JP6769041B2 - スパッタリングターゲットの超音波検査方法、及び、スパッタリングターゲット - Google Patents
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Description
一般に、スパッタリングターゲットは、成膜する薄膜の組成に応じて形成されたターゲット材と、このターゲット材を保持するバッキング材とが、はんだ層を介して接合された構造とされている。
平板型スパッタリングターゲットにおいては、平板状のターゲット材と平板状のバッキング材(バッキングプレート)が積層された構造とされる。
また、円筒型スパッタリングターゲットにおいては、円筒状のターゲット材の内周側に円筒状のバッキング材(バッキングチューブ)が挿入された構造とされる。なお、円筒型ターゲットの軸線方向長さは、例えば1m以上と比較的長く設定されたものが提案されている。
ターゲット材とバッキング材との接合状態を検査する手段として、例えば特許文献1には、X線の透過画像を用いて気泡(ボイド)などの接合欠陥の有無を判定する方法が提案されている。
また、特許文献2には、水中において超音波検査を行い、接合界面における超音波の反射波のピーク強度から気泡(ボイド)などの接合欠陥の有無を判定する方法が提案されている。
そして、前記ターゲット材/はんだ層界面からの反射波の発生時間を含む第1のゲート時間と、前記はんだ層/バッキング材界面からの反射波の発生時間を含むとともに、前記第1のゲート時間とは異なる第2のゲート時間を設定しているので、ターゲット材/はんだ層界面における欠陥の有無、及び、はんだ層/バッキング材界面における欠陥の有無を的確に判断することが可能となる。また、第1のゲート時間と第2のゲート時間が設定されているので、それぞれ欠陥の有無を判定するピーク強度の閾値を独立に設定することができ、欠陥の有無を精度良く判定することができる。
この場合、前記はんだ層の厚さのばらつきが抑えられているので、前記ターゲット材/はんだ層界面からの反射波、及び、前記はんだ層/バッキング材界面からの反射波の発生時間が安定しており、上述の第1のゲート時間と第2のゲート時間によって、前記ターゲット材/はんだ層界面、及び、前記はんだ層/バッキング材界面の欠陥の有無を的確に判断することができる。
そして、ターゲット材11とバッキング材12は、はんだ層13を介して接合されている。
また、このターゲット材11のサイズは、例えば外径D1が100mm≦D1≦300mmの範囲内、内径d1が50mm≦d1≦200mmの範囲内、軸線O方向長さL1が50mm≦L1≦3000mmの範囲内とされている。
また、このバッキング材12のサイズは、例えば外径D2が30mm≦D2≦200mmの範囲内、内径d2が20mm≦d2≦195mmの範囲内、軸線O方向長さL2が50mm≦L2≦3000mmの範囲内とされている。
本実施形態では、はんだ層13の材質及び厚さは、ターゲット材11、はんだ層13及びバッキング材12の積層方向に超音波を発振した際に、ターゲット材/はんだ層界面における反射波とはんだ層/バッキング材界面における反射波の時間差が1.0μsec.以上3.5μsec.以下の範囲内となるように規定されている。
本実施形態では、はんだ層13はInで構成されたものとされている。なお、Inの音速は1215m/sec.とされる。
具体的には、はんだ層13の厚さtは、1.0mm≦t≦3.5mmの範囲内とされている。
具体的には、円筒状のスパッタリングターゲット10を軸線O方向に直交する一の断面においてはんだ層13の厚さを5箇所測定し、さらに、スパッタリングターゲット10を軸線O方向に直交する他の断面においてはんだ層13の厚さを5箇所測定する。そして、これら10箇所の測定値から算出されるはんだ層13の平均厚さtaveが0.75mm以上2.0mm以下の範囲内とされ、前記はんだ層の10箇所での測定値の標準偏差をσとするとき、3×σが0.2×tave以下の範囲内とされているのである。
本実施形態であるスパッタリングターゲットの超音波検査方法は、上述したスパッタリングターゲット10においてターゲット材11とバッキング材12との接合状態を検査するものである。
ターゲット材11、はんだ層13及びバッキング材12の積層方向に向けて発振された超音波は、水/ターゲット材界面、ターゲット材/はんだ層界面、はんだ層/バッキング材界面、バッキング材/水界面、の4つの界面で主に反射されることになる。
なお、本実施形態では、第1のゲート時間21、第2のゲート時間22及び第3のゲート時間23は、重複する時間帯はなく、それぞれ独立して設定されている。
以下に、図2を参照して、第1のゲート時間21、第2のゲート時間22及び第3のゲート時間23における反射波のピーク強度から欠陥の発生状況を判断する方法について説明する。
ターゲット材11とバッキング材12との接合状態が正常で欠陥がない場合には、図2(a)に示すように、第1のゲート時間21及び第2のゲート時間22において、それぞれの閾値未満の反射波のピークP1、P2が認められる。これらの反射波は、正常なターゲット材/はんだ層界面及びはんだ層/バッキング材界面において生じるものである。
ターゲット材/はんだ層界面に空隙等の欠陥30が生じている場合には、図2(b)に示すように、第1のゲート時間21において閾値以上の反射波のピークP1が認められる。なお、欠陥30以降には超音波は伝播しないことから、第2のゲート時間22及び第3のゲート時間23においては反射波のピークが存在しない。
はんだ層13の内部に空隙等の欠陥30が生じている場合には、図2(c)に示すように、第1のゲート時間21において閾値未満の反射波のピークP1が認められるとともに、第3のゲート時間23において閾値以上の反射波のピークP3が認められる。なお、欠陥30以降には超音波は伝播しないことから、第2のゲート時間22においては反射波のピークが存在しない。
はんだ層/バッキング材界面に空隙等の欠陥30が生じている場合には、図2(d)に示すように、第1のゲート時間21において閾値未満の反射波のピークP1が認められるとともに、第2のゲート時間22において閾値以上の反射波のピークP2が認められる。
なお、従来のように、一つのゲート時間のみでターゲット材とバッキング材の界面を超音波検査した場合の超音波画像を図5に示す。この図5に示す超音波画像においては、図4に示す第2のゲート時間22で評価されたはんだ層/バッキング材界面における超音波探傷結果で確認される欠陥が検出されていないことが分かる。
本実施形態では、円筒状のスパッタリングターゲットを例に挙げて説明したが、その他の形状のスパッタリングターゲットであってもよい。また、はんだ層をInで構成したものとして説明したが、これに限定されることはなく、はんだ層の材質に特に限定はない。さらに、はんだ層の具体的な厚さについても実施形態に限定されることはない。
すなわち、はんだ層の材質及び厚さが、ターゲット材、はんだ層及びバッキング材の積層方向に超音波を発振した際に、ターゲット材/はんだ層界面における反射波とはんだ層/バッキング材界面における反射波との時間差が1.0μsec.以上3.5μsec.以下の範囲内となるように規定されていればよい。
11 ターゲット材
12 バッキング材
13 はんだ層
21 第1のゲート時間
22 第2のゲート時間
23 第3のゲート時間
Claims (3)
- 円筒状をなすターゲット材と円筒状をなすバッキング材との間にはんだ層を有するスパッタリングターゲットの超音波検査方法であって、
前記はんだ層の材質及び厚さは、前記ターゲット材、前記はんだ層及び前記バッキング材の積層方向に超音波を発振した際に、ターゲット材/はんだ層界面における反射波とはんだ層/バッキング材界面における反射波との時間差が1.0μsec.以上3.5μsec.以下の範囲内となるように規定されており、
前記ターゲット材/はんだ層界面からの反射波の発生時間を含む第1のゲート時間と、前記はんだ層/バッキング材界面からの反射波の発生時間を含むとともに、前記第1のゲート時間とは異なる第2のゲート時間を設定し、
前記ターゲット材、前記はんだ層及び前記バッキング材の積層方向に超音波を発振し、前記第1のゲート時間における反射波のピーク強度から前記ターゲット材/はんだ層界面における欠陥の有無を判断し、前記第2のゲート時間における反射波のピーク強度から前記はんだ層/バッキング材界面における欠陥の有無を判断し、
前記はんだ層内部からの反射波の発生時間を含むとともに、前記第1のゲート時間及び前記第2のゲート時間とは異なる第3のゲート時間を設定し、前記第3のゲート時間における反射波のピーク強度から前記はんだ層内部における欠陥の有無を判断することを特徴とするスパッタリングターゲットの超音波検査方法。 - 円筒状をなすターゲット材と円筒状をなすバッキング材との間にはんだ層を有するスパッタリングターゲットであって、
前記はんだ層の材質及び厚さは、前記ターゲット材、前記はんだ層及び前記バッキング材の積層方向に超音波を発振した際に、ターゲット材/はんだ層界面における反射波とはんだ層/バッキング材界面における反射波の時間差が1.0μsec.以上3.5μsec.以下の範囲内となるように規定されており、
前記ターゲット材/はんだ層界面からの反射波の発生時間を含む第1のゲート時間と、前記はんだ層/バッキング材界面からの反射波の発生時間を含むとともに、前記第1のゲート時間とは異なる第2のゲート時間と、前記はんだ層内部からの反射波の発生時間を含むとともに、前記第1のゲート時間及び前記第2のゲート時間とは異なる第3のゲート時間を設定して超音波検査を行い、
検査証として、第1のゲート時間を設定して超音波探傷して検査した超音波画像と、第2ゲート時間を設定して超音波探傷して検査した超音波画像と、第3ゲート時間を設定して超音波探傷して検査した超音波画像と、が添付されていることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 前記はんだ層の平均厚さtaveが0.75mm以上2.0mm以下の範囲内とされ、前記はんだ層の10箇所での測定値の標準偏差をσとするとき、3×σが0.2×tave以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
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