JP6751178B2 - 医用画像処理装置、医用画像処理方法および記録媒体 - Google Patents

医用画像処理装置、医用画像処理方法および記録媒体 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、医用画像処理装置、医用画像処理方法および記録媒体に関する。
虚血性心疾患では、冠動脈の閉塞や狭窄等により、心筋への血流が阻害され、血液の供給が不足もしくは途絶えることにより、心臓に障害が生じる。患者は主に前胸部、時に、左腕や背中に痛みや圧迫感を感じるといった症状を訴える。虚血性心疾患の患者には大別して薬物療法、PCI(カテーテル手術)、あるいはバイパス手術のいずれかの治療法が施される。
薬物療法は、患者に薬物を投与して心臓の虚血を改善したり、血栓ができるのを予防したりする治療法である。PCIは、閉塞や狭窄を起こしている血管に細い管状構造の治療器具を直接挿入して強制的に血管を広げる治療法である。しかし冠状動脈に高度な三枝病変や慢性完全閉塞などがあるとPCIを施行することは難しい。
バイパス手術は、PCIによる治療が不可能な重度の患者に考慮される。バイパス手術はCABG(Coronary Artery Bypass Grafting)とも称される術式である。CABGは、図14、15に示されるように、狭くなっていたり閉塞していたりする血管に他の血管(グラフト血管)を繋げ、グラフト血管を介して虚血部位に血液が流れるようにする治療法である。グラフト血管は内胸動脈や大伏在静脈から取られる。内胸動脈を用いると再狭窄の率が低く、予後の良いことが知られている。
FFR(Fractional Flow Reserve)は、PCIか薬物療法のどちらを適用するかを選択する指標の一つである。血管の狭窄の進行度は、例えばプレッシャーワイヤを直接血管に挿入して検査される。プレッシャーワイヤは血管内に図16に示されるように挿入され、狭窄部の前後の圧力Pin,Poutを計測する。
FFRはPout/Pinで定義される。FFRが0.8より低ければ、治療法としてPCIが選択され、高ければ薬物療法が選択される。しかしながらプレッシャーワイヤを血管に挿入することは侵襲的なので、非侵襲的な計測法及びFFRの推定法が望まれている。
そこで、シミュレーションによりFFRの推定値を計算する方法が考案されている。この種の技術では、モダリティから取得される血管の形状と、血液等のもつ粘性値等の物理パラメータとがシミュレータにインプットされる。そして、CFD(Computational Fluid Dynamics)で用いられるナビエ・ストークスの式を用いて、流体解析によりFFRが推定(計算)される。
既存のシミュレーションでは3D画像が用いられる。しかし3Dシミュレーションは多大な計算時間を要するので、3D画像を用いてのシミュレーションを2D近似することで、シミュレーションに要する時間を大幅に削減する手法がある。このような工夫によりFFRをシミュレーションベースで素早く計算することができる。近似シミュレーションに基づくFFRは、医師にとっては有効な指標として認知されている。
特開2012−24582号公報 特開2007−289588号公報
Journal of Cardiovascular Computed Tomography-Min et al.-2011
治療法としてCABGが選択されると、術前計画においてグラフト血管の継ぎ目を決定する必要がある。通常、医師はCTA(CT Angiography)などで得た画像を読影して血管の状態を確認し、血管の接合部を判断する。しかしながら血管の状態を細部まで詳しく読み取ることは難しいので読影医に大きな負担がかかる。また見落としなどの可能性もある。血管の継ぎ目よりも下流の狭窄が見落とされるとバイパスを形成しても心筋の機能が回復しないので、手術は失敗する。
目的は、適切なバイパス箇所を正確に示し得る医用画像処理装置、医用画像処理方法および記録媒体を提供することにある。
実施形態によれば、医用画像処理装置は、計算部と、第1特定部と、第2特定部と、表示制御部とを具備する。計算部は、画像に描出された血管の血流指標を計算する。第1特定部は、血管における血流指標の分布に基づいて血管内の責任狭窄を特定する。第2特定部は、責任狭窄を迂回するバイパス血管を接続するための血管上のバイパス箇所を特定する。表示制御部は、特定されたバイパス箇所を表示部に表示させる。
図1は、実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像処理システムの一例を示す機能ブロック図である。 図2は、図1に示されるテリトリーマップ記憶部102に記憶されるテリトリーマップの一例を示す模式図である。 図3は、図1に示される医用画像処理装置10の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図4は、図1に示される医用画像処理装置10による冠動脈解析の結果の一例を示す模式図である。 図5は、図1に示される医用画像処理装置10による心筋解析の結果の一例を示す模式図である。 図6は、図1に示される表示部112に表示される責任血管の3次元画像の一例を示す模式図である。 図7は、図1に示される表示部112に表示される責任血管の2次元画像の一例を示す模式図である。 図8は、マーカ表示されるバイパス箇所を含む3次元画像の一例を示す図である。 図9は、マーカ表示されるバイパス箇所を含むCPR画像の一例を示す図である。 図10は、マーカ表示されるバイパス箇所を含むSPR画像の一例を示す図である。 図11は、弾性力が基準を満たさない領域がバイパス箇所から除外されることを示す3次元画像の一例を示す図である。 図12は、リスク分布を含むバイパス箇所を示す3次元画像の一例を示す図である。 図13は、FFRの値と血管内径とをバイパス箇所に組み合わせて表示するSPR画像の一例を示す図である。 図14は、CABGの原理を説明するための模式図である。 図15は、CABGの原理を説明するための模式図である。 図16は、FFRについて説明するための模式図である。
図1は、実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像処理システムの一例を示す機能ブロック図である。図1に示される医用画像処理システム1は、医用画像処理装置10、CT(Computed Tomography)装置20およびPACS(Picture Archiving and Communication System)50を備える。医用画像処理装置10、CT装置20およびPACS50は、ネットワーク40を介して通信可能に接続される。ネットワーク40は例えばLAN(Local Area Network)や公衆電子通信回線などである。
実施形態において医用画像処理装置10は、解剖学的部位としての心臓の画像データに基づいて、CABGの術前計画を作成するために用いられることが可能である。CABGは、以下の条件を満たす虚血性心疾患患者に適用される。
(1)左冠動脈主幹病変(50%以上の狭窄例)
(2)PCIの施行が困難(高度な三枝病変、慢性完全閉塞など)
(3)冠動脈末梢枝の血液の流れが良好(血管内径>1.5mm)であるもの(狭窄・不整なし)
(4)左心肺機能が次の状態であるもの(駆出率(EF)20%以上、左室拡張終期圧(LVEDP)20mmHG以下)
画像記憶部101は、CT装置20またはPACS50から制御部104の制御に基づいて送信されたボリュームデータを記憶する。処理画像としてのボリュームデータは、例えば、被検体の心臓を含む胸部領域に関する複数時相にわたる時系列の3次元造影CT画像データである。
テリトリーマップ記憶部102は、図2に示されるようなテリトリーマップを記憶する。テリトリーマップ(以下、支配マップと表記する)は、各冠動脈により栄養を供給される支配領域と冠動脈との関係を定義する、マッピングデータである。
通信インタフェース103はネットワーク40に接続されて、CT装置20あるいはPACS50と医用画像処理装置10との通信を可能にする。
心臓領域抽出部105は、心輪郭抽出処理などによりボリュームデータから心臓領域を抽出する。
心筋解析部106は、心臓領域抽出部105により抽出された心臓領域から、造影剤濃度に対応するCT値による閾値処理などにより心筋領域を抽出する。また、心筋解析部106は、心筋パフュージョン解析を実施する。つまり心筋解析部106は、抽出された心筋領域内の画素毎(または局所毎)に造影剤に関する時間濃度曲線を生成する。そして心筋解析部106は造影剤が流入してから流出するまでの期間に移動する血流の量を、その時間濃度曲線に基づいて、画素毎(または局所毎)に算出する。
例えば、CT装置を用いた撮影では非イオン性造影剤を患者へ注入し、CT値の変化から臓器の灌流情報を描出することができる。よってCTパフュージョン解析では、例えば512×512ピクセルで構成されるCT画像(ボリュームデータ)の経時変化を、各画素におけるCT値の変化から測定し、血流量等を数値化することができる。このようにして臓器の灌流情報(例えば、血流量)を表す1枚のカラーマップが、複数時相のCT画像から生成される。
さらに、心筋解析部106は、算出された血流量の空間分布から閾値処理により虚血領域を抽出する。
冠動脈解析部107は、心臓領域抽出部105により抽出された心臓領域から複数の冠動脈を抽出する。そして冠動脈解析部107は、当該抽出された各冠動脈から少なくとも1つの狭窄部位を抽出する。具体的には、冠動脈解析部107は、冠動脈の血管芯線や血管内壁等に沿って冠動脈の解剖学的構造やプラーク性状を分析し、冠動脈に関するボリュームデータを抽出する。この処理により、冠動脈ならびにその冠動脈の内壁に位置する狭窄部位が抽出される。
プラーク性状の具体例としては、脂質量、血清コレステロール濃度、硬さ、石灰化度、繊維性被膜(Thin-cap)の厚さ、及びFFR(但し、本実施形態では、FFRはFFR計算部109により算出されるものとする)などを挙げることができる。
責任血管特定部108は、心筋解析部106により抽出された虚血領域と支配マップ(テリトリーマップ記憶部102に記憶される)とを照合して責任血管を特定する。責任血管は、虚血領域に栄養供給責任を有する血管である。
FFR計算部109は、FFRの値を、冠動脈解析部107により抽出された狭窄部位毎にシミュレーションベースで計算する。具体的には、先ず、FFR計算部109は、狭窄部位の上流の組織血流量と下流の組織血流量とを、冠動脈解析部107により抽出された狭窄部位毎に、心筋解析部106により生成されたカラーマップに基づいて算出する。そしてFFR計算部109は、算出された下流の組織血流量を上流の組織血流量で除算して、狭窄部位毎のFFRを算出する。
責任狭窄特定部110は、冠動脈解析部107により抽出された狭窄部位のうち、責任血管特定部108により特定された責任血管の内壁に位置する狭窄部位(以下、責任狭窄と表記する)を特定する。つまり責任狭窄特定部110は、幾つかの責任狭窄候補のうちからFFRが閾値未満である狭窄部位を、責任狭窄として特定する。
バイパス箇所特定部113は、責任血管におけるバイパス箇所を特定する。すなわちバイパス箇所特定部113は、責任血管上でのグラフト血管(バイパス血管)の継ぎ目の適切な位置を、FFRの降下度、血管内径、血管弾性などの指標値に基づいて特定する。
マーカ発生部111は、責任血管(責任血管特定部108により特定される)、責任狭窄(責任狭窄特定部110により特定される)、FFR(FFR計算部109により算出される)や責任狭窄候補(動脈解析部107により抽出される)などに加えて、バイパス箇所(バイパス箇所特定部113により特定される)を視覚的に表示するためのマーカのデータを発生する。マーカは、矢印や三角などのシンボル図形のほか、カラーマッピング表示や、グラデーションなどの視覚的効果を伴うものでもよい。
表示制御部114は、ボリュームデータからレンダリング等により生成された3次元画像や、断面変換(Multi-Planar Reconstruction)により生成された2次元画像を表示部112に表示させる。また表示制御部114は、マーカ発生部111により発生されたマーカを3次元画像や2次元画像に重ねて表示部112に表示させる。次に、本実施形態に係る医用画像処理装置10における処理手順を説明する。
図3は、図1に示される医用画像処理装置10の処理手順の一例を示すフローチャートである。図3において、制御部104は、胸部領域に関する複数時相にわたる時系列のボリュームデータを、CT装置20またはPACS50から通信インタフェース103を介して取得する(ステップS1)。取得されたボリュームデータは画像記憶部101に書き込まれる。
次に、制御部104の制御に基づいて心臓領域抽出部105は、拍動の比較的少ない特定時相のボリュームデータを処理画像として画像記憶部101から読み出す。心臓領域抽出部105は、読み出されたボリュームデータから心臓領域を抽出する(ステップS2)。
次に、冠動脈解析部107は、心臓領域抽出部105により抽出された心臓領域を対象にして冠動脈解析処理を実行する(ステップS3,S4)。具体的には、冠動脈解析部107は、冠動脈の血管芯線や血管内壁等に沿って、冠動脈の解剖学的構造やプラーク性状を分析する。その結果に基づいて冠動脈解析部107は、冠動脈ならびにその冠動脈の内壁に位置する狭窄部位を抽出する。
次に、冠動脈解析部107は、冠動脈の解剖学的構造を心臓形態画像に重畳して3次元画像、または2次元画像を生成する。生成された3次元画像または2次元画像は表示部112に表示される。図4(a)は3次元画像g1の一例を示す。図4(b)はCPR(curved planar reconstruction)表示される2次元画像g2の一例を示す。なお、操作者は、図4(a),(b)に示される画像g1,g2を表示部112に表示させるタイミングを任意に設定することができる。つまり、各画像を処理途中に表示させてもよいし、処理結果と共に表示させてもよい。
次に、心筋解析部106は、心臓領域抽出部105により抽出された心臓領域から心筋領域を、造影剤濃度に対応するCT値を用いた閾値処理により解析する(ステップS5)。
次に、心筋解析部106は、CTパフュージョン解析処理を、抽出された心筋だけに対して実行する(ステップS6,S7,S8)。具体的には、心筋解析部106は、抽出された心筋領域内の画素毎(または局所毎)に、造影剤に関する時間濃度曲線を時系列のボリュームデータに基づいて生成する。そして心筋解析部106は、造影剤が流入してから流出するまでの期間に移動する血流量を、それらの時間濃度曲線に基づいて画素毎(または局所毎)に算出する。
これにより、例えば図5に示される、血流量の空間分布を示すカラーマップg3が生成される。そして心筋解析部106は、生成されたカラーマップg3(つまり算出された血流量の空間分布)に基づいて、血流量が既定の閾値未満の領域を虚血領域として抽出する。
続いて、責任血管特定部108は、特定された虚血領域と支配マップ(テリトリーマップ記憶部102に記憶される、例えば図2に示されるデータ)とを照合して責任血管を特定する(ステップS9)。
次に、FFR計算部109は、心筋解析部106により生成されたカラーマップg3に基づいて、FFRシミュレーションにより各狭窄部位の下流の組織血流量と、各狭窄部位の上流の組織血流量とを算出する。各狭窄部位は、責任血管特定部108により特定された責任血管の内壁にいずれも位置する。そしてFFR計算部109は、算出された狭窄部位の下流の組織血流量を、算出された狭窄部位の上流の組織血流量で除算してFFRを算出する(ステップS10)。
続いて、責任狭窄特定部110は、FFR計算部109により算出されたFFRが閾値未満である狭窄部位を責任狭窄として特定する(ステップS11)。さらに、バイパス箇所特定部113は、責任血管におけるFFRの降下度、血管内径、血管壁の状態などに基づいて、バイパス箇所を責任狭窄の下流側において特定する(ステップS12)。
しかる後、表示部112は、例えば図6,7に示すように、マーカ発生部111により発生した責任血管、責任狭窄、ならびにFFRを示すマーカを、ボリュームデータに由来する3次元画像g4又は2次元画像g5に重畳させて表示する(ステップS13)。さらに表示部112は、例えば図8に示すように、マーカ発生部111により発生したバイパス箇所を示すマーカを、ボリュームデータに由来する3次元画像g4又は2次元画像g5に重畳させて表示する。
なお図8において、バイパス箇所よりも下流の部分は血管内径が基準を満たさない程度に細い(例えば1.5mm以下)のでバイパス不適箇所と判断され、カラーマッピング表示の対象から除外される。
このような構成により、例えば、図8に示すように、CABGに際してのバイパス箇所を医師に視覚的に示すことができる。よって医師は適切な箇所にグラフト血管の継ぎ目を設定することができる。また、ヒューマンエラーの可能性を低減させることもできる。
また、本実施形態では、FFR計算部109がシミュレーションベースでFFR値を算出する。つまり、プレッシャーワイヤなど侵襲性をもつ器具を要しないので、検査時に患者にかかる負担を低減させることができる。また医師は、CABGの術前計画を非侵襲で実施することができる。また、非侵襲な検査手法であるので、フォローアップとして術後の経過を確認するためにも本実施形態は有効である。
なお、本実施形態では、表示部112が表示する画像の一例として図6、図7あるいは図8を示したが、表示部112が表示する画像はこれらに限定されるものでない。例えば、図9に示されるCPR画像、あるいは図10に示されるSPR(stretched CPR)画像が表示部112に表示されるとしてもよい。
図9のCPR画像においては、FFRの値が血管に沿ってカラーマッピング表示される。マーカよりも下流側においてはその上流よりもFFRの値が低いが、安定している、つまりFFRの降下度に変化が少ないことが示される。よってこの部分はバイパス箇所の候補になる。しかし最も下流の部分においては血管内径が細すぎるので、バイパス箇所としては不適であることが示される。図10のSPR画像においても同様である。医師はこれらの画像を参照して、グラフト血管の接続位置を開胸前に認識することができる。
また、本実施形態に係る医用画像処理装置10によれば、血管の弾性力(血管弾性)をも考慮して、バイパス箇所をさらに絞り込むこともできる。弾性値の低すぎる血管は、つまり柔らかすぎるので、術時に破裂する可能性がある。逆に弾性値の高すぎる血管は硬すぎるので、動脈硬化の可能性が示唆され、グラフト血管の接続箇所としてはやはり適さない。
図11は、弾性力が基準を満たさない領域がバイパス箇所から除外されることを示す3次元画像の一例を示す図である。血管弾性は、FFR計算部109によるFFRシミュレーション時や、4D−CTからのデータを解析することで判明する。この知見を考慮してバイパス箇所を特定することにより、FFRの値は良好であるが血管の接続箇所としては不適な箇所を避けることが可能になり、ひいては治療成績の向上を見込むことができる。
また、本実施形態に係る医用画像処理装置10によれば、バイパス箇所におけるリスク分布の詳細を、例えばカラーマッピングで表示することもできる。
図12は、リスク分布を含むバイパス箇所を示す3次元画像の一例を示す図である。実施形態に係る医用画像処理装置10によれば、CTボリュームデータを解析することによりFFR、血管内径、血管壁の状態、あるいは血管と狭窄箇所の位置関係などの種々のリスク要素を求めることができる。
表示制御部114は、これらのリスク要素を含むリスク分布を、バイパス箇所において項目別に複数種色分けして表示部112に表示する。このような表示手法により、ここは安全だがバイパス箇所としてはあまりお勧めしない、などの、詳細な情報を医師は一目で認識できる。また、リスクを得点にしてカラーマップにしてもよい。
また、本実施形態に係る医用画像処理装置10によれば、バイパス箇所を、他の指標と組み合わせて表示することも可能である。
図13は、FFRの値と血管内径とをバイパス箇所に組み合わせて表示するSPR画像の一例を示す図である。図13に示される画像は主に表示制御部114による制御のもとで表示部112に表示される。図13に示されるように、バイパス箇所の表示と合わせて、FFRおよび血管内径が血管に沿ってグラフの形態で表現される。実線のグラフが血管内径を示し、点線のグラフはFFRを示す。表示されるグラフはいずれか片方でも良い。
このように、SPR画像に合わせて多様な情報を表示することで、医師に多くの情報を伝えることができる。このほか、血管壁に関する情報(厚さ、硬化度、プラークの厚みなど)を追加することも可能である。
さらに、本実施形態に係る医用画像処理装置10によれば、表示部112により所望の3次元画像を表示する際に、マウスやキーボード、タッチパネル等の図示しない入力インタフェースから責任血管、責任狭窄あるいはバイパス箇所を選択する旨の入力を受け付けると、当該選択された責任血管、責任狭窄、バイパス箇所を観察しやすい角度に3次元画像を自動で回転させることも可能である。
なお本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば実施形態では心臓の冠状動脈に対するCABGを考慮したが、脳動脈や他の動脈など、血管バイパス術を適用可能なあらゆる疾患の術前計画に本発明を適用することが可能である。
また実施形態では、FFR計算部109は、上記のような計算手法によりFFRを算出するものとしたが、FFRの計算手法はこれに限定されるものではない。各狭窄部位に対応したFFRを算出可能であれば、FFR計算部109で用いるFFRの計算手法として適宜適用可能である。例えばシミュレーションは2Dに限らず、3Dでも構わない。
また、実施形態ではFFRシミュレーションによりFFRを算出するようにした。これに代えて、Gradient法で求められるFFRを用いることが可能である。Gradient法とは血液の流れとCT値とが互いに相関するという可能性を利用する方法である。この方法は、本願の出願時点では文献(例えば、[Intracoronary Transluminal Attenuation Gradient in Coronary CT Angiography for Determining Coronary Artery Stenosis, JACC, 2011, Jin - Ho Choi])に紹介されているに留まるが、今後の研究によってはFFRなどの定量的な値を求めるための有力な方法になる可能性が高い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示するものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…医用画像処理システム、10…医用画像処理装置、20…CT装置、50…PACS、40…ネットワーク、101…画像記憶部、102…テリトリーマップ記憶部、103…通信インタフェース、104…制御部、105…心臓領域抽出部、106…心筋解析部、107…冠動脈解析部、108…責任血管特定部、109…FFR計算部、110…責任狭窄特定部、111…マーカ発生部、112…表示部、113…バイパス箇所特定部、114…表示制御部。

Claims (22)

  1. 被検体の3Dボリュームに含まれる冠動脈に基づいて求められた、前記冠動脈における2点間の圧力比に対応する血流指標の分布を取得する取得部と、
    被検体の3Dボリュームに含まれる冠動脈に基づいて求められた、前記冠動脈の狭窄部位、前記冠動脈の内径、及び前記冠動脈の血管壁に関する指標値の少なくともいずれかに基づき、前記冠動脈のうちバイパス接続に適さないバイパス不適箇所を特定する特定部と、
    前記冠動脈及び前記血流指標の分布の少なくともいずれか一方に関する表示画像と、前記特定されたバイパス不適箇所の位置とを表示部に表示させる表示制御部と
    を具備する、医用画像処理装置。
  2. 前記特定部は、前記冠動脈における前記血流指標の分布に基づいて、バイパス血管を接続するための前記冠動脈上のバイパス箇所を特定
    前記表示制御部は、前記特定されたバイパス箇所を前記表示部に表示させる、請求項1記載の医用画像処理装置。
  3. 前記冠動脈の血管壁に関する指標値は、血管壁の弾性値である、請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
  4. 前記特定部は、前記血管壁の弾性値と所定の閾値とを比較し、前記弾性値が前記閾値を下回る箇所を前記バイパス不適箇所として特定する、請求項3記載の医用画像処理装置。
  5. 前記特定部は、前記血管壁の弾性値と所定の閾値とを比較し、前記弾性値が前記閾値を上回る箇所を前記バイパス不適箇所として特定する、請求項3記載の医用画像処理装置。
  6. 前記特定部は、前記冠動脈の内径と所定の閾値とを比較し、前記冠動脈の内径が前記閾値を下回る箇所を前記バイパス不適箇所として特定する、請求項1記載の医用画像処理装置。
  7. 前記特定部は、前記冠動脈の狭窄部位、前記冠動脈の内径、及び前記冠動脈の血管壁に関する指標値のうち少なくとも2つの項目に基づいて前記バイパス不適箇所を特定し、
    前記表示部は、前記バイパス不適箇所の特定に用いた項目を区別可能なように前記バイパス不適箇所を表示する、請求項1に記載の医用画像処理装置。
  8. 前記表示制御部は、前記血流指標の分布を示すカラーマップに、前記バイパス不適箇所を重畳させる、請求項1乃至7のいずれかに記載の医用画像処理装置。
  9. 前記特定部は、前記血流指標の分布に基づいて前記狭窄部位を特定する、請求項1乃至8のいずれかに記載の医用画像処理装置。
  10. 前記表示制御部は、前記冠動脈についての3次元画像又は2次元画像と、前記血流指標の分布を示すカラーマップとを前記表示部に表示させ、特定された前記冠動脈上のバイパス箇所を前記3次元画像又は前記2次元画像に重ねて前記表示部に表示させる、請求項2に記載の医用画像処理装置。
  11. 前記特定部は、前記血流指標の降下度が所定の閾値よりも低い箇所を前記バイパス箇所として特定する、請求項2記載の医用画像処理装置。
  12. 前記特定部は、前記冠動脈の内径を用いて前記バイパス箇所を特定する、請求項2に記載の医用画像処理装置。
  13. 前記特定部は、前記冠動脈の内径が所定の閾値以上である箇所を前記バイパス箇所として特定する、請求項12に記載の医用画像処理装置。
  14. 前記特定部は、前記冠動脈の弾性値を用いて前記バイパス箇所を特定する、請求項2に記載の医用画像処理装置。
  15. 前記特定部は、前記弾性値が所定の閾値範囲の範囲内にある箇所を前記バイパス箇所として特定する、請求項14に記載の医用画像処理装置。
  16. 前記表示制御部は、前記特定されたバイパス箇所に対応する血流指標を示す第1グラフ及び前記特定されたバイパス箇所に対応する血管内径を示す第2グラフの少なくとも一方を前記表示部に表示させる、請求項2に記載の医用画像処理装置。
  17. 前記表示制御部は、前記第1グラフ及び前記第2グラフの少なくとも一方を前記特定されたバイパス箇所が描出された画像と共に前記表示部に表示させる、請求項16記載の医用画像処理装置。
  18. 前記表示制御部は、前記特定されたバイパス箇所におけるリスク分布を前記表示部に表示させる、請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
  19. 医用画像処理装置が、被検体の3Dボリュームに含まれる冠動脈に基づいて求められた、前記冠動脈における2点間の圧力比に対応する血流指標の分布を取得する過程と、
    前記医用画像処理装置が、被検体の3Dボリュームに含まれる冠動脈に基づいて求められた、前記冠動脈の狭窄部位、前記冠動脈の内径、及び前記冠動脈の血管壁に関する指標値の少なくともいずれかに基づき、前記冠動脈のうちバイパス接続に適さないバイパス不適箇所を特定する過程と、
    医用画像処理装置が、前記冠動脈及び前記血流指標の分布の少なくともいずれか一方に関する表示画像と、前記特定されたバイパス不適箇所の位置とを表示部に表示させる過程と、
    を具備する、医用画像処理方法。
  20. 前記医用画像処理装置が、前記冠動脈における前記血流指標の分布に基づいて、バイパス血管を接続するための前記冠動脈上のバイパス箇所を特定する過程と、
    前記医用画像処理装置が、前記特定されたバイパス箇所を前記表示部に表示させる過程と
    を具備する、請求項19記載の医用画像処理方法。
  21. 医用画像処理装置により実行されるプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記プログラムは、前記医用画像処理装置を、
    被検体の3Dボリュームに含まれる冠動脈に基づいて求められた、前記冠動脈における2点間の圧力比に対応する血流指標の分布を取得する取得部と、
    被検体の3Dボリュームに含まれる冠動脈に基づいて求められた、前記冠動脈の狭窄部位、前記冠動脈の内径、及び前記冠動脈の血管壁に関する指標値の少なくともいずれかに基づき、前記冠動脈のうちバイパス接続に適さないバイパス不適箇所を特定する特定部と、
    前記冠動脈及び前記血流指標の分布の少なくともいずれか一方に関する表示画像と、前記特定されたバイパス不適箇所の位置とを表示部に表示させる表示制御部として動作させるものである、記録媒体。
  22. 前記特定部が、前記冠動脈における前記血流指標の分布に基づいて、バイパス血管を接続するための前記冠動脈上のバイパス箇所を特定し
    前記表示制御部が、前記特定されたバイパス箇所を前記表示部に表示させるように動作させるものである、請求項21記載の記録媒体。
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