[本技術を適用したワイヤレス給電システムの一実施の形態]
図1は、本技術を適用したワイヤレス給電システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図1において、ワイヤレス給電システムは、送電装置11と受電装置12とを有し、例えば、磁界を利用した方式、すなわち、電磁誘導方式や磁界共鳴方式等で、ワイヤレス給電を行う。
送電装置11は、磁界を利用して、電力を送信するためのコイルである送電コイルを有し、電力を送信する。
受電装置12は、磁界を利用して、電力を受信するためのコイルである受電コイルを有し、送電装置11の近くに置かれた場合に、その送電装置11から送信される電力を受信する。
また、送電装置11、及び、受電装置12は、ワイヤレス給電に影響する異物を検出する異物検出機能を有する。
なお、異物検出機能については、送電装置11、及び、受電装置12のうちの一方だけが、異物検出機能のすべてを有している場合と、送電装置11、及び、受電装置12の両方が、異物検出機能を分担して有している場合とがある。
ここで、図1のワイヤレス給電システムが適用されるシステムとしては、送電装置11としての、例えば、クレードルと、受電装置12としての、例えば、携帯電話機等の携帯端末とのセットや、送電装置11としての、例えば、充電スタンドと、受電装置12としての、例えば、電気自動車とのセット、送電装置11としての、例えば、テレビラックと、受電装置12としてのTV(テレビジョン受像機)とのセット等がある。
また、図1では、1つの送電装置11から、ワイヤレス給電により電力を受信する受電装置として、1つの受電装置12だけを図示してあるが、ワイヤレス給電により電力を受信する受電装置は、複数であっても良い。
複数の受電装置を有するワイヤレス給電システムによれば、送電装置11としての、例えば、トレイ(充電トレイ)に、複数の受電装置としての、例えば、複数の携帯端末を置くことによって、その複数の携帯端末を同時に充電することができる。
[異物検出の検出方法]
図2ないし図4は、ワイヤレス給電の異物検出機能として採用し得る異物検出の検出方法を説明する図である。
ワイヤレス給電の異物検出機能として採用し得る異物検出の検出方法としては、例えば、以下のような方法がある。
すなわち、異物検出の検出方法としては、前述の特許文献1に記載されているように、送電装置側の電流が過電流であるかどうかによって、異物を検出する方法の他、例えば、送電装置11受電装置12との間の温度の閾値処理によって、異物の有無を判定する方法(以下、温度による異物検出法ともいう)がある。
また、異物検出の検出方法としては、例えば、送電装置11から受電装置12を見たときの負荷の変化の閾値処理によって、異物の有無を判定する方法(以下、負荷による異物検出法ともいう)がある。
さらに、異物検出の検出方法としては、例えば、送電装置11と受電装置12との間で光通信が可能かどうかによって、異物の有無を判定する方法(以下、光による異物検出法ともいう)がある。
また、異物検出の検出方法としては、例えば、送電装置11と受電装置12との間を撮影した画像を用いて、異物の有無を判定する方法(以下、画像による異物検出法ともいう)がある。
さらに、異物検出の検出方法としては、例えば、送電装置11から送信される電力に対する、受電装置12で受信される電力の割合を表す電力効率の閾値処理によって、異物の有無を判定する方法(以下、効率による異物検出法ともいう)がある。
また、異物検出の検出方法としては、例えば、受電装置12の受電コイルのQ値(Quality factor)を用いて、異物の有無を判定する方法(以下、Q値による異物検出法ともいう)がある。
さらに、異物検出の検出方法としては、受電装置12の受電コイルの実効抵抗値を用いて、異物の有無を判定する方法(以下、実効抵抗値による異物検出法ともいう)がある。
温度による異物検出法では、サーミスタ等の温度センサが、ワイヤレス給電システムに設けられ、温度センサにおいて、所定値以上の温度が検出されると、異物があると判定される。
なお、温度による異物検出法については、例えば、特開2001-258182号公報に記載されている。
負荷による異物検出法では、受電装置12で負荷変調が行われ、送電装置11において、受電装置12による負荷変調の変調信号に基づいて、送電装置11から受電装置12を見たときの負荷の変化が認識される。そして、送電装置11から受電装置12を見たときの負荷の変化の閾値処理(負荷の変化を閾値と比較する処理)によって、負荷の変化がないとみなせる場合に、異物があると判定される。
なお、負荷による異物検出法については、例えば、特開2008-206231号公報に記載されている。
光による異物検出法では、送電装置11と受電装置12との間で光通信が行われ、その光通信を行うことができない場合に、異物があると判定される。
なお、光による異物検出法については、例えば、特開2001-112190号公報に記載されている。
画像による異物検出法では、例えば、送電装置11と受電装置12との間が撮影され、その結果得られる画像と、あらかじめ撮影された、異物がない状態の画像とを比較することによって、異物の有無が判定される。
効率による異物検出法では、送電装置11、及び、受電装置12それぞれの電圧と電流、ひいては、電力が測定され、送電装置11の電力に対する、受電装置12の電力の割合を表す電力効率が所定の閾値より大(又は、所定の閾値以上)でない場合に、異物があると判定される。
ここで、例えば、温度による異物検出法や、光による異物検出法では、温度や光をセンシングするセンサを、送電装置11や受電装置12において、外部に露出するように取り付ける必要がある場合があり、この場合、送電装置11や受電装置12のデザインに制約が課されることがある。
さらに、ワイヤレス給電を、磁界共鳴方式で行う場合には、ワイヤレス給電を行うことができる範囲が広い(送電装置11と受電装置12との位置関係の自由度が高い)ため、送電装置11や受電装置12において、温度による異物検出法や、光による異物検出法を採用するときには、多数のセンサが必要となって、コストがかかることがある。
一方、例えば、効率による異物検出法では、送電装置11、及び、受電装置12において、電圧と電流を測定することができれば良く、多数のセンサが必要となることや、デザインに制約を課すことがない点で、有利である。
Q値による異物検出法では、受電装置12の受電コイルのQ値(受電装置12の内部から受電コイルを見たときのQ値)が測定され、そのQ値が所定の閾値より大でない場合に、異物があると判定される。
ここで、コイルL(インダクタンスがLのコイル)とコンデンサC(静電容量がCのコンデンサ)とからなる(直列)共振回路のQ値(以下、コイルLのQ値ともいう)は、共振周波数を、fr=1/(2π√(LC))と表すとともに、共振回路の実効抵抗値をrと表すと、式(1)で表される。
Q=2πfrL/r
・・・(1)
コイルLに、金属が近づくと、実効抵抗値rが大になるため、式(1)のQ値は、小さくなる。
いま、受電装置12の受電コイルとして、コイルLを採用した場合には、受電コイルとしてのコイルLのQ値は、金属が近づくこと、その他、式(1)右辺のfr,L,rを変動させる要因が生じない限り、一定になる。
すなわち、受電装置12では、その筐体や内部に金属が含まれている場合があるが、その金属と、受電コイルとの位置関係は、変化しない。したがって、受電コイルとしてのコイルLのQ値は、受電装置12の筐体や内部の金属の影響で、その金属がない場合よりも小さい値にはなるが、変化することはない。
一方、受電装置12には、携帯端末や電気自動車等の様々な用途の製品がなり得るため、筐体に金属を使用しないこととすることは難しいが、送電装置11は、ワイヤレス給電を行うための装置であるため、筐体(特に、受電装置12が近づけられる部分)に、金属を使用しない構成を採用することができる。
この場合、受電装置12を、送電装置11に近づけても、受電装置12の受電コイルとしてのコイルLのQ値は(ほとんど)変化せず、異物としての金属が近づくことのみによって変化する。
すなわち、受電装置12の受電コイルとしてのコイルLは、受電装置12の筐体に含まれる金属等の影響により、固有のQ値を有し、そのQ値は、コイルLに金属が近づけられること等がない限り、一定値となる(変化しない)。
したがって、受電装置12の受電コイルとしてのコイルLに金属が近づけられていない状態での、そのコイルLの固有のQ値(以下、標準Q値ともいう)に基づいて、例えば、その標準Q値のα倍(0<α<1)を、固有のQ値の閾値(以下、閾値Q値ともいう)に決定しておき、コイルLのQ値の、閾値Q値を用いた閾値処理を行うことにより、異物としての金属を精度良く検出することができる。
なお、上述したように、受電装置12について、筐体に金属を使用しないこととすることは難しく、送電装置11には、金属を含む様々な筐体の受電装置12が近づけられる。したがって、送電装置11の送電コイルのQ値は、異物としての金属がある場合の他、金属を含む筐体の受電装置12が近づけられた場合も変化する(小さくなる)。そのため、送電装置11の送電コイルのQ値では、異物としての金属がある場合と、金属を含む筐体の受電装置12が近づけられた場合とを区別することが難しい。
実効抵抗値による異物検出法では、受電装置12の受電コイルの実効抵抗値r(受電装置12の内部から受電コイルを見たときの実効抵抗値r)が測定され、その実効抵抗値rが所定の閾値より小(又は、所定の閾値以下)でない場合に、異物があると判定される。
ここで、式(1)、及び、共振周波数frを表す式fr=1/(2π√(LC))から、受電装置12の受電コイルとして、コイルLを採用した場合の、実効抵抗値rは、式(2)で表される。
r=2πfrL/Q=1/(2πfrCQ)
・・・(2)
したがって、実効抵抗値rは、例えば、インダクタンスLとQ値とから求めることができる。
Q値の場合と同様に、受電装置12の受電コイルとしてのコイルLは、コイルLに金属が近づけられること等がない限り、受電装置12の筐体に含まれる金属等の影響により、固有の実効抵抗値rを有し、その実効抵抗値rは、コイルLに金属が近づけられることによって増加する。
したがって、受電装置12の受電コイルとしてのコイルLに金属が近づけられていない状態での、そのコイルLの実効抵抗値rに基づいて、例えば、その実効抵抗値rのβ倍(2>β>1)を、固有の閾値に決定しておき、コイルLの実効抵抗値rの、閾値を用いた閾値処理を行うことにより、異物としての金属を精度良く検出することができる。
図2は、効率による異物検出法を説明する図である。
すなわち、図2は、送電装置11の送電コイルと、受電装置12の受電コイルとの位置関係を模式的に示している。
いま、図2において、左から右方向をx軸とし、手前から奥の方向をy軸とし、下から上方向をz軸とする3次元座標系において、送電コイルが、原点(0,0,0)に位置していることとする。
また、受電コイルが、z軸上の点(0,0,Z)に位置していることを、受電コイルが、送電コイルに正対している、若しくは、正対状態であるということとする。
さらに、本実施の形態では、説明を簡単にするために、受電コイルのz座標を、所定の値Zに固定する。
受電コイルが、図2左側に示すように、正対状態である場合に、電力効率、すなわち、送電装置11において送信される電力に対する、受電装置12において受信される電力の割合は、最も高くなる。図2では、受電コイルが正対状態である場合の電力効率が、90%になっている。
受電コイルが、図2中央に示すように、送電コイルに正対している位置からずれると、電力効率は、低下する。特に、電磁誘導方式は、位置ずれによる電力効率の変化(低下)が大きい。
一方、受電コイルが正対状態である場合であっても、図2右側に示すように、送電コイルと受電コイルとの間に、異物としての金属等が存在すると、電力効率は、低下する。
効率による異物検出法では、電力効率の低下の原因が、位置ずれ、及び、異物の存在のうちのいずれであるのかを判定することが困難である。
図2では、位置ずれが生じた場合の電力効率が60%になっており、異物が存在する場合の電力効率が70%になっている。
以上のように、位置ずれが生じた場合には、異物が存在する場合よりも、電力効率が低下することがある。
図3は、送電コイルと受電コイルとの位置関係(受電コイルの位置ずれ)と、電力効率(コイル間効率)との関係を示している。
なお、図3では、送電コイルとして、40mm角のコイルを、受電コイルとして、30mm角のコイルを、それぞれ用い、送電コイルと受電コイルとの間の距離(受電コイルのz座標Zとして、4mmを採用した。
図3において、X及びYは、それぞれ、受電コイルのz座標及びy座標を表す。
また、L1は、受電コイルをオープンにしたときの送電コイルのインダクタンス(L2_open)と、受電コイルをショートにしたときの送電コイルのインダクタンス(L2_short)とを表す。
kは、送電コイルと受電コイルとの間の結合係数を表し、Q1及びQ2は、それぞれ、送電コイル及び受電コイルのQ値を表す。
また、図3において、Sは、式S=k×√(Q1×Q2)で表され、以下、S値ともいう。
コイル間効率は、電力効率の一種で、送電コイルに供給される電力に対する、受電コイルで得られる電力の割合を表す。コイル間効率の理論的な最大値ηmaxは、式ηmax=S2/(1+√(1+S2))2で表される。
ここで、電力効率としては、コイル間効率の他、例えば、DC-DC効率がある。
DC-DC効率は、送電装置において、送電コイルから電力を送信するときに使用される直流(DC)の電圧及び電流から求められる電力に対する、受電装置において、受電コイルで受信された電力から取り出される直流(DC)の電圧及び電流から求められる電力の割合を表す。
いま、送電装置において、送電コイルから電力を送信するのに直流の電圧及び電流が与えられる位置から、送電コイルまでの間を、電力が伝送されるときの伝送効率、並びに、受電装置において、受電コイルから、直流の電圧及び電流が取り出される位置までの間を、電力が伝送されるときの伝送効率を、回路効率ということとすると、DC-DC効率は、コイル間効率に、回路効率を乗算することで求めることができる。
例えば、受電コイルの位置ずれの自由度(許容範囲)として、x及びy方向に、それぞれ、10mm程度の自由度をとった場合、電力効率(コイル間効率)は、図3に示すように、最悪で、85.5%になるので、効率による異物検出法において、異物の検出に用いる電力効率の閾値は、85.5%より小さい値の、例えば、85%等に設定される。
この場合、電力効率が、閾値である85%よりも大でなくなると、異物があると判定される。
また、例えば、受電コイルの位置ずれの自由度として、x及びy方向に、それぞれ、15mm程度の自由度をとった場合、電力効率(コイル間効率)は、図3に示すように、最悪で、62.7%になるので、効率による異物検出法において、異物の検出に用いる電力効率の閾値は、62.7%より小さい値の、例えば62%等に設定される。
この場合、電力効率が、閾値である62%よりも大でなくなると、異物があると判定される。
したがって、受電コイルが正対状態になっていて、異物が存在するときの電力効率が、例えば、図2に示したように、70%程度であるとすると、上述したように、位置ずれの自由度を15mm程度だけとって、閾値を、62%に設定した場合には、正対状態で異物が存在していても、電力効率は、閾値である62%よりも大の70%になるため、異物があると判定されず、異物を検出することができない。
以上のように、効率による異物検出法の異物の検出精度は、高いとは言い難い。
さらに、受電装置の受電コイル、その他の回路の製造ばらつき等を考慮すると、所定の位置ずれの自由度を確保するためには、電力効率の閾値は、より小さい値(異物が検出されにくい値)を採用する必要があり、その場合、効率による異物検出法の異物の検出精度は、より低下する。
効率による異物検出法の検出精度を向上させる方法としては、位置ずれの自由度をなくす、又は、小さい値に制限する方法があるが、その場合、ワイヤレス給電のユーザビリティを損なうことになる。
以上のように、効率による異物検出法については、異物の検出精度とユーザビリティとは、トレードオフの関係にある。
なお、本実施の形態では、送電装置11については、上述したように、筐体(特に、受電装置12が近づけられる部分)に、金属を使用しない構成(受電装置12が近づけられたときに、その受電装置の受電コイルのQ値を変動させない構成)が採用されていることとする。
この場合、送電装置11と受電装置12との位置関係は、受電コイルのQ値(Q2)に影響しない。そのため、図3において、受電コイルのQ値(Q2)、すなわち、受電装置12の内部から受電コイルを見たときのQ値は、受電装置12の位置(X,Y)によらず一定値になっている。
図4は、Q値による異物検出法を説明する図である。
上述したように、Q値による異物検出法では、受電装置12の受電コイルとしてのコイルLに金属が近づけられていない状態での、そのコイルLのQ値(標準Q値)に基づいて、閾値(閾値Q値)が決定され、受電コイルのQ値の、閾値Q値を用いた閾値処理を行うことにより、異物としての金属が検出される。
受電装置12の受電コイルは、上述したように、受電装置12の筐体に含まれる金属等の影響により、固有のQ値を有する。そして、受電コイルのQ値は、コイルLに金属が近づけられることによって変化し、送電装置11との間の位置ずれに影響されないので、Q値による異物検出法では、電磁誘導方式、及び、磁界共鳴方式のいずれであっても、ユーザビリティを確保しつつ、異物を精度良く検出することができる。
なお、Q値による異物検出法については、本件出願人が先に出願した特願2011-149465号に記載されている。
ところで、受電コイルのQ値を求めるには、受電装置12において、受電コイルを構成要素とする直列共振回路に電圧を印加し、必要な電圧や電流を測定する必要がある。
受電コイル(を構成要素とする直列共振回路)のQ値は、直列共振回路にかかる電圧、及び、受電コイルにかかる電圧を、それぞれ、V1及びV2と表すこととすると、式(3)で表される。
Q=(V2-V1)/V1
・・・(3)
ここで、直列共振回路を構成する受電コイルのインダクタンス、コンデンサの静電容量、及び、実効抵抗の抵抗値(実効抵抗値)を、それぞれ、L,C、及び、rと表し、直列共振回路に、共振周波数frの電圧が印加されていることとすると、式j2πfrL=1/(j2πfrC)が成り立つので(j=√(-1))、すなわち、受電コイルのインピーダンスj2πfrLと、コンデンサのインピーダンス1/(j2πfLC)とが相殺されるので、直列共振回路にかかる電圧V1は、実効抵抗にかかる電圧vrに等しい。
また、受電コイルにかかる電圧V2は、実効抵抗のない(理想的な)受電コイルの電圧降下vLと、実効抵抗の電圧降下vrとの加算値vL+vrに等しい。
一方、直列共振回路を構成する受電コイル、及び、実効抵抗に流れる電流は等しいので、式vr/r=vL/(2πfrL)が成り立つ。
したがって、式(1)は、式vr/r=vL/(2πfrL)を代入することにより、受電コイルの電圧降下vLと、実効抵抗の電圧降下vrとを用いて、式(4)で表される。
Q=2πfrL/r=vL/vr
・・・(4)
直列共振回路にかかる電圧V1は、実効抵抗にかかる電圧vrに等しく、受電コイルにかかる電圧V2は、受電コイルの電圧降下vLと、実効抵抗の電圧降下vrとの加算値vL+vrに等しいので、実効抵抗にかかる電圧vrは、電圧V1(=vr)で表され、受電コイルの電圧降下vLは、電圧V2-V1(=vL+vr-vr)で表される。
したがって、式(4)のQ値は、電圧V1及びV2を用いて、式(3)(Q=(V2-V1)/V1)で表される。
ここで、直列共振回路に印加されている電圧が、共振周波数frの電圧である場合には、一般に、受電コイルの電圧降下vLは、実効抵抗にかかる電圧vrよりも十分大になるので、電圧V2=vL+vrは、電圧V1=vrよりも十分大になる。したがって、式(3)のQ値は、式(5)で近似することができる。
Q=V2/V1
・・・(5)
なお、受電コイル(を構成要素とする直列共振回路)のQ値は、その他、例えば、半値幅法により、直列共振回路にかかる電圧Vと、直列共振回路に流れる電流Iとを測定することにより得られるインピーダンスZ=V/Iを用いて求めることができる。
すなわち、直列共振回路に印加されている電圧の周波数が、共振周波数frである場合のインピーダンスZに対して、√2倍のインピーダンスになるときの、共振周波数frより低い周波数fLと高い周波数fHとを求め、式Q=fr/(fH-fL)に従い、Q値を求めることができる。
Q値による異物検出法では、図4に示すように、第1回Q測定の処理が行われ、その後、送電装置11から受電装置12に対して、ワイヤレス給電による電力の供給が行われる。
そして、以降は、第2回Q値測定の処理、第3回Q値測定の処理、・・・が、定期的、又は、不定期に行われる。
第1回Q測定の処理では、まず、受電装置12が電源を有していない場合を考慮して、受電装置12が、第1回Q測定の処理を行うのに必要な電力を得るための充電が行われる。
すなわち、送電装置11は、電力を送信し、受電装置12は、送電装置11からの電力を受信して充電する。
例えば、受電装置12は、1回のQ値の測定に必要な電力以上の充電が完了すると、充電を停止して、その充電で得た電力を用いて動作する。そして、受電装置12は、所定の周波数f1の電圧を、受電コイル(を構成要素とする直列共振回路)に印加して、Q値を求める(測定する)。
その後、受電装置12は、再び、充電を開始し、1回のQ値の測定に必要な電力以上の充電が完了すると、充電を停止して、その充電で得た電力を用いて動作する。そして、受電装置12は、Q値の前回の測定に用いた周波数fn-1よりも高い周波数fnの電圧を、受電コイルに印加して、Q値を測定する。
以下同様にして、受電装置12は、充電とQ値の測定とを繰り返し、あらかじめ決められた複数であるN個の周波数f1,f2,・・・,fNそれぞれに対するQ値を得る。
ここで、N個の周波数f1,f2,・・・,fNとしては、例えば、受電装置12の受電コイルを構成要素とする直列共振回路の受電コイルのインダクタンスとコンデンサの静電容量Cとから求められる理論的な共振周波数fr=1/(2π√(LC))を中心とする所定の範囲の周波数帯域内の周波数を用いることができる。
受電装置12は、N個の周波数f1ないしfNそれぞれに対するQ値を得ると、以降の処理を行うための充電を行う。
そして、受電装置12は、N個のQ値のうちの最大値を、受電コイルのQ値として求めるとともに、そのQ値が得られたときの周波数f0を、共振周波数として求める。
さらに、受電装置12は、共振周波数f0を記憶するとともに、受電コイルのQ値を、閾値Q値とともに、例えば、負荷変調等によって、送電装置11に送信して、第1回Q測定の処理は終了する。
ここで、受電装置12では、その受電装置12の受電コイルに、異物としての金属が近づけられていない状態での、そのコイルLのQ値(標準Q値)に基づいて、閾値(閾値Q値)があらかじめ決定されて記憶されていることとする。
第1回Q測定の処理が終了すると、送電装置11から受電装置12に対して、ワイヤレス給電による電力(受電装置12が本来の動作をするための電力)の供給(送信)が行われる。
以降の第m回Q測定の処理では、受電装置12は、1回のQ値の測定に必要な電力以上の充電を行い、その充電が完了すると、充電を停止する。
そして、受電装置12は、共振周波数f0の電圧を、受電コイルに印加して、受電コイルのQ値を測定する。
さらに、受電装置12は、受電コイルのQ値を、送電装置11に送信するための充電を行い、受電コイルのQ値を、閾値Q値とともに、例えば、負荷変調等によって、送電装置11に送信して、第m回Q測定の処理は終了する。
一方、送電装置11は、受電装置12に対して、電力の送信を、上述のように間欠的に行い、また、第m回Q測定の処理で送信されてくる受電コイルのQ値、及び、閾値Q値を受信する。
そして、送電装置11は、受電コイルのQ値を、閾値Q値と比較する閾値処理を行い、受電コイルのQ値が、閾値Q値より大でない場合、送電装置11は、異物があると判定し、電力の送信を停止する。
ここで、受電コイルのQ値を閾値Q値と比較する閾値処理は、送電装置11ではなく、受電装置12で行うことができる。この場合、受電コイルのQ値が、閾値Q値より大でない場合、受電装置12は、異物があると判定し、その判定結果を、送電装置11に送信する。
送電装置11は、異物がある旨の判定結果を、受電装置12から受信した場合、電力の送信を停止する。
なお、送電装置11は、上述のように、受電装置12に対して、電力の送信を行うが、第m回Q測定の処理において、受電装置12がQ値の測定を行っている間は、そのQ値の測定のために、電力の送信を一時停止する。
すなわち、第m回Q測定の処理において、送電装置11は、間欠的に、電力の送信を停止し、受電装置12は、送電装置11の電力の送信が停止されている間に、Q値を測定する。受電装置12の受電コイルにおいて、送電装置11からの電力により、起電力が生じると、受電コイルのQ値の測定を正しく行うことが困難となるからである。
したがって、Q値による異物検出法については、異物の検出精度は高いが、送電装置11が間欠的に電力の送信を停止しなければならないため、ワイヤレス給電の時間的な効率が良いとは言い難い。
以上のように、Q値による異物検出法については、異物の検出精度は高いが、ワイヤレス給電の時間的な効率に問題がある。
一方、効率による異物検出法については、異物の検出精度に問題はあるが、Q値による異物検出法のように、送電装置11が間欠的に電力の送信を停止する必要はないので、ワイヤレス給電の時間的な効率の問題はない。
そこで、図1のワイヤレス給電システムでは、例えば、Q値による異物検出法と効率による異物検出法との2つの異物検出法を併用する新検出法によって、ユーザビリティを損なうことなく、異物の検出を高精度で行い、かつ、ワイヤレス給電を、効率的に行う。
[送電装置11の構成例]
図5は、図1の送電装置11の構成例を示すブロック図である。
図5において、送電装置11は、共振回路20、DC電源21、ドライバ回路22、波形検出部23、及び、制御部24を有する。
共振回路20は、送電コイルL1、及び、コンデンサC1から構成される直列共振回路であり、ドライバ回路22によってドライブされる。共振回路20がドライブされることにより、送電コイルL1に磁束(磁界)が発生し、その磁束によって、電磁誘導方式又は磁界共鳴方式で、電力が、受電装置12に送信される。
DC電源21は、所定の直流電圧(電流)を、ドライバ回路22に供給する。
ドライバ回路22は、DC電源21からの直流電圧を用いて、共振回路20をドライブし、その共振回路29を構成する送電コイルL1に磁束を発生させることにより、電磁誘導方式又は磁界共鳴方式で、電力を送信させる。
波形検出部23は、共振回路20に流れる電流又は電圧から、受電装置12から負荷変調によって送信されてくる情報を検出(検波)し、制御部24に供給する。
制御部24は、波形検出部23から供給される情報等に基づき、ドライバ回路22、その他、送電装置11を構成する各ブロックを制御する。
図6は、図5のドライバ回路22の構成例を示す回路図である。
図6において、ドライバ回路22は、フルブリッジ回路で構成されている。
すなわち、ドライバ回路22は、ゲート駆動回路31、並びに、NMOS(Negative channel Metal Oxide Semiconductor)のFET(Field Effect Transistor)32,33,34、及び、35を有する。
ゲート駆動回路31は、制御部24の制御に従い、FET32ないし35のゲートに所定の電圧を印加することで、FET32ないし35それぞれをオン状態又はオフ状態にさせる。
FET32のドレインは、DC電源21に接続されており、したがって、FET32のドレインには、DC電源21が出力する直流の所定の電圧が印加されている。
FET32のソースは、FET33のドレインに接続されており、FET33のソースは、接地されている(グランドに接続されている)。
FET34及び35は、FET32及び33と同様に接続されている。
すなわち、FET34のドレインは、DC電源21に接続され、FET34のソースは、FET35のドレインに接続されている。そして、FET35のソースは、接地されている。
さらに、FET32のソースとFET33のドレインとの接続点P1には、共振回路20の一端が接続され、FET34のソースとFET35のドレインとの接続点P2には、共振回路20の他端が接続されている。
ここで、図6において、共振回路20では、送電コイルL1とコンデンサC1との一端どうしが接続されている。そして、コンデンサC1の他端が、FET32のソースとFET33のドレインとの接続点P1に接続され、送電コイルL1の他端が、FET34のソースとFET35のドレインとの接続点P2に接続されている。
以上のように構成されるドライバ回路22では、ゲート駆動回路31が、FET32ないし35のゲートに所定の電圧を印加することで、FET32ないし35それぞれをオン状態又はオフ状態にするように制御する。
これにより、FET32及び33は、それぞれ、相補的に、周期的に、オン状態とオフ状態とになる。
すなわち、FET32は、周期的に、交互に、オン状態とオフ状態とになる。
そして、FET32がオン状態になったときに、FET33はオフ状態になり、FET32がオフ状態になったときに、FET33はオン状態になる。
また、FET34及び35のセットは、FET32及び33のセットに対して相補的に、周期的に、オン状態とオフ状態とになる。
すなわち、FET32がオン状態になり、FET33がオフ状態になったとき、FET34はオフ状態になり、FET35はオン状態になる。
さらに、FET32がオフ状態になり、FET33がオン状態になったとき、FET34はオン状態になり、FET35はオフ状態になる。
例えば、いま、FET32に注目すると、FET32がオン状態になっているとき、FET33はオフ状態に、FET34はオフ状態に、FET35はオン状態になる。
その結果、FET32のソースとFET33のドレインとの接続点P1は、DC電源21が出力する直流の所定の電圧である、例えば、H(High)レベルになり、FET34のソースとFET35のドレインとの接続点P2は、グランドのレベルである、例えば、L(Low)レベルになる。
したがって、共振回路20では、接続点P1から、コンデンサC1及び送電コイルL1を介して、接続点P2に向かう方向に、電流が流れる。
一方、FET32がオフ状態になっているとき、FET33はオン状態に、FET34はオン状態に、FET35はオフ状態になる。
その結果、FET34のソースとFET35のドレインとの接続点P2は、DC電源21が出力する直流の所定の電圧であるHレベルになり、FET32のソースとFET33のドレインとの接続点P1は、グランドのレベルであるLレベルになる。
したがって、共振回路20では、接続点P2から、送電コイルL1及びコンデンサC1を介して、接続点P1に向かう方向に、電流が流れる。
以上のように、共振回路20には、FET32ないし35がオン状態(又はオフ状態)になる周期の交流電圧が印加され、その交流電圧の印加に応じて、同様の周期の交流電流が流れる。
共振回路20に、交流電圧が印加されている間、送電コイルL1には、継続的に、磁束が発生し、その磁束によって、電力が送信される。
なお、FET32ないし35がオン状態(又はオフ状態)になる周期は、共振回路20の共振周波数1/(2π√(L1C1))に基づき、例えば、その共振周波数1/(2π√(L1C1))の逆数に設定される。
また、図6では、ドライバ回路22として、フルブリッジ回路を採用することとしたが、ドライバ回路22としては、その他、例えば、ハーフブリッジ回路やE級アンプ回路等を採用することができる。
[受電装置12の構成例]
図7は、図1の受電装置12の構成例を示すブロック図である。
図7において、受電装置12は、共振回路40、整流部41、通信部42、レギュレータ43、負荷44、制御部45、及び、異物検出部46を有する。
共振回路40は、受電コイルL2、及び、コンデンサC2から構成される直列共振回路であり、整流部41に接続されている。
共振回路40では、送電装置11の送電コイルL1(図5)が発生した磁束が受電コイルL2を通ることにより、その受電コイルL2、ひいては、共振回路40に電流が流れ、送電装置11から送信されてきた電力が受信される。
整流部41は、例えば、ブリッジ整流回路等で構成される。整流部41は、共振回路40に流れる電流(電圧)を整流し、通信部42を介して、レギュレータ43に供給する。
通信部42は、例えば、FETと抵抗とを有し、FETが、制御部45の制御にしたがって、オン状態、又は、オフ状態となることで、抵抗を、整流部41を介して、共振回路40に接続し、又は、共振回路40から切り離す。
抵抗が、共振回路40に接続され、又は、共振回路40から切り離されることで、(外部の)送電装置11から見た、負荷としての共振回路40のインピーダンスが変化し、送電装置11の共振回路20(図5)に流れる電流が負荷変調される。
レギュレータ43は、整流部41から通信部42を介して供給される電流(電圧)を安定化させ、負荷44に供給する。
負荷44は、例えば、バッテリその他の、ワイヤレス給電で送信されてくる電力を利用する回路である。
制御部45は、異物検出部46からの異物の検出(判定)結果に基づき、レギュレータ43による負荷44への電力(電圧、電流)の供給を制御する。
すなわち、制御部45は、レギュレータ43を制御することにより、基本的には、負荷44に電力を供給させる。
但し、制御部45は、異物検出部46から、異物があるとの検出結果が供給された場合、その他必要な場合に、レギュレータ43を制御することにより、負荷44への電力の供給(給電)を停止させる。
また、制御部45は、通信部42のFETをオン状態又はオフ状態にすることにより、必要な情報を、負荷変調により、送電装置11に送信させる。
異物検出部46は、新検出法で、異物を検出し、その検出結果を、制御部45に供給する。
すなわち、異物検出部46は、ワイヤレス給電による電力の負荷44への給電の開始前に、第1の検出方法で、ワイヤレス給電に影響する異物の有無を判定する。
第1の検出方法で、異物がないと判定された場合には、ワイヤレス給電により送信されてくる電力が、共振回路40、整流部41、通信部42、レギュレータ43を介して、負荷44に供給(給電)される。
そして、負荷44への給電を行っている間、異物検出部46は、第1の検出方法とは異なる第2の検出方法で、異物の有無を判定する。
異物検出部46は、異物があると判定した場合、異物がある旨の検出結果を、制御部45に供給する。
なお、受電装置12において、制御部45、及び、異物検出部46が、異物に関する処理を行う処理装置(異物処理装置)を構成する。
図8は、新検出法で異物の検出が行われる図1のワイヤレス給電システムのワイヤレス給電の処理を説明するフローチャートである。
ステップS11において、送電装置11が、電力の送信(送電)を開始し、処理は、ステップS12に進む。
ここで、送電装置11は、例えば、受電装置12が送電装置11に近接したことを認識すると、電力の送信を開始する。
送電装置11において、受電装置12が近接したことは、例えば、送電装置11がポーリングをかけ、受電装置12が、そのポーリングに対して応答することにより認識することができる。
また、送電装置11において、受電装置12が近接したことは、受電装置12が送電装置11上に置かれることで、送電装置11に設けられたメカニカルなスイッチが押下されることや、荷重センサで受電装置12の荷重が検出されること等により認識することができる。
さらに、送電装置11において、電力の送信は、例えば、ユーザによるスイッチの操作その他の任意のトリガによって開始することができる。
なお、送電装置11が電力の送信を開始した直後においては、例えば、受電装置12の制御部45(図7)は、レギュレータ43を制御することにより、負荷44への電力の供給(給電)を停止させる。
ステップS12では、受電装置12の異物検出部46(図7)は、ワイヤレス給電による負荷44への給電の開始前に、第1の検出方法で、異物の有無を判定することにより、異物の検出を行って、処理は、ステップS13に進む。
ステップS13では、異物検出部46は、第1の検出方法によって、異物が検出されたかどうかを判定する。
ステップS13において、異物が検出されたと判定された場合、処理は、ステップS18に進み、受電装置12の制御部45(図7)は、通信部42を制御することにより、異物が検出された旨の検出メッセージを、送電装置11に送信する。
さらに、ステップS18では、送電装置11が、受電装置12からの検出メッセージを受信し、その検出メッセージに応じて、電力の送信を終了(停止)する。すなわち、送電装置11において、制御部24は、ドライバ回路22を制御することにより、共振回路20による電力の送信を停止させる。
その後、処理は、ステップS18からステップS19に進み、送電装置11、及び、受電装置12の少なくとも一方が、ユーザに、異物が存在すること報知し、さらには、必要に応じて、異物を取り除くことを促すための異常処理(例えば、異物が存在する旨のメッセージの表示や、異物が存在することを表すランプの点灯等)を行い、ワイヤレス給電の処理は終了する。
一方、ステップS13において、第1の検出方法によって、異物が検出されなかったと判定された場合、処理は、ステップS14に進み、受電装置12の制御部45(図7)は、レギュレータ43を制御することにより、負荷44への給電を開始させて、処理は、ステップS15に進む。
ステップS15では、受電装置12の異物検出部46(図7)は、第2の検出方法で、異物の有無を判定することにより、異物の検出を行って、処理は、ステップS16に進む。
ステップS16では、異物検出部46は、第2の検出方法によって、異物が検出されたかどうかを判定する。
ステップS16において、異物が検出されなかったと判定された場合、処理は、ステップS15に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
したがって、第1の検出方法で、異物がないと判定され、負荷44への給電が開始された後は、その負荷44への給電が行われている間、異物検出部46は、第1の検出方法とは異なる第2の検出方法で、異物の検出を行う。
一方、ステップS16において、第2の検出方法によって、異物が検出されたと判定された場合、処理は、ステップS17に進み、受電装置12の制御部45(図7)は、レギュレータ43を制御することにより、負荷44への給電を停止させる。
そして、処理は、ステップS17からステップS12に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
したがって、第2の検出方法によって、異物が検出された場合には、再度、第1の検出方法で、異物の検出が行われる。
そして、第1の検出方法によって、異物が検出されなかった場合には、再び、負荷44への給電が開始される(ステップS14)。
一方、第1の検出方法によっても、異物が検出された場合には、送電装置11による電力の送信が終了され(ステップS18)、異常処理が行われる(ステップS19)。
ここで、第1の検出方法としては、異物の検出精度が、第2の検出方法よりも高い検出方法を採用することができる。
一方、第2の検出方法としては、負荷44への給電、したがって、送電装置11による電力の送信が行われていても、異物を検出することができる検出方法を採用することができる。さらに、第2の検出方法は、異物の検出精度が、第1の検出方法よりも低い検出方法であってかまわない。
以上のような第1の検出方法としては、例えば、Q値による異物検出法があり、第2の検出方法としては、例えば、効率による異物検出法がある。
図9は、図7の異物検出部46の構成例を示すブロック図である。
すなわち、図9は、第1及び第2の検出方法として、それぞれ、Q値による異物検出法、及び、効率による異物検出法を採用する場合の異物検出部46の構成例を示している。
図9において、異物検出部46は、Q値測定部51、効率測定部52、及び、判定部53を有する。
Q値測定部51は、受電コイルL2及びコンデンサC2で構成される共振回路40に所定の電圧を印加する。
さらに、Q値測定部51は、共振回路40にかかる電圧V1、すなわち、直列に接続された受電コイルL2及びコンデンサC2の電圧降下と、受電コイルL2にかかる電圧V2、すなわち、受電コイルL2の電圧降下とを測定する。
そして、Q値測定部51は、電圧V1及びV2を用い、式(3)又は式(5)に従って、受電コイルL2(を構成要素とする共振回路40)のQ値を求め(測定し)、判定部53に供給する。
効率測定部52は、整流部41の出力側(整流後の電流及び電圧が出力される側)の電流及び電圧を測定し、その電流及び電圧を用いて、受電装置12でワイヤレス給電により得られる直流の電力(以下、受信直流電力ともいう)を求める。
さらに、効率測定部52は、送電装置11でワイヤレス給電に利用される直流の電力(以下、送信直流電力)を取得する。
ここで、効率測定部52は、判定部53を介して、制御部45に、送信直流電力を要求し、制御部45は、効率測定部52からの要求に応じて、通信部42を制御することにより、送信直流電力を要求する要求メッセージを、負荷変調によって、送電装置11に送信する。
送電装置11では、制御部24(図5)が、波形検出部23を介して、受電装置12からの要求メッセージを受信し、その要求メッセージに応じて、DC電源21の電圧と電流から、電力を求めて、送信直流電力(の値)として、受電装置12に送信する。
送電装置11から受電装置12への送信直流電力(の値)の送信は、例えば、制御部24が、ドライバ回路22を制御することにより、共振回路20に流れる電流を振幅変調すること等によって行うことができる。
効率測定部52は、送信直流電力に対する受信直流電力の割合を、電力効率(DC-DC効率)として求め、判定部53に供給する。
判定部53は、Q値測定部51からの受電コイルL2のQ値を用いて、Q値による異物検出法で、異物の有無を判定することにより、異物を検出し、その検出結果を、制御部45に供給する。
すなわち、判定部53は、図示せぬ内蔵するメモリに、受電装置12に固有の閾値Q値を記憶しており、Q値測定部51からの受電コイルL2のQ値を、閾値Q値と比較する閾値処理を行う。
そして、判定部53は、受電コイルL2のQ値が閾値Q値より大である場合、異物がないと判定し、受電コイルL2のQ値が閾値Q値より大でない場合、異物があると判定する。
また、判定部53は、効率測定部52からの電力効率(以下、測定電力効率ともいう)を用いて、効率による異物検出法で、異物の有無を判定することにより、異物を検出し、その検出結果を、制御部45に供給する。
すなわち、判定部53は、効率測定部52からの測定電力効率を、電力効率の所定の閾値と比較する閾値処理を行う。
そして、判定部53は、測定電力効率が所定の閾値より大である場合、異物がないと判定し、測定電力効率が所定の閾値より大でない場合、異物があると判定する。
なお、測定電力効率の閾値処理に用いる所定の閾値としては、例えば、ワースト閾値と適切閾値とがある。
ワースト閾値は、例えば、所定のケースを想定して、あらかじめ定められる。例えば、受電装置12(の受電コイルL2)の位置ずれの許容範囲のワーストケース(位置ずれが最大のケース)において、異物が存在しない限りは、測定電力効率がその値を下回らないが、異物が存在する場合には、確実に、測定電力効率がその値を下回ると想定される、その値が、ワースト閾値に用いられる。
測定電力効率が、ワースト閾値より大でない場合には、位置ずれが許容範囲を超えているか、又は、異物が(ほぼ)確実に存在することになる。
適切閾値は、第1の検出方法で、異物がないと判定されたときのワイヤレス給電システムの状況(以下、システム状況ともいう)において、異物の検出に適切な電力効率の閾値であり、Q値による異物検出法で、異物がないと判定された直後に測定された電力効率を用いて算出される。
ここで、Q値による異物検出法は、検出精度が高いため、Q値による異物検出法で、異物がないと判定された直後においては、異物が存在しないことは、(ほぼ)確実に担保される。
したがって、Q値による異物検出法で、異物がないと判定された直後に測定された電力効率(以下、直後効率ともいう)は、現在の位置ずれの状態で、異物がないときに得られる電力効率であるということができ、現在の位置ずれが維持されていれば、異物が挿入されない限り、その後に測定される測定電力効率が、直後効率を大幅に下回る値になることは(ほぼ)ない。
そこで、本実施の形態では、直後効率を用い、例えば、直後効率を幾分か下回る値が、適切閾値として算出される。
例えば、直後効率に、1未満の1に近い所定の値(例えば、0.9等)を乗算した値や、直後効率から、異物の有無に関係なく生じるであろうと予測される電力効率の変動分に所定のマージンを考慮した所定の値(例えば、10%等)を減算した値等が、適切閾値として算出される。
判定部53は、第2の検出方法としての効率による異物検出法については、以上のようなワースト閾値を用いた閾値処理(第1の閾値処理)と、適切閾値を用いた閾値処理(第2の閾値処理)とを行う。
なお、ワースト閾値、及び、適切閾値としては、ワースト閾値を用いた場合に、異物が検出されるのであれば、適切閾値を用いた場合にも、必ず、異物が検出される値が使用される。
すなわち、例えば、効率による異物検出法については、ワースト閾値、及び、適切閾値としては、適切閾値がワースト閾値以上になる値が使用される。したがって、直後効率に基づいて算出される適切閾値が、ワースト閾値未満である場合、適切閾値は、ワースト閾値と同一の値に設定される。
図10は、異物検出部46が図9に示したように構成される場合の、図1のワイヤレス給電システムのワイヤレス給電の処理を説明するフローチャートである。
すなわち、図10は、第1及び第2の検出方法として、それぞれ、Q値による異物検出法、及び、効率による異物検出法を採用する場合のワイヤレス給電の処理を説明するフローチャートである。
受電装置12が送電装置11に近接すると、送電装置11が、ステップS21において、図8のステップS11と同様に、電力の送信(送電)を開始し、処理は、ステップS22に進む。
ステップS22では、ワイヤレス給電による負荷44への給電の開始前に、第1の検出方法としてのQ値による異物検出法で、異物の検出を行うために、受電装置12のQ値測定部51(図9)が、受電コイルL2のQ値を測定する。
ここで、Q値測定部51が、受電コイルL2のQ値を測定する間(Q値を求めるのに必要な電圧V1及びV2を測定する間)、図4で説明したように、送電装置11は、電力の送信を一時停止する。
また、ステップS22の受電コイルL2のQ値の測定は、処理が、後述するステップS34からステップS22に戻ることにより、複数回行われることがあるが、m回目のステップS22では、例えば、図4で説明した第m回Q測定の処理が行われる。
なお、ステップS22では、その他、例えば、何回目のステップS22であっても、図4で説明した第1回Q測定の処理を行うことができる。
ステップS22において、Q値測定部51は、受電コイルL2のQ値を測定すると、その測定によって得られるQ値(以下、測定Q値ともいう)を、判定部53に供給して、処理は、ステップS23に進む。
ステップS23では、判定部53は、Q値測定部51からの測定Q値を用い、第1の検出方法としてのQ値による異物検出法によって、異物が検出されたかどうかを判定する。
すなわち、ステップS23では、判定部53は、Q値測定部51からの測定Q値を、閾値Q値と比較する閾値処理を行い、測定Q値が、閾値Q値より大であるかどうかを判定する。
ステップS23において、測定Q値が、閾値Q値より大でないと判定された場合、判定部53は、異物があると判定し、異物が検出された旨の検出結果を、制御部45(図9)に供給して、処理は、ステップS24に進む。
ステップS24では、図8のステップS18と同様に、送電装置11が電力の送信を停止(終了)する。
すなわち、ステップS24では、受電装置12の制御部45は、通信部42を制御することにより、異物が検出された旨の検出メッセージを、送電装置11に送信する。さらに、ステップS24では、送電装置11が、受電装置12からの検出メッセージを受信し、その検出メッセージに応じて、電力の送信を終了する。
その後、処理は、ステップS24からステップS25に進み、図8のステップS19と同様に、異常処理が行われ、ワイヤレス給電の処理は終了する。
ここで、受電装置12が送電装置11に近接したときに、金属等の異物が、送電装置11と受電装置12との間に混入される可能性が高い。また、第2の検出方法としての効率による異物検出法で用いる閾値は、異物がない状態の電力効率から算出される。そのため、新検出法では、受電装置12が送電装置11に近接した直後、負荷44への給電が開始される前に、検出精度が高い第1の検出方法としてのQ値による異物検出法によって、異物の検出が行われる。
ステップS23において、測定Q値が、閾値Q値より大であると判定された場合、判定部53は、異物がないと判定し、処理は、ステップS26に進む。
ステップS26では、受電装置12の制御部45(図9)は、レギュレータ43を制御することにより、負荷44への給電を開始させる。
すなわち、検出精度の高いQ値による異物検出法によって、異物がないことが(高い可能性で)担保された場合に、負荷44への給電が開始される。
ステップS26において、負荷44への給電が開始されると、処理は、ステップS27に進み、第2の検出方法としての効率による異物検出法で、異物の検出を行うために、受電装置12の効率測定部52(図9)が、電力効率を測定する。
ステップS27において、効率測定部52は、電力効率を測定すると、その測定によって得られる電力効率(測定電力効率)を、判定部53に供給して、処理は、ステップS28に進む。
ここで、ステップS27で電力効率が測定される場合には、検出精度の高いQ値による異物検出法によって、異物がないことが担保されている。
したがって、ステップS27で測定された電力効率が悪い(値が小さい)場合には、送電装置11(の送電コイルL1)に対する受電装置12(の受電コイルL2)の位置ずれが大きいことが推測される。また、ステップS27で測定された電力効率が良い(値が大きい)場合には、送電装置11に対する受電装置12の位置ずれが小さいことが推測される。
ステップS28では、判定部53は、効率測定部52からの測定電力効率を用い、第2の検出方法としての効率による異物検出法によって、異物が検出されたかどうかを判定する。
すなわち、ステップS28では、判定部53は、効率測定部52からの測定電力効率を、ワースト閾値と比較する第1の閾値処理を行い、測定電力効率が、ワースト閾値より大であるかどうかを判定する。
ステップS28において、測定電力効率が、ワースト閾値より大でないと判定された場合、判定部53は、位置ずれが許容範囲を超えているか、又は、位置ずれは許容範囲であるが、その許容範囲の位置ずれが生じている状態で、電力効率が想定外に低くなるような異常事態が発生していると判定し、異物があると判定した場合と同様に、異物が検出された旨の検出結果を、制御部45(図9)に供給する。
そして、処理は、ステップS28からステップS24に進み、以下、上述した場合と同様の処理が行われる。
一方、ステップS28において、測定電力効率が、ワースト閾値より大であると判定された場合、処理は、ステップS29に進み、判定部53は、直前のステップS27で測定された電力効率(測定電力効率)を用い、その測定電力効率(直後効率)に所定の値を乗算した値や、測定電力効率から所定の値を減算した値等を、電力効率の適切閾値として算出して、処理は、ステップS30に進む。
ここで、効率による異物検出法の閾値処理に用いる電力効率の閾値は、一般には、例えば、送電装置11、及び、受電装置12の製造ばらつきと、許容する位置づれとを考慮して、ある程度の位置づれを許容しつつ、異物をなるべく高精度に検出することができるように決定される。
しかしながら、効率による異物検出法だけを単独で用いて、異物の検出を行う場合には、電力効率の閾値を決定するときに考慮する位置ずれと、実際に生じる位置ずれとは、多くの場合一致せず、さらに、電力効率の閾値を決定するときに考慮する製造ばらつきも、実際の製造ばらつきとは、多くの場合一致しない。
そのため、効率による異物検出法だけを単独で用いて、異物の検出を行う場合には、異物を高精度に検出することができる閾値を決定することは、困難である。
一方、新検出法では、適切閾値が、Q値による異物検出法で、異物がないと判定された直後に測定される電力効率(直後効率)を用いて算出される。
直後効率は、現在の位置ずれの状態で、かつ、異物がない状態で得られた実際の電力効率であるから、実際の位置ずれと、実際の製造ばらつきとが考慮(反映)された電力効率になっており、そのような直後効率を用いて、適切閾値を算出することにより、適切閾値は、実際の位置ずれと実際の製造ばらつきとが考慮された値となる。
その結果、適切閾値によれば、その適切閾値が得られたときの位置ずれの状態において、高精度に、異物を検出することができる。
ステップS30では、所定の時間であるX秒だけ待ち時間がおかれ、その後、処理は、ステップS31に進む。
ステップS31では、受電装置12の効率測定部52が、ステップS27と同様に、電力効率を測定し、その測定によって得られる電力効率(測定電力効率)を、判定部53に供給して、処理は、ステップS32に進む。
ステップS32では、判定部53は、効率測定部52からの測定電力効率を用い、第2の検出方法としての効率による異物検出法によって、異物が検出されたかどうかを判定する。
すなわち、ステップS32では、判定部53は、効率測定部52からの測定電力効率を、ワースト閾値と比較する第1の閾値処理を行い、測定電力効率が、ワースト閾値より大であるかどうかを判定する。
ステップS32において、測定電力効率が、ワースト閾値より大でないと判定された場合、判定部53は、異物が検出された旨の検出結果を、制御部45に供給する。
そして、処理は、ステップS32からステップS24に進み、以下、上述した場合と同様の処理が行われる。
一方、ステップS32において、測定電力効率が、ワースト閾値より大であると判定された場合、処理は、ステップS33に進み、効率測定部52からの測定電力効率を用い、第2の検出方法としての効率による異物検出法によって、異物が検出されたかどうかを、再度判定する。
すなわち、ステップS33では、判定部53は、効率測定部52からの測定電力効率を、適切閾値と比較する第2の閾値処理を行い、測定電力効率が、適切閾値より大であるかどうかを判定する。
ステップS32において、測定電力効率が、適切閾値より大であると判定された場合、すなわち、直後効率が測定されたときの位置づれの状態の電力効率として、適切な値の電力効率が得られており、したがって、異物がないと判定することができる場合、処理は、ステップS30に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS32において、測定電力効率が、適切閾値より大でないと判定された場合、すなわち、直後効率が測定されたときの位置づれの状態の電力効率としては、小さな電力効率が得られており、したがって、異物が混入したか、又は、位置ずれが変化した(大になった)場合、処理は、ステップS34に進み、受電装置12の制御部45は、レギュレータ43を制御することにより、負荷44への給電を停止させる。
そして、処理は、ステップS34からステップS22に戻り、以下、上述した場合と同様の処理が繰り返される。
したがって、新検出法では、適切閾値の算出の後は、負荷44への給電を行いながら、定期的に、電力効率がモニタされ、ワースト閾値を用いた第1の閾値処理と、適切閾値を用いた第2の閾値処理とによって、効率による異物検出法での異物検出が行われる。
なお、適切閾値は、直後効率が測定されたときの位置づれの状態の電力効率を、いわばベースとする閾値であり、位置ずれが、直後効率が測定されたときの位置づれよりも大になると、電力効率は、その位置ずれが大になったことに起因して、適切閾値を下回ることがある。
位置ずれが大になったことに起因して、電力効率が適切閾値を下回ったが、その大になった位置ずれが許容範囲内であり、異物がない場合に、送信装置11からの給電を終了するのでは、ユーザビリティが損なわれる。
そこで、図10では、電力効率が適切閾値を下回った場合には、処理が、ステップS33から、ステップS34に進んで、ステップS22に戻り、検出精度の高いQ値による異物検出法によって、異物の検出が行われる。
そして、検出精度の高いQ値による異物検出法によって、異物が検出されなかった場合には、送信装置11からの給電が終了されずに続行される(ステップS26以降の処理が行われる)。
一方、検出精度の高いQ値による異物検出法によって、異物が検出された場合には、送信装置11からの給電は終了される(ステップS24以降の処理が行われる)。
以上のように、新検出法では、負荷44への給電の開始前に、第1の検出方法で、異物の有無を判定し、負荷44への給電を行っている間、第1の検出方法とは異なる第2の検出方法で、異物の有無を判定することにより、異物が検出される。
さらに、新検出法では、第1の検出方法として、第2の検出方法としての効率による異物検出法よりも検出精度が高いQ値による異物検出法を採用し、そのQ値による異物検出法によって異物がないと判定された直後に測定された測定電力効率(直後効率)を用いて、適切閾値が算出される。
したがって、負荷44への給電の開始前においては、検出精度の高いQ値による異物検出法によって、異物の検出を高精度に行うことができ、負荷44への給電中は、適切閾値を用いた効率による異物検出法(第2の閾値処理)によって、異物の検出を比較的高精度に行うことができる。
そして、(適切閾値を用いた)効率による異物検出法では、負荷44への給電を行っていても、異物の有無の検出が可能であり、Q値の測定時に、送電装置11による電力の送信(ひいては、負荷44への給電)を停止しなければならないQ値による異物検出法だけを単独で用いる場合に比較して、ワイヤレス給電の時間的な効率を向上させることができる。
さらに、適切閾値を用いた効率による異物検出法において、異物があると判定された場合、すなわち、測定電力効率が小さくなって適切閾値を下回った場合には、位置ずれが大になった可能性があることから、再度、Q値による異物検出法によって、異物の検出を行い、Q値による異物検出法によって、異物が検出されなかった場合には、送信装置11からの給電が終了されずに続行されるので、許容範囲内で、位置ずれが大になったことに起因して、電力効率が適切閾値を下回っただけで、送信装置11からの給電が終了され、ユーザビリティが損なわれることを防止することができる。
以上のように、新検出法によれば、ユーザビリティを損なうことなく、異物の検出を高精度で行い、かつ、ワイヤレス給電を、効率的に行うことができる。
なお、図9の判定部53は、受電装置12ではなく、送電装置11に設けることができる。この場合、受電装置12から送電装置11に対して、受電コイルL2のQ値及び閾値Q値と、電力効率を求めるのに必要な受信直流電力が送信され、送電装置11に設けられた判定部53において、受電装置12からのQ値や、受信直流電力から求められる電力効率を用いて、異物の有無が判定される。
そして、異物の有無の判定結果は、送電装置11から受電装置12に送信され、受電装置12では、送電装置11からの異物の有無の判定結果に応じて、レギュレータ43から負荷44への給電が制御される。
以上のように、送電装置11、及び、受電装置12において、異物検出機能をどのように分担するかは、任意である。
但し、受電装置12が、送電装置11からワイヤレス給電で供給される電力、又は、その電力で充電されたバッテリ等の電力によって動作する場合には、受電装置12において、異物検出機能に消費する電力は、少なくすることが望ましく、かかる観点から、受電装置12の異物検出機能の負担は、小さい方が望ましい。
したがって、受電装置12では、受電装置12側でなければ行うことができない処理、すなわち、例えば、受電コイルL2のQ値を求めるのに必要な電圧V1及びV2の測定と、電力効率を求めるのに必要な受信直流電力の測定とだけを負担し、電圧V1及びV2からのQ値の算出、及び、受信直流電力を用いた電力効率の算出、その他の異物検出機能に必要な処理については、送電装置11が負担することができる。
[適切閾値の算出]
図11は、適切閾値の算出を説明する図である。
すなわち、図11は、効率による異物検出法を単独で用いる場合の閾値と、新検出法(で行われる効率による異物検出法)で用いられる適切閾値との算出の例を示している。
図11では、電力効率の最高値(最高効率値)が90%であり、許容範囲内の位置ずれに応じて生じる電力効率の最大のばらつき(位置関係ばらつき幅)が30%であることとしている。
さらに、図11では、製造ばらつきによって生じる電力効率の最大のばらつき(製造ばらつき幅)が15%であり、電力効率の測定の誤差によって生じる電力効率の最大のばらつき(測定ばらつき幅)が5%であることとしている。
したがって、図11では、位置ずれ、製造ばらつき、及び、測定の誤差によって、電力効率が、最大で、50%(=30%+15%+5%)だけ変動するので、図11では、ワースト閾値が、最高効率値の50%(最高効率値×0.5=45%)になっている。
効率による異物検出法を単独で用いる場合、実際に測定される電力効率(実際の使用状態における効率値)としては、位置ずれ、製造ばらつき、及び、測定の誤差を反映した値が得られる。
しかしながら、効率による異物検出法を単独で用いる場合には、実際に測定される電力効率が小さいときに、電力効率が小さいことが、位置ずれに起因するのか、異物が存在することに起因するのかが不明である。
ここで、効率による異物検出法を単独で用いる場合において、ユーザビリティを優先するときには、電力効率と比較する閾値としては、例えば、ワースト閾値を採用することができる。
この場合、電力効率が、ワースト閾値、すなわち、最高効率値×0.5=45%を下回らない限り、異物あると判定されることはない。したがって、効率による異物検出法を単独で用いる場合には、異物が混入していても、位置ずれがほとんどないために、電力効率が、ワースト閾値を下回らないときには、異物を見逃すことになる。
一方、新検出法では、実際に測定される電力効率(実際の使用状態における効率値)は、Q値による異物検出法で、異物がないと判定された直後の電力効率(直後効率)である。
直後効率には、位置ずれ、製造ばらつき、及び、測定の誤差が反映され、さらに、異物がないことが担保されているので、位置ずれがそのまま維持されていれば、異物が挿入されない限り、その後に測定される電力効率が、直後効率を大幅に下回る値になることはない。
そこで、新検出法では、直後効率を用い、例えば、その直後効率に所定の値を乗算した値が、適切閾値として算出される。
図11では、直後効率として、例えば、80%が得られており、その80%に、所定の値としての、例えば、0.9を乗算することにより、適切閾値として、72%が求められている。
新検出法によれば、電力効率が、ワースト閾値である45%を下回ると、異物があると判定され、給電が停止される。
また、電力効率が、ワースト閾値である45%を下回ってはいないが、適切閾値である72%を下回ると、異物が混入した可能性と、位置ずれが大になった可能性があるとして、効率による異物検出法より検出精度が高いQ値による異物検出法によって、異物の有無が判定される。
したがって、新検出法によれば、位置ずれが大になって、電力効率が適切閾値を下回っただけでは、給電は停止されないので、ユーザビリティを確保しつつ、効率的に、ワイヤレス給電を行うことができる。
なお、新検出法では、異物が混入することにより、電力効率が適切閾値を下回った場合には、検出精度が高いQ値による異物検出法によって、異物が検出され、給電が停止される。
ここで、新検出法で併用する第1及び第2の検出方法のうちの、第2の検出方法としては、効率による異物検出法のように、所定の物理量を測定し、その物理量の測定値を、所定の閾値と比較する閾値処理を行うことにより、異物の有無を判定する検出方法を採用することができる。
そして、新検出法では、第1の検出方法によって、異物がないと判定された直後に測定される第2の検出方法の測定値(以下、直後測定値ともいう)を用いて、第2の検出方法の閾値処理に用いられる適切閾値を算出(決定)することができる。
直後測定値を用いた適切閾値の算出は、例えば、直後測定値に対する所定の値の乗算や加算(減算)等による、直後測定値の操作によって行うことができるが、その操作の程度は、第2の検出方法で測定値を測定するときの誤差(測定の誤差)によって生じる測定値の最大のばらつき(測定ばらつき幅)に基づいて決定することができる。
すなわち、直後測定値の操作の程度、具体的には、直後測定値に対して乗算や加算がされる所定の値は、例えば、適切閾値に、測定ばらつき幅の2倍程度のマージンをみた値と、直後測定値とが一致するように決定することができる。
[ワイヤレス給電による充電]
図12は、ワイヤレス給電により充電を行う場合の図1のワイヤレス給電システムの処理を説明するフローチャートである。
ここで、ワイヤレス給電システムにおいて、ワイヤレス給電による充電が行われる場合、受電装置12の負荷44(図9)は、バッテリを有し、そのバッテリの充電が行われる。
図12では、ステップS41ないしS54において、図10のステップS21ないしS34とそれぞれ同様の処理が行われる。
そして、ステップS49において、図10のステップS29で説明したように、判定部53が、直後効率を用いて、適切閾値を算出した後、処理は、ステップS61に進み、受電装置12の制御部45(図9)は、負荷44が有するバッテリが満充電状態であるかどうかを判定する。
ステップS61において、負荷44が有するバッテリが、まだ、満充電状態でないと判定された場合、処理は、ステップS50に進み、以下、ステップS50ないしS54において、図10のステップS30ないしS34とそれぞれ同様の処理が行われる。
また、ステップS61において、負荷44が有するバッテリが満充電状態であると判定された場合、処理は、ステップS62に進み、受電装置12の制御部45は、通信部42を制御することにより、充電が完了した旨の完了メッセージを、送電装置11に送信する。
さらに、ステップS62では、送電装置11が、受電装置12からの完了メッセージを受信し、その完了メッセージに応じて、電力の送信を終了(停止)する。
その後、処理は、ステップS62からステップS63に進み、送電装置11、及び、受電装置12の少なくとも一方が、ユーザに、充電が完了したこと報知するための充電完了処理(例えば、充電が完了したことを表すランプの点灯等)を行い、処理は終了する。
[異物検出部46の他の構成例]
図13は、図7の異物検出部46の他の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図9の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図13において、異物検出部46は、Q値測定部51、及び、判定部53を有する点で、図9の場合と共通する。
但し、図13の異物検出部46は、効率測定部52に代えて、温度測定部62が設けられている点で、図9の場合と相違する。
図13の異物検出部46では、第1の検出方法としては、図9の場合と同様に、Q値による異物検出法が採用されているが、第2の検出方法としては、図9の場合と異なる検出方法である温度による異物検出法が採用されている。
そのため、図13の異物検出部46は、図9の効率測定部52に代えて、温度測定部62が設けられている。
温度測定部62は、図示せぬサーミスタ等の温度センサを有し、例えば、受電コイルL2付近の温度を測定し、判定部53に供給する。
判定部53は、電力効率に代えて、温度測定部62からの温度を用いることを除いて、図9の場合と同様の処理を行う。
図14は、異物検出部46が図13に示したように構成される場合の、図1のワイヤレス給電システムのワイヤレス給電の処理を説明するフローチャートである。
すなわち、図14は、第1及び第2の検出方法として、それぞれ、Q値による異物検出法、及び、温度による異物検出法を採用する場合のワイヤレス給電の処理を説明するフローチャートである。
受電装置12が送電装置11に近接すると、送電装置11が、ステップS71において、図10のステップS21と同様に、電力の送信(送電)を開始し、処理は、ステップS72に進む。
ステップS72では、受電装置12のQ値測定部51(図13)が、図10のステップS22と同様に、受電コイルL2のQ値を測定する。
ステップS72において、Q値測定部51は、受電コイルL2のQ値を測定すると、その測定によって得られるQ値(測定Q値)を、判定部53に供給して、処理は、ステップS73に進む。
ステップS73では、判定部53は、図10のステップS23と同様に、Q値測定部51からの測定Q値を、閾値Q値と比較する閾値処理を行い、測定Q値が、閾値Q値より大であるかどうかを判定する。
ステップS73において、測定Q値が、閾値Q値より大でないと判定された場合、判定部53は、異物があると判定し、異物が検出された旨の検出結果を、制御部45(図13)に供給して、処理は、ステップS74に進む。
ステップS74では、図10のステップS24と同様に、送電装置11が電力の送信を停止(終了)する。
その後、処理は、ステップS74からステップS75に進み、図10のステップS25と同様に、異常処理が行われ、ワイヤレス給電の処理は終了する。
一方、ステップS73において、測定Q値が、閾値Q値より大であると判定された場合、判定部53は、異物がないと判定し、処理は、ステップS76に進む。
ステップS76では、受電装置12の制御部45(図13)は、レギュレータ43を制御することにより、負荷44への給電を開始させる。
ステップS76において、負荷44への給電が開始されると、処理は、ステップS77に進み、第2の検出方法としての温度による異物検出法で、異物の検出を行うために、受電装置12の温度測定部62(図13)が、温度を測定する。
ステップS77において、温度測定部62は、温度を測定すると、その測定によって得られる温度(以下、測定温度ともいう)を、判定部53に供給して、処理は、ステップS78に進む。
ステップS78では、判定部53は、温度測定部62からの測定温度を用い、第2の検出方法としての温度による異物検出法によって、異物が検出されたかどうかを判定する。
すなわち、ステップS78では、判定部53は、温度測定部62からの測定温度を、ワースト閾値と比較する第1の閾値処理を行い、測定温度が、ワースト閾値より小であるかどうかを判定する。
ここで、温度による異物検出法のワースト閾値としては、異物が存在することが(ほぼ)確実な温度の最小値(例えば、60度等)が設定される。
ステップS78において、測定温度が、ワースト閾値より小でないと判定された場合、判定部53は、温度が想定外に高くなるような異常事態が発生していると判定し、異物があると判定した場合と同様に、異物が検出された旨の検出結果を、制御部45(図13)に供給する。
そして、処理は、ステップS78からステップS74に進み、以下、上述した場合と同様の処理が行われる。
一方、ステップS78において、測定温度が、ワースト閾値より小であると判定された場合、処理は、ステップS79に進み、判定部53は、直前のステップS77で測定された、Q値による異物検出法によって異物がないことが担保された測定温度(以下、直後温度ともいう)を用い、その直後温度に、測定ばらつき幅に基づいて決定された所定の値を乗算又は加算した値(例えば、直後温度に、10度を加算した温度)等を、適切閾値として算出して、処理は、ステップS80に進む。
ステップS80では、所定の時間であるX秒だけ待ち時間がおかれ、その後、処理は、ステップS81に進む。
ステップS81では、受電装置12の温度測定部62が、ステップS77と同様に、温度を測定し、その測定によって得られる温度(測定温度)を、判定部53に供給して、処理は、ステップS82に進む。
ステップS82では、判定部53は、温度測定部62からの測定温度を用い、第2の検出方法としての温度による異物検出法によって、異物が検出されたかどうかを判定する。
すなわち、ステップS82では、判定部53は、温度測定部62からの測定温度を、ワースト閾値と比較する第1の閾値処理を行い、測定温度が、ワースト閾値より小であるかどうかを判定する。
ステップS82において、測定温度が、ワースト閾値より小でないと判定された場合、判定部53は、異物が検出された旨の検出結果を、制御部45に供給する。
そして、処理は、ステップS82からステップS74に進み、以下、上述した場合と同様の処理が行われる。
一方、ステップS82において、測定温度が、ワースト閾値より小であると判定された場合、処理は、ステップS83に進み、温度測定部62からの測定温度を用い、第2の検出方法としての温度による異物検出法によって、異物が検出されたかどうかを、再度判定する。
すなわち、ステップS83では、判定部53は、温度測定部62からの測定温度を、適切閾値と比較する第2の閾値処理を行い、測定温度が、適切閾値より小であるかどうかを判定する。
ステップS82において、測定温度が、適切閾値より小であると判定された場合、すなわち、直後温度が測定されたときと同程度の温度が測定されており、したがって、異物がないと判定することができる場合、処理は、ステップS80に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS82において、測定温度が、適切閾値より小でないと判定された場合、すなわち、直後温度が測定されたときと比較してある程度高い温度が測定されており、異物が混入した可能性がある場合、処理は、ステップS84に進み、受電装置12の制御部45は、レギュレータ43を制御することにより、負荷44への給電を停止させる。
そして、処理は、ステップS84からステップS72に戻り、以下、上述した場合と同様の処理が繰り返される。
以上のように、第1及び第2の検出方法として、それぞれ、Q値による異物検出法、及び、温度による異物検出法を採用する新検出法では、適切閾値の算出の後は、負荷44への給電を行いながら、定期的に、温度がモニタされ、ワースト閾値を用いた第1の閾値処理と、適切閾値を用いた第2の閾値処理とによって、温度による異物検出法での異物検出が行われる。
なお、測定温度は、温度測定部62としての温度センサの配置や他のデバイスとの接触の具合、ワイヤレス給電システムが置かれている部屋の状態(ワイヤレス給電システムの周囲の室温等)、その他のワイヤレス給電システムの状況によって変化する。
したがって、ワースト閾値として、低い温度が設定されると、異物が存在しなくても、室温が高いために、測定温度がワースト閾値を上回ることがある。この場合、異物があると判定(誤判定)され、給電が停止されることになり、ユーザビリティを損なうことになる。
そこで、ユーザビリティを確保するため、ワースト閾値には、室温が高い場合等であっても、測定温度が上回らないような値であって、かつ、異物が存在する場合には、測定温度が上回るような比較的高い値(例えば、60度等)を設定することができる。
しかしながら、そのようなワースト閾値を用いた閾値処理だけを行うのでは、異物が存在するが、例えば、室温が低いために、測定温度が、ワースト閾値を上回らないときに、異物を検出することができず、異物の検出精度が低下する。
第1及び第2の検出方法として、それぞれ、Q値による異物検出法、及び、温度による異物検出法を採用する新検出法では、Q値による異物検出法によって異物がないことが担保された測定温度(直後温度)から、適切閾値が設定され、測定温度が適切閾値を上回った場合には、検出精度の高いQ値による異物検出法によって、異物の検出が行われるので、ユーザビリティを損なうことなく、異物の検出を高精度で行い、かつ、ワイヤレス給電を、効率的に行うことができる。
なお、新検出法において、第1の検出方法は、なるべく検出精度が高い検出方法であることが望ましい。
さらに、新検出法では、負荷44への給電の開始前に、第1の検出方法で、異物の有無を判定するので、第1の検出方法は、負荷44への給電、ひいては、送電装置11による電力の送信が行われていないときに、異物の検出が可能な検出方法を採用することができる。
また、新検出法では、負荷44への給電を行っている間は、第2の検出方法で、異物の有無を判定するので、第2の検出方法は、負荷44への給電、ひいては、送電装置11による電力の送信が行われていても、異物の検出が可能な検出方法を採用する必要がある。
したがって、第1の検出方法としては、Q値による異物検出法の他、例えば、上述した光による異物検出法や、画像による異物検出法、実効抵抗値による異物検出法等を採用することができる。
光による異物検出法や、画像による異物検出法は、Q値による異物検出法と比較して、コストや実装面積等の点で、デメリットがあることがあるが、検出精度が比較的高く、送電装置11の磁界による電力の送信(ワイヤレス給電)がノイズとして影響する点、及び、消費電力の観点から、常時行うことは可能な限り避けることが望ましい点で、Q値による異物検出法と同様の性質がある。
また、第2の検出方法としては、効率による異物検出法や、温度による異物検出法の他、例えば、上述した負荷による異物検出法を採用することができる。
さらに、図7では、受電装置12の通信部42において、抵抗の接続をオン、オフすることにより、負荷変調を行って、受電装置12から送電装置11に、情報を送信することとしたが、送電装置11と受電装置12との間で通信を行う通信方式は、これに限定されるものではない。
[受電装置12の他の構成例]
図15は、図1の受電装置12の他の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図7の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図15Aの受電装置12は、共振回路40、整流部41、レギュレータ43、負荷44、制御部45、及び、異物検出部46を有する点で、図7の場合と共通する。
但し、図15Aの受電装置12は、通信部42に代えて、通信部71が設けられている点で、図7の場合と相違する。
図15Aでは、通信部71が、共振回路40と整流部41との間に設けられている。
図7の通信部42は、FETと抵抗とを有していたが、通信部71は、例えば、FETとコンデンサとを有し、FETが、制御部45の制御にしたがって、オン状態、又は、オフ状態となることで、コンデンサを、共振回路40に接続し、又は、共振回路40から切り離す。
コンデンサが、共振回路40に接続され、又は、共振回路40から切り離されることで、(外部の)送電装置11から見た、負荷としての共振回路40のインピーダンスが変化し、送電装置11の共振回路20(図5)に流れる電流(電圧)が負荷変調される。
図15Bの受電装置12は、共振回路40、整流部41、レギュレータ43、負荷44、制御部45、及び、異物検出部46を有する点で、図7の場合と共通する。
但し、図15Bの受電装置12は、通信部42に代えて、通信部81、及び、通信用アンテナ82が設けられている点で、図7の場合と相違する。
通信部81は、通信用アンテナ82で電波を送受信することにより、例えば、ZIGBEE(登録商標)や、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、その他の通信方式に従った無線通信を行う。
なお、受電装置12に、通信部81を設ける場合、送電装置11にも、通信部81と通信を行うことができるブロックを設ける必要がある。
[本技術を適用したコンピュータの説明]
次に、異物検出機能としての処理のうちの、送電装置11の制御部24や、受電装置12の制御部45、判定部53が行う少なくとも一部の処理は、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ(プロセッサ)にインストールされる。
図16は、処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示している。
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク105やROM103に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、プログラムは、リムーバブル記録媒体111に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体111は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。ここで、リムーバブル記録媒体111としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリ等がある。
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体111からコンピュータにインストールする他、通信網や放送網を介して、コンピュータにダウンロードし、内蔵するハードディスク105にインストールすることができる。すなわち、プログラムは、例えば、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することができる。
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)102を内蔵しており、CPU102には、バス101を介して、入出力インタフェース110が接続されている。
CPU102は、入出力インタフェース110を介して、ユーザによって、入力部107が操作等されることにより指令が入力されると、それに従って、ROM(Read Only Memory)103に格納されているプログラムを実行する。あるいは、CPU102は、ハードディスク105に格納されたプログラムを、RAM(Random Access Memory)104にロードして実行する。
これにより、CPU102は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU102は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース110を介して、出力部106から出力、あるいは、通信部108から送信、さらには、ハードディスク105に記録等させる。
なお、入力部107は、キーボードや、マウス、マイク等で構成される。また、出力部106は、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される。
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。
また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
さらに、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。