以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、工程には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
図1は、実施の形態に係る故障診断システム10の構成を示す模式図である。故障診断システム10は、ギヤモータ2で総称されるギヤモータ2a〜2fの異常を検知し、その解析を支援する。なお、故障診断システム10は、例えばチェーンスプロケット、射出成形機、工作機械、産業用ロボットなどのギヤモータ以外の診断対象装置の異常を検知するのに用いられてもよい。
故障診断システム10は、センサ100で総称されるセンサ100a〜100gと、処理ユニット200で総称される処理ユニット200a〜200cと、端末装置300と、を備える。センサ100a〜100gと処理ユニット200とは、ケーブル400で総称されるケーブル400a〜400gにより接続される。処理ユニット200と端末装置300とは有線または無線で接続される。
センサ100a〜100eはそれぞれ、ギヤモータ2a〜2eに取り付けられている。また、センサ100f、100gは、ギヤモータ2fに取り付けられている。なお、ギヤモータ2に取り付けられるセンサ100の数は特に限定されない。
センサ100a、100bはそれぞれ、処理ユニット200a、200bに接続されている。センサ100c〜100gは、処理ユニット200cに接続されている。なお、各処理ユニット200に接続されるセンサ100の数は、各処理ユニット200のセンサ接続チャンネルのチャンネル数の範囲内であればよく、特に限定されない。
センサ100は、本実施の形態では振動センサであり、取り付けられている(すなわち対応する)ギヤモータ2に生じている振動を検知し、振動の大きさを示す振動情報(診断対象情報)を生成して処理ユニット200に送信する。ギヤモータ2におけるセンサ100の取付位置は、異常検知に適した位置を実験やシミュレーション等により定めればよい。
処理ユニット200は、各センサ100から送られた振動情報に基づき、ギヤモータ2に異常が発生しているかを判定する「診断処理」を繰り返し実行し、判定結果を端末装置300に送信する。また、処理ユニット200は、端末装置300からの振動情報の「送信要求」に応じて、センサ100から送られた振動情報を端末装置300に送信する。
端末装置300は、ユーザが操作する情報処理装置である。端末装置300は、各種画面を所定の表示部に表示する。例えば端末装置300は、処理ユニット200による診断処理の判定結果を示す画面を表示部に表示する。ユーザは、表示部に表示された判定結果を確認することにより、ギヤモータ2に異常が発生したことを知ることができる。
図2は、処理ユニット200の機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。以降のブロック図についても同様である。
処理ユニット200は、通信部202と、データ処理部204と、記憶部206と、を含む。
通信部202は、種々の通信プロトコルにしたがってセンサ100および端末装置300との通信処理を実行する。例えば通信部202を介して、データ処理部204が端末装置300とデータを送受する。
記憶部206は、データ処理部204により参照、更新されるデータを記憶する記憶領域である。記憶部206は、診断設定情報保持部230を含む。診断設定情報保持部230は、診断処理に関する設定情報(以下、「診断設定情報」という)を保持する。診断設定情報は、後述する図4の診断設定画面500に入力された各種の設定情報であり、例えば、診断処理間隔、サンプリング周波数、計測時間、ケーブル長などを含む。
データ処理部204は、通信部202から取得されたデータをもとにして各種のデータ処理を実行する。データ処理部204は、診断設定情報取得部210と、診断設定情報設定部212と、診断対象情報取得部214と、異常判定部216と、判定結果送信部218と、診断対象情報送信部220と、を含む。
診断設定情報取得部210は、端末装置300から送信された診断設定情報であって後述する図4の診断設定画面500に入力された診断設定情報を取得する。
診断設定情報設定部212は、診断設定情報取得部210が取得した診断設定情報を設定する、すなわち診断設定情報保持部230に記録する。
診断対象情報取得部214は、各センサ100から、設定された診断処理間隔の度に、設定されたサンプリング周波数で、設定された計測時間の間、振動情報を取得する。
異常判定部216は、第1事前処理部222と、第2事前処理部224と、異常判定処理部226と、を含む。ここで、処理ユニット200cのように、1つの処理ユニット200に複数のセンサ100が接続される場合がある。この場合、センサ100と処理ユニット200とを接続するケーブル400の長さは、センサ100ごとに異なりうる。一方、ケーブル400が長いほどケーブル400を流れる振動情報にノイズが多く乗り、またケーブル400が長いほどケーブル400を流れる振動情報が減衰する。したがってケーブル400の長さがセンサ100ごとに異なると、振動情報に乗るノイズや振動情報の減衰量がセンサ100ごとに異なる。これは、診断処理の精度を低下させるおそれがある。そこで、本実施の形態の異常判定部216は、後述するように第1事前処理部222、第2事前処理部224によって振動情報にフィルタ処理、補正処理を行うことにより、センサ100ごとにケーブル400の長さが異なる場合であっても比較的高い診断処理精度を実現する。
第1事前処理部222および第2事前処理部224は、各センサ100と処理ユニット200との配線距離に応じて、すなわち各センサ100と処理ユニット200とを接続するケーブル(配線)400の長さに応じて、各センサ100から取得した振動情報に対して異なる処理を行う。本実施の形態では、第1事前処理部222および第2事前処理部224は、各センサ100と処理ユニット200とを接続するケーブル400の長さ(以下、「ケーブル長」ともいう)が所定の長さ閾値以上の場合すなわちケーブル400が比較的長い場合と、ケーブル長が長さ閾値未満の場合すなわちケーブル400が比較的短い場合とで、各センサ100から取得した振動情報に対して異なる処理を行う。
第1事前処理部222では、振動情報に対してフィルタ処理を行う。フィルター処理は、例えばローパスフィルタ処理である。例えば第1事前処理部222は、ケーブル長が長さ閾値以上の場合、ケーブル長が長さ閾値未満の場合よりも減衰量を大きくしたフィルタ処理を行う。また例えば第1事前処理部222は、ケーブル長が長さ閾値以上の場合、ケーブル長が長さ閾値未満の場合よりもフィルタ周波数帯域を広くしたフィルタ処理を行う。また例えば第1事前処理部222は、ケーブル長が長さ閾値以上の場合はフィルタ処理を実行し、ケーブル長が長さ閾値未満の場合はフィルタ処理を実行しない、すなわちケーブル長が長さ閾値未満の場合はフィルタ周波数帯域の幅を実質的にゼロにしたフィルタ処理を実行することとしてもよい。第1事前処理部222により、振動情報ごとのノイズの差が緩和される。
第2事前処理部224では、振動情報を増幅させる補正処理を行う。例えば第2事前処理部224は、ケーブル長が長さ閾値以上の場合、ケーブル長が長さ閾値未満の場合よりも増幅ゲインを大きくした補正処理を行う。また例えば第2事前処理部224は、ケーブル長が長さ閾値以上の場合は補正処理を実行し、ケーブル長が長さ閾値未満の場合は補正処理を実行しない、すなわちケーブル長が長さ閾値未満の場合は増幅ゲインを1にした補正処理を行うこととしてもよい。第2事前処理部224により、振動情報ごとの減衰量の差が緩和される。
異常判定処理部226は、フィルタ処理および補正処理された各振動情報に基づき、当該振動情報を検知したセンサ100に対応するギヤモータ2に異常が発生しているか否かを判定する。以下、異常判定処理部226による判定を「異常判定」と呼ぶ。本実施の形態では、異常判定処理部226は、診断設定情報に設定されている診断方法により異常判定する。
診断方法に「ピーク値診断」が設定されている場合、異常判定処理部226は振動情報が示す振動のピーク値の大きさに基づき異常判定する。異常判定処理部226は特に、ピーク値の大きさが異常閾値を超えた場合に異常が発生していると判定する。
診断方法に「実効値診断」が設定されている場合、異常判定処理部226は振動情報が示す振動の実効値の大きさに基づき異常判定する。異常判定処理部226は特に、実効値の大きさが異常閾値を超えた場合に異常が発生していると判定する。
診断方法に「FFT診断」が設定されている場合、異常判定処理部226は振動情報に基づく振動波形に対してFFT(Fast Fourier Transform)を実行し、その結果得られる各周波数の振動成分のうちのある特定の周波数またはある範囲の周波数の振動成分の大きさに基づき異常判定する。異常判定処理部226は特に、対象の振動成分の大きさが異常閾値を超えた場合に異常が発生していると判定する。
診断方法に「H−FFT診断」が設定されている場合、異常判定処理部226は振動情報に基づく振動波形の包絡線に対してFFTを実行し、その結果得られる各周波数の振動成分のうちのある特定の周波数またはある範囲の周波数の振動成分の大きさに基づき異常判定する。異常判定処理部226は特に、対象の振動成分の大きさが異常閾値を超えた場合に異常が発生していると判定する。
以下、異常判定処理部226により異常判定のために振動情報から抽出された値、すなわちピーク値診断におけるピーク値、実効値診断における実効値、FFT診断やH−FFT診断におけるある特定の周波数またはある範囲の周波数の振動成分の大きさを、「評価値」とよぶ。
判定結果送信部218は、異常判定部216による判定結果を、評価値と、その評価値の基となった振動情報を検知したセンサ100が接続されているセンサ接続チャンネルと、異常判定実施日時とともに端末装置300に送信する。
診断対象情報送信部220は、端末装置300から振動情報の送信要求を受信する。診断対象情報送信部220は、送信要求を受信した以降に診断対象情報取得部214が取得した振動情報を端末装置300に送信する。
図3は、端末装置300の機能および構成を示すブロック図である。端末装置300は、通信部302と、U/I(ユーザインタフェース)部304と、データ処理部306と、記憶部308と、を含む。
通信部302は、種々の通信プロトコルにしたがって処理ユニット200との通信処理を実行する。例えば通信部302を介して、データ処理部306が処理ユニット200とデータを送受する。
U/I部304は、ユーザによる操作入力を受け付け、またデータ処理部306からの指示に応じて各種画面を表示部に表示させる。
記憶部308は、データ処理部306により参照、更新されるデータを記憶する記憶領域である。記憶部308は、レイアウト保持部330と、配置情報保持部332と、処理ユニット対応付け保持部334と、センサ対応付け保持部336と、評価値保持部338と、を含む。
データ処理部306は、通信部302およびU/I部304から取得されたデータをもとにして各種のデータ処理を実行する。データ処理部306は、判定結果取得部310と、画面表示制御部312と、診断設定情報送信部314と、レイアウト取得部315と、レイアウト設定部316と、配置設定部318と、対応付け設定部320と、診断対象情報要求部322と、診断対象情報取得部328と、を含む。
画面表示制御部312は、表示部に各種画面を表示させる。画面表示制御部312は特に、診断設定画面500、状態監視画面520、診断結果画面540、診断トレンド画面550、施設レイアウト設定画面560、配置設定画面590、処理ユニット対応付け画面570、センサ対応付け画面580を表示部に表示させる。図4〜13は、これらの画面を示す。図3に加えて、図4〜13も参照して、端末装置300の構成を説明する。
図4は、診断設定画面500を示す。診断設定画面500は、処理ユニット領域501と、センサ領域502と、読出ボタン503と、送信ボタン504と、を含む。処理ユニット領域501は、処理ユニットNo欄505と、処理ユニット名欄506と、IP(Internet Protocol)アドレス欄507と、ポートNo欄508と、を含む。
処理ユニットNo欄505では、処理ユニット200を一意に識別するための識別番号を選択する。本実施の形態では、処理ユニットNo欄505では、1〜16のいずれかの番号を選択できる。つまり、本実施の形態では、1台の端末装置300で最大16台の処理ユニット200を管理できる。
処理ユニット名欄506には、処理ユニット200を識別するための名前を入力する。IPアドレス欄507には、処理ユニット200に割り当てられているまたはこれから割り当てられるべきIPアドレスを入力する。ポートNo欄508には、処理ユニット200が送信要求の受信や振動情報の送信などのために開くポート番号を入力する。
センサ領域502は、表示ch欄509と、センサ名欄510と、計測制御設定領域511と、ケーブル設定領域512と、診断方法設定領域513と、を含む。表示ch欄509では、診断設定するセンサ100が接続されている接続チャンネルを選択する。表示ch欄509では、1〜12のいずれかの番号を選択できる。つまり、本実施の形態では、各処理ユニット200には12のセンサ100を接続できる。センサ名欄510には、センサ100を識別するための名前を入力する。そして、計測制御設定領域511、ケーブル設定領域512および診断方法設定領域513において、当該表示ch欄509およびセンサ名欄510に入力された情報から特定されるセンサ100に関する設定入力が行われる。
計測制御設定領域511は、診断処理間隔514と、サンプリング周波数515と、計測間隔516と、を含む。診断処理間隔514には、診断処理を実行する間隔を入力する。サンプリング周波数515には、処理ユニット200がセンサ100から送られてくる振動情報を取得する頻度が入力される。計測間隔516には、1回の診断処理で診断対象情報取得部214が振動情報を取得する時間を入力する。言い換えると、計測間隔516には、1回の診断処理にどれだけの時間分の振動情報を使用するかを入力する。
ケーブル設定領域512は、ケーブル長517と、ケーブル種別518と、ケーブル径519と、を含む。ケーブル長517には、ケーブル400のケーブル長を入力する。ケーブル種別518では、ケーブル400の種別を選択する。ケーブル径519には、ケーブル400の径を入力する。本実施の形態では、ケーブル種別518を選択すると、ケーブル径519が自動で入力される。なお、ここではケーブル種別およびケーブル径をセンサ100ごとに設定できるものとしているが、一般的に1つの処理ユニット200に接続するケーブルは揃えることが多いため、処理ユニット200ごとに一括でケーブル種別およびケーブル径を設定できるようにしてもよい。
診断方法設定領域513では、処理ユニット200による異常判定の診断方法を設定する。本実施の形態では、ピーク値診断、実効値診断、FFT診断およびH−FFT診断の4つの中から診断方法を選択できる。複数の診断方法を選択してもよい。図4の例ではピーク値診断が選択されている。また、診断方法設定領域513では、異常判定の異常閾値を設定する。
診断設定情報送信部314は、診断設定画面500に入力されている診断設定情報を記憶部308に記録するとともに処理ユニット200に送信する。具体的には、診断設定画面500の送信ボタン504が押されると、診断設定情報送信部314は診断設定画面500に入力されている診断設定情報を、処理ユニットNo欄505に入力されたNoの処理ユニット200に送信する。診断設定情報としては、計測制御設定領域511、ケーブル設定領域512および診断方法設定領域513におい設定入力された情報が、表示ch欄509およびセンサ名欄510に入力された情報から特定されるセンサ100に関する設定情報として送信される。ただし、ケーブル長については、ケーブル長517において入力された数値ではなく、当該ケーブル長が長さ閾値以上か長さ閾値未満かを示す情報が送信される。なお、ケーブル長の数値自体を送信し、処理ユニット200において、ケーブル長が長さ閾値以上か長さ閾値未満かを判定するようにしてもよい。
処理ユニットNo欄505が選択されている状態で読出ボタン503を押すと、対応する処理ユニット200から診断設定情報が読み出されて処理ユニット領域501に表示される。また、表示ch欄509も選択されている状態で読出ボタン503を押すと、対応するセンサ100に関する診断設定情報がセンサ領域502に表示される。
診断設定画面500で入力された診断設定情報にしたがって処理ユニット200は診断処理を実行する。判定結果取得部310は、診断処理を実行した処理ユニット200から送信される判定結果、評価値、接続チャンネルおよび異常判定日時を取得する。判定結果取得部310は、取得した判定結果、評価値、接続チャンネルおよび異常判定日時を、これらの送信元の処理ユニット200の処理ユニットNoとともに評価値保持部338に記録する。
図5は、状態監視画面520を示す。状態監視画面520は、配置画面表示領域521を含む。ここでは、配置画面表示領域521には施設のある部屋が示されている。この部屋は、通路522により第1スペース523、第2スペース524、第3スペース525および第4スペース526の4つのスペースに区画されている。
第2スペース524には、ベルトコンベヤを示すベルトコンベヤ画像527と、ベルトコンベヤを駆動するギヤモータ2aを示すギヤモータ画像528aと、センサ100aを示すセンサ画像529aと、処理ユニット200aを示す処理ユニット画像530aと、が配置されている。
第3スペース525には、ベルトコンベヤを示すベルトコンベヤ画像531と、ベルトコンベヤを駆動するギヤモータ2bを示すギヤモータ画像528bと、センサ100bを示すセンサ画像529bと、処理ユニット200bを示す処理ユニット画像530bと、が配置されている。
第4スペース526には、ベルトコンベヤを示すベルトコンベヤ画像532の画像と、ベルトコンベヤを駆動するギヤモータ2c〜2fを示すギヤモータ画像528c〜528fと、センサ100c〜100gを示すセンサ画像529c〜529gと、処理ユニット200cを示す処理ユニット画像530cと、が配置されている。
配置画面表示領域521の施設レイアウトは後述する施設レイアウト設定画面560において作成されたものであり、施設レイアウト上に配置されているギヤモータ画像528、センサ画像529、処理ユニット画像530は、後述する配置設定画面590において配置されたものである。ギヤモータ画像528、センサ画像529、処理ユニット画像530は、現実のギヤモータ2、センサ100、処理ユニット200の配置を模した形で施設レイアウト上に配置されている。なお、センサ画像529は、取付位置も模した形で施設レイアウト上に配置されている。
状態監視画面520では、判定結果取得部310が取得した判定結果に基づき、異常が発生していると判定されたギヤモータ2を、異常が発生していると判定されていないギヤモータ2と識別可能に報知する。本実施の形態では、異常が発生しているとの判定の基となった振動情報を検知したセンサ100(以下、「異常検知センサ」とよぶ)のセンサ画像529を、他のセンサ100(以下、「非異常検知センサ」とよぶ)のセンサ画像529と識別できる態様で表示することで、対応するギヤモータ2に異常が発生していることを報知する。例えば、異常検知センサのセンサ画像529を非異常検知センサのセンサ画像と異なる色で表示してもよい。
例えばセンサ100fが異常検知センサで他のセンサ100が非異常検知センサの場合、センサ100fのセンサ画像529fを赤色で表示し、他のセンサ100のセンサ画像529を青色で表示してもよい。これにより、センサ100fが取り付けられているギヤモータ2fに異常が発生していることを一目で把握できる。なお、センサ画像529fが赤色で表示され、センサ画像529gが青色で表示されることにより、センサ100fが取り付けられている出力軸側に異常が発生している可能性が高いことも把握できる。
また、状態監視画面520では、異常検知センサが少なくとも1つ接続されている処理ユニット200(以下、「異常検知処理ユニット」とよぶ)の処理ユニット画像530を、異常検知センサが接続されていない処理ユニット200(以下、「非異常検知処理ユニット」とよぶ)の処理ユニット画像530と識別できる態様で表示する。本実施の形態では、異常検知処理ユニットの処理ユニット画像530を赤色で表示し、非異常検知処理ユニットの処理ユニット画像530を緑色で表示する。また、異常検知処理ユニットの処理ユニット画像の近傍には、「異常」の文字と異常検知センサのセンサ名とが表示され、非異常検知処理ユニットの処理ユニット画像の近傍には、「正常」の文字が表示される。
また、状態監視画面520では、稼働していない処理ユニット200と稼働している処理ユニット200とを識別可能に表示する。本実施の形態では、稼働していない処理ユニット200の処理ユニット画像530とその処理ユニット200に接続されているセンサ100のセンサ画像529とを、白色で表示する。また、稼働していない処理ユニット200の処理ユニット画像530の近傍には「OFF」の文字が表示される。
図6、7も、状態監視画面520を示す。状態監視画面520では、配置画面表示領域521においてギヤモータ2が選択されると、選択されたギヤモータ2の詳細情報を表示する。ここでのギヤモータ2の選択は、詳細情報を表示させるギヤモータ2を特定できる選択であればよく、したがって詳細情報を表示させるギヤモータ2のギヤモータ画像を選択する場合に限られず、例えば、後述するように詳細情報を表示させるギヤモータ2に取り付けられているセンサ100のセンサ画像を選択する場合も含まれる。
図6の例では、状態監視画面520においていずれかのセンサ画像529にマウスカーソル533を合わせて選択すると、そのセンサ画像529に対応付けられているセンサ100が検知している振動情報に基づく評価値が、詳細情報として振動情報表示領域534によりポップアップ(重畳)表示される。図6のようにセンサ画像529eにマウスカーソル533を合わせると、センサ画像529eに対応付けられているセンサ100eが検知している振動情報に基づく評価値(ここではピーク値)が、振動情報表示領域534のポップアップ表示により示される。
具体的には、画面表示制御部312は、センサ対応付け保持部336(詳細は後述)を参照して、状態監視画面520において選択されたセンサ画像529に対応するセンサ100が接続されている処理ユニット200の処理ユニットNoおよび接続チャンネルを特定する。そして、画面表示制御部312は、評価値保持部338を参照して、特定した処理ユニットNoおよび接続チャンネルの評価値のうちの異常判定日時が最新の評価値を取得する。画面表示制御部312は、取得した評価値を振動情報表示領域534のポップアップ表示により表示する。
図7の例では、状態監視画面520においていずれかのセンサ画像529を選択して右クリックや特定キーの操作を行うと、ポップアップメニュー535が表示される。図7の例では、ポップアップメニュー535には、「診断トレンド」、「診断設定」が選択肢として表示されている。「診断トレンド」を選択すると診断トレンド画面550(図9で後述)に遷移する。特に、選択したセンサ画像529に対応付けられたセンサ100が検出した振動情報に基づくトレンドグラフがグラフ552(後述)に表示された状態の診断トレンド画面550に遷移する。また、「診断設定」を選択すると診断設定画面500に遷移する。特に、選択したセンサ画像529に対応付けられたセンサ100の診断設定情報が表示された状態(図4の状態)の診断設定画面500に遷移する。
なお、処理ユニット画像530を選択して右クリックや特定キーの操作を行った場合にも、ポップアップメニューが表示されるようにしてもよい。この場合、ポップアップメニューには、例えば「診断結果」が選択肢として表示され、「診断結果」が選択されると、選択された処理ユニット画像530に対応する処理ユニット200の診断結果が表示された状態の診断結果画面540に遷移するようにしてもよい。
図8は、診断結果画面540を示す。診断結果画面540は、処理ユニットNo欄543と、処理ユニット名欄544と、グラフ542と、を含む。処理ユニットNo欄543では、診断結果を表示させる処理ユニットの識別番号を選択する。処理ユニット名欄544には、処理ユニットNo欄543で選択された処理ユニット200の処理ユニット名が表示される。
処理ユニット200が選択されている状態で読出ボタン545を押すとグラフ542が表示される。グラフ542は、処理ユニットNo欄543で選択されている処理ユニット200に接続されている各センサ100が検知している振動情報に基づく評価値を示す。具体的には、画面表示制御部312は、評価値保持部338を参照して、処理ユニットNo欄543で選択されている処理ユニットNoの各接続チャンネルの最新の評価値を取得する。画面表示制御部312は、取得した各接続チャンネルの評価値をグラフ542に表示する。
図8の例では、ピーク値診断の診断結果が表示されている。グラフ542において横軸はセンサ100が接続される処理ユニット200のチャンネルを示す。縦軸はピーク値の大きさを示す。なお、実効値診断の診断結果が表示される場合は縦軸は実効値の大きさを示し、FFT診断またはH−FFT診断の診断結果が表示される場合は縦軸は対象の振動成分の大きさを示す。保存ボタン546を押すと、表示中のグラフ542のデータが端末装置300に保存される。
図9は、診断トレンド画面550を示す。診断トレンド画面550は、処理ユニットNo欄553と、処理ユニット名欄554と、表示ch欄555と、センサ名欄556と、グラフ552と、を含む。処理ユニットNo欄553では、処理ユニット200を管理するための管理番号を選択する。処理ユニット名欄554には、処理ユニットNo欄553で選択された処理ユニット200の処理ユニット名が表示される。表示ch欄555では、評価値のトレンドグラフすなわち評価値の時間経過を表示させるセンサ100が接続されている接続チャンネルを選択する。センサ名欄556には、表示ch欄555で選択されたセンサ100のセンサ名が表示される。
処理ユニット200およびセンサ100が選択されている状態で読出ボタン557を押すとグラフ552が表示される。グラフ552は、処理ユニットNo欄553で選択された処理ユニットNoおよび表示ch欄555で選択された接続チャンネルにより特定されるセンサ100が検知している振動情報に基づく評価値のトレンドグラフを表示する。具体的には、画面表示制御部312は、評価値保持部338を参照して、処理ユニットNo欄553で選択されている処理ユニットNoおよび接続チャンネルの評価値のうち、所定期間(例えば直近30日間)の評価値を取得する。画面表示制御部312は、取得した所定期間の評価値を、グラフ552に表示する。
また、図7に関連して説明したように、状態監視画面520においていずれかのセンサ画像529を選択してポップアップメニュー535を表示させ、表示された選択肢の中から「診断トレンド」を選択した場合には、状態監視画面520から診断トレンド画面550に遷移する。この場合、遷移元の状態監視画面520において選択されたセンサ画像529に対応付けられているセンサ100が検出した振動情報に基づくトレンドグラフがグラフ552に自動で表示される。
具体的には、画面表示制御部312は、センサ対応付け保持部336を参照して、状態監視画面520において選択されたセンサ画像529に対応するセンサ100が接続されている処理ユニット200の処理ユニットNo、処理ユニット名、そのセンサ100が接続されている接続チャンネル、およびセンサ名を取得する。また、画面表示制御部312は、評価値保持部338を参照して、取得した処理ユニットNoおよび接続チャンネルの評価値のうち、所定期間(例えば直近30日間)の評価値を取得する。そして、画面表示制御部312は、図9の診断トレンド画面550の処理ユニットNo欄553、処理ユニット名欄554、表示cn555、センサ名欄556に、取得した処理ユニットNo、処理ユニット名、接続チャンネル、センサ名を表示し、取得した所定期間の評価値をグラフ552に表示する。
図9の例では、ピーク値診断のトレンドグラフが表示されている。グラフ552において横軸は時間を示す。縦軸はピーク値の大きさを示す。なお、実効値診断のトレンドグラフが表示される場合は縦軸は実効値の大きさを示し、FFT診断またはH−FFT診断のトレンドグラフが表示される場合は縦軸は対象の振動成分の大きさを示す。保存ボタン558を押すと、表示中のグラフ552のデータが端末装置300に保存される。
図10は、施設レイアウト設定画面560を示す。施設レイアウト設定画面560は、パーツ領域561と、施設レイアウト表示領域562と、を含む。パーツ領域561には、通路画像、境界(フロア)画像およびコンベア画像が表示されている。パーツ領域561の画像をドラッグアンドドロップ操作により施設レイアウト表示領域562に配置し、適宜拡大縮小することで、施設レイアウトを作成する。
レイアウト取得部315は、施設レイアウト設定画面560において作成された施設レイアウトを取得する。具体的には、レイアウト取得部315は、施設レイアウトの各施設画像の配置とサイズとを示す施設レイアウト情報を取得する。
レイアウト設定部316は、レイアウト取得部315取得した施設レイアウト情報をレイアウト保持部330に記録する。
図11は、配置設定画面590を示す。配置設定画面590は、例えば図10の施設レイアウト設定画面560でOKボタン563が押されると表示される。配置設定画面590では、図10の施設レイアウト設定画面560で作成された施設レイアウト上に、実際の配置を模した形で、ギヤモータ2の配置を設定する。ここでの「ギヤモータ2の配置を設定する」とは、施設レイアウトにおけるギヤモータ2の配置を識別可能に設定することを意味する。したがって、例えば上述の設定は、施設レイアウト上にギヤモータ2を模したギヤモータ画像の配置を設定するものであってもよい。また例えば上述の設定は、ギヤモータ画像の代わりに、センサ100を示すセンサ画像の配置を設定するものであってもよい。センサ100が存在するところには対応するギヤモータ2が存在するため、ギヤモータ画像の代わりにセンサ画像を配置した場合にも、そこにギヤモータ2が配置されていることが識別できるためである。また例えば上述の設定は、ギヤモータ2やセンサ100を模した画像の代わりに、単なる四角枠などの図形の画像の配置を設定するものであってもよい。
図11の例では、配置設定画面590は、パーツ領域591と、配置設定領域592と、を含む。パーツ領域591には、ギヤモータ画像、処理ユニット画像およびセンサ画像が表示されている。配置設定領域592には、図10で作成した施設レイアウトが表示されている。ドラッグアンドドロップ操作により、パーツ領域591の画像(例えばギヤモータ画像)を配置設定領域592の施設レイアウト上に配置する。つまり、図11の例では、施設レイアウト上にギヤモータ画像の配置を設定している。
配置設定部318は、配置設定画面590において施設レイアウト上に配置されたギヤモータ画像528、センサ画像529、および処理ユニット画像530の配置を示す配置情報を取得する。配置設定部318は、取得した配置情報を配置情報保持部332に記録する。
なお、図10および図11における設定は、一画面で行われてもよい。
図12は、処理ユニット対応付け画面570を示す。処理ユニット対応付け画面570は、図11の処理ユニット画像530を実際の処理ユニット200と対応付けるための画面である。図11の配置設定画面590において処理ユニット画像530を選択(例えばダブルクリック)すると処理ユニット対応付け画面570が表示される。処理ユニット対応付け画面570には、図4の画面で設定されて記憶部308に記憶された情報に基づき、処理ユニット200を識別するための処理ユニット識別情報の一覧571が表示される。この処理ユニット識別情報は、例えば処理ユニットNoや処理ユニット名である。表示された一覧571の中から、処理ユニット画像530と対応付ける処理ユニット識別情報を選択(例えばダブルクリック)する。
図13は、センサ対応付け画面580を示す。センサ対応付け画面580は、図11のセンサ画像529を実際のセンサ100と対応付けるための画面である。図11の配置設定画面590においてセンサ画像529を選択(例えばダブルクリック)するとセンサ対応付け画面580が表示される。センサ対応付け画面580には、図4の画面で設定されて記憶部308に記憶された情報に基づき、センサ100を識別するためのセンサ識別情報の一覧581が表示される。このセンサ識別情報は、例えばセンサ名、処理ユニットNo、処理ユニット名、および接続チャンネルである。表示された一覧581の中から、センサ画像529と対応付けるセンサ識別情報を選択する。
対応付け設定部320は、処理ユニット対応付け設定部324と、センサ対応付け設定部326とを含む。処理ユニット対応付け設定部324は、施設レイアウト上に配置された処理ユニット画像530と処理ユニット200を識別するための処理ユニット識別情報との対応付けを設定する。具体的には、処理ユニット対応付け設定部324は、図12の処理ユニット対応付け画面570で選択された処理ユニット画像530と処理ユニット識別情報とを、対応付けて処理ユニット対応付け保持部334に記録する。
センサ対応付け設定部326は、施設レイアウト上に配置されたギヤモータ画像528と、そのギヤモータ画像528が示すギヤモータ2に取り付けられているセンサ100を識別するためのセンサ識別情報との対応付けを設定する。ここでの対応付けは、ギヤモータ画像528とセンサ識別情報とが対応していることが分かる対応付けであればよく、ギヤモータ画像528とセンサ識別情報とを直接的に対応付ける場合に限られない。例えば上述の対応付けは、センサ画像529とセンサ識別情報とを対応付けるものであってもよい。ギヤモータ画像528と、そのギヤモータ画像528が示すギヤモータ2に取り付けられているセンサ100のセンサ画像529とは、配置位置で対応付けられているすなわち隣接して配置されているため、センサ画像529とセンサ識別情報との対応付けが分かれば、ギヤモータ画像528とセンサ識別情報との対応付けも分かるためである。
本実施の形態では、センサ対応付け設定部326は、図13のセンサ対応付け画面580で選択されたセンサ画像529とセンサ識別情報とを、対応付けてセンサ対応付け保持部336に記録する、すなわちセンサ画像529とセンサ識別情報との対応付けを設定する。
センサ対応付け保持部336は、センサ画像と、センサ識別情報とを対応付けて保持する。具体的には、センサ対応付け保持部336は、センサ画像と、そのセンサ画像に対応付けられたセンサ100のセンサ名と、そのセンサ100が接続されている処理ユニット200の処理ユニットNoと、処理ユニット名と、接続チャンネルと、を対応付けて保持する。
診断対象情報要求部322は、処理ユニット200に振動情報の送信要求を送信する。例えばユーザは、状態監視画面520を確認してギヤモータ2に異常が発生していることを知ると、より詳細な解析をするためにU/I部304を介して異常が発生しているギヤモータ2に対する振動情報の送信要求を入力する。診断対象情報要求部322は、この入力を受けて送信要求を送信する。診断対象情報取得部328は、送信要求に応じて送信された振動情報を取得する。
以上のように構成された故障診断システム10の動作を説明する。
ユーザは、図4の診断設定画面500に診断設定情報を入力する。端末装置300は、診断設定画面500に入力された診断設定情報を取得し、処理ユニット200に送信する。処理ユニット200は送信された診断設定情報を保持する。
またユーザは、図10の施設レイアウト設定画面560で施設レイアウトを作成し、図11の配置設定画面590で施設レイアウト上にギヤモータ画像528、センサ画像529、処理ユニット画像530を配置する。端末装置300は、作成された施設レイアウトの施設レイアウト情報と、施設レイアウト上に配置された各画像の配置情報を取得する。
またユーザは、図12の処理ユニット対応付け画面570で処理ユニット画像と処理ユニット識別情報を対応付け、図13のセンサ対応付け画面580でセンサ画像とセンサ識別情報を対応付ける。端末装置300は、対応付け情報を保持する。
処理ユニット200は、所定のスタート指示を受けると、各センサ100から、診断設定情報で設定された診断処理間隔の度に、設定されたサンプリング周波数の頻度で、設定された計測時間の間、振動情報を取得する。処理ユニット200は、取得した振動情報に基づき、診断処理を実行する。具体的には、処理ユニット200は、振動情報に対してケーブル長に応じたフィルタ処理および補正処理を行い、処理された振動情報に基づいて異常判定を実行する。処理ユニット200は、異常判定の判定結果を端末装置300に送信する。
端末装置300は、判定結果に基づき、状態監視画面520を表示させる。ユーザは、状態監視画面520を確認することにより、ギヤモータ2に異常が発生しているかどうか、異常が発生している場合は施設のどのスペースに配置されたどのギヤモータ2に異常が発生しているかを把握する。
以上説明した実施の形態に係る故障診断システム10によれば、状態監視画面520において、異常検知センサのセンサ画像529が非異常検知センサのセンサ画像529と識別できる態様で表示される。これにより、異常検知センサに対応するギヤモータ2に異常が発生していることが一目で把握できる。
また、実施の形態に係る故障診断システム10によれば、状態監視画面520において選択されたセンサ画像529に所定の操作を行うことで、対応するセンサ100の診断設定情報が表示された状態の診断設定画面500に遷移する。これにより、ユーザの利便性が向上する。
また、実施の形態に係る故障診断システム10によれば、状態監視画面520においてセンサ画像529にマウスカーソルを合わせると、そのセンサ画像529に対応付けられているセンサ100が検知している振動情報がポップアップ表示される。これにより、ユーザは、センサ100が検知している振動情報を手軽に確認できる。
また、実施の形態に係る故障診断システム10によれば、1つのギヤモータ2に2つ(すなわち複数)のセンサ100が設けられている場合、その複数のセンサ100のうちの異常検知センサを非異常検知センサとは識別できるように表示する。これにより、異常が発生した部位を的確に特定できる。
また、実施の形態に係る故障診断システム10によれば、異常判定部216は、ケーブル400の長さに応じて、各センサ100で検知された振動情報に対して異なる処理を行う。具体的には例えば、ケーブル400が長い場合はフィルタ処理の減衰量が大きくされる、あるいはフィルタ周波数帯が広くされる。これにより、ノイズの影響が緩和される。また例えば、ケーブル400が長い場合は補正処理の増幅ゲインが大きくされる。これにより、振動情報の減衰が緩和される。つまり本実施の形態によれば、ケーブル400の長さがセンサ100ごとに異なることによる影響が緩和されるため、異常判定部216による異常判定の精度の低下を抑止できる。
以上、実施の形態に係る故障診断システムについて説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下変形例を示す。
(変形例1)
実施の形態では、処理ユニット200の異常判定部216が第1事前処理部222および第2事前処理部224を含む場合について説明したが、これに限られず、異常判定部216は第1事前処理部222および第2事前処理部224のうちの一方だけを含んでいてもよい。すなわち、異常判定部216が振動情報に対してフィルタ処理および補正処理のうちの一方だけを実行してもよい。
(変形例2)
実施の形態および上述の変形例では特に言及しなかったが、異常判定処理部226は、ケーブル400の長さに応じて、各診断方法における異常判定の判定条件を異ならせてもよい。
例えば異常判定処理部226は、ピーク値や実効値などの評価値が異常閾値を連続して特定回数超えた場合に異常が発生していると判定し、そしてケーブル長が長さ閾値以上の場合は長さ閾値未満の場合よりも特定回数を大きい値に設定してもよい。例えば、ケーブル長が長さ閾値未満の場合の特定回数を1とし、ケーブル長が長さ閾値以上の場合の特定回数を3としてもよい。あるいはまた、いずれの場合も特定回数を複数回としてもよく、例えばケーブル長が長さ閾値未満の場合の特定回数を2とし、ケーブル長が長さ閾値以上の場合の特定回数を5としてもよいとしてもよい。ノイズの影響で大きいピーク値等が検出されることもあるところ、本変形例によればノイズの影響による誤判定を抑止できる。
また例えば、第2事前処理部224による補正処理を行う代わりに、異常判定処理部226による異常判定における異常閾値を調整してもよい。すなわち、ケーブル長が長さ閾値以上の場合は長さ閾値未満の場合よりも異常閾値を小さい値に設定してもよい。
(変形例3)
実施の形態および上述の変形例では特に言及しなかったが、第1事前処理部222、第2事前処理部224および異常判定処理部226はさらに、ケーブル400の径および種類の少なくとも一方に応じて、振動情報に対して異なる処理を行ってもよい。
例えば、第1事前処理部222、第2事前処理部224、および異常判定処理部226は、ケーブル400の径が所定の閾値以上の場合と、ケーブル400の径が所定の閾値未満の場合とで、振動情報に対して異なる処理を行ってもよい。なお、ケーブル径が小さいほど信号は減衰しやすいため、ケーブル径が小さい場合はケーブル長が長い場合と同様の取り扱いにすればよい。
また例えば、第1事前処理部222、第2事前処理部224、および異常判定処理部226は、より電気抵抗の大きい種類のケーブル400を採用する場合と、より電気抵抗の小さい種類のケーブル400を採用する場合とで、振動情報に対して異なる処理を行ってもよい。なお、電気抵抗が大きいほど信号は減衰しやすいため、電気抵抗が大きい種類のケーブル400の場合はケーブル長が長い場合と同様の取り扱いにすればよい。
(変形例4)
実施の形態および上述の変形例では、第1事前処理部222、第2事前処理部224および異常判定処理部226は、ケーブル400が比較的長い場合とケーブル400が比較的短い場合で振動情報に対して異なる処理を行う場合について説明したが、これに限られない。第1事前処理部222、第2事前処理部224および異常判定処理部226は例えば、ケーブル長が第1長さ閾値未満の場合と、第1長さ閾値以上かつ第2長さ閾値(>第1長さ閾値)未満の場合と、第2長さ閾値以上の場合とで、すなわちケーブル長が比較的短い場合と、中程度の長さの場合と、比較的長い場合とで、異なる処理を行ってもよい。さらには、ケーブル長を4段階以上に分類し、それぞれの場合で異なる処理を行ってもよい。
また例えば、第2事前処理部224は、ケーブル400の長さ基づいて振動情報の減衰量を推定し、減衰量に応じて増幅ゲインを変化させてもよい。例えば、ケーブル400の長さを変数とする所定の計算式により算出された値を、推定された減衰量とすればよい。
(変形例5)
実施の形態の変形例では、ケーブル長に具体的な数値を設定する場合を説明したが、これに限られず、例えば長さの程度を表す文字や文字列を設定してもよい。例えば、ケーブル長に具体的な数値を設定する代わりに、「長」、「中」、「短」を設定してもよい。この場合、第1事前処理部222、第2事前処理部224および異常判定処理部226は、ケーブル長に「長」が設定されている場合と、「中」が設定されている場合と、「短」が設定されている場合とで、振動情報に対して異なる処理を行ってもよい。
(変形例6)
実施の形態では、施設レイアウト設定画面560において施設レイアウトを作成する場合について説明したが、これに限られない。
図14は、変形例に係る施設レイアウト設定画面660を示す。施設レイアウト設定画面560は、読込File領域661と、施設レイアウト表示領域662と、を含む。読込File領域661には、端末装置300が読み込んだ施設レイアウト図のファイルの一覧がサムネイル表示される。ファイルは、例えばCADデータや、JPEGなどの画像データである。読込File領域661にサムネイル表示されている施設レイアウト図のファイルを選択すると、選択された画像ファイルが施設レイアウト表示領域662に表示される。OKボタン663が押されると、レイアウト取得部315は、選択されている施設レイアウト図を取得する。レイアウト設定部316は、レイアウト取得部315が取得した施設レイアウト図をレイアウト情報としてレイアウト保持部330に記録する。
本変形例によれば、施設レイアウトを作成する必要がなくなるため、ユーザの負担が軽減される。
(変形例7)
実施の形態では、診断設定画面500においてケーブル400のケーブル長を設定する場合について説明したが、これに限られず、配置設定画面に実際の引き回し方を模した形でケーブル400を示すケーブル画像を描き、そのケーブル画像の長さに基づいてケーブル長を見積もり、設定してもよい。
図15は、変形例に係る配置設定画面690を示す。配置設定画面690は、パーツ選択領域691と、配置設定領域692と、を含む。本変形例では、パーツ選択領域691には、選択できる画像としてケーブル画像が含まれている。パーツ選択領域691においていずれかのケーブル画像を選択し、所定のマウス操作等により処理ユニット画像530とセンサ画像529とを接続するようにケーブル画像693を描き込む。
端末装置300のデータ処理部306はケーブル長算出部をさらに含んでもよい。ケーブル長算出部は、ユーザにより入力される縮尺情報をU/I部304を介して取得し、その縮尺情報とケーブル画像の長さとに基づいてケーブル400のケーブル長を算出する。診断設定情報送信部314は、算出されたケーブル長を処理ユニット200に送信する。
本変形例によれば、ケーブル画像を書き込むだけでケーブル長さが算出、設定されるため、ユーザの負担が軽減される。
(変形例8)
実施の形態および上述の変形例では特に言及しなかったが、処理ユニット200の異常判定処理部226は、複数段階の閾値にしたがって異常判定してもよい。異常判定部216は例えば、異常閾値および注意閾値(<異常閾値)にしたがって異常判定してもよい。異常閾値よりも低い値である注意閾値を設けることによって、早い段階で異常の予兆を検知することが可能となる。
(変形例9)
配置画面表示領域521にギヤモータ画像528と処理ユニット画像530を表示し、センサ画像529を表示しなくてもよい。この場合、ギヤモータ画像528とセンサ100のセンサ識別情報とを対応付ければよい。具体的には、ギヤモータ画像528を選択するとセンサ対応付け画面580が表示され、ギヤモータ画像528とセンサ識別情報とを対応付ければよい。センサ対応付け設定部326は、ギヤモータ画像528とセンサ識別情報との直接的な対応付けを設定すればよい。また、状態監視画面520では、異常が発生しているとの判定の基となった振動情報を検知したセンサ100と対応付けられているギヤモータ画像528を、他のギヤモータ画像528とは識別できる態様で表示すればよい。
(変形例10)
実施の形態では処理ユニット200の判定結果送信部218が判定結果とともに評価値を端末装置300に送信する場合について説明したが、これに限られず、判定結果送信部218は、判定結果とは別のタイミングで評価値を定期的に端末装置300に送信してもよい。この場合、端末装置300の判定結果取得部310は、判定結果とは別のタイミングで送信される評価値を取得し、評価値保持部338に記録すればよい。
また、実施の形態では、診断対象情報送信部220が送信要求に応じて診断対象情報を端末装置300に送信する場合について説明したが、これに限られず、診断対象情報送信部220は送信要求によらずに定期的に診断対象情報を端末装置300に送信してもよい。この場合、端末装置300のデータ処理部306は、定期的に送信されてくる診断対象情報から評価値を抽出して評価値保持部338に蓄積する評価値抽出部をさらに備えてもよい。
また、実施の形態では、評価値を端末装置300側で保持する場合について説明したが、これに限られず、評価値を処理ユニット200側で保持してもよい。この場合、図6で示したように評価値をポップアップ表示させる場合や、図8、9で示した評価値に基づくグラフを表示する場合、処理ユニット200が評価値を端末装置300に送信すればよい。
(変形例11)
端末装置300が、処理ユニット200の機能の少なくとも一部を有していてもよい。また、処理ユニット200が、端末装置300の機能の少なくとも一部を有していてもよい。
例えば、異常判定部216、画面表示制御部312、レイアウト設定部316、配置設定部318、および、対応付け設定部320の機能は、それぞれ任意の装置により実現されてもよい。例えば、これらすべての機能が処理ユニット200により実現されてもよいし、これらすべての機能が端末装置300により実現されてもよい。
また例えば、異常判定部216のうちの一部の機能を処理ユニット200により実現し、残りの機能を端末装置300により実現してもよい。具体的には、第1事前処理部222および第2事前処理部224の機能を処理ユニット200により実現し、異常判定処理部226の機能を端末装置300により実現してもよい。この場合、診断対象情報送信部220は、送信要求によらず、第1事前処理部222、第2事前処理部224によってフィルタ処理および補正処理された振動情報を端末装置300に送信すればよい。
また例えば、画面表示制御部312、レイアウト設定部316、配置設定部318、対応付け設定部320がそれぞれ、別々の装置により実現されてもよい。
(変形例12)
実施の形態では、故障診断システム10は、ギヤモータ2に生じている振動に基づいて、ギヤモータ2に異常が生じているか否か判定する場合について説明したが、これに限られない。例えば、故障診断システム10は、ギヤモータ2に生じている振動に代えて、あるいはギヤモータ2に生じている振動に加えて、ギヤモータ2のモータ電流、温度、潤滑油の鉄粉濃度の少なくとも1つに基づいて、ギヤモータ2に異常が生じているか否かを診断してもよい。すなわち、振動情報に代えて、または振動情報に加えて、モータ電流、温度、または潤滑油の鉄粉濃度に関する情報の少なくとも1つを診断対象情報としてもよい。ギヤモータ2以外の診断対象装置の場合も同様である。つまり、故障診断システム10は、診断対象装置の異常を判断するのに適した診断対象情報を用いるようにすればよい。
上述した実施の形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。例えば請求項に記載の配線情報設定手段は、診断設定情報設定部212により実現されてもよい。