[0031] 実施形態を詳細に説明する前に、実施形態を実施することができる例示的な環境を提示することが有用であろう。
[0032] 図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたパターニングデバイス支持体又は支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
[0033] 照明システムは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
[0034] パターニングデバイス支持体は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。パターニングデバイス支持体は、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電気等のクランプ技術を使用することができる。パターニングデバイス支持体は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。パターニングデバイス支持体は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義とみなすことができる。
[0035] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
[0036] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小型ミラーのマトリクス配列を使用し、ミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを付与する。
[0037] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
[0038] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
[0039] 図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源及びリソグラフィ装置は、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成するとみなされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
[0040] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタADを備えていてもよい。一般に、イルミネータILの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ−outer及びσ−innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
[0041] 放射ビームBは、パターニングデバイス支持体(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、2−Dエンコーダ又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサ(図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えば、マスク)MAを正確に位置決めできる。
[0042] パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブラインアライメントマークとして周知である)。同様に、パターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。小さなアライメントマーカをデバイスフィーチャの中でもダイ内に含めることができ、その場合、マーカは可能な限り小さく、隣接したフィーチャと異なる結像又はプロセス条件を必要としないことが望ましい。アライメントマーカを検出することができるアライメントシステムの一実施形態を以下でさらに説明する。
[0043] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[0044] 1.ステップモードでは、パターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTaは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTaがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で結像されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
[0045] 2.スキャンモードでは、パターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTaは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。パターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTaの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
[0046] 3.別のモードでは、パターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTaを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTaを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
[0047] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
[0048] リソグラフィ装置LAは、2つのテーブルWTa、WTb(例えば2つの基板テーブル)と、相互にテーブルを交換可能な露光ステーションと測定ステーションという2つのステーションとを有する、いわゆるデュアルステージ型の装置である。例えば、一方のテーブル上の基板を露光ステーションで露光している間に、別の基板を測定ステーションで他方の基板テーブル上にロードして、様々な予備工程を実行することができる。予備工程には、レベルセンサLSを使用して基板の表面制御をマッピングすること、及び、アライメントセンサASを使用して基板上のアライメントマーカの位置を測定することが含まれてよく、いずれのセンサも基準フレームRFによって支持されている。位置センサIFが、測定ステーションにあるときだけではなく露光ステーションにあるときにもテーブルの位置を測定できない場合、両方のステーションでテーブルの位置を追跡できるようにするために、第2の位置センサを設けてもよい。別の例として、1つのテーブル上の基板が露光ステーションで露光されている間、基板の無い別のテーブルは測定ステーションで待機する(任意選択で測定アクティビティが発生し得る)。この他方のテーブルは1つ以上の測定デバイスを有し、任意選択で他のツール(例えばクリーニング装置)を有してよい。基板が露光を完了すると、基板の無いテーブルは、例えば測定を実行するために露光ステーションに移動し、基板を伴うテーブルは、基板がアンロードされ別の基板がロードされる場所(例えば測定ステーション)に移動する。これらのマルチテーブル構成は、装置のスループットを大幅に向上させることができる。
[0049] 図2に示すように、リソグラフィ装置LAは、リソセル又はリソクラスタとも呼ばれることがあるリソグラフィセルLCの一部を形成し、リソグラフィセルLCは、基板上で1つ以上の露光前及び露光後プロセスを行うための装置も備える。従来、これらの装置には、レジスト層を堆積させるための1つ以上のスピンコータSC、露光済みレジストを現像するための1つ以上のデベロッパDE、1つ以上の冷却プレートCH及び1つ以上のベークプレートBKが含まれる。基板ハンドラ又はロボットROは、入力/出力ポートI/O1、I/O2から基板を取り上げ、それを様々なプロセス装置間で移動させ、リソグラフィ装置のローディングベイLBへと送り出す。これらのデバイスは、しばしばトラックと総称され、トラック制御ユニットTCUによる制御を受ける。トラック制御ユニットTCU自身は監視制御システムSCSによって制御され、監視制御システムSCSはリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置をも制御する。このようにして、スループット及び処理効率が最大となるように様々な装置を動作させることができる。
[0050] リソグラフィ装置によって露光される基板が正しく一貫して露光されるように、後続の層間のオーバーレイエラー、ライン厚み、クリティカルディメンジョン(CD)などの1つ以上の特性を測定するために露光基板を検査することが望ましい。エラーが検出された場合、特に同じバッチの別の基板がさらに露光されるように十分迅速に検査が実行できる場合、1つ以上の後続の基板の露光を調節してよい。また、既に露光された基板は、(歩留まりを向上させるために)ストリップ及び再加工又は廃棄してよく、これによって不良であることが分かっている基板上で露光を実行するのを避けることができる。基板のいくつかのターゲット部分のみが不良である場合、さらなる露光は良好なターゲット部分でのみ実行することができる。別の可能性は、エラーを補償するために後続のプロセス工程の設定を適応させることであり、例えばリソグラフィプロセス工程の結果として生じる基板間のCD変動を補償するために、トリムエッチ工程の時間を調節することができる。
[0051] 基板の1つ以上の特性を決定するため、及び特に、異なる基板又は同じ基板の異なる層の1つ以上の特性が層によって及び/又は基板全体でどのように変動するかを決定するために、検査装置が使用される。検査装置は、リソグラフィ装置LA又はリソセルLCに統合するか、あるいはスタンドアロンデバイスであってよい。最も迅速な測定を可能にするためには、検査装置が露光直後に露光されたレジスト層内の1つ以上の特性を測定することが望ましい。しかしながら、レジスト内の潜像は非常に低いコントラストを有し、すなわちレジストのうち放射に露光された部分とされていない部分との屈折率の差がごくわずかであり、全ての検査装置が潜像の有用な測定を行うだけの十分な感度を有している訳ではない。したがって測定は、通例、露光基板上で実施される第1の工程であり、レジストの露光された部分と露光されていない部分との間のコントラストを増加させる、ポストベーク工程(PEB)後に行ってよい。この段階で、レジスト内の像は半潜像と呼ばれることがある。レジストの露光された部分又は露光されていない部分のいずれかが除去された時点で、あるいはエッチングなどのパターン転写工程後に、現像されたレジスト像の測定を行うことも可能である。後者の可能性は、不良基板の再加工の可能性を制限するが、例えばプロセス制御のために依然として有用な情報を提供することができる。
[0052] 従来のスキャトロメータによって使用されるターゲットは、相対的に大きい、例えば40μm×40μmの周期構造レイアウト(例えば、1つ以上の格子を備える)を備える。その場合、測定ビームはしばしば、周期構造レイアウトより小さいスポットサイズを有する(すなわちレイアウトは、1つ以上の周期構造がスポットによって完全には覆われないように充填不足である)。これにより、無限であるとみなすことができるため、ターゲットの数学的再構成が簡略化される。しかしながら、例えばターゲットはスクライブライン内ではなく、プロダクトフィーチャの間に配置することができるため、ターゲットのサイズは、例えば20μm×20μm以下、又は10μm×10μm以下まで縮小されている。この状況において、周期構造レイアウトは測定スポットよりも小さくすることができる(すなわち、周期構造レイアウトは充填過多である)。典型的には、このようなターゲットは、(鏡面反射に相当する)ゼロ次数の回折が遮断され、高次数のみが処理される、暗視野スキャトロメトリを使用して測定される。暗視野メトロロジの例は、PCT特許出願公開第WO2009/078708号及び第WO2009/106279号に見ることが可能であり、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。技術のさらなる展開は、米国特許出願公開US2011−0027704、US2011−0043791、及びUS2012−0242970に記載されており、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。回折次数の暗視野検出を使用する回折ベースのオーバーレイは、より小さいターゲット上でのオーバーレイ測定を可能にする。これらのターゲットは、照明スポットよりも小さくすることができ、基板上のプロダクト構造で取り囲むことができる。ある実施形態では、複数のターゲットを1つの像内で測定することができる。
[0053] ある実施形態では、基板上のターゲットは、1つ以上の1−D周期格子を含んでよく、この格子は、現像後にバーがソリッドレジストラインで形成されるようにプリントされる。ある実施形態では、ターゲットは、1つ以上の2−D周期格子を含んでよく、この格子は、現像後に1つ以上の格子がソリッドレジストピラー又はレジスト内のビアで形成されるようにプリントされる。代替的に、バー、ピラー又はビアは、基板内にエッチングされてもよい。この格子のパターンは、リソグラフィ投影装置、特に投影システムPLにおける色収差、及び照明対称性に敏感であり、そのような収差の存在は、プリントされた格子における変動という形で現れる。したがって、プリントされた格子の測定データは、格子を再構成するために使用することができる。ライン幅及び形状といった1−D格子のパラメータ、又は、ピラー若しくはビアの幅、長さあるいは形状といった2−D格子のパラメータは、プリンティング工程の知識から処理ユニットPUによって行われる再構成プロセス及び/又は他の測定プロセスに入力され得る。
[0054] 実施形態で使用するのに好適な暗視野メトロロジ装置を図3Aに示す。ターゲットT(格子などの周期構造を備える)及び回折光線を図3Bにより詳細に示す。暗視野メトロロジ装置は、スタンドアロンデバイスであるか、又は、例えば測定ステーションのリソグラフィ装置LA若しくはリソグラフィセルLCのいずれかに組み込むことができる。装置全体にわたっていくつかの分岐を有する光軸が、点線Oで表されている。この装置において、出力11(例えば、レーザやキセノンランプなどの光源、又は光源に接続された開口)によって放出される放射は、レンズ12、14及び対物系16を備える光学系によって、プリズム15を介して基板W上へと誘導される。これらのレンズは、4F構成の二重シーケンスに配置される。検出器上に基板像をもたらす限りにおいて、様々なレンズ配列を使用することができる。
[0055] ある実施形態において、レンズ配列は、空間周波数フィルタリングのために中間瞳面のアクセスを可能にする。したがって、放射が基板に入射する角度範囲は、本明細書では(共役)瞳面と呼ばれる、基板面の空間スペクトルを提示する平面内の空間強度分布を定義することによって選択可能である。特にこれは、例えば、レンズ12と14の間に好適な形のアパーチャデバイス13を挿入することによって、対物瞳面の逆投影像である面内で実行可能である。示された例において、アパーチャデバイス13は13N及び13Sと標示された異なる形を有し、異なる照明モードを選択することができる。この例における照明システムは、オフアクシス照明モードを形成する。第1の照明モードでは、アパーチャデバイス13Nは、単に説明のために、「北(north)」と指定した方向からオフアクシス照明を提供する。第2の照明モードでは、アパーチャデバイス13Sは、同様の照明であるが、「南(south)」と標示された、反対の方向からの照明を提供するために使用される。異なるアパーチャを使用することによって、他の照明モードが可能である。所望の照明モード外に不必要な放射があれば、望ましい測定信号を妨害する可能性があるため、瞳面の残りの部分は暗いことが望ましい。
[0056] 図3Bに示すように、ターゲットTは、基板Wが対物系16の光軸Oに対してほぼ垂直な状態で配置される。軸Oを外れた角度からターゲットTに当たる照明の光線Iは、ゼロ次光線(実線0)及び2本の1次光線(点鎖線+1及び二点鎖線−1)を生じさせる。充填過多の小ターゲットTの場合、これらの光線は、メトロロジターゲットT及び他のフィーチャを含む基板の領域をカバーする多くの平行光線のうちの1つに過ぎない。デバイス13内のアパーチャは(有用な放射量を認めるのに必要な)有限幅を有するため、入射光線Iは、実際にはある角度範囲を占有し、回折光線0及び+1/−1は多少広がることになる。小ターゲットの点像分布関数に従って、各次数+1及び−1は、図示されたような単一の理想的な光線ではなく、ある角度範囲にわたってさらに広がることになる。周期構造のピッチ及び照明角度は、対物系に入射する1次光線が中心光軸と緊密に位置合わせされるように、設計又は調整可能であることに留意されたい。図3A及び図3Bに示す光線は、純粋にそれらが図中でより容易に区別できるようにするために、軸を多少外して示されている。
[0057] 基板W上のターゲットによって回折された少なくとも0次及び+1次は、対物系16によって集められ、プリズム15を介して逆誘導される。図3Aに戻ると、北(N)及び南(S)と標示された正反対のアパーチャを指定することによって、第1と第2の照明モードがともに示されている。入射光線Iが光軸の北側からのものである場合、すなわち、第1の照明モードがアパーチャデバイス13Nを使用して適用される場合、+1(N)と標示された+1回折光線が対物系16に入る。これに対して、第2の照明モードがアパーチャデバイス13Sを使用して適用される場合、(−1(S)と標示された)−1回折光線がレンズ16に入る。したがって、ある実施形態において、ある条件下で、例えば、−1次及び+1次の回折次数強度を別々に取得するために、ターゲットを回転させた後、照明モードを変更した後、又は結像モードを変更した後、ターゲットを2回測定することによって、測定結果が取得される。所与のターゲットについてこれらの強度を比較することで、ターゲットにおける非対称性の測定が行われ、ターゲットにおける非対称性をリソグラフィプロセスのパラメータのインジケータ、例えばオーバーレイエラーとして使用することができる。前述の状況において、照明モードが変更される。
[0058] ビームスプリッタ17が、回折ビームを2つの測定分岐に分割する。第1の測定分岐において、光学系18は、ゼロ次及び1次回折ビームを使用して、第1のセンサ19(例えば、CCD又はCMOSセンサ)上にターゲットの回折スペクトル(瞳面像)を形成する。各回折次数はセンサ上の異なる点に当たるため、画像処理は次数を比較対照することができる。メトロロジ装置を焦点合わせするため、及び/又は1次ビームの強度測定を正規化するために、センサ19によって捕捉される瞳面像を使用することができる。瞳面像は、再構成などの多くの測定目的で使用することもできるが、本明細書では詳細に説明しない。
[0059] 第2の測定分岐において、光学系20、22は、センサ23(例えば、CCD又はCMOSセンサ)上に、基板W上のターゲットの像を形成する。第2の測定分岐において、アパーチャ絞り21が瞳面と共役な面内に設けられる。アパーチャ絞り21は、センサ23上に形成されるターゲットの像DFが−1又は+1の1次ビームから形成されるように、ゼロ次回折ビームを遮断するように機能する。センサ19及び23によって捕捉された像は、プロセッサ及びコントローラPUに出力され、その機能は、実行される特定タイプの測定に依存することになる。本明細書では、「像」という用語は、広義に使用されることに留意されたい。したがって、−1次及び+1次のうちの1つのみが存在する場合、周期構造のフィーチャ(例えば格子線)の像は形成されないことになる。
[0060] 図3に示す特定の形のアパーチャデバイス13及び絞り21は単なる例である。別の実施形態において、ターゲットのオンアクシス照明が使用され、実質上1つの1次回折放射のみをセンサに渡すために、オフアクシスアパーチャを有するアパーチャ絞りが使用される。さらに他の実施形態において、1次ビームの代わりに、又は1次ビームに加えて、2次、3次、及びさらに高次のビーム(図3に図示せず)を測定に使用することができる。
[0061] これらの異なるタイプの測定に適用可能な照明を作るため、アパーチャデバイス13は、所望のパターンを所定の位置にもたらすように回転するディスクの周りに形成される多数のアパーチャパターンを有してもよい。アパーチャデバイス13N又は13Sは、一方向(設定に応じてX又はY)に方向付けられたターゲットの周期構造の測定に用いられることに留意されたい。直交する周期構造の測定のため、90°及び270°のターゲットの回転が実行されてもよい。異なるアパーチャデバイスを図3C及び3Dに示す。図3Cは、2つの別のタイプのオフアクシス照明モードを示す。図3Cの第1の照明モードにおいて、アパーチャデバイス13Eは、説明のみを目的として、既述の「北」に対して「東」と指定された方向からのオフアクシス照明を提供する。図3Cの第2の照明モードにおいて、アパーチャデバイス13Wは、同様であるが「西」と標示された反対方向からの照明を提供するために用いられる。図3Dは、2つの別のタイプのオフアクシス照明モードを示す。図3Dの第1の照明モードにおいて、アパーチャデバイス13NWは、既述の「北」及び「西」と指定された方向からのオフアクシス照明を提供する。第2の照明モードにおいて、アパーチャデバイス13SEは、同様であるが既述の「南」及び「東」と標示された反対方向からの照明を提供するために用いられる。これらの装置の使用、及び、装置の多くの他の変形及び応用は、例えば、上記の従前に発行された特許出願公開に記載されている。
[0062] 図4Aは、基板上に形成される例示的な複合メトロロジターゲットを示す。複合ターゲットは、互いに近くに位置する4つの周期構造(この場合、格子)32、33、34、35を備える。ある実施形態において、周期構造の全てがメトロロジ装置の照明ビームにより形成される測定スポット31の内側となる程度に十分に互いに近接して配置される。その場合、4つの周期構造の全てが結果として同時に照明され、センサ19及び23上に同時に結像される。オーバーレイ測定に特化した例において、周期構造32、33、34、35はそれ自体が上位層の周期構造により形成される複合周期構造(例えば複合格子)である、すなわち、1つの層内の少なくとも1つの周期構造が異なる層内の少なくとも1つの周期構造を覆うように、基板W上に形成されるデバイスの異なる層内に周期構造がパターニングされる。このようなターゲットは、20μm×20μmの範囲内又は16μm×16μmの範囲内の外形寸法を有しうる。さらに、全ての周期構造は、特定の層ペア間のオーバーレイを測定するために使用される。ターゲットが複数の層ペアを容易に測定できるようにするために、周期構造32、33、34、35は、複合周期構造の異なる部分が形成された異なる層間のオーバーレイの測定を容易にするために、バイアスの異なるオーバーレイオフセットを有することができる。したがって、基板上のターゲットのための全ての周期構造は、1つの層ペアを測定するために使用され、基板上の別の同じターゲットのための全ての周期構造は、別の層ペアを測定するために使用され、ここで、異なるバイアスは、層ペアの区別を容易にする。
[0063] 図4Aに戻ると、周期構造32、33、34、35は、図示されるように、X及びY方向に入ってくる放射を回折するようにそれらの配向も異なり得る。一例では、周期構造32及び34は、それぞれ+d、−dのバイアスを有するX方向の周期構造である。周期構造33及び35は、それぞれ+d及び−dのオフセットを有するY方向の周期構造であり得る。4つの周期構造が図示されているが、別の実施形態は所望の精度を得るためにより大きなマトリクスを含むことができる。例えば3×3アレイの9つの複合周期構造は、−4d、−3d、−2d、−d、0、+d、+2d、+3d、+4dのバイアスを有し得る。これらの周期構造の個別の像は、センサ23によって捕捉された像内で識別可能である。
[0064] 図4Bは、図3Dからのアパーチャデバイス13NW又は13SEを使用し、図3の装置内の図4Aのターゲットを使用して、センサ23上に形成すること及びセンサ23によって検出することが可能な像の例を示す。センサ19は異なる個々の周期構造32〜35を解像することはできないが、センサ23は解像することができる。黒い長方形はセンサ上の像の視野を表し、その中の基板上の照明されたスポット31は対応する円形領域41内に結像される。この像内で、矩形領域42〜45は周期構造32〜35の像を表す。周期構造がプロダクト領域内に位置する場合、プロダクトフィーチャはこの像視野の周辺でも可視であり得る。プロセッサ及びコントローラPUは、周期構造32〜35の個別の像42〜45を識別するために、パターン認識を使用してこれらの像を処理する。この方法では、像はセンサフレーム内の特定の場所で非常に精密に位置合わせする必要はなく、全体として測定装置のスループットを大幅に向上させる。
[0065] 周期構造の個別の像が識別されると、それら個別の像の強度は、例えば識別領域内の選択されたピクセル強度値を平均化又は合計することによって測定可能である。像の強度及び/又は他の特性は、互いに比較可能である。これらの結果を組み合わせて、リソグラフィプロセスの異なるパラメータを測定することができる。オーバーレイ性能はこうしたパラメータの一例である。
[0066] ターゲットの測定精度及び/又は感度は、ターゲット上に与えられる放射ビームの1つ以上の特性、例えば放射ビームの波長、放射ビームの偏光、及び/又は放射ビームの強度分布(すなわち角度又は空間強度分布)により異なる可能性がある。ある実施形態では、放射ビームの波長範囲は、ある範囲から選択される(例えば約400nm〜900nmの範囲から選択される)1つ以上の波長に限定される。さらに、放射ビームの異なる偏光の選択を行うことができ、例えば、複数の異なるアパーチャを使用して様々な照明形状を提供することが可能である。
[0067] さらに、正確な測定値(例えばCD、オーバーレイなどの測定値)を得るために、少なくとも基板上のターゲット構造を、検査装置(例えばメトロロジ装置)の対物系の焦点面に、又は焦点面の近くに位置させる必要がある。上記のように、これは、光学系の焦点を変化させることにより、及び/又は基板と焦点を相対移動させること(例えば基板、光学系の少なくとも一部、又は両方を移動させること)により、ターゲット構造を焦点合わせすることによって行うことができる。
[0068] ある実施形態では、焦点制御を行うために、検査装置(例えばオーバーレイ及び/又はCD測定装置)及び/又はリソグラフィ装置に、共焦点光学系を有するフォーカスセンサシステムを使用することができる。フォーカスセンサシステムは、基板に焦点が合っていることを保証する制御ループの一部として使用し得るフォーカスエラー信号を生成することができる。共焦点光学系を有するフォーカスセンサシステムの例示的なレイアウトを図5Aに示す。このシステムでは、入力500(例えば放射源)によって照明視野絞り505に放射が提供される。放射は、絞り505からコンデンサレンズ510を介して、ビームを対物系520に誘導する光学素子(例えばビームスプリッタ)515へ進む。放射は対物系520から基板525に出力される。基板525によって方向転換された放射は、対物系520、そして任意選択で光学素子515を介して検出分岐のビームスプリッタ530へ進む。ビームの一部分はアパーチャ535に提供され、別の部分はアパーチャ540に提供される。ある実施形態では、アパーチャ535、540は、例えば各プレートに設けられたピンホールアパーチャである。ある実施形態では、アパーチャ535、540の一方は、ビームスプリッタ530のビーム分割面からの距離がアパーチャ535、540の他方と異なる。アパーチャ535、540の各々が各検出器545、550と関連付けられ、各アパーチャ535、540から放射の各部分を受け取る。ある実施形態では、検出器は光検出器である。
[0069] ある実施形態では、図5Aのシステムは、例えばアパーチャ535と検出器545の組み合わせからの信号560と、例えばアパーチャ540と検出器550の組み合わせからの信号570を使用して基板のフォーカスエラー信号を生成する。ある実施形態では、信号570を信号560から差し引き、図5Bに示すような基板のフォーカスエラー信号580を生成する。
[0070] 検査装置のこの構成に関する問題は、(基板を検査装置の焦点と合った状態に保つための)焦点スポットが、基板を検査又は測定するのに使用される(スポットが図5に示されていない)検査装置の検査分岐によって提供される測定スポットと重複する可能性があることである。この重複は、焦点合わせ及び検査動作/分岐の同時動作を妨げる可能性がある。ある実施形態では、スペクトル分離及び干渉フィルタを使用することによって同時使用を達成することができるが、これによって、検査に使用可能な波長範囲などの1つ以上の追加的な制限が生じる可能性がある。
[0071] したがって、ある実施形態では、例えば測定の精度及び/又は感度を高めることができる、及び/又は検査装置(例えばオーバーレイ及び/又はCD測定装置)のスペクトル動作領域を改善することができる、検査装置のための改善された焦点合わせ装置及び/又は方法が提供される。
[0072] 図6は、焦点合わせ、及び、例えばCD、オーバーレイなどの光学的測定を行うように構成された例示的な検査装置600(例えばメトロロジ装置)の概略図を示す。図6に示すように、検査装置600は、焦点合わせモジュール610と、測定モジュール650と、部分反射光学素子660と、対物系670と、基板680を保持するように構成された基板ホルダ682とを備える。
[0073] 焦点合わせモジュール610と、部分反射光学素子660と、対物系670は共同で、例えば基板680上のターゲット及び/又は基板680自体が対物系670の焦点面に又は焦点面の近くに位置しているかどうかと、焦点とターゲットの間の相対的な空間的調整、例えば(例えば、対物系670の移動による、及び/又は基板の移動によるなどの)焦点とターゲットの間の相対的な空間的調整をどのように行うかとを判断するように構成されている。例えば、ある実施形態では、相対的な空間的調整は、基板680上のターゲットが対物系670の焦点面に又は焦点面の近くに位置していないと判定された場合に、動作距離685を対物系670の焦点距離と等しくする、又は焦点距離に近づける。
[0074] 具体的には、ターゲットが焦点に又は焦点の近くにあるかどうかを判定できるように、第1の入力638(例えば、ランプやレーザなどの放射源、又は放射源に接続された又は接続可能な焦点合わせモジュール610への入力)によって放出された焦点合わせビーム612が、焦点合わせモジュールの照明経路にレンズ640と、アパーチャ絞り642と、部分反射光学素子644と、反射光学素子648とを備える光学系によって、焦点合わせモジュール610から部分反射光学素子660に向けて誘導される。第1の入力638は、レンズ640の焦点面に又は焦点面の近くに位置しているため、第1の入力638によって放出された放射は、図6に示すように平行放射ビームに変換することができる。アパーチャ絞り642は、例えばアパーチャ絞り642のアパーチャ幅を調整することによって、部分反射光学素子644に向けて透過させる平行放射ビームの量を制御するように構成される。焦点合わせビーム612はさらに、反射光学素子648、部分反射光学素子660、及び対物系670によって基板680上のターゲットに向けて誘導された後、例えば基板680上のターゲットによって方向転換(例えば、回折、反射など)される。
[0075] 方向転換された焦点合わせビームは対物系670によって集められ、例えば部分反射光学素子660によって焦点合わせモジュール610に向けて逆誘導される。具体的には、方向転換された焦点合わせビーム614の少なくとも一部分(すなわちビーム635)は、焦点合わせモジュールの検出経路に続く、対物系670、部分反射光学素子660、反射光学素子648、部分反射光学素子644、反射光学素子636、及び(アパーチャ絞り642と同様の)アパーチャ絞り634によってビームスプリッタ632へ誘導される。ビームスプリッタ632は、ビーム635を、望ましくは実質的に等しい強度を有する第1の焦点合わせビーム部631と第2の焦点合わせビーム部633とに分割する。ビームスプリッタ632はさらに、第1の焦点合わせビーム部631を第1の検出分岐に誘導し、第2の焦点合わせビーム部633を第2の検出分岐に誘導する。
[0076] 第1の検出分岐において、第1の焦点合わせビーム部631はさらに、反射光学素子630と、レンズ627と、ビーム方向に沿ってレンズ627の像面の後ろに配置された第1のアパーチャデバイス624とを備えた第1の光学系を使用することによって第1の検出器620に誘導される。第1の検出器620は、例えば第1の検出器620によって検出された放射ビームの強度を特性化するように構成される。第1の検出器620によって検出された放射ビームの測定結果はさらに、プロセッサ(図示せず)に出力することができる。
[0077] 第2の検出分岐において、第2の焦点合わせビーム部633は、レンズ628と、ビーム方向に沿ってレンズ628の像面の前に配置された第2のアパーチャデバイス626とを備えた第2の光学系を使用することによって第2の検出器622に誘導される。第2の検出器622は、例えば第2の検出器622によって検出された放射ビームの強度を特性化するように構成される。第2の検出器622によって検出された放射ビームの測定結果はさらに、プロセッサ(図示せず)に出力することができる。
[0078] ある実施形態では、焦点合わせモジュール610は、強度差を使用して対物系670の焦点とターゲットの相対位置を決定する。このことはさらに本明細書で説明される。しかしながら、焦点合わせモジュール610は、焦点とターゲットの相対位置を求める異なる技術、例えば位相差などを使用することもできる。
[0079] ある実施形態では、レンズ627及び第1のアパーチャデバイス624は、それぞれレンズ628及び第2のアパーチャデバイス626と実質的に同様である。
[0080] 第1のアパーチャデバイス624及び第2のアパーチャデバイス626のアパーチャ形状は、例えば第1の入力638によって生成される放射ビームのアパーチャ形状と同様であっても、任意の形状であってもよい。しかし、第1のアパーチャデバイス624及び第2のアパーチャデバイス626のアパーチャサイズは、例えば検出器620及び622からの応答を識別することによって焦点位置を決定できるように適切に選択され、配置(及び、例えばターゲットが焦点面にあるときの強度を測定することによって較正)される。これは、第1の検出器620及び第2の検出器622によって検出されたビームの強度を比較することによって、ターゲットがほぼ対物系670の焦点面上に位置しているかどうかを決定できるように設計される。例えば、両検出器で等しい強度が測定される場合は、ターゲットが対物系670の焦点面に又は焦点面の近くにあることを示すことができる。検出器620と622で強度が等しくない場合は焦点が合っていない状態を示し、この場合、フォーカスオフセットの方向及び量が信号の差によって決定される。具体的なデフォーカス値は較正によって決定することができる。
[0081] 第1の検出器620及び第2の検出器622からの情報を使用して決定が行われる結果、プロセッサは、例えば対物系670の位置をZ方向にシフトさせること、基板ホルダ682の位置をZ方向にシフトさせること、又はこれらをともに行うことによって、1つ以上のアクチュエータが焦点合わせを行うように指示することができる。この焦点合わせは、プロセッサによって決定される特定量(例えば較正によって得られる特定値)だけ行うことができる。付加的又は代替的に、第1の検出器620及び第2の検出器622によって検出される放射ビームの強度をモニタリングし、ターゲットが対物系670の焦点と実質的に一致しているかどうかを確認することができる。
[0082] 測定モジュール650と、部分反射光学素子660と、対物系670は共同で、基板680のターゲットを測定して、例えばCD、オーバーレイ、焦点、ドーズなどを決定するように構成される。具体的には、第2の入力662(例えば、ランプやレーザなどの放射源、又は放射源に接続された又は接続可能な入力)によって放出された測定ビーム652が、レンズ664、666と、部分反射光学素子667と、レンズ669とを備える光学系によって、測定モジュール650から部分反射光学素子660に向けて誘導される。測定ビーム652はさらに、部分反射光学素子660及び対物系670によってターゲット上に誘導された後、測定ビーム652からの放射はターゲットにより方向転換される。方向転換された測定ビーム654の少なくとも一部分は、対物系670によって集められ、対物系670、部分反射光学素子660、レンズ669、部分反射光学素子667、反射光学素子672、レンズ674及びレンズ676を介して検出器678(例えばCCD又はCMOSセンサ)に向けて誘導される。レンズ674及びレンズ676は、4F構成の二重シーケンスに配置される。検出器678上にターゲットの放射を提供する限りにおいて、異なるレンズ配列を使用することができる。
[0083] 図6に示すように、焦点合わせモジュール610と測定モジュール650は同時に動作することができる。つまり、ある時点において、焦点合わせビーム612と測定ビーム652はともに基板680に入射する。有利には、基板680が対物系670の焦点面の特定の範囲内にないときは常に、対物系670の焦点と基板680上のターゲットの相対位置は、リアルタイムで自動的に調整することができる。
[0084] 方向転換された焦点合わせビームの一部分614に加え、方向転換された測定ビームの一部分656が、方向転換された測定ビームから部分反射光学素子660によって分割され、さらに、焦点合わせモジュールに誘導されて第1の検出器620及び第2の検出器622で検出される可能性がある。方向転換された測定ビームの一部分が第1の検出器620及び第2の検出器622に漏れることは、焦点合わせの精度及び/又は感度に悪影響を及ぼす。付加的又は代替的に、方向転換された焦点合わせビームの一部分616が、方向転換された焦点合わせビームから部分反射光学素子660によって分割され、さらに、測定モジュールに誘導されて検出器678で検出される可能性がある。結果として、方向転換された焦点合わせビームが検出器678に漏れることは、測定の精度及び/又は感度に悪影響を及ぼす。
[0085] この問題の解決策は、方向転換された焦点合わせビームと方向転換された測定ビームをスペクトル的に分離することによって実行される。これは、異なる波長及び/又は重なり合わないスペクトル帯域幅を有する焦点合わせビームと測定ビームを採用することによって行うことができる。したがって、測定ビームの波長及び/又は帯域幅に対応する1つ以上のノッチフィルタを焦点合わせモジュール610(例えば部分反射光学素子644と反射光学素子636の間)に挿入して、方向転換された測定ビームの一部分656を遮断することができる。同様に、焦点合わせビームの波長及び/又は帯域幅に対応する1つ以上のノッチフィルタを測定モジュール650(例えば部分反射光学素子667と反射光学素子672の間)に挿入して、方向転換された焦点合わせビームの一部分616を遮断することができる。
[0086] しかし、測定ビームと焦点合わせビームの波長及び/又は帯域幅は重なり合っていないため、測定ビームと焦点合わせビームの波長及び/又は帯域幅の選択は制限される。さらに、測定ビームと焦点合わせビームの異なる組み合わせを望む場合、フィルタの切り替えに遅延が生じ(例えばノッチフィルタの波長及び/又は帯域幅を切り替える時間は500ミリ秒程度と遅い可能性がある)、これによってスループットが制限される。また、ノッチフィルタは、製造が困難である及び/又は製造コストが高い可能性がある。したがって、方向転換された焦点合わせビームと測定ビームを分離する効率的なアプローチを提供することが望ましい。
[0087] 本開示のある実施形態によれば、方向転換された焦点合わせビーム及び方向転換された測定ビームは、焦点合わせビーム612と測定ビーム652が重なり合わない、又は各ビームスポットの過半未満で重なり合うように、適切な照明形状を焦点合わせビーム612と測定ビーム652に与えることによって空間的に分離することができる。付加的又は代替的に、例えばアパーチャデバイス624及び626に適切なアパーチャ形状を与えることによって、方向転換された測定ビームの一部分656が焦点合わせモジュール610の検出器620及び622に到達することを防止することができる。同様に、付加的又は代替的に、例えば(図6に示すように)適切なアパーチャ形状をアパーチャデバイス668に与えることによって、方向転換された焦点合わせビームの一部分616が測定モジュール650の検出器678に到達することを防止することができる。
[0088] ある実施形態では、焦点合わせビームに放射がオフアクシス(例えば環状、双極、四極など)となるような強度分布を与える一方、測定ビームに焦点合わせビームの全て又は大部分が、少なくともターゲット/基板及び/又はアパーチャデバイスにおいて空間的に測定ビーム放射の外側になるようなオンアクシス(例えば円形)の強度分布を与える。ある実施形態では、測定ビームに放射がオフアクシス(例えば環状、双極、四極など)となるような強度分布を与える一方、焦点合わせビームに測定ビームの全て又は大部分が、少なくともターゲット/基板及び/又はアパーチャデバイスにおいて空間的に焦点合わせビーム放射の外側になるようなオンアクシス(例えば円形)の強度分布を与える。
[0089] 図6を再び参照すると、ある実施形態では、第1の入力638及び/又は第2の入力662は、放射に所望の強度分布を付与することができる。付加的又は代替的に、ビーム整形光学素子(例えば回折光学素子、アキシコン(ペア)、空間光モジュレータ、ウェッジピラミッドなど)が測定ビーム及び/又は焦点合わせビームの経路に設けられ、放射を方向転換して所望の強度分布を提供することができる。付加的又は代替的に、アパーチャデバイス(例えば開口を有するプレート、光路から不要な放射を遮断/反射することによって効果的に開口を提供する空間光モジュレータ、光路から不要な放射を遮断/反射する液晶素子など)を測定ビーム及び/又は焦点合わせビームの経路に設け、所望の空間強度分布を規定するアパーチャを提供することができる。同様に、ある実施形態では、方向転換された測定ビームの一部分656が焦点合わせモジュール610の検出器620、622に到達することを防止するために、ビーム整形光学素子及び/又はアパーチャデバイスを設けることができる。同様に、付加的又は代替的に、ビーム整形光学素子及び/又はアパーチャデバイスを使用して、方向転換された焦点合わせビームの一部分616が測定モジュール650の検出器678に到達することを防止することができる。さらに、デバイスの異なる組み合わせを使用して、所望の強度分布を導き出す、及び/又は放射が検出器に到達することを防止することができる。例えば、ビーム整形光学素子は所望の強度分布を提供することができる一方、アパーチャデバイスは放射が検出器に到達するのを防止することができる。
[0090] 上述のように、ある実施形態では、所望の強度分布(照明形状とも呼ばれる)を作成するためにアパーチャデバイスが提供される。焦点合わせビームのためのアパーチャデバイスは、入力638(例えばファイバ)、(例えば入力638の)視野面に設けられたアパーチャデバイス、又は(例えば角度成形デバイスの形態をとる)アパーチャデバイス642とすることができる。測定ビームのためのアパーチャデバイスはアパーチャデバイス668とすることができる。アパーチャデバイスは、照明形状を画定する1つ以上の開口を有するプレートとすることができる。例えばアパーチャプレートは、それぞれが異なる照明形状を画定する複数の開口を有することができ、プレートは、適用可能なビーム経路に異なる開口を配置できるように移動可能(例えば回転可能)である。ある実施形態では、適用可能な放射の経路内及び経路外に、複数のアパーチャプレートを設けて配置することができる。他の形態のアパーチャデバイスも、光路から不要な放射を遮断/反射することによって効果的に照明開口を提供する空間光モジュレータ、光路から不要な放射を遮断/反射する液晶素子などを備えることができる。アパーチャデバイスの照明開口の様々な実施形態を図7A〜7Dに示す。これらの図は、図7Aに示すような単極照明開口、図7Bに示すような環状リング照明開口、図7Cに示すような双極照明開口、及び図7Dに示すような四極照明開口を含む。図7A〜7Dの照明開口によって作成される対応する放射ビームの照明形状を図8A〜8Dに示す(便宜上、そして図7と区別するために、照明は白い背景に黒く示されているが、実際には、おそらく光路は照明が明るいために暗い)。図8Aに示すような単極照明形状は、オンアクシス照明と呼ばれることがある。図8B〜8Dに示すような他の3つの照明形状は、オフアクシス照明と呼ばれることがある。図7A〜7Dには照明開口の例が4つしか示されていないが、他の適切な照明開口を提供することもできる。
[0091] ある実施形態では、焦点合わせビーム及び/又は測定ビームの光路にビーム整形要素を設ける。ある実施形態では、ビーム整形要素は、効果的に(例えば焦点合わせビーム及び/又は測定ビームに望ましい照明形状を作成するために)例えばオンアクシス照明形状をオフアクシス照明形状に(あるいはその逆に)変換するなど、1つの強度分布から異なる所望の強度分布に放射を変換するように、又は(例えば、例えばアパーチャデバイスと組み合わせて使用される場合に放射が検出器に到達するのを防止するために)オフアクシス放射をオンアクシスに、オンアクシス放射をオフアクシス(あるいはその逆)にするように放射の形状を反転するように構成される。ある実施形態では、放射がビーム整形要素を逆方向に通過するときに、あらゆるオフアクシス放射をオンアクシス放射に変換し、あらゆるオンアクシス放射をオフアクシス放射に(あるいはその逆に)変換することがさらにできるようにビーム整形要素を光路に配置する。ビーム整形要素が照明強度分布を逆方向に変換しない場合、ビーム整形要素は、典型的には、測定ビームの場合は入力662と素子667の間、及び/又は焦点合わせビームの場合は入力638と素子644の間に位置する。ビーム整形要素が放射強度分布を逆方向に変換する場合、ビーム整形要素は、典型的には、測定ビームの場合は検出器678と素子660の間の光路に、及び/又は焦点合わせビームの場合はアパーチャデバイス624、626と素子660(ビーム整形要素646など)の間の光路に位置する。ある実施形態では、ビーム整形要素は、瞳面又はその光学的共役面に若しくはその近くに位置する。
[0092] ビーム整形要素は、例えば回折光学素子、アキシコン、空間光モジュレータなどの形態をとることができる。ある実施形態では、ビーム整形要素は、オンアクシス放射形状をリング形状(例えば図8B)に第1の方向に変換するように構成されたアキシコンレンズを備える。任意選択で、アキシコンレンズは、リング形状をオンアクシス照明形状に逆方向に変換するように配置することができる。
[0093] ある実施形態では、ビーム整形要素は、オンアクシス照明形状を調整可能な半径を有するリング形状(例えば図8B)に第1の方向に変換するように構成された一対のアキシコンレンズを備える。一対のアキシコンレンズ間の距離を調整することによって、リングの半径を変えることができる。任意選択で、一対のアキシコンレンズは、リング形状をオンアクシス照明形状に逆方向に変換するように配置することができる。
[0094] ある実施形態では、ビーム整形要素は、オンアクシス照明形状をマルチスポット形状(例えば、ピラミッド形のプリズム又は4つのウェッジの場合の図8Dに示すような4スポット形状、2つのウェッジの場合の図8Cに示すような2スポット形状)に第1の方向に変換するように構成された1つ以上のプリズム(例えばピラミッド形のプリズム、2つ以上のウェッジ)を備える。任意選択で、1つ以上のプリズムは、マルチスポット形状をオンアクシス照明形状に逆方向に変換するように配置することができる。
[0095] ある実施形態では、第1の入力638及び/又は第2の入力662は、図9に示すようなマルチコアファイバ900を備える。マルチコアファイバ900は、中心に1つ以上のコア930を有し、中心コア930の周囲に、この例では六角形を形成する6つのコア920を有する。第1の照明モードでは、図10Aに示すように中心コア930だけが放射を放出し(便宜上、そして図9と区別するために、照明は白い背景に黒く示されているが、実際には、おそらく光路は照明が明るいために暗い)、オンアクシス照明を提供する。第2の照明モードでは、図10Bに示すように1つ以上の周辺コア920が放射を放出し(便宜上、そして図9と区別するために、照明は白い背景に黒く示されているが、実際には、おそらく光路は照明が明るいために暗い)、オフアクシス照明を提供する。図9には中心コア930の周囲に6つのコア920が示されているが、任意の適切な数のコア920を中心コア930の周囲に設けることができる。さらに、図9には単一のコア930が示されているが、任意の適切な数のコア930を設けることができる。
[0096] ある実施形態では、第1の入力638及び/又は第2の入力662は図9に示すようなファイバ束900を備える。ファイバ束900は、中心に位置する1つ以上のファイバ930を有し、中心ファイバ930の周囲に位置する、この例では六角形を形成する6つのファイバ920を有する。第1の照明モードでは、図10Aに示すように中心ファイバ930だけが放射を放出し、オンアクシス照明を提供する。第2の照明モードでは、図10Bに示すように1つ以上の周辺コア920が放射を放出し、オフアクシス照明を提供する。図9には中心ファイバ930の周囲に6つのファイバ920が示されているが、任意の適切な数のファイバ920を中心ファイバ930の周囲に設けてもよい。さらに、図9には単一のファイバ930が示されているが、任意の適切な数のファイバ930を設けてもよい。
[0097] ある実施形態では、第1の入力638がマルチコアファイバ又はファイバ束を備える場合、全てのコア又はファイバは同時に放射を放出することができる。変形形態では、焦点合わせビーム612が基板680で測定652と完全に重なる場合、測定ビーム652がオンアクシス形状を有する場合に焦点合わせビーム612が基板680で測定652と完全に重なるように、少なくとも1つ以上の内側コア又はファイバが放射を放出する。同様に、測定ビーム652がオフアクシス形状を有する場合に、焦点合わせビーム612が基板680で測定652と完全に重なるように、少なくとも1つ以上の外側コア又はファイバが放射を放出する。
[0098] 図6を再び参照すると、ある実施形態では、焦点合わせビーム612は、例えば、中間像面近くのアパーチャデバイス(例えば、図7B、7C、又は7Dに示すような開口を有し、例えば646の位置に位置するアパーチャデバイス)を使用すること、上記のマルチコアファイバ又はファイバ束900を使用した第2の照明モードで動作すること、又はビーム整形要素(例えばビーム整形デバイス646など)を使用することによって、(例えば図8B〜8D又は図10Bに示すような)オフアクシス照明形状を有する。したがって、焦点合わせビーム612は、図8B〜8D又は図10Bに示すような照明形状の1つと同様の照明形状を有することができる。これに伴い、測定ビーム652は、例えば、アパーチャデバイス(例えば、図7Aに示すような開口を有し、例えばアパーチャデバイス668であるアパーチャデバイス)を使用すること、マルチコアファイバ又はファイバ束900を使用した第1の照明モードで動作すること、又は(例えばレンズ669とアパーチャデバイス668の間に位置する)ビーム整形要素を使用することによって、(例えば図8A又は図10Aに示すような)オンアクシス照明形状を有する。結果として、焦点合わせビーム612と測定ビーム652は共同で、例えば図11A〜11Dの照明形状の1つに示すような(便宜上、そして図10と区別するために、照明は白い背景に黒く示されているが、実際には、おそらく光路は照明が明るいために暗い)、空間的に分離した照明形状を形成することができる。
[0099] 同様に、この実施形態では、方向転換された焦点合わせビームの一部分614と方向転換された測定ビームの一部分656は共同で、例えば、図11A〜11Dの照明形状の1つに示すような空間的に分離した照明形状を形成することができる。また、方向転換された焦点合わせビームの一部分614と方向転換された測定ビームの一部分656はともに、焦点合わせモジュール610に誘導される。アパーチャ開口形状が方向転換された測定ビームの一部分656を遮断又は反射する適切な第1のアパーチャデバイス624及び第2のアパーチャデバイス626(例えば、図7B〜7Dの形状を有する開口など)を使用することによって、方向転換された測定ビームの一部分656が焦点合わせモジュール610の検出器620、622に到達することを防止する。アパーチャデバイス624、626は、以下でさらに説明するビーム整形要素とともに使用することができる。
[00100] さらに、方向転換された焦点合わせビームの一部分616と方向転換された測定ビームの一部分654は共同で、同じ空間的に分離した照明形状を形成することができる。また、方向転換された焦点合わせビームの一部分616と方向転換された測定ビームの一部分654はともに、測定モジュール650に誘導される。アパーチャ開口形状が方向転換された焦点合わせビームの一部分616を遮断又は反射する適切なアパーチャデバイス668(例えば、図7Aの形状を有する開口など)を使用することによって、方向転換された焦点合わせビームの一部分616が測定モジュール650の検出器678に到達することを防止する。例えば、アパーチャデバイス668は、方向転換された焦点合わせビームの一部分616が完全に遮断される一方、方向転換された測定ビームの一部分654が遮断されないような適切なサイズを有するピンホールとすることができる。アパーチャデバイス668は、以下でさらに説明するビーム整形要素とともに使用することができる。図6に示すように、アパーチャデバイス668は、レンズ666及び669の焦点面に又は焦点面の近くに設けられる。しかし、その代わりにアパーチャデバイス668は、基板680から検出器678に向かう放射経路中の部分反射光学素子667と検出器678の間の任意の適切な場所に設けられてもよい。ある実施形態では、アパーチャデバイス668は、中間像面又はその光学的共役面に若しくはその近くに位置する。
[00101] 図6を再び参照すると、ある実施形態では、焦点合わせビーム612は、例えば、アパーチャデバイス(例えば、図7Aに示すような開口を有し、例えば入力638と素子660の間の、例えば646の位置に640と660の間の追加のリレーを有して位置するアパーチャデバイス)を使用すること、上記のマルチコアファイバ又はファイバ束900を使用した第1の照明モードで動作すること、又はビーム整形要素(例えば瞳面又は光学的共役面にあるビーム整形要素642)を使用することによって、(例えば図8A又は図10Aに示すような)オンアクシス照明形状を有する。同様に、測定ビーム652は、例えば、アパーチャデバイス(例えば、図7B、7C、又は7Dに示すような開口を有するアパーチャデバイス668)を使用すること、マルチコアファイバ900又はファイバ束900を使用した第2の照明モードで動作すること、又は(例えばレンズ669と入力662の間に位置する)ビーム整形要素を使用することによって、(例えば図8B〜8D又は図10Bに示すような)オフアクシス照明形状を有する。結果として、焦点合わせビーム612と測定ビーム652は共同で、例えば図11A〜11Dの照明形状の1つに示すような空間的に分離した照明形状を形成することができる。
[00102] 同様に、この実施形態では、方向転換された焦点合わせビームの一部分614と方向転換された測定ビームの一部分656は共同で、例えば、図11A〜11Dの照明形状の1つに示すような空間的に分離した照明形状を形成することができる。また、方向転換された焦点合わせビームの一部分614と方向転換された測定ビームの一部分656は、焦点合わせモジュール610に誘導される。アパーチャ開口形状が方向転換された測定ビームの一部分656を遮断又は反射する適切な第1のアパーチャデバイス624及び第2のアパーチャデバイス626(例えば、図7Aの形状を有する開口など)を使用することによって、方向転換された測定ビームの一部分656が焦点合わせモジュール610の検出器620、622に到達することを防止する。アパーチャデバイス624、626は、以下でさらに説明するビーム整形要素とともに使用することができる。
[00103] さらに、方向転換された焦点合わせビームの一部分616と方向転換された測定ビームの一部分654は共同で、同じ空間的に分離した照明形状を形成することができる。また、方向転換された焦点合わせビームの一部分616と方向転換された測定ビームの一部分654はともに、測定モジュール650に誘導される。アパーチャ開口形状が方向転換された焦点合わせビームの一部分616を遮断又は反射する適切なアパーチャデバイス668(例えば、図7B〜Dの形状を有する開口など)を使用することによって、方向転換された焦点合わせビームの一部分616が測定モジュール650の検出器678に到達することを防止する。例えば、アパーチャデバイス668は、方向転換された焦点合わせビームの一部分616が完全に遮断される一方、方向転換された測定ビームの一部分654が遮断されないような適切なサイズを有するリング又は複数のオフアクシス開口とすることができる。アパーチャデバイス668は、以下でさらに説明するビーム整形要素とともに使用することができる。
[00104] 理解されるように、アパーチャデバイスはビームパスの他の部分に位置することができる。ある実施形態では、焦点合わせモジュール610内で、又は焦点合わせモジュール610のために測定ビーム部分を遮断するアパーチャデバイスは、素子644と入力638の間の経路以外の、素子660から検出器620、622までの経路の事実上いかなる場所にも位置することができる。望ましくは、アパーチャデバイス624及び626は、焦点測定に使用されるため、測定放射を遮断するのに使用される。しかし、アパーチャデバイス624、625に測定ビームを遮断するように設計されていないアパーチャ開口を設けることが望ましい場合があり、この場合、検出器620、622のために測定放射を遮断する別のアパーチャデバイスを設ける。同様に、アパーチャデバイス668以外の追加のアパーチャデバイスを使用することができ、同様に、アパーチャデバイス668は、素子667と入力662の間の経路以外の、素子660から検出器678までの経路の事実上いかなる場所にも位置することができる。
[00105] ある実施形態では、素子660と素子644の間の光路にビーム整形要素646を設ける。したがって、ビーム整形要素646は、この実施形態では基板680への放射の供給経路中と、基板680から検出器620、622に向かう放射の戻り経路中の両方にある。ある実施形態では、ビーム整形要素646は、部分反射光学素子644と反射光学素子648の間にある。さらに、この実施形態では、焦点合わせビーム612はオフアクシス照明形状を有する一方、測定ビーム652はオンアクシス形状を有する。理解されるように、構成を反転することもできる。
[00106] したがって、この実施形態では、入力638からビーム整形要素646への放射はオンアクシス形状(例えば、入力638によって直接与えられる、又は例えば入力638と要素646の間のアパーチャデバイスによって与えられる円形状)を有する。次に、ビーム整形要素646はこの放射を方向転換して、オフアクシス形状(例えばリング形状又は多極構成)を形成する。したがって、焦点合わせビーム612は基板680に対してオフアクシス照明形状を有する。さらに、上記のように、測定ビーム652はオンアクシス照明形状を有する。
[00107] 焦点合わせビーム612と測定ビーム652が基板680に入射した後、方向転換された焦点合わせビームの一部分614と方向転換された測定ビームの一部分656は共同で、例えば、図11A〜11Dの照明形状の1つに示すような空間的に分離した照明形状を形成することができる。また、方向転換された焦点合わせビームの一部分614と方向転換された測定ビームの一部分656はともに、焦点合わせモジュール610に誘導され、ここでビーム整形要素646は方向転換された焦点合わせビームの一部分614のオフアクシス照明形状をオンアクシス照明形状に変換し、方向転換された測定ビームの一部分656のオンアクシス照明形状をオフアクシス照明形状に変換する。アパーチャ開口が図7Aのものと同様の第1のアパーチャデバイス620及び第2のアパーチャデバイス622を使用することによって、方向転換された測定ビームの一部分656が第1及び第2のアパーチャデバイス620、622によって検出器620、622に到達することが防止される一方、方向転換された焦点合わせビームのオンアクシス部分614が検出器620、622に到達する。さらに、方向転換された焦点合わせビームの一部分616と方向転換された測定ビームの一部分654は共同で、上記の同じ空間的に分離した照明形状を形成することができる。方向転換された焦点合わせビームの一部分616と方向転換された測定ビームの一部分654はともに、測定モジュール650に誘導される。アパーチャ開口が図8Aのものと同様のアパーチャデバイス668を使用することによって、(オフアクシス形状を有する)方向転換された焦点合わせビームの一部分616が検出器678に到達することが防止される一方、方向転換された測定ビームの一部分654が検出器678に到達する。一部の実施形態では、アパーチャデバイス620、622、及び/又は668は、適切なスリット又は開口サイズを有するピンホールとすることができる。ある実施形態では、付加的又は代替的に、例えばアパーチャデバイス668における又はアパーチャデバイス668の近くにおける測定ビームの放射形状を変えるために、素子660と素子667の間の光路にビーム整形要素を設ける。
[00108] 付加的又は代替的に、アパーチャデバイス668を部分反射光学素子667と検出器678の間(例えば反射光学素子672とレンズ674の間)の光路に配置する場合、第1の入力638又は第2の入力662は単独で、焦点合わせビームであるとともに測定ビームでもある空間的に分離した放射ビームを同時に提供することができる。セットアップ600の残りの部分は同様に構成することができるか、又は、例えば第1の入力638だけを使用する場合は、入力662、レンズ664、666、及び素子667を取り除くことができ、第2の入力662だけを使用する場合は、第1の入力638、レンズ640、アパーチャ絞り642及び素子644を取り除くことができることによってより単純に構成することができる。ある実施形態では、システム600は、各入力638、662からの放射から焦点合わせビームと空間的に分離した測定ビームをともに同時に作成するビーム整形要素又はアパーチャデバイスを備える。ある実施形態では、入力638、662は、内側コア又はファイバが測定ビームを提供することができ、1つ以上の外側コア又はファイバが焦点合わせビームを提供することができる、2つの照明モードで同時に動作するマルチコアファイバ又はファイバ束を備える。このような実施形態では、測定ビーム及び焦点合わせビームは、異なる光学特性、例えば異なる波長、異なる偏光などを比較的持ちやすい可能性がある。例えば、内側部分が測定ビームであり、外側部分が焦点合わせビームである、又は逆の場合もある結合ビームの照明形状は、図11A〜11Dと同様とする、又は任意の他の適切な形状とすることができる。結合ビームは、上記のように基板680によって方向転換され、焦点合わせモジュール610及び測定モジュール650に逆誘導される。
[00109] フォーカスセンサシステムの簡略化された光学的構成の例示的な実施形態を図12、図13及び図14に示す。各システムは、入力フィールドアパーチャ1200と、光学モジュール1210(例えば図6に示すような焦点検出分岐におけるビームスプリッタ632を含む)と、光学モジュール1220(例えば図6に示す素子660及び対物系670を含む)と、基板1230(ここでは黒で示され、明るい焦点スポットで照明されている)と、検出器アパーチャ1240とを有する。
[00110] 図12のセンサシステムにおいて、入力フィールドアパーチャ1200は、照明アパーチャ形成デバイスの役割を果たすファイバ束の形態をとる。図12の検出器アパーチャ1240は、入力フィールドアパーチャ1200からの照明形状と同じレイアウトを有するものとして示されているが、形状が同じである必要はない。
[00111] 図13のセンサシステムにおいて、入力フィールドアパーチャ1200は、図示された開口を有するプレートの形態をとることができる(ただし理解されるように、入力フィールドアパーチャ1200は、ファイバ束、SLMなどを含む異なる形態とすることができ、アパーチャは異なる形状又はレイアウトとすることができる)。図13はさらに、入力フィールドアパーチャ1200に従って整形された放射を受けるように近い瞳空間(例えば図6の位置640)に位置するビーム整形光学素子1250を含む。図13は、アキシコンレンズがビーム整形光学素子1250である場合の基板における例示的な出力照明形状(図13の基板1230上に示された照明形状)、2つのウェッジがビーム整形光学素子1250である場合の基板における例示的な出力照明形状(図13の基板1232上に示された照明形状)、及びピラミッド形のプリズムがビーム整形光学素子1250である場合の基板における例示的な出力照明形状(図13の基板1234上に示された照明形状)を示す。図13から分かるように、基板における照明形状は変換されて検出器アパーチャ1240において入力照明形状に戻る。したがって、入力照明形状と出力照明形状は、基板における中間照明形状が異なっていたとしても本質的に同じままである。図13の検出器アパーチャ1240は、入力フィールドアパーチャ1200からの照明形状と同じレイアウトを有するものとして示されているが、形状が同じである必要はない。
[00112] 図13のセンサシステムにおいて、入力フィールドアパーチャ1200は、図示された開口を有するプレートの形態をとることができる(ただし理解されるように、入力フィールドアパーチャ1200は、ファイバ束、SLMなどを含む異なる形態とすることができ、アパーチャは異なる形状又はレイアウトとすることができる)。図13はさらに、入力フィールドアパーチャ1200に従って整形された放射を受けるように近い瞳空間(例えば図6の位置640)に位置するビーム整形光学素子1260を含む。この例では、ビーム整形光学素子1260は、少なくとも一方のアキシコン又はプリズムが他方のアキシコン又はプリズムに対して移動可能な(1270)一対のアキシコン又はプリズムを含む。図14は、一対のアキシコンレンズがビーム整形光学素子1250である場合の基板における例示的な出力照明形状(図14の基板1230上に示された照明形状)を示す。図14から分かるように、基板における照明形状は変換されて検出器アパーチャ1240において入力照明形状に戻る。したがって、入力照明形状と出力照明形状は、基板における中間照明形状が異なっていたとしても本質的に同じままである。図14の検出器アパーチャ1240は、入力フィールドアパーチャ1200からの照明形状と同じレイアウトを有するものとして示されているが、形状が同じである必要はない。有利には、この実施形態では、ビーム整形光学素子1260は、単に1270方向のアキシコン又はプリズム間の距離を変えることによって、基板における照明形状の半径(例えば、リングの半径、複数のスポットの半径位置)を変えることができる。
[00113] ある実施形態では、第1の入力638と第2の入力662はともにレーザ源である。ある実施形態では、レーザ源によって放出される放射ビームは公称波長及び比較的狭い帯域幅を有する。
[00114] ある実施形態では、第1の強度分布を有する放射の第1の測定ビームを基板上に誘導すること、及び、第2の強度分布を有する放射の第2の焦点合わせビームを、第1の測定ビームが基板上に誘導されるのと同時に基板上に誘導することを含み、第2の強度分布の少なくとも一部は、少なくとも基板及び/又はアパーチャデバイスにおいて第1の強度分布から空間的に分離される方法が提供される。
[00115] ある実施形態では、第2の強度分布の少なくとも一部は、第1の強度分布の反対側の部分を含む。ある実施形態では、第2の強度分布の少なくとも一部は、放射のリング及び/又は複数の放射極を含む。ある実施形態では、方法はさらに、基板によって方向転換され、第2の焦点合わせビームの検出器に向かう光路中にある第1の測定ビームの少なくとも第1の部分が第2の焦点合わせビーム検出器に到達することを阻む一方、基板によって方向転換された第2の焦点合わせビームの少なくとも第1の部分が第2の焦点合わせビーム検出器に到達するのを許可することを含む。ある実施形態では、第1の測定ビームの少なくとも第1の部分を阻むことは、第1のアパーチャデバイスを使用して、方向転換された第1の測定ビームの少なくとも第1の部分を遮断することを含む。ある実施形態では、方法はさらに、基板によって方向転換され、第1の測定ビームの検出器に向かう光路中にある第2の焦点合わせビームの少なくとも第2の部分が第1の測定ビーム検出器に到達することを阻む一方、基板によって方向転換された第1の測定ビームの少なくとも第2の部分が第1の測定ビーム検出器に到達するのを許可することを含む。ある実施形態では、第2の焦点合わせビームの少なくとも第2の部分を阻むことは、第2のアパーチャデバイスを使用して、方向転換された第2の焦点合わせビームの少なくとも第2の部分を遮断することを含む。ある実施形態では、第1の強度分布及び/又は第2の強度分布はアパーチャデバイスによって与えられる。ある実施形態では、第1の測定ビーム及び/又は第2の焦点合わせビームは、マルチコアファイバによって又はファイバ束によって提供される。ある実施形態では、第1の強度分布及び/又は第2の強度分布はビーム整形光学素子によって与えられる。ある実施形態では、ビーム整形光学素子はアキシコンレンズ及び/又はプリズムを含む。
[00116] ある実施形態では、基板を保持するように構成された基板ホルダと、アパーチャデバイスと、第1の強度分布を有する放射の第1の測定ビームを基板上に誘導し、第2の強度分布を有する放射の第2の焦点合わせビームを、第1の測定ビームが基板上に誘導されるのと同時に基板上に誘導するように構成された光学系とを備え、第2の強度分布の少なくとも一部は、少なくとも基板及び/又はアパーチャデバイスにおいて第1の強度分布から空間的に分離される検査装置が提供される。
[00117] ある実施形態では、第2の強度分布の少なくとも一部は、第1の強度分布の反対側の部分を含む。ある実施形態では、第2の強度分布の少なくとも一部は、放射のリング及び/又は複数の放射極を含む。ある実施形態では、装置はさらに、第2の焦点合わせビームの検出器を備え、光学系はさらに、基板によって方向転換され、第2の焦点合わせビーム検出器に向かう光路中にある第1の測定ビームの少なくとも第1の部分が第2の焦点合わせビーム検出器に到達することを阻む一方、基板によって方向転換された第2の焦点合わせビームの少なくとも第1の部分が第2の焦点合わせビーム検出器に到達することを許可するように構成される。ある実施形態では、光学系は、第1のアパーチャデバイスを使用して、方向転換された第1の測定ビームの少なくとも第1の部分を遮断するように構成される。ある実施形態では、装置はさらに、第1の測定ビームの検出器を備え、光学系はさらに、基板によって方向転換され、第1の測定ビーム検出器に向かう光路中にある第2の焦点合わせビームの少なくとも第2の部分が第1の測定ビーム検出器に到達することを阻む一方、基板によって方向転換された第1の測定ビームの少なくとも第2の部分が第1の測定ビーム検出器に到達することを許可するように構成される。ある実施形態では、光学系は、第2のアパーチャデバイスを使用して、方向転換された第2の焦点合わせビームの少なくとも第2の部分を遮断するように構成される。ある実施形態では、アパーチャデバイスは第1の強度分布及び/又は第2の強度分布を与えるように構成される。ある実施形態では、装置はさらに、第1の測定ビーム及び/又は第2の焦点合わせビームを提供するように構成されたマルチコアファイバ又はファイバ束を備える。ある実施形態では、装置はさらに、第1の強度分布及び/又は第2の強度分布を与えるように構成されたビーム整形光学素子を備える。ある実施形態では、ビーム整形光学素子はアキシコンレンズ及び/又はプリズムを含む。
[00118] 本明細書では、例えば回折次数に由来する強度から重なり合う周期構造の相対位置を測定する、回折に基づくメトロロジに関連して実施形態が記載されている。しかしながら、本明細書の実施形態は、必要に応じた適切な変更とともに、例えばターゲットの高品質画像を用いて層1のターゲット1から層2のターゲット2までの相対位置を測定する、画像に基づくメトロロジに適用されてもよい。通常、これらターゲットは、周期構造又は「ボックス」(ボックス・イン・ボックス(BiB))である。
[00119] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組み合わせを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
[00120] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外光(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
[00121] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電気光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指すことができる。
[00122] 特定の実施形態に関する以上の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に修正する、及び/又はこれらを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応及び修正は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲内に入るものとする。本明細書の言葉遣い又は用語は説明のためのもので、限定するものではなく、したがって本明細書の用語又は言葉遣いは、当業者には教示及び案内の観点から解釈されるべきことを理解されたい。
[00123] 本発明の幅及び範囲は、上述した例示的実施形態のいずれによっても限定されず、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ規定されるものである。