以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける情報処理システムの全体概要の一例を示す図である。図1を参照して、情報処理システム1は、画像処理装置であるMFP(Multi Function Peripheral)100,100A〜100Dを含む。MFP100,100A〜100Dそれぞれはローカルエリアネットワーク(LAN)3と接続されている。このため、MFP100,100A〜100Dは、互いに通信可能である。LAN3は、ゲートウェイ(G/W)を介して、インターネットと接続されてもよい。この場合、MFP100,100A〜100Dそれぞれはインターネットに接続されたコンピューターと通信可能である。MFP100,100A〜100Dそれぞれの基本的なハードウェア構成および機能は同じなので、ここでは特に言及しない限りMFP100を例に説明する。
図2は、本発明の実施の形態の1つにおけるMFPの外観を示す斜視図である。図3は、MFPのハードウェア構成の概要を示すブロック図である。図2および図3を参照して、MFP(Multi Function Peripheral)100は、画像処理装置の一例であり、メイン回路110と、原稿を読み取るための原稿読取部130と、原稿を原稿読取部130に搬送するための自動原稿搬送装置120と、画像データに基づいて用紙等に画像を形成するための画像形成部140と、画像形成部140に用紙を供給するための給紙部150と、ユーザーインターフェースとしての操作パネル160とを含む。
自動原稿搬送装置120は、原稿トレイ125上にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ自動的に原稿読取部130の原稿読み取り位置まで搬送し、原稿読取部130により原稿に形成された画像が読み取られた原稿を原稿排紙トレイ127上に排出する。自動原稿搬送装置120は、原稿トレイ125に載置される原稿を検出する原稿検出センサーを備える。
原稿読取部130は、原稿を読み取るための矩形状の読取面を有する。読取面は、例えばプラテンガラスにより形成される。自動原稿搬送装置120は、読取面の1つの辺に平行な軸を中心に回転可能にMFP100の本体に接続され、開閉可能である。自動原稿搬送装置120の下方に、原稿読取部130が配置されており、自動原稿搬送装置120が回転して開いた開状態で、原稿読取部130の読取面が露出する。このため、ユーザーは、原稿読取部130の読取面に原稿を載置可能である。自動原稿搬送装置120は、原稿読取部130の読み取り面が露出する開状態と、読み取り面を覆う閉状態とに状態を変化可能である。自動原稿搬送装置120は、自動原稿搬送装置120の開状態を検出する状態検出センサーを備える。
原稿読取部130は、光を照射する光源と、光を受光する光電変換素子とを含み、読取面に載置された原稿に形成されている画像を走査する。読取領域に原稿が載置されている場合、光源から照射された光は原稿で反射し、反射した光が光電変換素子で結像する。光電変換素子は、原稿で反射した光を受光すると、受光した光を電気信号に変換した画像データを生成する。原稿読取部130は、画像データをCPU111に出力する。
給紙部150は、給紙トレイに収納された用紙を画像形成部140に搬送する。画像形成部140は、CPU111により制御され、周知の電子写真方式により画像を形成するものであって、CPU111から入力される画像データに基づいて、給紙部150により搬送される用紙に画像を形成し、画像を形成した用紙を排紙トレイ155に排出する。CPU111が画像形成部140に出力する画像データは、原稿読取部130から入力される画像データの他、外部から受信されるプリントデータ等の画像データを含む。
メイン回路110は、MFP100の全体を制御するCPU(中央演算処理装置)111と、通信インターフェース(I/F)部112と、ROM(Read Only Memory)113と、RAM(Random Access Memory)114と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)115と、ファクシミリ部116と、人感センサー117と、外部記憶装置118と、を含む。CPU111は、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140、給紙部150および操作パネル160と接続され、MFP100の全体を制御する。
ROM113は、CPU111が実行するプログラム、またはそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAM114は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域として用いられる。また、RAM114は、原稿読取部130から連続的に送られてくる画像データを一時的に記憶する。
操作パネル160は、MFP100の上面に設けられる。操作パネル160は、表示部161と操作部163とを含む。表示部161は、例えば、液晶表示装置(LCD)であり、ユーザーに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。なお、LCDに代えて、画像を表示する装置であれば、例えば、有機EL(electroluminescence)ディスプレイを用いることができる。
操作部163は、タッチパネル165と、ハードキー部167とを含む。タッチパネル165は、静電容量方式である。なお、タッチパネル165は、静電容量方式に限らず、例えば、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式等の他の方式を用いることができる。
タッチパネル165は、その検出面が表示部161の上面または下面に表示部161に重畳して設けられる。ここでは、タッチパネル165の検出面のサイズと、表示部161の表示面のサイズとを同じにしている。このため、表示面の座標系と検出面の座標系は同じである。タッチパネル165は、ユーザーが、表示部161の表示面を指示する位置を検出面で検出し、検出した位置の座標をCPU111に出力する。表示面の座標系と検出面の座標系は同じなので、タッチパネル165が出力する座標を、表示面の座標に置き換えることができる。
ハードキー部167は、複数のハードキーを含む。ハードキーは、例えば接点スイッチである。タッチパネル165は、表示部161の表示面中でユーザーにより指示された位置を検出する。ユーザーがMFP100を操作する場合は直立した姿勢となる場合が多いので、表示部161の表示面、タッチパネル165の操作面およびハードキー部167は、上方を向いて配置される。ユーザーが表示部161の表示面を容易に視認することができ、ユーザーが指で操作部163を容易に指示することができるようにするためである。
通信I/F部112は、MFP100をLAN3に接続するためのインターフェースである。通信I/F部112は、TCP(Transmission Control Protocol)またはFTP(File Transfer Protocol)等の通信プロトコルで、LAN3に接続された他のMFP100A〜100Dと通信する。なお、通信I/F部112が接続されるLAN3は、接続形態は有線または無線を問わない。またネットワークは、LAN3に限らず、ワイドエリアネットワーク(WAN)、公衆交換電話網(PSTN)、インターネット等であってもよい。
ファクシミリ部116は、公衆交換電話網(PSTN)に接続され、PSTNにファクシミリデータを送信する、またはPSTNからファクシミリデータを受信する。ファクシミリ部116は、受信したファクシミリデータを、HDD115に記憶するとともに、画像形成部140でプリント可能なプリントデータに変換して、画像形成部140に出力する。これにより、画像形成部140は、ファクシミリ部116により受信されたファクシミリデータの画像を用紙に形成する。また、ファクシミリ部116は、HDD115に記憶されたデータをファクシミリデータに変換して、PSTNに接続されたファクシミリ装置に送信する。
人感センサー117は、焦電型赤外線センサーである。人感センサー117は、人体から発せられる赤外線を検出し、温度の変化を検出する。人感センサー117は、計測した温度の変化を示す値をCPU111に出力する。具体的には、人感センサー117に対して予め定められた検出可能範囲に人が進入すると、人感センサー117が受光する赤外線が増加するので出力値が増加する。人感センサー117の検出可能範囲内で人が移動しなくなると、人感センサー117が受光する赤外線が一定となるので、人感センサー117の出力は収束し、オフセット電圧に戻る。人感センサー117の出力値が高いほど人感センサー117と人との間の距離が短い。
外部記憶装置118は、CPU111により制御され、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)118、または半導体メモリが装着される。本実施の形態においては、CPU111は、ROM113に記憶されたプログラムを実行する例を説明するが、CPU111は、外部記憶装置118を制御して、CD−ROM118AからCPU111が実行するためのプログラムを読出し、読み出したプログラムをRAM102に記憶し、実行するようにしてもよい。
なお、CPU111が実行するためのプログラムを記憶する記録媒体としては、CD−ROM118Aに限られず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)などの半導体メモリ等の媒体でもよい。さらに、CPU111がネットワークに接続されたコンピューターからプログラムをダウンロードしてHDD115に記憶する、または、ネットワークに接続されたコンピューターがプログラムをHDD115に書込みするようにして、HDD115に記憶されたプログラムをRAM114にロードしてCPU111で実行するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU111により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
図4は、MFPが備えるCPUが有する機能の一例を示す図である。図4に示す機能は、MFP100が備えるCPU111が、ROM113、HDD115またはCD−ROM118Aに記憶されたモード切換プログラムを実行することにより、CPU111に形成される機能である。
図4を参照して、CPU111は、センサー制御部51と、出力値送信部53と、重複装置登録部55と、出力値取得部57と、モード決定部59と、モード切換部61と、を含む。
センサー制御部51は、人感センサー117を制御し、人感センサー117の出力値を取得する。センサー制御部51は、人感センサー117の出力値を、第1出力値としてモード決定部59および出力値送信部53に出力する。以下、人感センサー117を第1人感センサー117といい、第1人感センサー117が人を検出可能な範囲を第1検出範囲という。
重複装置登録部55は、重複装置を登録する。重複装置登録部55は、MFP100A〜100Dのうち1以上を重複装置として登録する。以下、MFP100Aが重複装置に登録される場合を例に説明し、MFP100Aが備える第2人感センサー117が人を検出可能な検出範囲を第2の検出範囲という。重複装置登録部55によって重複装置として登録されるMFP100Aが備える第2人感センサー117は、人を検出可能な第2検出範囲が、MFP100が備える第1人感センサー117が人を検出可能な第1検出範囲と部分的に重なるのが好ましい。
また、重複装置登録部55は、自装置に対する重複装置の相対的位置を、重複装置に関連付けて登録する。ここでは、自装置であるMFP100に対する重複装置であるMFP100Aの相対的位置を、自装置と重複装置との間の距離とする場合を例に説明する。重複装置登録部55は、重複装置に登録された装置の装置識別情報を、出力値送信部53および出力値取得部57に出力する。重複装置登録部55は、重複装置に登録された装置の装置識別情報と相対位置との組をモード決定部59に出力する。
出力値送信部53は、センサー制御部51から第1出力値が入力されることに応じて、通信I/F部112を制御して、重複装置登録部55から入力される装置識別情報で特定される重複装置に第1出力値を送信する。
出力値取得部57は、重複装置登録部55から重複装置の装置識別情報が入力される。出力値取得部57は、通信I/F部112を制御して、重複装置登録部55から入力される装置識別情報で特定される重複装置から第2出力値を受信する。出力値取得部57は、重複装置であるMFP100Aから第2出力値を受信する場合、第2出力値をモード決定部59に出力する。
モード決定部59は、重複装置登録部55から重複装置の装置識別情報と相対位置との組が入力される。モード決定部59は、センサー制御部51から第1出力値が入力される場合があり、出力値取得部57から第2出力値が入力される場合がある。モード決定部59は、第1出力値または/および第2出力値に基づいて、電力供給モードを決定する。電力供給モードは、MFP100の各部への電力を供給状態をいい、通常のモードと通常モードよりも省電力である省電力モードとを含む。
モード決定部59は、第1決定部71と、第2決定部73と、第3決定部75と、しきい値決定部77と、を含む。しきい値決定部77は、重複装置登録部55から装置識別情報と相対位置との組が入力され、相対位置に基づいて、装置識別情報で特定される重複装置に対するしきい値を決定する。モード決定部59は、重複装置の装置識別情報と、その重複装置に対して決定されたしきい値との組を第1決定部71に出力する。しきい値は、第1検出範囲と第2検出範囲とのずれ量とするのが好ましい。第1人感センサー117と第2人感センサーとが同等の性能を有する場合、第1検出範囲と第2検出範囲とは、同じ大きさとなる。このため、第1検出範囲と第2検出範囲とは、MFP100と重複装置であるMFP100Aとの間の距離Lだけずれる。ここでは、しきい値決定部77は、MFP100とMFP100Aとの間の距離Lを、人の歩行速度で除算した移動時間をしきい値に決定する。人の歩行速度は、予め定めておくようにすればよい。
第1決定部71は、センサー制御部51から第1出力値が入力される場合であっても、センサー制御部51から第1出力値が入力され、かつ、出力値取得部57からの第2出力値が入力されていない状態が、しきい値で定められる移動時間以上経過するまで、省電力モードに決定する。第1決定部71は、センサー制御部51から第1出力値が入力され、かつ、出力値取得部57から第2出力値が入力されていない状態が、しきい値で定められる移動時間経過すると、通常モードに決定する。
第1決定部71は、センサー制御部51から第1出力値が入力される状態で、センサー制御部51から第1出力値が入力されてから移動時間が経過するまでに、出力値取得部57から第2出力値が入力されることに応じて、第2決定部73に第1決定指示を出力する。センサー制御部51から第1出力値が入力され、かつ、出力値取得部57から第2出力値が入力される場合は、MFP100が備える第1人感センサー117によってMFP100に近づいてくる人が検出されるとともに、重複装置であるMFP100Aが備える第2人感センサー117によってMFP100Aに近づいてくる人が検出される。
第2決定部73は、第1決定部71から第1決定指示が入力された後に、センサー制御部51から入力される第1出力値と出力値取得部57から入力される第2出力値とを比較する。ここでは、第1出力値および第2出力値それぞれの所定時間における平均を比較する。第1出力値および第2出力値それぞれは、人が発する熱量の変化を示す値なので、人との間の距離が短いほど、大きな値となる場合がある。このため、第1出力値の平均が第2出力値の平均よりも大きい場合は、人とMFP100との間の距離が、人とMFP100Aとの間の距離より短い確率が高い。第2決定部73は、第1出力値の平均が第2出力値の平均よりも大きい場合、通常モードを決定する。第2決定部73は、第1出力値の平均が第2出力値の平均以下の場合、省電力モードを決定する。第2決定部73は、第1決定部71から第1決定指示が入力された後、センサー制御部51および出力値取得部57から第1出力値および第2出力値がそれぞれ入力されるごとに、第1出力値の平均と第2出力値の平均を比較する。第2決定部73は、省電力モードを決定する場合、第3決定部75に第2決定指示を出力する。
第3決定部75は、第2決定部73から第2決定指示が入力された後に、センサー制御部51から第1出力値が入力され、出力値取得部57から第2出力値が入力されなくなることに応じて、通常モードを決定する。センサー制御部51から第1出力値が入力され、出力値取得部57から第2出力値が入力されない場合は、第1人感センサー117によって人が検出されるが、重複装置であるMFP100Aが備える第2人感センサー117によって人が検出されない状態である。この場合には、ユーザーがMFP100に近づいている可能性が高いので、電力供給モードを通常モードに決定する。
モード切換部61は、モード決定部59によって決定された電力供給モードに切り換える。モード切換部61は、電力供給モードを通常モードに切り換えている状態で、第1人感センサー117が人を検出することなく、操作部163がユーザーが入力する操作を受け付けない状態が、予め定められた期間の間継続する場合に省電力モードに切り換える。モード切換部61は、省電力モードの状態で、モード決定部59によって通常モードが決定されることに応じて、電力供給モードを通常モードに切り換える。また、モード切換部61は、モード決定部59によって省電力モードが決定される場合であっても、省電力モードの状態で操作部163がユーザーが入力する操作を受け付けることに応じて、通常モードに切り換える。
モード切換部61は、省電力モードにおいて、消費電力の異なる複数レベルのサブ省電力モードに電力供給モードを切換可能である。モード切換部61は、第1決定部71が、第1人感センサー117が第1出力値を出力した後に省電力モードに決定する場合、第1検出範囲で定まる距離に応じたレベルのサブ省電力モードに切り換える。例えば、複数レベルのサブ省電力モードそれぞれにおいて、通常モードの状態に移行するまでの移行時間を予め定めておく。第1検出範囲の最大距離とユーザーの移動速度とからユーザーがMFP100に到達するまでの到達時間を求めることができる。モード切換部61は、複数レベルのサブ省電力モードのうち通常モードの状態に移行するまでの移行時間が到達時間に最も近いレベルのサブ省電力モードに切り換える。これにより、ユーザーが第1検出範囲に入った後にMFP100を使用する場合に、MFP100に到達した時点から通常モードに移行するまでの時間を短くすることができる。
図5は、重複装置登録部の詳細な機能の一例を示すブロック図である。図5を参照して、重複装置登録部55は、受付制御部81と、装置識別部83と、相対位置設定部85と、を含む。受付制御部81は、操作パネル160を制御して、ユーザーが操作部163に入力する重複装置を受け付ける。具体的には、受付制御部81は、表示部161に、重複装置登録画面を表示する。重複装置登録画面は、装置識別情報を入力する領域と、相対位置を入力する領域とを含む。
装置識別部83は、ユーザーが表示部161に表示された重複装置登録画面に従って、他のMFP100A〜100Dのいずれかの装置識別情報を操作部163に入力すれば、操作部163が装置識別情報を受け付ける。重複装置は、その装置で人を検出可能な検出範囲が、MFP100が備える第1人感センサー117が人を検出可能な第1検出範囲とが部分的に重なる装置であることが好ましい。ユーザーは、第1人感センサー117の検出可能な距離と方向とで定まる範囲内に配置された装置を重複装置に設定すればよい。また、MFP100とその装置との間に、それぞれの検出範囲が位置する場合には、人感センサー117が検出可能な距離の2倍の範囲内にその装置が配置されていれば、その装置を重複装置に設定すればよい。
装置識別情報は、限定するものではないが、MFP100A〜100Dそれぞれに付されたネットワークアドレスである。装置識別情報は、ネットワークアドレスの他に、その装置に付された名称であってもよい。重複装置登録部55は、操作部163が受け付けた装置識別情報で特定される装置を、重複装置に決定する。
なお、MFP100A〜100Dの装置識別情報を予めMFP100に登録している場合には、重複装置登録画面は、MFP100A〜100Dの装置識別情報をリスト表示する画面としてもよい。この場合、ユーザーは、MFP100A〜100Dの装置識別情報のうちから1以上を選択することにより、重複装置を指定することができる。また、MFP100がBluetooth(登録商標)等の通信距離が数十メートルの近距離通信が可能な場合、重複装置登録画面は、MFP100が通信可能な装置の装置識別情報をリスト表示する画面としてもよい。
相対位置設定部85は、ユーザーが表示部161に表示された重複装置登録画面に従って、重複装置との間の距離を操作部163に入力すれば、操作部163が相対位置として距離を受け付ける。相対位置設定部85は、受け付けられた相対位置をしきい値決定部77に出力する。
図6(A)〜図6(C)は、重複装置登録画面の一例を示す図である。図6(A)を参照して、重複装置登録画面200は、配置表示領域201と、装置識別情報入力領域202と、リスト表示領域203と、を含む。配置表示領域201は、その中心に自装置であるMFP100を示す画像211と、その第1検出範囲を模した画像212とが配置されて表示される。また、配置表示領域201は、横軸および縦軸にメモリが付してある。メモリは、縮尺した距離を示す。
装置識別情報入力領域202は、重複装置の装置識別情報を設定するための領域である。ユーザーが装置識別情報入力領域202を指示すれば、図6(B)に示すように、ソフトキーボード230が重複装置登録画面200に重畳して表示され、ユーザーがソフトキーボード230をタッチすることにより、装置識別情報を入力可能になる。ユーザーにより入力された装置識別情報は、装置識別情報入力領域202に表示される。また、装置識別情報入力領域202に重複装置の装置識別情報が入力されることに応じて、図6(C)に示されるように、配置表示領域201に重複装置であるMFP100Aを示す画像221と、その第2検出範囲を模した画像222とが配置されて表示される。ユーザーは、画像221,222を、指示して移動させるドラッグアンドドロップ操作によって配置表示領域201の任意の位置に配置することが可能である。これにより、ユーザーは、MFP100に対する重複装置MFP100Aの相対位置を設定することができる。
リスト表示領域203は、自装置MFP100および重複装置MFP100Aそれぞれの装置識別情報が表示される。図6(C)に示されるように、リスト表示領域203は、MFP100の装置識別情報「192.168.0.1」と、重複装置であるMFP100Aの装置識別情報「192.168.0.2」と、が表示されている。
図7は、第1検出範囲および第2検出範囲の一例を示す第1の図である。図7を参照して、MFP100とMFP100Aとは、距離Lを隔てて配置される。MFP100の第1検出範囲301と、MFP100Aの第2検出範囲303とが、重畳領域305で重なる。重畳領域305はハッチングで示す領域である。第1検出範囲301と第2検出範囲303のずれ量の最大は、距離Lである。
ユーザーが、MFP100に向かう矢印311で示す経路を進む場合について説明する。MFP100,100Aがともに省電力モードの状態で、ユーザーが第1検出範囲301の外側から第1検出範囲301に進入した時点で、MFP100の第1人感センサー117が第1出力値を出力するが、MFP100Aの第2人感センサー117は第2出力値を出力しない。このため、MFP100は、第1人感センサー117が第1出力値を出力してからしきい値で定まる移動時間経過するまで、省電力モードのままである。またMFP100Aは、第2人感センサー117が第2出力値を出力していないので省電力モードのままである。
ユーザーが第1検出範囲301から第2検出範囲303に進入すると、重畳領域305に進入することになる。この場合、MFP100の第1人感センサー117が第1出力値を出力し、MFP100Aの第2人感センサー117が第2出力値を出力する。MFP100,100Aそれぞれとユーザーとの間の距離は、MFP100の方が短いので、第1出力値が第2出力値より大きな値となる。このため、MFP100が通常モードに切り換える。
図8は、第1検出範囲および第2検出範囲の一例を示す第2の図である。図8を参照して、MFP100の第1検出範囲301と、MFP100Aの第2検出範囲303とが、重畳領域305で重なる。重畳領域305はハッチングで示す領域である。
ユーザーが、MFP100に向かう矢印313で示す経路を進む場合について説明する。MFP100,100Aがともに省電力モードの状態で、ユーザーが第2検出範囲303の外側から第2検出範囲303に進入した時点で、MFP100Aの第2人感センサー117が第2出力値を出力するが、MFP100の第1人感センサー117は第1出力値を出力しない。このため、MFP100Aは、第1人感センサー117が第2出力値を出力してからしきい値で定まる移動時間経過するまで、省電力モードのままである。またMFP100は、第1人感センサー117が第1出力値を出力していないので省電力モードのままである。
ユーザーが第2検出範囲303から第1検出範囲301に進入すると、重畳領域305に進入することになる。この場合、MFP100の第1人感センサー117が第1出力値を出力し、MFP100Aの第2人感センサー117が第2出力値を出力する。MFP100,100Aそれぞれとユーザーとの間の距離は、MFP100Aの方が短いので、第2出力値が第1出力値より大きな値となる。このため、MFP100Aが通常モードに切り換える。MFP100は、省電力モードのままである。
さらに、ユーザーが重畳領域305からでると、MFP100の第1人感センサー117が第1出力値を出力し、MFP100Aの第2人感センサー117が第2出力値を出力しなくなる。このため、MFP100が通常モードに切り換える。
なお、ユーザーが重畳領域305に位置する場合に、第2出力値が第1出力値よりも大きくなり、MFP100Aが通常モードに切り換えるが、ユーザーはMFP100Aを操作しないので、MFP100Aは、通常モードに切り換えてから所定時間経過後に省電力モードに切り換えることになる。
図9は、モード決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。モード決定処理は、MFP100が備えるCPU111が、ROM113、HDD115またはCD−ROM118Aに記憶されたモード切換プログラムを実行することにより、CPU111により実行される処理である。
図9を参照して、CPU111は、電力供給モードが省電力モードか否かを判断する(ステップS01)。電力供給モードが省電力モードならば処理をステップS02に進めるが、そうでなければ処理をステップS11に進める。ステップS02においては、第1人感センサー117が出力する第1出力値が正の値か否かを判断する。第1出力値が正の値なら処理をステップS03に進めるが、そうでなければ処理をS02に戻す。ステップS03においては、タイマーTをスタートさせる。タイマーTは、第1出力値が「0」から正の値に変化してからの時間を計時する。
ステップS04においては、その時点で重複装置から受信される第2出力値がゼロか否かを判断する。第2出力値がゼロならば処理をステップS05に進めるが、そうでなければ処理をステップS07に進める。ステップS05においては、タイマーTがしきい値TH1以上か否かを判断する。しきい値TH1は、MFP100と重複装置であるMFP100Aとの間の距離Lを人が移動する移動時間である。タイマーTがしきい値TH1以上ならば処理をステップS06に進めるが、そうでなければ処理をS10に進める。ステップS06においては、その時点で第1人感センサー117が出力する第1出力値が正か否かを判断する。第1出力値が正ならば処理をステップS04に戻すが、そうでなければ処理をステップS02に戻す。
ステップS07においては、その時点で第1人感センサー117が出力する第1出力値が正か否かを判断する。第1出力値が正ならば処理をステップS08に進めるが、そうでなければ処理をステップS02に戻す。処理がステップS08に進む場合は、第1出力値と第2出力値とが同時に検出される場合である。ステップS08においては、その時点で第1人感センサー117が出力する第1出力値がその時点で重複装置であるMFP100Aから受信される第2出力値より大きいか否かを判断する。第1出力値が第2出力値より大きければ処理をステップS10に進めるが、そうでなければ処理をS09に進める。ステップS09においては、その時点で重複装置であるMFP100Aから受信される第2出力値がゼロか否かを判断する。第2出力値がゼロならば処理をステップS10に進めるが、そうでなければ処理をステップS08に戻す。
ステップS10においては、電力供給モードを通常モードに切り換え、処理をステップS11に進める。ステップS11においては、操作がなく所定時間が経過したか否かを判断する。通常モードに切り換えてから所定時間経過する前に操作部163が操作を受け付ける場合、または、操作部163が最後に操作を受け付けてから所定時間が経過する前に操作部163が操作を受け付ける場合は、待機状態となる(ステップS11でNO)。通常モードに切り換えてから操作部163が操作を受け付けることなく所定時間が経過する場合、または、操作部163が最後に操作を受け付けてから所定時間が経過する場合に、処理をステップS12に進める。ステップS12においては、電力供給モードを省電力モードに切り換え、処理をステップS02に戻す。
以上説明したように第1の実施の形態におけるMFP100は、第1検出範囲内に人が存在することを検出し、第1出力値を出力する第1人感センサー117を備え、第2検出範囲内に人が存在することを検出する第2人感センサー177を備えたMFP100Aを重複装置として登録し、第2人感センサーが出力する第2出力値をMFP100Aから取得し、第1出力値と第2出力値とに基づいて、電力供給モードを決定する。このため、自装置が備える第1人感センサー117と、MFP100Aが備える第2人感センサー117それぞれの出力値に基づいて電力供給モードを決定するので、人感センサー117だけで電力供給モードを決定する場合に比較して、人を精度よく検出することができ、MFP100よりもMFP100Aを使用する可能性の高い場合に通常モードに切り換えないようにして、電力が無駄に消費されないようにすることができる。
また、省電力モードにおいて、第1人感センサー117によって人が検出され、MFP100Aが備える第2人感センサーによって人が検出されていない状態で予め定められた移動時間が経過するまで通常モードに切り換えないので、第1人感センサー117によって検出された人がMFP100Aを使用する可能性のある場合に通常モードに切り換えないようにすることができる。例えば、第1人感センサー117により検出された人がMFP100Aを使用する場合、通常モードに切り換えないようにして、通常モードに切り換えることにより消費される電力が消費されないようにすることができる。
また、第1人感センサー117によって人が検出され、MFP100Aが備える第2人感センサーによって人が検出されていない状態が移動時間継続する場合は、MFP100AよりもMFP100を使用する可能性が高いので、第1人感センサー117によって人が検出され、MFP100Aが備える第2人感センサーによって人が検出されていない状態が移動時間継続する場合は、早期に通常モードに切り換えて、操作可能になるまでの待ち時間を短くすることができる。
また、第1人感センサー117が人を検出した後に省電力モードを決定する場合、複数レベルのサブ省電力モードのうちから第1検出範囲で定まる距離に応じたレベルのサブ省電力モードに切り換えるので、ユーザーが操作可能になるまでの待ち時間を減少することができる。
また、省電力モードにおいて第1人感センサー117とMFP100Aが備える第2人感センサー117とが同時に人を検出する場合、第1出力値が第2出力値以下の間は省電力モードに決定するので、第1人感センサー117によって検出された人がMFP100Aを使用する可能性のある場合に通常モードに切り換えないようにすることができる。
また、省電力モードにおいて第1人感センサー117とMFP100Aが備える第2人感センサー117とが人を同時に検出する場合、第1出力値が第2出力値より大きくなることに応じて通常モードに切り換えるので、第1人感センサー117によって検出された人がMFP100AよりもMFP100に近い場合に通常モードに切り換えることができる。
また、省電力モードにおいて第1人感センサー117とMFP100Aが備える第2人感センサー117とが同時に人を検出して省電力モードが決定された後に、MFP100Aが備える第2人感センサー117によって人が検出されなくなることに応じて、通常モードに切り換えるので、第1人感センサー117によって検出された人がMFP100を使用する可能性のある場合に通常モードに切り換えることができる。
また、重複装置であるMFP100Aとの相対的な位置に基づいて、移動時間を決定するので、MFP100Aとの相対的な位置によって移動時間を異ならせることができる。
<変形例>
変形例におけるMFP100は、光を照射する投光部と、光を受光する受光部とを備え、CPU111が有する機能の重複装置登録部55を、重複装置登録部55Aに変更したものである。投光部は、第1人感センサー117の第1検出範囲と同じ投光範囲に光を照射する。受光部は、光を電気信号に変更する光電変換素子で構成される。光電変換素子は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー、CCD(Charge Coupled Device)センサー等である。より具体的には、受光部はレンズと、レンズで集光された光を受光する光電変換素子と、を備えたカメラである。
図10は、変形例における重複装置登録部の詳細な機能の一例を示すブロック図である。図10を参照して、変形例における重複装置登録部55Aは、受光部を制御する受光制御部87と、投光部を制御する投光制御部89と、装置識別部83Aと、領域決定部85Aと、を含む。
投光制御部89は、投光部を制御し、第1検出範囲と同じ投光範囲に光を照射する。これにより、投光部から照射した光は、床面または壁面、床に設置された什器等の物体に照射され、物体で反射する。投光制御部89は、自装置の装置識別情報を2進数に変換し、2進数に従って所定時間間隔で光を明滅させる。投光制御部89は、1に相当する所定時間に光を照射し、0に相当する所定時間に光を照射しないように、投光部を制御する。投光制御部89は、周辺に存在する装置、例えばMFP100Aと通信し、MFP100Aからの要求に応じて、投光部に光を照射させる。
受光制御部87は、受光部を制御して、受光部に光を受光させる。受光制御部87は、周辺に存在する装置と通信し、その装置に光の照射を要求し、受光部に光を受光させる。例えば、MFP100Aに光の照射を要求する場合、MFP100Aが備える投光部が光を照射する。MFP100が備える受光部は、MFP100Aが備える投光部が照射する光が物体で反射した反射光を受光することになる。MFP100Aが備える投光部から照射した光は、MFP100Aの第1検出範囲と同じ投光範囲に照射されるので、その光が照射される物体において光が照射される部分は、MFP100Aの第1検出範囲に含まれる。このため、受光制御部87は、MFP100が備える受光部が受光する反射光に基づいて、MFP100Aの第1検出範囲を特定する。具体的には、受光制御部87は、物体との相対的な位置で第1検出範囲を特定する。さらに具体的には、受光制御部87は、物体中で光が照射されている部分を第1検出範囲に特定する。受光制御部87は、MFP100A〜MFP100Dそれぞれに、順に光の照射を要求し、受光部が光を受光した装置を重複装置に登録する。
装置識別部83Aは、所定時間間隔で受光部が受光する光の明滅を2進数に変換し、2進数を文字に変換することによって装置識別情報を決定する。装置識別部83Aは、MFP100A〜100Dのうち決定された装置識別情報で特定される装置を重複装置に決定する。領域決定部85Aは、受光部が受光する光の範囲を、重複装置が備える第2人感センサー117の第2検出範囲に設定する。領域決定部85Aは、第2検出範囲をしきい値決定部77に出力する。
しきい値決定部77は、第1検出範囲と第2検出範囲との重なり部分を特定し、第1検出範囲と第2検出範囲とのズレの量を、自装置であるMFP100と、重複装置であるMFP100Aとの間の距離Lに決定し、距離Lに基づいてしきい値を決定する。
変形例におけるMFP100においては、ユーザーが重複装置の装置識別情報および相対位置を入力する必要がないので、重複装置を設定する操作が容易となる。
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態におけるMFP100,100A〜100Dは、第1の実施の形態における人感センサー117を、反射型の赤外線センサーとし、第1の実施の形態におけるCPU111が有する機能において、モード決定部59をモード決定部59Aに変更したものである。
第2の実施の形態における人感センサー117は、人の存在を検出するとともに、その人までの距離を測定する。第2の実施の形態における人感センサー117は、人を検出する場合、その人までの距離を示す第1出力値をCPU111に出力する。
図11は、第2の実施の形態におけるモード決定部の詳細な機能の一例を示すブロック図である。図11を参照して、第2の実施の形態におけるモード決定部59Aは、位置決定部91と、移動方向決定部93と、を含む。位置決定部91は、第1出力値で定まる距離と、第2出力値で定まる距離と、MFP100と重複装置であるMFP100Aとの間の距離とに基づいて、人の位置を決定する。位置決定部91は、所定時間間隔で人の位置を決定し、位置を決定するごとに、決定された位置を移動方向決定部93に出力する。
移動方向決定部93は、移動方向決定部93によって2つの異なる時点で決定された位置に基づいて、人が移動する方向を決定する。モード決定部59Aは、省電力モードの状態で、移動方向決定部93により決定された方向がMFP100に向かう方向ならば通常モードに決定する。
第2の実施の形態におけるMFP100は、MFP100から人までの距離と、MFP100Aから人までの距離と、MFP100とMFP100Aとの間の距離とに基づいて、検出された人の相対位置を決定し、異なる時刻で決定する複数の相対位置に基づいて、人が移動する方向を決定し、最後に決定された人の相対的位置および最後に決定された人の移動方向に基づいて、電力供給モードを決定する。このため、人がMFP100と重複装置であるMFP100Aとのいずれに向かって移動しているかを決定することができる。
なお、上述した実施の形態においては、画像処理装置の一例としてMFP100,100A〜100Dを例に説明したが、図9に示したモード決定処理をMFP100に実行させるモード切換方法および、モード切換方法をMFP100を制御するCPU111に実行させるモード切換プログラムとして発明を捉えることができるのは言うまでもない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<付記>
(1) 前記モード決定手段は、前記省電力モードにおいて前記第1人感センサーおよび前記第2人感センサーが人を同時に検出する場合、前記第1出力値および前記第2出力値それぞれの所定時間における平均を比較する、請求項6に記載の画像処理装置。この局面に従えば、第1出力値および第2出力値それぞれの所定時間における平均を比較するので、誤検出を少なくすることができる。
(2) ユーザーにより入力される操作を受け付ける操作受付手段と、
前記受け付けられた操作に基づいて、前記重複装置との相対的な位置を決定する相対位置決定手段と、をさらに備えた、請求項8に記載の画像処理装置。この局面に従えば、ユーザーにより入力される操作に基づいて重複装置との相対的な位置を決定するので、移動時間を正確に設定することができる。