JP6770833B2 - 酸素含有量の低い生体用電極 - Google Patents

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Description

本発明は、電気的に活性な医療用デバイスのためのインプラント可能な生体用電極に関する。この電極は、電気性能の向上のために改善された表面トポグラフィを有する。こうした電極は、刺激電極として、例えばペースメーカー又は医学的状態のセンサとして人体に永久的にインプラントされ得るデバイスに好適である。本発明は、表面積を増大させて後電位分極(after−potential polarization)を低下させるため、中実のソリッドなモノリシック電極材料の表面へ超高速高エネルギーパルスを適用したことによって達成される。
いくつかの一般的に使用される電極基板金属では、電極の性能に有害な影響を及ぼす酸化及び腐食反応が、生体内(in vivo)で発生し得る。本発明は、高エネルギーパルスを介してこれらの材料を加工し、特定の環境において上記材料を処理しながら、その性能を高め、電極性能に有害な酸化及び腐食の影響を抑制する。
組織への刺激付与、又は、電気的バイオリズムを検知するために使用される電極であって、活性を有しつつインプラント可能なデバイスを製造することが、商業的に大きな関心が寄せられている。このインプラント可能な電極の電気性能は、体内組織と接触する外部の表面積を増大させることで向上させることができる。インプラント可能な電極の表面積を増大させることで、電極の二重層キャパシタンスを増大させ、後電位分極を低減することができる。そして、これによりデバイスの電池寿命を増大させ、又は、捕獲閾値をより低くしてR波及びP波等の特定の電気信号の感知を改善することができることが知られている。
電極の表面積を増大させ、それにより後電位分極を低減させる方法としては、コーティングを施すことが当該技術分野で知られている。これにより後電位分極が低減し、その結果、より低い電圧で電荷転送を増大させることが可能となり電荷転送効率が増大する。これは、神経学的な刺激において特に重要である。
二重層キャパシタンスは、通常、電気化学インピーダンス分光法を用いて測定される。この方法では、電極が電解槽内に浸漬され、小さい周期的な波が電極にかけられる。この電極/電解液システムの電流及び電圧応答を測定して、二重層キャパシタンスを判定する。キャパシタンスは、低周波数(10Hz未満)のインピーダンスで最も重要な要因であり、したがってキャパシタンスは通常、0.001Hz〜1Hzの周波数で測定される。
近年、インプラント可能な電極は、生体適合性を有する公知の金属から構成されている。適切な条件下でレーザー曝露することにより、このような電極の表面積を増加させることが知られている。
しかし、曝露法での問題は、曝露雰囲気が空気であるか大量の酸素を含むことであり、これにより電極表面上及びその近傍に金属酸化物が形成され、性能が不十分になるという問題がある。本発明の電極では、不要な金属酸化物量は大幅に低減され、実質的には排除されている。この結果を達成する1つの方法は、酸素含有量が大幅に低減又は排除された雰囲気中でレーザー曝露を行うことである。気体雰囲気の選択は、反応チャンバ内の酸素を置換するか、あるいは電極金属と反応させて実質的に非酸化物表面を形成すること、のいずれかにより可能である。
現在のところ、インプラント可能な電極の表面積を増大させるための技術としては、電極基板の表面に適切なコーティングを適用することである。このコーティングに伴う主な問題としては、基板とコーティング材料をつなぎ合わせて両者を付着させることに関するものである。
この点について、特許文献1(米国特許第5,571,158号)は、有効表面積が電極の幾何学的な基本形状によって画定される表面積より実質的に大きい、多孔質の表面コーティングを有する刺激電極について示している。
特許文献2(米国特許第6,799,076号)は、基板の少なくとも一部分を覆う第1の層と、第1の層の少なくとも一部分を覆う第2の層とを含む基板を有する電極について開示している。第1の層は、チタン、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル、又はタングステンの炭化物、窒化物、又は炭窒化物からなる。第2の層は、イリジウムを含む。
特許文献3(米国特許第5,318,572号)は、高効率で組織を刺激して信号を感知する電極について教示している。この技術では、リードが白金イリジウムの多孔質の電極を有し、表面内に凹状の領域又は溝が形成される。これらの溝は、障害を形成して心内膜組織を捕獲する結果、迅速に電極を安定化することができる。ベース電極の表面上に、直径20〜200μmの球形の粒子からなる少なくとも1つの多孔質のコーティング層を堆積させると、長期的な組織内殖を促す多孔質の微細構造が得られる。微細構造の表面コーティングを施し、電気化学分極を減らして電気キャパシタンスを増大させることによって、有効表面積を増大させ、電気効率を向上させる。
米国特許第5,571,158号 米国特許第6,799,076号 米国特許第5,318,572号 米国特許出願公開第2011/0160821号
これらの先行技術に関して特に懸念される問題としては、コーティングの一セクションが使用中に剥離又は外れて刺激性になる可能性があることである。この点、基板に対するコーティングの付着性を試験する場合には、高価な試験片を破壊することが必要であり、また、試験方法及びサンプリングを有効にするためには統計学的エビデンスが必要である。
一方、コーティングに対して代替可能な手段として、電極基板材料自体を変質させることが考えられる。この手段によれば、コーティングの不十分な接着性の問題は取り除かれ、使用中におけるコーティング成分の剥離・外れの可能性は削減される。
しかしながら、コーティングによらずに電極の改質表面を作製しようとするこれまでの試みは、機械的制限のために失敗しているというのが現状である。例えば、特許文献4(米国特許出願公開第2011/0160821号)では、表面をレーザーでエッチングし、表面形体に25000nm〜250000nmのリッジ(隆起)を作製する方法が開示されている。しかし、好適な電極とするためには、表面形状はサブミリメートル、例えば約1nm〜約1000nmである必要がある。また、他の文献は電極表面のレーザー焼灼術を教示しているが、そのような技術は本発明のナノメートルスケールの形状寸法を達成することは不可能である。
本発明は表面に超高速エネルギーパルスを印加することによってこれらの問題を解決する。現在では、超高速レーザーにより送られたエネルギーパルスが組織刺激に理想的な50nm〜500nm程度の表面構造を生成することが見出されている。このプロセスはレーザエッチング及び材料の除去では達成されないが、表面の再構築では達成される。特許文献4(米国特許公開第2011/0160821号)のレーザエッチングプロセスでは、表面はレーザー衝突を介して改変され、最小形状は集束レーザービームのサイズと同等になるように形成することが可能であるが、これはレーザー波長、通常200〜1600nmによって制限される。
本発明では、電気性能の向上のために所望の表面トポグラフィを形成する際に重要な因子として、3段階での表面構造の形態を示すことを見出した。この表面構造に関する3段階の形態は、ナノ構造、ミクロ構造、及び、マクロ構造の観点から説明される。
ナノ構造は、丸い管(円筒)又は球状の小球として現れるナノ小球として表現される。これは外観がほぼ粉末状であるが、表面に非常によく接着されている。ナノ小球の真球度は、1スポット当たりのレーザー照射パルス数が増加するにつれ減少する。
これらのナノ小球は、レーザーの波長によって決定される周期的パターンで、ヒロック(hillock:小丘)状のミクロ構造上に重ねられる。波長が短くになるにつれて、パターンの周期は小さくなる。このミクロ構造パターンは、メサ(mesas:台地)状の幾分大きなマクロ構造上に重ねられる。
更に詳細に述べると、マクロ突起(マクロ構造)の幅は約0.15μm〜約50μmの範囲であり、ミクロ突起(ミクロ構造)の幅は約0.15μm〜約5μmの範囲であり、ナノ突起(ナノ小球)の幅は約0.01μm〜約1μmの範囲である。本発明の実施形態の基板表面のように、これらの外側方向に伸長する突出部又は隆起に加えて、基板表面の内側方向に下方に伸長するボイド(空隙)も有していてもよい。
以上の通り、本発明は、電極であって、ソリッドなモノリシック基板が外周面を有し、前記外周面は、前記外周面の周りに分散し前記外周面から外側に向かって伸長する複数の不連続なマクロ突起によって規定されるトポグラフィを有し、前記マクロ突起は、幅が0.15μm〜50μmの範囲であり、前記マクロ突起上に、前記マクロ突起から外側に向かって伸長する複数の不連続なミクロ突起が分散し、前記ミクロ突起は、幅が0.15μm〜5μmの範囲であり、更に、前記ミクロ突起上に、前記ミクロ突起から外側に向かって伸長する複数の不連続なナノ突起が分散し、前記ナノ突起は、幅が0.01μm〜1μmの範囲であり、前記基板は、チタン、ニッケル、ジルコニウム、クロム、ニオブ、モリブデン、タンタル、ハフニウム、イリジウム、コバルト、白金、鋼、若しくはそれらの合金もしくは組合せの少なくとも1種、又はチタン、アルミニウム及びバナジウムの合金、白金及びイリジウムの合金、ニッケル及びコバルトの合金、チタン、チタンの合金、タンタル;ニッケル、コバルト、クロム、モリブデンの合金又はそれらの組合せ、を含む生体適合性の金属を含むものであり、前記基板の酸素含有量は、金属酸化物の形態で最大20原子%である電極に関する。
更に、本発明は、電極を製造する方法を提供するものである。この方法は、外周面を有するソリッドなモノリシック基板を提供する工程を含むものであり、前記基板は、チタン、ニッケル、ジルコニウム、クロム、ニオブ、モリブデン、タンタル、ハフニウム、イリジウム、コバルト、白金、鋼、又はそれらの合金もしくは組合せの少なくとも1種、又はチタン、アルミニウム及びバナジウムの合金、白金及びイリジウムの合金、ニッケル及びコバルトの合金、チタン、チタンの合金、タンタル;ニッケル、コバルト、クロム、モリブデンの合金又はそれらの組合せ、を含む生体適合性金属を含むものであり、基板を提供する工程に次いで、暴露工程を含むものであって、前記暴露工程は、レーザースポット径が1μm〜1000μmの範囲であり、1スポット当たりのレーザー照射パルス数は10〜1500パルスの範囲であり、パルス波長は200nm〜1500nmの範囲であり、パルス幅は1フェムト秒〜5ピコ秒の範囲である、レーザー照射のパルスに前記外周面を曝露させるものであり、放射照度は200ワット/cm〜5000ワット/cmであり、外周面に対する前記曝露工程は、少なくとも80重量%の窒素、水素、キセノン、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭化水素、又はそれらの組合せの少なくとも1種を含む気体雰囲気中で行うものであり、それにより、前記外周面に分散し前記外周面から外側に向かって伸長し、幅が0.15μm〜50μmの範囲である複数の不連続マクロ突起を有し、前記マクロ突起に分散し前記マクロ突起から外側に向かって伸長し、幅が0.15μm〜5μmの範囲である複数の不連続ミクロ突起を有し、前記ミクロ突起に分散し前記ミクロ突起から外側に向かって伸長し、幅が0.01μm〜1μmの範囲である複数の不連続ナノ突起を有する、トポグラフィの外周面が提供され、 前記金属基板の酸素含有量を、金属酸化物の形態で最大20原子%とする、方法である。
以上説明した本発明は、好適なトポグラフィの外周面を有する電極である。この電極は、従来のコーティングによる電極が抱えていた不十分な接着性の問題を回避することができる。
インプラントされた生体用電極の表面形態は、周囲組織との相互作用を改善するように設計されている。 本発明は、感染可能性の低減等の生物学的利点、及び、電気伝達の改善等の機能的利点を提供する。
本発明は、多様な波長で動作するフェムト秒レーザー曝露により白金等の生体適合性の金属に対して形状を付与する。本発明は、電極の有効表面積を最大にしつつ、後電位分極の影響を最小にし、それにより電荷転送効率を高める最適な表面形状を達成する。これらにより、先行技術による通常の表面修飾より有利な性能を実現する。
後電位分極とは、ペースメーカー等のデバイスから電極に刺激パルスをかけた後に電極上に残っている電圧である。後電位分極は、どれだけ効率的に電荷が組織内へ注入されるかを示す尺度となる。
医療用電極における電荷転送方法は、電極の表面上に形成された電気二重層キャパシタンスの充電及び放電によって行われることが知られている。この層は、刺激すべき組織が主に水、Na、K、及びClからなる障壁によって電極表面から分離される簡単な平行板モデルであると考えることができる。この層の厚さは、体内の電解液の濃度によって左右され、したがって電極の動作寿命にわたって均一である。0.9%の生理的食塩水、即ち体液に溶解させた導電体によって形成される電気二重層の厚さは、1nm程度であり、正常な体の電解液中に形成される二重層キャパシタンスの予期される厚さは、約0.5nm〜約10nm、より典型的には約5〜約6nmになるはずである。
典型的な人間の細胞のサイズは、約5000nm〜約10000nm程度である。細胞は、電気二重層よりはるかに大きく、電極表面よりはるかに小さいため、電極の表面に対して平行になると考えることができる。非極性の電解液(電気二重層内に存在するが関与しない電解液)が増大するにつれて、組織−電極システムのインピーダンスも増大する。これは、液抵抗として知られている。インピーダンスが増大する結果、液抵抗経路に沿って電圧が放散するため、有効電荷転送は小さくなる。このインピーダンスを最小にするには、刺激すべき組織を電極表面に可能な限り近接させるべきである。したがって、これらの目的のため、電極表面を平坦にし、組織に対して平行に配置することが好ましい。
そこで本発明は、外周表面を有するソリッドなモノリシック基板を備える電極を提供する。基板は、哺乳動物の組織内にインプラントするのに適した生体適合性の金属を含む。その例としては、チタン、ニッケル、ジルコニウム、クロム、ニオブ、モリブデン、タンタル、ハフニウム、イリジウム、コバルト、白金、鋼の少なくとも1種、又はそれらの合金もしくは組合せ、又はチタン、アルミニウム及びバナジウムの合金、白金及びイリジウムの合金、ニッケル、コバルト、チタンの合金、チタン、タンタルの合金;ニッケル、コバルト、クロム、モリブデン合金又はそれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。基板は少なくとも70重量%の金属を含み、この金属は白金であることが好ましい。
一実施形態では、電極の外周面の面積は約1mm〜約20mm、好ましくは約3mm〜約12mmである。電極は、チューブ状、平坦、キノコ状、又は螺旋状の形状等の任意の好適な構成又は形態をとることが可能である。
外周面は、外周面に分散し外周面から外側に向かって伸長した複数の不連続マクロ突起によって規定されるトポグラフィを有する。
一実施形態では、マクロ突起は、ソリッドなモノリシック基板の外周面の全域に実質的に均等に分散している。一実施形態では、マクロ突起の幅は約0.15μm〜約50μmの範囲である。別の実施形態では、マクロ突起の幅は約0.2μm〜約30μmの範囲である。更に別の実施形態では、マクロ突起の幅は約1μm〜約20μmの範囲である。
複数の不連続ミクロ突起は、マクロ突起上に分散しており、マクロ突起から外側に向かって伸長している。一実施形態では、ミクロ突起の幅は約0.15μm〜約5μmの範囲である。別の実施形態では、ミクロ突起の幅は約0.2μm〜約2μmの範囲である。更に別の実施形態では、ミクロ突起の幅は約0.4μm〜約1.5μmの範囲である。一実施形態では、ミクロ突起は、ミクロ突起の高さの周期的な波の形態でマクロ突起の全域に分散している。周期的な波が発生し、レーザー照射の波長により制御されると考えられている。
複数の不連続ナノ突起は、ミクロ突起上に分散しており、ミクロ突起から外側に向かって伸長している。一実施形態では、ナノ突起の幅は約0.01μm〜約1μmの範囲である。別の実施形態では、ナノ突起の幅は約0.02μm〜約1μmの範囲である。更に別の実施形態では、ナノ突起の幅は約0.075μm〜約0.8μmの範囲である。一実施形態では、ナノ突起は管状及び/又は球状の形態でミクロ突起全域に分散している。ナノ突起は、パルス数及びパルス持続時間によって発生し、制御できると考えられている。特定の理論に捉われることなく、マクロ、ミクロ及びナノ突起は、基板表面へのレーザードリルボイドにより形成され、次いでボイドからの材料がこれらの突起として基板表面に再堆積すると考えられている。
本発明の別の実施形態では、基板表面から外側に向かって伸長しているこれらの不連続マクロ、ミクロ及びナノ突起以外に、レーザーによって誘起されたボイドのアレイが形成される場合もある。このボイドの長さ及び深さは使用されたレーザーパラメータに依存する。従って、この実施形態では、外周表面に、マクロ、ミクロ、及びナノ突起に加えて、外周表面の周りに分配された複数のボイドを有するトポグラフィを有する。ボイドの深さは約50nm〜約500nm、好ましくは約100nm〜約250nmである。ボイドの幅は約50nm〜約500nm、好ましくは約100nm〜約250nmである。ボイドは隣接するボイドと約50nm〜約250nmの距離をとって離間している。
本発明に係る電極は、生体適合性金属のソリッドなモノリシック基板の外周面をレーザー照射のパルスに曝露することによって製造される。一実施形態では、レーザーのスポット径は約1μm〜約1000μmの範囲である。別の実施形態では、レーザーのスポット径は約2μm〜約250μmの範囲であり、更に別の実施形態では、レーザーのスポット径は約5μm〜約200μmの範囲である。
一実施形態では、1スポット当たりのレーザー照射パルス数は約10〜約1500パルスの範囲である。別の実施形態では、1スポット当たりのレーザー照射パルス数は約20〜約1000の範囲であり、更に別の実施形態では、1スポット当たりのレーザー照射パルス数は約100〜約500の範囲である。
一実施形態では、レーザーのパルス波長は約200nm〜約1500nmの範囲である。別の実施形態では、パルス波長は約400〜約1000の範囲であり、更に別の実施形態では、パルス波長は約400〜約800の範囲である。
一実施形態では、レーザーパルス幅は約1フェムト秒〜約5ピコ秒の範囲である。別の実施形態では、レーザーパルス幅は約1フェムト秒〜約3ピコ秒の範囲である。
一実施形態では、レーザー放射照度は約200ワット/cm〜約5000ワット/cmの範囲である。
レーザーの曝露は、約50mm/分〜約1000mm/分の速度で固体モノリシック基板の外周面にレーザー照射スポットを横断させることで行ない得る。但し、速度は本発明にとって重要ではなく、本発明の方法のコストに関連した効果的実行に影響を与えるだけである。
好適なレーザーの例としては、Coherent Libra−F Ti:Sapphire増幅レーザーシステム、Rofin Startfemto、及びCoherent AVIAレーザーが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
本発明によって得られる電極の分極は約1000mV以下、好ましくは約500mV以下、より好ましくは約200mV以下である。電極の分極値が低い程、改善された電気的性能を有し、その表面トポグラフィが最適化されることが分かっている。電極の二重層キャパシタンスが高く、後電位分極効果が低いという望ましい表面特性は、電極の表面積が増加すると改善される。後電位分極が低下すると、低電圧での電荷移動が増加することにより、電荷転送効率が高まる。従って、後電位分極が低減するとデバイスの電池寿命が増大し、特定の電気信号の感知が改善される。
電極性能に有害な影響を及ぼす金属酸化物形成を避けるため、出来る限り酸素を少なくした雰囲気でレーザー曝露を行うことが必要である。基板のレーザー曝露は、窒素、水素、キセノン、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭化水素、又はそれらの組合せの少なくとも1種を含むガス雰囲気中で行うことが好ましい。この雰囲気は、窒素が好ましい。
酸素の置換は、部分的な真空部を形成して酸素を除去し、上記部分的な真空部を上記気体で充填処理して達成可能である。好ましくは、上記雰囲気にはこのような気体が少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも約90重量%、より好ましくは少なくとも約95重量%、更に好ましくは少なくとも約99重量%が含まれる。別の実施形態では、上記雰囲気はこのような気体(単数又は複数)を100%含んでおり、このことは本発明では、酸素等の通常不要とされる他の気体は痕跡量以下しか含まないということである。
製造された電極は、金属酸化物の形態で酸素を20原子パーセント以下、好ましくは約10原子パーセント以下、より好ましくは約5原子パーセント以下、更に好ましくは約1原子パーセント以下含む。別の実施形態では、電極は酸素を約0重量%含み、このことは本発明では、酸素は痕跡量以下しか含まないということである。酸素含有量を測定する1つの方法は、イオンミリングを利用したXPSによって行う。測定を行った後、イオンビームにより表面を粉砕し、新たな表面を露出させる。この工程を、ピークの頂点から下方へ、材料の内部へと300nm続ける。
本発明の電極は、使用時に少なくとも1つの電気コネクタを備え、その端部が基板に電気的に取り付けられる。通常これは、白金、銀、銅等の生体適合性導電性材料、MP35N等の超合金、又はNitrol等の超塑性材料といった好適な材料のワイヤーであっても良い。MP35N合金は、極めて高い張力(最大300ksi[2068Mpa])、良好な延性及び靭性ならびに優れた耐食性を固有に兼ね備えた非磁性のニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金である。またこの合金は、硫化、高温酸化及び水素脆化に対して並外れた耐性を示す。一実施形態では、ワイヤーの他端は心臓ペースメーカー等の電気パルス発生器に接続する。別の実施形態では、ワイヤーの他端は、生物学的条件のセンサ等の電気測定デバイス、又は電圧記録デバイスに接続される。
以下の非限定的な実施例により本発明を説明する。
実施例1
本実施例では、およそ16平方mm表面積のPt10Ir製の近位リング電極を、1030nm波長の35ミクロン径集束レーザー光線に含まれる100μJのエネルギーにより処理した。レーザーのオン時間は、50kHzの繰り返し周波数でおよそ200fsであった。レーザーは100パルスで表面を処理し、その後、次のスポットに移動した。各スポットはx及びyの両方向に35ミクロン離間させ、表面全体が処理されるまで電極を操作した。重複又は隣接するスポット間レーザー照射をもたらす記録上の焦点径と比較すると、実際のエネルギープロファイルの方が大きい。本実施例の環境は大気であった。得られた分極値は45mVであった。
実施例2−比較
本例では、およそ16平方mm表面積のチタン製の近位リング電極を、1030nm波長の35ミクロン径集束レーザー光線に含まれる20μJのエネルギーにより処理した。レーザーのオン時間は、100kHzの繰り返し周波数でおよそ200fsであった。レーザーは100パルスで表面を処理し、その後次のスポットに移動した。各スポットはx及びyの両方向に35ミクロン離間し、表面全体が処理されるまで電極を操作した。重複又は隣接するスポット間レーザー照射をもたらす記録上の焦点径と比較すると、実際のエネルギープロファイルの方が大きい。本例の処理環境は、空気であった。得られた分極値は115mVであった。
実施例3−比較
本例では、およそ16平方mm表面積のチタン製の近位リング電極を、1030nm波長の35ミクロン径集束レーザー光線に含まれる20μJのエネルギーにより処理した。レーザーのオン時間は、100kHzの繰り返し周波数でおよそ200fsであった。レーザーは100パルスで表面を処理し、その後次のスポットに移動した。各スポットはx及びyの両方向に35ミクロン離間し、表面全体が処理されるまで電極を操作した。重複又は隣接するスポット間レーザー照射をもたらす記録上の焦点径と比較すると、実際のエネルギープロファイルの方が大きい。本例の処理環境は、アルゴンであった。得られた分極値は140mVであった。
実施例4
この実施例では、およそ16平方mm表面積のチタン製の近位リング電極を、1030nm波長の35ミクロン径集束レーザー光線に含まれる20μJのエネルギーにより処理した。レーザーのオン時間は、100kHzの繰り返し周波数でおよそ200fsであった。レーザーは100パルスで表面を処理し、その後次のスポットに移動した。各スポットはx及びyの両方向に35ミクロン離間し、表面全体が処理されるまで電極を操作した。重複又は隣接するスポット間レーザー照射をもたらす記録上の焦点径と比較すると、実際のエネルギープロファイルの方が大きい。本実施例の処理環境は、窒素であった。得られた分極値は45mVであった。
実施例5−比較
本例では、およそ16平方mm表面積のチタン製の近位リング電極を、1030nm波長の35ミクロン径集束レーザー光線に含まれる20μJのエネルギーにより処理した。レーザーのオン時間は、100kHzの繰り返し周波数でおよそ200fsであった。レーザーは100パルスで表面を処理し、その後次のスポットに移動した。各スポットはx及びyの両方向に35ミクロン離間し、表面全体が処理されるまで電極を操作した。重複又は隣接するスポット間レーザー照射をもたらす記録上の焦点径と比較すると、実際のエネルギープロファイルの方が大きい。本実施例の処理環境は、酸素であった。得られた分極値は199mVであった。
実施例6−比較
本例では、およそ16平方mm表面積のMP35N(登録商標)製の近位リング電極を、1030nm波長の35ミクロン径集束レーザー光線に含まれる20μJのエネルギーにより処理した。レーザーのオン時間は、100kHzの繰り返し周波数でおよそ200fsであった。レーザーは100パルスで表面を処理し、その後次のスポットに移動した。各スポットはx及びyの両方向に35ミクロン離間し、表面全体が処理されるまで電極を操作した。重複又は隣接するスポット間レーザー照射をもたらす記録上の焦点径と比較すると、実際のエネルギープロファイルの方が大きい。本例の処理環境は、空気であった。得られた分極値は100mVであった。
実施例7
この実施例では、およそ16平方mm表面積のMP35N(登録商標)製の近位リング電極を、1030nm波長の35ミクロン径集束レーザー光線に含まれる20μJのエネルギーにより処理した。レーザーのオン時間は、100kHzの繰り返し周波数でおよそ200fsであった。レーザーは100パルスで表面を処理し、その後次のスポットに移動した。各スポットはx及びyの両方向に35ミクロン離間し、表面全体が処理されるまで電極を操作した。重複又は隣接するスポット間レーザー照射をもたらす記録上の焦点径と比較すると、実際のエネルギープロファイルの方が大きい。本実施例の処理環境は、アルゴンであった。得られた分極値は55mVであった。
実施例8
この実施例では、およそ16平方mm表面積のMP35N(登録商標)製の近位リング電極を、1030nm波長の35ミクロン径集束レーザー光線に含まれる20μJのエネルギーにより処理した。レーザーのオン時間は、100kHzの繰り返し周波数でおよそ200fsであった。レーザーは100パルスで表面を処理し、その後次のスポットに移動した。各スポットはx及びyの両方向に35ミクロン離間し、表面全体が処理されるまで電極を操作した。重複又は隣接するスポット間レーザー照射をもたらす記録上の焦点径と比較すると、実際のエネルギープロファイルの方が大きい。本実施例の処理環境は、窒素であった。得られた分極値は60mVであった。
実施例9−比較
この例では、およそ16平方mm表面積のMP35N(登録商標)製の近位リング電極を、1030nm波長の35ミクロン径集束レーザー光線に含まれる20μJのエネルギーにより処理した。レーザーのオン時間は、100kHzの繰り返し周波数でおよそ200fsであった。レーザーは100パルスで表面を処理し、その後次のスポットに移動した。各スポットはx及びyの両方向に35ミクロン離間し、表面全体が処理されるまで電極を操作した。重複又は隣接するスポット間レーザー照射をもたらす記録上の焦点径と比較すると、実際のエネルギープロファイルの方が大きい。本例の処理環境は、酸素であった。得られた分極値は115mVであった。
実施例10−比較
この例では、およそ16平方mm表面積の316Lステンレス鋼製の近位リング電極を、1030nm波長の35ミクロン径集束レーザー光線に含まれる20μJのエネルギーにより処理した。レーザーのオン時間は、100kHzの繰り返し周波数でおよそ200fsであった。レーザーは100パルスで表面を処理し、その後次のスポットに移動した。各スポットはx及びyの両方向に35ミクロン離間し、表面全体が処理されるまで電極を操作した。重複又は隣接するスポット間レーザー照射をもたらす記録上の焦点径と比較すると、実際のエネルギープロファイルの方が大きい。本例の処理環境は、空気であった。得られた分極値は105mVであった。
実施例11
この実施例では、およそ16平方mm表面積の316Lステンレス鋼製の近位リング電極を、1030nm波長の35ミクロン径集束レーザー光線に含まれる20μJのエネルギーにより処理した。レーザーのオン時間は、100kHzの繰り返し周波数でおよそ200fsであった。レーザーは100パルスで表面を処理し、その後次のスポットに移動した。各スポットはx及びyの両方向に35ミクロン離間し、表面全体が処理されるまで電極を操作した。重複又は隣接するスポット間レーザー照射をもたらす記録上の焦点径と比較すると、実際のエネルギープロファイルの方が大きい。本実施例の処理環境は、アルゴンであった。得られた分極値は60mVであった。
実施例12
この実施例では、およそ16平方mm表面積の316Lステンレス鋼製の近位リング電極を、1030nm波長の35ミクロン径集束レーザー光線に含まれる20μJのエネルギーにより処理した。レーザーのオン時間は、100kHzの繰り返し周波数でおよそ200fsであった。レーザーは100パルスで表面を処理し、その後次のスポットに移動した。各スポットはx及びyの両方向に35ミクロン離間し、表面全体が処理されるまで電極を操作した。重複又は隣接するスポット間レーザー照射をもたらす記録上の焦点径と比較すると、実際のエネルギープロファイルの方が大きい。本実施例の処理環境は、窒素であった。得られた分極値は65mVであった。
実施例13−比較
この例では、およそ16平方mm表面積の316Lステンレス鋼製の近位リング電極を、1030nm波長の35ミクロン径集束レーザー光線に含まれる20μJのエネルギーにより処理した。レーザーのオン時間は、100kHzの繰り返し周波数でおよそ200fsであった。レーザーは100パルスで表面を処理し、その後次のスポットに移動した。各スポットはx及びyの両方向に35ミクロン離間し、表面全体が処理されるまで電極を操作した。重複又は隣接するスポット間レーザー照射をもたらす記録上の焦点径と比較すると、実際のエネルギープロファイルの方が大きい。本例の処理環境は、酸素であった。得られた分極値は135mVであった。
以上の各実施例の結果を表1に示す。
Figure 0006770833
白金及びその合金製の電極では、そのような材料のコストがそれらの主要な欠点ではあるものの、生体内(in vivo)での酸化又は腐食は非常に少ない。チタン、チタン合金、コバルト/ニッケル合金及び鋼等の他の一般的に使用する費用効果が高い材料では、電極の性能に有害な影響を及ぼす可能性のある酸化及び腐食反応が生体内で発生し得る。上記の実施例は、酸化雰囲気を置換すれば、費用効果の高い材料を使用することが可能になることを示している。
実施例1は、Pt合金製の高性能電極の例として挙げられている。この実施例は他の実施例の基準である。置換気体として窒素を使用した全ての実施例(実施例4、8、12)で、得られた分極値は基準の実施例と同等である。
実施例3、7及び11では、置換気体はアルゴンであった。この置換ガスに関する選択は、実施例7及び11には適していたが、実施例3には適していなかった。チタンは最も広く知られているゲッター材料の1つで、その表面の酸化を制御することが困難である材料である。これに対して、MP35(登録商標)及び316Lは、室温で酸化抵抗性があることが知られている。従って、実施例3の場合、処理中に作業領域から大量の酸素を置換する際にアルゴンでは効果が無い。更に、気体が良好に混合できないことから、アルゴンの原子量が不適当な条件を引き起したという仮説が立つ。
酸素を置換するために窒素を使用した実施例4では、チタン電極は、室温での自然酸化物の増加を防止する安定的なTiN化合物を形成するという利点を有する。結論として、電極の酸化や腐食が抑制されさえすれば、白金又は白金合金から成る電極に代わる費用効果的な代替手段が実現可能となる。例としては、処理雰囲気を置換することで、チタン、316L及びMP35N製の電極により白金合金の性能と同様の性能が達成されることが分かった。
以上、好ましい実施形態を参照して本発明が詳細に示され記載されたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、種々の変化及び変更が行われ得ることが当業者には容易に理解される。特許請求の範囲は、開示された実施形態、上記で議論された代替及びそれらのすべての等価物をカバーすると解釈されることが意図される。
本発明に係る電極は、良好な活性を有しつつインプラント可能な電極であり、心臓ペースメーカー等の電気パルス生成器、生物学的センサ等の電気測定デバイスや電圧記録デバイスといった各種デバイスに接続することができる。

Claims (19)

  1. 電極であって、
    ソリッドなモノリシック基板が外周面を有し、
    前記外周面は、前記外周面の周りに分散し前記外周面から外側に向かって伸長する複数の不連続なマクロ突起によって規定されるトポグラフィを有し、
    前記マクロ突起は、幅が0.15μm〜50μmの範囲であり、
    前記マクロ突起上に、前記マクロ突起から外側に向かって伸長する複数の不連続なミクロ突起が分散し、
    前記ミクロ突起は、幅が0.15μm〜5μmの範囲であり、
    更に、前記ミクロ突起上に、前記ミクロ突起から外側に向かって伸長する複数の不連続なナノ突起が分散し、
    前記ナノ突起は、幅が0.01μm〜1μmの範囲であり、
    前記基板は、チタン、ニッケル、ジルコニウム、クロム、ニオブ、モリブデン、タンタル、ハフニウム、イリジウム、コバルト、白金、鋼、若しくはそれらの合金もしくは組合せの少なくとも1種、又はチタン、アルミニウム及びバナジウムの合金、白金及びイリジウムの合金、ニッケル及びコバルトの合金、チタン、チタンの合金、タンタル;ニッケル、コバルト、クロム、モリブデンの合金又はそれらの組合せ、を含む生体適合性の金属を含むものであり、
    前記基板の酸素含有量は、金属酸化物の形態で最大20原子%である、インプラント可能な生体用電極。
  2. 金属基板の酸素含有量は、金属酸化物の形態で最大10原子%である請求項1に記載のインプラント可能な生体用電極。
  3. 金属基板は、白金を含む請求項1に記載のインプラント可能な生体用電極。
  4. マクロ突起は、ソリッドなモノリシック基板の外周面全域に実質的に均等に分散している請求項1に記載のインプラント可能な生体用電極。
  5. ミクロ突起は、前記ミクロ突起の高さの周期的な波の形態でマクロ突起全域に分散している請求項1に記載のインプラント可能な生体用電極。
  6. ナノ突起は、管状及び/又は球状の形態でミクロ突起全域に分散している請求項1に記載のインプラント可能な生体用電極。
  7. マクロ突起の幅は、0.2μm〜30μmの範囲であり、
    ミクロ突起の幅は、0.2μm〜2μmの範囲であり、
    ナノ突起の幅は、0.02μm〜1μmの範囲である、請求項1に記載のインプラント可能な生体用電極。
  8. マクロ突起の幅は、1μm〜20μmの範囲であり、
    ミクロ突起の幅は、0.4μm〜1.5μmの範囲であり、
    ナノ突起の幅は、0.075μm〜0.8μmの範囲である、請求項1に記載のインプラント可能な生体用電極。
  9. 外周面は、基板の外周面に分散する複数のボイドを更に有し、
    前記ボイドの深さは、50nm〜500nmであり、
    前記ボイドの幅は、50nm〜500nmであり、
    前記ボイドは、隣接するボイドと50nm〜250nmの距離をとって離間している請求項1に記載のインプラント可能な生体用電極。
  10. 哺乳動物の組織内にインプラントするのに適した構成を有する請求項1に記載のインプラント可能な生体用電極。
  11. 1mm〜20mm面積を有する外周面である請求項1に記載のインプラント可能な生体用電極。
  12. 少なくとも1つの電気コネクタを更に備え、
    前記電気コネクタの端部を基板に電気的に接続した請求項1に記載のインプラント可能な生体用電極。
  13. 電気コネクタの他端に接続した電気パルス発生器を更に含む請求項12に記載のインプラント可能な生体用電極。
  14. 電気コネクタの他端に接続した電気測定機器を更に含む請求項12に記載のインプラント可能な生体用電極。
  15. インプラント可能な生体用電極を製造する方法であって、
    外周面を有するソリッドなモノリシック基板を提供する工程を含むものであり、前記基板は、
    チタン、ニッケル、ジルコニウム、クロム、ニオブ、モリブデン、タンタル、ハフニウム、イリジウム、コバルト、白金、鋼、又はそれらの合金もしくは組合せの少なくとも1種、又はチタン、アルミニウム及びバナジウムの合金、白金及びイリジウムの合金、ニッケル及びコバルトの合金、チタン、チタンの合金、タンタル;ニッケル、コバルト、クロム、モリブデンの合金又はそれらの組合せ、を含む生体適合性金属を含むものであり、
    基板を提供する工程に次いで、暴露工程を含むものであって、
    前記暴露工程は、レーザースポット径が1μm〜1000μmの範囲であり、1スポット当たりのレーザー照射パルス数は10〜1500パルスの範囲であり、パルス波長は200nm〜1500nmの範囲であり、パルス幅は1フェムト秒〜5ピコ秒の範囲である、レーザー照射のパルスに前記外周面を曝露させるものであり、
    放射照度は200ワット/cm〜5000ワット/cmであり、
    外周面に対する前記曝露工程は、少なくとも80重量%の窒素、水素、キセノン、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭化水素、又はそれらの組合せの少なくとも1種を含む気体雰囲気中で行うものであり、
    それにより、前記外周面に分散し前記外周面から外側に向かって伸長し、幅が0.15μm〜50μmの範囲である複数の不連続マクロ突起を有し、
    前記マクロ突起に分散し前記マクロ突起から外側に向かって伸長し、幅が0.15μm〜5μmの範囲である複数の不連続ミクロ突起を有し、
    前記ミクロ突起に分散し前記ミクロ突起から外側に向かって伸長し、幅が0.01μm〜1μmの範囲である複数の不連続ナノ突起を有する、トポグラフィの外周面が提供され、
    前記金属基板の酸素含有量を、金属酸化物の形態で最大20原子%とする、方法。
  16. 曝露は、50mm/分〜1000mm/分の速度でソリッドな固体モノリシック基板の外周面にレーザー照射スポットを横断させることで行われる請求項15に記載の方法。
  17. レーザーのスポット径は、2μm〜250μmの範囲であり、
    1スポット当たりの前記レーザーの照射パルス数は、20〜1000の範囲であり、
    前記レーザーのパルス波長は、400〜1000nmの範囲であり、
    前記レーザーのパルス幅は、1フェムト秒〜3ピコ秒の範囲である請求項15に記載の方法。
  18. 得られた金属基板の酸素含有量は、金属酸化物の形態で最大10原子%である請求項15に記載の方法。
  19. 金属基板は少なくとも70重量%の白金を含み、気体雰囲気は少なくとも70重量%の窒素を含む請求項15に記載の方法。
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