JP6754966B2 - 始原生殖細胞の培養方法及び始原生殖細胞の培養用培地添加物 - Google Patents

始原生殖細胞の培養方法及び始原生殖細胞の培養用培地添加物 Download PDF

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Description

本発明は、始原生殖細胞の培養方法及び始原生殖細胞の培養用培地添加物に関する。
ニワトリ等の鳥類では、一羽から1個しか受精卵(一細胞期受精卵)が得られない。しかも受精卵が卵管にあるため、遺伝子組換え等の遺伝子操作で改変された鳥類を作成することが困難であった。そこで、鳥類の改変研究では、生殖細胞へ分化することのできる始原生殖細胞(Primordial Germ Cell、以下単に「PGC」ともいう)に対して遺伝子操作が行われてきた。
遺伝子操作の標的とするPGCは、例えば、非特許文献1に開示されたように、buffalo rat liver(BRL)細胞等の支持細胞を用いて培養することができる。また、非特許文献2には、塩基性線維芽細胞増殖因子を含む培地を用いた、支持細胞を使用しない培養方法が報告されている。
Daichi Miyahara、外8名、「Culture Conditions for Maintain Propagation,Long−term Survival and Germline Transmission of Chicken Primordial Germ Cell−Like Cells」、Journal of Poultry Science、2014年、51、87−95 Jin Won Choi、外8名、「Basic Fibroblast Growth Factor Activates MEK/ERK Cell Signaling Pathway and Stimulates the Proliferation of Chicken Primordial Germ Cells」、PLoSOne、2010年、5(9)、e12968
しかし、非特許文献1に開示された支持細胞を用いた培養方法の場合、支持細胞の動物種がPGCの動物種と異なる異種細胞となるため、コンタミネーションが避けられなかった。また、非特許文献2に開示された支持細胞を使用しない培養方法では、PGCを安定に増殖させられず、効率が良くないという不都合があった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、支持細胞を使用せずに極めて簡便かつ安定に始原生殖細胞を増殖させることができる始原生殖細胞の培養方法及び始原生殖細胞の培養用培地添加物を提供することを目的とする。
ニワトリ及びマウス等のPGCは、発生早期から血流に乗って生殖隆起へ移動する。移動の間に本来の経路から外れてしまったPGC、及び生殖隆起に到達してもストローマ細胞と細胞間シグナルをやりとりできなかったPGCは速やかにアポトーシスする。当該知見に着目した本発明者は鋭意研究を重ね、本発明を完成させた。すなわち、本発明の第1の観点に係る始原生殖細胞の培養方法は、
スパーゼ阻害剤を含む培地で始原生殖細胞を培養する培養ステップを含む。
また、前記カスパーゼ阻害剤は、
zVAD−FMKである、
こととしてもよい。
また、前記培養ステップで培養する始原生殖細胞は、
鳥類の初期胚の胚血液から分離される始原生殖細胞である、
こととしてもよい。
本発明の第2の観点に係る始原生殖細胞の培養用培地添加物は、
スパーゼ阻害剤を含む。
本発明によれば、支持細胞を使用せずに極めて簡便かつ安定に始原生殖細胞を増殖させることができる。
精製したPGCの顕微鏡画像を示す図である。(A)は培養開始直後のPGCを示す図である。(B)は45日間培養後のPGCを示す図である。 アポトーシス阻害剤存在下でのPGCの増殖活性を示す図である。 長期培養したPGCにおけるNanog及びCvhの発現と核の局在を示す図である。 長期培養したPGCの生殖腺への移動能アッセイの結果を示す図である。 ニワトリ肝細胞‐馴化培地を含む培地におけるPGCの増殖活性を示す図である。
本発明に係る実施の形態について説明する。なお、本発明は下記の実施の形態及び図面によって限定されるものではない。
(実施の形態)
本実施の形態に係るPGCの培養方法は、アポトーシス阻害剤を含む培地でPGCを培養する培養ステップを含む。本実施の形態では、ニワトリのPGCを例に培養方法を説明する。培養するニワトリのPGCは、特に限定されないが、例えば、Eyal−Giladi and Kochavの発生ステージ(I〜XIV)のステージXの胚盤葉上層に含まれる。ニワトリの胚盤葉は、ニワトリの受精卵から公知の方法で分離できる。
好適には、PGCは、ニワトリの初期胚の胚血液から分離される。初期胚の胚血液は、孵卵開始から48〜60時間、好ましくは50〜58時間、特に好ましくは55時間経過後の受精卵から採取できる。特に、ニワトリの初期胚の胚血液は、Hamburger−Hamilton(HH)ステージ13〜15のニワトリ胚から採取するのが好ましい。
PGCは、例えば、密度勾配遠心法により胚血液から単離精製できる。密度勾配遠心法では、高濃度の密度勾配遠心分離媒体を含む培地、該培地よりも低濃度の密度勾配遠心分離媒体を含む培地に続いて、胚血液を含む培地の順に遠沈管内に重層し、該遠沈管を遠心する。遠心によって、高濃度の密度勾配遠心分離媒体を含む培地と低濃度の密度勾配遠心分離媒体を含む培地との界面にPGCが分離される。したがって、界面の培地を回収することでPGCを精製できる。
上記ニワトリの種類は特に限定されず、例えば、White Leghorn、Brown Leghorn、Barred Rock、Sussex、New Hampshire、Rhode Island、Ausstralorp、Minorca、Amrox、California Gray、Italian Partidge colored及びKorean Oge等が挙げられる。
アポトーシス阻害剤は、アポトーシスを阻害できれば特に限定されない。アポトーシスの阻害では、例えば、アポトーシスシグナル経路に関与する酵素等を阻害すればよい。特に細胞間接着を失った単一細胞におけるアポトーシスシグナル経路の阻害が好ましい。アポトーシス阻害剤は、例えば、ミオシンII阻害剤、Rhoキナーゼ(Rho−associated protein kinase、以下単に「ROCK」ともいう)阻害剤及びカスパーゼ阻害剤等である。
ミオシンII阻害剤としては、ブレビスタチン等が好ましい。ROCK阻害剤としては、Y−27632、H1152及びリパスジル等が好ましい。カスパーゼ阻害剤としては、zVAD−FMK等が好ましい。
培養ステップでは、例えば、アポトーシス阻害剤を添加した培地でPGCを培養すればよい。アポトーシス阻害剤の培地における濃度は、特に限定されないが、0.01μM以上100μM以下、0.1μM以上20μM以下、又は0.5μM以上10μM以下が好ましい。
アポトーシス阻害剤として、好ましくはブレビスタチンが用いられる。ブレビスタチンの培地における濃度は、0.15μM以上12μM以下、好ましくは2μM以上11μM以下、特に好ましくは、2.5μM以上10.0μM以下である。好適には、ブレビスタチンの培地における濃度は、5.0μMである。
上記培地の組成は、PGCを培養できれば特に限定されない。例えば培地は、ラット、ニワトリ等の肝細胞の馴化培地及びダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s modified eagle medium、以下単に「DMEM」ともいう)に、ニワトリ血清、各種アミノ酸、幹細胞用試薬及び線維芽細胞増殖因子(Fibroblast growth factor、以下単に「FGF」ともいう)等を含む。
好ましくは、FGFは培地中で徐放されるように培地に加えられる。FGFを培地中で徐放させるには、例えば、乳酸とグリコール酸との共重合体であるPLGA等のポリマーにFGFを封入すればよい。PLGAポリマーに封入されたFGFは、所定期間、持続的に培地中に徐放されるため、FGFが培地に安定的に供給される。
本実施の形態に係る培養方法では、支持細胞ではなく、細胞基底膜様の基材上でPGCを培養できる。当該基材としては、例えば、細胞外マトリックスタンパク質を含む基材及びゼラチンが挙げられる。好ましくは、当該基材には、ラミニン、コラーゲンIV、エンタクチン及びヘパラン硫酸プロテオグリカン、TGF−β、FGF及び組織プラスミノーゲン活性化因子等が含まれる。基材を用いる場合、培養器の表面を基材で被覆すればよい。
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る培養方法によれば、下記実施例3に示すように、支持細胞を使用せずに安定にPGCを増殖させることができる。本培養方法は、支持細胞を調製する必要がないため、極めて簡便にPGCを増殖させることができる。
また、本実施の形態に係る培養方法の培養ステップでは、ニワトリの初期胚の胚血液から分離されるPGCを培養してもよいこととした。胚血液に含まれるPGCは浮遊しているため、例えば、胚盤葉上層から分離する場合のプロテアーゼ処理をすることなく簡便に分離することができる。また、プロテアーゼ処理が不要であるため、プロテアーゼがPGCに及ぼす影響を懸念しなくてよい。
本実施の形態に係る培養方法で培養したPGCは、長期培養しても生体内でのPGCの特性を維持している。また、当該PGCは、生殖腺への移動能を保持している。このため、当該PGCは、ゲノム編集等の対象として有用であり、遺伝子改変動物の作出が容易となる。
なお、本実施の形態に係るPGCの培養方法は、ニワトリ以外の鳥類のPGCの培養にも適用できる。鳥類は、特に限定されず、例えば、アヒル、シチメンチョウ、カモ、ガン、ウズラ、キジ、オウム、フィンチ、タカ、ダチョウ、エミュー及びヒクイドリ等である。また、本実施の形態に係るPGCの培養方法は、げっ歯類等の鳥類以外の動物種のPGCの培養にも適用できる。
なお、上述のアポトーシス阻害剤は、塩酸塩等の塩であってもよい。例えば、アポトーシス阻害剤として、Y−27632、H1152及びリパスジルの塩を使用してもよい。また、アポトーシス阻害剤は、アポトーシスに関与するタンパク質の遺伝子発現を抑制するアンチセンスRNA等であってもよいし、アポトーシスに関与するタンパク質の機能を阻害するアプタマー等であってもよい。
また、本実施の形態に係るPGCの培養方法は、培地の成分として、BRLの馴化培地のみならずニワトリ肝細胞の馴化培地を用いることができる。下記実施例5に示すように、BRLの馴化培地よりも少量の10%程度のニワトリ肝細胞の馴化培地を培地に加えることで、PGCの十分な増殖活性が得られる。
別の実施の形態では、PGCの培養用培地添加物が提供される。該培養用培地添加物は、上記アポトーシス阻害剤を含む。当該培養用培地添加物は、アポトーシス阻害剤に加え、上述の各種培地成分を含んでもよい。PGCの培養用培地添加物が、例えば、2.5μM以上10.0μM以下、好ましくは5.0μMとなるように、PGCの培地に添加されることで、支持細胞を使用せずに安定にPGCを増殖させることができる。
また、別の実施の形態では、PGCの培養キットが提供される。該培養キットは、少なくともアポトーシス阻害剤を含む。必要に応じて、当該培養キットは、細胞基底膜様の基材と、各種培地成分と、を含んでもよい。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(実施例1:PGCの分離方法)
HHステージ13〜15の横斑プリマスロック胚(祓川エッグファーム社製)から採取したPGCを含む胚血液を、500μlの10%ウシ胎児血清(FBS、Hyclone社製)含有KnockOut DMEM(Thermo Fisher Scientific社製)へ懸濁した。PGCの精製は、Nycodenz(商標、Axis−Shield社製)を用いた密度勾配遠心法により行った。詳細には、まず、15ml遠沈管の中に、11%Nycodenz及び10%FBSを含有する5mlのDMEM、5.5%Nycodenz及び10%FBSを含有する5mlのDMEM、続いて胚血液及び10%FBSを含有するDMEMの順に重層し、800×gで15分間、遠心操作を行った。遠心操作後、Nycodenzの濃度差で生じた界面を中心に5mlの密度勾配遠心溶液を回収し、精製PGCを回収した。
(実施例2:PGCの培養)
まず、PGCの培養に用いるBRL−馴化培地を次のように調製した。150mmのディッシュに約80〜90%コンフルエントの状態に培養したBRLを準備し、30mlの5%KnockOut(商標)Serum Replacement(KSR、Thermo Fisher Scientific社製)、2mM GlutaMAX(商標、Thermo Fisher Scientific社製)含有DMEMにて5%CO、37℃の環境下で3日間培養した。この培養上清を回収し、一次バッチ馴化培地とした。新たに5%KSR、2mM GlutaMAX含有DMEMを添加しさらに培養を行い、この培養上清を回収し、二次バッチ馴化培地とした。同様に三次バッチ馴化培地まで回収を行い、一〜三次バッチ馴化培地を混合し、0.2μmのポアサイズのNalgene(商標)Rapid−Flow(商標)PESメンブレンフィルターユニット(Thermo Scientific社製)でろ過した後、PGCの培養に使用した。
PGCの培養には、50倍希釈マトリゲル(商標)基底膜マトリックス(Corning社製)又は0.1%ゼラチン(Sigma Aldrich社製)水溶液でコートした培養器を用いた。密度勾配遠心法により精製したPGCを、96ウェルプレートの1ウェル当たりに100個加え、培養を開始した。培養は、表1に示す基本培地を用いて38℃、5%CO、3%O環境下で行った。細胞の増殖に合わせて2〜4日おきに継代培養を行った。アポトーシス阻害剤として、ブレビスタチン、Y−27632、H1152及びZ−VAD−FMK(すべて和光純薬工業社製)を添加した培地を用いて培養した。
(結果)
密度勾配遠心法で精製したPGCの培養開始直後の観察像を図1(A)に示す。矢印がPGCを指している。観察されたPGCは、球形で、細胞質の一部にグリコーゲン顆粒を有するという典型的なPGCの特徴を有していた。また、継代19回、45日間培養後のPGCの観察像を図1(B)に示す。一部の細胞は接着細胞へ変化しているものの、長期培養後でも多くの細胞が上述したPGCの特徴を有したまま増殖していることが確認された。なお、図1(A)、(B)中のスケールバーは、それぞれ100μmに相当する。
(実施例3:PGCの増殖活性の評価)
培養したPGCの増殖活性を次のように測定することで各アポトーシス阻害剤の効果を比較した。ファルコン96ウェルホワイトプレート(Corning社製)で、1ウェル当たり5000個のPGC(継代18回、46日間培養)の培養を、38℃、5%CO、3%O環境下で開始した。培地には、ブレビスタチン、Y−27632、H1152及びZ−VAD−FMKをそれぞれ0.16〜10μMで添加した。各アポトーシス阻害剤存在下で培養したPGCについて、培養3日後にCellTiter−Glo(商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega社製)を用いて増殖活性を測定した。本キットで得られる化学発光の検出には、2030Multilabel Reader ARVO X4(PerkinElmer社製)を用いた。
(結果)
各アポトーシス阻害剤存在下での増殖活性を比較した結果を図2に示す。全てのアポトーシス阻害剤がPGCの増殖活性に影響した。各アポトーシス阻害剤の至適濃度(ブレビスタチンが5又は10μM、Y−27632が5μM、H1152が1.25μM及びzVAD−FMKが10μM)の条件では、アポトーシス阻害剤を添加していない培地での培養に比べ、高い増殖活性を示した。最も増殖活性が高かったブレビスタチンにおいてはアポトーシス阻害剤を添加していない培地での培養に比べ、3.6倍高い増殖活性を示した。
5μMのブレビスタチン存在下での上記実施例2に係る培養方法と、Lavoirらにより確立された上記非特許文献1に記載の従来法とで、ダブリングタイムを比較した。ダブリングタイムは、Cell Calculator Doubling Time(http://www.doubling−time.com/compute.php)で算出した。
BRLを支持細胞として用いて、かつアポトーシス阻害剤を培地に加えない従来法のダブリングタイムは6.25日で、約100個の細胞が40日間で8.4×10個まで増殖した。一方、実施例2に係る培養方法のダブリングタイムは4.01日で、約100個の細胞が48日間で4.0×10個まで増殖した。したがって、上記実施例2に係る培養方法は、従来法より約1.6倍速くダブリングすることが示された。
(実施例4:培養PGCの特性評価)
上記実施例3で選定した培養条件で培養したPGCの特性を、免疫染色及び生殖腺への移動能アッセイにより評価した。5×10個のPGC(継代19回、48日間培養)を15mlチューブに回収し、200×g、5分間遠心した後、1%ウシ血清アルブミン(BSA、Thermo Fisher Scientific社製)含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS、日水製薬社製)で3回洗浄した(以降、各操作の間に同様に遠心操作を行った)。洗浄したPGCを4%パラホルムアルデヒド(和光純薬工業社製)含有PBSで30分間、室温で固定し、1mMグリシン(和光純薬工業社製)及び1%BSA含有PBSで3回洗浄後、0.1%Triton−X 100(ナカライテスク社製)含有PBSを加え5分間、室温で透過処理を行った。
透過処理したPGCを1%BSA含有PBSにて3回洗浄後、50倍希釈抗ニワトリNanogウサギポリクローナル抗体を含む抗ニワトリvasa homolog(Cvh)マウスモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ培養上清を加え1時間、37℃にて一次抗体反応を行った。
なお、上記抗ニワトリNanogウサギポリクローナル抗体は、ニワトリNanog組換え体(rchNanog)をウサギに免疫することで取得した。より詳細には、まず、rchNanogを、メルトース結合タンパク質(MBP)遺伝子を含むpMAL−c2Xプラスミド(New England Biolabs社製)及びグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)遺伝子を含むpGEX−6P−1プラスミド(GE Healthcare社製)で、製造者の説明書に従って、融合タンパク質であるMBP−rchNanog又はGST−rchNanogとして発現させた。300μgのMBP−rchNanogを、同量の完全フロイントアジュバントとともに雌NZWウサギの皮下に2週おきに計4回注射した。ウサギから採取した抗血清を、GST−rchNanog結合アガロースビーズを用いたアフィニティークロマトグラフィーで精製することで抗ニワトリNanogウサギポリクローナル抗体を得た。
また、抗Cvhマウスモノクローナル抗体産生ハイブリドーマに関しては、Cvh組換え体(rCvh)をrchNanogと同様にMBP−rCvh又はGST−rCvhとして発現させた。次に50μgのGST−rCvhを、同量の完全フロイントアジュバントとともに8週齢の雌BALB/cマウスの腹腔内に注射した。2週おきに計3回、同じ抗原を含む0.1mlのPBSでブーストした。当該マウスに50μgのGST−rCvhを含むPBSを静脈内投与することでブーストし、3日後に、当該マウスの脾細胞をSP2/9 Ag14骨髄腫細胞と融合させ、抗Cvhマウスモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを得た。当該ハイブリドーマを無血清培地又は10%FBS−IMDMで培養し、コンフルエントになった段階で培養上清を回収した。回収した培養上清を、孔径が0.45μmのフィルターで濾過し、上述の一次抗体反応に用いた。
一次抗体反応後のPGCを1%BSA含有PBSで3回洗浄し、200倍希釈Alexa594標識抗ウサギIgG(H+L)ヤギ抗体、Alexa488標識抗マウスIgG(H+L)ヤギ抗体及び1%BSA含有PBS(共にThermo Fisher Scientific社製)を添加し、1時間、37℃にて二次抗体反応を行った。二次抗体反応後のPGCを1%BSA含有PBSで3回洗浄し、10μl DAPI含有VECTASHIELD(商標)Mounting Medium(Vector Laboratories社製)へ懸濁してスライド標本化した。得られたスライド標本を蛍光顕微鏡BX51(Olympus社製)で観察した。
生殖腺への移動能アッセイを次の方法で行った。ZsGreen1レンチウイルスベクターを、Lenti−X(商標)Expression System(タカラバイオ社製)を利用して作製し、PGCへの感染に用いた。PGCへのZsGreen1レンチウイルスベクターの感染は、本ベクターを含む4μg/mlポリブレン溶液(タカラバイオ社製)を用いて4時間、37℃でインキュベートすることで行った。ZsGreen1にて蛍光標識したPGCを、1000個ずつステージX白色レグホン胚(アキタ社製)の胚盤葉下腔へインジェクションし、Perry及びNaitoらにより確立された全胚培養系を用いて7日胚まで培養した。培養した7日胚より生殖腺を回収し、蛍光実体顕微鏡SZX12(Olympus社製)にてZsGreen1により蛍光標識されたPGCの局在を観察した。
(結果)
多能性マーカーであるNanog及び生殖細胞マーカーであるCvhの発現を、長期培養したPGCにおいて免疫染色によって確認した結果を図3に示す。図3において核の位置を示すDAPIの位置とNanogの位置とが重なっているため、PGCは、核でNanogを発現し、細胞質でCvhを発現していることが観察された。この結果、長期培養したPGCは生体内でのPGCの特性を維持している可能性が示された。なお、図中のスケールバーは、それぞれ50.0μmを示す。
長期培養したPGCの生殖腺への移動能アッセイの結果を図4に示す。回収した生殖腺の中で緑色蛍光タンパク質であるZsGreen1により標識されたPGCが生殖腺の中に散在していることが観察された(図4右)。この結果、培養したPGCも本来PGCが持つ生殖腺への移動能を保持している可能性が示唆された。
(実施例5:ニワトリ肝細胞−馴化培地を用いたPGCの培養)
まず、上記実施例2のBRL−馴化培地のBRLの代わりにレグホン雄肝細胞(leghorn−male hepatoma、LMH)を用いて、LMH−馴化培地を調製した。LMHとして医薬基盤・健康・栄養研究所の細胞番号JCRB0237を用いた。
PGCの培養には、50倍希釈マトリゲル(商標)基底膜マトリックス(Corning社製)又は0.1%ゼラチン(Sigma Aldrich社製)水溶液でコートした培養器を用いた。HHステージ13〜15の横斑プリマスロック胚(祓川エッグファーム社製)から採取したPGCを含む胚血液を、リン酸緩衝液にて洗浄した。表1のBRL−馴化培地の代わりに、LMH−馴化培地を9.2〜54.6%とした基本培地を用いて、24ウェルプレートの1ウェル当たりに、洗浄した胚血液から1胚を加え、38℃、5%CO、3%O環境下で培養した。細胞の増殖に合わせて2〜4日おきに継代培養を行った。
Falcon 96ウェルホワイトプレート(Corning社製)の1ウェル当たり1000個のPGC(継代15回、45日間培養)を、LMH−馴化培地を9.2〜54.6%とした表に示す基本培地において、38℃、5%CO、3%O環境下で培養開始した。培養したPGCは、培養3日後にCellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega社製)を用いて増殖活性を測定した。本キットで得られる化学発光の検出には、2030Multilabel Reader ARVO X4(PerkinElmer社製)を用いた。
(結果)
図5は、様々な濃度のLMH−馴化培地を含む基本培地におけるPGCの増殖活性を示す図である。LMH−馴化培地を、9.2%から22.4%の濃度で用いた場合に、PGCの増殖活性が亢進した。LMH−馴化培地を、11.4%の濃度で用いた時に最も高い増殖活性を示した。増殖活性を比較すると、LMH−馴化培地は約10%と比較的低濃度で、40%BRL−馴化培地と同等の増殖活性を示した。
上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
本発明は、始原生殖細胞、特にはニワトリの始原生殖細胞の生産に好適である。

Claims (4)

  1. スパーゼ阻害剤を含む培地で始原生殖細胞を培養する培養ステップを含む、
    始原生殖細胞の培養方法。
  2. 前記カスパーゼ阻害剤は、
    zVAD−FMKである、
    請求項1に記載の始原生殖細胞の培養方法。
  3. 前記培養ステップで培養する始原生殖細胞は、
    鳥類の初期胚の胚血液から分離される始原生殖細胞である、
    請求項1又は2に記載の始原生殖細胞の培養方法。
  4. スパーゼ阻害剤を含む、
    始原生殖細胞の培養用培地添加物。
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