以下の説明および添付図面は、ニット構成要素およびニット構成要素の製作に関するさまざまな概念を開示している。ニット構成要素は、さまざまな製品に利用できるが、それらのニット構成要素のうちの1つを組み込んだ履物製品が、実施例として以下に開示されている。その説明は、履物製品に詳細に注力されている。しかし、ニット構成要素は、履物に加えて、他の種類の衣料品(たとえば、グローブ、ミトン)に利用してもよく、物体を確実に掴む能力は、突起によって高められる可能性がある。したがって、本願明細書に開示されているニット構成要素およびその他の概念は、個人用および産業用の目的の両方のためのさまざまな製品に組み込んでもよい。
図1〜図26は、ニット構成要素を組み込んだアッパーおよびニットソールシステムを有する履物製品、ならびに関連する製作方法の例示的な実施形態を示す。アッパーおよびニットソールシステムは、クリート部材を有するニットアウトソールを製造するために真空成形されるニット構成要素を組み込んでいる。本願明細書に記載されているいずれかのニット構成要素の個々の形状構成は、組み合わせて用いてもよく、または、履物製品のための異なる構成で別々に設けてもよい。また、いずれかの形状構成は、任意であってもよく、およびニット構成要素のいずれか1つの特定の実施形態に含まれていなくてもよい。
一貫性を保つために、および便宜上、図示されている実施形態に対応して、この詳細な説明の全体で、方向を表す形容詞が用いられている。「長手方向」という用語は、この詳細な説明およびクレームを通して用いられる場合、製品の長さまたは主軸が延びている方向を指す。場合により、長手方向は、製品の足先領域からかかと領域へ延びていてもよい。また、「横方向」という用語は、この詳細な説明およびクレームを通して用いられる場合、製品の幅または短軸が延びている方向を指す。換言すれば、横方向は、製品の内側側部と外側側部との間に延びていてもよい。さらに、「垂直な」という用語は、この詳細な説明およびクレームを通して用いられる場合、横方向と長手方向とに概して直角な方向を指す。たとえば、製品が、地面の上に平らに置かれている場合、垂直方向は、地面から上方に延びていてもよい。方向を表すそれらの形容詞を、アッパー、ニット構成要素およびそれらの部分、および/またはソールシステムを含む、製品の個別の構成要素に適用してもよいことは理解されるであろう。
図1〜図7は、単に製品100とも呼ぶ履物製品100の例示的な実施形態を示す。いくつかの実施形態において、履物製品100は、ソールシステム110およびアッパー120を含んでいてもよい。製品100は、強化されたトラクションに適する大略的構成を有するものとして図示されているが、製品100に関連する概念は、たとえば、サッカーシューズ、ベースボールシューズ、バスケットボールシューズ、サイクリングシューズ、フットボールシューズ、テニスシューズ、トレーニングシューズ、ウォーキングシューズおよびハイキングブーツを含むさまざまな他の運動用履物の種類にも適用してもよい。また、上記概念は、ドレスシューズ、ローファー、サンダルおよび作業用ブーツを含む、一般的には非運動用と考えられる履物の種類にも適用してもよい。したがって、製品100に関して開示されている概念は、幅広い種類の履物に適用してもよい。
参照のために、製品100は、3つの大略的領域、すなわち、足先領域101と、中足領域102と、かかと領域103とに分けてもよい。足先領域101は、大略的に、つま先と、中足骨と指骨とを接続している関節とに対応する製品100の部分を含んでいる。中足領域102は、大略的に、足のアーチ部位に対応する製品100の部分を含んでいる。かかと領域103は、大略的に、踵骨を含む足の後部に対応している。また、製品100は、外側側部104および内側側部105も含み、それらは、足先領域101、中足領域102およびかかと領域103の各々を通って延びており、および製品100の両側に対応している。より具体的には、外側側部104は、足の外側部位に対応し(すなわち、他方の足から遠ざかる方を向く面)、また、内側側部105は、足の内側部位に対応している(すなわち、他方の足の方を向く面)。足先領域101、中足領域102、かかと領域103、外側側部104および内側側部105は、製品100の正確な区域を画定することを意図していない。むしろ、足先領域101、中足領域102、かかと領域103、外側側部104および内側側部105は、以下の説明の助けになるように、履物100の大略的な区域を表すことを意図している。製品100に加えて、足先領域101、中足領域102、かかと領域103、外側側部104および内側側部105もまた、ソールシステム110、アッパー120およびこれらの個々の要素に適用してもよい。
本開示の実施形態は、履物製品用のソールシステムを提供する。そのソールシステムは、ワンピースニットアウトソールを組み込んだニット構成要素を含む。ニットアウトソールは、地面対向面と上面とを有している。突出している地面係止クリート部材が、ニットアウトソールの地面対向面に形成されている。地面係止クリート部材は、地面に係止するニット布地から成る面を有している。
いくつかの実施形態において、製品100は、製品100に組み込まれているニット構成要素の部分から形成されているソールシステム110およびアッパー120を含んでいてもよい。ソールシステム110およびアッパー120は、ソールシステム110とアッパー120とを含むワンピース要素を形成するように、ニット構成要素による一体ニット構造で形成してもよい。ニット構成要素の一部は、ソールシステム110のニットアウトソールを構成してもよく、また、ニット構成要素の別の部分は、アッパー120の大部分を構成してもよい。
いくつかの実施形態において、ソールシステム110は、アッパー120に取り付けられ、および製品100が着用された場合に、足と地面との間に拡がっている。例示的な実施形態において、ソールシステム110の主要な要素は、以下でさらに詳述するように、真空成形プロセスによってニットアウトソール112を形成するニット構成要素の下方部分111である。ニットアウトソール112は、アウトソールの上面または上側113(図5を参照)と、アウトソールの底面または底側114とを含む。いくつかの実施形態において、ソールシステム110は、製品100にトラクションを与えるのを補助する1つ以上の突起または突出部を含んでいてもよい。1つの実施形態において、ニットアウトソール112は、地面に向かう垂直方向において、アウトソールの底面114から外側に向かって延びている複数の地面係止クリート部材115を含んでいる。
ニットアウトソール112を形成しているニット構成要素の下方部分111は、アッパー120の下方区域を有する一体ニット構造から成っている。1つの実施形態において、ニットアウトソール112およびアッパー120は、単一のワンピースニット構成要素の異なる部分から形成してもよい。アウトソールの上面または上側113は、ニットアウトソール112の上面に配設され、および足の下面の下に拡がるように配置されている。アウトソールの底面または底側114は、ソールシステム110の外側底部の地面対向面と、履物製品100の底面とを備えている。次に、図4を参照すると、アウトソールの底面または底側114は、足から遠ざかる方に向いており、および、たとえば、地面係止クリート部材115が地面に埋め込まれた場合には、地面に係止される可能性がある。地面係止クリート部材115は、アウトソールの底面114から突出し、およびアウトソールの底面114にほぼ平行に向けられている先端にクリート面116を含んでいる。1つの実施形態において、クリート面116は、クリート部材115を形成するように真空成形されているニット構成要素の下方部分111の一部のニット面であってもよい。
この構成の場合、地面係止クリート部材115のクリート面116は、まず、地面に係止する。このソールシステム110のための構成は、アッパー120とともに用いてもよいソールシステムの実施例を示すが、さまざまな他の従来のまたは非従来のソールシステム110のための構成を用いてもよい。したがって、アッパー120とともに用いられるソールシステム110または何らかのソールシステムの形状構成は、かなり変わる可能性がある。
追加的な実施形態は、履物製品のための足収容ソールシステムを提供する。そのソールシステムは、足を収容するとともにニットアウトソールを含む、ワンピース足収容ニット部を含む。したがって、そのソールシステムは、アウトソールおよびアッパーの両方を含む。アウトソールおよびアッパーは、ワンピース要素として一緒に編んでもよい。ニットアウトソールは、地面対向面および上面を有している。地面係止クリート部材は、アウトソールの地面対向面から突出している。地面係止クリート部材は、地面に接触するニット面を含んでいてもよい。
アッパー120は、製品100内に、足を受け入れて、ソールシステム110に対して固定するための空洞を画定している。その空洞は、足を収容するような形状に形作られ、および足の外側側部に沿って、足の内側側部に沿って、足を覆って、かかとの周りに、および足の下に及んでいる。空洞へのアクセスは、少なくともかかと領域103に設けられた足首開口部121によってもたらされる。さらなる構成においては、アッパー120は、(a)安定性を高める、かかと領域103内のヒールカウンタ、(b)耐摩耗性材料で形成されている、足先領域101内のつま先ガード、(c)足首開口部121の周りに延びているカラー、および(d)ロゴ、商標、および注意事項や材料情報を記載した札等の追加的要素を含んでいてもよい。
従来の多くの履物アッパーは、たとえば、縫製または接着によって接合される複数の材料要素(たとえば、布地、ポリマー発泡体、ポリマーシート、革および合成皮革)から形成されている。対して、本開示の実施形態では、アッパー120の大部分は、ニット構成要素の上方部分130から形成してもよく、その部分は、(図3に示す)外側側部104および(図2に示す)内側側部105の両方に沿って、足先領域101、中足領域102およびかかと領域103の各々を通って、足先領域101を覆って、ならびにかかと領域103の周りに延びている。さらに、ニット構成要素の上方部分130は、アッパー120の外側面および反対側の内側面の両方の部分を構成している。したがって、ニット構成要素の上方部分130は、アッパー120内の空洞の少なくとも一部を画定している。
したがって、1つの態様において、本開示は、履物製品用のソールシステムを作る方法を提供する。その方法によれば、ニットアウトソールを含むようにワンピースニット構成要素が編まれる。地面係止クリート部材は、編むことによって、ニットアウトソールの地面対向面に形成される。突出している地面係止クリート部材は、ニット構成要素を成形することによって形成してもよい。クリート部材は、地面に係止し、およびトラクションをもたらす可能性があるニット面から成る地面係止面を有していてもよい。
いくつかの実施形態において、履物製品100は、ソールシステム110のニットアウトソール112を形成している、ニット構成要素の下方部分111と、アッパー120の大部分を形成している、ニット構成要素の上方部分130とを含むワンピースニット構成要素から形成してもよい。したがって、アッパーおよびアウトソールは、ワンピースニット要素として一緒に編まれた布地から成っていてもよい。編むことによって、履物製品をワンピースニット布地要素として形成することは、典型的な履物製品に優る著しい利点をもたらす。たとえば、独立したアウトソールをアッパーに取り付ける必要はなく、従って、組立に必要なステップが大幅に低減され、そのため、組立エラーの可能性も低下する。また、アウトソールとアッパーとの間には、接合された材料の異なる特性および特徴が過剰な摩耗や早すぎる故障を引き起こす可能性がある接合部がない。
いくつかの実施形態において、アッパー120およびソールシステム110は、ニット構成要素の下方部分111およびニット構成要素の上方部分130を含む単一のニット構成要素によって形成されている。図1〜図7は、このような実施形態を示し、アッパー120およびソールシステム110は、単一のニット構成要素から成っている。図1〜図4は、このような実施形態を示し、ニット構成要素130およびソールシステム110は、単一のニット構成要素から成っている。これらの実施形態では、ソールシステム110のニット構成要素の上方部分130およびニット構成要素の下方部分111は、ワンピースニット要素になるように、一体ニット構造で形成されている。(代替的に接合部117とも呼ばれる)境界117は、アッパー120とソールシステム110との間の境となる区域を示す。しかし、足を収容するとともにニットアウトソール112を含む、単一のニット構成要素から形成されたアッパー120とソールシステム110とを含む製品100の実施形態の場合、境界117は、実際には製品100上に物理的には存在していない可能性があり、または、製品100上に見えない可能性がある。すなわち、境界117は、アッパー120およびソールシステム110の各々を構成している単一のニット構成要素の部分間の仮想分割線を表し、境界117に対応する印は存在していない可能性がある。他の実施形態では、境界117は、ニット構成要素の下方部分111およびニット構成要素の上方部分130の各々を形成するために用いられるヤーンの種別間の移行部を表している可能性がある。
種々の実施形態において、ニット構成要素の下方部分111およびニット構成要素の上方部分130の各々を含む、製品100に組み込まれている単一のニット構成要素は、異なる特性を、アッパー120および/またはソールシステム110の別々の区域に付与するさまざまな種類のヤーンを組み込んでもよい。たとえば、ニット構成要素の上方部分130の1つの区域または部分は、第1のセットの特性を付与する第1の種類のヤーンから形成してもよく、また、第1のニット構成要素の上方部分130の別の区域または部分は、第2のセットの特性を付与する第2の種類のヤーンから形成してもよい。この構成において、特性は、ニット構成要素130の異なる区域に対して特定のヤーンを選択することにより、アッパー120全域で変えてもよい。同様に、ソールシステム110のニット構成要素の下方部分111は、ニット構成要素の上方部分130を形成するために用いられるヤーンのうちのいずれかを含むさまざまなヤーンから編んでもよい。この構成の場合、異なる特性を、ニット構成要素の下方部分111およびニット構成要素の上方部分130の各々に、ならびにニット構成要素の下方部分111およびニット構成要素の上方部分130の各々の異なる区域に付与するために、異なるヤーンを用いてもよい。
本開示の実施形態で使用されるヤーンは、天然材料または合成材料から形成された単繊維ヤーンおよび多繊維ヤーンから選択してもよい。多繊維ヤーンは、撚り合わせてもよく、または、撚り合わせなくてもよい。いくつかの実施形態において、ヤーンは、伸縮性であってもよく、または、非伸縮性であってもよい。いくつかの実施形態において、ヤーンは、加工されていてもよく、または、天然仕上げを有してもよい。天然材料は、絹、綿およびウール等の繊維材料から選択してもよい。合成材料は、フィラメントに形成することができるポリマーから選択してもよい。合成材料は、ポリエステル、さまざまな種類のホモポリマーナイロンおよび共重合ナイロンのいずれか等のポリアミド、Kevlar(登録商標)およびNomex(登録商標)等のアラミド、および熱可塑性ポリウレタン等のウレタンを含むがこれらに限定されない。また、融着性ヤーンも、いくつかの実施形態に対して適切である可能性がある。
本開示の実施形態において、履物製品を形成するために用いられるヤーンは、たとえば、異なるデニール、材料(たとえば、絹、エラステイン、ポリエステル、レーヨン、ウールおよびナイロン)、および撚りの程度を有するヤーンを組み込んでもよい。異なる種類のヤーンは、美しさ、伸縮性、厚さ、通気性および耐摩耗性を含む、ニット構成要素の物理特性に影響を与える可能性がある。いくつかの構成では、異なる色を有する複数のヤーンを、ニット構成要素を形成するために用いてもよい。異なる色を有するヤーンが一緒に撚られて編まれた場合、そのニット構成要素は、複数の色が全域にわたって任意に分散された、さまざまな色が混ざった外観を有する可能性がある。
いくつかの実施形態において、任意の数の伸張性要素または伸張性ストランドを、アウトソールの底面114のいずれかの適当な区域に沿って埋め込んでもよく、または配置してもよい。さらに、アウトソールの底面114とともに用いるのに適した伸張性要素は、伸張性ストランドまたは伸張性要素、ならびに、2011年3月15日に出願され、2012年9月20日に特許文献3として公開された、「Method Of Manufacturing A Knitted Component」と題された、Huffaらの共同所有米国特許出願第13/048,540号明細書、2013年7月23日に発行され、「Article of Footwear Having An Upper Incorporating a Knitted Component」と題された、Duaらの特許文献4、および、2014年9月23日に発行された、「Article of Footwear Incorporating A Knitted Component」と題された特許文献5のうちの1つ以上に開示されている、伸張性要素を組み込んでいるニット構成要素を製作する方法を含んでもよく、それらの明細書全体を、参照により本願明細書に組み込むものとする。
いくつかの実施形態において、ソールシステム110には、ニットアウトソール112に支持性および安定性を与えるように構成された追加的な構成要素を設けてもよい。例示的な実施形態では、ソールシステム110は、製品100の内部からニットアウトソール112に関連して配置されるように構成されているインサート部材300を含んでもよい。インサート部材300を詰めて、クリート部材115に構造的支持性および/または剛性を与えてもよい。
図5は、製品100の上に配置された分解図に示されているインサート部材300の例示的な実施形態を示す。インサート部材300は、ソールシステム110を形成するように、ニットアウトソール112と関連して配置してもよい。インサート部材300は、製品100内に配置された場合に、着用者の足の下に配置され、および足に向かって面している上面302と、足から遠ざかる方に向いている反対側の底面304とを含む。いくつかの実施形態において、ニットアウトソール112は、クリート部材112に対応して、それらを形成している複数のキャビティ200をアウトソールの上面113に含む。この実施形態では、ニットアウトソール112においてクリート部材115を形成しているキャビティ200は、中空であってもよい。
例示的な実施形態では、インサート部材300は、底面304から離れる方に垂直方向に延びている複数の突起310をさらに含んでいてもよい。突起310は、クリート部材115を補強して支持性および/または剛性を与えるために、ニットアウトソール112のキャビティ200に対応して嵌まるように構成およびデザインすることができる。1つの実施形態において、インサート部材300上の突起310の位置、サイズおよび配列は、クリート部材115を形成しているアウトソールの上面113のキャビティ200の位置、サイズおよび配列と実質的に同様であってもよく、およびそれらに対応させることができる。この構成の場合、底面304の突起310は、インサート部材300が製品100の内部でニットアウトソール112と関連して配置された場合に、突起310が、キャビティ200を実質的に埋めて、クリート部材115に補強をもたらすように、アウトソールの上面113のキャビティ200と位置合わせされている。さらに、インサート部材300は、製品100のアッパー120の内部に嵌まるように構成されてデザインされているインサート部材300の形状を画定している外周縁部を有していてもよい。
次に、図6を参照すると、底面304から延びている突起310を有するインサート部材300が、ニットアウトソール112と関連して図示されている。この実施形態では、ニット構成要素の上方部分130およびニット構成要素の下方部分111は、ニットアウトソール112内のインサート部材300の関係を説明するために、透視図で図示されている。図6を見て分かるように、底面304が、アウトソールの上面113に対向するように、インサート部材300が、製品100のアッパー120の内部に配設された場合、突起310は、対応するクリート部材115のキャビティ200と位置合わせされて、そのキャビティ200を埋める。
いくつかの実施形態において、インサート部材300は、ニットアウトソール112のアウトソールの上面113に置かれるか、または固定される。図7に示す断面図は、ニットアウトソール112のアウトソールの上面113の定位置にあるインサート部材300を示す。突起310は、キャビティ200内に配設されて、そのキャビティ200を実質的に埋めて、クリート部材115を補強している。インサート部材300の上面302は、足接触面とすることができ、底面304は、アウトソールの上面113に向かって反対方向に対向している。アウトソールの底面114は、アウトソールの底面114から離れる垂直方向下方に向いている地面係止クリート部材115を含む。クリート部材115のクリート面116は、製品100が着用された場合に、地面に直接接触する可能性があるニット面である。アウトソールの底面114の部分等のニットアウトソール112の他の面もまた、製品100が着用された場合に、少なくとも部分的に、地面に直接接触する可能性がある。
この構成の場合、インサート部材300は、クリート部材115を埋めて、クリート部材に支持性をもたらしている。インサート部材300は、製品100の着用者の足の下に配置され、いくつかの実施形態においては、ミッドソール要素として構成してもよい。すなわち、いくつかの実施形態では、着用者の足にさらなるクッション性をもたらすように、インソール要素等のアッパー120の内部に、追加的なインサートを設けてもよい。他の実施形態では、インサート部材300は、何らかの追加的なインサートまたは要素を要することなく、アッパー120内で用いてもよい。このようにして、インサート部材300は、ニットアウトソール112のための補強部材として、かつ着用者の足のためのクッション材またはパッド材として有用である可能性がある。
種々の実施形態において、インサート部材300は、さまざまな異なる材料から形成してもよい。インサート部材300を形成する材料は、何らかの適当な補強材料を含んでいてもよい。補強材料は、最小限の支持性をもたらす組成物を含んでいてもよい。そのような組成物を、クッション応答性を調節するために用いてもよい。しかし、より典型的には、補強材料は、その剛性および強度で選択してもよい。材料は、発泡プラスチック材料等の発泡材料であってもよい。たとえば、発泡熱可塑性ポリウレタンが適切である可能性がある。発泡材料の密度は、クッション応答性を調節するために制御することができる。より高い密度は、地面係止クリート部材のより支持的な応答およびより良好な補強を与える可能性がある。
いくつかの実施形態において、インサート部材300は、モノリシックであってもよく、または、たとえば、捩りに対する追加的な支持性または耐性を与えるゾーンを有していてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、より大きな剛性を有する材料を、インサート部材300の突起310を形成するために使用してもよく、また、より小さな剛性を有する材料を、インサート部材300の残りの部分を形成するために使用してもよい。場合によっては、インサート部材300の一部または全体は、発泡熱可塑性材料から成っていてもよい。他の場合においては、インサート部材300の1つ以上の部分は、異なる材料から形成してもよい。たとえば、1つの実施形態において、インサート部材300は、低密度フォームから成るゾーン、高密度フォームから成るゾーン、および非発泡材料から成るゾーンから成っていてもよい。
いくつかの実施形態において、アッパー120の内部に配置されるインサート部材は、ニットアウトソール上に配置された1つ以上のクリート部材を含むニットアウトソールの形状を形成するために、製品100の製作中に用いてもよい。図8〜図17は、インサート部材を用いてニット構成要素を真空成形して、ニットアウトソールを形成する例示的なプロセスを示す。例示的な実施形態において、インサート部材300は、インサート部材300の突起310の形状に対応する複数のクリート部材115を含むニットアウトソール112の形状を形成するために、製品100の製作中に用いてもよい。1つの実施形態において、真空成形プロセスは、アッパー200内でインサート部材300の周りのニット構成要素の下方部分111を形作ってニットアウトソール112を形成するために用いてもよい。
したがって、本開示の実施形態は、ニットアウトソールを有するソールシステムを備えた履物製品を製作する方法を提供する。その方法によれば、ニットアウトソールを製造するために、インサート部材の周りで真空成形される部分を含むようにワンピースニット構成要素が編まれる。地面係止クリート部材は、インサート部材の底面から離れる方に延びている突起を有する、インサート部材の周りのニット構成要素から成る部分を真空成形することによって、ニットアウトソールの地面対向面内に形成される。真空成形したクリート部材は、地面に係止し、およびトラクションをもたらす可能性があるニット面から成る地面係止面を有していてもよい。
次に、図8を参照すると、ニットソールシステムを含む履物製品を製作するための例示的なプロセス800が図示されている。1つの実施形態において、プロセス800は、ニットソールシステムを有する完成した履物製品を形成するために繰り返すことができる1つ以上のステップを含んでもよい。それらのステップの順序は例示的なものであり、他の実施形態では、ニットソールシステムを有する履物製品を製造するために、図8に図示されていない追加的なまたは異なるステップを含めてもよい。最初のステップ802では、履物製品のアッパーに組み込まれるように構成されたニット構成要素が編まれる。例示的な実施形態において、ニット構成要素は、着用者の足の周りに広げるためのおよびその足の上を覆うための上方部分ならびに着用者の足の下に拡げるための下方部分を含む、ブーティーの構成で編んでもよい。この構成の場合、そのニット構成要素は、着用者の足を収容する一体ニット構造で形成されたワンピース要素であるブーティーとして編んでもよい。
1つの実施形態において、ステップ802は、ニット構成要素の下方部分111およびニット構成要素の上方部分130と実質的に同様のニット構成要素から成る部分を含むニット構成要素を編んで、足収容ニットブーティーを形成することを含んでもよい。編みは、手で行ってもよいが、ニット構成要素の商業生産は、一般的には、編み機によって行われる。例示のために、ニット構成要素を製造するのに適した編み機の例は、たとえば、V型ベッド横編み機から成る構成を有する編み機を含むが、本願明細書に記載されたいずれかのニット構成要素は、他の編み機で製造してもよい。また、本開示は、横編みによって形成されたニット布地に関連するように詳細に記載されているが、横編み、たとえば、平編み作業もしくは丸編み作業、縦編みプロセス、または、ニット布地を形成するのに適した他のいずれかの編みプロセスを含むがこれらに限定されない、いずれかの適した編みプロセスによって形成された布地を用いてもよい。このような実施形態では、適当な編み機、たとえば、丸編み機または縦編み機を、ステップ802において、一体ニット構造から成る足収容ニットブーティーを形成するために用いてもよい。
ニット構成要素111、ニット構成要素130および足収容ニットブーティーの他の実施形態は、一体ニット構造で形成することができる。「一体ニット構造」という用語は、本願明細書で用いる場合、それぞれの構成要素が、編みプロセスによって、ワンピース要素として形成されることを意味する。すなわち、編みプロセスは、大幅な追加的製作ステップまたはプロセスを要することなく、一体ニット構造から成るさまざまな形状構成および構造を実質的に形成する。一体ニット構造は、横編みの場合に、その構造もしくは要素が、少なくとも1つのコースを共通して含む(すなわち、共通ヤーンを共有する)ように接合されているヤーンもしくは他のニット材料から成る1つ以上のコースを含む、および/または、各構造もしくは要素の間で実質的に連続しているコースを含む構造もしくは要素、または、縦編みの場合に、その構造または要素が、少なくとも1つのウェールを共通して含む(すなわち、共通ヤーンを共有する)ように接合されているヤーンもしくは他のニット材料から成る1つ以上のウェールを含む、および/または、各構造もしくは要素の間で実質的に連続しているウェールを含む構造もしくは要素を有するニット構成要素を形成するために用いてもよい。この構成の場合、一体ニット構造から成るワンピース要素が提供される。
ニット構成要素のさまざまな構成および一体ニット構造を有するニット構成要素を形成する方法の実施例は、Duaの特許文献6、Duaらの特許文献7、Duaらの特許文献8、Duaの特許文献9、およびHuffaらの特許文献10に開示されており、これらの明細書は、参照によって、その全体が本願明細書に組み込まれるものとする。ニット構成要素の下方部分111、ニット構成要素の上方部分130および足収容ニットブーティーの他の実施形態は、他の要素、たとえば、ロゴ、商標、注意事項または材料情報およびサイズ等の他の情報を記載した札、伸張性要素または構造要素が、以下の編み処理に続いて追加される場合も、依然として一体ニット構造で形成される。
いくつかの実施形態において、ニットソールシステムを形成するためのニット構成要素は、耐久性のあるヤーンおよび/または融着性ヤーンを用いて編まれた区域を含んでもよい。耐久性のあるヤーンおよび/または融着性ヤーンは、典型的には、地面係止区域およびより大きな摩耗を受けやすいニットソールシステムの区域において有することをユーザが好むであろう耐摩耗性をもたらす可能性がある。たとえば、ニットソールシステムの外側面は、ニット布地から成っているが、その面は、地面に対向し、および少なくとも部分的に、地面に接触するように構成されている地面係止クリート部材に隣接しているため、より大きな摩耗を受ける可能性がある。さらに、融着性ヤーンは、優れた耐摩耗性をもたらすだけではなく、作動時には、足の底部に対する支持性ももたらす可能性がある。融着性ヤーンから成るストランドは、加熱されると、溶融して不浸透性の塊を形成する可能性があり、また、ニット構成要素に剛性を付与する可能性もある。
例示的な実施形態において、ニットアウトソール112に形成されたクリート部材115は、ニットアウトソール112に剛性を付与するために、融着性ヤーンをニット構成要素の下方部分111に組み込んでもよい。ニット構成要素に組み込まれた融着性ヤーンは、ニットアウトソールが、ニットアウトソールを形作るための真空成形プロセス800の間に用いられるインサート部材の形状を保持することを可能にすることをさらに補助する可能性がある。また、融着性ヤーンは、履物製品の内部を、そうした耐水性面がなければ外部から履物製品に入るであろう水がない状態に保つのに役立つ、高度の耐水性面をもたらす可能性がある。
次に、ステップ804では、上述したインサート部材300と実質的に同様のインサート部材を含むインサート部材を製作することができる。ステップ804の1つの実施形態において、そのインサート部材は、ミッドソールを含んでもよいが、上述したように、他の実施形態では、インサート部材は、追加的な要素、たとえば、インソール要素ととともに用いてもよく、または、単独で用いてもよく、およびインソール要素または他の構成要素に取って代わってもよい。ステップ804の間に、インサート部材は、ニットアウトソールのさまざまなクリート部材またはトラクション要素を形成するために用いられることになる複数の突起とともに製作してもよい。
適当なミッドソールのインサート部材が、ステップ802において、所望の位置、サイズ、およびニットアウトソールのクリート部材を形成するための突起の配置で作られた後に、ミッドソールのインサート部材は、足収容ニットブーティーの内部に配置することができる。ステップ806において、足収容ニットブーティーは、ニットアウトソールを形作るように、足収容ニットブーティーの周りに真空成形される。
いくつかの実施形態においては、プロセス800に、ニットアウトソールの形成済みのクリート部材の地面係止面に保護を与えるために、追加的な任意のステップ808を含めてもよい。この実施形態では、ステップ808は、クリート部材にキャップ要素を施すステップを含む。以下でさらに説明するように、キャップ要素は、地面に係止するクリート面116を含むクリート面のニット面に保護をもたらす可能性がある。また、キャップは、強化されたトラクションをニットアウトソールにもたらすように構成してもよい。
次に、図9を参照すると、ニット構成要素を組み込んだ履物製品用のニットソールシステムを真空成形するプロセス800のステップ806の説明図が示されている。この実施形態に図示されているように、ニットアウトソール112を形成するように、ニット構成要素の下方部分111が、インサート部材300の周りに真空成形される。例示的な実施形態において、インサート部材300の底面304は、ニットアウトソール112上にクリート部材115のキャビティ200を形成するために用いられることになる突起310を含む。この実施形態では、インサート部材300の底面304は、ニット構成要素の下方部分111のアウトソールの上面113と結合される。
一旦、インサート部材300とニット構成要素の下方部分111とが互いに結合されると、突起310の形状を含む、インサート部材300の底面304の周りに、ニット構成要素の下方部分111を形作るために、真空成形プロセスを適用してもよい。一旦、真空成形されると、ニット構成要素の下方部分111は、アウトソールの底面114から延びているクリート部材115を含むニットアウトソール112を形成する。
いくつかの実施形態においては、融着性ヤーンをこの区域に、たとえば、少なくとも、地面係止クリート部材115を形成するための突起310と位置合わせされ、およびそれらの突起に対応するニット構成要素111の部分に、編んでもよい。融着性ヤーンは、ステップ806において、ヤーンの外側面を柔らかくして、インサート部材300および突起310の形状に一致させるのを補助するために、任意で加熱してもよい。さらに、冷却すると、融着性ヤーンは、追加的な剛性を与える可能性もあり、およびクリート部材115の形状を保持するのを補助する可能性もある。あるいは、ステップ806において、剛性および/または形状の保持を補助するために、硬化樹脂またはプラスチックを適用して、活性化させて硬化させるかまたは加熱してもよい。
図10〜図17は、プロセス800のステップ806に関連して概略的に説明した真空成形のプロセスのさまざまなステップを示す。このプロセスでは、本願明細書に記載されている例示的なプロセスの原理を損なうことなく、追加的なステップまたは異なるステップを真空成形プロセス中に実行してもよい。
次に、図10を参照すると、真空成形プロセスを実行するのに適している真空プレス1000の例示的な実施形態が図示されている。この実施形態において、真空プレス1000は、可動部1002およびベース部1010を含む。可動部1002は、ベース部1010と関連して開位置と閉位置との間を移動するように構成され、および真空成形プロセスのために、製品をベース部1010の上に置くことができるようになっている。しかし、他の実施形態では、異なる構成または異なる構成要素を備えた真空プレスの他の構成を用いてもよい。
例示的な実施形態において、真空プレス1000の可動部1002は、柔軟膜1006を取り囲んで定位置に保持する支持体1004を含む。場合によっては、柔軟膜1006は、たとえば、シリコーンまたはゴムを含む何らかの適当な柔軟材料であってもよい。他の場合においては、異なる柔軟材料を使用してもよい。さらに、真空成形プロセス中に熱が加えられるいくつかの実施形態では、柔軟膜1006は、熱を柔軟膜1006に与えるための加熱要素または他の機構をさらに含んでもよい。この実施形態では、柔軟膜1006は、外側面1008および反対側の内側面1009を含む。内側面1009は、真空成形プロセス中に製品に接触するように構成され、および真空プレス1000のベース部1010に向かって下方に対向している。
いくつかの実施形態において、ベース部1010は、真空成形プロセス中に、真空プレス1000内の定位置に製品を保持するのを補助するように構成された形状構成を含んでいてもよい。履物製品、たとえば、製品100が真空成形される例示的な実施形態において、ベース1010は、履物製品のアッパーまたはブーティーを受け入れるように構成される靴型1012を含んでいてもよい。この実施形態では、靴型1012は、ベース部1010から離れる上方向に向けられるとともに柔軟膜1006の内側面1009に向かって対向している、底面1014を備えて構成されている。この構成の場合、着用者の足の下に拡がるように構成されているアッパーまたはブーティーの底部を、ニットアウトソールの形成を補助するために、靴型1012の底面1014に配置することができる。
次に、図11を参照すると、真空プレス1000を用いてニットアウトソールを真空成形する準備中に、靴型1012の底面1014上に置かれるインサート部材300が図示されている。図示されているように、この実施形態では、インサート部材300の上面302は、突起310を含むインサート部材300の底面304が、真空プレス1000のベース部1010から離れる上方を向くように、靴型1012の底面1014上に置かれる。この構成の場合、靴型1012は、ニットアウトソールの真空成形プロセスのために、履物製品のアッパーまたはブーティーを受け入れる準備をすることができる。
次に、図12に図示されているように、ワンピースの足収容ブーティーを形成するように一体ニット構造で形成されたニット構成要素の上方部分130およびニット構成要素の下方部分111を含むアッパー120は、真空成形プロセスのための準備がされている。例示的な実施形態において、アッパー120は、図11に関連して上述したように、インサート部材300を底面1014に配置させた靴型1012を覆う逆さ位置に配置される。1つの実施形態において、足首開口部121は、インサート部材300をアッパー120の内部に配設できるように、靴型1012を覆うアッパー120の配置を容易にする可能性がある。
次に、図13を参照すると、アッパー120は、インサート部材300を底面1014上に配置された靴型1012を覆って既に配置されている。この構成では、突起310を含むインサート部材300の底面304は、アッパー120の内部のアウトソールの上面または上側113と緩い関係で配置されている。ニット構成要素の下方部分111のアウトソールの底面または底側114は、真空プレス1000のベース部1010から離れる方に外側に向いている。図13に図示されているように、インサート部材300上の突起310は、真空成形ステップの適用前に、ニット構成要素の下方部分111のアウトソールの底面114に、ゆったりしたマウンドまたは塊を形成している可能性がある。
次に、図14は、真空成形ステップの適用前に、真空プレス1000を閉位置に据えるように、ベース部1010に向かって移動されている真空プレス1000の可動部1002を示す。この実施形態に図示されているように、柔軟膜1006の内側面1009は、靴型1012上に配置されたアウトソールの底面114に向かって持って行かれている。図15は、可動部1002がベース部1010に接触させられている状態の、閉位置になっている真空プレス1000を示す。可動部1002およびベース部1010は一緒に、柔軟膜1006が靴型1012の周りに配置され、および靴型1012を覆っている状態のシールを形成している。図15に図示されているように、柔軟膜1006の外側面1008は、アッパー120をその上に置いている靴型1012が配設されているベース部1010から離れる方に上方に延びている。この実施形態では、真空プレス1000は、真空成形プロセスの適用の準備がされている。
図16は、アッパー120をその上に置いた靴型1012に対して真空プレス1000を用いる真空成形プロセスの図を示す。この実施形態に図示されているように、可動部1002とベース部1010との間の真空プレス1000の内部での真空の適用は、柔軟膜1006をベース部1010に向かって下方に引き寄せる。この構成の場合、柔軟膜1006の内側面1009は、靴型1012の底面1014上に配設されたインサート部材300を含む靴型1012上に配置されたアッパー120に対して圧力を及ぼす。したがって、真空成形プロセスの圧力は、靴型1012上のアッパー120のニット構成要素の下方部分111を、突起310を含むインサート部材300の底面304に向かって下方に引き寄せる。いくつかの実施形態において、真空成形プロセス中に、真空からの圧力とともに熱も加えてもよい。
次に、図17を参照すると、真空成形プロセスの適用後に、可動部1002は、ベース部1010から離れた開位置に移動されている。この実施形態では、クリート部材115を含むニットアウトソール112は、靴型1012上に置かれたアッパー120のニット構成要素の下方部分111のアウトソールの底面114に形成された状態で図示されている。上述したように、クリート部材115の位置、サイズおよび配列は、既に靴型1012上に置かれているインサート部材300の底面304の突起310の位置、サイズおよび配列に対応させて位置合わせする。この構成の場合、ワンピースの足収容ブーティーを、ニットアウトソールとともに形成してもよい。
さらに、インサート部材300は、上述したプロセス800等の真空成形プロセス中にニットアウトソールを形成するために利用するだけではなく、突起310が、クリート部材115のキャビティと位置合わせされてキャビティを埋めるように、依然としてアッパー120の内部に設けた状態にしてもよく、およびアウトソールの上面113と関連して置いてもよい。この構成の場合、インサート部材300は、ニットアウトソール112を形成してもよく、ならびに、着用者の足にクッション性をおよび/またはクリート部材115に補強をもたらしてもよい。
いくつかの実施形態においては、強化されたトラクションおよび/または耐摩耗性を履物製品の部分に与えるために、追加的な構成要素または要素を、ソールシステム110を含むソールシステムと関連付けてもよい。例示的な実施形態において、ソールシステム110は、アウトソールの底面114のクリート部材115の部分を少なくとも部分的に覆う手段を含んでもよい。1つの実施形態において、ソールシステム110は、ニットアウトソール112のアウトソールの底面114のクリート部材115の部分を少なくとも部分的に覆うキャップ要素1800を含んでもよい。この実施形態では、クリート部材115のクリート面116は、ニット構成要素の下方部分111のニット面から形成され、また、キャップ要素1800は、このニット面を少なくとも部分的に覆うように、クリート面116に取り付けるかまたは接合してもよい。
例示的な実施形態において、キャップ要素1800は、上面1802と、反対側の底面1804とを含んでいてもよい。図19に図示されているように、キャップ要素1800の上面1802は、アウトソールの底面114から離れる方を向くように構成されるとともに、製品が着用された場合に、地面に直接係止してもよい。キャップ要素1800の底面1804は、クリート部材115のクリート面116に取り付けられるように、または接合されるように構成されている。さまざまな実施形態において、キャップ要素1800は、何らかの適当な機構を用いて、クリート面116と接合してもよく、または、クリート面に取り付けてもよい。たとえば、場合によっては、キャップ要素1800は、熱可塑性ポリマー材料を用いて、クリート面116に接着してもよい。他の場合においては、キャップ要素1800は、成形または印刷プロセスを用いて、キャップ要素1800をニット面に直接形成することによって、クリート面116に取り付けてもよい。さらに他の場合においては、キャップ要素1800は、クリート面116に接着接合してもよい。また、いくつかの実施形態では、ニット構成要素の下方部分111を含む、ニットアウトソールを形成しているニット構成要素の部分は、キャップ要素1800をニットアウトソールに取り付けるのを容易にするか、または補助するヤーンを含んでいてもよい。たとえば、融着性ヤーン、または、熱可塑性ポリマー材料を組み込んだヤーンを、キャップ要素1800をニットアウトソールに取り付けるのを容易にするか、または補助するために用いてもよい。
いくつかの実施形態において、キャップ要素1800は、トラクション要素またはアウトソールを形成するために用いてもよい、何らかの適当な材料から形成してもよい。適当な材料の例は、ポリマー、エラストマー、シロキサン、天然ゴム、他の合成ゴム、アルミニウム、鋼、天然皮革、合成皮革、プラスチック、または、トラクションもしくは保護をもたらすのに適している他の材料を含むがこれらに限定されない。この構成の場合、キャップ要素1800は、ニットアウトソール112を形成しているニット構成要素の下方部分111のニット面に摩耗保護を与えるために、クリート部材115のクリート面116の部分を覆ってもよい。また、キャップ要素1800は、強化されたトラクションまたは把持面を、クリート部材115および/またはニットアウトソール112の部分に与えるように構成してもよい。
図18および図19は、クリート面116の形状にほぼ対応し、およびクリート面の形状と同様の形状を有するキャップ要素1800の例示的な実施形態を示している。しかし、他の実施形態では、キャップ要素は、異なる形状および/または構成を有していてもよい。図20〜図23は、1つ以上のクリート部材115の部分を少なくとも部分的に覆うように、ニットアウトソール112とともに用いてもよいキャップ要素のさまざまな代替的な実施形態を示す。
次に、図20を参照すると、キャップ要素2000の代替的な実施形態が図示されている。例示的な実施形態において、キャップ要素2000は、クリート部材115の一方または両側に沿って上方に延びているだけではなく、クリート部材115のクリート面116の全体を覆っていてもよい。この実施形態では、キャップ要素2000は、クリート部材115のクリート面116を覆う下方部2002と、クリート部材115の両側に沿ってアウトソールの底面114に向かって、下方部2002から離れる方に延びている、下方部2002の両側に設けられた2つの延在部2004とを含む。場合によっては、延在部2004は、クリート部材115の両側に少なくとも部分的に沿って延びていてもよい。他の例では、延在部2004は、アウトソールの底面114に隣接する区域またはアウトソールの底面114に当接する区域まで、クリート部材115の両側の全体に延びていていもよい。この構成の場合、クリート部材115の全体、または、クリート部材115の少なくとも実質的に大部分は、キャップ要素2000によって覆われていてもよい。場合によっては、キャップ要素2000は、一般的に、キャップ要素によってもたらされる可能性がある強化されたトラクションに加えて、ニットアウトソール112のクリート部材115のためのさらなる保護または剛性が所望される実施形態において用いてもよい。
次に、図21を参照すると、キャップ要素2100の別の代替的な実施形態が図示されている。例示的な実施形態において、キャップ要素2100は、クリート部材115のクリート面116の全体に延びていなくてもよい。この実施形態では、キャップ要素2100は、クリート部材115のクリート面116の全体を覆ってはいない下方部2102を含む。例示的な実施形態において、キャップ要素2100は、クリート部材115の一方の側から略第1の距離D1およびクリート部材115の反対側から第2の距離D2に設けてもよい。場合によっては、第1の距離D1および第2の距離D2は、クリート部材115のクリート面116上でキャップ要素2100と下方部2102との中心を合わせるように略等しくしてもよい。他の例では、第1の距離D1および第2の距離D2は、クリート面116の一方の側または他方に対してキャップ要素2100をずらすように異ならせてもよい。この構成の場合、クリート部材115のクリート面116の全体に満たない一部は、キャップ要素2100で覆われていてもよい。場合によっては、キャップ要素2100は、ニットアウトソール112のクリート部材115の特定の部分のための強化されたトラクションが所望される実施形態において用いてもよい。
次に、図22を参照すると、キャップ要素2200の別の代替的な実施形態が図示されている。例示的な実施形態において、キャップ要素2200は、クリート部材115の一方の側部または両側部に沿って上方に延び、かつアウトソールの底面114の一部を覆うだけではなく、クリート部材115のクリート面116を全体的に覆っていてもよい。この実施形態では、キャップ要素2200は、クリート部材115のクリート面116を覆い、さらに、クリート部材115の両側でアウトソールの底面114に向かって延びている下方部2202を含み、そこでは、キャップ要素2200は、アウトソールの底面114の少なくとも一部も覆っている。場合によっては、キャップ要素2200は、クリート部材115に被さってこれを覆う半球状または半球ドーム状の形状で構成してもよい。他の例では、キャップ要素2200は、クリート部材115およびアウトソールの底面114の一部を覆う異なる形状を有していてもよい。この構成の場合、クリート部材115の全体およびアウトソールの底面114の一部は、キャップ要素2200で覆われていてもよい。場合によっては、キャップ要素2200は、ニットアウトソール112のクリート部材115の形状の変更が所望される実施形態、または、キャップ要素2200を形成する材料が、一般的に、キャップ要素によってもたらされる可能性がある強化されたトラクションに加えて、クリート部材115の両側部を補強するために利用される実施形態に用いてもよい。
次に、図23を参照すると、キャップ要素2300の別の代替的な実施形態が図示されている。例示的な実施形態において、キャップ要素2300は、垂直方向において、クリート部材115のクリート面116から離れる方に延びている、異なる高さを有する少なくとも2つの異なる面を呈する階段状の構造を有していてもよい。例示的な実施形態において、階段状のキャップ要素2300は、上述したキャップ要素に関する前述の実施形態の形状構成を組み合わせてもよい。たとえば、この実施形態では、階段状のキャップ要素2300は、大略的に、キャップ要素2100の形状構成とともに、キャップ要素1800の形状構成を含んでいてもよい。図23に図示されているように、階段状のキャップ要素2300は、クリート部材115のクリート面116を覆う下方部2302を含み、およびクリート面116から第1の高さに設けられた第1の面を呈している。くわえて、階段状のキャップ要素2300は、下方部2302の第1の面の上部よりも大きく、かつ、その上部の上に設けられている、クリート面116からの第2の高さに設けられた第2の面2312を呈する上方部2310をさらに含む。この構成の場合、キャップ要素の複数の構造の利益は、キャップ要素2300と組み合わせてもよい。他の実施形態では、上述したキャップ要素のさまざまな実施形態の他の形状構成を、ニットアウトソール112およびソールシステム110とともに用いられるキャップ要素の他の実施形態に同様に一緒に組み合わせてもよい。
いくつかの実施形態においては、ニットアウトソール112の各クリート部材115を覆うように個別のキャップ要素を設けるのではなく、クリート部材115とアウトソールの底面114とを含むニットアウトソール112のすべてを覆うように、アウトソールカバーアセンブリを設けてもよい。図24〜図26は、クリート部材115とアウトソールの底面114とを含むニットアウトソール112のすべてを覆うように構成してもよいアウトソールカバーアセンブリ2400の例示的な実施形態を示す。
次に、図24を参照すると、アウトソールカバーアセンブリ2400が、製品100に対して分解された状態で図示されている。例示的な実施形態において、アウトソールカバーアセンブリ2400は、上面2402と、反対側の底面2404とを有している。上面2402は、アウトソールの底面114に結合されるように構成される。場合によっては、アウトソールカバーアセンブリ2400の上面2402は、キャップ要素をアウトソールのクリート部材115に取り付けるための上述した方法のうちのいずれかを用いて、ニットアウトソール112のアウトソールの底面114に接合するか、または取り付けてもよい。アウトソールカバーアセンブリ2400の底面2404は、地面に接触するように構成され、ならびに、耐久性、保護および/またはトラクションを製品100のソールシステム110に与えるのを補助することができる。
いくつかの実施形態において、アウトソールカバーアセンブリ2400には、ニットアウトソール112のアウトソールの底面114のクリート部材115と位置合わせされおよびクリート部材115に対応するように構成されているアウトソールカバーアセンブリ2400の上面2402に、1つ以上の凹部2412を設けてもよい。例示的な実施形態において、アウトソールカバーアセンブリ2400の凹部2412の位置、サイズおよび配列は、ニットアウトソール112のアウトソールの底面114のクリート部材115の位置、サイズおよび配列と実質的に同様になるように選択してもよい。1つの実施形態において、凹部2412は、アウトソールカバーアセンブリ2400の底面2404から外側に向かって延びているクリートカバー要素2410を形成している。この構成の場合、クリート部材115の全体およびニットアウトソール112のアウトソールの底面114は、クリートカバー要素2410およびアウトソールカバーアセンブリ2400によって覆ってもよい。したがって、図25に図示されているように、製品100のニットアウトソール112が、アウトソールカバーアセンブリ2400に結合されて接合されると、クリート部材115は、アウトソールカバーアセンブリ2400の凹部2412に収容される。
いくつかの実施形態において、アウトソールカバーアセンブリ2400はさらにアウトソールカバーアセンブリ2400の周辺縁部に沿って、外側周辺周りに延びているリップ2414を含んでいてもよい。リップ2414は、壁部または隆起部を形成するように、外側周辺に沿って、アウトソールカバーアセンブリ2400の上面2402の上に延びているように構成してもよい。さらに、リップ2414は、アウトソールの底面114を含むニットアウトソール112の形状と実質的に同様であり、およびその形状に対応するアウトソールカバーアセンブリ2400の外側周辺の形状を画定してもよい。いくつかの実施形態において、製品100が、アウトソールカバーアセンブリ2400に結合されると、リップ2414は、図26に図示されているように、少なくとも部分的に、ニット構成要素の下方部分111の内側側部または外側側部に沿って上方に延びている可能性がある。この構成の場合、リップ2414は、アウトソールカバーアセンブリ2400内に製品100を位置合わせするのを補助することができ、ならびに、ソールシステム110および製品100の部分に支持性および/または剛性を与えるのを補助することができる。
さまざまな実施形態において、アウトソールカバーアセンブリ2400は、アウトソールを作るための他のいずれかの適当な材料だけではなく、キャップ要素を作るための上述した材料のうちのいずれかを含む何らかの適当な材料から作ってもよい。さらに、この実施形態では、アウトソールカバーアセンブリ2400は、ニットアウトソール112およびクリート部材115のすべてを覆っているが、他の実施形態では、アウトソールカバーアセンブリ2400は、ニットアウトソール112の部分のみを、および/またはソールシステム110の特定の部分もしくは領域に配設された選択されたクリート部材115を覆ってもよい。この構成の場合、所望の追加的な耐久性、耐摩耗性、剛性および/またはトラクションが、ソールシステム110の選択された区域内のアウトソールアセンブリによって与えられてもよい。
いくつかの実施形態において、ソールシステム3110およびニット構成要素3130は、それらを、足収容ニット部分3140を形成するためのワンピース要素として編むことができるように、一体ニット構造で形成してもよい。図27は、このような実施形態を示している。図27は、ソールシステム3110およびニット構成要素3130を備えている、本質的に平らなまたは平坦な、足収容ニット部分3140を示す。ニット構成要素3130は、ソールシステム3110の両側部の2つの要素で示されている。ソールシステム3110は、底面3114を有するワンピースニットアウトソール3112を形成しているニット構成要素3111と、底部3116を有する地面係止クリート部材3115とを含んでいる。第1の伸張性要素3161と、第2の伸張性要素3162と、第3の伸張性要素3163と、第4の伸張性要素3164とを、ニット構成要素3111に埋め込んでもよい。いくつかの実施形態では、伸張性要素3161、伸張性要素3162、伸張性要素3163または伸張性要素3164のうちの1つ以上は、底面3114に露出されていてもよい。境界のライン3117は、参照のために図示されている。
図27、図28および図29は、足収容ニット部分3140から履物製品3100を形成する例示的なプロセスを示し、そのニット部分3140は、図27において、平坦または平らであり、および、図29の完成した履物製品3100内に構成されている。図28は中間段階を示し、この場合、足収容ニット部分3140は、既に、境界のライン3117の周りから上方に折り畳まれているか、または曲げられており、ソールシステム3110とニット構成要素3130とが明確に区別されている。ニット構成要素3111、底面3114を有するワンピースニットアウトソール3112、底部3116を有する地面係止クリート部材3115、および第1の伸張性要素3161、第2の伸張性要素3162、第3の伸張性要素3163および第4の伸張性要素3164は、ソールシステム3110の部分として明確に目に見える。図28において、足先区域は、完全に形成されているが、ニット構成要素3130のかかと縁部は、まだくっつけられていない。
図27〜図28に図示されている実施形態では、伸張性要素は、地面係止クリート部材3115に隣接して設けてもよい。このようにして、伸張性要素の位置は、使用中のソールの伸張を制御してもよい。たとえば、伸張性要素の長手方向の位置は、アウトソール3112の伸張を長さ方向に制御してもよい。さらに、地面係止クリート部材に隣接して伸張性要素を配設することは、地面係止クリート部材のベースの周辺における伸張を制御してもよい。このような伸張は、着用により、または、製造プロセスの一部として、特に、クリート部材の突起がニット構成要素内に形成されるプロセスの一部として導入してもよい。複数のクリート部材の側部に沿って伸張性要素を延ばすこともまた、クリート間の伸張の制御に役立つ。
図29は、足収容ニット部分3140から仕上げられた履物製品3100を示す。履物製品3100は、ニット構成要素3130およびソールシステム3110を備えている。アッパー3120は、着用者の足のための空洞を形成するように、ニット構成要素3130の端部同士を、足先領域および中足領域における縫い目3127で、ならびにかかと領域における縫い目3129で縫製または他の方法で取り付けることによって形成されている。
いくつかの実施形態において、ニット構成要素3130の両側部を一緒に縫製または接合することによって生じる縫い目3127および縫い目3129は、本願明細書中の図に描かれているように、ニット構成要素3130のサイズが、履物製品3100の各側部で本質的に同じである場合には、本質的に、履物製品3100の長手方向の正中線上に位置している可能性がある。本開示の他の実施形態では、縫い目は、アッパー3120の表面のどこに位置していてもよい。このような調節は、ニット構成要素3130の一方の側部を他方よりも幅広に作ることによって行うことができる。
境界のライン3117は、ソールシステム3110と、履物製品3100の他の構成要素との間の分割線を示している。地面係止クリート部材3115は、ワンピースニットアウトソール3112の底部側または底面3114から離れて突出している。
図30は、地面Gと接触している履物製品3100の分解図とともに、プレーヤーPによって使用中の履物製品を示す。この分解図では、アッパー3120と、ワンピースニットアウトソール3112の底面3114から突出している地面係止クリート部材3115とが明確に見える。地面係止クリート部材3115は、地面係止クリート部材3115の底面3116で地面Gに接触している。この実施形態では、地面係止クリート部材3115の底面3116は、地面に直接接触しているニット面である。また、ワンピースニットアウトソール3112の底面3114の部分も、地面に直接、たとえば、平坦でない地面に、または、地面係止クリート部材3115が地面に埋め込まれている場合に、接触している可能性がある。
図31は、本開示による履物製品を製作する方法3500の模式ブロック図である。布地要素(たとえば、ニット構成要素3111および/またはニット構成要素3130)を編む方法が、ステップ3520で始まる。この編みの一部として、ステップ3525において、布地要素3161等の伸張性要素を布地要素に埋め込んでもよい。編みは、布地要素が完成するまで続く(ステップ3530)。布地要素は、ステップ3535で調節してもよい。地面係止クリート部材が、ステップ3540で形成される。布地は、公知のプロセスに従って、ヤーンを固定(セット)するために蒸気に当ててもよい。その場合、布地要素から成る区域は、方法ステップ3560で硬化される可能性がある。典型的には、このような硬化は、激しい摩耗を受ける布地要素の区域で有用であるだろう。融着性ヤーンを、この区域で、たとえば、地面係止クリート部材を形成している突起に対応するニット構成要素の部分に用いてもよい。融着性ヤーンは、ヤーンの外側面を柔らかくするために、ステップ3563において加熱してもよい。あるいは、ステップ3566において、硬化樹脂またはプラスチックを適用し、および活性化させ、および硬化させるかまたは加熱してもよい。典型的には、硬化樹脂またはプラスチックは、伸張性要素による調節に干渉しないように配設される。そして、履物製品を形成するための最後の折り畳み、マッチング、粘着および接着が、ステップ3590で実行されて履物製品を形成する。
1つの態様において、本開示は、履物製品用のソールシステムを提供する。そのソールシステムは、ワンピースニットアウトソールを組み込んだニット構成要素を含む。そのニットアウトソールは、地面対向面と上面とを有している。突出している地面係止クリート部材は、ワンピースニットアウトソールの地面対向面に形成されている。伸張性要素を、ワンピースニットアウトソールの地面対向面内に埋め込んでもよい。
別の態様では、本開示は、ソールシステムを含む履物製品を提供する。その履物製品は、アッパーと、アッパーに接続されたソールシステムとを含む。アッパーは、ワンピースであってもよく、または、アッパーの底部にストローベル式中敷きもしくは他のクロージャを有していてもよい。アウトソールの上面とアッパーの底部とは付着されている。
また、本開示は、履物製品用のソールシステムを作る方法を含む態様も提供する。その方法によれば、地面係止部材が、地面対向面と上面とを有するワンピースニットアウトソール内に形成されている。突出している地面係止クリート部材は、ニット構成要素を成形することによって形成される。
また別の態様では、本開示は、履物製品用の、足を収容するソールシステムを提供する。そのソールシステムは、足を収容するとともにニットアウトソールを含む、ワンピースの足収容ニット部分を含む。ニットアウトソールは、地面対向面と上面とを有している。地面係止クリート部材は、アウトソールの地面対向面から突出している。
さまざまな方法、機械およびツールを、ニット構成要素3111を形成し、処理し、および他の方法で調節するために用いることができ、ならびに、ワンピースニットアウトソール3112を組み込んだ履物製品3100を形成するために用いることができる。上記方法中のステップの順番は、本願明細書に記載されている順番から変えてもよいことは正しく認識されるであろう。また、いくつかのステップのうちの特定のステップまたは態様は、抜かしてもよく、または省いてもよい。また、上記方法中の2つ以上のステップを、連続してまたは同時に実行してもよい。さらに、上記方法中のステップは、適当なツール、機械または器具を用いて手でまたは自動的に実行してもよい。
図32および図33は、上述したニット構成要素3111、ニット構成要素3130および足収容ニット部分3140と実質的に同様のニット構成要素を含むニット構成要素を編む例示的なプロセスを示す。編みは、手で行ってもよいが、ニット構成要素の商業生産は、一般的には、編み機によって行われる。本願明細書に記載されているニット構成要素のいずれかを製造するのに適している編み機3200の例が図32に描かれている。編み機3200は、例示のために、V型ベッド横編み機の構成を有しているが、本願明細書に記載されているニット構成要素のいずれかは、他の編み機で製造してもよい。
編み機3200は、互いに対して角度が付けられて、それによってV型ベッドを形成している、針3202を有する第1の針床3232と第2の針床3234とを含む。すなわち、第1の針床3232からの針3202は、第1の面に載っており、第2の針床3234からの針3202は、第2の面に載っている。第1の面および第2の面は、互いに対して角度が付けられ、ならびに、編み機3200の幅の大部分に沿って延びている交差部分を形成するように接している。より詳細に以下で説明するように、針3202はそれぞれ、針が後退させられる第1の位置と、針が引っ込められる第2の位置とを有する。第1の位置では、針3202は、第1の面と第2の面とが接している交差部分から離間されている。しかし、第2の位置では、針3202は、第1の面と第2の面とが接している交差部分を通過する。
レール3203およびレール3205は、針3202の交差部分の上に、および交差部分に平行に延び、ならびに、標準フィーダー3204のための装着箇所を形成している。レール3203およびレール3205はそれぞれ、各々が、1つの標準フィーダーを収容することができる2つの側部を有している。そのため、編み機3200は、総数で4つのフィーダーを含んでいる可能性がある。このような3つのフィーダーが図32に図示されている。標準フィーダー3204は、レール3203の前方にあり、フィーダー3214が、レール3205の前方にあり、および、フィーダー3224が、レール3205の後方にある。2つのレールが描かれているが、追加的なレールがあってもよい。そのような追加的なレールは、追加的なフィーダーを収容するであろう。このようなフィーダーは、2種類以上のヤーンを含む実施形態を製作するのに有用である可能性がある。これらの追加的なフィーダーにはヤーンが供給され、およびそれらのフィーダーは、詳細に説明したフィーダー群と同じ方法で作動される。
フィーダー3204は、レール3203および針床3232および3234に沿って移動し、それによって、ヤーンを針3202に供給する。ヤーン3206は、スプール3207によってフィーダー3204に供給される。より具体的には、ヤーン3206は、フィーダー3204に入る前に、スプール3207から、さまざまなヤーンガイド3208、ヤーン引きばね3209およびヤーンテンショナー3210まで延びる。図示されてはいないが、追加的なスプール3207を、ヤーンを他のフィーダーに供給するために用いてもよい。
標準フィーダーは、通常、V型ベッド横編み機3200に用いられている。各フィーダーは、針3202が編み、タック付けおよびフロートするように操作するヤーンを供給する能力を有している。いくつかの実施形態においては、必要なフィーダーは1つのみである可能性がある。他の実施形態では、たとえば、地面係止クリート部材がワンピースアウトソールに編み込まれる場合、1つ以上のフィーダーを用いてもよい。このような実施形態の場合、図32の編み機3200は、互いに実質的に同様である第1の標準フィーダー3204と、第2の標準フィーダー3214と、第3の標準フィーダー3224とを含んでいてもよい。コンビネーションフィーダーは、それらの能力を有するか、また、ヤーンを埋め込む能力も有している。第1の標準フィーダー3204は、レール3203の前側に取り付けてもよく、第2の標準フィーダー3214は、レール3205の前側に取り付けてもよく、および、第3の標準フィーダー3224は、レール3205の後側に取り付けてもよい。本開示の他の実施形態では、追加的なフィーダーを用いてもよく、およびレール3203の前側または後側に設けてもよい。
この実施形態では、スプール3207からの第1のヤーン3206は、第1の標準フィーダー3204を通過し、ヤーン3206の端部は、第1のフィーダーアーム3212の端部で第1の給糸先端部3213から外側に向かって延びている。ヤーン3206が描かれているが、他の何らかのストランド(たとえば、フィラメント、糸、ロープ、帯、ケーブル、チェーンまたはヤーン)が第1の標準フィーダー3204を通ってもよい。第2のヤーン(図示せず)は、同様に、第2の標準フィーダー3214を通って、第2のフィーダーアーム3215上で第2の給糸先端部3223から外側に向かって延びている。第3のヤーン(図示せず)は、同様の方法で、第3の標準フィーダー3224を通って、第3のフィーダーアーム3227上の第3の給糸先端部3233まで送ってもよい。
針3202は、複数のループがニット構成要素3260を形成している状態のループ3206を形成するように操作される。本願明細書に記載されている編みプロセスは、ニット構成要素3111、ニット構成要素3130および足収容ニット部分3140と同様のニット構成要素を含む何らかのニット構成要素であってもよいニット構成要素3260の形成に関する。説明のため、図には、ニット構成要素3260の比較的小さな区画のみが、そのニット構成要素を説明できるようにするために図示されている。さらに、編み機3200およびニット構成要素3260のさまざまな要素のスケールおよび比率は、編みプロセスを上手く説明するために強調されている可能性がある。
第1の標準フィーダー3204は、第1の給糸先端部3213を備えた第1のフィーダーアーム3212を含む。第1のフィーダーアーム3212は、(a)針3202間の中心に位置している位置、および(b)針床3201の交差部分の上にある位置に第1の給糸先端部3213を配置するように角度が付けられている。針3202は、互いに角度が付けられている異なる面に載っていることに留意する。すなわち、針3202は、第1の針床3232および第2の針床3234の異なる面に載っている。針3202はそれぞれ、針3202が引っ込められる第1の位置と、針3202が延ばされる第2の位置とを有している。第1の位置では、針3202は、針床3201がその面で接触する交差部分から離間されている。しかし、第2の位置では、針3202は、延ばされて、針床3201がその面で接触する交差部分を通過している。すなわち、針3202は、第2の位置まで延ばされた場合、互いに交差する。第1の給糸先端部3213、第2の給糸先端部3223および第3の給糸先端部3233が、それらの面の交差部分の上に位置していることに留意すべきである。この位置では、第1の給糸先端部3213、第2の給糸先端部3223および第3の給糸先端部3233は、編み、タック付けおよびフローティングのために、ヤーンを針3202に供給する。
再び図33を参照すると、第1の標準フィーダー3204がレール3203に沿って移動して、新たなコースが、ヤーン3206からニット構成要素3260内に形成される。より具体的には、針3202は、前のコースのループを介して、ヤーン3206の区画を引っ張り、それによって新たなコースを形成する。したがって、標準フィーダー3204を針3202に沿って移動させることにより、複数のコースがニット構成要素3260に追加されて、それによって、針3202がヤーン3206を操作して、ヤーン3206から追加的なループを形成することを可能にしている。
本願明細書に記載されて説明されているニット構成要素を編むためのプロセスおよび方法は例示的なものであり、網羅的であることを意図していない。そのため、本願明細書に記載されている実施形態の形状構成を含む追加的なニット構成要素、および本願明細書に記載されている実施形態の形状構成を含む同様のニット構成要素、および本願明細書に明確には記載されていない同様のニット構成要素は、本願明細書に記載されているニット構成要素のための編み方法と実質的に同様の、または、参照によって組み込まれる文書における、1つ以上の編みプロセスを用いて作ってもよいことを理解すべきである。
本願明細書に記載されているニット構成要素は、さまざまなコースおよびウェールを有するニット構成要素を画定する複数の互いにかみ合ったループを形成するように(たとえば、編み機を用いて)操作される少なくとも1つのヤーンから形成することができる。したがって、ニット構成要素の隣接する区域は、少なくとも1つの共通コースまたは少なくとも1つの共通ウェールを共有することができる。すなわち、ニット構成要素は、ニット布地から成る構造を有することができる。ニット構成要素は、平編み操作および丸編み操作を含む横編み操作、縦編み操作または他の適当な方法を介して形成することができることを正しく認識すべきである。
ニット構成要素は、さまざまな種類のステッチおよびヤーン、ならびに、ステッチとヤーンとのさまざまな組合せを組み込んでもよい。ステッチに関して、ニット構成要素を形成するヤーンは、ニット構成要素の1つの区域に1つの種類のステッチを、およびニット構成要素の別の区域に別の種類のステッチを有していてもよい。用いるステッチの種類および組合せにより、ニット構成要素の区域は、たとえば、単純なニット構造、メッシュニット構造、または、リブニット構造を有していてもよい。異なる種類のステッチは、美しさ、伸縮性、厚さ、通気性および耐摩耗性を含む、ニット構成要素の物理特性に影響を与える可能性がある。すなわち、異なる種類のステッチは、ニット構成要素の異なる区域に異なる特性を付与する可能性がある。ヤーンに関して、ニット構成要素は、ニット構成要素3130の1つの区域に1つの種類のヤーンを、およびニット構成要素の異なる区域に別のヤーンを有していてもよい。
本開示の他の実施形態を、単一の層から成るアッパーを備えるものとして詳細に説明してきたが、本開示は、複数の層を有するアッパーも意図している。複数の層は、融着してもよく、二重編みしてもよく、または、他の方法で互いに結合してもよい。
図34は、ニット構成要素3260の一部を示し、その部分は、ニット構成要素3111、ニット構成要素3130または足収容ニット部分3140のいずれかを表している可能性がある。具体的には、その部分は、地面係止クリート部材3115が形成される部分であり、そのため、その部分は、ワンピースニットアウトソール3112になる部分と、地面係止クリート部材3115とを含む。また、その部分は、第1の伸張性要素3161と、第2の伸張性要素3162と、第3の伸張性要素3163と、第4の伸張性要素3164とを含んでいる。また、その部分は、ニット構成要素の端部における伸張性要素の1つの位置から別の位置への移動を表す伸張性要素ループ3166と、伸張性要素の始点および終点における伸張性要素の移動を表す伸張性要素リード3167とを含んでいる。伸張性要素ループ3166および伸張性要素リード3167は、インレイ伸張性要素を、ニット構成要素を用いて調節できるようになっていてもよい。いくつかの実施形態において、伸張性要素ループ3166および伸張性要素リード3167は、布地要素が、履物製品の一部に形成される場合には、伸張性要素の縁部から取り除いてもよい。いくつかの実施形態では、伸張性要素ループ3166および伸張性要素リード3167は、履物製品のアッパーの底部に固定してもよく、または取り付けてもよい。
本開示は、履物製品用のソールシステムのためのニット構成要素に関連するように詳細に記載されているが、本願明細書に記載されている原理は、別の物体に係止するある物体の突出部分にニット面を設けるための何らかの布地要素に適用してもよい。たとえば、その原理は、グローブまたはミトンで把持された物体に対する確実なグリップを提供するために、グローブまたはミトンの前方もしくは後方から突出しているスタッドに適用してもよい。このような場合、突出している物体の表面のニット構成要素は、地面に係止することはないが、物体に係止する可能性があり、および伸張性要素を同様に配設してもよい。また、伸張性要素は、本願明細書に記載されているように、指関節に沿って、または、指関節に隣接して、掌を横切って、袖口に、または、調節しやすい任意の位置に配設してもよい。
地面係止部材は、ソールシステム内のニット構成要素上に形成してもよい。地面係止部材は、アウトソールの地面対向面から突出している。少なくとも地面係止部材の底面は地面に係止するか、また、地面係止部材の側部も地面に係止する可能性がある。
いくつかの実施形態において、地面係止部材は、突起が形成されるようにそこに地面係止部材が配設されるアウトソールの区域内にニット構成要素を延ばすことによって形成してもよい。典型的には、突起は、足先およびかかと内に見られるが、突起は、アウトソールの表面のどこに配置してもよい。複数の地面係止部材が形成されることになる場合、それらの部材は、ニット構成要素を個別に、本質的には同時に、グループで、または、複数の突起を形成するように同時に延ばすことによって形成してもよい。
いくつかの実施形態においては、何らかの適切な方法によって、型を形成してもよい。その型は、単一の突起を有していてもよく、または、延ばす操作によって形成される各地面係止部材のための突起を有していてもよい。他の実施形態では、2つの型が必要になる可能性がある。一方の型は、足先区域から延びている突起を形成するために用いてもよく、また、第2の型は、かかと区域から延びている突起を形成するために用いてもよい。
いくつかの実施形態においては、すべての突起が、本質的に同時に形成される。型は、雄型部と、その雄型部が押し付けられる対を成す雌型部とを有していてもよい。ニット構成要素は、開放型内に、典型的には、開放型の雌型部に配置される。ニット構成要素は、ソールの底部を形成するニット構成要素の部分が、突起を形成する雌型の部分とほぼ位置合わせされるように配設される。型は、余分な布地をキャビティに押し入れて、ニット構成要素の残りの部分にしわを作るのではなく、引き伸ばすことによって突起が形成されるように、ニット構成要素が縁部で保持されることを確保する。その場合、型の雄型部が、ニット構成要素内に、および型の雌型部内に押し付けられて、ソールに突起が形成される。そして、型部分が分離されて、突起を有するニット構成要素は、さらなる処理に進められる。
図35〜図38は、地面係止クリート部材をそれによって形成してもよい方法ステップを示す。型3300は開いており、また、ニット構成要素3260は、矢印の方向によって図示されているように、型の雄型部3302と、型の雌型部3301との間に配置されている。型が閉じられ、型がニット構成要素の縁部を固定し、型が閉じられたときに、ニット構成要素3260が引き伸ばされて、地面係止クリート部材3115が確実に形成される。
図37は、雄型部3302と雌型部3301とが一緒に動かされて、それらの間でニット構成要素3260を押圧していることを示している。図38は、型部が既に分離されて、ワンピースアウトソール3112が形成されたことを示している。具体的には、ニット布地が、分離された型から離れる矢印の方向に取り外された際の、アウトソールの上面3113および地面係止クリート部材3115が見える。
他の実施形態では、すべての突起は、本質的には、射出成型によって同時に形成してもよい。射出成型は、加圧した流体を用いて、表面、ここではニット構成要素に突起を形成する。射出成型は、エラストマーや熱可塑性ポリマーおよび熱硬化性ポリマー等の材料を注入するために用いてもよい。ニット構成要素は定位置に保持され、また、ニット構成要素は、突起を形成するように引き伸ばされる。典型的には、このような材料が射出成型に良好に適合しているため、熱可塑性ポリマーが使用される。熱硬化性材料は、注入されている間に、過剰に速く反応する可能性、または、十分に迅速に反応しない可能性がある。さらに、熱可塑性ポリマーは、再利用およびリサイクルして、それによって、このような材料を環境に配慮した選択としてもよい。
ニット構成要素は、雌型部上に正しく向けられている。そして、型が閉じられる。型の他の部分は、注入された材料をノズルを介して型のキャビティに供給するためのランナーおよび他のチューブを含む。加熱された材料は、型のキャビティに押し入れられて、ニット構成要素を引き伸ばして突起を形成する。その材料が冷却されて、突起の構成に硬化される。そして、型が分離されて、成形されたニット構成要素が取り外される。
いくつかの実施形態では、注入された材料は、突起内に留まって、剛性をもたらす可能性がある。いくつかのこのような実施形態においては、土踏まず部等の追加的な形状構成を、足先部とかかと部との間に形成してもよい。土踏まず部は、アウトソールに、ひいてはソールシステムとともに作られた履物製品に、追加的な剛性をもたらす可能性がある。他の実施形態では、注入された材料は、突起から取り除いてもよい。いくつかのこのような実施形態では、突起に、別の硬い材料を充填してもよく、または、柔軟な材料を充填して、クッション性が感じられるようにしてもよい。
図36は、地面係止クリート部材3115を形成するための別の実施形態を開示している。型3350は、雌型部3351と、ノズル3353を含むインジェクタ3352とを含む。各ノズル3353は、地面係止クリート部材3115を形成するように形作られたキャビティ3354に対応している。第1の伸張性要素3161、第2の伸張性要素3162、第3の伸張性要素3163、第4の伸張性要素3164、伸張性要素ループ3166および伸張性要素リード3167を含むニット構成要素3260は、矢印で示すように、注入ノズル間に配置される。そして、型同士がくっつけられて、材料がノズル3353からキャビティ3354に注入されて、地面係止クリート部材3115が形成される。
注入された材料は、地面係止クリート部材3115内に残って、追加的な支持性をもたらす可能性がある。また、注入された材料の個々のピースは、スプルーまたは別の方法で接続してもよい。また、注入された材料の塊は、地面係止クリート部材3115の補強からの着用者の足への力を減衰させる構造を形成するために利用してもよい。当業者は、本願明細書に記載されているガイダンスによって、この目的のための適切な材料を選択することができるであろう。
図51に進むと、図51は、アウトソールにおける応力の差を低減するためにニット構成要素のソール内に埋め込まれた伸張性要素の図を示す。一番上の図は、アウトソール部分3514内でのクリート3115の形成がどのようにしてニット構造内に応力を導入するかを示す。そして、左側の無応力のアウトソール部分3514は、動きを示す矢印で示すように押し付けられる。クリート3515がプレスによって形成される場合、クリートを取り囲む区域は、すべての方向で本質的に等しい応力を受け、その結果、クリートの区域において、ニット構成要素の略等しい引き伸ばしを引き起こす。この略等しい引き伸ばしは、拡大図3545および矢印3540によって図示されており、それらの相対的なサイズによって、すべての方向において、略等しい応力を示している。
図51の中央の図は、伸張性要素3561および伸張性要素3562をその中に埋め込んだニット構成要素3554を示す。クリート3555が押し付けによって形成されて、異なる矢印3556および3555によって示すように、伸張性要素3561および伸張性要素3562が押しのけられ、および応力が導入されている。ニット構成要素3554に導入されたこの応力の大きさは、長手方向の大きさ(矢印3555)よりも横方向の大きさ(矢印3556)の方が大きくなっている。ニット構成要素3554は、拡大図3559に示すように、クリート3515に近接して引き伸ばされている。この位置における応力の量は、拡大図3558における応力の少なさと比較することができる。
図51の一番下の図は、ニット構成要素を典型的な応力または張力レベルまで回復させるために伸張性要素をどのようにして利用できるかを示す。伸張性要素3561および伸張性要素3562をその中に埋め込んだニット構成要素3554は、プレスされて(動きを示す矢印)クリート3515を形成する。プレスによって導入される応力を低減するために、伸張性要素3561のループ3569が引っ張られて、横方向の応力が低減される。ループ3569は、ニット構成要素3554の表面に沿って引っ張られた後、張力を保つために、たとえば、符号3568において、伸張性要素3162の下に固定される。より典型的な応力分布の復元が、同じ大きさの力を示す矢印3565、ならびに符号3578および3579におけるニット表面の拡大図によって示されている。拡大図3578は、拡大図3558で見られたように、クリート3515から離れた典型的なニットパターンを示している。さらに、拡大図3579は、クリート3515の近傍でのニット構成要素3514に対する応力を示している。拡大図における応力のパターンは、クリート3515から離れた拡大図3578におけるパターンと本質的に一致している。これは、伸張性要素3162が、この応力を緩和するように既に調節されているからである。
伸張性要素は、ニット構成要素の一部における張力を調節するように操作してもよい。着用者は、(履物製品の長さに沿った)長手方向の張力、(履物製品の幅を横切る)横方向の張力またはこれら両方を調節することにより、確実なフィット性をもたらすように張力を調節してもよい。このような調節もまた、履物製品の着用および使用中に発生する何らかの緩みを補正するために実行してもよい。また、伸張性要素は、クリート部材または他の突起の区域における靴のアウトソールの張力を調節するために用いてもよい。
図52〜図55は、伸張性要素を調節して、長手方向(図52および図53)の張力、または長手方向および横方向(図54および図55)の両方の張力を増加させる例示的な実施形態を示す。そこには、伸張性要素を履物製品にどのように用いることができるかに関するいくつかの例示的な実施形態があるにすぎない。
図52は、隣接する伸張性要素の均等な調節を示す。ニット構成要素3360は、伸張性要素3361および伸張性要素3371を含む。これらの伸張性要素の一部が図示されている。図53は、隣接する伸張性要素3361および伸張性要素3371を均等に引き寄せて、伸張性要素3361にループ3365を、および伸張性要素3371にループ3375を形成することによってそれらの伸張性要素に導入されている均等な張力を示す。ループのサイズを大きくすると、伸張性要素における張力、ひいてはニット構成要素3360における影響を受ける領域における張力が増加する。
いくつかの実施形態において、これらのループは、伸張性要素を指または適当な道具で引っ張ることによって作ることができる。ループは、地面係止面から離して引っ張ってもよく、ソールの表面に平行に引っ張ってもよく、または、任意の角度で引っ張ってもよい。
図53は、追加的な張力を単一の伸張性要素に導入する例示的なプロセスを示す。図を見て分かるように、ループ3465は、ループ3475よりも大きい。したがって、ループ3475は、ループ3465よりもかなり大きいため、ループ3475によって伸張性要素3471に導入される張力よりも大きい張力が、ループ3465によって伸張性要素3461に導入される。さまざまな実施形態において、ループは任意の方向に延びていてもよい。
図54および図55は、長手方向および横方向の両方に張力を導入するプロセスの2つのステップを示す。図54に図示されているように、小さなループ3575が伸張性要素3571に導入されている。より大きなループ3565が伸張性要素3561に導入されている。伸張性要素3561のループ3565は、他方の伸張性要素、すなわち、伸張性要素3571の方向に引っ張られ、およびアウトソールの表面を横切って引っ張られている。
図55に示す第2のステップでは、ループ3566は、ループ3576における伸張性要素3571の下にループ3566の上部3567を嵌め込むように十分に引っ張られる。その結果、ループ3576は、ループ3566の上部3567を保持するように排除される。この構成は、長手方向および横方向の両方の張力を、アウトソール3114のこの区域に導入する。
図39に戻ると、図39〜図41は、履物製品31000のアセンブリを示す。履物製品3100は、アッパーおよびソールシステムの両方を一体ニット構造で備え、それに対して、履物製品31000は、ソールシステムから分離されているアッパーを備えている。図39は、上面3113および地面係止クリート部材3115を有するワンピースニットアウトソール3112を形成しているニット構成要素3111を含むソールシステム31100を示す。アウトソールの底面または底側3114、および、選択された地面係止クリート部材3115の地面係止部分3116も図示されている。
図40は、ソールシステム31100を用いる履物製品31000のアセンブリを示す。アッパー31200は、ソールシステム31100に接触させられて、その上面3113に取り付けられる。アッパー31200は、革、プラスチック、織布等のいずれかの材料から作ってもよい。図41は、組み立てられた履物製品31000を示す。この履物製品31000は、ワンピースニットアウトソール3112を含む。
さらに他の実施形態は、履物製品用のソールシステムを作る方法を提供する。その方法によれば、ニットアウトソールを含むように、ワンピースニット構成要素が編まれる。地面係止クリート部材は、編むことによって、ニットアウトソールの地面対向面に形成される。地面係止クリート部材の表面は、地面に接触するニット面を含んでもよい。
図42は、ニット構成要素3280、すなわち、ニット構成要素の別の実施形態を示す。この実施形態では、地面係止クリート部材3118は、ワンピースニットアウトソールに編み込まれている。そのため、地面係止クリート部材の近傍の布地、および地面係止クリート部材内の布地には、応力があまりかからない。この実施形態では、地面係止クリート部材3118は、アウトソールの底面3114から突出しているポケットまたはキャビティとしてワンピースニットアウトソール3112に編み込まれている。地面係止クリート部材3118の各々は、ニットアウトソール3112の残りの部分と同じヤーンから編んでもよく、他の実施形態は、異なるヤーンを用いてポケットを形成してもよい。
図43は、地面係止クリート部材3115を形成するための引き伸ばしまたは成形と、地面係止クリート部材3118を形成するための編みとの、地面係止クリート部材における応力の違いを示す。ニット構成要素3260およびニット構成要素3280は、ニット構成要素3111を形成するように、型3300内で成形される。ニット構成要素3260は、ニット構成要素3260の布地を引き伸ばして、ニット構成要素3111内に地面係止クリート部材3115を形成するように成形される。しかし、ニット構成要素3280が、ニット構成要素3119を形成するように成形される場合、本質的には、ニット地面係止クリート部材3118の引き伸ばし、または、ニット構成要素3119を形成するニット構造の残りの部分の引き伸ばしはない。引き伸ばされた地面係止クリート部材3115および引き伸ばされていない地面係止クリート部材3118の分解図は、この違いを明確に示している。
いくつかの実施形態において、地面係止クリート部材3115は、内側から補強してもよい。いくつかの実施形態においては、地面係止クリート部材の底部と側部の少なくとも一部とを覆うために、キャップ式プロテクタを用いてもよい。いくつかの実施形態では、地面係止クリート部材には、補強材料が充填される。いくつかの実施形態では、その充填は、射出成型を利用して、地面係止クリート部材3115を引張成形することによって行ってもよい。他の実施形態では、地面係止クリート部材を充填するためのミッドソールインサートフォームが用いられる。
図44〜図47は、地面係止クリート部材に補強材料を充填することによってそれらを補強する方法を示す。図44は、引張成形された地面係止クリート部材3115を備えたニット構成要素3111を示しているが、編まれた地面係止クリート部材3118も、それらを充填することによって補強してもよい。容器3400は、図45に図示されているように、フィラーノズル3420を介してフィラー3410の所要量を供給するように定位置にある。
図45はさらに、いくつかの地面係止クリート部材3115には、まだ、補強材料3410が充填されていないことを示している。いくつかの地面係止クリート部材3115は、選択されたクッション応答性を与えるために、空のままであってもよい。しかし、図47に図示されているように、各地面係止クリート部材3115に、フィラーまたは補強材料3410を充填してもよい。
図47は、図46の線25で見た断面図である。アウトソールの上面3113と、アウトソールの底面3114と、地面係止クリート部材3115の底面3116と、補強材料3410が充填された地面係止クリート部材3115とを含むワンピースニットアウトソール3112が図47に図示されている。図示されているように、補強材料3410は、アウトソールの上面3113よりも高い位置に延びていてもよい。また、上述したように、地面係止クリート部材3115を充填している個々の塊を接続してもよい。地面係止クリート部材3115の底面3116は、地面に直接接触する可能性があるニット面である。また、アウトソールの底面3114等のワンピースニットアウトソール3112の他の面も、地面に直接接触する可能性がある。
フィラー材料3410は、任意の適当な補強材料であってもよい。補強材料は、最小限の支持性をもたらす組成物を含んでいてもよい。そのような組成物は、クッション応答性を調節するために用いてもよい。しかし、より典型的には、補強材料3410は、その剛性および強度のために選択してもよい。その材料は、発泡プラスチック材料等の発泡材料であってもよい。たとえば、発泡熱可塑性ポリウレタンが適当である可能性がある。発泡材料の密度は、クッション応答性を調節するように制御することができる。より高い密度は、地面係止クリート部材の、より大きな支持応答性およびより良好な補強を与える可能性がある。
いくつかの実施形態では、熱可塑性材料は丈夫で強い可能性があり、およびクッション応答性を調節するように発泡させることができるため、そのような材料を用いてもよい。また、熱硬化性材料を用いてもよいが、その材料が定位置に収まる前に熱硬化反応を終わらせるべきではないため、製造時に追加的な煩雑さを呈する可能性がある。さらに、前述したように、熱可塑性材料は、より容易にリサイクルすることができ、ひいては、廃棄物が少なくなる可能性がある。
補強材料は液体であってもよく、または、粉末状または粒子状、具体的には、補強をもたらすように、圧縮して地面係止クリート部材とすることができる形態であってもよい。そのため、それらの補強材料を地面係止クリート部材内で保持するために、保持シールを用いてもよい。
他の実施形態では、適切にデザインされたミッドソールインサートを、地面係止クリート部材を補強するために、および足のための支持性を与えるために用いてもよい。このようにして、地面係止クリート部材の補強は、上述したのと同様の、補強材料の選択に関する考慮を前提とするが、着用者のための追加的な快適性または支持性をもたらすように形成してもよい。また、たとえば、アーチサポートを設けることにより、靴の強度を向上させるようにインサートをデザインすることによって、追加的な利益も得られる可能性がある。
したがって、いくつかの実施形態では、ミッドソールは、モノリシックであってもよく、または、たとえば、捩りに対する追加的な支持性または抵抗性を与えるゾーンを有していてもよい。ミッドソールは、図48〜図50に図示されている。補強ゾーンには、足に接触するミッドソール表面3157よりも大きな剛性があってもよい。補強ゾーンは、地面係止クリート部材の中およびミッドソール3150の他の区域の中に見出すことができる。たとえば、ミッドソール3150は、アーチの保護および快適性のために、中足領域内に、強度を向上させたゾーンを有していてもよい。
いくつかの実施形態では、ミッドソール3150のいくつかの領域は、発泡熱可塑性材料から成っていてもよいが、他の領域は、同じかまたは異なる材料で形成してもよい。いくつかの実施形態において、ミッドソール3150は、低密度発泡体から成るゾーン、高密度発泡体から成るゾーン、および非発泡材料から成るゾーンを備えていてもよい。
その底部から突出している補強部材3155を有するミッドソール3150が、図48に、ワンピースニットアウトソール3112との関連で図示されている。補強部材3155は、対応する地面係止クリート部材3155と位置合わせされている。
図49は、ワンピースのニット構成要素アウトソール3112の上面3113に付着されたミッドソール3150を示す。図50に図示されている、線28で見た断面図は、ワンピースニットアウトソール3112の上面3113の定位置にあるミッドソール3150を示す。補強部材3155は、地面係止クリート部材3115内の定位置にある。ミッドソール3150の足に接触する面3157は、そのアセンブリの上側面であり、地面係止クリート部材3115の底面3116は、下方向に向いている。地面係止クリート部材3115の底面3116は、地面に直接接触する可能性があるニット面である。また、アウトソールの底面3114等の、ワンピースニットアウトソール3112の他の面も、地面に直接接触する可能性がある。
足収容ソールシステムを含む実施形態は、異なるヤーンが使用されている区域を備えていてもよい。異なる種類のヤーンは、ニット構成要素の異なる区域に異なる特性を付与する可能性がある。さまざまな種類および組合せのステッチおよびヤーンを組み合わせることにより、ニット構成要素の各区域は、履物製品の快適性、耐久性および性能を高める特定の特性を有することができる。
このような実施形態では、伸張性要素が、アッパーを形成しているニット構成要素の部分内に延びていてもよく、およびアッパーを形成しているニット構成要素の部分内に伸張性要素を埋め込んでもよい。これらの図面に図示されている伸張性要素は、長手方向に延びているが、伸張性要素を、ニット構成要素内の横方向に埋め込むことも可能であってもよい。このような実施形態では、伸張性要素は、アウトソールの一方の面から別の面を通るように、インソールを介して通してもよい。この構成は、単一の伸張性要素を、アウトソールを介してアッパーの一方の側(たとえば、外側または内側)から埋め込むことができるようにするであろう。いくつかの実施形態では、伸張性要素は、クリート部材の周りに埋め込んでもよく、およびインレイであれオンレイであれ、アッパーまで延びていてもよい。このような構成は、履物製品を形成するための部品の位置合わせ、および部品の確実な装着に役立つであろう。
また、耐水性、または、剛性等の別の特性または特徴が求められる外側面のどこかに、適当な材料を加えてもよい。典型的にはフィルム状の、そのような材料は、ソールシステムが形成される前に、ニット構成要素の表面に施してもよい。また、ニット構成要素にフィルムを施すことは、ソールシステムの構成要素の形成後に実施してもよい。
たとえば、特にソールシステムを介した、水の侵入に対する履物製品の耐性は、薄膜または耐水性材料を、アウトソールの外側面に付着させることによって高めてもよい。アウトソール表面の全体を薄膜で覆ってもよく、または、耐摩耗性および撥水性のために、下面の一部または複数の部分のみをフィルムで覆ってもよい。
適当な薄膜材料は、ニット構成要素の外側面に接着された場合に柔軟性を保持できる、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリマーを含む。このようなフィルムは、その柔軟性を好適に保持するニット構成要素の表面、たとえば、履物製品のアッパーに、適切に用いてもよい。当業者は、適切なフィルムを識別することができるであろう。
他の実施形態では、薄膜は、典型的には、熱およびプレスによって施す前に、または施すときには、硬くてもよく、または曲げに対して耐性があってもよい。熱およびプレスによって施すことは、フィルムを接着させるか、または、ニット構成要素に接着させることになる。このような硬いフィルムは、複数の薄い層で形成してもよく、または、1つまたは2つの、より厚い層で形成してもよい。より硬いフィルムを形成するように、複数の材料を積層してもよい。また、より厚い単一の層を用いてもよい。
足収容ソールシステムの実施形態は、たとえば、柔らかめのヤーン、可撓性ヤーン、耐久性のあるヤーンおよび融着性ヤーンから成る区域を含んでいてもよい。柔らかめのヤーンおよび可撓性ヤーンは、典型的には、摩耗の影響を受けやすい区域に耐久性のあるヤーンを用いた状態で、快適性が重要な特徴となる箇所に用いてもよい。具体的には、実施形態は、融着性ヤーンを、アウトソール上に、突出している地面係止突出部上に、および地面係止面上に有していてもよい。融着性ヤーンには特に耐久性がある可能性があり、また、上記の目的と同じ目的のために役立つ可能性がある。同様に、前述した利点と同じ利点のために薄膜を用いてもよい。
別の適当なヤーンは、芯鞘タイプの複合構造であってもよい。芯鞘構造は、別のセットの特性および特徴を有するヤーン材料から成る芯と本質的に同心で、かつその芯を取り囲んでいる1つのセットの特性を有する材料から成る鞘を有して得られる。実施形態において、鞘材料は、第1のセットの特性および特徴を有する1つの種類のヤーンである。たとえば、「海島」タイプ等の他の複合ヤーンも適切である可能性がある。このようなヤーンは、典型的には、芯鞘繊維が、鞘材料として融着性材料を有しているのと同様に、外側に融着性材料を有していてもよい。さらに別の方法は、溶媒ベースの融着性組成物をヤーンに噴射することであってもよい。このような実施形態では、その溶媒は、水であってもよく、それによって、その組成物を環境に配慮したものとしてもよい。
さらに別の実施形態では、ニット構成要素から成る区域のための移行ゾーンを設けるために、複数のヤーンを用いてもよい。たとえば、耐久性のある硬いヤーンは、地面に対向するニット構成要素の面に対しては好適である可能性があるが、そのようなヤーンは、履物製品のアッパーに対しては好適ではない可能性がある。むしろ、柔らかめで、より可撓性の大きなヤーンがアッパーに対して好適である可能性があるが、そのようなヤーンは、高摩耗または高応力の区域、たとえば、かかとの区域において、早期に擦り切れる可能性がある。このような高摩耗区域の場合、耐久性のあるヤーンを有することが好適である可能性がある。
いくつかの実施形態においては、硬い層を、アウトソールの上面と、アウトソールの地面対向面との両方に施してもよい。このような実施形態は、硬いアウトソールをもたらし、依然として、ニット構成要素から形成されたニット布地の外観、特性および特徴を保っている。さらに、アウトソールの上面に取り付けられた材料から成る硬い層は、突出している地面係止部材を形成する際に有用である可能性がある。
他の実施形態は、アウトソールの地面対向面に、ゴム引き部分を含んでいてもよい。ゴム引き部分は、ゴム引き材料を塗布することにより、アウトソールの地面対向面を形成するニット構成要素の部分にゴム引き材料を接着することにより、または、何らかの適当な方法で、アウトソールの表面に形成してもよい。
アウトソールの地面対向面に材料から成る層を有する実施形態では、その層の形状は、ソールの底部、ひいてはソールシステムを組み込んだ履物製品の底部への、泥や埃の付着を低減するように形成してもよい。泥や埃の付着を最小限にするために、さまざまな幾何学的形状を被覆層に形成してもよく、または、アウトソールの地面対向面に追加してもよい。
図56は、ミッドソールおよびクリートカスタマイズシステム4101の例示的な実施形態の模式図である。カスタマイズシステムという用語は、この詳細な説明の全体にわたって用いる場合、ニットアウトソールを有する履物製品の容易にカスタマイズ可能な部分の製造によって、ニットアウトソールを有する履物製品を製作するシステムを指す。いくつかの実施形態において、それらの部分は、製造会社または第三者のデザイナーによってカスタマイズされてもよい。実施形態において、それらの部分は、ニットアウトソールを有する履物製品を購入する当事者によってカスタマイズされてもよい。
さらに、以下のミッドソールおよびクリートカスタマイズシステム4101は、ニットアウトソールを有するどのような種類の履物用のカスタマイズされたクリート構成を製作するために用いてもよいことを理解すべきである。例は、フットボールシューズ、サッカーシューズ、ベースボールシューズ、ハイキングブーツ、および、ニットアウトソールを有する他の種類の履物を含むがこれらに限定されない。一般的に、クリートを含むニットアウトソールを有するどのような種類の履物も、ミッドソールおよびクリートカスタマイズシステム4101を用いて製作することができる。
実施形態において、ミッドソールおよびクリートカスタマイズシステム4101は、ネットワーク4104を介して工場4102に接続されたリモート端末4100を備えている。一般的には、リモート端末4100は、デスクトップまたはラップトップコンピュータのいずれかを含むどのような種類のコンピュータであってもよい。他の実施形態では、リモート端末4100は、ディスプレイ、プロセッサ、およびリモートネットワークとデータを送受信する能力を含むどのような種類のデバイスであってもよい。このようなデバイスの例は、PDA、携帯電話および他の種類のデバイスを含むがこれらに限定されない。
この実施形態では、工場4102は、ニットアウトソールを有する履物製品を製作するように構成された製作システムを表している。ここでは、工場4102は、単に例示を目的として、単一の建物として図示されている。多くの場合、工場4102は、多くの建物から成っているであろう。場合によっては、工場4102は、異なる地理的位置に配置されている多くの建物から成っていてもよい。一般的に、工場という用語は、ここで用いる場合、販売業者および/または納入業者を指してもよい。換言すれば、工場という用語は、ニットアウトソールを有する履物製品の部品、労力および/または小売に対して責任のある業務、ならびに他の製作サイドの業務を含む、製作サイドに関するさまざまな業務に当てはめてもよい。
ネットワーク4104は、コンピュータ4100と工場4102との間で情報を中継するように構成してもよい。一般的に、ネットワーク4104は、リモート端末4100と工場4102との間での情報の交換を可能にするシステムであってもよい。このようなネットワークの例は、パーソナルエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、クライアントサーバネットワーク、ピアツーピアネットワーク、および他の種類のネットワークを含むがこれらに限定されない。また、ネットワークは、有線伝送、無線伝送、または、有線および無線の両方の伝送をサポートしてもよい。いくつかの実施形態において、ネットワーク4104は、パケット交換通信システムであってもよい。実施形態において、ネットワーク4104は、インターネットであってもよい。
いくつかの実施形態は、インターネットを利用して、顧客と製造会社との間で情報を伝達する手段を含んでいるが、他の実施形態では、情報は、他の手段を用いて、顧客と製造会社との間で伝達してもよい。場合によっては、たとえば、情報は、メール、ファックス、国際宅配便、および他の通信方式を介してやりとりしてもよい。
ミッドソールおよびクリートカスタマイズシステム4101は、顧客が、製造会社によって製造されるニットアウトソールを有する履物製品の一部をデザインできるようにする手段を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、ミッドソールおよびクリートカスタマイズシステム4101は、顧客が、ニットアウトソールを有する履物製品用のカスタマイズされたクリート構成をデザインすることを可能にする手段を含む。実施形態において、顧客は、ミッドソールおよびクリートカスタマイズシステム4101を用いて、クリートの配列ならびにニットアウトソールを有する履物製品とともに使用されるクリートのサイズおよび種類を選択してもよい。いくつかの実施形態において、顧客は、ミッドソールおよびクリートカスタマイズシステム4101を用いて、ニットアウトソールを有する履物製品に用いられるミッドソールをカスタマイズしてもよい。
図57は、ミッドソールおよびクリートカスタマイズシステム4101を用いて、カスタマイズされたミッドソールおよびカスタマイズされたクリート構成をデザインする方法の実施形態である。第1のステップ4202の間に、顧客は、カスタマイズされたクリート構成をデザインするために、ウェブサイトと情報をやり取りしてもよい。場合によっては、顧客は、予めデザインされた、カスタマイズされたクリート構成を選択してもよい。第2のステップ4204の間に、ユーザの足に関する情報が取得される。足情報は、物理的測定または可変形状物体表面に対する圧痕、コンピュータ関連の走査または3Dイメージングを含むがこれらに限定されない、何らかの適当な方法によって取得してもよい。足情報は、ステップ4206において、カスタムミッドソールアセンブリを生成するために、ステップ4202のカスタムニットクリート構成とともに用いられる。カスタムミッドソールアセンブリは、カスタムの足接触面を有する上面と、ステップ4202で構成されるクリートに適合または整合する硬い突出部を有する底面とを含む。
一旦、顧客が、カスタマイズしたクリート構成およびカスタマイズしたミッドソールを仕上げると、製造会社は、第4のステップ4208に示すように、顧客のデザインを受け取ることができる。この後に、カスタマイズされたクリート構成を含む、ニットアウトソールを有する履物製品を、第5のステップ4210の間に、顧客のデザインに従って製作する(編む)ことができる。カスタマイズされたクリート構成を備えたニットアウトソールが完成した後に、ステップ4212において、ミッドソールアセンブリが製作される。カスタマイズされたミッドソールは、ニットアウトソール内のクリートに整合しおよびそのクリートを補強するための、底面からの突出部を有している。ミッドソールは、ステップ4214の一部として、履物製品に挿入されて所定位置に促され、この場合、硬い突出部は、対応するクリート部材に挿入されるか、または、クリート部材と位置合わせされる。そして、ステップ4216の間に、カスタマイズされたクリート構成を含む、ニットアウトソールを有する履物製品を、顧客、小売店または他の関係者のものである、予め指定された住所に発送することができる。
図58を参照すると、ミッドソールおよびクリートカスタマイズシステム4101は、リモート端末4100および足情報システム4103に関連する一方のステップと、工場4102に関連する他方のステップとを分けることによって、最も良く理解することができる。いくつかの実施形態において、リモート端末4100に関連するステップは、リモート端末4100上で、またはリモート端末4100によって実行され、足情報に関連するステップは、足情報システム4103で実行され、工場4102に関連するステップは、工場4102で、または工場4102によって実行される。しかし、必ずしもそうではなく、リモート端末4100および足情報システム4103に関連するステップのうちのいくつかは、工場4102または何か他のリソースで、またはそれらによって実行してもよく、また、工場4102に関連するステップのうちのいくつかは、リモート端末4100、足情報システム4103または何か他のリソースで、またはそれらによって実行してもよい。
第1のステップ4302において、顧客は、リモート端末4100を用いて、リモートウェブサイトにアクセスしてもよい。いくつかの実施形態では、顧客は、このステップ中に、そのウェブサイトを利用して、カスタマイズされたクリート構成を備えたニットアウトソールを有する履物製品をデザインしてもよい。ここで、ウェブサイトという用語は、ある種のウェブブラウザでアクセスできるリモートサーバ上にあるデータの何らかの集まりを意味するように、最も一般的な意味で用いられている。多くの場合、ウェブサイトは、ワールドワイドウェブ上に見出されるウェブページの集まりであってもよい。実施形態において、ウェブページという用語は、何らかのHTML/XHTMLドキュメントを指してもよい。
いくつかの実施形態において、工場4102は、グラフィカルインタフェースシステムによってウェブサイトをサポートするある種のサーバを含む。このグラフィカルインタフェースシステムは、カスタマイズされたクリート構成を備えたニットアウトソールを有する履物製品をデザインするために用いてもよい。いくつかの実施形態では、グラフィカルインタフェースシステムは、ある種のグラフィカルエディタであってもよい。実施形態において、グラフィカルインタフェースシステムは、履物製品用のカスタマイズされたクリート構成を顧客が容易にデザインすることを可能にするツールのセットを備えていてもよい。
代替的な実施形態では、グラフィカルインタフェースシステムをサポートするウェブサイトは、工場4102の外部にホストされていてもよい。換言すると、ウェブサイトは、ニットアウトソールを有するカスタマイズ可能な履物製品の製造会社とは別の第三者が所有していてもよく、または、かかる第三者によって運営されていてもよい。一般的には、ニットアウトソールを有する履物製品をカスタマイズするプロセスは、従来どおりに進めてもよい。この場合、第三者によって、完成したデザイン情報が処理されて製造会社へ送られることになる。
一旦、顧客が、ニットアウトソールを有する履物製品のデザインを完成させると、その完成したデザインは、第2のステップ4304中に、工場4102に提出されてもよい。いくつかの実施形態では、その提出は、インターネットによって伝達してもよい。他の実施形態では、その提出は、メール、ファックスまたは他の通信方式によって行ってもよい。
ユーザの足に関する情報は、足情報システム4103から取得される。ステップ4301において、顧客は、ステップ4301における多くの方法で、足情報を利用可能にすることができる。ユーザの足は、物理的に測定してもよい。いくつかの実施形態では、足情報は、ディジタル方式で、たとえば、コンピュータスキャンによって取得してもよい。他の実施形態では、足情報は、何らかの3Dイメージングによって取得してもよい。このようなシステムは、以下でより詳細に、具体的には、図64に関連して記載されている。
第1のステップ4302において、顧客は、リモート端末4100を用いて、リモートウェブサイトにアクセスしてもよい。いくつかの実施形態では、顧客は、このステップ中に、そのウェブサイトを利用して、カスタマイズされたクリート構成を備えたニットアウトソールを有する履物製品をデザインしてもよい。ここで、ウェブサイトという用語は、ある種のウェブブラウザでアクセスできるリモートサーバ上にあるデータの何らかの集まりを意味するように、最も一般的な意味で用いられている。多くの場合、ウェブサイトは、ワールドワイドウェブ上に見出されるウェブページの集まりであってもよい。実施形態において、ウェブページという用語は、何らかのHTML/XHTMLドキュメントを指してもよい。
いくつかの実施形態において、工場4102は、グラフィカルインタフェースシステムによってウェブサイトをサポートするある種のサーバを含む。このグラフィカルインタフェースシステムは、カスタマイズされたクリート構成を備えたニットアウトソールを有する履物製品をデザインするために用いてもよい。いくつかの実施形態では、グラフィカルインタフェースシステムは、ある種のグラフィカルエディタであってもよい。実施形態において、グラフィカルインタフェースシステムは、履物製品用のカスタマイズされたクリート構成を顧客が容易にデザインすることを可能にするツールのセットを備えていてもよい。
代替的な実施形態では、グラフィカルインタフェースシステムをサポートするウェブサイトは、工場4102の外部にホストされていてもよい。換言すると、ウェブサイトは、ニットアウトソールを有するカスタマイズ可能な履物製品の製造会社とは別の第三者が所有していてもよく、または、かかる第三者によって運営されていてもよい。一般的には、ニットアウトソールを有する履物製品をカスタマイズするプロセスは、従来どおりに進めてもよい。この場合、第三者によって、完成したデザイン情報が処理されて製造会社へ送られることになる。
一旦、顧客が、ニットアウトソールを有する履物製品のデザインを完成させると、その完成したデザインは、第2のステップ4304中に、工場4102に提出されてもよい。いくつかの実施形態では、その提出は、インターネットによって伝達してもよい。他の実施形態では、その提出は、メール、ファックスまたは他の通信方式によって行ってもよい。この提出に続いて、工場4102は、第3のステップ4306中に、カスタマイズされたデザインを受け取ってレビューしてもよい。
そして、ユーザは、ステップ4303において、ミッドソールアセンブリオプションを考慮する。いくつかの実施形態において、このようなオプションは、たとえば、中底を備える組成物、および突出部を備える組成物を含む。どの突出部の位置も、ステップ4302で選択された、カスタマイズされたクリート構成におけるいずれかのクリートの位置に関連付けられる。
いくつかの実施形態において、工場4102は、足情報システムをサポートするある種のサーバを含む。この足情報システムは、カスタマイズされたクリート構成を有する履物製品をデザインするために用いてもよい。代替的な実施形態では、足情報システムをサポートするサーバは、工場4102の外部にホストされていてもよい。換言すると、ウェブサイトは、ニットアウトソールを有するカスタマイズ可能な履物製品の製造会社とは別の第三者が所有していてもよく、または、第三者によって運営されていてもよい。一般的には、カスタマイズされたミッドソールを有する履物製品をカスタマイズするプロセスは、従来どおりに進めてもよい。この場合、第三者によって、完成したデザイン情報が処理されて製造会社へ送られることになる。
一旦、ユーザの足情報が、ミッドソールをデザインするために用いられると、その完成したミッドソールアセンブリは、ステップ4305中に、工場4102に提出されてもよい。いくつかの実施形態では、その提出は、インターネットによって伝達してもよい。他の実施形態では、その提出は、メール、ファックスまたは他の通信方式によって行ってもよい。この提出に続いて、工場4102は、ステップ4306中に、カスタマイズされた全体のデザインを受け取ってレビューしてもよい。ステップ4306では、カスタマイズされたニットクリート構成およびミッドソールアセンブリ構成はともに、エラー、たとえば、クリート位置と、ミッドソールの底部からの突起位置との間の不整合をレビューしてもよい。
ステップ4308では、顧客から受け取ったミッドソールの上面層および底面層の両方のためのカスタマイズされたデザイン情報に基づいて、ミッドソールレイアウトを作成してもよい。ステップ4310中に、ミッドソールを製作してもよい。ステップ4312中に、ユーザによってデザインされた、カスタマイズされたクリート構成に従って、布地要素を編んでもよい。
任意のステップ4314では、布地要素を硬化させてもよい。いくつかの実施形態では、布地要素から成る部分は硬化されている。いくつかの実施形態では、布地要素の全体は、たとえば、蒸気にさらすことによって固定(セット)させてもよい。いくつかの実施形態では、布地要素から成る部分は、加熱されると、融着して硬い表面を形成する可能性がある融着性ヤーンによって編んでもよい。具体的には、地面係止部分、たとえば、履物製品のアウトソールまたは底部は、ダメージを低減するために、そのような表面であってもよい。
ミッドソールが完成して、必要に応じて処理されると、ステップ4316に示すように、ミッドソールアセンブリをニット布地に結合させてもよい。ミッドソールアセンブリは、ミッドソールを布地要素に挿入することによってニット布地と結合させてもよく、典型的には、足首のための開口部を介して、または、包み込むことによって、履物製品が足の周りに巻き付けられて足を収容する。そして、ミッドソールが押し下げられて、アウトソールと位置合わせされる。次いで、ミッドソール上の突出部を、ニット部分の上のクリート内に挿入してアセンブリを形成することができる。
これに続いて、ステップ4320中に、完成したニットアウトソールを有する履物製品を検査してもよい。ステップ4322およびステップ4324中に、ニットアウトソールを有する履物製品を、工場4102から、予め指定された発送先住所に発送してもよい。
以下の説明は、図58に関連して概説され、および簡単に説明されたステップの詳細について議論する。いくつかの実施形態において、顧客は、リモート端末にアクセスすることができる。顧客は、そのリモート端末を用いて、製造会社または第三者によって提供されるウェブサイトにアクセスしてもよい。いくつかの実施形態では、そのウェブサイトは、第1のステップ4302において簡潔に説明したように、グラフィカルインタフェースシステムを含んでいてもよい。
この実施形態は、カスタマイズされたクリート構成を遠隔の場所から工場へ提出する概念を開示しているが、他の実施形態では、ミッドソールおよびクリートカスタマイズシステムを用いるプロセスにおける各ステップは、単一の場所で、または、異なる場所で実行してもよい。1つの実施形態においては、たとえば、ミッドソールおよびクリートカスタマイズシステムは、小売店と関連付けることができるであろう。具体的には、小売店に着くと、小売店の販売員または従業員は、顧客が、カスタマイズされたクリート構成を決定するのを補助してもよい。場合によっては、販売員は、ウェブサイトを利用して、顧客が、カスタマイズされたクリート構成を選択するのを補助してもよい。他の場合においては、販売員は、顧客を補助するための他の手段を用いて、カスタマイズされたクリート構成を選択してもよい。この時点で、小売店の1人以上の従業員は、小売店に配設してもよい1つ以上の機械を利用して、カスタマイズされたクリート構成を備えた製品を作るステップを実行することができる。他の実施形態では、カスタマイズされたクリート配置を備えた製品を作るステップは、小売店または工場とは異なる場所で実行してもよい。たとえば、それらのステップは、卸業者のような中間施設で、または、カスタマイズ施設のような異なる施設で実行してもよい。
本開示の実施形態は、図64に図示されているように、たとえば、足を走査することによって、ユーザの足情報をユーザから取得すること、または、データベースからその情報を取得することを意図している。したがって、カスタマイズのステップは、異なる場所で、たとえば、小売店内で、または、コンピュータデータベースで行ってもよい。この構成の場合、顧客は、履物が発送されるのを待つことなく、カスタマイズされたクリート構成を含むニットアウトソールを有する1足の履物製品とともにその店を後にすることができる。たとえば、小売店に、カスタマイズされた布地を編むための編み機と、カスタマイズされたミッドソールを製作するための3Dプリンタとを備えてもよい。
図59〜図63を参照すると、グラフィカルインタフェースシステム4400を、カスタマイズされたクリート構成をデザインするために用いてもよい。グラフィカルインタフェースシステム4400にアクセスした際に、最初に、ニットアウトソールを有する履物製品のサイズを選択するようにユーザを促してもよい。この実施形態では、図59を見て分かるように、第1の履物サイズ4401、第2の履物サイズ4402、第3の履物サイズ4403および第4の履物サイズ4404を含む4つの履物サイズが図示されている。これらの履物サイズ4401〜4404の各々は、特定の靴サイズと関連付けてもよい。たとえば、第1の履物サイズ4401は、サイズ7とすることができ、第2の履物サイズ4402は、サイズ8とすることができ、第3の履物サイズ4403は、サイズ9とすることができ、および第4の履物サイズ4404は、サイズ10とすることができ、これらのサイズの各々は、男性用サイズを指している。ここでは、例示のために、4つの履物サイズのみが図示されているが、他の実施形態では、ニットアウトソールを有する履物製品の任意の数のサイズを示すことができるであろう。さらに、グラフィカルインタフェースシステム4400は、各履物サイズの可視概念図を含んでいなくてもよいが、代わりに、所望の履物サイズを選択するためのドロップダウンリストを含んでいてもよい。場合によっては、顧客が、左足用の第1のサイズと、右足用の(異なる可能性のある)第2のサイズとを選択できるようになっていてもよい。
いくつかの実施形態では、グラフィカルインタフェースシステム4400は、グラフィカルインタフェースシステム4400を用いて選択を実行するために用いられるポインタ4406を含んでいてもよい。たとえば、ユーザは、ポインタ4406を用いて、図59に図示されているように、第2の履物サイズ4402を選択することができる。
一旦、履物サイズが選択されると、グラフィカルインタフェースシステム4400は、ニットアウトソールの図4502を表示してもよい。この履物デザインのニットアウトソールは、クリートを受け入れるニットアウトソールを有する履物製品のミッドソール/アウトソール構造の一番下の層である。このニットアウトソールに関連する詳細は、この詳細な説明において後述する。ニットアウトソールの図という用語は、この明細書の全体にわたっておよびクレームにおいて用いる場合、グラフィカルインタフェースシステム4400内のニットアウトソールの2次元の実施形態を指す。具体的には、これらの実施形態の説明におけるニットアウトソールの図4502という用語は、表示されたニットアウトソールの構造デザインを含む。さらに、これらの実施形態の説明におけるニットアウトソールの図という用語は、パターン、形状、デザイン、色、画像、および表示されたニットアウトソールの外側面の他の任意の写実的形状構成を含むがこれらに限定されない、他のいかなるデザイン属性も含む。
ここでは、例示のために、ニットアウトソールの図4502は、単純なニットアウトソールの形態で描かれている。しかし、他の実施形態、たとえば、図63に示す実施形態では、ニットアウトソールの図4502は、さまざまなグラフィカルデザインおよび色を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、ニットアウトソールの図4502は、さまざまな追加の構造的特徴を含む異なる形状を有していてもよい。
いくつかの実施形態において、グラフィカルインタフェースシステム4400は、カスタマイズされたクリート構成をデザインするための手段を含む。いくつかの実施形態では、ユーザは、図60に図示されているように、一旦、ポインタツール4407が選択されると、ポインタ4406を用いて、ニットアウトソールの図4502上の1つ以上のクリートの位置を手動で選択することができる。この実施形態では、第1のクリート4531は、ニットアウトソールの図4502の外側側部4510に配置されている。
また、グラフィカルインタフェースシステム4400は、グリッド線ツール4506を用いてオンオフすることができるグリッド線4504を含んでいてもよい。グリッド線4504を用いることで、ユーザが、各クリートの位置をニットアウトソールの図上に正確に配置することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、グリッド線4504の密度は変更してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、水平方向のグリッド線のみを用いてもよく、他の実施形態では、垂直方向のグリッド線のみを用いてもよい。
図61は、第1のクリート4531および第2のクリート4532を含むニットアウトソールの図4502の実施形態である。この実施形態では、第2のクリート4532が、ニットアウトソールの図4502の前方部分4540に配置されている。第1のクリート4531の場合と同様に、第2のクリート4532は、ポインタ4406を用いて配置することができる。いくつかの実施形態では、グリッド線4504は、第1のクリート4531と、第2のクリート4532との間の好適な間隔を決定するために用いてもよい。
図62は、ニットアウトソールの図4502に関連する、完成した、カスタマイズされたクリート構成の実施形態である。この実施形態では、第1のクリート4531と、第2のクリート4532と、第3のクリート4533と、第4のクリート4534と、第5のクリート4535とを、ニットアウトソールの図4502の足先部4542に配置することができる。また、第6のクリート4536および第7のクリート4541が中足部4543に配置され、第8のクリート4537と、第9のクリート4538と、第10のクリート4539と、第11のクリート4540とが、ニットアウトソールの図4502のかかと部4544に配置されている。
ユーザは、各クリートの位置に加えて、各クリートのサイズを選択してもよい。いくつかの実施形態において、グラフィックツールバー4520は、小クリートサイズ4524、中クリートサイズ4526および大クリートサイズ4528を含むクリートサイズのセット4522を含んでいる。この構成は、ユーザが、各クリートのサイズおよび位置を選択することを可能にしている。
この実施形態では、クリート4531〜4534およびクリート4537〜4540は、中クリートサイズ4526に関連している可能性がある。クリート4535、クリート4536、およびクリート4541は、大クリートサイズ4528に関連している可能性がある。この構成は、ユーザのかかとが、足が地面の上で平らになる状況時には地面にしっかり食い込むが、かかとの一部のみが地面に接触するランニング等の動作時には、地面への足先の食い込みの程度を制限することを可能にする。
ニットアウトソールの図4502は、グラフィカルインタフェースシステム4400内に、上から見た図として図示されているが、他の実施形態では、ニットアウトソールの図4502の方向または見え方は変えてもよい。いくつかの実施形態において、これは、ニットアウトソールの図4502を、グラフィカルインタフェースシステム4400のさまざまな領域に移動させるための手段を含んでもよい。他の実施形態では、これは、ニットアウトソールの図4502を、軸のセット周りに回転させるための手段を含んでいてもよい。ニットアウトソールの図4502の見え方を変更することは、ユーザが、カスタマイズされたクリート構成をデザインするのをより容易にする可能性がある。
別の実施形態では、カスタマイズされたクリート構成は、顧客の足の1つ以上の特性を測定することによって決定することができる。たとえば、1つの実施形態において、小売店の店員は、圧力マッピング技術を用いて、顧客の足に関するカスタマイズされた圧力情報を判断してもよい。そして、店員は、その情報を記録して、その情報を用いて、その顧客のためのカスタマイズされたクリート構成を生成してもよい。
多くの場合、ユーザが必要とするクリート構成の種類は、さまざまな要因、たとえば、ニットアウトソールを有する履物製品をともに用いてもよいスポーツの種類、およびユーザまたはアスリートがプレイする可能性があるポジションに従って選択してもよい。場合によっては、グラフィカルインタフェースシステム4400は、さまざまなスポーツおよび/またはポジションに関連する予めデザインされた、カスタマイズされたクリート構成の群を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、ユーザは、それらの予めデザインされた構成のうちの1つを選択することができ、場合によっては、グラフィカルインタフェースシステム4400に付随する前述したツールを用いて、それらの構成に対する変更を実行することができるであろう。
図63は、ニットアウトソールの図4702に対して、ヤーンの色をカスタマイズするためのグラフィカルインタフェース4700の実施形態である。図63は、足先部、中足部、かかと部、および本質的に履物製品の中央の下の長手方向のストライプの各々に対する異なる色を示す。ツールバー4710は、白色ヤーン4711、緑色ヤーン4712、黒色ヤーン4713および青色ヤーン4714を含む、利用可能な色を表示する。他の色も利用可能であってもよい。ニットアウトソールの図4702は、ニットアウトソールの図を外側の半体と内側の半体とに本質的に分割している長手方向の黒色ストライプ4709と、白色足先内側部分4703および白色足先外側部分4706と、緑色中足内側部分4704および緑色中足外側部分4707と、青色かかと部外側部分4705および青色かかと部内側部分4708とを示す。これらの色およびその他の色が、カスタマイズされたニットアウトソールに含まれていてもよい。色の選択およびクリート構成は、どちらも履物製品のカスタマイズに寄与している。他の実施形態では、ニットアウトソールのさまざまな部分を形成するために使用されるヤーンの種類、テクスチャ、デニールまたは他の品質等の、異なるヤーンに関連する他の特性が利用可能であってもよい。
別の実施形態では、異なる、予めデザインされた、カスタマイズされたクリート構成を、異なる種類の医学的状態と関連付けることができる。たとえば、足の特定の部位に敏感な圧力領域を有する顧客は、それらの圧力領域に圧力が直接かかることを避けるのを補助するように構成されている、予めデザインされた、カスタマイズされたクリート構成を選択することができる。場合によっては、ユーザは、上述したようなドロップダウンメニューを用いて、さまざまな種類の医学的状態を検索することができる。足に関連する医学的状態は、種子骨炎、踵骨棘、ひび割れかかと、アーチ痛、および足に関連する他の医学的状態を含むがこれらに限定されない。そして、カスタマイズシステムは、選択された医学的状態に従って、予めデザインされた、カスタマイズされたクリート構成を生成してもよい。たとえば、母指球での痛みに関連している種子骨炎を伴う顧客の場合、母指球の近くに少数のクリートが配置されているかまたは母指球の近くにクリートが全く配置されていない、予めデザインされた、カスタマイズされたクリート構成を生成してもよい。この時点で、ユーザは、この予めデザインされた、カスタマイズされたクリート構成を利用することを選択してもよく、または、顧客は、グラフィカルインタフェースシステムを用いて、その構成を変更することを選択してもよい。
別の実施形態では、異なる、予めデザインされた、カスタマイズされたミッドソールを、異なる種類の医学的状態に関連付けてもよい。たとえば、外反母趾等の、圧力に敏感な足の裏の特定の領域を有する顧客は、この領域に圧力がかかることを回避するように構成された構成を探してもよい。別の実施形態では、踵痛を伴う顧客は、かかと部に特定の構成を選択してもよい。
さらに、この明細書の全体を通して、ニットアウトソールを有する単一の履物製品だけではなく、ニットアウトソールを有する1組の履物も、ミッドソールおよびクリートカスタマイズシステム4101を用いてデザインしてもよいことを理解すべきである。ニットアウトソールを有する1つの履物製品のデザインに適用されるどのようなデザイン、ツールまたは他の機構も、ニットアウトソールを有する第2の、相補的な履物製品に同様に適用してもよい。相補的という用語は、この明細書の全体を通しておよびクレームにおいて用いる場合、ニットアウトソールを有する左側の履物製品に関連する左側のニットアウトソールと、ニットアウトソールを有する右側の履物製品に関連する右側のニットアウトソールとの関連を指し、逆もまた同様である。
いくつかの実施形態においては、別個のカスタマイズされたクリート構成を、第1のニットアウトソールおよび第2のニットアウトソールに適用することができる。換言すると、相補的なニットアウトソールは、同一のクリート構成、または、互いに左右対称である構成を含む必要はない。この構成は、蹴るときに立っている足には、より大きなトラクションをもたらすように、より多くのクリートが望ましいが、蹴る方の足には、より短いクリートが望ましい、フットボールのキッカーに対して有用である可能性がある。同様に、第1のミッドソールおよび第2のミッドソールは、同一である必要はなく、または、互いに左右対称である必要はない。
他の実施形態では、顧客は、グラフィカルインタフェースシステム4400を利用することなく、カスタマイズされたミッドソールおよびクリート構成をデザインしてもよい。いくつかの実施形態においては、たとえば、顧客は、ニットアウトソールを有する履物製品に関連するカスタマイズされたミッドソールおよびクリート構成をデザインするために製造会社によって提供されるフォームを利用することができるであろう。その場合、このフォームは、工場4102の製造会社に、メールで、ファックスで、または別の方法で送信することができるであろう。ユーザの足の関連する特性を記録するキット、変形可能装置または変形可能パッドも含めることができるであろう。場合によっては、顧客は、小売店まで出向いて、小売店によって提供されるフォームまたは他の手段を利用して、カスタマイズされたクリート構成をデザインすることができるであろう。その場合、小売店は、このカスタマイズされたデザインを、メール、ファックスまたはインターネットを用いて、工場4102の製造会社に伝えることができるであろう。
図64は、足情報の異なるソース、および、その情報がどのように処理されて、カスタマイズされたミッドソールを製作するために有用である情報をもたらすかを示す模式図である。足情報システム4900は、少なくとも2つのソースから取得された足情報に関して作動する。図示されている足情報の1つのソースは、データベース4902であり、その中には、ユーザまたは他者が既に情報を格納している。たとえば、ユーザがそこで履物製品を買ったことのある製造会社は、そのユーザの足情報をデータベース4902に入れておいてもよい。あるいは、第三者は、ユーザのための便宜として、ユーザの足情報を取得して保存しておいてもよい。
足情報の別のソースは、走査される足情報である。走査された足情報は、たとえば、売り場において、ディジタルコンピュータスキャンにより、または、3D画像により取得してもよい。あるいは、たとえば、紙の上または保持媒体内に足の物理的圧痕を取得してもよい。足情報を取得するこれらのおよびその他の方法は、足情報4904を生成するために用いてもよい。
いくつかの実施形態において、このようにして取得したユーザ足情報4906は、任意のミッドソールアセンブリカスタマイズステップ4908で利用してもよい。この任意のカスタマイズアセンブリステップは、ユーザがミッドソールをカスタマイズしようとする場合に役立つ可能性がある。ミッドソール中底、ミッドソールの上面または上側面は、ユーザの足の底に適合して、足に対する快適性および支持性をもたらすようにカスタマイズしてもよい。
また、ミッドソール上面は、身体的奇形に適応するように、または、さらなるクッション性をもたらすようにカスタマイズしてもよい。また、突起の構成も、突出部を、カスタマイズされたクリート構成と位置合わせして配置した状態のままで、そのような奇形に適応するようにカスタマイズしてもよい。
図65は、カスタマイズされた上面と、突出部を備えたカスタマイズされた底面とを有するミッドソールを製作するステップを模式的に示している。プロセス5000は、その構成がデザインされたリモート端末から、その構成が送信された製造会社から、または、任意のソースから、最終的なカスタマイズされたニットクリート構成を取得するステップ5002を含む。カスタマイズされたニットクリート構成5002は、ステップ5004において、ミッドソールの底面を作成するために用いられる。その底面は、成形、彫刻または形削り(大きなピースからの材料の除去)、3Dプリンティングまたは何らかの適当な方法を含むがこれらに限定されない、何らかの適当な方法で形成してもよい。ミッドソール底面は、硬いプラスチックもしくは金属等の硬い材料から、または、変形可能なポリマーもしくは変形可能なポリマー発泡体等の変形可能材料から形成してもよい。硬い材料は、カスタマイズされたクリート構成に対して補強を提供する際に有用である可能性がある。いくつかの実施形態では、その底面は、硬い形状を形成する材料の3Dプリンティングによって形成される。
ミッドソールアセンブリ構成5006は、ステップ5008において、上面レイアウトを作成するために用いられる。その上面は、ミッドソールの足収容部分であってもよい。そして、ステップ5008で作成された上面レイアウトは、ステップ5010において、ミッドソールの上面を作成するために用いられる。その上面は、硬くてもよく、または、柔軟性があってもよい。いくつかの実施形態では、その上面は、ニットアウトソール表面に支持性および剛性を与えるために、最小限の柔軟性を伴って硬くなっている。
カスタマイズされた上面は、ユーザの足の底部の形状に形成される。硬い表面は、ニットアウトソール表面に支持性をもたらすだけではなく、ユーザの足に対しても支持性をもたらす。足の形に作られたクッションパッド等のインソール(図示せず)を、特に硬いミッドソールに快適性およびクッション性を与えるために用いてもよい。
製作するアセンブリ5010から生じるミッドソールは、一体であってもよく、または、材料の複数のピースに対して組付けてもよい。いくつかの実施形態では、ミッドソールの上面、およびミッドソールの突出部を含む底面は、異なる組成物から形成してもよい。いくつかの実施形態では、ミッドソールは、3Dプリンティングによって形成される。
図66は、3Dプリンタ5100内でミッドソール5102を形成する方法を示す。ミッドソール5102は、シェルフまたはテーブル5106上のニットアウトソール5104の定位置にある。ミッドソールを形成する組成物は、3Dプリンティングに適している任意の材料とすることができる。3Dプリントヘッド5108は、ノズル5112を介して材料5110を供給することができる。コンピュータ(図示せず)は、ノズル5112を介した材料の供給速度、およびノズル5110の位置を制御することにより、材料5110の堆積を制御してもよい。プロセスは、デザインが完全に形成されるまで、材料5110をミッドソールに付着させる状態で、ミッドソールの異なる区域において繰り返される。
図67は、カスタマイズされたニットアウトソール5500と、カスタマイズされたミッドソール5550との関係を示す。カスタマイズされたニットアウトソール5500は、カスタマイズされたクリート構成5510を含む。カスタマイズされたミッドソール5550は、図示されているように、カスタマイズされたクリート構成と位置合わせされた、突出部5560のカスタマイズされた配列を含む。また、カスタマイズされたミッドソール5550は、上面5580のカスタマイズされた区域5570も含んでいる。
本発明のさまざまな実施形態について説明してきたが、その説明は、限定的であるというよりも、例示的であることが意図されており、また、当業者には、実施形態の範囲内にある、より多くの実施形態および実施態様が可能であることは明らかであろう。したがって、それらの実施形態は、添付クレームおよびそれらの等価物の観点を除いて限定すべきではない。また、さまざまな変更および変形を、添付クレームの範囲内で実行してもよい。前述のクレームを確認する場合の「いずれかの」という用語は、クレームにおいて用いる場合、(i)いずれか1項、または、(ii)確認される2つ以上のクレームのいずれかの組合せを意味することが意図されている。
1つの態様において、本発明は、アッパーおよびソールシステムを含む履物製品を提供する。その履物製品は、一体ニット構造で形成されたニット構成要素を備え、そのニット構成要素は、ソールシステムのニットアウトソールを形成しているニット構成要素下方部と、アッパーの少なくとも一部を形成しているニット構成要素上方部とを含む。インサート部材を、アッパーの内部に設けることができる。インサート部材は、底面から離れる方に延びている複数の突起を有している。インサート部材の底面から離れる方に延びている複数の突起は、ニットアウトソールのアウトソールの底面から離れる方に延びている複数のクリート部材に対応している。
別の態様では、本発明は、ニット構成要素を組み込んだアッパーおよびソールシステムを含む履物製品を製作する方法を提供する。その方法は、ワンピース要素になるように、一体ニット構造から成るニット構成要素上方部およびニット構成要素下方部を編むことを含む。また、その方法は、インサート部材の一方の面に複数の突起を有するインサート部材を設けることと、インサート部材の一方の面の複数の突起に対応する複数のクリート部材を有するニットアウトソールを形成するように、インサート部材の周りにニット構成要素下方部を真空成形することとを含む。その方法はさらに、ニット構成要素上方部を、履物製品のアッパーの少なくとも一部に組み込むことを含む。
履物製品のさまざまな構成は、アッパーと、そのアッパーに付随するソールシステムとを有していてもよい。アッパーおよびソールシステムはともに、ニット構成要素を組み込んでもよい。
1つの態様において、本開示は、履物製品用のソールシステムを提供する。そのソールシステムは、ワンピースニットアウトソールを組み込んだニット構成要素を含む。そのニットアウトソールは、地面対向面と、上面とを有している。突出している地面係止クリート部材が、ニットアウトソールの地面対向面に形成されている。
別の態様では、本開示は、ソールシステムを含む履物製品を提供する。その履物製品は、アッパーと、アッパーに接続されたソールシステムとを含む。アッパーは、ワンピースであってもよく、または、アッパーの底部にストローベル式中敷きもしくは他のクロージャを有していてもよい。アウトソールの上面とアッパーの底部とは付着されている。
また、本開示は、履物製品用のソールシステムを作る方法を含む態様も提供する。その方法によれば、地面係止部材が、地面対向面と上面とを有するワンピースニットアウトソール内に形成されている。突出している地面係止クリート部材は、ニット構成要素を成形することによって形成される。
別の態様では、本開示は、履物製品用のソールシステムを作る方法を提供する。その方法によれば、ニットアウトソールを含むように、ワンピースニット構成要素が編まれる。地面係止クリート部材は、編むことによって、ニットアウトソールの地面対向面内に形成される。
さらに別の態様では、本開示は、履物製品用の、足収容ソールシステムを提供する。そのソールシステムは、足を収容するとともにニットアウトソールを含む、ワンピースの足収容ニット部分を含む。そのニットアウトソールは、地面対向面と上面とを有している。地面係止クリート部材は、アウトソールの地面対向面から突出している。
1つの態様において、本開示は、履物製品用のソールシステムを提供する。そのソールシステムは、ワンピースニットアウトソールおよび伸張性要素を組み込んだニット構成要素を含んでいる。そのニットアウトソールは、地面対向面と、上面とを有している。突出している地面係止クリート部材は、ニットアウトソールの地面対向面に形成されている。伸張性要素は、地面対向面から操作してもよい。
別の態様では、本開示は、ソールシステムを含む履物製品を提供する。その履物製品は、アッパーと、アッパーに接続されたソールシステムとを含む。アッパーは、ワンピースであってもよく、または、アッパーの底部にストローベル式中敷きもしくは他のクロージャを有していてもよい。アウトソールの上面とアッパーの底部とは付着されている。
また、本開示は、履物製品用のソールシステムを作る方法を含む態様も提供する。その方法によれば、地面係止部材が、地面対向面と、上面と、伸張性要素とを有するワンピースニットアウトソール内に形成されている。突出している地面係止クリート部材は、ニット構成要素を成形することによって形成される。
別の態様では、本開示は、履物製品用のソールシステムを作る方法を提供する。その方法によれば、伸張性要素を有するニットアウトソールを含むように、ワンピースニット構成要素が編まれる。地面係止クリート部材は、編むことによって、ニットアウトソールの地面対向面内に形成される。
さらに別の態様では、本開示は、履物製品用の、足収容ソールシステムを提供する。そのソールシステムは、足を収容するとともにニットアウトソールを含む、ワンピースの足収容ニット部分を含む。そのニットアウトソールは、地面対向面と、上面と、伸張性要素とを有している。地面係止クリート部材は、アウトソールの地面対向面から突出している。
本開示の態様は、ニットアウトソールを備えている履物製品用のカスタマイズされたミッドソールおよびカスタマイズされたクリート構成を製造する方法に関する。その方法は、ニットアウトソール内のカスタマイズされたクリート構成に関連する情報と、ユーザの足のためにカスタマイズされるとともにニットアウトソール上のクリート構成に適合するように配置されたクリート補強部を有するミッドソールに関連する他の情報とを取得することを含む。その情報は、カスタマイズされたニットアウトソールおよびカスタマイズされたミッドソールを含む履物製品を形成するために用いられる。
具体的には、本開示の態様は、ニットアウトソールを備える履物製品用のカスタマイズされたミッドソールおよびカスタマイズされたクリート構成を製造する方法を提供する。その方法は、クリートグラフィカルインタフェースシステムと、クリートグラフィカルインタフェースシステムに関連するクリートグラフィックツールのセットと、予めデザインされたクリート構成の群とを設けることを含む。予めデザインされたクリート構成の群内の各予めデザインされたクリート構成は、所定のクリート位置および所定数のクリートを有するニットアウトソールの図を含む。
また、その方法は、ミッドソールグラフィカルインタフェースシステムと、ミッドソールグラフィカルインタフェースシステムに関連するミッドソールグラフィックツールのセットと、予めデザインされたミッドソールの群とを設けることを含む。予めデザインされたミッドソールの群内の各予めデザインされたミッドソールは、ミッドソールの底部から突出している補強部材を含む。
所定のクリート位置および所定数のクリートのうちの少なくとも1つを変えるために既に変更されている、予めデザインされたクリート構成の群から選択された1つの予めデザインされたクリート構成に関連するニットアウトソールの図を少なくとも含む、カスタマイズされたクリート構成に関連する情報は、クリートグラフィカルインタフェースシステムから受け取られる。同様に、ユーザの足の圧痕、または、所定の補強位置およびユーザの足の圧痕の図のうちの少なくとも1つを変えるために既に変更されている、予めデザインされたミッドソール構成の群から選択された1つの予めデザインされたミッドソール構成に関連する補強部材の、少なくとも1つの図を含む、カスタマイズされたミッドソールに関連する情報は、ミッドソールグラフィカルインタフェースシステムから受け取られる。
少なくとも1つの変更された所定のクリート位置および変更された所定数のクリートを有し、および少なくとも1つの変更された所定の位置または変更された所定数のクリートを含むカスタマイズされたミッドソールを含む少なくとも1つのニットアウトソールの図と、ユーザの足の圧痕または補強部材の少なくとも1つの変更された図を有する変更されたミッドソールの図とを含む、カスタマイズされたミッドソールおよびカスタマイズされたクリート構成を備えた履物製品が製造される。
別の態様では、本開示は、ニットアウトソールおよびミッドソールを含むソールシステムを備える履物製品をカスタマイズする方法を提供する。そのニットアウトソールは、地面係止クリート部材の位置を含む地面係止面と、上面とを有している。ミッドソールは、ユーザの足のためにカスタマイズされた上面と、硬い突出部を有する底面とを有し、その突出部の位置およびサイズは、ユーザのためにカスタマイズされている。その方法は、ミッドソールの底部の硬い突出部を、地面係止クリート部材の位置と合わせた状態で、ミッドソールの底面を、アウトソールの上面に接触させて永続的に取り付けることと、ミッドソールの底面をニットアウトソールに圧入して、地面係止クリート部材の位置でニットアウトソールを引き伸ばして、ミッドソールを永続的に取り付けるとともに地面係止クリート部材を形成することとを含む。
さらに別の態様では、本開示は、ニットアウトソールおよびミッドソールを含むソールシステムを備えている履物製品をカスタマイズする別の方法を提供する。そのニットアウトソールは、上面と、地面係止面から離れる方に延びているニット部材を有する地面係止面とを有している。ミッドソールは、ユーザの足のためにカスタマイズされた上面と、硬い突出部を有する底面とを有し、その突出部の位置およびサイズは、ユーザのためにカスタマイズされるとともに、地面係止面のニット部材と位置合わせされて配設されている。その方法は、ミッドソールの底面の硬い突出部を、地面係止クリート部材と位置合わせした状態で、ミッドソールの底面を、アウトソールの上面と接触させて永続的に取り付けることを含む。ミッドソールの底面がニットアウトソールに圧入されて、ミッドソールを永続的に取り付けるとともに地面係止クリート部材を形成する。
さらに他の態様では、本開示は、足を収容するとともにニットアウトソールおよびミッドソールを含む、ソールシステムを含むワンピースニット構成要素を備える履物製品をカスタマイズする方法を提供する。そのニットアウトソールは、地面係止クリート部材の位置を含む地面係止面と、上面とを有する。ミッドソールの上面は、ユーザのためにカスタマイズされ、底面は、硬い突出部を有している。硬い突出部の位置およびサイズは、ユーザの足のためにカスタマイズされる。ミッドソールの底面は、ミッドソールの底部の硬い突出部が、地面係止クリート部材の位置と位置合わせされた状態で、アウトソールの上面と接触している。ミッドソールの底面がニットアウトソールに圧入されて、地面係止クリート部材の位置でニットアウトソールが引き伸ばされ、ミッドソールを永続的に取り付けるとともに地面係止クリート部材を形成する。
さらに別の態様では、本開示は、ニットアウトソールを備える履物製品用のカスタマイズされたミッドソールおよびカスタマイズされたクリート構成を注文する方法を提供する。ユーザは、クリートグラフィカルインタフェースシステムと情報をやり取りして、所定のクリート位置および所定数のクリートを有するニットアウトソールの図を含む、予めデザインされたクリート構成の群から、第1の予めデザインされたクリート構成を選択する。次に、ユーザは、クリートグラフィックツールを選択して、クリートグラフィカルインタフェースシステムに表示されているニットアウトソールの図を変更することによって、クリートグラフィカルインタフェースシステムと情報をやり取りして、所定のクリート位置または所定数のクリートのうちの少なくとも1つを変更して、カスタマイズされたクリート構成を作り出す。カスタマイズされたクリート構成は、少なくとも1つの変更された所定のクリート位置または変更された所定数のクリートを、クリートグラフィカルインタフェースシステム内に含んでいる。
ユーザの足に関する情報が取得され、ミッドソールグラフィカルインタフェースシステムと情報をやり取りすることにより、第1の予めデザインされたミッドソールが、カスタマイズされたクリート構成内のクリートと位置合わせされたクリート補強部材の所定の位置を含む、予めデザインされたミッドソールの群から選択される。ミッドソールグラフィカルインタフェースシステム内に表示されたミッドソールの図は、カスタマイズされたミッドソール構成を作り出すために、ユーザの足の圧痕または補強部材の図のうちの少なくとも1つが変更されるように、第1のデザインされたミッドソールを変更するために、選択されたミッドソールグラフィックツールを用いて変更される。ミッドソールグラフィカルインタフェースシステム内の、ユーザの足の圧痕または補強部材の少なくとも1つの変更された図を含む、カスタマイズされたミッドソール構成が表示される。そして、少なくとも1つの変更された所定の位置または変更された所定数のクリートを含むカスタマイズされたクリート構成を有する、変更されたニットアウトソールの図と、ユーザの足の圧痕または補強部材の少なくとも1つの変更された図を有する、変更されたミッドソールの図とを含む最終的なデザインが、靴を注文するために提出される。
別の態様では、本発明は、ニットアウトソールを有する履物製品用のカスタマイズされたクリート構成を注文する方法であって、グラフィカルインタフェースシステムと情報をやり取りするステップと、ニットアウトソールの図を変更するステップと、グラフィックツールのセットから1つのグラフィックツールを選択するステップと、そのグラフィックツールを用いて、カスタマイズされたクリート構成を作り出すステップと、カスタマイズされたクリート構成を有するニットアウトソールの図を含む最終的なデザインを提出して、ニットアウトソールを有する履物製品を注文するステップとを含む方法を提供する。
本発明のその他のシステム、方法、形状構成および利点は、以下の図面および詳細な説明を検討すれば、当業者には明らかになるか、または明らかであろう。すべてのそのような追加的なシステム、方法、形状構成および利点が、この説明の範囲内に、本発明の範囲内に含まれること、および以下の請求項によって保護されることが意図されている。
関連出願
この出願は、2015年1月16日に出願された「Vaccum Formed Knit Sole System for an Article of Footwear Incorporating a Knitted Component」と題された米国特許非仮出願第14/598,389号の優先権の利益を主張し、さらに、2015年1月16日に出願された「Sole System for an Article of Footwear Incorporating a Knitted Component with a One-Piece Knit Outsole」と題された米国特許非仮出願第14/598,406号の優先権の利益を主張し、さらに、2015年1月16日に出願された「Sole System for an Article of Footwear Incorporating a Knitted Component with a One-Piece Knit Outsole and a Tensile Element」と題された米国特許非仮出願第14/598,433号の優先権の利益を主張し、さらに、2015年1月16日に出願された「Knit Article of Footwear with Customized Midsole and Customized Cleat Arrangement」と題された米国特許非仮出願第14/598,447号の優先権の利益を主張するものであり、上記の開示は、それぞれ、参照によって全体が本願明細書に組み込まれるものとする。