以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態であるスキーシールを説明する。
(全体構成)
図1は本発明を適用したスキーシールをスキー板の滑走面に貼り付けた状態の説明図で
ある。図1(a)はスキーシールを装着したスキー板の側面図であり、図1(b)はスキーシールを装着したスキー板を滑走面の側から見た底面図である。本例のスキーシール1は、雪山をスキーで登高する際にスキー板2の滑走面3に貼り付けられて使用される。
図1に示すように、スキーシール1の貼り付け対象となるスキー板2は、スキーヤーのブーツを保持するためのビンディング4が固定されるスキーセンター部5と、スキーセンター部5の滑走方向Dの前側で前方に向かって上方に反り返るスキートップ部6と、スキーセンター部5の滑走方向Dの後側で後方に向かって上方に反り返るスキーテール部7と、を備える。スキー板2の滑走面3の幅方向の両端にはエッジ8が設けられている。スキーセンター部5は、前後方向の中央の幅が、スキートップ部6と連続する前端部分の幅およびスキーテール部7と連続する後端部分の幅よりも狭いサイドカット形状を備える。なお、スキーセンター部5は、前後方向の中央が、その前端部分および後端部分よりも上方に湾曲するアーチ形状を備える場合もある。
スキー板2の滑走面3は、フラット形状、コンケーブ形状、或いは、コンベックス形状をしている。フラット形状の滑走面3は、平坦である。コンケーブ形状の滑走面は、スキー板2を滑走方向Dと直交する幅方向に切断した断面を見た場合に、幅方向の中央が窪む凹形状である。コンベックス形状の滑走面3は、スキー板2を滑走方向Dと直交する幅方向に切断した断面を見た場合に、幅方向の中央が突出する凸形状である。
スキーシール1は、スキーセンター部5の滑走面3(スキー板2の途中部分)に貼り付けられる。図1(b)に示すように、スキーシール1はその長さ寸法Lがスキー板2の全長Sよりも短い。スキーシール1は、長尺状のシール本体11と、シール本体11の前端部分に固定されたプレート12と、を有する。スキー板2に張り付けられた状態をスキー板2の厚み方向から見た場合に、シール本体11はビンディング4と重なる位置にある。プレート12はビンディング4よりも滑走方向Dの前方に位置する。また、スキー板2に張り付けられた状態をスキー板2の厚み方向のビンディング4の側から見た場合に、スキーシール1はスキー板2に隠れている。
(シール本体)
図2(a)は、スキーシール1の前端部分の側面図であり、図2(b)はスキーシール1の前端部分をシール層の側から見た場合の底面図である。以下の説明では、水平に配置されたスキー板2にスキーシール1を張り付けた場合の姿勢を基準の姿勢として、スキーシール1を説明する。また、スキーシール1がスキー板2に張り付けられる際のスキー板2の滑走方向Dに沿った方向をスキーシール1の前後方向Xとし、滑走方向Dの前方をスキーシール1の前方X1、滑走方向Dの後方をスキーシール1の後方X2とする。スキー板2の滑走方向Dと直交する幅方向を、スキーシール1の幅方向Yとし、幅方向Yの一方を第1方向Y1、他方を第2方向Y2とする。また、前後方向Xおよび幅方向Yと直交する方向をスキーシール1の上下方向Zとし、スキーシール1においてスキー板2に貼り付けられる側を上方Z1、その反対側を下方Z2とする。
図2(a)に示すように、シール本体11は、長尺状の芯材15、および、芯材15から後方X2に向かって下方Z2に延びる毛並みの繊維16、を備えるシール層17と、シール層17の上方Z1に積層された粘着層18と、を備える。シール層17の毛並みを形成する繊維16は、モヘア、ナイロン、モヘアとナイロンの混紡、アザラシの毛、などである。複数の繊維16のそれぞれは、上端が芯材15に固定されている。
粘着層18はシール層17の上方Z1に積層されている。粘着層18は、グルー(糊)等の接着剤からなるもの、シリコン樹脂からなるもの、多数の吸盤からなるもの、などがある。本例では、粘着層18は、グルーからなり、シール層17の芯材15に塗布されて
、積層されている。
シール本体11を上下方向Zから見た場合の平面形状は芯材15の平面形状に対応する。本例では、シール本体11の平面形状は長方形(矩形長尺状)である。従って、図1(b)に示すように、シール本体11の前端縁19および後端縁20は幅方向Yに延びる。
シール本体11の長さ寸法Lは、スキー板2の全長Sの1/3以上であり、かつ、2/3以下である。本例では、スキー体の全長Sが1600cmであり、シール本体11の長さ寸法Lは900mmである。一方、シール本体11の幅方向Yの寸法Mは、スキーセンター部5の最も幅の狭い部分の幅寸法Tと一致する。本例では、シール本体11の幅方向Yの寸法Mは74mmである。
ここで、シール本体11の前後方向X(滑走方向D)の長さ寸法Lをスキー板2の全長Sの2/3以下とすれば、スキー板2の全長Sに対してシール本体11を短くできるので、スキーシール1を携帯することが容易となる。また、シール本体11を短くできるので、スキーシール1の製造コストを抑制できる。この一方で、シール本体11の長さ寸法Lをスキー板2の全長Sの1/3以上とすれば、スキーシール1によるスベリ止めの効果を確保できる。ここで、本例のように、シール本体11の長さ寸法Lをスキー板2の全長Sの1/2以上とすれば、スキーシール1によるスベリ止めの効果を確実に得ることができる。
(プレート)
プレート12は弾性を備える金属製の板部材である。本例では、プレート12はステンレスバネ鋼製である。また、本例では、プレート12の表面に樹脂コーティング層を備える。ここで、プレート12はガルバリウム鋼板(登録商標)製としてもよい。樹脂コーティング層は、例えば、ポリエステル樹脂や塩化ビニル樹脂からなる。
図2(a)に示すように、プレート12は、シール本体11の前端部分のシール層17の側に固定されている。プレート12は、シール本体11の前端縁19から後方X2に延びてシール本体11に固定された平板部25と、シール本体11の前端縁19から前方X1に突出する突出板部26とを備える。
平板部25は、当該平板部25の前端でシール本体11の前端縁19に沿って幅方向Yに延びる前端領域25aと、前端領域25aよりも後方X2で前端領域25aよりも広い後側領域25bと、を有する。前端領域25aは、平板部25の前端でシール本体11の前端縁19に沿って幅方向Yの一方端(第1方向Y1の端)から他方端(第2方向Y2の端)まで延びる。本例では、前端領域25aは一定幅で幅方向Yに延びる。後側領域25bは、平板部25における前端領域25aの後側である。後側領域25bは、プレート12とシール本体11とを固定する接着剤層29を備える。ここで、前端領域25aは接着剤層29を備えていない領域である。従って、前端領域25aは、シール本体11に固定されていない。
本例では、平板部25の前後方向Xの長さ寸法Rは55mmである。前端領域25aの前後方向Xの寸法は8mmである。従って、後側領域25bの前後方向Xの寸法は47mmである。本例では、前端領域25aは、平板部25の前後方向Xの長さ寸法Rの1/4以下としている。接着剤層29は、後側領域25bの全面に設けられている。
突出板部26は、平板部25と同一の平面上を前方X1に延びる平板部分27と、平板部分27の前端縁から上側(粘着層18の側)に湾曲する湾曲板部分28と、を備える。図2(b)に示すように、突出板部26の前端縁12a(プレート12の前端縁12a)
は、幅方向Yに延びる。
図2(a)に示すように、スキーシール1をスキー板2に装着していない状態では、突出板部26の前端縁12aは、シール本体11の上面よりも、上方Z1に位置する。換言すれば、突出板部26は、シール本体11のシール層17の側から前方X1に向かって粘着層18の側に湾曲して、その前端縁12aが、粘着層18のシール層17とは反対側に達している。
ここで、図2(b)に示すように、プレート12の幅方向の寸法Nは、シール本体11の前端縁19の幅方向Yの寸法Mと同一である。従って、プレート12においてシール本体11の前端縁19と重なる平板部25と突出板部26との境界部分の幅方向Yの寸法Nは、シール本体11の前端縁19の幅方向Yの寸法Mと一致している。これにより、プレート12は、幅方向Yの全領域においてシール本体11の前端縁19を被う。本例では、プレート12の幅方向の寸法Nは74mmである。なお、プレート12の幅方向Yの寸法Nは、スキー板2に装着したときにスキー板2のエッジ8よりも幅方向Yの外側に突出しなければ、シール本体11の前端縁19の幅方向Yの寸法よりも長くてもよい。
次に、平板部25は、シール本体11の前端縁19に沿って一定幅で幅方向Yに延びる前側板部分30と、前側板部分30の後端縁からシール本体11の第1方向Y1の端縁に沿って後方X2に延びる第1延設板部分31と、前側板部分30の後端縁からシール本体11の幅方向Yの第2方向Y2の端縁に沿って後方X2に延びる第2延設板部分32と、を備える。換言すれば、平板部25には、後端縁の幅方向Yの中央に、前方X1に延びる切欠き部33が設けられており、切欠き部33の幅方向Yの両側に第1延設板部分31と第2延設板部分32とを備える。
ここで、切欠き部33は、後方X2に向かって幅方向Yに広がっている。従って、第1延設板部分31および第2延設板部分32は、それぞれが後方X2に向かって幅方向Yの寸法が短くなる先細りの形状を備える。また、第1延設板部分31の後端縁、および、第2延設板部分32の後端縁は、それぞれの幅方向Yの中央が後方X2に突出する円弧形状の輪郭を備える。
第1延設板部分31および第2延設板部分32の前後方向Xの寸法は、前側板部分30の前後方向Xの寸法の2倍以上である。本例では、前側板部分30の前後方向Xの寸法は15mmであり、第1延設板部分31および第2延設板部分32の前後方向Xの寸法は40mmである。前端領域25aは前側板部分30の前側部分である。
突出板部26の平板部分27は、シール本体11の前端縁19に沿って一定幅で幅方向Yに延びる。平板部分27の前後方向Xの長さ寸法Oは5mmである。湾曲板部分28は、平板部分27の前端縁19から前方X1に向かって、上方Z1に湾曲する。
突出板部26の前後方向Xの長さ寸法Qは、シール本体11の前端縁19の幅方向Yの寸法Mの2/3以下である。また、突出板部26の前後方向Xの長さ寸法Qは、平板部25の前後方向Xの長さ寸法Rよりも短い。突出板部26の前後方向Xの長さ寸法Qとは、湾曲板部分28が湾曲している状態を上下方向Zから見た場合の寸法である。本例では、突出板部26の前後方向Xの長さ寸法Qは35mmである。従って、湾曲板部分28の前後方向Xの寸法Pは30mmである。
(スキーシールの装着状態)
図3は、スキーシール1をスキー板2に装着した状態の説明図である。図3(a)は、スキーシール1の前端部分の側面図であり、図3(b)はスキーシール1の前端部分の底
面図である。図4は、スキーシール1を装着したスキー板2で滑走しているときに、プレート12と滑走面3との間に前方X1から雪が浸入した状態の説明図である。
スキーシール1をスキー板2に装着する際には、シール本体11の粘着層18をスキー板2のスキーセンター部5の滑走面3に貼り付ける。シール本体11を滑走面3に貼り付けると、プレート12の平板部25は、滑走面3に沿って延びた状態となる。また、プレート12の突出板部26は、その前端縁12aが滑走面3に当接して滑走面3から離間する方向に撓んだ状態となる。そして、プレート12は、自己の弾性復元力Fによって、突出板部26の前端縁12aを滑走面3に押し付ける。
ここで、プレート12は弾性を備える。従って、スキーシール1を装着したスキー板2でスキーヤーが滑走すれば、スキーヤーの体重Wによってスキー板2が雪面に押し付けられる。これにより、プレート12の突出板部26は、より、滑走面3に押し付けられる。この結果、雪面の雪が、前方X1から、プレート12と滑走面3との間に入り込むことが防止あるいは抑制される。よって、スキーシール1と滑走面3との間に雪が入ってスキーシール1がスキー板2から剥がれることを防止あるいは抑制できる。
また、プレート12が弾性を備えるので、スキーシール1を装着したスキー板2でスキーヤーが滑走したときに、プレート12の突出板部26がスキー板2と雪面との間で湾曲して、スキー板2の滑走面3に沿った状態となる。これにより、プレート12がスキー板2の滑走を妨げることが抑制される。
さらに、スキーシール1は、プレート12が、スキー板2のエッジ8を下方Z2から被うことがないので、滑走、登高において、スキーヤーのエッジ8のコントロールを阻害することがない。
また、本例では、プレート12の平板部25が切欠き部33を備えるので、平板部25をシール本体11に固定したときに切欠き部33からシール層17を外側に露出させることができる。従って、スキーシール1による滑り止めの効果を確保しやすい。
ここで、本例では、プレート12の平板部25は、その前端領域25aが接着剤層29によってシール本体11に固定されておらず、後側領域25bのみが接着剤層29によってシール本体11に固定されている。従って、図4に示すように、雪面の雪Sがプレート12の突出板部26との間に浸入してしまい、プレート12が滑走面3から離間する方向に撓んだ場合でも、滑走面3に貼り付けられているシール本体11の前端縁19が滑走面3から剥がれることを防止或いは抑制できる。
すなわち、平板部25の全体がシール本体11に固定されている場合には、プレート12が滑走面3から離間する方向に撓んだときに、シール本体11の前端縁19がプレート12とともに滑走面3から離間しやすいという問題がある。これに対して、本例のように、平板部25においてシール本体11の前端縁19に沿って幅方向Yに延びる前端領域25aがシール本体11に固定されていなければ、プレート12が滑走面3から離間する方向に撓んだときに、平板部25の前端領域25aがシール本体11から離間する。この結果、図4に示すように、平板部25の前端領域25aとシール本体11の前端縁19との間に隙間10が形成される。これにより、シール本体11の前端縁19が滑走面3に貼り付けられている状態を維持できるので、シール本体11の全体が滑走面3から剥がれることを防止或いは抑制できる。
ここで、本例では、切欠き部33は、後方X2に向かって幅方向Yに広がっている。これにより、第1延設板部分31および第2延設板部分32は、後方X2に向かって幅方向
Yの寸法が短くなる先細りの形状を備える。従って、スキーシール1をスキー板2の滑走面3から剥がし易い。
すなわち、スキーシール1をスキー板2の滑走面3から剥がす場合には、スキーシール1を後端側から剥離して、前方X1に向かってスキー板2(滑走面3)から離間させる。ここで、平板部25において切欠き部33の両側に位置する第1延設板部分31および第2延設板部分32は、それぞれの幅が平板部25の幅と比較して狭い。また、第1延設板部分31および第2延設板部分32は、それぞれ後方X2に向かって先細りとなっている。従って、スキーシール1をスキー板2から離間させたときに、第1延設板部分31および第2延設板部分32が滑走面3から離間する方向に撓みやすい。よって、シール本体11において第1延設板部分31および第2延設板部分32が固定されている部分を、滑走面3から剥がすことが容易である。また、第1延設板部分31および第2延設板部分32は、前方X1に向かって幅方向Y拡がって前側板部分30に連続している。従って、第1延設板部分31および第2延設板部分32が撓んだとしても、それらの前側部分(前側板部分30と第1延設板部分31および第2延設板部分32との境界部分)が塑性変形してしまうことがない。よって、シール本体11において平板部25が固定されている部分の全体を、スキー板2から剥がすことができる。
また、後側領域25bの幅方向Yの中央に切欠き部33を備えれば、後側領域25bの幅方向Yの中央は、接着剤層29によってシール本体11に固定されない。従って、スキー板2の滑走面3がコンケーブ形状をしている場合に、スキーシール1が滑走面3から剥がれることを防止或いは抑制できる。
すなわち、スキー板2を幅方向Yに切断した断面を見たときに滑走面3が凹形状をしている場合には、スキーシール1を滑走面3に貼り付けた後にプレート12の弾性復元力によって平板部25が平坦な状態に戻ると、平板部25の幅方向Yの中央部分と滑走面3の幅方向Yの中央部分とが離間する。これにより、平板部25に固定されたシール本体11が平板部25とともに滑走面3から離間して、シール本体11が滑走面3から剥離しやすくなるという問題がある。具体的には、スキーヤーがリフトに乗っている状態など、スキー板2に荷重がかからない時には、プレート12は弾性復元力によって平坦な状態に戻ろうとする。従って、平板部25の幅方向Yの中央部分と滑走面3の幅方向の中央部分とが離間する。このような問題に対して、本例では、平板部25の後側領域25bの幅方向Yの中央部分が接着剤層29によってシール本体11に固定されていない。従って、平板部25が平坦な状態に戻った場合でも、シール本体11の幅方向Yの中央部分が平板部25とともに滑走面3から離間しない。よって、シール本体11の滑走面3への粘着を維持しやすい。
さらに、プレート12の突出板部26の前後方向X(滑走方向D)の寸法Qは、シール本体11の前端縁19の幅方向Yの寸法Mの2/3以下である。これにより、突出板部26が長くなり過ぎないので、シール本体11を滑走面3に貼り付けて突出板部26が滑走面3から離間する方向に撓んだときに、突出板部26の前端縁12aを滑走面3に押し付ける力(プレート12の弾性復元力F)を確保することができる。
また、本例では、スキーシール1がプレート12を備えることにより、スキーシール1が前側から剥がれることを防止あるいは抑制できるので、シール本体11の長さ寸法Lをスキーの全長Sよりも短くして、シール本体11をスキー板2の滑走方向Dの途中位置(スキーセンター部5)に貼り付けて使用することができる。
さらに、本例では、プレート12が金属製なので、弾性変形するプレート12が破損することを防止できる。また、本例では、プレート12がステンレスバネ鋼製なので、その
加工が容易であるとともに、プレート12が錆びることを抑制できる。
また、プレート12は、金属製の基材の表面に樹脂コーティング層を備えるものなので、基材が錆びることを防止できる。また、樹脂コーティング層により、プレート12が滑りやすくなるので、プレート12がスキー板2の滑走を妨げることを抑制できる。さらに、樹脂コーティング層を備えれば、雪や氷がプレート12に付着した状態で固まってしまうことを抑制できる。
ここで、スキーシール1では、シール本体11の後端縁20をスキー板2に固定するための係止金具を備えていないが、このような係止金具が無くても、スキーシール1がスキー板2から剥がれることはなく、実用に耐える。
(実施例2)
図5(a)は、実施例2のスキーシールの前端部分の側面図であり、図5(b)は実施例2のスキーシールの前端部分をシール層の側から見た場合の底面図である。本例のスキーシール1Aは、プレート12の形状が実施例1のスキーシール1と相違する。また、スキーシール1Aはプレート12とシール本体11とを固定する2本のリベット35を有する。なお、本例のスキーシール1Aの他の構成はスキーシール1と同様である。従って、対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
プレート12は弾性を備える金属製の板部材である。図5(a)に示すように、プレート12は、シール本体11の前端部分のシール層17の側に、固定されている。プレート12は、シール本体11の前端縁19から後方X2に延びてシール本体11に固定された平板部25と、シール本体11の前端縁19から前方X1に突出する突出板部26とを備える。本例では、シール本体11の幅方向Yの寸法Mは100mmである。プレート12の幅方向Yの寸法Nはシール本体11の幅方向Yの寸法Mと同一の100mmである。突出板部26の前後方向Xの長さ寸法Qは10mmであり、シール本体11の前端縁19の幅方向Yの寸法Mの2/3以下である。突出板部26は、その全体が、平板部25の前端から上側(粘着層18の側)に湾曲する。言い換えれば、突出板部26は平板部分27を備えておらず、その全体が湾曲板部分28である。突出板部26の前端の幅方向Yの両端部分にはアールが施されている。すなわち、突出板部26の前端の幅方向Yの両端の角部には、面取りが施されている。
平板部25は、当該平板部25の前端でシール本体11の前端縁19に沿って幅方向Yに延びる前端領域25aと、前端領域25aよりも後方X2で前端領域25aよりも広い後側領域25bと、を有する。前端領域25aは、平板部25の前端でシール本体11の前端縁19に沿って幅方向Yの一方端(第1方向Y1の端)から他方端(第2方向Y2の端)まで延びる。本例では、前端領域25aは一定幅で幅方向Yに延びる。後側領域25bは、平板部25における前端領域25aに後側である。後側領域25bは、プレート12とシール本体11とを固定する接着剤層29を備える。接着剤層29は、後側領域25bにおけるシール本体11の側の全面に設けられている。ここで、前端領域25aは接着剤層29を備えていない。従って、前端領域25aは、シール本体11に固定されていない。
本例では、平板部25の前後方向Xの長さ寸法Rは65mmである。前端領域25aの前後方向Xの寸法は10mmである。従って、後側領域25bの前後方向Xの寸法は55mmである。前端領域25aは、平板部25の前後方向Xの長さ寸法Rの1/4以下である。
平板部25は、シール本体11の前端縁19に沿って一定幅で幅方向Yに延びる前側板
部分30と、前側板部分30の後端縁からシール本体11の第1方向Y1の端縁に沿って後方X2に延びる第1延設板部分31と、前側板部分30の後端縁からシール本体11の幅方向Yの第2方向Y2の端縁に沿って後方X2に延びる第2延設板部分32と、を備える。換言すれば、平板部25の後端縁には、幅方向Yの中央に、前方X1に延びる切欠き部33が設けられている。前端領域25aは、前側板部分30の前端の一定幅の領域であり、接着剤層29が設けられていない領域である。前側板部分30の後側部分並びに第1延設板部分31および第2延設板部分32は、後側領域25bである。
リベット35は、第1延設板部分31の後端部分および第2延設板部分32の後端部分に設けられている。リベット35は、接着剤層29とともに、プレート12とシール本体11とを固定する。
本例のスキーシール1Aにおいても、スキーシール1と同様の作用効果を得ることができる。また、本例のスキーシール1Aは、突出板部26の前後方向Xの長さ寸法Qが、上記スキーシール1と比較して短い。従って、プレート12を小さくできる。
さらに、本例では、リベット35を用いてプレート12とシール本体11とを固定するので、プレート12がシール本体11から離間することがない。また、リベット35は、第1延設板部分31の後端部分および第2延設板部分32の後端部分に設けられている。ここで、第1延設板部分31の後端部分および第2延設板部分32の後端部分は、スキーシール1Cをスキー板2から剥がす際に負荷がかかる部分なので、このような位置にリベット35を設ければ、プレート12がシール本体11から剥離することを確実に防止できる。また、リベット35は平板部25の後端部分に設けられる。従って、スキーシール1Cの滑走面3への粘着をリベット35が妨げたとしても、滑走時にスキーシール1Cが前側から剥がれることはない。
(実施例2の変形例)
図6(a)は、実施例2の変形例のスキーシールの前端部分の側面図であり、図6(b)は実施例2の変形例のスキーシールの前端部分をシール層の側から見た場合の底面図である。本例のスキーシール1Bは、後側領域25bに設けた接着剤層29の平面形状が実施例2のスキーシール1Aと相違する。すなわち、本例では、後側領域25bは、接着剤層29が設けられた接着部40と、接着剤層29が設けられていない非接着部41と、を備える。なお、本例のスキーシール1Bは、接着剤層29を除く他の構成はスキーシール1Aと同一である。従って、スキーシール1Aと対応する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
後側領域25bは、非接着部41として、前端領域25aから平板部25の第1方向Y1の端縁に沿って後方に延びる一方側非接着部42と、前端領域25aから平板部25の第2方向Y2の端縁に沿って後方X2に延びる他方側非接着部43と、を有する。接着部40は、幅方向Yで一方側非接着部42と他方側非接着部43との間に位置する。従って、本例では、プレート12の幅方向Yの両端縁はシール本体11に固定されていない。2つのリベット35のうちの第1方向Y1のリベット35は、第1延設板部分31の後端部分における一方側非接着部42と接着部40との境界に設けられている。第2方向Y2のリベット35は、他方側非接着部43と接着部40との境界に設けられている。
本例によれば、スキー板2の滑走面3がコンベックス形状をしている場合に、スキーシール1Bが滑走面3から剥がれることを防止或いは抑制できる。すなわち、スキー板2を幅方向Yに切断した断面を見たときに滑走面3が凸形状をしている場合には、スキーシール1を滑走面3に貼り付けた後にプレート12の弾性復元力によって平板部25が平坦な状態に戻ると、平板部25の幅方向Yの両端部分と滑走面3の幅方向Yの両端部分とが離
間する。これにより、平板部25に固定されたシール本体11が平板部25とともに滑走面3から離間して、シール本体11が滑走面3から剥離しやすくなるという問題がある。具体的には、スキーヤーがリフトに乗っている状態など、スキー板2に荷重がかからない時には、プレート12は弾性復元力によって平坦な状態に戻ろうとする。従って、平板部25の幅方向Yの両端部分と滑走面3の幅方向の両端部分とが離間する。
このような問題に対して、本例では、平板部25の後側領域25bの幅方向Yの両端部分(一方側非接着部42および他方側非接着部43)が接着剤層29によってシール本体11に固定されていない。従って、平板部25が平坦な状態に戻った場合でも、シール本体11の幅方向Yの両端部分が平板部25とともに滑走面3から離間しない。よって、シール本体11の滑走面3への粘着を維持しやすい。
(実施例3)
図7(a)は、実施例3の変形例のスキーシールの前端部分の側面図であり、図7(b)は実施例3の変形例のスキーシールの前端部分をシール層の側から見た場合の底面図である。本例のスキーシール1Cは、プレート12の形状が実施例1のスキーシール1と相違する。なお、本例のスキーシール1Cはスキーシール1と対向する構成を備える。従って、対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
プレート12は弾性を備える金属製の板部材である。図7(a)に示すように、プレート12は、シール本体11の前端部分のシール層17の側に、固定されている。プレート12は、シール本体11の前端縁19から後方X2に延びてシール本体11に固定された平板部25と、シール本体11の前端縁19から前方X1に突出する突出板部26とを備える。本例では、シール本体11の幅方向Yの寸法Mは100mmである。プレート12の幅方向Yの寸法Nはシール本体11の幅方向Yの寸法Mと同一の100mmである。突出板部26の前後方向Xの長さ寸法Qは10mmであり、シール本体11の前端縁19の幅方向Yの寸法Mの2/3以下である。突出板部26は、その全体が、平板部25の前端縁から上側(粘着層18の側)に湾曲する。言い換えれば、突出板部26は平板部分27を備えておらず、その全体が湾曲板部分28である。突出板部26の前端の幅方向Yの両端部分にはアールが施されている。すなわち、突出板部26の前端の幅方向Yの両端の角部は面取りが施されている。
平板部25は、当該平板部25の前端でシール本体11の前端縁19に沿って幅方向Yに延びる前端領域25aと、前端領域25aよりも後方X2で前端領域25aよりも広い後側領域25bと、を有する。前端領域25aは、平板部25の前端でシール本体11の前端縁19に沿って第1方向Y1の端から第2方向Y2の端まで延びる。前端縁19は幅方向Yに一定幅で設けられている。後側領域25bは、プレート12とシール本体11とを固定する接着剤層29を備える。ここで、前端領域25aは接着剤層29を備えておらず、前端領域25aはシール本体11に固定されていない。
本例では、平板部25の前後方向Xの長さ寸法Rは65mmである。前端領域25aの前後方向Xの寸法は10mmである。従って、後側領域25bの前後方向Xの寸法は55mmである。前端領域25aは、平板部25の前後方向Xの長さ寸法Rの1/4以下である。
平板部25は、シール本体11の前端縁19に沿って一定幅で幅方向Yに延びる前側板部分30と、前側板部分30の後方X2に連続して、後方X2に向かって先細りとなる三角形形状の先細り部分34と、を備える。前端領域25aは、前側板部分30の前端の一定幅の領域であり、接着剤層29が設けられていない領域である。後側領域25bは、平板部25における前端領域25aの後側の全領域である。後側領域25bには接着剤層2
9が設けられている。後側領域25bの後端部分は、後方X2に向かって先細りとなっている。リベット35は、先細り部分34の後端部分に1つ設けられている。リベット35は、接着剤層29とともに、プレート12とシール本体11とを固定する。
ここで、後側領域25bは、接着剤層29が設けられた接着部40と、接着剤層29が設けられていない第1非接着部45および第2非接着部46を備える。第1非接着部45は、平板部25の幅方向Yの中央に位置する。第1非接着部45の平面形状は全体として、先細り部分34の形状に対応する三角形形状をしている。接着部40は、第1非接着部45を囲んでいる。第2非接着部46は、前端領域25aから平板部25の第1方向Y1の端縁に沿って後方X2に延びる一方側非接着部42と、前端領域25aから平板部25の第2方向Y2の端縁に沿って後方X2に延びる他方側非接着部43と、を備える。接着部40は、幅方向Yで一方側非接着部42と他方側非接着部43との間に位置する。
本例においても、スキーシール1Cをスキー板2に装着すると、プレート12は、自己の弾性復元力Fによって、突出板部26の前端縁12aを滑走面3に押し付ける。従って、スキーシール1Cと滑走面3との間に雪が入ってスキーシール1Cがスキー板2から剥がれることを防止あるいは抑制できる。また、プレート12が弾性を備えるので、スキーシール1Cを装着したスキー板2でスキーヤーが滑走したときに、プレート12の突出板部26がスキー板2と雪面との間で湾曲して、スキー板2の滑走面3に沿った状態となる。これにより、プレート12がスキー板2の滑走を妨げることが抑制される。さらに、スキーシール1Cは、プレート12が、スキー板2のエッジ8を下方Z2から被うことがないので、滑走、登高において、スキーヤーのエッジ8のコントロールを阻害することがない。
また、プレート12の平板部25は、その前端領域25aが接着剤層29によってシール本体11に固定されておらず、後側領域25bのみが接着剤層29によってシール本体11に固定されている。従って、雪面の雪Sがプレート12の突出板部26との間に浸入してしまい、プレート12が滑走面3から離間する方向に撓んだ場合でも、滑走面3に貼り付けられているシール本体11の前端縁19が滑走面3から剥がれることを防止或いは抑制できる。
さらに、本例では、後側領域25bの後端部分は、後方X2に向かって先細りとなっている。従って、プレート12をシール本体11に固定したときに、後側領域25bの幅方向Yの両側において、シール層17を外側に露出させることができる。よって、スキーシール1Cによる滑り止めの効果を確保しやすい。
また、本例では、後側領域25bの後端部分は、後方X2に向かって先細りとなっている。従って、スキーシール1Cをスキー板2から剥がすことが容易である。すなわち、スキーシール1Cをスキー板2の滑走面3から剥がす場合には、スキーシール1Cを後方X2から剥離して、前方X1向かって滑走面3から離間させる。この際に、平板部25の後端部分が後方X2に向かって先細りとなる形状を備えていれば、先細り部分34が滑走面3から離間する方向に撓みやすい。従って、シール本体11を滑走面3から剥がすことが容易となる。
さらに、本例では、後側領域25bに設けられた第1非接着部45は、平板部25の幅方向Yの中央に位置する。そして、接着部40は、非接着部41を囲んで設けられている。従って、スキー板2の滑走面3がコンケーブ形状をしている場合に、スキーシール1Cが滑走面3から剥がれることを防止或いは抑制できる。すなわち、スキー板2の滑走面3がコンケーブ形状をしている場合には、プレート12の弾性復元力によって平板部25が平坦な状態に戻ると、シール本体11の幅方向Yの中央部分が平板部25とともに滑走面
3から離間して、シール本体11が滑走面3から剥離しやすくなるという問題がある。これに対して、平板部25の後側領域25bの幅方向Yの中央部分が接着剤層29によってシール本体11に固定されていなければ、平板部25が平坦な状態に戻った場合でも、シール本体11の幅方向Yの中央部分が平板部25とともに滑走面3から離間しない。従って、シール本体11の滑走面3への粘着を維持しやすい。よって、スキーシール1Cが滑走面3から剥がれることを防止或いは抑制できる。
また、本例では、後側領域25bは、前端領域25aから平板部25の第1方向Y1の端縁に沿って後方X2に延びる一方側非接着部42と、前端領域25aから平板部25の第2方向Y2の端縁に沿って後方X2に延びる他方側非接着部43と、備える。そして、後側領域25bの接着部40は、幅方向Yで一方側非接着部42と他方側非接着部43との間に位置する。従って、スキー板2の滑走面3コンベックス形状をしている場合に、スキーシール1Cが滑走面3から剥がれることを防止或いは抑制できる。すなわち、スキー板2の滑走面3がコンベックス形状をしている場合には、プレート12の弾性復元力によって平板部25が平坦な状態に戻ると、平板部25に固定されたシール本体11の幅方向Yの両端部分が平板部25とともに滑走面3から離間して、シール本体11が滑走面3から剥離しやすくなるという問題がある。これに対して、シール本体11が、幅方向Yの両端部分に接着剤層29によって平板部25に固定されていない部分(一方側非接着部42および他方側非接着部43)を備えれば、平板部25が平坦な状態に戻った場合でも、シール本体11の幅方向の両端部分が平板部25とともに滑走面3から離間しない。従って、シール本体11の滑走面3への粘着を維持しやすい。よって、スキーシール1Cが滑走面から剥がれることを防止或いは抑制できる。
さらに、本例では、リベット35を先細り部の後端に1つ設けることにより、プレート12とシール本体11との固定を確実なものとすることができる。従って、リベット35の数が少なくて済む。また、リベット35は、先細り部分34の後端部分に設けられている。ここで、先細り部分34の後端部分は、スキーシール1Cをスキー板2から剥がす際に負荷がかかる部分なので、このような位置にリベット35を設ければ、プレート12がシール本体11から剥離することを確実に防止できる。また、リベット35は平板部25の後端部分に設けられる。従って、スキーシール1Cの滑走面3への粘着をリベット35が妨げたとしても、滑走時にスキーシール1Cが前側から剥がれることはない。
なお、スキーシール1Cにおいて、第1非接着部45を省略してもよい。すなわち、後側領域25bにおいて、第1非接着部45が設けられていた部分に接着剤層29を設けて、接着部としてもよい。同様に、一方側非接着部42および他方側非接着部43を省略してもよい。すなわち、後側領域25bにおいて、一方側非接着部42および他方側非接着部43が設けられていた部分に接着剤層29を設けて、接着部としてもよい。また、第1非接着部45、一方側非接着部42および他方側非接着部43の全てを省略してもよい。すなわち、後側領域25bのシール本体11の側の全面に接着剤層29を設けてもよい。
(実施例3の変形例)
図8(a)は実施例3の変形例1のスキーシールの説明図であり、図8(b)は実施例3の変形例2のスキーシールの説明図である。図8では、スキーシールの前端部分をシール層17の側から見た場合を示す。
図8(a)に示すように、実施例3の変形例1のスキーシール1Dは、実施例3のスキーシール1Cのプレート12において、第1非接着部45が設けられていた部分に開口部37を備える。すなわち、プレート12の後側領域25bは、幅方向Yの中央に、開口部37を備える。開口部37は全体として、先細り部分34の形状に対応する三角形形状をしている
本例のスキーシール1Dは、開口部37を備えることにより、後側領域25bが幅方向Yの中央部分に第1非接着部45を備えるものとなる。従って、スキー板2の滑走面3がコンケーブ形状をしている場合に、スキーシール1Dが滑走面3から剥がれることを防止或いは抑制できる。また、本例のスキーシール1Dは、実施例3のスキーシール1Cと同様の作用効果を得ることができる。
なお、スキーシール1Dにおいて、一方側非接着部42および他方側非接着部43を省略してもよい。すなわち、後側領域25bにおけるシール本体11の側の全面に接着剤層29を設けてもよい。
図8(b)に示すように、実施例3の変形例2のスキーシール1Eは、プレート12の平板部25の全体が、後方X2に向かって先細りとなっている。すなわち、平板部25は、第1方向Y1の端縁および他方の端縁が後方X2に向かって互いに接近する方向に傾斜している。これにより、平板部25は、全体として、三角形形状である。
平板部25は、当該平板部25の前端でシール本体11の前端縁19に沿って幅方向Yに延びる前端領域25aと、前端領域25aよりも後方X2で前端領域25aよりも広い後側領域25bと、を有する。前端領域25aは、平板部25の前端でシール本体11の前端縁19に沿って第1方向Y1の端から第2方向Y2の端まで延びる。前端縁19は幅方向Yに一定幅で設けられている。ここで、平板部25は、第1方向Y1の端縁および他方の端縁が後方X2に向かって互いに接近する方向に傾斜している。従って、前端領域25aは、全体として台形をしている。前端領域25aは接着剤層29を備えておらず、前端領域25aはシール本体11に固定されていない。
後側領域25bは、全体として、三角形形状であり、後方X2に向かって先細りとなっている。後側領域25bは、接着剤層29が設けられた接着部40と、接着剤層29が設けられていない非接着部41を備える。非接着部41は、平板部25の幅方向Yの中央に位置する。非接着部41の平面形状は、後側領域25bと対応する三角形形状をしている。接着部40は、非接着部41を囲んでいる。
本例のスキーシール1Eは、平板部25の後側領域25bの幅方向Yの両端部分に非接着部を備えていない。しかし、平板部25は、第1方向Y1の端縁および他方の端縁が後方X2に向かって互いに接近する方向に傾斜している。これにより、シール本体11は、後側領域25bの幅方向Yの両側に平板部25と重ならない露出部分51を備える。言い換えれば、シール本体11は、後側領域25bの幅方向Yの両側に、接着剤層29によってプレート12に固定されていない部分(露出部分51)を備える。
従って、本例のスキーシール1Eにおいても、スキー板2の滑走面3がコンベックス形状をしている場合に、スキーシール1Eが滑走面3から剥がれることを防止或いは抑制できる。すなわち、スキー板2の滑走面3がコンベックス形状をしている場合には、プレート12の弾性復元力によって平板部25が平坦な状態に戻ると、平板部25に固定されたシール本体11の幅方向Yの両端部分が平板部25とともに滑走面3から離間して、シール本体11が滑走面3から剥離しやすくなるという問題がある。これに対して、シール本体11が、幅方向Yの両端部分に接着剤層29によって平板部25に固定されていない部分(露出部分51)を備えるので、平板部25が平坦な状態に戻った場合でも、シール本体11の幅方向の両端部分が平板部25とともに滑走面3から離間しない。従って、シール本体11の滑走面3への粘着を維持しやすい。よって、スキーシール1Eが滑走面から剥がれることを防止或いは抑制できる。
また、本例のスキーシール1Eによれば、実施例3のスキーシール1Cと同様の作用効果を得ることができる。
(実施例4)
図9(a)は、実施例4のスキーシールの前端部分の側面図であり、図9(b)は実施例4のスキーシールの前端部分をシール層の側から見た場合の底面図である。本例のスキーシール1Fは、プレート12の形状が実施例1のスキーシール1と相違する。また、スキーシール1Fはプレート12とシール本体11とを固定するリベット35を有する。なお、本例のスキーシール1Fの他の構成はスキーシール1と同様である。従って、対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
プレート12は弾性を備える金属製の板部材である。図9(a)に示すように、プレート12は、シール本体11の前端部分のシール層17の側に、固定されている。プレート12は、シール本体11の前端縁19から後方X2に延びてシール本体11に固定された平板部25と、シール本体11の前端縁19から前方X1に突出する突出板部26とを備える。本例では、シール本体11の幅方向Yの寸法Mは100mmである。プレート12の幅方向Yの寸法Nはシール本体11の幅方向Yの寸法Mと同一の100mmである。突出板部26の前後方向Xの長さ寸法Qは10mmであり、シール本体11の前端縁19の幅方向Yの寸法Mの2/3以下である。突出板部26は、その全体が、平板部25の前端縁から上側(粘着層18の側)に湾曲する。言い換えれば、突出板部26は平板部分27を備えておらず、その全体が湾曲板部分28である。突出板部26の前端の幅方向Yの両端部分にはアールが施されている。すなわち、突出板部26の前端の幅方向Yの両端の角部は面取りが施されている。
平板部25は、当該平板部25の前端でシール本体11の前端縁19に沿って幅方向Yに延びる前端領域25aと、前端領域25aよりも後方X2で前端領域25aよりも広い後側領域25bと、を有する。前端領域25aは、平板部25の前端でシール本体11の前端縁19に沿って第1方向Y1の端から第2方向Y2の端まで延びる。前端縁19は幅方向Yに一定幅で設けられている。後側領域25bは、プレート12とシール本体11とを固定する接着剤層29を備える。ここで、前端領域25aは接着剤層29を備えておらず、前端領域25aはシール本体11に固定されていない。本例では、平板部25の前後方向Xの長さ寸法Rは65mmである。前端領域25aの前後方向Xの寸法は10mmである。従って、後側領域25bの前後方向Xの寸法は55mmである。前端領域25aは、平板部25の前後方向Xの長さ寸法Rの1/4以下である。
平板部25は、突出板部から後方X2に伸びる平板部本体55と、平板部本体55から突出する突出部分56とを備える。平板部本体55は、幅方向Yに長い長方形形状をしている。突出部分56は、平板部本体55の幅方向Yの中央部分から後方X2に突出する。平板部本体55の前後方向Xの寸法は25mmである。前端領域25aは、平板部本体55の前端の一定幅の領域であり、接着剤層29が設けられていない領域である。平板部本体55の接着剤層29が設けられた領域の後方X2および突出部分56は、後側領域25bである。
ここで、後側領域25bは、接着剤層29が設けられた接着部40と、接着剤層29が設けられていない非接着部41を備える。非接着部41は、前端領域25aから平板部本体55の第1方向Y1の端縁に沿って後方X2に延びる一方側非接着部42と、前端領域25aから平板部本体55の第2方向Y2の端縁に沿って後方X2に延びる他方側非接着部43と、を有する。接着部40は、幅方向Yで一方側非接着部42と他方側非接着部43との間に位置する。
本例においても、スキーシール1Fをスキー板2に装着すると、プレート12は、自己の弾性復元力Fによって、突出板部26の前端縁12aを滑走面3に押し付ける。従って、スキーシール1Fと滑走面3との間に雪が入ってスキーシール1Fがスキー板2から剥がれることを防止あるいは抑制できる。また、プレート12が弾性を備えるので、スキーシール1Fを装着したスキー板2でスキーヤーが滑走したときに、プレート12の突出板部26がスキー板2と雪面との間で湾曲して、スキー板2の滑走面3に沿った状態となる。これにより、プレート12がスキー板2の滑走を妨げることが抑制される。さらに、スキーシール1Fは、プレート12が、スキー板2のエッジ8を下方Z2から被うことがないので、滑走、登高において、スキーヤーのエッジ8のコントロールを阻害することがない。
また、プレート12の平板部25は、その前端領域25aが接着剤層29によってシール本体11に固定されておらず、後側領域25bのみが接着剤層29によってシール本体11に固定されている。従って、雪面の雪Sがプレート12の突出板部26との間に浸入してしまい、プレート12が滑走面3から離間する方向に撓んだ場合でも、滑走面3に貼り付けられているシール本体11の前端縁19が滑走面3から剥がれることを防止或いは抑制できる。
さらに、本例では、平板部25が突出部分56を備えるので、スキーシール1Fをスキー板2から剥がすことが容易である。すなわち、スキーシール1Fをスキー板2の滑走面3から剥がす場合には、スキーシール1Fを後方X2から剥離して、前方X1向かって滑走面3から離間させる。この際に、突出部分56が滑走面3から離間する方向に撓みやすい。従って、シール本体11を滑走面3から剥がすことが容易となる。
また、本例では、スキー板2の滑走面3がコンベックス形状をしている場合に、スキーシール1Bが滑走面3から剥がれることを防止或いは抑制できる。すなわち、本例では、平板部25の後側領域25bの幅方向Yの両端部分(一方側非接着部42および他方側非接着部43)が接着剤層29によってシール本体11に固定されていない。従って、平板部25が平坦な状態に戻った場合でも、シール本体11の幅方向Yの両端部分が平板部25とともに滑走面3から離間しない。よって、シール本体11の滑走面3への粘着を維持しやすい。
さらに、本例では、リベット35を突出部分56の後端に1つ設けることにより、プレート12とシール本体11との固定を確実なものとすることができる。従って、リベット35の数が少なくて済む。また、リベット35は、突出部分56に設けられている。ここで、突出部分56は、スキーシール1Cをスキー板2から剥がす際に負荷がかかる部分なので、このような位置にリベット35を設ければ、プレート12がシール本体11から剥離することを確実に防止できる。また、リベット35は平板部25の後端部分に設けられる。従って、スキーシール1Cの滑走面3への粘着をリベット35が妨げたとしても、滑走時にスキーシール1Cが前側から剥がれることはない。
(実施例4の変形例)
図10は実施例4の変形例のスキーシールの説明図である。図10では、スキーシールの前端部分をシール層17の側から見た場合を示す。本例のスキーシール1Gでは、プレート12の平板部25は、第1方向Y1の端縁および他方の端縁が、後方X2に向かって互いに接近する方向に傾斜している。すなわち、平板部本体55の幅方向Yの両端縁は、後方X2に向かって互いに接近する方向に傾斜している。スキーシール1Gの他の構成は、実施例4のスキーシール1Fと同一である。
本例のスキーシール1Gは、平板部25の後側領域25bの幅方向Yの両端部分に非接
着部を備えていない。しかし、平板部25は、第1方向Y1の端縁および他方の端縁が後方X2に向かって互いに接近する方向に傾斜している。これにより、シール本体11は、後側領域25bの幅方向Yの両側に平板部25と重ならない露出部分51を備える。言い換えれば、シール本体11は、後側領域25bの幅方向Yの両側に、接着剤層29によってプレート12に固定されていない部分(露出部分51)を備える。従って、本例のスキーシール1Gにおいても、スキー板2の滑走面3がコンベックス形状をしている場合に、スキーシール1Gが滑走面3から剥がれることを防止或いは抑制できる。また、本例のスキーシール1Gは、実施例4のスキーシール1Fと同様の作用効果を得ることができる。
(実施例5)
図11(a)は、実施例5のスキーシールの前端部分の側面図であり、図11(b)は実施例5のスキーシールの前端部分をシール層の側から見た場合の底面図である。図12は実施例5のスキーシールの説明図である。図12では、スキーシールの前端部分をシール層17の側から見た場合を示す。
本例のスキーシール1Hは、プレート12の形状が上記のスキーシール1と相違する。また、スキーシール1Hはプレート12とシール本体11とを固定するリベット35を有する。さらに、本例のスキーシール1Hは、前後方向Xで2分割されている。なお、本例のスキーシール1Hの他の構成は実施例1のスキーシール1と対向する構成を備えるので、対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
プレート12は弾性を備える金属製の板部材である。図11(a)に示すように、プレート12は、シール本体11の前端部分のシール層17の側に、固定されている。プレート12は、シール本体11の前端縁19から後方X2に延びてシール本体11に固定された平板部25と、シール本体11の前端縁19から前方X1に突出する突出板部26とを備える。突出板部26は、その全体が、平板部25の前端縁から上側(粘着層18の側)に湾曲する。言い換えれば、突出板部26は平板部分27を備えておらず、その全体が湾曲板部分28である。突出板部26の前端の幅方向Yの両端部分にはアールが施されている。すなわち、突出板部26の前端の幅方向Yの両端の角部は面取りが施されている。
平板部25は、当該平板部25の前端でシール本体11の前端縁19に沿って幅方向Yに延びる前端領域25aと、前端領域25aよりも後方X2で前端領域25aよりも広い後側領域25bと、を有する。前端領域25aは、平板部25の前端でシール本体11の前端縁19に沿って第1方向Y1の端から第2方向Y2の端まで延びる。前端縁19は幅方向Yに一定幅で設けられている。後側領域25bは、プレート12とシール本体11とを固定する接着剤層29を備える。ここで、前端領域25aは接着剤層29を備えておらず、前端領域25aはシール本体11に固定されていない。
平板部25は、シール本体11の前端縁19に沿って一定幅で幅方向Yに延びる前側板部分30と、前側板部分30の後方X2に連続して、後方X2に向かって先細りとなる三角形形状の先細り部分34と、を備える。前端領域25aは、前側板部分30の前端の一定幅の領域であり、接着剤層29が設けられていない領域である。後側領域25bは、平板部25における前端領域25aの後側の全領域である。後側領域25bには接着剤層29が設けられている。後側領域25bの後端部分は、後方X2に向かって先細りとなっている。リベット35は、先細り部分34の後端部分に1つ設けられている。リベット35は、接着剤層29とともに、プレート12とシール本体11とを固定する。
ここで、後側領域25bは、接着剤層29が設けられた接着部40と、接着剤層29が設けられていない第1非接着部45および第2非接着部46を備える。第1非接着部45は、平板部25の幅方向Yの中央に位置する。第1非接着部45の平面形状は全体として
、先細り部分34の形状に対応する三角形形状をしている。第2非接着部46は、平板部25の後端縁25cに沿って第1方向Y1端から他方端まで延びる。第2非接着部46の前後方向Xの幅は、前端領域25aの幅よりも広い。第2非接着部46の第1方向Y1の前端は前端領域25aの第1方向Y1の端部分に連続しており、第2非接着部46の第2方向Y2の前端は前端領域25aの第2方向Y2の端部分に連続している。従って、第2非接着部46は、前端領域25aから平板部25の第1方向Y1の端縁に沿って後方に延びる一方側非接着部42と、前端領域25aから平板部25の第2方向Y2の端縁に沿って後方X2に延びる他方側非接着部43と、を備える。
接着部40は、第1非接着部45と第2非接着部46との間に位置する。すなわち、接着部40は、第1非接着部45を囲んでいる。また、接着部40は、前端領域25aと第2非接着部46とによって囲まれている。さらに、接着部40は、幅方向Yで一方側非接着部42と他方側非接着部43との間に位置する。従って、本例では、平板部25の幅方向Yの両端縁はシール本体11に固定されていない。また、平板部25の前後方向Xの両端縁はシール本体11に固定されていない。ここで、リベット35は、接着部40と重なる位置に設けられている。
次に、シール本体11は、平板部25と当該シール本体11とが積層された積層方向から見た場合に、第2非接着部46と重なる位置で、平板部25の後端縁25cに沿って前後に2分割されている。これにより、シール本体11は、プレート12が固定されたシール本体前側部分61と、プレート12が固定されていないシール本体後側部分62とを備える。また、スキーシール1Hは、プレート12およびシール本体前側部分61を備える前側シール63と、シール本体後側部分62を備え、プレート12を備えていない後側シール64とに2分割される。
ここで、図12に示すように、シール本体11を2分割したシール本体後側部分62の前端縁62a、すなわち、後側シール64の前端縁62aは、幅方向Yの中央が後方X2に窪む略V字の形状である。一方、シール本体11を2分割したシール本体前側部分61の後端縁61aは、幅方向Yの中央が後方X2に突出する形状であり、後側シール64の前端縁62aに対応する形状である。なお、本例では、シール本体後側部分62の幅方向の寸法は、シール本体前側部分61の幅方向の寸法よりも短い。ここで、シール本体後側部分62の幅方向の寸法と、シール本体前側部分61の幅方向の寸法とは同一でもよい。
スキーシール1Hをスキー板2に装着する際には、まず、後側シール64をスキー板2のスキーセンター部5の滑走面3に貼り付ける。次に、前側シール63を、後側シール64の前方X1に貼り付ける。この際に、前側シール63のシール本体前側部分61と、後側シール64(シール本体後側部分62)との間に、隙間が形成されないようにする。これにより、後側シール64(シール本体後側部分62)の前端縁62aを、プレート12の平板部25の後端部分(第2非接着部46)によって滑走面3とは反対側から覆う。
本例によれば、実施例3のスキーシール1Cと同様の作用効果を得ることができる。
また、本例によれば、スキーシール1Hを、プレート12を備える前側シール63と、プレート12を備えていない後側シール64とに2分割できる。よって、スキーシール1Hに劣化や破損が生じた場合には、前側シール63および後側シール64を別々に交換できる。
さらに、本例では、スキーシール1Hをスキー板2に装着した状態では、後側シール64(シール本体後側部分62)の前端縁62aが、プレート12の平板部25の後端部分(第2非接着部46)によって滑走面3とは反対側から覆われる。従って、2分割された
スキーシール1Hを装着したスキー板2でスキーヤーが滑走した場合でも、後側シール64が剥がれることを防止できる。
(実施例5の変形例)
図13は、実施例5の変形例のスキーシールの説明図である。図13では、スキーシールの前端部分をシール層17の側から見た場合を示す。本例のスキーシール1Iは、スキーシール1Hと対応する構成を備える。従って、対向する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
本例のスキーシール1Iは、スキーシール1Hにおいて、前側シール63のシール本体前側部分61を、滑走面3に着脱可能に貼り付けられる粘着層を備える基布70に替えたものである。従って、スキーシール1Hの後側シール64(シール本体後側部分62)のみがシール本体11となる。
これにより、スキーシール1Iは、図13に示すように、シール本体11と、滑走面3におけるシール本体11の前方に貼り付けられる基布70と、弾性を備え、基布70の粘着層とは反対側に固定されたプレート12と、を有する。
また、プレート12は、基布70の前端縁70aから後方X2に延びて基布70と重なる平板部25と、基布70の前端縁70aから前方X1に突出する突出板部26と、基布70の後端縁70bから後方X2に突出する第2の突出板部71と、を備える。
突出板部26は、その全体が、平板部25の前端縁から上側(粘着層18の側)に湾曲する。第2の突出板部71は、スキーシール1Hにおいては、プレート12における第2非接着部46の後側部分である。第2の突出板部71は、基布70の後端縁70bに沿って幅方向Yの第1方向Y1の端から第2方向Y2の端まで延びる。
平板部25は、当該平板部25の前端で基布70の前端縁70aに沿って幅方向Yに延びる前端領域25aと、前端領域25aよりも後方X2で前端領域25aよりも広い後側領域25bと、を有する。また、平板部25は、基布70の前端縁70aに沿って一定幅で幅方向Yに延びる前側板部分30と、前側板部分30の後方X2に連続して、後方X2に向かって先細りとなる三角形形状の先細り部分34と、を備える。前端領域25aは、前側板部分30の前端の一定幅の領域であり、接着剤層29が設けられていない領域である。後側領域25bは、接着剤層29が設けられた接着部40と、接着剤層29が設けられていない第1非接着部45および第2非接着部46を備える。リベット35は、接着部40と重なる位置に設けられている。
ここで、本例のスキーシール1Iは、シール本体11および基布70を滑走面3に貼り付けたときに、プレート12の第2の突出板部71が、シール本体11の前端縁11aを粘着層とは反対側から覆う。また、突出板部26は、その前端縁12aが滑走面3当接して当該滑走面3から離間する方向に撓み、プレート12は、自己の弾性復元力によって、突出板部26の前端縁12aを滑走面3に押し付ける。
本例の本例のスキーシール1Iにおいても、スキーシール1Hと同様の作用効果を得ることができる。
(実施例6)
図14は、実施例6のスキーシールの説明図である。図14では、スキーシールの前端部分をシール層17の側から見た場合を示す。本例のスキーシール1Jは、実施例3のスキーシール1Cと対応する形状のプレート12を備えるが、シール本体11の形状がスキ
ーシール1Cと相違する。なお、本例のスキーシール1Jにおいて、スキーシール1Cと対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
プレート12は弾性を備える金属製の板部材である。プレート12は、シール本体11の前端縁19から後方X2に延びてシール本体11に固定された平板部25と、シール本体11の前端縁19から前方X1に突出する突出板部26とを備える。突出板部26は、その全体が、平板部25の前端縁から上側(粘着層18の側)に湾曲する。言い換えれば、突出板部26は平板部分27を備えておらず、その全体が湾曲板部分28である。突出板部26の前端の幅方向Yの両端部分にはアールが施されている。すなわち、突出板部26の前端の幅方向Yの両端の角部は面取りが施されている。
平板部25は、当該平板部25の前端でシール本体11の前端縁19に沿って幅方向Yに延びる前端領域25aと、前端領域25aよりも後方X2で前端領域25aよりも広い後側領域25bと、を有する。前端領域25aは、平板部25の前端でシール本体11の前端縁19に沿って第1方向Y1の端から第2方向Y2の端まで延びる。前端縁19は幅方向Yに一定幅で設けられている。後側領域25bは、プレート12とシール本体11とを固定する接着剤層29を備える。前端領域25aは接着剤層29を備えておらず、前端領域25aはシール本体11に固定されていない。
平板部25は、シール本体11の前端縁19に沿って一定幅で幅方向Yに延びる前側板部分30と、前側板部分30の後方X2に連続して、後方X2に向かって先細りとなる三角形形状の先細り部分34と、を備える。前端領域25aは、前側板部分30の前端の一定幅の領域であり、接着剤層29が設けられていない領域である。後側領域25bは、平板部25における前端領域25aの後側の全領域である。後側領域25bには接着剤層29が設けられている。後側領域25bの後端部分は、後方X2に向かって先細りとなっている。リベット35は、先細り部分34の後端部分に1つ設けられている。リベット35は、接着剤層29とともに、プレート12とシール本体11とを固定する。
ここで、後側領域25bは、接着剤層29が設けられた接着部40と、接着剤層29が設けられていない非接着部41を備える。非接着部41は、平板部25の幅方向Yの中央に位置する。非接着部41の平面形状は全体として、先細り部分34の形状に対応する三角形形状をしている。接着部40は、非接着部41を囲んでいる。本例では、接着部40は、後側領域25bにおける非接着部41の外周側の全領域に設けられている。
一方、シール本体11は、平板部25の前端領域25aと重なる長方形の前端部65と、前端部65の後端から後方X2に向かって幅方向Yの両側に広がる広がり部66と、広がり部66の後端から後方X2に延びる延設部67と、を備える。平板部25とシール本体11との積層方向を平板部25の側から見た場合に、前端部65は平板部25から露出していない。広がり部66は、第1方向Y1の端部分が後側領域25bの第1方向Y1で平板部25から露出する露出部分51となっている。また、広がり部66は、第2方向Y2の端部分が後側領域25bの第2方向Y2で平板部25から露出する露出部分51となっている。
本例では、平板部25の後側領域25bの幅方向Yの両端部分に非接着部を備えていない。しかし、シール本体11は、後側領域25bの幅方向Yの両側に平板部25と重ならない露出部分51を備える。言い換えれば、シール本体11は、後側領域25bの幅方向Yの両側に、接着剤層29によってプレート12に固定されていない部分(露出部分51)を備える。従って、本例のスキーシール1Jにおいても、スキー板2の滑走面3がコンベックス形状をしている場合に、スキーシール1Jが滑走面3から剥がれることを防止或いは抑制できる。
ここで、広がり部66は、前端部65の後端から後方X2に向かって幅方向Yの両側に広がっている。従って、広がり部66の第1方向Y1の端縁(第1方向Y1の側の露出部分51の端縁)は、後方X2に向かって平板部25から離間する方向に傾斜する。同様に、広がり部66の第2方向Y2の端縁(第2方向Y2の側の露出部分51の端縁)は、後方X2に向かって平板部25から離間する方向に傾斜する。従って、シール本体11が、平板部25の幅方向Yの両側に平板部25から露出する露出部分51を備えていても、滑走時に、平板部25から露出している露出部分51が滑走面3から剥がれることを抑制できる。
また、本例のスキーシール1Jは、実施例3のスキーシール1Cと同様の作用効果を得ることができる。
(その他の実施の形態)
なお、シール本体11(芯材15)の幅方向Yの両側の縁は、貼り付け対象のスキー板2のスキーセンター部5の平面形状に合わせてトリミングされていてもよい。すなわち、シール本体11は、前後方向Xの中央の幅が前端の幅および後端の幅に対して狭いサイドカット形状を備え、幅方向Yの両側の縁が、前後方向Xの中央に向かって内側に湾曲しているものとすることもできる。
また、プレート12は、銅製、アルミ製、或いは、ステンレス鋼製などとしてもよい。さらに、プレート12は樹脂製とすることもできる。
なお、プレート12の平板部25に設けた切欠き部33や、開口部37は省略できる。またプレート12の表面の樹脂コーティング層を省略してもよい。また、平板部25の全面に接着剤層29を設け、前端領域25aを省略してもよい。