JP6751933B1 - 子宮内膜症の処置に用いられる医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
子宮内膜症の処置に用いられる医薬組成物は、脂肪組織由来再生細胞(Adipose Tissue Derived Reproductive Cells:以下、「ADRCs」ともいう)を含む。ADRCsには、例えば、炎症反応、間質反応等を改善する特性がある。この特性により、子宮内膜症を有する対象にADRCsを腹腔内投与又は静脈内投与することで、子宮内膜症病変を顕著に抑制することができると考えられる。
子宮内膜症の処置に用いられる医薬組成物の製造方法は、脂肪組織を脱凝集剤で処理して脱凝集組織を得ることと、脱凝集組織から遠心分離処理により再生細胞を濃縮することと、濃縮される再生細胞を回収することとを含む。
子宮内膜症の処置方法は、対象の子宮内膜症を処置する方法であり、脂肪組織由来再生細胞(ADRCs)を含む医薬組成物の有効量を、処置対象の腹腔内又は静脈内に投与することを含む。腹腔内又は静脈内に投与される医薬組成物に含まれる脂肪組織由来再生細胞により、子宮内膜症病変が改善される。子宮内膜症の処置方法は、子宮内膜症の症状の改善方法、治癒方法、予防方法等であってよい。
マウス(BALB/c、雌、5週齢)の両肢の皮下から、マウス脂肪組織を採取した。採取した脂肪組織1gから2gに対して10mlの0.2%コラゲナーゼ溶液(Gibco 17100−017)を加えて脂肪組織を浸漬した状態で、はさみで細切りにした。細切りにした脂肪組織に0.2%コラゲナーゼ溶液20mlを加え、37℃で120rpm、1時間振とうした。その後セルストレーナー(FALCON社製、REF 352360)で濾過し、濾液を400Gで5分間遠心処理した。上清を除去し、得られたペレットをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)10mlに懸濁して400Gで5分間遠心処理することを3回繰り返して細胞ペレットを得た。得られた細胞ペレットをマウスADRCsとした。
参考例1で得られたマウスADRCsをMEMα/GlutaMAX培地(Gibco32561−037,FBS(20%)および抗生剤(1%)添加)を用いて、5%CO2雰囲気下、37℃で24時間、細胞培養した。上清を除去し、残存した接着細胞をMEMα/GlutaMAX培地で80%コンフルエントになるまで培養した。その後0.5%トリプシン(Gibco 15400−054)を用いて細胞を剥離し、継代した。同様に継代を繰り返し、2回継代したものをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)10mlに懸濁して400Gで5分間遠心処理をして細胞ペレットを得た。得られた細胞ペレットを脂肪組織由来の間葉系幹細胞(Ad−MSC)とした。
子宮内膜症マウスモデルの作製
子宮内膜症マウスモデルは、卵巣が摘出除去されホルモン周期が同調されたドナーマウスとレシピエントマウスを準備し、ドナーマウスから取り出した子宮組織をレシピエントマウスの腹腔内に移植することで作製した。具体的には、以下の通りである。ドナーマウス及びレシピエントマウスとして6週齢のBALB/cマウスのメスを準備し、それぞれから卵巣を摘出した。卵巣摘出後及び卵巣摘出から1週間後にエストラジオールを100μg/kg/週で投与した。卵巣摘出から2週間後にドナーマウスから子宮を摘出し、結合組織及び卵管を除去した。摘出した子宮を片刃剃刀で1mm2以下に細砕して2つに分割し、それぞれにDMEM/F12(Gibco)及びAnti−Anti(Gibco)を含むメディウムを加えて混和して0.6mLの子宮組織液をそれぞれ得た。0.6mLの子宮組織液をレシピエントマウスの腹腔内に移植することで、子宮内膜症マウスモデルを作製した。なお、作製したモデルマウスは、エストラジオールを100μg/kg/週で週に1回投与し続けながら飼育した。
作製した子宮内膜症マウスモデルに、子宮組織を移植してから24時間後に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)2mL、又はADRCs(細胞数1×106個/匹)を含むPBS2mLを投与した。その後、マウスの飼育を、エストラジオールを100μg/kg/週で週に1回投与し続けながら4週間継続した。その後、腹腔内をPBS5mLで洗浄し、腹水を氷結保存した。また、腹腔内の子宮内膜症病変をホルマリン及びRNAレーター(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて保存した。腹腔内における子宮内膜症病変の個数、表面積及び重量を測定した。病変個数を図1(A)に、病変総重量を図1(B)に、病変総表面積を図1(C)に示す。なお、統計的有意差は、Mann−Whitney U検定により検定した。
作製した子宮内膜症マウスモデルに、子宮組織を移植してから24時間後に、対象群(Control)にはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)2mLを投与し、投与群1(Ad−MSC Single)及び投与群2(Ad−MSC Weekly)にはAd−MSC(細胞数1×106個/匹)を含むPBS1mLと1%ヒアルロン酸ナトリウム溶液(生化学工業#D03354)1mLを混和したものを投与した。また、投与群2(Ad−MSC Weekly)には、子宮組織を移植してから、1週間後、2週間後及び3週間後にもAd−MSCとヒアルロン酸ナトリウム溶液を混和したものを投与した。マウスの飼育を、エストラジオールを100μg/kg/週で週に1回投与し続けながら4週間継続した。その後、上記と同様にして、腹腔内における子宮内膜症病変の個数、重量及び表面積を測定した。病変個数を図2(A)に、病変総重量を図2(B)に、病変総表面積を図2(C)に示す。
作製した子宮内膜症マウスモデルに、子宮組織を移植してから24時間後に以下のようにPBS又は組成物を投与した。対象群(Control)にはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)2mLを腹腔内投与した。投与群1(Ad−MSC i.p.)にはAd−MSC(細胞数1×106個/匹)を含むPBS1mLと1%ヒアルロン酸ナトリウム溶液(生化学工業#D03354)1mLを混和したものを腹腔内投与した。投与群2(Ad−MSC i.v.)にはAd−MSC(細胞数1×106個/匹)を含むPBS0.5mLを静脈内投与した。マウスの飼育を、エストラジオールを100μg/kg/週で週に1回投与し続けながら4週間継続した。その後、上記と同様にして、腹腔内における子宮内膜症病変の個数、重量及び表面積を測定した。病変個数を図3(A)に、病変総重量を図3(B)に、病変総表面積を図3(C)に示す。
作製した子宮内膜症マウスモデルに、子宮組織を移植してから24時間後に以下のようにPBS又は組成物を投与した。対象群(Control)にはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)2mLを腹腔内投与した。HA投与群(HA i.p.)にはPBS1mLと1%ヒアルロン酸ナトリウム溶液(生化学工業#D03354)1mLを混和したものを腹腔内投与した。ADRCs投与群(ADRCs i.p.)にはADRCs(細胞数1×106個/匹)を含むPBS1mLと1%ヒアルロン酸ナトリウム溶液1mLを混和したものを腹腔内投与した。ASC投与群1(Ad−MSC i.p.)にはAd−MSC(細胞数1×106個/匹)を含むPBS2mL腹腔内投与した。ASC投与群2(Ad−MSC plus HA i.p.)にはAd−MSC(細胞数1×106個/匹)を含むPBS1mLと1%ヒアルロン酸ナトリウム溶液1mLを混和したものを腹腔内投与した。ASC投与群3(Ad−MSC i.v.)にはAd−MSC(細胞数1×106個/匹)を含むPBS0.5mLを静脈内投与した。マウスの飼育を、エストラジオールを100μg/kg/週で週に1回投与し続けながら4週間継続した。その後、上記と同様にして、腹腔内における子宮内膜症病変の個数、重量及び表面積を測定した。病変個数を図4(A)に、病変総重量を図4(B)に、病変総表面積を図4(C)に示す。
Claims (8)
- 脂肪組織由来再生細胞を含み、子宮内膜症の処置に用いられる医薬組成物。
- 腹腔内投与に用いられる請求項1に記載の医薬組成物。
- グリコサミノグリカン及びその誘導体から選択される少なくとも1種を含む請求項2に記載の医薬組成物。
- 静脈内投与に用いられる請求項1に記載の医薬組成物。
- 脂肪組織由来の間葉系幹細胞を含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- 脂肪組織を脱凝集剤で処理して脱凝集組織を得ることと、脱凝集組織から遠心分離処理により再生細胞を濃縮することと、濃縮される再生細胞を回収することとを含む請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の医薬組成物の製造方法。
- 前記脂肪組織は、皮下組織に由来する請求項6に記載の製造方法。
- 回収される再生細胞を培養することを更に含む請求項6又は請求項7に記載の製造方法。
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