[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。本願の光モジュールは、光半導体素子を含む本体部と、本体部を取り囲む保護部材と、を備える。保護部材は、本体部を支持する支持面を有するベース部と、光半導体素子の光路となる貫通孔を有し、本体部を覆い、開口部の外周領域において支持面に接合され、本体部を収容する空間を規定するキャップとを含む。
キャップの、支持面に対する接合領域の、支持面への正射影の外縁は、貫通孔に対応する領域に配置される第1直線領域と、第1直線領域に平行な方向の幅が最大となる領域である最大幅部とを含む。最大幅部の第1直線領域に平行な方向の幅をα1とし、第1直線領域の長さをα2とした場合に、α1に対するα2の比α2/α1が0.8以下である。第1直線領域の一方側の端部の点と一方側に対応する側の最大幅部の外縁上の点とを結ぶ直線と、最大幅部の幅方向に沿う直線とのなす角の角度θは30°以上である。外縁の重心から見て、外縁の形状は外に凸である。
正射影の外縁に、貫通孔に対応する直線部を有するキャップは、開口部の外周領域における変形が大きくなる。具体的には、平面上に開口部の外周領域が接触するようにキャップを静置した場合、外周領域において上記平面から大きく離れた領域が存在する状態となる。このようなキャップを、開口部の外周領域が支持面に全域に渡って接触するように押し付けつつ接合すると、接合領域に大きなひずみが残存する。このようなひずみは、長期に渡って光モジュール内部の気密状態が維持されるのを阻害する。
これに対し、本願の光モジュールにおいては、上記α1に対するα2の比α2/α1が0.8以下である。また第1直線領域の一方側の端部の点とその一方側に対応する側の最大幅部の外縁上の点とを結ぶ直線と、最大幅部の幅方向に沿う直線とのなす角の角度θは30°以上である。すなわち、第1直線領域の長さが最大幅部の幅よりも充分に短く、かつ第1直線領域と最大幅部とが充分な距離を隔てて配置されている。また上記外縁の重心から見て、上記外縁の形状は外に凸である。このような形状を有するキャップにおいては、平面上に開口部の外周領域が接触するように静置した場合、外周領域において上記平面から大きく離れた領域が減少する。そのため、接合後のひずみが減少する。その結果、長期に渡って光モジュール内部の気密状態を維持することが可能となる。
上記外縁は第2の直線領域をさらに含んでもよい。このようにすることで、小型化に適した光モジュールを提供することができる。
上記光モジュールにおいて、光半導体素子は、半導体発光素子であってもよい。このようにすることで、光を出射する光モジュールとすることができる。
上記光モジュールにおいて、本体部は、ベース部材と、ベース部材上に搭載される複数の半導体発光素子と、ベース部材上に搭載され、複数の半導体発光素子のそれぞれに対応して配置される、半導体発光素子から出射される光のスポットサイズを変換する複数のレンズと、ベース部材上に搭載され、複数の半導体発光素子からの光を合波するフィルタとを含んでいてもよい。このように、単一のパッケージ内に複数の半導体発光素子を配置し、これらからの光を当該パッケージ内において合波可能とすることで、複数のパッケージからの光を合波する場合に比べて、光モジュールが用いられる装置のコンパクト化を達成することができる。なお、フィルタとしては、たとえば波長選択性フィルタ、偏波合成フィルタなどを採用することができる。
上記光モジュールにおいて、複数の半導体発光素子は、赤色の光を出射する半導体発光素子、緑色の光を出射する半導体発光素子および青色の光を出射する半導体発光素子を含んでいてもよい。このようにすることにより、これらの光を合波し、所望の色の光を形成することができる。
上記光モジュールにおいて、上記半導体発光素子はレーザダイオードであってもよい。このようにすることにより、波長のばらつきの少ない出射光を得ることができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本発明にかかる光モジュールの実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
まず、図1〜図3を参照して実施の形態1について説明する。図1は、実施の形態1における光モジュール1の構造を示す概略斜視図である。図2は、図1のキャップ40を取り外した状態に対応する図である。図3は、図2に対応する概略平面図である。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
図1〜図3を参照して、本実施の形態における光モジュール1は、光半導体素子としてのレーザダイオード81,82,83を含む本体部20と、本体部20を取り囲む保護部材とを備える。保護部材は、ベース部としてのステム10と、キャップ40と、透過部材41とを含む。ベース部としてのステム10は平板状の形状を有する。ステム10は本体部20を支持する主面10Aを有する。キャップ40は本体部20を覆い、ステム10に接合される。キャップ40は、ステム10に接合される領域を含む側面40B,40C,40D,40E,40F,40G,40Hおよび40Iと、側面40B,40C,40D,40E,40F,40G,40Hおよび40Iのステム10に接合される領域とは反対側に接続される頂面40Aとを有する。貫通孔55はキャップ40の側面40Bに形成されている。
キャップ40は、ステム10に接合される側の面において開口する。キャップ40は、ステム10に平行な平面における断面が、直方体の4角が湾曲した角丸長方形である形状を有する。キャップ40は、開口部の外周領域において主面10Aに接合される。キャップ40がステム10に接合されることにより、本体部20を収容する空間が規定される。
光モジュール1は、ステム10の他方の主面10B側から一方の主面10A側まで貫通し、一方の主面10A側および他方の主面10B側の両側に突出する複数のリードピン51をさらに備えている。ステム10とキャップ40とは、たとえば溶接されることにより気密状態とされている。すなわち、本体部20は、ステム10とキャップ40とによりハーメチックシールされている。ステム10とキャップ40とにより取り囲まれる空間には、たとえば乾燥空気などの水分が低減(除去)された気体が封入されている。
キャップ40には、貫通孔55を覆うように透過部材41が低融点ガラス42を介して固定されている。透過部材41は、光半導体素子に対応する波長の光(レーザダイオード81,82,83から出射される光)を透過する材料からなる。本実施の形態においては、光半導体素子に対応する波長の光を透過する材料はガラスである。透過部材41は主面が互いに平行な平板状の形状を有していてもよいし、本体部20からの光を集光または拡散させるレンズ形状を有していてもよい。
図2および図3を参照して、本体部20は、板状の形状を有するベース部材としての基板60を含む。基板60は、平面的に見て長方形形状を有する一方の主面60Aを有している。基板60は、ベース領域61と、チップ搭載領域62とを含んでいる。チップ搭載領域62は、一方の主面60Aの一の短辺と、当該短辺に接続された一の長辺を含む領域に形成されている。チップ搭載領域62の厚みは、ベース領域61に比べて大きくなっている。その結果、ベース領域61に比べて、チップ搭載領域62の高さが高くなっている。チップ搭載領域62において上記一の短辺の上記一の長辺に接続される側とは反対側の領域に、隣接する領域に比べて厚みの大きい(高さが高い)領域である第1チップ搭載領域63が形成されている。チップ搭載領域62において上記一の長辺の上記一の短辺に接続される側とは反対側の領域に、隣接する領域に比べて厚みの大きい(高さが高い)領域である第2チップ搭載領域64が形成されている。
第1チップ搭載領域63上には、平板状の第1サブマウント71が配置されている。そして、第1サブマウント71上に、第1光半導体素子としての赤色レーザダイオード81が配置されている。一方、第2チップ搭載領域64上には、平板状の第2サブマウント72および第3サブマウント73が配置されている。第2サブマウント72から見て、上記一の長辺と上記一の短辺との接続部とは反対側に、第3サブマウント73が配置される。そして、第2サブマウント72上には、第2光半導体素子としての緑色レーザダイオード82が配置されている。また、第3サブマウント73上には、第3光半導体素子としての青色レーザダイオード83が配置されている。赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の光軸の高さ(基板60の一方の主面60Aを基準面とした場合の基準面と光軸との距離;Z軸方向における基準面との距離)は、第1サブマウント71、第2サブマウント72および第3サブマウント73により調整されて一致している。
光モジュール1は、ステム10と本体部20との間に、電子冷却モジュール30を含んでいる。電子冷却モジュール30は、吸熱板31と、放熱板32と、電極を挟んで吸熱板31と放熱板32との間に並べて配置される半導体柱33とを含む。吸熱板31および放熱板32は、たとえばアルミナからなっている。吸熱板31が基板60の他方の主面60Bに接触して配置される。放熱板32は、ステム10の一方の主面10Aに接触して配置される。本実施の形態において、電子冷却モジュール30はペルチェモジュール(ペルチェ素子)である。そして、電子冷却モジュール30に電流を流すことにより、吸熱板31に接触する基板60の熱がステム10へと移動し、基板60が冷却される。その結果、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度上昇が抑制される。これにより、たとえば自動車に搭載される場合など、温度が高くなる環境下においても光モジュール1を使用することが可能となる。また、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の温度を適正な範囲に維持することで、所望の色の光を精度よく形成することが可能となる。
基板60のベース領域61上には、第1レンズ保持部77、第2レンズ保持部78および第3レンズ保持部79が形成されている。そして、第1レンズ保持部77、第2レンズ保持部78および第3レンズ保持部79上には、それぞれ第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93が配置されている。第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93は、それぞれたとえば樹脂硬化型接着剤により接着されて第1レンズ保持部77、第2レンズ保持部78および第3レンズ保持部79に対して固定されている。
第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93は、表面がレンズ面となっているレンズ部91A,92A,93Aを有している。第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93は、レンズ部91A,92A,93Aとレンズ部91A,92A,93A以外の領域とが一体成型されている。第1レンズ保持部77、第2レンズ保持部78および第3レンズ保持部79により、第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93のレンズ部91A,92A,93Aの中心軸、すなわちレンズ部91A,92A,93Aの光軸は、それぞれ赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の光軸に一致するように調整されている。第1レンズ91、第2レンズ92および第3レンズ93は、それぞれ赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射される光のスポットサイズを変換する。
基板60のベース領域61上には、第1フィルタ97と第2フィルタ98とが配置される。第1フィルタ97および第2フィルタ98は、たとえば樹脂硬化型接着剤により接着されてベース領域61に対して固定されている。第1フィルタ97および第2フィルタ98は、それぞれ互いに平行な主面を有する平板状の形状を有している。第1フィルタ97および第2フィルタ98は、たとえば波長選択性フィルタである。第1フィルタ97および第2フィルタ98は、誘電体多層膜フィルタである。より具体的には、第1フィルタ97は、赤色の光を透過し、緑色の光を反射する。第2フィルタ98は、赤色の光および緑色の光を透過し、青色の光を反射する。このように、第1フィルタ97および第2フィルタ98は、特定の波長の光を選択的に透過および反射する。その結果、第1フィルタ97および第2フィルタ98は、赤色レーザダイオード81、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83から出射された光を合波する。第1フィルタ97および第2フィルタ98は、それぞれベース領域61上に形成された凸部である第1突出領域88および第2突出領域89上に配置される。
図3を参照して、赤色レーザダイオード81、第1レンズ91のレンズ部91A、第1フィルタ97および第2フィルタ98は、赤色レーザダイオード81の光の出射方向に沿う一直線上に並んで(X軸方向に並んで)配置されている。緑色レーザダイオード82、第2レンズ92のレンズ部92Aおよび第1フィルタ97は、緑色レーザダイオード82の光の出射方向に沿う一直線上に並んで(Y軸方向に並んで)配置されている。青色レーザダイオード83、第3レンズ93のレンズ部93Aおよび第2フィルタ98は、青色レーザダイオード83の光の出射方向に沿う一直線上に並んで(Y軸方向に並んで)配置されている。すなわち、赤色レーザダイオード81の出射方向と、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の出射方向とは交差する。より具体的には、赤色レーザダイオード81の出射方向と、緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の出射方向とは直交する。緑色レーザダイオード82の出射方向は、青色レーザダイオード83の出射方向に沿った方向である。より具体的には、緑色レーザダイオード82の出射方向と青色レーザダイオード83の出射方向とは平行である。第1フィルタ97および第2フィルタ98の主面は、赤色レーザダイオード81の光の出射方向に対して傾斜している。より具体的には、第1フィルタ97および第2フィルタ98の主面は、赤色レーザダイオード81の光の出射方向(X軸方向)に対して45°傾斜している。
次に、実施の形態1における光モジュール1の動作について説明する。図3を参照して、赤色レーザダイオード81から出射された赤色の光は、光路L1に沿って進行して第1レンズ91のレンズ部91Aに入射し、光のスポットサイズが変換される。具体的には、たとえば赤色レーザダイオード81から出射された赤色の光がコリメート光に変換される。第1レンズ91においてスポットサイズが変換された赤色の光は、光路L1に沿って進行し、第1フィルタ97に入射する。第1フィルタ97は赤色の光を透過するため、赤色レーザダイオード81から出射された光は光路L2に沿ってさらに進行し、第2フィルタ98に入射する。そして、第2フィルタ98は赤色の光を透過するため、赤色レーザダイオード81から出射された光は光路L3に沿ってさらに進行し、キャップ40の透過部材41を通って光モジュール1の外部へと出射する。
緑色レーザダイオード82から出射された緑色の光は、光路L4に沿って進行して第2レンズ92のレンズ部92Aに入射し、光のスポットサイズが変換される。具体的には、たとえば緑色レーザダイオード82から出射された緑色の光がコリメート光に変換される。第2レンズ92においてスポットサイズが変換された緑色の光は、光路L4に沿って進行し、第1フィルタ97に入射する。第1フィルタ97は緑色の光を反射するため、緑色レーザダイオード82から出射された光は光路L2に合流する。その結果、緑色の光は赤色の光と合波され、光路L2に沿って進行し、第2フィルタ98に入射する。そして、第2フィルタ98は緑色の光を透過するため、緑色レーザダイオード82から出射された光は光路L3に沿ってさらに進行し、キャップ40の透過部材41を通って光モジュール1の外部へと出射する。
青色レーザダイオード83から出射された青色の光は、光路L5に沿って進行して第3レンズ93のレンズ部93Aに入射し、光のスポットサイズが変換される。具体的には、たとえば青色レーザダイオード83から出射された青色の光がコリメート光に変換される。第3レンズ93においてスポットサイズが変換された青色の光は、光路L5に沿って進行し、第2フィルタ98に入射する。第2フィルタ98は青色の光を反射するため、青色レーザダイオード83から出射された光は光路L3に合流する。その結果、青色の光は赤色の光および緑色の光と合波され、光路L3に沿って進行し、キャップ40の透過部材41を通って光モジュール1の外部へと出射する。
[キャップ40の接合領域の形状]
次に図4を参照して、キャップの接合領域の形状について説明する。図4は、実施の形態1のキャップ40の、ステム10の主面10Aに対する接合領域50の、支持面10Aへの正射影の外縁100を示す平面図である。なおキャップ40は厚みを有するが、図4および図6〜図9に対応する各キャップにおいては外縁の形状のみを説明する。
図4を参照して、接合領域50の、主面10Aへの正射影の外縁100の形状は、長方形の四辺が湾曲した角丸長方形である。外縁100は、第1直線領域101の一方側の端部の点P1から時計回りに、第1直線領域101、湾曲部102a、第2直線領域103a、湾曲部102b、第3直線領域106、湾曲部102c、第2直線領域103b、および湾曲部102dを経て再び点P1に至る形状を有する。外縁100は、第1直線領域101に平行な方向の幅が最大となる領域である最大幅部104を含む。実施の形態1において、最大幅部104は、図4の直線M1と直線M2の間の領域である。また外縁100は、第1直線領域101の垂直二等分線Bに対して線対称の形状を有する。外縁100が線対称の形状を有するキャップ40はひずみが生じにくい点で好ましい。
ここで最大幅部104の第1直線領域101に平行な方向の幅をα1とし、第1直線領域101の長さをα2とした場合に、α1に対するα2の比α2/α1が0.8以下である。比α2/α1は好ましくは0.7以下である。また第1直線領域101の一方側の端部の点P1と、その一方側に対応する側の最大幅部104の外縁上の点P2とを結ぶ直線105と、最大幅部104の幅方向に沿う直線M1とのなす角の角度θは30°以上である。好ましくは上記角度θは45°以上である。また上限は特に限定されないが、上記角度θは60°以下であるのが好ましい。
さらに外縁100の重心Gから見て、外縁100の形状は外に凸である。すなわち、外縁100はくびれや凹みを有していない。たとえば、点P1と点P2とを結ぶ接続線が曲線107のように内に凸の形状を有している場合、すなわち、点P1と点P2とを結ぶ直線105よりも内側に湾曲している場合、第1直線領域101と重心Gから見て内に凸の曲線107とを結ぶ点P1において接合領域50の外縁100の角度が急激に変化する。また重心Gから見て内に凸の曲線107と第2直線領域103とを結ぶ点P2において接合領域50の外縁100の角度が急激に変化する。このように、外縁100に角度が急激に変化する特異点が存在すると、接合時にキャップ40にひずみが生じやすく、光モジュール1内部の気密性が低下するおそれがある。
これに対し、実施の形態1に係る光モジュール1のキャップ40においては、第1直線領域101と外に凸の曲線102とを結ぶ点P1および曲線102と第2直線領域103とを結ぶ点P2における角度の変化が緩やかである。そのため、キャップ40のひずみが生じにくく、光モジュール1の内部が気密性の高い状態に保持される光モジュール1を提供することができる。
上記のような形状を有するキャップ40を備えた光モジュール1は、接合後のキャップ40にひずみが生じにくく、長期に渡って光モジュール1内部の気密状態が維持される。このようにすることで、キャップ40のステム10に対する正射影の外縁100に対応する領域に貫通孔を有するキャップを採用しつつ、ステム10およびキャップ40からなる保護部材の気密性に優れた光モジュール1を提供することができる。
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2について説明する。図5は、実施の形態2における光モジュール1の構造を示す概略平面図である。図5は、図1のキャップ40を取り外した状態に対応する概略平面図である。実施の形態2に係る光モジュール1は、図3に示す構造とはキャップ40の形状は同じであるが内部の構造が異なる。
図5を参照して、実施の形態2における光モジュール1は、基本的には実施の形態1の場合と同様の構造を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態2における光モジュール1は、次の点で図3に示す実施の形態1の光モジュールと異なる。まず平板状の第1サブマウント71および赤色レーザダイオード81が配置されている位置が図3とは異なる。第1サブマウント71は第1チップ搭載領域63上の第2サブマウント72および第3サブマウント73と同列に配置されている。第1サブマウント71上に配置される赤色レーザダイオード81は、赤色レーザダイオード81の出射方向が緑色レーザダイオード82および青色レーザダイオード83の出射方向と平行になるように配置されている。
また基板60のベース領域61上にはミラー99が配置されている。赤色レーザダイオード81、第1レンズ91のレンズ部91A、ミラー99は、赤色レーザダイオード81の光の出射方向に沿う一直線上に並んで(Y軸方向に並んで)配置されている。ミラー99は、たとえば樹脂硬化型接着剤により接着されてベース領域61に対して固定されている。ミラー99は、それぞれ互いに平行な反射面と背面とを有する平板状の形状を有している。ミラーの反射面は、赤色レーザダイオード81の光の出射方向に対して傾斜している。より具体的には、第1フィルタ97および第2フィルタ98の主面は、赤色レーザダイオード81の光の出射方向(Y軸方向)に対して45°傾斜している。
赤色レーザダイオード81から出射された赤色の光は、光路L11に沿って進行して第1レンズ91のレンズ部91Aに入射し、光のスポットサイズが変換される。具体的には、たとえば赤色レーザダイオード81から出射された赤色の光がコリメート光に変換される。第1レンズ91においてスポットサイズが変換された赤色の光は、光路L11に沿って進行し、ミラー99に到達する。ミラー99は光路L11に沿って進行した赤色の光を光路L12上へと反射する。反射された赤色の光は第1フィルタ97に入射する。第1フィルタ97は赤色の光を透過するため、赤色レーザダイオード81から出射された光は光路L12に沿ってさらに進行し、第2フィルタ98に入射する。そして、第2フィルタ98は赤色の光を透過するため、赤色レーザダイオード81から出射された光は光路L14および光路L16に沿ってさらに進行し、キャップ40の透過部材41を通って光モジュール1の外部へと出射する。
緑色レーザダイオード82から出射された緑色の光および青色レーザダイオード83から出射された青色の光は、図3に示す光モジュール1と同様の機構により光路L16に沿って進行し、キャップ40の透過部材41を通って光モジュール1の外部へと出射する。
実施の形態2に係る光モジュール1においては、実施の形態1と同様のキャップ40を備える。このようなキャップ40を備えることにより、実施の形態2のように本体部10の配置を変更しても実施の形態1と同様の効果が得られる。
(実施の形態3)
次に、他の実施の形態である実施の形態3について説明する。図6は、実施の形態3のキャップ401の、ステム10の主面10Aに対する接合領域501の、主面10Aへの正射影の外縁110を示す平面図である。
図1〜図3および図6を参照して、実施の形態3に係る光モジュール1は、キャップ401の形状がキャップ40の形状と異なる点を除いては図1〜図3に示す実施の形態1に係る光モジュール1の構造と同じ構造を有し、同様の効果を奏する。
図6を参照して、外縁110は、第1直線領域111の一方側の端部の点P1から時計回りに、第1直線領域111、湾曲部112a、第2直線領域113a、円弧部116、第2直線領域113b、および湾曲部112bを経て再び点P1に至る形状を有する。外縁110は、第1直線領域111に平行な方向の幅が最大となる領域である最大幅部114を含む。実施の形態3において、最大幅部114は、図6の直線M1と直線M2の間の領域である。外縁110の重心Gから見て、外縁110の形状は外に凸である。
ここで最大幅部114の第1直線領域111に平行な方向の最大幅、すなわち直線M1の長さをα1とし、第1直線領域111の長さをα2とした場合に、α1に対するα2の比α2/α1が0.8以下である。比α2/α1は好ましくは0.7以下である。また第1直線領域111の一方側の端部の点P1と、その一方側に対応する側の最大幅部114の外縁上の点P2とを結ぶ直線115と、最大幅部114の幅方向に沿う直線M1とのなす角の角度θは30°以上である。
図4および図6を参照して、図4に示す実施の形態1における光モジュール1のキャップ40の、第3の直線領域106およびそれに接続する2つの湾曲部102が、図6の実施の形態3における光モジュール1のキャップ401においては円弧部116に置き換わっている点が異なる。外縁110がこのような形状を有することにより、キャップ401のひずみが少なく、光モジュール1の内部が気密性の高い状態に保持される光モジュール1を提供することができる。
(実施の形態4)
次に、他の実施の形態である実施の形態4について説明する。図7は、実施の形態4のキャップ402の、ステム10の主面10Aに対する接合領域502の、主面10Aへの正射影の外縁120を示す平面図である。
図1〜図3および図7を参照して、実施の形態4に係る光モジュール1は、キャップ402の形状がキャップ40の形状と異なる点を除いては図1〜図3に示す実施の形態1に係る光モジュール1の構造と同じ構造を有し、同様の効果を奏する。
図7を参照して、外縁120は、第1直線領域121の一方側の端部の点P1から時計回りに、第1直線領域121、傾斜部122a、第2直線領域123a、傾斜部122b、第3直線領域126、傾斜部112c、第2直線領域113b、および傾斜部112dを経て再び点P1に至る形状を有する。外縁120は、第1直線領域121に平行な方向の幅が最大となる領域である最大幅部124を含む。実施の形態4において、最大幅部124は、図7の直線M1と直線M2とで挟まれる領域である。上記外縁120の重心Gから見て、外縁120の形状は外に凸である。
ここで最大幅部124の第1直線領域121に平行な方向の最大幅、すなわち直線M1の長さをα1とし、第1直線領域121の長さをα2とした場合に、α1に対するα2の比α2/α1が0.8以下である。比α2/α1は好ましくは0.7以下である。また第1直線領域111の一方側の端部の点P1と、その一方側に対応する側の最大幅部114の外縁上の点P2とを結ぶ直線125と、最大幅部124の幅方向に沿う直線M1とのなす角の角度θは30°以上である。
図4および図7を参照して、実施の形態4における光モジュール1は、図4に示す湾曲部102が第4直線領域122である点において実施の形態1と異なる。この場合、傾斜部122dと点P1および点P2を結ぶ直線125とが一致する。外縁120がこのような形状を有することにより、キャップ402のひずみが少なく、光モジュール1の内部が気密性の高い状態が保持される光モジュール1を提供することができる。
(実施の形態5)
次に、他の実施の形態である実施の形態5について説明する。図8は、実施の形態5のキャップ403の、ステム10の主面10Aに対する接合領域503の、主面10Aへの正射影の外縁130を示す平面図である。
図1〜図3および図8を参照して、実施の形態5に係る光モジュール1は、キャップ403の形状がキャップ40の形状と異なる点を除いては図1〜図3に示す実施の形態1に係る光モジュール1の構造と同じ構造を有し、同様の効果を奏する。
図8を参照して、外縁130は、第1直線領域131と、第1直線領域131の両端を接続する楕円弧部132とを含む形状を有する。外縁130は、第1直線領域131に平行な方向の幅が最大となる領域である最大幅部134を含む。実施の形態5において、最大幅部134は図8の直線M1である。外縁130の重心Gから見て、外縁130の形状は外に凸である。
ここで最大幅部134の第1直線領域131に平行な方向の最大幅、すなわち直線M1の長さをα1とし、第1直線領域131の長さをα2とした場合に、α1に対するα2の比α2/α1が0.8以下である。比α2/α1は好ましくは0.7以下である。また第1直線領域131の一方側の端部の点P1と、その一方側に対応する側の最大幅部134の外縁上の点P2とを結ぶ直線135と、最大幅部134の幅方向に沿う直線M1とのなす角の角度θは30°以上である。
図4および図8を参照して、実施の形態5における光モジュール1は、第1直線領域131の両端が楕円弧部132に接続されている点において実施の形態1と異なる。接合領域503の外縁130がこのような形状を有することにより、キャップ403のひずみが少なく、光モジュール1の内部が気密性の高い状態が保持される光モジュール1を提供することができる。
(実施の形態6)
次に、他の実施の形態である実施の形態6について説明する。図9は、実施の形態6のキャップ404の、ステム10の主面10Aに対する接合領域504の、主面10Aへの正射影の外縁140を示す平面図である。
図1〜図3および図9を参照して、実施の形態6に係る光モジュール1は、キャップ404の形状がキャップ40の形状と異なる点を除いては図1〜図3に示す実施の形態1に係る光モジュール1の構造と同じ構造を有し、同様の効果を奏する。
図9を参照して、外縁140は、第1直線領域141と、第1直線領域141の両端を接続する円弧部142とを含む形状を有する。外縁140は、第1直線領域141に平行な方向の幅が最大となる領域である最大幅部144を含む。実施の形態6において、最大幅部144は図9の直線M1である。上記外縁140の重心Gから見て、外縁140の形状は外に凸である。
ここで最大幅部144の第1直線領域141に平行な方向の最大幅、すなわち直線M1の長さをα1とし、第1直線領域141の長さをα2とした場合に、α1に対するα2の比α2/α1が0.8以下である。比α2/α1は好ましくは0.7以下である。また第1直線領域141の一方側の端部の点P1と、その一方側に対応する側の最大幅部144の外縁上の点P2とを結ぶ直線145と、最大幅部144の幅方向に沿う直線M1とのなす角の角度θは30°以上である。
図4および図9を参照して、実施の形態6における光モジュール1は、第1直線領域141の両端が楕円弧部142に接続されている点において実施の形態1と異なる。外縁140がこのような形状を有することにより、キャップ404のひずみが少なく、光モジュール1の内部が気密性の高い状態が保持される光モジュール1を提供することができる。
以上が実施の形態の説明である。なお、上記サブマウント71,72,73は、サブマウント71,72,73上に搭載される素子等に熱膨張係数が近い材料からなるものとされ、たとえばAlN、SiC、Si、ダイヤモンドなどからなるものとすることができる。また、ステム10およびキャップ40を構成する材料としては、たとえば熱伝導率の高い材料や熱膨張率の低い材料が好ましい。鉄、銅、ニッケル、あるいはこれらを含む合金などを採用してもよいし、AlN、CuW、CuMoなどを採用してもよい。
上記実施の形態においては、光半導体素子として、3個の出射波長の異なるレーザダイオード81,82,83が備え付けられた光モジュール1について説明したが、光半導体素子の種類および数は特に限定されない。また光モジュール1は、光半導体素子として、発光素子であるレーザダイオードの代わりに受光素子を備えていてもよい。また発光素子として、レーザダイオード81,82,83の代わりに、たとえば発光ダイオードが採用されてもよい。また、上記実施の形態においては、第1フィルタ97および第2フィルタ98として波長選択性フィルタが採用される場合を例示したが、これらのフィルタは、たとえば偏波合成フィルタであってもよい。またこれらのフィルタは省略することもできる。
またステム10と本体部20との間に配置される電子冷却モジュール30についても、省略することが可能である。
また実施の形態1および実施の形態3〜実施の形態6において、キャップの接合領域の正射影の外縁の形状の例についていくつかの例を挙げたが、上述したキャップおよび接合領域の条件を満たす限り、キャップの接合領域の正射影の外縁の形状は実施の形態において例示されたものに限定されない。
また実施の形態1および実施の形態3〜実施の形態6において説明したキャップ40,401,402,403,404の、ステム10の主面10Aに対する接合領域50,501,502,503,504の、主面10Aへの正射影の外縁100,110、120,130,140は、いずれも第1直線領域101,111,112,113,114の垂直二等分線に対して線対称の形状を有している。本願の光モジュールにおいて、キャップの形状は特にこのような形状に限定されない。ただし、キャップのひずみが生じにくいことから、第1直線領域101,111,112,113,114の垂直二等分線に対して線対称の形状であることが好ましい。
上記実施の形態の光モジュールによれば、ひずみが少なく、光モジュール内部が気密性の高い状態が保持される光モジュールを提供することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。