前記特許文献1に開示の照明器具は、光源から発せられた光が室内の天井から床面に向かって鉛直方向へ照射され、タスク・アンビエント照明を実現することで天井照明の出力を減少させて室内照明の省エネ化を図ることができる。しかし、室の天井近傍における長手方向(水平方向)への光の照射が基台の各側壁によって遮断され、天井面および天井近傍における高域空間が薄暗くなり、室内全域が暗い雰囲気になるとともに、天井近傍の高域空間と室内の中域空間や低域空間との明暗の差が大きくなり、室を利用する利用者にストレスを与える場合がある。
前記特許文献2に開示のシステム天井モジュールは、照明器具による照明とともに空調吹出口から吹き出される空調された空気によって室内を空調することができる。しかし、空調された空気が空調吹出口から床面に向かって鉛直方向に吹き出されるから、その空気を空調吹出口から離れた位置まで拡散させることができず、空調された空気を室内全域に満遍なく行き渡らせることができない。また、室の利用者が空調吹出口の直下に位置すると、空調吹出口から吹き出された空気が利用者に直接当たり、利用者に不快感を与える場合がある。
本発明の目的は、天井近傍における高域空間を明るくすることができ、室内全域を明るい雰囲気にすることができるとともに、天井近傍の高域空間と室内の中域空間や低域空間との明暗の差を小さくすることができるアンビエント照明ユニットおよび照明システムを提供することにある。本発明の他の目的は、室の上部スラブから室内に給気される空気を室内全域に満遍なく行き渡らせることができ、室の利用者に不快感を与えることがないアンビエント照明ユニットおよび照明システムを提供することにある。
前記課題を解決するための本発明の第1の前提は、建造物の室の上部スラブに設置されて建造物の室内を照らすアンビエント照明ユニットである。
前記第1の前提における本発明のアンビエント照明ユニットの第1の特徴は、アンビエント照明ユニットが、上部スラブの長手方向へ延びる両側縁部の間に位置して長手方向と交差する短手方向へ延びる取付ベースと、取付ベースに取り付けられて短手方向へ延びる第1および第2照明器具とから形成され、取付ベースが、短手方向へ延びていて第1設置部となる前壁と、前壁の長手方向後方へ所定寸法離間して短手方向へ延びていて第2設置部となる後壁と、前後壁の上端縁の間に位置して短手方向へ延びる頂壁と、前後壁と頂壁との間に位置する両側壁と、前壁の下端に設置されて短手方向へ延びる第1吹出口と、後壁の下端に設置されて短手方向へ延びる第2吹出口とを備え、第1照明器具が、取付ベースの第1設置部に設置されて短手方向へ延びる第1光源と、第1設置部に設置されて第1設置部の下方から上方に向かって長手方向前方へ凸となるように円弧を画き、第1光源を覆って短手方向へ延びる第1照明カバーとから形成され、第2照明器具が、取付ベースの第2設置部に設置されて短手方向へ延びる第2光源と、第2設置部に設置されて第2設置部の下方から上方に向かって長手方向後方へ凸となるように円弧を画き、第2光源を覆って短手方向へ延びる第2照明カバーとから形成され、第1吹出口が、第1照明カバーの下端から第1照明カバーの外周面に向かって空気を吹き出し、第2吹出口が、第2照明カバーの下端から第2照明カバーの外周面に向かって空気を吹き出すことにある。
前記第1の特徴を有するアンビエント照明ユニットの一例としては、取付ベースが、前後壁と頂壁と両側壁とに囲繞された所定容積の収容スペースを備え、アンビエント照明ユニットが、取付ベースの収容スペースに設置された空調モジュールを備え、アンビエント照明ユニットでは、空調モジュールによって作られた空調空気が第1吹出口から第1照明カバーの外周面に向かって吹き出されるとともに、空調モジュールによって作られた空調空気が第2吹出口から第2照明カバーの外周面に向かって吹き出される。
前記第1の特徴を有するアンビエント照明ユニットの他の一例としては、アンビエント照明ユニットが、第1吹出口に設置されて空気の吹出方向を第1設置部の下方と長手方向前方との間で変更可能な第1フラップと、第2吹出口に設置されて空気の吹出方向を第2設置部の下方と長手方向後方との間で変更可能な第2フラップとを備えている。
前記第1の前提における本発明のアンビエント照明ユニットの第2の特徴は、アンビエント照明ユニットが、上部スラブの長手方向へ延びる両側縁部の間に位置して長手方向と交差する短手方向へ延びる取付ベースと、取付ベースに取り付けられて短手方向へ延びる第1および第2照明器具とから形成され、取付ベースが、短手方向へ延びていて第1設置部となる前壁と、前壁の長手方向後方へ所定寸法離間して短手方向へ延びていて第2設置部となる後壁と、前後壁の上端縁の間に位置して短手方向へ延びる頂壁と、前後壁と頂壁との間に位置する両側壁と、前後壁と頂壁と両側壁とに囲繞された所定容積の収容スペースとを備え、第1照明器具が、取付ベースの第1設置部に設置されて短手方向へ延びる第1光源と、第1設置部に設置されて第1設置部の下方から上方に向かって長手方向前方へ凸となるように円弧を画き、第1光源を覆って短手方向へ延びる第1照明カバーとから形成され、第2照明器具が、取付ベースの第2設置部に設置されて短手方向へ延びる第2光源と、第2設置部に設置されて第2設置部の下方から上方に向かって長手方向後方へ凸となるように円弧を画き、第2光源を覆って短手方向へ延びる第2照明カバーとから形成され、短手方向へ延びる予備照明器具と各種のセンサモジュールとのうちの少なくとも一方が、取付ベースの第1および第2設置部の間に設置されていることにある。
前記第2の特徴を有するアンビエント照明ユニットの一例としては、センサモジュールが、室内の火災を検知する火災報知器、室内に消火用の水を散布するスプリンクラーヘッド、第1および第2光源の調光に利用される光感知センサ、人の存在を検知する人感センサ、室内に音を発するスピーカー、室内を撮影するカメラのうちの少なくとも1つである。
前記第1および第2の特徴を有するアンビエント照明ユニットの一例としては、第1照明カバーが、その下端から上端に向かって90°〜180°の範囲のうちの下端から上端に向かって少なくとも90°で円弧を画き、第2照明カバーが、その下端から上端に向かって90°〜180°の範囲のうちの下端から上端に向かって少なくとも90°で円弧を画いている。
前記課題を解決するための本発明の第2の前提は、建造物の室の上部スラブに設置されて建造物の室内を照らす照明システムである。
前記第2の前提における本発明の照明システムの第1の特徴は、照明システムが、室の上部スラブの長手方向へ所定寸法離間して並ぶ複数のアンビエント照明ユニットから形成され、それらアンビエント照明ユニットが、上部スラブの長手方向へ延びる両側縁部の間に位置して長手方向と交差する短手方向へ延びる取付ベースと、取付ベースに設置されて短手方向へ延びる第1および第2照明器具とから形成され、それらアンビエント照明ユニットの取付ベースが、短手方向へ延びていて第1設置部となる前壁と、前壁の長手方向後方へ所定寸法離間して短手方向へ延びていて第2設置部となる後壁と、前後壁の上端縁の間に位置して短手方向へ延びる頂壁と、前後壁と頂壁との間に位置する両側壁と、前壁の下端に設置されて短手方向へ延びる第1吹出口と、後壁の下端に設置されて短手方向へ延びる第2吹出口とを備え、それらアンビエント照明ユニットの第1照明器具が、取付ベースの第1設置部に設置されて短手方向へ延びる第1光源と、第1設置部に設置されて第1設置部の下方から上方に向かって長手方向前方へ凸となるように円弧を画き、第1光源を覆って短手方向へ延びる第1照明カバーとから形成され、それらアンビエント照明ユニットの第2照明器具が、取付ベースの第2設置部に設置されて短手方向へ延びる第2光源と、第2設置部に設置されて第2設置部の下方から上方に向かって長手方向後方へ凸となるように円弧を画き、第2光源を覆って短手方向へ延びる第2照明カバーとから形成され、それらアンビエント照明ユニットの第1吹出口が、第1照明カバーの下端から第1照明カバーの外周面に向かって空気を吹き出し、それらアンビエント照明ユニットの第2吹出口が、第2照明カバーの下端から第2照明カバーの外周面に向かって空気を吹き出すことにある。
前記第1の特徴を有する照明システムの一例としては、それらアンビエント照明ユニットの取付ベースが、前後壁と頂壁と両側壁とに囲繞された所定容積の収容スペースを備え、それらアンビエント照明ユニットが、取付ベースの収容スペースに設置された空調モジュールを備え、照明システムでは、それらアンビエント照明ユニットの空調モジュールによって作られた空調空気が第1吹出口から第1照明カバーの外周面に向かって吹き出されるとともに、空調モジュールによって作られた空調空気が第2吹出口から第2照明カバーの外周面に向かって吹き出される。
前記第1の特徴を有する照明システムの他の一例としては、それらアンビエント照明ユニットが、第1吹出口に設置されて空気の吹出方向を第1設置部の下方と長手方向前方との間で変更可能な第1フラップと、第2吹出口に設置されて空気の吹出方向を第2設置部の下方と長手方向後方との間で変更可能な第2フラップとを備えている。
前記第2の前提における本発明の照明システムの第2の特徴は、照明システムが、室の上部スラブの長手方向へ所定寸法離間して並ぶ複数のアンビエント照明ユニットから形成され、それらアンビエント照明ユニットが、上部スラブの長手方向へ延びる両側縁部の間に位置して長手方向と交差する短手方向へ延びる取付ベースと、取付ベースに取り付けられて短手方向へ延びる第1および第2照明器具とから形成され、それらアンビエント照明ユニットの取付ベースが、短手方向へ延びていて第1設置部となる前壁と、前壁の長手方向後方へ所定寸法離間して短手方向へ延びていて第2設置部となる後壁と、前後壁の上端縁の間に位置して短手方向へ延びる頂壁と、前後壁と頂壁との間に位置する両側壁と、前後壁と頂壁と両側壁とに囲繞された所定容積の収容スペースとを備え、それらアンビエント照明ユニットの第1照明器具が、取付ベースの第1設置部に設置されて短手方向へ延びる第1光源と、第1設置部に設置されて第1設置部の下方から上方に向かって長手方向前方へ凸となるように円弧を画き、第1光源を覆って短手方向へ延びる第1照明カバーとから形成され、それらアンビエント照明ユニットの第2照明器具が、取付ベースの第2設置部に設置されて短手方向へ延びる第2光源と、第2設置部に設置されて第2設置部の下方から上方に向かって長手方向後方へ凸となるように円弧を画き、第2光源を覆って短手方向へ延びる第2照明カバーとから形成され、短手方向へ延びる予備照明器具と各種のセンサモジュールとのうちの少なくとも一方が、それらアンビエント照明ユニットの取付ベースの第1および第2設置部の間に設置されていることにある。
前記第2の特徴を有する照明システムの一例としては、それらアンビエント照明ユニットに設置されたセンサモジュールが、室内の火災を検知する火災報知器、室内に消火用の水を散布するスプリンクラーヘッド、第1および第2光源の調光に利用される光感知センサ、人の存在を検知する人感センサ、室内に音を発するスピーカー、室内を撮影するカメラのうちの少なくとも1つである。
前記第1および第2の特徴を有する照明システムの一例としては、上部スラブの長手方向へ延びる両側縁部の間に位置して短手方向へ延びる複数のアンビエント照明ユニットが、所定の吊り下げ手段を利用して取付ベースを上部スラブから吊り下げることで上部スラブに平行して設置され、照明システムでは、複数のアンビエント照明ユニットが短手方向へ一列に並ぶとともに上部スラブの長手方向前方から後方に向かって所定寸法離間しつつ平行して並び、長手方向へ所定寸法離間して並ぶ複数のアンビエント照明ユニットが室の天井面を形成している。
前記第1および第2の特徴を有する照明システムの他の一例として、照明システムでは、第1設置部に着脱可能に設置されて短手方向へ延びていて第1照明カバーの下端から第1照明カバーの外周面に向かって空気を吹き出す第1吹出口と第2設置部に着脱可能に設置されて短手方向へ延びていて第2照明カバーの下端から第2照明カバーの外周面に向かって空気を吹き出す第2吹出口と第1および第2設置部の間に着脱可能に設置された空調モジュールとのうちの少なくとも第1および第2吹出口を備えた第1アンビエント照明ユニットと、第1および第2設置部の間に着脱可能に設置された予備照明器具と第1および第2設置部の間に着脱可能に設置された各種のセンサモジュールとのうちの少なくとも一方を備えた第2アンビエント照明ユニットとが混在した状態で、第1および第2アンビエント照明ユニットが長手方向へ所定寸法離間して並んでいる。
本発明に係るアンビエント照明ユニットによれば、第1照明器具の第1照明カバーが取付ベースの第1設置部の下方から上方に向かって長手方向前方へ凸となるように円弧を画くとともに第1光源を覆って短手方向へ延びており、第2照明器具の第2照明カバーが取付ベースの第2設置部の下方から上方に向かって長手方向前方へ凸となるように円弧を画くとともに第2光源を覆って短手方向へ延びているから、第1光源から発せられた光が第1照明カバーの略上半分から長手方向前方へ照射され、第2光源から発せられた光が第2照明カバーの略上半分から長手方向後方へ照射され、第1および第2光源から発せられた光が天井近傍の高域空間を照らすことで、天井近傍における高域空間を明るくすることができ、室内全域を明るい雰囲気にすることができる。
アンビエント照明ユニットは、室の居住者が長手方向前方や長手方向後方から室内を見たときに室内の天井近傍の高域空間が明るく見えるから、天井近傍の高域空間と室内の中域空間や低域空間との明暗の差を小さくすることができ、居住者にストレスを与えることがない。また、円弧を画く第1および第2照明カバーを介して第1および第2光源から発せられた光が第1および第2照明カバーの外周面全域から満遍なく照射されるから、柔らかい明るさ感を演出することができ、明るさ感指標を向上させることができる。
アンビエント照明ユニットは、円弧を画く第1および第2照明カバーの略下半分から下方に照射された光がアンビエント照明になるから、アンビエント照明ユニットの下方にタスク用照明を設置することにより、容易にタスク・アンビエント照明を実現することができ、室の居住者の快適性を損なうことを抑えながら、室内照明の省エネ化を図ることができる。
アンビエント照明ユニットは、第1照明カバーの下端から第1照明カバーの外周面に向かって空気を吹き出す第1吹出口と第2照明カバーの下端から第2照明カバーの外周面に向かって空気を吹き出す第2吹出口とを備え、第1および第2吹出口から吹き出された空気が第1および第2照明カバーの円弧を画く外周面に沿って流動するコアンダ効果が生じ、第1および第2照明カバーの外周面に沿って流動した空気が天井近傍の高域空間を伝って室内の長手方向前方と長手方向後方とへ拡散するから、室内に給気される空気を室内全域に満遍なく行き渡らせることができる。アンビエント照明ユニットは、第1および第2吹出口から吹き出された空気が室の居住者に直接当たることはなく、空気が居住者に直接当たることによる不快感を防ぐことができる。
取付ベースの第1および第2設置部の間に設置された空調モジュールを備え、空調モジュールによって作られた空調空気が第1吹出口から第1照明カバーの外周面に向かって吹き出されるとともに、空調モジュールによって作られた空調空気が第2吹出口から第2照明カバーの外周面に向かって吹き出されるアンビエント照明ユニットは、空調モジュールによって作られた空調空気が第1および第2照明カバーの円弧を画く外周面に沿って流動するコアンダ効果が生じ、空調空気が天井近傍の高域空間を伝って室内の長手方向前方と長手方向後方とへ拡散するから、空調空気を室内全域に満遍なく行き渡らせることができる。アンビエント照明ユニットは、空調モジュールによって作られた空調空気が第1および第2吹出口から室の居住者に直接当たることはなく、空調空気が居住者に直接当たることによる不快感を防ぐことができる。アンビエント照明ユニットは、取付ベースの第1および第2設置部の間に設置された空調モジュールによって空調空気を作ることができるから、空調設備をコンパクトかつ廉価に構築することができる。
第1吹出口に設置されて空気の吹出方向を第1設置部の下方と長手方向前方との間で変更可能な第1フラップと第2吹出口に設置されて空気の吹出方向を第2設置部の下方と長手方向後方との間で変更可能な第2フラップとを備えているアンビエント照明ユニットは、室内の冷房時に第1および第2フラップを利用して冷房空気の吹出方向を第1および第2設置部の長手方向前方と長手方向後方とへ向けることで、第1および第2吹出口から吹き出された空気が第1および第2照明カバーの円弧を画く外周面に沿って流動するコアンダ効果が生じるから、冷房空気が天井近傍の高域空間を伝って室内の長手方向前方と長手方向後方とへ次第に拡散し、空気を室内全域に満遍なく行き渡らせることができる。アンビエント照明ユニットは、室内の暖房時に第1および第2フラップを利用して暖房空気の吹出方向を第1および第2設置部の下方に向けることで、天井近傍の高域空間における暖房空気の停滞を防ぐことができ、室内の中域空間や低域空間を確実に暖房することができる。
アンビエント照明ユニットは、取付ベースの第1および第2設置部の間に設置された予備照明器具と取付ベースの第1および第2設置部の間に設置された各種のセンサモジュールとのうちの少なくとも一方を備え、例えば予備照明器具が設置されている場合、その予備照明器具をたとえばタスク用照明として利用することで容易にタスク・アンビエント照明を実現することができ、室内の中域空間や低域空間における明るさを設計照度に保持することができるとともに、室内照明の省エネ化を図ることができる。アンビエント照明ユニットは、例えば各種のセンサモジュールが設置されている場合、それらセンサモジュールのセンサ機能を利用して室内の要求仕様を満たすことができ、居住空間の有益性や利便性を向上させることができる。
センサモジュールが室内の火災を検知する火災報知器、室内に消火用の水を散布するスプリンクラーヘッド、第1および第2光源の調光に利用される光感知センサ、人の存在を検知する人感センサ、室内に音を発するスピーカー、室内を撮影するカメラのうちの少なくとも1つであるアンビエント照明ユニットは、センサモジュールがたとえば火災報知器である場合、火災報知器が室内に発生した火災を検知することで、火災の発生を外部に知らせることができ、センサモジュールがたとえばスプリンクラーヘッドである場合、スプリンクラーヘッドから放出される水によって室内に発生した火災を消火することができる。センサモジュールがたとえば光感知センサである場合、光感知センサによって測定された照度や輝度等によって第1および第2光源を自動的に調光することができ、センサモジュールがたとえば人感センサである場合、人感センサによって人の存在を検出することで第1および第2光源を自動的にON/OFFすることができる。センサモジュールがたとえばスピーカーである場合、スピーカーによって必要事項を室内の居住者に知らせることができ、センサモジュールがたとえばカメラである場合、室内の様子をカメラが捉えることで、室内の防犯を図ることができる。
第1照明カバーがその下端から上端に向かって90°〜180°の範囲のうちの下端から上端に向かって少なくとも90°で円弧を画き、第2照明カバーがその下端から上端に向かって90°〜180°の範囲のうちの下端から上端に向かって少なくとも90°で円弧を画いているアンビエント照明ユニットは、下端から上端に向かって少なくとも90°で円弧を画く第1照明カバーの略上半分から長手方向前方へ光が照射され、下端から上端に向かって少なくとも90°で円弧を画く第2照明カバーの略上半分から長手方向後方へ光が照射されるから、第1および第2光源から発せられた光によって天井近傍の高域空間が照らされ、天井近傍における高域空間を明るくすることができ、室内全域を明るい雰囲気にすることができるとともに、天井近傍の高域空間と室内の中域空間や低域空間との明暗の差を小さくすることができる。アンビエント照明ユニットは、少なくとも90°で円弧を画く第1および第2照明カバーの略下半分から下方に照射された光がアンビエント照明になるから、アンビエント照明ユニットの下方にタスク用照明を設置することにより、容易にタスク・アンビエント照明を実現することができ、室内の中域空間や低域空間における明るさを確保することができるとともに、室の居住者の快適性を損なうことを抑えながら、室内照明の省エネ化を図ることができる。
本発明に係る照明システムによれば、長手方向へ並ぶアンビエント照明ユニットの第1照明器具の第1照明カバーが取付ベースの第1設置部の下方から上方に向かって長手方向前方へ凸となるように円弧を画くとともに第1光源を覆って短手方向へ延びており、長手方向へ並ぶアンビエント照明ユニットの第2照明器具の第2照明カバーが取付ベースの第2設置部の下方から上方に向かって長手方向前方へ凸となるように円弧を画くとともに第2光源を覆って短手方向へ延びているから、それら第1光源から発せられた光が第1照明カバーの略上半分から長手方向前方へ照射され、それら第2光源から発せられた光が第2照明カバーの略上半分から長手方向後方へ照射され、各第1および第2光源から発せられた光が天井近傍の高域空間を照らすことで、天井近傍における高域空間を明るくすることができ、室内全域を明るい雰囲気にすることができる。
照明システムは、室の居住者が長手方向前方や長手方向後方から室内を見たときにそれらアンビエント照明ユニットによって室内の天井近傍の高域空間が明るく見えるから、天井近傍の高域空間と室内の中域空間や低域空間との明暗の差を小さくすることができ、居住者にストレスを与えることがない。また、それらアンビエント照明ユニットの第1および第2照明カバーを介して第1および第2光源から発せられた光が第1および第2照明カバーの外周面全域から満遍なく照射されるから、柔らかい明るさ感を演出することができ、明るさ感指標を向上させることができる。
照明システムは、それらアンビエント照明ユニットの円弧を画く第1および第2照明カバーの略下半分から下方に照射された光がアンビエント照明になるから、アンビエント照明ユニットの下方にタスク用照明を設置することにより、容易にタスク・アンビエント照明を実現することができ、室の居住者の快適性を損なうことを抑えながら、室内照明の省エネ化を図ることができる。
照明システムは、それらアンビエント照明ユニットが第1照明カバーの下端から第1照明カバーの外周面に向かって空気を吹き出す第1吹出口と第2照明カバーの下端から第2照明カバーの外周面に向かって空気を吹き出す第2吹出口とを備え、第1および第2吹出口から吹き出された空気が第1および第2照明カバーの円弧を画く外周面に沿って流動するコアンダ効果が生じ、第1および第2照明カバーの外周面に沿って流動した空気が天井近傍の高域空間を伝って室内の長手方向前方と長手方向後方とへ拡散するから、室内に給気される空気を室内全域に満遍なく行き渡らせることができる。照明システムは、第1および第2吹出口から吹き出された空気が室の居住者に直接当たることはなく、空気が居住者に直接当たることによる不快感を防ぐことができる。
それらアンビエント照明ユニットの取付ベースが前後壁と頂壁と両側壁とに囲繞された所定容積の収容スペースを備え、それらアンビエント照明ユニットが取付ベースの収容スペースに設置された空調モジュールを備え、それらアンビエント照明ユニットの空調モジュールによって作られた空調空気が第1吹出口から第1照明カバーの外周面に向かって吹き出されるとともに、空調モジュールによって作られた空調空気が第2吹出口から第2照明カバーの外周面に向かって吹き出される照明システムは、空調モジュールによって作られた空調空気が第1および第2照明カバーの円弧を画く外周面に沿って流動するコアンダ効果が生じ、空調空気が天井近傍の高域空間を伝って室内の長手方向前方と長手方向後方とへ拡散するから、空調空気を室内全域に満遍なく行き渡らせることができる。アンビエント照明ユニットは、空調モジュールによって作られた空調空気が第1および第2吹出口から室の居住者に直接当たることはなく、空調空気が居住者に直接当たることによる不快感を防ぐことができる。アンビエント照明ユニットは、取付ベースの第1および第2設置部の間に設置された空調モジュールによって空調空気を作ることができるから、空調設備をコンパクトかつ廉価に構築することができる。
それらアンビエント照明ユニットが第1吹出口に設置されて空気の吹出方向を第1設置部の下方と長手方向前方との間で変更可能な第1フラップと第2吹出口に設置されて空気の吹出方向を第2設置部の下方と長手方向後方との間で変更可能な第2フラップとを備えている照明システムは、室内の冷房時にそれらアンビエント照明ユニットの第1および第2フラップを利用して冷房空気の吹出方向を第1および第2設置部の長手方向前方と長手方向後方とへ向けることで、第1および第2吹出口から吹き出された空気が第1および第2照明カバーの円弧を画く外周面に沿って流動するコアンダ効果が生じるから、冷房空気が天井近傍の高域空間を伝って室内の長手方向前方と長手方向後方とへ次第に拡散し、空気を室内全域に満遍なく行き渡らせることができる。照明システムは、室内の暖房時にそれらアンビエント照明ユニットの第1および第2フラップを利用して暖房空気の吹出方向を第1および第2設置部の下方に向けることで、天井近傍の高域空間における暖房空気の停滞を防ぐことができ、室内の中域空間や低域空間を確実に暖房することができる。
照明システムは、それらアンビエント照明ユニットが取付ベースの第1および第2設置部の間に設置された予備照明器具と取付ベースの第1および第2設置部の間に設置された各種のセンサモジュールとのうちの少なくとも一方を備え、それらアンビエント照明ユニットに例えば予備照明器具が設置されている場合、その予備照明器具をたとえばタスク用照明として利用することで容易にタスク・アンビエント照明を実現することができ、室内の中域空間や低域空間における明るさを設計照度に保持することができるとともに、室内照明の省エネ化を図ることができる。照明システムは、それらアンビエント照明ユニットに例えば各種のセンサモジュールが設置されている場合、それらセンサモジュールのセンサ機能を利用して室内の要求仕様を満たすことができ、居住空間の有益性や利便性を向上させることができる。
それらアンビエント照明ユニットに設置されたセンサモジュールが室内の火災を検知する火災報知器、室内に消火用の水を散布するスプリンクラーヘッド、第1および第2光源の調光に利用される光感知センサ、人の存在を検知する人感センサ、室内に音を発するスピーカー、室内を撮影するカメラのうちの少なくとも1つである照明システムは、センサモジュールがたとえば火災報知器である場合、火災報知器が室内に発生した火災を検知することで、火災の発生を外部に知らせることができ、センサモジュールがたとえばスプリンクラーヘッドである場合、スプリンクラーヘッドから放出される水によって室内に発生した火災を消火することができる。センサモジュールがたとえば光感知センサである場合、光感知センサによって測定された照度や輝度等によって第1および第2光源を自動的に調光することができ、センサモジュールがたとえば人感センサである場合、人感センサによって人の存在を検出することで第1および第2光源を自動的にON/OFFすることができる。センサモジュールがたとえばスピーカーである場合、スピーカーによって必要事項を室内の居住者に知らせることができ、センサモジュールがたとえばカメラである場合、室内の様子をカメラが捉えることで、室内の防犯を図ることができる。
上部スラブの長手方向へ延びる両側縁部の間に位置して短手方向へ延びる複数のアンビエント照明ユニットが所定の吊り下げ手段を利用して取付ベースを上部スラブから吊り下げることで上部スラブに平行して設置され、複数のアンビエント照明ユニットが短手方向へ一列に並ぶとともに上部スラブの長手方向前方から後方に向かって所定寸法離間しつつ平行して並び、長手方向へ所定寸法離間して並ぶ複数のアンビエント照明ユニットが前記室の天井面を形成している照明システムは、それらアンビエント照明ユニットを天井面として利用することができるから、室の上部スラブに野縁や野縁受けを設置する必要や野縁に天井ボードを設置する必要はなく、天井面を容易に構築することができる。
第1照明カバーの下端から第1照明カバーの外周面に向かって空気を吹き出す第1吹出口と第2照明カバーの下端から第2照明カバーの外周面に向かって空気を吹き出す第2吹出口と第1および第2設置部の間に着脱可能に設置された空調モジュールとのうちの少なくとも第1および第2吹出口を備えた第1アンビエント照明ユニットと、第1および第2設置部の間に着脱可能に設置された予備照明器具と第1および第2設置部の間に着脱可能に設置された各種のセンサモジュールとのうちの少なくとも一方を備えた第2アンビエント照明ユニットとが混在した状態で、第1および第2アンビエント照明ユニットが長手方向へ所定寸法離間して並んでいる照明システムは、空気の給気が必要であって予備照明器具やセンサモジュールが不要な居住空間の上部スラブに第1および第2吹出口と空調モジュールとのうちの少なくとも第1および第2吹出口を備えた第1アンビエント照明ユニットを設置することで、その居住空間に空気を給気することができ、予備照明器具やセンサモジュールが必要であって空気の給気な不要な居住空間の上部スラブに予備照明器具やセンサモジュールを備えた第2アンビエント照明ユニットを設置することで、室内の各居住空間の目的や各居住空間の用途、各居住空間の有益性の向上、各居住空間の利便性の向上等に対応することができる。
一例として示すアンビエント照明ユニット10Aの斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかるアンビエント照明ユニットおよび照明システムの詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、一例として示す取付ベース13の斜視図であり、図3は、アンビエント照明ユニット10Aの側面図である。図4は、アンビエント照明ユニット10Aの正面図である。
図3,4は、アンビエント照明ユニット10Aが天井スラブ12に設置された状態で示す。図3では、側壁22の図示を省略している。図3では、長手方向を矢印X、下方を矢印Zで示すとともに、長手方向前方を矢印X1、長手方向後方を矢印X2で示す。図4では、短手方向を矢印Yで示し、下方を矢印Zで示す。
アンビエント照明ユニット10Aは、建物(建造物)の室11の天井スラブ12に設置されて建物の室内を照らすアンビエント照明に使用されるとともに、図示しない空調装置によって作られた空調空気を室内に給気する給気ユニットとして使用される。天井スラブ12には、打ち放しコンクリートまたはコンクリートスラブに天井仕上げ材が施工されたそれが含まれる。
アンビエント照明ユニット10Aは、短手方向へ延びる取付ベース13と、取付ベース13に取り付けられて短手方向へ延びる第1照明器具14および第2照明器具15と、取付ベース13に設置された吹出口モジュール16(図3参照)とから形成されている。吹出口モジュール16は、第1吹出口17と第2吹出口18とを有する。アンビエント照明ユニット10Aでは、取付ベース13から吹出口モジュール16(第1および第2吹出口17,18)を取り外すことができる。
取付ベース13は、金属板または合成樹脂板から作られている。取付ベース13は、図2に示すように、短手方向へ延びる略長方形の前壁19(第1設置部)と、前壁19の長手方向後方へ所定寸法離間して短手方向へ延びる略長方形の後壁20(第2設置部)と、前後壁19,20の上端縁の間に位置して短手方向へ延びる略長方形の頂壁18と、前後壁19,20と頂壁21との間に位置して長手方向へ延びる略長方形の両側壁22,23と、前後壁19,20の下端縁の間に位置して短手方向へ延びる略長方形の開口閉鎖パネル24(底蓋)とを有する。取付ベース13には、前後壁19,20と頂壁21と両側壁22,23とに囲繞された所定容積の収容スペース25が画成されている。
前壁19は、短手方向へ延びる第1設置部になり、後壁20は、第1設置部から長手方向後方へ所定寸法離間して短手方向へ延びる第2設置部になる。開口閉鎖パネル24は、両側壁22,23に連結手段(図示せず)によって着脱可能に連結されている。開口閉鎖パネル24を両側壁22,23に連結することで取付ベース13の下部開口26が閉鎖され、開口閉鎖パネル24を両側壁22,23から取り外すことで取付ベース13の下部開口26が開放される。アンビエント照明ユニット10Aの使用時では、開口閉鎖パネル24が第1および第2吹出口17,18の間に取り付けられ、開口閉鎖パネル24によって取付ベース13の第1および第2吹出口17,18を除く下部開口26が塞がれている。
取付ベース13の頂壁21には、給気ダクト(図示せず)を接続する接続ダクト27が取り付けられている。頂壁21には、前壁19から長手方向前方へ延びる略長方形の前方延出頂壁28と、後壁20から長手方向後方へ延びる略長方形の後方延出頂壁29とが連接されている。両側壁22,23には、前壁19から長手方向前方へ延びる平面扇形(四分の1の円)の前方延出側壁30が連接されているとともに、後壁20から長手方向後方へ延びる平面扇形(四分の1の円)の後方延出側壁31とが連接されている。
前壁19の下端と前方延出頂壁28の前端との間に延びる前方延出側壁30の周縁は、前壁19の下端から前方延出頂壁28の前端に向かって長手方向前方へ凸となるように円弧を画いている。後壁20の下端と後方延出頂壁29の後端との間に延びる後方延出側壁31の周縁は、後壁20の下端から後方延出頂壁29の後端に向かって長手方向後方へ凸となるように円弧を画いている。
第1照明器具14は、取付ベース13の前壁19(第1設置部)に設置されて短手方向へ延びる第1光源32と、第1光源32を覆って短手方向へ延びる第1照明カバー33とから形成されている。第1光源32には、短手方向へ延びる直管蛍光灯または短手方向へ延びる直管蛍光灯形のLED照明が使用されている。第1光源32は、スイッチ(図示せず)のON/OFFによって点灯または消灯する。なお、前壁19(第1光源32の後方)に反射板が取り付けられていてもよい。
第1照明カバー33は、取付ベース13の前壁19(第1設置部)に設置され、前壁19の下端(第1設置部の下方)から前方延出頂壁28の前端(第1設置部の上方)に向かって長手方向前方へ凸となるように円弧を画いている。第1照明カバー33は、前壁19の下端と前方延出頂壁28の前端と前方延出側壁30の周縁とに固定手段(図示せず)によって固定されている。第1照明カバー33は、白色の合成樹脂から作られているが、透明な合成樹脂から作られていてもよい。なお、第1照明カバー33の内周面に拡散板が取り付けられていてもよい。
第1照明カバー33は、その下端34から上端35に向かって90°で円弧を画いている。第1照明カバー33と前壁19と前方延出頂壁28とから作られる側面形状は、前方延出側壁28の平面形状と同一の扇形(四分の1の円)である。なお、第1照明カバー33がその下端34から上端35に向かって180°で円弧を画いていてもよく、第1照明カバー33がその下端34から上端35に向かって90°を超過し、かつ、180°未満の範囲で円弧を画いていてもよい。
第1照明器具14では、第1光源32から発せられた光が第1照明カバー33の略上半分から長手方向前方へ照射され、その光が室11の一方の端部の天井近傍に達する。第1照明カバー33のその下端34から上端35に向かって円弧を画く角度が90°未満では、第1光源32から発せられた光が室11の一方の端部の天井近傍に達することはなく、室11の天井近傍の高域空間を照らすことができない。第1照明カバー33がその下端34から上端35に向かって90°〜180°の範囲で円弧を画いているから、第1光源32から発せられた光が室11の一方の端部の天井近傍に達し、第1光源32によって室11の天井近傍の高域空間を照らすことができる。
第2照明器具15は、取付ベース13の後壁20(第2設置部)に設置されて短手方向へ延びる第2光源36と、第2光源36を覆って短手方向へ延びる第2照明カバー37とから形成されている。第2光源36には、短手方向へ延びる直管蛍光灯または短手方向へ延びる直管蛍光灯形のLED照明が使用されている。第2光源36は、第1光源32と連動しつつスイッチ(図示せず)のON/OFFによって点灯または消灯する。なお、後壁20(第2光源36の前方)に反射板が取り付けられていてもよい。
第2照明カバー37は、取付ベース13の後壁20(第2設置部)に設置され、後壁20の下端(第2設置部の下方)から後方延出頂壁29の後端(第2設置部の上方)に向かって長手方向後方へ凸となるように円弧を画いている。第2照明カバー37は、後壁20の下端と後方延出頂壁29の後端と後方延出側壁31の周縁とに固定手段(図示せず)によって固定されている。第2照明カバー37は、白色の合成樹脂から作られているが、透明な合成樹脂から作られていてもよい。なお、第2照明カバー37の内周面に拡散板が取り付けられていてもよい。第1および第2光源32,36の照度や輝度を調節する調光器がアンビエント照明ユニット10Aに設置されていてもよい。
第2照明カバー37は、その下端38から上端39に向かって90°で円弧を画いている。第2照明カバー37と後壁20と後方延出頂壁29とから作られる側面形状は、後方延出側壁31の平面形状と同一の扇形(四分の1の円)である。なお、第2照明カバー37がその下端38から上端39に向かって180°で円弧を画いていてもよく、第2照明カバー37がその下端38から上端39に向かって90°を超過し、かつ、180°未満の範囲で円弧を画いていてもよい。
第2照明器具15では、第2光源36から発せられた光が第2照明カバー37の略上半分から長手方向後方へ照射され、その光が室11の他方の端部の天井近傍に達する。第2照明カバー37のその下端38から上端39に向かって円弧を画く角度が90°未満では、第2光源36から発せられた光が室11の他方の端部の天井近傍に達することはなく、室11の天井近傍の高域空間を照らすことができない。第2照明カバー37がその下端38から上端39に向かって90°〜180°の範囲で円弧を画いているから、第2光源36から発せられた光が室11の他方の端部の天井近傍に達し、第2光源36によって室11の天井近傍の高域空間を照らすことができる。
吹出口モジュール16の第1吹出口17は、取付ベース13の前壁19の下端(第1設置部の下方)に着脱可能に作られて短手方向へ延びている。第1吹出口17は、第1照明カバー33の下端38から第1照明カバー33の外周面40に向かって空気を室内へ吹き出す。給気ダクトから吹出口モジュール16に給気された空調空気は、第1吹出口17から室内に給気される。
吹出口モジュール16の第2吹出口18は、取付ベース13の後壁20の下端(第2設置部の下方)に着脱可能に作られて短手方向へ延びている。第2吹出口18は、第2照明カバー37の下端38から第2照明カバー37の外周面41に向かって空気を室内に吹き出す。給気ダクトから吹出口モジュール16に給気された空調空気は、第2吹出口18から室内に給気される。
アンビエント照明ユニット10Aは、短手方向へ並ぶ複数のハンガー42および短手方向へ並ぶ複数本の吊りボルト43(吊り下げ手段)を利用して天井スラブ12から吊り下げることで天井スラブ12に設置されている。それらハンガー42は、取付ベース13に取り付けられている。それら吊りボルト43は、その下端部がハンガー42に螺着され、その上端部が天井スラブ12に螺着されている。
アンビエント照明ユニット10A(アンビエント照明ユニット10B,10Cを含む)は、ハンガー42および吊りボルト43(吊り下げ手段)を利用することで、取付ベース13を天井スラブ12(室11の上部スラブ)の所定の吊り下げ位置に容易に吊り下げることができ、アンビエント照明ユニット10Aを手間やコストを要せずに短時間で天井スラブ12に設置することができるとともに、不要になったアンビエント照明ユニット10Aを手間やコストを要せずに短時間で天井スラブ12から取り外すことができる。
図5は、空調空気の吹出口モジュール16を備えたアンビエント照明ユニット10Aが建物の室11の天井スラブ12に設置された照明システムS1の一例を示す側面図であり、図6は、長手方向から見た照明システムS1の一例を示す室内のパース図である。図5では、側壁22の図示を省略している。図6では、机やデスクライト46の図示を省略している。図5では、長手方向前方を矢印X1、長手方向後方を矢印X2で示し、下方を矢印Zで示す。図6では、長手方向を矢印X、短手方向を矢印Y、下方を矢印Zで示す。
照明システムS1は、短手方向へ一列に並ぶとともに、天井スラブ12(上部スラブ)の長手方向へ所定寸法離間して並ぶ複数のアンビエント照明ユニット10Aから形成されている。それらアンビエント照明ユニット10Aは、ハンガー42および吊りボルト43(吊り下げ手段)を利用して天井スラブ12から吊り下げられている。
それらアンビエント照明ユニット10Aは、天井スラブ12の長手方向へ延びる両側縁部の間に位置して短手方向へ延びている。それらアンビエント照明ユニット10Aは、床面44からの高さ(吊り下げ高さ)が同一であり、天井スラブ12に平行して設置されているとともに、長手方向前方から後方に向かって隣り合うそれらアンビエント照明ユニット10Aどうしが互いに平行して並んでいる。
なお、各アンビエント照明ユニット10Aの長手方向への離間寸法やアンビエント照明ユニット10Aの数に特に制限はなく、室11の長手方向の寸法(奥行き)や室11の高さ、室11に求められる明るさ等の各種の条件によってアンビエント照明ユニット10Aの長手方向への離間寸法や数を適宜決定することができる。
照明システムS1では、長手方向へ所定寸法離間して並ぶそれらアンビエント照明ユニット10Aが室11(天井スラブ12)の天井面を形成している。照明システムS1は、それらアンビエント照明ユニット10Aを天井面として利用することができるから、室11の天井スラブ12に野縁や野縁受けを設置する必要や野縁に天井ボードを設置する必要はなく、室11に天井面を容易に構築することができる。
スイッチをONにすると、第1および第2光源32,36(第1および第2照明器具14,15)が点灯する。第1光源32が点灯すると、第1照明カバー33が前壁19の下端(第1設置部の下方)から前方延出頂壁28の前端(第1設置部の上方)に向かって長手方向前方へ凸となるように円弧を画いているから、図5に矢印Zで示すように、第1光源32から発せられた光が第1照明カバー33の略下半分から下方(鉛直方向)へ照射されるとともに、図5に矢印X1で示すように、第1光源32から発せられた光が第1照明カバー33の略上半分から長手方向前方(水平方向)へ照射される。第1光源32から発せられた光は、矢印Zで示す下方(鉛直方向)と矢印X1で示す長手方向前方(水平方向)との間の斜め方向へも照射される。
第2光源36が点灯すると、第2照明カバー37が後壁20の下端(第2設置部の下方)から後方延出頂壁29の後端(第2設置部の上方)に向かって長手方向後方へ凸となるように円弧を画いているから、図5に矢印Zで示すように、第2光源36から発せられた光が第2照明カバー37の略下半分から下方(鉛直方向)へ照射されるとともに、図5に矢印X1で示すように、第2光源36から発せられた光が第2照明カバー37の略上半分から長手方向後方(水平方向)へ照射される。第2光源36から発せられた光は、矢印Zで示す下方(鉛直方向)と矢印X2で示す長手方向後方(水平方向)との間の斜め方向へも照射される。
照明システムS1では、それらアンビエント照明ユニット10Aの第1および第2光源32,36から発せられた光が室11の中域空間や底域空間を照らすとともに、第1および第2光源32,36から発せられた光が室11の天井近傍の高域空間を照らす。図5の照明システムS1では、アンビエント照明ユニット10Aの直下に事務机45が設置され、その事務机45にタスク用照明となるデスクライト46が載置されており、アンビエント照明ユニット10Aとデスクライト46とからタスク・アンビエント照明が形成されている。
照明システムS1では、空調装置によって作られた空調空気が給気ダクトからそれらアンビエント照明ユニット10Aに給気されている。給気ダクトから各照明ユニット10Aに給気された空調空気は、吹出口モジュール16の第1吹出口17から室内に吹き出されるとともに、第2吹出口18から室内に吹き出される。第1吹出口17から吹き出された空調空気は、図5に矢印X3で示すように、第1照明カバー33の下端34から第1照明カバー33の外周面40に向かって吹き出され、第1照明カバー33の円弧を画く外周面40に沿って流動するコアンダ効果により、第1照明カバー33の外周面40に沿って流動しつつ、天井近傍の高域空間を伝って室内の長手方向前方へ次第に拡散する。
第2吹出口18から吹き出された空調空気は、図5に矢印X4で示すように、第2照明カバー37の下端38から第2照明カバー37の外周面41に向かって吹き出され、第2照明カバー37の円弧を画く外周面41に沿って流動するコアンダ効果により、第2照明カバー37の外周面41に沿って流動しつつ、天井近傍の高域空間を伝って室内の長手方向後方へ次第に拡散する。
照明システムS1(アンビエント照明ユニット10A)は、ユニット10Aの第1照明器具14の第1照明カバー33が取付ベース13の前壁19(第1設置部)の下方から上方に向かって長手方向前方へ凸となるように円弧を画くとともに第1光源32を覆って短手方向へ延びており、ユニット10Aの第2照明器具15の第2照明カバー37が取付ベース13の後壁20(第2設置部)の下方から上方に向かって長手方向前方へ凸となるように円弧を画くとともに第2光源36を覆って短手方向へ延びているから、第1光源32から発せられた光が第1照明カバー33の略上半分から長手方向前方へ照射され、第2光源36から発せられた光が第2照明カバー37の略上半分から長手方向後方へ照射され、第1および第2光源32,36から発せられた光が室11の天井近傍の高域空間を照らすことで、天井近傍における高域空間を明るくすることができ、室内全域を明るい雰囲気にすることができる。
照明システムS1(アンビエント照明ユニット10A)は、居住者が室11の一方の端部から長手方向後方に向かって室内を見たときに、図6に示すように、第1照明カバー33の略上半分から長手方向前方へ照射された光によって室11の天井近傍の高域空間が明るく見えるから、天井近傍の高域空間と室内の中域空間や低域空間との明暗の差を小さくすることができ、居住者にストレスを与えることがない。また、居住者が室11の他方の端部から長手方向前方に向かって室内を見たときに、第2照明カバー37の略上半分から長手方向後方へ照射された光によって室11の天井近傍の高域空間が明るく見えるから、天井近傍の高域空間と室内の中域空間や低域空間との明暗の差を小さくすることができ、居住者にストレスを与えることがない。
照明システムS1(アンビエント照明ユニット10A)は、円弧を画く第1および第2照明カバー33,37を介して第1および第2光源32,36から発せられた光が第1および第2照明カバー33,37の外周面全域から満遍なく照射されるから、柔らかい明るさ感を演出することができ、明るさ感指標を向上させることができる。照明システムS1(アンビエント照明ユニット10A)は、円弧を画く第1および第2照明カバー33,37の略下半分から下方に照射された光が室11の中域空間や低域空間を照らし、その光がアンビエント照明になるから、アンビエント照明ユニットの下方にデスクライト46(タスク用照明)を設置することにより、容易にタスク・アンビエント照明を実現することができ、室11の居住者の快適性を損なうことを抑えながら、室内照明の省エネ化を図ることができる。
照明システムS1(アンビエント照明ユニット10A)は、第1および第2吹出口17,18から吹き出された空気が第1および第2照明カバー33,37の円弧を画く外周面40,41に沿って流動するコアンダ効果が生じ、第1および第2照明カバー33,37の外周面40,41に沿って流動した空気が室11の天井近傍の高域空間を伝って室内の長手方向前方と長手方向後方とへ次第に拡散するから、室内に給気された空気を室内全域に満遍なく行き渡らせることができる。照明システムS1(アンビエント照明ユニット10A)は、第1および第2吹出口17,18から吹き出された空気が室11の居住者に直接当たることはなく、空気が居住者に直接当たることによる不快感を防ぐことができる。
図7は、他の一例として示す空調モジュール47を備えたアンビエント照明ユニット10Bの側面図であり、図8は、冷房時における第1および第2フラップ50,51の状態を示すアンビエント照明ユニット10Bの側面図である。図9は、暖房時における第1および第2フラップ50,51の状態を示すアンビエント照明ユニット10Bの側面図であり、図10は、空調モジュール47を備えたアンビエント照明ユニット10Bが室11の天井スラブ12に設置された照明システムS2の一例を示す側面図である。図7,10では側壁22の図示を省略している。図8,9では、側壁22および空調モジュール47の冷媒コイルの図示を省略している。図10では、長手方向前方を矢印X1、長手方向後方を矢印X2で示し、下方を矢印Zで示す。
このアンビエント照明ユニット10Bが図1のアンビエント照明ユニット10Aと異なるところは、取付ベース13の収容スペース25に吹出口モジュール16が取り付けられておらず、取付ベース13の収容スペース25に空調モジュール47が設置されている点、取付ベース13の収容スペース25に第1空気流路48と第2空気流路49とが作られている点、取付ベース13の収容スペース25に第1フラップ50と第2フラップ51とが設置されている点にある。アンビエント照明ユニット10Bのその他の構成は図1のアンビエント照明ユニット10Aのそれらと同一であるから、その他の構成についての図1の説明を援用するとともに、図1と同一の符号を付すことで、このアンビエント照明ユニット10Bにおけるその他の構成の詳細な説明は省略する。
アンビエント照明ユニット10Bは、建物の室11の天井スラブ12に設置されて建物の室内を照らすアンビエント照明に使用されるとともに、空調モジュール47によって作られた空調空気を室内に給気する給気ユニットとして使用される。アンビエント照明ユニット10Bは、短手方向へ延びる取付ベース13と、取付ベース13に取り付けられて短手方向へ延びる第1照明器具14および第2照明器具15と、空調モジュール47と、第1吹出口17および第2吹出口18と、第1空気流路48および第2空気流路49と、第1フラップ50および第2フラップ51とから形成されている。取付ベース13や第1および第2照明器具14,15は、図1のアンビエント照明ユニット10Aのそれらと同一である。なお、アンビエント照明ユニット10Bでは、取付ベース13の下部開口26に開口閉鎖パネル24が設置されていない。
空調モジュール47は、前壁19(第1設置部)と後壁20(第2設置部)との間の収容スペース25に着脱可能に設置(内蔵)されている。なお、取付ベース13の頂壁21に給気ダクト(図示せず)を接続する接続ダクト27が取り付けられ、給気ダクトから給気された外気が空調モジュール47に流入する。空調モジュール47は、空気取入口から室内空気を取り入れ、冷媒コイルによって室内空気の温度や湿度を調節(空調)して空調空気を作り、その空調空気と外気との混合空気を空気給気口から第1および第2空気流路48,49に給気する。
第1吹出口17は、取付ベース13の前壁19の下端(第1設置部の下方)に着脱可能に作られて短手方向へ延びている。第1吹出口17は、第1照明カバー33の下端34から第1照明カバー33の外周面40に向かって空気を吹き出す。第1空気流路48は、取付ベース13の前壁19の直後に着脱可能に作られている。第1空気流路48は、その下端部が第1吹出口17につながり、その上部が空調モジュール47の空気給気口につながっている。空調モジュール47によって作られた空調空気と外気との混合空気は、第1空気流路48を通って第1吹出口17から室内に給気される。
第2吹出口18は、取付ベース13の後壁20の下端(第2設置部の下方)に着脱可能に作られて短手方向へ延びている。第2吹出口18は、第2照明カバー37の下端38から第2照明カバー37の外周面41に向かって空気を吹き出す。第2空気流路49は、取付ベース13の後壁20の直後に着脱可能に作られている。第2空気流路49は、その下端部が第2吹出口18につながり、その上部が空調モジュール47の空気給気口につながっている。空調モジュール47によって作られた空調空気と外気との混合空気は、第2空気流路49を通って第2吹出口18から室内に給気される。
第1フラップ50は、第1吹出口17近傍の第1空気流路48に着脱可能に設置されている。第1フラップ50は、長手方向前方(水平方向)と下方(鉛直方向)とへ旋回可能であり、第1吹出口17から吹き出される空調空気(混合空気)の吹出方向を前壁19(第1設置部)の下方(鉛直方向)と長手方向前方(水平方向)との間で変更する。第2フラップ51は、長手方向後方(水平方向)と下方(鉛直方向)とへ旋回可能であり、第2吹出口18近傍の第2空気流路49に着脱可能に設置されている。第2フラップ51は、第2吹出口18から吹き出される空調空気(混合空気)の吹出方向を後壁20(第2設置部)の下方(鉛直方向)と長手方向前方(水平方向)との間で変更する。
取付ベース13から空調モジュール47(第1および第2空気流路48,49、第1および第2吹出口17,18、冷媒コイル)および第1および第2フラップ50,51を取り外すことができる。第1および第2フラップ50,51を長手方向へ旋回させると、図8に矢印X3,X4で示すように、冷房時における空調空気(混合空気)が第1吹出口17から第1照明カバー33の外周面40に向かって吹き出されて長手方向前方へ向かって流動し、空調空気(混合空気)が第2吹出口18から第2照明カバー37の外周面41に向かって吹き出されて長手方向後方へ向かって流動する。
アンビエント照明ユニット10Bは、室11の冷房時に第1および第2フラップ50,51を利用して冷房空気の吹出方向を長手方向前方と長手方向後方とへ向けることで、第1および第2吹出口17,18から吹き出された空気が第1および第2照明カバー33,37の円弧を画く外周面40,41に沿って流動するコアンダ効果が生じるから、第1および第2照明カバー33,37の外周面40,41に沿って流動した冷房空気が天井近傍の高域空間を伝って室11の長手方向前方と長手方向後方とへ次第に拡散し、冷房空気を室内全域に満遍なく行き渡らせることができる。
第1および第2フラップ50,51を下方へ旋回させると、図9に矢印X5,X6で示すように、暖房時における空調空気(混合空気)が第1吹出口17から床面44に向かって吹き出されるとともに、第2吹出口18から床面44に向かって吹き出される。アンビエント照明ユニット10Bは、室11の暖房時に第1および第2フラップ50,51を利用して暖房空気の吹出方向を下方に向けることで、天井近傍の高域空間における暖房空気の停滞を防ぐことができ、室11の中域空間や低域空間を確実に暖房することができる。
図10に示す照明システムS2は、短手方向へ一列に並ぶとともに、天井スラブ12の長手方向へ所定寸法離間して並ぶ複数のアンビエント照明ユニット10Bから形成されている。なお、図10では、第1および第2フラップ50,51が長手方向へ旋回しているものとする。それらアンビエント照明ユニット10Bは、ハンガー42および吊りボルト43(吊り下げ手段)を利用して天井スラブ12から吊り下げられ、室11(天井スラブ12)の天井面を形成している。それらアンビエント照明ユニット10Bは、天井スラブ12の長手方向へ延びる両側縁部の間に位置して短手方向へ延びている。アンビエント照明ユニット10Bは、床面44からの高さ(吊り下げ高さ)が同一であり、天井スラブ12に平行して設置されているとともに、長手方向前方から後方に向かって隣り合うユニット10Bどうしが互いに平行して並んでいる。
スイッチをONにして第1光源32および第2光源36が点灯すると、それらアンビエント照明ユニット10Bの第1光源32から発せられた光が第1照明カバー33の略下半分から下方(鉛直方向)へ照射されるとともに第1照明カバー33の略上半分から長手方向前方(水平方向)へ照射され、それらアンビエント照明ユニット10Bの第2光源36から発せられた光が第2照明カバー37の略下半分から下方(鉛直方向)へ照射されるとともに第2照明カバー37の略上半分から長手方向後方(水平方向)へ照射される。第1および第2光源32,36から発せられた光は斜め方向へも照射される。
照明システムS2では、それらアンビエント照明ユニット10Bの第1および第2光源32,36から発せられた光が室11の中域空間や底域空間を照らすとともに、第1および第2光源32,36から発せられた光が室11の天井近傍の高域空間を照らす。図10に示す照明システムS2では、アンビエント照明ユニット10Bの直下に事務机45が設置され、その事務机45にタスク用照明となるデスクライト46が載置されており、アンビエント照明ユニット10Bとデスクライト46とからタスク・アンビエント照明が形成されている。
照明システムS2では、室内の空気が空調モジュール47の空気取入口から空調モジュール47に流入し、室内の空気の温度や湿度が空調モジュール47によって調節され、温度や湿度が調節された空調空気(冷房空気)と外気との混合空気が空気給気口から第1および第2空気流路48,49に給気される。空調空気(混合空気)は、第1空気流路48を通って第1吹出口17から室内に吹き出されるとともに、第2空気流路49を通って第2吹出口18から室内に吹き出される。
第1吹出口17から吹き出された空調空気(混合空気)は、図10に矢印X3で示すように、第1照明カバー33の下端34から第1照明カバー33の外周面40に向かって吹き出され、第1照明カバー33の円弧を画く外周面40に沿って流動するコアンダ効果により、第1照明カバー33の外周面40に沿って流動しつつ、室11の天井近傍の高域空間を伝って室11の長手方向前方へ次第に拡散する。
第2吹出口18から吹き出された空調空気(混合空気)は、図10に矢印X4で示すように、第2照明カバー37の下端38から第2照明カバー37の外周面41に向かって吹き出され、第2照明カバー37の円弧を画く外周面41に沿って流動するコアンダ効果により、第2照明カバー37の外周面41に沿って流動しつつ、室11の天井近傍の高域空間を伝って室11の長手方向後方へ次第に拡散する。
照明システムS2(アンビエント照明ユニット10B)は、照明システムS1(アンビエント照明ユニット10A)が有する効果に加え、以下の効果を有する。照明システムS2(アンビエント照明ユニット10B)は、空調モジュール47によって作られた空調空気(混合空気)が第1および第2照明カバー33,37の円弧を画く外周面40,41に沿って流動するコアンダ効果が生じ、第1および第2照明カバー33,37の外周面40,41に沿って流動した空調空気(混合空気)が室11の天井近傍の高域空間を伝って室11の長手方向前方と長手方向後方とへ次第に拡散するから、室11に給気された空調空気(混合空気)を室内全域に満遍なく行き渡らせることができる。
照明システムS2(アンビエント照明ユニット10B)は、空調モジュール47によって作られた空調空気(冷房空気)と外気との混合空気が第1および第2吹出口17,18から室11の居住者に直接当たることはなく、空調空気(混合空気)が居住者に直接当たることによる不快感を防ぐことができる。照明システムS2(アンビエント照明ユニット10B)は、取付ベース13の前後壁19,20(第1および第2設置部)の間の収容スペース25に設置された空調モジュール47によって空調空気(混合空気)を作ることができるから、照明ユニット10B単独で空調空気(混合空気)を給気することができ、空調装置や給気ダクトを別途施設する必要はなく、空調設備をコンパクトかつ廉価に構築することができる。
図11は、他の一例として示すセンサ設置用モジュール56を備えたアンビエント照明ユニット10Cの側面図であり、図12は、センサ設置用モジュール56を備えたアンビエント照明ユニット10Cが室11の天井スラブ12に設置された照明システムS3の一例を示す側面図である。図11では、側壁22の図示を省略し、火災報知器53が接続された火災報知設備やスプリンクラーヘッド54が接続されたスプリンクラー設備の図示を省略している。図12では、長手方向前方を矢印X1、長手方向後方を矢印X2で示し、下方を矢印Zで示す。
このアンビエント照明ユニット10Cが図1のアンビエント照明ユニット10Aと異なるところは、取付ベース13の収容スペース25に吹出口モジュール16が取り付けられておらず、取付ベース13の収容スペース25に予備照明器具52が設置されている点、火災報知器53(センサモジュール)およびスプリンクラーヘッド54(センサモジュール)を取り付けたセンサ設置用モジュール56が取付ベース13の収容スペース25に設置されている点にある。アンビエント照明ユニット10Cのその他の構成は図1の照明ユニット10Aのそれらと同一であるから、その他の構成についての図1の説明を援用するとともに、図1と同一の符号を付すことで、この照明ユニット10Cにおけるその他の構成の詳細な説明は省略する。
アンビエント照明ユニット10Cは、建物の室11の天井スラブ12に設置されて建物の室内を照らすアンビエント照明に使用されるとともに、火災報知器53によって室内の火災を検知し、スプリンクラーヘッド54によって室内に消火用の水を散布する。アンビエント照明ユニット10Cは、短手方向へ延びる取付ベース13と、取付ベース13に取り付けられて短手方向へ延びる第1照明器具14および第2照明器具15と、取付ベース13の収容スペース25に設置された一対の予備照明器具52と、火災報知器53およびスプリンクラーヘッド54が取り付けられて取付ベース13の収容スペース25に設置されたセンサ設置用モジュール56とから形成されている。取付ベース13や第1および第2照明器具14,15は、図1のアンビエント照明ユニット10Aのそれらと同一である。それら予備照明器具52の間には開口閉鎖パネル24が取り付けられ、開口閉鎖パネル24によって取付ベース13の下部開口26が塞がれている。
一方の予備照明器具52は、取付ベース13の収容スペース25における前壁19の下端(第1設置部の下方)に着脱可能に設置されて短手方向へ延びている。他方の予備照明器具52は、取付ベース13の収容スペース25における後壁20の下端(第2設置部の下方)に着脱可能に設置されて短手方向へ延びている。それら予備照明器具52は、短手方向へ延びる光源(図示せず)と光源を覆う白色または透明の照明カバー55とから形成されている。それら予備照明器具52の光源には、短手方向へ延びる直管蛍光灯または短手方向へ延びる直管蛍光灯形のLED照明が使用されている。それら予備照明器具52の光源は、スイッチ(図示せず)のON/OFFによって点灯または消灯する。
火災報知器53は、センサ設置用モジュール56の開口閉鎖パネル24に着脱可能に設置され、室内側に露出している。スプリンクラーヘッド54は、センサ設置用モジュール56の開口閉鎖パネル24に着脱可能に設置され、室内側に露出している。アンビエント照明ユニット10Cでは、予備照明器具52と火災報知器53およびスプリンクラーヘッド54とのうちのいずれか1つがセンサ設置用モジュール56の開口閉鎖パネル24に設置されていてもよい。
アンビエント照明ユニット10Cでは、火災報知器53やスプリンクラーヘッド54の他に、または、火災報知器53やスプリンクラーヘッド54とともに、光感知センサ(センサモジュール)や人感センサ(センサモジュール)、スピーカー(センサモジュール)、カメラ(センサモジュール)のうちの少なくとも1つがセンサ設置用モジュール56に設置されていてもよい。光感知センサは、室内の照度や輝度等を検出し、第1および第2照明器具14,15の第1および第2光源32,36の調光に利用される。人感センサは、室内における居住者の有無を検出し、第1および第2照明器具14,15の第1および第2光源32,36のON/OFFに利用される。スピーカーは、室内に音を発する。カメラは、室内の様子を撮影する。
図12に示す照明システムS3は、短手方向へ一列に並ぶとともに、天井スラブ12の長手方向へ所定寸法離間して並ぶ複数のアンビエント照明ユニット10Cから形成されている。なお、それらアンビエント照明ユニット10Cは、ハンガー42および吊りボルト43(吊り下げ手段)を利用して天井スラブ12から吊り下げられ、室11(天井スラブ12)の天井面を形成している。それらアンビエント照明ユニット10Cは、天井スラブ12の長手方向へ延びる両側縁部の間に位置して短手方向へ延びている。アンビエント照明ユニット10Cは、床面44からの高さ(吊り下げ高さ)が同一であり、天井スラブ12に平行して設置されているとともに、長手方向前方から後方に向かって隣り合うユニット10Cどうしが互いに平行して並んでいる。
スイッチをONにして第1および第2照明器具14,15の第1光源32および第2光源36が点灯すると、それらアンビエント照明ユニット10Cの第1光源32から発せられた光が第1照明カバー33の略下半分から下方(鉛直方向)へ照射されるとともに第1照明カバー33の略上半分から長手方向前方(水平方向)へ照射され、それらアンビエント照明ユニット10Cの第2光源36から発せられた光が第2照明カバー33の略下半分から下方(鉛直方向)へ照射されるとともに第2照明カバー33の略上半分から長手方向後方(水平方向)へ照射される。第1および第2光源32,36から発せられた光は斜め方向へも照射される。スイッチをONにしてそれら予備照明器具52の光源が点灯すると、それら予備照明器具52から発せられた光が取付ベース13の下方へ照射される。
照明システムS3では、それらアンビエント照明ユニット10Cの第1および第2照明器具14,15の第1および第2光源32,36から発せられた光が室11の中域空間や底域空間を照らし、第1および第2光源32,36から発せられた光が室11の天井近傍の高域空間を照らすとともに、それら予備照明器具52から発せられた光が取付ベース13の直下を照らす。図12に示す照明システムS3では、アンビエント照明ユニット10Cの第1および第2照明器具14,15がアンビエント照明になり、それら予備照明器具52がタスク照明になるから、第1および第2照明器具14,15と予備照明器具52とからタスク・アンビエント照明が形成されている。
照明システムS3(アンビエント照明ユニット10C)は、照明システムS1(アンビエント照明ユニット10A)が有する効果に加え、以下の効果を有する。照明システムS3(アンビエント照明ユニット10C)は、予備照明器具52がタスク用照明として利用されることで容易にタスク・アンビエント照明を実現することができ、室11の中域空間や低域空間における明るさを設計照度に保持することができるとともに、室内照明の省エネ化を図ることができる。照明システムS3(アンビエント照明ユニット10C)は、火災報知器53が室内に発生した火災を検知することで、火災の発生を外部に知らせることができ、スプリンクラーヘッド54から放出される水によって室内に発生した火災を消火することができる。
照明システムS3(アンビエント照明ユニット10C)は、各種のセンサモジュールをセンサ設置用モジュール56に設置することで、それらセンサモジュールのセンサ機能を利用して室内の要求仕様を満たすことができ、居住空間の有益性や利便性を向上させることができる。なお、センサ設置用モジュール56に光感知センサが設置されている場合、光感知センサによって測定された照度や輝度等によって第1および第2照明器具14,15の第1および第2光源32,36や予備照明器具52の光源を自動的に調光することができ、センサ設置用モジュール56に人感センサが設置されている場合、人感センサによって人の存在を検出することで、第1および第2照明器具14,15の第1および第2光源32,36や予備照明器具52の光源を自動的にON/OFFすることができる。また、センサ設置用モジュール56にスピーカーが設置されている場合、スピーカーによって必要事項を室内の居住者に知らせることができ、センサ設置用モジュール56にカメラが設置されている場合、室内の様子をカメラが捉えることで、室内の防犯を図ることができる。
図13は、空調モジュール47を備えたアンビエント照明ユニット10Bおよびセンサ設置用モジュール56を備えたアンビエント照明ユニット10Cが室11の天井スラブ12に設置された照明システムS4の一例を示す側面図である。図13では、長手方向前方を矢印X1、長手方向後方を矢印X2で示し、下方を矢印Zで示す。
図13に示す照明システムS4は、複数のアンビエント照明ユニット10B(第1アンビエント照明ユニット)と複数のアンビエント照明ユニット10C(第2アンビエント照明ユニット)とから形成されている。照明システムS4では、アンビエント照明ユニット10Bとアンビエント照明ユニット10Cとが混在した状態で、照明ユニット10Bおよび照明ニット10Cが天井スラブ12の長手方向へ所定寸法離間して並んでいる。照明システムS4では、アンビエント照明ユニット10Bとアンビエント照明ユニット10Cとが長手方向へ交互に並ぶ場合、または、照明ユニット10Bと照明ユニット10Cとが長手方向へランダムに並ぶ場合がある。
それらアンビエント照明ユニット10Bやアンビエント照明ユニット10Cは、ハンガー42および吊りボルト43(吊り下げ手段)を利用して天井スラブ12から吊り下げられ、室11(天井スラブ12)の天井面を形成している。照明ユニット10Bや照明ユニット10Cは、天井スラブ12の長手方向へ延びる両側縁部の間に位置して短手方向へ延びている。照明ユニット10Bや照明ユニット10Cは、床面44からの高さ(吊り下げ高さ)が同一であり、天井スラブ12に平行して設置されているとともに、長手方向前方から後方に向かって隣り合うユニット10B,10Cどうしが互いに平行して並んでいる。
照明システムS4では、図1のアンビエント照明ユニット10A、図7のアンビエント照明ユニット10B、図11のアンビエント照明ユニット10Cから選択された少なくとも2つのアンビエント照明ユニット(第1および第2アンビエント照明ユニット)が混在した状態で、アンビエント照明ユニットが長手方向へ所定寸法離間して並んでいればよい。
照明システムS4は、照明システムS1(アンビエント照明ユニット10A)の効果と照明システムS2(アンビエント照明ユニット10B)の効果と照明システムS3(アンビエント照明ユニット10C)の効果とを有するとともに、以下の効果を有する。照明システムS4は、空調空気の給気が必要であって予備照明器具52やセンサモジュールが不要な居住空間の天井スラブ12に第1および第2吹出口17,18(第1および第2空気流路48,49)と空調モジュール47とを備えたアンビエント照明ユニット10B(第1アンビエント照明ユニット)を設置することで、その居住空間に空調空気を給気することができ、予備照明器具52やセンサモジュールが必要であって空調空気の給気が不要な居住空間の天井スラブ12に予備照明器具52や各種のセンサモジュールを備えたアンビエント照明ユニット10C(第2アンビエント照明ユニット)を設置することで、室11の各居住空間の目的や各居住空間の用途、各居住空間の有益性の向上、各居住空間の利便性の向上等に対応することができる。
それら照明システムS1〜S4(アンビエント照明ユニット10A〜10C)では、吹出口モジュール16や空調モジュール47、センサ設置用モジュール56(第1および第2吹出口17,18、第1および第2空気流路48,49、予備照明器具52、各種のセンサモジュール(火災報知器53、スプリンクラーヘッド54、光感知センサ、人感センサ、スピーカー、カメラ))が取付ベース13に着脱可能に設置されており、取付ベース13においてそれらを他のそれらと交換可能である。
それら照明システムS1〜S4(アンビエント照明ユニット10A〜10C)は、吹出口モジュール16や空調モジュール47、センサ設置用モジュール56(第1および第2吹出口17,18、第1および第2空気流路48,49、予備照明器具52、各種のセンサモジュール)を取付ベース13に交換可能に設置することで、室11の各居住空間の目的や各居住空間の用途、各居住空間の有益性の向上、各居住空間の利便性の向上等に応じてそれらを随時入れ替えることができ、アンビエント照明を構築しつつ各居住空間の目的や各居住空間の用途、各居住空間の有益性の向上、各居住空間の利便性の向上等にすみやかに対処することができる。