以下、本発明に係る遊技機の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照し、パチンコ機1の機械的構成について説明する。なお、以下の説明において、パチンコ機1の上下方向、左右方向、及び表裏方向については、特に断りがない場合、遊技盤2の盤面の向きを基準とする。即ち、ホールに設置されたパチンコ機1で遊技を行う遊技者からパチンコ機1を見た向き(図1に示されるパチンコ機1の向き)が基準となる。以下では便宜上、図1紙面の表裏方向をパチンコ機1の前後方向として説明を行う。また、パチンコ機1に使用される装置や部品についても、パチンコ機1に組み付けられた場合の向きを基準に、上下方向、左右方向、及び前後方向を規定するものとする。
図1、図2に示すように、パチンコ機1の上段側には遊技盤2が設けられる。遊技盤2は略正方形であり、透明なガラス板を保持した前面枠10によって前面を保護される。遊技盤2の下段側には上皿5と下皿6が設けられる。上皿5は遊技盤2の下部に設けられ、遊技球発射装置(図示略)に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける。上皿5の上部中央には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられる。本実施形態の操作ボタン9は、平面視略円形である。操作ボタン9は、例えば、大当たり判定の結果を報知する際の演出において、遊技者による操作の入力を受け付ける。下皿6は上皿5の直下に設けられ、上皿5から溢れたり排出されたりする賞品球を受ける。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられる。発射ハンドル7は、遊技者による回転操作を受け付ける。遊技者が発射ハンドル7を操作すると、遊技球発射装置は、発射ハンドル7の回転角度に応じた強度で遊技球を発射する。また、前面枠10の上部で左右の角には、スピーカ48が夫々設けられる。
遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技球発射装置によって発射された遊技球は、遊技領域4内を流下する。遊技領域4の略中央には、LCD(液晶ディスプレイ)等を用いて構成される図柄表示装置28が設けられる。図柄表示装置28は遊技盤2の背面側に配置され、遊技盤2の略中央に設けられた開口を介し、表示画面をパチンコ機1の前面に露出する。表示画面には動画、メッセージ等の様々な映像が表示され、特に、大当り判定の結果を報知するためのデモ図柄が表示される。パチンコ機1は、複数(本実施形態では3つ)のデモ図柄を変動させた後に、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組み合わせを確定表示させる報知演出を実行することで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。
遊技盤2の開口の縁部には装飾等が施され、図柄表示装置28の外縁を取り囲む装飾枠11が設けられる。図柄表示装置28の表示画面は、装飾枠11の開口部を介してパチンコ機1の前面に露出する。装飾枠11には、装飾枠11と共に各種演出を行う複数の演出装置8、100が設けられる。演出装置8、100は装飾枠11内、あるいは装飾枠11と図柄表示装置28との間に配置される。演出装置8、100は、遊技状態に応じ、その場で、あるいは図柄表示装置28の前側にせり出して、LED等の発光体を発光させる等の演出を行う。
そのうちの一つである演出装置100は、装飾枠11の左側部に設けられ、図柄表示装置28の表示画面の左側に配置される。詳細については後述するが、演出装置100は、非演出時には正面から見て装飾枠11の開口部の左側縁部に一部が隠れた位置に配置される。演出装置100は、演出時には顔駆動モータ155(図3参照)の動力を用いて図柄表示装置28の表示画面前にせり出し、LED等の発光体を発光させ、図柄表示装置28及びスピーカ48等と連動しながら様々な演出を行う。
図柄表示装置28の下方には、第一特別図柄始動入賞口15が設けられる。第一特別図柄始動入賞口15の下方には、アウト口14が設けられる。アウト口14は、遊技領域4の中央下端部まで流下した遊技球を回収する。第一特別図柄始動入賞口15の右方には、大入賞口16が配設される。大入賞口16は開閉部材17を備える。遊技球は、開閉部材17が開放された場合にのみ大入賞口16に入賞する。
図柄表示装置28の右方には普通図柄始動ゲート12が設けられる。大入賞口16の右斜め上方には第二特別図柄始動電動役物18が設けられる。第二特別図柄始動電動役物18は開閉部材19を備える。遊技球は、開閉部材19が開放された場合にのみ第二特別図柄始動電動役物18に入賞する。第一特別図柄始動入賞口15、第二特別図柄始動電動役物18に遊技球が入賞すると、夫々所定数の遊技球が賞品球として払い出される。
遊技領域4の右斜め下部には図柄表示部24が設けられる。図柄表示部24は、普通図柄表示部、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄記憶数表示LED、第一特別図柄記憶数表示LED、及び第二特別図柄記憶数表示LEDを備える。
普通図柄記憶数表示LEDは、普通図柄作動保留球数を4つまで表示する。普通図柄作動保留球数とは、普通図柄始動ゲート12を通過し、且つ普通図柄表示部に普通当り判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である。図柄表示部24の第一特別図柄記憶数表示LEDは、第一特別図柄作動保留球数を4つまで表示する。第一特別図柄作動保留球数とは、第一特別図柄始動入賞口15に入賞し、且つ第一大当り判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である。第二特別図柄記憶数表示LEDは、第二特別図柄作動保留球数を4つまで表示する。第二特別図柄作動保留球数とは、第二特別図柄始動電動役物18に入賞し、且つ第二大当り判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である。
図示しないが、遊技盤2の背面側には、各種基板を備えた制御部が設けられる。制御部の各基板は、CPU、RAM、ROM等を備えており、パチンコ機1の各種動作を制御する。例えば、主基板は、普通当たり判定、大当たり判定等を行い、パチンコ機1の主制御を司る。中継基板は、主基板で行われた制御結果に基づいて、大入賞口16を開閉するソレノイドを駆動する。また、演出基板のCPU(図示略)は、演出装置100の動作を担う鼻駆動モータ185と顔駆動モータ155の駆動制御、演出装置100が備える電飾用のLED(図示略)等の発光制御等を行う。
本実施形態では、第一特別図柄始動入賞口15へ遊技球が入賞すると第一大当り判定が行われ、判定の結果に応じて複数の特別図柄のうちの1つが図柄表示部24の第一特別図柄表示部に表示される。その結果、大当たりであると判定されると、大入賞口16が開放される大当たり遊技が実行される。大入賞口16に入賞した遊技球の流路には、特定領域が形成されている。パチンコ機1では、大当たり遊技中に遊技球が大入賞口16内の特定領域を通過することが、大当たり遊技終了後に確率変動状態を生起する条件となっている。なお、遊技盤2の背面側には、遊技の主制御、各種演出等を制御する制御部(図示略)が設けられる。
また、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過すると普通当り判定が行われて、判定結果が図柄表示部24の普通図柄表示部に表示される。その結果、普通当たりであると判定されると、第二特別図柄始動電動役物18の開閉部材19が開放される。第二特別図柄始動電動役物18へ遊技球が入賞すると第二大当り判定が行われ、判定結果は図柄表示部24の第二特別図柄表示部に表示される。その結果、大当たりであると判定されると、上記同様に大当たり遊技が実行される。
次に、演出装置100の構造について説明する。演出装置100は、図柄表示装置28の左側外縁に沿って装飾枠11に設けられる。図3〜図5に示すように、演出装置100は、上下方向に延びる背板110の前面側に、人の横顔を模した顔型演出体120を左右方向に移動可能に設けた装置である。背板110は板状で、上下方向に長く延びる。背板110の上部110Aの前面には中継基板111が設けられる。中継基板111はパチンコ機1の制御部の演出基板と接続し、顔型演出体120の鼻駆動モータ185と演出用LED(図示略)の制御信号を中継する。中継基板111は基板カバー112に囲われて保護される。
背板110の下部110Bには、顔型演出体120を左右方向に移動する顔移動機構150が設けられる。顔移動機構150は、3つの顔ギア151〜153、顔ギアカバー154、顔駆動モータ155、顔ギア押え156を備える。
顔ギア151〜153は、円周の外側に歯を設けた外歯車である。顔ギア151は、背板110の下部110Bの前面左下に配置される。顔ギア151の回転軸151Aには顔駆動モータ155の駆動軸155Aが接続される。顔ギア152は、顔ギア151の右上に配置される。顔ギア152の回転軸152Aは、背板110に保持される。顔ギア152は外径の異なる2つの外歯車を段状に設けた2段ギアであり、大径ギア152Cの前側に小径ギア152Bが形成される。顔ギア151は小径ギア152Bに噛合する。顔ギアカバー154は、背板110の下部110Bの前面に設け、背板110に螺子(図示略)で固定する。顔ギアカバー154は、顔ギア151、152の前側を覆う。顔ギアカバー154は、顔ギア152の回転軸152Aを背板110との間に保持し、顔ギア152の抜けを防止する。顔駆動モータ155はパルスモータである。顔駆動モータ155は顔ギアカバー154の前面に固定し、顔ギアカバー154内に駆動軸155Aを配置する。駆動軸155Aは、顔ギア151の回転軸151Aに設けた穴部に挿入され、螺子で顔ギア151に固定される。顔ギアカバー154の前面左上角部には顔センサ157が設けられる。顔センサ157は、背板110に対して左右方向へ移動する顔型演出体120の原点位置を検出するためのフォトセンサである。顔センサ157は、発光部と受光部が前後方向に並ぶ向きで、顔ギアカバー154に螺子で固定される。
顔ギア153は、顔ギア152の左上に配置される。顔ギア153の回転軸153Aは、背板110に保持される。顔ギア153は、顔ギア152の大径ギア152Cに噛合する。顔ギア153の前面には、前方へ向けて突出する丸棒状の駆動棒153Bが設けられる。駆動棒153Bは顔ギア153のギア歯の近くに設けられ、顔ギア153の回転時に回転軸153Aの周囲を公転する。なお、平面視で回転軸153Aと駆動棒153Bとの間の長さを、便宜上、駆動棒153Bの「公転半径」とする。顔ギア153の背面と背板110の前面には突起状のストッパ(図示略)が設けられ、顔ギア153の回動可能な範囲を制限する。顔ギア153の回動可能な角度範囲は、駆動棒153Bが、回転軸153Aの左方の位置から上方の位置、右方の位置を通り、下方の位置まで移動可能な略270度の範囲である。顔ギア押え156は、顔ギア153の回転軸153Aを背板110との間に保持し、顔ギア153の抜けを防止する。顔ギア押え156は、顔ギアカバー154の上側で背板110前面に固定する。顔ギア押え156は、駆動棒153Bと干渉しないように、顔ギア153の左下側から回転軸153Aを保持する。
背板110は、上部110Aと下部110Bの間の中間部110Cに、2つの左右方向に延びる長穴状の上案内穴113、下案内穴114を有する。上案内穴113は、中間部110Cの上端に形成される。下案内穴114は、中間部110Cの上下方向略中央に形成される。上案内穴113と下案内穴114は、顔型演出体120の左右方向への移動を案内する。上案内穴113と下案内穴114の左右方向の長さは、駆動棒153Bの公転半径の略2倍の長さに相当する。下案内穴114の上には、左右方向に延びる案内レール115が設けられる。案内レール115は、背板110の前面に螺子で固定される。案内レール115は、顔型演出体120の左右方向への移動を案内する。
背板110の前面で、上案内穴113と案内レール115の間には、吸着板116が設けられる。吸着板116は鉄板であり、板面を右方へ向けて背板110に固定される。顔型演出体120が原点位置に位置するとき、吸着板116には顔型演出体120の後面に設けられる磁性体(図示略)が磁力で吸着し、顔型演出体120が原点位置に保持される。
顔型演出体120は、顔支持板130、鼻ギアカバー122、鼻出退機構180、顔カバー121、鼻部160、顎部170を備える。顔支持板130は顔型演出体120の基台であり、板状に形成される。顔支持板130の上部130Aは、正面視略矩形の板体の右上角部が大きく面取りされた略五角形状を有する。上部130Aの後面には4つの固定部135〜138が形成される。固定部135、136は、顔支持板130の上部130Aの上端に左右方向に並んで設けられる。固定部135、136には上スライド棒131、132の前端部が夫々固定される。上スライド棒131、132は、後端部側が夫々顔支持板130の後方へ向けて突出する。固定部137、138は、顔支持板130の上部130Aの下端に左右方向に並んで設けられる。固定部137、138には下スライド棒133、134の前端部が夫々固定される。下スライド棒133、134は、後端部側が夫々顔支持板130の後方へ向けて突出する。
上スライド棒131、132は、背板110の上案内穴113内を前後方向に挿通される。上スライド棒131、132には樹脂性で一対の鍔付きブッシュ139が夫々嵌められる。一対の鍔付きブッシュ139は上案内穴113の前側と後側に夫々係合し、上スライド棒131、132の外周面と上案内穴113の内周面との間に配置される。上スライド棒131、132の後端部に止め輪が嵌められ、上スライド棒131、132と鍔付きブッシュ139は、上案内穴113から抜け止めされる。下スライド棒133、134は、背板110の下案内穴114内を前後方向に挿通される。下スライド棒133、134には樹脂性で一対の鍔付きブッシュ140が夫々嵌められる。一対の鍔付きブッシュ140は下案内穴114の前側と後側に夫々係合し、下スライド棒133、134の外周面と下案内穴114の内周面との間に配置される。下スライド棒133、134の後端部に止め輪が嵌められ、下スライド棒133、134と鍔付きブッシュ140は、下案内穴114から抜け止めされる。上スライド棒131、132が上案内穴113内を案内され、下スライド棒133、134が下案内穴114内を案内されることによって、顔支持板130は、左右方向に移動可能な状態で背板110に保持される。
顔支持板130の後面で固定部137、138の上には、左右方向に延びる溝部141が形成される。溝部141には、背板110の案内レール115が係合する。案内レール115は、顔支持板130が左右方向に移動するとき、顔支持板130の左右方向への円滑な移動を補助する。これにより、顔型演出体120は、左右方向へ移動する際に、がたつくことが抑制される。顔移動機構150によって顔支持板130の上スライド棒131、132が上案内穴113の左端に移動し、下スライド棒133、134が下案内穴114の左端に移動したとき、顔型演出体120は、移動範囲の左端(以下、「顔格納位置」という。)に位置する。顔型演出体120が原点位置に位置することを顔センサ157が検出したとき、顔型演出体120は顔格納位置に位置する。顔移動機構150によって顔支持板130の上スライド棒131、132が上案内穴113の右端に移動し、下スライド棒133、134が下案内穴114の右端に移動したとき、顔型演出体120は、移動範囲の右端(以下、「顔演出位置」という。)に位置する。
図6、図7に示すように、顔支持板130の上部130Aには鼻出退機構180が設けられる。鼻出退機構180は、鼻部160を左右方向に交差する延伸方向に移動するための機構である。鼻出退機構180は、4つの鼻ギア181〜184、鼻ギアカバー122、鼻駆動モータ185、鼻ラックギア186を備える。
鼻ギア181〜184は円周の外側に歯を設けた外歯車である。鼻ギア181は、顔支持板130の上部130A前面で左右方向の略中央且つ上端寄りの位置に配置される。鼻ギア181の回転軸181Aには鼻駆動モータ185の駆動軸185Aが接続される。鼻ギア182は、鼻ギア181の右下に配置される。鼻ギア182の回転軸182Aは、顔支持板130に保持される。鼻ギア182は外径の異なる2つの外歯車を段状に設けた2段ギアであり、大径ギア182Cの前側に小径ギア182Bが形成される。鼻ギア181は小径ギア182Bに噛合する。鼻ギア183は、鼻ギア182の右下に配置される。鼻ギア183の回転軸183Aは、顔支持板130に保持される。鼻ギア183も2段ギアであり、大径ギア183Cの前側に小径ギア183Bが形成される。鼻ギア182の大径ギア182Cは、小径ギア183Bに噛合する。鼻ギア184は、鼻ギア183の右下に配置される。鼻ギア184の回転軸184Aは、螺子止めによって、顔支持板130から抜け止めされる。鼻ギア184は、鼻ギア183の大径ギア183Cに噛合する。
鼻ギアカバー122は、顔支持板130の上部130Aと中間部130Cの前面に設け、顔支持板130に螺子(図示略)で固定する。鼻ギアカバー122は、鼻ギア181〜183と鼻部160(後述)の前側を覆う。鼻ギアカバー122は、鼻ギア182、183の回転軸182A、183Aを夫々顔支持板130との間に保持し、鼻ギア182、183の抜けを防止する。鼻駆動モータ185はパルスモータである。鼻駆動モータ185は鼻ギアカバー122の前面に固定し、鼻ギアカバー122内に駆動軸185Aを配置する。駆動軸185Aは、鼻ギア181の回転軸181Aに設けた穴部に挿入され、螺子で鼻ギア181に固定される。鼻ギアカバー122の前面下部には、背板110の中継基板111とハーネス(図示略)を介して接続する電飾基板123が設けられる。電飾基板123は更にハーネス(図示略)を介し、鼻部160内に設けられる電飾基板(図示略)とも接続される。
顔支持板130の中間部130Cは左右方向に長く、上部130Aよりも右側に突出する。中間部130Cには、顔支持板130を前後方向に貫通し、左右方向に対して斜めに延びる長穴状の鼻案内穴142が形成される。鼻案内穴142は左右方向に交差し、左端部が右端部よりも上方に位置する所定の延伸方向に延びる。鼻ラックギア186は長細く延びる板状のギアである。鼻ラックギア186は鼻案内穴142の前に配置される。鼻ラックギア186は、延伸方向に長手方向を沿わせ、前後方向に厚みが配置される。鼻ラックギア186の後面には一対の樹脂性の鍔付きブッシュ187が配置され、夫々螺子で鼻ラックギア186に固定される。鍔付きブッシュ187は鼻案内穴142に係合する。従って鼻ラックギア186は、鼻案内穴142に沿って延伸方向に移動可能である。鼻ラックギア186の歯は上側側面に設けられ、延伸方向に沿って直線状に並ぶ。鼻ラックギア186は、鼻ギア184に噛合する。故に鼻駆動モータ185が駆動して鼻ギア181が回転すると、鼻ギア182〜184が従動して回転し、鼻ラックギア186は延伸方向に移動する。
顔カバー121は、右側を向く人の横顔を模した装飾体であり、顔支持板130と鼻ギアカバー122の前面に螺子で固定される。顔カバー121は、顔支持板130と、顔支持板130の前面に設けられた鼻出退機構180を覆い隠す。顔型演出体120は、鼻部160と顎部170を備える。鼻部160は、右側を向く人の鼻を模した装飾体である。顎部170は、右側を向く人の顎を模した装飾体である。鼻部160と顎部170は、顔カバー121とは別体に形成される。
鼻部160は延伸方向に延び、鼻ラックギア186の前面に螺子で固定される。即ち鼻部160は、鼻出退機構180によって延伸方向に移動可能に設けられる。鼻部160は、延伸方向に移動可能に移動することで、顔型演出体120の鼻部分の伸び縮みを演出する。鼻部160は光透過部材で形成され、演出時、顔カバー121の右方に伸び出した状態となり、鼻部160内の電飾基板に設けられる電飾用LEDの光を透過し、発光による演出を行う。
図3、図4に示すように、鼻部160の先端部161は、人の鼻頭を模した装飾部分である。鼻出退機構180によって鼻ラックギア186の鍔付きブッシュ187が鼻案内穴142の左端に移動したとき、鼻部160は移動範囲の左端(以下、「鼻格納位置」という。)に位置する。このとき、鼻部160の先端部161は顔カバー121の右側に露出し、基端部162と本体部163は、顔カバー121の後ろに隠蔽される。鼻出退機構180によって鼻ラックギア186の鍔付きブッシュ187が鼻案内穴142の右端に移動したとき、鼻部160は移動範囲の右端(以下、「鼻演出位置」という。)に位置する。鼻演出位置は、鼻格納位置よりも右側且つ下側に位置する。このとき、鼻部160の先端部161と本体部163は顔カバー121の右側に露出し(図9参照)、図柄表示装置28の前方に配置される。基端部162は、顔カバー121の後ろに隠蔽される。鼻部160の基端部162と本体部163が延伸方向に沿って延びるのに対し、先端部161は本体部163に対して屈曲し、右方向に延びる。基端部162と本体部163が延伸方向に延びる長さL2は、顔カバー121の鼻部160を設けた位置に対応する部分における左右方向の長さL0よりも長い(図9参照)。
図4、図6に示すように、鼻部160の基端部162には、遮蔽板164が設けられる。遮蔽板164は略矩形の鉄板であり、板面を前後方向へ向け、基端部162に螺子で固定される。鼻ギアカバー122の後面には、鼻センサ124が設けられる。鼻センサ124は、顔支持板130に対して延伸方向へ移動する鼻部160の原点位置を検出するためのフォトセンサである。鼻ギアカバー122を顔支持板130に固定したとき、鼻センサ124は、顔支持板130の上部130A下端に設けた固定部137、138の前側に位置する。鼻センサ124は、発光部と受光部が前後方向に並ぶ向きで、鼻ギアカバー122に螺子で固定される。鼻センサ124は、顔支持板130に対して延伸方向へ移動する鼻部160の原点位置を検出する。鼻部160の遮蔽板164は、鼻部160が移動範囲の左端に移動したとき、鼻センサ124の発光部と受光部の間に位置する。鼻部160が原点位置に位置することを鼻センサ124が検出したとき、鼻部160は鼻格納位置に位置する。
図7に示すように、顔支持板130の下部130Bは、中間部130Cの左下部分から下方へ突出する。下部130Bには、顔支持板130を前後方向に貫通する長穴状の溝カム145が形成される。溝カム145は、直線状に延びる延伸部145Aと、円弧状に屈曲して延びる屈曲部145Bを有する。延伸部145Aは溝カム145の上側部分であり、上下方向に延びる。屈曲部145Bは溝カム145の下側部分であり、延伸部145Aの下端から左方へ屈曲しながら下方へ延びる。溝カム145には、顔支持板130の後側に配置される顔移動機構150の顔ギア153に設けられた駆動棒153Bが係合する。溝カム145の幅は、駆動棒153Bの直径よりも若干大きい。延伸部145Aは、駆動棒153Bの公転半径に相当する長さ分、上下方向に延びる。延伸部145Aは、顔型演出体120の左右方向への移動時に作用する部分である。屈曲部145Bは、駆動棒153Bの公転半径に相当する曲率半径で、略90度の円弧状に屈曲する。屈曲部145Bは、顎部170の回動時に作用する部分である。
溝カム145の左側には、遮蔽部材143が螺子止めされる。遮蔽部材143は、下端部に、略矩形の板状の遮蔽部143Aを備える。遮蔽部143Aは板面を前後方向へ向け、顔支持板130の前面よりも前方に突出した位置に設けられる。遮蔽部143Aは、顔型演出体120が移動範囲の左端に移動したとき、顔センサ157の発光部と受光部の間に位置する(図4参照)。
溝カム145の延伸部145A右側には、前方へ延びる支持軸146が設けられる。支持軸146は、顎部170を回動可能に支持する軸体である。後述するが、顎部170は、顔移動機構150の駆動によって接近位置と離間位置との間で回動する。顎部170は、顔カバー121の右下側に配置される。顎部170は、右端部170Aが上下方向に移動することで、顔型演出体120の口部分の開閉を演出する。
顎部170は、正面視、上端が左右方向に延びる底辺をなす略逆三角形状であり、左端部に軸支え部171を備える。軸支え部171は前後方向に貫通する貫通穴171Aを有する。貫通穴171Aには顔支持板130の支持軸146が挿通される。軸支え部171の前側と後側には、樹脂性で一対の鍔付きブッシュ172が設けられる。一対の鍔付きブッシュ172は貫通穴171Aの前側と後側に夫々係合し、支持軸146の外周面と貫通穴171Aの内周面との間に配置される。後側の鍔付きブッシュ172と顔支持板130の前面との間には、捻りばね173が設けられる。捻りばね173は支持軸146を挿通して配置され、一端が顔支持板130に係合し、他端が顎部170に係合する。一対の鍔付きブッシュ172、軸支え部171、捻りばね173は、螺子止めによって、支持軸146から抜け止めされる。捻りばね173は、顎部170を、正面視反時計回りに回動する向きに付勢し、顎部170の右端部170Aを上方へ移動する。顎部170は、上面に樹脂性のパッド170Cを備える(図5参照)。顎部170は、顔カバー121の右側下端にパッド170Cが当接し、反時計回りの回動が規制される。パッド170Cが顔カバー121に当接し、右端部170Aが顔カバー121の右側下端に近づくときの顎部170の回動位置を、「接近位置」という。
顎部170の後面には、後方へ突出する突出部170Bが設けられる。突出部170Bは、顎部170の左右方向略中央よりもやや左側に設けられる。顎部170が顔カバー121に当接する状態で、突出部170Bは軸支え部171の貫通穴171Aの右下方に位置する。突出部170Bにはリンク部材174が係合する。リンク部材174は棒状に延び、一端部に、前後方向に貫通する円形の貫通穴174Bを有し、他端部に、前後方向に貫通する長穴状のカム穴174Aを有する。カム穴174Aは、リンク部材174の延びる方向に長く延びる。突出部170Bは、カム穴174Aに係合する。貫通穴174Bには顔ギア153の駆動棒153Bが挿通される。
駆動棒153Bは、樹脂性の鍔付きブッシュ175を介し、溝カム145を挿通して顔支持板130の前側に突出する。鍔付きブッシュ175は溝カム145の後側に係合し、駆動棒153Bの外周面と溝カム145の内周面との間に配置される。駆動棒153Bの前端部は、貫通穴174Bを介してリンク部材174の前側に突出する。駆動棒153Bの前端部に止め輪が嵌められ、駆動棒153Bと鍔付きブッシュ175は、リンク部材174と溝カム145から抜け止めされる。駆動棒153Bが溝カム145に沿って屈曲部145B左下の端部へ移動するとき、リンク部材174は顎部170の突出部170Bを左下方に引き寄せる。顎部170は、右端部170Aが顔カバー121の右側下端から下方へ遠ざかる位置(以下、「離間位置」という。)に回動する。
次に、図4、図8〜図11を参照し、演出装置100の動作について説明する。図4に示すように、非演出時、演出基板のCPUは、顔型演出体120を顔格納位置に配置し、鼻部160を鼻格納位置に配置する。顔型演出体120が顔格納位置にある場合、顔センサ157は遮蔽部143Aを検出した状態である。このとき、顔ギア153の駆動棒153Bは、回転軸153Aの左方に位置する。鼻部160が鼻格納位置にある場合、鼻センサ124は遮蔽板164を検出した状態である。
非演出時に顔型演出体120が顔格納位置になければ、演出基板のCPUは、顔駆動モータ155の駆動軸155Aを正面視反時計回りに回転する。顔ギア153が反時計回りに回転し、駆動棒153Bが溝カム145の左側内面を左方へ押圧するので、顔型演出体120は左方へ移動する。顔センサ157が遮蔽部143Aを検出したとき、演出基板のCPUは、顔駆動モータ155の駆動を停止する。駆動棒153Bは回転軸153Aの左方に位置し、顔型演出体120は顔格納位置(顔型演出体120の原点位置)に位置する。
また、非演出時に鼻部160が鼻格納位置になければ、演出基板のCPUは、鼻駆動モータ185の駆動軸185Aを正面視反時計回りに回転する。鼻ギア184が時計回りに回転し、鼻ラックギア186が延伸方向に沿って左上方へ移動するので、鼻部160は延伸方向に沿って左上方へ移動する。鼻センサ124が遮蔽板164を検出したとき、演出基板のCPUは、鼻駆動モータ185の駆動を停止する。鼻部160は、鼻格納位置(鼻部160の原点位置)に位置する。
図8に示すように、演出時、演出基板のCPUは、顔駆動モータ155の駆動軸155Aを正面視時計回りに回転する。顔ギア153が時計回りに回転し、駆動棒153Bは、回転軸153Aの左方に位置する状態から時計回りに回転軸153Aの周囲を円弧状に180度分移動する。この間、駆動棒153Bは、溝カム145の延伸部145Aに位置する。
駆動棒153Bは、回転軸153Aの左方から上方を通り右方に移動する間、公転半径に相当する長さを上下方向に移動し、且つ公転半径の2倍に相当する長さを右方向に移動する。溝カム145の延伸部145Aが上下方向に延びるので、駆動棒153Bは、上下方向の移動においては、溝カム145内面に当接せずに移動することができる。駆動棒153Bは、右方向への移動において、溝カム145の右側内面を右方へ押圧する。駆動棒153Bは溝カム145を介して顔型演出体120に顔駆動モータ155の駆動力を伝達する。駆動棒153Bが回転軸153Aの右方に移動したとき、顔型演出体120は、顔格納位置から、駆動棒153Bの公転半径の2倍に相当する長さ分、右方へ移動し、顔演出位置に位置する。演出基板のCPUが、顔駆動モータ155の駆動軸155Aを回転するステップ数は、顔型演出体120が原点位置に位置するときの顔ギア153の向きを0度とし、顔ギア153が時計回りに180度回転する分に相当するステップ数である。
顔型演出体120が顔格納位置から顔演出位置へ移動するとき、顎部170も公転半径の2倍に相当する長さ分、右方へ移動する。故に、駆動棒153Bと顎部170の突出部170Bとの間の左右方向における距離は変化しない。しかし駆動棒153Bは、公転半径分、上下方向にも移動するので、駆動棒153Bと突出部170Bとの間の距離は、僅かに変化する。リンク部材174のカム穴174Aは、駆動棒153Bと突出部170Bとの間の距離の変化に応じた長さを有する。故に突出部170Bは、顔型演出体120が移動する間、リンク部材174のカム穴174A内を移動し、顔駆動モータ155の駆動力を顎部170に伝達しない。
図9に示すように、顔型演出体120の鼻部分を伸ばす演出を行う場合、演出基板のCPUは、鼻駆動モータ185の駆動軸185Aを正面視時計回りに回転する。鼻ギア184が反時計回りに回転し、鼻ラックギア186が鼻案内穴142に案内されて延伸方向に沿って右下方へ移動するので、鼻部160は延伸方向に沿って右下方へ移動する。演出基板のCPUは、鼻駆動モータ185の駆動を制御し、駆動軸185Aを予め決められたステップ数回転することで、鼻部160を鼻格納位置から鼻演出位置に移動する。
本実施形態の鼻部160は、延伸方向に移動することによって、左右方向に移動する場合と比べ、より長く延びる構成にすることができる。例えば、図中二点鎖線で示すように、鼻部260は、仮に、鼻格納位置と鼻演出位置との間を左右方向に移動する構成であるものとする。この場合、鼻部260の基端部262と本体部263は、左右方向に長さL1延びる。長さL1が、顔カバー121の鼻部260を設けた位置に対応する部分の左右方向の長さL0以下であれば、鼻部260が鼻格納位置にあるとき、基端部262と本体部263は顔カバー121の後ろに隠蔽される。これに対し、本実施形態の鼻部160の基端部162と本体部163は、延伸方向に長さL2延びる。延伸方向は左右方向に対して交差するため、基端部162と本体部163の左右方向の長さL3は、長さL2より短い。基端部162と本体部163の延伸方向の長さL2は、顔カバー121の鼻部160を設けた位置に対応する部分の左右方向の長さL0よりも長い。長さL2が長さL0より長くても、長さL3が長さL0以下であれば、鼻部160が鼻格納位置にあるとき、基端部162と本体部163を顔カバー121の後ろに隠蔽することができる。故に、鼻部160の左右方向の長さL3と、鼻部260の左右方向の長さL1が、仮に、同じ長さである場合、鼻部160の延伸方向の長さL2は、鼻部260の左右方向の長さL1よりも長くすることができる。
このように演出装置100は、鼻部160が鼻演出位置に移動したとき、鼻部160の延伸方向の長さL2が、顔カバー121の左右方向の長さL0から予想される長さよりも長いと遊技者に感じさせることができる。また、鼻部160の先端部161が左右方向に延びる構成であるので、演出装置100は、鼻部160の移動方向が左右方向であると誤認させることができる。故に演出装置100は、鼻部160の延伸方向の長さL2が、顔カバー121の左右方向の長さL0以下であると遊技者に錯覚させることができる。
図10、図11に示すように、顔型演出体120の口部分を開閉する演出を行う場合、演出基板のCPUは、顔型演出体120が顔演出位置にある状態で、顔駆動モータ155の駆動を制御する。この演出において、演出基板のCPUが、顔駆動モータ155の駆動軸155Aを回転するステップ数は、顔ギア153の向きが180度から270度の範囲で回転する分に相当するステップ数である。
口部分を開く演出を行う場合、演出基板のCPUは、顔駆動モータ155の駆動軸155Aを正面視時計回りに回転する。顔ギア153が180度から270度の範囲で時計回りに回転し、駆動棒153Bは、回転軸153Aの右方に位置する状態から時計回りに回転軸153Aの周囲を円弧状に移動する。即ち、駆動棒153Bは、下方且つ左方に移動する。この間、駆動棒153Bは、溝カム145の屈曲部145Bに位置する。屈曲部145Bは、顔ギア153が180度から270度の範囲で回転するときに駆動棒153Bが移動する軌跡に沿って、駆動棒153Bの公転半径に相当する曲率半径で屈曲する。故に駆動棒153Bは、溝カム145内面に当接せずに移動することができる。即ち駆動棒153Bと溝カム145は、顔型演出体120に顔駆動モータ155の駆動力を伝達しない。よって、口部分を開閉する演出が行われる間、顔型演出体120は顔演出位置から動かず静止する。
図10に示すように、駆動棒153Bと顎部170の突出部170Bとの間の長さが、貫通穴174Bとカム穴174Aとの間の最大長さ以下であるうちは、突出部170Bはカム穴174A内を移動する。即ち突出部170Bは、カム穴174Aの貫通穴174Bから遠い側の縁部から離れて位置する。突出部170Bとリンク部材174は、顔駆動モータ155の駆動力を顎部170に伝達しない。顎部170は接近位置に位置し、捻りばね173の付勢によってパッド170Cが顔カバー121に当接した状態が維持され、回動しない。
図11に示すように、駆動棒153Bと顎部170の突出部170Bとの間の長さが、貫通穴174Bとカム穴174Aとの間の最大長さより長くなると、突出部170Bはカム穴174Aの貫通穴174Bから遠い側の縁部に当接する。故に突出部170Bとリンク部材174は、顔駆動モータ155の駆動力を顎部170に伝達する。駆動棒153Bが下方且つ左方に移動するので、リンク部材174は、突出部170Bを左下方に引き寄せる。軸支え部171の右下方に位置する突出部170Bが左下方に移動することによって、顎部170は軸支え部171を中心に正面視時計回りに接近位置から離間位置へ向けて回動する。顔型演出体120は、口部分を開く。捻りばね173の付勢によって、突出部170Bがカム穴174Aの端部に当接した状態が維持されるので、顎部170は揺動しない。
口部分を閉じる演出を行う場合、演出基板のCPUは、顔駆動モータ155の駆動軸155Aを正面視反時計回りに回転する。顔ギア153が180度から270度の範囲で反時計回りに回転し、駆動棒153Bは、上方且つ右方に移動する。リンク部材174は、上方且つ右方へ移動する。顎部170は、捻りばね173の付勢によって、突出部170Bがカム穴174Aの端部に当接した状態を維持する。故に顎部170は、リンク部材174の移動に伴い、軸支え部171を中心に正面視反時計回りに離間位置から接近位置へ向けて回動する。顔型演出体120は、口部分を閉じる。このように、演出基板のCPUは、顔駆動モータ155の駆動を制御して、顔型演出体120の口部分を開閉する演出を行うことができる。
以上説明したように、鼻部160の基端部162と本体部163の長さL2は、顔カバー121の左右方向の長さL0より長い。仮に、顔型演出体120が鼻部160の延伸方向を左右方向と一致させた鼻部260を保持した場合、鼻部260が鼻格納位置に位置するとき、顔型演出体120は顔カバー121の左右方向の長さL0の範囲内に完全に鼻部260の基端部262と本体部263を格納することができない。鼻部160は延伸方向が左右方向と交差する状態で顔型演出体120に保持される。故に演出装置100は、鼻部160が鼻格納位置から鼻演出位置に移動する過程で、顔型演出体120から、顔カバー121の左右方向の長さよりも長く伸び出す鼻部160をみせて、遊技者に驚きを与えることができる。また、鼻部160は顔型演出体120の左右方向の長さよりも長く伸びることで、演出時に図柄表示装置28の前方に露出される部分が増えるので、遊技者に対し鼻部160による演出の迫力を十分に伝えることができる。
鼻部160が鼻演出位置に移動し、且つ顔型演出体120が顔演出位置に移動すれば、演出時に図柄表示装置28の前方に露出される部分が更に増えるので、遊技者に対し鼻部160による演出の迫力を更に十分に伝えることができる。
演出装置100は、鼻格納位置から鼻演出位置に移動するとき、移動方向の成分として上方から下方へ移動する成分を有するので、鼻出退機構180にかかる負荷が軽減される。故に演出装置100は、左右方向に移動する場合よりも速く、鼻格納位置から鼻演出位置に移動することができ、遊技者に対し鼻部160の露出時の動作による迫力を伝えることができる。
鼻部160が鼻格納位置に位置するとき、顔カバー121から露出する先端部161は、左右方向に延びる。鼻部160が顔型演出体120から伸び出す場合、遊技者は、先端部161の位置から左右方向に移動するものとして想像しがちであり、顔型演出体120の左右方向の長さから、鼻部160が伸び出す長さを予測する。しかし、鼻部160は先端部161の位置から斜め下方へ移動し、且つ顔型演出体120の左右方向の長さよりも長く伸び出すことができるので、遊技者に、予想と異なることによる驚きを与えることができる。
鼻部160は、演出のため、光透過部材を用いて形成される。遮蔽板164を鼻部160と一体に光透過部材を用いて形成した場合、検出光が遮蔽板164を透過するため、鼻センサ124は遮蔽板164を検出しにくい。遮蔽板164を板金によって形成することで、検出光を確実に遮り、鼻センサ124による検出ができる。また、板金からなる遮蔽板164は、より小さく形成しても十分な剛性を得られる。故に遮蔽板164は、小さく形成されることで重量を減らして鼻出退機構180にかかる負荷を軽減しつつも、基端部162への固定を確実且つ容易に行うことができる。
本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは言うまでもない。鼻部160の鼻演出位置は鼻格納位置の右下方に位置したが、右上方に位置してもよいし、左上方又は左下方に位置してもよい。鼻部160の本体部163が延伸方向に延びるのに対し、先端部161は左右方向に延びたが、先端部161も延伸方向に延びてもよい。
延伸方向は、左右方向に対して−45度以上45度以下で交差すればよい。しかしながら、延伸方向が左右方向に対して交差する角度は、望ましくは、5度以上10度以下がよい。交差角度が10度より大きいと、鼻部160の延伸方向の長さL2と顔カバー121の左右方向の長さL0との差が大きい。故に遊技者は、鼻部160がもともと斜めに顔カバー121内に納まっており、長く伸びるのは当然であると感じる可能性がある。交差角度が5度より小さいと、鼻部160の延伸方向の長さL2と顔カバー121の左右方向の長さL0との差が小さい。故に遊技者は、鼻部160の伸び出す長さが予想と変わらないと感じる可能性がある。
本実施形態では、顔型演出体120が顔演出位置に位置する場合に鼻部160が鼻格納位置と鼻演出位置との間で移動する例を説明したが、これに限らない。鼻部160は、顔型演出体120が顔格納位置に位置する場合に移動してもよいし、顔型演出体120が顔格納位置と顔演出位置との間に位置する場合に移動してもよい。また、鼻部160は、鼻格納位置から鼻演出位置に移動する途中で移動を停止して演出を行ってもよいし、鼻格納位置から鼻演出位置に移動する途中で鼻格納位置に戻る演出を行ってもよい。
遮蔽板164は鉄板でなくてもよく、例えば光を通さない樹脂部材で形成してもよい。あるいは、遮蔽板164は、鼻部160と一体に形成し、光を通さない塗料で表面を着色したり、光を通さないシールを表面に貼り付けたりしてもよい。
特許請求の範囲、明細書及び図面に記載される全ての要素(例えば、表示装置、普通電動役物、図柄作動口等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、各要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「表示装置」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、特許請求の範囲等において特定していない限り、何れも当業者であれば極めて容易に考えられる事項であるため、あえて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、本発明に係る権利範囲に含まれることは勿論である。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を有する遊技機を、本実施形態に記載がなされていないことを理由に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施形態から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。
なお、本発明においては、パチンコ機1が「遊技機」に相当する。図柄表示装置28が「図柄表示手段」に相当する。演出装置100が「演出手段」に相当する。鼻部160が「露出手段」に相当する。顔型演出体120が「第一保持手段」に相当する。顔カバー121が「前カバー」に相当する。鼻格納位置が「第一格納位置」に相当する。鼻演出位置が「第一演出位置」に相当する。鼻出退機構180が「第一移動手段」に相当する。背板110が「第二保持手段」に相当する。顔格納位置が「第二格納位置」に相当する。顔演出位置が「第二演出位置」に相当する。顔移動機構150が「第二移動手段」に相当する。鼻センサ124が「検出器」に相当する。