JP6742561B1 - 自律分散制御システム - Google Patents

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Abstract

自律分散制御システムにおいて、被覆領域が動的に変化しても大域的な収束安定性を満たすことが可能な技術を提供することを目的とする。第1移動体は、被覆境界に関して第1移動体と反対側に仮想移動体を生成する写像を行う被覆境界取得部と、第1移動体と、複数の第2移動体と、仮想移動体とがネットワークによって結合されていると仮定して、第1移動体の制御を示す指令値を生成する被覆制御演算部と、指令値に基づいて第1移動体の移動を制御する移動体制御部とを備える。

Description

本発明は、複数の移動体が自律的かつ分散的な制御によって予め定められた被覆領域を被覆する自律分散制御システムに関する。
近年、複数の移動する物体(以下、それぞれを「移動体」と記す)が編隊を組んで、一定の目的を達成する制御技術が提案されており、その制御技術によって、人が社会性をもって解決してきた問題を解決することが期待されている。
例えば、空間を自在に移動できるドローンが、人の代わりに広い範囲を定期的に探索する業務を行うことが期待されている。また、例えば、自律走行が可能な搬送車両が、人の代わりに工場や物流倉庫の物資を搬送することが実現されつつある。さらに、人の手を介在しない高度自動運転が可能な自動運転車両が、渋滞緩和化のために車間距離を縮めた隊列走行を行うことなどが期待されている。
しかしながら上記技術では、複数の移動体に対して密集して行動することや互いの動きを同期させることが要求されるため、移動体群の制御が不安定であると大きな不具合が生じてしまう可能性がある。そのため、各移動体が各自の情報を使用していた従来の制御システムを、複数の移動体が移動体群として機能するように、複数の移動体が複数の移動体全体の情報を使用する新しい制御システムが提案されている。
複数の移動体が移動体群として機能する制御システムは、移動体群全体の情報を中央管理装置などで中央集権的に処理するものと、ある移動体が観測した局所的な情報を近くの別の移動体との間で受け渡して分散的に処理するものと、に分けられる。ここで、前者の制御システムは、制御の収束時間やエネルギーの最適化などの観点から制御効率に優れた手法であるが、情報集中による通信の混雑化や空間の拡大による収束時間の遅延化などの物理的な制約を受けるため、大規模なシステムには適さない。一方、後者の制御システム(以下「自律分散制御システム」と記す)は、各移動体が自律的かつ分散的な制御によって行動する。この自律分散制御システムは、各移動体が局所的な情報しか処理しないため、収束性や安定性には多少の課題がある。しかしながら、小規模に情報を処理する集団が互いに連携して全体の制御システムの機能を実現するため、大規模なシステムに適している。
自律分散制御システムは、移動体群内の複数の移動体を所望の位置に配置すること(合意)と、移動体群内の複数の移動体を空間に効率的に配置すること(被覆)と、のいずれかを行う。なお、一般的に、自律分散制御システムは、合意と被覆とを同一のスキームで扱えないとされている。
合意を扱う自律分散制御システムは、比較的小規模なシステムにおいて効果が発揮されやすい。一方、被覆を扱う自律分散制御システムは、比較的大規模なシステムに適用されることが期待されている。例えば、被覆を扱う自律分散制御システムは、費用、解像度、及び、時間に制約が大きい衛星または航空機による広範囲の観測または監視を、ドローン群またはそれに類する安価な移動体群で置き換えることができる。このため、安価で更新頻度及び利便性が高いサービスの構築が期待されている。また、被覆を扱う自律分散制御システムは、交通、電力インフラ及びショッピングモールでの配送システム、またはそれらに限らない100以上の移動体で構成されるシステムにおいて、移動体の整流化による効率化、またはそれらに類する効率化が期待されている。
しかしながら、自律分散制御システムは、局所的な情報で移動体群の全体を制御するため、大域的な収束安定性が課題とされている。特に、被覆を扱う自律分散制御システムは大規模なシステムとなることが想定されるため、制御則の収束安定性を高めることは、信頼性及び安全性にとって必要不可欠である。また、近年普及しつつある機械学習、またはそれらに類するヒューリスティックな制御手法は、自律分散制御システムにおける収束安定性の改善には適さない。
以上のような問題に対して、これまでに自律分散制御システムにおいて、大域的な収束安定性を改善するための設計方法がいくつか提案されている。
例えば、非特許文献1には、複数の移動体の間で情報を繋ぐネットワークが形成されている状態で、その数理的な構造から、大域的な収束安定性を判定すること、及び、ボロノイ領域を定義して、当該ボロノイ領域の重心に基づく指令値を求めることが提案されている。例えば、非特許文献2には、勾配関数の停留点を制御の指令値とすることが、大域的な収束安定性を満たす制御指令値の必要十分条件であると提案されている。なお、勾配関数には、ネットワークを構成し、互いに情報をやりとりする任意の2つの移動体を含む移動体の集合を要素とする関数の線形和で表される関数を用いることが提案されている。例えば、特許文献1には、上空から地上を監視する飛行装置とセンタ装置とから構成される監視システムが提案されている。
特開2019−20992号公報
東 俊一、外5名、「マルチエージェントシステムの制御」、コロナ社 桜間 一徳、外2名、「マルチエージェントシステムに対するすべての勾配型分散制御器のパラメータ表現」、計測自動制御学会論文集、2012年、Vol.48、No.6、p.311−317
しかしながら、ボロノイ領域を定義する従来の被覆制御では、制御対象とする全ての移動体が、被覆領域に関する情報を共有しなければならない。具体的には、各移動体は、ボロノイ領域を計算するために、被覆領域を閉包する被覆境界の情報を互いに共有しなければならない。もし、各移動体が有する被覆境界の情報が異なる場合、移動体ごとに算出されるボロノイ領域が異なることになるため、自律分散制御は大域的な収束安定性を満たすことができなくなるという問題がある。
被覆領域に関する情報を共有しなければならないという以上のような制約により、従来の被覆制御は、被覆境界の一部を動的に変化させることが困難であり、被覆領域を静的に扱わなければならないという問題があった。この結果、従来の被覆制御では、被覆領域の一部を変形する、2つの被覆領域を1つに結合する、1つの被覆領域を2つ以上に分割する、またはそれらに類する被覆領域の動的な変化を扱うことが難しいため、実環境への適用が困難であるという問題があった。
そこで、本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、自律分散制御システムにおいて、被覆領域が動的に変化しても大域的な収束安定性を満たすことが可能な技術を提供することを目的とする。
本発明に係る自律分散制御システムは、情報を繋ぐネットワークで結合された第1移動体及び複数の第2移動体が、予め定められた被覆領域を、自律的かつ分散的な制御によって被覆する自律分散制御システムであって、前記第1移動体は、前記被覆領域を閉包する被覆境界に関して、前記被覆境界の幾何形状と前記第1移動体の状態量とに基づいて仮想移動体を生成する写像を行う被覆境界取得部と、前記複数の第2移動体の状態量を取得する情報取得部と、前記仮想移動体を前記第1移動体と結合された第2移動体とみなして、前記第1移動体と、前記複数の第2移動体と、前記仮想移動体とを結合するネットワークを求めるネットワーク演算部と、前記ネットワークに基づいて位数により分類された完全グラフの集合を求め、前記完全グラフの集合に基づいて前記第1移動体の制御を示す指令値を生成するための制御グラフを選別するグラフ演算部と、前記制御グラフに基づいて、前記指令値を生成する被覆制御演算部と、前記被覆制御演算部で生成された前記指令値に基づいて前記第1移動体の移動を制御する移動体制御部とを備える。
本発明によれば、被覆領域を閉包する被覆境界に関して第1移動体と反対側に仮想移動体を生成する写像を行い、第1移動体と、複数の第2移動体と、仮想移動体とがネットワークによって結合されていると仮定して、第1移動体の制御を示す指令値を生成し、当該指令値に基づいて第1移動体の移動を制御する。このような構成によれば、自律分散制御システムにおいて、被覆領域が動的に変化しても大域的な収束安定性を満たすことができる。
本発明の目的、特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
実施の形態1に係る自律分散制御システムの構成を模式的に示す図である。 実施の形態1に係る自律分散制御システムの動作を模式的に示す図である。 実施の形態1に係る第1移動体の機能構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る自律分散制御システムの動作を模式的に示す図である。 実施の形態2に係る自律分散制御システムの構成を模式的に示す図である。 実施の形態2に係る第1移動体の機能構成を示すブロック図である。 実施の形態2に係る自律分散制御システムの動作を模式的に示す図である。 実施の形態2に係る自律分散制御システムの動作を模式的に示す図である。 実施の形態3に係る自律分散制御システムの動作を模式的に示す図である。 実施の形態3に係る自律分散制御システムの動作を模式的に示す図である。 実施の形態4に係る第1移動体の機能構成を示すブロック図である。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る自律分散制御システムの構成を模式的に示す図である。まず、本実施の形態1に係る自律分散制御システムの概要、及び、その説明に用いられる用語について説明する。
本実施の形態1に係る自律分散制御システムは、移動体群を備えており、移動体群は、第1移動体1と、複数の第2移動体2と、複数の第3移動体3とを含んでいる。第1移動体1、複数の第2移動体2、及び、複数の第3移動体3のそれぞれ、つまり各移動体は、自律分散的に編隊行動を指示された場合に、自律的に移動する機能を有する複数の機械の集団を成す移動体である。各移動体は、例えば、ドローン、自動運転車両などであるが、これに限ったものではない。
第1移動体1及び複数の第2移動体2は、情報を繋ぐネットワーク4で結合されている。この場合、第1移動体1及び複数の第2移動体2を、ネットワーク4の「節点」と呼ぶことができる。また、移動体同士がネットワークの結合によって情報の繋がりを持つことを、「隣接する」と呼ぶことができ、情報の繋がりを持つ状態(隣接状態)を、ネットワーク4の「枝」と呼ぶことができる。
ここで、第1移動体1は、移動体群のうちの任意の1つの移動体である。
第2移動体2は、移動体群のうち、第1移動体1と情報の繋がりを持つ移動体である。第2移動体2は、他の第2移動体2との通信を介さずに第1移動体1と情報の繋がりを持つ移動体であってもよいし、他の第2移動体2との通信を介して第1移動体1と情報の繋がりを持つ移動体であってもよい。
第3移動体3は、移動体群のうち、第1移動体1と情報の繋がりを持たない移動体である。
ネットワーク4で接合された第1移動体1及び複数の第2移動体2は、予め定められた被覆領域5を、自律的かつ分散的な制御によって被覆する。被覆領域5とは、例えば面や線などの被覆境界6で閉包された領域であり、具体的には、曲面で閉包された空間の占める範囲、または、曲線で閉包された平面の占める範囲である。第1移動体1に認識される被覆境界6は1つであってもよいし、複数であってもよい。なお、特に記載がない限り、移動体群は同一の被覆領域5を被覆することを目的としているものとする。
被覆領域5が可視である場合、第1移動体1は、いずれも図示しない通信装置、センサ及び演算装置と協働する制御器を備える。これにより、第1移動体1は、ネットワーク4から第2移動体2の状態量を取得して被覆領域5を被覆すること、つまり被覆領域5の被覆の達成が可能である。この際、第1移動体1の制御器は、第1移動体1周囲の第2移動体2の観測結果からボロノイ領域の重心を演算して、被覆領域5を被覆するための第1移動体1の制御を示す指令値である制御指令値を生成する。つまり、第1移動体1は、被覆領域5を閉包する全ての被覆境界6と、第1移動体1の位置と、第2移動体2の位置とに基づいてボロノイ領域を演算し、第1移動体1が含まれるボロノイ領域の重心に基づく制御指令値を生成する。
第2移動体2または第3移動体3も、第1移動体1と同様に構成され、第2移動体2または第3移動体3が含まれるボロノイ領域の重心に基づく制御指令値を生成する。移動体群の各移動体は、各制御指令値が示すボロノイ領域の重心に向かって移動することで、大域的な収束安定性が満たされた被覆を行うことができる。
上記被覆制御による収束安定性では、第1移動体1、第2移動体2及び第3移動体3の各々が同じ被覆領域5ひいては被覆境界6を共有することを必要要件とする。このため、被覆領域5が変化する場合、各移動体はその変化をネットワーク4で共有する必要がある。しかしながら、ネットワークを構成する手段に高い性能が要求されるため、移動体の数が多い大規模な移動体群に適したシステムを構成することは困難である。
このことに鑑みて、第1移動体1は、上記構成に加えて、被覆境界6を認識する検出器と、被覆境界6を状態量とする演算装置とを備える。そして、図2に示すように、第1移動体1は、被覆領域5を閉包する被覆境界6に関して第1移動体1と反対側に仮想移動体7を生成する写像を行う。第1移動体1は、被覆境界6の幾何形状と、第1移動体1で取得された第1移動体1の状態量とに基づいて上記写像を行うことにより、仮想移動体7の状態量を生成する。
この際、第1移動体1と仮想移動体7とは隣接するものとして扱う。すなわち、第1移動体1と、第1移動体1とネットワーク4によって結合された複数の第2移動体2と、仮想移動体7とがネットワーク4によって結合されていると仮定する。第1移動体1は、この仮定下で、例えばボロノイ領域の重心の演算などを行うことによって、第1移動体1の制御を示す制御指令値を生成する。
以上の構成によれば、第1移動体1は、被覆境界6の情報を局所的に取得し、当該被覆境界6の情報を仮想移動体7として扱って制御指令値を生成する。これにより、自律分散制御システムにおける第1移動体1などの移動体は、被覆領域5が動的に変化しても、被覆領域5の情報の変化をネットワーク4から仮想移動体7の状態量の変化として取得できるため、大域的な収束安定性を満たすことができる。
以上により、被覆領域5が動的に変化しても、移動体群は、大域的な収束安定性を満たす被覆を実現することができる。このとき、各移動体は、局所的な情報のみで制御指令値を生成するため、ネットワーク4を構成する手段を簡素な仕組みで構築できる。したがって、比較的簡素でかつ比較的小型の機器によって、上記システムを実現することができる。
次に、本実施の形態1に係る自律分散制御システムの詳細について説明する。図3は、本実施の形態1に係る第1移動体1の機能構成を示すブロック図である。なお、第2移動体2及び第3移動体3の機能構成も、第1移動体1の機能構成と同様であってもよい。
図3に示される第1移動体1の機能構成について説明する前に、第1移動体1のハードウェア構成について説明する。第1移動体1は、第1移動体1が自律的に移動するように、現在の位置と目標の位置との経路を演算し、経路にそって第1移動体1の駆動源を制御する制御器と、第2移動体2とネットワーク4を形成する通信装置及び検出器のいずれか及び演算装置と、被覆境界6を検出する検出器と、を備える。
第1移動体1が自律的に移動するための制御を行う上記制御器は、第1移動体1の状態量を観測する手段を含む。第1移動体1の状態量を観測する手段は、例えば、第1移動体1の速度ベクトルを検出する速度計である。第1移動体1の状態量を観測する手段は、速度計による速度ベクトルの検出に限定されず、例えば、撮像による位置推定、照射体(レーダー、レーザー、超音波)による測位、加速度計や角加速度計による積分、GPS(Global Positioning System)に類する絶対位置の測位などの、移動体の運動を計測する手段であればよい。なお、第1移動体1は、観測された第1移動体1の状態量を格納する記憶装置を備えていてもよい。
上記手段により観測される第1移動体1の状態量は、第1移動体1が自律的に移動するための情報である。第1移動体1の状態量は、例えば、所定の空間における第1移動体1の速度ベクトルである。なお、第1移動体1の状態量は、速度ベクトルに限定されず、例えば、所定の空間における位置ベクトルや加速度ベクトル、角速度ベクトル、姿勢角、またはそれらに類する運動に係るその他の状態量であってもよい。
第1移動体1は、上記ハードウェアの機能に加えて、図3に示される機能構成を備える。図3に示される第1移動体1の機能構成について説明する。図3の第1移動体1は、情報取得部81と、被覆境界取得部である被覆境界検出部82と、ネットワーク演算部83と、グラフ演算部84と、被覆制御演算部85と、移動体制御部86とを備える。
<情報取得部81>
情報取得部81は、複数の第2移動体2の状態量を取得する。情報取得部81は、例えば、第2移動体2とネットワーク4を形成する通信装置及び検出器のいずれかと演算装置とによって構成される。
情報取得部81は、第1移動体1の状態量を第2移動体2に送信し、第2移動体2の状態量を第2移動体2から受信する送受信器からなる送受信部81aを備える。
送受信部81aは、例えば、電波を用いる通信手段である。なお、送受信部81aは、電波を用いる通信手段に限定されず、例えば、光や音、それらに類する搬送波に情報を付与する通信手段であってもよい。また、送受信部81aは、画像出力装置や照明装置またはそれに類する装置で情報を光量の分布に変換し、撮像機器により光量の分布から情報を復元する通信手段であってもよい。なお、送受信部81aは、情報を送信および受信する手段であれば、どのような種類の手段であってもよい。
送受信部81aは、複数の第2移動体2の1つの第2移動体2から状態量が一定時間取得できなかった場合、または、複数の第2移動体2のうちの移動体が自律分散制御システムの機能を満たさないと判定した場合には、当該1つの第2移動体2を、第2移動体2としてではなく第3移動体3として扱ってもよい。つまり、第1移動体1と上記1つの第2移動体とがネットワークによって結合されていないとしてもよい。
一方、送受信部81aは、当初の時点では第3移動体3であったが、その後、第3移動体3から状態量を取得することができた場合などには、当該第3移動体3を第2移動体2として扱ってもよい。
情報取得部81は、第2移動体2の状態量を観測する測定部81bを備える。
測定部81bは、例えば、ステレオカメラなどの検出器と、検出器の検出結果から第2移動体2の相対位置を観測する演算装置とからなる距離方位測定手段である。なお、測定部81bは、ステレオカメラを用いる距離方位測定手段に限定されず、例えば、電磁波や超音波またはそれに類する搬送波を第2移動体2や周囲に放出し、その反射波を計測する距離方位測定手段であってもよい。なお、測定部81bは、状態量を観測する手段であれば、どのような種類の手段であってもよい。
なお、図3の情報取得部81は、第2移動体2の状態量を取得可能な送受信部81aと、第2移動体2の状態量を取得可能な測定部81bとの両方を備えているが、情報取得部81の構成はこれに限定されない。例えば、情報取得部81は、送受信部81aから制御指令値の生成に必要な第2移動体2の状態量を取得できる場合には、測定部81bを備えなくてもよいし、測定部81bから制御指令値の生成に必要な第2移動体2の状態量を取得できる場合には、送受信部81aを備えなくてもよい。
なお本実施の形態1では、複数の第2移動体2の状態量は、被覆領域5を基準とする複数の第2移動体2の位置及び速度、並びに、複数の第2移動体2を結合しているネットワーク4の情報を含んでもよい。そして、情報取得部81は、第1移動体1に対する第2移動体2の相対位置及び相対速度を検出し、当該相対位置及び当該相対速度に基づいて、第2移動体2の状態量に含まれる第2移動体2の位置及び速度を推定すること、及び、第2移動体2からネットワーク4を介して第2移動体2の状態量に含まれる第2移動体2の位置及び速度を受信すること、の少なくともいずれか一方を行ってもよい。
<被覆境界検出部82>
被覆境界検出部82は、被覆領域5を閉包する被覆境界6を検出し、当該被覆領域5に関して第1移動体1と反対側に仮想移動体7を生成する写像を行う。被覆境界検出部82は、例えば、被覆境界6の幾何形状と、第1移動体1で取得された第1移動体1の状態量とに基づいて写像を行うことにより、仮想移動体7の状態量を生成する。なお、被覆境界検出部82は、例えば、第1移動体1が自律的に移動するための装置に含まれる。
被覆境界6は、例えば、壁等に類する障害物であってもよい。被覆境界検出部82は、例えば、同一面に対する距離方位測定手段であり、測定した障害物の幾何形状を被覆境界6の幾何形状として検出する。なお、被覆境界検出部82は、障害物の距離方位を測定する手段に限定されず、例えば、測距による状態推定によって被覆境界6の幾何形状を推定するものであってもよい。
また被覆境界6は、例えば、白線等に類する標識であってもよい。被覆境界検出部82は、例えば、撮像等によって得られた環境情報に含まれる標識を抽出し、標識の幾何形状を被覆境界の幾何形状として検出する。なお、被覆境界検出部82は、撮像により標識を抽出する手段に限定されず、環境に掲示された標識に基づく状態推定によって被覆境界6の幾何形状を推定するものであってもよい。
被覆境界検出部82は、例えば、被覆境界6の幾何形状を区分してなる複数の線分要素を対称軸として、第1移動体1と線対称となる仮想移動体7を上記写像によって生成する。線分要素は、例えば、予め規定された論理式を用いた演算を被覆境界6に行うことにより導出される。被覆境界検出部82は、第1移動体1の状態量から第1移動体1が被覆領域5の内外のいずれに位置するかを判定してもよい。なお、この判定は、被覆境界検出部82で行われてなくてもよい。例えば、第1移動体1とは別に設置された、移動体群を管理する装置が、第1移動体1を検出して被覆領域5の内外のいずれに位置するかを判定し、その結果を第1移動体1の送受信部81aまたは測定部81bに送信してもよい。
仮想移動体7の状態量が、被覆境界6の線分要素を対称軸として第1移動体1の状態量と線対称となるように生成される場合、第1移動体1と仮想移動体7との垂直二等分線は、当該線分要素と一致する。
<ネットワーク演算部83>
ネットワーク演算部83は、第1移動体1で取得された第1移動体1の状態量と、情報取得部81で取得された複数の第2移動体2の状態量と、被覆境界検出部82で生成された仮想移動体7の状態量とを受け取る。ネットワーク演算部83は、例えば、第1移動体1が自律的に移動するための装置に含まれる。なお、ネットワーク演算部83は、受け取った状態量を格納する記憶装置を備えてもよい。
ネットワーク演算部83は、第1移動体1の状態量と、複数の第2移動体2の状態量と、仮想移動体7の状態量とに基づいて、第1移動体1と、複数の第2移動体2と、仮想移動体7とを結合するネットワークを求める。つまり、ネットワーク演算部83は、仮想移動体7が第1移動体1及び複数の第2移動体2と情報の繋がりを有して隣接するものとして、第1移動体1のネットワークに含める。
ネットワーク演算部83は、例えば、第1移動体1の状態量に含まれる位置情報と、仮想ではない1つの移動体の状態量に含まれる位置情報とに基づいて、当該1つの移動体が第1移動体1の状態量を取得しているか否かを推定する。そして、ネットワーク演算部83は、当該1つの移動体が第1移動体1の状態量を取得していると推定した場合に、当該移動体を、第1移動体1と情報の繋がりを有する第2移動体2であると判定する。
また、ネットワーク演算部83は、例えば、第2移動体2の状態量に含まれる識別子から、第1移動体1、第2移動体2及び第3移動体3を含む移動体群のネットワークの一部を推定して、移動体群に含まれる局所的な移動体の集合におけるネットワークの構造を推定する。なお、ネットワークの構造は、情報の繋がりを有する複数の移動体(節点)と、移動体の間の情報の繋がりの状態である隣接状態(枝)との集合によって表される。同様に、ネットワーク演算部83は、第1移動体1のネットワークの構造に、仮想移動体7をさらに含める。
また、ネットワーク演算部83は、例えば、第1移動体1のネットワークの情報を特定のバッファに格納し、第1移動体1の状態量に含める。このとき、ネットワーク演算部83は、第1移動体1のネットワークの情報に、仮想移動体7の状態量を含めてもよい。
また、ネットワーク演算部83は、例えば、送受信部81aが第2移動体2のネットワークの情報を取得した場合、第1移動体1のネットワークと第2移動体2のネットワークとを重ね合わせる演算を行う。この演算により、ネットワーク演算部83は、移動体群のうち情報の繋がりを有するいくつかの移動体の集合、つまり局所的な隣接状態の移動体の集合からなるネットワークを求めることができる。
<グラフ演算部84>
グラフ演算部84は、ネットワーク演算部83で求められたネットワークから、制御指令値を生成するための制御グラフを生成する。なお、制御グラフなどのグラフは、ネットワークを表す複数の節点及び複数の枝の集合要素であり、節点(頂点)と、枝(辺)とを組み合わせた図形である。グラフ演算部84は、例えば、第1移動体1が自律的に移動するための制御器に含まれる。グラフ演算部84は、各々のグラフに対してグラフ理論に基づいて属性情報を分類し、グラフの情報として保持する。
グラフ演算部84は、例えば、ネットワーク演算部83で求められたネットワークから、任意の2つ移動体が互いに情報の繋がりを有して隣接する節点及び枝の組み合わせの集合を、完全グラフとして求める。なお、グラフ演算部84は、節点及び枝を網羅的に組み合わせることにより、完全グラフのグラフ集合として複数の完全グラフを求める。グラフ演算部84は、完全グラフの節点の数(以下「位数」と記すこともある)によって複数の完全グラフを分類し、分類された複数の完全グラフから被覆制御の制御指令値を生成するための制御グラフを選別する。
グラフ演算部84が、ネットワーク演算部83で求められたネットワークに基づいて、ドロネー(Delaunay)グラフの演算を用いたドロネー三角形分割を行うことによって、制御グラフを生成する例について以下説明する。
まず、グラフ演算部84は、ネットワーク演算部83で求められたネットワークに基づいて、第1移動体1、複数の第2移動体2、及び、仮想移動体7から、第1移動体1を含み、位数が3である複数の三角形状の完全グラフを求める。すなわち、グラフ演算部84は、第1移動体1を含み、任意の2つの移動体が情報の繋がりを有する3つの移動体を3つの節点として有する完全グラフの集合を求める。
そして、グラフ演算部84は、求めた複数の三角形状の完全グラフから制御グラフを選別する。例えば、グラフ演算部84は、三角形状の完全グラフの外接円の内部に他の完全グラフの節点が含まれないか判定し、他の完全グラフの節点が外接円に含まれた完全グラフを複数の完全グラフから取除き、残った完全グラフを制御グラフとして選別する。これにより複数の制御グラフが選別された場合、複数の制御グラフは、それらの枝が互いに交わらない三角形状のグラフとなる。
図4は、上述の演算で得られる制御グラフ8を示す図である。図4には、制御グラフ8の一例として、第1移動体1と、第2移動体23と、仮想移動体7とを含む制御グラフ8などが図示されている。なお、上述の例で得られる制御グラフ8は、第1移動体1、複数の第2移動体2、及び、仮想移動体7に関して上記ドロネーグラフと等価である。複数の第2移動体2に含まれるすべての移動体が、第1移動体1に対して第3移動体3よりも近いとき、上述の例で得られる制御グラフは、第1移動体1、複数の第2移動体2及び仮想移動体7だけでなく、第3移動体3に関しても上記ドロネーグラフと等価となる。
<被覆制御演算部85>
被覆制御演算部85は、グラフ演算部84で生成された制御グラフに基づいて制御指令値を生成する。この結果、被覆制御演算部85は、第1移動体1と、複数の第2移動体2と、仮想移動体7とがネットワークによって結合されていると仮定して、第1移動体1の制御を示す制御指令値を生成することが可能となっている。なお、被覆制御演算部85は、例えば、第1移動体1が自律的に移動するための装置に含まれる。
まず、被覆制御演算部85が、第1移動体1と複数の第2移動体2とを含むが仮想移動体7を含まない制御グラフ8から、第1移動体1の制御を示す制御指令値を生成する場合について説明する。この場合、被覆制御演算部85は、例えば、第1移動体1の状態量と複数の第2移動体2の状態量とを含む勾配関数を用いて制御指令値を求める。
勾配関数には、例えば次式(1)に示すように、第1移動体1と複数の第2移動体2とに基づいて規定される閉領域に関して、第1移動体1と、複数の第2移動体2より第1移動体1に近い位置にある任意の点とのユークリッドノルムの2乗の集合和の関数が用いられる。
Figure 0006742561
勾配関数は、第1移動体1と複数の第2移動体2とに基づく閉領域上の点が、第1移動体1または複数の第2移動体2のいずれに近いかを判定可能な関数である。第1移動体1は、勾配関数の極値点である停留点に向かって移動することで、複数の第2移動体2のいずれとも衝突することなく被覆することが可能である。
以下、第1移動体1と複数の第2移動体2とに基づく閉領域のうち、1つの制御グラフ8を構成する第1移動体1と2つの第2移動体2とに基づく領域を「部分閉領域」と記す。被覆制御演算部85は、例えば、制御グラフ8の三角形状の外心と第1移動体1とを頂点として有する多角形の領域を、部分閉領域として制御グラフ8ごとに決定する。
この例の場合、被覆制御演算部85は、制御グラフ8の節点から、第1移動体1と、第1移動体1と第2移動体21との間の中点と、第1移動体1と第2移動体22との間の中点と、三角形状の制御グラフ8の外心と、で囲われる部分閉領域を、制御グラフ8ごとに決定することになる。また、この例の場合、部分閉領域に含まれる点は、第1移動体1と2つの第2移動体2とを節点とする位数が3である三角形状の制御グラフ8において、第1移動体1を含む2つの辺と、当該2つの辺の2つの垂直二等分線とで囲われる領域に含まれる点と等価である。そして、被覆制御演算部85は、複数の制御グラフ8の部分閉領域に含まれる任意の点のユークリッドノルムの2乗の集合和を示す勾配関数から、当該勾配関数の停留点を求める。
以上のように、被覆制御演算部85が、情報の繋がりを有して隣接する複数の第2移動体2を含む制御グラフ8の集合を要素とする関数の総和である勾配関数から、当該勾配関数の停留点を求める場合には、大域的に収束安定な被覆を実現することができる。
ここで、複数の部分閉領域からなる閉領域において任意の点のユークリッドノルムの2乗の集合和とする関数を勾配関数とするとき、勾配関数の停留点は、当該閉領域の重心と等価である。このため、被覆制御演算部85は、制御グラフ8ごとに得られる上記部分閉領域の重心g と、上記部分閉領域の面積S とを、次式(2)に適用することによって、閉領域全体の重心cent(C(x))、つまり勾配関数の停留点を求めることができる。
Figure 0006742561
被覆制御演算部85は、閉領域全体の重心、つまり勾配関数の停留点に、次式(3)を適用することによって制御指令値を求める。なお、次式(3)のuは、第1移動体1の制御を示す制御入力であり、第1移動体1を式(2)で表される重心の位置の方向に動かすための制御指令値に相当する。また、次式(3)のmassは、閉領域を剛体と仮定したときの質量に相当する。次式(3)で表される制御指令値により、第1移動体1は閉領域を均等に被覆する。
Figure 0006742561
第1移動体1の被覆境界は、勾配関数の閉領域の境界と等価であり、制御グラフ8が三角形状である場合には、第1移動体1の被覆領域はボロノイ領域と等価であり、第1移動体1の被覆境界は、ボロノイ領域の境界と等価である。
なお、勾配関数は、例えば、ユークリッドノルムに重みを乗じた関数であってもよい。具体的には、被覆制御演算部85は、制御グラフ8ごとに得られる上記部分閉領域の重心g と、上記部分閉領域の面積S と、上記部分閉領域に割り当てられた重みNとを、次式(4)に適用することによって、勾配関数の停留点を求めてもよい。なお、このときの制御指令値は、上式(3)と同様に表される。
Figure 0006742561
以上、被覆制御演算部85が、第1移動体1と複数の第2移動体2とを含むが仮想移動体7を含まない制御グラフ8から、第1移動体1の制御を示す制御指令値を生成する場合について説明した。被覆制御演算部85が、第1移動体1と、複数の第2移動体2と、仮想移動体7とを含む制御グラフ8から、第1移動体1の制御を示す制御指令値を生成する場合には、仮想移動体7を、上記複数の第2移動体2のいずれか1つと同様に扱えばよい。制御グラフ8に仮想移動体7が含まれる場合、上述の閉領域の境界は、第1移動体1と仮想移動体7との垂直二等分線と一致する。
<移動体制御部86>
移動体制御部86は、被覆制御演算部85で生成された制御指令値に基づいて第1移動体1の移動を制御する。移動体制御部86は、例えば、第1移動体1が自律的に移動するための装置に含まれる。移動体制御部86は、例えば、第1移動体1の駆動源に対するフィードバック制御系である。なお、移動体制御部86は、被覆制御演算部85の制御指令値を目標として第1移動体1の運動制御を行う制御系であれば、どのような種類のものであってもよい。
<実施の形態1のまとめ>
実施の形態1に係る自律分散制御システムによれば、第1移動体1について第2移動体2が動的に変化しても、大域的な収束安定性を満たすことが保障される条件下で、被覆境界検出部82で生成された仮想移動体7と、第2移動体2とを等価として扱う。このため、第1移動体1は、被覆境界6の動的な変化を、第2移動体2と等価である仮想移動体7の状態量の変化として扱うことができるので、大域的な収束安定性を満たすことができる。すなわち、本実施の形態1に係る移動体の自律分散制御システムは、被覆領域5が動的に変化しても大域的な収束安定性を満たすことができる。
また、本実施の形態1に係る移動体の自律分散制御システムは、図4に示すネットワーク4を構成する手段を簡素な仕組みで構築できる。したがって、比較的簡素な機器によって、上記効果が得られる自律分散制御システムを実現することができる。
また、本実施の形態1に係る移動体の自律分散制御システムは、ネットワークから制御グラフを生成するグラフ演算部84を備えているため、非特許文献2に記載されているように、大域的な収束安定性を満たす制御指令値の必要十分条件を満たすことができる。
なお、被覆制御演算部85の勾配関数は、制御グラフを基底とする関数の総和であれば、上式(2)で表される関数に限らない。被覆制御演算部85の勾配関数は、例えば、制御グラフに含まれる閉領域に関して、第1移動体1と、複数の第2移動体2より第1移動体1に近い位置にある任意の点とのユークリッドノルムの集合和であってもよい。また、被覆制御演算部85で用いる勾配関数が、ユークリッドノルムに重みを乗じた関数である場合には、移動体群の分布を任意に設計できるため、ある位置に局所的に移動体群を集中させるなど、均等分布以外に様々な状況に適合した分布で被覆を行うことができる。
次に、本実施の形態1に係る自律分散制御システムの社会的意義について述べる。移動体群による被覆は、例えば、空間をセンシングする用途に用いられる。様々なテロ事件に対する街中や屋内の人や物を監視する用途のため、センシングの需要、及び、被覆率の向上は高まっている。
一方、ロボットの自律走行技術や自動車の自動運転技術の高まりにより、自律制御された移動体が世間に普及しつつある。従来、移動体は目的ごとに独立した自律制御を備えていたが、適用される領域が拡大するに伴い、協調作業またはそれに類する高度な作業の需要が増えている。
以上のことから、移動体群による被覆は、社会的な需要と技術的な需要とが一致する重要な技術である。しかしながら、従来の移動体群の被覆は、被覆領域を動的に変化させずに大域的な収束安定性を満たすか、収束安定性を満たさないけれども被覆領域の動的な変化に対して被覆の制御指令値の演算と独立した演算を行うことで補正用の指令を与える制御を局所的に行うか、のいずれかの方法が選択されていた。
しかしながら、被覆領域が静的に扱われると、移動体群の被覆のロバスト性が損なわれた低性能のシステムとなる。一方、被覆の制御指令値の演算と独立した従来の演算では、大域的な収束安定性を満たさないと大きな不具合が生じる可能性がある。このため、従来の移動体群の被覆は、被覆領域の動的な変化に対するロバスト性と大域的な収束安定性とのいずれかしか満たさないため、広く実用化することが困難であった。これに対して本実施の形態1に係る自律分散制御システムは、被覆境界の動的な変化に対するロバスト性と大域的な収束安定性との両方を満たすことができるため、広く社会に貢献することができる。
<実施の形態2>
図5は、本発明の実施の形態2に係る自律分散制御システムの構成を模式的に示す図である。以下、本実施の形態2に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
本実施の形態2に係る自律分散制御システムの構成は、実施の形態1に係る自律分散制御システム(図1)の構成に、被覆境界制御部10が追加された構成と同様である。この被覆境界制御部10は、大域的な収束安定性を保ちながら、被覆境界6の幾何形状を仮想的に変更し、変更情報を第1移動体1に送信する。なお、図5では、被覆境界制御部10は、第1移動体1の外部に設けられているが、これに限定されるものではない。
本実施の形態2に係る被覆境界検出部82は、被覆境界制御部10によって変更された被覆境界6に関して実施の形態1で説明した写像を行うことによって仮想移動体7を更新する。ここでいう更新とは、仮想移動体7を削除すること、及び、仮想移動体7を新たに生成すること、の少なくともいずれか1つを含む。ネットワーク演算部83、グラフ演算部84、被覆制御演算部85及び移動体制御部86は、新たに生成された仮想移動体7に関して実施の形態1で説明した動作を行う。
次に、本実施の形態2に係る自律分散制御システムの詳細について説明する。図6は、本実施の形態2に係る第1移動体1の機能構成を示すブロック図である。図6に示すように、図5の被覆境界制御部10は、第1移動体1の被覆境界検出部82へ被覆境界6の変更情報を送信する。
第1移動体1の機能構成について説明する前に、上記において簡単に説明した被覆境界制御部10について詳細に説明する。
被覆境界制御部10は、例えば、移動体群の被覆領域5を管理する演算装置に備えられる。被覆境界制御部10は、例えば、被覆領域5を仮想的に変更するための演算部と、変更された被覆領域5の被覆境界6の近傍に位置する移動体を第1移動体1として、当該第1移動体1の被覆境界検出部82に被覆境界6の変更情報を送信する通信部とを有する。なお、被覆境界制御部10の演算部及び通信部の少なくとも一部が、第1移動体1の内部に設けられてもよい。
被覆境界制御部10の通信部は、例えば、交通標識などを撮像などによって被覆境界6として認識する標識認識装置を用いて、被覆境界6に対する変更操作に係る情報を検出し、当該情報に基づいて被覆境界6の変更情報を取得してもよい。また、被覆境界制御部10の通信部は、例えば、事前に規定された論理式を用いた内部処理の判定により、被覆境界6に対する変更操作に係る情報を検出し、当該情報に基づいて被覆境界6の変更情報を取得してもよい。
被覆境界制御部10の演算部は、例えば、一部の被覆境界6の法線方向に第1移動体1を平行移動させる操作を与えるために、被覆境界6の一部を法線方向に平行移動させた仮想的な被覆要素を、第1移動体1の被覆境界検出部82に与える。
図7は、被覆境界制御部10により一部の被覆境界6の法線方向に第1移動体1を平行移動させる操作を与える原理を示す図である。被覆境界検出部82は、例えば、被覆境界制御部10よって与えられる仮想的な被覆要素、つまり被覆境界6の変更情報から、被覆境界6の一部である線分要素の仮想的な平行移動を求める。このような被覆境界検出部82の動作により、被覆境界制御部10は、実質的に、被覆境界6の幾何形状の一部である線分要素を被覆領域5の内側または外側に移動することによって、被覆境界6の幾何形状を変更可能となっている。
以下、仮想的な移動前の被覆境界6の一部である線分要素を、仮想移動前の線分要素16aと記し、仮想的な移動後の被覆境界6の一部である線分要素を、仮想移動後の線分要素16bと記す。なお、図7には、仮想移動前の線分要素16aと第1移動体1の状態量とに基づいて生成された仮想移動体7aが図示されている。
被覆境界制御部10は、被覆境界6の変更情報を取得すると、第1移動体1と仮想移動体7aとの内分点または外分点の位置に新たな仮想移動体7bを生成するように、第1移動体1の被覆境界検出部82へ指示を与える。
被覆境界検出部82は被覆境界制御部10から指示を受けると、仮想移動体7aを取り除き、仮想移動後の線分要素16bと第1移動体1の状態量とに基づいて写像を行うことにより、新たな仮想移動体7bの状態量を生成する。この際、被覆境界検出部82は、第1移動体1と、仮想移動体7bの垂直二等分線が、仮想移動後の被覆境界6(線分要素16b)と一致するように、仮想移動体7bの位置(上記内分点または外分点の位置)を算出する。
被覆境界制御部10は、被覆境界6を検出する全ての移動体に対して、以上の動作と同様の動作を実施する。第1移動体1は、第1移動体1の被覆境界検出部82への入力を第1移動体1の状態量としてバッファに保持してもよいし、第2移動体2へ送信してもよい。
以上により、被覆境界6を検出する全ての移動体は、被覆境界6を仮想移動後の被覆境界6と認識して被覆を行う。ここで、被覆境界6を検出しない移動体は、被覆境界制御部10の指令を受けない、または指令を受けてもその影響が及ばないため、大域的な収束安定性は満たされる。
以上、被覆境界制御部10が、実質的に、被覆境界6の幾何形状の一部である線分要素を被覆領域5の内側または外側に移動する構成について説明した。なお、被覆境界制御部10は、例えば、被覆境界6近傍で移動体が避ける必要がある障害が発生した場合にその障害を避けるように被覆領域5の被覆境界6を増やしたり減らしたりする操作を与えてもよい。以下、この場合について説明する。
被覆境界制御部10は、例えば、被覆境界6に追加すべき線分要素、または、被覆境界6から削除すべき線分要素の情報を被覆境界検出部82に送信する。つまり、被覆境界制御部10は、被覆境界6の幾何形状を区分してなる複数の線分要素を追加または削除することによって、被覆境界6の幾何形状を変更する。被覆境界検出部82は、被覆境界制御部10から送信された情報に基づいて、被覆境界制御部10によって変更された被覆境界6に関して写像を行うことによって仮想移動体7を更新する。これにより、第1移動体1は新たな被覆境界6を認識する。
図8は、被覆領域5の被覆境界6を増やす操作を与える原理を示す図である。第1移動体1aは、第1移動体1bからみれば第2移動体2に相当し、第1移動体1bは、第1移動体1aからみれば第2移動体2に相当する。第1移動体1aは被覆境界6に関して仮想移動体7cを生成し、第1移動体1bは被覆境界6に関して仮想移動体7dを生成している。
被覆境界制御部10は、ある障害を回避するために、一部の被覆境界6を辺とし障害を囲む三角形を新たに構成する。図8の例では、この三角形として、二点鎖線と、線分要素として追加される被覆境界6a,6bとからなる三角形が示されている。なお、第1移動体1aは被覆境界6aに近接し、第1移動体1bは被覆境界6bに近接している。
被覆境界制御部10は、第1移動体1aの被覆境界検出部82に対して、第1移動体1aに近接する線分要素である被覆境界6aの情報を送信する。第1移動体1aの被覆境界検出部82は、被覆境界6aから仮想移動体7eを新たに生成する。第1移動体1aは、仮想移動体7cの基準となる二点鎖線を除く被覆境界6と、仮想移動体7eの基準となる被覆境界6aとで囲まれる領域の内部に留まるため、第1移動体1aは二点鎖線を除く被覆境界6と被覆境界6aとを境界とする新たな被覆領域5を被覆する。
同様に、被覆境界制御部10は、第1移動体1bの被覆境界検出部82に対して、第1移動体1bに近接する線分要素である被覆境界6bの情報を送信する。第1移動体1aの被覆境界検出部82は、被覆境界6aから仮想移動体7eを新たに生成する。第1移動体1bは、仮想移動体7dの基準となる二点鎖線を除く被覆境界6と、仮想移動体7eの基準となる被覆境界6bとで囲まれる領域の内部に留まるため、第1移動体1bは二点鎖線を除く被覆境界6と被覆境界6bとを境界とする新たな被覆領域5を被覆する。
第1移動体1aは、第1移動体1bとの垂直二等分線と、被覆境界6と、被覆境界6aとにより囲まれるため、障害を囲む三角形の内側に侵入することはない。同様に、第1移動体1bは、第1移動体1aとの垂直二等分線と、被覆境界6と、被覆境界6bとにより囲まれるため、障害を囲む三角形の内側に侵入することはない。
被覆境界制御部10の演算部は、例えば、被覆境界6を増やすために仮想移動体を仮定して、第1移動体1a及び被覆境界6の両方と近接する第1移動体1bと、第1移動体1aとについて垂直二等分線を導出してもよい。そして、被覆境界制御部10の演算部は、被覆境界6のうち当該2つ垂直二等分線で切取られる線分を被覆境界6a及び被覆境界6bとしてもよい。また、被覆境界制御部10による被覆境界6を増やす操作は上記に限らない。
<実施の形態2のまとめ>
次に、本実施の形態2に係る自律分散制御システムの社会的意義について述べる。本実施の形態2に係る自律分散制御システムによれば、外部などから局所的に情報を与えることで、移動体群が共有する被覆領域を変更できる。従来、移動体群の被覆領域は静的な情報であり、自律分散制御システムは被覆領域を被覆の制御中に変更できなかった。
被覆の制御中に被覆領域を変更する操作は、例えば、被覆領域の一部で問題が発生した場合に侵入禁止の指示を与える指令など、非定常な指令として行われることが想定される。このための操作として、非定常な指令を全体で共有する操作と、問題が発生した一部で非定常な指令を局所的に共有する操作と、のいずれかの操作が考えられる。
非定常な指令を全体で共有する自律分散制御システムでは、新しい被覆領域を全体で共有し直す必要があるために、被覆に指令が反映されるまでに比較的長い時間を要する。また、当該自律分散制御システムでは、情報が共有されるまで全ての移動体の制御を停止する必要がある。さらに、情報が共有されたか否かを判定する機能が新たに要求される。これらが満たされるとき、当該自律分散制御システムでは、非定常な指令に対して大域的な収束安定性が満たされる。
一方、非定常な指令を局所的に共有する自律分散制御システムでは、被覆領域の変化を必要とする被覆境界の近傍の移動体のみ被覆領域を修正するため、全体で被覆領域を共有する場合に比べて短い時間で、被覆に指令を反映させることができる。また、当該自律分散制御システムでは、局所的に移動体の制御を停止すればよいため、全体として被覆を実行し続けることができる。しかしながら、移動体群は、被覆領域が異なる2つ以上の群に分かれ、その界面で不連続性が発生するため、当該自律分散制御システムでは、非定常な指令に対して大域的な収束安定性が満たされない。
従来の自律分散制御システムは、上記のように互いにトレードオフの関係にある2つの自律分散制御システムのいずれかであった。このため、従来の自律分散制御システムでは、適用する問題に応じて、被覆に指令が反映されるまでの時間と、大域的な収束安定性と、のいずれかを犠牲にする必要があった。
これに対して本実施の形態2に係る自律分散制御システムでは、非定常な指令を局所的に共有するため、被覆に指令が反映されるまでの時間を短くすることができ、かつ、仮想移動体の生成により大域的な収束安定性が損なわれることを抑制することができる。
このような本実施の形態2に係る自律分散制御システムは、被覆境界制御部10により被覆領域を動的に扱うことができるため、例えば、森林火災の監視などの、観測領域が時々刻々と変化する現象の監視に適用できる。
また、本実施の形態2に係る自律分散制御システムは、例えば、走行車線中に生じる障害物を検知した自動運転車両が、周囲の自動運転車両に障害物の情報を送信することにより、障害物によって変更された被覆領域を共有するシステムに適用することができる。この場合、自動運転車両の隊列走行においてロバスト性が損なわれない安全な制御を実現することができる。このように本実施の形態2によれば、被覆領域を時変とすることでロバスト性が損なわれない自律分散制御システムを実現することができ、様々な移動体群の自律分散制御において安全性や信頼性を高めることができる。
<実施の形態3>
図9及び図10は、本発明の実施の形態3に係る自律分散制御システムの動作を模式的に示す図である。なお、本実施の形態3に係る第1移動体1の機能構成を示すブロック図は、実施の形態2に係る第1移動体1の機能構成を示すブロック図(図6)と同様である。以下、本実施の形態3に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
本実施の形態3では、被覆境界制御部10は、隣り合う複数の被覆領域を1つの被覆領域に合流することによって、被覆境界6の幾何形状を変更する。つまり、本実施の形態3における自律分散制御システムでは、被覆領域の合流に対応する移動体群の結合を行う操作が可能となっている。
または、本実施の形態3では、被覆境界制御部10は、1つの被覆領域を隣り合う複数の被覆領域に分岐することによって、被覆境界6の幾何形状を変更する。つまり、本実施の形態3における自律分散制御システムでは、被覆領域の分岐に対応する移動体群の分割を行う操作が可能となっている。
図9は、被覆領域5cで囲われる第1移動体群と、被覆領域5dで囲われる第2移動体群とを示す。被覆領域5cで囲われる第1移動体群は、ネットワーク4cで結合された第1移動体1c及び複数の第2移動体2cを含み、実施の形態2に係る自律分散制御システムと同様のシステムを構成している。被覆領域5dで囲われる第2移動体群は、ネットワーク4dで結合された第1移動体1d及び複数の第2移動体2dを含み、実施の形態2に係る自律分散制御システムと同様のシステムを構成している。被覆境界制御部10は、第1移動体群と第2移動体群とに共通に用いられる。
図10は、被覆領域5eで囲われる第3移動体群を示す。被覆領域5eで囲われる第3移動体群は、図9と同様の第1移動体群及び第2移動体群を含み、それらのいくつかがネットワーク4eで結合されることによって、実施の形態2に係る自律分散制御システムと同様のシステムを構成している。
ここで、第1移動体1c,1dの情報取得部81(図6)は、新たな移動体が、当該移動体を含まないネットワーク近傍に現れた場合に、当該移動体から状態量を含む情報を受け取ることによって、当該移動体を当該ネットワークに含めることが可能となっている。その一例として、図9において、第1移動体群に含まれる第1移動体1cと、第2移動体群に含まれる第1移動体1dとが、各々の情報取得部81を介してネットワークを形成できる場合を想定する。この場合に、被覆境界制御部10は、第1移動体1c,1dのそれぞれの被覆境界検出部82(図6)とネットワーク演算部83(図6)とを操作して、図9の第1移動体群と第2移動体群とを、図10の1つの巨大な第3移動体群に結合してもよい。以下、移動体群の結合の例について説明する。
被覆境界制御部10は、第1移動体1cのネットワーク演算部83または第1移動体1dのネットワーク演算部83が、各第1移動体1c,1dの状態量に基づいて、第1移動体1cと第1移動体1dとが情報の繋がりを有して隣接できるかを判定する。被覆境界制御部10は、隣接できると判定した場合に、第1移動体1cの被覆境界検出部82に対して、第2移動体群側に生成されていた仮想移動体7f(図9)を削除する指令を与える。また、被覆境界制御部10は、第1移動体1dの被覆境界検出部82に対して、第1移動体群側に生成されていた仮想移動体7g(図9)を削除する指令を与える。そして、被覆境界制御部10は、第1移動体1cのネットワーク演算部83と第1移動体1dのネットワーク演算部83に対して、第1移動体1cと第1移動体1dとを結合するネットワーク4e(図10)を形成するように指令を与える。
以上の手順によって、被覆境界制御部10は、第1移動体群と第2移動体群とを、第3移動体群に結合する。なお、第1移動体群と第2移動体群とを結合するか否かの判定は、被覆境界制御部10の代わりに、第1移動体1cまたは第1移動体1dが行ってもよい。第1移動体群と第2移動体群とが結合してできる第3移動体群は、被覆領域5cと被覆領域5dとの和集合である被覆領域5eを被覆する。
以上、移動体群の結合の例について説明した。次に、第1移動体群を全て含む閉領域と、第2移動体群を全て含む閉領域とが互いに交差していない場合を想定する。この場合に、被覆境界制御部10は、第1移動体1c,1dのそれぞれの被覆境界検出部82とネットワーク演算部83とを操作して、図10の1つの第3移動体群を、図9の第1移動体群と第2移動体群とに分割してもよい。以下、移動体群の分割の例について説明する。
被覆境界制御部10は、第1移動体群を全て含む閉領域と、第2移動体群を全て含む閉領域とが互いに交差していないかを判定する。被覆境界制御部10は、交差していないと判定した場合に、第1移動体1cと第1移動体1dとを結合しているネットワーク4e(図10)を削除する指令を、第1移動体1cのネットワーク演算部83に与え、新たな被覆境界6c(図9)を追加し、当該被覆境界6cを用いて新たな仮想移動体7fを生成する指令を、第1移動体1cの被覆境界検出部82に与える。また、被覆境界制御部10は、第1移動体1cと第1移動体1dとを結合しているネットワーク4e(図10)を削除する指令を、第1移動体1dのネットワーク演算部83に与え、新たな被覆境界6d(図9)を追加し、当該被覆境界6dを用いて新たな仮想移動体7gを生成する指令を、第1移動体1dの被覆境界検出部82に与える。
以上の手順によって、被覆境界制御部10は、第3移動体群を、第1移動体群と第2移動体群とに分割する。なお、第1移動体群の第1移動体1cが、被覆境界6cを状態量として第2移動体2cの情報取得部81に送信し、第1移動体群の第2移動体2cの被覆境界検出部82が、情報取得部81で得られた被覆境界6cの状態量から仮想移動体7fを生成してもよい。このことは、第2移動体群についても同様である。
<実施の形態3のまとめ>
次に、本実施の形態3に係る自律分散制御システムの社会的意義について述べる。
従来の自律分散制御システムでは、移動体群を結合する場合にも移動体群を分割する場合にも、自律分散制御を停止する必要があった。これに対して、本実施の形態3に係る自律分散制御システムでは、異なる移動体群の被覆領域が重なる領域を対象として、被覆領域の結合または分離に係る操作を行うことができる。この際、本実施の形態3に係る自律分散制御システムでは、被覆領域の変更を制御対象の移動体全体に伝達する必要がないため、移動体群や被覆領域の規模によらず、自律分散制御を継続しながら大域的な収束安定性を満たすことができる。
なお、非特許文献1によれば、合流または分岐が行われた空間を被覆する場合、被覆領域が凹部などの入り組んだ形状を伴うため、大域的な収束安定性を満たさない場合がある。その解決策として、合流の場合は2つの移動体群を1つに結合する方法があり、分岐の場合は1つの移動体群を2つに分ける方法がある。
しかしながら、従来の自律分散制御システムでは、移動体群の結合または分離の制御中に被覆領域を更新できないため、実運用が困難であった。このため、非特許文献1に記載の被覆を自律分散制御システムで行うことは現実的ではなく、入り組んだ形状に対して移動体を展開することが困難であった。これに対して、本実施の形態3に係る自律分散制御システムでは、移動体群の結合または分離を実現するため、入り組んだ形状に移動体を展開することができる。例えば、地震や津波などによる建物の破損で生じる入り組んだ環境において多数のドローンを展開して迅速な救助を行うなどの用途が期待できる。
<実施の形態4>
図11は、本発明の実施の形態4に係る自律分散制御システムにおける第1移動体1の機能構成を示すブロック図である。以下、本実施の形態4に係る構成要素のうち、上述の構成要素と同じまたは類似する構成要素については同じまたは類似する参照符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。
本実施の形態4に係る被覆制御演算部85は、大域的な収束安定性を満たす限りにおいて、移動体群の一部について実施の形態1に記載の被覆制御演算部85の方式と異なる方式で演算するように構成されている。
本実施の形態4に係るグラフ演算部84は、ネットワーク演算部83で求められたネットワークに基づいて、任意の2つの移動体が情報の繋がりを有する複数の移動体を複数の節点として有する複数の完全グラフを求める。そして、グラフ演算部84は、複数の完全グラフから、被覆制御演算部85が実施の形態1と異なる方式で制御指令値を求めるために必要な最小構成のグラフを求める。
グラフ演算部84は、例えば、4つ以上の節点として有する複数の完全グラフを求め、複数の完全グラフから制御グラフを選別してもよい。また、ドロネー三角形以外の完全グラフを制御グラフとしてもよい。
被覆制御演算部85は、例えば、最小構成のグラフである制御グラフに含まれる完全グラフを引数とする任意の関数の総和を勾配関数として、当該勾配関数から制御指令値を生成してもよい。
また、被覆制御演算部85は、例えば、最小構成のグラフである制御グラフの節点に仮想移動体7が含まれる場合に、被覆境界検出部82が検出した被覆境界6の一部に基づく演算により得られた結果を勾配関数の停留値ひいては制御指令値と置換えてもよい。なお、完全グラフの1つを要素とする勾配関数またはその停留値を、別の完全グラフで置換える操作を行うことにより、大域的な収束安全性が確保されることは非特許文献2の記載から明らかである。
また、被覆制御演算部85は、例えば、最小構成のグラフである制御グラフの節点に仮想移動体7が含まれる場合に、当該制御グラフに基づいてボロノイ分割を施してボロノイ領域を求め、当該ボロノイ領域の重心及び面積に基づいて制御指令値を求めてもよい。
被覆制御演算部85は、例えば、予め備わる勾配関数に完全グラフを要素とする新たな勾配関数を足し合わせてもよい。
<実施の形態4のまとめ>
以上のように構成された本実施の形態4によれば、曲線や細かな不連続な線から構成された被覆境界6を線形要素に近似すると仮想移動体7の数が多くなり、処理のための計算の負荷が重くなる場合に、実施の形態1に記載の方式と異なる方式を行う。このような構成によれば計算負荷を軽くすることができる。
次に、本実施の形態4に係る自律分散制御システムの社会的意義について述べる。複数の移動体が局所的な情報に基づいて自律的な意思決定を行う自律分散制御システムの、目的を達成する用途や適用範囲は、被覆に限られず、合意の場合もある。
例えば、自律制御を備える移動体である自動運転車両の社会普及によって、高速道路の隊列走行などを用いた効率的で高速な物資搬送の実現化が期待されている。隊列走行は、多数の移動体が互いにネットワークを形成して構成する自律分散制御システムで実現される。隊列走行を行う自律分散制御システムは、事前に車間を定義できる場合には、特定の形状に対してフォーメーションを形成する合意を行い、事前に隊列の大きさを定義できる場合には、複数の移動体が衝突しないように被覆領域を維持する被覆を行う。すなわち、隊列走行を行う自律分散制御システムは、与えられた状況によって、合意問題と被覆問題の両方を扱う。
しかしながら、従来の自律分散制御システムでは、合意問題の扱い方と被覆問題の扱い方とが数理的に異なっている。そのため、従来の自律分散制御システムでは、合意問題及び被覆問題の両方を扱うことができなかった。
これに対して、本実施の形態4に係る自律分散制御システムでは、完全グラフにより勾配関数を任意に設計することができる。非特許文献2に、完全グラフを基底とする勾配関数により合意問題が扱えることが記載されていることに鑑みれば、本実施の形態4に係る自律分散制御システムは、合意問題及び被覆問題の両方を扱うことができる。なお、以上では、合意問題と被覆問題の両方を扱う自律分散制御システムの例として、隊列走行を行うシステムを説明したが、これに限らない。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての態様において、例示であって、本発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
1 第1移動体、2 第2移動体、4 ネットワーク、5 被覆領域、6 被覆境界、7 仮想移動体、8 制御グラフ、10 被覆境界制御部、81 情報取得部、82 被覆境界検出部、83 ネットワーク演算部、84 グラフ演算部、85 被覆制御演算部、86 移動体制御部。

Claims (10)

  1. 情報を繋ぐネットワークで結合された第1移動体及び複数の第2移動体が、予め定められた被覆領域を、自律的かつ分散的な制御によって被覆する自律分散制御システムであって、
    前記第1移動体は、
    前記被覆領域を閉包する被覆境界に関して、前記被覆境界の幾何形状と前記第1移動体の状態量とに基づいて仮想移動体を生成する写像を行う被覆境界取得部と、
    前記複数の第2移動体の状態量を取得する情報取得部と、
    前記仮想移動体を前記第1移動体と結合された第2移動体とみなして、前記第1移動体と、前記複数の第2移動体と、前記仮想移動体とを結合するネットワークを求めるネットワーク演算部と、
    前記ネットワークに基づいて位数により分類された完全グラフの集合を求め、前記完全グラフの集合に基づいて前記第1移動体の制御を示す指令値を生成するための制御グラフを選別するグラフ演算部と、
    前記制御グラフに基づいて、前記指令値を生成する被覆制御演算部と、
    前記被覆制御演算部で生成された前記指令値に基づいて前記第1移動体の移動を制御する移動体制御部と
    を備える、自律分散制御システム。
  2. 請求項1に記載の自律分散制御システムであって、
    前記第2移動体は、前記第1移動体の前記ネットワーク演算部と同様のネットワーク演算部を備え、
    前記第1移動体の前記情報取得部は、前記第2移動体の前記ネットワーク演算部が求めたネットワークを第2移動体の状態量として取得し、
    前記第1移動体の前記ネットワーク演算部は、前記第1移動体で求めたネットワークと前記第2移動体で求めたネットワークとを結合して新たなネットワークを形成する、自律分散制御システム。
  3. 請求項または請求項に記載の自律分散制御システムであって、
    前記被覆境界取得部は、
    前記被覆境界の幾何形状を区分してなる複数の線分要素を対称軸として、前記第1移動体と線対称となる前記仮想移動体を前記写像によって生成し、
    前記グラフ演算部は、
    前記ネットワーク演算部で求められた前記ネットワークに基づいて、前記第1移動体、前記複数の第2移動体、及び、前記仮想移動体から、前記第1移動体を含み、任意の2つの移動体が情報の繋がりを有する3つの移動体を3つの節点として有する複数の三角形状のグラフを前記完全グラフとして求め、前記複数の三角形状の前記完全グラフから前記制御グラフを選別するドロネー三角形分割を行い、
    前記被覆制御演算部は、
    前記制御グラフの三角形状の外心と前記第1移動体とを頂点として有する多角形の領域の重心の位置に基づいて、前記指令値を求める、自律分散制御システム。
  4. 請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載の自律分散制御システムであって、
    前記被覆境界の幾何形状を変更する被覆境界制御部を備え、
    前記被覆境界取得部は、
    前記被覆境界制御部によって変更された前記被覆境界に関して前記写像を行うことによって前記仮想移動体を更新する、自律分散制御システム。
  5. 請求項に記載の自律分散制御システムであって、
    前記被覆境界制御部は、
    前記被覆境界の幾何形状の一部を前記被覆領域の内側または外側に移動することによって、前記被覆境界の幾何形状を変更する、自律分散制御システム。
  6. 請求項または請求項に記載の自律分散制御システムであって、
    前記被覆境界制御部は、
    前記被覆境界の幾何形状を区分してなる複数の線分要素を追加または削除することによって、前記被覆境界の幾何形状を変更する、自律分散制御システム。
  7. 請求項から請求項のうちのいずれか1項に記載の自律分散制御システムであって、
    前記被覆境界制御部は、
    隣り合う複数の前記被覆領域を1つの前記被覆領域に合流することによって、前記被覆境界の幾何形状を変更する、自律分散制御システム。
  8. 請求項から請求項のうちのいずれか1項に記載の自律分散制御システムであって、
    前記被覆境界制御部は、
    1つの前記被覆領域を隣り合う複数の前記被覆領域に分岐することによって、前記被覆境界の幾何形状を変更する、自律分散制御システム。
  9. 請求項または請求項に記載の自律分散制御システムであって、
    前記グラフ演算部は、
    前記ネットワーク演算部で求められた前記ネットワークに基づいて、前記第1移動体、前記複数の第2移動体、及び、前記仮想移動体から、前記第1移動体を含み、任意の2つの移動体が情報の繋がりを有する3つの移動体を3つの節点として有する複数の三角形状のグラフを前記完全グラフとして求め、前記複数の三角形状の前記完全グラフから前記制御グラフを選別するドロネー三角形分割を行い、
    前記被覆制御演算部は
    前記制御グラフの節点に前記仮想移動体が含まれる場合に、当該制御グラフに基づいてボロノイ領域を求め、当該ボロノイ領域の重心及び面積に基づいて、前記指令値を求める、自律分散制御システム。
  10. 請求項または請求項に記載の自律分散制御システムであって、
    前記被覆制御演算部は、異なる方式で前記指令値を求め、
    前記グラフ演算部は、
    前記ネットワーク演算部で求められた前記ネットワークに基づいて、任意の2つの移動体が情報の繋がりを有する複数の移動体を複数の節点として有する複数のグラフを複数の前記完全グラフとして求め、前記複数の完全グラフから、前記被覆制御演算部が異なる方式で前記指令値を求めるために必要な最小構成のグラフを求める、自律分散制御システム。
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