JP6734350B2 - 有利な特性を有する放射性医薬溶液 - Google Patents

有利な特性を有する放射性医薬溶液 Download PDF

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Description

本発明は、遊離/非錯化/非キレート化224Raと、212Pb及び/又は212Biを捕捉/錯化/キレート化が可能な錯化剤とを含む放射性医薬溶液に関する。この溶液は、癌治療を含めた医療目的に使用されることができる。本発明の更なる態様は、特効性の溶液を提供するためのキット及び方法に関する。
標的化α粒子放射性核種療法は、悪性及び非悪性疾患に対する治療様式として期待される。α線放射性核種は高度に細胞傷害性であり、そして、生じたα粒子は、高い直線エネルギーの粒子であり、そしてそれは、狭い範囲に多量の電離作用を生じ、重度の修復不可能な二本鎖破壊によってDNAの破壊を引き起こす。
よって、α線放射性核種を使用するときには、それらが標的に到達し、標的化化合物から放出されることなく、かつ、それらが親核種からまき散らされる長寿命な娘核種を生じないことが重要であって、なぜなら、そのことが遠隔組織における毒性の原因となり得るからである。
医療応用を検討されたα放射体は比較的わずかしか存在しない。医学的処置の開発に好適である適当な半減期、崩壊特性、化学特性、及び娘生成物を有する放射性核種を見つけることは、その技術分野において難題である。
ラジウムは、放射化学科学の発展のために非常に重要であり、また、小線源療法を用いて癌を治療するために放射線−腫瘍学のパイオニア達によって使用もされた(すなわち、腫瘍内又はその付近に配置した放射線放出針又はシードである)。初めは、1600年の半減期(t1/2)を有する226Raが使用された。後に、溶存態塩化ラジウム注入液として、224Ra(t1/2=3.66日間)が、この最も重いアルカリ土類元素の天然の骨を探し出す特性により、強直性脊椎炎(AS)の緩和的治療のためにドイツで数十年間にわたって使用された。
2000年頃の短い期間の間、改良された精製方法の開発後に再び採用されたが、その後の影響に対する懸念と、AS向けの新しい治療選択肢の出現もあって、その使用は最終的には放棄された。そのため、224Raは今日、放射性医薬品として使用されておらず、また、本分野の第一人者によってα療法の有望な候補の中にあると思われていない。
しかしながら、224Raを使用して継続中の研究は、それらは治療用の水性224Ra溶液を使用してはいないが、局所的な腫瘍内小線源療法/ラドン拡散療法に関する情報を多くもたらした。
最近、溶解塩注入液の形態の、別のラジウム同位体223Raが、去勢療法抵抗性前立腺癌からの骨転移に対する処置としての販売承認が認可された。
223Ra(t1/2=11.4日)を224Ra(t1/2=3.6日)と比較したとき、第一に、両方とも、集約型の製造とエンドユーザーへの出荷を可能にする放射性医薬品用途のために適切な半減期を有し、且つ、それらの崩壊系列において3種類のα放出子孫を共に有し、そして、その系列は、それぞれの系列で約26〜28MeVの総αエネルギーを有する同様の量のα粒子(図1及び2)を生じている。
崩壊系列を比較したとき、Rn、Pb、及びBi元素の223Ra子孫は、非標的細胞及び組織における娘核種取り込みの問題を低減する著しく短い半減期を有する。これらがそれぞれ造血細胞や組織及び腎臓に蓄積する可能性があるので、鉛子孫にとってこれらの相違点は特に重要である。223Ra系列において、211Pb(t1/2=36.1分)は、224Ra系列の212Pb(t1/2=10.6時間)と比較して、ごくわずかな正常組織暴露しか引き起こさないであろう。注射の直前に、224Raが212Pbから精製されない限り、223Raは子孫よりも著しく少ない正常組織暴露をもたらすであろう。斯かる精製は、生成物が使用される病院で実施されるべきであるか、又は製造と使用が地理的に制限されている困難な手順を必要とするので、非実用的である。AS向けに、Altmann Terapie, Salzgitter, Germanyによって以前に供給された224Raの使用のための時間枠がたった6時間であったことが理由である。それは、較正時間の3時間前又は3時間後に使用できた。恐らく、(AS向けの新薬との競合増大に加えて)この製品保存期限が短いので、それによる物流と供給の困難さがかなり大きな理由で、その製品はもう販売されていない。
現時点で、患者への注射向けの224Ra溶液の使用は存在しない。代わりに、放射線免疫療法における212Pbの使用のための212Pbの抽出のための224Raジェネレーターベースのイオン交換体が開発過程にある。鉛−212は、それ自体がβ放射体であるが、α放射体212Biに崩壊して、その結果、α粒子療法用の生体内ジェネレーターとして好適であると思われる。
よって、現在、224Raは医学的に有用な212Pbのジェネレーター核種であると単にみなされる。212Pbの比較的短い半減期により、高濃度の製品が腔内で悪性腹水及び微小な転移を標的化し得る領域、例えば、腹腔内(i.p.)に、放射性免疫複合体が直接注入される、コンパートメント疾患に対する処置に最も適合することが予想される。212Pbの10.6時間の半減期は、放射能が崩壊する前にi.p.腔から少量しか漏れ出ないので有益であり得る。
骨疾患に対する療法向けのラジウムを考慮するとき、それが陽イオン状態に保たれなければならない。なぜなら、そのことで、ラジウムが、いわゆる「ボリューム−シーカー」として、娘核種の滞留を引き起こす骨無機物内への組み込みを確実にするからである。このことは、224Raにとって特に重要である。なぜなら、一部の娘核種(特に212Pb)が、血液、唾液又はリンパ液のような生理学的液体中で遊離状態のままだと、臓器を越えた再分配を可能にする十分長い半減期を有するからである。図4は、224Raの崩壊系列の主要な放射線を列挙する。
強直性脊椎炎における224Raの使用に関するモノグラフは、高度に精製された生成物を得る特許製法に基づく強直性脊椎炎に対する処置として224Ra溶液を再導入する取り組みをAltmann Terapie(Salzgitter, Germany)がおこなった約10年前に、ドイツ保健当局によって詳しく説明された。
224Raの崩壊系列では、娘核種212Pb(t1/2=10.6時間)が生じる。それは、患者に同時注射されると、224Ra親核種と比較して異なった生体分布をする。これが標的組織におけるより低い初期活性と、血球細胞、特に造血細胞や組織、並びに骨髄及び腎臓のような非標的組織におけるより高い活性の原因となる。放射平衡にある生成物中の224Raと比べて212Pb原子の数は14%未満である。しかし、224Raが血液から骨に急速に移動するか又は排出され、且つ、212Pbが造血細胞及び組織に十分に滞留されるので、α放射体212Biを作り出す212Pbの毒物学的影響は重要である。本分野における現在の知識によってこの問題を解決する唯一の方法は、提案されたように精製直後に、すなわち、212Pbの著しい内部成長(ingrowth)が起こる前に、224Raを使用することである。実験的な放射性医薬品研究における娘生成物向けのスカベンジャーの使用が記載された:Jonesら(1996)は、マウスの腎臓からの206Biのクリアランスを改良するために、数日にわたる非標的化ジチオールキレート剤、2,3−ジメルカプト−1−プロパンスルホン酸(DMPS)及びメソ−2,3−ジメルカプトコハク酸(DMSA)の経口投与を試験し、そして、DMPSにより改善された腎臓クリアランスを見いだした。彼らの目的は、抗インターロイキン2レセプター(IL−2R)212Pb又は212Biα放射線免疫療法における放射性毒性を低減又は予防するための潜在的アジュバントとして経口キレートを使用することであった。Jaggiら(2005)は、225Acから生じる213Biの腎蓄積を低減するために経口キレート療法を使用した。彼らの目標は、望ましくない娘生成物の排泄を増大させることであった。彼らは、放射性医薬品にキレート剤を加えるのではなく、放射性医薬品の注射前後に飲料水中に経口投薬としてのその使用を記述しただけであった。
骨療法に関して、223Raは、224Raに比べてより適当であると思われる。なぜなら、223Raが、非常に短い半減期を有する娘核種を有し、これにより、再局在化の問題がより少ないからである。ラジウム−223は最近、前立腺癌からのホルモン不応性骨転移を患っている患者の療法に関して承認された。
溶存態224Ra塩は以前に、癌療法で試験されたが、好ましくない特性及び無効性を理由に放棄された。それでは、224Ra及びその注射された娘核種の短い半減期を理由に、(単数若しくは複数の)軟組織が照射されることが述べられていた。言い換えれば、224Raの場合、娘核種、特に212Pbの半減期は、親核種と比較して、比較的長いので、より多くの軟組織暴露が起こる。そのため、224Raが、放射性医薬溶液でのその使用を制限する好ましくない娘核種を有することが、本分野では知られている。また、本分野の上級専門家による最近の総説では、224Raは、α粒子放射体による放射性医薬品療法向けに検討される候補放射性核種の中に列挙されなかった。
循環腫瘍細胞(CTC)の概念は、最近、CTCが腫瘍転移の発生における重要役割を担っている可能性があるとしてかなりの注目を集めている。例えば、前立腺癌、乳癌、肺癌、及び多発性骨髄腫癌のように骨転移を生じる癌が、血中の生きた循環癌細胞を有する可能性があり、そしてそれが、原発又は転移腫瘍から脱落した可能性があることが知られている。これは、骨転移が処置されたとしても、骨又は他の組織内へのCTCの定着によって新しい病巣が形成され得ることを意味している。
今日、骨転移に対して使用されているラジウム−223は、純粋な親骨性物質であり、CTCの問題に対処するものではない。そのため、α医薬骨治療薬の分野における、CTCに対処することもできる製品に対する必要性が存在する。
注入液及び生体内の両方での娘核種の発生は、224Raにとっての潜在的問題点であり、それ程ではないにせよ、2つの崩壊系列における最初の子孫としての223Raは、非常に拡散性が高いラドンである。しかしながら、文献データは、ラジウムが骨のボリューム−シーカーであり、且つ、骨マトリックス内に埋め込まれるので、生体内で作り出されたときには、問題がより少ないことを示唆している。また、静脈内ラジウムの骨への取り込みがほぼ即座に起こり、且つ、腸で起こる、そして、それ程ではないが、尿として排泄される、排出が迅速に起こり、注射後数分以内の血液からの排出につながることも、手助けする。ヒトでは糞便排出がメインルートであるのと比較して、齧歯動物では尿排出が恐らくより伝えられていることは言及されるべきである。Nilssonら(2005)によって報告されたように、注射の10分後の時点で、血中ラジウムの88%の低減が起こる。骨に局在するラジウムを考慮したとき、それは、数時間後の骨中における211Biと223Raとの平衡状態を223Raに関して報告した。動物データと成人に対する推定に基づく224Raに関しては、0.88と1.0の212Pb対224Ra比、すなわち、娘核種のほぼ完全な滞留が、2種類の別々のモデルによって見られた。これらのデータは、223Ra及び224Raの両方に関して骨中の娘核種の高い滞留を示す。そのため、224Raに関して、子孫の軟組織取り込みに対する顕著な寄与は、おそらく同時注射された娘核種によるものであろう。よって、224Ra注入液において娘核種、少なくとも212Pbを制御する方法を開発することは必須である。これは、本明細書中に記載した新しい224Ra溶液によって達成された。
本発明は、親核種224Ra、その娘核種212Pb、及び娘核種を錯化する錯化剤を含む放射性医薬品組成物に関する。224Raは非錯化形態で骨を標的とするが、組成物の一実施形態は、212Pbと錯体を形成し、そして、それが骨を特異的に標的化し、よって、212Pbによる望ましくない副作用及び/又は標的以外への効果を回避する及び/又は最小限にする錯化剤EDTMPを含む。これは、例えば図3Aと図3Bとの比較で明白である。別の実施形態において、錯化剤は、血液に対する212Pbの特異的標的化を可能にするTCMC標識モノクローナル抗体、例えば、トラスツズマブ(ハーセプチン)である。これは、例えば血中に循環腫瘍細胞が存在する状況で非常に有用な予期していなかった特徴である。よって、224Raで利用可能なものを超える治療学的な有効性は、例えば、骨集積性EDTMP及び血中循環TCMC−標識モノクローナル抗体によって212Pb標的化を特異的に制御することによって標的に特異的な様式で達成できる。マウスでのin vivo研究が、実施例12に示されており、最も標準的な治療プロトコールと比較して改善を示した。
本発明の目的は、224Ra及び少なくとも212Pbを捕捉できる錯体を含む放射性医薬溶液を提供することである。
本発明の一実施形態において、錯体は、非環状キレート剤、環状キレート剤、クリプタンド、クラウンエーテル、ポルフィリン若しくは環状若しくは非環状ポリホスホナート、DOTMP、EDTMP、ビスホスホナート、DOTAに結合したパミドロナート、TCMCに結合したパミドロナート、抗体結合型DOTA、及び抗体結合型TCMCから成る群から選択される1若しくは複数の化合物を含む。
本発明の別の実施形態において、212Pb及び/又は212Biは(骨集積性)EDTMPによって錯化される。
本発明の別の実施形態において、錯化剤は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント、合成タンパク質、ペプチド、ビタミン又はビタミン誘導体から成る群から選択される化合物に結合される。
本発明の別の実施形態において、錯化剤は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント、合成タンパク質、ペプチド、ビタミン又はビタミン誘導体から成る群から選択される化合物に結合したキレート剤TCMCである。
本発明の一態様は、本発明の放射性医薬溶液を含む第一のバイアル、及び患者への投与前に放射性医薬溶液のpH及び/又は等張性を調整するための中和溶液を含む第二のバイアルを含むキットに関する。
本発明の別の態様は、キレート標識タンパク質又はペプチドを含む第一のバイアル、224Ra溶液を含む第二のバイアルを含むキットに関する。
本発明の更なる態様は、薬物として使用するための本発明の放射性医薬溶液に関する。
本発明の更に別の態様は、骨疾患を治療するのに使用するための本発明の放射性医薬溶液に関する。
本発明の一実施形態において、骨疾患は、乳房、前立腺、腎臓、肺、骨、又は多発性骨髄腫に対する癌からの骨転移、或いは、強直性脊椎炎を含めた望ましくない石灰化を引き起こす非癌性疾患から成る群から選択される。
本発明の更なる態様は、それを必要としている個体への本発明の放射性医薬溶液の投与による悪性又は非悪性疾患の療法に関する。
本発明の別の態様は、キレート標識タンパク質、例えばモノクローナル抗体、又はペプチドを、224Raを含む溶液と混合することを含む、タンパク質−錯体又はペプチド−錯体を含む、224Ra溶液を提供するための方法に関する。
図1は、224Ra及び娘核種の崩壊を示す。 図2は、223Ra及び娘核種の崩壊を示す。 図3Aは、キレート剤を含まない溶液における224Ra及び子孫212Pbのヌードマウスでの生体分布を示す。 図3Bは、子孫212Pbのキレート剤としてEDTMPを含む224Ra溶液におけるヌードマウスでの生体分布を示す。 図3Cは、子孫212Pbのキレート剤としてTCMC−トラスツズマブ(ハーセプチン)を含む224Ra溶液におけるヌードマウスでの生体分布を示す。 図4は、224Ra系列からの主な放射線特性を示す。1分岐による224Ra変換あたりの平均。1%を上回る実効量のX線又はγ線だけを加えた。それは、224Ra及び娘核種の完全な崩壊あたり約26.5MeVのα線及び0.7MeVのβ線の総実効エネルギーを加える。 図5は、純粋な10MBqの224Ra線源からの212Pbの内部成長を示す。放射能レベルでの変更。開始放射能は10MBqの純粋な224−Ra。 図6Aは、錯化剤EDTMPやDOTMPを含む及びそれらを含まない、子孫核種と平衡状態にある224Raの溶液における212Pbの薄層クロマトグラフ(TLC)プロファイルを示す。 図6Bは、錯化剤を含む及びそれらを含まない、子孫核種と平衡状態にある224Raの溶液における212Pbの薄層クロマトグラフ(TLC)プロファイルを示す。図6Bは、抗体−TCMC又はDOTA結合体及びキレート剤を伴わない抗体の存在下での212PbのTLCプロファイルを示す。 図7は、骨対血液及び骨対腎臓に関する212Pbの取り込み比*を示す。 図8は、ヌードマウスのMDA−MB−231(SA)モデルにおける223Raと224Ra+212Pb−EDTMPのデータの比較を示す。*Suominen et al., J Natl Cancer Inst, 2013, 105: 908-916, Figure 6, p. 915より。
本発明はここで、下記においてより詳細に説明される。
本発明の詳細な説明
いくつかの略語を使用した
DOTMP− 1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ(メチレンホスホン酸)
EDTMP− エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)
EDTA− エチレンジアミン四酢酸
p−SCN−Bn−DOTA− 2−(4−イソチオシアナートベンジル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸
DOTA− 1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸及びベンジル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(例えば、モノクローナル抗体に結合されたもの)についても使用される
p−SCN−Bn−TCMC− 2−(4−イソチオシアナートベンジル)−1,4,7,10−テトラアザ−1,4,7,10−テトラー(2−カルバモイルメチル)−シクロドデカン
TCMC− 1,4,7,10−テトラアザ−1,4,7,10−テトラ−(2−カルバモイルメチル)−シクロドデカン及びベンジル−1,4,7,10−テトラアザ−1,4,7,10−テトラー(2−カルバモイルメチル)−シクロドデカン(例えば、モノクローナル抗体に結合されたもの)についても使用される
mAb− モノクローナル抗体
以下では、酸、塩又はキレート剤の部分的に若しくは完全に分離したバージョンについて、同じ略語が使用される。
ラジウムの存在下、娘核種が試験した錯化化合物EDTMP及びTCMCやDOTAキレート剤に結合したモノクローナル抗体と強力に錯化し、そして同時に、骨に対して完全に標的化できる非錯体形成陽イオンとして主にラジウム(224Ra)が維持することができることを、予想外に見出した。
放射性医薬溶液
本発明の目的は、224Ra、及び少なくとも212Pbを捕捉することができる錯体を含む放射性医薬溶液を提供することである。
よって、本発明の態様は、非錯化224Ra、及び錯化剤と212Pbとの間の錯体を含む放射性医薬溶液に関する。好ましくは、錯化剤は、非環状キレート剤、環状キレート剤、クリプタンド、クラウンエーテル、ポルフィリン又は環状若しくは非環状ポリホスホナート、DOTMP、EDTMP、ビスホスホナート、DOTAに結合したパミドロナート、TCMCに結合したパミドロナート、抗体結合型DOTA、及び抗体結合型TCMCから成る群から選択される。より一層好ましくは、錯化剤は、環状キレート剤又は非環状キレート剤である。本発明による錯化剤が、上記の化合物の誘導体(EDTMP、DOTA、及びTCMCの誘導体などの)も網羅し得ることもまた、理解すべきである。もちろん、斯かる誘導体が、224Raに対するのと比べてより高い安定度定数で212Pbを錯化できる能力を維持しなければならないことは、理解されるべきである。よって、代替の実施形態において、錯化剤は、非環状キレート剤、環状キレート剤、クリプタンド、クラウンエーテル、ポルフィリン又は環状若しくは非環状ポリホスホナート、DOTMP、EDTMP、ビスホスホナート、DOTAに結合したパミドロナート、TCMCに結合したパミドロナート、抗体結合型DOTA、抗体結合型TCMC又はそれらのいずれかの誘導体から成る群から選択され;ここで、前記誘導体は、224Raに対するより高い安定度定数で212Pbを錯化する。
好適なキレート剤としては、例えばp−イソチオシアナートベンジル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(p−SCN−Bz−DOTA)やDOTA−NHS−エステルなどのDOTA誘導体が挙げられる。
本発明の別の態様は、224Ra、212Pb、及び(EDTMP、抗体結合型DOTA、又は抗体結合型TCMCから成る群から選択される)錯化剤を含む放射性医薬溶液に関する。
ある実施形態において、錯化剤は、少なくとも212Pbを錯化できる。
別の実施形態において、錯化剤は、薬剤溶液中で212Pbなどの224Raの娘核種を錯化できる。
更なる実施形態において、錯化剤は、薬剤溶液中で224Raを錯化しないか又は実質的に224Raを錯化しない。
より一層更なる実施形態において、錯化剤は、224Raに対するよりも212Pbに対して高い安定度定数で錯化する。
ある実施形態において、212Pbの安定度定数は、224Raの親和性の少なくとも2倍、例えば少なくとも4倍高い、少なくとも8倍高い、又は少なくとも10倍高い。
別の実施形態において、錯化剤は、生体内において224Raの生体分布に影響もしないか、又は実質的に影響しない。
実施例6(図3A対3B)では、EDTMPが錯化剤/キレート剤として使用されるとき、212Pbが主として骨に再分配されるのに対して、224Raの分配がほとんど影響を受けないことが分かった。
実施例9(図3A対3C)では、ハーセプチン−TCMCが錯化/キレート剤として使用されるとき、212Pbが主として血液に再分配されるのに対して、224Raの分配はほとんど影響を受けないことが分かった。
更なる実施形態において、錯化剤は、非環状キレート剤、環状キレート剤、クリプタンド、クラウンエーテル、ポルフィリン又は環状若しくは非環状ポリホスホナート、DOTMP、EDTMP、ビスホスホナート、DOTAに結合したパミドロナート、TCMCに結合したパミドロナート、抗体結合型DOTA、及び抗体結合型TCMCから成る群から選択され、ここで、該錯化剤は、薬剤溶液中で212Pbなどの224Raの娘核種を錯化でき、及びここで、該錯化剤は、薬剤溶液で、224Raを錯化できない。
好ましい実施形態において、前記錯化剤は、EDTMP、抗体結合型DOTA、又は抗体結合型TCMCから成る群から選択される。
更なる実施形態において、224Raと212Pbの量は、放射平衡にある。
より一層更なる実施形態において、212Pb対224Raの放射能比(MBq単位)は、0.5〜2、0.8〜1.5など、0.8〜1.3など、又は好ましくは0.9〜1.15などである。
本明細書の文脈中では、「放射平衡」という用語は、長い時間をかけて同じくなるか、又は実質的に同じくなる2つの放射性核種の間のMBq単位の比に関する。例えば212Pbと224Raとの間の「放射能比」という用語は、212Pb対224RaのMBq単位の比に関する。図5には、経時的なこの放射能比の推移を示す表(表2)がある。2日後に、212Pb対224Raの間の放射能比(7.3割る6.8)に関して1.1の放射平衡が確立されたのがわかった。よって、図5では、212Pbと224Raとの間の放射平衡に、約2日後に達していることもわかった。
本明細書の文脈中では、「錯化剤」、「スカベンジャー」、及び「キレート剤」という用語は互換的に使用される。
その用語は、好ましくはキレート化によって、且つ、試験システムで計測した場合に、有意な強度で、212Pbと錯体を形成することができ、一方で、その試験システムで計測した場合に、錯体の存在によってラジウムが有意な影響を受けない作用物質に関する。試験システム:生体内における生体分布及び、試験管内における放射性核種のキレート−抗体結合に関する陽イオン交換体又はサイズ保持若しくは遠心濃縮カートリッジ。本明細書の文脈中では、「捕捉」(又は錯化)は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、遠心濃縮分離又は生体分布プロファイルによる少なくとも50%の結合と規定される。
これは、一例として、小分子キレート剤での212Pbの少なくとも50%未満の血中取り込みを意味する。血中取り込みが信頼性のある指標でない場合、抗体結合型キレート剤では、TLC分析による少なくとも50%の結合である。
本発明の一実施形態において、少なくとも60%の結合である。
本発明の別の実施形態において、少なくとも70%の結合である。
本発明の別の実施形態において、少なくとも80%の結合である。
本発明の別の実施形態において、少なくとも85%の結合である。
本発明の別の実施形態において、少なくとも90%の結合である。
(単数若しくは複数の)化合物もまた、212Pbに比べてより放射性核種を捕捉でき得る。
本発明の一実施形態において、錯体は、非環状キレート剤、環状キレート剤、クリプタンド、クラウンエーテル、ポルフィリン又は環状若しくは非環状ポリホスホナート、DOTMP、EDTMP、ビスホスホナート、DOTAに結合したパミドロナート、TCMCに結合したパミドロナート、抗体結合型DOTA、及び抗体結合型TCMCから成る群から選択される1若しくは複数の化合物を含む。
本発明の一実施形態において、錯体は、1ng/mL〜1g/mLの濃度である。
本発明の別の実施形態において、錯体は、100ng〜10mg/mLの濃度である。
錯体は、1、2、3、4、5つ又はそれ以上の化合物を含むことができる。
本発明の別の実施形態において、212Pb及び/又は212Biは、骨集積性EDTMPによって錯化される。
一実施形態において、溶液は、100μL〜1000mL、500μL〜100mLなど、1mL〜10mLなどの体積である。
本発明の一実施形態において、1kBq〜1GBq、10kBq〜100MBqなど、100kBq〜10MBqなどの溶液の放射能である。
本発明の別の実施形態において、100kBq〜100MBqの溶液の放射能である。
本発明の別の実施形態において、錯化剤は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント、合成タンパク質、ペプチド、ホルモン若しくはホルモン誘導体、又はビタミン若しくはビタミン誘導体、例えば、ビオチン及び葉酸塩から成る群から選択される化合物に結合される。
本発明の別の実施形態において、錯化剤は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント、合成タンパク質、ペプチド、ホルモン、ホルモン誘導体、ビタミン又はビタミン誘導体から成る群から選択される化合物に結合したキレート剤TCMCである。
投薬目的のために、投与される224Ra溶液は、224Raと212Pb/212Biとの間の平衡状態に達するまで、しばらくの間、例えば、1日以上、好ましくは少なくとも2日、1〜2日又は1〜3日などの間保存されなければならない。これは、0.83〜1.14の212Pbから224Raへの放射能比を確実にする。これは、例えば、出荷前の1日間又はそれ位、製品を単に保持することによって、製造業者により達成できる。
主に錯化されていない、又はわずかに錯化された陽イオンとしてラジウムを維持することは、これが骨及び骨転移における最大取り込みを確実にし、且つ、主に腸を通して排出された生成物の都合のよい排泄も確実にするので、重要である。
ラジウムの溶液に錯化剤を追加することによって、放射活性娘核種は、骨又は腫瘍集積性にすることができ、健康被害になる代わりにラジウム溶液の治療的有効性を増強する。しかし、ラジウムの骨集積性にマイナスの影響を及ぼさない錯化剤でなければならない。例えば、EDTMPは、製造場所と、製品が投与される病院との間の輸送及び保管の間、ラジウム溶液中で生じる212Pbを排出できる。
放射線分解阻害剤を加えることによって感受性を低減することが可能であるが、腫瘍標的化タンパク質又はペプチドは、放射線分解に対してより感受性であることが多いので、恐らく、比較的長い有効期間を有する224Ra溶液の投与の数時間から数分前にそれらが加えられるキット形式で供給されなければならない。
カリキサレン及びEDTAが、ある程度、ラジウムを錯化でき、且つ、鉛及びビスマスも錯化できることは、本分野では知られている。しかしながら、最近の研究で、我々は、生体内における生体分布測定値によって測定した場合に、ラジウムを主に錯化しないか又はわずかしか錯化しないままにする一方で、最も寿命の長い娘核種212Pbを迅速、且つ、適切な安定性で錯化できるであろうキレート剤を見つけた。選択的な錯化は、少なくとも鉛に骨又は腫瘍集積性をもたせる一方で、骨転移のような骨疾患を治療することに関するラジウムの有利な特性を維持させるために使用できる。骨又は腫瘍細胞を標的とする212Pb錯体は、212Pbの崩壊からα放射体212Biを生じる。よって、β放射体212Pbは、標的細胞又は組織を照射するために間接的なα線源として使用される。TCMC及びDOTA以外に224Ra娘核種捕捉に好適であり得る他の潜在的なキレートとしては、これだけに限定されるものではないが、ポルフィリン(phorphyrins)、DTPA、及びDTPA誘導体が挙げられ、またDOTAに連結されたカルボキシルも挙げられる。
鉛−212は、224Raからの子孫のうちで群を抜いて最も長寿命であり、そして、それが短命なα放射体212Biの生体内ジェネレーターなので、これは錯体にとって最も重要である。212Pb−キレートが骨又は腫瘍細胞中に取り込まれる場合、212Biもまた、標的で保持される可能性がある。子孫と平衡状態にある224Ra溶液において、212Bi原子に対して212Pbが10倍超存在する。よって、これらの溶液において212Bi原子から作り出される放射線量はあまり多くないので、224Ra及び212Bi崩壊系列と比較して、恐らく毒物学的に重要な量ではない。212Biの量は、223Ra系列においてα粒子を間接的に生じる211Pbの量に匹敵し、そして、これは、子孫と平衡状態にある223Raの登録及び臨床用途に関して重大な問題となるものではなかった。
しかしながら、注入液中の212Biについても高度なキレート化が必要とされるべき場合、水溶液中のビスマスが、キレート化に好適でない状態で存在する傾向があるので、少なくとも場合によっては、NaI又はHIのような安定剤を加えることが必要となる可能性がある。
骨転移の処置のために現在の承認されたα医薬、すなわち、223Raと比較するとき、本明細書中に記載した新規溶液は、実施形態の1つにおいて、娘核種を循環癌細胞に対して、及びある程度、軟組織転移に対しても標的化可能にさせ得るので、骨転移の処置のための改善された特性を有する製品を提供するはずである。これは、CTCのものに起因する骨の癌の転移再増殖からの再発を予防し得る。
別の態様は、223Raに対する224Raのより短い半減期が、ラジウムが骨マトリックスに埋め込まれた場合に、実際に何らかの利益となり得るということである。骨塩の高密度のため、α粒子の範囲は、対軟組織に対して骨中で強く低減される。特に骨性癌転移のような急速に鉱化する領域では、ボリューム−シーカーα医薬を使用するとき、包埋プロセスは、有意なものであり得る。
そのため、224Raは、それが崩壊時点で平均的にそれほど埋め込まれていないので、腫瘍線量を改善するはずである。
新規224Ra溶液が使用され得る疾患としては、これだけに限定されるものではないが、原発癌及び転移癌、自己免疫疾患、並びに動脈硬化症が挙げられる。製品は、静脈内に又は腹腔内を含めて局所的に、或いは四肢潅流環境で投与され得る。
新規溶液で使用されるキレート剤は、非環状並びに環状キレート剤やクリプタンド、クラウンエーテル、ポルフィリン、DOTMPとEDTMPを含めた環状又は非環状ポリホスホナートであってもよい。また、DOTA、TCMC、又は類似物に結合したビスホスホナート(例えば、パミドロナート)は、224Ra溶液でスカベンジャーとして使用されてもよい。
治療学的な224Ra溶液中の212Pbの量が、中程度からあまり多くなくてもよいこと(すなわち、平衡状態にて、224Raのそれの1.1倍)を、当業者は主張し得る。半減期の相違を修正するが、223Raを用いて行われるのと類似した224Ra投薬量を当業者が仮定した場合、体重の1kgあたり約150kBqが投薬される投薬量となる。
平衡状態では、これは、(212Pbが量的にキレートされる場合)70kgの患者の5リットルの血中の11.5MBqの212Pb−抗体結合体の投薬量に換算される。1mlあたりの循環腫瘍細胞数は、一般的に10細胞未満であるため、よって、5lの血中に合計で50000腫瘍細胞未満が存在する。
100000個の注射された212Pb−抗体結合分子のうちの1つだけが腫瘍細胞に結合した場合、これは、1細胞あたり約127個の212Pb原子と同等であり、少なくとも0.0023Bqを意味し、そしてそれは、1細胞あたり平均で25個の細胞結合212Pbが細胞集団の90%を殺滅すると報告されているので、非常に破壊的である。
以前、癌の骨転移の処置でラジウムと、ホスホナート、より優先的にビスホスホナートとを組み合わせることが示唆された。しかしながら、それは、異なった時点で注射するのが好ましかったので、互いに別々の2つの化合物を使用することが示唆された。放射性核種の錯化のためのホスホナートの適用は示唆されなかった。主目的は、ラジウムに対する二次骨処置として薬理学的に放射能量のホスホナートを使用することであった。
また、非錯化ビスホスホナートを使用することも好ましく、よってこれは、娘核種の錯化のためのラジウム溶液への添加剤としてEDTMP又は類似物の使用からの脱却を教示する。EDTMPがアルカリ土類金属を錯化する場合があることが、周知の事実になった時点で、153Sm−EDTMPが血中でカルシウムの錯化を引き起こし得るので、低Ca血症を引き起こすことが、本分野で知られた。
しかしながら、最近の研究で、我々は、あまり多くない量でEDTMPが使用されたとき、224Raの骨集積性を顕著に低減せずに、212Biと212Pbを錯化することが可能であることを示した。
錯化ホスホナートのラジウム溶液への添加が提示されたのは、この報告が最初である。それは、ラジウムの骨標的特性を顕著に変更することなく、娘核種の選択的錯体化を得ることが可能であることを示す。錯化ホスホナートは親骨性物質であるが、ラジウムがホスホナートより更に高い骨標的性を示すので、これは重要である。娘核種の標識がラジウムの低減された骨格への取り込みを引き起こさないのは、そのため非常に有利である。
ホスホナートを用いて骨を標的化することに関して、ホスホナートを用いて錯化された177Lu、153Sm、227Th、及び225Acのような放射性核種が骨を標的化できることが、本分野で知られている。また、先の報告では、放射性核種212Pb及び212BiがEDTMP及びDOTMPを用いて錯化される場合があることも示された。しかしながら、標識は、高pH条件で行われ、また、標識後にイオン交換体によって精製する必要があった。よって、これは、ラジウムに影響することなしに、且つ、現在の適用に示されている精製なしに、ラジウムの存在下でのin situ標識を使用することから脱却することを教示する。よって、我々は、(1)投与した224Ra1ユニットあたり骨髄線量を改善する、及び(2)より良好な標的対非標的放射能比を実質的に引き起こす、造血細胞及び組織における212Pbの取り込みを強力に低減する、224Ra溶液中の娘核種のスカベンジャーとしてEDTMPを使用する新規方法を本明細書によって提示する。
224Ra及び娘核種の錯化に使用される溶液は、本分野で知られている医療用注入液に好適な放射線分解阻害剤及び他の修飾剤を含んでもよい。
また、溶液は、医薬組成物であってもよい。
通常、薬学的組成物の重要な要素は、放射免疫結合体の化学的完全性を実質的な程度まで維持し、かつ患者への注入のために生理学的に許容されている緩衝溶液である。
本発明の一態様において、薬学的組成物は、1若しくは複数の薬学的に許容される担体および/またはアジュバントを含む。
許容される薬学的担体は、非毒性バッファー、充填剤、等張溶液などを含むが、これらに限定されない。より具体的には、薬学的担体は、生理食塩水(0.9%)、2分の1生理食塩水、乳酸リンガー液、5%デキストロース、3.3%デキストロース/0.3%食塩水であることができるが、これらに限定されない。生理学的に許容される担体は、保存および輸送中に放射性薬剤の完全性を保護する放射線分解安定剤、例えば、アスコルビン酸を含有することができる。
キット
溶液は、集約型製造現場においてか、又は一般的に2〜4本のバイアルから成るキットシステムにより、キットバイアルの組み合わせ後にそれによって注射向けに生理学的に好適になるかのいずれかである、注射のために生理学的に好適に準備されなければならない。
本発明の一態様は、本発明の放射性医薬溶液を含む第一のバイアル、及び患者への投与前に放射性医薬溶液のpH及び/又は等張性を調整するための中和溶液を含む第二のバイアルを含むキットに関する。本発明の別の態様は、タンパク質又はペプチド、或いはタンパク質又はペプチドの混合物に結合したキレート(錯化剤)を含む第一のバイアル、及び224Ra溶液を含む第二のバイアルを含むキットに関する。
224Raの崩壊系列は、空気中に拡散され得るラドン娘核種を含むので、製品を含むバイアルは、220Rnの漏れを予防するために十分に密封されていなければならない。
α照射の非常に局所的な性質のため、放射線分解は潜在的問題点であるとみなされなければならず、放射性医薬品は、これを最小限にするように設計されなければならない。本分野の知識によると、放射性標識抗体は、放射線分解に対して感受性であり、そのため、
キットシステムは、224Ra溶液に有利であり得、そしてそれは、212Pb及び/又は212Biの排出のためにキレート剤を結合した抗体に組み合わせられるべきである。
モノクローナル抗体に関しては、放射線分解のため低減する結合特性を避けるために、0.5kGy未満の放射性医薬溶液を生じるα粒子の自己線量を保つことは、通常、望ましい。よって、注射の数時間〜10分前に、それによってキレート剤が結合した抗体が224Ra(娘核種を含む)溶液に追加されるキットシステムが、遠隔出荷を意図した濃縮溶液について知られている。
本発明の更なる態様は、以下の:
・本発明による放射性医薬溶液を含む第一のバイアル、及び
・患者への投与前に放射性医薬溶液のpH及び/又は等張性を調整するための中和溶液を含む第二のバイアル、
を含むキットに関する。
更なる態様は、以下の:
224Ra溶液を含む第一のバイアル
・非環状キレート剤、環状キレート剤、クリプタンド、クラウンエーテル、ポルフィリン或いは環状又は非環状ポリホスホナート、DOTMP、EDTMP、ビスホスホナート、DOTAに結合したパミドロナート、TCMCに結合したパミドロナート、抗体結合型DOTA、及び抗体結合型TCMCから成る群から選択される錯化剤を含む第二のバイアル、
を含み、ここで、該錯化剤は、212Pbなどの224Raの娘核種を錯化することができ、及びここで、錯化剤は、薬剤溶液中の224Raを錯化しない(又は実質的にしない);及び
・任意選択で、第一のバイアルと第二のバイアルを混合し、その結果、混合の1分〜12時間後に患者にすぐに投与できる医薬組成物を形成するための取扱説明書、
を含むキットに関する。
好ましい実施形態において、前記錯化剤は、EDTMP、抗体結合型DOTA、又は抗体結合型TCMCから成る群から選択される。
具体的な実施形態において、「224Ra溶液」という用語は、224Raが溶液中で有利であり、且つ、例えば、樹脂などの表面に連結していないと理解されるべきである。
ある実施形態において、キットは、患者への投与前に放射性医薬溶液のpH及び/又は等張性を調整するための中和溶液を含む第三のバイアルを含む。
更に好ましい実施形態において、224Raと212Pbの量は、第一のバイアル中で放射平衡の状態にある。
更に別の好ましい実施形態において、第一のバイアル中の212Pb対224Raの間の放射能比(MBq)は、0.5〜2、0.8〜1.5など、0.8〜1.3など、又は0.9〜1.15である。
更に別の実施形態において、第一のバイアルは、100kBq〜100MBqの範囲内の放射能を有する。
本発明の一実施形態において、キレート剤結合抗体は、注射の1〜3時間前などの注射の30分〜5時間前に224Ra(娘核種を含む)溶液に追加される。
本発明の一実施形態において、キレート剤結合抗体は、注射の1分〜20分前に224Ra(娘核種を含む)溶液に追加される。
本発明の一実施形態において、キレート剤結合抗体は、注射の1分〜10分前に224Ra(娘核種を含む)溶液に追加される。
一方のバイアル中にキレート標識タンパク質又はペプチド及び別のバイアル中の224Ra溶液を伴い、それによって、2つの内容物が投与の1分〜12時間前に混合されるキットもまた、本発明の一部を形成する。ある実施形態において、混合が、キレートに212Pb及び/又は212Biが結合するように、患者への投与の数時間(5時間など)〜30分前に行われる。
本発明の一実施形態において、2つの内容物は、注射の30分〜1時間前に混合される。
本発明の一実施形態において、2つの内容物は、注射の1分〜20分前に混合される。
本発明の実施形態において、2つの内容物は、注射の1分〜10分前に混合される。
任意選択で、放射性医薬溶液の投与前に希釈及び等張調節のために使用される液体が入った第三のバイアルが使用される場合がある。この第三のバイアルは、必要であるなら、212Biをキレートし得る、EDTMPを含んでもよい。
医学的利用
そのため、記載した新規方法及び溶液は、核医学における224Raの適用のための重大な問題を解決した。
よって、以下の2タイプの疾患:
1.ホスホナートによって錯化されたラジウム及び娘核種を用いて、単に骨関連性疾患又は硬化性疾患、
2.キレート−モノクローナル抗体結合体又は類似タンパク質若しくはペプチド結合体に対して錯化したラジウム及び娘核種による、軟組織又は循環標的細胞成分を伴った骨関連性疾患、
が、新しい処方で治療できる。この具体的な実施形態は、212Pbがタンパク質又はペプチドキレートに結合されるとき、及び212Biが向骨性核種、例えば、EDTMPによって錯化されるときである。
タンパク質又はペプチドは、骨肉腫、肺癌、乳癌、前立腺癌、腎癌、甲状腺癌を標的とするものを含む本発明と共に使用されてもよい。
よって、本発明の更なる態様は、薬物としての使用のための本発明の放射性医薬溶液に関する。
本発明のより一層の更なる態様において、本発明は、本発明によるキットに関し、ここで、該キットは薬物として使用するためのものである。
更なる実施形態において、溶液は、体重1kgあたり50〜150kBq、例えば50〜100kBqなどの範囲内の線量で投与される。
更なる実施形態において、投薬は、1kgあたり8×109〜8×1010個のRa原子の範囲である。
実施例12(及び図8)では、223Raに関するものと同じ効果が、マウス試験において、低い投薬量(28%低い投薬)の本発明による組成物で得られることがわかった。
本発明の更に別の態様は、骨疾患を治療するのに使用するための本発明の放射性医薬溶液に関する。
本発明の一実施形態において、骨疾患は、乳房、前立腺、腎臓、肺、骨に対する癌、又は多発性骨髄腫からの骨転移、或いは、強直性脊椎炎を含めた望ましくない石灰化を引き起こす非癌性疾患から成る群から選択される。
本発明の更なる態様は、それを必要としている個体への本発明の放射性医薬溶液の投与による悪性又は非悪性疾患の療法に関する。
製造方法
集約型製造及び最長数日の出荷、及び/又は患者への投与前の保管を使用した、原発癌又は転移癌を含む骨疾患を治療するために好適な224Ra溶液を製造することが可能な新規方法を、本明細書中に記載する。
そのうえ、斯かる溶液は、娘生成物が、前述のキレート化錯体によって骨集積性又は腫瘍集積性になるときに、それらが腫瘍に対して追加線量を与えるので、純粋な224Ra溶液と比較して、より高い初期腫瘍放射線量を与えることができる。親核種が骨疾患を標的化でき、それに対して、最長寿命の娘核種が、加えられた錯体によって、血中の循環癌細胞を捜し出して、破壊するようになり得るか、或いはホスホナート錯化によって純粋な親骨性物質になり得るので、これで、癌療法におけるより強力な224Ra溶液を作ることができる。
本明細書中に示した新規手順及び方法は、「問題のある」娘核種が、腫瘍集積性キレートによって掃去できるので、数日間、又はさらに最長1週間以上のより長い保存期限を有する224Raの製造及び出荷を許容し、実際に224Ra溶液の治療学的特性を高める。
純粋な224Ra溶液の製造数時間後にかなりの量存在する、相当な半減期を有する娘生成物、特に212Pbが原因で、224Raは、例えば、骨転移に対する癌療法向けの有用性が低いと考えられたので、この知見は重要である。
224Raが骨及び骨転移を標的化する一方で、使用されるキレート抗体−結合体に依存して、212Pbには循環腫瘍細胞を標的とさせ得ることが、本明細書中に記載した新規薬剤溶液で可能にできる。薬剤溶液は、骨転移の原因となった原発性腫瘍に従って「オーダーメード」できる。例えば、前立腺癌、乳癌、肺癌、骨癌、腎臓癌、甲状腺癌、及び多発性骨髄腫癌で発現された様々な抗原に関して選択性を有するいくつかの抗体が存在している。
よって、本発明の別の態様は、キレート標識タンパク質又はペプチドを、224Raを含む溶液と混合することを含む、タンパク質−錯体又はペプチド−錯体を含む224Ra溶液を提供する方法に関する。
よって、本明細書中に記載した新規発明は、EDTMP若しくは類似物と組み合わせたときに純粋な親骨性物質として使用され得るか、又は患者が計測可能なCTCを有するか若しくはそれが疑われる場合、骨転移とCTC又は軟組織転移の処置の組み合わせとして使用され得、その結果、骨関連疾患に対するα医薬への新しい側面、すなわち、骨又は軟組織における、生きたCTCの定着を予防する追加的な予防活性を加える。
本発明の更に別の態様は、本発明による放射性医薬溶液を提供する方法に関し、該方法は以下のステップを含む:
a)224Raと212Pbの量が放射平衡の状態にある第一の組成物を提供し;
b)非環状キレート剤、環状キレート剤、クリプタンド、クラウンエーテル、ポルフィリン又は環状若しくは非環状ポリホスホナート、DOTMP、EDTMP、ビスホスホナート、DOTAに結合したパミドロナート、TCMCに結合したパミドロナート、抗体結合型DOTA、及び抗体結合型TCMCから成る群から選択される錯化剤を含む第二の組成物を提供し、ここで、該錯化剤は、212Pbなどの224Raの娘核種を錯化でき、及び、ここで、該錯化剤は、224Raを錯化せず;そして
c)第一の組成物と第二の組成物を混合し、それによって、本発明による薬剤溶液を提供する。
好ましくは、第一の組成物と第二の組成物は溶液である。
ある実施形態において、第一の組成物中の212Pbと224Raとの間の放射能比(Bq)は、0.5〜2、例えば0.8〜1.5など、0.8〜1.3など、又は0.9〜1.15などである。
更なる実施形態において、前記錯化剤は、EDTMP、抗体結合型DOTA、又は抗体結合型TCMCから成る群から選択される。
別の実施形態において、前記混合ステップc)は、薬物としての使用の1分〜12時間前、例えば30分〜5時間前などに行われる。
新規で、驚くべき知見は、以下のとおりである:
1.ラジウム溶液は、ラジウムの錯化を引き起こすことなしに、且つ、ラジウムの骨取り込みの低減を引き起こすことなしに、一方で、使用前に精製する必要なしにin situにおいて212Pb及び/又は212Biを錯化して、ホスホナートの錯化又は錯体結合抗体を用いて調整され得る。
2.出荷及び保管中に生じる娘核種は、in situにおいて効率的錯化され、改善された娘核種特性を有するラジウム溶液をもたらす。
224Ra溶液は、数日間、保存されるか又は出荷されることができ、そして、加えた錯化剤の量によって、生じた212Pbの大部分、すなわち、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも90%、及びより一層好ましくは95〜100%が変わらず、錯化され得る。
それが以下の実施例に示した既存のラジウム配合物と比較して、より良好な総合的な標的対非標的比を有する放射性医薬品を提供し、且つ、数日間出荷及び保存された224Ra溶液の使用を可能にするので、これは重要である。再現性を得、且つ、投与された放射性医薬溶液の224Raと212Pbとの間の比を規定するのに、212Pbが、すなわち、少なくとも1日以上、平衡状態に達するか又は均衡状態に近い新手法で有利であり得るので、確かに、それは、Altmann Terapieの方法のように数時間だけの有効期間を有する新たに調製した224Ra溶液を使用することからの脱却を教示している。
また、我々は、ホスホナート以外の錯体が、ラジウムに顕著な影響を与えることなくラジウム溶液中のin situにおいて娘核種で標識されうることを確認した、例えば、キレート抗体結合体が、ラジウム溶液に追加され、ラジウムの化学的完全性を有意に保存する娘核種の関連標識を示し、よって、それにより、1以上の娘核種が腫瘍集積性分子に錯化され、二重特異性標的化特性を有する薬剤溶液をもたらす、ラジウム溶液を有することが可能である、例えば、骨疾患を標的とするラジウム及び循環腫瘍細胞上の腫瘍細胞抗原を標的とする娘核種を錯化するキレートなど。具体的な実施形態として、一方の娘核種がモノクローナル抗体と錯化され、そして、もう片方がホスホナートと錯化され得る。
本発明の具体的な実施形態は、タンパク質又はペプチド、優先的にモノクローナル抗体に結合したTCMCを含んでいる溶液であり、それによって、該抗体が、乳癌、前立腺癌、肺癌、腎臓癌、骨癌又は多発性骨髄腫癌細胞上の抗原を標的とする。数分〜数日間が経過した場合、生じた212PbはTCMC−抗体結合体に主に結合される。斯かる溶液が癌患者に注射されるとき、224Raは、骨表面及び骨格内にて腫瘍細胞を殺滅することによって破壊から骨を保護し、そして、212Pb標識抗体は、ラジウム放射線の範囲外から循環細胞を殺滅する。よって、望ましくない生体分布を有する遊離娘核種の問題が出現する前に、本発明の使用によって224Ra系列にとっての利点にする。212Pb−結合体が斯かる条件下でのα放射体の生体内ジェネレーターとして特に効果的であり、それによって、α放射体212Bi娘核種が標的細胞内に封入されるので、標的として内在している抗原を使用することは特に魅力的である(Boudousq et al., 2013)。
一実施形態において、放射性医薬品の製品は、例えば、シリンジ又はすぐ使える状態のプレフィルドシリンジと共に溶液の遮断のために隔壁を用いたバイアル中に、すぐ使える状態で出荷される。第二の実施形態において、製品は、224Ra溶液の入ったバイアル、キレート剤の溶液の入った第二のバイアル、及び任意選択で、濃度及び/又はpHなどの調節のための製剤バッファーを伴った第三の溶液から成る、キット形式で出荷されてもよい。キレート剤(それはホスホナート、キレート剤抗体結合体、又は同様のものである)は、Ra溶液に追加され、そして、必要であるなら、製品に製剤バッファーを加えられ、そして、患者に投与される前に、数分間〜数時間、最も望ましくは5〜60分間混合される。
実施例1
様々な時点での224Ra崩壊からの212Pb娘核種レベルの計算
背景
純粋な224Ra放射性医薬品の調製後に生じる212Pbは、それが親核種と比較して様々な、且つ、望ましくない特性を有するので、問題になり得る。例えば、ラジウムは骨及び骨転移を標的とするが、鉛子孫は、造血細胞及び組織中、並びに腎臓内に望ましくない蓄積をすることが知られている。
方法
純粋な224Ra線源からの212Pbの内部成長を、一般的な放射能計算機を使用して計算した。
結果
図5は、純粋な224Ra薬剤溶液の製造と、気密コンテナ内での保管後の様々な時点における212Pbの量を示す。
結論
データは、かなりの量の娘核種が比較的短い時間枠内に存在することを示し、224Raベースの放射性医薬品の潜在的な集約型製造及び供給を複雑にしていることを示す。もっとも、溶液中の212Pb対224Raの比が、36時間後に1に達し、その後徐々に約1.1まで高まり、それが、完全な崩壊までのその他の時間とどまることは、注目に値する。
実施例2:放射性核種の調製と放射性サンプルの集計
以降、蒸留などを含めた濃縮放射活性調製物を用いたすべての作業を、グローブボックス内でおこなった。
1MのHNO3中の228Thの線源を市販の供給業者から入手した。Eichrom Technologies LLC(Lisle, IL, USA)からプレパックカートリッジの形態でAc−樹脂を入手した。より小さな体積の溶媒を使用するために、カートリッジ(カートリッジ1)内の材料の約30パーセントを、抽出し、1ml濾過カラム(Isolute SPE, Biotage AB, Uppsala, Sweden)でできたより小さなカラム(カートリッジ2)に詰め直した。本来のカートリッジ内容物の20%に相当するスラリーを、500マイクロリットルの1M HClの加えた500マイクロリットルの1M HNO3中の228Thの固定に使用し、少なくとも4時間、バイアル(4mlのバイアル、E−Cサンプル、Wheaton, Millville, NJ, USA)を振盪することによってインキュベートした。カートリッジ2に、少量(約0.1ml)のAc−樹脂を加えた。その後、スラリーを、あらかじめ充填した材料をキャッチャー層として使用してカートリッジ2に加えた。ラジウムは、2mlの1M HClでカートリッジ2から溶出できた。加熱器ブロックを使用し、及びバイアル上のゴム/テフロン(登録商標)隔壁のテフロン(登録商標)チューブ導出入口を通してN2ガスでバイアルをフラッシュし、そして、N2−ガス流によるビーカーの飽和NaOH内に酸性蒸気を導くことによって、2mlのラジウム溶液を蒸発乾固した。
残渣を、0.5mlの1M HNO3で溶解し、そして、約250mgのDowex陽イオン交換体を詰めた1ml Isoluteカラムから成るカートリッジ3に入れた。カートリッジ3を、7mlの1M HNO3で洗浄して、212Pbを取り除き、そして、最終的に3〜4mlの8M HNO3で洗浄して、224Raを溶出した。224Ra溶出液を、加熱器ブロック及びN2−ガス流を使用して蒸発乾固し、そして、残渣は0.1MのHCl中に溶解できた。通常、228Th線源中に70%超の224Raが存在し、記載した方法を使用して抽出及び精製できた。
放射性サンプルを、Cobra II Autogammaカウンターでカウントした(Packard Instruments, Downer Grove, IL, USA)。228Th線源から224Raの抽出中、CRC-25R線量較正器(Capintec Inc., Ramsey, NJ, USA)を使用した。
サンプルのリアルタイムでの224Ra、212Pb、及び212Biの分布を測定するために、液体窒素冷却型HPGe検出器(GWC6021, Canberra Industries, Meriden CT, USA)を使用した。これを、DSA1000デジタル信号解析器及びGenie2000ソフトウェア(Canberra)に組み合わせた。
実施例3:放射平衡に達する前の212Pb/224Ra混合物中の212Pbのために正味計数率の測定
3日よりも後、すなわち、サンプルの「平衡状態」は、実用的な目的のための、1.1倍212Pb対224Raを有する。
212Pbが平衡状態より高いか又は低いかにかかわらず、余剰の212Pbが99%まで減少し、224Raからの212Pbの内部成長が「平衡状態」に対して実質的にそろったので、これが3日後に達成されることが想定できた。
70〜80KeVに設定した集計ウィンドウを用いたCobra II Autogammaカウンターを使用することで、224Ra系列の他の放射性核種からごくわずかの関与によって212Pbが主に得られる。初期の212Pbが消失し、且つ、224Raと212Pbとの間の平衡状態に達したときに(約3日後に)、ラジウム−224を間接的にカウントしなければならない。さもなければ、220Rnが流出して、達成するべき212Pbと224Raの間の1.1の放射性核種平衡状態を妨げる可能性があるので、この間接的な集計は、比較的に気密な容器内にサンプルを保存する必要がある。
サンプリングと集計がいつか切り離される可能性があるので、212Pbの正味計数率は、サンプリング時の正味の212Pb計数率を測定するように崩壊に関して調整され得る。
実施例4:薄層クロマトグラフィー分析
薄層クロマトグラフィー(TLC)を、クロマトグラフィー片(モデル#150−772、Biodex Medical Systems Inc, Shirley, NY, USA)を使用しておこなった。約0.5mlの0.9% NaClの入った小さいビーカーを、サンプルスポットした細片を置くのに使用した。一般的に、細片には、細片底部の上方約10%に1〜4μlのサンプルを加えた。溶媒の先端が細片の上部から約20%まで移動した後に、細片を半分に切り、そして、それぞれ半分を集計のために5mlの試験管内に置いた。この系では、放射性標識抗体及び遊離放射性核種は、下半分から移動しないのに対して、EDTAで錯化した放射性核種は上半分まで移動する。DPBS中の7.5%のヒト血清アルブミン及び5mMのEDTAから成り、そして、NaOHで約pH7に調整した製剤バッファー(FB)を、遊離放射性核種を測定するための細片に適用する前に少なくとも5分間、2:1の比で抗体結合体と混合した。
EDTMPの分析を、製剤バッファー(FB)なしでおこなった(図6A)。EDTMPを用いた放射性核種の標識を、細片の上半分への移動量によって計測した。DOTMPはこの系ではほとんど移動せず、そのため、これらの溶液をFBで処理し、細片の上半分で遊離放射性核種を計測した(図6A)。
結論
約0.011〜0.012mMのあまり多くない量のEDTMP及びDOTMPが、224Ra溶液中で約3.3mMの多量のEDTAと同じ様式で212Pbを錯化し得ることが、薄層分析から示されている。
実施例5:224Ra溶液中の212Pbのin situキレーション
最初に、0.1MのHCl中の224Ra溶液を、1MのNaOHで中和し、そして、EDTMPを溶液に加えて、わずかに低い中性のpHを得た。後の実験では、0.1MのHCl及び5Mの酢酸アンモニウム中の10:1の比の224Raを、キレート剤の添加前に使用し、そして、反応のために5.5〜7のpH範囲をもたらした。反応液中の約4〜8mg/mlのEDTMPの濃度を使用したときに、室温にて、30分〜数日間の反応時間を、良好な標識収率(一般的に、TLCにより90%超)のEDTMPに関して試験した。
よって、EDTMPが、224Ra溶液中のin situにおける212Pbの良好なスカベンジャーであると思われる。DOTMPに関して、標識は、室温及び約1時間の反応時間にて7mg/mlについて約70%を標識し、それほど効果的でなかった。DOTMPの標識収率は、キレート剤の濃度又は反応時間などを調整することによって改善され得る。EDTMP及び酢酸アンモニウムバッファーを使用したその後の実験は、薄層クロマトグラフィーによって測定した場合にpH5.5〜7のラジウム溶液中でも212Pbを用いた良好な標識を示したことに注意しなければならない(図6A)。
長期捕捉を、室温にて7日間、酢酸アンモニウムで約pH6に緩衝化したEDTMP(約6mg/ml)を伴う224Ra溶液を置いておくことによって試験した。212Pb分布プロファイルの分析は、記載したようにTLCの使用によっておこなった。
結果
7日後に、少なくとも93%の放射能を、EDTMP結合放射能に相当するTLC細片の上半分で見つけた。
結論
EDTMPによって224Ra溶液中のin situにおいて発生した212Pbを効率的にキレートすることが可能である。よって、in situにおいて212Pbを捕捉する骨集積性キレート剤を含むすぐに使用できる224Ra溶液を調製することが可能であり、それによって、骨標的化放射性医薬品として使用するための改善した貯蔵期限を有する224Ra溶液を得る。
代替手段として、EDTMPが、投与の数分〜数時間前に数日目の224Ra溶液に加えられる標識キットを使用してもよい。
斯かる標識キットはまた224Raの集約型製造も可能にする。なぜなら、該キットは224Raの製造日の数日〜1週間より後に224Ra溶液に使用するのが非常に簡単だからである。0.1MのHCl及び0.5Mの酢酸アンモニウム中の8日目の224Ra溶液を用いた実験では、約7mg/mlの濃度までEDTMPを加えた。室温にて10分及び1時間静置した後に、それぞれ、91%及び93%の212Pbを示したTLC分析は、EDTMPに関連していた。最長4カ月目のEDTMP溶液を、試験し、そして、機能的であることがわかり、よって、EDTMPは、キット形式での使用に十分に適合すると考えられる。
実施例6:EDTMPを伴った又は伴わないかなりの量の212Pbを用いた224Raのマウスにおける生体分布
背景
主な目標は、EDTMPを伴った又は伴わない注射した放射性核種の生体分布を試験することである。娘核種と平衡状態にある、それぞれ、EDTMP含有224Raと対照塩類溶液を使用した。
材料と方法:科学的目的に使用される動物に関する欧州の法令に従って、動物実験をおこなった。ヌードマウスを、完全に飼育し、6カ月齢を超える年齢になった。3日目の、224Raを含む0.1MのHCl溶液を2つに分割した。一方の画分に、1mlあたりの5mgのEDTMPの終濃度までEDMPを加え、及び1MのNaOHを加えて、約8にpHを調整した(溶液A)。もう片方の画分は、1MのNaOHによって約pH7に調整した(溶液B)。それぞれの溶液を、Supor膜を用いて13mm0.2μmのAcrodiscシリンジフイルター(Pall Life Science, Port Washington, NY, USA)を通して濾過滅菌した。その後、約20kBqの224Raを含む100μlを各マウスに尾静脈注射で投与した。
結果
図3A及び3Bに示されたとおり、EDTMPを加えたときに、212Pb分布に有意な改善があった。軟組織及び血中取り込みを有意に低減した一方で、骨標的化は遊離212Pbと同様であった。よって、骨対軟組織比は、224Ra溶液にEDTMPを追加することによって、212Pbに関して大いに改善された。図3A及び3Bに示されているように、EDTMPを加えたとき、224Ra分布に有意な変化はなかった。
結論
224Ra溶液へのEDTMPの添加は、224Raの生体分布に対する有意な変化なしに212Pbの生体分布を改善する。
実施例7:224Ra溶液中のin situにおける212Pbを用いたキレート剤結合抗体の標識
背景
放射性医薬品が集約型生産ユニットで製造され、そして、エンドユーザーに出荷されることは、物流の観点から有利である。224Raが使用されるとき、生じた212Pbはキレート剤によって捕捉されて、遊離212Pbの注射を最小限にしなければならない。
方法
224Raを、実施例2に記載のとおり製造し、そして、精製した。TCMC−及びDOTA−標識モノクローナル抗体を、遠心濃縮器(Vivaspin 4又は20、50 000 MWCO、Sartorius Stedim, Goettingen, Germany)で精製した抗体を使用することによって調製し、そして、150mMのカルボナートバッファー、pH8.5〜9を加えた。抗体は、通常20〜30mg/mlの濃度を有し、それぞれ、1:9又は1:5の抗体対キレート剤比を使用してp−SCN−Bn−TCMC又はp−SCN−Bn−DOTA(Macrocyclics Inc, Dallas, Tx, USA)を加えた。室温にて少なくとも2時間のインキュベーション後に、カルボナートバッファー(pH約8.5)中の0.1Mのグリシンを加えることによって反応を終らせ、そして、10分間の更なるインキュベーション後に、精製し、そして、遠心濃縮器(Vivaspin)を使用してバッファーを0.9%のNaClに交換した。0.9%のNaCl中の15〜35mg/mlのキレート剤−抗体濃度を、原液として使用した。2mlのエッペンドルフチューブに、通常、0.1MのHCl中の40μlの224Ra、5μlの5M 酢酸アンモニウム、5〜10μlの、0.9%の塩化ナトリウム中の(15〜30mg/ml)TCMC−又はDOTA−標識抗体を加えた。この方法は、トラスツズマブ(ハーセプチン)、リツキシマブ、セツキシマブ、及びOI−3マウスモノクローナル抗体のものを含む4種類の異なった抗体結合体について試験した。pH紙(Merck KGaA, Darmstadt, Germany製のNo 1.09564.0003及び1.09556.003)上に1μlを塗布して、色を読み取ることによって、pHが5.4〜6.0の範囲内にあることを測定した。反応を室温にておこなった。
一部の実験では、抗体がTCMC又はDOTAを含まないことを除いて、同じ構成要素を有する対照溶液を、同じ条件を使用して平行して反応させた。30及び100分後に、5μlを抜き出し、DPBS中の7.5%のヒト血清アルブミン及び5mMのEDTAから成る製剤バッファー(FB)10μlと混合した。少なくとも10分後に、1〜4μlの製品/FB混合物を抜き出し、薄層クロマトグラフィー片上に乗せた(Biodex)。同じ手順を、対照溶液を用いておこなった。細片を0.9%のNaCl溶液で溶出し、そして、溶媒先端が上部にほとんど達したとき、細片を取り出し、半分に切り、そして、(以前に記載したとおり)Cobra IIγカウンターにより上部及び下部を別々にカウントした。
結果
薄層プロファイルを、図6Bに提示する。典型的に、活性の90%超は、TCMC−及びDOTA−抗体結合体に関する薄層細片の下半分に見られた。EDTAを伴った製剤バッファー(FB)を含んだ対照では(図6A)、典型的に、活性の97%超が細片の上半分に見られ、EDTAによって錯化されるはずの212Pbが遊離で存在することを意味する。これは、TCMC−及びDOTA−結合抗体の両方が、224Ra溶液中の212Pbの効果的なスカベンジャーであることを示す。結論として、224Ra溶液中の212Pbを捕捉するためにTCMC又はDOTA−抗体結合体を使用することが可能であり、よって、二重標的化特性、すなわち、骨集積性224Ra及び抗原集積性212Pb結合体、を有する薬剤溶液の製造が可能である。
追跡実験では、224Ra溶液に、(約1.5mg/mlまで)TCMC−標識chOI−3(キメラOI−3)モノクローナル抗体結合体を加え、酢酸アンモニウムを用いてpH5.5にバッファリングし、そして、室温にて7日間保った。その後、サンプルを抜き出し、(記載したように)製剤バッファーと1:2で混合し、そして、5分以上後に、記載のとおりTLC細片に適用した。平均95.6%がタンパク質を保持することがわかった(細片の下半分)。
結論
212Pbは、TCMC−標識抗体によって数日にわたり224Ra溶液中のin situにおいて効率的に捕捉/錯化される。よって、数日間の保管及び出荷を必要とする集約型製造が、キレート抗体結合体を含む224Ra溶液で可能であることを示す。
実施例8:224Raとの混合物中の放射性標識モノクローナル抗体を用いた細胞結合実験
背景
ヒト骨肉腫細胞株OHSは、Her−2(比較的弱い)とMUC−18(中程度)を発現する。そのため、それらを、それぞれHer−2とMUC−18に対するキレート剤結合トラスツズマブとchOI−3抗体の細胞結合画分を評価するために使用した。ラジウム−224を、0.1MのHCl中に溶解し、2日間放置して、212Pbと212Biとの平衡状態に至らせた。pHを調整するために、金属不含水中の5M 酢酸アンモニウム12μlを、0.1MのHCl中の224Ra100μlに加え、その後、200μgのTCMC−標識トラスツズマブを加えた。30分後に、薄層クロマトグラフィーで、212Pbの90%超がキレート剤によって捕捉されたことを確認した。反応混合物を、13mmのシリンジフイルターを使用して濾過滅菌し、そして、0.5%のBSAを含む0.2mlのDPBS中の約1000万個の細胞を使用して細胞結合について製品を試験した。各チューブに放射性核種と混合した約10ngのキレート−抗体結合体を含む反応液を加える前に、細胞を、(非特異的結合を計測するために)15分間20μgの同じ抗体とのインキュベーションによってブロックするか、又はブロックしない状態のままにした。1時間のインキュベーション後に、チューブをCobra IIγカウンターによりカウントして、追加された活性を測定した。その後、細胞を、旋回混合によって0.5mlのDPBS/0.5%のBSAで3回洗浄し、遠心分離し、上清のを除去し、その後、チューブ内の細胞結合活性を計測した。細胞結合抗体結合体のパーセントを、加えた活性で割った洗浄後の結合を100倍して決定した。
結果
崩壊及び放射性化学物質の純度を補正し、及び非特異的結合を差し引いて、64.3〜72.2%の212Pb−標識抗体が、細胞に特異的に結合したことがわかった。このワンポイントアッセイで、これは、224Ra溶液中のin situにおいて生じた212Pb−抗体結合体の関連標的化特性を示す。
結論
関連腫瘍標的化特性を有する212Pb−標識結合体が224Ra溶液中のin situにおいて製造できることが示されている。
実施例9:TCMC−標識モノクローナル抗体を用いた224Ra/212Pbのマウスにおける生体分布
背景
224Ra/212Pb溶液が、骨を標的化し、且つ、腫瘍細胞を標的化した同時治療薬を調製するのに使用できるか否か試験する。
材料と方法:
実施例6に記載の1日目の224Ra溶液に、実施例7と同様のやり方で、NaOH、5Mの酢酸アンモニウム及びTCMC−標識トラスツズマブを加え、一晩保存した。溶液を、1:1の比で金属不含水に加え、Supor膜を用いて13mm0.2μmのAcrodiscシリンジフイルター(Pall Life Science, Port Washington, NY, USA)を使用して濾過滅菌した。224Ra溶液中の212Pb−標識抗体成分の細胞結合能を、実施例8のように確認した。動物実験を、科学的目的に使用する動物に関する欧州の法令に従っておこなった。動物を安楽死させ、それらを解剖する前に心臓から採血した。尿、血液、及び組織サンプルを5mlのチューブに入れた。チューブの重さを、サンプルを入れる前後に計測して、正確なサンプル重量を測定した。放射能含有量を、Cobraγカウンターで計測した。サンプルを、それぞれ、212Pb及び224Raの含有量を測定するために、解剖直後にカウントし、さらに、放射平衡に達した3〜4日後に再びカウントした。
結果
生体分布プロファイルを図3Cに示す。212Pbは、放射性標識抗体で予想される分布プロファイル、すなわち、血液及び血液の多い組織における高い放射能、及び大腿骨及び頭蓋骨(scull)における低活性を示した。遊離の212Pb(図3A)と比べて、TCMC−トラスツズマブ(ハーセプチン)結合212Pbは、大腿骨及び頭蓋骨における有意に少ない取り込みを有し、一方で、血液及び血液が多い臓器で活性レベルが高かった。分布の特質は、遊離212Pbと212Pb−TCMC−ハーセプチンに関して、血液において異なっていることに注意しなければならない。なぜなら、後者は、遅い血液クリアランスで循環するが、遊離212Pbのように血球細胞中に吸い上げられないからである。224Raは、大腿骨及び頭蓋骨における高い取り込みと、血液における低い取り込みを示し、キレート剤不含遊離ラジウム溶液の生体分布(図3A)で見られたものと非常に類似していた。
図7には、224Ra溶液中の212Pb、212PB−EDTMP及び212Pb−TCMC−トラスツズマブに関する骨対血液、及び骨対腎臓の取り込み比が、提示されている。その比は、非錯化212Pbと比べて、212Pb−EDTMPに関する改善された骨対血液及び骨対腎臓比を示す。しかしながら、212Pb−TCMC−ハーセプチンに関しては、骨対血液比は遊離212Pbより低い。巨大分子サイズのモノクローナル抗体は、ほとんどの低分子量化合物と比べて血液からゆっくりクリアランスされるので、これは予想される。血液中での増強された滞留時間が循環している標的細胞に結合する確率を高めるので、循環腫瘍細胞を標的とするとき、これは利点となり得る。また、短い照射領域のα粒子に関して、細胞結合放射性核種対遊離循環放射性核種に関してDNAに対して近くに近接するので、細胞結合放射性核種の効果は、循環している放射性核種のそれよりはるかに強力であり得ることに注意しなければならない。
結論
キレート剤標識モノクローナル抗体は、2種類の放射性核種を含む放射性医薬溶液において224Raの骨集積特性を低減せずに、効果的に212Pbを捕捉できる。よって、それは、錯化剤を溶液に追加することによって224Ra/212Pbの二重標的化特性を得、それによって、放射性医薬溶液の治療的有効性を強化し、且つ、造血細胞及び組織における212Pbの可能性のある望ましくない取り込みを低減する一方で、224Raの骨集積特性を高く保つ、可能性を示した。
実施例10:放射線分解を回避するキットシステム
α照射の非常に局所的な性質のため、放射線分解は、潜在的な問題点として考慮されなければならず、放射性医薬品は、これを最小限にするように設計されなければならない。
本分野の知識によると、放射性標識抗体は、放射線分解に感受性であり、そのため、キットシステムは、212Pbを捕捉するためにキレート剤結合抗体に組み合わせられる224Ra溶液にとって有利であり得る。224Raが子孫と平衡状態にあるとき、それは、全系列の崩壊あたり約28MeVを生じる。よって、1MBq/mlの溶液は、N=A/λ=の106s−1(0.693/[3.64×24×3600s])=4.53×1011原子の224Raを含んでいる、式中、Nが原子数であり、AがBq単位の活性であり、及びλが、ln2/t1/2(t1/2224Raの半減期である)と同一の崩壊定数である。
放射線量(D)は、1質量あたりのエネルギー、すなわち、SI単位におけるJ/キログラムと規定される。1mlの水性液体中の1MBqの224Raの完全な崩壊に関して、それは、D=(4.53×1011×28MeV×1.6×10-13J/MeV)10-3kg=2029Gyに相当する、すなわち、3.64日間の半減期では、娘核種と平衡状態にある1MBq/mlの224Raの溶液は、約1kGyの自己照射に晒される。モノクローナル抗体に関しては、通常、放射線分解のため低減した結合特性を回避することが、0.5kGy未満の放射性医薬溶液の自己線量を保つの望ましい。
よって、キレート剤結合抗体が、例えば、製品を患者に投与する数時間〜数分前に224Ra(娘核種を含む)溶液を含むバイアルに対してシリンジによって加えられるキットシステムは、長距離の出荷に好適な、子孫を伴った224Raの濃縮溶液のために勧められている。
7日間目の224Ra溶液におけるTCMC−モノクローナル抗体結合体を用いた212Pbの捕捉の例。1週間前に製造された224Ra溶液に、それぞれ、約0.1ml及び5.5の終量及びpHまで、10%の酢酸アンモニウム及びリツキシマブ−TCMC(約5mg/mlの終濃度まで)を加え、そして、室温にて一晩、置いておいた。18時間後に、記載したように、サンプルを抜き出し、製剤バッファーと混合した。TLC分析は、212Pb活性の91%が、すなわち、γ集計によって測定した場合、TLC細片の下半分で、タンパク質に結合したことを示した。224Ra溶液が入ったバイアルと、キレート剤−標識タンパク質又は類似物が入った別々のバイアルを含むキットが組み合わせられて、224Ra製造日の数日後の224Raにおいて212Pbを捕捉するのに使用でき、それによって、生成物の放射線分解を避けるために短い反応時間を使用して212Pb腫瘍集積性錯体を伴った224Ra親骨性物質を調製することを実証した。
224Raを除いて、試薬が、それらの機能を失わずに数週間又は数カ月間保存でき、よって、それらがキット形式での使用に十分に適していることが確認された。
結論
単純なキット形式が、数日かかる長距離の出荷を可能にする一方で、患者への投与前に抗体結合体を加えることによって放射性免疫複合体の放射線分解を回避する、集約型の製造をした224Raに基づく骨集積性ラジウム及び腫瘍細胞集積性212Pb−抗体結合体を伴った二重標的化放射性医薬品を局所的に調製するために、212Pbと平衡状態にある
224Ra溶液を使用することを可能にする。
実施例11:循環腫瘍細胞
循環腫瘍細胞は、骨又は軟組織における新しい腫瘍病巣をもたらす場合があるので、本明細書中に記載した新規放射性医薬溶液によって対処され得る。
治療学的な224Ra溶液中の212Pbの量が、中程度からあまり多くなくてもよいこと(すなわち、平衡状態にて、224Raのそれの1.1倍)を、当業者は主張し得る。半減期の相違を修正するが、223Raを用いて行われるのと類似した224Ra投薬量を当業者が仮定した場合、体重の1kgあたり約150kBqが投薬される投薬量となる。これはただ例なので、投薬は、疾患によって、及び許容される副作用がどんなレベルかによって、著しく異なる可能性がある。
平衡状態では、体重の1kgあたり150kBqは、70kgの患者の5リットルの血中の約11.5MBqの212Pb−抗体結合体の投薬量に換算される。1mlあたりの循環腫瘍細胞数は、一般的に10細胞未満であるため、よって、5lの血中に合計で50000腫瘍細胞未満が存在する。100000個の注射された212Pb−抗体結合体のうちの1つだけが腫瘍細胞に結合した場合、これは、1細胞あたり127個の212Pb原子と同等であり、0.0023Bqを意味し、そしてそれは、1細胞あたり平均で25個の細胞結合212Pbが細胞集団の90%を殺滅すると報告されているので、非常に破壊的である。
細胞に結合する原子数は、212Pb−結合抗体の比活性、及び標的細胞で利用可能な抗原の数に依存する。約37MBq/mg(1mCi/mg)の比活性を有する鉛−212標識TCMC−トラスツズマブを、最近、臨床試験で評価した。
1mgあたり37MBqの比活性を有する212Pb−標識モノクローナル抗体は、1:1973の212Pb原子対抗体分子比を有する、すなわち、ほんのわずかの抗体分子が実際に放射性標識される。1細胞あたり25原子の212Pbの90%の細胞殺滅レベルを達成するように、当業者は1細胞あたり49325個の抗体分子を結合させる必要がある。これは、いくつかの腫瘍関連抗原がこれを超えるレベルで発現されている場合に、入手可能である。化学的見地からも、キレート剤群の非常に小さな画分は放射性標識中及びその後に212Pbによって実際には占領されるので、抗原結合特性を失わずに1抗体分子あたり典型的に1〜5キレート剤ユニットが結合することが可能であり、これが妥当と思われる。
結論:
二重標的化224Ra放射性医薬品中の212Pb−標識抗体は、骨腫瘍を処置するのに好適な224Raレベルにて循環腫瘍細胞に対して強い治療的有効性を有するようにできる。
実施例12−マウスによる生体内研究
背景
非錯化224Raと骨集積性EDTMP−錯化212Pbを含む組成物の優越性を強調するために、試験を実施して、骨集積性212Pb−EDTMP+224Ra混合物の効果を示し(実施例12A)、そして、それをFDAで承認された薬剤Xofigo(223Ra)の効果と比較した(実施例12B)。実施例A及びBからのデータの比較を、図8に示す。
実施例12A
背景と方法:
骨集積性作用物質の抗腫瘍活性は、骨転移の動物モデルで試験できる。EDTMP(対照溶液)と224Ra+212Pb−EDTMP(試験溶液)を作製し、保存して、投与前に後者で224Raと212Pbの間の平衡状態を達成させた。試験溶液と対照溶液を、Pharmatest Services Ltd, Finland, a contract research organization (CRO)に出荷し、彼らの動物飼育施設で試験した。ヌードマウスの乳癌モデルMDA MB231(SA)を使用した。このモデルは、骨転移のため骨病変と骨溶解性を生じ、そのうえ後に、軟組織転移を生じる。4〜5週齢の雌ヌードマウスに、0日目に、0.1mlのPBS中の105細胞を接種した。2日目に、対照群に0.9%のNaCl又は25μg/kg体重のEDTMPのいずれかを投与し、及び212Pb EDTMP錯化物と共に平衡化した45、91、及び179kBq/kgの224Raを、3つの処置群に投与した。各群には12匹の動物がいた。腫瘍(例えば、両下肢麻痺、悪液質、20%以上の体重減少又は呼吸困難)の症状が観察されたときに、動物を屠殺した。必要なときには、最後の試験日の間、個別に鎮痛処置を使用した。
結果
対照群の動物は、それぞれ22及び23日間の生存期間の中央値を示した。2つの対照群の間には有意差がなかった。処置群は、45、91、及び179kBq/kgの224Ra/212Pb−EDTMPに関して、それぞれ、25、28、及び31日間の生存期間の中央値を有した。3つの処置群すべてが、対照群と比較して、統計的に有意な延命効果を有した。マウスを屠殺した時点での骨部位における腫瘍組織量は、マウスを対照するために比較して、224Ra/212Pb−EDTMP処置したマウスにおいて有意に減少していた。屠殺時点での溶骨領域は、EDTMP対照群と比較して、91及び179kBq/kgの224Ra/212Pb−EDTMP処置群で有意に減少していた。
実施例12B
Pharmatest Services Ltd、Finland、同じCROは、FDAにより承認された化合物、
223Ra(Xofigo)の効果を試験するために、以前に、ヌードマウスの同じ乳癌モデルMDA MB231(SA)を使用した。Survival benefit with radium-223 dichloride in a mouse model of breast cancer bone metastasis. Suominen et al., J Natl Cancer Inst, 2013 Jun 19, 105(12):908-16, doi: 10.1093/jnci/djt116, Epub 2013 May 16を参照のこと。
以下のことに、注意しなければならない:224Ra(3.6日間)と223Ra(11.4日間)の半減期の相違のため、1Bqの223Raは、1Bqの224Raと比べて約3.2倍のラジウム原子数に相当する。
実施例A及びB(図8)の結果を比較するとき、224Ra原子(8.6×1010)の投薬が223Ra原子(3.6×1011)の投薬の24%にすぎないにもかかわらず、224Ra+212Pb−EDTMP(41%)によって与えられ延命効果が、223Ra(43%)によって与えられ延命効果と同等であったのは明白である。加えて、223Ra(250kBq/kg)と比較して、同様の延命効果が、kBq/kgを単位として28%低い投薬で224Ra/212Pb−EDTMP(179kBq/kg)を用いて達成したことに注意する。
更に、親核種223Raと224Ra(それらの娘核種を含む)が共に、完全な崩壊中に
28〜29MeVの放射線を生じ、且つ、それぞれ4個のα粒子を生じることに注意する。崩壊特性のこれらの類似性にもかかわらず、224Ra/212Pb−EDTMPに関して同様の延命効果を生じるのに必要とされるRa原子数(原子投薬)及び放射能投薬が、(両方の親核種がそれらの娘核種と平衡状態にあるとき)223Raに必要とされるものの、それぞれ、24%及び72%にすぎない。よって、224Ra+212Pb−EDTMP溶液は、Suominenらによって使用された223Ra溶液と比較して、体重あたりのRa原子及び放射能に関して、共にはるかに低い投薬にて予期しない高い抗腫瘍活性を示した。
結論
実施例12の結果は、223Raと比較して、たった24%の放射性原子やたった72%の放射能投薬で同様の延命効果を示すことによって、本分野における現在のFDA承認の最も標準的なもの(Xofigo)と比較して、224Ra+212Pb−EDTMPの少ない投薬量による治療的に有望で、且つ、予期しなかった高い効果を実証する。治療効果に加えて、この予期しない効果には、例えば、副作用に関して、取り扱い中のリスクなどを含めた他のいくつかの重要な特性がある。更に、224Raの半減期が223Raの半減期の3分の1より短いので、223Raの代わりに224Raを使用することによって、患者は、処置後により短い期間しか放射能に晒されない。よって、本発明の組成物は、処置の現在のベンチマークを超える予期しなかった結果を提供する。
実施例13:212Pbと平衡状態にある224Raの溶液中でEDTMPを使用した錯体特性の計測
背景
数日目の224Ra溶液に、5mg/mlまでEDTMPを加え、そして、陽イオン交換体上の放射性核種の結合を評価した。
方法
1mlのIsoluteカラムに約250mgのDowex陽イオン交換体(50W×8、水素形態、Sigma-Aldrich)を詰めた。イオン交換カラムを、溶出液が約7のpHを有するまで、1MのNaOH、その後、0.9%のNaClで洗浄した。これで、溶出液を中性pH付近に保つことが可能になる。その後、ラジウム溶液を、陽イオン交換体に加え、そして、4mlの0.9% NaCl溶液で溶出した。溶出液を、それぞれ1mlずつ4個のチューブ中に回収した。その後、チューブと陽イオン交換体カラムを、212Pb測定のためにγカウンターによりすぐにカウントし、後で実施例3に記載のように224Ra測定のために再カウントした。212Pbに関して、生理的食塩溶液により95%超が溶出し、EDTMPを用いた錯化を示した。224Raは、すなわち、1%未満が生理的食塩溶液で溶出され、陽イオン交換体上に量的に保持された。EDTMPを含まない対照溶液を、陽イオン交換体を通して溶出したとき、212Pbの主要分画は陽イオン交換体上に保持され、EDTMPでの212Pbの強力な溶出が錯化のためであったことを示した。
結論
ラジウム−224が陽イオン交換体上に強力に保持された一方で、放射性核種に混ぜたEDTMPの溶液を陽イオン交換体に乗せ、そして、等張食塩水で溶出したとき、212Pbは容易に溶出した。これは、224Raが娘核種を錯化できるEDTMP溶液の遊離カチオン特性を維持していることを示す。
実施例14.サイズ選択性遠心微量濃度カートリッジによって評価される、224Ra及び212Pbとの混合物中のTCMC−又はDOTA−標識モノクローナル抗体の錯化特性
30kDaのカットオフを有する遠心濾過ユニット(Vivaspin 4又は20、Sartorius Stedim、Goettingen、Germany)を使用して、溶液中の224Raが、0.9%のNaCl溶液で洗浄することによって、TCMC−又はDOTA結合体と効果的に分離できることを示した。2mlで開始し、そして、約0.25mlに濃縮することによって、濃縮物の212Pbの>80%の高い滞留を伴う濃縮物において、ラジウムの>85%を、212Pb−抗体結合体から取り除き、よって、それは、TCMC−及びDOTA−抗体結合体が、224Raを顕著に錯化することなく、212Pbを捕捉/錯化できることを示す。
結論
放射性標識モノクローナル抗体を含む高分子量化合物を濃縮する微量濃縮ユニットを使用した評価は、212Pbがキレート剤モノクローナル抗体に対して錯化された一方で、224Raが錯化剤によって保持されなかったことを示した。
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Claims (23)

  1. 非錯化224Ra、及び錯化剤と212Pbとの間の錯体を含む放射性医薬溶液であって、
    ここで、前記錯化剤が、環状キレート剤から選択され、前記環状キレート剤がp−SCN−Bn−TCMC、p−SCN−Bz−DOTA、及びDOTMPから成る群から選択され、前記錯化剤は、医薬溶液中で 212 Pbなどの 224 Raの娘核種を錯化でき、かつ、前記錯化剤は、医薬溶液中で 224 Raを錯化しない、放射性医薬溶液。
  2. 224Ra、212Pb、及びp−SCN−Bn−TCMC、p−SCN−Bz−DOTA、及びDOTMPから成る群から選択される錯化剤を含む、放射性医薬溶液。
  3. 前記錯化剤が、少なくとも212Pbを錯化できる、請求項に記載の放射性医薬溶液。
  4. 前記錯化剤が、医薬溶液中で212Pbなどの224Raの娘核種を錯化できる、請求項2又は3に記載の放射性医薬溶液。
  5. 前記錯化剤が、医薬溶液中で224Raを錯化しない、請求項〜4のいずれか1項に記載の放射性医薬溶液。
  6. 前記錯化剤が、モノクローナル抗体、ビタミン、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント、合成タンパク質、及びペプチドから成る群から選択される化合物に結合する、請求項1〜のいずれか1項に記載の放射性医薬溶液。
  7. 前記放射能が、100kBq〜100MBqである、請求項1〜のいずれか1項に記載の放射性医薬溶液
  8. 前記224Raと212Pbの量が放射平衡の状態にある、請求項1〜のいずれか1項に記載の放射性医薬溶液。
  9. 212Pb対224Raの放射能比(MBq)が0.5〜2、例えば0.8〜1.5、0.8〜1.3、又は好ましくは0.9〜1.15である、請求項1〜のいずれか1項に記載の放射性医薬溶液。
  10. 以下の:
    ・請求項1〜いずれか1項に記載の放射性医薬溶液を含む第一のバイアル、及び
    ・患者への投与前に放射性医薬溶液のpH及び/又は等張性を調整するための中和溶液を含む第二のバイアル、
    を含むキット。
  11. 以下の:
    224Ra溶液を含む第一のバイアル;
    p−SCN−Bn−TCMC、p−SCN−Bz−DOTA、及びDOTMPから成る群から選択される環状キレート剤である錯化剤を含む第二のバイアル、
    を含み、ここで、前記錯化剤は、212Pbなどの224Raの娘核種を錯化することができ、かつ、前記錯化剤は、医薬溶液中の224Raを錯化しない;及び
    ・任意選択で、第一のバイアルと第二のバイアルを混合し、その結果、混合の1分〜12時間後に患者にすぐに投与できる医薬組成物を形成するための取扱説明書、
    を含むキット。
  12. 患者への投与前に放射性医薬溶液のpH及び/又は等張性を調整するための中和溶液を含む第三のバイアルを含む、請求項11に記載のキット。
  13. 前記224Raと212Pbの量が、第一のバイアル中で放射平衡の状態にある、請求項1012のいずれか1項に記載のキット。
  14. 第一のバイアル中の212Pb対224Raの間の放射能比(MBq)が0.5〜2、0、例えば8〜1.5、0.8〜1.3、又は0.9〜1.15である、請求項1013のいずれか1項に記載のキット。
  15. 前記第一のバイアルが、100kBq〜100MBqの範囲内の放射能を有する、請求項1014のいずれか1項に記載のキット。
  16. 前記キットが、薬物として使用するためのものである、請求項1015のいずれか1項に記載のキット。
  17. 薬物として使用するための、請求項1〜のいずれか1項に記載の放射性医薬溶液。
  18. 骨疾患の処置において使用するための、請求項1〜のいずれか1項に記載の放射性医薬溶液。
  19. 前記骨疾患が、乳房、前立腺、腎臓、肺、骨に対する癌、又は多発性骨髄腫からの骨転移、或いは、強直性脊椎炎を含めた望ましくない石灰化を引き起こす非癌性疾患から成る群から選択される、請求項18に記載の使用のための放射性医薬溶液。
  20. 前記溶液が、体重1kgあたり50〜150kBq、例えば体重1kgあたり50〜100kBqなどの範囲内の線量で投与される、請求項1719のいずれか1項に記載の使用のための放射性医薬溶液。
  21. 請求項1〜のいずれか1項に記載の放射性医薬溶液を提供する方法であって、以下の:
    a)224Raと212Pbの量が放射平衡の状態にある第一の溶液を提供し;
    b)p−SCN−Bn−TCMC、p−SCN−Bz−DOTA、及びDOTMPから成る群から選択される環状キレート剤である錯化剤を含む第二の溶液を提供し、ここで、前記錯化剤は、212Pbなどの224Raの娘核種を錯化でき、かつ、前記錯化剤は、224Raを錯化せず;そして
    c)第一の組成物と第二の組成物とを混合し、それによって、請求項1〜のいずれか1項に記載の医薬組成物を提供すること、
    を含む方法。
  22. 前記第一の組成物中の212Pbと224Raとの間の放射能比(MBq)が0.5〜2、例えば0.8〜1.5、0.8〜1.3、又は0.9〜1.15である、請求項21に記載の方法。
  23. 前記混合ステップc)が、薬物として使用する1分〜12時間30分前、例えば薬物として使用する30分〜5時間前におこなわれる、請求項21又は22に記載の方法。
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