JP6742937B2 - 二次電池の状態判定方法及び二次電池の状態判定装置 - Google Patents

二次電池の状態判定方法及び二次電池の状態判定装置 Download PDF

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Description

本発明は、二次電池の電池状態を判定する二次電池の状態判定方法、及び、二次電池の状態判定装置に関する。
電気自動車やハイブリッド自動車等の車載用電源としては、エネルギー密度の高さからニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池が用いられる。これらの二次電池は通常、複数の単電池が組み合わされた電池モジュールや、複数の電池モジュールが組み合わされた組電池として構成されている。
ところで、単電池は充放電等に伴う温度上昇によりその電池性能が低下するため、複数の単電池から構成される電池モジュールや電池パックとしても、やはり温度上昇によって電池モジュール等の電池状態が電池性能の劣化した状態になる。そこで、例えば、電池モジュールの電池状態を判定するための技術の一例が、特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載の二次電池の状態判定方法は、測定された充電終了時または放電終了時の二次電池の端子間電圧を第1電圧値とし、第1電圧値を測定してから所定の時間経過した後、測定された二次電池の端子間電圧を第2電圧値とする。そして、この状態判定方法は、第1電圧値と第2電圧値との差分を変化量ΔVとして算出し、この変化量ΔVを所定の基準変化量と比較することに基づいて二次電池の状態として劣化した状態を判別する。
特開2011−54413号公報
ところで、1つの電池モジュール等を構成している複数の単電池であっても、各単電池の温度は配置位置や冷却性能等に起因してそれぞれ相違し、複数の単電池の間で温度が相違する、いわゆる温度ばらつきの生じることが避けられない。また、単電池は温度上昇に応じて劣化が進行するため、複数の単電池の間での温度ばらつきは、それら単電池が組み合わされて構成される電池モジュール等の状態を電池性能が劣化している状態にする。しかしながら、複数の単電池から構成される電池モジュール等においては、そのうちの1つの単電池の電池性能が劣化している一方、その他の単電池の電池性能は劣化していないとき、当該電池モジュール等の状態として電池性能が劣化している状態であることを検出できないおそれがある。
なお、こうした課題は、単電池の一部に生じた温度ばらつきによる劣化を検出するときのみならず、使用された単電池の一部や未使用の単電池の一部に生じた微小短絡による劣化を検出するとき等についても同様である。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、複数の単電池から構成された電池群において、その電池群の一部の単電池に起因する劣化であれ検出することのできる二次電池の状態判定方法、及び、二次電池の状態判定装置を提供することにある。
上記課題を解決する二次電池の状態判定方法は、複数の単電池が直列接続されてなる電池群の状態を判定する二次電池の状態判定方法であって、前記電池群を残容量が所定の容量になるまで放電させる工程と、前記所定の容量になった前記電池群について、前記電池群の端子間を開放した後、前記端子間の電圧が上昇する速度である緩和速度を取得する工程と、前記取得した前記緩和速度のうちから拡散抵抗部分に対応する緩和速度を特定し、この特定した緩和速度が予め設定した判定用閾値よりも小さいことに基づいて前記電池群の前記複数の単電池の間で残容量にばらつきが生じていると判定する工程と、を備える。
上記課題を解決する二次電池の状態判定装置は、複数の単電池が直列接続されてなる電池群の状態を判定する二次電池の状態判定装置であって、前記電池群を残容量が所定の容量になるまで放電させる放電部と、前記所定の容量になった前記電池群について、前記電池群の端子間を開放した後、前記端子間の電圧が上昇する速度である緩和速度を取得する緩和速度取得部と、前記取得した前記緩和速度のうちから拡散抵抗部分に対応する緩和速度を特定し、この特定した緩和速度が予め設定した判定用閾値よりも小さいことに基づいて前記電池群の前記複数の単電池の間で残容量にばらつきが生じていると判定する判定部と、を備える。
このような方法又は構成によれば、拡散抵抗部分における緩和速度に基づいて電池群の劣化した状態として複数の単電池の間で残容量にばらつきが生じているとの判定を行うことができる。通常、拡散抵抗部分においては、単電池の残容量が多いほど緩和速度が遅く、少ないほど緩和速度が速い。よって、複数の単電池が組み合わされた電池群において、それら単電池の残容量が同様である場合に検出される緩和速度と、それら単電池の残容量に相違があるときに検出される緩和速度との間に相違が生じる。従って、電池群から検出される、拡散抵抗部分に対応する緩和速度を特定し、この特定した緩和速度を判定用閾値と比較することで電池群の劣化した状態を判定することができる。これにより、複数の単電池から構成された電池群において、その電池群の一部の単電池に起因する劣化した状態であれ検出することができる。
好ましい方法として、前記拡散抵抗部分に対応する対象期間が予め設定されており、前記判定する工程では、前記取得した前記緩和速度のうちから前記対象期間に対応する部分を前記拡散抵抗部分として特定する。
このような方法によれば、取得した緩和速度から容易に拡散抵抗部分を特定することができるようになる。
好ましい方法として、前記対象期間を、前記複数の単電池の間で残容量にばらつきが生じている二次電池について、前記放電させる工程及び前記取得する工程に基づいて取得した緩和速度と予め設定した基準速度とを比較して、前記取得した緩和速度が前記基準速度よりも小さくなる期間に対応する期間として得る。
このような方法によれば、拡散抵抗部分を、複数の単電池の間で残容量にばらつきが生じている二次電池に基づいて得られた対象期間に基づいて特定することができるようになる。
好ましい方法として、前記拡散抵抗部分を、前記取得した前記緩和速度と予め設定した基準速度とを比較して、前記取得した緩和速度が前記基準速度よりも小さくなる期間に対応する部分とする。
このような方法によれば、取得した緩和速度と基準速度とを比較して、取得した緩和速度が基準速度より小さくなる期間が拡散抵抗部分とされる。つまり、拡散抵抗部分が特定されることになるから、拡散抵抗部分における緩和速度に基づいて電池群の劣化した状態の判定を行えるようになる。
好ましい方法として、前記基準速度との差が最も大きい前記緩和速度を前記特定した緩和速度とする。
このような方法によれば、緩和速度と基準速度との差が最も大きく得られるようになるので電池群の劣化した状態の判定が好適に行えるようになる。
好ましい方法として、前記所定の容量を前記端子間の電圧が所定の電圧であることに基づいて推定する。
このような方法によれば、端子間の電圧に基づいて全電池容量のうちの残容量を推定することから残容量の取得が容易である。
好ましい方法として、前記所定の電圧を放電による電圧降下量が大きい範囲に設定する。
一般に、残容量が少ないことに応じて緩和速度が速い速度で一定になる一方、残容量が多いことに応じて緩和速度は遅くなる。そこで、この方法によれば、緩和速度が大きく得られる放電による電圧降下量が大きい範囲において緩和速度の遅い電池の影響が電池群の緩和速度を遅い速度として取得させるようになる。よって、電池群を構成する単電池に容量ばらつきが生じているか否かをより好適に判定することができる。
本発明によれば、複数の単電池から構成された電池群において、その電池群の一部の単電池に起因する劣化であっても検出することができる。
二次電池の状態判定装置を具体化した一実施形態について、その概略構成を示す概略図。 劣化判定対象になる二次電池の一例であって、各単電池のSOCに相違がない場合を模式的に示す模式図。 劣化判定対象になる二次電池の他例であって、一部の単電池のSOCが相違する場合を模式的に示す模式図。 同実施形態において、二次電池の再利用の可否を判定する手順の概略を示すフローチャート。 二次電池をSOC「0%」と推定するカット電圧まで放電したときの各単電池のSOCを説明する図であり、(a)は放電前のSOCの分布を模式的に示す図、(b)は、放電後のSOCの分布を模式的に示す図。 二次電池の良品と不良品との放電時及び放電休止時の電圧挙動をそれぞれ示すグラフ。 二次電池の良品と不良品との緩和速度定数aをそれぞれ示すグラフ。 二次電池のカット電圧と緩和速度との関係を示すグラフ。 二次電池のΔSOCと緩和速度、緩和速度定数aとの関係を示すグラフ。 同実施形態において、二次電池が良品の緩和速度や、不良品の緩和速度等を測定するための手順の概略を示すフローチャート。
二次電池の状態判定方法を用いた二次電池の状態判定装置について、これを具体化した一実施形態について説明する。ここで二次電池は、ニッケル水素二次電池であり、ニッケル水素二次電池は、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両に搭載され、車両の走行用モータの電源として用いられる。
図1に示すように、本実施形態では、ニッケル水素二次電池は、複数の単電池100(第1〜第6セル101〜106)が直列に接続された電池群としての電池モジュール10として構成されている。本実施形態では、電池モジュール10では、満充電された電池容量に対する残存容量(残容量)の割合[%]をSOC(充電状態:State Of Charge)で示す。そして一般に、車両に搭載された電池モジュール10は、その充放電を、使用範囲として定められたSOCの範囲内(例えば、40%〜60%の間)で行うように規制されている。なお、単位を[Ah]とするとき残容量と表記し、単位を割合[%]とするときSOCと表記する。
(二次電池の再利用)
まず、電池モジュール10の再利用について説明する。
車両に搭載されていた電池モジュール10であっても、使用環境や使用状態によっては再利用可能なものも少なくない。電池モジュール10の再利用は、コストや環境負荷の低減にもつながる。一方、一旦使用された電池モジュール10は、再利用するためには、各電池を検査して不具合の有無を判定する必要がある。例えば、一旦使用されたニッケル水素二次電池で判定すべき不具合の1つに単電池(セル)間に生じる正極容量ばらつきがある。
図2に示すように、一旦使用された電池モジュール10のなかには、複数の単電池100(セル101〜106)が同様の正極容量に維持されていて、各単電池100のSOCとしても値a1[%]にそろい、電池特性が良好に維持されているものもある。
一方、図3に示すように、複数の単電池100(セル101〜106)のうち1つのセル105の正極容量が、その他のセル101〜104,106の正極容量よりも低下して正極容量ばらつきが生じているものもある。正極容量ばらつきが生じている電池モジュール10は、セル101〜104,106のSOCが値a1[%]に維持されている一方、セル105のSOCが値a1よりも低い値a2[%]に維持されていることから、電池特性が良好ではない。例えば、正極容量にばらつきのある各セル101〜106を有する電池モジュール10を放電させると、ある時点からセル105だけが過放電となり、電池モジュール10として出力が低下するようになる。正極容量ばらつきは、例えば、単電池100の正極容量が温度上昇の影響を受けて変化することによって生じることが知られているが、電池モジュール10内の配置によって各単電池100に生じる放熱効率の相違をなくすことは困難であるという実情がある。また、正極容量ばらつきは、単電池100のいずれかに極板間の微小短絡が発生することで生じることもある。正極容量ばらつきは、使用環境や使用状態の影響を強く受けるため、実際の測定によらない場合、その良否の判定精度が低下することが避けられない。そこで、電池モジュール10の再利用に際して、電池モジュール10を構成する各単電池100の間での正極容量ばらつきの大小、すなわちSOCのばらつきの大小で電池モジュール10の再利用の可否を判定する必要がある。なお、説明の便宜上、図2では6つのセル101〜106のSOCが同一、図3では5つのセル101〜104,106のSOCが同一であるとしているが、実際には各セルのSOCには、値a1と値a2との間の差よりも小さいものの多少の相違があってもよい。
図4を参照して、電池モジュール10の再利用の可否を判定する処理の概要について説明する。なお、処理内容の詳細については必要に応じて後に述べる。
電池モジュール10の再利用の可否判定処理は、電池モジュール10の回収工程(ステップS10)と、電池モジュール10をSOCが「0%」になるまで放電させる残存放電工程(ステップS11)とを有している。具体的には、電池モジュール10の端子間電圧を、電池モジュール10のSOCが「0%」と推定される電圧に調整する。
このとき、図5(a)に示すように、セル101〜104,106のSOCは「b1」である一方、一部のセル105のSOCが「b1」よりも低い「b2」であるとする。これを放電させると、図5(b)に示すように、セル101〜104,106のSOCが「0%」よりも大きい「c1」であるにもかかわらず、セル105は過放電となりSOCが「0%」以下になる。つまり、電池モジュール10のSOCが「0%」と推定される電圧であったとしても、セル105は過放電であるがセル105以外の5つのセルはSOCが「c1」だけ残っているようになり、この残っているSOCの影響がこの後取得する緩和速度に現れる。詳述すると、電池モジュール10は、セル105が過放電になることに伴って電圧降下することによって、他のセルのSOCが「0%」になる前に、「0%」と推定される電圧に到達して放電が終了される。そうすると電池モジュール10は、他のセルのSOCが「0%」より大きいことから緩和速度が低く抑えられた値で取得されることになる。
また、同判定処理は、電池モジュール10の緩和速度を取得するための電圧変化の測定工程(ステップS12)と、緩和速度の計算工程(ステップS13)と、緩和速度に基づいて電池モジュール10が良品であるか否かを判定する工程(ステップS14)とを有している。そして、電池モジュール10を良品であると判定した場合(ステップS14でYES)、電池モジュール10を再利用可能と選別する工程(ステップS15)、及び、電池モジュール10を良品ではないと判定した場合(ステップS14でNO)、電池モジュール10を再利用不可能と選別する工程(ステップS16)とを有している。そして、電池モジュール10の再利用可否処理が終了する。
(ニッケル水素二次電池)
次に、図1を参照して、ニッケル水素二次電池を詳細に説明する。
上述のように、ニッケル水素二次電池は、複数の単電池100(第1〜第6セル101〜106)が直列に接続された電池モジュール10として構成されている。電池モジュール10は、各セル101〜106を電気的に直列接続させてなる正極端子11と、負極端子12とを充放電に用いる入出力端子として備える。正極端子11及び負極端子12にはそれぞれ、外部配線である正側配線PL及び負側配線NLが接続され、これら正側配線PL及び負側配線NLを介して負荷としての電動モータや電源等が接続されている。電池モジュール10は、一体電槽がその内側の空間を隔壁によって仕切ることにより6つの電槽が設けられ、各電槽が各セル101〜106に対応する。単電池100は、水素吸蔵合金を含む所定枚数の負極板111と、水酸化ニッケル(Ni(OH))を含む所定枚数の正極板112とを、耐アルカリ性樹脂の不織布から構成されるセパレータ(図示略)を介して積層した電極群113を備えている。そして、単電池100は、電極群113の負極板111を負極側の集電板114に接続させ、電極群113の正極板112を正極側の集電板115に接続させ、水酸化カリウム(KOH)を主成分とする水系電解質である電解液(図示略)とともに樹脂製の電槽内に収容して構成される。
正極板112は、金属多孔体である発泡ニッケル基板と、発泡ニッケル基板に充填された水酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル等のニッケル酸化物を主成分とする正極活物質、添加剤(導電剤等)を有する。
負極板111は、パンチングメタルなどからなる電極支持体と、電極支持体に塗布された水素吸蔵合金(MH)とを有する。
また、ニッケル水素二次電池は、電池特性のうちのインピーダンスが、回路抵抗、溶液抵抗、反応抵抗及び拡散抵抗を含み構成されていることが知られている。回路抵抗は、活物質や集電体内の接触抵抗などからなる配線等のインピーダンス等である。溶液抵抗は、セパレータ内の電解液内のイオンが移動する際の抵抗等の電子の移動抵抗である。反応抵抗は、電極反応における電荷移動の抵抗等である。拡散抵抗は、物質拡散が関与したインピーダンスである。なお、各抵抗は相互に影響を及ぼし合うため、端子間電圧の測定結果等から各抵抗のみの影響を受ける部分を区分することは困難であるが、端子間電圧の測定結果において、各抵抗の影響をそれぞれ大きく受ける範囲は知られている。
例えば、図6を参照して、同図6において、経過時間t=0以降であって、領域AR1よりも左側になる領域は反応抵抗の影響を大きく受ける領域であり、領域AR1の領域は拡散抵抗の影響を大きく受ける領域であることが知られている。
(二次電池の劣化判定装置)
続いて、図1を参照して、ニッケル水素二次電池の状態判定方法を含む状態判定装置としての劣化判定装置30について説明する。
劣化判定装置30は、SOC「0%」で取得した緩和速度に基づいて電池モジュール10の電池状態として劣化の状態を判定する装置である。また、劣化判定装置30は、電池モジュール10の端子間電圧を測定する電圧計23と、電池モジュール10を放電させる放電回路26と、放電回路26に流れる電流を測定する電流計25とに電気的に接続されている。
電圧計23は、正側配線PLと負側配線NLとを介して、電池モジュール10の正極端子11と負極端子12との間に接続されている。電圧計23は、電池モジュール10の端子間電圧を測定するとともに、測定した電圧値を劣化判定装置30に電気信号で出力する。
放電回路26は、正側配線PLと負側配線NLとを介して、電池モジュール10の正極端子11と負極端子12との間に接続されている。放電回路26は、電気負荷と電気負荷に直列接続された開閉器とを有し、劣化判定装置30からの指示信号に基づいて開閉器を開閉させる。放電回路26は、電気負荷を指定された値に調整することができる。放電回路26は、開閉器を開くことで正極端子11と負極端子12との間の回路を開き、開閉器を閉じることで正極端子11と負極端子12とを電気負荷を介して接続させて二次電池を放電させることができる。
電流計25は、正側配線PLと負側配線NLとを介して、電池モジュール10の正極端子11と負極端子12との間に放電回路26と直列に接続されている。電流計25は、放電回路26に流れる電流を測定するとともに、測定した電流値を劣化判定装置30に電気信号で出力する。
劣化判定装置30は、演算部や記憶部を有するコンピュータを含み構成されており、記憶部等に記憶されたプログラムの演算部での演算処理を通じて二次電池の電池状態として劣化の状態を判定する処理等の各種処理を行う。劣化判定装置30は、入力される各信号から電池モジュール10の端子間電圧を得る。また、劣化判定装置30は、放電回路26を制御可能であり、たとえば、定電流(CC)放電や定電圧(CV)放電を行わせることができる。すなわち、電池モジュール10を放電して所定のSOC、例えばSOCを「0%」に調整することができる。
劣化判定装置30は、電圧変化を測定する電圧変化測定部31と、測定された電圧変化から緩和速度を計算する緩和速度取得部としての緩和速度計算部32と、ニッケル水素二次電池の電池状態を判定する判定部33とを備える。また、劣化判定装置30は、判定部33の判定結果を通知する通知部34と、劣化判定処理に要する情報を記憶する記憶部35とを備える。記憶部35は、電圧変化測定部31が測定した電圧変化等を記憶する。また、記憶部35は、放電用の電流値や、放電用の電圧値である放電電圧37を記憶する。
電池モジュール10は、抵抗を有しているため、流れる放電電流の値に応じて電池電圧が低下する。この際に流れている電流が止まると電池抵抗分(内部抵抗)によって低下している電池電圧が回復する。緩和速度は、電池電圧が回復する過程での電池電圧の変化から得られる。そこで緩和速度を取得するため、電圧変化測定部31は、電圧変化を測定する。
電圧変化測定部31は、電圧変化を測定するため、電池モジュール10のSOCが「0%」であると推定される端子間電圧になるまで放電された、つまり残存容量が「0」に調整された電池モジュール10について、所定の電流の放電を行うとともに、放電が終了した後の端子間電圧を測定する。6セルの電池モジュール10の場合、SOCが「0%」であると推定される端子間電圧は、例えば6V(1V/セル)である。換言すると、電池モジュール10の端子間電圧が6Vであれば、各セルのSOCが「0%」と推定される。また仮に、各セルのSOCが「0%」ではなかったとしても、各セルのSOCが放電による電圧降下量が大きい範囲にあることが確実なので電池モジュール10の再利用可否の判定を行うことができる。
図6に示すように、電圧変化測定部31は、電圧計23から取得した電圧に基づいて端子間電圧の経時的変化を取得する。例えば、図6のグラフL61,L62のような電圧変化を測定することができる。特に本実施形態では、劣化判定装置30は、放置されていた(図において「休止」の範囲)電池モジュール10をSOCが「0%」であると推定される電圧になるまで所定電流による放電を行う。そして、放電が休止される(図においてt=0のタイミング)ことに応じて、電圧変化測定部31は、電池モジュール10の端子間電圧の測定を開始するとともに、所定の時間が経過することに応じて測定を終了する。例えば、所定の時間が終了されるタイミングは、測定している端子間電圧の単位時間当たりの変化量が所定の値よりも小さくなるタイミングである。
緩和速度計算部32は、放電休止後(t=0以降)に上昇する(回復する)電圧の単位時間当たりの変化量を緩和速度[V/s]として算出する。緩和速度は、良品のグラフL61や不良品のグラフL62に示す電圧変化から算出される。緩和速度は、端子間電圧の測定が開始されて(図6においてt=0)から、端子間電圧の測定が終了されるまでの間について算出される。緩和速度計算部32は、計算した緩和速度を記憶部35に記憶させる。
また、図7に示すように、緩和速度計算部32は、電圧と「1/√s」との関係を示す図7のグラフL71,L72から各グラフL71,L72の接線傾きである緩和速度定数a[V・√s]を算出する。緩和速度定数aは、図6のグラフL61,L62について「t=0」以降について、横軸を「1/√t」としたものであり、図7のグラフL71,L72として示される。そして、図7におけるグラフL71,L72の傾き「a」を緩和速度定数とする。緩和速度計算部32は、計算した緩和速度定数aを記憶部35に記憶させる。
ここで、緩和速度定数aは、電圧変化「ΔE(t)」を示す式(1)から導き出される定数である。
Figure 0006742937
ここで、Iは電流、τは電流印加時間、nは反応に係わる電子数、Vはモル体積、Fはファラデー定数、Aは反応表面積、dE/dyは開放電圧(OCV)の接線傾き、tは時間、Dは拡散係数である。
判定部33は、緩和速度計算部32で算出された緩和速度と、基準として予め設定されているSOCばらつきのない正常な状態の電池の緩和速度(基準速度)とを比較することに基づいて電池モジュール10に複数の単電池100の間でSOCばらつきが生じていることを劣化した状態として判定する。本実施形態では、緩和速度について、反応抵抗の影響が大きい電圧測定開始に近い期間や、緩和速度の変化量が小さくなって良否判定に適さなくなる電圧測定終了に近い期間を除いて、拡散抵抗の影響が強く表れる部分を比較することで電池モジュール10の電池状態の良否を判定するようにしている。具体的には、判定部33は、緩和速度計算部32で算出された緩和速度が、拡散抵抗領域の部分において基準として予め設定されている緩和速度よりも小さいことに基づいて電池モジュール10が複数の単電池100の間でSOCばらつきが生じていると判定する。
ここで、拡散抵抗部分は、図6のt=0からの経過時間tが時間t1から時間t2までの間について、拡散抵抗部分に対応する対象期間であるとして予め記憶部35等に設定されている。同じ仕様の電池モジュール10の緩和速度であれば、SOCを0%にした後、同様な経過時間で拡散抵抗部分に到達する蓋然性が高い。また、この蓋然性を高めるために、対象期間を狭めるようにしてもよい。また、放電させる放電電流を同じにすることで蓋然性が高まる。
なお、拡散抵抗部分に対応する対象期間は、SOCばらつきのある劣化した不良な電池モジュール10から予め取得することができる。具体的には、SOCばらつきのある劣化した不良な電池モジュール10について、放電及び電圧測定に基づいて緩和速度を取得し、この取得した緩和速度と基準速度とを比較して特定する。このとき取得した緩和速度が基準速度より小さくなる期間を拡散抵抗領域と判断するとともに、この判断した拡散抵抗領域に対応する期間を拡散抵抗部分に対応する対象期間として取得し、これを記憶部35等に設定することができる。
なお、拡散抵抗領域は、電池状態を判定する電池モジュール10自身から取得した緩和速度と基準速度とを比較して特定してもよい。具体的には、取得した緩和速度が基準速度より小さくなる期間を拡散抵抗領域と判断することができる。
いずれにしても、拡散抵抗領域での緩和速度と基準速度との比較を、緩和速度と基準速度との差が最も大きく得られるところで行うことで電池モジュール10の複数の単電池100間でSOCばらつきの生じていることの判定が好適に行えるようにもなる。
なお、判定部33は、緩和速度計算部32で算出された緩和速度から得られる緩和速度定数aと、基準として予め設定されている緩和速度定数aとを比較することに基づいて電池モジュール10の電池状態を判定してもよい。
図8には、電池モジュール10がSOC「0%」であると推定されるとき、10Aを放電した後の各セルの電圧と緩和速度定数aとの関係を示す。電池モジュール10のSOCが「0%」であると推定されたとしても、各セルのSOCが「0%」の近傍に揃っているのか、バラバラのSOCであるセルのまとまりに対して「0%」が推定されているのかは判別できない。そこで、例えば、各セルの電圧が「1.0V」前後に分布している場合、緩和速度定数aは「0.4」以下であって、緩和速度定数aはグラフL81に示すように変化する。なお、図8は、各セルの電圧が上昇することに応じて緩和速度が遅くなることを示している。逆に、各セルの電圧が「0.9V」以下にある場合、緩和速度定数aはグラフL82に示すようにセルの電圧に関わりなく「0.4」程度に維持される。図8によれば、電池モジュール10としてのSOC「0%」であると推定されるとき、各セルの電圧(SOC)が揃っていれば緩和速度定数aは各セルとも「0.3」〜「0.4」に維持される。一方、SOC「0%」に推定された電池モジュール10に、SOCが「0%」よりも大きいセルと、過放電されたセルとが含まれていると、過放電されたセルの緩和速度は一定であることに対して、SOCが大きいセルはSOCの大きさに応じて緩和速度が遅くなるから、それだけ緩和速度が低下することになる。つまり、電池モジュール10の緩和速度が小さいようであれば、SOCが大きいセルが含まれていること、逆に言えば、過放電しているセルが含まれていることが示される。
図9には、電池モジュール10においてSOCが最大であるセルと最低であるセルとの間のSOC差を示している。例えば、電池モジュール10は、SOCが揃っている5つのセルと、そのSOCよりも低いSOCである1つのセルとを有する。このとき同様のSOCである5つのセルのSOCと、SOCが低下しているセルのSOCとの差をΔSOCとしたとき、ΔSOCと緩和速度定数aとの関係をグラフL91に示す。電池モジュール10をSOC「0%」であると推定される電圧まで放電したとき、SOCの差が小さければ各セルの電圧が一様に低下するため緩和速度は速くなる。一方、SOCの差が大きければ、SOCが低くて緩和速度の速いセルと、SOCが高くて緩和速度が遅いセルとが混在することになる。このことから、ΔSOCが大きくなるほど、緩和速度が遅くなる、つまり、緩和速度定数aが小さくなることが示されている。
すなわち、判定用閾値36は、図8のカット電圧を条件にしたり、図9のΔSOCを条件にしたりして、緩和速度と比較して電池モジュール10として不良品と判定することができる閾値が設定されている。例えば、電池モジュール10のSOC差を「3%」まで許容しようとする場合、図9の例によれば、緩和速度定数aが「1.0」以上であれば良品、「1.0」未満の場合不良品と判定すればよいことが分かる。また、判定用閾値36は、緩和速度定数aと比較して、電池モジュール10として不良品と判定することができる閾値が設定されている。なお、図8や図9に示す緩和速度定数aは一例であって、これは電池モジュール10の種類や容量、セルの数毎に適切なものを準備するとよい。
つまり、判定部33は、基準として予め設定されている緩和速度として判定用閾値36を用いて電池モジュール10の電池状態の良否を判断する。又は、判定部33は、基準として予め設定されている緩和速度定数として判定用閾値36を用いて電池モジュール10の電池状態の良否を判断する。本実施形態では、取得した緩和速度や予め設定した緩和速度には、緩和速度、及び緩和速度に基づいて算出される緩和速度定数aの少なくとも一方が含まれる。
図10を参照して、良品の緩和速度である基準速度や、図8、図9に示される不良品の緩和速度定数aを測定する処理について説明する。
緩和速度を測定する処理が開始されると、電池モジュール10について、初充放電処理を行う(ステップS20)。この処理により、電池モジュール10の各セルのSOCは初期化されて均一になる。そして、初期化された電池モジュール10を用いて、SOCの低下したセルを作成するため、特定のセルに短絡抵抗を結線する(ステップS21)。このとき、結線時間によって特定のセルのSOCの低下量、いわゆる劣化度合いを調整することができる。なお、良品の緩和速度を測定する場合、特定のセルに短絡抵抗を結線するステップS21を省いてよい。
特定のセルのSOCが調整されたら、電池モジュール10を50℃の環境下でエージング処理を行う(ステップS22)。エージング処理は、電池モジュール10の端子間を開放した状態にして所定期間放置する処理である。そして、電池モジュール10の残存容量が「0」になるように調整する。すなわち、回収した電池モジュール10をSOCが「0%」になるまで放電する(ステップS23)。こうしてSOCが0%に調整された電池モジュール10について、図4のステップS12以下の処理を行う。
これにより、良品の緩和速度はもとより、様々なSOC差に対応する不良品の緩和速度が測定できる。
(劣化判定の作用)
図4を参照して、電池モジュール10の再利用の可否を判定する手順について説明する。
まず、電池モジュール10を再利用する場合、車両などに搭載されていたもの、つまり市場に流通していた電池モジュール10を回収する(ステップS10)。そして、劣化判定装置30は、電池モジュール10の残存容量が「0」になるように調整する。すなわち、回収した電池モジュール10をSOCが「0%」になるまで放電する(ステップS11)。例えば、劣化判定装置30は、放電回路26の開閉器を閉じて、適切に調整された電気負荷を通じて電池モジュール10を放電する。電池モジュール10のSOCは、端子間電圧や放電した電流量等から算出することができる。劣化判定装置30は、例えば、電池モジュール10のSOCが「0%」であると推定される端子間電圧、例えば6V(1V/セル)になるまで放電した後、端子間を開放して電池モジュール10を放置する。
続いて、劣化判定装置30は、SOCが「0%」に調整された電池モジュール10について緩和速度を取得する。劣化判定装置30は、電圧変化測定部31で電圧変化を測定する(ステップS12)。電圧変化の測定では、電池モジュール10がSOC「0%」まで放電された後、その放電を停止したタイミング以降に変化する端子間電圧の変化を測定する。このとき、劣化判定装置30は、放電回路26の電気負荷を調整することで緩和電圧の測定に適した電流で放電させる。
そして、劣化判定装置30は、緩和速度計算部32で測定された端子間電圧に基づいて緩和速度を計算する(ステップS13)。
緩和速度が計算されると、劣化判定装置30は、判定部33で、対象期間(図6において領域AR1)における緩和速度を得る。この期間は、拡散抵抗の影響が大きい範囲であるから電池モジュールの電池状態の判定が好適に行える。そして、判定部33では、この特定された期間で基準速度との差が最も大きい緩和速度を特定する。続いて、判定部33では、この特定した緩和速度に基づいて電池モジュール10が良品であるか否かを判定する(ステップS14)。この判定では、特定した緩和速度が予め設定した判定用閾値以上であれば電池モジュール10は劣化の進行していない電池状態、すなわち複数の単電池100の間で残容量にばらつきが生じていない状態にあると判定する。また、特定した緩和速度が予め設定した判定用閾値未満であれば電池モジュール10は劣化の進行した電池状態であると判定する。
電池モジュール10を良品であると判定した場合(ステップS14でYES)、劣化判定装置30は、電池モジュール10を再利用が可能であるものに選別する(ステップS15)。一方、電池モジュール10を良品ではないと判定した場合(ステップS14でNO)、劣化判定装置30は、電池モジュール10を再利用が不可能であるものに選別する(ステップS16)。そしてこの電池モジュール10は再利用されない。この選別結果は、通知部34を介して、他の装置に信号として通知されたり、ユーザに表示や音で通知されたりする。
これにより、劣化判定装置30は、電池モジュール10の再利用の可否を判定する手順を終了する。
以上説明したように、本実施形態の二次電池の状態判定方法を用いた二次電池の状態判定装置によれば、以下に記載するような効果が得られるようになる。
(1)基準速度と比較して測定された緩和速度が基準速度より小さくなる期間(領域AR1)、すなわち拡散抵抗部分における緩和速度に基づいて電池モジュール10の劣化した状態として複数の単電池100の間で残容量にばらつきが生じているとの判定を行うことができる。通常、拡散抵抗部分においては、単電池100の残容量が多いほど緩和速度が遅く、少ないほど緩和速度が速い。よって、複数の単電池100が組み合わされた電池モジュール10において、それら単電池100の残容量が同様である場合に検出される緩和速度と、それら単電池100の残容量に相違があるときに検出される緩和速度との間に相違が生じる。従って、電池モジュール10から検出される、拡散抵抗部分に対応する緩和速度を特定し、この特定した緩和速度を判定用閾値と比較することで電池モジュール10の劣化した状態を判定することができる。これにより、複数の単電池100から構成された電池モジュール10において、その電池モジュール10の一部の単電池100に起因する劣化した状態であれ検出することができる。
(2)拡散抵抗部分に対応する対象期間が予め設定されていることから、電池モジュール10から取得した緩和速度から容易に拡散抵抗部分を特定することができる。
(3)判定対象である電池モジュール10の拡散抵抗部分を、劣化した状態である電池モジュール10に基づいて得られた対象期間に基づいて特定することができる。
(4)取得した緩和速度と基準速度とを比較して、取得した緩和速度が基準速度より小さくなる期間を拡散抵抗部分と判断することができる。つまり、拡散抵抗部分が特定されることになるから、拡散抵抗部分における緩和速度に基づいて電池群の劣化した状態の判定を行えるようになる。
(5)緩和速度と基準速度との差が最も大きく得られるところで緩和速度と基準速度とを比較することで電池モジュール10の劣化した状態の判定が好適に行えるようになる。
(6)端子間の電圧に基づいて全電池容量のうちの残容量を推定することから残容量の取得が容易である。
(7)一般に、残容量が少ないことに応じて、例えば「0」以下の深放電となる範囲では緩和速度が速い速度で一定になる一方、残容量が多いことに応じて緩和速度は遅くなる。緩和速度が大きく得られる放電による電圧降下量が大きい範囲において、例えば残容量が「0」よりも多くて緩和速度の遅いセルの影響が電池モジュール10の緩和速度を遅い速度として取得させる。よって、電池モジュール10を構成するセルに容量ばらつきが生じているか否かをより好適に判定することができる。
(その他の実施形態)
なお、上記実施形態は以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、劣化判定装置30は、電圧計23と、放電回路26と、電流計25とに接続されている場合について例示した。しかしこれに限らず、劣化判定装置は、SOCが調整された電池モジュールについて測定するのみであれば、電流計や放電回路に接続されていなくてもよい。
・上記実施形態では、電池モジュール10が6個の単電池100から構成されたが、6個以外の複数個の単電池から構成されていてもよい。また、電池モジュールは、単電池から構成されていてもよい。
・上記実施形態では、残存放電工程で電池モジュール10をSOCが「0%」になるまで放電させる場合について例示したが、これに限らず、残存放電工程では、電池モジュールを、電圧の変化が大きいSOC領域、換言すると、電圧降下量の大きいSOC領域まで放電させるようにしてもよい。例えば、ニッケル水素二次電池の場合、SOCが「20%」以下の領域が放電による電圧降下量が大きいSOC領域に対応する。
例えば、SOCばらつきのある劣化した状態の電池モジュール10を放電してそのSOCが所定のSOCになるように電圧が調整されたとしても、劣化したセルのSOCは所定のSOC未満となり、他のセルのSOCは所定のSOCを超えることから、該他のセルの影響で緩和速度が小さくなる。このとき、劣化した状態の電池モジュール10のSOCを電圧変化の大きいSOC領域になるように調整していれば、その緩和速度と正常な電池モジュール10の緩和速度との差が大きくなるため、二次電池の劣化した状態を好適に判定することができる。
また例えば、電池モジュール10のSOCの大きさが、放電による電圧降下量が大きいSOC領域にはなく、該SOC領域よりも大きな値であるとき、電圧変化が小さくなることに応じて取得できる緩和速度が小さくなる。しかしながら、SOCばらつきのある劣化した状態の電池モジュール10と、SOCばらつきのない正常な状態の電池モジュール10との間の緩和速度の差が小さいとしても、その緩和速度を取得することができれば上述のように二次電池の劣化の状態を判定することができる。
・上記実施形態では、二次電池がニッケル水素二次電池である場合について例示したが、これに限らず、二次電池は、リチウムイオン二次電池や、ニッケルカドミウム二次電池等のアルカリ二次電池や、その他の二次電池であってもよい。
・上記実施形態では、1つのセルが他のセルに比較してSOCが低下した、いわゆる劣化した場合について例示したが、これに限らず、2つのセルやそれ以上のセルが劣化していたとしてもよい。劣化しているセルが多くなったとしても、変化量が大きくなるため電池モジュールの不具合は検出される。
・上記実施形態では、電池ばらつきが温度ばらつきによって生じる場合について例示したが、これに限らず、電池ばらつきは、使用された単電池の一部や未使用の単電池の一部に生じた微小短絡によるものであってもよい。これにより、劣化判定装置の適用可能性が高められる。
・上記実施形態では、二次電池の状態判定方法を電池モジュール10に適用する場合について例示したが、これに限らず、二次電池の状態判定方法を複数の電池モジュールが組み合わされた電池パックに適用してもよい。そして、電池パックの状態が不良と判定された場合、この電池パックを電池モジュールに分解して状態を判定するとよい。この場合、電池パックが正常な状態であると判定されたとき、この電池パックを解体する必要がないため、判定に要する手間を減らすことができるとともに、判定に要する時間も減らすことができるようになる。
・上記実施形態では、二次電池は自動車の電源として用いられる場合について例示した。しかしこれに限らず、二次電池は、電源として用いられるものであれば、各種の移動体や固定体など自動車以外の電源として用いられてもよい。
10…電池モジュール、11…正極端子、12…負極端子、23…電圧計、25…電流計、26…放電回路、30…劣化判定装置、31…電圧変化測定部、32…緩和速度計算部、33…判定部、34…通知部、35…記憶部、36…判定用閾値、100…単電池、101〜106…セル、111…負極板、112…正極板、113…電極群、114,115…集電板、NL…負側配線、PL…正側配線。

Claims (8)

  1. 複数の単電池が直列接続されてなる電池群の状態を判定する二次電池の状態判定方法であって、
    前記電池群を残容量が所定の容量になるまで放電させる工程と、
    前記所定の容量になった前記電池群について、前記電池群の端子間を開放した後、前記端子間の電圧が上昇する速度である緩和速度を取得する工程と、
    前記取得した前記緩和速度のうちから拡散抵抗部分に対応する緩和速度を特定し、この特定した緩和速度が予め設定した判定用閾値よりも小さいことに基づいて前記電池群の前記複数の単電池の間で残容量にばらつきが生じていると判定する工程と、を備える
    二次電池の状態判定方法。
  2. 前記拡散抵抗部分に対応する対象期間が予め設定されており、
    前記判定する工程では、前記取得した前記緩和速度のうちから前記対象期間に対応する部分を前記拡散抵抗部分として特定する
    請求項1に記載の二次電池の状態判定方法。
  3. 前記対象期間を、前記複数の単電池の間で残容量にばらつきが生じている二次電池について、前記放電させる工程及び前記取得する工程に基づいて取得した緩和速度と予め設定した基準速度とを比較して、前記取得した緩和速度が前記基準速度よりも小さくなる期間に対応する期間として得る
    請求項2に記載の二次電池の状態判定方法。
  4. 前記拡散抵抗部分を、前記取得した前記緩和速度と予め設定した基準速度とを比較して、前記取得した緩和速度が前記基準速度よりも小さくなる期間に対応する部分とする
    請求項1に記載の二次電池の状態判定方法。
  5. 前記基準速度との差が最も大きい前記緩和速度を前記特定した緩和速度とする
    請求項3又は4に記載の二次電池の状態判定方法。
  6. 前記所定の容量を前記端子間の電圧が所定の電圧であることに基づいて推定する
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の二次電池の状態判定方法。
  7. 前記所定の電圧を放電による電圧降下量が大きい範囲に設定する
    請求項6に記載の二次電池の状態判定方法。
  8. 複数の単電池が直列接続されてなる電池群の状態を判定する二次電池の状態判定装置であって、
    前記電池群を残容量が所定の容量になるまで放電させる放電部と、
    前記所定の容量になった前記電池群について、前記電池群の端子間を開放した後、前記端子間の電圧が上昇する速度である緩和速度を取得する緩和速度取得部と、
    前記取得した前記緩和速度のうちから拡散抵抗部分に対応する緩和速度を特定し、この特定した緩和速度が予め設定した判定用閾値よりも小さいことに基づいて前記電池群の前記複数の単電池の間で残容量にばらつきが生じていると判定する判定部と、を備える
    二次電池の状態判定装置。
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