JP6739039B2 - フラッタ式エネルギー利用方法及びフラッタ式発電装置 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1〜3には、水中に配置した翼にフラッタ現象を生起させ、それによって生じる翼の水平方向への往復動を利用して電力に変換する水流発電装置が記載されている。
また、特許文献4〜5には、気中翼又は水中翼を流体流中に複数配置し、翼のフラッタ現象を利用して流体流の運動エネルギーを電力やその他の仕事に変換する装置が記載されている。
また、波浪のエネルギーを電力に変換する波力発電装置も周知であるが、波力発電装置は波浪が無いときには発電を行うことができない。
すなわち、水流発電装置では、波浪のエネルギーを他のエネルギーに変換することはできず、波力発電装置では、水流のエネルギーを他のエネルギーに変換することはできない。
請求項1に記載の本発明によれば、水流が無い場合であっても波浪が有れば、水流のエネルギーを他のエネルギーに変換するときと同じく、波浪による浮体の動揺に伴うフラッタ翼の上下方向の往復運動を利用して、波浪のエネルギーを電力又は機械的な動力用等の他のエネルギーに変換することができる。
請求項2に記載の本発明によれば、水流のエネルギーと波浪のエネルギーの両方を、フラッタ翼の上下方向の往復運動を利用して、電力又は機械的な動力用等の他のエネルギーに同時に変換することができる。
請求項3に記載の本発明によれば、少なくとも波漂流力等の波浪による運動に応じた適切な復元力をフラッタ翼に与え、波浪のエネルギーを効率よく他のエネルギーに変換することができる。
請求項4に記載の本発明によれば、少なくとも波漂流力等の波浪による運動が強くなった場合には強い復元力をフラッタ翼に与え、フラッタ翼の往復運動の振幅の増加を抑えて波浪のエネルギーを効率よく他のエネルギーに変換することができる。
請求項5に記載の本発明によれば、水流のエネルギーの変換と同様に波浪のエネルギーを、フラッタ翼の上下方向の往復運動を利用して電力に変換することができる。
請求項6に記載の本発明によれば、水流のエネルギーと波浪のエネルギーを連成してフラッタ翼に作用させ電力に変換することや、水流のエネルギーと波浪のエネルギーを、上下方向に往復運動するフラッタ翼という同じ機構を利用して、電力に変換することができる。
請求項7に記載の本発明によれば、フラッタ翼をより確実に上下方向に往復運動させることができる。
請求項8に記載の本発明によれば、フラッタ翼の上下方向の往復運動に伴って往復運動取出機構が、他端が係合された軸受を支点として回動することにより、フラッタ翼の上下方向の往復運動を回動運動として取り出すことができる。
請求項9に記載の本発明によれば、往復運動取出機構が他端を支点として回動することによる回動運動として取り出したエネルギーを、発電手段により電力に変換することができる。
請求項10に記載の本発明によれば、フラッタ翼に復元力を与えることで、フラッタ翼の上下方向の往復運動をより確実に継続させることができる。また、ばね機構の位置を変えることで、適切な復元力をフラッタ翼に与え、水流のエネルギーの変換と同様に波浪のエネルギーを効率よく電力に変換することができる。
請求項11に記載の本発明によれば、少なくとも波漂流力等の波浪による運動に応じた適切な復元力をフラッタ翼に与え、波浪のエネルギーをより効率よく電力に変換することができる。
請求項12に記載の本発明によれば、ばねが往復運動取出機構を張引することによって、往復運動取出機構に接続されたフラッタ翼に復元力を与えることができる。また、ばね機構の位置が少なくとも波漂流力等の波浪による運動に応じて変更されることにより、適切な復元力をフラッタ翼に与え、波浪のエネルギーをさらに効率よく電力に変換することができる。
請求項13に記載の本発明によれば、フラッタ翼で生起されるフラッタ現象が、フラッタ翼に発生する浮力や自重による沈降によって阻害されることやフラッタ翼がアンバランスな動きとなることを極力防止できる。
請求項14に記載の本発明によれば、フラッタ翼で生起されるフラッタ現象が、フラッタ翼の自重による沈降によって阻害されることやフラッタ翼がアンバランスな動きとなることを極力防止できる。
請求項15に記載の本発明によれば、係留索で浮体を係留することにより、浮体を所定の範囲に留めて発電を行うことができる。また、水流や波浪による運動(波漂流力)により浮体の向きをフラッタ現象の生起し易い向きに向けることが可能となる。
フラッタ翼20、ガイド手段30、及び往復運動取出機構40は水中に配置されている。
フラッタ翼20は、水流によるフラッタ現象又は波浪による浮体10の動揺の少なくとも一方に基づいて上下方向に往復運動する。
係留索110は、浮体10が設置される水深よりも十分に長く、1本の索が途中で二股に分かれている。係留索110の一端は水底Bに固定され、二股に分かれた先の他端は浮体10の正面10a側の両端に固定される。これにより、浮体10の位置変化を所定の範囲に留めて発電を行うことができる。また、浮体10の正面10a側に係留索110を固定することにより、水流又は波浪の向きが変化しても浮体10の正面10aが流れや波浪による運動(波漂流力)に対向する面となるように浮体10の向きが変わる。また、水流と波漂流力がバランスする方向に浮体10の正面10aが向くように浮体10の向きが変わる。
この、波漂流力は浮体10に対し、波浪の運動により水平方向に働く力であり、上下方向に働く力としての波浪による浮体10の動揺とは異なっている。
浮体10は、下面側が隆起している。また、浮体10は、正面10aから後面10bまでの縦長Lよりも、一方の側面10cから他方の側面10dまでの横長Wのほうが短い。
ガイド手段30は、浮体10の長手方向(10a−10b)中間よりも後方寄りで短手方向(10c−10d)中間となる位置に設けられている。カラム手段60は、浮体10の長手方向中間よりも前方寄りで短手方向中間となる位置に設けられている。
ガイド手段30の下端とカラム手段60の下端は、それぞれロワーハル100に接続されている。ロワーハル100は、浮体10の前方側から後方側にかけて、浮体10の下面から離して水平に設けられている。
ガイド手段30は、フラッタ翼20の動作が上下方向の動きとなるようにフラッタ翼20をガイドする。これにより、フラッタ翼20をより確実に上下方向に往復運動させることができる。
第一ばね支持部材90Aは、浮体10の短手方向中間よりも一方の側面10c寄りに設けられる。第二ばね支持部材90Bは、浮体10の短手方向中間よりも他方の側面10d寄りに設けられる。
第一ばね支持部材90A及び第二ばね支持部材90Bは、それぞれ、浮体10の下面から下方に延伸した棒状の二本の取付アーム部91によって両端が保持されている。第一ばね支持部材90A及び第二ばね支持部材90Bは、浮体10の前方側から後方側にかけて、浮体10の下面から離して水平に設けられる。
ばね機構位置変更手段80は、抵抗体81と補助ばね82とを備え、ばね機構70(ばね71)の位置を変える。
抵抗体81は、ばね71の一端71aと他端71bとの間に設けられる。抵抗体81は、例えば、水流及び波浪による運動(波漂流力)を受け止めるようにばね71から立設させた平板である。抵抗体81が水流又は波浪による波漂流力を受けると、ばね機構70はその力に押されて後方へ移動する。ばね機構70は、水流又は波浪による波漂流力から受ける力が大きければ大きいほど後方へ移動する。
補助ばね82は、前端がカラム手段60に係止され、後端がばね機構70に係止されている。ばね機構70は、補助ばね82によって常時前方に引っ張られている。従って、抵抗体81が水流又は波浪による波漂流力から受ける力よりも補助ばね82がばね71を前方に引っ張る力のほうが大きい場合は、ばね71は前方へ移動する。
この構造により、水流の流速及び/又は波浪による波漂流力に応じた適切な復元力をフラッタ翼20に与え、水流のエネルギー及び波浪のエネルギーをより効率よく電力に変換することができる。
なお、本実施の形態では波浪の運動としての水平方向に働く波漂流力に対応して復元力を与えるように構成しているが、例えば波浪の運動としての上下方向に働く力に対応して復元力を与えるように構成することも可能である。
フラッタ翼20の一端20aには、前後方向に長い長孔21が形成されている。フラッタ翼20の一端20aは、長孔21に嵌挿される第一取付ピン33を介して後部ガイド手段32に係止されている。第一取付ピン33は、後部ガイド手段32に対して上下方向に移動可能に取り付けられている。そのため、フラッタ翼20の一端20aも後部ガイド手段32に対して上下方向に移動可能である。
また、フラッタ翼20の他端20bは、第二取付ピン34を介して前部ガイド手段31に係止されている。第ニ取付ピン34は、前部ガイド手段31に対して上下方向に移動可能に取り付けられている。そのため、フラッタ翼20の他端20bも前部ガイド手段31に対して上下方向に移動可能である。
また、往復運動取出機構40の他端40bは、カラム手段60に設けられた軸受61に回動自在に係合されている。軸受61の位置は固定されている。
従って、往復運動取出機構40が図5のように中立位置(水平位置)にあるときに、フラッタ翼20は、一端20aが後部ガイド手段32の中間位置よりも必ず上又は下にあり、水平にはならない。この機構により、水流又は波浪の少なくとも一方が有る限り、フラッタ翼20が浮体10に対して相対的に静止することを防止できる。
なお、フラッタ翼20の比重と、フラッタ翼20の翼形状による揚力発生の効果を組み合わせて、フラッタ翼20のフラッタ運動が阻害されることやアンバランスな動きとなることを防止してもよい。
また、ばね支持部材90の内側には、カラム手段60の後端近傍から前部ガイド手段31の前端近傍にかけて前後方向に配置されたスライドレール(図示無し)が、溝41に対応するように設けられている。ばね71の一端71a(図4参照)は、このスライドレールを前後に移動可能に係止されている。
発電機51とワンウェイクラッチ付ギア52とは、発電機シャフト55で連結されている。
カラム手段60の下端には、往復運動取出機構40が回動自在に係合された軸受61と、カラム手段60を貫通して軸受61に嵌合されたカラム手段シャフト62とが配置されている。
チェーン54は、第一チェーン54Aと、第二チェーン54Bとからなる。第一チェーン54Aは、ワンウェイクラッチ付ギア52とカラム手段シャフト62とに掛け渡されている。第二チェーン54Bは、ギア53とカラム手段シャフト62とに掛け渡されている。
カラム手段シャフト62は、往復運動取出機構40の回動によって両方向に回動する。しかし、ワンウェイクラッチ付ギア52を介在させることによって、発電機シャフト55を一方の方向のみに回転させることができる。
図7(a)は、フラッタ翼20がガイド手段30の上下方向の略中間位置にあり、往復運動取出機構40が中立位置(水平位置)にある状態を示している。
フラッタ翼20は、一端20aが後部ガイド手段32の中間位置よりも下に位置し、他端20bが前部ガイド手段31の中間位置に位置している。このとき第一取付ピン33は、長孔21の前端21aに接している。
図7(b)は、フラッタ翼20がガイド手段30にガイドされて上方に移動し、それに伴い往復運動取出機構40も上方に回動し、上方の転換点に達した状態を示している。
このとき第一取付ピン33は、長孔21の後端21bに接しており、フラッタ翼20と往復運動取出機構40とは略直線状となる。
図7(c)は、フラッタ翼20がガイド手段30にガイドされて下方に移動し、それに伴い往復運動取出機構40も下方に回動し、中立位置に戻った状態を示している。
フラッタ翼20は、一端20aが後部ガイド手段32の中間位置よりも上に位置し、他端20bが前部ガイド手段31の中間位置に位置している。このとき第一取付ピン33は、長孔21の前端21aに接している。
図7(d)は、フラッタ翼20がガイド手段30にガイドされて下方に移動し、それに伴い往復運動取出機構40も下方に回動し、下方の転換点に達した状態を示している。
このとき第一取付ピン33は、長孔21の後端21bに接しており、フラッタ翼20と往復運動取出機構40とは略直線状となる。
以上のように、図7(a)→(b)→(c)→(d)→(a)→(b)→(c)→(d)→・・・の状態が繰返される。
このようにフラッタ翼20の上下方向の往復運動は、他端40b側を支点とした往復運動取出手段40の回動運動を生じさせ、その回動運動を利用して発電機50が発電する(図6参照)。すなわち、フラッタ翼20の上下方向の往復運動は、往復運動取出手段40によって回動運動として取り出され、回動運動として取り出された運動エネルギーは発電手段50によって電力に変換される。
なお、往復運動取出手段40によって取り出されたエネルギーは、例えばシリンダーの駆動力など機械的な動力に変換してもよい。
上述の通り、ばね機構70は、ばね機構位置変更手段80によって位置が変えられるものであり、ばね機構70は、抵抗体81が水流又は波浪による波漂流力から受ける力が大きければ大きいほど後方へ移動する。
従って、ばね機構70は、水流又は波浪による波漂流力が強くなればなるほど往復運動取出機構40の支点(他端40b)から遠くなるので、フラッタ翼20と接続された往復運動取出機構40を引っ張る力が大きくなる。これにより、ばね機構70がフラッタ翼20に与える復元力が大きくなる。そのため、フラッタ翼20の往復運動の振幅の増加を抑えることができる。
また、水流又は波浪による波漂流力が弱まった場合には、ばね機構70が補助ばね82によって前方に引き戻され、往復運動取出機構40の支点(他端40b)に近くなるので、往復運動取出機構40を引っ張る力が小さくなる。これにより、ばね機構70がフラッタ翼20に与える復元力が小さくなる。そのため、フラッタ翼20の往復運動の振幅の減少を抑えることができる。
これにより、水流のエネルギー及び波浪のエネルギーをさらに効率よく電力に変換することができる。
20 フラッタ翼
30 ガイド手段
40 往復運動取出機構
40a 一端
40b 他端
41 溝
50 発電手段
60 カラム手段
61 軸受
70 ばね機構
71 ばね
71a 一端
71b 他端
80 ばね機構位置変更手段
90 ばね支持部材
110 係留索
Claims (15)
- 浮体を水面上に一部が露出するように配置し、少なくとも前記水面上の波浪に対して前記浮体を所定の範囲に留め、かつ向きを変えられるように係留し、前記浮体に設けられ水中に臨ませた水流によりフラッタ現象を生起させることが可能なフラッタ翼に対して、少なくとも波浪による前記浮体の上下方向の動揺を作用させ、前記フラッタ翼の上下方向の往復運動を取り出し、取り出した運動エネルギーを他のエネルギーに変換することを特徴とするフラッタ式エネルギー利用方法。
- 前記フラッタ翼に対して前記水流と前記浮体の動揺を連成して作用させたことを特徴とする請求項1に記載のフラッタ式エネルギー利用方法。
- 前記フラッタ翼に復元力を与えるにあたり、少なくとも前記波浪による運動に応じて前記復元力を変えて作用させたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフラッタ式エネルギー利用方法。
- 前記復元力は少なくとも前記波浪による運動が強くなると、前記フラッタ翼に対する前記復元力が強くなるものであることを特徴とする請求項3に記載のフラッタ式エネルギー利用方法。
- 変換する前記他のエネルギーは電力であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちの1項に記載のフラッタ式エネルギー利用方法。
- 水面上に一部が露出するように配置された浮体と、前記水面上の波浪に対して前記浮体を所定の範囲に留め、かつ向きを変えられるように係留する係留手段と、水中に臨ませた水流によりフラッタ現象を生起させることが可能なフラッタ翼と、前記フラッタ翼を前記浮体に係止するガイド手段と、少なくとも波浪による前記浮体の上下方向の動揺に基づく前記フラッタ翼の上下方向の往復運動を取り出す往復運動取出機構と、前記往復運動取出機構で取り出したエネルギーを電力に変換する発電手段とを備えたことを特徴とするフラッタ式発電装置。
- 前記ガイド手段が、前記フラッタ翼の動作が前記上下方向の動きとなるように前記フラッタ翼をガイドすることを特徴とする請求項6に記載のフラッタ式発電装置。
- 前記往復運動取出機構の一端が、前記フラッタ翼に係止され前記ガイド手段にガイドされるとともに、前記浮体から下方に延伸したカラム手段に設けた軸受に他端が回動自在に係合されることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のフラッタ式発電装置。
- 前記発電手段は、前記往復運動取出機構の前記他端の回動運動により発電するものであることを特徴とする請求項8に記載のフラッタ式発電装置。
- 前記フラッタ翼に復元力を与えるばね機構と、前記ばね機構の位置を変えるばね機構位置変更手段とを備えたことを特徴とする前記請求項6から請求項9のうちの1項に記載のフラッタ式発電装置。
- 前記ばね機構位置変更手段は、前記ばね機構の前記位置を少なくとも前記波浪による運動に応じて変更することを特徴とする請求項10に記載のフラッタ式発電装置。
- 前記ばね機構は、ばねが前記浮体に固定されたばね支持部材に一端が係止され、他端が前記往復運動取出機構に設けた溝をスライドして張引するものであり、前記ばね機構位置変更手段が前記ばね機構のスライドする前記位置を少なくとも前記波浪による運動に応じて変更することを特徴とする請求項11に記載のフラッタ式発電装置。
- 前記フラッタ翼は、水と略同等の比重を有することを特徴とする請求項6から請求項12のうちの1項に記載のフラッタ式発電装置。
- 前記フラッタ翼の翼形状が、前記フラッタ翼の重量を軽減する揚力が発生する形状に構成されていることを特徴とする請求項6から請求項12のうちの1項に記載のフラッタ式発電装置。
- 前記係留手段は、前記浮体の正面側に一端が固定され他端が水底に固定される係留索を含むことを特徴とする請求項6から請求項14のうちの1項に記載のフラッタ式発電装置。
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