JP6746037B2 - 攻撃検知装置、攻撃検知プログラム及び攻撃検知方法 - Google Patents
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Description
非特許文献1、2では、カルマンフィルタを用いたAHRSのためのセンサフュージョンアルゴリズムを開示している。非特許文献1、2に基づくセンサフュージョンアルゴリズムでは、2種類のセンサから同じ物理量を計測し、その誤差をカルマンフィルタにより補正することで、正しい計測値を導く。具体的には、加速度センサとジャイロセンサからは重力方向が分かる。一方、磁気センサとジャイロセンサからは、地磁気が分かる。したがって、両者を組み合わせることで、世界座標での傾きが算出される。
非特許文献4では、ハードウェアでの対策として、センサを構成する部品を超音波攻撃の影響を受けにくい部品に変更することを対策方式として開示している。さらに、非特許文献4は、ソフトウェアでの対策として、センサのサンプリング間隔を変更することを対策方式として開示している。
種類の異なる複数のセンサによって観測される複数の物理量を組み合わせて出力を計算するアルゴリズムであり、前記複数の物理量のそれぞれの中間値を計算し、それぞれの前記中間値を用いて出力を変化させるアルゴリズムであるセンサフュージョンアルゴリズムの実行中に、それぞれの前記中間値を取得する中間値取得部と、
それぞれの前記中間値と閾値である中間値閾値とを比較することにより、前記複数のセンサのうち少なくとも一つのセンサへの攻撃があるかどうかを判定する判定部と
を備える。
***構成の説明***
図1は、実施の形態1の攻撃検知システム30の構成を示す。攻撃検知システム30は、センサモジュール1とコントローラ3を備える。センサモジュール1は、複数のセンサデータ入力部11、信号処理部12及び攻撃検知装置2を備える。
また、プロセッサ13は、機能構成として、センサフュージョン部12a、相関計算部21、攻撃判定部22を備える。センサフュージョン部12a、相関計算部21、攻撃判定部22の機能は、攻撃検知プログラムとして実現される。メモリ14には、センサフュージョン部12a、相関計算部21、攻撃判定部22の機能を実現する攻撃検知プログラムが記憶されている。そして、プロセッサ13が、センサフュージョン部12a、相関計算部21、攻撃判定部22の機能を実現する攻撃検知プログラムを実行する。上記のように、攻撃検知プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に格納されて提供されてもよいし、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
攻撃検知装置2の動作を説明する。攻撃検知装置2の動作は、攻撃検知装置2が攻撃検知プログラムを実行することによる動作である。攻撃検知装置2の動作は、攻撃検知方法である。
攻撃検知装置2の動作は、図2で示す、傾きセンサモジュール1aを想定して説明する。攻撃検知装置2ではセンサデータ間の不整合により攻撃を検知するという特徴のもと、攻撃検知装置2は、大きく2種類の方法を用いる。
センサデータ間の不整合を検知する第1の方法は、センサデータどうしの相関を見る。
第1の方法は、AHRSの正常な動作中は、各種センサが観測する物理状態は一致しているため、センサデータ間に高い相関が現れることを利用する。特に、加速度センサ11bと磁気センサ11cは、それぞれ重力と地磁気という、ある地点において一定の方向を指すという共通性がある。したがって、両者の相関は高い。
センサデータ間の不整合を検知する第2の方法は、センサフュージョンの中間値を見る方法である。ここで単にセンサフュージョンというときは、センサフュージョンアルゴリズムを実行することを意味する。
第2の方法では、センサデータ間の誤差を計測し、その誤差に基づいて計測値を修正することで、傾きを算出するセンサフュージョンアルゴリズムを想定する。したがって、攻撃検知装置2は、センサフュージョンの誤差を見ることで、センサが観測する物理状態の不整合を見つける。
例えば、
(1)ジャイロセンサ11aと加速度センサ11bは、ともに重力を観測することができる。
(2)ジャイロセンサ11aと磁気センサ11cは、ともに地磁気を観測することができる。
したがって、傾きが計算される過程でセンサフュージョンアルゴリズムによって算出される重力誤差及び地磁気誤差を見ることで、これらの2種類のセンサの組み合わせの不整合を検出できる。
(1)ジャイロセンサ11aと加速度センサ11b、
(2)ジャイロセンサ11aと磁気センサ11c、
(3)加速度センサ11bと磁気センサ11c、
という3種類すべての組み合わせについて、不整合を検知できる。なお、以下では、実際の傾きセンサモジュール1aを対象として、本手法の有効性及び実現性を示す。対象とする傾きセンサモジュール1aを構成する3種類のセンサは全て、X,Y,Z軸の3軸を有する。
図5は、正常動作時のセンサデータを示す。図5は、傾きセンサモジュール1aを手で持って動かした時のセンサデータである。左から、加速度センサ11b、磁気センサ11c、ジャイロセンサ11aのセンサデータを示す。図5の下に向かって、X軸、Y軸、Z軸のセンサデータである。各センサデータの横軸は時間であり、縦軸はセンサの計測値である。正常時では、見た目にも、加速度センサ11bと磁気センサ11cは時間変化の状況が似ている。
図7は、静止した傾きセンサモジュール1aに対して、後述する参考文献1で示される方法で攻撃を行った時のセンサデータである。図7の左から、加速度センサ11b、磁気センサ11c、ジャイロセンサ11aのセンサデータである。横軸及び縦軸の値、X軸、Y軸、Z軸のセンサデータの並びは図5と同じである。図7では、それぞれのセンサが攻撃の影響を受けている。加速度センサ11bの各軸のセンサデータは正弦波状に変化し、磁気センサ11c、ジャイロセンサ11aのセンサデータは,バイアス状に固定される。
参考文献1:梨本,鈴木等、「センサフュージョンの攻撃耐性に関するセキュリティ評価」、SCIS2018 2018 Symposium on Cryptograrhy and Information Security Niigata,Japan,Jan.23−26,2018,The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers.
同様に、重力ベクタは、重力場を表す。重力ベクタは、以下の式(4)である。
すなわち、
外乱は加速<Qa,k>と磁気外乱<Qd,k>がある。
センサノイズは加速度センサでは<QvB,k>があり、コンパスでは<QvG,k>がある。
したがって、観測誤差が無いことは、次の式(5)、式(6)で表すことができる。
{<gk 6DOF>,<mk 6DOF>、}及び{<gk −>,<mk −>}
が得られた。
図9のステップS303では、{<gk 6DOF>,<mk 6DOF>、}と{<gk −>,<mk −>}を比較して、重力ベクタ、地磁気ベクタごとの誤差の事前推定を計算する。
<gk 6DOF>と<gk −>の誤差とは、一方をもう一方に一致させるような回転クォータニオンqzgε,kであり、<gk 6DOF>と<gk −>から求めることができる。
一般的にベクトル<r>をもう一つのベクトル<s>に一致させるための回転クォータニオンは、次の式(9−1)のように求めることができる。
式9−1を使って、誤差を表す2種類の回転クォータニオンを計算できる。
さらに、式(2)に式(12),(13)を代入し、傾きの事後推定[RK +]を得る。最後に、傾き、すなわちロールφk、ピッチθk、ヨー角ψkは次の式(14)のように表される。
図10は、正常時の地磁気ベクタの誤差、重力ベクタの誤差を示す。図10の6つのグラフの横軸は時間であり、縦軸は誤差である。
図11は、攻撃時の地磁気ベクタの誤差、重力ベクタの誤差を示す。図11の6つのグラフは図10の6つのグラフに対応する。図10と図11を比べると、攻撃時の方が誤差は大きい。特に重力ベクタに関して、その差は顕著である。誤差を見てセンサ間の不整合を検知する方法も、誤差が一定の閾値を超えた場合に攻撃と判断することで、攻撃の有無を判定できる。
図12は、攻撃検知装置2を含む、攻撃検知システム30の動作を示すシーケンスである。図12を用いて、攻撃検知装置2の動作を説明する。
ステップS11において、ジャイロセンサ11aは、センサフュージョン部12aへ角速度データを送信する。
ステップS12において、加速度センサ11bは、センサフュージョン部12aへ加速度データを送信する。
ステップS13において、磁気センサ11cは、センサフュージョン部12aへ磁気データを送信する。
ステップS14において、センサフュージョン部12aは、加速度データ、磁気データを相関計算部21に送信する。
ステップS101において、相関計算部21は、センサフュージョン部12aから、加速度データと、磁気データを受信する。
ステップS102において、相関計算部21は、加速度データと磁気データとの相関係数を計算する。
ステップS103において、相関計算部21は、相関値を攻撃判定部22に送信する。
なお、類似度が計算される2つのセンサは、観測可能な物理量が異なる。具体的には、加速度センサ11bの観測可能な物理量は重力であり、磁気センサ11cの観測可能な物理量は地磁気である。
ステップS202において、攻撃判定部22は相関計算部21から相関値を受信する。
閾値はX軸の閾値、Y軸の閾値、Z軸の閾値の3つある。これらをそれぞれ閾値1、閾値2、閾値3とする。閾値1、閾値2及び閾値3を類似度閾値と呼ぶ。閾値1はX軸、閾値2はY軸、閾値3はZ軸の閾値である。
重力ベクタのX軸、Y軸、Z軸の閾値を閾値4、閾値5、閾値6とする。地磁気ベクタのX軸、Y軸、Z軸の閾値を閾値7、閾値8、閾値9とする。閾値4から閾値9を中間値閾値と呼ぶ。
攻撃判定部22は、各誤差が対応する閾値を超えていれば閾値カウンタをカウントアップし、誤差が誤差閾値を超えていなければ閾値カウンタをカウントアップしない(ステップS207)。
閾値は閾値1から閾値9まであるので、ステップS203及びステップS206により、閾値カウンタ220は最大で9、最小で0である。
このように、それぞれの中間値は、種類の異なる複数のセンサによって観測される複数の物理量のそれぞれの誤差データである。
攻撃判定部22は、それぞれの中間値である重力ベクタの誤差qzgε,k及び地磁気ベクタの誤差qzmε,kと、中間値閾値である閾値4から閾値9とを比較することにより、複数のセンサのうち少なくとも一つのセンサへの攻撃があるかどうかを判定する。
(1)相関計算部21は、相互相関、相互情報量、または尤度を計算する。
(2)相関計算部21は、幾何学的距離(ユークリッド距離、マハラノビス距離、マンハッタン距離、チェビシェフ距離、ミンコフスキー距離など)を計算すること。
(1)相関値と誤差とで、それぞれ閾値を超えた場合にカウントする値に重み付けを行う、あるいは、閾値自体を変化させることで重み付けを行う。例えば、センサデータ間に相関が現れにくいセンサデータの組み合わせがある場合、その組み合わせから計算された相関値と比較を行う閾値の値を高く設定することで、重要度を下げる。
(2)閾値との比較を行う軸に応じて、閾値を超えた場合にカウントする値に重み付けを行う、あるいは、閾値自体を変化させることで重み付けを行う。例えば、加速度センサを有する移動ロボットで、水平方向にしか進まないことが分かっている場合、重力方向を表す軸(例えばZ軸)に関する重力ベクタ誤差と比較を行う閾値の値を高く設定することで、重要度を下げる。
(3)相関値及び誤差と、相関値及び誤差のそれぞれ対応する閾値との差とを、閾値カウンタに格納する。
(4)上記(3)で格納する値に、相関値または誤差、あるいは軸の種類に応じて重み付けを行う。
(1)パーティクルフィルタを用いたセンサフュージョンアルゴリズム。
(2)ベイジアンフィルタを用いたセンサフュージョンアルゴリズム。
実施の形態1の攻撃検知装置2は、攻撃によりセンサ間が異なる物理状態を観測した場合、相関値が低く出ること、またセンサフュージョンの誤差が大きくなることを用いて、センサデータ間の不整合からセンサへの攻撃を検知できる。
また、内部構造の分からないブラックボックスのセンサであっても、センサデータと信号処理の中間値を取り出し、攻撃検知装置を別途接続することで、攻撃検知の仕組みを導入できる。よって、センサへの加工なしに攻撃を検知できる。
また、攻撃検知装置2は、センサによる計測とは独立して攻撃検知を行うため、センサによる計測に悪影響を及ぼすことは無い。
また、傾きセンサに限らず、加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ、超音波センサ、光センサ、カメラ、GPSセンサのうち二種以上のセンサを備える位置センサでもよい。
また、傾きセンサに限らず、レーダー、超音波センサ、光センサ、カメラのうち二種以上のセンサを備える測距センサでもよい。
また、傾きセンサに限らず、温度センサ、湿度センサ、放射線センサ、pHセンサ、カメラのうち二種以上のセンサを備える土壌センサでもよい。
最後に、攻撃検知装置2のハードウェア構成の補足説明を行う。なお、以下の説明は、傾きセンサモジュール1aにもあてはまる。
プロセッサ23は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等である。
メモリ24は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。
センサデータ入力インタフェース25、信号処理中間値入力インタフェース26、攻撃判定結果出力インタフェース204は、I2C(Inter−Integrated Circuit)インタフェース、SPI(Serial Peripheral Interface)及びEthernet(登録商標)インタフェース等である。
また、攻撃検知装置2は、ロジックIC(Integrated Circuit)、GA(Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)といった電子回路により実現されてもよい。
なお、プロセッサ及び上記の電子回路を総称してプロセッシングサーキットリーともいう。
電子回路99は信号線99aに接続している。電子回路99は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA(Gate・Array)、ASIC(Application・Specific・Integrated・Circuit)、又は、FPGA(Field−Programmable・Gate・Array)である。
Claims (8)
- 種類の異なる複数のセンサによって観測される複数の物理量を組み合わせて出力を計算するアルゴリズムであり、前記複数の物理量のそれぞれの中間値を計算し、それぞれの前記中間値を用いて出力を変化させるアルゴリズムであるセンサフュージョンアルゴリズムの実行中に、それぞれの前記中間値を取得する中間値取得部と、
それぞれの前記中間値と閾値である中間値閾値とを比較することにより、前記複数のセンサのうち少なくとも一つのセンサへの攻撃があるかどうかを判定する判定部と
を備える攻撃検知装置。 - それぞれの前記中間値は、
種類の異なる複数のセンサによって観測される複数の物理量のそれぞれの誤差データである請求項1に記載の攻撃検知装置。 - 前記攻撃検知装置は、さらに、
前記複数のセンサのうち2つのセンサのセンサデータを取得し、2つのセンサデータの類似度を計算する類似度計算部を備え、
前記判定部は、
閾値である類似度閾値と前記類似度とを比較することにより、前記複数のセンサのうち少なくとも一つのセンサへの攻撃があるかどうかを判定する請求項1または請求項2に記載の攻撃検知装置。 - 前記2つのセンサは
観測可能な物理量が異なる請求項3に記載の攻撃検知装置。 - 前記類似度計算部は、
前記類似度として、相関値を計算する請求項3または請求項4に記載の攻撃検知装置。 - 前記判定部は、
前記中間値の種類に応じて前記中間値閾値に重み付けを行い、2つのセンサデータの種類に応じて前記類似度閾値に重み付けを行う請求項3に記載の攻撃検知装置。 - コンピュータに、
種類の異なる複数のセンサによって観測される複数の物理量を組み合わせて出力を計算するアルゴリズムであり、前記複数の物理量のそれぞれの中間値を計算し、それぞれの前記中間値を用いて出力を変化させるアルゴリズムであるセンサフュージョンアルゴリズムの実行中に、それぞれの前記中間値を取得する処理と、
それぞれの前記中間値と閾値である中間値閾値とを比較することにより、前記複数のセンサのうち少なくとも一つのセンサへの攻撃があるかどうかを判定する処理と
を実行させる攻撃検知プログラム。 - コンピュータが、
種類の異なる複数のセンサによって観測される複数の物理量を組み合わせて出力を計算するアルゴリズムであり、前記複数の物理量のそれぞれの中間値を計算し、それぞれの前記中間値を用いて出力を変化させるアルゴリズムであるセンサフュージョンアルゴリズムの実行中に、それぞれの前記中間値を取得し、
それぞれの前記中間値と閾値である中間値閾値とを比較することにより、前記複数のセンサのうち少なくとも一つのセンサへの攻撃があるかどうかを判定する攻撃検知方法。
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