以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
図1は、本実施の形態に係るデジタルサイネージシステムの説明図である。図1に示すデジタルサイネージシステム1では、検知センサ10からの歩行者情報が制御装置20に入力され、制御装置20の命令で投影装置30により投射面に広告等の画像が投影される。又、検知センサ10の信号強度に連動して情報を変化させることができる。
検知センサ10としては、圧力を電気信号に変換するトランスデューサを用いる。トランスデューサの具体例としては、例えば、弾性体の表裏硬度差を利用した発電素子等が利用可能である。又、材料内の分極を偏在固定した圧電材料、材料の帯電列差を用いた剥離帯電を利用した摩擦発電素子、事前にエネルギー付与工程を経てエレクトレット化された材料を利用したエレクトレット発電素子等を用いてもよい。
制御装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、メインメモリ等を含む構成とすることができる。この場合、制御装置20の各種機能は、ROM等に記録されたプログラムがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されることによって実現できる。但し、制御装置20の一部又は全部は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。又、制御装置20は、物理的に複数の装置等により構成されてもよい。制御装置20は、例えば、パーソナルコンピュータであってもよい。
制御装置20内では、例えば、データ処理用のアルゴリズムを設定したソフトウエアが作動し、事前に用意された広告データやプログラムをどのように表示するか(表示位置や切り替えタイミング等)を処理し、投影装置30に命令を出す。
投影装置30は、例えば、プロジェクタ、液晶テレビ、プラズマテレビ、或いは1素子ごとに色を変更できる画像表示装置等である。投影装置30は、投射面(スクリーン)に広告等の情報を投影することができる。但し、後述のように、情報が投影される場所は投射面(スクリーン)以外の被投射物でも構わない。
データ処理用のアルゴリズムは、例えば、検知センサ10から入力される接触位置の電圧波形を位置情報に変換することができる。又、データ処理用のアルゴリズムは、付加情報を分析及びパターニングして組み合わせることにより、体の状態、歩行時の特徴、性別、年齢等を予測し、投影装置30への表示データの選択や切り替えタイミングの変更、表示位置の高さ調整等を実施することができる。
付加情報としては、例えば、検知センサ10から入力される接触位置の電圧波形の立ち上がりの傾きによる歩行者の加速度や、重量、更には体重移動や足の大きさ等が挙げられる。或いは、付加情報として、図2に示すように、検知センサに対する負荷方向が加圧される方向である場合と除圧される方向である場合で、出力波形として反対符号の電気信号を示す特徴等が挙げられる。
変化させる情報としては、本実施の形態や後述の実施例では画像としているが、画像に限定されるものではなく、例えば音声、超音波、電磁波等としてもよい。なお、事前に用意された広告データは、制御装置20内に予め記録されても良いし、記録媒体に記録されたデータやプログラムを適宜入力しても良いし、同様のプログラムやデータがネットワークからダウンロードされても良い。その際、制御装置20とネットワークとの結線は、有線でも無線でも構わない。
次に、図3を参照しながら、デジタルサイネージシステム1について、より具体的に説明する。図3は、本実施の形態に係るデジタルサイネージシステムの具体的な一例の説明図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は上面図、図3(c)は側面図である。
図3において、壁101の歩行者200に視認可能な位置に投射面(スクリーン)102が設置されている。又、壁101の歩行者200の上部に制御装置20が設置され、更に支柱103により投影装置30が所定間隔で複数個設置されている。床104には、検知センサ10としてトランスデューサが所定間隔で複数個配列されている。
歩行者200が床104上を歩行すると、床104に設置された検知センサ10が歩行者200の動きを検知し、検知センサ10からの歩行者情報が制御装置20に入力され、制御装置20の命令で投影装置30により投射面102に画像300が投影される。画像300は、歩行者200の斜め前方に長い時間表示できるように、歩行者200の動きに連動して表示することができる。画像300は、例えば、広告である。
デジタルサイネージシステム1の作動イメージを図4、図5、及び図6に例示する。図4は、歩行者が単独で通行する場合の作動イメージを例示する図である。図4(a)〜図4(c)のように歩行者200が単独で矢印方向に移動する場合、歩行者200が歩行した床104に設置された検知センサ10が歩行者200の動きを検知し、検知センサ10からの歩行者情報が制御装置20に入力される。
図4(a)に示すように、まず、制御装置20は、検知センサ10からの歩行者情報に基づいて左側の投影装置30に命令する。そして、左側の投影装置30は、例えば、歩行者200の斜め前方に画像300として『A』を表示する。歩行者200の歩行に連動して、『A』も歩行者200と同一方向に移動しながら所定時間継続的に表示される。
図4(b)に示すように、歩行者200が更に矢印方向に移動すると、制御装置20は、検知センサ10からの歩行者情報に基づいて中央の投影装置30に命令する。そして、中央の投影装置30は、例えば、歩行者200の斜め前方に画像300として『B』を表示する。歩行者200の歩行に連動して、『B』も歩行者200と同一方向に移動しながら所定時間継続的に表示される。
図4(c)に示すように、歩行者200が更に矢印方向に移動すると、制御装置20は、検知センサ10からの歩行者情報に基づいて右側の投影装置30に命令する。そして、右側の投影装置30は、例えば、歩行者200の斜め前方に画像300として『C』を表示する。歩行者200の歩行に連動して、『C』も歩行者200と同一方向に移動しながら所定時間継続的に表示される。
図5は、複数の歩行者(ここでは歩行者200及び210)が同一方向に連続して通行する場合の作動イメージを例示する図である。図5のように複数の歩行者が連続して各矢印方向に移動する場合、歩行者200が歩行した床104に設置された検知センサ10が歩行者200の動きを検知し、検知センサ10からの歩行者情報が制御装置20に入力される。同時に、歩行者210が歩行した床104に設置された検知センサ10が歩行者210の動きを検知し、検知センサ10からの歩行者情報が制御装置20に入力される。
制御装置20は、歩行者200が歩行した床104に設置された検知センサ10からの歩行者情報に基づいて左側の投影装置30に命令する。そして、左側の投影装置30は、例えば、歩行者200の斜め前方に画像300として『A』を表示する。歩行者200の歩行に連動して、『A』も歩行者200と同一方向に移動しながら所定時間継続的に表示される。
同時に、制御装置20は、歩行者210が歩行した床104に設置された検知センサ10からの歩行者情報に基づいて右側の投影装置30に命令する。そして、右側の投影装置30は、例えば、歩行者210の斜め前方に画像300として『C』を表示する。歩行者200の歩行に連動して、『C』も歩行者200と同一方向に移動しながら所定時間継続的に表示される。
図6は、複数の歩行者(ここでは歩行者200及び210)が交差して通行する場合の作動イメージを例示する図である。図6(a)〜図6(c)のように複数の歩行者が各矢印方向に移動して交差する場合、歩行者200が歩行した床104に設置された検知センサ10が歩行者200の動きを検知し、検知センサ10からの歩行者情報が制御装置20に入力される。同時に、歩行者210が歩行した床104に設置された検知センサ10が歩行者210の動きを検知し、検知センサ10からの歩行者情報が制御装置20に入力される。
図6(a)に示すように、まず、制御装置20は、歩行者200が歩行した床104に設置された検知センサ10からの歩行者情報に基づいて左側の投影装置30に命令する。そして、左側の投影装置30は、例えば、歩行者200の斜め前方に画像300として『A』を表示する。歩行者200の歩行に連動して、『A』も歩行者200と同一方向に移動しながら所定時間継続的に表示される。
同時に、制御装置20は、歩行者210が歩行した床104に設置された検知センサ10からの歩行者情報に基づいて右側の投影装置30に命令する。そして、右側の投影装置30は、例えば、歩行者210の斜め前方に画像300として『C』を表示する。歩行者210の歩行に連動して、『C』も歩行者210と同一方向に移動しながら所定時間継続的に表示される。
図6(b)に示すように、歩行者200及び210が更に各矢印方向に移動すると、制御装置20は、歩行者200が歩行した床104に設置された検知センサ10からの歩行者情報に基づいて中央の投影装置30に命令する。そして、中央の投影装置30は、例えば、歩行者200の斜め前方下部に画像300として『B』を表示する。歩行者200の歩行に連動して、『B』も歩行者200と同一方向に移動しながら所定時間継続的に表示される。
同時に、制御装置20は、歩行者210が歩行した床104に設置された検知センサ10からの歩行者情報に基づいて中央の投影装置30に命令する。そして、中央の投影装置30は、例えば、歩行者210の斜め前方上部に画像300として『B』を表示する。歩行者210の歩行に連動して、『B』も歩行者210と同一方向に移動しながら所定時間継続的に表示される。
図6(c)に示すように、歩行者200と歩行者210とが交差した後、歩行者200及び210が更に矢印方向に移動すると、制御装置20は、検知センサ10からの歩行者情報に基づいて右側の投影装置30に命令する。そして、右側の投影装置30は、例えば、歩行者200の斜め前方に画像300として『C』を表示する。歩行者200の歩行に連動して、『C』も歩行者200と同一方向に移動しながら所定時間継続的に表示される。
同時に、制御装置20は、歩行者210が歩行した床104に設置された検知センサ10からの歩行者情報に基づいて左側の投影装置30に命令する。そして、左側の投影装置30は、例えば、歩行者210の斜め前方に画像300として『A』を表示する。歩行者210の歩行に連動して、『A』も歩行者210と同一方向に移動しながら所定時間継続的に表示される。
なお、図4〜図6では投影装置30を3台としたが、台数は制限されるものではない。例えば、更に台数を増やすことにで、より大きな画面構成としてもよいし、台数を減らし1台でより広範囲に投影してもよい。
又、図4〜図6では投影装置30の設置場所を壁101の歩行者200の上部にしているが、投影装置30の設置場所を壁101の歩行者200の下部や横(上下方向の中央部近傍)としても構わない。
又、図4〜図6では画像300が投影される場所を投射面102(スクリーン)としたが、画像300を投射面(スクリーン)以外に投影しても構わない。例えば、画像300を検知センサ10の上に投影しても構わない。
図7は、画像を検知センサの上に投影する場合の具体的な一例の説明図であり、図7(a)は正面図、図7(b)は上面図、図7(c)は側面図である。
図7では、子供220に対して画像300として所定のキャラクタを表示する例を挙げている。例えば、子供220が道具400を用いて所定の検知センサ10の上に表示された画像300(キャラクタ)に接触すると画像300が移動するようにすることで、子供220は楽しく遊ぶことができる。このように、画像300を検知センサ10の上に投影することで、よりインタラクティブなシステムを実現可能となる。
なお、図7では、図3とは異なり、床104のみではなく壁101にも検知センサ10としてトランスデューサが所定間隔で複数個配列されている。但し、図7では、壁101の3面に検知センサ10が設置されているが、壁101の何れの面に検知センサ10を設置するかは適宜決定できる。或いは、壁101と床104の何れか一方のみに検知センサ10を設置してもよい。
又、図3では検知センサ10の形状が細長状であったが、図7では検知センサ10の形状を略正方形状とし、同一面積内により多くの検知センサ10を設置している。これにより、子供220のより細かな動きに連動して画像300の表示を切り替えることが可能となる。
ここで、デジタルサイネージシステム1の各構成部について、より詳細に説明する。
[トランスデューサ]
図8は、検知センサ10として用いることができるトランスデューサの構成を例示する図である。なお、図8はトランスデューサの構成の一例を示したものであり、図8の構成に限定されるものではない。
図8(a)は、中間層11を第1の電極12と第2の電極13とで挟んだだけの基本形である。図8(b)は、コイルバネ14と支持台15を用いて中間層11と第2の電極13との間に空間を設けた構成であり、この構成は発電量向上に寄与することができる。図8(c)は、図8(b)におけるコイルバネ14と支持台15の代わりに板バネ16と支持台17を用いた構成であり、図8(b)よりも耐久性を向上することができる。
ここで、トランスデューサの中間層11、第1の電極12、及び第2の電極13について、以下に更に詳しく述べる。
<第1の電極12、第2の電極13>
第1の電極12及び第2の電極13の材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。第1の電極12及び第2の電極13において、その材質、形状、大きさ、構造は、同じであってもよいし、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
第1の電極12及び第2の電極13の材質としては、例えば、金属、炭素系導電材料、導電性ゴム組成物等が挙げられる。金属としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ステンレス、タンタル、ニッケル等が挙げられる。炭素系導電材料としては、例えば、カーボンナノチューブ等が挙げられる。導電性ゴム組成物としては、例えば、導電性フィラーと、ゴムとを含有する組成物等が挙げられる。
導電性ゴム組成物が含有する導電性フィラーとしては、例えば、炭素材料(例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンファイバー(CF)、カーボンナノファイバー(CNF)、カーボンナノチューブ(CNT)等)、金属フィラー(金、銀、白金、銅、アルミニウム等)、導電性高分子材料(ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、及びポリパラフェニレンビニレンの何れかの誘導体、又は、これら誘導体にアニオン若しくはカチオンに代表されるドーパントを添加したもの等)、イオン性液体等が挙げられる。
導電性ゴム組成物が含有するゴムとしては、例えば、シリコーンゴム、変性シリコーンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ポリサルファイドゴム、ウレタンゴム、イソブチルゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンゴム、天然ゴム(ラテックス)等が挙げられる。
第1の電極12の形状、及び第2の電極13の形状としては、例えば、薄膜等が挙げられる。第1の電極12の構造、及び第2の電極13の構造は、例えば、繊維状の炭素材料が重なって形成された不織布であってもよい。
<中間層11>
中間層11は、圧力を負荷したときに電圧を発生するものであれば何でも良いが、可撓性を有するものであることが好ましい。又、可撓性を有する中間層11においては、以下の条件(1)及び条件(2)の少なくとも何れかを満たすことが好ましい。
条件(1):中間層11の面に対して直交する方向から中間層11が加圧された際に、中間層11における第1の電極12側の変形量と、中間層11における第2の電極13側の変形量とが異なる。
条件(2):中間層11の第1の電極12側における10μm押し込み時のユニバーサル硬度(H1)と、中間層11の第2の電極13側における10μm押し込み時のユニバーサル硬度(H2)とが異なる。
中間層11においては、以上のように、両面での変形量、又は硬度が異なることにより、大きな発電量を得ることができる。なお、本願において、変形量とは、以下の条件で中間層11を押し付けた際の、圧子の最大押し込み深さである。
[測定条件]
測定機:フィッシャー社製、超微小硬度計WIN−HUD
圧子:対面角度136°の四角錐ダイヤモンド圧子
初期荷重:0.02mN
最大荷重:1mN
初期荷重から最大荷重までの荷重増加時間:10秒間。
ユニバーサル硬度は、以下の方法により求められる。
[測定条件]
測定機:フィッシャー社製、超微小硬度計WIN−HUD
圧子:対面角度136°の四角錐ダイヤモンド圧子
押し込み深さ:10μm
初期荷重:0.02mN
最大荷重:100mN
初期荷重から最大荷重までの荷重増加時間:50秒間。
ユニバーサル硬度(H1)と、ユニバーサル硬度(H2)との比(H1/H2)としては、1.01以上が好ましく、1.07以上がより好ましく、1.13以上が特に好ましい。比(H1/H2)の上限値としては、特に制限はなく、例えば、使用状態において要求される可撓性の程度、使用状態における負荷等により適宜選択されるが、1.70以下が好ましい。ここで、H1は、相対的に硬い面のユニバーサル硬度であり、H2は、相対的に柔らかい面のユニバーサル硬度である。
中間層11の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゴム等が挙げられる。ゴムとしては、例えば、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム(ラテックス)、ウレタンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム等が挙げられる。これらの中でも、シリコーンゴムが好ましい。
中間層11は、各種機能性を付与するために、フィラーを含有してもよい。フィラーとしては、例えば、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、酸化亜鉛、シリカ、炭酸カルシウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、酸化鉄、PTFE、マイカ、粘土鉱物、合成ハイドロタルサイト、金属等が挙げられる。圧電性を持つフィラーや分極している高分子(ベース材料若しくはフィラー)を使用する場合、分極処理を施すことが好ましい。
中間層11の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、変形追従性の点から、1μm〜10mmが好ましく、50μm〜200μmがより好ましい。又、平均厚みが好ましい範囲内であると成膜性が確保でき、かつ変形を阻害することもないため、良好な発電を行うことができる。
中間層11は、絶縁性であることが好ましい。絶縁性としては、108Ωcm以上の体積抵抗率を持つこと好ましく、1010Ωcm以上の体積抵抗率を持つことがより好ましい。中間層11は、複層構造であってもよい。
<<表面改質処理、及び不活性化処理>>
中間層11において、両面での変形量、又は硬度を異ならせる方法としては、例えば、表面改質処理、不活性化処理等が挙げられる。これらの処理は、両方を行ってもよいし、片方のみを行ってもよい。
−表面改質処理−
表面改質処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、オゾン処理、放射線(X線、α線、β線、γ線、中性子線)照射処理等が挙げられる。これらの処理の中でも、処理スピードの点から、プラズマ処理、コロナ放電処理、電子線照射処理が好ましいが、ある程度の照射エネルギーを有し、材料を改質しうるものであれば、これらに限定されない。
−−プラズマ処理−−
プラズマ処理の場合、プラズマ発生装置としては、例えば、平行平板型、容量結合型、誘導結合型の他、大気圧プラズマ装置でも可能である。耐久性の観点から、減圧プラズマ処理が好ましい。
プラズマ処理における反応圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05Pa〜100Paが好ましく、1Pa〜20Paがより好ましい。
プラズマ処理における反応雰囲気としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不活性ガス、希ガス、酸素等のガスが有効であるが、効果の持続性においてアルゴンが好ましい。又、その際、酸素分圧を5,000ppm以下とすることが好ましい。反応雰囲気における酸素分圧が、5,000ppm以下であるとオゾンの発生を抑制でき、オゾン処理装置の使用を控えることができる。
プラズマ処理における照射電力量は、(出力×照射時間)により規定される。照射電力量としては、5Wh〜200Whが好ましく、10Wh〜50Whがより好ましい。照射電力量が、好ましい範囲内であると、中間層11に発電機能を付与でき、かつ照射過剰により耐久性を低下させることもない。
−−コロナ放電処理−−
コロナ放電処理における印加エネルギー(積算エネルギー)としては、6J/cm2〜300J/cm2が好ましく、12J/cm2〜60J/cm2がより好ましい。印加エネルギーが好ましい範囲内であると中間層11に発電機能を付与でき、かつ照射過剰により耐久性を低下させることもない。
−−電子線照射処理−−
電子線照射処理における照射量としては、1kGy以上が好ましく、300kGy〜10MGyがより好ましい。照射量が、好ましい範囲内であると中間層11に発電機能を付与でき、かつ照射過剰により耐久性を低下させることもない。
電子線照射処理における照射雰囲気としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルゴン、ネオン、ヘリウム、窒素等の不活性ガスが充填し酸素分圧を5,000ppm以下とすることが好ましい。照射雰囲気における酸素分圧が、5,000ppm以下であるとオゾンの発生を抑制でき、オゾン処理装置の使用を控えることができる。
−−紫外線照射処理−−
紫外線照射処理における紫外線としては、波長365nm以下で200nm以上が好ましく、波長320nm以下で240nm以上がより好ましい。
紫外線照射処理における積算光量としては、5J/cm2〜500J/cm2が好ましく、50J/cm2〜400J/cm2がより好ましい。積算光量が、好ましい範囲内であると中間層11に発電機能を付与でき、かつ照射過剰により耐久性を低下させることもない。
紫外線照射処理における照射雰囲気としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルゴン、ネオン、ヘリウム、窒素等の不活性ガスが充填し酸素分圧を5,000ppm以下とすることが好ましい。照射雰囲気における酸素分圧が、5,000ppm以下であるとオゾンの発生を抑制でき、オゾン処理装置の使用を控えることができる。
なお、従来技術として、プラズマ処理、コロナ放電処理、UV照射処理、電子線照射処理等により励起又は酸化させることで活性基を形成し、層間接着力を高めることが提案されている。しかし、その技術は、層間への適用に限定され、最表面への適用はむしろ離型性を低下させるため好ましくないことがわかっている。又、反応を酸素リッチな状態下で行い、効果的に反応活性基(水酸基)を導入している。そのため、そのような従来技術は、本実施の形態に係る表面改質処理とは本質が異なる。
本実施の形態に係る表面改質処理は、酸素が少なく減圧された反応環境による処理(例えば、プラズマ処理)のため、表面の再架橋及び結合を促し、例えば、「結合エネルギーの高いSi−O結合の増加」に起因して耐久性が向上する。そして、更に加えて「架橋密度向上による緻密化」に起因して離型性が向上すると考えられる(なお、本実施の形態においても一部活性基は形成されてしまうが、後述するカップリング剤や風乾処理にて、活性基を不活性化させている)。
−不活性化処理−
中間層11の表面は、各種材料を用いて、適宜不活性化処理が施されてもよい。不活性化処理としては、中間層11の表面を不活性化させる処理であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不活性化剤を中間層11の表面に付与する処理が挙げられる。
なお、不活性化とは、所定の処理による励起又は酸化によって発生した活性基(例えば、−OH等)を不活性化剤と反応させて、中間層11の表面の活性度を下げることで、中間層11の表面を化学反応を起こしにくい性質に変化させることを意味する。ここで、所定の処理とは、例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理、UV照射処理、電子線照射処理等である。
不活性化剤としては、例えば、非晶質樹脂、カップリング剤等が挙げられる。非晶質樹脂としては、例えば、主鎖にパーフルオロポリエーテルを有する樹脂等が挙げられる。カップリング剤としては、例えば、金属アルコキシド又は金属アルコキシドを含む溶液が挙げられる。金属アルコキシドとしては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物や、重合度2〜10程度のそれらの部分加水分解重縮合物又はそれらの混合物等が挙げられる。
R1 (4−n)Si(OR2)n・・・一般式(1)
但し、一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキル基、アルキルポリエーテル鎖、及びアリール基の何れかを表す。nは、2〜4の整数を表す。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等が挙げられる。耐久性の面から特に好ましいのは、テトラエトキシシランである。
一般式(1)において、R1は、フルオロアルキル基であってもよく、更に酸素を介して結合したフルオロアルキルアクリレート、エーテルパーフルオロポリエーテルでもよい。柔軟性、耐久性の点で特に好ましいのは、パーフルオロポリエーテル基である。
更に、金属アルコキシドとしては、例えば、ビニルシラン類〔例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等〕、アクリルシラン類〔例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等〕、エポキシシラン類〔例えば、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等〕、アミノシラン類〔N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等〕等が挙げられる。
又、金属アルコキシドとしては、金属原子として、Si以外に、Ti、Sn、Al、Zrであるものを単独又は2種以上を混合して用いることも可能である。
不活性化処理は、例えば、ゴム等の中間体前駆体に表面改質処理を行った後に、中間体前駆体の表面に不活性化剤を塗布又はディッピング等により含浸させることによって行うことができる。又、中間体前駆体としてシリコーンゴムを用いた場合は、表面改質処理を行った後に、空気中に静置して風乾することにより、失活させてもよい。
中間層11の厚み方向における酸素濃度のプロファイルは、極大値を有することが好ましい。中間層11の厚み方向における炭素濃度のプロファイルは、極小値を有することが好ましい。そして、中間層11において、酸素濃度のプロファイルが極大値を示す位置と、炭素濃度のプロファイルが極小値を示す位置とが、一致することがより好ましい。
酸素濃度のプロファイル、及び炭素濃度のプロファイルは、X線光電子分光分析法(XPS)によって求めることができる。測定方法は、例えば、以下の方法が挙げられる。
[測定方法]
測定装置:Ulvac−PHI QuanteraSXM、アルバック・ファイ株式会社製
測定光源:Al(mono)
測定出力:100μmφ、25.1W
測定領域:500μm×300μm
パスエネルギー:55eV(narrow scan)
エネルギーstep:0.1eV(narrow scan)
相対感度係数:PHIの相対感度係数を使用
スパッタ源:C60クラスターイオン
Ion Gun 出力:10 kV、10 nA
Raster Control:(X=0.5,Y=2.0)mm
スパッタレート:0.9nm/min(SiO2換算)。
XPSでは、光電子効果により飛び出す電子を捕捉することにより、測定対象物中の原子の存在濃度比や結合状態を知ることができる。
シリコーンゴムは、シロキサン結合を有し、主成分がSi、O、及びCである。そのため、中間層11の材質としてシリコーンゴムを用いた場合、XPSのワイドスキャンスペクトルを測定し、各元素の相対ピーク強度比から表層から内部に存在する各原子(Si、O、及びC)の深さ方向の存在濃度比(atomic%)を求めることができる。その一例を図9(a)に示す。図9(a)は、シリコーンゴムを用い、更に表面改質処理(プラズマ処理)及び不活性処理を行って得られた中間層11のサンプルである。図9(a)において、横軸は表面から内部方向への分析深さであり、縦軸は存在濃度比である。
更に、シリコーンゴムの場合、Siの2p軌道の電子が飛び出すエネルギーを測定することにより、珪素に結合している元素及び結合状態を知ることができる。そこで、Siの結合状態を示すSi2p軌道におけるナロースキャンスペクトルからピーク分離を行い、化学結合状態を求めた。その結果を図9(b)に示す。図9(b)の測定対象は、図9(a)の測定に用いたサンプルである。図9(b)において、横軸は結合エネルギーであり、縦軸は強度比である。又、下から上に向かっては深さ方向での測定スペクトルを示している。
一般に、ピークシフトの量は結合状態に依存することが知られており、本件に関するシリコーンゴムの場合、Si2p軌道において高エネルギー側にピークがシフトするということが、Siに結合している酸素の数が増えていることを示す。
これによれば、シリコーンゴムにおいて、表面改質処理及び不活性化処理を行うと、表層から内部に向かって酸素が多くなり極大値を持ち、又、炭素が減少し極小値を持つ。更に深さ方向に分析をすすめると酸素が減少して炭素が増加し、ほぼ未処理のシリコーンゴムと同等の原子存在濃度となる。
更に、図9(a)のαで検出された酸素の極大値は、Si2p結合エネルギーシフトが高エネルギー側にシフトすることと一致(図9(b)のα)しており、酸素増加がSiに結合した酸素の数に起因することが示されている。
なお、未処理のシリコーンゴムについて同様の分析をした結果を、図10(a)及び図10(b)に示す。
図10(a)には、図9(a)にみられたような酸素濃度の極大値、及び炭素濃度の極小値は見られない。更に、図10(b)より、Si2p結合エネルギーシフトが高エネルギー側にシフトする様子もみられないことから、Siに結合した酸素の数も変化していないことが確認された。
以上のように、カップリング剤等の不活性化剤を中間層11の表面に塗布又はディッピングして浸透させることにより、不活性化剤が中間層11に染み込んでいく。カップリング剤が、一般式(1)で表される化合物等の場合、中間層11においては、ポリオルガノシロキサンが濃度分布を持って存在するようになり、この分布はポリオルガノシロキサンに含まれる酸素原子が深さ方向に極大値を有するような分布となる。結果として、中間層11は、3つ〜4つの酸素原子と結合したケイ素原子を有するポリオルガノシロキサンを含有することとなる。
なお、不活性化処理の方法は、ディッピング工法に限らない。例えば、ポリオルガノシロキサンに含まれる酸素原子が、中間層11の深さ方向(厚み方向)に極大値を有するような分布を実現できればよく、プラズマCVD、PVD、スパッタリング、真空蒸着、燃焼化学気相蒸着等の方法を用いてもよい。
中間層11は、静置状態において初期表面電位を持つ必要はない。なお、静置状態における初期表面電位は、以下の測定条件で測定できる。ここで、初期表面電位を持たないとは、下記測定条件で測定した際に、±10V以下を意味する。
[測定条件]
前処理:温度30℃湿度40wet%雰囲気に24h静置後、除電を60sec(Keyence製のSJ−F300を使用)
装置:Treck Model344
測定プローブ:6000B−7C
測定距離:2mm
測定スポット径:直径(Φ)10mm
その点で、本実施の形態に係るトランスデューサは、特開2009−253050号公報、特開2014−027756号公報、特開昭54−14696号公報等に記載の技術とは、発電の原理が異なると考えられる。
なお、本実施の形態に係るトランスデューサでは、摩擦帯電に似たメカニズムでの帯電と、内部電荷留保による表面電位差の発生とが、中間層の両面の硬度差に基づく変形量の差に起因して静電容量の偏りを生み出すことで、電荷が移動して発電すると推測される。しかし、正確には不明である。
本実施の形態に係るトランスデューサは、中間層11と、第1の電極12及び第2の電極13の少なくとも何れかとの間に空間を有することが好ましい。そうすることにより、発電量を増やすことができる。空間を設ける方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前述の図8で示したものの他、例えば、中間層11と第1の電極12及び第2の電極13の少なくとも何れかとの間にスペーサを配置する方法等が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本実施の形態に係るデジタルサイネージシステム1について説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。例えば、以下の実施例では床面をセンシングする場合を例に説明するが、検知センサを構築する場所は床面に限定されるものではない。
〈実施例〉
実施例では、以下に示すように、検知センサ10として、圧電体を用いたトランスデューサを用いた。
[トランスデューサ]
第1の電極として、三菱アルミホイル製:厚み12μmのアルミシートを電極材料とした。又、ベース材料をシリコーンゴムにチタン酸バリウムを添加量ベースゴム100重量部に対して40重量部で混合し、膜厚約150±20μm、長さ3m、幅150mmを狙いとしてブレード塗装を実施したものを高分子圧電体の中間層とした。この際、シリコーンゴムとしては、TSE3033:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製を用いた。又、チタン酸バリウムとしては、和光純薬(株):93-5640を用いた。
それを、約120℃の高温で30分焼成した後、表面改質処理として、次の条件でプラズマ処理を行った(処理条件:装置:ヤマト科学製:PR−500、出力:100W、処理時間:4分、反応ガス:アルゴン99.999%、反応圧力:10Pa)。
更に、プラズマ処理の後、中間層の処理面にフッ素系炭素化合物であるオプツールDSX(ダイキン工業株式会社製)パーフルオロヘキサンで希釈した0.1%溶液を引き上げ速度10mm/minの引き上げ速度にてディッピング塗布した。その後、湿度90%温度60℃の環境で30分以上保持後、50℃10分の乾燥を実施し乾燥した。
その中間層の上部に第1の電極と同じアルミシート層を重ねて第2の電極を形成し、夫々の電極に電線を接続し、更に膜厚50μmのPETフィルムで全体を封止した。その際、夫々の電極に接続された電線のみ封止せず、電圧信号を取り出せるようにした。又、実施例では、以下に示すデジタルサイネージシステムを構築した。
[デジタルサイネージシステム]
デジタルサイネージシステムとして、前述の図3に示したシステムを構成した。取り出した電圧信号を集約する制御装置20としては、パーソナルコンピュータ(DELL製:Vostro 3800 (インテル(r) Core(tm) i3 プロセッサー搭載モデル。OS:windows8.1))を用いた。制御装置20により、検知センサ10からの入力信号により位置を特定でき、更に前後の入力信号の時間変化から歩行者の移動速度を割り出すことができる。
広告データを表示する投影装置30としては、RICOH製:PJ WX4141NIを3台用い、図3に示すような投射面102の上部に固定し、画像連結により歩行者200の進行方向に長い画像を投影した。具体的には、本実施例では、制御装置20の計算に基づき、予め設定された5パターンの広告データを0.5秒ごとに切り替えて表示する位置を制御し、歩行者の位置から進行方向に約30cmの場所に投影装置30で投影させるように広告を移動させた。
[評価]
上記のデジタルサイネージシステムを用い、通行人からランダムに選定された10人の歩行者に対して、長さ6m、幅2mの通路を自由に通行してもらう評価を行った。なお、通行人の歩く速度は、目安として表1に示す速度とした。
又、5パターンの広告から、事前に自分の気になる広告を選定してもらい、歩行した後に、その広告を見ることができた人数をカウントした。そして、そのカウント人数を4段階で評価し、レベル1は0〜3人、レベル2は4〜6人、レベル3は7〜10人とし、レベル3以上を合格レベルとした。
又、評価環境は、表2及び図11に示す3パターンで実施した。すなわち、表2の評価1及び図11(a)に示すように、投射面102に対して、垂直方向から一定の照明があたった状態。そして、表2の評価2及び図11(b)に示すように、評価1の環境に加えて、スタート地点から2mから4mにかけて障害物500を置いて影を作成し、障害物500と投射面102との間を歩行する状態。更に、表2の評価3及び図11(c)に示すように、評価1の環境に加えて、スタート地点から2mから4mにかけて障害物500を置いて影を作成し、投射面102に対して障害物500を挟みこむ形で歩行する状態である。
又、図12に示すように、比較例として、実施例における検知センサ10(トランスデューサ)によるセンサシステムの代わりに、カメラ150による位置センシングを用いたデジタルサイネージシステムを構成し、実施例と同様の評価を実施した。なお、比較例では、制御装置20におけるCPUの処理負荷が実施例と同一になるようにカメラのフレームレート、解像度を調整した。又、カメラの画像認識方式はコントラスト比による検出方式を用いた。
[評価結果]
評価結果を表3及び表4に示す。なお、表3及び表4において、○は『視認できた』ことを示し、×は『視認できない』ことを示す。又、前述のように、レベル3以上で合格である。
表3及び表4より以下のことがわかる。すなわち、評価1の結果より、歩行速度が高い速度3の人物(歩行者(7)〜歩行者(10))に対して、実施例では追従するが、比較例では追従しきれないことがわかる。これにより、実施例では、比較例に比べて、より早い速度に追従したセンシングが実現できているといえる。
又、評価2の結果より、比較例では障害物があることにより、より歩行速度の低い速度2の人物(歩行者(4)〜歩行者(6))においても、歩行人物が自分の要求する広告を閲覧することが困難な場合が生じていることがわかる。これは、障害物が歩行者の背景にあることにより、カメラが歩行者認識のためのコントラスト比がとれず、歩行者の移動速度に対応した広告の表示が乱れたことに起因している。実施例ではそのような事例は発生せず、結果として比較例に比べて、より環境変動のないセンシングが実現できているといえる。
又、評価3の結果より、比較例では障害物があることにより、より歩行速度の低い速度1の人物(歩行者(1)〜歩行者(3))においても、歩行人物が自分の要求する広告を閲覧することが困難な場合が生じていることがわかる。これは、歩行者が障害物の陰に一旦隠れてしまう場合、カメラがその死角により歩行者を捕捉する時間が減少し、広告を追従させる時間が短くなることに起因している。実施例では、速度3で一名自分の要求する広告が閲覧できなかったが、これは障害物により物理的に歩行者の閲覧時間が減少したことに起因する。結果として、実施例では、比較例に比べて、より死角のないセンシングが実現できているといえる。
このように、本実施の形態及び実施例では、圧力を電気信号に変換するトランスデューサを検知センサとして用いることにより、各感圧箇所の位置・重量・加速度を正確、かつ限定的に取得可能となる。そのため、取得した情報がそのまま位置情報となりえることに加え、必要最低限に限定されたデータの解析を行うため、比較的軽い処理で解析を行うことができる。
又、高感度のセンシングが実現できることに加え、重量移動や加速度のデータから、対象者の動き・速度を予測することが可能となり、より早い動きに追従することができる。更に、検知センサに直接圧力を加えることがセンシング条件になるため、環境変動のないセンシングを構築可能である。
更に、測定ポイントは「面」になり、検知センサを広範囲に敷くことにより死角のないセンシングが可能となる。その結果、歩行者が広告を視認する時間が増加し、訴求性の高い広告が可能となる。
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。