JP6764221B2 - 攪拌装置 - Google Patents

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    • C12M1/02Apparatus for enzymology or microbiology with agitation means; with heat exchange means

Description

本発明は、培養用の可撓性バッグを備えた攪拌装置に関する。
生化学工業、医薬工業等の分野においては、浮遊細胞の培養や細胞を利用した有用物質の産生を培養液の攪拌を行いながら行う攪拌槽が用いられることが多い。攪拌槽には、通常、攪拌子が設置され、各種の細胞と共に培養液が満たされる。培養液に、空気や酸素等を通気しながら攪拌子を回転運動させることによって、培養液に水平方向の旋回流を生じさせて、細胞に対する栄養素や酸素等の効率的な供給が行われる。
細胞の増殖効率や有用物質の生産性は、細胞に対する栄養素や酸素等の供給効率、すなわち、培養液の攪拌状態によって大きく左右される傾向がある。そのため、攪拌槽の内部には、一般に、バッフル(邪魔板)が設けられる。バッフルは、通常、攪拌子の回転運動によって生じる旋回流の一部を遮るように攪拌槽内に垂設される。旋回流の一部がバッフルに遮られることによって上下循環流に変換され、培養液中に上下方向の流れが生じることにより培養液の攪拌効率が高められる。
ところで、近年では、攪拌槽の洗浄や滅菌に関わる工数や経費等を削減したり、異物の混入による培養液の汚染を回避したりする観点から、シングルユースの可撓性バッグが攪拌槽として利用されるようになっている。可撓性バッグは、可撓性を有する樹脂材料によって形成されているため、使用時には、剛性を有する支持部材に支持されて容器形状が保持される。可撓性バッグは、剛性に乏しく、また、内部の滅菌を行うための機構を備えていないことから、攪拌子の設置方式が制約されるものとなっている。
可撓性バッグにおいて培養液の攪拌を行う攪拌装置としては、磁力駆動型の攪拌子(マグネットスターラ)を可撓性バッグの底部に設置する形態や、モータシャフト連結型の攪拌子を可撓性バッグに挿入する形態等が知られている。磁力駆動型の形態では、モータシャフト連結型の形態とは異なり、可撓性バッグとシャフトとの接続部に高コストの軸封機構を設ける必要が無いという利点を有している。一方、モータシャフト連結型の形態によると、磁力駆動型の形態とは異なり、攪拌子の設置位置が可撓性バッグの底部に限られないため、培養液の液深が深い場合においても好適に用いられる。
可撓性バッグにおいて培養液の攪拌を行う攪拌装置においても、培養液の攪拌効率を高める観点からは、バッフルを設置することが望まれている。例えば、特許文献1は、可撓性バッグ、シャフト、インペラー及びベアリングを備える攪拌タンク反応器システムについて開示している。特許文献1には、可撓性バッグの外側にハウジングが備えられ、可撓性バッグはハウジングに備えられる複数のバッフルの周りで折り畳まれることについて記載されている(段落0022等参照)。
特表2007−534335号公報
しかしながら、特許文献1に記載されるような攪拌装置では、可撓性バッグの内部において培養液を上下方向に効率的に循環させることは困難である。可撓性バッグの外側に備えられるバッフルによって可撓性バッグを賦形したとしても、攪拌子の回転運動による旋回流の流速が、可撓性バッグの壁部内面近傍において十分に維持されないためである。すなわち、特許文献1に記載されるような攪拌装置では、バッフルを備えているにも関わらず、培養液の上下循環流を効率的に発生させることができず、良好な攪拌効率を達成するのには適していない。
また、可撓性バッグは十分な剛性を有していないため、可撓性バッグにおいて培養液の攪拌を行う攪拌装置では、バッフルの設置位置や設置方法に留意しなければならない。加えて、近年では、動物細胞等の培養に対応した攪拌装置の要求が高まっている。動物細胞等の大型の細胞の培養を行う場合には、攪拌によって細胞が損傷されるのを防止する観点から攪拌速度を緩速にする必要がある。したがって、このような場合には、低攪拌速度で良好な攪拌効率が実現されることが求められる。また、可撓性バッグにおいて培養液の攪拌を行う攪拌装置では、磁力駆動型の攪拌子が利用されることが少なくない。磁力駆動型の形態では、攪拌子の設置位置が可撓性バッグの底部に制約されるため、上下循環流をより効率的に発生させることが望まれる。
そこで、本発明は、可撓性バッグに封入されている液体に低攪拌速度においても効率的に上下循環流を発生させることが可能な攪拌装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明に係る攪拌装置は、可撓性を有し、内部に液体が封入された可撓性バッグと、前記可撓性バッグの内部に配置され、前記液体に旋回流を生じさせる攪拌子と、前記可撓性バッグの頂部から垂下し、前記液体の旋回流を遮るように設けられる流動遮断部とを備え、前記流動遮断部は、前記可撓性バッグと一体に設けられ、前記可撓性バッグの外部に向けて開口した中空構造を有し、前記流動遮断部の内部には、剛性を有する内部支持体が挿入されており、前記内部支持体の上端は、剛性を有する支持部材によって固定されており、前記流動遮断部の下端は、前記液体の液面よりも下方、且つ、前記可撓性バッグの底部よりも上方に位置するように設けられており、内部に前記液体が封入された前記可撓性バッグの底部内面から前記流動遮断部の下端までの高さ(H)と、内部に前記液体が封入された前記可撓性バッグの底部内面から前記液体の液面までの高さ(L)との比の値(H/L)が、0.4以上0.7以下であり、前記可撓性バッグの壁部内面から前記流動遮断部までの距離(d)と、前記可撓性バッグの内径(D)との比の値(d/D)が、0を超え0.08以下であることを特徴とする。
本発明によれば、可撓性バッグに封入されている液体に低攪拌速度においても効率的に上下循環流を発生させることが可能な攪拌装置を提供することができる。具体的には、100rpm程度の低攪拌速度においても攪拌効率を良好にすることができるため、攪拌による細胞への損傷の発生を防止することが可能である。また、攪拌槽内に設置される攪拌子の設置位置による影響を強く受けることなく、良好な攪拌効率を実現することが可能である。
本発明の第1実施形態に係る攪拌装置の全体構成を示す断面図である。 (a)は、本発明の第1実施形態に係る攪拌装置の要部構成を示す断面図、(b)は、(a)におけるA−A線断面図である。 (a)は、バッフルの固定方法を示す断面図、(b)は、バッフルの作用を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る攪拌装置の要部構成を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る攪拌装置の要部構成を示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係る攪拌装置の要部構成を示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係る攪拌装置の要部構成を示す断面図である。 本発明の第6実施形態に係る攪拌装置の要部構成を示す断面図である。 本発明の第7実施形態に係る攪拌装置の要部構成を示す断面図である。 (a)は、本発明の第8実施形態に係る攪拌装置の要部構成を示す断面図、(b)は、本発明の第8実施形態に係る攪拌装置に備えられるバッフルの斜視図である。 可撓性バッグの壁部内面からバッフルまでの距離と上下循環流の流速体積積分値との関係を解析した結果を示す図である。 可撓性バッグの底部内面からバッフルの下端までの高さと上下循環流の流速体積積分値との関係を示す図である。 本発明の実施例に係る攪拌装置における上下循環流の流速体積積分値の効果を示す図である。 バッフルの設置数と上下循環流の流速体積積分値との関係を示す図である。 (a)は、矩形型の可撓性バッグを設置した攪拌装置の要部構成を示す断面図、(b)は、(a)におけるB−B線断面図である。 矩形型の可撓性バッグにおける可撓性バッグの底部内面からバッフルの下端までの高さと上下循環流の流速体積積分値との関係を示す図である。
[第1実施形態]
はじめに、本発明の第1実施形態に係る攪拌装置について説明する。なお、以下の各図において共通する構成については同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る攪拌装置の全体構成を示す断面図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る攪拌装置100は、可撓性バッグ1と、攪拌翼(攪拌子)2と、計測装置3と、制御装置4と、バッフル(流動遮断部)5と、天板6と、ポート8と、シャフト9と、攪拌モータ10と、ガス調節装置11と、スパージャ12と、温度調節用ヒータ13と、支持部材14と、架台15と、液中通気用ガス供給管16と、気相通気用ガス供給管17と、培養液排出管18と、排気管19と、排気フィルタ20と、ガス調節弁21と、シーリング部材22と、センサ23と、バッフル支持体(内部支持体)24と、支持部材25とを備えている。
可撓性バッグ1は、合成樹脂製であり、可撓性を有する略透明な容器となっている。可撓性バッグ1は、使用前には折り畳まれて偏平の状態である。一方、図1に示すように、使用時には内部に培養液(液体)7や気体が封入されることによって所定の容器形状となる。具体的には、本実施形態に係る可撓性バッグ1の横断面形状は、略円形状とされ、略円柱状の胴部と底部とを有する容器形状となる。
可撓性バッグ1の胴部周り及び底部は、剛性を有する支持部材14に支持されている。支持部材14は、底部と壁部とを有する筺体状に設けられており、架台15に固定されている。可撓性バッグ1は、支持部材14の底部に載置されると共に、支持部材14の壁部によって胴部を支持されることにより容器形状を保って起立するようになっている。
可撓性バッグ1には、可撓性バッグ1の内部と外部とを連通する複数の管部が設けられており、これらの管部に各種の配管類が接続されるようになっている。例えば、図1に示すように、液中通気用ガス供給管16や気相通気用ガス供給管17が、可撓性バッグ1に設けられた管部に接続される。液中通気用ガス供給管16の先端には、微細気泡を発生するスパージャ12が取着されており、スパージャ12は、可撓性バッグ1内の底部側の液相に配されている。また、気相通気用ガス供給管17の先端は、可撓性バッグ1内の頂部側の気相に配されている。一方、液中通気用ガス供給管16や気相通気用ガス供給管17の基端側には、ガス調節装置11が接続されている。
液中通気用ガス供給管16や気相通気用ガス供給管17は、空気、酸素、窒素、二酸化炭素等の各種ガスを、可撓性バッグ1の内部に封入されている培養液(図において符号7で示すことがある。)や、培養液上の気相に無菌的に供給するために用いられる。ガス調節装置11は、図1に破線で示すように、信号線を介して制御装置4に接続されており、液中通気用ガス供給管16や気相通気用ガス供給管17を通じたガスの供給量が、制御装置4による制御の下でガス調節装置11によって調節されるようになっている。
可撓性バッグ1には、頂部に排気管19が設けられており、底部に培養液排出管18が設けられている。排気管19の先端は、可撓性バッグ1内の気相に配されている。一方、排気管19の基端は、排気フィルタ20を介してガス調節弁21に接続されている。ガス調節弁21は、図1に破線で示すように、信号線を介して制御装置4に接続されており、ガス調節弁21の開閉が制御装置4によって制御されるようになっている。排気フィルタ20によって飛沫が除去されたガスがガス調節弁21を通じて排気されることによって、可撓性バッグ1の内圧が維持されるようになっている。また、培養液排出管18は、バルブを介して可撓性バッグ1に接続されており、培養液を可撓性バッグ1の外部に排出し得るようになっている。
可撓性バッグ1には、液中通気用ガス供給管16や気相通気用ガス供給管17と同様にして、培養液の供給を行うための配管、細胞の播種を行うための配管、培養液のサンプリングを行うための配管、pH調整剤の供給を行うための配管、培養液の交換を行うための配管等の不図示の配管類が接続される。
液中通気用ガス供給管16や気相通気用ガス供給管17等の各種の配管類や、可撓性バッグ1に設けられている管部は、シリコーンゴムやその他の合成樹脂等によって形成されており、可撓性を有している。これらの配管類は、あらかじめ滅菌処理された後に使用され、一度使用された後に廃棄されるディスポーザブル型の部品となっている。また、可撓性バッグ1に設けられている管部は、使用前には管端が封止されており、使用時には各種の配管類と管部との接続が無菌的に行われる。
温度調節用ヒータ13は、可撓性バッグ1に封入される培養液を加温するために備えられており、可撓性バッグ1の下部周りに設置されている。温度調節用ヒータ13は、図1に破線で示すように、信号線を介して制御装置4に接続されており、温度調節用ヒータ13による培養液の加温が制御装置4によって制御されるようになっている。
センサ23は、可撓性バッグ1と支持部材14とを連通するポート8に挿着されている。なお、センサ23は、図1においては1基が設置されているが、通常、pH計、温度計、溶存酸素計、二酸化炭素濃度計等の複数が設置される。センサ23としては、各種の計測に電気化学的な原理を利用する電極型センサや、光学的な原理を利用するオプティカルセンサ等が一般的である。ポート8は、センサ23が支持部材14の外側から挿着される際に可撓性バッグ1の内部の無菌性や液密性を保つ部材である。
センサ23は、図1に破線で示すように、信号線を介して計測装置3に接続されており、計測装置3は、信号線を介して制御装置4に接続されている。計測装置3は、センサ23から計測信号を受信すると、計測された情報を制御装置4に送信する。そして、制御装置4は、それらの情報に基いてガス調節装置11、温度調節用ヒータ13、ガス調節弁21等の制御を行い、可撓性バッグ1に封入されている培養液の温度や、酸素濃度等の条件を適切な範囲に管理する。
攪拌翼(攪拌子)2は、培養液の攪拌を行い、培養液に水平方向の旋回流(回転流)を生じさせる。可撓性バッグ1の頂部には、剛性を有する天板6が接合されており、天板6には貫通孔が設けられている。そして、天板6の貫通孔には、可撓性バッグ1を無菌的に軸封するシーリング部材22を介してシャフト9が挿通されている。攪拌翼2は、そのシャフト9の先端側に固定された状態で可撓性バッグ1の内部に備えられている。一方、シャフト9の基端側には、攪拌モータ10が連結されている。攪拌モータ10により攪拌翼2の回転運動を駆動することで、培養液に旋回流を生じさせることができるようになっている。
攪拌翼2は、図1においては、シャフト9に2基が固定されているが、1基が固定された形態であってもよいし、3基以上が固定された形態であってもよい。また、攪拌翼2の翼形状や枚数は、適宜のものとすることが可能である。さらに、攪拌翼2は、図1に示すように可撓性バッグ1の頂部の上方に設置される攪拌モータ10によって駆動される形態に代えて、可撓性バッグ1の底部側に挿通されるシャフトに連結され、可撓性バッグ1の底部の下方に設置される攪拌モータによって駆動される形態としてもよい。また、攪拌翼2は、シャフト等に固定すること無く、磁力駆動型の形態としてもよい。
図2(a)は、本発明の第1実施形態に係る攪拌装置の要部構成を示す断面図、図2(b)は、(a)におけるA−A線断面図である。また、図3(a)は、バッフルの固定方法を示す断面図、図3(b)は、バッフルの作用を示す斜視図である。
図2においては、攪拌装置100に備えられる可撓性バッグ1、攪拌翼2、バッフル5、バッフル支持体24等の要部を示し、その他の構成は省略している。図2における、寸法Hは、可撓性バッグ1の底部内面からバッフル5の下端までの高さ、寸法Lは、可撓性バッグ1の底部内面から培養液の液面までの高さ、寸法dは、バッフル5と可撓性バッグ1の壁部内面との間の距離、寸法Dは、可撓性バッグ1の内径である。
図2(a)及び(b)に示すように、バッフル(流動遮断部)5は、可撓性バッグ1の頂部から内部側に向けて垂下し、培養液の旋回流(図2(b)において矢印で示す。)の一部を遮るように設けられている。詳細には、バッフル5の下端は、可撓性バッグ1に封入されている培養液の液面よりも下方に位置するように設けられている。また、バッフル5は、培養液の旋回流の流れに対向して抵抗を及ぼす横断面形状に設けられている。なお、バッフル5の横断面形状は、図2(b)においては、矩形状とされているが、正方形状、円形状、楕円形状等の適宜の形状に設けることが可能である。バッフル5の幅や厚さの寸法は、特に制限されるものではなく、一般的なバッフルにおいてと同様に、例えば、培養槽の幅(可撓性バッグ1の内径)の0.1倍程度の幅や、1mm程度以上の厚さ等として設けることができる。
バッフル5の下端は、図2(a)に示すように、可撓性バッグ1の底部よりも上方に位置するように設けられている。すなわち、バッフル5は、可撓性バッグ1の底部内面から離隔して設けられており、可撓性バッグ1の底部内面からバッフル5の下端までの高さの区間においては、培養液の旋回流に対して抵抗が及ぼされ難い状態となっている。そのため、図3(a)に示すように、バッフル5の下端よりも下方では、攪拌翼2の回転運動によって発生する水平方向の旋回流(図3(a)において矢印で示す。)が、流速を保って流れることになる。そして、バッフル5の下端よりも上方では、旋回流の一部がバッフル5に遮られることによって上下循環流(図3(a)において白矢印で示す。)に変換される。バッフル5の下端よりも下方において、旋回流の流速が高速に保たれているため、バッフル5に遮られることによって強い上下循環流が発生し、培養液の攪拌効率が高められるようになっている。
バッフル5は、可撓性バッグ1の底部内面からバッフル5の下端までの高さ(H)と、可撓性バッグ1の底部内面から培養液の液面までの高さ(L)との比の値(H/L)が、0を超え0.8以下となるように設けられることが好ましく、0.4以上0.7以下となるように設けられることがより好ましい。比の値(H/L)が0.8以下であれば、旋回流を上下循環流に変換するバッフル5の作用が有効に発揮されるため、培養液の攪拌効率を良好に高めることができる。比の値(H/L)が、0.4以上0.7以下の範囲では、上下循環流の発生量が増すため、培養液の攪拌効率がより良好となる。
バッフル5は、可撓性バッグ1の壁部内面から離隔して設けられることが好ましい。可撓性バッグ1の径方向におけるバッフル5の外側端と可撓性バッグ1の壁部内面との間に空隙を設けることによって、バッフル5の下端よりも上方においても、可撓性バッグ1の壁部内面に沿って培養液の旋回流を発生させることができる。そのため、旋回流の流速を一層高速に保つことが可能となり、より高速の旋回流がバッフル5に遮られることによって強い上下循環流が発生するようになる。
バッフル5は、可撓性バッグ1の壁部内面からバッフル5の外側端までの距離(d)と、可撓性バッグ1の内径(D)との比の値(d/D)が、0を超え0.08以下となるように設けられることが好ましく、0.01以上0.03以下となるように設けられることがより好ましい。比の値(d/D)が0.08以下であれば、旋回流を上下循環流に変換するバッフル5の作用が有効に発揮されるため、培養液の攪拌効率を良好に高めることができる。比の値(d/D)が、0.01以上0.03以下の範囲では、上下循環流の発生量が増すため、培養液の攪拌効率がより良好となる。
図1、図2(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る攪拌装置100は、可撓性バッグ1と一体に設けられたバッフル5を備えている。バッフル5は、可撓性を有し、可撓性バッグ1の外部に向けて開口した中空構造を有する凸形状を形成している。そして、可撓性バッグ1の内部には、剛性を有する支持部材24が挿入されている。
バッフル5は、可撓性バッグ1と同様に合成樹脂によって形成されている。具体的には、バッフル5は、可撓性バッグ1と同種の合成樹脂で形成してもよいし、折り畳み可能な可撓性を有しつつも可撓性バッグ1よりも剛性が高い合成樹脂で形成してもよい。また、可撓性バッグ1よりも厚さを持って形成してもよい。バッフル5は、図2においては、可撓性バッグ1の頂部に継ぎ目無く形成されているが、溶着等で接合することによって一体に設けることも可能である。
バッフル支持体(内部支持体)24は、バッフル5や可撓性バッグ1よりも剛性が高い材料によって形成されている。また、バッフル支持体24は、バッフル5の頂部に凹設される中空構造の形状に略一致するように設けられている。なお、図1、図2(a)及び(b)においては、バッフル支持体24は、合成樹脂によって形成されているが、アルミ、ステンレス等の金属製や、ガラス製等としてもよい。バッフル支持体24がバッフル5の内部に緩挿されることによって、可撓性を有する合成樹脂で形成されているバッフル5の形状が保たれ、攪拌による旋回流に対して抗し得るようになる。なお、バッフル支持体24は、上端側に取り付けられる支持部材25を介して架台15に固定される(図1参照)。支持部材25は、あらかじめバッフル支持体24と一体に設けられるものであってもよいし、バッフル支持体24の固定の際に取り付けられるものであってもよい。
可撓性バッグ1は、例えば、以下の手順にしたがって攪拌装置100に設置される。可撓性バッグ1は、攪拌装置1に設置される以前には、通常、液体や気体が封入されてなく内部が略無菌の状態であり、折り畳まれて保管されている。攪拌装置100への設置に際しては、はじめに、可撓性バッグ1を架台15に固定されている支持部材14の底部に載置する。このとき、可撓性バッグ1の支持を補助するために、支持部材14と共に他の支持部材を使用してもよい。例えば、架台15にホイスト、クレーン等を設置し、可撓性バッグ1を吊り下げて載置する方式等を採ることも可能である。
支持部材14の底部に載置された可撓性バッグ1には、液中通気用ガス供給管16や、気相通気用ガス供給管17を接続する。すなわち、可撓性バッグ1にあらかじめアセンブリされており、無菌的に封止されている管部に、液中通気用ガス供給管16や、気相通気用ガス供給管17を接続する。配管を無菌的に接続する方法としては、無菌接続型のコネクタによる方法、溶着接続による方法等の各種の方法を利用することができる。無菌接続型のコネクタは、一般に、管端がフィルタやシールで密閉された構造となっている。無菌接続型のコネクタによる場合、フィルタやシールで密閉されたコネクタ同士を開放空間で接続し、接続後にフィルタやシールを除去することによって無菌的に配管類の接続が行われる。また、溶着接続による場合、管端同士を閉鎖空間で溶着することが可能な専用機器を使用して無菌的に配管類の接続が行われる。
続いて、可撓性バッグ1には、液中通気用ガス供給管16や気相通気用ガス供給管17を通じて無菌的に空気を注入する。空気の注入量は、可撓性バッグ1が自立し得る程度の量であればよい。そして、空気が注入され、ある程度自立している可撓性バッグ1の側面を、支持部材14の壁部に固定する。このとき、各種のセンサ23やポート8についての位置合わせを行っておく。
続いて、可撓性バッグ1には、攪拌モータ10を取り付ける。攪拌モータ10は、シーリング部材22によって支持させる形態としてもよいし、比較的高い耐荷重を有する架台15によって支持させる形態としてもよい。可撓性バッグ1には、攪拌モータ10を取り付けた後、再び無菌的に空気を注入する。再度空気を注入することによって、可撓性バッグ1は、使用時においてと略同等の容器形状となる。また、可撓性バッグ1には、培養液の供給を行うための配管をはじめとするその他の配管類を接続する。その他の配管類についても、液中通気用ガス供給管16や気相通気用ガス供給管17と同様にして、配管を無菌的に接続する各種の方法を利用して接続を行う。
本実施形態に係る攪拌装置100においては、可撓性バッグ1を支持部材14に固定させた後に、バッフル5の固定を行う。図3(b)に示すように、バッフル5の基端側は、可撓性バッグ1の頂部に連なり、バッフル5の中空構造の内部については、可撓性バッグ1の外部に向けて開口した構造となっている。バッフル5の固定にあたっては、この開口からバッフル5の内部にバッフル支持体24を挿入する。そして、挿入されたバッフル支持体24を、可撓性バッグ1の外部に突出している基端側で支持部材25に支持させて、架台15に固定された状態にする(図1参照)。
続いて、可撓性バッグ1のポート8にセンサ23を挿着する。一般に、培養液に直接的に接触する状態で使用される電極型センサについては、ポート8への挿着にあたって、あらかじめ滅菌処理しておく。滅菌処理としては、蒸気滅菌や加熱滅菌等の適宜の処理方法を利用することができる。但し、通常のセンサに代えて、あらかじめ滅菌処理され、無菌的に包装されているシングルユースのセンサを利用することも可能である。
攪拌装置1の使用に際しては、可撓性バッグ1に接続される不図示の配管を通じて、可撓性バッグ1の内部に培養液を無菌的に注入する。次いで、制御装置4によって攪拌モータ10を作動し、攪拌翼2の回転運動を駆動することによって培養液の攪拌を開始する。培養液の温度は、温度調節用ヒータ13によって所定の温度域に調節し、溶存酸素濃度は、液中通気用ガス供給管16を通じて空気、酸素等を供給したり、窒素を供給して脱酸素させたりすることによって所定の濃度域に調節する。また、培養液のpHは、気相通気用ガス供給管17を通じて二酸化炭素を供給したり、可撓性バッグ1に接続される不図示の配管を通じてアルカリ性のpH調整剤を供給したりすることにより行う。
可撓性バッグ1に封入され、温度、溶存酸素濃度、pH等が所定の条件に調節された培養液には、培養する所望の細胞を播種する。細胞の播種には、一般には、あらかじめ他の細胞培養器等において前培養された細胞が用いられる。例えば、前培養後の細胞懸濁液ないし培養液を、可撓性バッグ1に接続される不図示の配管を通じて培養液に注入する。
細胞の培養は、温度、溶存酸素濃度、pH等を所定の範囲に維持すると共に、攪拌翼2の作動によって培養液の攪拌を行いながら所定の期間行う。培養液の温度や溶存酸素濃度等は、センサ23に接続される計測装置3によって監視され、制御装置4により調節制御される。また、二酸化炭素やpH調整剤の供給についても、制御装置4によって制御が行われるようにすることが可能である。そして、培養終了後には、培養液を可撓性バッグ1から培養液排出管18を通じて排出し、培養された細胞や、培養液中に産生された有用物質等を回収する。
攪拌装置100は、例えば、細胞の培養、有用物質の生産等の用途に用いることができる。培養の対象となる細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、ベイビーハムスター腎臓細胞、マウス骨髄腫細胞をはじめとする動物細胞、大腸菌や酵母をはじめとする微生物細胞、植物細胞、昆虫細胞等の各種の細胞が挙げられる。また、有用物質としては、例えば、各種の生理活性物質、特に抗体医薬品や、その他の工業的有用性を有する機能物質等が挙げられる。生理活性物質としては、例えば、血栓溶解剤としての用途がある組織型プラスミノーゲン活性化因子、エリスロポエチン、インターフェロン等が挙げられる。抗体医薬品には、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、その他の免疫グロブリン等が含まれる。
このような本実施形態に係る攪拌装置100によれば、バッフル(流動遮断部)5の下端が培養液(液体)7の液面よりも下方、且つ、可撓性バッグ1の底部よりも上方に位置するように設けられているため、バッフルが攪拌翼(攪拌子)2の作動によって発生する旋回流の流速を大きく妨げることが無く、低攪拌速度であっても旋回流の流速を一定程度以上に保つことができる。そのため、高速の旋回流がバッフル5によって上下循環流に変換されることになり、可撓性バッグ1の内部に効率的に上下循環流を発生させることが可能である。
攪拌装置100において、動物細胞等の培養を行う場合には、攪拌によるせん断力によって細胞が損傷されるのを防止する観点から、攪拌翼2の回転速度を緩速とすることが好ましい。具体的には、500rpm以下とすることが好ましく、400rpm以下とすることがより好ましく、100rpm程度とすることも妨げられない。本実施形態に係る攪拌装置100においては、攪拌翼2の回転速度を、例えば、100rpm程度に設定した場合においても、バッフルの設置位置を前記のとおり適切に設定することにより、効率的に上下循環流を発生させることが可能であるため、動物細胞等が損傷を受けたり死滅する事態が防止される点で有利である。
また、本実施形態に係る攪拌装置100においては、バッフル5が、可撓性バッグ1と一体に可撓性を有して設けられている。そのため、可撓性バッグ1は、使用前には、折り畳まれた状態で取り扱うことが可能であり、利便性に優れたものとなる。また、可撓性バッグ1の内部の密封性や、無菌性を確保するのに適しており、あらかじめ滅菌処理した可撓性バッグ1を使用すれば、バッフル5の固定後に別途滅菌処理を施す必要が無くなるという利点がある。
また、本実施形態に係る攪拌装置100においては、可撓性を有するバッフル5が、剛性を有するバッフル支持体24によって支持される。そのため、可撓性バッグ1を攪拌装置100に設置した際には、バッフル支持体24を架台15等に固定することによって、可撓性を有するバッフル5の設置位置や、支持部材14に載置される可撓性バッグ1を確実に固定することが可能となる点で有利である。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る攪拌装置について説明する。
図4は、本発明の第2実施形態に係る攪拌装置の要部構成を示す断面図である。
図4に示すように、第2実施形態に係る攪拌装置100は、可撓性バッグ1とは別体の剛性を有するバッフル(流動遮断部)5Aを備えている。攪拌装置100におけるその他の構成は、前記の第1実施形態においてと同様である。
バッフル5Aは、可撓性バッグ1よりも剛性が高い材料によって形成されている。なお、バッフル5Aは、図4においては、合成樹脂によって形成されているが、折り畳み可能な可撓性を有しつつも可撓性バッグ1よりも剛性が高い樹脂や、硬質の樹脂や、金属、ガラス等によって形成してもよい。バッフル5Aは、可撓性バッグ1の外部から支持可能とするために、可撓性バッグ1の頂部を貫通するように設けられている。バッフル5Aは、可撓性バッグ1の頂部に設けたポートに挿着する形態としてもよいし、可撓性バッグ1の頂部にあらかじめ溶着しておく形態としてもよい。バッフル5Aの固定後に別途施す滅菌処理を簡略化する観点からは、あらかじめ溶着しておく形態が好ましい。
バッフル5Aは、図4に示すように、可撓性バッグ1の外部に突出した基端側が支持部材25によって支持される。そして、支持部材25は、架台15に固定される(図1参照)。バッフル5Aは、このように固定されることによって、可撓性バッグ1の内部の所定位置に設置され、攪拌による旋回流を上下循環流に変換するように働く。なお、バッフル5Aにおける可撓性バッグ1の底部内面からの高さ(H)や、可撓性バッグ1の壁部内面からの距離(d)や、幅及び厚さは、前記のバッフル5における寸法と同様に設定することができる。
このような本実施形態に係る攪拌装置100によれば、バッフル5Aによって、可撓性バッグ1の内部に効率的に上下循環流を発生させることが可能である。また、バッフル5Aは、高剛性を有しており、旋回流に抗する抵抗性を有しているため、高速の旋回流を確実に上下循環流に変換し得る点で有利である。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る攪拌装置について説明する。
図5は、本発明の第3実施形態に係る攪拌装置の要部構成を示す断面図である。
図5に示すように、第3実施形態に係る攪拌装置100は、可撓性バッグ1とは別体の剛性を有するバッフル(流動遮断部)5Bを備えている。また、バッフルと独立して備えられる前記の天板6に代えて、バッフル5Bを固定可能な天板6Bを備えている。攪拌装置100におけるその他の構成は、前記の第1実施形態においてと同様である。
バッフル5Bは、バッフル5Aと同様に、可撓性バッグ1よりも剛性が高い材料によって形成されている。なお、バッフル5Bは、図5においては、合成樹脂によって形成されているが、折り畳み可能な可撓性を有しつつも可撓性バッグ1よりも剛性が高い樹脂や、硬質の樹脂や、金属、ガラス等によって形成してもよい。バッフル5Bは、可撓性バッグ1の内部にあらかじめ収納され、天板6Bの内面側に固定されている。なお、バッフル5Bにおける可撓性バッグ1の底部内面からの高さ(H)や、可撓性バッグ1の壁部内面からの距離(d)や、幅及び厚さは、前記のバッフル5における寸法と同様に設定することができる。
天板6Bは、剛性を有する材料によって形成されている。天板6Bは、可撓性バッグ1の頂部と同様に横断面形状を円形状に設けてもよいし、中心軸に対して対称に設置されるバッフル5Bを固定可能なように、可撓性バッグ1の頂部の直径線上のみに設けてもよい。また、天板6Bは、支持部材25を介して架台15に固定してもよい(図1参照)。天板6Bを固定する形態によると、バッフル5Bと共に攪拌モータ10の重量を支持させることができるため、攪拌装置100の構造がより安定したものとなる。
このような本実施形態に係る攪拌装置100によれば、バッフル5Bによって、可撓性バッグ1の内部に効率的に上下循環流を発生させることが可能である。また、バッフル5Bは、剛性を有しており、旋回流に抗する抵抗性を有しているため、高速の旋回流を確実に上下循環流に変換し得る点で有利である。さらに、バッフル5Bは、使用前から可撓性バッグ1の内部に保持されることになるため、可撓性バッグ1の内部の密封性や、無菌性を確保するのに適しており、あらかじめ滅菌処理した可撓性バッグ1を使用すれば、バッフル5Bの固定後に別途滅菌処理を施す必要が無くなるという利点がある。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る攪拌装置について説明する。
図6は、本発明の第4実施形態に係る攪拌装置の要部構成を示す断面図である。
図6に示すように、第4実施形態に係る攪拌装置100は、可撓性バッグ1とは別体の剛性を有するバッフル(流動遮断部)5Cと、磁性カップリング部材24C1,24C2とを備えている。磁性カップリング部材24C1,24C2は、可撓性バッグ1の内部に備えられる第1磁性部材24C1と、可撓性バッグ1の外部に備えられる第2磁性部材24C2とからなる。攪拌装置100におけるその他の構成は、前記の第1実施形態においてと同様である。
バッフル5Cは、バッフル5Aと同様に、可撓性バッグ1よりも剛性が高い材料によって形成されている。なお、バッフル5Cは、図6においては、合成樹脂によって形成されているが、折り畳み可能な可撓性を有しつつも可撓性バッグ1よりも剛性が高い樹脂や、硬質の樹脂や、金属、ガラス等によって形成してもよい。バッフル5Cの上端には、可撓性バッグ1の内部に収納される以前に、あらかじめ第1磁性部材24C1が取着されている。また、可撓性バッグ1の頂部の外側には、第2磁性部材24C2が配置されている。第1磁性部材24C1と第2磁性部材24C2とは、それぞれ磁性材料によって形成され、磁力により互いに引力を及ぼし合うことができる。
バッフル5Cは、取着されている第1磁性部材24C1と第2磁性部材24C2とが磁力で引き合う引力によって、可撓性バッグ1を挟んで固定されている。第2磁性部材24C2は、支持部材25を介して架台15に固定してもよい(図1参照)。また、可撓性バッグ1の頂部におけるバッフル5Cの設置位置には、剛性を有する天板を配置し、この天板上に第2磁性部材24C2と係合する凹部や凸部を設けてバッフル5Cの位置ずれを防止する形態としてもよい。なお、バッフル5Cにおける可撓性バッグ1の底部内面からの高さ(H)や、可撓性バッグ1の壁部内面からの距離(d)や、幅及び厚さは、前記のバッフル5における寸法と同様に設定することができる。
このような本実施形態に係る攪拌装置100によれば、バッフル5Cによって、可撓性バッグ1の内部に効率的に上下循環流を発生させることが可能である。また、バッフル5Cは、剛性を有しており、旋回流に抗する抵抗性を有しているため、高速の旋回流を確実に上下循環流に変換し得る点で有利である。さらに、バッフル5Cは、使用前から可撓性バッグ1の内部に保持されることになるため、可撓性バッグ1の内部の密封性や、無菌性を確保するのに適しており、あらかじめ滅菌処理した可撓性バッグ1を使用すれば、バッフル5Cの固定後に別途滅菌処理を施す必要が無くなるという利点がある。加えて、磁力を利用した固定によると、使用前には、バッフル5Cを可撓性バッグ1の内部の任意の位置においておくことができるため可撓性バッグ1が嵩張り難くなるし、バッフル5Cの設置位置を調整自在にすることも可能となる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る攪拌装置について説明する。
図7は、本発明の第5実施形態に係る攪拌装置の要部構成を示す断面図である。
図7に示すように、第5実施形態に係る攪拌装置100は、可撓性バッグ1と一体の可撓性を有するバッフル(流動遮断部)5Dと、補強部材26と、密封部材27とを備えている。攪拌装置100におけるその他の構成は、前記の第1実施形態においてと同様である。
バッフル5Dは、可撓性バッグ1の外部に向けて開口した中空構造の凸形状を有する形態となっている。バッフル5Dは、可撓性バッグ1と同様に合成樹脂によって可撓性を持って形成されている。具体的には、バッフル5は、可撓性バッグ1と同種の合成樹脂で形成してもよいし、折り畳み可能な可撓性を有しつつも可撓性バッグ1よりも剛性が高い合成樹脂で形成してもよい。また、可撓性バッグ1よりも厚さを持って形成してもよい。バッフル5Dの内部は、可撓性バッグ1の内部とは隔離されている一方で、可撓性バッグ1の外部に向けては開口した構造となっている。
バッフル5Dは、内部の空間に空気が封入され、開口が密封部材27によって密閉されている。バッフル5Dは、使用前には偏平の状態であり、バッフル5Dの固定の際に空気が封入されることによって、空気圧によりバッフル形状とされる。なお、バッフル5Dにおける可撓性バッグ1の底部内面からの高さ(H)や、可撓性バッグ1の壁部内面からの距離(d)や、幅及び厚さは、前記のバッフル5における寸法と同様に設定することができる。
補強部材26は、可撓性バッグ1よりも高い剛性を有しており、バッフル5Dと可撓性バッグ1の頂部との接合部の強度を補強している。補強部材26は、可撓性バッグ1と同一の合成樹脂で厚さを持たせて形成してもよいし、可撓性バッグ1よりも剛性が高い合成樹脂で形成してもよい。また、硬質の樹脂等によってポートの形態として設けてもよい。補強部材26が設けられることによって、培養液の攪拌によりバッフル5Dが圧力を受け、バッフル5Dと可撓性バッグ1の頂部との接合部に応力が集中したときに、バッフル5Dが破断に至る事態が防止されるようになっている。
このような本実施形態に係る攪拌装置100によれば、バッフル5Dによって、可撓性バッグ1の内部に効率的に上下循環流を発生させることが可能である。また、バッフル5Dは、可撓性を有しているため、内部に空気が封入されていない使用前には、折り畳まれた状態で取り扱うことが可能であり、利便性に優れたものとなる。また、可撓性バッグ1の内部の密封性や、無菌性を確保するのに適しており、あらかじめ滅菌処理した可撓性バッグ1を使用すれば、バッフル5Dの固定後に別途滅菌処理を施す必要が無くなるという利点がある。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係る攪拌装置について説明する。
図8は、本発明の第6実施形態に係る攪拌装置の要部構成を示す断面図である。
図8に示すように、第6実施形態に係る攪拌装置100は、可撓性バッグ1の頂部から垂下し、可撓性バッグ1の底部に対して固定されたバッフル5Fを備えている。バッフル5Fは、詳細には、上部側に備えられる板状部(流動遮断部)5F1と、下部側に備えられる有孔部(連結部)5F2とによって構成されている。攪拌装置100におけるその他の構成は、前記の第1実施形態においてと同様である。
バッフル5Fは、可撓性バッグ1と同様に合成樹脂によって可撓性を持って形成される。具体的には、バッフル5は、可撓性バッグ1と同種の合成樹脂で形成してもよいし、折り畳み可能な可撓性を有しつつも可撓性バッグ1よりも剛性が高い合成樹脂で形成してもよい。また、可撓性バッグ1よりも厚さを持って形成してもよい。バッフル5Fの板状部5F1(流動遮断部)は、可撓性バッグ1の頂部から垂下し、培養液の旋回流の流れを遮るように設けられている。一方、有孔部(連結部)5F2は、通液孔28が設けられることによって培養液の旋回流を通流可能に板状部5F1の下端に連ねられている。なお、通液孔28の形状は、矩形状、正方形状、円形状、楕円形状等の適宜の形状に設けることが可能である。また、通液孔28は、適宜の個数で設けることが可能である。
バッフル5Fの上端(板状部5F1の上端)及び下端(有孔部5F2の下端)は、可撓性バッグ1に対して溶着等により接合して一体化してもよいし、磁性カップリング部材(24C1,24C2)を用いて固定してもよい。すなわち、板状部5F1は、有孔部5F2を介して可撓性バッグ1の頂部と共に底部に対して固定される。板状部5F1が下端側においても固定されることによって、バッフル5Fが旋回流の流れに押されて容易に撓み、上下循環流の発生の効率が低下する事態が防止されるようになっている。このとき、バッフル5Fと可撓性バッグ1との接合部には、旋回流の流れによって応力が集中するため、可撓性バッグ1よりも剛性が高い補強部材(26)を設置してもよい。なお、バッフル5Fにおける可撓性バッグ1の底部内面からの高さ(H)や、可撓性バッグ1の壁部内面からの距離(d)や、幅及び厚さは、前記のバッフル5における寸法と同様に設定することができる。但し、可撓性バッグ1の底部内面からの高さ(H)は、可撓性バッグ1の底部内面から板状部5F1の下端、すなわち通液孔28の最上端(図8に破線で示す。)までの高さとして定義される。
このような本実施形態に係る攪拌装置100によれば、バッフル5Fによって、可撓性バッグ1の内部に効率的に上下循環流を発生させることが可能である。また、バッフル5Fは、可撓性を有しているため、使用前には、折り畳まれた状態で取り扱うことが可能であり、利便性に優れたものとなる。また、可撓性バッグ1の内部の密封性や、無菌性を確保するのに適しており、あらかじめ滅菌処理した可撓性バッグ1を使用すれば、バッフル5Fの固定後に別途滅菌処理を施す必要が無くなるという利点がある。さらに、バッフル5Fは、可撓性バッグ1の底部に固定されているため、可撓性を有していながらも旋回流に抗する抵抗性が備えられ、高速の旋回流を確実に上下循環流に変換し得る点で有利である。
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態に係る攪拌装置について説明する。
図9は、本発明の第7実施形態に係る攪拌装置の要部構成を示す断面図である。
図9に示すように、第7実施形態に係る攪拌装置100は、可撓性バッグ1の頂部から垂下するバッフル(流動遮断部)5Gと、バッフル5Gを可撓性バッグ1の底部に対して固定する固定紐(連結部)29とを備えている。攪拌装置100におけるその他の構成は、前記の第1実施形態においてと同様である。
バッフル5Gは、可撓性バッグ1と同様に合成樹脂によって可撓性を持って形成される。具体的には、バッフル5Gは、可撓性バッグ1と同種の合成樹脂で形成してもよいし、折り畳み可能な可撓性を有しつつも可撓性バッグ1よりも剛性が高い合成樹脂で形成してもよい。また、可撓性バッグ1よりも厚さを持って形成してもよい。バッフル5Gの上端は、可撓性バッグ1に対して溶着等により接合して一体化してもよいし、磁性カップリング部材(24C1,24C2)を用いて固定してもよい。なお、バッフル5Gにおける可撓性バッグ1の底部内面からの高さ(H)や、可撓性バッグ1の壁部内面からの距離(d)や、幅及び厚さは、前記のバッフル5における寸法と同様に設定することができる。
固定紐29は、培養液の旋回流を通流可能にバッフル5Gの下端に連ねられている。固定紐29は、一端がバッフル5Gの下端、他端が可撓性バッグ1の底部にそれぞれ溶着されており、バッフル5Gの下端側を張力をもって固定している。固定紐29は、適宜の材料によって形成することができるが、合成樹脂製とすることが好ましい。固定紐29は、適宜の径及び本数で設けることが可能であるが、旋回流に対してバッフル5Gが撓み難くなるようにバッフル5Gあたり少なくとも2本以上設けることが好ましい。
このような本実施形態に係る攪拌装置100によれば、バッフル5Gによって、可撓性バッグ1の内部に効率的に上下循環流を発生させることが可能である。また、バッフル5Gや固定紐29は、可撓性を有しているため、使用前には、折り畳まれた状態で取り扱うことが可能であり、利便性に優れたものとなる。また、可撓性バッグ1の内部の密封性や、無菌性を確保するのに適しており、あらかじめ滅菌処理した可撓性バッグ1を使用すれば、バッフル5Gの固定後に別途滅菌処理を施す必要が無くなるという利点がある。さらに、バッフル5Gは、可撓性バッグ1の底部に固定紐29によって固定されているため、可撓性を有していながらも旋回流に抗する抵抗性が備えられると共に、バッフル5Gの下方側においては旋回流が遮られ難くなり、高速の旋回流を効率的に上下循環流に変換し得る点で有利である。
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態に係る攪拌装置について説明する。
図10(a)は、本発明の第8実施形態に係る攪拌装置の要部構成を示す断面図である。図10(b)は、本発明の第8実施形態に係る攪拌装置に備えられるバッフルの斜視図である。
図10(a)に示すように、第8実施形態に係る攪拌装置100は、可撓性バッグ1の頂部から垂下するバッフル(流動遮断部)5Hと、バッフル5Hを可撓性バッグ1の底部に対して固定する固定板(連結部)30とを備えている。攪拌装置100におけるその他の構成は、前記の第1実施形態においてと同様である。
バッフル5Hは、可撓性バッグ1と同様に合成樹脂によって可撓性を持って形成されている。具体的には、バッフル5Hは、可撓性バッグ1と同種の合成樹脂で形成してもよいし、折り畳み可能な可撓性を有しつつも可撓性バッグ1よりも剛性が高い合成樹脂で形成してもよい。また、可撓性バッグ1よりも厚さを持って形成してもよい。バッフル5Hの上端は、可撓性バッグ1に対して溶着等により接合して一体化してもよいし、磁性カップリング部材(24C1,24C2)を用いて固定してもよい。なお、バッフル5Hにおける可撓性バッグ1の底部内面からの高さ(H)や、可撓性バッグ1の壁部内面からの距離(d)や、幅及び厚さは、前記のバッフル5における寸法と同様に設定することができる。
固定板30は、バッフル5Hと同様に、可撓性バッグ1と同種の合成樹脂で形成してもよいし、折り畳み可能な可撓性を有しつつも可撓性バッグ1よりも剛性が高い合成樹脂で形成してもよい。固定板30は、図10(b)に示すように、バッフル5Hに対して垂直に設置されることによって培養液の旋回流を通流可能にバッフル5の下端に連ねられている。バッフル5Hは、培養液の旋回流の流れ方向に対して垂直に配置されているため、培養液の旋回流を遮り、旋回流を上下循環流に変換する。これに対して、固定板30は、旋回流の流れ方向に対して平行に備えられるため、旋回流の流速を大きく妨げることは無い。
バッフル5Hの上端及び固定板30の下端は、可撓性バッグ1に対して溶着等により接合して一体化してもよいし、磁性カップリング部材(24C1,24C2)を用いて固定してもよい。また、バッフル5Hの下端と固定板30の上端とは、溶着等により接合してもよいし、あらかじめ一体に成形してもよい。すなわち、バッフル5Hは、固定板30を介して可撓性バッグ1の底部に対して固定される。
このような本実施形態に係る攪拌装置100によれば、バッフル5Hによって、可撓性バッグ1の内部に効率的に上下循環流を発生させることが可能である。また、バッフル5Hは、可撓性を有しているため、使用前には、例えば、バッフル5Hと固定板30との接合部において折り畳まれた状態で取り扱うことが可能であり、利便性に優れたものとなる。また、可撓性バッグ1の内部の密封性や、無菌性を確保するのに適しており、あらかじめ滅菌処理した可撓性バッグ1を使用すれば、バッフル5Hの固定後に別途滅菌処理を施す必要が無くなるという利点がある。さらに、バッフル5Hは、可撓性バッグ1の底部に固定板30によって固定されているため、可撓性を有していながらも旋回流に抗する抵抗性が備えられると共に、バッフル5Hの下方においては旋回流が遮られ難くなり、高速の旋回流を確実に上下循環流に変換し得る点で有利である。加えて、可撓性バッグ1の径方向における固定板30の外側では、固定板30の設置位置を調節することにより旋回流の流速を高速化させることも可能となる。
以上、本発明の実施形態に係る攪拌装置の例を説明したが、本発明はこれらの具体的な形態に限定されるものではない。例えば、前記の実施形態のそれぞれにおける構成を相互に組み合わせて攪拌装置を構成することが可能である。バッフルは、上部側が、液体の旋回流を遮るように設けられ、下部側が、液体の旋回流の通流遮らないように設けられていれば、所定の攪拌速度における旋回流で、相対的に強い上下循環流を発生せしめることが可能である。
また、可撓性バッグ1の容器形状は、円筒型に制限されるものではなく、矩形型、多角形型等においても攪拌効率を向上させることができる。なお、角形の可撓性バッグ1における内径(D)は、バッフルの設置位置を通る幅寸法を意味する。また、バッフルの設置数は、2以上の適宜の数とすることができる。特に、2体のバッフルを可撓性バッグ1の中心に対して対称に配置する形態は、バッフルの接合部周りに生じ易い応力集中部位が少なく抑えられるため、良好な攪拌効率と可撓性バッグ1の構造安定性との両立に適している。可撓性バッグ1については、数Lから数千L程度の範囲の適宜のスケールに設けて適用することが可能である。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1として、円筒型の可撓性バッグを設置した攪拌装置において、バッフルの設置位置が液体の攪拌効率に与える影響の評価を行った。
液体の攪拌効率は、可撓性バッグに封入した液体の内部循環効率を汎用流体解析プログラム「FLUENT」を使用して有限体積法により解析した。この有限体積法では、可撓性バッグの内部の空間を微小なコントロールボリュームに分割し、各コントロールボリュームについて、流速、粘度、乱れの運動エネルギ等を求めた。液体の攪拌効率は、可撓性バッグの内部における上向流及び下向流を合わせた流速の体積積分値を指標として評価した。上下循環流は、攪拌子の回転運動による水平方向の旋回流がバッフルによって変換されて、可撓性バッグの内部の上下方向に循環する流れである。
攪拌装置は、図1に示す形態とした。可撓性バッグ1は、容量4Lの円筒型の容器とした。可撓性バッグ1の内径(D)は、150mmである。また、可撓性バッグ1の底部内面から培養液の液面までの高さ(L)は、230mmである。また、バッフル5は、厚さ2mm、幅12mmの平板状とし、可撓性バッグ1の中心軸に対称に二枚を設置した。また、撹拌翼2は、フラットパドル型を1基のみ設置した。撹拌翼2の設置位置は、可撓性バッグ1の中心、設置高さは、可撓性バッグ1の底部内面から25mmである。培養液の攪拌における攪拌翼の回転速度は100rpmに設定した。
はじめに、可撓性バッグ1の壁部内面からバッフル5の外側端までの距離(d)と、可撓性バッグ1の内径(D)との比の値(d/D)を変えて上下循環流の流速体積積分値を解析した。このとき、可撓性バッグの底部内面からバッフルの下端までの高さ(H)と、可撓性バッグの底部内面から培養液の液面までの高さ(L)との比の値(H/L)については、0(バッフルの下端が可撓性バッグの底部内面に接地した状態)とした。
図11は、可撓性バッグの壁部内面からバッフルまでの距離と上下循環流の流速体積積分値との関係を解析した結果を示す図である。
図11では、d/D=0における流速体積積分値に対する相対値を示している。図11に示すように、バッフルと可撓性バッグの壁部内面との間の距離が増すと、上下循環流の流速体積積分値は増大し、d/D=0.02付近で最大となっている。そして、さらにバッフルと可撓性バッグの壁部内面との間の距離が増すと、上下循環流の流速体積積分値は次第に減少し、d/D=0.08でd/D=0における流速体積積分値と同等となっている。
したがって、可撓性バッグ1の壁部内面からバッフル5の外側端までの距離(d)と、可撓性バッグの内径(D)との比の値(d/D)は、0を超え0.08以下となるように設けることが好ましいといえる。特に、比の値(d/D)が、0.01以上0.03以下の範囲では、高い流速体積積分値が実現されており、攪拌効率を高めるのに好適であるといえる。
次に、可撓性バッグの底部内面からバッフルの下端までの高さ(H)と、可撓性バッグの底部内面から培養液の液面までの高さ(L)との比の値(H/L)を変えて上下循環流の流速体積積分値を解析した。このとき、可撓性バッグ1の壁部内面からバッフル5の外側端までの距離(d)と、可撓性バッグ1の内径(D)との比の値(d/D)については、0.04とした。
図12は、可撓性バッグの底部内面からバッフルの下端までの高さと上下循環流の流速体積積分値との関係を示す図である。
図12では、H/L=1における流速体積積分値に対する相対値を示している。図12に示すように、可撓性バッグの底部内面からのバッフルの下端までの高さが増すと、上下循環流の流速体積積分値は増大し、H/L=0.5付近で最大となっている。そして、さらに可撓性バッグの底部内面からのバッフルの下端までの高さが増すと、上下循環流の流速体積積分値は次第に減少している。このような傾向は、撹拌翼の設置高さを可撓性バッグの底部内面から10mmに設定した場合においても同様となることが確認可能である。すなわち、撹拌翼の設置高さを可撓性バッグの底部内面から10mmに設定した場合においても、上下循環流の流速体積積分値は、H/L=0.5付近で最大となることが確認される。特に、H/L=0.8付近以下においては、流速体積積分値が、H/L=0(バッフルの下端が可撓性バッグの底部内面に接地した状態)における流速体積積分値を上回るものとなっている。
したがって、可撓性バッグの底部内面からバッフルの下端までの高さ(H)と、可撓性バッグの底部内面から培養液の液面までの高さ(L)との比の値(H/L)は、0を超え0.8以下となるように設けることが好ましいといえる。特に、比の値(H/L)が、0.4以上0.7以下の範囲では、高い流速体積積分値が実現されており、攪拌効率を高めるのに好適であるといえる。
図13は、本発明の実施例に係る攪拌装置における上下循環流の流速体積積分値の効果を示す図である。
図13では、実施例に係る攪拌装置における上下循環流の流速体積積分値の効果を、比較例に対する相対値で示している。比較例1は、バッフルを設置していない攪拌装置、すなわち、距離の比の値(d/D)を0、高さの比の値(H/L)を1.0に設定した攪拌装置である。また、比較例2は、バッフルを可撓性バッグの底部内面及び壁部内面に密接させて設置した攪拌装置、すなわち、距離の比の値(d/D)を0、高さの比の値(H/L)を0に設定した攪拌装置である。これに対して、実施例は、距離の比の値(d/D)を0.04、高さの比の値(H/L)を0.5に設定した攪拌装置である。
図13に示すように、バッフルを可撓性バッグの底部内面及び壁部内面に密接させて設置した攪拌装置(比較例2)は、バッフルを設置していない攪拌装置(比較例1)に対して、上下循環流の流速体積積分値が16%の増加を示している。これに対して、バッフルを可撓性バッグの底部内面及び壁部内面から離隔して設置した攪拌装置(実施例)は、上下循環流の流速体積積分値が41%の増加を示している。したがって、強い上下循環流を発生させて攪拌効率を高める観点からは、バッフルの設置位置は、可撓性バッグの底部内面及び壁部内面から離隔させることが好ましいといえる。
次に、バッフルの設置数を変えて上下循環流の流速体積積分値を解析した。バッフルの設置数は、0基、2基、4基、8基のそれぞれに設定し、複数枚のバッフルについては可撓性バッグの周方向に沿って均等に設置した。このとき、可撓性バッグの壁部内面からバッフルの外側端までの距離(d)と、可撓性バッグの内径(D)との比の値(d/D)については、0.04とした。また、可撓性バッグの底部内面からバッフルの下端までの高さ(H)と、可撓性バッグの底部内面から培養液の液面までの高さ(L)との比の値(H/L)については、0.5とした。
図14は、バッフルの設置数と上下循環流の流速体積積分値との関係を示す図である。
図14に示すように、バッフルの設置数が2基の攪拌装置は、バッフルの設置数が0基の攪拌装置と比較して、上下循環流の流速体積積分値が40%程度の増加を示している。これに対して、バッフルの設置数が4基以上となっても、上下循環流の流速体積積分値の大きな増加は認められないことが示されている。したがって、強い上下循環流を発生させて攪拌効率を高める観点からは、バッフルの設置数は、2基あれば足りるといえる。特に、可撓性バッグの剛性が乏しいためにバッフルの設置が制約を受けることから、バッフルの設置数は2基が好適であるといえる。
[実施例2]
実施例2として、矩形型の可撓性バッグを設置した攪拌装置において、バッフルの設置位置が液体の攪拌効率に与える影響の評価を行った。なお、液体の攪拌効率は、実施例1と同様に、可撓性バッグに封入した液体の内部循環効率を汎用流体解析プログラム「FLUENT」を使用して有限体積法により解析した。
図15(a)は、矩形型の可撓性バッグを設置した攪拌装置の要部構成を示す断面図である。図15(b)は、(a)におけるB−B線断面図である。
図15(a)及び(b)に示す可撓性バッグ1Aは、容量4Lの矩形型の容器とした。可撓性バッグ1Aの幅(X)は、140mm、奥行(Y)は、140mmの正方形状である。また、可撓性バッグ1Aの底部内面から培養液の液面までの高さ(L)は、200mmである。また、バッフル5は、厚さ2mm、幅12mmの平板状とし、可撓性バッグ1Aの辺の二等分線上に中心軸に対称に二枚を設置した。また、撹拌翼2は、実施例1と同様に、フラットパドル型とした。撹拌翼2の設置位置は、可撓性バッグ1Aの中心、設置高さは、可撓性バッグ1Aの底部内面から25mmである。培養液の攪拌における攪拌翼の回転速度は100rpmに設定した。
可撓性バッグの底部内面からバッフルの下端までの高さ(H)と、可撓性バッグの底部内面から培養液の液面までの高さ(L)との比の値(H/L)を変えて上下循環流の体積積分値を解析した。このとき、可撓性バッグ1の壁部内面からバッフル5の外側端までの距離(d)と、可撓性バッグ1の幅(X)との比の値(d/X)については、0(バッフルが可撓性バッグの壁部内面に接地した状態)とした。
図16は、矩形型の可撓性バッグにおける可撓性バッグの底部内面からバッフルの下端までの高さと上下循環流の流速体積積分値との関係を示す図である。
図16では、H/L=1における流速体積積分値に対する相対値を示している。図16に示すように、可撓性バッグの底部内面からのバッフルの下端までの高さが増すと、上下循環流の流速体積積分値は増大し、H/L=0.7付近で最大となっている。そして、さらに可撓性バッグの底部内面からのバッフルの下端までの高さが増すと、上下循環流の流速体積積分値は減少している。特に、H/L=0.9から0.8付近以下においては、流速体積積分値が、H/L=0(バッフルの下端が可撓性バッグの底部内面に接地した状態)における流速体積積分値を上回るものとなっている。
したがって、矩形型の可撓性バッグにおいても、可撓性バッグの底部内面からバッフルの下端までの高さ(H)と、可撓性バッグの底部内面から培養液の液面までの高さ(L)との比の値(H/L)は、0を超え0.8以下となるように設けることが好ましいといえる。特に、比の値(H/L)が、0.4以上0.7以下の範囲では、高い流速体積積分値が実現されており、攪拌効率を高めるのに好適であるといえる。
また、矩形型の可撓性バッグにおいて、可撓性バッグの壁部内面からバッフルの外側端までの距離(d)と、可撓性バッグの幅(X)との比の値(d/X)を変えて上下循環流の体積積分値を解析したところ、可撓性バッグの壁部内面からバッフルの外側端までの距離(d)が増すと、上下循環流の流速体積積分値は増大し、d/X=0.03で最大となることが認められた。なお、本明細書において、可撓性バッグの幅(X)は、バッフルの設置位置に関し、可撓性バッグの内径(D)と同様の意義を有する。
したがって、矩形型の可撓性バッグにおいても、可撓性バッグ1の壁部内面からバッフル5の外側端までの距離(d)と、可撓性バッグの幅(X)との比の値(d/X)は、0を超え0.08以下となるように設けることが好ましいといえる。特に、比の値(d/X)が、0.01以上0.03以下の範囲では、高い流速体積積分値が実現されるため、攪拌効率を高めるのに好適であるといえる。
1 可撓性バッグ
2 攪拌翼(攪拌子)
3 計測装置
4 制御装置
5 バッフル(流動遮断部)
6 天板
7 培養液
8 ポート
9 シャフト
10 攪拌モータ
11 ガス調節装置
12 スパージャ
13 温度調節用ヒータ
14 支持部材
15 架台
16 液中通気用ガス供給管
17 気相通気用ガス供給管
18 培養液排出管
19 排気管
20 排気フィルタ
21 ガス調節弁
22 シーリング部材
23 センサ
24 バッフル支持体(内部支持体)
25 支持部材
26 補強部材
27 密封部材
28 通液孔
29 固定紐(連結部)
30 固定板(連結部)
100 攪拌装置

Claims (2)

  1. 可撓性を有し、内部に液体が封入された可撓性バッグと、
    前記可撓性バッグの内部に配置され、前記液体に旋回流を生じさせる攪拌子と、
    前記可撓性バッグの頂部から垂下し、前記液体の旋回流を遮るように設けられる流動遮断部とを備え、
    前記流動遮断部は、前記可撓性バッグと一体に設けられ、前記可撓性バッグの外部に向けて開口した中空構造を有し、
    前記流動遮断部の内部には、剛性を有する内部支持体が挿入されており、
    前記内部支持体の上端は、剛性を有する支持部材によって固定されており、
    前記流動遮断部の下端は、前記液体の液面よりも下方、且つ、前記可撓性バッグの底部よりも上方に位置するように設けられており、
    内部に前記液体が封入された前記可撓性バッグの底部内面から前記流動遮断部の下端までの高さ(H)と、内部に前記液体が封入された前記可撓性バッグの底部内面から前記液体の液面までの高さ(L)との比の値(H/L)が、0.4以上0.7以下であり、
    前記可撓性バッグの壁部内面から前記流動遮断部までの距離(d)と、前記可撓性バッグの内径(D)との比の値(d/D)が、0を超え0.08以下であることを特徴とする攪拌装置。
  2. 前記可撓性バッグの壁部内面から前記流動遮断部までの距離(d)と、前記可撓性バッグの内径(D)との比の値(d/D)が、0.01以上0.03以下であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
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