JP6748435B2 - 蛍光ガラス線量計用ガラス - Google Patents

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Description

本発明は、放射線被ばく量を測定するための蛍光ガラス線量計に用いられる蛍光ガラス線量計用ガラスに関する。
放射線被ばく量を測定するための線量計の一つに、蛍光ガラス線量計がある。この線量計は、銀イオンを含有するリン酸塩ガラス(以下、銀活性リン酸塩ガラスともいう。)から構成されるガラス素子(以下、蛍光ガラス素子という。)を検出子として用いている。この蛍光ガラス素子は、放射線被ばくによりガラス中に蛍光中心を形成し、波長300〜400nmの紫外線の励起により、オレンジ色の蛍光(Radiophotoluminesence:以下、RPLという。)を発することが知られている。発生する蛍光量は照射した放射線量に比例するので、蛍光量を測定することで放射線被ばく量を知ることができる。この蛍光量の測定は、何度でも繰り返し行うことができる。
従来から、蛍光ガラス線量計の進歩は、蛍光計測技術の開発を中心に進められてきた。蛍光計測技術の開発においては、紫外線レーザーを利用したパルス測定方式が導入されたことで、高精度の計測ができるようになった。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)。
特公昭47−51919号公報 特公昭50−38352号公報 特開平6−138236号公報 特開平6−222146号公報
蛍光ガラス素子については、昭和40年代に開発されて以降、新規のガラス組成を有する素子は開発されていない。蛍光ガラス素子については、蛍光量の測定においてRPL以外にも不要な蛍光が発生して、これがRPLの測定精度を低下させる。このため、RPL以外の不要な蛍光の発生を抑制して、RPLの測定精度を向上させることが求められている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、RPLの測定精度を向上させることができる蛍光ガラス線量計用ガラスの提供を目的とする。
本発明の蛍光ガラス線量計用ガラスは、銀イオンを含有するリン酸塩ガラスからなり、酸化物換算の質量%表示でSiOを0.3〜2.5%含有することを特徴とする。
本発明の蛍光ガラス線量計用ガラスにおいて、このガラスは、厚さ7mmにおける波長355nmの光の透過率が85〜92%であることが好ましい。また、このガラスは、少なくともPとNaOを含み、NaOとPの含有量の質量比(NaO/P)が、0.240〜0.275であることが好ましい。また、このガラスは、Cr成分とNi成分を実質的に含有しないガラスであってもよい。さらに、本発明の蛍光ガラス線量計用ガラスは、酸化物換算の質量%表示で、Pを60〜75%、NaOを11〜22%、Alを10〜17%、AgOを0.02〜0.25%、SiOを0.3〜2.5%、Bを0〜3%、BeOを0〜3%、MgOを0〜3%含有する組成であってもよい。
なお、上記した数値範囲を示す「〜」とは、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。本明細書において「〜」は、特段の定めがない限り、同様の意味で使用される。
本発明の蛍光ガラス線量計用ガラスによれば、RPL以外の不要な蛍光の発生を抑制してRPLの測定精度を向上させることができる。
本発明の実施例における、減衰時間がRPLの減衰時間以下である蛍光(SD)の蛍光量(SD)および減衰時間がRPLの減衰時間を超える蛍光(LD)の蛍光量(LD)の測定方法を説明する図である。 本発明の実施例で得られた、ガラスのSiOの含有量と、減衰時間がRPLの減衰時間以下である蛍光(SD)の平均蛍光量(平均SD)との関係を示すグラフである。 本発明の実施例で得られた、ガラスの光透過率(波長355nm、厚さ7mm)とRPLの感度比との関係を示すグラフである。 本発明の実施例で得られた、ガラスのNaOとPの含有量の質量比と、RPLの感度比との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る蛍光ガラス線量計用ガラスの実施の形態について説明する。
本発明の蛍光ガラス線量計用ガラスは、銀イオンを含有するリン酸塩ガラス(銀活性リン酸塩ガラス)から構成され、酸化物換算の質量%表示でSiOを0.3〜2.5%含有することを特徴とする。
一般に、蛍光量の測定においては、主たる測定対象であるRPLとともに、これ以外の不要な蛍光が発生する。RPL以外の蛍光として、表面の汚れに起因して発生する蛍光、プレドーズに起因して発生する蛍光(ガラス自体から発生する蛍光)等が挙げられる。
表面の汚れに起因して発生する蛍光は、例えば、1μs程度で減衰する。また、プレドーズに起因して発生する蛍光は、例えば、1μs程度で減衰するものから1ms程度で減衰するものまでがある。一方、RPLは、例えば、40μs程度で減衰する。
以下、プレドーズに起因して発生する蛍光のうち、減衰時間がRPLの減衰時間以下であるものを蛍光(SD:Short Decay)、減衰時間がRPLの減衰時間を超えるものを蛍光(LD:Long Decay)と記す。
本発明の蛍光ガラス線量計用ガラスによれば、SiOを0.3%以上含有することにより、RPL以外の蛍光、特に、減衰時間がRPLの減衰時間以下である蛍光(SD)の発生を抑制して、RPLの測定精度を向上させることができる。一方、SiOを2.5%超含有すると、ガラスの失透傾向が強くなる、またガラスの化学的耐久性が悪くなることから、SiOを2.5%以下含有することにより、ガラスの安定性も良好にすることができる。
SiOの含有量は、RPL以外の蛍光を抑制する観点から、好ましくは0.5%以上、より好ましくは0.8%以上である。また、SiOの含有量は、ガラスの失透の発生を抑制、ガラスの化学的耐久性を維持するなど、安定性を良好にする観点から、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.5%以下である。
このようなSiOを含有する銀活性リン酸塩ガラスである本発明のガラスは、厚さ7mmでの波長355nmの光の透過率が、85〜92%であることが好ましい。この透過率は、紫外可視近赤外分光光度計を用いて測定することができる。
ここで、波長355nmの光の透過率に関して規定するのは、以下に示す理由による。すなわち、蛍光ガラス線量計では、紫外線を励起光として使用するため、蛍光ガラス線量計用ガラスにおいて、励起光の透過率が低いと、励起光の入射面より深い箇所に位置する蛍光中心が十分に励起されないため、感度が低下するおそれがある。そして、励起光としては、波長355nm付近のレーザー光を用いることが多いため、この波長の光の透過率を規定した。
本発明の蛍光ガラス線量計用ガラスにおいて、厚さ7mmでの波長355nmの光の透過率(以下、単に光透過率と示す。)は、高いほどRPLの感度比が高くなる。光透過率が85%未満では、十分な高さの感度比が得られない。また、光透過率を92%超とするには、光透過率を低下させる原因となるガラス中の不純物を極限まで低減する必要があり、ガラス原料が高くなる。ガラスの光透過率を85〜92%の範囲とすることで、RPLの感度比が十分に高い蛍光ガラス線量計用ガラスを、比較的安価に実現することができる。光透過率は89〜92%の範囲がより好ましい。
また、本発明の蛍光ガラス線量計用ガラスは、少なくともPとNaOを含み、かつNaOとPの含有量の質量比(NaOの含有量/Pの含有量。以下、Na/P質量比率ともいう。)が、0.240〜0.275の範囲にあることが好ましい。
本発明のガラスにおいては、Na/P質量比率が低い方が、RPLの感度比が高くなり、好ましい。Na/P質量比率が0.275を超えるガラスでは、十分な高さの感度比が得られない。一方、Na/P質量比率が0.240未満のガラスでは、ガラス中のP(リン)成分の含有量が多くなり過ぎて、耐侯性が悪くなるおそれがある。また、ガラス中のP成分の含有量が多くなると、ガラスの溶融性が悪くなるため、溶融温度を高くする必要がある。ガラスのNa/P質量比率が0.240〜0.275の範囲にある場合には、RPLの感度比が十分に高くなるうえに、耐侯性および溶融性の良好な蛍光ガラス線量計用ガラスが得られる。ガラスのNa/P質量比率は、0.250〜0.270の範囲がより好ましい。
また、本発明の蛍光ガラス線量計用ガラスは、Cr成分とNi成分のいずれの成分も、実質的に含有しないことが好ましい。なお、「実質的に含有しない」とは、含有量が、ガラス全体に対して5ppm以下であることをいう。
Cr成分とNi成分のいずれも含有しないガラスでは、Cr成分とNi成分の少なくとも一方を含有するガラスに比べて、前記したNa/P質量比率が同じであっても、RPLの感度比がより高くなる。このことは、Ni成分もしくはCr成分を含有すると、RPLの感度比が低下することを意味し、Cr成分および/またはNi成分の含有により、前記光透過率(波長355nmの光の透過率)が低下することによると推測される。Cr成分とNi成分のいずれの成分も含有しないガラス組成とすることで、RPLの感度比を高めることができる。
本発明の蛍光ガラス線量計用ガラスとしては、例えば、酸化物基準の質量%表示で、Pを60〜75%、NaOを11〜22%、Alを10〜17%、AgOを0.02〜0.25%、SiOを0.3〜2.5%、Bを0〜3%、BeOを0〜3%、MgOを0〜3%含有するものが挙げられる。
以下、蛍光ガラス線量計用ガラスに含有される各成分について記載する。
は、ガラスを形成する主成分であり、必須である。Pの含有量が60%未満では、ガラスが不安定になり、失透を生じやすくなる。75%を超えると、ビルドアップ特性と耐侯性を向上させるNaOおよびAlの含有量が少なくなるため、好ましくない。Pの含有量は、好ましくは65〜73%であり、より好ましくは68〜71%である。
NaOは、ガラスの感度特性を向上させる成分であり、必須である。NaOの含有量が11%未満では、感度特性向上の効果が十分得られず、22%を超えると、ガラスが不安定になるため好ましくない。NaOの含有量は、好ましくは14〜20%であり、より好ましくは16〜19%である。
Alは、ガラスの耐候性を高めるための成分であり、必須である。Alの含有量が10%未満ではその効果が十分得られず、17%を超えると、ガラスの溶融温度が高くなり、ガラスを溶融するためのコストが上がるため好ましくない。Alの含有量は、好ましくは10〜15%であり、より好ましくは10〜13%である。
AgOは、放射線被ばくしたガラスに紫外線が照射された際に、蛍光中心を形成するための成分であり、必須である。AgOの含有量が0.02%未満では、その効果が十分得られず、0.25%を超えると、有効原子番号の増大により放射線エネルギー特性が低下する結果、感度特性が低下するため好ましくない。AgOの含有量は、好ましくは0.08〜0.20%であり、より好ましくは0.12〜0.19%である。
SiOは、既に説明したようにRPL以外の蛍光の発生を抑制するものであり、必須である。SiOの含有量が0.3%以上になると、RPL以外の蛍光の発生が効果的に抑制されるために好ましい。また、SiOの含有量が2.5%超になると、ガラスの失透傾向が強くなる、またガラスの化学的耐久性が悪くなるために好ましくない。また、SiOの含有量が2.5%以下になると、ガラスの安定性が特に良好になる。SiOの含有量は、好ましくは0.5%以上、より好ましくは0.8%以上である。また、SiOの含有量は、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.5%以下である。
は、必須ではないが、必要に応じて含有することができる。Bを含有する場合、ガラスの耐候性を向上させる効果があるが、3%を超えると感度特性が低下するため好ましくない。Bの含有量は、好ましくは2%以下であり、より好ましくは1%以下である。
BeOは、必須ではないが、必要に応じて含有することができる。BeOを含有する場合、ガラスの耐候性を向上させる効果があるが、3%を超えると感度特性が低下するため好ましくない。BeOの含有量は、好ましくは2%以下であり、より好ましくは1%以下である。
MgOは、必須ではないが、必要に応じて含有することができる。MgOを含有する場合、ガラスの感度特性を向上させる効果があるが、3%を超えるとかえって感度特性が低下するため好ましくない。MgOの含有量は、好ましくは2%以下であり、より好ましくは1%以下である。
本発明の蛍光ガラス線量計用ガラスは、以下のようにして作製することができる。まず、得られるガラスが上記組成範囲になるように原料を秤量、混合する。次いで、この原料混合物をルツボに収容し、電気炉内において、1000〜1300℃の温度で加熱し溶融させる。十分に撹拌し清澄した後、金型内に鋳込み、徐冷する。その後、切断・研磨して、所定の厚さの平板状に成形する。
以上本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本発明の趣旨に反しない限度において、また必要に応じて適宜構成を変更することができる。
以下、本発明の実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(例1〜例10)
得られたガラスが、酸化物換算(基準)の質量%表示で表1に示す組成を有するように、原料を調整し、混合して、例1〜例10の試験ガラスを作製した。例1〜例10は、本発明の実施例である。
[SiOの含有量とプレドーズに起因して発生する蛍光との関係]
例1〜10のガラスについて、プレドーズに起因して発生する蛍光の蛍光量、具体的には、減衰時間がRPLの減衰時間以下である蛍光(SD)の蛍光量および減衰時間がRPLの減衰時間を超える蛍光(LD)の蛍光量を測定した。
まず、測定対象である試験ガラスついて、420℃で3時間加熱してアニーリングした。アニーリングは、ガラスにおける蛍光発生の中心(蛍光中心)を消去し、放射線被ばくの影響をリセットするために行う。
次いで、アニーリング後の試験ガラスについて、蛍光ガラス線量計測定装置(AGCテクノグラス社製、型番:FGD−660)を用いて、減衰時間がRPLの減衰時間以下である蛍光(SD)の蛍光量および減衰時間がRPLの減衰時間を超える蛍光(LD)の蛍光量を測定した。なお、測定は、以下に説明する蛍光強度の時間分解法により行った。
図1は、放射線被ばくしていないガラスの1回のレーザー光照射により得られる蛍光強度の時間推移を模式的に示すものである。
図中、SAMPは、レーザー照射後を0μsecとした場合、汚れ成分に起因する蛍光が減衰した、2μsec〜7μsecまでの蛍光強度の積分値である。本例の試験ガラスの場合、SAMPは、以下の(1)式に示すように、減衰時間がRPLの減衰時間以下である蛍光(SD)の蛍光量(SD)と、減衰時間がRPLの減衰時間を超える蛍光(LD)の蛍光量(LD)とからなる。
SAMP=SD+LD …(1)
蛍光量(SD)を求めるには、SAMPから蛍光量(LD)を除去する必要がある。ここで、蛍光量(LD)は、以下の(2)式で表すことができる。
LD=fps×LD …(2)
なお、fpsは、蛍光ガラス線量計読取装置に固有の定数であり、蛍光ガラス線量計読取装置(AGCテクノグラス社製、型番:FGD−660)では、fps=2.2とした。また、蛍光量(LD)は、RPLの減衰時間を超える40μsec〜45μsecの範囲の蛍光強度の積分値とした。
蛍光量(SD)は、(1)式および(2)式を用いて、以下の(3)式で表すことができる。
SD=SAMP−fps×LD …(3)
このようにして、各ガラスについて蛍光量(SD)および蛍光量(LD)を2万回測定し、それぞれの平均値を平均蛍光量(平均SD)および平均蛍光量(平均LD)とした。測定結果を、表1に示す。また、図2に、SiOの含有量を横軸とし、平均蛍光量(平均SD)を縦軸として示したグラフを示す。
なお、蛍光量(SD)の測定において、SAMPから蛍光量(LD)を除去する理由は、蛍光強度の時間分解法を用いることで蛍光(LD)成分を切り分けることができ、放射線被ばくしたガラスにおいてRPLを測定する場合においても同様の方法を用いて蛍光(LD)成分を除去しているためである。
Figure 0006748435
表1および図2に示す測定結果から、SiOの含有量が多くなるにつれて、減衰時間がRPLの減衰時間以下である蛍光(SD)の平均蛍光量(平均SD)が低下し、減衰時間がRPLの減衰時間以下である蛍光(SD)の発生が抑制されることがわかる。従って、SiOの含有量を多くすることにより、RPLの測定精度を向上できることがわかる。
(例11〜例26)
得られたガラスが、酸化物換算(基準)の質量%表示で表2に示す組成を有するように、原料を調整し、混合して、例11〜例26のガラスを作製した。例11〜例26は、本発明の実施例である。なお、例15〜20は例1〜6と同一組成であり、例22は例7と同一組成であり、例24〜26は例8〜10と同一組成である。
[光透過率とRPLの感度比との関係]
例11〜26のガラスについて、波長355nmでの光透過率を測定した。また、RPLの感度比を測定した。
RPLの感度比は、以下のように測定した。まず、測定対象である試験ガラスの試料と標準ガラスの試料を用意し、これらの試料を同時に420℃で3時間加熱してアニーリングした。標準ガラスとしては、感度の標準となるFD−7(線量計用ガラス、AGCテクノグラス株式会社製)を用いた。
次いで、アニーリング後の試験ガラスと標準ガラスの各試料に、同時に、大気雰囲気でγ線(1mGy)を照射した後、100℃で30分間加熱してビルドアップを行った。
ビルドアップ後、試験ガラスと標準ガラスについて、RPLを測定した。測定装置としては、FGD−660(線量計測定装置、AGCテクノグラス株式会社製)を用いた。そして、標準ガラスについてのRPLの測定値を「1」とした場合の、試験ガラスのRPLの測定値を算出し、この値を「感度比」とした。
光透過率の測定は、縦20mm×横20mm×厚さ7mmの両面を光学研磨したガラス試料を作成し、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、装置名:V570)を用いて行った。
波長355nmの光透過率とRPLの感度比の測定結果を、それぞれ表2に示す。また、これらの測定結果を、光透過率を横軸とし、RPLの感度比を縦軸として示したグラフを、図3に示す。
Figure 0006748435
表2および図3に示す測定結果から、波長355nmでの光透過率が高い方がRPLの感度比が高くなることがわかる。そして、ガラスの光透過率(波長355nm)が85%未満では、RPLの感度比が低くなり好ましくなく、光透過率(波長355nm)が85%以上の場合に、十分に高いRPLの感度比を示し、精度の高い測定が可能な蛍光ガラス線量計用ガラスが得られることがわかる。
[Na/P質量比率とRPLの感度比との関係]
例15〜19、例22〜24、および例26のガラスについて、NaOの含有量とPの含有量との質量比(Na/P質量比率)を算出した。算出されたNa/P質量比率の値を、既に測定したRPLの感度比とともに、表3に示す。また、Na/P質量比率を横軸とし、RPLの感度比を縦軸として示したグラフを、図4に示す。
Figure 0006748435
表3および図4から、Na/P質量比率が低い方がRPLの感度比が高くなることがわかる。そして、Na/P質量比率が0.250〜0.260の場合には、高いRPLの感度比を示し、高精度の測定が可能な蛍光ガラス線量計用ガラスが得られることがわかる。
[Cr,Niの含有とRPLの感度比との関係]
例19〜21のガラスについて、NiとCrの含有の有無を湿式化学分析(ICP発光分析装置、島津製作所社製、型式:ICPE−9000)により測定したところ、以下の結果が得られた。
例19のガラス:NiとCrのいずれも含有していない。
例20のガラス:Niを3ppm含有
例21のガラス:Crを2ppm含有
このような例19〜21のガラスについて、Na/P質量比率とRPLの感度比を、波長355nmの光透過率とともに表4に示す。
Figure 0006748435
表4から以下のことがわかる。すなわち、例19〜21のガラスは、ガラス組成およびNa/P質量比率はほぼ同一であるが、微量であってもNiまたはCrを含有する例20および例21のガラスは、NiとCrのいずれの成分も含有しない例19のガラスに比べて、RPLの感度比が低くなっている。このことから、NiとCrの少なくとも一方を含有すると、RPLの感度比が低下するので、より高い感度比を有する蛍光ガラス線量計用ガラスを得るには、CrとNiのいずれの成分も含有しないことが好ましいことがわかる。
(例27〜例28)
得られたガラスが、酸化物換算(基準)の質量%表示で表5に示す組成を有するように、原料を調整し、混合して、例27〜例28のガラスを作製した。なお、例27は実施例であり、例28は比較例である。
[SiOの含有量と化学的耐久性との関係]
例27〜例28のガラスについて、ガラスの化学的耐久性(耐水性)を測定した。ガラスの化学的耐久性は、日本光学硝子工業会規格「光学ガラスの化学的耐久性の測定方法(粉末法)」(JOGIS06−75)に規定された測定方法に基づいて行った。測定結果(減量率)を表5に示す。
Figure 0006748435
表5に示す測定結果より、SiOの含有量が2.5%を超えた場合、減量率が高く、ガラスの化学的耐久性が低いことがわかる。ガラスの化学的耐久性が低い場合、長期間のガラスの使用により、ガラス表面が変質しRPLの測定精度が劣化するおそれがある。これに対し、SiOの含有量が0.3%〜2.5%の範囲である場合、減量率が低く、ガラスの化学的耐久性が高い。これにより、長期間、RPLの測定精度の高い蛍光ガラス線量計用ガラスを得るには、SiOの含有量を所定範囲内とすることが好ましいことがわかる。
本発明の蛍光ガラス線量計用ガラスは、RPL以外の蛍光、特にRPLよりも減衰時間が短い蛍光の発生が抑制されることから、RPLの測定精度を向上させることができる。

Claims (3)

  1. 銀イオンを含有するリン酸塩ガラス(銀活性リン酸塩ガラス)からなり、酸化物換算の質量%表示でSiOを0.3〜2.5%含有し、
    さらに、少なくともPとNaOを含み、NaOとPの含有量の質量比(NaO/P)が、0.240〜0.275であり、
    Cr成分とNi成分を実質的に含有しないことを特徴とする蛍光ガラス線量計用ガラス。
  2. 厚さ7mmにおける波長355nmの光の透過率が85〜92%である請求項1に記載の蛍光ガラス線量計用ガラス。
  3. 酸化物換算の質量%表示で、Pを60〜75%、NaOを11〜22%、Alを10〜17%、AgOを0.02〜0.25%、SiOを0.3〜2.5%、Bを0〜3%、BeOを0〜3%、MgOを0〜3%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光ガラス線量計用ガラス。
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