JP6747689B2 - スプロケット用硬化肉盛溶接複合ワイヤおよびスプロケット - Google Patents

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本発明は、焼結鉱を製造する下方吸引式焼結機のスプロケットに肉盛溶接部を形成する際に用いられる溶接用ワイヤおよび肉盛溶接金属に関する。
従来、焼結機のスプロケットにおいては、炭素鋼または低合金鋼に表面焼入れを実施したものが使用されていた。ところが、時間当たりの処理量が増加するとともに生産性が向上したため、焼結機のスプロケットへの負荷が増大し、その結果、スプロケットの摩耗や塑性変形を引き起こしている。
スプロケットの摩耗や塑性変形の進行で歯のプロフィールが崩れると、焼結パレットへの負荷を増大させ、駆動時にスプロケットにより保たれていた焼結パレット間の正常な間隔が維持されなくなり、パレットを駆動させる際にパレットの干渉が発生する。焼結パレットの干渉が発生すると、焼結パレットの側面同士が接触しながらスプロケットで駆動されるため、焼結パレット側面の偏摩耗や焼結パレット底部部品の欠落に繋がる。下方吸引式焼結機において焼結パレット側面の偏摩耗は、漏風を引き起こし生産性低下および歩留まりの低下を招くことになる。また、欠落した部品により焼結機が停止を余儀なくされるため稼働率が低下してしまう。
摩耗や塑性変形に対する対策としては肉盛溶接により製作・補修する技術が開示されている。例えば、特許文献1では各種ロール、ローラーの硬化肉盛に適し、その耐用を向上せしめる高硬度肉盛溶接材料が開示されている。また、非特許文献1には、高合金系の硬化肉盛溶接材料であり母材になる鋼に適用して、耐摩耗性を向上させる高クロム鋳鉄系肉盛材料が開示されている。さらに、非特許文献2では、母材になる鋼に適用して、耐摩耗性を向上させるマルテンサイト系肉盛材料が開示されている。
特開平8−158019号公報
JIS Z3326:1999 硬化肉盛用アーク溶接フラックス入りワイヤ YFCrA JIS Z3326:1999 硬化肉盛用アーク溶接フラックス入りワイヤ YF3B
しかしながら、特許文献1の高硬度肉盛溶接材料はCr,Mo,V,Wなどの炭化物を析出させ非常に高硬度で耐摩耗性、耐塑性変形性を有するものであるが、スプロケットに用いると、溶接割れを内在しやすいことから肉盛部の欠けや割れを生じさせてしまうという問題がある。また肉盛部が高硬度であることから加工が容易ではなく、肉盛溶接後に研削してスプロケットに求められるプロフィールを製作することが困難であるという問題もある。
また、非特許文献1の高クロム鋳鉄系の硬化肉盛材料では、耐摩耗性を改善することはできるが、ビッカース硬さは750を超え、析出炭化物が粗大であるために、スプロケットに求められるプロフィールを製作することが困難であるという問題がある。これに加えてCr炭化物が大きく連なった形態となるため肉盛部に亀裂が発生しやすいことから、肉盛層の欠損によりスプロケットの減肉が進行し、スプロケットのプロフィールが維持できないという問題がある。
さらに、非特許文献2のマルテンサイト系肉盛材では、耐塑性変形性を向上させることは可能だが、十分な耐摩耗性と靱性を有していないことから、やはり、摩耗や欠損が生じスプロケットのプロフィールが維持できないという問題がある。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、耐摩耗性、耐塑性変形性および耐亀裂性に優れるとともに、肉盛溶接後の研削加工でスプロケットのプロフィールを製作することが可能な焼結機のスプロケットに適したスプロケット用硬化肉盛溶接複合ワイヤを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るスプロケット用硬化肉盛溶接複合ワイヤは、低炭素鋼フープ材と充填剤とからなる、下方吸引式焼結機のスプロケット用硬化肉盛溶接複合ワイヤにおいて、上記複合ワイヤが質量%で、C:1.0〜2.5質量%,Ti:3.0〜8.0質量%,Cr:3.0〜8.0質量%,Mo:0.5〜3.0質量%,Ni:0.5〜5.0質量%を含有し、さらにV:0.1〜1.0質量%,Nb:0.4〜2.0質量%のいずれか1種または2種を含有し、残部がFeと、Si:0.3〜1.0質量%およびMn:0.5〜1.5質量%の脱酸剤と、不可避的不純物とからなることを特徴とする。
これによれば、耐摩耗性、耐塑性変形性を有し、さらに耐亀裂性にも優れた、焼結機のスプロケットに適した肉盛溶接複合ワイヤが実現される。
また、本発明は、焼結鉱を製造する下方吸引式焼結機のスプロケットであって、スプロケットの歯に上記の硬化肉盛溶接複合ワイヤが肉盛溶接されている下方吸引式焼結機のスプロケットとして構成してもよい。
これにより、上記の成分を含有する複合ワイヤを肉盛溶接することにより補強されたスプロケット歯面部は高強度で塑性変形を防止し、また優れた耐摩耗性および耐亀裂性を発揮する。
本発明に係るスプロケット用硬化肉盛溶接複合ワイヤによれば、焼結機のスプロケットにおいて塑性変形や摩耗を生じさせ難く、スプロケットを長期間正常な機能を持った状態で駆動させることが可能である。さらに、発明品に係る硬化肉盛溶接複合ワイヤを用いて肉盛溶接を施したスプロケット部分は、ビッカース硬さ750未満であり、析出炭化物は微細であることから、加工が可能であるため、スプロケット歯に求められるプロフィールの製作が可能である。そのため、焼結パレット側面の偏摩耗による漏風が防止され生産性低下および歩留まり低下の抑制を図ることができ、焼結パレット車輪の負荷低減、および底部部品の欠落による焼結機の停止が回避され稼働率低下を防止することができる。
スキンカット部が形成されたスプロケットを示す図である。 肉盛溶接部が形成されたスプロケットを示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る焼結機のスプロケット用硬化肉盛溶接複合ワイヤは、焼結機のスプロケットの歯に肉盛溶接される複合ワイヤである。
焼結機のスプロケットは、下方吸引式焼結機による焼結パレットを駆動もしくは従動させるための部材である。焼結機のスプロケットは、炭素鋼または低合金鋼の材質で形成されている。なお、ここにいう焼結機のスプロケットは、一体化された歯または分割された複数の歯で構成されていてもよい。スプロケットは、焼結パレットを駆動もしくは従動する際に焼結パレットのローラーに接触し面圧が付加される。接触部を減肉(スキンカット)してスプロケットに肉盛代を形成し、この肉盛代に複合ワイヤを肉盛溶接することにより、スプロケットに肉盛溶接部が形成される。その後、肉盛溶接部を研削加工してスプロケット歯のプロフィールを製作する。
本実施形態に係る焼結機のスプロケット用硬化肉盛溶接複合ワイヤは、その組成が質量%で、
C:1.0〜2.5質量%
Ti:3.0〜8.0質量%
Cr:3.0〜8.0質量%
Mo:0.5〜3.0質量%
Ni:0.5〜5.0質量%を含有し、
さらに、
V:0.1〜1.0質量%
Nb:0.4〜2.0質量%のいずれか1種または2種を含有し、
残部がFeと、Si:0.3〜1.0質量%およびMn:0.5〜1.5質量%の脱酸剤と、不可避的不純物とからなるものである。
この複合ワイヤを焼結機のスプロケットに肉盛溶接することで、長寿命の焼結機のスプロケットを得ることができる。
上記各成分の数値範囲は次の理由によるものである。
Cは、Tiと結合することで高硬度のTi炭化物を析出し、耐摩耗性の向上に寄与する元素であるとともに、適量を肉盛溶接金属の基地部に配分させることで基地部の強化に寄与するため、1.0質量%以上を含有させる。一方、肉盛溶接部の耐亀裂性の観点から、2.5質量%を上限とする。Cが質量%で下限を下回ると耐塑性変形性が劣化する、また上限を上回ると硬質化して割れの発生となる。
Tiは、Cと結合して高硬度のTi炭化物を析出し、耐摩耗性の向上に寄与する元素であり、生成されるTiCが高融点であることからTiCは過度に成長し難く、炭化物を微細に析出させることができ、炭化物を起点とする亀裂を抑制する効果があり、また微細に析出する炭化物は加工の抵抗となり難く、加工が容易になる効果もある。Tiが質量%で下限の3.0質量%を下回るとTiCの析出が不十分で耐摩耗性を得る事ができず、また上限の8.0質量%を上回るとTiの影響で基地部の軟質化が発生するため、Ti:3.0〜8.0質量%の範囲とする。
Crは、肉盛溶接金属の硬さ、耐摩耗性や塑性変形を上昇させる効果があり、3.0質量%未満ではその効果が不十分であり、8.0質量%を超えると硬質で脆い炭化物を生成し易くなり肉盛溶接部の亀裂生成の要因となるため、Crは質量%でCr:3.0〜8.0質量%の範囲とする。
Moは、基地部の強度および靭性向上に寄与する元素であり、また焼もどし軟化抵抗性を与える成分である。Moは、0.5質量%未満では得られる効果が不十分で、3.0質量%を超えるとその効果が飽和するため、経済性の面を考慮してMo:0.5〜3.0質量%の範囲とする。
Niは、基地部の靭性の向上すなわち耐亀裂性(耐欠損性)に寄与し、Niを適量添加することで、効果的に靭性を強化させ、肉盛溶接金属を欠け難くすることができる。Niの添加量が0.5質量%未満では、十分な特性を発揮することができず、また5.0質量%を超えると優れた耐亀裂性が得られるものの、肉盛溶接部が軟質化し耐塑性変形性が低下するため、Niは質量%でNi:0.5〜5.0質量%の範囲とする。
Vは、Cと結合し炭化物を生成したり、TiとCと結合し複合炭化物を析出することで、基地部の耐摩耗性の向上に寄与する元素である。Vの添加量が0.1質量%未満だと、十分な特性を発揮することができず、また1.0質量%を超えると過度に炭化物が成長して亀裂生成の要因となるため、V:0.1〜1.0質量%とする。
Nbは、炭化物となり、基地部の耐摩耗性の向上に寄与する元素である。Nbの添加量が0.4質量%未満だと、十分な特性を発揮することができず、2.0質量%を超えると過度に炭化物が成長して亀裂生成の要因となるため、Nb:0.4〜2.0質量%とする。
なお、VとNbは、少なくともいずれか1種が含有されていれば足りる。
また、SiおよびMnの脱酸剤は、溶融金属中に生成した酸素と反応し、肉盛溶接金属中から酸素を取り除くためのものであり、それぞれの好ましい含有量はSi:0.3〜1.0質量%、Mn:0.5〜1.5質量%である。
これらの成分を含有する複合ワイヤを肉盛溶接して補強を施した焼結機のスプロケットは、耐摩耗性、耐塑性変形性を有し、さらに耐亀裂性にも優れたものとなり、一般的な高クロム鋳鉄系やマルテンサイト系硬化肉盛複合ワイヤで肉盛溶接を施したスプロケットと比較し長寿命化を図ることが可能となり、スプロケットの取り替え周期を延ばしてランニングコストに優れた焼結機のスプロケットが実現可能となる。
非特許文献1として提示した複合ワイヤが耐摩耗性を有するのは、Cr炭化物の析出が多量だからである。炭化物の優れた耐摩耗性を有する一方で、亀裂の発生や高硬度になり切削加工が困難なことが欠点となっている。本実施形態の複合ワイヤは、優れた耐摩耗性を有しつつ、亀裂の発生を抑えるとともに切削加工性を確保することを目的として、Ti炭化物であるTiCに着目している。TiCに着目した理由は高融点炭化物であり、かつ、TiCが他の高融点炭化物と比較し安価に製造可能なためである。非特許文献1で発生するCr炭化物と比較して、TiCは融点が高いため結晶粒の成長が冷却過程で早期に止まり微細な炭化物となる。微細な炭化物のため、TiCは非特許文献1にあるCr炭化物と比較し亀裂が発生しにくく、また炭化物が微小で連結されていないため、亀裂が伝播しにくい組織構造となっている。また、微細に析出する炭化物は切削加工の抵抗となり難く、加工が容易になる効果もある。そのため、本実施形態の複合ワイヤは優れた耐摩耗性と耐亀裂性、切削加工性を両立することが可能になっている。
また、本実施形態の複合ワイヤでは、耐塑性変形性について溶接肉盛金属基地部へ適正な量のCを添加し、硬さと機械的強度を満たすことを目標とした。非特許文献2で示されるマルテンサイト系肉盛金属は、基地部であるFeへのC添加は比較的容易であるが、本実施形態の複合ワイヤではこれと同時にTiCを析出させることが必要となる。しかしながら、CはTiの親和力が非常に強く、本実施形態の複合ワイヤが含有しているTiのほとんどがTiCになるため、C量が少ないと基地部にCが添加されず軟質化し、焼結機のスプロケットで使用すると塑性変形が発生する。Cの添加量が多すぎると基地部が過度に硬質化し、亀裂が発生し易くなるとともに、後工程での加工が困難となるためスプロケット形状の精度を得ることができないため、耐塑性変形性を考慮してCの適正量を導き出している。
(実施例)
スプロケット素材に、発明品の肉盛材料で肉盛溶接を行ない、肉盛溶接金属層を形成して評価を行った。
通常スプロケットには、焼入材が使用される。部分補修が必要となった際、従来は非特許文献1の肉盛材や非特許文献2の肉盛材が使用されていた。
図1はスキンカット部が形成されたスプロケットを示す図であり、図2は肉盛溶接を行って肉盛溶接部が形成されたスプロケットを示す図である。スプロケット歯1のスキンカット部2は、歯の全幅に亘って厚さ10mmで形成されており、スプロケットと焼結パレットのローラー接触部に当る。このスキンカット部2に対して、表1に示す肉盛材で厚さ同等の10mmで肉盛溶接を行って肉盛溶接部3を形成した。表1に示す肉盛材A〜Nは、充填剤と低炭素鋼フープとからなり、上記実施形態で列挙した成分を含有する複合ワイヤである。これら14種類のスプロケットを試作し、下方吸引式焼結機のスプロケットに装着した。この時の焼結機条件は、パレット幅5.5m、有効面積660m2、焼結原料厚700mm、パレット速度は4m/分で、生産効率は32t/m2である。なお肉盛材DおよびLは溶接割れ発生のため欠損の恐れがあり、また肉盛材Gはビッカース硬さが大きく低下したため、装着、使用までに至っていない。肉盛を施したスプロケットを設置して減肉量の測定および損傷状況の調査を実施した。減肉量とは、使用期間中に測定した際のスプロケット表面からの減少量最大値である。

表1において、評価基準は従来使用されていた焼入材として実機による評価試験を行い、耐用度を比較した。発明品は、ビッカース硬さ600以上かつ溶接割れ無き事としている。また、表中の減肉状況の評価基準は、従来品が3ヵ月で摩耗、塑性変形が見られるようになることから3ヵ月時点での減肉評価を行い、小:〜3mm,中:3〜10mm,大:10mm〜としている。
焼入材は、従来の炭素鋼に高周波焼入れを施したものであり、硬化層が表層から2mm程度であり硬さが不十分であることから、実機稼働後3ヵ月で摩耗および塑性変形をおこした比較例である。
肉盛材A,B,C,HおよびNは本発明例であり、その他の肉盛材は比較例である。
肉盛材Aは、本発明例で充分な硬さを有しており、実機稼働3ヵ月経過後も減肉量は3mm以下であり塑性変形は見られず、良好な結果が得られた例である。
肉盛材Bは、C添加量およびTi添加量が発明品の下限値の発明例であり、実機稼働3ヵ月経過後も減肉量は3mm以下であり塑性変形は見られず、良好な結果が得られた例である。
肉盛材Cは、C添加量およびTi添加量が発明品の上限値の発明例であり、実機稼働3ヵ月経過後も減肉量は3mm以下であり塑性変形は見られず、良好な結果が得られた例である。
肉盛材Dは、C添加量が発明品の上限値を超えており、基地部に過剰なCが供給されビッカース硬さが上昇し、かつ溶接割れが発生したことから、実機使用に至らなかった比較例である。
肉盛材Eは、C添加量が発明品の下限値を下回り、肉盛溶接部が軟質化した比較例であり、実機として使用するも稼働直後から塑性変形が発生し、実機稼働後3ヵ月で交換に至った例である。
肉盛材Fは、Ti添加量が発明品の下限値を下回り、充分なTiCが析出せずに摩耗による歯面の減肉が進行した比較例であり、ビッカース硬さは満たすも耐摩耗性が発明品と比較し劣る例である。
肉盛材Gは、Ti添加量が発明品の上限値を超えており、Cに対するTiの割合が多く基地部に十分なCが供給されず軟質化し、実機使用に至らなかった比較例である。
肉盛材Hは、VおよびNbを添加した発明例であり、実機稼働後3ヵ月経過後、摩耗や塑性変形はほぼ見られず、非常に良好な結果が得られた例である。
肉盛材Iは、Niの添加量が発明品の上限値を超えた比較例であり、Ni添加で肉盛溶接部の軟質化により、歯面に摩耗および塑性変形が発生した例である。
肉盛材Jは、Niの添加量が発明品の下限値を下回り、充分な耐亀裂性が得られず、実機稼働後に歯面の亀裂や欠損が発生した比較例である。
肉盛材Kは、Crの添加量が発明品の下限値を下回り、肉盛部に充分なビッカース硬さが得られず、歯面に摩耗および塑性変形が発生した比較例である。
肉盛材Lは、Crの添加量が発明品の上限値を上回り、肉盛部のビッカース硬さが上昇し、かつ溶接割れが発生したことから、実機使用に至らなかった比較例である。
肉盛材Mは、Moの添加量が下限を下回り、充分な耐亀裂性が得られず、実機稼働後に歯面の亀裂や欠損が発生した比較例である。
肉盛材Nは、Nbを添加した発明例であり実機稼働後3ヵ月経過後、摩耗や塑性変形はほぼ見られず、非常に良好な結果が得られた例である。
肉盛材Oは、非特許文献1の高クロム鋳鉄系の材料で、溶接割れおよび研削加工時に欠損が発生し、スプロケットプロフィール形成が出来ず、実機使用に至らなかった比較例である。
この試験結果から、素材形状のスプロケットに肉盛溶接して肉盛溶接金属を形成した発明品は、経済面から塑性変形を防止しかつ耐摩耗性に優れていることがわかる。一焼結設備にスプロケットが複数設置され、スプロケットは多数の歯から構成されていることに鑑みれば、このスプロケットを採用することにより、スプロケットそのものだけでなく入れ替えコストの低減を図ることができるので、多大な経済的効果をもたらすことも期待できる。
本発明は、製鉄所における製銑工程に供する焼結鉱を製造する焼結機のスプロケット歯面に用いる硬化肉盛溶接材料として有用である。
1 スプロケット歯
2 スキンカット部
3 肉盛溶接部

Claims (2)

  1. 低炭素鋼フープ材と充填剤とからなる、下方吸引式焼結機のスプロケット用硬化肉盛溶接複合ワイヤにおいて、
    上記複合ワイヤが質量%で、
    C:1.0〜2.5質量%
    Ti:3.0〜8.0質量%
    Cr:3.0〜8.0質量%
    Mo:0.5〜3.0質量%
    Ni:0.5〜5.0質量%を含有し、
    さらに、
    V:0.1〜1.0質量%
    Nb:0.4〜2.0質量%のいずれか1種または2種を含有し、
    残部がFeと、Si:0.3〜1.0質量%およびMn:0.5〜1.5質量%の脱酸剤と、不可避的不純物とからなる
    ことを特徴とする焼結機のスプロケット用硬化肉盛溶接複合ワイヤ。
  2. 焼結鉱を製造する下方吸引式焼結機のスプロケットであって、
    スプロケットの歯に硬化肉盛溶接複合ワイヤが肉盛溶接されており、
    前記硬化肉盛溶接複合ワイヤが質量%で、
    C:1.0〜2.5質量%
    Ti:3.0〜8.0質量%
    Cr:3.0〜8.0質量%
    Mo:0.5〜3.0質量%
    Ni:0.5〜5.0質量%を含有し、
    さらに、
    V:0.1〜1.0質量%
    Nb:0.4〜2.0質量%のいずれか1種または2種を含有し、
    残部がFeと、Si:0.3〜1.0質量%およびMn:0.5〜1.5質量%の脱酸剤と、不可避的不純物とからなる
    ことを特徴とするスプロケット。
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