JP6768360B2 - 造形方法及び造形装置 - Google Patents
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Description
立体的な造形物を表現する方式では、STL(Stereo lithography)と呼ばれるフォーマットが使われることが多い。STLデータは、立体物の表面を構成する三角形の法線座標と3次元のXYZ座標点からなる。立体物を表す3次元モデルは、一般的には隣接した三角形群であるシェル(隣接するポリゴンの集合)で構成される。
特許文献1では、造形時間が最小になるような造形方向を決めた複数の造形モデルを重なりなく最密に配置する方法が開示されている。
特定の3次元モデルを廃棄する場合には、造形材料が無駄になってしまうことが懸念される。また、造形全体を中止した場合には、特定の3次元モデルを除いた3次元モデルのレイアウト及びスライスデータの生成をやり直した後、始めに戻って造形を行う必要があり、造形時間が長くなってしまうことが懸念される。
3次元モデルデータに基づいて造形材料を積層して立体物を製造する立体物の製造方法であって、
前記3次元モデルデータが複数の3次元モデルデータを含み、
前記複数の3次元モデルに応じた立体物の製造中に、前記複数の3次元モデルのうちの特定の3次元モデルの製造を中止する指示を受けると、前記指示を受けた時点より後に前記立体物の製造に用いられるデータから、前記特定の3次元モデルのデータが削除されたデータを生成する処理を行い、前記特定の3次元モデルのデータが削除されたデータに基づいて立体物の製造を継続する
ことを特徴とする造形方法を提供する。
立体物を造形する造形装置であって、
スライスデータに基づいてステージ上に造形材料を積層する造形部と、
データ処理部および入力部を有する制御部と、
を有し、
前記造形部が複数の3次元モデルを含むスライスデータデータに基づいて前記造形材料の積層を行っている間に、前記制御部が前記複数の3次元モデルのうち特定の3次元モデルの製造を中止する指示を受けると、前記制御部は、前記指示を受けた時点より後に前記立体物の製造に用いられる、前記特定の3次元モデルのデータが削除されたスライスデータを生成し、前記造形部は、前記前記特定の3次元モデルのデータが削除されたスライスデータに基づいて前記造形材料の積層を継続する
ことを特徴とする造形装置を提供する。
また、本発明の第3態様は、
3次元モデルデータに基づいて、ステージの上に造形材料を積層して立体物を製造する立体物の製造方法であって、
1つのステージ上に同時に複数の立体物を製造している間に、特定の立体物の製造を中止する指示を受けると、前記複数の立体物のうち、前記特定の立体物の製造を中止し、その他の立体物の製造を継続する
ことを特徴とする立体物の製造方法を提供する。
本発明は、積層造形技術(AM技術)、すなわち、造形材料を2次元に配置して層状に積層することによって3次元物体(立体物)を作製する技術を採用した造形システムに関する。
そして、造形システム1では、立体物の作製中で、立体物に含まれる3次元モデルを変更する変更指示があった場合に、次のような特徴的な加工処理を行う。すなわち、記憶装置に記憶された複数の層分のスライスデータのうち、変更指示以降の立体物の作製に用いられる残スライスデータに対して変更指示に応じた加工処理を行う。そして、加工処理後の残スライスデータを用いて立体物の作製を継続する。変更指示としては、複数の3次元モデルのうちの特定の3次元モデルの作製を中止する指示、立体物に新たな3次元モデルを追加する指示を例示できる。加工処理については、実施形態を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態の制御部2による全体処理を説明するためのフローチャートである。
ステップ1001では、ステージ122上で複数の3次元モデル(以下、3Dモデル)を造形する時の配置を決める、レイアウト処理を行う。
ここで、図9を用いて、3つの3Dモデルについて説明する。図9は、ステージ122上に、3つの3Dモデルである、三角錐11、球12、直方体13をレイアウトした状態を模式的に示す図である。このように、造形システム1では、ステージ122上に配置可能な複数の3Dモデルを、一度に造形することができる。
ステップ1001の説明に戻ると、図3を用いて後述するように、複数の3Dモデルの造形位置を決め、また上方から見たときの平面図形になるフットプリントの形状(ステージ上に投影したと仮定したときの投影形状)を記録する。
ステップ1002では、制御部2が、積層する層を作成するスライス処理を行う。制御部2は、STLで記述された3Dモデルの断面計算を行い、構造材料、サポート材料を指示するスライスデータに変換し、スライスデータを記憶する。スライスデータは、ステップ1001でレイアウトした複数の3Dモデルの位置関係を保持した状態で、複数の3Dモデルをまとめてスライスして生成する。
ステップ1004は、制御部2が、ステージ122上に配置する複数の3Dモデルのうち、特定の3Dモデル(以下、特定モデル)の中止の指示を受信したか否かを判定する判定ステップである。造形中に特定モデルの造形中止指示が入力された場合、ステップ1005で造形中断処理を行う。この点に関しては、図2を用いて後述する。特定モデルの造形中止に関する処理が終了すると、ステップ1006で、制御部2が造形を続行する。造形が終了すると(ステップ1007でYes)、ステップ1008で、造形物の取り出し処理を行う。そして、ステップ1009で、造形が完了した造形物に対して、支持体の除去や表面加工などの後処理を行う。ステップ1008とステップ1009の処理は、ユーザにより行われるものであってもよく、制御部2により自動で行われるものであってもよい。
ステップ2001は、造形の一時停止処理である。造形を再開することを考慮して、制御部2が、造形を一時停止する。この方法は、造形装置、造形方法に応じて最適な方法をとるとよい。
ステップ2002では、制御部2が、造形の一時停止直前の積層済みの層のスライス番号Nを読み出し、記憶する。
ステップ2004では、制御部2が、3DモデルIDに対応したフットプリント情報を読み出す。
ステップ2005では、制御部2が、フットプリントをマスクデータに変換する。
ステップ2006では、制御部2が、スライス番号N+1以降のスライスデータにマスキングを行い、スライスデータのうちマスクした部分のデータをクリアする。マスキング
は、2Dプリンタ分野で用いられている手法を適用することができる。ここで、スライス番号N+1以降のスライスデータは、制御部2の記憶装置に記憶された複数の層分のスライスデータのうち、スライス番号N+1以降(変更指示以降)の造形物の作製に用いられるスライスデータであり、以下、残スライスデータと呼ぶ。
このようなマスク処理したスライスデータが、残スライスデータに換わって使用されることで、特定モデルの造形が中止されることになる。なお、本実施形態では、特定モデルの造形中止処理を、マスク処理により行うものであるが、これに限るものではなく、残スライスデータから特定モデルの断面のデータを削除する処理が行われるものであってもよい。
ステップ3001は、制御部2が、複数の3Dモデルデータを読み込むステップである。
ステップ3002は、ステージ122上に複数の3Dモデルを配置するステップである。このステップでは、例えば図9に示すように、ステージ122上に三角錐11、球12、直方体13の3つの3Dモデルを並べて配置する。この配置は、制御部2が所定のルールに従って自動で配置するものであってもよく、ユーザが手動で配置するものであってもよい。所定のルールは、例えば、造形する立体物の高さを最小にする、複数の造形モデルを最小体積に配置する、必要とする支持材料を最少とする、などが挙げられる。
ステップ3003は、制御部2が、レイアウトデータを作成するステップである。このステップでは、各3Dモデルを配置するための配置座標および3Dモデルの座標を含めてレイアウトデータとするものである。
ここで、図10を用いて、3つの3Dモデルのフットプリントについて説明する。図10は、3つの3Dモデル(三角錐11、球12、直方体13)のフットプリントを、材料層の対応する位置にそれぞれ配置した状態を模式的に示す図である。それぞれ、三角形、円、四角形が、フットプリント(積層面における3Dモデルの垂直投影図に相当)になる。ただし、マスクデータはフットプリントでなく、3Dモデルに外接する柱体の底面形状であっても構わない。
ステップ4001は、制御部2が、3DモデルIDの初期値を設定するステップである。
ステップ4002は、制御部2が、設定されたIDの3Dモデルを上方から見たときの平面図形になるフットプリント形状を作成し、3DモデルIDとフットプリント情報を対応付けて記憶するステップである。
ステップ4003は、制御部2が、3DモデルIDを更新するステップである。
ステップ4004は、制御部2が、全モデルのフットプリント情報が登録できたかどうかを判定するステップであり、登録が済んでいない場合には否定判定となり、ステップ4002に戻る。
ステップ5001は、ユーザが、3DモデルIDを入力するかまたはGUIにより特定モデルを指示するステップである。
ステップ5002は、ステップ5001でユーザにより入力または指示された特定モデルを、制御部2が特定するステップである。
ステップ5003は、制御部2が、特定モデルのスライス処理状態を判定するステップで、特定モデルのスライス処理が終わっているかどうかを判定する。スライス処理の実行前の場合、すなわちステップ5003で否定判定の場合、ステップ5004に進み、再レイアウト処理を行う。この処理については、図6を用いて後述する。また、スライス処理の実行後(スライス処理実行中を含む)の場合、すなわちステップ5003で肯定判定の場合には、ステップ5005に進み、造形中の特定モデルの造形中断処理を行う。
ステップ6001は、制御部2が、既にレイアウトされたレイアウトデータを読み込むステップで、中止指示前のレイアウトが再現される。
ステップ6002は、制御部2が、ステージ122上から特定モデルを削除する操作を行うステップである。この操作により、造形が中止される3Dモデルが指定され、ステージ122上のレイアウトから削除される。
ステップ6003は、制御部2が、再レイアウトデータを作成し、造形する3Dモデルとそのステージ122上の位置座標を記憶するステップである。
ステップ6004は、制御部2が、フットプリントを作成するステップであり、ステージ122上に再レイアウトされた3Dモデルのフットプリントの2D画像とその位置座標が記憶される。
図7において最下部は、ステージ122上の造形面を表しており、そこから上のハッチングの部分11a,12a,13aはそれぞれ、造形途中の造形物の造形済みの部分を示している。ハッチング部分の上側の線14は、特定モデルの造形中止の指示がなされた時点を表している。
本実施形態では、球12の造形中止が指示された場合について示しており、図7に示す破線部分12bは、造形される予定だった球の部分(造形が中止された球の部分)を示している。
三角錐11と直方体13に関しては、造形が再開されると、造形途中の造形物11a,13aに対する造形が継続されるので、造形物の造形完了時には、3つの3Dモデルのうち、三角錐11、直方体13のみ、当初の予定通りに造形された造形物として取り出せることになる。
これにより、球12の造形を完了させる必要がなくなるため、造形材料が無駄に消費されてしまうことを抑えることができ、造形材料を効率よく使用することができる。また、従来のように、造形全体を中止して、球12のデータを除いた後、三角錐11および直方
体13の造形を始めからやり直す必要もなくなり、造形時間の短縮化を実現することができる。
また、球12の下側の部分12aは造形されてしまうが、完成品で無いため、廃棄するだけでよく、造形後の処理を簡略化することができる。
図8Bに示す下側のスライスデータ(細い線で示すスライスデータ)は、図8Aと同じスライスデータである。図8Bに示す上側のスライスデータ(太い線で示すスライスデータ)は、球12の部分に相当するデータ部分がマスクされたスライスデータである。球12を形成するデータ部分は、下側のスライスデータでは、スライスデータの中央領域に配置されていたが、上側のスライスデータでは存在せず、球12の造形が途中で中止されていることを示している。
したがって、造形材料の無駄な消費を抑え、造形時間を短縮させ、造形後の処理を簡略化することが可能となる。
ここで、造形を中断させ、中断させている間に、3Dモデルデータに基づいて、特定モデルを除いた3Dモデルのレイアウト及びスライスデータを生成し直し、残スライスデータに置き換えることも考えられる。しかし、この場合には、特定モデルを除いた3Dモデルのレイアウト及びスライスデータを、3Dモデルデータに基づいて生成し直すため、データの再生成にかかる時間が長くなってしまうことが懸念される。これに対して本実施形態では、残スライスデータに対して加工処理を行っているので、3Dモデルデータに基づいてレイアウト及びスライスデータを最初から生成し直す場合よりも、造形時間をより短縮させることができる。
以下に、実施形態2について説明する。なお、本実施形態では、実施形態1と異なる構成や処理について説明し、実施形態1と同様の構成や処理についての説明は省略する。
本実施形態では、特定モデルの造形中止ではなく、造形途中で新たな3Dモデルを追加する処理について説明する。
本処理では、造形の開始時にスライスデータに含まれていなかった3Dモデルのデータを、造形途中で新たに追加することを可能とするものである。
造形途中で新たな3Dモデルの追加を行う可能性が考えられる場合には、新たな3Dモデルの追加が可能な造形領域をステージ122上に予め設定し、追加指示があるまでは、追加する造形物の土台となる支持体を造形しておく。支持体の造形材料の種類は支持材料に特に限定されるものではなく、構造材料で形成してもよいが、支持体が追加する造形物と接触する部分には支持材料が配置されていると望ましい。これにより、造形が完了した後に追加した造形物と土台部分とを分離する後処理を容易にすることができる。
図11では、造形途中で追加する3Dモデルの球12、球12の土台となる支持体15、ステージ122の積層面上の追加可能エリア16を示している。本実施形態のスライス処理で生成されたスライスデータには、追加可能エリア16に支持体15を形成するための、支持体15の断面データが含まれている。3Dモデルの追加指示を受けると、実施形態1同様に、制御部2が、積層済みの材料層のスライス番号Nを読み出し、記憶する。そして、スライス番号(N+1)以降に3Dモデルの追加が行われる場合、スライスデータに対する加工処理としては、支持体15のスライス番号(N+1)以降の断面データを含む残スライスデータが、3Dモデルの球12の断面データを含むスライス番号(N+1)以降のスライスデータに置き換えられる。このようにして置き換えられた球12の断面データを含む残スライスデータに基づいて、球12の下側の部分から上に向かって順次積層が行われる。
ステップ1301では、造形前にユーザが追加可能エリアを指定しておく。
ステップ1302では、制御部2が、スライス処理を行う。このとき、図12Aに示すような、土台部分となる支持体を形成するための断面画像領域22が含まれたスライスデータ21が生成される。
ステップ1303では、制御部2が、造形を開始する。
ステップ1304では、制御部2が、造形を中断して、上述した球12の追加処理を行う。具体的には、造形物の追加指示を受けて、積層済みの材料層のスライス番号Nを読み出し記憶する。そして、3Dモデル11、13の配置を維持した状態で、追加可能エリア内に3Dモデル12を配置する再レイアウトを行い、スライス番号(N+1)以降に用いるスライスデータを生成する。これにより、ステップ1302では、3Dモデル11、13の断面画像の連続を維持する一方で、図12Aの断面画像領域22が、図12Bの球12を形成するための断面画像領域24に置き換えられたスライスデータ23に変更される。
ステップ1305では、制御部2が、造形を再開する。
以上説明したように、本実施形態によれば、造形途中であっても、造形途中の造形物に新たな3Dモデルを追加することが可能となる。これにより、球12を形成するために、造形途中の造形物の完成を待つ必要がなくなり、造形時間を短縮させることが可能となる。
以下に、実施形態3について説明する。なお、本実施形態では、実施形態1,2と異なる構成や処理について説明し、実施形態1,2と同様の構成や処理についての説明は省略する。
本実施形態では、複数の3Dモデルを上方から見たときの平面図形に重なりがあり(複数のフットプリントに重なる領域があり)、特定モデルが他の3Dモデルを支持する支持体の一部を兼ねている場合について説明する。このような場合に、特定モデルの造形が中止されると、他の3Dモデルを支持する支持体の一部が形成されなくなってしまう。そこで、本実施形態では、造形が中止された特定モデルが配置される予定だった領域のうち、他の3Dモデルを支持する支持領域を含んだ領域は、マスク処理せずに、造形材料を積層する。これにより、他の3Dモデルの支持体の造形を継続することができるものである。
図14Aは、3Dモデル17における、オーバーハング部17aを保持するサポート領域の一部に、球12の一部が用いられる形態で造形を行った状態を表している。図14Aにおいて、オーバーハング部17aの下側の部分は、造形時に支持体が必要な領域である。そして、この領域に形成された支持体17bと、球12を構成する造形材料の一部によって、3Dモデル17のオーバーハング部17aが保持される。ところが、単に球12の造形を中止するためのマスク処理を行った後に、造形を継続する場合、オーバーハング部17aのサポートが不十分となることが懸念される。これは、オーバーハング部17aのサポート領域のうち、球12の部分に対応する領域が造形されなくなってしまうためである。したがって、図14Bに示すように、オーバーハング部17aのサポート領域のうち、球12の部分に対応する領域に、サポート部17cを追加する必要がある。
ここで、制御部2は、スライスデータに対する加工処理として、球12の断面データを残スライスデータから削除する処理と、球12の代わりに3Dモデル17を支持する新たな支持体の断面データを残スライスデータに追加する処理とを含むものであるとよい。
なお、スライス処理の前であれば、サポート部17cを追加するための他の方法として、3Dモデルのレイアウト処理に戻って、球12を削除したレイアウトのスライスデータを作成し、造形中断処理時以降のスライスデータを差替える方法を用いても良い。
図15Aは、球12の造形中止指示の受信前の材料層を示しており、球12の断面を避けるように、3Dモデル17の支持体17bについて示している。一方、図15Bは、球12の造形中止指示により造形中断処理を行う場合について示すものである。
この場合には、球12の断面データがマスク処理されるが、球12の断面データにおいて、3Dモデル17のフットプリントに重なる領域があれば、その重なる領域を、オーバーハング部17aを保持する支持体を形成するための断面データとして用いる。これによ
り、材料層のうち、オーバーハング部17aのサポート領域においては、3Dモデル17のフットプリント内であれば、すべて支持体17dが形成されるようになる。
3Dモデル17の支持体17bを形成する別の方法として、球12が3Dモデル17のフットプリントと重複する部分だけを残し、それ以外の部分の断面データをマスクする手法を採用しても良い。この場合は、もともと球12に含まれていた部分17cは、構造材で作製されるが、3Dモデル17と球12に含まれていた部分17cとの間には支持材料が配置されているため、分離は容易である。つまり、球12が3Dモデル17のフットプリントと重複する部分と、3Dモデル17との間にサポート材料が配置されるか否かによって、球12が3Dモデル17のフットプリントと重複する部分をサポート材料で形成するか構造材料で形成するかを決めるとよい。
ステップ1601では、制御部2が、造形中止処理が行われる3Dモデル(例えば球12)のフットプリントを読み込む。
ステップ1602では、制御部2が、重なりのある3Dモデル(例えば3Dモデル17のオーバーハング部17a)のフットプリントを読み込む。
ステップ1603では、制御部2が、造形中止処理が行われる前のスライスデータを入力する。
ステップ1604では、制御部2が、球12のフットプリントが、オーバーハング部17aのフットプリント内にあるか否かの判定を行う。ステップ1604で肯定判定であれば、ステップ1606に進み、制御部2が、球12のフットプリント内の構造体を形成するための断面データを含むスライスデータを、支持体を形成するための断面データを含むスライスデータに置き換える。ステップ1604で否定判定であれば、ステップ1605に進み、制御部2が、球12のフットプリントで、球12の構造体を形成するための断面データをマスク処理して削除する。
以上の処理を、造形の再開時に造形に用いるすべてのスライスデータに対して行う。
以下に、実施形態4について説明する。なお、本実施形態では、実施形態1〜3と異なる構成や処理について説明し、実施形態1〜3と同様の構成や処理についての説明は省略する。
本実施形態では、造形を中止した3Dモデルが配置されているステージ122上のエリアで、その後、新たに3Dモデルを追加して造形する形態について説明する。球12の造形中止後、造形途中の球12の部分12aが造形されたステージ122上のエリアにサポート材料を積層し、造形可能エリアを作成することで、新たに3Dモデルを追加して造形することができる。
図17に示す形態では、ステージ122上の造形途中の球12の造形済の部分12aの真上の領域に、サポート材料を積層して下敷き部31を形成し、下敷き部31上に、新たに球32を追加して造形している。下敷き部31は、球32を追加して造形する指示があるまで積層されるものであるが、積層方向の厚みが、その後に層を積層する際に加わる力
に耐え得る強度や球12の造形済の部分12aとの剥離性を保証するために予め決められた高さ以上となるまで積層されることが望ましい。また、球12の造形中止後の、造形途中の部分12aの断面形状が小さい場合には、フットプリントの大きさになるまで、下敷き部31の領域を徐々に広げていくとよい。このとき、サポート計算の中間処理が必要となる場合もある。
ステップ1801では、ユーザにより、造形を中止する3Dモデル(特定モデル)が指定される。
ステップ1802では、制御部2が、造形システム1の一時停止処理を行う。
ステップ1803では、スライスデータに対する加工処理として、制御部2が、造形を中止する特定モデルのフットプリントを断面データとする支持体31を追加するスライスデータを生成し、残スライスデータ(造形中止指示以降のスライスデータ)と置き換える。実施形態1では、造形を中止する特定モデルのフットプリントをマスクデータに変換するものであったが、本実施形態では、新たに3Dモデルを追加して造形できるように、支持体の断面データとして用いる。
ステップ1805では、ユーザが、新たな3Dモデルの追加を指示する。ただし、追加可能な3Dモデルは、支持体31のフットプリントの範囲に収まるものに限定される。
ステップ1806では、制御部2が、ステップ1802と同様に造形システム1の一時停止処理を行う。
ステップ1807では、制御部2が、新たな3Dモデルを支持体31のフットプリントの範囲にレイアウトしてスライス処理を行い、新たな3Dモデルの断面データを含むスライスデータを生成する。そして、ステップ1803で生成した支持体31の断面データを含むスライスデータを、新たな3Dモデルの断面データを含むスライスデータに置き換える。
ステップ1808では、制御部2が、新たな3Dモデルの断面データを含むスライスデータに従って造形を再開する。
実施形態4では、特定モデルの造形を中止し、造形を再開した後に、新たな3Dモデルの追加を指示する場合を説明したが、本実施例では、特定モデルの造形中止と共に新たな3Dモデルの追加を指示する場合を説明する。
図19は、本実施形態の、新たに3Dモデルを追加して造形する形態について説明するための図である。
下敷き部31と三角錐32との剥離性を確保するために、下敷き部31と三角錐32とが接触する部分にはサポート材料が設けられていることが望ましい。
ステップ2101では、ユーザにより、造形を中止する3Dモデル(特定モデル)が指定される。
ステップ2102では、制御部2が、造形システム1の一時停止処理を行う。
ステップ2103では、ユーザによって、新たな3Dモデル(追加モデル)の追加が指示される。
ステップ2105では、三角錐11と四角柱13の位置を維持して、球12の造形済の部分の上に下敷き部31と追加モデル32をレイアウトする。こうして再レイアウトされた3Dモデルをスライス処理して、球12の造形を中止して以降の造形に用いる、下敷き部31と追加モデル32の断面データを含むスライスデータを生成する。そして、造形中止前に用いていた球12の断面データを含むスライスデータと置換する。
本実施形態によれば、実施形態1で説明した効果に加えて、次のような効果を得ることができる。すなわち、追加する3Dモデルの形状に応じて、造形中止後のステージ上の特定モデルに対して造形材料を積層して造形可能エリアを形成することで、新たに3Dモデルを追加して造形することが可能となる。これにより、造形時間を短縮することができ、複数の3Dモデルの造形を効率よく行うことが可能となる。
実施形態1〜5では、複数の3Dモデルを造形する工程において、特定の3Dモデルの造形を中止する場合や、新たな3Dモデルを追加する場合を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、1つの3Dモデルを造形している途中に、造形を中止し、それ以降に造形する形状または造形材料を一部変更する場合などが挙げられる。具体的には、造形物の変更指示を受けて、積層済みの材料層のスライス番号Nを読み出し記憶する。そして、造形途中の3Dモデルの配置を維持した状態で、変更を反映した3Dモデルのスライス番号(N+1)以降の3Dデータを取得してスライスデータを生成する。これにより、すでに造形済みの部分を生かしながら、作製する3Dモデルの形状や造形材料を変更することが可能となる。
図21は、造形物を作製することができる造形システム1について説明するための図である。以下に、画像形成ユニット100を用いた積層方式により造形物を形成する方法について説明する。
画像形成ユニット100では、制御部2により生成されたスライスデータを用いて、1層分の材料画像が形成される。
画像形成ユニット100は電子写真方式を用いて像を生成するもので、感光ドラム10
1,102,103,104が、無端状の担持ベルト109の回転方向に沿って設けられている。また、担持ベルト109を介して各感光ドラムにそれぞれ対向するように、転写ローラ105,106,107,108が設けられている。ここで、感光ドラム101、転写ローラ105は、カートリッジDに収容されたサポート材料を用いて材料画像を形成するためのものである。また、感光ドラム102、転写ローラ106は、カートリッジCに収容された緑色の構造材料を用いて材料画像を形成するためのものである。また、感光ドラム103、転写ローラ107は、カートリッジBに収容された青色の構造材料を用いて材料画像を形成するためのものである。また、感光ドラム104、転写ローラ108は、カートリッジAに収容された赤色の構造材料を用いて材料画像を形成するためのものである。
転写ユニット110は、画像形成ユニット100において担持ベルト109上に形成された材料画像を、画像形成ユニット側の転写ローラ111と転写ユニット側の転写ローラ112により、転写ユニット110内の担持ベルト114に転写させるものである。
また、担持ベルト114上の材料画像を、ステージ122上の造形物121に熱溶着させる際、図21に矢印130で示した方向に圧力が加わる構成とすることにより、より強度の高い造形物を作製できる。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
Claims (9)
- 3次元モデルデータに基づいて造形材料を積層して立体物を製造する立体物の製造方法であって、
前記3次元モデルデータが複数の3次元モデルデータを含み、
前記複数の3次元モデルに応じた立体物の製造中に、前記複数の3次元モデルのうちの特定の3次元モデルの製造を中止する指示を受けると、前記指示を受けた時点より後に前記立体物の製造に用いられるデータから、前記特定の3次元モデルのデータが削除されたデータを生成する処理を行い、前記特定の3次元モデルのデータが削除されたデータに基づいて立体物の製造を継続する
ことを特徴とする立体物の製造方法。 - 前記立体物は、前記3次元モデルデータを所定の方向にスライスして生成されるスライスデータに従って前記造形材料を積層することによって製造され、
前記指示を受けた時点より後に前記立体物の製造に用いられるデータから、前記特定の3次元モデルのデータが削除されたデータを生成する処理は、前記指示を受けた時点より後に前記立体物の製造に用いられる残スライスデータから前記特定の3次元モデルのデータを削除する処理を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の立体物の製造方法。 - 前記残スライスデータから前記特定の3次元モデルのデータを削除する処理は、前記特定の3次元モデルの領域をマスクするマスクデータを用いて前記残スライスデータをマスクする処理である
ことを特徴とする請求項2に記載の立体物の製造方法。 - 前記マスクデータは、前記特定の3次元モデルを、前記造形材料を積層する面に投影したと仮定したときの投影形状をマスクするデータである
ことを特徴とする請求項3に記載の立体物の製造方法。 - 立体物を造形する造形装置であって、
スライスデータに基づいてステージ上に造形材料を積層する造形部と、
データ処理部および入力部を有する制御部と、
を有し、
前記造形部が複数の3次元モデルを含むスライスデータデータに基づいて前記造形材料の積層を行っている間に、前記制御部が前記複数の3次元モデルのうち特定の3次元モデルの製造を中止する指示を受けると、前記制御部は、前記指示を受けた時点より後に前記立体物の製造に用いられる、前記特定の3次元モデルのデータが削除されたスライスデータを生成し、前記造形部は、前記前記特定の3次元モデルのデータが削除されたスライスデータに基づいて前記造形材料の積層を継続する
ことを特徴とする造形装置。 - 前記制御部は、前記指示を受けると、前記特定の3次元モデルの領域をマスクするマスクデータを用いて、前記指示を受けた時点より後に前記立体物の製造に用いられる残スライスデータをマスクする処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の造形装置。
- 前記マスクデータは、前記特定の3次元モデルを前記ステージ上に投影したと仮定したときの投影形状をマスクするデータであることを特徴とする請求項6に記載の造形装置。
- 3次元モデルデータに基づいて、ステージの上に造形材料を積層して立体物を製造する立体物の製造方法であって、
1つのステージ上に同時に複数の立体物を製造している間に、特定の立体物の製造を中止する指示を受けると、前記複数の立体物のうち、前記特定の立体物の製造を中止し、その他の立体物の製造を継続する
ことを特徴とする立体物の製造方法。 - 前記造形材料は、前記3次元モデルデータを前記造形材料を積層する方向にスライスして得られるスライスデータに基づいて積層されることを特徴とする請求項8に記載の立体物の製造方法。
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