JP6750925B2 - 血管内のコンダクタンスを定量化するためのシステム - Google Patents

血管内のコンダクタンスを定量化するためのシステム Download PDF

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Description

管脈構造内の血流の特性を明らかにする能力は、外科手術若しくは他の医療手順の前に、又は全般的な患者のモニタリングのために、有用な見識を提供することができる。例えば対象領域は、心臓に近接した管脈構造とすることができる。非限定的な例として、そのようなデータは、手術手順に対するアプローチを決定する前に、大動脈縮窄症又は他の状態の深刻さに対する見識を提供するために使用することができる。管脈構造内の流れパターン又は流れの体積を確立するために使用され得るデータは、大動脈縮窄症などであるがこれに限定されない状態の深刻さを定量化するのに有用であり得る。
本開示は、少なくとも二つの圧力センサに結合されたカテーテル部材を使用して管脈構造の領域における流れコンダクタンスを定量化することを可能にする例示的なシステム、デバイス、装置、及び方法を提供する。カテーテルにおける既知の制御された流量のパターンにおける圧力測定値からのデータを使用して、流れコンダクタンスの値を算出することができる。非限定的な例として、システム、デバイス、装置、及び方法は、カテーテル部材に近接した近位外部コンダクタンス又は遠位外部コンダクタンスを定量化するために使用することができる。カテーテル部材に近接した近位外部コンダクタンス又は遠位外部コンダクタンスの値は、外科手術若しくは他の医療手順の前に、又は全般的な患者のモニタリングのために、管脈構造の状態に対する有用な見識を提供することができる。
例では、圧力センサのうちの少なくとも一つがカテーテル部材の遠位先端に結合され、少なくとも一つの他の圧力センサが、遠位先端の近位に、カテーテル部材のシャフトに近接して位置付けられる。カテーテル部材からの既知の制御された流量のパターンにおける圧力測定値からのデータを使用して、カテーテル部材に近接した近位外部コンダクタンス又は遠位外部コンダクタンスの値を算出することができる。
例では、管脈構造の領域は心臓に近接していてもよい。
例示的なシステム、デバイス、装置は、カテーテル部材と制御流分割システムとを含むことができる。カテーテル部材は、遠位先端と、管腔を有するシャフトとを含む。制御分割流システムは、カテーテル部材の遠位先端に近接して配設された少なくとも第1の圧力センサと、遠位先端から近位に、カテーテル部材のシャフトの外側表面に配設された少なくとも第2の圧力センサと、カテーテル部材に結合された、管腔内で所定の流量パターンで注入流れを生じさせるための注入流量供給源とを含む。
例示的なシステム、デバイス、及び装置は、カテーテル及び少なくとも二つの圧力センサを使用して方法を実施するように構成することができる。例示的な方法は、カテーテル部材を身体の一部分に結合させるステップを含む。カテーテル部材は、遠位先端と、管腔を有するシャフトとを含む。少なくとも第1の圧力センサは、カテーテル部材の遠位先端に近接して配設される。少なくとの第2の圧力センサは、遠位先端から近位に、カテーテル部材のシャフトの外側表面に配設される。方法は、遠位先端において注入される流体の流れを時間間隔Tにわたって所定の流量パターンに制御するステップと、少なくとも第1の圧力センサ及び第2の圧力センサを使用して、時間間隔Tにわたって圧力測定値を記録するステップと、圧力測定値を示すデータ、及び所定の流量パターンを使用して、遠位先端の近位外部コンダクタンス又は遠位外部コンダクタンスのうちの少なくとも一つを算出するステップとをさらに含む。
例示的なシステム、デバイス、及び装置は、カテーテル部材、制御流分割システム、及びコンソールを含むことができる。カテーテル部材は、遠位先端と、管腔を有するシャフトとを含む。制御分割流システムは、カテーテル部材の遠位先端に近接して配設された少なくとも第1の圧力センサと、遠位先端から近位に、カテーテル部材のシャフトの外側表面に配設された少なくとも第2の圧力センサと、カテーテル部材に結合された、管腔内で所定の流量パターンで注入流れを生じさせるための注入流量供給源とを含む。コンソールは、ディスプレイユニットと、少なくとも第1の圧力センサ及び少なくとも第2の圧力センサを使用した圧力測定値に基づいてコンダクタンスの値を算出すること、及びコンダクタンスの値の指標をディスプレイユニットに表示させるための信号を生成することを行うようにプログラムされた少なくとも一つの処理ユニットとを含む。
例示的なシステム、デバイス、及び装置は、カテーテル及び制御分割流システムを使用して方法を実施するように構成することができる。方法は、カテーテル部材を身体の一部分に結合させるステップを含む。カテーテル部材は、遠位先端と、管腔を有するシャフトとを含む。制御分割流システムは、カテーテル部材の遠位先端に近接して配設された少なくとも第1の圧力センサと、遠位先端から近位に、カテーテル部材のシャフトの外側表面に配設された少なくとも第2の圧力センサと、カテーテル部材に結合された、管腔内で所定の流量パターンで注入流れを生じさせるための注入流量供給源とを含む。例示的な方法は、遠位先端において注入される流体の流れを、注入流量供給源を使用して、第1の時間間隔Tにわたって所定の流量パターンに制御するステップと、第1の圧力センサ及び第2の圧力センサを使用して第1の時間間隔Tにわたって圧力測定値を記録するステップと、遠位先端における近位外部コンダクタンスの値を、圧力測定値を示すデータ及び所定の流量パターンを使用して算出するステップと、外部流量を、第1及び第2の圧力測定値、並びに算出された近位外部コンダクタンスを使用して計算し、外部流量を使用して、遠位混合流体における注入流量と外部流量との比を計算するステップと、混合遠位流体における薬物又は薬剤の特定の濃度を得るために、注入流体に加えられる薬物又は薬剤の量を制御し、計算された注入流量と外部流量との比を使用して、量を調整するステップとを含む。
前述の概念と、以下でより詳細に議論される追加的な概念とのあらゆる組合せは(そのような概念が相互に矛盾しないことを条件に)、本明細書において開示される本発明の主題の一部分であると考えられることを、理解すべきである。特に、本開示の最後に出現する特許請求される主題のあらゆる組合せは、本明細書において開示される本発明の主題の一部分であると考えられる。また、参照により組み込まれる任意の開示にも出現し得る本明細書において明示的に使用される用語は、本明細書において開示される特定の概念と最も調和した意味を与えられるべきであることを、理解すべきである。
当業者であれば、図面は主に説明を目的としており、本明細書に記述される本発明の主題の範囲を制限することは意図されていないことを、理解するであろう。図面は必ずしも原寸に比例しておらず、いくつかの事例では、本明細書において開示される本発明の主題の様々な態様は、異なる特徴の理解を容易にするために、図面内で誇張又は拡大されて示されることがある。図面では、同様の参照符号は、概して同様の特徴(例えば、機能的に同様な、及び/又は構造的に同様な要素)を指す。
本開示の原理による例示的なカテーテルシステムの概略図である。 境界を跨ぐ脈管空間における流体コンダクタンスの例示的なプロット図である。 境界を跨ぐ脈管空間における流体コンダクタンスの例示的なプロット図である。 本開示の原理による例示的な体外回路の図である。 本開示の原理による別のカテーテルシステムの概略図である。 本開示の原理による別のカテーテルシステムの概略図である。 本開示の原理による別のカテーテルシステムの例を示す図である。 本開示の原理による別のカテーテルシステムの例を示す図である。 本開示の原理による別のカテーテルシステムの例を示す図である。 本開示の原理による別のカテーテルシステムの例を示す図である。 本開示の原理による別のカテーテルシステムの例を示す図である。 (i)(ii)は、本開示の原理による別のカテーテルシステムの例を示す図である。 (i)(ii)は、本開示の原理による例示的なカテーテルシステムの孔にある付勢弁の例を示す図である。 本開示の原理による例示的なカテーテルシステムの孔にある付勢弁の例を示す図である。 本開示の原理による例示的なカテーテルシステムの孔にある付勢弁の例を示す図である。 本開示の原理による例示的なカテーテルシステムにおいて圧力センサに結合された例示的な注入器部材の図である。 本開示の原理による例示的なカテーテルシステムにおいて圧力センサに結合された別の例示的な注入器部材の図である。 本開示の原理による圧力センサに結合された例示的なカテーテルの図である。 本開示の原理による圧力センサに結合された別の例示的なカテーテルの図である。 本開示の原理による例示的な体外回路システムの図である。 本開示の原理による別の体外回路システムの図である。 本開示の原理による別の体外回路システムの図である。 本開示の原理によるコンソールに結合された例示的な体外回路システムの図である。 本開示の原理によるコンソールに結合された別の例示的な体外回路システムの図である。 本開示の原理による例示的なコンピューティングデバイスを示すブロック図である。 本開示の原理による例示的な方法を示すフロー図である。 本開示の原理による例示的な方法を示すフロー図である。 本開示の原理による例示的なコンピュータデバイスのブロック図である。
以下は、少なくとも二つの圧力センサに結合されたカテーテル部材を使用して管脈構造の領域における流れコンダクタンスを定量化することを可能にするシステム、デバイス、装置、及び方法に関する様々な概念、並びにそれらの実施形態のさらに詳細な記述である。上記で紹介された、及び以下でさらに詳細に議論される様々な概念は、開示される概念が任意の特定の実装形態に限定されていないことから、多数のやり方のうちの任意のやり方で実施されてもよい。具体的な実装形態及び用途の例は、主に例示を目的として提供される。
本明細書において使用されるとき、「含む(includes)」という用語は、含むがそれに限定されないことを意味し、「含んでいる(including)」という用語は、含んでいるがそれに限定されないことを意味する。「〜に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。
本明細書における原理の様々な例に関連して本明細書において記述される表面に関して、基板に対する及び互いに対する様々な要素/構成要素の相対的な位置、位置合わせ、及び/又は配向を指示するために、「上(top)」面及び「下(bottom)」面への任意の参照が使用され、これらの用語は、任意の特定の参照フレーム(例えば重力の参照フレーム)を必ずしも指示すものではない。したがって、表面又は層の「下」への参照は、指示される表面又は層が必ずしも地面に向いていることを必要としない。同様に、「〜上(over)」、「〜下(under)」、「〜の上(above)」、「〜の下(beneath)」などの用語は、重力の参照フレームなどの任意の特定の参照フレームを必ずしも指示するものではなく、表面に対する及び互いに対する様々な要素/構成要素の相対的な位置、位置合わせ、及び/又は配向を主に指示するために使用される。
「〜上に配設される(disposed on)」、及び「〜の上に配設される(disposed over)」という用語は、「部分的に埋め込まれる」を含む「埋め込まれる」という意味を含む。さらに特徴Aが特徴B「に配設される(disposed on)」、「の間に配設される(disposed between)」、又は「の上に配設される(disposed over)」という参照は、特徴Aが特徴Bと接触しているという例を含むとともに、他の層及び/又は他の構成要素が、特徴Aと特徴Bとの間に位置付けられているという例も含む。
本明細書において使用されるとき、「近位(基端)」という用語は、これらに限定されないがグリップ又は他のハンドルなど、カテーテル、注入器部材、又は他の機器の、ユーザが操作する部分に向かう方向を指す。本明細書において使用されるとき、「遠位(末端)」という用語は、カテーテル、注入器部材、又は他の機器のグリップ又は他のハンドルから離れる方向を指す。例えば注入器部材の先端は、注入器部材の遠位部分に配設される。
本開示は、少なくとも二つの圧力センサに結合されたカテーテル部材を使用して管脈構造の領域における流れコンダクタンスを定量化することを可能にする様々な例示的なシステム、デバイス、装置、及び方法を記述する。カテーテル部材における既知の制御された流量のパターンにおける圧力測定値からのデータを使用して、管脈構造の領域の流れコンダクタンスの値を算出することができる。
流れコンダクタンスの値は、管脈構造内の血流の特性を明らかにするために使用することができ、それにより、手術手順若しくは他の医療手順の前に、又は全般的な患者のモニタリングのために、有用な見識を提供することができる。流れコンダクタンスの値は、管脈構造内の流れパターン又は流れの体積を確立するために使用することができ、また状態の深刻さを定量化するために使用することができる。
非限定的な例として、システム、デバイス、装置、及び方法は、カテーテル部材に近接した近位外部コンダクタンス又は遠位外部コンダクタンスを定量化するために使用することができる。カテーテル部材に近接した近位外部コンダクタンス又は遠位外部コンダクタンスの値は、外科手術若しくは他の医療手順の前に、又は全般的な患者のモニタリングのために、管脈構造の状態に対する有用な見識を提供することができる。
例では、圧力センサのうちの少なくとも一つがカテーテル部材の遠位先端に結合され、少なくとも一つの他の圧力センサが、遠位先端の近位に、カテーテル部材のシャフトに近接して位置付けられる。カテーテル部材からの既知の制御された流量のパターンにおける圧力測定値からのデータを使用して、カテーテル部材に近接した近位外部コンダクタンス又は遠位外部コンダクタンスの値を算出することができる。
また、カテーテルを使用する特定の手順中には、静脈又は動脈中の血流が閉塞されることがある。血流が少なくとも部分的にブロックされる場合には常に、管脈構造の一部分において、デッドゾーンを含む流れのない又は流れの少ない領域が生じ得る。例えば血管カテーテル又は他の同様のデバイスは、動脈又は静脈における流れを制御又はブロックするための閉塞デバイスを含み得る。特定の状況下では、動脈又は静脈における血液の流れを閉塞させることによって、血流が著しく低減したゾーン、又は流れのない領域が生じ得、そこで血液は実質的に停滞している。これらのゾーンは本明細書において「デッドゾーン」又は「流れのないゾーン」と呼ばれる。流れのない又は流れの少ない領域(デッドゾーンを含む)が長期間続くと、組織が血流不足になり、危険に晒される恐れがある。いくつかの場合には、血流内でデッドゾーンが長時間生成されることによって、患者の塞栓症のリスクを増大させることに関連する血栓又は血塊が生成されるリスクが高くなることがある。ブロックすることから生じるこれらのリスクを最小にする方法に関して、問題が生じる。
いくつかのシステムでは、米国特許第5,046,503号及び5,176,638号に記述されているものなどのバイパス又は灌流管腔を加えることによって、動脈により組織に供給される血流を断絶するリスクに対処する。
本開示では、動脈又は静脈の一部分において血液の流れを制御して、管脈構造の一部分において流れの少ない又は流れのない領域の発生、及びその持続時間を制御するための様々な例示的なシステム、方法、及び装置も記述される。非限定的な例として、システム、デバイス、装置、及び方法は、管脈構造の一部分においてデッドゾーン領域の発生及びその持続時間を制御するために使用することができる。
いくつかの例では、血管カテーテル又は他の同様のデバイスの使用中に流れ停滞を制御する(低減させることを含む)ためのシステム、方法、及び装置が記述される。管脈構造の領域のコンダクタンスを示すデータに基づいて、管脈構造内の流れのない又は流れの少ないゾーンの発生を制御する又は低減させるための例示的なシステム、装置、及び方法が記述される。流れ停滞の制御は、少なくとも一つの付加最小コンダクタンス構成要素を使用して、又は制御流分割システムを使用して実現することができる。例示的な付加最小コンダクタンス構成要素は、所望の既知値のコンダクタンスを管脈構造の領域に付加するために使用することができる。注入器部材の外側のコンダクタンスが知られている場合、通常であれば流れのない又は流れの少ないゾーン(デッドゾーンを含む)が形成されるエリアをフラッシングするための流体流れの量があるように、注入器部材において流体注入レベルを制御することができる。例示的な制御流分割システムは、管脈構造の領域においてコンダクタンスを算出し、それによりコンダクタンスの既知値を提供するために、センサ測定値を使用することができる。すなわち、これらのシステムの方法のいずれを使用しても、カテーテル部材外部のコンダクタンスの既知値を提供することができる。これらのコンダクタンスの既知値を用いて、流れのない若しくは流れの少ないゾーンが管脈構造内で発生しないこと、又は流れのない若しくは流れの少ないゾーンの発生の持続時間が、組織の損傷若しくは他の損傷につながらないことを確実にするように、流体流れを制御することができる。
流れ停滞の発生を低減させることによって、管脈構造の一部分でデッドゾーン又は流れのないゾーンが形成される可能性が低減される、又はなくなる。
いくつかの例示的な実装形態によれば、流れ停滞制御は、制御流分割システムを使用することによって実現することができる。制御流分割システムは、近位外部コンダクタンスと遠位外部コンダクタンスの両方を測定するための構成要素を含む。注入部材において注入される流れを変えることによる、注入器部材の近位の領域において流れデッドゾーンを防止するための測定値。例示的なデバイス、システム、及び方法は、流体流れを測定するために受動的に動作してもよく、又は一定量の流体を導入する又は抜くことによって、流体流れを能動的に測定するために使用されてもよい。
本開示では、動作中にカテーテルに近接した管脈構造の一部分において形成され得るデッドゾーンの発生を防止する又は低減させる(フラッシングすることを含む)ために、能動的に動作することができるデバイス、システム、及び方法も記述される。
「付加最小コンダクタンス構成要素」という用語は、本明細書において、管脈構造区分において流量の低減を制御しながら、付加最小コンダクタンスレベルに基づく特定の最小値より流量が下がらないようにする構成要素を指す。本明細書においてコンダクタンスは、抵抗の逆数である。様々な例では、流量の固定値(本明細書において「固定定数」と呼ばれる)に流れを制御する、又は手順の時間の長さTよりも短い時間サイクルtにわたる、すなわちt<<Tにおける、流量の平均値(本明細書において「固定平均」と呼ばれる)として流れを制御するために、最小コンダクタンスレベルを使用することができる。例えば時間サイクルtは、おおよそ心拍又は数分とすることができ、期間Tは手術又は他の手順の時間とすることができ、1時間以上続く。
いくつかの例示的な実施形態によれば、流れ停滞制御は、体外の血液戻りにおいて流れ制御の改善を可能にするように構成された付加最小コンダクタンス構成要素及びシステムを使用することによって、実現することができる。本開示は、付加最小コンダクタンス構成要素に近接した動脈又は静脈の領域においてデッドゾーンの形成を制限又は防止する様々な例示的な付加最小コンダクタンス構成要素も提供し、特定のデッドゾーンフラッシングデバイス又はサブシステムも提供する。
本明細書において使用されるとき「注入器部材」は、管腔を含むデバイス又は構成要素である。例では、管腔は、独立したカテーテルシステムの一部として、又は、身体の特定の位置で管脈構造内に血液を注入するために使用される例示的な体外回路システムの構成要素として、管脈構造内に流体を注入するために使用することができる。
本明細書において使用されるとき「管脈構造の注入ポイント」という用語は、カテーテル侵入口又は管脈穿孔位置から離れた管脈構造の最も遠位位置を指し、その位置において血液が体内に注入される。
本明細書において使用されるとき「末梢に配置されたループ」という用語は、血液出力(身体から回路へ)及び血液入力(回路から身体へ)カテーテル(又は他の入力流れポート及び/又は出力流れポート部材)を有する例示的な体外回路を指し、その体外回路は、通常であれば動脈支流又は静脈支流を通り過ぎてデバイスを進めるために使用される蛍光透視法又は任意の他の同等なシステムからの詳細なガイダンスのない状態で、身体の管脈構造の一部分と接触して配置することができる。これは、末梢循環を通るものもあれば、中心循環を通るものもあるすべての可能な配置のうちの一つのサブセットである。
「末梢」という用語は、本明細書において、末梢循環システムを指す際に使用されるものとは異なる態様で使用される。例えばカテーテル(又は他の入力流れポート及び/若しくは出力流れポート部材)は、大静脈と接触して、又は下行大動脈若しくは腸骨動脈の下に、蛍光透視法を用いずに配置されることがある。これらは、末梢循環システムではなく中心システムの一部分と考えられる場合がある。
本明細書において使用されるとき「全身灌流システム」という用語は、大静脈(下大静脈又は上大静脈)又は腸骨静脈などの、心臓に血液供給する主静脈に直接結合された注入器部材を介して心臓内の血液に結合されるシステムを指す。
本明細書において使用されるとき「局所灌流システム」という用語は、注入された血液の主要な割合(約50%超)が、全体的な循環を通って心臓に戻る前に、臓器系に血液供給されるように配置された注入器部材を有するシステムを指す。
本明細書において使用されるとき「近位外部コンダクタンス」という用語は、注入部材先端の近位にある領域に沿ったデバイスの外部の空間内の、すなわちデバイスと管脈壁との間のコンダクタンスを意味する。
本明細書において使用されるとき「遠位外部コンダクタンス」という用語は、注入部材の先端における注入サイトから遠位管脈構造へ入る総コンダクタンスを意味する。管脈構造の動脈側にある注入部材については、遠位外部コンダクタンスは、先端から循環の静脈側までのコンダクタンスである。
本明細書において使用されるとき「制御流分割システム」という用語は、近位外部コンダクタンスと遠位外部コンダクタンスのいずれか又は両方の値を測定又は算出するためのシステムであり、そのシステムは次いで、これらの測定値を使用して、注入部材において注入される流量を変えることによって、注入器部材の近位にある領域内で流れデッドゾーンを防止する。本明細書において使用されるそのようなシステムは、少なくとも二つの圧力センサと、注入器部材を通して流量を直接制御する、注入器部材の体外回路側にある容積式又は流量制御ポンプとから構成される。本明細書における任意の例では、制御流分割システムは、圧力センサの分散されたアレイを含むことができる。
本明細書において使用されるとき「流量パターン」という用語は、設定された期間にわたる流量の関数形式を指す。例えば流体の流れは、流体流れが流量パターンによって設定された値をたどるように、流体流量供給源において設定することができる。様々な例では、流量パターンは、正弦関数形式、鋸歯関数形式、段階関数的な関数形式、又は(より複雑な関数形式を含む)当技術分野における別の周期的な関数形式などであるがこれらに限定されない特定の関数形式とすることができる。他の例では、流量パターンが不規則な関数形式を有する場合、流量の値は、特定の期間にわたって規則的な時間間隔で測定されて、不規則な関数形式の近似値が提供されてもよい。
本明細書における非限定的な例では、付加最小コンダクタンス構成要素は、注入部材の遠位領域周りで既知の特定の近位コンダクタンスを設定するように構成されてもよい。その近位コンダクタンスは、任意の流れのないゾーン又は流れデッドゾーンの形成を防止することができる。別の例として、本明細書における原理による制御流分割システムでは、注入部材の近位外部にあるコンダクタンスが(そのコンダクタンスが生成されるのではなく)測定され、その測定値を使用して、(任意の流れのないゾーン又は流れデッドゾーンを含む)関連するゾーンの流量及びフラッシングが制御される。
本明細書における例では、「付勢弁」は、カテーテル区分の壁にある、管脈構造に露出されたシャフトの内側管腔と外側との間の構成要素を指す。例では、「付勢弁」は、管腔内の圧力がシャフト外側の圧力よりも大きい場合に、弁を跨いで確立されるコンダクタンス値Gforwardが存在するように構成され得る。別の例では、「付勢弁」は、管腔内の圧力がシャフト外側の圧力よりも小さい場合に、弁を跨いで確立されるコンダクタンス値Gbackwardが存在するように構成され得る。例では、管腔と管脈構造との間の妥当な圧力差は、Gforward>>Gbackwardとして、又はGbackwardが非常に小さい若しくはほぼゼロであるとして、表すことができる。
図1Aは、管脈構造の一部分に配設されたデバイスのシャフト101を含む例示的なカテーテルシステム100の概略図を示す。図1Aは、シャフト101に取り付けられ、デバイスの一部分である閉塞構成要素103を通る平面102も示す。シャフト保持デバイス101は、デバイスを貫通した管腔を含んでもよい。例示的なカテーテルシステム100では、閉塞構成要素103は、生理食塩水又は他の溶液を使用して膨らまされるバルーンを含んでもよい。別の例示的な閉塞構成要素103は、ばね又は他の機械的作動によって加えられる力を用いて拡張されて、動脈壁を押す膜を含んでもよい。例では、閉塞構成要素103は、カテーテルシステム100のシャフトデバイス101から拡張されて、動脈又は静脈の壁に当たりそれを封止して、流れを著しく低減させる又は防止するように構成されてもよい。図1Aに示されるように、例示的な平面102は管脈断面に垂直である。例示的な閉塞構成要素103は、平面102を跨いで流体流れを変えるために本明細書における原理に応じて使用される。流体流れは、ベース保持シャフト外側の流れに関係する。流れの程度は、閉塞構成要素103の前の領域(Pb)と、その後の領域(Pa)との間の圧力差によって駆動される。
図1B及び図1Cは、閉塞構成要素103を通る平面102を跨ぐ管脈空間における、流体コンダクタンス(G)対時間の例示的なグラフを示す。図1Bは、閉塞構成要素103を使用して実現された完全に閉塞された場合の流体コンダクタンス(G)対時間を示す。図1Bの例では、流体コンダクタンスは、管脈空間を完全に閉塞するように閉塞構成要素が作動したとき、期間Δtの間、低減される。図1Bのプロットは、閉塞構成要素103が完全に閉塞するように作動されたとき、流体コンダクタンスがゼロになることを示す。この定義は、圧力傾斜/差(F=G(Pa−Pb))とは無関係である。図1Cのプロットは、制御された部分的閉塞中の、流体コンダクタンス(G)対時間の状態を示しており、本明細書における原理による閉塞構成要素は、期間Δtの間に作動される。図1Cに示されるように、コンダクタンスはゼロにはならず、ゼロよりも大きい程度を有する最小コンダクタンスレベルになる。
カテーテルは、管脈構造内の様々なターゲット位置に展開することができる。しかしターゲット位置において管脈構造の直径を正確に制御することは非常に困難である。閉塞要素がない場合、又は閉塞要素が展開されない場合には、漏れ流れが大きくなることがあり、その場合、漏れ流れによって、前方への(遠位領域の)流体流れを最適に制御することが妨げられることがある。このことは、直径の大きい動脈では流れが大きく、動脈が小さい場合には流れが小さくなるという制限を受ける。一方、完全な閉塞はデッドゾーンの形成を生じさせ得る。本明細書における原理によれば、閉塞構成要素とともに、小型の制御漏れ流れ構造体を使用することができ、それにより、デッドゾーンはフラッシングされるが、デバイスの使用による遠位流れの有益な制御が漏れにより歪められないように漏れが制限される。頸動脈又は大腿動脈の血流に類似した流量については、200〜500ml/分の前方流量が非常に有用であるが、デッドゾーンをフラッシングするには、20〜50ml/分又はそれ以下のフラッシング流量で充分であり得る。
本明細書において記述されるように、最小コンダクタンスレベルは、固定定数又は固定平均値とすることができる。固定定数については、流体コンダクタンスGは経時的に一定である。固定平均については、最小コンダクタンスは、全体的なデバイスの作動時間に比べて短い時間スケールtにおいて経時的に変化し得る。例では、コンダクタンスが心拍にわたって変化するように制御された部分的閉塞が実現されるように、付勢弁を構成することができる。この例では「固定平均」は、心拍の時間サイクル中に値が変化するが、その心拍にわたって非ゼロの平均値を有する流体コンダクタンスを指す。これは、より長い期間にわたる非ゼロの平均流体コンダクタンスにつながる。
例では、付加最小コンダクタンスは、固定定数形式で実現される。体外注入部材の遠位先端に位置付けられた付加最小コンダクタンス構成要素は、通常であれば任意の完全な閉塞によって生成されるデッドゾーンを、フラッシングするための流体の流れを提供する最小コンダクタンスを維持するように構成される。その最小コンダクタンスの流れ抵抗項の大きさは、フラッシング流れが、使用されているデバイスが注入器部材を通って導く流れの約50%以下、又は好ましくは約10%以下であるように、設定される。
例では、付加最小コンダクタンスは、受動的な形式で実現される。例示的な閉塞要素は、代替的な流体バイパス通路を含むように構成され、バイパス流れが、通常であれば閉塞によって生成されるデッドゾーンをフラッシングすることが可能になる。そのバイパスの流れ抵抗項の大きさは、バイパス流れが、使用されているデバイスが注入器部材を通って導く流れの約50%以下、又は好ましくは約10%以下であるように、設定される。
いくつかの例では、閉塞構成要素は、閉塞のために使用されるソフトバルーンを含むことができる。例では、ソフトバルーンは、部分的に膨らまされて、いくらかの漏れコンダクタンスをもたらしてもよい。管脈構造は不均等であり、部分的な膨張による漏れコンダクタンスの量は、ユーザにとっては観察不可能及び/又は制御不可能であることから、これは有用であり得る。
図2Aは、個人に結合された例示的な体外回路200の概略図を示す。例示的な体外回路200は、ポンプシステム206と、熱交換器208と、注入器部材210を含む。例示的な体外回路は、患者の管脈構造に対する二つの接続部を含むことができる。そのような例示的な体外回路は、一方の接続部を用いて管脈構造から血液をくみ出し、他方の接続部を用いて管脈構造に血液を戻すように実施することができる。例示的な体外回路は、心臓が動作不能である、又は充分な血流を供給していない場合に使用することができ、又は血液を改質し、全身流れ又は局所領域に戻すために使用されてもよい。他の改質は、酸素供給、透析、熱、細菌汚染物質の除去、発がん性細胞の除去などを含んでもよい。図2Aは、ポンプシステム206を使用して調節された流量に基づいて身体に血液214を戻すために、管脈注入ポイント212において個人の身体の管脈構造に結合された注入器部材210を示す。血液が身体に注入される管脈構造内の最も遠位の位置は、本明細書において「管脈構造注入ポイント」と呼ばれる。
一例では、注入器部材210は、他方の側のデバイスシャフトを通って体外回路によって注入される流体から、血流を一方の側に分離するための閉塞構成要素を含むことができる。これにより、管脈構造の一部分において流れのない又は制限された流れのゾーン、すなわちデッドゾーンが生成され得る。デッドゾーンは、閉塞システムが、最も近い管脈構造支流に対して正確な位置に置かれる場合、回避することができるが、現実の患者において実際にそのような正確な配置を保証することは不可能である。その結果デッドゾーンは通常、血液が流れない注入ポイントを含む支流に形成される。これにより、閉塞がその場所で長期間放置された場合、血栓又は血塊が潜在的に生じ得る。体外血液供給回路は、おおよそ数時間から数日などの時間であるがこれらに限定されない長期間にわたって使用することができるが、それは、血栓又は血塊が形成するリスクを増大させるには充分な時間であり得る。
図2Bは、身体の管脈注入ポイント212の特定の位置に血液を戻す図2Aの例示的な体外回路システムの構成要素である例示的な注入器部材210を示す。シャフト管腔を通る注入流体216は、この支流において血流に加わることができる。代替の血流がブロックされる限り、注入血液は、遠位の管脈構造内で優位であることができる。
図2Cは、身体の特定の位置に血液(注入流体216)を戻す図2Aの例示的な体外回路システムの構成要素である例示的な注入器部材210を示す。注入器部材210は、管脈構造の一部分を完全に閉塞するように示されている閉塞構成要素203に結合されている。図2Cに示されるように、注入器部材210が、閉塞デバイス203を通して管脈注入ポイントにおいて血液を注入するとき、閉塞構成要素203に近接してデッドゾーン205が形成され得る。
図3A〜図3Bは、本明細書における原理による例示的な付加最小コンダクタンスシステムを示す。図3Aの付加最小コンダクタンスシステムは、デバイスのシャフトに沿って、(ソフトバルーン321などであるがこれに限定されない)構成要素321の下に配設された、不連続な長さlを有する管腔320を含み、それにより、デッドゾーンをフラッシングするための流れに最小コンダクタンスを提供する。設計長さ及び直径によって制御されるそのような管腔320は、流体に一定の流量を提供することができ、したがって小さいバイパス流れを可能にする。図3Aは、管腔320を通る前方方向の新しいフラッシング流れ324を示す。図3Bは、管腔320を通る後方方向のフラッシング流れ326(フラッシング流れの後退)を示す。図3A〜図3Bの破線を用いて血流328の方向が示される。図3Aと図3Bの両方において、最小コンダクタンスによって流れる流体は、構成要素321に近接したデッドゾーンをフラッシングする役割を果たすことができ、それにより望ましくない血栓の形成が防止又は最小化される。
図4A〜図4Bは、本明細書における原理による別の例示的な付加最小コンダクタンスシステムを示す。付加最小コンダクタンス構成要素(図3A〜図3Bに示される)の下の余分の管腔ではなく、図4A〜図4Bは、デバイスのシャフトに、(バルーンなどであるがこれに限定されない)構成要素421のすぐ近位に一つ以上の穴又はオリフィス430を含む例示的な付加最小コンダクタンスシステムを示している。これらの例示的なシステムでは、デバイスがその遠位先端の方向に導く流れのうちの小部分424が、閉塞部に到達する前に一つ以上の穴(又はオリフィス)430を通って漏れ出る。図4Aは、血流428の方向も示す。図4Aは、圧力Pbの値が圧力Paよりも小さいときの例を示し、その場合、後方へのフラッシング流れが生じる(流れ424として示される)。図4Bは、PbがPaよりも充分に大きく、それにより前方へのフラッシング流れ426が生じる状況に対する例示的な付加最小コンダクタンスシステムを示す。
図4Cは、本明細書における原理による例示的な別の付加最小コンダクタンスシステムを示す。例示的な付加最小コンダクタンスシステムは、一つ以上の穴(又は孔)431を含む付加最小コンダクタンス構成要素(ばね駆動式の膜440)を含む。一つ以上の穴(又は孔)431は、流体流れを制御するために使用され、最小コンダクタンスを提供する。図4Cの例示的な付加最小コンダクタンスシステムでは、膜440は断面で示されている。しかし膜440は、デバイスシャフト周りに左右対称に展開された(傘の展開に類似した)実質的に中実の一つ以上の膜部分を含む。図4Cは、血流428の方向、及び付加最小コンダクタンス構成要素の一つ以上の穴(又は孔)431を通って漏れ出た流体流れのうちの小部分442も示す。
図4D(i)及び図4D(ii)は、本明細書における原理による他の例示的な付加最小コンダクタンスシステムを示す。図4D(i)の例示的なシステムは、複数のローブが付いたソフトバルーン(又は他の構造のバルーン)450を含み、そのバルーンは、管脈構造を封止する際にバルーンのローブ間に隙間を含み、最小コンダクタンスを提供する。様々な例では、複数のローブが付いたソフトバルーン(又は他の構造のバルーン)450は、二つ、三つ、又はそれ以上のローブを有するように形成されてもよい。図4D(ii)は、複数のローブが付いたソフトバルーン(又は他の構造のバルーン)450の異なる例の断面図(図4D(i)に示される線A−A’を通る)を示す。非限定的な例として、付加最小コンダクタンスシステムは、隙間460を含む二つのローブが付いたソフトバルーン(又は他の二つのローブが付いた構造のバルーン)455、又は隙間470を含む三つのローブが付いたソフトバルーン(又は他の三つのローブが付いた構造のバルーン)465を含むことができる。
図5A(i)〜図5Cは、本明細書における原理による他の例示的な付加最小コンダクタンスシステムを示す。図5Aの例示的なシステムでは、フラッシング流れの方向制御を最小コンダクタンスに加えるために、付勢弁550が使用される。したがって指向性が、その手段を跨ぐ圧力差によって支持される方向において固定定数流れを生じさせることがある。例として、管脈構造の圧力差は、各心拍に起因した注入ポイント支流における血圧の変化によって符号が変わる、すなわち心臓収縮/心臓拡張の圧力変動に基づいて正圧値から負圧値に変わるようなものとすることができる。例示的な付加最小コンダクタンスシステムは、圧力差の符号(すなわち方向)に基づいて、心拍サイクルの一部分の間だけフラッシング流れが「オン」になり、それにより「固定定数」最小コンダクタンスではなく「固定平均」最小コンダクタンスが実現され得るように、構成されてもよい。
図5A(i)は、(ソフトバルーンなどであるがこれに限定されない)構成要素521を含むカテーテル管腔の孔にある付勢弁510を含む例示的な付加最小コンダクタンスシステムを示す。パラメータPin及びPoutは、ソフトバルーン521の近位にある管腔の内側と外側の圧力の値である。この例では遠位領域は、管腔を通過し遠位先端を通って注入される流れの流量及び圧力が優位な領域である。概して、Poutが心臓によって駆動される場合、Poutの値は心拍と同様のサイクルを有し、各サイクルにおいて局所的な最大及び最小に達する。図5A(ii)は、図5A(i)の例示的なシステムで実施することができる例示的な付勢弁を示す。図5A(ii)は、シャフトの内側管腔を外部に結合する穴と、穴よりも大きく少なくとも片側で固定された、穴を覆うプラスチックフラップとを有する、カテーテルのシャフトの一部分に取り付けられた例示的な付勢弁510を示す。例示的な付勢弁は、正の圧力差(外側の圧力よりも大きいシャフト内側の圧力)によって、可撓性のプラスチックフラップが開き、流体が外向きに流れることが可能になり、負の圧力差(外側の圧力よりも低いシャフト内側の圧力)によって、可撓性のプラスチックフラップが閉じ、穴の縁部に当たって封止して、流体の内向きの流れがブロックされるように、構成される。
図5Bは、構成要素521に結合された付勢弁532を含む例示的な付加最小コンダクタンスシステムを示す。付勢弁532はフラップを含み、フラップは、開いて注入部材の中央管腔から出る流体の流れは可能にするが、管腔への流入は可能にしないように構成される。すなわち、圧力Pの値が圧力Pよりも低いときに、付勢弁532が流れ534を可能にし、これは心拍サイクルの特定の時間間隔中に生じる。図5Bは、付勢弁532のフラップを通る流れのうちの小部分534、及び血流の方向538を示す。この例では、体外回路から身体に注入された血液のわずかな小部分だけが、デッドゾーンをフラッシングするために使用される(すなわち、付勢弁を通る流れ534)。
図5Cは、バイパス管腔542の端部で付勢弁540として作用するフラップを含む例示的な付加最小コンダクタンスシステムを示す。管腔542は、不連続な長さlを有し、図3A又は図3Bに示される付加最小コンダクタンスシステムと同様に、注入器部材のシャフトに沿って、構成要素521の下に配設される。付勢弁540及びバイパス管腔542の作用が結合されて、流れがデッドゾーン(又は流れの少ないゾーン)をフラッシングするための最小コンダクタンスが提供される。図5Cは、付勢弁540のフラップを通る流れの小部分544、及び血流の方向548を示す。付勢弁540のフラップは、バイパス管腔542の近位端部か遠位端部のいずれかに取り付けることができ、それにより、フラッシング流れの方向を設計によって選択することが可能になる。すなわち、外向きへの流体誘導だけを可能にするように構成されたフラップが、(図5Cに示されるように)管腔542の近位端部に取り付けられる場合、遠位の注入血液が逆流してフラッシングする。フラップが管腔542の遠位端部に取り付けられる場合には、支流からの通常の血流が前方にフラッシングし、管脈注入ポイントにおいて注入血液と混合される。付勢弁は、一方行だけの流れを可能にするように構成することができるので、詳細な動作は、P(管腔542前の圧力)とP(管腔542の後ろの圧力)との間の適用される圧力差によって部分的に説明される。この例示的な実装形態は、圧力PとPの値が充分に近く、それにより心拍に伴う心臓収縮/心臓拡張の圧力変化からのPの変化によって、各心臓サイクルにおける特定の時間間隔中に付勢弁が開く場合に、有益であり得る。
本明細書における原理によれば、例示的な付加最小コンダクタンス構成要素、又は付加最小コンダクタンス構成要素を含む例示的なシステムは、選択的な温度療法を提供するために使用することができる。例示的な付加最小コンダクタンス構成要素は、選択的な温度療法を適用するように構成された任意のシステムに結合することができる。任意の例示的な実装形態では、本明細書における原理による付加最小コンダクタンス構成要素は、通常の閉塞構成要素の代わりに使用することができる。付加最小コンダクタンス構成要素は、選択的な温度療法を適用するためのシステムの少なくとも一つの注入器部材の遠位先端に近接して配設することができる。非限定的な例として、本明細書における原理による付加最小コンダクタンス構成要素は、米国特許第7,789,846 B2号、又は国際(PCT)特許出願第PCT/US2015/033529号に開示されたシステムなど、当技術分野における選択的な温度療法を適用するための任意のシステムに結合することができる。
本明細書における任意の例では、付加最小コンダクタンス構成要素は、非外傷性表面、親水性コーティング、若しくは薬物コーティング、又はこれらの任意の組合せを有するように形成することができる。
図6Aは、本開示の例示的な制御流分割システムを示す。例示的な制御流分割システムは、第1の圧力センサ610と第2の圧力センサ612とを含む。第1の圧力センサ610は、カテーテルの注入器部材614の先端に近接して配設することができ、第2の圧力センサ612は、先端から(又は圧力センサ610から)測定して事前定義された離間距離(Δ)だけオペレータの近位に、注入器部材614上に配設することができる。非限定的な例として、事前定義された離間距離(Δ)は、約2cm、約5cm、約8cm、約12cm、約15cm、約20cm、約25cm、又は約30cmとすることができる。様々な非限定的な例では、圧力センサ610と612の一方又は両方は、カテーテル壁に埋め込まれた(電子的な(有線の)読み出しを有する)シリコンベースのセンサとして、又はカテーテル壁の管腔内のファイバを使用して、カテーテルの近位端部において適切なコンピューティングインターフェイスに読み出しを提供する光ファイバベースの圧力センサとして実施することができる。別の例示的な実装形態では、圧力センサ610と612の一方又は両方は、図6Aに示される位置に遠位開口を有する非圧縮性流体で充填された簡単な壁管腔、及び管腔の流体柱によって誘導される静圧又は低周波圧力を測定するためにカテーテルの近位端部において流体コネクタに取り付けられた外部圧力センサを使用するように構成される。圧力センサ610は、先端(Ptip)に近接した圧力を測定するように構成することができ、圧力センサ612は、注入器部材614に近接した圧力(P)を測定するように構成することができる。図6Aは、カテーテル周りの流量Fの血流の方向、及び注入器部材の先端における流量Ftipの注入血流の例も示す。
図6Aにも示されるように、カテーテルは、体外システムの流量供給源616に結合することができる。例示的な実装形態では、流体は、圧力により駆動されるものではなく、体積流れにより駆動されるものとすることができる。流体が、先端(Ftip)を通って管脈構造に注入されるとき、流体は上流(F)からの流体と混合され、下流のコンダクタンスGtipを通って流れる。上流の流れは、動脈(又は静脈)の壁とカテーテルとの間の空間に生じる図6Aに示されるコンダクタンスGを通過する。コンダクタンスGの値を直接測定又は予測することは困難であり得る。P及びPtipを測定するために圧力センサ610及び612が配設されていても、Gが不明である場合にFを直接測定することは困難であり得る。Gの値を判定するために、本明細書における原理による例示的なシステム及び方法を使用することができる。
例では、体積流量を制御するために流量供給源を使用することができる。例示的な流量供給源は、容積式ポンプ、シリンジポンプ、又は回転ポンプとすることができるが、これらに限定されない。
例では、遠位先端において注入された流体が一連の体積インパルスとして流れるように流量を制御するために、流量供給源を使用することができる。この例では、一連の体積インパルスは、段階関数に応じてモデル化することができる。流量供給源は、一連のインパルスのうちのそれぞれのインパルスを送達するためのコンソールの処理ユニットからの命令を実行するポンプ、又はコンソールからの第1の信号に基づいて始動され、コンソールからの第2の信号によってポンプが動作を止めるまで、ステップ関数のインパルスを継続的に送達するポンプとすることができる。
他の例では、流体が、正弦関数形式、鋸歯関数形式、又は他の態様の周期的な関数形式などであるがこれに限定されない他のタイプの関数形式に応じて流れるように流量を制御するために、流量供給源を使用することができる。
本明細書における任意の例では、流量パターンを確立するように流量を制御するために、流量供給源を使用することができる。上述したように、流量パターンは、任意の波形、又は正弦関数形式、鋸歯関数形式、若しくは他の態様の周期的な関数形式などであるがこれに限定されない他のタイプの関数形式に基づいていてもよい。
図6Aの原理による非限定的な例では、注入器部材は二つの圧力センサに結合され、その注入器部材は、外部の流量制御手段によって駆動されて、近位外部コンダクタンス及び遠位外部コンダクタンスの値を測定又は算出することが可能になる。例示的なシステムは、圧力測定値を示すデータから、カテーテルの注入器部材周りの流れを推論することができる。
制御流分割システムは、図6Aに示されるシステムを含めて、二つのコンダクタンスを判定するために提供される。近位コンダクタンス(G)と呼ばれる第1のコンダクタンスは、二つの圧力センサ610と612によって画成される平面間の、カテーテルの外側の管脈空間内のコンダクタンスである。遠位コンダクタンス(Gtip)と呼ばれる第2のコンダクタンスは、先端から、中核システム(又は流れの意味におけるグラウンド)への血液戻りまでのコンダクタンスである。これらのコンダクタンスの両方は、局所的な管脈構造の大きさ及び形状を示すデータが算出に使用されることから、概して測定値なしには推論不可能である。Gtipの場合、管脈構造床の状態、及び/又はその損傷の量を示すデータが算出に使用される。これらのコンダクタンスの両方の値は、患者の血管拡張/血管収縮の局所的な状態の測定値を表すことから、これらを知っていることによって、臨床上の利益を提供することができる。P及びPtipを測定するために圧力センサ610及び612を使用すると、これらの間のコンダクタンスが、先に記述した付加最小コンダクタンスのように制御されたコンダクタンスである場合には、F = G(P−Ptip)を用いて流れを評価することができる。Gの算出に、静脈又は動脈の表面を表すデータが含まれる例示的な実装形態では、予めGを判定することは不可能であり得る。概してGtipは、注入部材の配置を伴う手術又は他の医療手順の前に判定することはできない。
手術中又は他の医療手順中の患者に対してインサイチュでGとGtipの両方を算出するための例示的なシステム及び方法が、本明細書において提供される。線形近似を用いると、注入部材の遠位先端周りの流れの平衡化は、以下の二つの式を用いて表現することができる。
(1)… F=G(P−Ptip
(2)… (F+Ftip)=Gtip(Ptip
tipの値は、(流量供給源616などであるがこれに限定されない)ポンプから設定することができる。図6Aの例示的なシステムを使用して、圧力P及び圧力Ptipの値を測定することができる。これらの値を使用すると、式は以下のようにまとめることができる。
(3)… Gtip=Ftip/Ptip+Gb(−Ptip)/Ptip
ここでGtip及びGは不明である。血液を身体に戻すために注入部材を使用する手術又は他の医療手順中に、時間Tにおける最初の注入流れを、F’tipとして使用することができる(非限定的な例として、約250ml/分)。時間Tにおいて、流れのその値がF”tipに変えられてもよい(非限定的な例として約275ml/分、10%の増加)。時間T及びTにおける流れのこれらの非限定的な例示的な値は、注入ポイントの特定の解剖学的構造、及び特定の臨床用途に対して望ましい臨床範囲内になるように選ぶことができる。図6Aの例示的なシステムを使用して、時点Tにおける圧力P及び圧力Ptipの値(P’及びP’tip)、並びに時点Tにおける圧力P及び圧力Ptipの値(P”及びP”tip)を測定することができる。圧力の四つの異なる値、及び注入流れの二つの異なる値を、式(3)において使用することによって、すなわち時間TにおけるF’tip、P’tip、P’、並びに時間TにおけるF”tip、P”tip、及びP”を導入することによって、二つの(2)式が生成され、それぞれ二つの(2)が不明である。これらの式を使用して、G及びGtipの値を算出することができる。式(1)、(2)、及び(3)が、管脈領域の流れ、コンダクタンス、及び圧力に関する式の非限定的な例であることは、当業者には容易に明らかである。より複雑なバージョンの式を含む他の式が適用可能であり得る。例えばコンダクタンスが圧力とは無関係ではなくそれ自体が圧力の関数である式を、適用される流れFtipの異なる値において繰り返した圧力測定値を用いて解き、より多くの式を確立し、線形、又は二次、若しくはより高次の圧力の関数であるコンダクタンス(G)の形式の解を可能にしてもよい。
本明細書において記述されるように、遠位先端において注入される流体が、段階関数、又は正弦関数形式、鋸歯関数形式、若しくは他の態様の周期的な関数形式などであるがこれらに限定されない他のタイプの関数形式に応じて流れるように流量を制御するために、流量供給源を使用することができる。他の例では、流体流れに伴う応答関数の測定値、及び適用可能な関数形式の解に基づいて、流量をモデル化することができる。
長い手術中又は他の医療手順中の患者に対してインサイチュでGとGtipの両方を算出するための例示的なシステム及び方法が、本明細書において提供される。非限定的な例として、そのような長い手術(又は他の医療手順)は、おおよそ数時間〜数日続き得る。例示的な方法は、手術又は他の医療手順中に、規則的な繰り返しサイクルで、短い時間間隔(t)の間に、Ftipに段階的な変化(すなわちベースラインからの値の不連続な変化)を適用するステップを含んでもよい。非限定的な時間として、手術又は他の医療手順の1時間ごとに最初の5分間(すなわちt=5分)、段階的な変化がFtipに適用されてもよい。時間間隔tの終わりに、Ftipの値がベースライン値に戻される。Ftipの値を修正するこの例示的な方法は、本明細書において記述される方法を用いて、長い手術又は他の医療手順中に、各時間におけるG及びGtipを測定するために使用することができる。これらの例示的なシステム及び方法は、管脈状態(血管拡張/血管収縮)の監視、又は血栓形成のプロセス、若しくは血栓溶解の時間の検出において、臨床応用性を有する。
例示的なシステム及び方法の別の例示的な臨床応用は、以下の通りである。手術又は他の医療手順中に、G及びGtipの算出された値を用いて、先端の近位にある空間をフラッシングする流れFの量を、測定された圧力P及びPtipから判定することができる。流れFが所望の値の範囲外にある場合、Fを調整するためにFtipが調整されてもよい。
システム及び方法の別の臨床応用は、組織に適用される血液の熱容量の判定である。手術又は他の医療手順中に、先端の遠位にあるゾーンにおいてF及びFtipは混合し得る。血流Fが第1の温度であり、注入された血流Ftipが、第1の温度とは異なる第2の温度である場合、遠位ゾーンにおいて組織に適用される血液の熱容量を直接算出することができ、注入血液の温度調整を用いて、温かい又は冷たい血流Fを補償することができる。あるいは、流れF:Ftipの比、及びそれらの温度差を調整することによって、制御された復温のプロセスが行われてもよい。本明細書において記述されるG及びGtipを測定するための例示的な方法は、手術又は他の医療手順中に、一回又は複数回適用することができる。方法は、Ftipにおいて二つ以上の段階的変更を用いるように一般化することができ、その場合には、オペレータは、G及びGtipの値を測定して、それらの値が式(1〜3)の線形近似から外れてどのように変わるかを判定することができる。オペレータは、本明細書における原理による例示的な方法を、例えばFtipを直接設定する、又はセンサの記録値を記録する、及びコンピューティングデバイスを使用して算出を行うことによって、実施することができる。別の例示的な実装形態では、本明細書におけるコンピューティングデバイス又はシステムは少なくとも一つの処理ユニットを含むことができ、その処理ユニットは、G及びGtipの値を測定するための本明細書に記述されている測定ルーチンを、例示的なシステムのコントローラに自動的に実施させるためのプロセッサ実行可能な命令を実行するようにプログラムされている。例示的なシステムは、Ftipの公称値を設定すること、並びに30分毎、又は45分毎、又は60分毎、又は他の時間間隔などであるがこれらに限定されない所望の時間間隔でG及びGtipの自動的な測定を行うためのプロセッサ実行可能な命令を実行することを、ユーザができるようにするように構成されてもよい。本明細書における任意の例では、コンピューティングデバイスは、コンソールとすることができる。
図6Bは、本明細書における原理による例示的な制御流分割システムを示す。例示的なシステムは、独立した局所的な体外ループを支持するための同心シリンダ2ポートカテーテルとともに使用する二つの圧力センサを含む。図6Bで示されるように、二つの圧力センサ610’及び612’は、同心シャフトタイプの体外回路アクセスカテーテルの一部分である挿入部材614に結合されている。例では、外側シャフト618は、体外回路618に血液を供給し、内側シャフト614は、身体のある位置に血液を戻すための注入部材として作用する。図6Bは、体外回路に出て行く血流の破線615、及びカテーテル周りの血流(Fb)の破線617も示す。非限定的な例として、米国特許第7,704,220号及び米国特許第7,789,846号は、本明細書における原理による一つ以上の例示的なシステムに実装することができる同心の体外アクセスカテーテルの例を開示している。
図6C及び図6Dは、本明細書における原理による、心臓に近接した管脈構造の領域におけるコンダクタンスの値を算出するために使用することができる例示的なシステムを示す。図6C及び図6Dの例では、例示的なシステムは、大動脈弓の領域に配設されて示されている。図6Cに示されるように、例示的なシステムは、カテーテル部材620に結合された圧力センサ610及び612を含む。この例では、本明細書において記述されるように、圧力センサの測定値を使用してコンダクタンスを算出することができる。この例では、圧力測定値を使用して、GとGtipの両方をインサイチュで算出するための上述した例示的な方法に応じて、コンダクタンスを算出することができる。図6Cの例では、カテーテル部材620の遠位先端から流体流れを導入することができる。図6Dは、図6Cと同様の別の例示的なシステムであるが、カテーテル部材622のより中間の領域からの流体流れを可能にする近位ポート622をカテーテル620が含んでいる点が異なっている。
本明細書における任意の例示的なシステム、方法、デバイス、及び装置では、注入器部材を通って注入される流体は、カテーテル又はデバイス周りの外部空間を通過する流体(外部流体)と混合されてもよい。流体流れが混合される場合、それらは注入ポイントの遠位にある領域において混合流体を形成する(本明細書において、混合遠位流れとも呼ばれる)。既知の濃度(mg/ml又は質量/体積の他の単位)の薬物又は薬剤が、注入流体に加えられる場合、遠位混合流体における薬物又は薬剤の濃度は、外部流体と注入流体の流量の比が知られていない限り、不明である。本明細書において記述される例示的なシステムを使用して、外部コンダクタンスを設定する(付加最小コンダクタンス構成要素)、又は外部コンダクタンスを定量化することができる(制御分割流システム)。コンダクタンスデータに基づいて、外部流体の流量を測定又は算出することができる。外部流体の流量の算出された値、及び注入器部材に結合されたポンプシステム(又は他のシステム)によって設定された注入流量を用いると、注入流体に加えられる薬物又は薬剤の濃度を、遠位流体混合液において薬物の所望の濃度を実現するように調整することができる。
本明細書における任意の例では、薬物又は薬剤は、疾患を診断、治療、処置、又は予防するために使用される任意の物質とすることができる。例えば、薬物又は薬剤は、電解質溶液、ナノ粒子、生物学的薬剤、小分子、大分子、ポリマー材料、バイオ医薬品、又は血流に投与することができる任意の他の薬物又は薬剤を含むことができる。
本明細書における原理による例示的なシステムは、選択的な温度療法の少なくとも二つのゾーンを提供するために使用することができる。例示的なシステムは、体外回路を含む。例示的な体外回路は、管脈位置に配設された遠位先端と、遠位先端に近接して配設された付加最小コンダクタンス構成要素とを含む注入器部材を含む。例示的なシステムは、血液を身体から抜くための第1のポートと、血液を身体に戻すための第2のポートと、第1のポートから第2のポートへ血液をくみ出すために第1のポートと第2のポートの間に配設された第1のポンプと、第1のポンプと第2のポートとの間に位置付けられた分岐セクションと、分岐セクションに結合された、注入器部材の体外側に位置付けられている第3のポートと、分岐セクションと第3のポートとの間に位置付けられた第2のポンプとを含む。第2のポンプは、分岐セクションから出て第3のポートを通って注入器部材に入る流量を制御するように構成することができる。また例示的なシステムは、第1のポートと第2のポートの間に配設された第1の熱交換器と、第2のポンプと注入器部材との間に配設された第2の熱交換器とを含む。第1の熱交換器は、第2のポートに注入される血液の温度を、第1の温度レベルに設定するように構成することができる。第2の熱交換器は、注入器部材に注入される血液の温度を、第1の温度レベルとは異なる第2の温度レベルに設定するように構成することができる。第1の熱交換器は、分岐セクションと第1のポートとの間、又は分岐セクションと第2のポートとの間に配設することができる。
選択的な温度療法の少なくとも二つのゾーンを提供するための例示的なシステムは、注入器部材の遠位先端に近接して配設された閉塞構成要素、又は付加最小コンダクタンス構成要素を含むことができる。
本明細書における原理による選択的な温度療法の少なくとも二つのゾーンを提供するための別の例示的なシステムは、管脈位置に配置された遠位先端を備える注入器部材を含む体外回路を含むことができる。例示的なシステムは、遠位先端の近位にある制御流分割システムをさらに含むことができる。制御流分割システムは、少なくとも一つの注入器部材の遠位先端に近接した流れを測定するための第1のセンサと、第2の圧力を測定するための第2の圧力センサであって、管脈構造の直径の二倍より大きい又はそれにほぼ等しい距離だけ遠位先端から近位に配設されている第2の圧力センサとを含むことができる。他の例では、離間距離は、管脈構造の直径の三倍、五倍、又は十倍より大きい又はそれにほぼ等しくてもよい。別の例では離間距離は、遠位先端から近位に約1.0cm超であってもよい。また例示的なシステムは、血液を身体から抜くための第1のポートと、血液を身体に戻すための第2のポートと、第1のポートから第2のポートへ血液をくみ出すために第1のポートと第2のポートの間に配設された第1のポンプと、第1のポンプと第2のポートとの間に位置付けられた分岐セクションと、分岐セクションに結合された、注入器部材の体外側に位置付けられている第3のポートと、分岐セクションと第3のポートとの間に位置付けられた第2のポンプとを含む。第2のポンプは、分岐セクションから出て第3のポートを通って注入器部材に入る流量を制御するように構成することができる。また例示的なシステムは、第1のポートと第2のポートの間に配設された第1の熱交換器と、第2のポンプと注入器部材との間に配設された第2の熱交換器とを含む。第1の熱交換器は、第2のポートに注入される血液の温度を、第1の温度レベルに設定するように構成することができる。第2の熱交換器は、注入器部材に注入される血液の温度を、第1の温度レベルとは異なる第2の温度レベルに設定するように構成することができる。第1の熱交換器は、分岐セクションと第1のポートとの間、又は分岐セクションと第2のポートとの間に配設することができる。
選択的な温度療法の少なくとも二つのゾーンを提供するための例示的なシステムは、注入器部材の遠位先端に近接して配設された閉塞構成要素、又は付加最小コンダクタンス構成要素を含むことができる。
図7Aは、本明細書における原理による選択的な温度療法の少なくとも二つのゾーンを提供するための例示的な3ポート体外回路の概略図を示す。非限定的な例として、体外回路は、独立した流量及び温度制御で、中核部及び付随する局所的な支流への血流を制御するために実施されてもよい。図7Aの非限定的な例では、体外システム700は、3ポート、2ゾーンの体外回路であり、主静動脈(VA)体外ループ710が、第1のポート711を介して身体から血液を取り出し、ポンプ712及び酸素供給器/熱交換器714を用いて、第2のポート715を介して血液を戻す。例示的なシステムは、主ループの支流718に位置付けられた、制御された体積流量の血液を主回路から引き出し、独立した熱交換器720、第3のポート721、及び遠位注入器部材722を通してそれを身体の局所領域724に注入する容積式又は体積駆動式ポンプ716を含むことができる。非限定的な例では、支流718は、局所灌流の低体温支流とすることができる。図7Aの非限定的な例示的なシステムでは、適切なゾーン温度センサを有して展開されたときに、二つの独立して制御される温度ゾーンを身体内で確立することが可能になる。他の例では、注入器部材の血液に酸素供給するか否かについてのユーザの希望に応じて、支流718を、主ループ酸素供給器714の前か後ろのいずれかにおいて主ループに結合することができる。これらの例では、国際(PCT)特許出願第PCT/US2015/033529号で開示されているものなどのように、システムが遠位注入器部材を通して局所的な低体温を適用するために使用される場合には、注入器部材上で同心シリンダの流出がないことによって、その部材のカテーテルの、それが配置されている動脈に対する誘導冷却が増大することがある。この効果は、制御することが望まれる身体ゾーンにおいて同等の温度目標を実現するために、主回路ループをいくらか追加的に温めることを必要とすることがある。
図7Bは、本明細書における原理による選択的な温度療法の少なくとも二つのゾーンを提供するための別の例示的な体外回路を示す。図7Aと同様に、図7Bの体外回路システム700’は、第1のポート711を介して身体から血液を取り出し、ポンプ712、酸素供給器713、及び熱交換器714を使用して、第2のポート715を介してそれを戻す主VA体外ループ710を含む。非限定的な例では、酸素供給器713及び熱交換器714は、組み合わされたユニットとすることができる。また例示的なシステム700’は、支流718に位置付けられた、制御された体積流量の血液を主回路から引き出し、独立した熱交換器720、第3のポート721、及び遠位注入器部材722を通してそれを身体の局所領域に注入するための容積式又は体積駆動式ポンプ716を含む。例示的な体外システム700’では、注入器部材は、閉塞手段、(図3A〜図5Cの任意のものを含む本明細書における例の任意のものによる)付加最小コンダクタンス構成要素、又は注入器部材に結合された(図6A又は図6Bを含む本明細書における例の任意のものによる)圧力センサ対、又は圧力センサ対と閉塞手段の両方、又は圧力センサ対と付加最小コンダクタンス構成要素の両方も含むことができる。図7Bの非限定的な例示的なシステムでは、注入器部材722は、付加最小コンダクタンス構成要素726と、結合された圧力センサ対728の両方を含む。図7Bの例では、主ループの酸素供給器714は、局所的な注入器支流718の前に位置付けられており、したがって局所的な注入血液は酸素供給される。
図7Cは、本明細書における原理による選択的な温度療法の少なくとも二つのゾーンを提供するための別の例示的な体外回路を示し、その体外回路は、図7Bに関連して記述された構成要素と同様の構成要素を含んでいる。しかし図7Cの体外システム700”では、主ループの酸素供給器713は、局所的な注入器支流の後のループに沿って位置付けられており、したがって局所的な注入血液は直接酸素供給されない。非限定的な例では、酸素供給器713と熱交換器714は、組み合わされたユニットとすることができる。
図7A〜図7Cのうちの任意の非限定的な例示的なシステムは、身体の領域に結合されて、身体内の独立して制御される二つの温度ゾーンの温度測定値を提供することができる温度センサを含むことができる。例えば少なくとも一つの温度センサが、第2のポートによって灌流される領域に配設又は他の態様で結合されてもよく、少なくとも一つの温度センサが、遠位注入器部材によって灌流される身体の局所領域に配設又は他の態様で結合されてもよい。第2のポートによって灌流される領域に配設又は他の態様で結合された少なくとも一つの温度センサは、平均的な中核体温、及び/又は身体の一部分の平均的なシステム温度を測定するように構成することができる。遠位注入器部材によって灌流される身体の局所領域に配設又は他の態様で結合された少なくとも一つの温度センサは、局所領域の温度を測定するように構成される。
図7A〜図7Cのうちの任意の非限定的な例示的なシステムは、熱交換器のうちの少なくとも一つに結合された温度センサを含むことができる。
図7A〜図7Cの原理による他の非限定的な例示的なシステムは、透析、酸素供給、精製、薬物学的操作、光分解、又は血液に有用であり得る他の手順などであるがこれらに限定されない他の手順を、血液に対して体外ループにおいて行うように構成することができる。これらの手順のうちの一つ以上は、主ループ又は支流のいずれかで行われてもよく、又は(ループ又は支流で行われる手順のうちの一つ以上の手順の量又は数が異なった状態で)両方で行われてもよい。
図7A〜図7Cの非限定的な例では、主ループはVAループとして記述される。しかし他の例示的な実装形態では、主ループはVAループではなく、静静脈(VV)ループとすることができる。例示的なVVループでは、管脈構造の静脈側から、典型的には腸骨静脈又は下大静脈から血液が取り出され、典型的にはより高い又はより心臓に近い位置で大静脈に戻される。別の例では、VVは、大腿部における単一の穿孔で実施されてもよく、単一の二重管腔カテーテルを使用して、VVループの血液出力と戻りの両方を、それぞれがカテーテルの一つの管腔を使用して配置することができる。
本明細書における原理による例示的なシステムは、一つ以上の制御コンソールを含むことができる。例示的なコンソールは、例示的な体外システムの主ループ及び/又は局所的な支流のポンプ、熱交換器、及び/又は酸素供給器のうちの一つ以上に対する所望の設定を表す入力を受け取るように構成された一つ以上のユーザインターフェイスを含むことができる。例示的なコンソールは、ポンプ、熱交換器、及び/又は酸素供給器のうちの一つ以上に、異なる動作設定への変更を行わせる、及び/又はある期間にわたって特定の動作設定を維持させるためのプロセッサ実行可能な命令を実行するための一つ以上の処理ユニットを含むことができる。任意の例では、入力は、一つ以上のユーザインターフェイスにおいて、ユーザから又は別のコンピューティングデバイスから直接受け取られてもよい。例示的なコンソールは、一つ以上の処理ユニットを使用して実施され得るプロセッサ実行可能な命令を記憶するための少なくとも一つのメモリを含むことができる。例示的なコンソールは、システムの設定を表すデータ、及び/又はコンソールに結合された例示的なシステムを使用して一つ以上の手順を実行したことに基づいて得られた任意の測定データを、記憶及び/又は送信するように構成されてもよい。
図8Aは、本明細書における原理による、コンソール802に結合された例示的な体外回路システム800を示す。図7Bと同様に、図8Aの体外システム800は、第1のポート811を介して身体から血液を取り出し、ポンプ812、酸素供給器813、及び熱交換器814を使用して第2のポート815を介して血液を戻す主VA体外ループ810を含む。非限定的な例では、酸素供給器813及び熱交換器814は、組み合わされたユニットとすることができる。また例示的なシステム800は、支流818に位置付けられた、制御された体積流量の血液を主回路から引き出し、独立した熱交換器820、第3のポート821、及び遠位注入器部材822を通してそれを身体の局所領域に注入するための容積式又は体積駆動式ポンプ816を含む。また図7Bの非限定的な例示的なシステムと同様に、注入器部材は、付加最小コンダクタンス構成要素826、及び圧力センサ対828を含む。図8Aの例では、コンソール802は、支流818に位置付けられた容積式又は体積駆動式ポンプ816、及び圧力センサ対828に結合される。他の例では、コンソール802は、例示的なシステムのポンプ、熱交換器、及び/又は酸素供給器のうちの任意の一つ以上を含む、システムの異なる構成要素に結合されてもよい。
図8Aの非限定的な例示的なシステムは、身体の領域に結合されて、身体内の独立して制御される二つの温度ゾーンの温度測定値を提供することができる温度センサを含むことができる。例えば少なくとも一つの温度センサが、第2のポートによって灌流される領域に配設又は他の態様で結合されてもよく、少なくとも一つの温度センサが、遠位注入器部材によって灌流される身体の局所領域に配設又は他の態様で結合されてもよい。第2のポートによって灌流される領域に配設又は他の態様で結合された少なくとも一つの温度センサは、平均的な中核体温、及び/又は身体の一部分の平均的なシステム温度を測定するように構成することができる。遠位注入器部材によって灌流される身体の局所領域に配設又は他の態様で結合された少なくとも一つの温度センサは、局所領域の温度を測定するように構成される。
例では、コンソール802は、オペレーティングコンソールとして構成することができる。この例では、オペレーティングコンソールは、熱交換器を駆動するための水冷却器/加熱器と、オペレーティングシーケンスの動作ステップを実施するためのユーザ命令を表示するように構成されたグラフィックユーザインターフェイスとを含むことができる。コンソール802のグラフィックユーザインターフェイスは、少なくとも一つの温度センサによって報告される温度測定値を中核身体目標範囲内にとどめるように調整するために第2のポートによって灌流される血液の温度を制御することを、体外回路に行わせるため、及び、少なくとも一つの温度センサが目標領域温度範囲内の温度測定値を報告できるように局所領域に注入される血液の温度を制御することを、体外回路に行わせるためのオペレーティングシーケンスを実施するように構成されてもよい。
例示的なコンソール802は、本明細書において記述される制御流分割システムを使用して、G及びGtipの測定の実行を自動化するように構成されてもよい。受け取られた入力に基づいて、コンソールは、内側の流れ、及び注入部材上の圧力の値を示すデータを記録しながら、本明細書において記述された例のうちの任意の例の原理に応じて注入器部材の近位及び遠位コンダクタンスを測定する方法を自動的に行いやすくする、又はそれを可能にするために、注入流量の量を制御するための命令を、プロセッサに実行させることができる。そのような例示的なコンソール802は、制御流分割システムを自動化するように構成することができ、その場合、制御流分割システムは、完全な体外ループに結合された、又は図6Aの例などであるがこれに限定されない体外体積流量供給源を有する別のカテーテルシステムに結合された注入器部材に適用される。
図8Bは、本明細書における原理によるコンソール852に結合された別の例示的なシステム850を示す。例示的なシステム850は、流量制御源860と、リザーバ862とを含む。非限定的な例として、例示的な流量制御源860及びリザーバ862は、シリンジ又はシリンジ駆動部とすることができるが、これらに限定されない。例示的なシステム850は、身体の局所領域に結合された遠位注入器部材872も含む。注入器部材872は、付加最小コンダクタンス構成要素876と、圧力センサ対878とを含む。図8Bの例では、コンソール802は、流量制御源860、及び圧力センサ対878に結合されている。図8Bの例では、流量制御源860及びリザーバ862は、(上述した例のうちの任意のものによる)制御流分割システムの二つのFtip設定を確立するために使用される。非限定的な例として、コンソールにおいて受け取られた命令に基づいた設定は、最初に例えば2分間50ml/分でリザーバに向けて血液を抜き、次いで2分待機し、次いで2分間50ml/分で血液を戻すものであってもよい。この非限定的な例では、これにより、Ftip = −50ml/分、Ftip = 0、及びFtip = +50ml/分が確立される。例えばユーザ又は別のコンピューティングデバイスから、コンソール852において受け取られた入力に基づいて、入力において指定された設定に応じた任意の他の望ましい手順を行うように、命令を実行することができる。
本明細書における原理による例示的なシステムは、流体の流れを制御するための一つ以上のコントローラを含むことができる。例えば、一つ以上のコントローラは、注入器部材の遠位先端から出る流体の流れを制御するために注入部材に結合されてもよい。
本明細書における原理による例示的なシステムは、コンソールを含むことができる。図9は、少なくとも一つの処理ユニット907と、メモリ909とを含む例示的なコンソール905を示す。例示的なコンソールは、例えばデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、スマートフォン、サーバ、コンピューティングクラウド、それらの組合せ、又は本明細書における原理によるコントローラ又は他のシステムと電子通信することができる任意の他の適切なデバイスを含むことができる。例示的な処理ユニット907は、マイクロチップ、プロセッサ、マイクロプロセッサ、専用プロセッサ、特定用途向け集積回路、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、任意の他の適切なプロセッサ、又はこれらの組合せを含むことができるが、これらに限定されない。例示的なメモリ909は、ハードウエアメモリ、非一時的な有形媒体、磁気記憶ディスク、光ディスク、フラッシュドライブ、コンピュータデバイスメモリ、DRAM、SRAM、EDO RAMなどであるがこれらに限定されないランダムアクセスメモリ、任意の他のタイプのメモリ、又はこれらの組合せを含むことができるが、これらに限定されない。
例では、コンソールはディスプレイユニット911を含むことができる。例示的なディスプレイユニット911は、LEDモニタ、LCDモニタ、テレビ、CRTモニタ、タッチスクリーン、コンピュータモニタ、タッチスクリーンモニタ、(スマートフォン、タブレット、又は電子ブックなどであるがこれらに限定されない)モバイルデバイスのスクリーン若しくはディスプレイ、及び/又は任意の他のディスプレイユニットを含むことができるが、これらに限定されない。
図10A〜図10Bは、本明細書における原理による、例示的な流分割システム、又はカテーテル部材に結合された少なくとも二つの圧力センサを含む例示的なシステムを使用して実施することができる例示的な方法を示す。図10A〜図10Bのステップのうちの一つ以上は、メモリに記憶された命令を実行する処理ユニットからのコマンド又は他の信号に基づいて、コントローラを使用して実施することができる。
図10Aは、注入器部材の遠位先端において注入される流体の流れを、時間間隔Tにわたって所定の流量パターンに制御するステップ(ステップ1002)と、第1の圧力センサ及び第2の圧力センサを使用して、時間間隔Tにわたって圧力測定値を記録するステップ(ステップ1004)と、圧力測定値を示すデータ、及び所定の流量パターンを使用して、遠位先端における近位外部コンダクタンス又は遠位外部コンダクタンスのうちの少なくとも一つを算出するステップ(ステップ1006)とを含む例示的な方法を示す。遠位先端は、体外回路の注入器部材の一部分、又はカテーテル部材の一部分とすることができる。例では、流量パターンは、注入流量供給源を使用して制御することができる。例では、注入流量供給源はポンプとすることができる。
図10Bは、本明細書における原理による、例示的な流分割システム、又はカテーテル部材に結合された少なくとも二つの圧力センサを含む例示的なシステムを使用して実施することができる別の例示的な方法を示す。ステップ1052では、注入器部材(又はカテーテル部材)の遠位先端において注入される血液の流れは、第1の時間間隔(T)にわたって第1の一定流量に制御される。ステップ1054では、第1の時間間隔(T)の間の少なくとも第1の圧力測定値(P1A及びP1B)を記録するために、第1の圧力センサ及び第2の圧力センサのそれぞれが使用される。ステップ1056では、注入器部材の遠位先端において注入される血液の流れは、第2の時間間隔(T)にわたって、第1の一定流量とは異なる第2の一定流量に制御される。ステップ1058では、第2の時間間隔(T)の間の少なくとも第2の圧力測定値(P2A及びP2B)を記録するために、第1の圧力センサ、及び第2の圧力センサのそれぞれが使用される。ステップ1060では、第1の圧力測定値、第2の圧力測定値、第1の一定流量、及び第2の一定流量を示すデータを使用して、注入器部材(又はカテーテル部材)の遠位先端における近位外部コンダクタンス又は遠位外部コンダクタンスのうちの少なくとも一つを算出するために、処理ユニットの少なくとも一つのプロセッサが使用される。
例では、例示的なコンソールは、算出に基づいて、近位外部コンダクタンス、又は遠位外部コンダクタンス、又はそれらの両方の指標を、ディスプレイユニットに表示させることができる。
例では、処理ユニットは、第1の時間間隔(T)及び第2の時間間隔(T)よりも遅い第3の時間間隔(T)にわたる、近位外部コンダクタンス又は遠位外部コンダクタンスのうちの少なくとも一つの予測を算出するようにさせられてもよい。
図11は、本明細書における原理による動作を実施するために使用することができる例示的なコンピューティングデバイス1110のブロック図である。本明細書における任意の例では、コンピューティングデバイス1110は、コンソールとして構成することができる。わかりやすくするために、図11は、図9の例示的なシステムの様々な要素も再び参照し、それらに関するさらなる詳細事項を提供している。コンピューティングデバイス1110は、例を実施するための一つ以上のコンピュータ実行可能な命令又はソフトウエアを記憶するための一つ以上の非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体を含むことができる。非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体は、ハードウエアメモリ、非一時的な有形媒体(例えば一つ以上の磁気記憶ディスク、一つ以上の光ディスク、一つ以上のフラッシュドライブ)などのうちの一つ以上のタイプを含むことができるが、これらに限定されない。例えばコンピューティングデバイス1110に含まれるメモリ909は、本明細書において開示された動作を実行するためのコンピュータ読み取り可能な若しくはコンピュータ実行可能な命令又はソフトウエアを記憶することができる。例えばメモリ909は、開示された動作(例えば、流れを制御すること、圧力センサ測定値を記録すること、又は算出を実行することを、コントローラに行わせること)のうちの様々な動作を実行するように構成されたソフトウエアアプリケーション1140を記憶することができる。コンピューティングデバイス1110は、メモリ909に記憶されたコンピュータ読み取り可能な若しくはコンピュータ実行可能な命令又はソフトウエア、及びシステムハードウエアを制御するための他のプログラムを実行するための、構成可能な及び/又はプログラム可能なプロセッサ907及び関連コア1114、並びに任意選択で、(例えばコンピュータデバイスが多数のプロセッサ/コアを有する場合には)一つ以上の追加的な構成可能な及び/又はプログラム可能な処理デバイス、例えばプロセッサ1112’、及び関連コア1114’も含むことができる。プロセッサ907及びプロセッサ1112’は、それぞれ単一のコアプロセッサ、又はマルチコア(1114及び1114’)プロセッサとすることができる。
コンソール内のインフラストラクチャ及びリソースを動的に共有することができるように、コンピューティングデバイス1110において仮想化が使用されてもよい。仮想マシン1124は、プロセスが多数のコンピューティングリソースではなく一つのコンピューティングリソースのみを使用しているかのように見えるように、多数のプロセッサ上で走っているプロセスをハンドリングするために提供されてもよい。多数の仮想化マシンを、一つのプロセッサで使用することもできる。
メモリ909は、DRAM、SRAM、EDO RAMなどのコンピュータデバイスメモリ又はランダムアクセスメモリを含むことができる。メモリ909は、他のタイプのメモリ、又はそれらの組合せも含むことができる。
ユーザは、コンピュータモニタなどの視覚ディスプレイユニット1128を通してコンピューティングデバイス1110と対話することができ、その視覚ディスプレイユニット1128は、例示的なシステム及び方法により提供され得る一つ以上のユーザインターフェイス1130を表示することができる。コンピューティングデバイス1110は、ユーザからの入力を受け取るための他のI/Oデバイス、例えばキーボード又は任意の適切なマルチポイントタッチインターフェイス1118、ポインティングデバイス1120(例えばマウス)を含むことができる。キーボード1118及びポインティングデバイス1120は、視覚ディスプレイユニット1128に結合することができる。コンピューティングデバイス1110は、他の適切な従来型のI/O周辺機器を含むことができる。
コンピューティングデバイス1110は、本明細書において開示される動作を行うデータ及びコンピュータ読み取り可能な命令、並びに/又はソフトウエアを記憶するための、ハードドライブ、CD−ROM、又は他のコンピュータ読み取り可能な媒体などの一つ以上の記憶デバイス1134も含むことができる。例示的な記憶デバイス1134は、例示的なシステム及び方法を実装するために必要な任意の適切な情報を記憶するための一つ以上のデータベースも記憶することができる。データベースは、データベースにおいて一つ以上の項目を加える、削除する、且つ/又はアップデートするために任意の適切なタイミングで手動又は自動によりアップデートすることができる。
コンピューティングデバイス1110は、一つ以上のネットワークデバイス1132を介して一つ以上のネットワーク、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、又は標準電話回線、LAN若しくはWANリンク(例えば802.11、T1、T3、56kb、X.25)、ブロードバンド接続(例えばISDN、フレームリレー、ATM)、ワイヤレス接続、コントローラエリアネットワーク(CAN)、若しくは前述したもののいずれか又はすべての何らかの組合せを含むがこれらに限定されない様々な接続を通したインターネット、と対話するように構成されたネットワークインターフェイス1122を含むことができる。ネットワークインターフェイス1122は、ビルトインネットワークアダプタ、ネットワークインターフェイスカード、PCMCIAネットワークカード、カードバスネットワークアダプタ、ワイヤレスネットワークアダプタ、USBネットワークアダプタ、モデム、又は通信可能であり、本明細書において記述される動作を行うことが可能な任意のタイプのネットワークに対するコンピューティングデバイス1110のインターフェイスになるのに適した任意の他のデバイスを含むことができる。さらにコンピューティングデバイス1110は、ワークステーション、デスクトップコンピュータ、サーバ、ラップトップ、ハンドヘルドコンピュータ、タブレットコンピュータ、又は通信可能であり、本明細書において記述される動作を行うのに充分なプロセッサパワー及びメモリ容量を有する他の形態のコンピューティングデバイス若しくは通信デバイスなどの任意のコンピュータデバイスとすることができる。
コンピューティングデバイス1110は、Microsoft(登録商標)のWindows(登録商標)オペレーティングシステムの任意のバージョン、Unix及びLinux(登録商標)オペレーティングシステムの異なるリリース、Macintoshコンピュータ用MacOS(登録商標)の任意のバージョン、任意の埋め込まれたオペレーティングシステム、任意のリアルタイムオペレーティングシステム、任意のオープンソースオペレーティングシステム、任意のプロプライエタリオペレーティングシステム、又はコンソール上で走ることができ、本明細書において記述される動作を行うことができる任意の他のオペレーティングシステムのうちの任意のものなど、任意のオペレーティングシステム1126を走らせることができる。いくつかの例では、オペレーティングシステム1126は、ネイティブモード又はエミュレーションにおいて走らせることができる。例では、オペレーティングシステム1126は、一つ以上のクラウドマシンインスタンス上で走らせることができる。
非限定的な例では、本明細書における原理によるコンピューティングデバイスは、(iPhone(登録商標)、Android(商標)フォン、又はBlackberry(登録商標)などであるがこれらに限定されない)スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、スレートコンピュータ、(XBOX(登録商標)、Playstation(登録商標)、又はWii(登録商標)などであるがこれらに限定されない)電子ゲームシステム、電子リーダ(e−リーダ)、及び/又は他の電子リーダ若しくはハンドヘルドコンピューティングデバイスのうちの任意の一つ以上を含むことができる。
本明細書における任意の例では、本明細書における少なくとも一つの方法は、コンピュータプログラムを使用して実施することができる。プログラム、ソフトウエア、ソフトウエアアプリケーション、スクリプト、アプリケーション又はコードとしても知られているコンピュータプログラムは、コンパイラ型又はインタプリタ型言語、宣言型又は手続き型言語を含むプログラミング言語のうちの任意の形式で記述することができ、コンピュータプログラムは、スタンドアロンプログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、若しくはコンピューティング環境で使用するのに適した他のユニットとしての形式を含む任意の形式で展開することができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応してもよいが、そうではなくてもよい。プログラムは、他のプログラム又はデータを保持するファイルの一部分に記憶されてもよく(例えばマークアップ言語ドキュメントに記憶された一つ以上のスクリプト)、当該プログラム専用の単一のファイルに記憶されてもよく、又は多数のコーディネートされたファイル(例えば、一つ以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を記憶するファイル)に記憶されてもよい。コンピュータプログラムは、一つのコンピュータ上若しくは一つの場所に位置付けられた多数のコンピュータ上で実行されるように展開されてもよく、又は多数の場所にわたって分散されて通信ネットワークによって相互接続されるように展開されてもよい。
例示的なコンピューティングデバイスは、本明細書において記述されるように、温度センサデータ、圧力センサデータを分析すること、及びコンダクタンスを算出することなどの機能を実行するためのアプリケーション(「App」)を含むことができる。非限定的な例では、Appは、Android(商標)と互換性のあるシステム用*.apkファイル、又はiOS(登録商標)と互換性のあるシステム用*.appファイルとしてダウンロードされるように構成することができる。
本明細書における原理による例示的なコンソールは、参照により本明細書に組み込まれる国際(PCT)特許出願第PCT/US2015/033529号に記述されるものなどの動作シーケンスのための制御手順を実施するために使用することができる。例えばコンソールは、ユーザインターフェイスを含むディスプレイ、及び熱交換器を駆動するための冷却器/加熱器を含むことができる。例示的なコンソールは、平均的な中核体温及び/又は第2のポートを用いて灌流される身体の一部分の平均的なシステム温度を測定するように位置付けられた少なくとも一つの第1の温度センサと、注入器部材によって灌流される局所領域の温度を測定するように位置付けられた少なくとも一つの第2の温度センサとに結合することができる。ユーザインターフェイスは、オペレーティングシーケンスの動作ステップを実施するためのユーザ命令を表示するように構成される。非限定的な例示的なコンソールは、動作の全段階において温度帯が装置において設定され、センサ温度が各段階中の目標範囲から外れるようにドリフトした場合に、より低い温度に調整するようにオペレータに警告することができるように、半自動的な制御手順を実施するように本明細書において定義されたユーザインターフェイス及びコンピューティングデバイスを含むことができる。非限定的な例示的なコンソールは、動作の全段階において温度帯が装置において設定され、センサ温度が各段階中の目標範囲から外れるようにドリフトした場合に、より低い温度に自動的に調整するようにシステムを構成することができるように、全自動的な制御手順を実施するように本明細書において定義されたユーザインターフェイス及びコンピューティングデバイスを含むことができる。
本明細書における例示的なシステム及び方法は、国際(PCT)特許出願第PCT/US2015/033529号に記述されるものなどのように、局所性又は全身性の虚血性傷害又は循環損傷を患う患者に対する処置手順の少なくとも一部分を行うために、身体の少なくとも一部分の二つの異なる温度ゾーンを確立する及び制御するために使用することができる。例示的な方法は、全身灌流体外回路(SPEC)を、末梢に配置されたループを用いて身体に結合するステップと、管脈構造内を流れる血液に対する局所灌流体外回路(LPEC)を、身体の局所目標領域(脳などであるがこれに限定されない)に結合するステップとを含むことができる。SPECは、管脈構造内を流れる血液に接触するSPEC入力流れポート及びSPEC出力流れポートと、SPECポンプと、SPEC熱交換器とを含むことができる。LPECは、管脈構造内を流れる血液に接触するLPEC入力流れポート及びLPEC出力流れポートと、LPECポンプと、LPEC熱交換器とを含むことができる。LPEC入力流れポートは、身体の局所目標領域を灌流するために配設される。方法は、SPECによって灌流される身体の平均的な中核体温、及び/又は平均的なシステム温度を測定するための少なくとも一つのSPECセンサを位置付けるステップと、LPECによって灌流される局所目標領域の温度を測定するための少なくとも一つのLPECセンサを位置付けるステップと、少なくとも最小のオペレーティングシーケンスのうちの動作ステップを実行するステップと、少なくとも一つのLPECセンサ及び少なくとも一つのSPECセンサの測定値を記録するため、並びにSPEC及びLPECそれぞれの血液流量と熱交換器温度とを独立して制御するための制御手順を実施するステップとを含むことができる。LPECは、管脈構造内を流れる血液に接触するように配設された遠位先端を含む注入器部材を含むことができ、LPECの注入器部材は、身体の局所目標領域を灌流するために配設される。LPECは、本明細書において記述される原理よる付加最小コンダクタンス構成要素、又は制御流分割システム、又はそれらの両方を含むことができる。LPECが制御流分割システムを含む例では、LPECポンプが、制御流分割システムのための注入流量供給源としての役割を果たすことができる。
LPEC入力流れポートは、左総頸動脈、右頸動脈、又はこれらの位置のうちの一つの下流にある動脈のいずれかに接触して配設することができる。
例では、制御手順は、SPEC温度センサによって報告される温度測定値を目標中核体温範囲内にとどめるように調整するためにSPECによって注入される血液の温度を制御することを、SPECに行わせることができ、一つ以上のLPEC温度センサが目標領域温度値の特定のパターンにしたがって温度測定値を報告できるように目標領域に注入される血液の温度を制御することを、LPECに行わせることができる。SPEC温度センサは、膀胱温度センサ、又は直腸温度センサのうちの一つ以上とすることができる。
別の例では、制御手順は、一つ以上のSPEC温度センサが約32℃から約37℃未満の範囲内の平均温度を示すように、身体の全身温度を調節することを、SPECに行わせることができ、一つ以上のLPEC温度センサが約30℃未満の温度を示すように、目標領域に向かう血液の温度を制御することを、LPECに行わせることができる。制御手順は、平均温度が約32℃未満に下がらないように血液の温度を上げることを、SPECに行わせることができる。制御手順は、約10℃〜約30℃の範囲内の値に血液の温度を下げることを、LPECに行わせることができる。
本明細書における任意の例示的なシステムは、制御手順を実行するようにプログラムされた制御システムを含むことができる。例えば制御システムは、LPECポンプ及びLPEC熱交換器における流量及び温度を、SPECポンプの流量とは無関係に設定するようにプログラムされてもよい。制御システムは、目標領域に向かう血液の温度を自動的に、又は手入力に基づいて制御することを、LPECに行わせるようにプログラムされてもよい。制御システムは、平均温度が約32℃未満に下がらないように血液の温度を上げることを、SPECに行わせるようにプログラムされてもよい。制御システムは、約10℃〜約30℃の範囲内の値に血液の温度を下げることを、LPECに行わせるようにプログラムされてもよい。
結論
様々な本発明の実施形態が、本明細書において記述され示されたが、当業者であれば、本明細書において記述された機能を実施するための、並びに/又は、結果及び/若しく利点のうちの一つ以上を得るための様々な他の手段及び/又は構造を容易に想像することができ、そのような変形形態及び/又は修正形態のそれぞれは、本明細書において記述される本発明の実施形態の範囲内にあるとみなされる。より全体的には、本明細書において記述されるすべてのパラメータ、寸法、材料、及び構成は例示的であることが意図されること、及び実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本発明の教示が用いられる特定の適用に応じて変わることを、当業者は容易に理解するであろう。当業者は、慣例の範囲内の実験を用いて、本明細書において記述される本発明の特定の実施形態の多くの等価物を認識し、又はそれらを確認することができる。したがって、前述の実施形態は例としてのみ提示されており、添付の請求項及びその等価物の範囲内で、本発明の実施形態は、具体的に記述され特許請求されたものとは異なる態様で実施されてもよいことを、理解すべきである。本開示における本発明の実施形態は、本明細書において記述されるそれぞれの個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象とする。さらに、このような二つ以上の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の任意の組合せは、これらの特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が互いに矛盾しない場合、本開示の発明の範囲に含まれる。
上述した本発明の実施形態は、様々なやり方のうちの任意のやり方で実施することができる。例えば、いくつかの実施形態は、ハードウエア、ソフトウエア、又はそれらの組合せを用いて実施されてもよい。実施形態の任意の態様が、少なくとも部分的にソフトウエアにおいて実施されるとき、ソフトウエアコードは、単一のコンピュータに提供されるか、又は多数のコンピュータ間で分散されるかに関わらず、任意の適切なプロセッサ又はプロセッサの集まりにおいて実行されてもよい。
この点に関して、本明細書の様々な態様は、一つ以上のコンピュータ又は他のプロセッサ上で実行されたときに、上述した技術の様々な実施形態を実施する方法を実行する一つ以上のプログラムで符号化されたコンピュータ読み取り可能な媒体(又は複数のコンピュータ読み取り可能な媒体)(例えば、コンピュータメモリ、一つ以上のフロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ若しくは他の半導体デバイス内の回路構成、又は他の有形コンピュータ記憶媒体若しくは非一時的な媒体)として少なくとも部分的に具体化されてもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体は、そこに記憶されたプログラムを一つ以上の異なるコンピュータ又は他のプロセッサにロードして、前述した本技術の様々な態様を実施することができように、移動可能とすることができる。
「プログラム」又は「ソフトウエア」という用語は、本明細書において、前述した本技術の様々な態様を実施するようにコンピュータ又は他のプロセッサをプログラムするために使用され得る任意のタイプのコンピュータコード又はコンピュータ実行可能な命令を指すための一般的な意味で使用される。さらに、本実施形態の一態様によれば、実行されたときに本技術の方法を行う一つ以上のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ又はプロセッサ上にある必要はなく、多数の異なるコンピュータ又はプロセッサ間でモジュラ様式で分散されて、本技術の様々な態様を実施してもよいことが、理解されるべきである。
コンピュータ実行可能な命令は、一つ以上のコンピュータ又は他のデバイスによって実行される、プログラムモジュールなどの多くの形態であってもよい。概してプログラムモジュールは、特定のタスクを実行する、又は特定の抽象データタイプを実施するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。典型的には、プログラムモジュールの機能性は、様々な実施形態で望まれるように組み合わされてもよく、又は分配されてもよい。
また、本明細書において記述される技術は、方法として具体化されてもよく、その方法のうちの少なくとも一つの例が提供されている。方法の一部として実行される行為は、任意の適切なやり方で順序付けられてもよい。したがって実施形態は、示されるものとは異なる順序で行為が実行される実施形態が構築されてもよく、その実施形態は、例示的な実施形態では一連の行為として示されていても、いくつかの行為を同時に実行するステップを含んでもよい。
本明細書において定義され使用されるすべての定義は、辞書による定義、参照により組み込まれた文書における定義、及び/又は定義された用語の通常の意味に優先すると理解されるべきである。
明細書及び請求項において使用される不定冠詞「a」及び「an」は、明示的にそうでないことが示されない限り、「少なくとも一つ」を意味するものとして理解すべきである。
明細書及び請求項において使用される「及び/又は」という表現は、これによって接続される要素のうちの「いずれか又は両方」を意味する、すなわち接続的に存在することも離接的に存在することもある要素を意味すると理解すべきである。「及び/又は」で列挙された複数の要素は、同じ態様で、すなわちこれによって接続される要素のうちの「一つ以上」と解釈されるべきである。「及び/又は」節によって具体的に特定される要素以外に、これらの具体的に特定される要素に関係するか又は無関係かに関わらず、他の要素が任意選択で存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「備える(comprising)」などのオープンエンドな言葉と併せて使用されるとき「A及び/又はB」という参照は、例えば、一実施形態ではAだけを指すことができ(任意選択でB以外の要素を含む)、別の実施形態ではBだけを指すことができ(任意選択でA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、AとBの両方を指すことができる(任意選択で他の要素を含む)。
明細書及び請求項において使用されるとき、「又は」は、上記で定義された「及び/又は」と同じ意味を有するものと理解すべきである。例えば、リスト内の項目を分けるとき、「又は」又は「及び/又は」は包括的なものとして解釈されるべきであり、すなわち多数の要素又は要素のリストのうちの少なくとも一つを含むが、同時にそれらのうちの二つ以上、及び任意選択で、リストにない追加的な項目も含むものとして解釈されるべきである。そうではないことを明示的に示す「〜のうちの一つのみ」、又は「〜のうちの正確に一つの」などの用語、又は請求項において使用される場合の「〜から成る(consisting of)」のみが、多数の要素又は要素のリストのうちの正確に一つの要素が含まれることを指すことになる。「いずれか」、又は「〜のうちの一つ」、又は「〜のうちの一つのみ」、又は「〜のうちの正確に一つ」などの排他的な用語が先行する場合には、概して本明細書において使用される「又は」という用語は、唯一の選択肢(すなわち「一方又は他方だが両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。「本質的に〜から成る」は、請求項において使用されるとき、特許法の分野において使用される通常の意味を有するものとする。
明細書及び請求項において使用されるとき、一つ以上の要素のリストを参照する「少なくとも一つ」という表現は、要素のリストのうちの任意の一つ以上の要素から選択された少なくとも一つの要素を意味すると理解すべきであるが、要素のリストに具体的に列挙された一つ一つの要素のうちの少なくとも一つを必ずしも含む必要はなく、要素のリスト内の要素の任意の組合せを排除するものでもない。この定義はさらに、「少なくとも一つ」という表現が参照する要素のリスト内で具体的に特定されている要素以外の要素が、それらの具体的に特定された要素に関係するか又は無関係かに関わらず、任意選択で存在し得ることを許容する。したがって非限定的な例として、例えば、「A及びBのうちの少なくとも一つ」(又は同じことであるが「A又はBのうちの少なくとも一つ」、又は同じことであるが「A及び/又はBのうちの少なくとも一つ」)は、一実施形態では、任意選択でBが存在しない状態で二つ以上のAを含む少なくとも一つ(及び任意選択でB以外の要素を含む)を指すことができ、別の実施形態では、任意選択でAが存在しない状態で二つ以上のBを含む少なくとも一つ(及び任意選択でA以外の要素を含む)を指すことができ、さらに別の実施形態では、任意選択で二つ以上のAを含む少なくとも一つ、及び任意選択で二つ以上のBを含む少なくとも一つ(及び任意選択で他の要素を含む)を指すことができる。
請求項、並びに上記の明細書において、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」、「から構成される(composed of)」などのすべての移行句は、オープンエンドであるものとして、すなわち含むがそれに限定されないという意味であると理解されるべきである。米国特許庁の特許審査手続便覧第2111.03節に記載されるように、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれクローズな移行句又はセミクローズな移行句とみなされる。

Claims (11)

  1. 遠位先端と、前記管腔の最端部によって形成された前記遠位先端の出口開口部と、を有するシャフトを備えるカテーテル部材と、
    制御分割流システムであって、
    前記遠位先端における前記出口開口部に近接して配設された少なくとも第1の圧力センサ、
    前記遠位先端から近位に、前記シャフトの外側表面に配設された少なくとも第2の圧力センサ、及び
    前記カテーテル部材に結合された、前記管腔内で所定の流量パターンで注入流れを生じさせるための注入流量供給源、を備える制御流分割システムと、
    コンソールであって、
    ディスプレイユニット、及び
    少なくとも一つの処理ユニットであって、
    前記少なくとも第1の圧力センサ及び前記少なくとも第2の圧力センサを使用した圧力測定値に基づいてコンダクタンスの値を算出すること、及び
    前記コンダクタンスの値の指標を前記ディスプレイユニットに表示させるための信号を生成すること
    を行うようにプログラムされた少なくとも一つの処理ユニット、を備えるコンソールと、を備える、血管の部分における血液のコンダクタンスを定量化するためのシステム。
  2. 前記少なくとも一つの処理ユニットが、
    前記所定の流量パターンで前記遠位先端において注入される血液の流れがある状態で時間間隔Tにわたる前記圧力測定値を示すデータを受け取ること、及び
    前記圧力測定値を示すデータ及び前記所定の流量パターンを使用して、前記遠位先端における近位外部コンダクタンス又は遠位外部コンダクタンスのうちの少なくとも一つとして、前記コンダクタンスを算出すること
    を行うようにプログラムされた、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記所定の流量パターンが、第1の時間間隔t1<Tにわたる第1の一定流量と、前記第1の時間間隔の後の第2の時間間隔t2<Tにわたる、前記第1の一定流量とは異なる第2の一定流量とを備える、請求項2に記載のシステム。
  4. 前記少なくとも一つの処理ユニットが、
    前記遠位先端において注入される流体の流れを、前記第1の時間間隔t1にわたって前記第1の一定流量に制御すること、及び
    前記遠位先端において注入される流体の流れを、前記第2の時間間隔t2にわたって前記第2の一定流量に制御すること、を
    前記注入流量供給源に行わせるようにさらにプログラムされた、請求項3に記載のシステム。
  5. 前記少なくとも一つの処理ユニットが、
    前記第1の圧力センサ及び前記第2の圧力センサを使用した前記第1の時間間隔t1にわたる第1の圧力測定値を記録すること、及び
    前記第1の圧力センサ及び前記第2の圧力センサを使用した前記第2の時間間隔t2にわたる第2の圧力測定値を記録すること
    を行うようにさらにプログラムされた、請求項4に記載のシステム。
  6. 前記少なくとも一つの処理ユニットが、前記第1の時間間隔及び前記第2の時間間隔よりも遅い第3の時間間隔にわたる、近位外部コンダクタンス又は遠位外部コンダクタンスのうちの少なくとも一つの予測を算出するようにさらにプログラムされた、請求項3に記載のシステム。
  7. 前記遠位先端における前記近位外部コンダクタンス又は前記遠位外部コンダクタンスのうちの前記少なくとも一つが、前記第1の圧力測定値、前記第2の圧力測定値、前記第1の一定流量、及び前記第2の一定流量を示すデータを使用して算出される、請求項5に記載のシステム。
  8. 前記コンソールが、前記近位外部コンダクタンス又は前記遠位外部コンダクタンスのうちの少なくとも一つの指標を表示するためのディスプレイユニットをさらに備える、請求項2に記載のシステム。
  9. 前記注入流量供給源が、前記遠位先端において注入される流体が段階関数に応じて流れるように前記流れを制御するように構成された体積流れコントローラである、請求項1に記載のシステム。
  10. 前記少なくとも第2の圧力センサが、約1.0cmより大きい距離だけ前記遠位先端から近位に配設されている、請求項1に記載のシステム。
  11. 前記少なくとも一つの処理ユニットが、前記遠位先端において流体に加えられる薬物又は薬剤のうちの少なくとも一つの混合遠位流れ内での濃度を、前記薬物又は薬剤のうちの少なくとも一つの量の値、及び前記コンダクタンスのうちの少なくとも一つに基づいて、算出するようにさらにプログラムされた、請求項10に記載のシステム。
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