略語の一覧を、それらのそれぞれの定義と共に提示する。
Figure 0006773818
便宜上、表2は、濃度、抵抗等の様々な単位を一覧にしたものである。
Figure 0006773818
記載されている本発明の実施形態は、バイオコンジュゲーションのための貴金属ナノ粒子(PMNP)のコロイド懸濁液を生成する方法、およびその方法によって調製されたPMNP懸濁液に関する。記載されている実施形態は、安定なバイオコンジュゲーションのためのコロイドPMNPを生成する2つの方法を開示している。第1の方法は、液体パルスレーザーアブレーション法(PLAL)であり、第2の方法は、化学合成されたナノコロイドの精製(PCSNC)法である。記載されている実施形態では、PMNPコロイド懸濁液の総イオン濃度を制御する目的で、数ある中でも、観測可能な物理的パラメータとしての電気伝導率またはその逆数である電気抵抗率を使用して、モニタ、制御または特定することを取り上げる。さらに、記載されている実施形態では、特にPLAL法を用いて調製されたPMNCのPMNPサイズを、その後のバイオコンジュゲーションのために制御する。開示されているPLAL法によるPMNCの製造は、PMNPの作製のためにPLAL法を実施する前またはその実施中に分散媒の伝導率をモニタすることを含み、また、所定のサイズのPMNPに伝導率の調整が必要な場合には、分散媒の伝導率を調整することを含む。その後同様に、伝導率は、プロセス管理限界以内に維持されるようにモニタし、制御することができ、したがって伝導率は、バイオコンジュゲーションが実施される時点またはそれに近い時点で、所望の範囲内になる。
PMNPのコロイド懸濁液を作製するPLAL法は、PMNPが分散する分散媒の総イオン濃度を制御することによって、コロイド懸濁液の電気伝導率を調整し、作製されたPMNPの粒径を、特に約10nm以上のサイズ範囲に調整する工程を含む。またPLAL法は、PMNPのサイズの変動を低減するために、サイズを改良する工程を含む。2つの工程を組み合わせることによって、通常の正規対数統計分布に類似のPMNPサイズ分布、ならびに第2のピーク、ショルダー、ウィング等の異常がない、十分に制御された狭いピークおよび平坦なテールが得られる。
また、PMNPのコロイド懸濁液を作製する化学的方法は、PMNPが分散する分散媒の総イオン濃度を制御することによって、コロイド懸濁液の電気伝導率を調整し、それによって、作製されたPMNPの粒径を、特に約10nm以上のサイズ範囲に調整する工程を含む。
水中でイオン濃度を変化させる要因として、総イオン濃度に影響を及ぼす保存条件、例えば容器材料、および電解質を調製するために使用される電解質または脱イオン水の保存温度が挙げられる。他の要因として、溶存ガスの存在が挙げられる。
PMNPの分散媒における、外部から導入されたイオンの効果を研究する。イオン濃度は、コロイド懸濁液の電気伝導率を測定することによって決定することができる。市販の異なる容器内で室温において保存した脱イオン水におけるコロイド懸濁液の電気伝導率の時間発展は、特に長い保存期間にわたって保存されたPMNCについて、著しく大きい変動を示す。
記載されている実施形態では、電気伝導率のモニタリングおよび調整は、PMNPの作製時、保存期間中、バイオコンジュゲーション時もしくはそれに近い時間、または任意の適切な組合せにおいて実施することができる。このようなモニタリングまたは調整は、PLAL法または化学的方法を用いて実施される。電気伝導率のモニタリングおよび調整は、バイオコンジュゲーションにとって重要であるだけでなく、PMNPが分散すべき分散媒中で実施されるとき、またはPLAL配置でレーザーを用いる照射の前に、PLAL法によって生成されたPMNPの質も安定にする。
PLALによるPMNCの作製
図2は、本発明の例示的な実施形態に従ってPLAL法を使用して、貴金属のバルク標的を使用してバイオコンジュゲーションするためのPMNCを生成するレーザーベースシステムの概略図である。示されている通り、PLALシステム200は、レーザービーム202、レンズ204、ガイド機構206、バルク標的208、標的ホルダー210、懸濁液212、容器214、撹拌子216、作製されたPMNP218、光学窓220、Oリング封止222、移動ステージ224、入口226、出口228、伝導率調整システム230、伝導率モニタリングデバイス232、伝導率モニタリングデバイス234、制御装置236、それぞれの伝導率モニタリングデバイス232および234からのフィードバックデータ238および240、PMNC容器244における収集および保存の前の懸濁液212の領域としてのコロイド懸濁液242を含む。
レーザービーム202は、パルスレーザー源(示さず)によって送られ、レンズ204によって焦点を合わされ、ガイド機構206によって誘導されて、標的208を照射することができる。
パルスレーザー源の出力波長は、中赤外から近赤外線範囲まで(例えば、約2000nm〜780nm)、可視範囲まで(例えば、700nm〜400nm)または紫外範囲まで(例えば、395nm〜266nm)であり得る。
レーザービーム202は、好ましくは1kHz〜100MHz、10kHz〜1MHz、100kHz〜10MHz、または100kHz〜1MHzのパルス繰返し率を提供する。少なくとも1つの実施形態では、100KHz〜約10MHzの範囲の高い繰返し率のパルスを利用して、PMNPを作製することができる。
レーザービーム202は、10ナノジュール(nJ)〜2ミリジュール(mJ)、より好ましくは50nJ〜300マイクロジュール(nJ)、または0.1〜100μJのパルスエネルギーを供給することができる。
レーザービーム202は、10フェムト秒(fs)〜100ナノ秒(ns)、10fs〜10ns、または30fs〜10ピコ秒(ps)の持続時間を有するパルスを供給することができる。
例えば100fs未満の極度に短いパルス持続時間によって、望ましくない熱効果が低減されるが、パルス持続時間が数十フェムト秒に近い場合、または液体層が無視できない厚さである場合、液体(例えば、懸濁液212)における屈折率の波長分散に起因して、パルス持続時間の時間的広幅化が著しく大きくなる。このような分散は、技術の1つまたは組合せを使用して相殺することができる。分散補償のための追加の光学部品を光路に挿入すると、パルスの分散を相殺することができる。分散補償のための光学部品として、一対の光学的回折格子および一対の体積ブラッグ格子が挙げられるが、これらに限定されない。反対符号の分散を有する材料を挿入すると、パルスの分散を相殺することができる。限定されるものではないが、光ファイバ、フォトニック結晶ファイバ、フォトニックバンドギャップファイバ、非線形光ファイバ、およびファイバブラッグ格子を含む光導波路も、パルス持続時間の広幅化効果を相殺することができる。
例示的な一実施形態では、レーザービーム202を生じるパルスレーザー源は、1045nmで操作され、100kHz〜約5MHzの調整可能なパルス繰返し率を有する市販の超高速ファイバレーザーであり得る。例えば、IMRA America Inc.から利用可能なD−1000超高速ファイバレーザーは、PLALシステム200においてレーザーパルス源として利用することができる。D−1000IMRA超高速ファイバレーザーは、パルス当たり最大10μJのパルスエネルギー、および100kHzの繰返し率において700フェムト秒(fs)未満のパルス幅を有するレーザーパルスを生じることができる。
レンズ204は、単焦点レンズであり、f−シータレンズであってもよい。ガイド機構206は、2次元レーザー走査システムであってもよい。例えば、ガイド機構206は、f−シータレンズ(すなわち、レンズ204)を備えたX−Y検流計走査装置であってもよい。
例示的な一実施形態では、ガイド機構206のレーザー走査配置は、ポストオブジェクティブ走査システムとして構成される。他の適切な走査配置およびビーム/標的位置調節機構は、走査速度、位置決め精度、および他の変数に基づいて、ガイド機構206に合わせて設計を選択して、利用することができる。
別の例示的な実施形態では、ガイド機構206は、標的208の表面上でのレーザービーム202の高速走査または他の動作に合わせて構成された振動鏡であってもよい。振動鏡の振動周波数は、好ましくは10Hz以上であり、角度振幅は1mrad以上であり、したがって、表面上の走査速度は、0.01m/s以上になる。振動鏡は、圧電駆動型(piezo−driven)鏡、検流計鏡、またはビーム動作に適した他の装置であってもよい。先に説明した通り、2個以上の鏡を使用して、対物レンズの像平面における2次元動作を達成することができる。好ましくは、像平面および標的208の標的表面は、完全に平行であり、より好ましくは、標的208へのレーザービーム202の入射角は、像平面におけるスポット位置とは独立に一定角である。別のレンズまたはレンズシステムを実行して、光路に沿ってレーザービーム202の焦点位置を調整することもできる。レンズ204は、ガイド機構206の前または後に置くことができる。
市販の貴金属標的として受け取ることができる標的208は、標的ホルダー210に搭載することができる。標的208は、平坦表面を有するバルク貴金属であってもよい。標的208および標的ホルダー210は、容器214内の懸濁液212の表面下数ミリメートル、好ましくは数ミリメートルから好ましくは1cm未満まで沈められる。
いくつかの実行では、成型工程または成形工程、例えば切断、圧縮、機械加工および後形成プロセスを、標的208のバルク貴金属に適用して、標的208の表面を平坦にすることができる。平坦表面を研磨してもよい。
代替の一実施形態では、標的208は、懸濁液212に完全に沈んでいなくてもよい。標的208の一部が懸濁液212と接触している限り、PLAL法によるレーザーアブレーションは、標的208および懸濁液212の界面で行うことができる。
標的ホルダー210は、ガラスなどの、光学的に耐久性がある化学的に不活性な材料から製造されていてもよいが、標的208が適所に安定して保持される限り、必ずしもそのような材料から製造されていなくてもよい。
懸濁液212は、水、メタノール、エタノール、アセトン、または電解質を含有する別の有機液体を含むことができ、PMNCを作製するための分散媒として作用する。
懸濁液212は、電解質が溶解している脱イオン水または蒸留水であってもよく、懸濁液212の伝導率は、作製されたPMNP218に必要なサイズに従って、25μS/cm以下、1μS/cm〜10μS/cm、または1.5μS/cm〜8μS/cmの値に調整される。
溶解した電解質は、以下の少なくとも1種の元素を用いて形成されたアニオンおよびカチオンを含む、クエン酸塩などの有機塩、無機塩および錯イオン塩であり得る。
a)アルカリ金属(すなわち、周期表の1族元素)、例えばNaおよびK、
b)アルカリ土類金属(すなわち、周期表の2族元素)、例えばMgおよびCa、
c)プニクトゲン(すなわち、周期表の15族元素)、例えばNおよびP、
d)カルコゲン(すなわち、周期表の16族元素)、例えばOおよびS、
e)ハロゲン(すなわち、周期表の17族元素)、例えばCI、BrおよびI。
PLALシステム200は、液体循環システム(示さず)を含む。懸濁液212の流れは、液体循環システムによって入口226から容器214に導入され、出口228へと流れる。好ましくは、懸濁液212は、1ml/s以上の速度、より好ましくは10ml/s以上の速度で流れる。ここで、懸濁液212の流れ、標的208上のレーザービーム202の動作、またはこれらの両方を使用して、レーザー照射領域における蓄熱を制御することができる。
懸濁液212の液体層の厚さは、レーザービーム202のごくわずかな線形および非線形吸光度によって決定される。したがって、レーザービーム202の波長は、中赤外から近赤外範囲まで(例えば、約2000nm〜780nm)、可視範囲まで(例えば、700nm〜400nm)または紫外範囲まで(例えば、395nm〜266nm)である。
作製されたPMNP218がコロイド懸濁液の形態で存在する懸濁液212の一部は、図2に示されている領域242として例示される。コロイド懸濁液242は、容器244に収集され、保存される。循環システムでは、コロイド懸濁液242は、懸濁液212が出口228から入口226に移動するまでの任意の適切な位置にあり得る。
容器214は、光学窓220によって被覆される。Oリング封止222は、懸濁液212が漏出するのを防止するために、光学窓220と容器214の間に置かれる。容器214は、移動ステージ224上に固定されており、このステージは、示されている通り、容器214および懸濁液212の並進運動を生じる。容器214は、入口226および出口228を有しており、懸濁液212は、容器214を介して入口226から出口228まで流れ、それによって、作製されたPMNP218は、運び出され、PMNC容器244に収集され、保存される。様々な実行において、懸濁液212の流れは、標的208の剥離された材料とガラス窓220の間の間隙を充填して、レーザーアブレーション中に生じた任意の気泡が光学窓220上に留らないようにするのに十分な程度急速であるべきである。
撹拌子216は、懸濁液212の流れを生じ、作製されたPMNP218がレーザー照射領域に残留するのを防止する一助になる。また、懸濁液212の流れは、レーザー焦点体積を冷却する。
作製されたPMNP218は、約1〜1000nmの範囲の粒径を有する。図5Bに示されているデータは、2.7μS/cmで安定化した伝導率を有する懸濁媒体において、PLAL法によって作製されたAuNPの粒径分布を示している。ナノ粒子の大部分は、10〜100nmのサイズを有していたことが分かる。
光学窓220は、容器214の一番上に置かれ、したがって、標的208とガラス窓220の間の間隙は、流れる懸濁液212で充填される。液体流は、作製されたPMNP218を懸濁液212に均一に分布させることができる。容器214の一番上に光学窓220が存在しない場合、流れる懸濁液212の上面は、流れている間に上下することがあり、アブレーション標的208の上の懸濁液212の厚さに変動をもたらすおそれがある。これによって、レーザービーム202の光路が変化し、作製されたPMNP218のより広範なサイズ分布を生じる場合がある。したがって、記載されている本発明の実施形態では、流れている懸濁液212の上の光学窓220は、アブレーション標的208の上に一定の深度の懸濁液212を維持するように導入される。さらに、循環システムがない場合、例えば図2に示されているレーザービーム202、移動ステージ224に対して垂直の、横振動の動作AA−BBによって、懸濁液212が、標的208上のアブレーションスポットを横断して局所的に流れるおそれもある。
Oリング封止222は、容器を封止するために、容器214と光学窓220の間に置かれる。
移動ステージ224は、好ましくは、数Hzの振動周波数、例えば約0.001〜100Hzの範囲の振動周波数、および数ミリメートルの振幅を有する。また、振とう機(示さず)を使用して、液体循環を生じさせることができ、振とう機の循環動作によって、懸濁液212の循環動作も引き起こされる。光学窓220は、移動ステージ224または振とう機を使用するのに必須ではないと考えられる。しかし、光学窓220を使用しない場合、移動ステージ224または振とう機の使用により、標的208の上の液体層の厚さが均一でなくなり、作製されたPMNP218のサイズ分布がより広範になるおそれがある。
容器214の入口226および出口228は、容器に、ある一定の距離で、例えばPMNPが作製されない領域に入口226が位置し、PMNPが作製される領域に出口228が位置するように、容器の反対側に設置される。
伝導率調整システム230は、容器214の入口226近くの上流位置に置かれ、制御装置236によって制御される。伝導率モニタリングデバイス232は、伝導率調整システム230の前に、懸濁液212の上流伝導率をモニタするために使用される。伝導率モニタリングデバイス234は、PMNP218を作製する前に、容器214における懸濁液212の伝導率をモニタするために使用される。制御装置236は、伝導率モニタリングデバイス232および234から、それぞれフィードバックデータ238および240を受け取り、伝導率調整システム230を制御し、それによって、PLALによってPMNP218を作製する直前に、懸濁液212において必要な伝導率を安定にすることができる。特定の実施形態では、懸濁液212と、PMNC容器244内に抽出されたコロイド懸濁液の両方の電気伝導率が、測定されるべきである。懸濁液とコロイド懸濁液のそれぞれの伝導率は、それぞれの所定の範囲内にあるべきである。好ましくは、コロイド懸濁液の伝導率は、25μS/cm以下であり、懸濁液の伝導率は、好ましくは20μS/cm未満の範囲である。電気伝導率の調整は、電気伝導率が所望の範囲未満である場合には、十分な量の電解質溶液を、液体またはコロイド懸濁液に添加することを含む。電気伝導率が所望の範囲を超える場合には、電気伝導率の調整は、十分な量の水または高度に希釈された電解質を、液体またはコロイド懸濁液に添加することを含む。図2に示されているシステムでは、システム200は、伝導率調整システム230に接続されている、電解質溶液および高度に希釈された電解質溶液または水の供給口を含むことができるが、これらの供給口は、図を明確にするために示されていない。制御装置236の指示の下にある伝導率調整システム230は、適切な溶液を懸濁液212に添加して、伝導率を所望の範囲内に維持する。フィードバックデータ238および240により、適切な調整が確実になされる。較正工程では、図5Aに示されているデータなどの、分散媒の伝導率と、粒径の制御に関して得られた粒径の相関データを使用することができる。コロイド懸濁液については、少なくとも2種類の伝導率データが有用であると提案できる。一方は、生成されたPMNCが保存されるべき容器における、伝導率増大の時間発展である。データが得られたら、PMNCの寿命期間を推定することができる。もう1つの有用なタイプの伝導率データは、コンジュゲーションされる選択された生体分子のバイオコンジュゲーションに最適な範囲に関するデータである。較正データに従って伝導率を調整すると、バイオコンジュゲーションプロセスによって、プロセス中のコロイドの不安定性を誘発する危険性を最小限に抑えることができる。伝導率を調整する工程は、手動、半自動または自動プロセスであり得る。
伝導率モニタリングデバイス232、234は、市販の電気伝導率計測器または抵抗率計測器、例えば、市販の水伝導率計測器または水抵抗率計測器であってもよい。いくつかの実施形態では、伝導率モニタリングデバイス232、234のために使用される市販の電気伝導率計測器には、約1μS/cm〜5μS/cmであるかまたはそれより良好な、伝導率の最小限の検出可能な変化が必要である。
当技術分野で周知の通り、抵抗率は、伝導率の逆数であり、伝導率モニタリングデバイス232、234では、1μS/cm〜5μS/cmの範囲の伝導率は、1MΩcm〜0.2MΩcmの範囲の抵抗率に変換される。抵抗率と伝導率の変換関係式は、抵抗率MΩcm=1/(伝導率μS/cm)である。以下、これらの等価パラメータは、伝導率(μS/cm)に統合される。いくつかの例示的な実施形態では、伝導率測定の分解能は、約1μS/cmであるかまたはそれより良好である。
図3は、ナノ粒子の作製から、図2に示した本発明の例示的な実施形態に係るPLAL法によるバイオコンジュゲーションまでのプロセスを示す流れ図である。示されている通り、PLALプロセス300は、観測可能な物理的なパラメータとしての、懸濁液における電解質の電気伝導率または抵抗率を使用して、作製されたPMNPのサイズを正確に制御することを含む。PLAL法によって作製されたPMNCは、PMNPを作製する前またはその作製中に、電解質の電気伝導率をモニタし、調整するプロセスを含む。伝導率のモニタリングまたは調整またはその両方は、PMNPの作製後、バイオコンジュゲーション実施の時点に近い時点まで、またはその実施中に行うことができる。PLAL法は、PMNPのサイズを正確に制御する方法を提供することができる。
示されている通り、工程302では、貴金属の標的208は、アブレーション標的のために受け取られ、またはそうでなければアブレーション標的のために準備される。例示的な一実施形態では、標的208は、容器214の一番上に取り外し可能な光学窓220を有する容器214内に位置する、バルク金標的を含む。工程302では、PMNPが分散すべき媒体としての懸濁液212も準備される。標的208は、懸濁液212の表面下数ミリメートルから好ましくは1cm未満までの距離に沈んでいる。懸濁液212は、レーザービーム202の波長に対して透明な任意の液体であり得る。懸濁液212は、ナノ粒子が分散するための分散媒として作用する。ナノ粒子は、分散媒中にほぼ均一に分布することができる。懸濁液212として、水、メタノール、エタノール、アセトン、または電解質を含有する別の有機液体を挙げることができる。
一実施形態では、懸濁液212は、伝導率が25μS/cm未満、好ましくは1μS/cm〜10μS/cmの範囲である、電解質を有する脱イオン水である。したがって、PLALシステム200では、懸濁液212中、その場でPMNCを作製することができる。次に、形成されたPMNCは、懸濁液212に安定に懸濁し、したがって、コロイド金懸濁液を安定な状態で維持するための分散剤、安定剤、界面活性剤または他の材料は必要ない。ここで、懸濁液212のイオン濃度は、懸濁液212における電解質の量および電解質の希釈または濃度の係数に従って、予め推定することができる。
工程304では、PMNP218の作製前または作製中の懸濁液212の電気伝導率は、伝導率モニタリングデバイス232、234によってモニタされる。また、懸濁液212の電気伝導率は、PMNP218の所定のサイズに伝導率の調整が必要である場合には、伝導率調整システム230によって調整される。
前述の通り、水の総イオン濃度は、生成のための容器材料の表面、環境または保存、および大気への曝露などの外部の要因によって、必要な低濃度範囲が変化しやすくなる可能性がある。水は、容器に接触した後、最初に推定された懸濁液212のイオン量に加えて、さらなるイオンを含有する場合があり、それによって、高度に希釈された電解質中でPLAL法を使用して作製されたPMNP218のサイズが、大きな影響を受けるおそれがある。実際、水または電解質が任意の外部の接触を回避することは困難である。しかし、記載されている本発明の実施形態では、高度に希釈された電解質における総イオン濃度の不確実性は、レーザービーム202を標的208に照射する前に、高度に希釈された電解質の電気伝導率を測定することによって解決することができる。伝導率モニタリングデバイス232、234は、記載されている実施形態では、高度に希釈された電解質の電気伝導率または抵抗率を測定するために用いられる。例えば、伝導率モニタリングデバイス232は、高度に希釈された電解質が容器214内に入る前に、高度に希釈された電解質の電気伝導率または抵抗率を測定するために、入口226に置かれる。伝導率モニタリングデバイス234は、高度に希釈された電解質の電気伝導率または抵抗率を測定するために、容器214内の、PMNPが作製されない入口226近くに置かれる。
C.Rehbockらの図4Aから、水または電解質における外部から導入されたイオンの作用は、イオン濃度が30μM未満の範囲である場合、もはや無視できないことが知られている。したがって、イオン濃度が30μM未満の範囲である場合、作製されたAuNPの粒径は変化する。
一般に、電解質の伝導率は、固体が塩化ナトリウム(NaCl)であると推定して、水に溶解した全固体(TDS)に変換される。この変換により、1μS/cmの伝導率は、NaCl約0.6mg/水1kgに相当し、これは約10μMのモル濃度である。変換を考慮に入れると、作製されたAuNPのサイズが、イオン濃度によって大きく変わる濃度未満である30μMのイオン濃度は、約3μS/cmの伝導率に相当する。特に、イオン濃度10μM以下では、C.Rehbockらによれば、約15nmを超えるAuNPを生成する必要がある。先の通りに算出すると、10μMのNaClを導入することによって、電気伝導率が約1μS/cm増大する。それに比例して、1μMのNaClを導入すると、伝導率の増大は、わずか0.1μS/cmである。理論的に、極度に精製した水の電気伝導率は、25℃で0.055μS/cmまで低下し得ると予測された。しかし実際、大気中室温で保存され平衡化された脱イオン水の典型的な電気伝導率は、0.5μS/cm〜1.5μS/cmの範囲であると認識されている。結果として、例えば、高度に希釈された電解質を、保存容器からアブレーション容器214に移し、その後コロイド懸濁液を保存するだけで、分散媒の初期イオン量が変わることがある。図4は、本発明の例示的な実施形態に係る市販の4つの異なる容器内で室温において保存した電解質を含有する脱イオン水における、電気伝導率の時間発展の一例を示す図である。容器は、3つの異なる透明なホウケイ酸ガラス瓶A、BおよびC、ならびに透明なポリカーボネート瓶Dである。脱イオン水の初期電気伝導率は、水道水の場合には約1μS/cmである。図4に示されている通り、脱イオン水の電気伝導率は、保存すると経時的に増大する。特にガラス瓶に入れると、第1週における電気伝導率の増大は、1.3μS/cm以上になる。第1週が経過した後に増大率は低減するが、電気伝導率は、200日後も13μS/cmまで増大し続ける。データは、プラスチック瓶で保存すると、経時的な伝導率の増大が最も緩慢であり、最も小さいことを示している。したがって好ましくは、作製されたPMNCと接触する、図2に示されている容器244の材料は、ポリマーまたはプラスチック、例えばポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、修飾ポリエチレンテレフタレートグリコール(polyethylene terephthalate glycol−modified)、またはポリスチレンである。このような容器材料を使用して、分散媒およびPMNCの電気伝導率をさらに安定にすべきである。
伝導率の調整工程304は、その場でまたは実験施設内で実施することができる。実験施設内で実施する場合の電気伝導率の制御に関して、外部のイオン源への懸濁液212のさらなる曝露が最小限に抑えられる場合、ナノ粒子の作製工程の直前に制御を実施することが望ましい場合がある。その場で実施する場合、例示的な一実施形態では、図2に示されているPLALシステム200には、伝導率モニタリングデバイス234を備えることができる。
懸濁液212の電気伝導率を増大するために、KC1およびNaOHなどの先に列挙した電解質の溶液を、懸濁液212に添加してもよい。懸濁液212の電気伝導率を低減するために、電気伝導率が数μS/cm以下である微量の電解質を含有している可能性がある脱イオン水または蒸留水を、懸濁液212に添加してもよい。その場で実施する場合、例示的な一実施形態では、図2に示されているPLALシステム200は、上流位置に、制御装置236によって制御される伝導率調整システム230を有することができる。伝導率調整システム230の前に、別の伝導率モニタリングデバイス232を使用して、懸濁液212の上流電気伝導率をモニタすることができる。制御装置236は、伝導率モニタリングデバイス232および234からのフィードバックデータ238および240の一方または両方を受け取ると、PLALによるPMNPの作製が行われる前に懸濁液212において必要な伝導率が安定化されるように、伝導率調整システム230を制御する。
例示的な一実施形態では、システムは、伝導率調整の自動制御に合わせて構成することができる。第1の液体からの流れの制御は、伝導率を増大するように制御され、第2の液体からの流れの制御は、伝導率を低減するように制御され得る。制御装置236は、電気伝導率をモニタするためのプログラムを含み、較正情報に基づいて電気伝導率を調整するコンピュータ(示さず)に接続されていてもよい。代替の例示的な実施形態では、半自動またはコンピュータ支援の制御を実行することができる。
工程306では、PMNP218は、レーザービーム202を標的208に照射することによって作製される。作製されたPMNP218を懸濁液212と合わせて、PMNC懸濁液242を形成する。
作製されたPMNP218がコロイド懸濁液の形態で存在する懸濁液212の一部は、図2に示されている領域242として例示されている。コロイド懸濁液242は、工程306の成果として、容器244に収集され、保存される。コロイド懸濁液242の収集は、工程306の後または最中に行うことができる。循環システムでは、コロイド懸濁液242は、懸濁液212が入口226から出口228に移動するまでの任意の適切な位置にあり得る。
工程308では、作製されたPMNPまたはPMNCのサイズ分布が改良される。図5Aは、本発明の例示的な実施形態に係るPLAL法によって作製した異なる伝導率の電解質におけるAuNPの粒径のプロットである。分析のための超遠心分離法、例えばルイジアナ州プレイリービルのCPS Instruments,Inc.製のCPS Disk CentrifugeDC24000 UHRを適用して、AuNPのサイズを測定する。プロットしたサイズは、重量分布に基づいて測定された粒径のピークサイズである。示されている通り、粒径は、イオン濃度が低くなるにつれて大きくなる。しかし、35nm以上の粒径のAuNPを生成することが可能であり、電解質の電気伝導率が適切に安定化される場合、好ましい粒径は、約10nm〜約30nmの範囲である。C.Rehbockらは、電気伝導率がおそらく少なくとも0.5μS/cm未満である場合に、1μMのNaCl溶液において約32nmの最大サイズが生成されると報告した。しかし本発明は、図5Aに示されている通り、1.5μS/cmの伝導率を有する電解質溶液において、32nmのAuNPが生成され得ることを示す。結果として、電解質溶液に過剰量のイオンが存在することは、公知の量のNaClから推定された伝導率よりもはるかに高い電解質溶液の伝導率を生じることが示唆される。このことは、総イオン濃度が伝導率によって適切に推定される場合、イオン濃度および粒径に関するRehbockらの教示とは正反対である。
伝導率が安定化された電解質におけるPLAL法によって、正確に制御されたサイズピークを有するサイズ(例えばナノ粒径)分布が生成されるが、サイズ分布は、まだ第2のピークまたはショルダー構造を含有している場合がある。望ましくないサイズのPMNPを有するこれらの粒子を除去するために、例えば、遠心分離をPMNCに適用することができる。より大きいサイズのPMNPを除去するためには、遠心分離処理されたPMNCから上清部分を得ることができる。多くのPMNPが、遠心管の底部近くに沈殿する。このようなPMNPの収集物は、ペレットと呼ばれる。より小さいサイズのPMNPを除去するためには、遠心分離処理されたPMNCからペレット部分を抽出することができ、次に、電解質溶液または脱イオン水を添加することによって再分散させることができる。
工程310では、作製されたPMNCは、バイオコンジュゲーションの前に、適切な保存条件下で保存容器に保存される。本発明に従ってPLAL法によって作製されたPMNCは、20μS/cm未満、ほとんどの場合には1μS/cm〜10μS/cmの範囲の電気伝導率を有する。しかし図4に示されている通り、脱イオン水単独の伝導率でも、水を保存容器に保存すると経時的に増大し続ける。したがって、作製されたPMNCに接触する保存容器(例えば、図2に示されている容器244)の材料は、好ましくは、ポリマーまたはプラスチック、例えばポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、修飾ポリエチレンテレフタレートグリコール、またはポリスチレンである。
溶存ガスは、得られたコロイド懸濁液の伝導率に影響を及ぼす場合があり、したがって容器は、不活性ガス、例えば窒素または希ガス、例えばヘリウム、ネオン、アルゴンまたはクリプトン雰囲気下でパージし、封止することができる。
保存温度に関して、PMNCは、好ましくは40℃未満、好ましくは25℃未満、より好ましくは15℃未満、例えば冷蔵庫等で4℃の温度に維持される。
保存環境に関して、日光への曝露は、回避するべきである。好ましくは、PMNCを入れた容器は、暗所に維持され、または暗色もしくは琥珀色の容器が使用される。
工程312では、保存されたPMNC懸濁液の伝導率がモニタされ、調整される。バイオコンジュゲーションプロセスは、イオン濃度に対して非常に感度が高いため、PMNCの製造に合わせて特に調整された電解質は、その後のバイオコンジュゲーションプロセスに対して効果を有する場合がある。さらに、保存容器材料からのイオンの浸出、保存条件、および保存温度も、得られたバイオコンジュゲーションのコロイド安定性に影響を及ぼすことがある。したがって、イオン伝導率は、保存容器での保存中、伝導率の実質的な変動を回避するのに十分頻繁にモニタされ、調整されることが好ましい。例えば、図4は、任意の必要な調整周期の時間枠を決定するために利用できる情報を提供している。保存期間中、伝導率は、好ましい上限である25μS/cmを超える場合がある。したがって、伝導率を、管理限界としての所定の範囲内、好ましくは25μS/cm未満に維持するようにモニタし、調整することが望ましい。同様にこの手法では、バイオコンジュゲーション反応が実施される時点またはそれに近い時点で、任意の調整を容易に行うことができる。
以下に記載の通り、特に8500を超える分子量を有する生体分子を用いる安定な制御可能なバイオコンジュゲーションのために、作製されたPMNCの伝導率は、限界の25μS/cm未満に維持される必要がある。伝導率を、PMNCの作製後約4カ月にわたって25μS/cm未満に維持するために、伝導率の増大率は、1週間当たり1.5μS/cm以下、好ましくは1週間当たり1μS/cm以下、より好ましくは1週間当たり0.5μS/cm以下である必要がある。したがって、コロイド懸濁液の電気伝導率は、好ましくは25μS/cm未満であり、約1μS/cm〜22μS/cm、または約1.5μS/cm〜15μS/cの範囲であり得る。伝導率の変化に関して、保存容器に保存されたコロイド懸濁液の電気伝導率の増大は、好ましくは1週間当たり1.5μS/cm未満、より好ましくは1週間当たり1μS/cm未満、またはさらにより好ましくは1週間当たり0.5μS/cm未満である。
工程314では、1500を超える分子量を有する生体分子を用いるバイオコンジュゲーションを実施することができる。
プロセス300の工程は、コロイド懸濁液が連続的に生成される連続プロセスであってもよい。プロセス300の工程は、相互に作用しない(noninteractive)工程がすべて一度に実施されるバッチプロセスであってもよい。
PLAL法の代替の一実施形態では、バルク標的材料は、図6に模式的に示されている通り、外部から液体に供給されるワイヤ形状の貴金属であり得る。示されている通り、レーザーベースシステム600は、レーザービーム602、レンズ604、ガイド機構606、アブレーションのためのワイヤバルク標的608、懸濁液612、容器614、撹拌子616、作製されたPMNP618、光学窓620、Oリング封止622、入口626、出口628、伝導率調整システム630、伝導率モニタリングデバイス632、634、および制御装置636を含む。図2の実施形態と図6の実施形態の差異は、バルク標的208が、ワイヤ形状のバルク標的608によって置きかえられ得るということである。ワイヤバルク標的608は、容器614に供給することができ、それによって、ワイヤバルク標的608のヘッドが、レーザービーム602の焦点体積内に維持される。したがって、レーザーベースシステム600は、移動ステージを含まない。例示的な一実施形態では、アブレーションのためのワイヤバルク標的608は、一本の金ワイヤである。
化学的方法によるPMNCの作製
図7は、ナノ粒子の調製から、本発明の例示的な実施形態に係る化学的方法によるナノ粒子の合成に基づくバイオコンジュゲーションまでのプロセスを示す流れ図である。本明細書では、化学的方法は、化学合成されたナノコロイドの精製(PCSNC)法を指す。
PCSNCプロセス700は、図1Aに示されている通り、工程702における公知の化学合成法によって、PMNPまたはコロイド溶液(例えばPMNC)を調製することから開始される。化学合成されたPMNCは、還元反応の残りの副生成物およびコロイド系を安定にするために使用される添加剤などの多量の電解質イオンを含有しているので、精製プロセスの後、工程704においてコロイド溶液の総イオン濃度を低減する。例示的な精製プロセスとして、遠心分離、透析、電気透析法、または限外濾過が挙げられるが、これらに限定されない。遠心分離に基づく精製プロセスを、以下に説明する。他の3つのプロセスは、「Engineering Chemistry」R.Mukhopadhyay and S.Datta from New Age International Publishers、278〜291頁、(2007年)に詳説されている。
図8は、図7の本発明の例示的な実施形態に係る遠心分離ベースの精製プロセス704を示す流れ図である。工程7042では、化学合成法によって調製されたPMNC溶液は、遠心管に入れられる。次に、PMNC溶液は、遠心分離デバイス内で遠心分離処理される。適切な遠心分離条件、例えば20分間で約8000Gを選択することによって、PMNPのほとんどは遠心管の底部に沈殿し、それを収集したら、先に説明した通り粒子の凝集なしに再分散することができる。工程7044では、コロイド溶液の電解質イオンの総量は、遠心分離処理されたPMNC溶液の上清を除去することによって低減される。工程7046では、脱イオン水などの高度に希釈された電解質溶液を、遠心分離処理されたPMNC溶液の沈殿物に添加し、溶液のPMNPの密度を、最初に調製したPMNCの密度に近い密度にする。最後に、沈殿したPMNPを、工程7048で溶液をボルテックスして再分散させる。脱イオン水によって希釈を行う場合、全手順による電解質の希釈率は、工程7048後の溶液の総体積と、工程7044で上清を除去した後に残る部分の体積の比によって、ほぼ定義される。例えば、脱イオン水0.9mlが、工程7046で残りの溶液沈殿物0.1mlに添加される場合、電解質は10倍希釈される。
希釈率に応じて、遠心分離の全手順は、工程7048の後に、調製されたコロイド溶液として得られたPMNCで開始して反復することができ、それによって、図7の伝導率の調整およびモニタリング工程708で、必要な伝導率が得られる。
図7に戻ると、精製プロセス704は、伝導率の調整工程708の一部であってもよいが、伝導率の微調整は、伝導率の値を低減するために精製プロセス704について既に列挙した方法(例えば、透析法、電気透析法、限外濾過法等)によって、または伝導率の値を増大するために電解質を添加することによって実施することができる。
一般に、精製プロセス704は、コロイド溶液の伝導率を低減するが、伝導率の増大が必要な場合には、工程706中に、微量の電解質、例えばNaClおよびKClまたはそれらの電解質溶液をコロイド懸濁液に添加することによって行うことができる。
例示的な一実施形態では、PMNCは、金ナノコロイド(すなわち、AuNC)である。以下、図9に示されている通り、化学合成されたAuNCに遠心分離法を適用する、精製プロセス800の例示的な実施形態を説明する。図9は、本発明の例示的な実施形態に係る化学的方法によって合成された金ナノ粒子(AuNP)のための、遠心分離ベースの精製プロセスを示すブロック図である。
図9の精製プロセス800は、工程802でAuNCを準備することによって開始される。AuNCは、カリフォルニア州レディングのTed Pella,Inc.から市販されている、クエン酸塩還元法によって合成されるAuNC溶液であってもよい。AuNPの平均粒径は、20.1nmである。波長520nmにおける光学密度は、1.04である。塩化金の濃度は、0.01%である。1ミリリットル(ml)当たりの粒子の数は、7.00×1011である。粒子のモル濃度は、1.16×10−9M(1.16nM)である。1ml当たりの金の質量は、56.6mgである。元のAuNC溶液で測定された伝導率(σ)は、327μS/cmである。工程804では、合計36mlのAuNC溶液を分割し、24本の1.5mlの遠心管に等量で移し、それを8000Gで20分間かけて遠心分離処理する。次に、遠心分離処理されたAuNC溶液の上清1.4mlを、各遠心管から除去する(工程806)。工程808では、各管は、伝導率約1μS/cmを有する脱イオン水1.4mlで再充填される。工程810では、すべての管をボルテックスミキサーに入れて、遠心分離処理されたAuNC溶液の沈殿物を脱イオン水と混合し、それによって、電解質レベルが低下したAuNCの再分散コロイド溶液を生成する。
次に、工程804から工程810への手順を2回反復する。最後に、24本の管中の溶液のすべてをまとめて収集し、キャップ付きプラスチック瓶に保存する。精製プロセス800の後、AuNC溶液は、2.5μS/cmの伝導率を有しており、この伝導率は、初期伝導率327μS/cmよりもはるかに低い。
図10は、本発明の例示的な実施形態に係る遠心分離ベースの精製プロセスの前および後の、図9に示されている市販の化学合成されたAuNCのUV−Vis吸光度(光学密度)のプロットである。示されている通り、精製後に520nmにおいて光学密度0.96が得られたが、これは、収率92.3%に相当する。1ml当たりの粒子の推定数は、6.46×1011である。粒子のモル濃度は、1.07×10−9(1.07nM)である。
図7に戻ると、工程706でPMNC懸濁液を保存容器に保存する。ここで、「保存」工程706は、図3に示されている通り、PLAL法によって作製されたPMNCの保存工程310に類似している。作製後約4カ月の保存期間にわたってPMNC懸濁液の伝導率を25μS/cm未満に維持するために、伝導率の増大率は、1週間当たり1.5μS/cm以下、好ましくは1週間当たり1μS/cm以下、より好ましくは1週間当たり0.5μS/cm以下である必要がある。
製造されたPMNC溶液と接触する保存容器の材料は、PLAL法によって作製されたPMNCの保存と同様に、好ましくは、ポリマーまたはプラスチック、例えばポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、修飾ポリエチレンテレフタレートグリコールおよびポリスチレンである。
PMNCの保存温度は、少なくとも40℃未満、好ましくは25℃未満、最も好ましくは10℃未満であるべきであり、例えば冷蔵庫で4℃に維持されるべきである。
PMNCの保存環境は、PMNCが日光に曝露されるのを回避するべきである。好ましくは、PMNCを入れた容器は、暗所に維持され、または容器は、PMNCを外部光から遮断する。
さらに保存容器は、得られたコロイド懸濁液の伝導率に対する溶存ガスの影響を最小限に抑えるために、不活性ガス、例えば窒素または希ガス、例えばヘリウム、ネオン、アルゴンまたはクリプトン雰囲気下でパージし、封止することができる。
工程708では、保存されたコロイド懸濁液の伝導率は、モニタされ、調整される。ここで「モニタリングおよび調整」工程708は、図3に示される通り、PLAL法によって調製されたPMNCのモニタリングおよび調整工程312と同じである。
工程710では、200を超える分子量を有する生体分子を用いるバイオコンジュゲーションを実施することができる。ここで「バイオコンジュゲーション」工程710は、図3に示される通り、PLAL法によって調製されたPMNCのバイオコンジュゲーション工程312と同じである。
以下に記載の通り、特に8500以上の分子量を有する生体分子を用いる安定な制御可能なバイオコンジュゲーションのために、作製されたPMNCの伝導率は、25μS/cm未満に維持されるべきである。
バイオコンジュゲーションの実施例および実験結果
バイオコンジュゲーションは、PMNPのコロイド懸濁液を、様々な化学官能基を含有する標的分子または生体分子と一緒に利用することによって実施され、その官能基の適切な特徴は、金ナノ粒子の表面に対する高親和性である。このような官能基の例として、チオール、アミンおよびホスフィンが挙げられる。PMNPを含有する溶液および標的分子を混合し、標的分子がPMNPと結合するのに十分長い時間、適切な環境に静置する。反応プロセスは、例えば米国特許出願公開第2012/0225021号に記載の、動的光散乱によって測定される、PMNPへの標的分子の結合が生じるときの粒径変化に従ってモニタすることができる。例えば、以下に説明する通り、室温に少なくとも24時間置くことによって、特定の分子が、AuNPの表面上にコンジュゲートされるのに十分長い時間を設けることができる。本発明の効果の少なくとも1つは、PMNPの表面が一部官能化されると、バイオコンジュゲーションプロセス中のコロイドが安定性になることに見出された。バイオコンジュゲーションの有用な一例は、以下PEG化と呼ばれるチオール化PEGとのコンジュゲーションである。PMNP、特にAuNPの形成、ならびにナノ粒子の表面修飾および/または官能化に関するいくつかの態様は、共同所有の米国特許出願公開第2012/0225021号(‘021)に開示されている。‘021に説明されている通り、金ナノ粒子の表面官能化に使用される分子の中でも、ポリエチレングリコール(PEG)、またはより具体的にはチオール化ポリエチレングリコール(SH−PEG)は、広く使用されている、より重要な化学種の1つである。本明細書の他所で説明されている通り、多くの他のリガンドを使用して、一般にアプタマーに連結したチオール官能基における結合を介して、アプタマーを含む本発明のコロイド金調製物を官能化することができる。PEGは、−CH−CH−O−の繰返し単位からなる直鎖ポリマーである。分子量に応じて、同じ分子構造が、ポリ(エチレンオキシド)またはポリオキシエチレンとも呼ばれる。このポリマーは、多くの有機溶媒および水への可溶性が非常に高い。PEG鎖は、AuNPの表面上にコンジュゲートした後、エントロピーを最大限にするために、コイルに折り畳まれ、または対応する分子量のタンパク質よりもはるかに大きい直径を有する、マッシュルームのような立体配置に屈曲する傾向が高い。PEGによる金ナノ粒子の表面修飾は、しばしば「PEG化(PEGlation)」と呼ばれ、本明細書および特許請求の範囲では、金ナノ粒子へのPEGの結合は、PEG化と呼ばれる。AuNP表面上のPEGの層は、相互作用する金ナノ粒子間に立体障害をもたらすことによって、水性環境における金ナノ粒子を安定にする一助になり得るので、ペグ化金ナノ粒子は、高い塩濃度で、はるかにより安定である。さらに、PEGのエチレングリコール官能基は、水分子と十分に相互作用することが知られており、したがって、PEG分子が金ナノ粒子の表面上にコンジュゲートする場合、PEG鎖間の空間は、水分子を引き付けて、金ナノ粒子の周囲に水分子の親水性層を作り出すことができる。これにより、「粘性」が低い不活性な親水性表面が得られ、それによって、ペグ化金ナノ粒子が、それらの対象となる標的化部位に到達する前に、強化された透過および保持機構に基づく受動的標的化、または標的化部分を活用し、それらの所期の機能を果たす能動的標的化を介して、全身血液循環からヒト細網内皮系(RES)によって認識され、排除されるのが防止される。またPEG鎖は、本発明に従って調製されたペグ化AuNPに、他の標的化機能またはシグナル伝達機能を付加するための反応性部位を提供する。これらの反応性部位は、検出機能およびシグナル伝達機能のための蛍光マーカーに結合するために使用することができる。現在、PEG化は、金ナノ粒子の安定性および可溶性を強化し、循環時間を延長し、非特異的結合を最小限に抑え、対象となる部位への特異的標的化を改善するための非常に有効な手段になっているので、本発明に従って調製されたAuNPのSH−PEGへのコンジュゲーションを、PMNPの表面修飾の一例として、以下に開示する。
しかし、コロイド懸濁液の不安定性を誘発することなくバイオコンジュゲーションを実施するためには、過剰量の標的分子が必要である。‘021に開示されているPEG化の場合、分子の総量が、ナノ粒子の利用可能な表面が分子によって占有される単層を形成するのに必要な量よりも少ないと、コロイド系が不安定になり、ナノ粒子の凝集もしくは沈殿、または容器の表面上へのナノ粒子の沈着が生じるおそれがある。AuNPおよびAgNPなどの、可視光波長領域において表面プラズモン共鳴を有するPMNPの場合、凝集、沈殿または沈着が理由となり、コロイド溶液の光学的吸光度の低下または比色変化によって、不安定性の誘発が観測され得る。以下、本発明に従ってPLAL法およびPCSNC法によって調製された2つのタイプのAuNCを使用して、効果を実証する。
安定性試験では、約20nmのナノ粒径ピークを有する2つのタイプのAuNCであるAuNC−PLALおよびAuNC−PCSNCを、本発明に従って、それぞれPLAL法およびPCSNC法によって調製した。AuNC−PLALおよびAuNC−PCSNCの初期伝導率は、それぞれ2.33μS/cmおよび2.54μS/cmであった。UV−Visスペクトルのサイズピーク吸光度は、AuNC−PLALでは520nmにおいて1.00であり、AuNC−PCSNCでは520nmにおいて0.96であった。AuNC−PLALおよびAuNC−PCSNCにおける推定モル粒子濃度は、それぞれ1.11×10−9(1.11nM)および1.07×10−9(1.07nM)であった。PMNPのバイオコンジュゲーションの様々な実施形態では、コロイド懸濁液中のPMNPの濃度は、0.01nM超または0.1nM超から100nMまでであってもよく、この値は、コロイド安定性に関する最大値であり、コロイド系においてPMNPが近接していることを示す。
バイオコンジュゲーションプロセスに対する伝導率の著しく大きい影響を示す目的で、2種のAuNCのそれぞれを6つの試料に分割し、脱イオン水および2.5mMのNaCl溶液の混合物を添加することによって、6つの試料の伝導率を調整して、6つの異なる値を得た。ここで脱イオン水は、1μS/cmの伝導率を有し、NaCl溶液は、320μS/cmの伝導率を有する。
PEG化プロセスの前の最終的な伝導率を、表3に列挙する。
Figure 0006773818
先に列挙した24の試料のそれぞれを、0(対照)、20nM、40nMおよび60nMの異なるチオール化PEG濃度について、体積0.9mlの4つの試料にさらに分割した。
生体分子として、アラバマ州アラブのLaysan Bio製の、分子量(MW)8500および20000を有する2つのタイプのチオール化PEG(SH−PEG)を、さらなる精製なしに使用し、異なる濃度のPEGを含むチオール化PEG溶液0.1mlを、AuNC試料に添加することによってPEG化を実施し、対照の0、20nM、40nMおよび60nMのPEG濃度を有する総体積1mlの混合溶液を得た。PMNPのバイオコンジュゲーションの様々な実施形態では、官能性リガンド分子は、200超または8500超から約1,000,000までの分子量を有することができる。1,000,000の値は、抗体がPMNPに付着することを表す。
PEG濃度0(対照)、20nM、40nMおよび60nMを有するAuNC−PLAL試料の混合溶液における、チオール化PEG分子の数とAuNPの数の最終的な比は、それぞれ0、20:1、40:1および60:1であった。PEG濃度0(対照)、20nM、40nMおよび60nMを有するAuNC−PCSNC試料では、最終的な比は、それぞれ0、19:1、39:1および58:1であった。
PEG化では、コロイド不安定性の痕跡は、PEG分子の数とAuNPの数の比が100未満:1になる場合に最も顕著になるので、0〜60nMの範囲のPEG濃度を選択した。
混合した後、各溶液を、およそ25℃の室温で少なくとも24時間静置して、PEG分子がAu−チオール結合を介してAuNPの表面上にコンジュゲートするのに十分長い時間を設けた後、PEG化の影響下でのAuナノ粒子のコロイド安定性の特徴を決定した。
PEG化の影響下でのコロイド安定性を、AuNPの約520nmの非常に強い局在化表面プラズモン共鳴(SPR)が存在することにより適切な技術であるとみなされているUV−VIS吸光分光を測定することによって評価した。PEG化の影響下でのAuNPの凝集、沈殿または沈着は、約520nmにおける吸光度の低下または約650nmにおける吸光度の増大に反映される。
図11は、本発明の例示的な実施形態に係る異なる濃度のPEG MW20000を含むAuNC−PCSNCのUV−Visスペクトルのプロットである。示されている通り、異なる濃度のPEG MW20000を含むAuNC−PCSNCについて、試料番号6のUV−Visスペクトルは、誘発されたコロイド不安定性の痕跡がスペクトルにおいてどのように認識され得るかを例示するために示される。
PEG MW20000分子を添加すると、650nmにおける吸光度が増大すると共に、表面プラズモン共鳴(SPR)の波長約520nmにおける吸光度が低下する。AuNCでは、約650nmにおける吸光度の増大は、コロイド不安定性の痕跡の1つであるAuNPの凝集に起因する。650nmにおける吸光度とSPRにおける吸光度の比が0.2に近い場合、誘発された不安定性は、コロイド溶液の変色によって視覚的に認識され得る。根本的な操作機構を理解するのに、本発明の実施形態を実施する必要はないが、コロイド系の安定化機構が、ナノ粒子上の表面電荷に起因して生じる電気的二重層の反発に基づくものから、PEGなどのリガンド分子とコンジュゲートすることによって達成される、立体反発に基づくものに変わる場合に、コロイド不安定性が時々誘発されることが見出された。反発機構の移行中、2つの異なる安定化機構のいずれもコロイド安定性を維持するのに十分でない、不安定領域が存在すると思われる。例えば、約15〜20nmのサイズを有するAuNPによるPEG化では、この不安定領域は、PEG分子の数とAuNPの数の比が、100:1未満である場合に見出される。
コロイド不安定性は、状況に応じて容器表面上にナノ粒子が沈殿し、またはナノ粒子が沈着して、コロイド溶液の吸光度が低減することと認識され得る。コロイド系の安定性は、伝導率の範囲に関連する。伝導率の範囲を定量的に特定するAuNCの安定性には、先の、誘発されたコロイド不安定性、すなわちナノ粒子の凝集、ナノ粒子の沈殿、および容器表面上へのナノ粒子の沈着の3つの痕跡が考慮に入れられる。PEG濃度および伝導率と相関する、650nmにおける吸光度とSPRにおける吸光度の比を、2つのタイプのAuNCと2種類のPEG分子のすべての組合せについて図12〜15にまとめる。図12および13は、それぞれPEG MW8500およびPEG MW20000を含むAuNC−PLALに関するものである。図14および15は、それぞれPEG MW8500およびPEG MW20000を含むAuNC−PCSNCに関するものである。
図12は、本発明の例示的な実施形態に従って、PLAL法によって生成され、mPEG−SH MW8500分子とコンジュゲートしたAuNCの組合せに関する実験結果を示すプロットである。図13は、本発明の例示的な実施形態に従って、PLAL法によって生成され、mPEG−SH MW20000分子とコンジュゲートしたAuNCの組合せに関する実験結果を示すプロットである。図14は、本発明の例示的な実施形態に従って、化学合成法によって生成され、mPEG−SH MW8500分子とコンジュゲートしたAuNCの組合せに関する実験結果を示すプロットである。図15は、本発明の例示的な実施形態に従って、化学合成法によって生成され、mPEG−SH MW20000分子とコンジュゲートしたAuNCの組合せに関する実験結果を示すプロットである。
Auナノコロイドでは、安定性の判断基準には、以下の2つの条件の両方が満たされることが必要である。
i)約15〜20nmサイズのAuNPについて、典型的に約520nmである表面プラズモン共鳴(SPR)の波長における光学的吸光度の変化が、対照吸光度に対してプラス/マイナス15%以内にあること。
ii)(650nmにおける吸光度)/(SPRにおける吸光度)の比<0.2であること。
バイオコンジュゲーションに関して調査したすべての試料について、第1の要件i)が満たされ、それによって、コロイド安定性の範囲が第2の要件ii)によって決定される。図12〜図15から、安定性の第2の要件が、PEG MW8500に関するすべての測定点において満たされることが分かる。あらゆる場合、650nmにおける吸光度とSPRにおける吸光度の比は、0.2未満である。PEG20000を使用する試料について、PEG MW20000では約25μS/cmの閾値伝導率であり、この値未満では、650nmにおける吸光度とSPRにおける吸光度の比は、AuNC−PLALまたはAuNC−PCSNCに関わらず、すなわちAuNCの生成方法に関わらず、0.2未満に抑えられる。また、AuNCが低い伝導率を有するほど、バイオコンジュゲーションプロセス中に安定であることが分かる。
実験データから得た先の結果は、単に実証する目的で示されているが、バイオコンジュゲーションは、懸濁液の総イオン濃度に対して非常に感度が高く、コロイド溶液の伝導率をモニタし、調整することによって総イオン濃度を最適化することが有益であることが見出される。例えば、PEGの場合、生体分子が8500を超える分子量を有するならば、より低い伝導率によって安定なバイオコンジュゲーションが得られることが予期される。
本明細書に記載のデータでは、MW20000分子のチオール化PEGまたはMW8500分子のチオール化PEGを使用したが、これらは単に例示目的で選択したものである。本発明は、チオール化PEG分子と併用することに限定されない。本発明は、バイオコンジュゲーションに安定なコロイド金ナノ粒子を生成するので、チオール、ジスルフィド、ホスフィン、アミン、アジド、メチルまたはカルボキシル基などの、AuNP表面に結合できる基を有するどんなリガンドを使用することもできる。またこれによって、アプタマーおよび他の希少なまたは高価なリガンドの結合に使用するのに非常に魅力的な、本発明に従って調製されるコロイド金ナノ粒子が生成される。アプタマーは、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)または当技術分野で公知のアミノ酸配列であり得る。また、本発明のコロイド金は、抗体、酵素、タンパク質、ペプチド、および希少なまたは高価な他のレポーターまたはリガンド材料に結合するために使用することができる。リガンドは、AuNPにコンジュゲートすることができる基を有する、またはその基に結合している任意の蛍光性マーカーを含むことができる。さらに、異なる官能基および1つまたは複数の腕および200〜1,000,000の範囲の分子量を有する、モノ官能性、ホモ官能性、およびヘテロ官能性PEGを含むあらゆる種類のPEG分子を、表面修飾反応に使用することもできる。ヘテロ官能性PEGを使用する場合、官能基、例えばカルボキシル基COOHおよびアミン基NH2を、他のリガンド上の他の官能基と結合するために使用することができた。本発明では、AuNPおよび他のPMNPに付加される他の官能基について、広範な可能性が開かれる。使用できるPEG以外のポリマーの例として、炭化水素、ポリアクリルアミド、ポリデシルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、デンドリマー分子、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、および他の有機鎖分子が挙げられる。先に列挙したポリマーの少なくとも1つを含むコポリマーも、範囲に含まれる。バイオコンジュゲーション中の安定性に関して、25μS/cm未満などのより低い伝導率が有益であるが、いくつかのバイオコンジュゲーション反応では、異なる理由により、25μS/cmを超えるより高い伝導率が必要になる場合がある。例えば、S.J.Hurstら、「Maximizing DNA Loading on a Range of Gold Nanoparticle Sizes」、Anal.Chem.2006年、78、8313〜8318頁は、表面へのDNA負荷を強化するNaClの能力を利用することにより、AuNCにおける塩濃度を増大して、AuNPへのDNA負荷を最大限することを提示した。PMNCの好ましい伝導率は、25μS/cm未満であるにも関わらず、本発明の特定の実施形態では、PMNCとDNAなどの生体分子の混合前または混合中に、25μS/cmを超える伝導率の増大は、バイオコンジュゲーション反応の一部として有益となり得る。バイオコンジュゲーション中に安定性が維持される限り、特に、例えば最小量の生体分子とコンジュゲートすることによって達成され得る、コロイドが安定になるのに十分な安定化機構をナノ粒子が得た場合、伝導率は可能な限り高くてもよい。
本発明の別の効果は、伝導率が十分に制御され、その増大が抑制されることにより、コロイドが長期間安定であるということである。初期電解質濃度は、調製したときに非常に低いとしても、関連するイオンが容器の表面から生じ続けるので、コロイド系は、保存中に経時的に不安定になる。図4に示されている通り、外部から導入された電解質の量の時間発展は、伝導率をモニタすることによって推定することができ、したがって、予め決定することができる。
本発明の特定の態様、利点および新規な特徴は、本発明を概説する目的で本明細書に記載されている。しかし、このような利点は、必ずしもすべてが任意の特定の実施形態に従って達成され得るわけではないと理解される。したがって本発明は、本明細書に教示されまたは示唆され得る通り、1つまたは複数の利点を達成する方式で、必ずしも他の利点を達成することなく具現化または実施され得る。
本明細書では、特定の実施形態のみを具体的に記載したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく数々の改変をそれらの実施形態に加え得ることが明らかになろう。さらに、記載されている実施形態は、互いに排他的ではなく、所望の設計目的を達成するために、例示的な一実施形態に関連して記載された要素、成分、材料または工程を、適切な方法で他の実施形態と組み合わせてもよいし、または他の実施形態から排除してもよい。
用語「または」は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味するものとする。すなわち、別段特定されない限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを用いる」とは、自然に存在するあらゆるすべての順序のいずれかを意味するものとする。すなわち、XがAを用いる場合、XがBを用いる場合、またはXがAおよびBの両方を用いる場合、「XはAまたはBを用いる」は、これらの場合のいずれかを満たす。さらに、本願および添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」および「an」は、別段特定されない限り、または文脈から単数形を対象とすることが明らかでない限り、一般に「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。
さらに頭字語は、単に、本明細書および特許請求の範囲をさらに読み易くするために使用される。これらの頭字語は、使用されている用語の普遍性を減じるものではなく、特許請求の範囲を本明細書に記載の実施形態に限定すると解釈されるべきではないことに留意されたい。
記載されている実施形態の性質を説明するために記載し、例示された部分の詳細、材料および配置に、以下の特許請求の範囲に記載の範囲から逸脱することなく様々な変更を加え得ることを、当業者はさらに理解されよう。
さらなる実施例および実施形態
本発明は、以下の実施例の1つまたは複数に関し得る。
1.電解質を含む液体中、0.01nMを超える濃度を有する貴金属ナノ粒子
を含み、
25μS/cm以下の電気伝導率を有する、コロイド懸濁液。
2.前記コロイド懸濁液の電気伝導率が、1.5μS/cmを超え、15μS/cm未満である、実施例1のコロイド懸濁液。
3.前記コロイド懸濁液が保存容器に封入されており、前記コロイド懸濁液と接触している前記保存容器の材料が、ポリマーまたはプラスチックである、実施例1のコロイド懸濁液。
4.前記ポリマーまたは前記プラスチックが、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、修飾ポリエチレンテレフタレートグリコール、およびポリスチレンである、実施例3のコロイド懸濁液。
5.前記保存容器内の前記コロイド懸濁液の前記電気伝導率の増大が、1週間に1.5μS/cm未満である、実施例3のコロイド懸濁液。
6.前記貴金属が、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、および前記貴金属の少なくとも1つを含む合金からなる群から選択される、実施例1のコロイド懸濁液。
7.前記貴金属ナノ粒子が、約1〜1000nmの範囲の粒径を有する、実施例1のコロイド懸濁液。
8.前記電解質が、水および少なくとも1種の塩を含む、実施例1のコロイド懸濁液。
9.前記塩が、周期表の1族元素、周期表の2族元素、周期表の15族元素、周期表の16族元素、および周期表の17族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む、実施例8のコロイド懸濁液。
10.前記貴金属ナノ粒子の濃度が、0.1nMを超える、実施例1のコロイド懸濁液。
11.電気伝導率を有する液体を準備する工程と、
前記液体の前記電気伝導率を所望の範囲内に調整する工程と、
ナノ粒子を容器内に準備する工程と、
前記ナノ粒子を、調整した前記液体と容器内で合わせて、少なくとも0.01nMのナノ粒子濃度を有するコロイド溶液を形成する工程と
を含む、コロイド溶液を生成する方法。
12.前記ナノ粒子を準備する工程が、
調整した前記液体を、内部に標的を入れた容器に移す工程と、
標的にレーザー光パルスを照射して、ナノ粒子を形成する工程と
を含む、実施例11の方法。
13.前記液体の前記電気伝導率を調整する工程が、
前記電気伝導率が前記所望の範囲未満である場合には、電解質溶液を前記液体に添加する工程と、
前記電気伝導率が前記所望の範囲を超える場合には、水または高度に希釈された電解質を前記液体に添加する工程と
を含む、実施例11の方法。
14.前記所望の範囲が、およそ1μS/cm〜およそ25μS/cmである、実施例11の方法。
15.前記所望の範囲が、1μS/cm〜10μS/cmである、実施例11の方法。
16.前記方法の工程が、連続プロセスである、実施例11の方法。
17.前記方法の工程が、バッチプロセスである、実施例11の方法。
18.コロイド懸濁液における貴金属ナノ粒子のサイズ分布を改良する工程をさらに含む、実施例11の方法。
19.前記サイズ分布を改良する工程が、遠心分離によって実施される、実施例18の方法。
20.コロイド懸濁液を保存容器内に保存する工程をさらに含む、実施例11の方法。
21.保存された前記コロイド懸濁液の電気伝導率をモニタし、必要に応じて、電気伝導率が所望の範囲未満である場合には、電解質溶液を前記液体に添加し、前記電気伝導率が前記所望の範囲を超える場合には、水または高度に希釈された電解質を前記液体に添加する工程をさらに含む、実施例20の方法。
22.前記標的が、バルク貴金属標的である、実施例12の方法。
23.前記バルク貴金属標的の材料の少なくとも一部を、前記液体と接触させる、実施例22の方法。
24.前記標的が、ワイヤ形状の貴金属標的である、実施例12の方法。
25.前記ワイヤ形状の貴金属標的の材料の少なくとも一部を、前記液体と接触させる、実施例24の方法。
26.貴金属ナノ粒子が、約1〜1000nmの範囲の粒径を有する、実施例12の方法。
27.前記レーザー光パルスが、1kHz〜100MHzの範囲の繰返し率を有する、実施例12の方法。
28.前記レーザー光パルスが、10nJ〜2mJの範囲のパルスエネルギーを有する、実施例12の方法。
29.前記レーザー光パルスが、紫外、可視または近赤外波長の波長中心を有する、実施例12の方法。
30.前記レーザー光パルスが、10fs〜100nsの範囲のパルス持続時間を有する、実施例12の方法。
31.貴金属ナノ粒子を準備する工程と、
前記貴金属ナノ粒子を液体と合わせて、コロイド懸濁液を形成する工程と、
前記コロイド懸濁液を精製して、コロイド溶液の総イオン濃度を低減する工程と、
前記コロイド懸濁液の電気伝導率をモニタする工程と、
必要に応じて、前記コロイド懸濁液の前記電気伝導率を、所望の範囲内に調整する工程と
を含む、コロイド懸濁液を生成する方法。
32.前記コロイド懸濁液を精製する工程が、
前記コロイド懸濁液を遠心分離処理する工程と、
遠心分離処理された前記コロイド懸濁液の上清を除去して、電解質イオンの総量を低減する工程と、
高度に希釈された電解質溶液を、遠心分離処理された前記コロイド懸濁液の沈殿物に添加する工程と、
遠心分離処理されたコロイド前記懸濁液の沈殿物を、高度に希釈された電解質溶液と混合する工程と
を含む、実施例31の方法。
33.混合する工程が、遠心分離処理された前記コロイド懸濁液を、高度に希釈された前記電解質溶液と共にボルテックスする工程を含む、実施例32の方法。
34.前記コロイド懸濁液を保存容器に保存する工程をさらに含む、実施例31の方法。
35.保存された前記コロイド懸濁液の電気伝導率をモニタし、必要に応じて、電気伝導率が所望の範囲未満である場合には、電解質溶液を液体に添加し、前記電気伝導率が前記所望の範囲を超える場合には、水または高度に希釈された電解質を前記液体に添加する工程をさらに含む、実施例34の方法。
36.前記コロイド懸濁液を使用してバイオコンジュゲーションする工程をさらに含む、実施例31の方法。
37.前記液体の前記電気伝導率を調整する工程が、
前記電気伝導率が所望の範囲未満である場合には、電解質溶液を前記液体に添加する工程と、
前記電気伝導率が前記所望の範囲を超える場合には、高度に希釈された電解質溶液または水を前記液体に添加する工程と
を含む、実施例31の方法。
38.前記所望の範囲が、およそ1μS/cm〜およそ25μS/cmである、実施例31の方法。
39.前記所望の範囲が、1μS/cm〜10μS/cmである、実施例31の方法。
40.前記貴金属ナノ粒子が、約1〜1000nmの範囲の粒径を有する、実施例34の方法。
41.電気伝導率を有する液体の供給源と、
前記供給源から前記液体を受け取り、前記液体の電気伝導率を調整するように構成された、電気伝導率調整システムと、
入口で前記電気伝導率調整システムから前記電気伝導率が調整された前記液体を受け取るように構成され、出口でコロイド懸濁液を生成するように構成された容器と、
入口に近接して前記容器内に置かれた電気伝導率モニタリングデバイスと
を含む装置であって、
前記電気伝導率調整システムが、前記電気伝導率モニタリングデバイスに応答して、前記液体の前記電気伝導率を所望の範囲内に維持するように構成されている、装置。
42.ナノ粒子の供給源をさらに含む装置であって、
前記容器が、ナノ粒子を受け取るように構成されており、前記ナノ粒子が、前記液体と合わさるとコロイド懸濁液を形成する、実施例41の装置。
43.貴金属標的を受け取るように構成された、前記容器内に配置されたホルダーと、
標的に向けられたレーザー光パルスを生じるように構成されたレーザーシステムと
をさらに含む装置であって、
前記レーザー光パルスが、標的に当たるとナノ粒子を生成し、前記ナノ粒子が、前記液体と合わさるとコロイド懸濁液を形成する、実施例41の装置。
44.前記貴金属標的が、平坦表面を有するバルク貴金属標的である、実施例43のシステム。
45.前記バルク貴金属標的および前記ホルダーの両方が、前記液体の表面下に沈むように構成されている、実施例44のシステム。
46.前記電気伝導率調整システムが、
前記液体の供給源と、前記電気伝導率調整システムの間に設置された、追加の電気伝導率モニタリングデバイスを含み、
前記追加の電気伝導率モニタリングデバイスにさらに応答する、実施例41の装置。
47.前記容器が、並進運動を生じる移動ステージに取り付けられている、実施例41のシステム。
48.前記容器内に配置された貴金属ワイヤと、
前記貴金属ワイヤに向けられたレーザー光パルスを生じるように構成されたレーザーシステムと
をさらに含むシステムであって、
前記貴金属ワイヤのヘッドが、前記レーザー光パルスの焦点体積内に維持され、
前記レーザー光パルスが、前記貴金属ワイヤに当たるとナノ粒子を生成し、前記ナノ粒子が、前記液体と合わさるとコロイド懸濁液を形成する、実施例41のシステム。
49.前記レーザー光パルスの焦点を合わせるように構成されたレンズをさらに含む、実施例43または48のシステム。
50.前記レンズが、f−シータレンズである、実施例49のシステム。
51.前記レーザー光パルスを前記貴金属標的上に誘導するように構成されたガイド機構をさらに含む、実施例43または48のシステム。
52.前記ガイド機構が、10Hz以上の振動周波数、および1mrad以上の角度振幅を有し、0.01m/s以上の標的表面上のレーザービーム走査速度をもたらすように構成された振動鏡である、実施例51のシステム。
53.前記振動鏡が、圧電駆動型鏡である、実施例52のシステム。
54.前記振動鏡が、検流計鏡である、実施例52のシステム。
55.前記電気伝導率モニタリングデバイスに近接して、前記容器内に配置された撹拌子をさらに含む、実施例43または48のシステム。
56.発生した前記レーザー光パルスが、1kHz〜100MHzの範囲の繰返し率を有する、実施例43または48のシステム。
57.発生した前記レーザー光パルスが、10nJ〜2mJの範囲のパルスエネルギーを有する、実施例43または48のシステム。
58.発生した前記レーザー光パルスが、紫外、可視または近赤外波長の波長中心を有する、実施例43または48のシステム。
59.発生した前記レーザー光パルスが、10fs〜100nsの範囲のパルス持続時間を有する、実施例43または48のシステム。
60.前記貴金属ナノ粒子が、約1〜1000nmの範囲の粒径を有する、実施例43または48のシステム。
61.前記液体が、電解質を含む、実施例43または48のシステム。
62.前記電解質が、少なくとも1種の塩を含む、実施例61のシステム。
63.前記塩が、周期表の1族元素、周期表の2族元素、周期表の15族元素、周期表の16族元素、および周期表の17族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む、実施例62のシステム。

Claims (8)

  1. 電解質を含む懸濁液中、0.01nMを超える粒子のモル濃度を有する貴金属ナノ粒子を含む
    コロイド懸濁液であって、
    前記貴金属ナノ粒子が、単一のピークを有する1〜1000nmの範囲のサイズ分布を有し、
    前記懸濁液が、少なくとも1つの添加された既定の電解質以外に、ナノ粒子間の立体反発の原因となる該ナノ粒子の分散剤、安定剤、及び界面活性剤のいずれも含まず、
    前記添加された既定の電解質が、周期表の1族のアルカリ金属及び周期表の2族のアルカリ土類金属からなる群から選択された少なくとも1種の元素から形成されるチオンを含み
    前記懸濁液の電気伝導率は、前記既定の電解質の添加によって安定化されており、
    前記定の電解質の添加量は、前記コロイド懸濁液が、初期において2.0μS/cmを超え、且つ25μS/cm以下の範囲の初期電気伝導率を有するように選択され、
    前記コロイド懸濁液の前記電気伝導率の経年による増大が1週間に1.5μS/cm未満であり、
    前記コロイド懸濁液が保存容器に封入されており、
    前記コロイド懸濁液と接触している前記保存容器の材料が、
    ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、修飾ポリエチレンテレフタレートグリコールから構成される群の中から選択されたポリマーまたはプラスチックである、
    コロイド懸濁液。
  2. 前記コロイド懸濁液の前記初期電気伝導率が、2.0μS/cmを超え、且つ15μS/cm未満である、請求項1に記載のコロイド懸濁液。
  3. 前記貴金属が、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、および前記貴金属の少なくとも1つを含む合金からなる群から選択される、請求項1に記載のコロイド懸濁液。
  4. 前記貴金属ナノ粒子が、10〜100nmの範囲の粒径を有する、請求項1に記載のコロイド懸濁液。
  5. 前記電解質が、水および少なくとも1種の塩を含む、請求項1に記載のコロイド懸濁液。
  6. 前記貴金属ナノ粒子の濃度が、0.1nMを超える、請求項1に記載のコロイド懸濁液。
  7. 前記貴金属が、周期表の11族元素である、請求項1に記載のコロイド懸濁液。
  8. 液体パルスレーザーアブレーション(PLAL)法を用いて請求項1に記載のコロイド懸濁液を生産する方法であって、
    高い繰返し率のレーザーパルスを用いて液体中に前記貴金属ナノ粒子作製する工程
    を含む
    方法
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