IEEE802.11MAC標準規格は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)が物理レベル及び媒体アクセス制御(MAC)レベルにおいて動作しなければならない方法を規定している。通常、802.11MAC(媒体アクセス制御)動作モードは、いわゆる「衝突回避型キャリア検知多重アクセス」(CSMA/CA)技法に基づく競合ベースのメカニズムに依拠するよく知られた分散協調機能(DCF)を実施する。
802.11媒体アクセスプロトコル標準規格又は動作モードは、主として、無線媒体へのアクセスを試みるために、無線媒体がアイドルになるのを待っている通信ノードの管理を対象としている。
IEEE802.11ac標準規格によって規定されたネットワーク動作モードは、とりわけ、干渉を非常に受けやすいと考えられる2.4GHz帯域から5GHz帯域に移動し、それによって、80MHzのより広い周波数連続チャネルの使用を可能にすることによって、超高スループット(VHT)を提供している。これらのチャネルのうちの2つは、任意選択で、無線ネットワークの動作帯域として160MHzチャネルになるように組み合わせることができる。
802.11ac標準規格は、送信要求(RTS)フレーム及び送信可(CTS)フレーム等の制御フレームも微調整して、20MHz、40MHz又は80MHzの可変帯域幅及び既定帯域幅の複合チャネルを可能にしている。これらの複合チャネルは、動作帯域内で連続している1つ以上の通信チャネルから構成される。160MHz複合チャネルは、2つの80MHz複合チャネルを160MHz動作帯域内に組み合わせることによって可能である。制御フレームが、対象とされる複合チャネルのチャネル幅(帯域幅)を指定する。
したがって、複合チャネルは、所与のノードが媒体にアクセスするためにEDCAバックオフ手順を実行するプライマリチャネルと、少なくとも1つのセカンダリチャネルとからなる。これらのプライマリチャネル及びセカンダリチャネルは、例えば、それぞれ20MHzである。
EDCA(拡張型分散チャネルアクセス)は、トラフィックカテゴリーと、低優先度トラフィックと比較して高優先度トラフィックを異なってハンドリングすることを可能にする4つの対応するアクセスカテゴリーとを規定している。
ノードにおけるEDCAの実施は、種々の優先度においてデータトラフィックをサービングする複数のトラフィックキュー(「アクセスカテゴリー」として知られている)を用いて行うことができる。各トラフィックキューは、それぞれのキューバックオフ値に関連付けられている。キューバックオフ値は、それぞれのキュー競合パラメーター、例えばEDCAパラメーターから計算され、トラフィックキューに記憶されたデータを送信するために通信チャネルにアクセス競合するのに用いられる。
従来のEDCAパラメーターは、各トラフィックキューのCWmin、CWmax及びAIFSNを含む。CWmin及びCWmaxは、EDCA競合ウインドウCWが所与のトラフィックキューについて選択される選択範囲の下位境界及び上位境界である。AIFSNは、調停フレーム間スペース数(Arbitration Inter-Frame Space Number)を表し、ノードが、検討対象のトラフィックキューに関連付けられたキューバックオフ値をデクリメントする前に、媒体をアイドルとして検知しなければならないDIFS間隔(AIFS期間を規定する総数)に付加される、タイムスロット(通常は9μs)の数を規定する。
EDCAパラメーターは、ネットワーク情報をブロードキャストするネットワーク内の特定のノードによって送信されるビーコンフレームに規定することができる。
競合ウインドウCW及びキューバックオフ値はEDCA変数である。
従来のEDCAバックオフ手順は、ノードが、それぞれの競合ウインドウCWからトラフィックキューのキューバックオフ値を選択することと、次に、AIFS期間後に媒体をアイドルとして検知すると、キューバックオフ値をデクリメントすることとからなる。バックオフ値が0に達すると、ノードは媒体にアクセスすることを許可される。
EDCAキューバックオフ値又はカウンターは、したがって、2つの役割を果たす。第1に、EDCAキューバックオフ値は、衝突のリスクを低減することによって、ノードを、媒体に効率的にアクセスすることができる状態にする。第2に、EDCAキューバックオフ値は、トラフィックキューに含まれるデータのエージングをミラーリングし(時間が多く経過したデータほど、バックオフ値は小さい)、したがって、EDCAパラメーター(特に、EDCAキューバックオフ値のデクリメントの開始を遅延させるAIFSNパラメーター)の異なる値を通じて異なる優先度をトラフィックキューに提供することによって、サービス品質QoSの管理を提供する。
EDCAバックオフ手順によって、ノードは、したがって、キュー競合パラメーターに基づいて、通常は計算されたキューバックオフカウンター又は値に基づいて、競合型アクセスメカニズムを用いて通信ネットワークにアクセスすることができる。
プライマリチャネルは、通信ノードによって、チャネルがアイドルであるか否かを検知するのに用いられ、プライマリチャネルは、複合チャネルを形成するように単数又は複数のセカンダリチャネルを用いて拡張することができる。プライマリチャネルは、単独で用いることもできる。
動作帯域が基本的な20MHzチャネルにツリー分解(tree breakdown)されると、幾つかのセカンダリチャネルは、ターシャリ(tertiary)チャネル又はクォータナリ(quaternary)チャネルと呼ばれる。
802.11acでは、全ての送信はプライマリチャネルを含み、したがって、可能な複合チャネルはプライマリチャネルを含む。この理由は、ノードが、プライマリチャネルに対してのみ、完全なキャリア検知多重アクセス/衝突回避(CSMA/CA)及びネットワーク割り当てベクトル(NAV)トラッキングを実行するからである。他のチャネルは、セカンダリチャネルとして割り当てられ、セカンダリチャネルに対して、ノードは、CCA(クリアチャネル評価)の能力、すなわち、当該セカンダリチャネルのアイドル又はビジー状態/ステータスの検出の能力しか有しない。
802.11n又は802.11ac(又は802.11ax)に規定されているような複合チャネルの使用に関する問題は、複合チャネルの使用に準拠したノード(すなわち、802.11n準拠ノード及び802.11ac準拠ノード又は高スループットノードを表す「HTノード」)が、複合チャネルを用いることができないが従来の20MHzチャネルにのみ依拠する、同じ無線ネットワーク内に存在するレガシーノード(すなわち、例えば、802.11a/b/gにのみ準拠する非HTノード)と共存しなければならず、したがって、同じ20MHzチャネルを共有しなければならないということである。
この問題に対処するために、802.11n標準規格並びに802.11ac標準規格及び802.11ax標準規格は、制御フレーム(例えば、RTS/CTSフレーム若しくは自己CTS(CTS-to-Self)フレーム、又は送信データの正しい受信若しくはエラーのある受信を確認応答するACKフレーム)を802.11aレガシーフォーマット(「非HT」と呼ばれる)で各20MHzチャネルにわたって複製して、要求されたTXOPの保護を複合チャネル全体にわたって確立する可能性を提供する。
これは、複合チャネルに関与する20MHzチャネルのいずれかを用いるあらゆるレガシー802.11aノードが、その20MHzチャネル上で通信が進行していることを認識するためのものである。その結果、802.11n/ac/axノードに許可された現在の複合チャネルTXOPが終了するまで、レガシーノードが新たな送信を開始することが防止される。
802.11nによって当初提案されたように、従来の802.11a送信又は「非HT」送信の複製は、用いられる複合チャネルを形成するプライマリチャネル及びセカンダリチャネルの双方において2つの同一の20MHzの非HT制御フレームを同時に送信することを可能にするために提供される。
この手法は、802.11acが、80MHz又は160MHzの複合チャネルを形成するチャネルにわたって複製を可能にするために拡張されたものである。本明細書において以下では、「複製された非HTフレーム」若しくは「複製された非HT制御フレーム」又は「複製された制御フレーム」は、ノードデバイスが、動作帯域(40MHz、80MHz又は160MHz)のセカンダリ20MHzチャネル(複数の場合もある)にわたって所与の制御フレームの従来の送信又は「非HT」送信を複製することを意味する。
実際には、新たなTXOPの複合チャネル(40MHz以上)を要求するために、802.11n/acノードは、上述したように、プライマリ20MHzチャネルにおいてEDCAバックオフ手順を実行する。これと並行して、このノードは、新たなTXOPの開始前(すなわち、任意のキューバックオフカウンターが満了する前)のPIFS間隔の間に、クリアチャネル評価(CCA)信号検出等のチャネル検知メカニズムをセカンダリチャネルに対して実行して、アイドルである(チャネル状態/ステータスが「アイドル」である)単数又は複数のセカンダリチャネルを検出する。
より最近になって、米国電気電子技術者協会(IEEE)は、802.11axタスクグループを802.11acの後継として公式に承認した。802.11axタスクグループの第1の目標は、高密度展開のシナリオにおいて用いられる無線通信デバイスに対するデータ速度の改善策を模索することにある。
802.11ax標準規格における最近の開発事項は、アクセスポイント(AP)を有する無線ネットワークにおいて複数のノードによる複合チャネルの使用を最適化しようとするものであった。実際、通常のコンテンツは、例えば、高精細オーディオビジュアルリアルタイム/インタラクティブコンテンツに関係した大量のデータを有する。さらに、IEEE802.11標準規格において用いられるCSMA/CAプロトコルの性能は、ノードの数及びトラフィックの量が増加すると、すなわち、高密度WLANのシナリオでは、急速に悪化することがよく知られている。
この状況において、マルチユーザー(MU)送信は、APに許可された送信機会の間に、APから種々のユーザーへのダウンリンク(DL)方向と、種々のユーザーからAPへのアップリンク(UL)方向との双方における複数の同時送信を可能にするように検討されてきた。アップリンクでは、マルチユーザー送信は、複数の非AP局又はノードが同時送信することを可能にすることによって衝突確率を軽減するのに用いることができる。
そのようなマルチユーザー送信を実際に行うために、許可された通信チャネルを、例えば、直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)技法に基づいて、周波数領域において複数のユーザー(非AP局/ノード)によって共有されるリソースユニット(RU)とも呼ばれるサブチャネルに分割することが提案されている。各RUは、複数のトーン(tones)、すなわち、996個までの使用可能なトーンを含む80MHzチャネルによって規定することができる。
OFDMAは、アドバンストインフラストラクチャベースの無線ネットワークにおいて効率を改善する新たなキーテクノロジーとして登場したOFDMのマルチユーザーバリエーションである。OFDMAは、同時性を高めるために、物理レイヤ上のOFDMをMACレイヤ上の周波数分割多重アクセス(FDMA)と組み合わせて、異なるサブキャリアを異なる局/ノードに割り当てることを可能にしている。連続するサブキャリアは、同様のチャネル状態を受けることが多く、したがって、サブチャネルにグループ化される。したがって、OFDMAサブチャネル又はRUは、サブキャリアのセットである。
現在想定されているように、そのようなOFDMAサブチャネルの粒度は、当初の20MHzチャネル帯域よりも微細である。通常、2MHz又は5MHzのサブチャネルを最小幅と考えることができ、したがって、単一の20MHzチャネル内には、例えば、9つのサブチャネル又はリソースユニットを規定することができる。
OFDMAのマルチユーザー特性によって、APは、競争を高めるために異なる非AP局/ノードに異なるRUを配分/提供することが可能になる。これは、802.11ネットワークの内部における競合及び衝突を削減するのに役立つことができる。
APが複数のデータを複数の局に直接送信することができるダウンリンクOFDMA(PLCPヘッダー内部の特定の表示によってサポートされる)に反して、APが様々なノードからのマルチユーザーアップリンク(MU UL)OFDMA通信をトリガーするトリガーメカニズムが採用されている。
事前取得された(pre-empted)TXOPの間に、マルチユーザーアップリンク送信、すなわち、802.11axアクセスポイント(AP)へのアップリンク送信をサポートするために、802.11ax APは、レガシーノード(非802.11axノード)がそれらのNAVを設定するとともに、802.11axノードがAPによって提供されるリソースユニットRUの割り当てを決定するためのシグナリング情報を提供しなければならない。
802.11ax標準規格は、マルチユーザーアップリンク通信をトリガーするためにAPによって802.11axノードに送信されるトリガーフレーム(TF)を規定している。
IEEE802.11−15/0365文書は、複数のノードからのアップリンク(UL)マルチユーザー(OFDMA)PPDUの送信を要請するために、「トリガー」フレーム(TF)がAPによって送信されることを提案している。TFは、APによってノードに提供されるリソースユニットを規定している。これに応答して、ノードは、トリガーフレームに対する即時応答としてUL MU(OFDMA)PPDUを送信する。全ての送信機が、データを、同時ではあるがRU(すなわち、OFDMA方式における周波数)の互いに素なセットを用いて送信することができ、その結果、干渉の少ない送信が得られる。
対象とされる複合チャネルの帯域幅又は幅は、TFフレームにおいてシグナリングされ、これは、20MHz、40MHz、80MHz又は160MHzの値が加えられることを意味する。TFフレームは、プライマリ20MHzチャネルを介して送信され、適切な場合には、対象とされる複合チャネルを形成する互いの20MHzチャネル上に複製(複写)される。制御フレームの複製について上述したように、TFをそのプライマリチャネル上で受信するあらゆる連続したレガシーノード(非HTノード又は802.11acノード)が、その場合、そのNAVをTFにおいて指定された値に設定することが予想される。これによって、これらのレガシーノードがTXOPの間に対象とされる複合チャネルのチャネルにアクセスすることが防止される。
リソースユニットRUは、特定のノード用に予約することができ、その場合、APは、TFにおいて、RUが予約されているノードを表示する。そのようなRUは、スケジューリングされたRUと呼ばれる。表示されたノードは、当該ノードに予約されているスケジューリングされたRUにアクセスする際に競合を行う必要がない。
ノードがスケジューリングされたRUにおいて送信することを認められているデータのタイプは、APがTFにおいて指定することができる。例えば、TFは、APが4つのEDCAトラフィックキューのうちの1つを示す2ビットの「優先AC」フィールドを含む。他方、APは、スケジューリングされたRUを任意のタイプのデータに開放することができる。「優先AC」をアクティブ化又は非アクティブ化するために、TFは、別の1ビットフィールド、すなわち「AC優先レベル」を含む。
APへの管理されていないトラフィック(例えば、APに到達することを目的とした関連付けられたノード、関連付けられていないノードからのアップリンク管理フレーム、又は単に管理されていないデータトラフィック)に対するシステムの効率をより良く改善するために、APは、競合ベースのアクセスを通じて802.11axノードにリソースユニットを提案することができる。換言すれば、リソースユニットRUは、(APに登録されたノードグループの)2つ以上のノードがランダムにアクセスすることができる。そのようなRUは、ランダムRUと呼ばれ、TFにおいてランダムRUとして示される。ランダムRUは、データを送信するために通信媒体へのアクセスを意図しているノードの間の競合のための基本要素としての機能を果たすことができる。
一例示的なランダムリソース選択手順が、IEEE802.11−15/1105文書に規定されている。この手順によれば、各802.11axノードは、RUバックオフ値を含むRU競合パラメーターを用いてランダムRUのうちの1つにアクセス競合する専用バックオフエンジンを保持する。この専用バックオフエンジンは、以下では、OFDMAバックオフエンジン又はRU(リソースユニットを表す)バックオフエンジンと呼ばれる。ノードは、そのOFDMAバックオフ値又はRUバックオフ値が0に達すると(このバックオフ値は、例えば、各新たなTF−Rフレームにおいて、このフレームに規定されたランダムRUの数だけデクリメントされる)、RUアクセスの資格を取得し、したがって、受信されたトリガーフレームに規定された全てのランダムRUの中から1つのRUをランダムに選択する。ノードは、その後、選択されたRUを用いて、トラフィックキューのうちの少なくとも1つのデータを送信する。
上記から直ちに明らかであるように、マルチユーザーアップリンク媒体アクセス方式(又はOFDMAアクセス方式若しくはRUアクセス方式)は、同時媒体アクセスの試みによって発生する衝突の数を削減することを可能にするとともに、媒体アクセスコストが幾つかのノードの間で共有されるので、媒体アクセスに起因したオーバーヘッドも削減される。OFDMAアクセス方式又はRUアクセス方式は、したがって、(高密度802.11セルに関する)従来のEDCA競合ベースの媒体アクセス方式よりも(媒体使用に関して)かなり効率的に見える。
OFDMAアクセス方式又はRUアクセス方式はより効率的に見えるが、EDCAアクセス方式も存続させなければならず、したがって、OFDMAアクセス方式又はRUアクセス方式と共存しなければならない。
これは、主に、依然として媒体にアクセスする機会を得なければならないレガシー802.11ノードが存在しているが、これらのノードがOFDMAアクセス方式又はRUアクセス方式を認識していないことに起因している。そして、媒体アクセスについての全体的な公平性を確保しなければならない。
802.11axノードも、例えば、データを別のノードに送信するために(すなわち、APへのアップリンクトラフィックと異なるトラフィックを得るために)、従来のEDCA競合ベースの媒体アクセスを通じて媒体にアクセスする機会を得るべきことも、より一層必要である。
そのため、EDCAアクセス方式及びOFDMA/RUアクセス方式の2つの媒体アクセス方式は共存しなければならない。
この共存は不利な側面を有する。
例えば、802.11axノード及びレガシーノードは、EDCAアクセス方式を用いると、同じ媒体アクセス確率を有する。しかしながら、802.11axノードは、MUアップリンク又はOFDMAアクセス方式若しくはRUアクセス方式を用いた追加の媒体アクセス機会を有する。
その結果、媒体へのアクセスは、802.11axノードとレガシーノードとの間で完全に公平ではない。
これらのノード間での公平性を多少なりとも回復するために、アクセスされたリソースユニットを介した(すなわち、UL OFDMA送信を通じた)データの送信に成功すると、少なくとも1つのキュー競合パラメーターの現在の値をペナルティー値(penalized value)又は縮退値(degraded value)に変更して、ノードが(EDCA)競合を通じて通信チャネルにアクセスする確率を削減する解決策が提案されている。例えば、ペナルティー値又は縮退値は、当初の値(すなわち、レガシー値)よりも限定的である。
例えば、「Proposed text changes for MU EDCA parameters」という題名のIEEE802.11−16/1180文書は、APによって予約されたリソースユニットRUにおけるデータの(MU UL OFDMA)送信に成功すると、ノードが、タイマー(高効率マルチユーザーEDCAタイマー(High Efficiency Multi-User EDCA Timer)を表すHEMUEDCATimerで示される)によってカウントダウンされる所定の持続時間の間、MU EDCAモードに設定されることを提案している。このMU EDCAモードでは、EDCAパラメーターは、レガシーEDCAモードにおいて用いられるレガシー値と異なるMU EDCAパラメーター値又はMU値と呼ばれる値に設定される。MUパラメーター値は、レガシー値よりも限定的な値に設定される。EDCAパラメーターのより限定的な値は、ノードが、MU値を用いてEDCAアクセス方式を通じて通信チャネルにアクセスする確率が、レガシー値を用いたアクセスと比べて低減されることを意味する。
換言すれば、ノードは、APによってこのノードに割り当てられるスケジューリングされたRUを用いて1つ以上のトラフィックキューから幾つかのデータを送信すると直ちに、送信トラフィックキュー(複数の場合もある)(以下「縮退(degraded)」、「ペナルティー」又は「ブロック(blocked)」トラフィックキュー(複数の場合もある))に関連付けられたEDCAパラメーターを、幾つかの特殊でより限定的な(「MU」又は「縮退」)値を用いて変更することになる。これらの値は、APによって、ビーコンフレームの専用情報要素において提供することができ、ノードによってそれらのHEMUEDCATimerに用いられる値も含む。
したがって、APは、ノードが、アクセスされたリソースユニットを介したデータの送信に成功すると、それらのEDCAパラメーターの現在の値をMU値に変更する際にノードを駆動するより限定的な値をノードに送信することに留意することができる。これも、ノードがEDCAアクセス方式を通じて通信チャネルにアクセスする確率を低減する。
加えて、APは、ノードから(例えば、RUを通じて)受信されたデータの履歴に基づいてより限定的な値を求めることができる。
開示された手法は、各送信トラフィックキューのAIFSNの値のみを増加させる一方、CWmin及びCWmaxは変更せずに維持することを提案している。対応するAIFS期間が増加すると、特に、媒体が長時間の間空いた状態にない高密度環境では、媒体が使用されていないことが検知されると、MU EDCAモードにあるトラフィックキューは、そのキューバックオフ値又はカウンターがデクリメントされないようにされる(又は少なくとも大幅に遅延される)。EDCAアクセス方式を用いた媒体への新たなアクセスは、統計的に大幅に低減されるか又はもはや不可能でさえある。
ノードは、MU EDCAモードに切り替わると、そのHEMUEDCATimerのカウントダウンを開始する。ノードが新たに予約されたRUにおけるデータの(MU UL OFDMA)送信に成功するごとに、HEMUEDCATimerは再初期化される。HEMUEDCATimerの初期化値は、MU UL送信の幾つかの新たな機会を包含するように大きな値(例えば、数十ミリ秒)が提案されている。
HEMUEDCATimerが経過すると、MU EDCAモードにあるトラフィックキューは、レガシーEDCAパラメーターを有するレガシーEDCAモードに切り替え復帰され、それによって、キューのMU EDCAモードは終了する。
したがって、従来のEDCAモード及びMU EDCAモードの二重動作モードのこのメカニズムは、MU UL送信ノードがEDCAメカニズムを用いて媒体にアクセスする確率を低減することによって、MU ULメカニズムの使用を促進する。
ノードが、アクセスされた予約済みのRUによる新たなデータの送信に成功するごとにHEMUEDCATimerを再初期化するHEMUEDCATimerメカニズムは、APが(スケジューリングされた又はランダムな)RUをノードに提供する限り、ノードがMU EDCA状態に留まることを意味する。
この手法は、以下に説明するような主な欠点を有する。
ノードが、APによって提供される1つ以上のリソースユニットにおいて2つ以上のトラフィックキューからのデータを送信する場合(例えば、専用トラフィックキューが空になった場合、ノードは、より高い優先度を有するトラフィックキューから送信される他のデータを選択する)、これらの2つ以上のトラフィックキューがMUモード及びより限定的なEDCAモードにされる。それらのトラフィックキューは、例えばそれらのそれぞれのAIFSNが非常に限定的であるので、主として、EDCAアクセス方式を通じて媒体にアクセスしないようにされる。
APが、データが選択される優先トラフィックキューの表示を用いてリソースユニットを(そのような状況にある)そのノードに定期的に提供することが起こり得る。
優先トラフィックキューを用いたこのポーリングが継続する限り、ノードは、提供されたリソースユニットにアクセスすると、対応するトラフィックキューを空にする一方、2つ以上の全てのトラフィックキューをMU EDCAモードに維持する。これは、他の単数又は複数のトラフィックキューが、MUモード及びより限定的なEDCAモードにロックされたままであり、媒体にアクセスすることによってパージすることができないことを意味する。
したがって、ネットワークにおけるQoSは深刻に悪化する。
次に、図を参照することによって、特定の非限定の例示的な実施形態によって本発明を説明する。
図1は、ノードが登録されている中央局又はアクセスポイント(AP)110の管理下で、幾つかの通信ノード(又は通信局)101〜107が無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の無線送信チャネル100を介してデータフレームを交換する通信システムを示している。無線送信チャネル100は、単一のチャネル又は複合チャネルを形成する複数のチャネルによって構成される動作周波数帯域によって規定される。
データフレームを送信する共有無線媒体へのアクセスは、キャリアを検知するとともに、同時送信を空間及び時間において分離することによって衝突を回避するCSMA/CA技法に基づいている。
CSMA/CAにおけるキャリア検知は、物理メカニズム及び仮想メカニズムの双方によって行われる。仮想キャリア検知は、データフレームの送信前に媒体を予約する制御フレームを送信することによって達成される。
次に、APを含む送信元ノードすなわち送信ノードが、まず、データフレームを送信する前に、物理メカニズムを通じて、少なくとも1つのDIFS(DCFフレーム間スペーシングを表す)時間期間の間アイドルである媒体の検知を試みる。
一方、共有無線媒体がDIFS期間の間ビジーであることが検知された場合、送信元ノードは、無線媒体がアイドルになるまで待機を継続する。
媒体にアクセスするために、ノードは、いわゆる競合ウインドウ[0,CW]においてランダムに選ばれた数CW(整数)のタイムスロットの後に満了するように設計されたカウントダウンバックオフカウンターを始動する。チャネルアクセス方式とも呼ばれるこのバックオフメカニズム又は手順は、送信時刻をランダムな間隔だけ延期し、したがって、共有チャネル上での衝突の確率を削減する衝突回避メカニズムの基本原理である。バックオフ時間期間の後(すなわち、バックオフカウンターが0に達した後)、送信元ノードは、媒体がアイドルである場合に、データフレーム又は制御フレームを送信することができる。
無線データ通信の1つの問題は、送信元ノードが、送信している間、受信(listen)することが可能でなく、したがって、送信元ノードがチャネルフェージング若しくはチャネル干渉又は衝突現象に起因したデータ破損を検出することが妨げられるということである。送信元ノードは、送信データフレームの破損を認識しないまま、フレームを不必要に送信し続け、したがって、アクセス時間を浪費する。
したがって、CSMA/CAの衝突回避メカニズムは、フレームの受信に成功した場合に、受信ノードによる送信データフレームの肯定確認応答(ACK)を提供して、送信データフレームの破損が発生していないことを送信元ノードに通知する。
ACKは、ショートフレーム間スペース(SIFS)と呼ばれる時間期間の直後のデータフレームの受信の終了時に送信される。
送信元ノードは、指定されたACKタイムアウト内にACKを受信しなかった場合、又はチャネル上に異なるフレームの送信を検出した場合、データフレーム喪失を推論することができる。その場合、送信元ノードは、一般に、上述のバックオフ手順に従ってフレーム送信を再スケジューリングする。
CSMA/CAの衝突回避効率を改善するために、4方向ハンドシェークメカニズムが任意選択で実施される。1つの実施態様は、802.11標準規格に規定されているRTS/CTS交換として知られている。
RTS/CTS交換は、802.11標準規格においてTXOPと呼ばれる送信機会の間、データフレームを送信する前に制御フレームを交換して無線媒体を予約し、したがって、データ送信を更なる衝突から保護することにある。4方向CTS/RTSハンドシェークメカニズムはよく知られており、したがって、ここでは、これ以上説明しない。更なる詳細については、標準規格を参照されたい。
RTS/CTS4方向ハンドシェークメカニズムは、競合プロセスに関与するメッセージの長さを削減するので、システム性能の観点から、特に大きなフレームに関して非常に効率的である。
詳細には、各通信ノードによる完全なチャネル検知を仮定すると、衝突は、2つ(又は3つ以上)のフレームが、DIFS(DCFフレーム間スペース)後に、同じタイムスロット内で送信されたとき、又は、2つ(又は3つ以上)の送信元ノードのバックオフカウンターがほぼ同時に0に達したときにのみ発生し得る。双方の送信元ノードがRTS/CTSメカニズムを用いている場合、この衝突は、RTSフレームについてのみ発生する可能性がある。幸いにも、そのような衝突は、CTS応答が受信されないと、送信元ノードによって早期に検出される。
サービス品質(QoS)の管理が、IEEE802.11e標準規格に規定されているよく知られたEDCAメカニズムを通じて、そのような無線ネットワークではノードレベルにおいて導入されている。
実際、当初のDCF標準規格では、通信ノードは、1つの送信キュー/バッファーしか備えていない。しかしながら、先行フレームの送信/再送信が終了するまで、後続のデータフレームを送信することができないので、先行フレームの送信/再送信の遅延によって、通信がQoSを有することが妨げられていた。
図2a及び図2bは、サービス品質(QoS)を改善するためにアクセスカテゴリーを伴うIEEE802.11e EDCAメカニズムを示している。
802.11e標準規格は、拡張型分散チャネルアクセス(EDCA)及びHCF制御型チャネルアクセス(HCCA)の2つの動作モードを有するハイブリッド調整機能(HCF)と呼ばれる調整機能に依拠している。
EDCAは、当初のアクセスDCF方法の機能を高度化又は拡張する。すなわち、EDCAは、幾つかの特定のタイプのトラフィックが優先されるようにクラスによってネットワークトラフィックを指定して制御するプロトコルであるDiffServ(差別化サービス)と同様に、優先順位付けされたトラフィックをサポートするように設計されている。
EDCAは、分散型で展開が容易なメカニズムを特徴として備えているので、WLANにおいて支配的なチャネルアクセス方式又はメカニズムである。この方式は、ノードが、アクセスされた通信チャネルを介して、ローカルに記憶されたデータを送信するために、競合パラメーターを用いて通信ネットワークの少なくとも1つの通信チャネルにアクセス競合する。
フレーム再送信の遅延に起因して満足なQoSを有することができないという上記不備は、複数の送信キュー/バッファーを用いて解決されている。
EDCAにおけるQoSサポートは、4つのアクセスカテゴリー(AC)を導入し、それによって、4つの対応する送信/トラフィックキュー又はバッファー(210)を導入することによって達成される。通常、4つのACは、降順の優先順位による次のもの、すなわち、音声(又は「AC_VO」)、ビデオ(又は「AC_VI」)、ベストエフォート(又は「AC_BE」)及び背景(又は「AC_BG」)である。
もちろん、別の数のトラフィックキューも考慮することができる。
各ACは、ネットワーク上で送信される対応するデータフレームを記憶するそれ自身のトラフィックキュー/バッファーを有する。プロトコルスタックの上位レイヤから到来するデータフレーム、すなわちMSDUは、4つのACキュー/バッファーのうちの1つにマッピングされ、したがって、マッピングされたACバッファーに入力される。
各ACは、それ自身のキュー競合パラメーターのセットも有し、優先度値に関連付けられ、したがって、高優先度又は低優先度のMSDUのトラフィックを規定する。したがって、それぞれ異なる優先度におけるデータトラフィックをサービングする複数のトラフィックキューが存在する。キュー競合パラメーターは、通常、トラフィックキューごとのCWminパラメーター、CWmaxパラメーター、AIFSNパラメーター及びTXOP_Limitパラメーターを含む。CWmin及びCWmaxは、EDCA競合ウインドウCWが所与のトラフィックキューについて選択される選択範囲の下位境界及び上位境界である。AIFSNは、調停フレーム間スペース数を表し、ノードが、検討対象のトラフィックキューに関連付けられたキューバックオフ値/カウンターをデクリメントする前に、媒体をアイドルとして検知しなければならないDIFS間隔(AIFS期間を規定する総数)に付加される、タイムスロット(通常は9μs)の数を規定する。TXOP_Limitは、ノードが要求することができるTXOPの最大サイズを規定する。
すなわち、各AC(及び対応するバッファー)は、そのそれぞれのキューバックオフエンジン211を備える独立したDCF競合エンティティとして動作する。したがって、各キューバックオフエンジン211は、キュー競合パラメーターの使用と、それぞれのトラフィックキューに記憶されたデータをアクセスされた通信チャネルを介して送信するために少なくとも1つの通信チャネルにアクセス競合するのに用いられるそれぞれのキューバックオフ値/カウンター(CWからランダムに選択される)の設定とを行うためのそれぞれのトラフィックキュー210に関連付けられている。
競合ウインドウCW及びキューバックオフ値/カウンターはEDCA変数として知られている。
その結果、同じ通信ノード内のACは、例えば、上記で説明したような従来のEDCAアクセス方式を用いて、無線媒体にアクセスして送信機会を取得するために互いに競争する。
AC間のサービス差別化は、異なるCWmin、CWmax、AIFSN及び/又は異なる送信機会持続時間制限(TXOP_Limit)等の、AC間で異なるキューバックオフパラメーターを設定することによって達成される。これは、QoSを調整することに寄与する。
EDCAメカニズムにおける、AIFSNパラメーター及びキューバックオフ値を用いた媒体へのアクセスは、図3aを参照して以下で説明される。
図2bは、CWminパラメーター、CWmaxパラメーター及びAIFSNパラメーターのデフォルト値を示している。
この表において、aCWmin及びaCWmaxの通常のそれぞれの値は、上述の標準規格においてそれぞれ15及び1023として規定されている。他の値は、ネットワーク内のノード(通常はアクセスポイント)が設定することができ、ノード間で共有することができる。この情報は、ビーコンフレームにおいてブロードキャストすることができる。
媒体が使用されていないことの検出と、トラフィックキュー「i」のキューバックオフ値デクリメントの開始との間の遅延AIFS[i]を求めるために、ノードは、トラフィックキュー「i」のAIFSNパラメーターに示された値、すなわちAIFSN[i]にタイムスロット持続時間(通常、9マイクロ秒)を乗算し、この値をDIFS持続時間に加算する。
図3aに示すように、その結果、各トラフィックキューは、その関連付けられたキューバックオフ値/カウンターをデクリメントする前に、AIFS[i]期間(媒体へのアクセスを延期するDIFS期間を含む)を待機する。この図は、2つの異なるACに対応する2つのAIFS[i]を示している。一方の優先順位付けされたトラフィックキューは、他方の低優先順位のトラフィックキューよりも早期にそのバックオフ値のデクリメントを開始することを見て取ることができる。この状況は、ネットワーク内のあらゆるノードによる新たな各媒体アクセス後に繰り返される。
平均してより低いCWの使用に加えて、このデクリメント延期メカニズムによって、EDCA内の高優先度トラフィックが送信される機会は、低優先度トラフィックよりも高くなる。すなわち、高優先度トラフィックを有するノードは、そのパケットを送信する前の待機が、低優先度トラフィックを有するノードよりも平均して統計的に少し少なくなる。
EDCAキューバックオフ値又はカウンターは、したがって、2つの役割を果たす。第1に、EDCAキューバックオフ値は、衝突のリスクを低減することによって、ノードを、媒体に効率的にアクセスすることができる状態にする。第2に、EDCAキューバックオフ値は、トラフィックキューに含まれるデータのエージングをミラーリングし(時間が多く経過したデータほど、バックオフ値は小さい)、したがって、EDCAパラメーター(特に、EDCAキューバックオフ値のデクリメントの開始を遅延させるAIFSNパラメーター)の異なる値を通じて異なる優先度をトラフィックキューに提供することによって、サービス品質QoSの管理を提供する。
図2aを参照すると、バッファーAC3及びAC2は、通常、リアルタイムの用途(例えば、音声AC_VO又はビデオAC_VIの送信)に予約される。これらのバッファーは、それぞれ最も高い優先度及び2番目に最も高い優先度を有する。
バッファーAC1及びAC0は、ベストエフォート(AC_BE)トラフィック及び背景(AC_BG)トラフィック用に予約される。これらのバッファーは、それぞれ2番目に最も低い優先度及び最も低い優先度を有する。
或る優先度を有する上位レイヤ(例えば、リンクレイヤ)からMACレイヤに到達した各データユニットMSDUは、マッピング規則に従ってACにマッピングされる。図3bは、トラフィッククラスの8つの優先度(IEEE802.1dによるユーザー優先度、すなわちUP0〜7)と4つのACとの間のマッピングの一例を示している。データフレームは、その後、マッピングされたACに対応するバッファーに記憶される。
トラフィックキュー(又はAC)のバックオフ手順が終了すると、送信ノードのMACコントローラー(以下の図7における参照符号704)は、無線通信ネットワーク上への送信のために、このトラフィックキューから物理レイヤにデータフレームを送信する。
ACは、無線媒体にアクセスする際に同時に動作するので、同じ通信ノードの2つのACがそれらのバックオフを同時に終了することが起こり得る。そのような状況では、MACコントローラーの仮想衝突ハンドラー(212)が、衝突しているACの間で(図3bに示すような)最も高い優先度を有するACの選択を行い、低い優先度を有するACからのデータフレームの送信をあきらめる。
その後、仮想衝突ハンドラーは、低い優先度を有するACに、増加されたCW値を用いてバックオフ動作を再び開始するように指令する。
ACの使用の結果得られたQoSは、MACデータフレーム、例えば、IEEE802.11e MACフレームのヘッダーに含まれるQoS制御フィールドにおいてシグナリングすることができる。
多くの帯域幅を使用する用途をサポートするより高速な無線ネットワークの増え続ける要求を満たすために、802.11acは、マルチチャネル動作を通じてより大きな帯域幅送信を目標としている。図4aは、20MHz、40MHz、80MHz又は160MHzの複合チャネル帯域幅をサポートする802.11acチャネル割り当てを示している。
IEEE802.11acは、データを送信する無線ネットワーク上の任意の802.11acノードによる予約に利用可能である独自の既定の複合チャネル構成を形成する20MHzチャネルの限られた数の既定のサブセットのサポートを導入している。
これらの既定のサブセットは、図に示されており、802.11nによってサポートされる20MHz及び40MHzのみと比較して、20MHz、40MHz、80MHz、及び160MHzのチャネル帯域幅に対応する。実際、20MHzコンポーネントチャネル300−1〜300−8は、連結されてより広い通信複合チャネルを形成する。
802.11ac標準規格では、各既定の40MHz、80MHz又は160MHzのサブセットのチャネルは、動作周波数帯域内で連続している。すなわち、動作周波数帯域内で順序付けられた複合チャネルには、ホール(欠落したチャネル)が認められていない。
160MHzチャネル帯域幅は、周波数が連続している場合もあるし連続していない場合もある2つの80MHzチャネルからなる。80MHzチャネル及び40MHzチャネルは、それぞれ、2つの周波数が隣接又は連続した40MHzチャネル及び20MHzチャネルからなる。一方、本発明は、チャネル帯域幅のいずれかの組成、すなわち、動作帯域内に連続チャネルのみを含む組成又は非連続チャネルから形成される組成を有する実施形態を有することができる。
ノードは、「プライマリチャネル」(400−3)上で拡張型分散チャネルアクセス(EDCA)メカニズムを通じてTXOPを許可される。実際、或る帯域幅を有する複合チャネルごとに、802.11acは、1つのチャネルを、複合チャネルへのアクセス競合に用いられることを意味する「プライマリ」として指定する。プライマリ20MHzチャネルは、同じ基本セットに属する全てのノード(STA)、すなわち、同じローカルアクセスポイント(AP)によって管理されるか又は同じローカルアクセスポイント(AP)に登録されている全てのノードに共通である。
一方、他のレガシーノード(すなわち、同じセットに属しないノード)がセカンダリチャネルを用いないことを確保するために、複合チャネルを予約する制御フレーム(例えば、RTSフレーム/CTSフレーム)がそのような複合チャネルの各20MHzチャネルを介して複製されることが提供される。
上記で取り扱ったように、IEEE802.11ac標準規格は、4つまでの20MHzチャネル、更には8つまでの20MHzチャネルを結合することを可能にしている。チャネルの数が限られていることから(欧州では5GHz帯域内に19個)、チャネル飽和が問題になる。実際、高密度に密集したエリアでは、5GHz帯域は、無線LANセルごとに20MHz又は40MHzの帯域幅を用いても確実に飽和する傾向がある。
802.11ax標準規格における開発事項は、高密度環境の無線チャネルの効率及び使用率を高めるようとするものである。
この観点から、種々のユーザーと、通常はAPであるメインノードとのダウンリンク(DL)方向及びアップリンク(UL)方向の双方における複数の同時送信を可能にするマルチユーザー(MU)送信特性を検討することができる。アップリンクでは、マルチユーザー送信は、複数のノードがAPに同時送信することを可能にすることによって衝突確率を軽減するのに用いることができる。
そのようなマルチユーザー送信を実際に行うために、許可された20MHzチャネル(400−1〜400−4)を、サブキャリア又はリソースユニット(RU)とも呼ばれるサブチャネル410(基本サブチャネル)に分割することが提案されている。これらのサブチャネルは、例えば、直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)技法に基づいて、複数のユーザーによって周波数領域において共有される。
これについては、図4を参照して説明する。
OFDMAのマルチユーザー特性によって、通常はアクセスポイントAPであるノードが、競争を促すために異なるノードに異なるRUを割り当てることが可能になる。これによって、802.11ネットワーク内部の競合及び衝突の削減を促進することができる。
APが複数のデータを複数のノードに直接送信することができるMUダウンリンクOFDMA(PLCPヘッダー内部の特定の表示によってサポートされる)に反して、APが様々なノードからのMUアップリンク通信をトリガーするトリガーメカニズムが採用されている。
(APによって事前取得されたTxOPの間に)MUアップリンク送信をサポートするために、802.11ax APは、レガシーノード(非802.11axノード)がそれらのNAVを設定することと、802.11axノードがリソースユニット割り当てを決定することとの双方のシグナリング情報を提供しなければならない。
以下の説明において、レガシーという用語は、OFDMA通信をサポートしていない以前の技術の802.11ノードを意味する非802.11axノードを指す。
図4の例に示すように、APは、トリガーフレーム(TF)430を対象の802.11axノードに送信する。対象とされる複合チャネルの帯域幅又は幅は、TFフレームにおいてシグナリングされ、これは、20MHz値、40MHz値、80MHz値又は160MHz値がシグナリングされることを意味する。TFフレームは、プライマリ20MHzチャネルを介して送信され、対象とされる複合チャネルを形成する互いの20MHzチャネル上に複製(複写)される。制御フレームの複製について上述したように、TFフレーム(又はその複製)をそのプライマリチャネル上で受信するあらゆる連続したレガシーノード(非HTノード又は802.11acノード)が、その場合、そのNAVをTFフレームにおいて指定された値に設定することが予想される。これによって、これらのレガシーノードがTXOPの間に対象とされる複合チャネルのチャネルにアクセスすることが防止される。
APの決定に基づいて、トリガーフレームTFは、ネットワークのノードがランダムにアクセスすることができる複数のリソースユニット(RU)410、すなわち「ランダムRU」を規定することができる。換言すれば、TFにおいてAPによって指定又は配分されたランダムRUは、データを送信するために通信媒体へのアクセスを意図しているノード間の競合の基本要素としての機能を果たすことができる。衝突は、2つ以上のノードが同じRUを介して同時に送信を試みるときに発生する。
その場合、トリガーフレームは、ランダムアクセス用トリガーフレーム(TF−R)と呼ばれる。TF−Rは、複数のノードがMU UL(マルチユーザーアップリンク)ランダムアクセスを行ってそれらのUL送信用のRUを取得することができるように、APが放出することができる。
トリガーフレームTFは、ランダムRUに加えて又はこれに代えて、スケジューリングされたリソースユニットも指定することができる。スケジューリングされたRUは、APが幾つかの特定のノード用に予約することができ、その場合、そのようなRUにアクセスするための競合は、これらのノードには必要とされない。そのようなRU及びそれらの対応するスケジューリングされたノードは、トリガーフレーム内に示される。例えば、各スケジューリングされたRUを用いることが可能であるノードを明示するために、登録時に各ノードに割り当てられたアソシエーションID(AID)等のノード識別子が、各スケジューリングされたRUに関連付けて、TFフレーム内に追加される。
0に等しいAIDは、ランダムRUを識別するのに用いることができる。
OFDMAのマルチユーザー特性によって、APは、競争を促すために異なるRUを異なるノードに割り当てることが可能になる。これによって、802.11ネットワーク内部の競合及び衝突の削減を促進することができる。
図4の例では、各20MHzチャネル(400−1、400−2、400−3又は400−4)は、周波数領域において、通常はサイズ5Mhzの4つのサブチャネル、すなわちRU410に細分されている。
もちろん、20MHzチャネルを分割するRUの数は、4つと異なるものであってもよい。例えば、2つから9つのRUを設けることができる(したがって、それぞれは10MHz〜約2MHzのサイズを有する)。
ノードが、RUを用いてデータをAPに送信すると、APは、確認応答ACK(図示せず)を用いて応答し、各RU上のデータを受け取ったことを通知する。これによって、各ノードは、そのデータ送信の成功(ACKの受信)又は不成功(時間の満了後もACKが受信されない)を知ることが可能になる。
IEEE802.11−15/1105文書は、TFにおいて示されたランダムRUにアクセスするためにノードが用いることができる一例示的なランダム割り当て手順を提供している。このランダム割り当て手順は、RU競合方式と呼ばれ、上述のチャネルアクセスモジュールとは別個の専用のRUアクセスモジュールによって管理され、ローカルに記憶されたデータをアクセスされたリソースユニットを介して送信するために、通信チャネル上で別のノード(通常はAP)に許可された送信機会内に当該別のノードによって提供される少なくとも1つのリソースユニットへのアクセスを管理するように構成される。好ましくは、RUアクセスモジュールは、キューバックオフエンジンとは別個のRUバックオフエンジンを備える。このRUバックオフエンジンは、計算されたRUバックオフ値を含むRU競合パラメーターを用いて、ランダムRUにアクセス競合する。
換言すれば、RU競合方式は、データを送信するためにランダムRUにアクセスするときに、専用の競合を可能にする802.11axノードの内部のOFDMAバックオフカウンター/値又はRUバックオフカウンター/値(すなわち、OBO)と呼ばれる新たなバックオフカウンターに基づいている。
各ノードSTA1〜STAnは、受信APに対する送信ノードであり、結果として、各ノードは、いずれかのトラフィックキューACに記憶されたデータを送信するために、通信チャネル上で許可された送信機会を分割する少なくとも1つのランダムリソースユニットにアクセス競合するのに用いられるRUバックオフ値(OBO)を計算するための、キューバックオフエンジンとは別個のアクティブRUバックオフエンジンを有する。
本明細書におけるランダム割り当て手順は、アクティブRUバックオフ値OBOを有する複数のノードのうちの或るノードについて、競合に利用可能な通信媒体のランダムサブチャネル又はRUをトリガーフレームから決定する第1のステップと、検討対象のノードにローカルなアクティブRUバックオフ値OBOの値が、利用可能であると検出されたランダムRUの数以下であるか否かを確認する第2のステップと、このランダムRUの数以下であると確認された場合に、利用可能であると検出されたランダムRUの中からデータを送信するためのランダムRUをランダムに選択する第3のステップとを含む。第2のステップが確認されない場合、RUバックオフ値OBOを、利用可能であると検出されたRUの数だけデクリメントするために、第4のステップ(第3のステップの代わり)が実行される。
図示するように、リソースユニットの中には、RUバックオフ値OBOが利用可能なランダムRUの数よりも小さいノードが、これらのランダムRUのうちの1つをランダムに選択していないことから、使用されないリソースユニット(410u)があるのに対して、これらのノードのうちの2つが同じRUをランダムに選択したことから、衝突を起こしているリソースユニット(例として410c)もある。
スケジューリングされたRU及びランダムRUの双方を含むMUアップリンク(UL)媒体アクセス方式は、従来のEDCAアクセス方式と比較して非常に効率的であることが分かる。この理由は、同時媒体アクセスの試みによって生じる衝突の数と、媒体アクセスに起因したオーバーヘッドとがともに削減されるからである。
一方、特に、レガシー802.11ノードが媒体にアクセスすることを可能にするとともに、802.11axノードもAP以外のノードとの通信を開始することを可能にするために、EDCAアクセス方式及びMU UL OFDMA/RUアクセス方式は共存しなければならない。
EDCAアクセス方式単独では、全てのノードにわたって媒体への公平なアクセスを提供するが、この方式がMU UL OFDMA/RUアクセス方式と関連付けられると、公平性に変動(drift)がもたされる。この理由は、レガシーノードと比較して、802.11axノードは、別のノード、特にAPに許可された送信機会において提供されるリソースユニットを通じてデータを送信する追加の機会を有するからである。
ノード間の公平性を多少でも回復するために、解決策が提案されている。
例えば、2016年7月13日に出願された同時係属中の英国出願第1612151.9号では、アクセスされたリソースユニットを介した(すなわち、UL OFDMA送信を通じた)データの送信に成功すると、少なくとも1つのEDCAパラメーターの現在の値が、異なる値(MU EDCAパラメーター)に変更される。これは、ノードが(従来のEDCA)競合を通じて通信チャネルにアクセスする確率を低減するためである。
この枠組みにおいて、ノードがMU ULメカニズムを用いてそのデータの送信に成功すると直ちに、ノードがEDCAベースの(すなわち、EDCA媒体アクセス方式を用いた)送信を行う確率を低減するメカニズムが提案されている。この低減は、よく知られたEDCAパラメーターを変更することによって行われる。
提案されたメカニズムは、「Proposed text changes for MU EDCA parameters」という題名のIEEE802.11−16/1180文書に記載されているように、アクセスされたMU UL OFDMAリソースユニットにおけるデータの送信の成功に応答して、各送信トラフィックキューをMU EDCAモードに設定する。この設定は、HEMUEDCATimerとして知られている所定の持続時間の間行われる。MU EDCAモードは、それぞれのEDCAパラメーターが、異なるレガシーEDCAモードにおいて用いられるレガシー値と異なるMU値に設定されるモードである。
レガシーEDCA競合アクセスモードからMU EDCAモードに切り替えるために、ノードは、アクセスされたリソースユニットにおける幾つかのデータの送信に成功した全てのトラフィックキューの当該ノードのEDCAパラメーター(AIFSN、CWmin、及び/又はCWmax)を変更することができる。レガシーEDCAモードへの切り替え復帰は、HEMUEDCATimerの満了時に行うことができる。このタイマーは、ノードが、APによって提供される新たにアクセスされたリソースユニットの間に新たなデータを(いずれかのACから)再び送信するごとに、その初期値にリセットされることに留意されたい。HEMUEDCATimerの初期化値は、MU UL送信の幾つかの新たな機会を包含するために大きな値(例えば、数十ミリ秒)が提案されている。
EDCAパラメーターのMU値は、APによって、専用の情報要素において送信することができる。この情報要素は、通常はネットワーク情報をノードにブロードキャストするビーコンフレーム内で送信される。
開示された手法は、各送信トラフィックキューのAIFSNの値のみを増加させる一方、CWmin及びCWmaxは変更せずに維持することを提案している。対応するAIFS期間が増加すると、媒体が再び使用されていないことが検知されると、MU EDCAモードにある各トラフィックキューは、そのキューバックオフ値又はカウンターがデクリメントされないようにされる(又は少なくとも大幅に遅延される)。EDCAアクセス方式を用いた媒体への新たなアクセスは、上述の所定の持続時間の間は、統計的に大幅に削減されるか、又はもはや不可能でさえある。
MUモードAIFSN値は、非常に限定的であり得る。そのため、媒体がほとんどの時間ビジーである(したがって、非常に短い時間しか空いていない)高密度環境では、MU EDCAモードにあるノードは、対応する非常に限定的なAIFS期間の間待機しなければならず、したがって、MU EDCAモードでは、ACキューのバックオフ値をあまり頻繁にデクリメントしない。その結果、ノードは、媒体へのEDCAアクセス競合をあまり頻繁に行うことができない。
公開文献における特定の構成は、送信トラフィックキューが、MU EDCAモードにある間、媒体にEDCAアクセスすることを完全に防止する(ネットワークが全く用いられていない場合を除く)傾向があることに留意されたい。APは、MU EDCAパラメーターのセット内のAIFSNパラメーターの特定の値(通常は0)を示すことによって、この特定の動作モードを指定する。そのような特定の値は、ノードについて、当該ノードがそのAIFSNの非常に大きな値を用いることを意味する。この値は、APによって送信されるHEMUEDCATimerに等しい(その値は、レガシーEDCAモードにおける最低のAIFS[i]の0.1ミリ秒未満と比較して大きく、約数十ミリ秒であるべきであることを想起されたい)。
あいにく、ノードが、OFDMA RUに定期的にアクセスしてデータを送信する限り、MU EDCAモードにあるそのトラフィックキューは同じMUモードに留まる。これは、特に、定期的なOFDMAアクセスの非常に長くなる可能性がある期間にわたって、アクセスされたOFDMA RUにおいてデータを一様に送信しないMUモードにあるトラフィックキューについて当てはまる。これは、802.11e標準規格に記載されているようなQoS原理に反する。
次に、この状況を、図5aを参照して説明する。図5aは、上述の刊行物に記載されているようなMU EDCAパラメーターを用いた用途の一例を記載している。
この図のシナリオでは、AP501は、AC_VIアクセスカテゴリーからの幾つかのQoSデータを送信するようにノードに要求する標準化されたトリガーフレーム1300を送信することによってノード502をポーリングする。これは、1つ以上のスケジューリングされたRUをそのノードに提供することによって行うことができる。カテゴリーは、図13に示す「優先AC」フィールド1330に示すことができる。
SIFS時間の後、ノード502は、要請されたトラフィックキューAC_VIから幾つかのQoSデータ(511)をピックアップすることによってMU UL OFDMA送信510を開始する。この例示的なシナリオでは、要請されたトラフィックキューAC_VIには、送信の準備ができている十分なQoSデータが存在しない。この状況において、ノード502は、より高い優先度のトラフィックキュー、例えば、この例ではAC_VOアクセスカテゴリーから他のQoSデータ(512)を取り出すことが可能にされる。このデータ取り出し規則によって、802.11標準規格において指定されているような帯域幅使用率を最大にすることが可能になる。
したがって、ノード502は、スケジューリングされたRUを用いてAC_VIデータ511及びAC_VOデータ512をAPに送信する。対応する2つの送信トラフィックキューAC_VI及びAC_VOは、したがって、MU EDCAモードに切り替わり(黒色のボックス内に白色の文字(figures)によってシンボル化されている)、ノード502は、この時、これらの送信トラフィックキューのそれぞれにMU EDCAパラメーターを用いる。特に、AIFSNパラメーターのより大きな値を用いることができ、任意選択でCWminパラメーター及びCWminパラメーターのより大きな値を用いることができる。
これと並行して、ノード502が、レガシーEDCAパラメーターを有するレガシーEDCAモードに切り替え復帰することが可能になると、HEMUEDCATimer590が始動され、カウントダウンする。この切り替え復帰は、所定の持続時間が満了した後、すなわち、HEMUEDCATimerが0に達すると、行うことができる。
一方、HEMUEDCATimerは、ノード502が、通信チャネル上でAPに許可された任意の後続の送信機会内にAPによって提供されるアクセスされたリソースユニットにおいてデータを送信するごとに、その初期値(所定の持続時間)に再初期化される。換言すれば、タイマーは、ノード502がAPによって再びポーリングされるごとに再初期化される。
これは、図5aの例では、HEMUEDCATimer590がまだ満了していない間に、AP501が、ノード502の新たなRUを用いて新たなトリガーフレーム1300−2を送信するときに行われる。APは、AC_VIアクセスカテゴリーからのQoSデータを送信するノード502を再びポーリングする。
ノード502は、AC_VIアクセスカテゴリーからのQoSデータ520を再び送信し、HEMUEDCATimer590は、所定の持続時間であるその初期値に再初期化される。同じことは、AP501が、新たなトリガーフレーム1300−3を送信することによって、AC_VIアクセスカテゴリーからの新たなQoSデータを送信するノード502を再びポーリングすると行われる。
このシナリオでは、ノード502は、AC_VIからのQoSデータのOFDMA送信を得るためにAPによって定期的にポーリングされる。最終的には、十分なデータがAC_VIカテゴリーによって提供される限り、AC_VOカテゴリーが新たなOFDMA送信に関与することは決してなく、MU EDCAモードではブロックされたままとなる。
加えて、そのMUモードAIFSN値(通常はより限定的な値、すなわち、大きな値)に起因して、トラフィックキューAC_VOは、媒体をEDCA競合するための関連付けられたバックオフ値をデクリメントすることができないようにされる(又は極度に遅延される)。
その結果、本質的に最も高いQoS優先度を有するAC_VOカテゴリーは、そのデータを送信する新たなEDCA機会を有することなく、MU EDCAモードではロックされたままである。したがって、802.11axのQoS要件は、深刻に悪化したままである。
本発明が、MUモードにあるトラフィックキューがAPによる定期的なノードポーリングの場合にロックされるHEMUEDCATimerの単一性を壊すことによってQoSの公平性を回復することを提案することはこの枠組みに含まれる。
特に、通信チャネル上で別のノードに許可された1つ以上の送信機会内に、当該別のノードによって提供される1つ以上のアクセスされたリソースユニットのそれぞれにおいて、2つ以上のトラフィックキューに記憶されたデータを送信する(好ましくは、送信に成功する)と、ノード502は、各送信トラフィックキュー(すなわち、アクセスされたリソースユニットにおいて送信するトラフィックキュー)を、この送信トラフィックキューに関連付けられたそれぞれのタイマーによってカウントダウンされる所定の持続時間の間、レガシーEDCAモードと異なるMU EDCAモードに設定することができる。次に、いずれかのタイマーが満了すると、ノード502は、関連付けられたトラフィックキューを、それぞれのEDCAパラメーターがレガシー値の設定復帰されるレガシーEDCAモードに切り替え復帰させることができる。
本発明は、このように、各タイマーがトラフィックキューのうちの1つに関連付けられている複数のタイマーを有するノードを提供する。特定のHEMUEDCATimerが各ACキュー用に専用化されているので、各ACキューは、他のACキューとは独立にMU EDCAモードを終了することができる。したがって、ACキューレベルにおけるQoSが回復される。
次に、本発明の1つの実施態様の結果を、図5bを参照して説明する。図5bは、図5aと同じシーケンスを用いて、独立したHEMUEDCATimerのハンドリングを通じてQoSを回復することを記載している。
最初のTF1300の後、双方の送信トラフィックキューAC_VI及びAC_VOは、MU EDCAモードにある。それらのそれぞれのHEMUEDCATimer、すなわち、AC_VI用のHEMUEDCATimer591及びAC_VO用のHEMUEDCATimer592は、各それぞれのトラフィックキューが、レガシーEDCAパラメーターを有するレガシーEDCAモードに切り替え復帰することが可能になると、同時に始動され、カウントダウンする。
本発明によれば、これらの個別のタイマーの進みは互いに独立している。
以下で説明するように、AC_VI及びAC_VOに関連付けられたこれらの2つのタイマーを初期化するのに、異なる所定の持続時間を用いることができる。これは、QoS管理を改善するためである。
したがって、次のTF1300−2が受信され、AC_VIデータが、APによる要求に応じて、アクセスされたOFDMA RUにおいて送信されると、AC_VIに関連付けられたHEMUEDCATimer591は、その対応する所定の初期持続時間を用いて再初期化される一方、AC_VOに関連付けられたHEMUEDCATimer592は、時の経過を継続する(なぜならば、VOデータは、TF1300−2の後に、アクセスされたRUにおいて送信されていないからである)。
結果として、AC_VOに関連付けられたHEMUEDCATimer592は、AC_VIに関連付けられたHEMUEDCATimer591よりも前に満了し、トラフィックキューAC_VOに対するMU EDCA制約は解除される。実際に、トラフィックキューAC_VOは、レガシーEDCAパラメーターが用いられるレガシーEDCAモードに切り替え復帰される。したがって、AC_VOトラフィックキューのバックオフ値を通常通り減少させて、AC_VOキューが媒体を効率的に競合することを可能にすることができる。
図6は、本発明の少なくとも1つの実施形態を実施するように構成された無線ネットワーク100の通信デバイス600を概略的に示している。通信デバイス600は、好ましくは、マイクロコンピューター、ワークステーション又は軽量ポータブルデバイス等のデバイスとすることができる。通信デバイス600は、通信バス613を備える。この通信バスには、好ましくは、以下のものが接続されている。
・マイクロプロセッサ等のCPUで示される中央処理装置611;
・本発明を実施するコンピュータープログラムを記憶する、ROMで示される読み出し専用メモリ607;
・本発明の実施形態による方法の実行可能コードと、本発明の実施形態による方法を実施するのに必要な変数及びパラメーターを記録するように適合されたレジスタとを記憶する、RAMで示されるランダムアクセスメモリ612;及び
・デジタルデータパケット若しくはデジタルデータフレーム又は制御フレームが送信される無線通信ネットワーク100、例えば、802.11axプロトコルに従った無線通信ネットワークに接続された少なくとも1つの通信インターフェース602。
フレームは、CPU611において動作しているソフトウェアアプリケーションの制御下で、RAM612内のFIFO送信メモリから送信用のネットワークインターフェースに書き込まれるか、又は、受信用のネットワークインターフェースから読み取られて、RAM612内のFIFO受信メモリ内に書き込まれる。
任意選択で、通信デバイス600は、以下の構成要素も備えることができる。
・本発明の1つ以上の実施形態による方法を実施するコンピュータープログラムを記憶するハードディスク等のデータ記憶手段604;
・ディスク606からのデータの読み出し又はこのディスク上へのデータの書き込みを行うように適合された、ディスク606のディスクドライブ605;
・復号化されたデータを表示し、及び/又は、キーボード610若しくは他の任意のポインティング手段によるユーザーとのグラフィカルインターフェースとしての機能を果たす、画面609。
通信デバイス600は、任意選択で、例えばデジタルカメラ608等の様々な周辺機器に接続することができる。各周辺機器は、通信デバイス600にデータを供給するために入力/出力カード(図示せず)に接続される。
好ましくは、通信バスは、通信デバイス600に含まれるか又は接続された様々な要素間の通信及び相互運用性を提供する。バスという表現は限定ではなく、特に、中央処理装置は、命令を通信デバイス600の任意の要素に直接又は通信デバイス600の別の要素によって通信するように動作可能である。
ディスク606は、任意選択で、例えば、再書き込み可能若しくは再書き込み不能なコンパクトディスク(CD−ROM)、ZIPディスク、USBキー又はメモリカード等の任意の情報媒体と取り替えることができ、包括的に言えば、情報記憶手段と取り替えることができる。この情報記憶手段は、マイクロコンピューター又はマイクロプロセッサによって読み取ることができ、装置内の組み込まれている場合もあるしそうでない場合もあり、場合によっては着脱可能であり、実行されると、本発明による方法を実施することを可能にする1つ以上のプログラムを記憶するように適合されている。
実行可能コードは、任意選択で、読み出し専用メモリ607、ハードディスク604、又は例えば前述したようなディスク606等の着脱可能デジタル媒体のいずれかに記憶することができる。任意選択の変形形態によれば、プログラムの実行可能コードは、実行される前に、ハードディスク604等の通信デバイス600の記憶手段のうちの1つに記憶するために、通信ネットワーク603を用いてインターフェース602を介して受信することができる。
中央処理装置611は、好ましくは、本発明による単数又は複数のプログラムのソフトウェアコードの命令又は部分の実行を制御及び指示するように適合されている。それらの命令は、前述の記憶手段のうちの1つに記憶されている。電源が投入されると、不揮発性メモリ、例えば、ハードディスク604又は読み出し専用メモリ607に記憶された単数又は複数のプログラムは、ランダムアクセスメモリ612内に転送され、ランダムアクセスメモリ612は、その後、単数又は複数のプログラムの実行可能コードと、本発明を実施するのに必要な変数及びパラメーターを記憶するレジスタとを含む。
好ましい実施形態では、本装置は、ソフトウェアを用いて本発明を実施するプログラマブルな装置である。ただし、代替的に、本発明は、ハードウェア(例えば、特定用途向け集積回路、すなわちASICの形態)で実施することもできる。
図7は、本発明を少なくとも部分的に実行するように適合された通信デバイス又はノード600、特にノード100〜107のうちの1つのアーキテクチャを概略的に示すブロック図である。図示するように、ノード600は、物理(PHY)レイヤブロック703、MACレイヤブロック702、及びアプリケーションレイヤブロック701を備える。
PHYレイヤブロック703(ここでは、802.11標準化PHYレイヤ)は、フレームをフォーマットし、フレームを任意の20MHzチャネル若しくは複合チャネル上に変調し、又は任意の20MHzチャネル若しくは複合チャネルから復調し、さらに、用いられる無線媒体100を介してフレームを送受信するタスクを有する。フレームは、802.11フレーム、例えば、許可された送信機会におけるリソースユニットを規定する媒体アクセストリガーフレームTF430、レガシー802.11局とインタラクトする20MHz幅に基づくMACデータ管理フレーム、及びその無線媒体との間の20MHzレガシーよりも小さな幅(通常は2MHz又は5MHz)を有するOFDMAタイプのMACデータフレームのMACデータ管理フレームとすることができる。
MACレイヤブロック又はコントローラー702は、好ましくは、従来の802.11ax MAC動作を実施するMAC802.11レイヤ704と、本発明を少なくとも部分的に実行する追加のブロック705とを備える。MACレイヤブロック702は、任意選択で、ソフトウェアで実施することができる。このソフトウェアは、RAM512内にロードされ、CPU511によって実行される。
好ましくは、MU EDCAモード管理モジュール705と呼ばれる追加のブロックが、ノード600に関する本発明の部分、すなわち、レガシーモード及びMU EDCAモードの2つのモード間の切り替えの管理と、MU EDCAモードにある各トラフィックキューを制御するのに用いられる様々なタイマーのハンドリングとを実施する。
APの観点から、このMU EDCAモード管理モジュール705は、EDCAパラメーターのレガシー値のセット及びこのレガシー値のセットと異なるEDCAパラメーターのMU値のセット、並びにMU EDCAモードに入るノードを、少なくとも対応する持続時間、そのようなモードに留まるようにするHEMUEDCATimerの初期化値のセットをノードに送信するために提供することができる。したがって、これらの値は、各ノードのトラフィックキューのうちの1つが、それぞれのEDCAパラメーターがレガシー値に設定されたレガシーEDCAモードと、関連付けられた初期化値に基づいて初期化されて関連付けられたタイマーによってカウントダウンされる所定の持続時間の間維持される、それぞれのEDCAパラメーターがMU値に設定されたMU EDCAモードとの間で切り替わるときに、各ノードを、自身を構成するように駆動する。
MAC802.11レイヤ704及びMU EDCAモード管理モジュール705は、キューバックオフエンジンをハンドリングするチャネルアクセスモジュールと、以下で説明するようなRUバックオフエンジンをハンドリングするRUアクセスモジュールとの管理を提供するために互いにインタラクトする。
図の上部において、アプリケーションレイヤブロック701は、データパケット、例えばビデオストリームのデータパケットを生成及び受信するアプリケーションを実行する。アプリケーションレイヤブロック701は、ISO標準化に従ったMACレイヤの上にある全てのスタックレイヤを代表する。
次に、様々な例示的な実施形態を用いて本発明の実施形態を説明する。提案された例は、マルチユーザーアップリンク送信用にAPによって送信されたトリガーフレーム430(図4参照)を用いるが、同等のメカニズムは、集中型環境又はアドホック環境(すなわち、APを有しない)において用いることができる。これは、APに関して以下で説明する動作を、アドホック環境における任意のノードが実行することができることを意味する。
これらの実施形態は、主として、OFDMAリソースユニットを考慮することによってIEEE802.11axに関して説明される。しかしながら、本発明の用途は、IEEE802.11axと関連したものに限定されるものではない。
また、本発明は、必ずしも、802.11axにおいて説明されているようなMUアクセス方式の使用に依拠するものではない。同じ媒体へのノードによる同時アクセスを可能にする代替の媒体アクセス方式を規定した他の任意のRUアクセス方式も用いることができる。
MU値のセットは、レガシー値のセットよりも限定的にすることができ、その結果、MU EDCAモードにあるトラフィックキューがEDCA競合アクセス方式を用いて媒体にアクセスする頻度はより少なくなる。
一方、MU値のセットは、幾つかの実施形態では、より許容的にすることもできる。
明瞭にするために、以下の説明は、より限定的であるMU値のセットに焦点を当てている。この状況において、MU EDCAモードは「縮退」モードと呼ばれる一方、レガシーEDCAモードは「非縮退」モードと呼ばれる。
図8は、本発明の実施形態による通信ノード600の一例示的な送信ブロックを示している。
上述したように、ノードは、チャネルアクセスモジュールを備え、場合によってRUアクセスモジュールを備えることもある。これらの双方のモジュールは、MACレイヤブロック702において実施される。チャネルアクセスモジュールは、以下のものを備える。
異なる優先度にあるデータトラフィックをサービングする複数のトラフィックキュー210;
複数のキューバックオフエンジン211。各キューバックオフエンジンは、EDCAパラメーターを用いるそれぞれのトラフィックキューに関連付けられ、特に、それぞれのトラフィックキューに記憶されたデータを送信するために、少なくとも1つの通信チャネルにアクセス競合するのに用いられるそれぞれのキューバックオフ値を計算するそれぞれのトラフィックキューに関連付けられている。これはEDCAアクセス方式である。
本発明の実施形態によれば、各キューバックオフエンジン211は、それ自身のHEMUEDCATimer2110を有する。これは、ノードが複数のタイマーを備え、各タイマーがトラフィックキューのうちの1つに関連付けられていることを意味する。
また、本発明の教示に従ってEDCAパラメーターを更新することによって縮退MU EDCAモードとレガシーEDCAモードとの間の切り替えをハンドリングするEDCAモードスイッチ213が、ノード内に設けられる。このEDCAモードスイッチは、ノードによるRUにおける各OFDMA送信に応答して動作する。
RUアクセスモジュールは、キューバックオフエンジンとは別個のRUバックオフエンジン800を備える。このRUバックオフエンジン800は、RU競合パラメーターを用いて、特に、いずれかのトラフィックキューに記憶されたデータをOFDMA RUにおいて送信するために、受信されたTF(例えば、APによって送信されたもの)に規定されたOFDMAランダムリソースユニットにアクセス競合するのに用いられるRUバックオフ値を計算する。RUバックオフエンジン800は、OFDMAマクサー801と呼ばれる送信モジュールに関連付けられている。例えば、OFDMAマクサー801は、以下で説明するRUバックオフ値OBOが0に達すると、ACキュー210から送信されるデータの選択を担当する。
従来のACキューバックオフレジスタ211は、媒体アクセス要求をEDCAプロトコル(チャネル競合アクセス方式)に沿って駆動するとともに、これと並行して、RUバックオフエンジン800は、媒体アクセス要求をOFDMAマルチユーザープロトコル(RU競合アクセス方式)上に駆動する。
これらの2つの競合アクセス方式は共存するので、送信元ノードは、以下のバックオフ値の計算に基づく衝突回避を有する媒体アクセスメカニズムを実施する。
−通信媒体がアイドルであると検出された後であって媒体にアクセスする前に、(DIFS期間に加えて)ノードが待機するタイムスロットの数に対応するキューバックオフカウンター値。これは、縮退状態にあるか又は非縮退状態にあるかにかかわらずEDCAである。
−TXOPが、RUから形成された複合チャネルに対してAP又は他の任意のノードに許可された後であって、媒体にアクセスする前に、ノードが検出するアイドルなランダムRUの数に対応するRUバックオフカウンター値(OBO)。これはOFDMAである。アイドルなランダムRUの数に基づくOBOのカウントダウンに対する一変形形態は、時間ベースのカウントダウンに基づくことができる。
図9は、送信する新たなデータを受信したときにノード600のMACレイヤ702によって実行される主なステップを、フローチャートを用いて示している。この図は、802.11に関連した従来のFIFOフィーディングを示している。
まず開始時において、いずれのトラフィックキュー210も、送信するデータを記憶していない。結果として、キューバックオフ値211は計算されていない。対応するキューバックオフエンジン又は対応するAC(アクセスカテゴリー)は非アクティブであると言われる。データがトラフィックキューに記憶されると直ちに、キューバックオフ値が(対応するキューバックオフパラメーターから)計算され、関連付けられたキューバックオフエンジン又はACはアクティブであると言われる。
ノードが、媒体上で送信される準備ができたデータを有するとき、このデータは、ACキュー210のうちの1つに記憶され、関連付けられたバックオフ211が更新されることになる。
ステップ901において、新たなデータが、デバイス上で動作しているアプリケーション(例えば、アプリケーションレイヤ701)、別のネットワークインターフェース、又は他の任意のデータ送信元から受信される。この新たなデータは、ノードによって送信の準備がなされる。
ステップ902において、ノードは、どのACキュー210にデータを記憶するべきかを決定する。この動作は、通常、(図3bに示す照合に従って)データにアタッチされたTID(トラフィック識別子)値を調べることによって行われる。
次に、ステップ903は、決定されたACキューにデータを記憶する。これは、データが、当該データと同じデータタイプを有するACキューに記憶されることを意味する。
ステップ904において、従来の802.11ACバックオフ計算が、決定されたACキューに関連付けられたキューバックオフエンジンによって実行される。
決定されたACキューが、ステップ903の記憶の直前に空であった(すなわち、ACが当初非アクティブである)場合、対応するバックオフカウンターの新たなキューバックオフ値を計算する必要がある。
ノードは、したがって、キューバックオフ値を、範囲[0,CW]内で選択されるランダム値に等しくなるように計算する。ここで、CWは、(802.11標準規格に規定されているように)検討対象のアクセスカテゴリーのCWの現在の値である。ここで、キューバックオフ値は、異なるアクセスカテゴリーの相対優先度を実施するために、AIFSN(MU EDCAモードでは縮退している場合がある)に加算されることを想起されたい。CWは、選択範囲[CWmin,CWmax]から選択される輻輳ウインドウ値であり、双方の境界CWmin及びCWmax(場合によって縮退している)は、検討対象のアクセスカテゴリーに依存する。
その結果、ACはアクティブにされる。
上記パラメーターCW、CWmin、CWmax、AIFSN、及びバックオフ値は、各ACに関連付けられたEDCAパラメーター及び変数を形成する。それらは、異なるデータカテゴリーの媒体にアクセスする相対優先度を設定するのに用いられる。
EDCAパラメーター(例えば、CWmin、CWmax、及びAIFSN)は、通常は固定値を有する一方、EDCA変数(CW及びバックオフ値)は、時間及び媒体の可用性とともに変化する。上記から直ちに明らかであるように、本発明は、EDCAパラメーターの縮退パラメーター値と非縮退パラメーター値との間の切り替えを通じて漸進的変化を提供する。
また、ステップ904は、必要な場合には、RUバックオフ値OBOを計算することも含むことができる。RUバックオフエンジン800が(例えば、先行ステップ903までトラフィックキューにデータがなかったために)非アクティブであった場合及びAPを宛先とする新たなデータが受信された場合に、RUバックオフ値OBOを計算する必要がある。
RUバックオフ値OBOは、EDCAバックオフ値と同様の方法で、すなわち、専用の競合ウインドウ[0,CWO]及び選択範囲[CWOmin,CWOmax]等の専用のRU競合パラメーターを用いて、計算することができる。
幾つかの実施形態は、リソースユニットを通じて送信することができる(すなわち、MU UL OFDMA送信と互換性がある)データと、送信することができないデータとの間の区別を提供することができることに留意されたい。そのような判定は、ステップ902の間に行うことができ、対応するマーキングアイテムを、記憶されたデータに追加することができる。
そのような場合、RUバックオフ値OBOは、新たに記憶されたデータが、MU UL OFDMA送信と互換性を有するものとしてマーキングされた場合にのみ計算される。
ステップ904の次に、図9のプロセスは終了する。
データがACキューに記憶されると、ノードは、図10を参照して以下で説明するようにEDCAアクセス方式(レガシーEDCAモード又は縮退MU EDCAモードのいずれかを有する)を通じて、又は、図11を参照して以下で説明するように1つ以上のトリガーフレームによりAPによって提供されるリソースユニットを通じて、媒体に直接アクセスすることができる。
図10は、(レガシー又は縮退MU)EDCA媒体アクセス方式に基づいて媒体にアクセスするステップを、フローチャートを用いて示している。
ステップ1000〜1020は、共有無線媒体上での衝突を削減するためにEDCAメカニズムに導入された従来の待機を示している。ステップ1000において、ノード600は、媒体を検知して、媒体が利用可能になる(すなわち、検出されたエネルギーがプライマリチャネル上で所与の閾値を下回る)のを待機する。
媒体が、AIFS[i]期間(DIFS期間及びAIFSN[i]期間を含む。図3a参照)の間に使用されていない状態になると、ステップ1010が実行され、このステップにおいて、ノード600は、全てのアクティブな(非ゼロの)AC[]キューバックオフカウンター211を1つだけデクリメントする。換言すれば、ノードは、通信チャネルがアイドルとして検出される基本時間単位ごとにキューバックオフ値をデクリメントする。
次に、ステップ1020において、ノード600は、ACバックオフカウンターのうちの少なくとも1つが0に達しているか否かを判断する。
ACキューバックオフが0に達していない場合、ノード600は、別のバックオフタイムスロット(通常9μs)を待機し、したがって、次のバックオフタイムスロットの間に媒体を再び検知するためにステップ1000にループして戻る。これによって、媒体がアイドルとして検知された各新たなバックオフタイムスロットにおいて、それらのそれぞれのAIFS[i]が満了すると直ちに、ACバックオフカウンターをデクリメントすることが可能になる。
少なくとも1つのACキューバックオフが0に達した場合、ステップ1030が実行され、このステップにおいて、ノード600(より正確には、仮想衝突ハンドラー212)は、0のキューバックオフカウンター及び最も高い優先度を有するアクティブACキューを選択する。
ステップ1040において、この選択されるACから、TXOPの帯域幅と一致するように送信のための適切な量のデータが選択される。
次に、ステップ1050において、ノード600は、例えば、RTS/CTS交換の実行に成功して、TXOPが許可された場合に、EDCA送信を開始する。ノード600は、したがって、許可されたTXOPの間に、選択されたデータを媒体上で送信する。
次に、ステップ1060において、ノード600は、EDCA送信が終了したか否かを判断し、終了した場合、ステップ1070が実行される。
ステップ1070において、ノード600は、送信のステータス(肯定的ack若しくは否定的ack、又はackが受信されない)に基づいて、選択されたトラフィックキューの競合ウインドウCWを更新する。通常、ノード600は、CWが、データのACタイプに依存する最大値CWmax(縮退又は非縮退のいずれか)に達するまで、送信が失敗した場合にCWの値を2倍にする。他方、EDCA送信が成功した場合、競合ウインドウCWは、同じくデータのACタイプに依存する最小値CWmin(縮退又は非縮退のいずれか)に設定される。
次に、選択されたトラフィックキューが、EDCAデータの送信後に空でない場合、新たな関連付けられたキューバックオフカウンターが、ステップ904と同様に、[0,CW]からランダムに選択される。
これによって、図10のプロセスは終了する。
図11は、RUを規定するトリガーフレームを受信すると、RUアクセス方式又はOFDMAアクセス方式に基づいてリソースユニットにアクセスするステップを、フローチャートを用いて示している。例えば、これは、図5bにおけるノード502の挙動を示している。
ステップ1110において、ノードは、トリガーフレームが通信ネットワーク内のアクセスポイントから受信されたか否かを判断する。このトリガーフレームは、通信チャネル上でアクセスポイントに許可された送信機会を予約し、通信チャネルを形成するリソースユニットRUを規定するものである。受信された場合、ノードは、受信されたトリガーフレームの内容を分析する。
ステップ1120において、ノードは、受信されたトリガーフレームに規定されたRUのうちの1つを介してデータを送信することができるか否かを判断する。この判断は、特にRUのタイプに関する2つの条件のうちの一方又は双方を伴うことができる。
受信されたTFの内容を分析することによって、ノードは、規定されたRUが、アクセスポイントによってノードに割り当てられるスケジューリングされたリソースユニットであるか否かを判断する。これは、受信されたTF内にそれ自身のAIDを探すことによって行うことができる。このAIDは、MU UL OFDMA送信に用いられる特定のスケジューリングされたRUに関連付けられている。
また、受信されたTFの内容を分析することによって、ノードは、1つ以上のランダムRU、すなわち、そのアクセスが専用のRU競合パラメーター(上述のOBO値800を含む)を用いた競合を通じて行われるRUが、TF内に規定されているか否かを判断する。その場合、ノードは、その現在のOBO値800によって、1つのランダムRUを選択することが可能になる(例えば、OBO800がTF内のランダムRUの数未満である)か否かも判断する。
1つのスケジューリングされたRUがノードに割り当てられている場合、すなわち、ノードが1つのランダムRUにアクセスすることを(競合後に)許可されている場合、このノードは、用いられるランダムな/スケジューリングされた単数又は複数のRUのサイズを求め、ステップ1130が実行される。そうでない場合、ノードは、受信されたトリガーフレームに規定されたランダムリソースユニットの数に基づいてRUバックオフ値OBO800をデクリメントし、ノードは、受信されたTFによって規定されたRUにアクセスすることができないので、プロセスは終了する。
ステップ1130において、ノードは、送信されるデータが選択されるトラフィックキュー210のうちの少なくとも1つを選択し、データの量が、用いられる選択されたリソースユニットのサイズに達するまで、選択された単数又は複数のキューのデータを送信バッファーに加える。
現在のトラフィックキューを選択する様々な基準が関与することができる。
例えば、これは、以下によって行うことができる。
関連付けられた最も小さなキューバックオフ値を有するトラフィックキュー210を選択すること。トラフィックキューの選択は、上記のように、EDCAバックオフ211の値に依存し、それによって、ノードがEDCA原理を順守すること、及び、正しいQoSがそのデータについて実施されることが保証される);
トラフィックキューから1つの非空のトラフィックキューをランダムに選択すること;
最大量のデータを記憶する(すなわち、最も多くロードされる)トラフィックキューを選択すること;
(図3bに示すACカテゴリーを所与として)関連付けられた最も高いトラフィック優先度を有する非空のトラフィックキューを選択すること;
選択するデータが送信されるリソースユニットに関連したデータタイプと一致するデータタイプに関連した非空のトラフィックキューを選択すること。そのような指定されたデータタイプは、例えば、AC優先レベルフィールドが1に設定されているとき、図13の優先ACフィールド1340を用いて、トリガーフレームにおいてAPによって示されたトラフィックキューとすることができる。これは、図5bの例において用いられる選択基準である。
ステップ1130に続いて、ステップ1140は、ノードが、ステップ1130において選択されるデータが得られる現在のトラフィックキューを挿入することによって放出/送信キューのリストを設定又は更新することを提供する。このリストは、放出/送信キューの挿入の順序を維持し、例えば、最初の放出/送信キュー(ステップ1030において選択された最初のキュー)と、後続の放出/送信キューとを容易に識別することができるようにしている。
加えて、ノードは、ステップ1140の間に、RUにおいて送信される、現在のトラフィックキューから上記のように選択されるデータの量を表す情報項目を記憶することができる。例えば、ノードは、現在のトラフィックキューから選択されるデータの量も挿入することによって放出キューのリストを更新する。
この放出/送信キューのリストは、送信キューのランク(「プライマリ」キュー又は「セカンダリ」キューに簡略化することができる)と、送信バッファーに置かれるデータの量とをトラフィックキューごとに含む表によって実施することができる。
ステップ1150において、ノードは、送信バッファーに記憶されたデータの量が、選択されたリソースユニットを満たすのに十分であるか否かを判断する。
十分でない場合、そのリソースユニットには、データを追加する余地がまだある。したがって、プロセスは、ステップ1130にループして戻し、このステップの間に、同じ選択基準を用いて別のトラフィックキューを選択することができる。そのような方法で、送信バッファーは、選択されたリソースユニットのサイズに達するまで漸次満たされる。
したがって、同じノードの複数の送信トラフィックキューがMU UL OFDMA送信の間に関与することができ、それによって、複数のキューがMU EDCAモードに入ることが分かる。
2つ以上のトラフィックキューからのデータの混合を回避する(すなわち、選択されたRUのデータが単一のトラフィックキューから選択される)一変形形態では、パディングデータを追加して、選択されたRUを完全に満たすことができる。これは、RUの持続時間全体が、レガシーノードによって検出することができるエネルギーを有することを確保するためである。
特定のデータ集約規則を実施する別の変形形態では、最初に選択されたトラフィックキューが、アクセスされたリソースユニットを完全に満たすのに十分なデータを有していない場合、より高い優先度のトラフィックキューからのデータを選択することができる。
選択されたRUの送信バッファーが満たされると、ステップ1160は、送信バッファーに記憶されたデータのAPへのMU UL OFDMA送信を開始する。このOFDMA送信は、OFDMAサブチャネルと、受信されたトリガーフレーム、特にRU定義に規定された変調とに基づいている。
次に、送信が実行され、好ましくは、送信が成功する(すなわち、確認応答がAPから受信される)と、ステップ1170は、単数又は複数のトラフィックキューの1つ以上のEDCAパラメーターの単数又は複数の値を単数又は複数のペナルティー値に変更するために、それらのEDCAパラメーターに適用される単数又は複数の新たな値を求める。
ステップ1140においてリストに追加された送信キューは、したがって、MU EDCAモードに入り、これは、それらのEDCAパラメーターセット又は「キュー競合」パラメーターセットが、特に、求められる縮退パラメーター値に変更されるべきであることを意味する。1つ以上の送信キューは既にMU EDCAモードにある場合がある。しかしながら、縮退パラメーター値が同様に求められることになる(それらの縮退パラメーター値は、新たな縮退値を有する、近時に受信されたビーコンフレームによって変更することができる)。
ステップ1170の間、縮退パラメーター値が求められる。
実施形態では、MU EDCAモードに設定されていないトラフィックキューに用いられるEDCAパラメーターの非縮退値と比較して、EDCAパラメーターの縮退値は、縮退した調停フレーム間スペース数AIFSNを含む。換言すれば、送信キューのAIFSNは縮退値に設定される。
幾つかの実施形態では、AIFSNは、MU EDCAモードに切り替わったときに変更される唯一のパラメーターである。これは、EDCAパラメーターの縮退値が、レガシーEDCAモードに用いられる非縮退値と同じ下側境界CWmin及び/又は上側境界CWmaxを含むことを意味する。CWmin及びCWmaxはともに、競合ウインドウのサイズが選択される選択範囲を規定する。
このステップに用いられる縮退値は、好ましくは、通常、APによって送信されたビーコンフレームの一部を形成する、最後に受信された専用情報要素において選択される。したがって、各ビーコンフレームが通信ネットワークについてのネットワーク情報を複数のノードにブロードキャストし、ノードがアクセスポイントからこのビーコンフレームを周期的に受信する場合、受信されたビーコンフレームは、上記のように、通常、非縮退(又はレガシーEDCA)値に加えて、MU EDCAモードに切り替わる複数のトラフィックキューのEDCAパラメーターの縮退値を含む。
そのような縮退値がAPから受信されない場合、標準規格に記載されているようなデフォルト設定値を用いることができる。
ステップ1170は、各送信トラフィックキューACの所定の縮退持続時間HEMUEDCATimer[AC]値を求めることも含む。この持続時間は、ノードが、関連付けられた縮退トラフィックキューのMU EDCAモードに留まらなければならない期間を規定する。この情報は、APから、例えば、以下の図14b又は図14cに示すような受信されたビーコンフレームの特定の専用情報要素から取得することもできる。
ステップ1170に続いて、ステップ1180は、送信トラフィックキュー(複数の場合もある)に関連付けられたEDCAパラメーターの現在の値を、ステップ1170において求められた縮退値に実際に置き換える。
パラメーターCWmin及び/又はCWmaxが新たな値を有する場合、1つ以上のトラフィックキューの現在のCWは期限切れである場合がある。その場合、新たに規定された範囲[CWmin,CWmax]から新たなCWを選択することができる。
次に、ステップ1190において、各送信トラフィックキュー210に関連付けられたタイマー2110が、ステップ1170において求められたそれぞれの所定の縮退持続時間HEMUEDCATimer[AC]によって初期化される。タイマー2110は、その後、始動され、時間が進むにつれて連続的に経過する。
ステップ1180が実行されたときにタイマーが既に経過していた場合(関連付けられたトラフィックキューが既にMU EDCAモードにあったことを意味する)、次のHEMUEDCATimer[AC]期間の間、ノードをMU EDCAモードに維持するために、タイマーは、再びHEMUEDCATimer[AC]値に再初期化(すなわち、リセット)されることに留意されたい。これは、図5bの例におけるタイマー591の場合である。
図12は、上記例において非縮退レガシーモードに切り替え復帰するキューレベルにおけるノード管理を、フローチャートを用いて示している。この管理は、関係しているトラフィックキューACに専用のHEMUEDCATimer[AC]に基づいている。実際、トラフィックキューACは、このタイマーHEMUEDCATimer[AC]が経過していない限り、MU EDCAモードに留まることができる。
したがって、ステップ1210において、HEMUEDCATimer[AC]が経過/満了したか否か、すなわち、値0に達したか否かが確認される。
経過/満了している場合、トラフィックキューACは、ステップ1220においてEDCAモードに切り替え復帰される。これは、例えば、以下の図14aのビーコンフレームを用いてAPによってノードに提供されるような非縮退値にEDCAパラメーターをリセットすることを含むことができる。
新たな各ステップ1190におけるタイマーの再初期化に起因して、HEMUEDCATimer[AC]の満了は、トラフィックキューACからのデータが、所定の縮退持続時間の間にAPに許可された後続のTXOP内にAPによって提供されるOFDMAリソースユニットにおいてノードから送信されないときにのみ発生することに留意されたい。
次に、プロセスは、ステップ1230において終了する。
図12のプロセスは、縮退MU EDCAモード(すなわち、タイマーが経過しているモード)においてトラフィックキューごとに並列に独立して実行される。この理由は、タイマー2110が本発明の教示によれば別々になっているからである。
図13は、802.11axドラフト標準規格に規定されているようなトリガーフレームの構造を示している。
トリガーフレーム1300は、ユーザー情報フィールド(User Info Field)と呼ばれる専用フィールド1310からなる。このフィールドは、「AC優先レベル(AC Preference Level)」フィールド1330と「優先AC(Preferred AC)」フィールド1340とを含む「トリガー依存共通情報(Trigger dependent Common info)」フィールド1320を含む。
優先ACフィールド1340は、データが、ノードによって、トリガーフレーム内のそのノードに割り当てられたRUにおいて送信されるべきACキューを示す2ビットフィールド(0〜3の値)である。
AC優先レベルフィールド1330は、優先ACフィールド1340の値が意味を有するものであるか否かを示すビットである。フィールド1340が1に設定されている場合、ノードは、ステップ1130においてデータを選択するときに優先ACフィールド1340を考慮すべきである。フィールド1330が0に設定されている場合、ノードは、優先ACフィールド1340の値を問わず、いずれかのACキューからのデータを送信することが可能にされる。
トリガーフレームの他のフィールドは、802.11ax標準規格に規定されている。
APは、EDCAモード及びMU EDCAモードの双方のEDCAパラメーターと、トラフィックキュー210に関連付けられたタイマー2110を初期化又はリセットするのに用いられる1つ以上の初期化値とをブロードキャストすることも担当することができる。APは、好ましくは、802.11セル内の全てのノードを構成することに専用化されたよく知られたビーコンフレームを用いてブロードキャストを実行する。APが、EDCAパラメーターをブロードキャストすることができない場合、ノードは、802.11ax標準規格に規定されているようなデフォルト設定値にフォールバックするように構成されていることに留意されたい。
図14aは、ビーコンフレームにおいてEDCAのパラメーターを記述するのに用いられる標準化された情報要素1410の構造を示している。
フィールド1411、1412、1413、1414は、各トラフィックキュー210に関連付けられたパラメーターを記述する。トラフィックキューごとに、サブフィールド1415が、EDCAパラメーター、すなわち、関連付けられたバックオフ値の減少を開始する前の遅延としてのAIFSNと、最小CWmin及び最大CWmax競合ウインドウの値としてのECWmin及びECWmaxと、最後に、802.11デバイスの最大送信データ時間としてのTXOP制限とを含む。
情報要素の他の全てのフィールドは、802.11標準規格に記載されたものである。
図14bは、本発明による縮退EDCAパラメーター値と、全てのトラフィックキューのタイマーHEMUEDCATimer[AC]の共通の初期化値とを送信する専用情報要素1420の一例示的な構造を示している。専用情報要素1420は、APによって送信されるビーコンフレームに含めることができる。
専用情報要素1420は、各ACキューについて、MU EDCAモードにあるノードによって用いられる縮退EDCAパラメーター(1421、1422、1423、1424)を含む。この専用情報要素は、HEMUEDCATimerの共通の初期化値を指定するサブフィールド1425も含む。
各サブフィールド1421、1422、1423、1424は、対応するトラフィックキューの縮退AIFSN値と、縮退ECWmin値及び縮退ECWmax値(これらはレガシーEDCA値と同じものとすることができる)とを含む。
この実施形態では、それぞれのトラフィックキューACに関連付けられたタイマーHEMUEDCATimer[AC]を初期化するのに用いられる所定の縮退持続時間は、APから受信された共通の初期化値1425と、それぞれの各トラフィックキューに固有の調整パラメーターとから計算される。
異なる調整パラメーターを用いることによって、2つのそれぞれのトラフィックキューに関連付けられたタイマーを初期化するのに用いられる異なる所定の縮退持続時間を取得することができる。
1つの実施形態では、APによって提供されるような共通の初期化値に、各トラフィックキューACの優先度に基づく定数値(調整パラメーター)を乗算することができる。例えば、定数値は、AC_VOアクセスカテゴリー及びAC_VIアクセスカテゴリーについては1に等しいものとすることができ、AC_BEアクセスカテゴリー及びAC_BGアクセスカテゴリーについては3に等しいものとすることができる。
図14cは、本発明による縮退EDCAパラメーター値と、ノードによって実施される各タイマーHEMUEDCATimer[AC]の1つの初期化値とを送信する専用情報要素1430の別の例示的な構造を示している。専用情報要素1430は、APによって送信されるビーコンフレームに含めることができる。
専用情報要素1430は、各ACキューについて、MU EDCAモードにあるノードによって用いられる縮退パラメーター(1431、1432、1433、1434)を含む。この専用情報要素は、HEMUEDCATimerの共通の初期化値を指定するサブフィールド1425も含む。
各サブフィールド1431、1432、1433、1434は、対応するトラフィックキューの縮退AIFSN値と、縮退ECWmin値及び縮退ECWmax値(これらはレガシーEDCA値と同じものとすることができる)と、最後に、関係しているトラフィックキューのHEMUEDCATimerに用いられる初期化値とを含む。
これは、APが、各トラフィックキューの専用初期化値を計算し、その後、送信することを担当することを意味する。この実施形態では、それぞれのトラフィックキューに関連付けられたタイマーHEMUEDCATimer[AC]を初期化するのに用いられる所定の縮退持続時間は、APから直接受信されたそれぞれの初期化値に設定される。
QoS管理を改善するために、APによって計算される初期化値は、好ましくは、各ACの優先度に基づいている。
本発明は、上記において、特定の実施形態に関して説明されてきたが、本発明は、これらの特定の実施形態に限定されるものではなく、当業者には、本発明の範囲内にある変更形態が明らかであろう。
例えば、EDCAパラメーター及び縮退MU EDCAパラメーターは、上記説明では、同じビーコンフレームの専用情報要素においてブロードキャストされるが、変形形態は、EDCAパラメーターを送信するビーコンフレームと、縮退MU EDCAパラメーターをブロードキャストする別のビーコンフレームとを交互にすることを考えることができる。
上記例示の実施形態を参照すると、当業者には、多くの更なる変更形態及び変形形態が想起される。なお、上記例示の実施形態は、専ら例としてのみ与えられ、本発明の範囲を限定することを意図するものはなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ画定される。特に、異なる実施形態からの異なる特徴は、必要に応じて交換することができる。
特許請求の範囲において、「備える/含む」という用語は、他の要素もステップも除外するものではなく、個数が指定されていないものは、単数及び複数のものを含む。異なる特徴が互いに異なる従属請求項に列挙されていることのみをもって、これらの特徴の組み合わせを有利に用いることができないことを示すものではない。