以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る電子部品の収容構造体を備えた駆動システムの回路図である。図1に示す駆動システムは、発電用モータ1の発電電力によって駆動用モータ2を駆動させるシステムである。駆動システムは、電気自動車又はハイブリッド車両などの電動車両に搭載され、車両駆動用のシステムとして用いられる。駆動システムは、電動車両に限らず、他の駆動装置に用いられてもよい。なお、以下の説明では、駆動システムを電動車両に搭載した例を説明する。
駆動システムは、発電用モータ1と、駆動用モータ2と、電力変換装置10とを備えている。発電用モータ1は、エンジン等の駆動源によりロータが回転することによって発電する。発電電力は電力変換装置10に供給される。駆動用モータ2は、車両の車軸に連結されており、電力変換装置10から供給される電力により駆動する。電力変換装置10は、発電用モータで発電した交流電力を直流電力に変換し、変換された電力をバッテリ(図示しない)に出力する。また、電力変換装置10は、バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換された電力を駆動用モータ2に出力する。
電力変換装置10は、電流センサ11と、インバータ回路12と、コンデンサ13と、インバータ回路14と、電流センサ15と、給電母線16、17とを備えている。
電流センサ11は、発電用モータ1とインバータ回路12との間で、U相の配線及びV相の配線に接続されている。電流センサ11は、発電用モータ1のU、V相の電流を検出し、検出電流をコントローラ(図示しない)に出力する。W相の電流は、U相及びV相の検出電流を用いた演算によって検出することができる。
インバータ回路12は、発電用モータ1から出力される交流電力を直流電力に変換する。インバータ回路12の交流側には発電用モータ1が電気的に接続されており、インバータ回路12の直流側にはコンデンサ13が接続されている。インバータ回路12は、複数のスイッチング素子と複数のダイオードを有している。スイッチング素子には、IGBT又はMOSFET等のトランジスタが用いられる。ダイオードは還流用のダイオードである。スイッチング素子とダイオードは、互いに電流の導通方向を逆向きにしつつ、並列に接続されている。スイッチング素子とダイオードとの並列回路を複数直列に接続した回路が、U、V、W相の各アーム回路となる。複数のアーム回路はPN給電母線間に並列に接続されている。U、V、W相のアーム回路は、半導体モジュール12а、12b、12cとしてそれぞれモジュール化されている。インバータ回路12の直流側から出力される電力はコンデンサ13を介して車載バッテリ(図示しない)に供給され、車載バッテリが充電される。
コンデンサ13はインバータ回路12の直流側の出力電圧を平滑する。また、コンデンサ13はインバータ回路14の直流側の入力電圧を平滑する。コンデンサ13は、インバータ回路12の直流側の端子と、インバータ回路14の直流側の端子との間に接続されている。コンデンサ13は、PN給電母線間に接続されている。
インバータ回路14は、車載バッテリから出力される直流電力を交流電力に変換する。インバータ回路12の交流側には駆動用モータ2が電気的に接続されており、インバータ回路14の直流側にはコンデンサ13が接続されている。インバータ回路14は、複数のスイッチング素子と複数のダイオードを有している。スイッチング素子には、IGBT又はMOSFET等のトランジスタが用いられる。ダイオードは還流用のダイオードである。インバータ回路14は、インバータ回路12と同様のブリッジ回路で構成されている。U、V、W相の各相のアーム回路はPN給電母線間に並列接続されている。U、V、W相のアーム回路は、半導体モジュール14а、14b、14cとしてそれぞれモジュール化されている。インバータ回路14は、駆動用モータ2の回生動作によって、駆動用モータ2の回生電力(交流電力)を直流に変換して、車載バッテリに供給され、車載バッテリが駆動用モータの回生電力によって充電される。
電流センサ15は、駆動用モータ2の入出力電流を検出するためのセンサであって、駆動用モータ2とインバータ回路14との間で、U相の配線及びV相の配線に接続されている。
給電母線16はP極の配線であり、給電母線17はN極の配線である。給電母線16、17は、金属製の板を折り曲げたバスバーにより構成されている。
次に、図2及び図3を用いて、電力変換装置10の構成を説明する。図2は電力変換装置10の斜視図を示し、図3は上蓋のない状態の電力変換装置10の斜視図を示す。
電力変換装置10は、インバータ回路12等を収容するための筐体19を備えている。筐体19は、蓋体19аと本体部19bを有している。本体部19bの形状は蓋の無い箱型である。蓋体19аは、本体部19bの上面を覆うための蓋である。蓋体19аは、本体部19bの上面に沿うような板で形成されており、板部分の周囲には段差が形成されており、段差の部分にはボルトの通し孔が形成されている。
本体部19bの内側の底面には、基板等をボルトで固定するための孔が設けられている。また本体部19bは、収容部品を保護するための側壁が設けられている。本体部19bの側壁の上部(Z軸の正方向の端部)には、蓋体19аをボルトで固定するための孔が設けられている。また、本体部19bの側壁の上部(側壁の天面に相当)には、複数の孔81а、81b(締結部)が設けられている。孔81а、81bは、図示しないボルトの通孔であって、電力変換装置10を車体に固定するための孔である。孔81а及び孔81bは、z軸方向からみたときに、本体部の側壁に沿うように、一列に配置されている。電力変換装置10は、孔81а、81bを通るボルトによって、車体に締結されている。また、孔81а、81bが形成されている、本体部19bの側壁の上部にはフランジが形成されている。
本体部19bの底面には、支持部19cが設けられている。支持部19cは、本体部19bと一体になっている。支持部19cは、足のように、車体内で電力変換装置10を支えている。支持部19cには、孔81cが設けられている。孔81cは、ボルト(図示しない)の通孔であって、電力変換装置10を車体に固定するための孔である。電力変換装置10は、孔81cを通したボルトによって、車体に締結されている。孔81cは、孔81а、81を有する、本体部19bの側面とは反対側の側面に設けられている。孔81cは、筐体19に収容される電子部品を介して、孔81а、81bと対向する位置に設けられている。そして、電力変換装置10は、孔81а、孔81b、及び孔81cの位置を三点とした三点止めで車体に固定されている。
筐体19は、内部に電流センサ11、15、インバータ回路12、14、及び給電母線16、17を収容している。インバータ回路12は基板21上に実装されており、インバータ回路14は基板22上に実装されている。半導体モジュール12а、12b、12cは、基板21上に列状に並んでいる。同様に、半導体モジュール14а、14b、14cは、基板22上に列状に並んでいる。また、半導体モジュール12а、12b、12cの各列はy軸に沿う列であり、半導体モジュール14а、14b、14cの各列はy軸に沿う列である。基板21及び基板21は、バスバー構造体30を配置するために、y軸方向に対して間隔をあけつつ、本体部19bの底面と平行な面(xy面)上に配置されている。また、基板21及び基板22はx軸方向を長手方向とするように配置されている。
基板21の下面(半導体モジュール12а、12b、12cの実装面に対して反対側の面)には、冷却器が設けられている。また、基板22の下面(半導体モジュール14а、14b、14cの実装面に対して反対側の面)には、冷却器が設けられている。
基板21と基板22との間には、バスバー構造体30が配置されている。バスバー構造体30に沿う面(xz面)が、筐体19の内部空間を区切っている。区切られた空間のうち、一方の空間に基板21が配置され、他方の空間に基板22が配置される。すなわち、バスバーは、基板21と基板22との間の境界面になっている。
半導体モジュール12а〜12cの各入出力端子(高電位側のDC端子及び低電位側のDC端子)は、基板21の一辺に沿って列状に並んでいる。同様に、半導体モジュール14а〜14cの各入出力端子(高電位側のDC端子及び低電位側のDC端子)は、基板22の一辺に沿って列状に並んでいる。そして、半導体モジュール12а〜12cの入出力端子と半導体モジュール14а〜14cの入出力端子が、バスバー構造体30を介して互いに向き合うように、基板21、22が配置されている。半導体モジュール12а〜12c、14а〜14cの入出力端子はボルトによりバスバー構造体30の端子に締結されている。
電力変換装置10の底面の一部には、コンデンサ13等の外部接続部品を収容するための空間が設けられている。電力変換装置10の内部は、外部接続部品がバスバー構造体30と電気的に接続するような構造になっている。
次に、図4〜図9を用いて、電子部品の収容構造を説明する。図4は電力変換装置10の平面図である。図5は上蓋のない状態の電力変換装置10の平面図である。図6は、図5に示す電力変換装置10から基板21、22、バスバー構造体30、及びバスバーユニット40を除いた電力変換装置10の平面図である。図7は、図6に示す電力変換装置10から、冷却板を除いた電力変換装置10の平面図である。図8は、図7のVIII線に沿う断面図である。図9は、図7のIX線に沿う断面図である。
バスバーユニット40は、半導体モジュール12а〜12cと発電用モータ1との間、及び、半導体モジュール14а〜14cと駆動用モータとの間を接続する。図5に示すように、バスバーユニット40は、本体部19bの内壁に沿うように配置されている。本体部19bの側壁には孔が設けられており、バスバーの出力端子が孔から外部に出るように、バスバーユニット40が配置されている。
バスバーユニット40は、バスバー、保持部材47а、47b、端子台48、電流センサ11а、11b、及び電流センサ15а、15bを備えている。
バスバーは、半導体モジュール12а〜12cと発電用モータ1との間を接続する配線、及び、半導体モジュール14а〜14cと駆動用モータ2との間を接続する配線に相当する。バスバーは、本体部19аの側壁に沿って延在する金属製の板状の部材である。バスバーは、半導体モジュール12а〜12cの各端子及び半導体モジュール14а〜14cの各端子にそれぞれ接続されている。また、バスバーは、半導体モジュール12а〜12cの三相及び半導体モジュール14а〜14cの三相に対応しており、三相のうち二相のバスバーは、電流センサ11а、11b、15а、15bを貫通している。バスバーは、筐体内部のレイアウトに応じて屈曲している。
保持部材47а、47bは樹脂等により形成されている。保持部材47аは本体部19bの内壁に近い位置で、バスバーを保持している。保持部材47bは本体部19bの内壁に近い位置で、を保持している。
端子台48は樹脂等により形成されている。端子台48はバスバーの出力端子を支えている。端子台48には、電流センサ11а、11b、15а、15bを固定するための孔が設けられている。ボルトが電流センサ11、15を端子台48に締結している。端子台48は、本体部19bの孔が空けられた側壁の近くに配置されている。
バスバーの出力端子には、図示しない複数の強電用のコネクタが接続されている。コネクタは、図5の矢印Aで示す方向に接続される。複数のコネクタは、発電用モータ1に接続されるコネクタと、駆動用モータ2に接続されるコネクタである。各コネクタは、三相に対応する強電コネクタ端子をそれぞれ有している。
基板21、22の主面(半導体モジュール12а〜12c、14а〜14cを実装する面)は矩形状に形成されている。z軸方向(筐体19の底面における法線方向)からみたときに、基板21、22の長手方向が筐体19の側壁に沿う方向になるように、基板21、22が配置されている。長手方向に沿う、筐体19の側壁は、筐体19の底面を囲う複数の側壁のうち、孔81а、81bが設けられている側壁、及び、孔81cが設けられている側壁である。また、基板21と基板22との間に隙間を空けたうえで、基板21及び基板22は、筐体19の底面上に並んで配置されている。基板21と基板22の間の隙間は、バスバー構造体30を配置するための領域であり、また最大変位範囲でもある。最大変位範囲は、電力変換装置10の外部から筐体19に加わる荷重が加わったときに、z方向への変位が最大変位範囲以外の他の範囲におけるz方向の変位よりも大きい範囲である。基板21、22は、筐体19аの底面上で、最大変位範囲を避けるように取り付けられている。なお、最大変位範囲の位置や特性等については後述する。
基板21の底面には冷却板71が設けられており、基板22の底面には冷却板72が設けられている。基板21、22は接着剤、ボルト等により、冷却板71、72に固定されている。
図6に示すように、冷却板71、72は、板状の部材であって、筐体19の底面に沿うように配置されている。冷却板71、72は、基板21、22上の半導体モジュール12а〜12c及び半導体モジュール14а〜14cを冷却する部材であって、冷却器の構成の一部である。冷却板71、72は基板21、22の底面を覆うように配置されている。図6の点線で囲う範囲に、基板21、22が取り付けられる。図6の点線で囲う面71b、72bが、電子部品の取り付け面となる。取り付け面に取り付けられる電子部品は、基板21、22及び半導体モジュール12а〜12c、14а〜14cである。
冷却板71の底面側には、凹部73が形成されている。冷却板72の底面側には、凹部74が形成されている。凹部73、74は冷媒を貯蔵する空間を有している。凹部73、74は冷却器の構成の一部である。凹部73、74は、筐体19の底面を下方(z軸の負方向)に凹ませた部分である。凹部73、74の側壁には、電力変換装置10の外部と連通した流路がつながっている。流路は、冷媒を流す管である。冷媒には例えば水が用いられる。冷却水は電力変換装置10の外部から流路を通って凹部73、74に入る。また凹部73、74内の水は、凹部73、74から流路を通って電力変換装置10の外部に排出される。すなわち、本実施形態における冷却器は水冷循環式の装置である。
Оリング75が凹部73の周囲に設けられている。Oリング76が凹部74の周囲に設けられている。凹部73、74の周囲には、凹部73、74の開口部分を囲うように、溝が形成されている。Oリング75、76は、溝にはめ込まれている。Oリング75、76は樹脂により形成されている。またOリング75、76用の溝の周囲には、ボルトを通す孔71а、71bが設けられている。
冷却板71、72がボルトにより筐体19の底面に締結されると、Oリング75、76は冷却板71、72の底面に密着する。これにより、冷媒が、凹部73、74と冷却板71、72の底面で囲われる空間内に封止される。すなわち、Oリング75で囲われた面、及び、Oリング76で囲われた面が、冷媒の封止面となる。
上蓋(蓋体19а)の無い状態で、z軸方向から電力変換装置10をみたとき、取り付け面71bとOリング75で囲われた面(封止面)は重なっており、取り付け面72bとOリング76で囲われた面(封止面)は重なっている。
次に、図7〜9を用いて、本体部19bの側壁の上部に設けられるフランジについて説明する。
筐体19の本体部19аは、底面となる板状の部材191と、側壁192と、開口部193を有している。側壁192は、部材191の外縁を囲うように設けられている。開口部193は側壁192で囲われて、z軸の正方向に向けて開口している。蓋体19аは、開口部193を覆うように、側壁192の上部から本体部19аと結合する。
側壁192の端部には、フランジ194が形成されている。側壁192の端部は、部材191の外縁とは反対側の端部であって、開口部193の周囲に位置する。フランジ194は、側壁192の剛性を高めるための部材であって、孔81аと孔81bとの間に形成されている。フランジ194は、側壁192から筐体19の外部に向かって(y軸方向にむかって)突き出ている。フランジ194は外壁と一体になっている。フランジ194を有する側壁192の厚さ(d1)は、フランジ194を有さない側壁の厚さ(d2)よりも大きい。また、フランジ194を有する側壁192の上端部の高さ(h1)は、フランジ194を有さない側壁192の上端部の高さ(h2)よりも高い。これにより、孔81аと孔81bとの間に位置する側壁192の剛性を高めることができる。
電力変換装置10は、孔81аと孔81bとを通したボルトにより、車体に固定される。車体のねじれ等により荷重が電力変換装置10に加わる場合に、荷重は、車体に締結されたボルトを介して、電力変換装置10に加わる。本実施形態では、フランジ194が、孔81аと孔81bとの間に位置する側壁192に形成されている。これにより、車体から加わる荷重に対して剛性を高めることができる。その結果として、半導体モジュール12а〜12c等の電子部品を取り付けた取り付け面71а、71bが変形することを防ぐことができる。また、封止面におけるシール機能を維持することができる。
次に、図10〜図12を用いて、取り付け面71а、71bの変位量と最大変位範囲との関係について説明する。図10は、電力変換装置10の概略平面図である。図11は図10のXI線に沿う断面図である。図12は、比較例に係る電力変換装置の概略平面図である。図13は図11のXII線に沿う断面図である。
図10に示すように、ボルトが孔81а〜81cに挿通し、車体を締結することで、電力変換装置10は車体に固定されている。車体のねじれ等により、荷重が電力変換装置10に加わると、荷重が、孔81а〜81cの部分を介して、筐体19に伝わる。筐体19は、z軸方向に沿う側壁192を有している。筐体19のx方向の変位は、xz面に沿う側壁192によって抑制される。筐体19のy方向の変位は、yz面に沿う側壁192によって抑制される。また、孔81аと孔81bとの間にはフランジ194が形成されている。そのため、筐体19のx方向の変位及び筐体19のy方向の変位を抑制することができる。
一方、z方向の変位に対しては、筐体19の底面が振動板のように作用するため、筐体19の底面はz方向にたわみ易い。また、筐体19の底面を一枚の板とみたときには、底面の中央部分が最もたわみ易くなる。本実施形態では、筐体19の底面は側壁に囲われており、互いに対向する側壁192のうち、一方の側壁192は2つの固定点をもち、他方の側壁192は1つの固定点をもつ。そのため、筐体19の底面のうち、最大変位範囲Cは、筐体19の底面の中央部分からx軸の負方向にずれた位置となる。筐体19の底面において、最大変位範囲Cのz軸方向の変位は、最大変位範囲C以外の範囲の変位よりも大きくなっている。また、筐体19は、z方向からみたときに、矩形状に構成されている。そのため、最大変位範囲は長手方向をもっており、最大変位範囲Cの長手方向は、フランジ194をもつ側壁192に沿う方向(x軸方向)と平行になる。
本実施形態において、基板21、22は、最大変位範囲C以外の範囲に取り付けられている。また基板21、22の長手方向が、最大変位範囲Cの長手方向に対して平行になるように、基板、22が取り付けられている。すなわち、取り付け面71b、72bは、筐体19の底面において、最大変位範囲C以外の他の範囲内に配置されており、取り付け面71b、72bの長手方向は最大変位範囲Cの長手方向と平行である。
比較例に係る電力変換装置10では、基板29は、筐体19の底面の中央部分に配置されている。筐体19の形状及び孔81а〜81cの位置は、本実施形態に係る筐体19の形状及び孔81а〜81cの位置と同じである。そのため、最大変位範囲Cの位置は、図10に示した位置と同じである。
図13において、曲線Vは、筐体19の底面における変位量を表している。部材191の下面と曲線Vとの距離が変位量に相当する。最大変位範囲Cにおける変位量が最も大きい。比較例に係る電力変換装置10のように、基板29が最大変位範囲Cに取り付けられた場合に、基板29の取り付け面の変位量はL2となる。
図11に示すように、本実施形態では、基板21、22は最大変位範囲Cを避けて取り付けられた場合には、基板21、22の取り付け面の変位量はL1となる。すなわち、基板21、22の変位量L1は基板29の変位量L2よりも小さくなる。
上記のように、本実施形態では、外部からの荷重による筐体底面の法線方向の変位が底面に沿う方向の変位よりも大きく、筐体の底面のうち最大変位範囲Cでの変位が他の範囲の変位よりも大きくなるように、筐体19が構成されている。また、電子部品の取り付け面の長手方向を、最大変位範囲Cの長手方向に対して平行にし、筐体底面の法線方向から見たときに、取り付け面を当該他の範囲内に配置する。これにより、外部からの荷重に対して、電子部品の取り付け面71b、72bの変位量を抑制できる。また、取り付け面71b、72bの変位量が小さいため、取り付け面71b、72bの接着強度を確保できる範囲で、筐体19の剛性を抑制できる。その結果として、筐体19の質量を低減でき、またコストを抑制できる。
また、本実施形態では、孔81аと孔81bとの間に、フランジ194を有している。これにより、ボルトを介して筐体19に加わる荷重に対して、筐体19の剛性を高めることができる。
また本実施形態では、半導体モジュール12а〜12c、15а〜15c及び電子部品を冷却する冷却器を有し、電子部品が冷却器を介して筐体19に取り付けられている。そして、筐体19の底面において、冷媒を封止する封止面が、最大変位範囲C以外の範囲に配置されている。これにより、封止面のシール機能を維持することができる。
本実施形態の変形例を、図14を用いて説明する。図14は、変形例に係る筐体19の断面図であって、図7のVIII線に沿う断面に相当する。変形例に係る電子部品の収容構造体では、筐体19の側壁192の厚さが、側壁192の端部以外の部分の厚さよりも大きい。側壁192の端部は部材191の外縁とは反対側の端部である。yz面の断面でみると、側壁192の端部は、側壁192の内側の面が筐体19の内部に向かって張り出すように、形成されている。側壁192の端部の厚さ(d3)は、側壁192の端部以外の部分の厚さ(d4)よりも大きい。厚さはy軸方向の厚さである。これにより、ボルトを介して筐体19に加わる荷重に対して、筐体19の剛性を高めることができる。
本実施形態の変形例を、図15を用いて説明する。図15は、変形例に係る電力変換装置10の平面図であって、図6に示す平面図と対応している。変形例では、放熱グリス層77が冷却板71の天面に沿って形成されており、放熱グリス層78が冷却板72の天面に沿って形成されている。放熱グリス層77、78は、放熱グリスを層状にしたものであって、基板21、22の接着剤でもある。放熱グリス層77、78の表面が放熱面に相当する。放熱面は、取り付け面71b、72bと同様に、筐体19の底面において、最大変位範囲C以外の範囲に配置されている。これにより、放熱面の変位を抑制することができ、その結果として、放熱面における放熱性能を維持することができる。