以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るテープカートリッジにつき、これが装着されるテープ印刷装置と共に説明する。このテープ印刷装置は、装着したテープカートリッジから印刷テープおよびインクリボンを繰り出しながら印刷を行い、印刷テープの印刷済み部分を切断して、ラベル(テープ片)を作成するものである。
[テープ印刷装置の概要]
図1は、テープ印刷装置およびこれに装着されるテープカートリッジの外観斜視図である。同図に示すように、テープ印刷装置1は、外殻を構成する装置ケース3と、テープカートリッジ100が装着方向および取外し方向に着脱自在に装着されるカートリッジ装着部5と、カートリッジ装着部5を開閉する開閉蓋7と、を備えている。装置ケース3の上面には、奥側にカートリッジ装着部5が設けられ、中央にディスプレイ11が設けられ、手前側にキーボード13が設けられている。開閉蓋7の近傍には、指掛け用の窪入部15が設けられている。開閉蓋7は、この窪入部15に指を掛け引き上げることにより開放される。そして、装置ケース3の側面(左側面)には、印刷テープ102が排出される縦長のテープ排出口17が設けられている。
また、テープ印刷装置1は、カートリッジ装着部5に立設された印刷ヘッド21を有する印刷機構部23と、カートリッジ装着部5の裏側空間に内蔵したテープ送り機構部25と、テープ排出口17の近傍に内蔵したテープ切断機構部27と、を備えている。ユーザーは、キーボード13から印刷情報を入力し、ディスプレイ11で印刷情報を確認した後、キー操作により印刷を実行する。印刷が指令されると、テープ送り機構部25が駆動することで、印刷テープ102とインクリボン110とが並走する。さらに、これに印刷機構部23からインクリボン110に加えられる熱によって、インクリボン110のインクが印刷テープ102に転写することで印刷が行われる。この印刷送りにより、印刷テープ102はテープ排出口17から排出されてゆき、印刷が完了すると、テープ切断機構部27が駆動して、印刷テープ102の印刷済み部分が切り離される。
[テープカートリッジの概要]
図2および図5に示すように、テープカートリッジ100は、印刷テープ102をテープコア104に巻回したテープロール106と、インクリボン110を繰出しコア112に巻回したリボンロール114と、を備えている。また、テープカートリッジ100は、使用後のインクリボン110を巻き取る巻取りコア116と、印刷ヘッド21が当接すると共に印刷テープ102およびインクリボン110を送るプラテンローラー120(プラテン)と、を備えている。さらに、テープカートリッジ100は、これらテープロール106、リボンロール114、巻取りコア116およびプラテンローラー120を収容したカートリッジケース130を備えている。このように、本実施形態のテープカートリッジ100は、外殻をカートリッジケース130で覆われた、いわゆるシェル構造を有している。
また、テープカートリッジ100には、テープ印刷装置1に装着されたときに、印刷ヘッド21が挿入される挿入開口134が、カートリッジケース130に形成されている。テープカートリッジ100は、カートリッジケース130に形成され印刷テープ102が送り出されるテープ送出口138を備えている。なお、詳細は後述するが、テープロール106は、カートリッジケース130の内側に突設した円筒状のコア軸192に回転自在に支持されている。
上記テープ送り機構部25により、プラテンローラー120および巻取りコア116が駆動されると、印刷テープ102はテープコア104から繰り出され、インクリボン110は繰出しコア112から繰り出される。繰り出された印刷テープ102およびインクリボン110は、プラテンローラー120の部分で並走し、印刷ヘッド21によって印刷に供される。印刷が行われた印刷テープ102の繰出し端部(印刷済部分)は、テープ送出口138からテープ排出口17に向かって送り出される。一方、インクリボン110は、挿入開口134の周壁部分を周回し、巻取りコア116に巻き取られる。なお、テープカートリッジ100には、印刷テープ102のテープ幅に応じて、厚みの異なる複数種のものが用意されている。
[テープ印刷装置の詳細]
図1および図3に示すように、カートリッジ装着部5は、テープカートリッジ100の平面形状と相補的な平面形状に形成されると共に、装着可能な複数種のテープカートリッジ100のうち、最大厚のテープカートリッジ100に対応する深さを有して、窪入形成されている。この場合、カートリッジ装着部5の底板部を構成する装着ベース31と側板部33とは、樹脂等で一体に形成(成形)されている。カートリッジ装着部5と上記テープ排出口17との間には、スリット状のテープ排出経路35が形成されており、この部分に、上記テープ切断機構部27が内蔵されている。
カートリッジ装着部5の装着ベース31には、上記コア軸192が嵌合して位置決めされる位置決め突起41と、ヘッドカバー43に覆われた印刷ヘッド21と、プラテンローラー120を回転駆動するプラテン駆動軸45と、巻取りコア116を回転駆動する巻取り駆動軸47と、が立設されている。また、巻取り駆動軸47の近傍に位置して装着ベース31には、印刷テープ102のテープ幅を検出するテープ幅検出部51と、繰出しコア112および巻取りコア116の回転止めを解除するコア解除部53と、が設けられている。
さらに、装着ベース31には、その対角位置に一対の小突起55が設けられている。加えて、装着したテープカートリッジ100の中間部を掛け止めする一対の掛止め片57が設けられている。一方、装着ベース31の裏側空間には、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47を回転させるモーターおよびギヤ列(いずれも、図示省略)等で構成される、上記テープ送り機構部25が内蔵されている。テープ送り機構部25は、ギヤ列で動力分岐し、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47を同期回転させる。
一方、カートリッジ装着部5の側板部33(手前側)には、テープカートリッジ100の側面に設けられた後述の種別読取パターン145を読み取るパターン読取部59が配設されている。本実施形態では、上記テープ幅検出部51が、テープカートリッジ100に収容された印刷テープ102のテープ幅を検出(認識)し、当該パターン読取部59が、テープ幅を除く、テープカートリッジ100の種別情報(収容された印刷テープ102のテープ色や材質、収容されたインクリボン110のリボン色等)を認識する。パターン読取部59の詳細については、後述する。
印刷機構部23は、サーマルヘッドで構成された印刷ヘッド21と、印刷ヘッド21を支持すると共に回動させるヘッド支持フレーム61と、を有している。また、印刷機構部23は、ヘッド支持フレーム61を介して印刷ヘッド21を印刷位置と退避位置との間で回動させるヘッドリリース機構(図示省略)と、印刷ヘッド21(およびヘッド支持フレーム61)を覆うヘッドカバー43と、を有している。
ヘッドリリース機構は、上記開閉蓋7の開閉に連動して作動し、開閉蓋7の閉塞動作に連動して印刷ヘッド21を印刷位置に移動(回動)させる。また、ヘッドリリース機構は、開放動作に連動して印刷ヘッド21を退避位置に移動(回動)させる。印刷位置に移動した印刷ヘッド21は、プラテンローラー120にインクリボン110および印刷テープ102を介して当接し、退避位置に移動した印刷ヘッド21は、プラテンローラー120から離間する。これにより、テープカートリッジ100を着脱する際に、印刷テープ102やインクリボン110の印刷ヘッド21への干渉が防止される。
印刷ヘッド21には、複数の発熱素子が設けられ、複数の発熱素子は、プラテンローラー120の軸方向と同方向に列設されている。そして、印刷テープ102およびインクリボン110の送りと、複数の発熱素子の選択的駆動により印刷が行われる。ヘッドカバー43は、平面視略矩形に形成されおり、上記装着ベース31(カートリッジ装着部5)と一体に形成(成形)されている。また、ヘッドカバー43は、装着ベース31から垂直に大きく突出しており、その内側において印刷ヘッド21の回動を許容し、外側においてテープカートリッジ100の装着ガイドとして機能する。
テープ幅検出部51は、複数のマイクロスイッチ51aで構成されており、テープカートリッジ100の後述の検出穴群180に対し選択的に係合し、印刷テープ102のテープ幅を検出する。
コア解除部53は、繰出しコア112用および巻取りコア116用の二つの解除ピン53aで構成されている。詳細は後述するが、カートリッジケース130には、繰出しコア112および巻取りコア116にそれぞれ掛止めされる回転止めフック206が設けられており(図6参照)、テープカートリッジ100を装着すると、これら回転止めフック206に解除ピン53aが係合し、繰出しコア112および巻取りコア116の回転止めが解除される。
プラテン駆動軸45は、プラテンローラー120を挿通するように長く延びたプラテン支軸48と、プラテン支軸48の基部に回転自在に軸支されたスプライン形状の回転駆動軸49と、を有している(図3参照)。テープ送り機構部25の回転動力は、この回転駆動軸49に伝達され、更に回転駆動軸49からプラテンローラー120に伝達される(詳細は、後述する)。
同様に、巻取り駆動軸47は、固定軸47aと、固定軸47aに回転自在に軸支されたスプライン形状の可動軸47bと、を有している。この場合も、テープ送り機構部25の回転動力は、可動軸47bに伝達され、更に可動軸47bから巻取りコア116に伝達される。
テープカートリッジ100をカートリッジ装着部5に装着すると、位置決め突起41にコア軸192(テープコア104)が係合し、プラテン駆動軸45にプラテンローラー120か係合し、更に巻取り駆動軸47に巻取りコア116が係合する。そして、開閉蓋7を閉塞すると、印刷ヘッド21が回動し、印刷テープ102およびインクリボン110を挟んでプラテンローラー120に当接して、テープ印刷装置1は印刷待機状態となる。
図1および図4に示すように、開閉蓋7は、奥側に設けたヒンジ部71を介して、装置ケース3に回動自在に、すなわち開閉自在に取り付けられている。開閉蓋7は、開閉蓋本体73と、開閉蓋本体73の中央に設けた覗き窓75と、を有している。また、開閉蓋7は、開閉蓋本体73の裏面に突設されヒンジ部71に回動自在に軸支された一対の軸支片77と、開閉蓋本体73の裏面に突設され印刷ヘッド21を回動させる作動レバー79と、を有している。さらに、開閉蓋7は、開閉蓋本体73の裏面に突設されテープカートリッジ100を押し込む二つの押込み突起81と、開閉蓋本体73の裏面に突設され、内蔵する蓋閉塞検出スイッチ(図示省略)を作動(ON)させる押下突起83と、を有している。
覗き窓75は、横長に形成され、開閉蓋本体73とは別体となる透明(可視光に対し透明)な樹脂で構成されている。この覗き窓75越しに、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100が、視認(印刷テープ102の種別やテープ残量)できるようになっている。また、一対の軸支片77、作動レバー79、押込み突起81および押下突起83と、開閉蓋本体73とは、樹脂で一体に形成(成形)されている。
作動レバー79は、開閉蓋本体73の裏面から大きく突出しており、開閉蓋7の閉塞に伴って、カートリッジ装着部5の側方に設けたスリット開口87に挿入される。スリット開口87に挿入された作動レバー79は、上記ヘッドリリース機構を作動させ、印刷ヘッド21を回動させる。同様に、押下突起83は、開閉蓋7の閉塞に伴って、スリット開口87に隣接する矩形開口91に挿入され、蓋閉塞検出スイッチを作動(ON)させる。押込み突起81は、テープカートリッジ100のプラテンローラー120の近傍位置に対応しており、開閉蓋7の閉塞に伴って、テープカートリッジ100がカートリッジ装着部5の装着ベース31に着座するようにこれを押し込む。
[テープカートリッジの詳細]
次に、図2、図5および図6を参照して、テープカートリッジ100について詳細に説明する。なお、テープカートリッジ100の説明では、図2(a)を例に、テープカートリッジ100の上正面である装着方向手前の面を「表面」と、逆側の装着方向奥側の面を「裏面」と、左側の側面を「左側面」と、右側の側面を「右側面」と、上側の円弧状の側面を「先端面」と、下側の側面を「基端面」と、称呼するものとする。なお、請求項にいう「装着方向に倣う壁面」は、本実施形態におけるテープカートリッジ100の側面であり、請求項にいう「装着方向奥側の壁面」は、本実施形態におけるテープカートリッジ100の裏面である。
テープカートリッジ100は、上述のように、カートリッジケース130と、これに収容したテープロール106、リボンロール114、巻取りコア116およびプラテンローラー120と、を備えている。また、テープカートリッジ100は、カートリッジケース130に形成された挿入開口134と、プラテンローラー120の近傍において左側面に形成したテープ送出口138と、を備えている。
さらに、テープカートリッジ100は、テープロール106が収容されている部位の表面、左側面および右側面に亘って貼着された種別表示シール141(図1参照)と、カートリッジケース130の基端面に貼着された種別読取シール143と、を備えている。種別表示シール141には、テープカートリッジ100の種別情報(収容された印刷テープ102のテープ幅、テープ色、材質等)が表示されている。
一方、種別読取シール143には、テープカートリッジ100の種別情報(収容された印刷テープ102のテープ色、材質、収容されたインクリボン110のリボン色等)を示す種別読取パターン(被検出部)145が形成されている(図6参照)。種別読取パターン145は、2行4列でマトリクス状に配置された8つのビット構成部147を有している。当該各ビット構成部147は、白地の印刷領域に、黒インクが印刷(べた印刷)されているか否かによって、各1ビットのビット情報を示すものである。すなわち、計8つのビット構成部147によって、8ビットのビットパターンを示している。当該8ビットのビットパターンが、上記各種種別情報に対応しており、当該ビットパターンによって、上記各種種別情報を示している。なお、図6の符号147の破線は、説明の便宜上、ビット構成部147を示すべく図示したものであり、実際に形成されているものではない。
カートリッジケース130は、テープカートリッジ100の外郭を構成するものであり(シェル構造)、右側面の基端側が幾分突出した、平面視「L」字状の外観を呈している。表裏方向においてカートリッジケース130は、カートリッジ装着部5に装着したときに奥側となる下ケース150(第2部材)と、手前側となる上ケース152(第1部材)と、の2部材で構成されている。本実施形態のカートリッジケース130は、上ケース152が透明な樹脂の成型品で構成され、下ケース150が不透明な樹脂の成型品で構成されている。
上ケース152は、カートリッジケース130の表面を構成する天壁部156と、天壁部156の周縁部に垂設された上周壁部158と、で一体に形成(成形)されている。また、下ケース150は、カートリッジケース130の裏面を構成する底壁部160と、底壁部160の周縁部に立設された下周壁部162と、上記挿入開口134を画成すべく底壁部160に立設された開口周壁部164と、で一体に形成(成形)されている。
上ケース152における上周壁部158の下端面には、適宜の間隔で複数の接合ピン170が設けられる一方、下ケース150の下周壁部162には、この複数の接合ピン170に対応し、複数の接合ピン170がそれぞれ嵌合する複数の接合穴172が設けられている(図5参照)。下ケース150に、テープロール106やリボンロール114等の構成部品をセットした後、複数の接合穴172に複数の接合ピン170を圧入するように上ケース152を接合することにより、テープカートリッジ100が組み立てられる。なお、各接合穴172は、成形の容易性を考慮し貫通孔により構成されている。
一方、下ケース150の左側面および右側面には、カートリッジ装着部5の一対の掛止め片57に掛け止めされる一対の掛止受け部174が設けられている(図2および図6参照)。装着したテープカートリッジ100の一対の掛止受け部174に、カートリッジ装着部5側の一対の掛止め片57が掛け止めされることにより、テープカートリッジ100の浮き上がりが防止される。
また、図6に示すように、下ケース150の基端面には、上記種別読取シールを貼着するための読取シール貼着部175が形成されている。読取シール貼着部175は、長方形形状の凹部を、種別読取シール143の厚さ分(もしくは厚さ以上)の深さとなるように、当該基端面に対し凹設したものである。当該読取シール貼着部175により、種別読取シール143が、当該基端面から突出しないようになっている。
さらに、下ケース150の裏面には、上記一対の小突起55が幾分余裕をもって嵌合する嵌合小穴176が設けられている。装着したテープカートリッジ100の一対の嵌合小穴176に、カートリッジ装着部5側の一対の小突起55が嵌合することにより、装着ベース31上におけるテープカートリッジ100の簡単な位置決めが為される。
また、下ケース150の裏面には、基端面側の左隅部(表面側から見て右隅部)に位置して、上記テープ幅検出部51に対応する検出穴群180が設けられている(図6参照)。検出穴群180は、テープ幅検出部51の複数のマイクロスイッチ51aに対応する部分に設けた受け穴180aの有無によって、ビットパターンを示している。すなわち、このビットパターンが、テープカートリッジ100に収容された印刷テープ102のテープ幅を示しており、テープ幅検出部51は、複数のマイクロスイッチ51aにより、このビットパターンを検出することで、テープカートリッジ100に収容された印刷テープ102のテープ幅を検出する。
また、検出穴群180近傍には、上記パターン読取部59に設けられた位置決めピン326(後述する)を係合する位置決め穴部182(係合部)が配設されている。位置決め穴部182の詳細については、後述する。
図5に示すように、カートリッジケース130内の上側空間(先端面側)には、広くテープロール106が収容されるテープ収容エリア190が構成されている。テープ収容エリア190の中央には、下ケース150に一体に形成(成形)されたコア軸192が立設されている。コア軸192は、円筒状に形成されており、その外周面にはテープロール106(テープコア104)が回転自在に軸支されている。また、プラテンローラー120の近傍に位置してテープ収容エリア190には、繰り出された印刷テープ102をプラテンローラー120に導くテープガイド194が、下ケース150に一体に立設されている。
すなわち、カートリッジケース130の内部には、テープロール106を起点とし、テープガイド194およびプラテンローラー120を経てテープ送出口138に至るテープ送り経路196が構成されている。テープロール106から繰り出された印刷テープ102は、テープガイド194を介してプラテンローラー120に導かれ、ここで印刷に供され、更にプラテンローラー120からテープ送出口138に導かれる。
テープロール106は、印刷テープ102およびテープコア104を有すると共に、ロール状の印刷テープ102の両端面に貼着された2枚のフイルム198を有している。この2枚のフイルム198は、テープコア104に巻回した印刷テープ102のバラケを防止している。また、テープコア104には、図示では省略したが、逆転止め機構が組み込まれている。テープカートリッジ100を持ち運びするときには、この逆転止め機構により、印刷テープ102の逆転が防止される。一方、テープカートリッジ100をテープ印刷装置1のカートリッジ装着部5に装着すると、上記位置決め突起41により逆転止め機構の逆転止めが解除され、印刷テープ102の送りが可能になる。
カートリッジケース130内の基部右側には、挿入開口134に隣接してリボン収容エリア200が構成されている。リボン収容エリア200の右寄りには、リボンロール114(繰出しコア112)を回転自在に支持する繰出し側軸受部202が、また左寄りには、巻取りコア116を回転自在に支持する巻取り側軸受部204が、それぞれカートリッジケース130に一体に形成されている。すなわち、上ケース152および下ケース150に、それぞれ繰出し側軸受部202および巻取り側軸受部204が形成されている。
下ケース150に形成された繰出し側軸受部202および巻取り側軸受部204の切欠き部分には、先端部をこれら繰出し側軸受部202および巻取り側軸受部204に臨ませた回転止めフック206が、それぞれ一体に形成されている。そして、一方の回転止めフック206は繰出しコア112に、他方の回転止めフック206は巻取りコア116に、それぞれ回転止め状態に係合している。
繰出し側軸受部202の近傍に位置してリボン収容エリア200には、繰り出されたインクリボン110をプラテンローラー120に導く第1リボンガイド210が、下ケース150に一体に立設されている。また、上記開口周壁部164の外周側には、インクリボン110の周回をガイドする複数の第2リボンガイド212が一体に形成されている。
すなわち、カートリッジケース130の内部には、リボンロール114を起点とし、第1リボンガイド210、プラテンローラー120および複数の第2リボンガイド212を経て巻取りコア116に至るリボン送り経路214が構成されている。リボンロール114から繰り出されたインクリボン110は、第1リボンガイド210を介してプラテンローラー120に導かれ、ここで印刷に供され、更にプラテンローラー120から開口周壁部164(複数の第2リボンガイド212)を周回して巻取りコア116に巻き取られる。
リボンロール114は、インクリボン110および繰出しコア112を有すると共に、繰出しコア112に制動負荷を付与する円環状の板ばね220を有している(図5(b)参照)。板ばね220は、周方向において波状に形成されており、軸方向において上ケース152の天壁部156と繰出しコア112との間に介設されている。すなわち、繰出しコア112には、この板ばね220の弾発力により回転制動負荷が付与される。これにより、巻取りコア116により繰り出されてゆくインクリボン110には、バックテンションが付与され、インクリボン110の弛みが防止される。
繰出しコア112は円筒状に形成され、その下ケース150側の端部には、周方向に複数の切欠き222が形成されている(図6参照)。そして、複数の切欠き222には、上記回転止めフック206が係脱するようになっている。なお、繰出しコア112を支持する下ケース150側の繰出し側軸受部202は円形の開口で構成されているが、上ケース152側の繰出し側軸受部202は、円筒状の突出部分で構成されている。そして、この突出部分に上記板ばね220が装着されている(いずれも、図5(b)参照)。
同様に、巻取りコア116は円筒状に形成され、その下ケース150側の端部には、周方向に複数の切欠き224が形成されている。そして、複数の切欠き224には、上記回転止めフック206が係脱する。また、巻取りコア116の内周面にはスプライン溝226が形成され、上記巻取り駆動軸47にスプライン係合する。これにより、巻取り駆動軸47の回転力が巻取りコア116に伝達され、インクリボン110が巻き取られる。
カートリッジケース130内の基部左側には、挿入開口134に隣接してプラテン収容エリア230が構成されている。プラテン収容エリア230の中央には、下ケース150に形成した楕円状(長円状)開口の下軸受部234と(図6参照)、上ケース152に形成した楕円状開口の上軸受部232と(図5(b)参照)が設けられている。そして、上軸受部232および下軸受部234には、プラテンローラー120が回転自在且つ僅かに横移動可能に支持されている。すなわち、楕円状の上軸受部232および下軸受部234に支持されたプラテンローラー120は、プラテン駆動軸45に係合するホーム位置と、印刷テープ102を挟み込んでテープガイド194に接する挟持位置との間で、横移動(微小移動)可能に構成されている。
ところで、このテープカートリッジ100は、印刷テープ102の繰出し端部を、テープ送出口138から外部に僅かに突出された状態で持ち運びされる(図1参照)。その際、誤って印刷テープ102の繰出し端部に押込み力や引込み力が作用すると、これに引きずられたプラテンローラー120が上記挟持位置に移動する。これにより、印刷テープ102の繰出し端部が、テープ送出口138からカートリッジケース130内に引き込まれることが防止される。
プラテンローラー120は、円筒状のローラー基体240と、ローラー基体240の外周面に装着したゴムローラー242と、を有している。ゴムローラー242は、軸方向において印刷ヘッド21に対応する長さを有しており、印刷位置に移動した印刷ヘッド21は、印刷テープ102およびインクリボン110を挟み込んでこのゴムローラー242に接触する。また、ローラー基体240の内周面にはスプライン溝244が形成され、このスプライン溝244に上記プラテン駆動軸45の回転駆動軸49にスプライン係合する。これにより、プラテン駆動軸45の回転力がプラテンローラー120に伝達され、印刷テープ102(およびインクリボン110)が印刷送りされる。
[パターン読取部および位置決め穴部の詳細]
次に、図6ないし図10を参照して、パターン読取部59および位置決め穴部182について説明する。まず、図7および図8を参照して、テープ印刷装置1のパターン読取部59について説明する。図7に示すように、パターン読取部59は、カートリッジ装着部5の側板部33(手前側)に設けられ、カートリッジ装着部5の内側を向いて配設されている。すなわち、パターン読取部59は、テープカートリッジ100をカートリッジ装着部5に装着したときに、テープカートリッジ100の基端面に対向する位置に配設されている。パターン読取部59は、カートリッジ装着部5の内側に向いて配設されたセンサーユニット300と、センサーユニット300を移動自在に支持するユニット支持部302と、センサーユニット300をカートリッジ装着部5の内側に付勢するユニット付勢部304と、を備えている。
ユニット支持部302は、カートリッジ装着部5の側板部33に開口された開口部分33aに設けられ、センサーユニット300をカートリッジ装着部5の内側および外側に移動自在に支持している。
ユニット付勢部304は、左右一対のコイルばね306を有し、当該一対のコイルばね306により、センサーユニット300に設けられた一対のばね受け部324(後述する)を付勢する。すなわち、ユニット付勢部304は、一対のコイルばね306により、一対のばね受け部324を介して、センサーユニット300をカートリッジ装着部5の内側に付勢する。当該付勢によって、テープカートリッジ100が装着されていない状態では、センサーユニット300が、カートリッジ装着部5の内側に突き出した状態となる。また、テープカートリッジ100が装着されている状態では、センサーユニット300が、テープカートリッジ100側に付勢され、センサーユニット300が、テープカートリッジ100の基端面に押圧された状態となる。
図8に示すように、センサーユニット300は、センサー基板308に複数の光学センサー309を実装したセンサー部310(検出部)と、センサー部310を搭載したセンサーホルダー312(ホルダー)と、を備えている。センサー基板308は、鉛直姿勢で、センサーホルダー312の基端部に取り付けられている。このように、センサー基板308がセンサーホルダー312に取り付けられることで、センサーホルダー312がセンサー部310を保持した状態となっている。
複数の光学センサー309は、センサー基板308上において、上記ビット構成部147と同様、2行4列でマトリクス状に配設されている(図8(b)参照)。また、複数の光学センサー309は、それぞれ光反射型の光学式非接触センサーで構成されており、各ビット構成部147に対し検出光を照射すると共に、各ビット構成部147からの反射光を受光する。上記したように、各ビット構成部147は、白地の印刷領域に、黒インクが印刷されているか否かによって、ビット情報を示すものであり、各光学センサー309は、当該各ビット構成部からの反射光の有無(厳密には光量が一定量以上であるか否か)によって、上記印刷領域に黒インクが印刷されているか否かを検出し、この検出結果に基づいて、各ビット構成部147が示すビット情報を読み取る。センサー部310は、複数の光学センサー309により、各ビット構成部147のビット情報を読み取ることで、上記ビットパターンを読み取り、これに対応するテープカートリッジ100の種別情報を読み取る。
センサーホルダー312は、側面視台形状のホルダー本体320と、ホルダー本体320から基端側に突出する上下一対の基板取付フック322と、ホルダー本体320の基端部から左右に突出する左右一対のばね受け部324と、ホルダー本体320の右前方に設けられた位置決めピン326(被係合部)と、位置決めピン326とホルダー本体320とを連結する連結部328と、を備えている。なお、ホルダー本体320、一対の基板取付フック322、一対のばね受け部324、位置決めピン326および連結部328は、樹脂等で一体に形成(成形)されている。
一対の基板取付フック322は、センサー基板308をセンサーホルダー312に取り付けるためのものである。すなわち、この一対の基板取付フック322によって、センサー基板308が、センサーホルダー312に取り付けられている。
一対のばね受け部324は、上記一対のコイルばね306の一端が当接され、一対のコイルばね306の付勢力を受ける部分である。当該一対のばね受け部324は、カートリッジ装着部5の側板部33に突き当たり、センサーユニット300の移動における前端規制を行う前端規制部としても機能する。
ホルダー本体320は、複数の光学センサー309全体を覆うホルダーカバー330と、各光学センサー309を個々に囲う仕切り部材332と、から成る。ホルダーカバー330の先端部には、複数の光学センサー309に対応する複数のセンサー孔334が形成されている。各光学センサー309は、この各センサー孔334から検出光を照射し、また、この各センサー孔334から、各ビット構成部147からの反射光を受光する。
ホルダーカバー330は、各光学センサー309への外光を遮光する外光遮光部として機能する。一方、仕切り部材332は、隣接する光学センサー309からの検出光を遮光し、光学センサー309同士の干渉を防ぐ干渉防止部として機能する。
また、ホルダーカバー330は、外光遮光部として機能するだけでなく、テープカートリッジ100の基端面に当接して、センサー部310(各光学センサー309)と種別読取パターン145との間のクリアランスを所定のクリアランスにするスペーサーとしても機能する。すなわち、ホルダーカバー330の先端面330aが、テープカートリッジ100の基端面に対する当接面となっている。そして、ユニット付勢部304(一対のコイルばね306)の付勢により、一対のばね受け部324を介して、ホルダーカバー330がテープカートリッジ100に押圧されると、当該先端面330aが、テープカートリッジ100の基端面に当接し密着することで、センサー部310と種別読取パターン145との間に上記所定のクリアランスを形成する。なお、ホルダーカバー330の先端面330aは、テープカートリッジ100の基端面に倣うように、若干前下がりに傾斜して形成されている。
また、ホルダーカバー330の前方上端部には、前方側に下り傾斜となる誘い斜面330bが形成されている。当該誘い斜面330bは、テープカートリッジ100を装着するときに、テープカートリッジ100の裏面側端部に当接し、テープカートリッジ100を装着する力の一部(分力)を、センサーユニット300をカートリッジ装着部5の外側に押し戻す力として作用させるものである。当該誘い斜面330bにより、テープカートリッジ100の装着に伴って、センサーユニット300が、ユニット付勢部304に抗して押し戻される。これによって、テープカートリッジ100の装着が完了したとき、センサーユニット300がテープカートリッジ100に押圧された状態となる。
位置決めピン326は、上向き且つ先細りの直立円柱状に形成されている。すなわち、位置決めピン326は、先端部が円錐台形形状に形成されており、その上底面部分は、ドーム状に丸みを帯びた形状になっている。当該位置決めピン326は、上記位置決め穴部182に係合されるセンサーホルダー312の被係合部となっている。
次に図6、図9および図10を参照して、テープカートリッジ100の位置決め穴部182について説明する。図6および図9に示すように、位置決め穴部182は、下ケース150の底壁部160に形成されており、下ケース150の裏面に配設されている。また、位置決め穴部182は、右隅部に位置する接合穴172と同軸上に配設されていると共に、当該接合穴172を構成する貫通孔172aの下端部によって構成されている。すなわち、位置決め穴部182と接合穴172とは、一体の貫通孔172aにより構成されている。そして、図10に示すように、位置決め穴部182は、センサーホルダー312の位置決めピン326と係合する。位置決め穴部182は、センサーホルダー312の位置決めピン326と係合することで、テープカートリッジ100に設けられた種別読取パターン145に対する、センサーホルダー312に搭載されたセンサー部310の位置を位置決めする。すなわち、位置決め穴部182は、センサーホルダー312を介して、種別読取パターン145とセンサー部310との間の位置決めをする。これによって、種別読取パターン145とセンサー部310との位置関係を、最適な位置関係に矯正する。なお、下ケース150には、連結部328に対応する切欠き400が形成されている。
次に図11を参照して、テープカートリッジ100のカートリッジ装着部5への装着動作について説明する。図11(a)および(b)に示すように、装着方向手前側から、カートリッジ装着部5に対しテープカートリッジ100を挿入していくと、まず、テープカートリッジ100の裏面側端部が、ホルダーカバー330の誘い斜面330bに当接する。そして、挿入が更に進むと、誘い斜面330bによって、センサーユニット300が、ユニット付勢部304に抗して押し戻されて、センサーユニット300が、テープカートリッジ100の基端面に押圧された状態になる(仮位置決め)(図11(c)参照)。
その後、挿入が更に進むと、テープカートリッジ100が、センサーユニット300に摺動しつつ、装着方向奥側に進行していき、位置決めピン326先端部の円錐台形形状(テーパー面)によって、センサーユニット300の位置合せが行われつつ、テープカートリッジ100の裏面に設けられた位置決め穴部182が、センサーユニット300の位置決めピン326に係合する(本位置決め)(図11(d)参照)。すなわち、センサーユニット300がテープカートリッジ100に押圧された状態で、更に位置決めピン326と位置決め穴部182とが係合する。これにより、センサーユニット300とテープカートリッジ100とが強固に密着し、センサーユニット300とテープカートリッジ100とが一体化される。これによって、種別読取パターン145に対し、センサーホルダー312を介してセンサー部310が位置決めされ、センサー部310と種別読取パターン145との位置関係が最適化される。すなわち、各光学センサー309の最適な焦点位置に各ビット構成部147が位置され、且つ左右方向の位置ズレや傾き(角度)のズレについても矯正される。その結果、センサー部310による種別読取パターン145の読取動作を最適な状態で行うことができる状態となる。これにより、本装着動作を終了する。
以上のような構成によれば、テープカートリッジ100をテープ印刷装置1に装着すると、テープカートリッジ100の位置決め穴部182が、センサーホルダー312の位置決めピン326に係合する。この係合によって、テープカートリッジ100とセンサーホルダー312とを一体化し、種別読取パターン145の位置に対し、センサー部310の位置が位置決めされる。この装着に伴う位置決めによって、センサー部310と種別読取パターン145との位置関係を、最適な位置関係にすることができる。また、位置決め穴部182と位置決めピン326とが係合することで、外部からの衝撃やテープ印刷装置1の各駆動軸45、47からの力によって、センサー部310に対する、テープカートリッジ100の位置や傾き(角度)がズレてしまうのを防止することができる。すなわち、センサー部310と種別読取パターン145との最適な位置関係を維持することができる。このように、センサー部310と種別読取パターン145との位置関係を最適な位置関係にすることができると共に、当該最適な位置関係を維持することができることで、センサー部310(各光学センサー309)による検出能力を向上させることができ、テープカートリッジ100の種別情報を正確に読み取らせることができる。
また、下ケース150において、位置決め穴部182を、接合穴172の一つと同軸上に形成することにより、接合穴172の直下のスペースを利用して、位置決め穴部182を配設する構成となる。そのため、スペース効率良く位置決め穴部182を配設することができる。ひいては、接合穴172を形成するときに生じる捨て穴部分を利用して、位置決め穴部182を形成することができる。
さらに、接合穴172と位置決め穴部182とを、一体の貫通孔172aにより構成することで、接合穴172と位置決め穴部182とを容易に形成することができ、またテープカートリッジ100を簡単な構成にすることができる。
なお、上記実施形態においては、位置決め穴部182および接合穴172を、一体の貫通孔172aにより構成するものであったが、位置決め穴部182および接合穴172を別々に形成する構成であっても良い。
また、上記実施形態においては、位置決め穴部182と位置決めピン326との組を1組のみ設ける構成であったが、これを2組以上設ける構成であっても良い。
さらに、上記実施形態においては、位置決め穴部182の形状を円形としたが、これに限るものではない。例えば、位置決め穴部182の形状を矩形やその他の多角形とする構成であっても良い。
またさらに、上記実施形態においては、センサー部310と種別読取パターン145との位置決めに用いる、テープカートリッジ100側の係合部(位置決め穴部182)を穴部とし、センサーユニット300側の被係合部(位置決めピン326)を突部とする構成であったが、これに限るものではない。例えば、前者を突部とし、後者を穴部とする構成であっても良い。
なお、上記実施形態においては、ビット構成部147および検出センサー309を、2行4列の8個ずつ備える構成であったが、これらの個数および配置(行数および列数)については、これに限定されるものではない。例えば、1行6列の6個のように、横並びに配設する構成であっても良いし、6行1列の6個のように縦並びに配設する構成であっても良い。また、4行4列の16個のように、行数と列数とが同数であっても良い。
また、上記実施形態においては、ビット構成部147が、白地の印刷領域に、黒インクが印刷(べた印刷)されているか否かによって、1ビットのビット情報を示すものであったが、印刷領域の色や、印刷するインクの色は、検出センサー309によりビット情報が検出できれば(検出光を照射したときの反射光の有無や強弱が検出できれば)、これに限るものではない。例えば、黒地の印刷領域に白インクが印刷されているか否かによって、1ビットのビット情報を示すものであっても良い。また、例えば、印刷領域の色およびインクの色の一方を、青、紺、緑系統の色にし、他方を、赤、黄、橙系統の色にする構成であっても良い。
さらに、上記実施形態においては、種別読取パターン145が形成された種別読取シール143を、テープカートリッジ100の側面に貼り付けて、テープカートリッジ100の側面に種別読取パターン145を設ける構成であったが、テープカートリッジ100の側面に、直接、種別読取パターン145を形成する構成であっても良い。かかる場合、当該側面に種別読取パターン145を印刷する構成であっても良いし、当該側面に種別読取パターン145をレーザー等で刻設する構成であっても良い。ひいては、各ビット構成部147に対し選択的に開口を形成することで、種別読取パターン145を形成する構成であっても良い。