JP6732737B2 - 水収着によりポリ(エチレンフラノエート)プレフォームを加工および可塑化する方法 - Google Patents

水収着によりポリ(エチレンフラノエート)プレフォームを加工および可塑化する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6732737B2
JP6732737B2 JP2017514506A JP2017514506A JP6732737B2 JP 6732737 B2 JP6732737 B2 JP 6732737B2 JP 2017514506 A JP2017514506 A JP 2017514506A JP 2017514506 A JP2017514506 A JP 2017514506A JP 6732737 B2 JP6732737 B2 JP 6732737B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pef
sorption
water
copolymer
preform
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017514506A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017530879A (ja
Inventor
ディー. モフィット,ロナルド
ディー. モフィット,ロナルド
クリーゲル,ロバート
ダブリュー. シュルタイス,マイケル
ダブリュー. シュルタイス,マイケル
シ,ユウ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Coca Cola Co
Original Assignee
Coca Cola Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Coca Cola Co filed Critical Coca Cola Co
Publication of JP2017530879A publication Critical patent/JP2017530879A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6732737B2 publication Critical patent/JP6732737B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C49/00Blow-moulding, i.e. blowing a preform or parison to a desired shape within a mould; Apparatus therefor
    • B29C49/0005Blow-moulding, i.e. blowing a preform or parison to a desired shape within a mould; Apparatus therefor characterised by the material
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29BPREPARATION OR PRETREATMENT OF THE MATERIAL TO BE SHAPED; MAKING GRANULES OR PREFORMS; RECOVERY OF PLASTICS OR OTHER CONSTITUENTS OF WASTE MATERIAL CONTAINING PLASTICS
    • B29B13/00Conditioning or physical treatment of the material to be shaped
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29BPREPARATION OR PRETREATMENT OF THE MATERIAL TO BE SHAPED; MAKING GRANULES OR PREFORMS; RECOVERY OF PLASTICS OR OTHER CONSTITUENTS OF WASTE MATERIAL CONTAINING PLASTICS
    • B29B13/00Conditioning or physical treatment of the material to be shaped
    • B29B13/06Conditioning or physical treatment of the material to be shaped by drying
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B65CONVEYING; PACKING; STORING; HANDLING THIN OR FILAMENTARY MATERIAL
    • B65DCONTAINERS FOR STORAGE OR TRANSPORT OF ARTICLES OR MATERIALS, e.g. BAGS, BARRELS, BOTTLES, BOXES, CANS, CARTONS, CRATES, DRUMS, JARS, TANKS, HOPPERS, FORWARDING CONTAINERS; ACCESSORIES, CLOSURES, OR FITTINGS THEREFOR; PACKAGING ELEMENTS; PACKAGES
    • B65D1/00Containers having bodies formed in one piece, e.g. by casting metallic material, by moulding plastics, by blowing vitreous material, by throwing ceramic material, by moulding pulped fibrous material, by deep-drawing operations performed on sheet material
    • B65D1/02Bottles or similar containers with necks or like restricted apertures, designed for pouring contents
    • B65D1/0207Bottles or similar containers with necks or like restricted apertures, designed for pouring contents characterised by material, e.g. composition, physical features
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29KINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASSES B29B, B29C OR B29D, RELATING TO MOULDING MATERIALS OR TO MATERIALS FOR MOULDS, REINFORCEMENTS, FILLERS OR PREFORMED PARTS, e.g. INSERTS
    • B29K2023/00Use of polyalkenes or derivatives thereof as moulding material
    • B29K2023/04Polymers of ethylene
    • B29K2023/06PE, i.e. polyethylene
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29KINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASSES B29B, B29C OR B29D, RELATING TO MOULDING MATERIALS OR TO MATERIALS FOR MOULDS, REINFORCEMENTS, FILLERS OR PREFORMED PARTS, e.g. INSERTS
    • B29K2067/00Use of polyesters or derivatives thereof, as moulding material
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29LINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASS B29C, RELATING TO PARTICULAR ARTICLES
    • B29L2031/00Other particular articles
    • B29L2031/712Containers; Packaging elements or accessories, Packages

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2014年9月16日出願の米国仮特許出願第62/051,165号の優先権の利益を主張し、その特許出願は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
開示の分野
本開示は、概して、特に炭酸飲料用のポリマー系パッケージを作製するためにポリ(エチレンフラノエート)を使用する方法に関する。
開示の背景
ポリ(エチレン−2,5−フランジカルボキシレート)とも称されるポリ(エチレンフラノエート)(PEF)ポリエステルは、バイオ系源からPEFを合成できることが主な理由で、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)の代替の可能性があるものとして近年関心が高まってきている。一般に、PEFとPETとの物理的化学的挙動差は、従来のPET系用途でPEFを大規模に使用するうえでかなりの課題となっている。たとえば、標準的な商用グレードのPETと比較して、ポリ(エチレンフラノエート)(PEF)ポリエステルは、多くの場合、より低い結晶化度を有し、より遅い速度で結晶化し、かつ絡合いの程度がより低い。
ポリエステルを炭酸ソフトドリンク(CSD)などの飲料のパッケージングに使用する場合、PETをPEFに置き換えるのは特に困難であった。達成困難な目標の1つは、従来のPETのものと比較して同程度の性質、さらには優れた性質、たとえば、バリヤー性、熱的性質、および機械的性質を有することにより商業的に利用可能なPEFボトルまたは容器を提供することであった。しかしながら、以上に述べたこれらのポリエステルの挙動差は、プレフォームの設計および作製において、さらには商業的に利用可能なPEFボトルの製造時のプレフォームの延伸ブロー成形加工において、克服しなければならない加工上の重要な課題を提示する。
特にPETの有望な代替としてPEFの使用を増加させるためのロードマップを作成するために、PEFおよびポリ(エチレンフラノエート)コポリマー(PEFコポリマー)とPETとの間の基本的材料および工学的側面の差を調べることに関心が払われてきている。特に、水収着の性質および可塑化に影響を及ぼす他の因子のPEF(およびコポリマー)とPETとの間の熱力学的および速度論的な差をよりよく理解することが有用であろう。材料固有の加工パラメーターに基づいて、少なくとも部分的にまたは実質的にポリ(エチレンフラノエート)(PEF)ポリエステルから作製されるプレフォームに対して、プレフォーム設計パラメーターを開発することも望ましいであろう。
PEF(菱形)およびPET(丸)における35℃での水の初期平衡水収着値を示す。黒印データ点は自動VTIシステムの測定値を表し、一方、白印点は石英スプリング(QS)装置の測定値を表す。 35℃での第1の収着サイクル時のPEF(菱形)およびPET(丸)における35℃での水の平衡収着値を示す。黒印データ点は自動VTIシステムの測定値を表し、一方、単位活性での白印点は、液体の水(LW)で測定された重量測定収着データを表す。 35℃での第1の収着サイクル時のPEF(菱形)およびPET(丸)における35℃での水の平衡収着値を示す。黒印データ点は自動VTIシステムの測定値を表し、一方、単位活性での白印点は、液体の水(LW)で測定された重量測定収着データを表す。 35℃でのPEF(菱形)およびPET(丸)における35℃での水の相互作用パラメーターを示す。黒印データ点は自動VTIシステムの測定値を表し、一方、白印点は、液体の水(LW)で測定された重量測定収着データを表す。ラインは、式4によるモデルの当てはめを表す。
Figure 0006732737

が0を超えたときにクラスター化/可塑化の開始が実現されることを示す。
自動VTI収着システムを用いて記録されたPEFの35℃での収着ヒステリシスを示す。黒丸および白丸は、それぞれ初期収着および脱着サイクルを表し、一方、黒三角および白三角は、それぞれ第2の収着および脱着サイクルを表す。ラインは、見やすくするために引かれたものであり、モデルの当てはめを表すものではない。 自動VTI収着システムを用いて記録されたPETにおける35℃での収着ヒステリシスを示す。黒丸および白丸は、それぞれ初期収着および脱着サイクルを表し、一方、黒三角および白三角は、それぞれ第2の収着および脱着サイクルを表す。ラインは、見やすくするために引かれたものであり、モデルの当てはめを表すものではない。 アモルファスPEF(黒菱形)およびアモルファスPET(白丸)における0.2の活性での水収着の片対数ファントホッフプロットを示す。ラインは、式9によるファントホッフ表現を表す。 石英スプリングシステムを用いて0〜0.4の活性で収着時に測定されたPEF(菱形)およびPET(丸)における35℃での水取込みデータを示す。データは、式11による対応するフィックの当てはめを用いて無次元時間に対してプロットされている。それぞれのDAvg値は追加情報に提供されている。 自動VTI装置によるPEFにおける35℃での水の収着/脱着データを示す。(a)および(b)は両方とも、PEFの相補的な速度論的平衡収着データを含む。この平衡収着データは、参照文献[15]の図6および7にまとめられている。 0〜0.1の活性(a)および0.1〜0.2の活性(b)で収着時に自動VTIシステムにより測定された35℃での水取込みデータを示す。破線は、式11によるフィックの当てはめを表し、一方、実線は、式17によるBH−Expの当てはめを表す。モデルパラメーターは次の通りである。(a)フィック(DAvg=1.55×10−9cm/s)、BH−Exp(DAvg=1.83×10−9cm/s、Φ=1、τ=使用せず、τ=1820s)、および(b)フィック(DAvg=2.09×10−9cm/s)、BH−Exp(DAvg=2.14×10−9cm/s、Φ=1、τ=使用せず、τ=214s)。 VTIシステムにより測定されたPEFにおける35℃での水の図10aに基づく速度論的収着データを示す。ラインは、収着(実線)および後続の脱着(破線)に対応する式17によるモデルの当てはめを表し、一方、実験データは灰色で表されている。収着間隔はそれぞれ各グラフに表示されている。 VTIシステムにより測定されたPETにおける35℃での水の図10bに基づく速度論的収着データを示す。ラインは、収着(実線)および後続の脱着(破線)に対応する式17によるモデルの当てはめを表し、一方、実験データは灰色で表されている。収着間隔はそれぞれ各グラフに表示されている。 VTIシステムにより測定されたPEFにおける35℃での水の式17によるDAvg値を示す。収着値(黒丸)および後続の脱着値(白丸)は、それぞれの収着間隔の中点活性でプロットされており、図12のプロット(a)〜(j)のデータへのモデルの当てはめと相関する。 VTIシステムにより測定されたPETにおける35℃での水の式17によるDAvg値を示す。収着値(黒丸)および後続の脱着値(白丸)は、それぞれの収着間隔の中点活性でプロットされており、図13のプロット(a)〜(j)のデータへのモデルの当てはめと相関する。 PEF(菱形)およびPET(丸)における35℃での水のVTIシステムにより測定された収着および脱着の平均拡散係数(D(s+d)/s)を示す。 PEF(菱形)およびPET(丸)における35℃での平衡水濃度に対して図16による拡散係数を示す。ラインは、式19によるモデルの当てはめを反映し、それぞれのモデルパラメーターは本文に含まれている。 収着(a)および脱着(b)に関してVTIシステムにより測定されたPEF(黒菱形)およびPET(白丸)における35℃での水の式17によるΦのプロットを示す。 収着(黒印)および脱着(白印)に関してVTIシステムにより測定されたPEF(菱形)およびPET(丸)における35℃での水の式17によるτのプロットを示す。τの値は、図18のΦ<1の値に対してのみ提供されている。 収着(黒印)および脱着(白印)に関してVTIシステムにより測定されたPEF(菱形)およびPET(丸)における35℃での水の式17によるτのプロットを示す。τが装置パラメーターであることを想起されたい。これはポリマーの固有の性質を反映するものではない。 PEFにおける35℃での水の拡散係数を示す。第1の収着サイクル(白菱形)および第2の収着サイクル(白丸)のデータはD(s+d)/2の値を表し、一方、黒丸は、0〜1の活性で収着時に測定されたDAvgを表す。値は、それらのそれぞれの活性間隔の中点でプロットされている。 PETにおける35℃での水の拡散係数を示す。第1の収着サイクル(白菱形)および第2の収着サイクル(白丸)のデータはD(s+d)/2の値を表し、一方、黒丸は、0〜1の活性で収着時に測定されたDAvgを表す。値は、それらのそれぞれの活性間隔の中点でプロットされている。 PEF(a)およびPET(b)における35℃での水の0〜1の活性での収着時の速度論的収着データを示す。ラインは、式11によるフィックのモデルの当てはめを表し、PEFおよびPETの対応するDAvg値は、それぞれ図21および22にプロットされている。(a)および(b)は両方とも、4つの個別の収着実験の規格化データを反映している。 0.1〜0.2の活性で収着時に測定されたPEF(菱形)およびPET(丸)の温度依存性拡散係数を示す。ラインは、式20によるモデルの当てはめを反映している。 自動VTIシステム(黒印点)および手動石英スプリングシステム(QS、白印点)により35℃で測定されたPEF(菱形)およびPET(丸)における水のDAvg値を示す。 VTI装置により測定されたPEF(a)およびPET(b)における35℃での水の拡散係数データを示す(本開示の速度論的収着の部(第2部)の図22および23から抜粋した[1])。実線は、PEFではD=2.6×10−9cm/sおよびPETではD=1.5×10−8cm/sを用いた式S3(F≒0)による最適当てはめを表す。破線は0.6の活性を表す。 Tg(ガラス転移温度)対時間を示す。このグラフに第1および第2の加熱サイクルが示され、表AおよびBにまとめられている。第1の加熱は、より多くの水がプレフォームに吸収されるにつれてガラス転移温度のより大きい低下が観測されることを示すため、コンディショニング(または「プレコンディショニング」)プロトコルは可塑化効果を有することが示唆される。サンプルが加熱されるにつれて水が加熱により系から除去され、融解時に熱および加工の履歴が消去される。したがって、第1の加熱はポリマーの性質および加工の履歴を示し、一方、第2の加熱はポリマーの性質のみを示す。そのため、第1の加熱後、ポリマーは「白紙状態」に「リセット」され、コンディショニングにかかわらずすべての性質が同一になる。この特徴から、コンディショニング効果は完全に可逆的でありかつ水に起因することが示唆される。 Tc(結晶化温度)対時間を示す。結晶化温度は、どのように鎖の組合せが移動して低エネルギー格子への結晶化を可能にするコンフォメーションをとりうるのかを示す指標となる。水が吸収されるにつれてガラス転移温度の低下が見られるため、鎖移動性はコンディショニング時間の関数として増加することが示唆される。以上のときと同様に可逆性も実証される。断面は主にアモルファス内層に当接する2層の半結晶性外層を含むサンドイッチ型構造を呈したが、これらの実験でプレフォームから抽出されたサンプルはプレフォームを横切って採取した。サンプルが両方の区別された層を含んでいたため、表に提示されたデータは「平滑化」効果を含む。全体的な結論は定性的には同一であるが、得られたデータはサンプルがどのように抽出されたかの関数であろう。 ΔHc(結晶化エンタルピー)対時間を示す。結晶化エンタルピーは結晶化の程度を示す指標となる。結晶化エンタルピーがコンディショニング時間と共に増加することがグラフから分かるため、より大きい結晶化度が達成されることが示唆される。 Tm(融解温度)対時間を示す。以上の図に提供されたデータでは変化が観測されたにもかかわらず融点は変化しないことから、いずれの結晶化も同一の結晶タイプおよび品質をもたらすことが示唆される。 ΔHm(融解エンタルピー)対時間を示す。融解エンタルピーも結晶化の程度の指標となる。融解エンタルピーから結晶化エンタルピーを減算すると冷結晶化前に系内に存在していた結晶化量が示唆される。 ΔHm(融解エンタルピー)−ΔHc(結晶化エンタルピー)対時間を示す。このプロットは、時間の関数として80℃で起こった結晶化量の差を示す。この差から、水を用いると80℃でPEFが有意に低温結晶化することが示される。水を用いない対照サンプルはこうした挙動をなんら示さない。 Tg(結晶化温度)対ΔHm(融解エンタルピー)を示す。融解エンタルピーは結晶化の程度の指標となり、このプロットは、どのように鎖の組合せが移動して低エネルギー格子への結晶化を可能にするコンフォメーションをとりうるのかを示す指標である結晶化温度がどのように融解エンタルピーと共に変化するかを第1の加熱および第2の加熱に対して示す。 プレフォームの延伸比に及ぼす湿分効果を示す。
発明の開示
本開示は、特に、炭酸ソフトドリンク用のボトルをはじめとするボトルおよび容器の作製にプレフォームが有益に使用されうるように、ポリ(エチレンフラノエート)(PEF)およびポリ(エチレンフラノエート)コポリマー(PEFコポリマー)のポリエステルプレフォームの加工ウィンドウを拡張する方法を提供する。たとえば、PEFおよびPEFコポリマーのプレフォームの加工ウィンドウの拡張は、PEFおよびPEFコポリマーのプレフォームを周囲温度またはより高い温度の水(または高湿度の空気)で可塑化することにより行うことが可能である。本開示の一態様では、改質(可塑化)は、プレフォームに射出成形する前のPEFポリマーではなく、プレフォーム自体で行われる。
可塑化は、PEFアモルファス相の移動性の増加に及ぼす水の効果により記述可能である。本開示では、熱(温度)と組み合わせて湿分を用いてPEF材料をプレコンディショニングするとPEF材料の延伸ブロー成形加工範囲が広がることを発見した。したがって、「コンディショニング」または「プレコンディショニング」は可塑化および得られる結晶構造の両方に及ぼす効果を包含しうるため、本明細書で用いられる場合、「コンディショニング」または「プレコンディショニング」などの用語は、PEFアモルファス相の移動性に及ぼす湿分および熱の組合せ効果と水の効果による単なる可塑化とを識別するために用いられる。
理論により拘束しようとするものではないが、プレフォームスキンの外側と対比して内側で観測されるものとの間に差があり、これは経時的な湿分の効果に起因するものと思われる。その結果、熱(温度)と組み合わせて湿分を用いてPEF材料をプレコンディショニングすることに関して、改善された性能をもたらす最適状態である加工「スイートスポット」が存在することを発見した。たとえば、過度の湿分および温度は過度の結晶化をもたらす可能性がある。本開示によれば、好ましいモルフォロジー、サイズ、および結晶化度の分布を達成するうえで経時的に湿分の最適範囲が存在しうる。可塑化のみとプレコンディショニング(結晶化を伴う可塑化)との識別を確立することは、本出願で概説された方法と冷水収着のみを用いた本出願人の方法とを識別するうえで有益でありうる。
本開示はまた、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)と対比してポリ(エチレンフラノエート)(PEF)の水収着性の比較を提供し、水収着によるPEFの新しい可塑化方法を実証する。本開示は、水収着の熱力学、すなわち「平衡収着」に関する第1部と、水収着の速度論、すなわち「速度論的収着」に関する第2部(追加情報を含む)と、さまざまな周囲水処理時間または熱水処理時間でのPEFおよびPEFコポリマーのプレフォームの熱分析ならびにこの分析を用いたPEF固有の加工パラメーターの提供に関する第3部との3つの節で提供される。以下の詳細な説明は例示的かつ解説的なものに過ぎず、限定されるものではないことを理解すべきである。
その他の態様は、部分的には以下の説明に示され、部分的にはその説明から明らかであるか、または以下に記載の態様を実施することにより分かるであろう。以下に記載の利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘された要素および組合せにより理解および達成されるであろう。以下の詳細な説明は例示的かつ解説的なものに過ぎず、限定されるものではないことを理解すべきである。
以下の説明には、実施形態の十分な理解を提供するために多くの具体的な詳細が与えられている。実施形態は、具体的な詳細の1つ以上を用いることなくまたは他の方法、成分、材料などを用いて実施可能である。他の場合、周知の構造、材料、または操作は、実施形態の態様が曖昧にならないように詳細に示されても説明されてもいない。
本明細書全体を通して「一実施形態」または1つもしくは複数の「実施形態」への言及は、実施形態との関連で記載された特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して「一実施形態では」または「実施形態では」という語句がさまざまな箇所に現われても、必ずしもすべてが同一の実施形態に言及しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は1つ以上の実施形態で任意の好適な方法で組み合わせうる。
第1部.平衡収着
概要
アモルファスポリ(エチレンフラノエート)(PEF)およびアモルファスポリ(エチレンテレフタレート)(PET)の平衡水収着性を全水分活性範囲にわたり35℃で研究した。PEFは、PETの非極性フェニル環をPEFの極性フラン環で置き換えることにより、PETと比較して全濃度範囲にわたり平均で約1.8倍に大幅に増加した平衡水収着容量を呈する。両ポリエステルは、約0.6の活性まで二元収着を呈し、その後、可塑化の開始により両ポリエステルとも濃度対活性の顕著な上昇を生じる。3つの独立した収着測定技術間で優れた一致が観測されたことにより、報告データの一貫性チェックが提供された。15、25、35、および45℃で行われた収着測定は、両ポリエステルの水収着の有効エンタルピーの推定を可能にした。これは純水の凝縮エンタルピーに類似していた。本開示は、これらの2つの重要なポリエステルの収着性および輸送性に及ぼす構造の重要性を実証する。
1.緒言
液体の水および高活性の水蒸気との接触を含むバリヤー用途では、高分子材料の水の収着および輸送の挙動を理解することが重要でありうる。湿分は、主にマトリックスの可塑化に起因して、かかるポリマーの機械的性質、熱的性質、およびバリヤー性にかなり有害な影響を及ぼしうる[1〜4]。最近の進歩により、石油系PETと比較して性能の向上を示す新しい生物源ポリエステルであるポリ(エチレンフラノエート)(PEF)の費用効果的な製造が可能になってきている[5]。現在、PETと比較したPEFの水収着性に関するデータは文献に存在しないが、PEFを全世界のポリエステル市場に参入できるようにする前に、これらの性質を詳細に理解することが必要である。
PEFの基本的性質に関するこれまでの研究では、特に、実験室スケールの合成ならびに機械的性質、熱的性質、および結晶化性の特徴付けに重点が置かれてきた[6〜10]。最近の研究では、環のタイプおよび接続性ならびに後続の環フリップ機構の相対的容易性の差から生じるセグメント移動性の差に関連して、PETと比較してPEFの性能の向上が調べられた[11]。その他の研究では、種々の温度でのPEFの基本的な酸素の収着性および輸送性の理解に重点が置かれてきた。この場合も、PETと比較して有意に低減されたPEFの酸素透過性は、セグメント移動性の差に関連付けられた[12]。ポリエステルの水収着は、酸素収着よりもかなり複雑である。なぜなら、水の方が凝縮性が高く、ポリマーマトリックスとのより大きい相互作用を示すからである。その結果、水は、PETマトリックスを可塑化することによりガラス転移温度の低下をもたらすことが知られている[13]。
本開示は、3つの異なる重量測定技術によりアモルファスのPEFおよびPETにおける35℃での平衡水収着性の詳細な研究を提供し、一方、第2部では相補的な速度論的収着データが提供される[14]。PETと比較して、PEFは、全水分活性範囲にわたり平均で1.8倍の水収着容量を呈する。PEFの水取込みの増加は、PETの非極性フェニル環をPEFの極性フラン環で置き換えたことの現れであり、部分的にはPETと比較してPEFの方が自由体積が大きいことの現れでもある[11]。ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)への水の溶解性に関して関連する観測がRuedaら[15、16]によりなされ、それぞれの自由体積の差に基づいてPETと比較してPENの水取込みの増加が説明された。
本開示の両ポリエステルは、約0.6の活性まで等温線に凹部が現れ、その後、高い水分活性で識別可能な上昇が起こるいわゆる「二元収着」を呈した。両ポリエステルの識別可能な収着ヒステリシスにより、高い活性で誘導されるモルフォロジー変化が示唆される。これらのヒステリシス応答は、第2部に記載の高い活性での収着時の非フィック緩和の存在と相関する[14]。3つの独立した方法のすべてで全水分活性範囲にわたり収着値の優れた一致が観測されることにより、報告データの内部一貫性が例示される。さまざまな温度で行われた追加の測定により両ポリエステルの水収着エンタルピーの計算が可能になったため、これを第2部に示される拡散活性化エネルギーと組み合わせて両ポリエステルの水透過活性化エネルギー値を推定可能である[14]。本開示は、PEFの水輸送の初めての徹底的な解析をその対応する速度論的収着と組み合わせて提示する。
2.実験
2.1 材料およびフィルム作製
ポリ(エチレンフラノエート)(PEF)およびポリ(エチレンテレフタレート)(PET)は両方とも、The Coca-Cola Companyにより提供されたものであり、本発明者らのこれまでの研究で検討した材料と同一である[11、12]。PEFおよびPETの両方の構造情報は表1に提供されている。先行研究で使用したのと同一の溶融プレス/クエンチ法を利用して収着試験用のアモルファスポリエステルフィルムを作製した[11]。すべての収着試験で脱イオン水を使用した。また、自動収着システムで利用した窒素(UHPグレード)キャリヤーガスは、Airgas(Radnor, PA)により提供されたものである。
Figure 0006732737
2.2 収着測定
両ポリエステルの重量法収着測定は、TA VTI-SA+自動蒸気収着アナライザー(TA Instruments, New Castle, DE)を用いて0〜0.95の活性で記録した。このシステムは、2つの個別のマスフローコントローラーにより制御された個別の湿潤ストリームおよび乾燥ストリームを混合することにより加湿窒素ストリームを提供する。得られた加湿ストリームは露点アナライザーを貫流し、露点アナライザーはストリームの含水率を連続測定して装置にフィードバックを行うことにより自動制御を可能にする。露点アナライザーから出た後、加湿ストリームは、高感度マイクログラム天秤(確度±0.1%)に装着されたポリマーサンプル入り石英バスケットを通過する。所与の活性で質量取込みが平衡に達したら、システムはその次のプログラムされた活性段階に自動で進む。指定の時間間隔にわたる質量取込みが閾値限界、たとえば、99分間で0.0015%の質量変化を下回った場合、平衡が実現されている。非フィック緩和から生じる水取込みの漸増が長期にわたるため、両ポリエステルとも高い活性で多くの平衡化間隔が必要であった。収着の開始前に一定質量が達成されるまで、約160ミクロンの近似厚さを有するフィルムサンプルを45℃の装置内で初期乾燥させた。インターバル収着測定は、0.95の最終値と共に0.1の増分で0〜0.9の範囲内の水分活性を用いて記録した。収着および脱着の両方のインターバル測定を全活性範囲にわたり記録し、続いて、第2のセットのインターバル収着および脱着測定を0.3、0.6、および0.95の活性で記録した。長期にわたる非フィック緩和の存在により、0.7〜0.95の収着値間の真の平衡質量取込みの達成が妨害されたが、本開示のこの部および第2部で後に示されるように、この二次効果の全体的影響は無視しうると思われる[14]。
また、マクベイン石英スプリング技術[17]を用いて0〜0.6の活性の範囲間で35℃での収着測定を手動記録した。この装置は他に記載されている[18〜20]。さまざまなサンプルのフィルム厚さ値は50〜150ミクロンの範囲内であった。この技術により測定された収着値は、自動VTIシステムにより決定された値と比較して一貫性チェックを提供する。マクベイン測定は、VTI装置で用いた代替的なインターバル収着法とは対照的に積分収着により記録した。
完全飽和(すなわち単位活性)では水が凝縮するため、自動VTI収着システムおよび手動石英スプリングシステムのいずれでも水収着データを測定できない。この問題を回避するために、脱イオン化された液体の水中に35℃で厚いポリマーサンプルを浸漬し、周期的にサンプルを取り出し、および高感度マイクログラム天秤(Mettler Toledo XP6)を用いてその質量を記録することにより、単位活性での測定を行った。秤量段階での脱着が有意にならないようにサンプルを十分に厚くした(すなわち、PEFでは約500ミクロンおよびPETでは約890ミクロン)。一定取込みが達成されるまで質量測定を記録した。対応する値は、ゼロと単位活性との間の積分収着段階を表す。標準誤差による不確実性限界の計算ができるように両ポリエステルで4つのレプリケートサンプルを試験した。最初に、乾燥サンプルでポリマーフィルムの厚さ値を測定し、35℃で液体の水に約4ヶ月間暴露した後、再び膨張の効果を定量した。この重量測定収着技術は、ゼロから単位活性までの全活性範囲を対象とすることにより収着データセットを完全なものとしうる。この技術により測定された水取込みは、単位活性での真の平衡取込みの決定を可能にし、他の収着技術を用いて得られたデータの一貫性チェックを提供する。
3.結果および考察
3.1 35℃での初期収着
ガラス状ポリマーの蒸気収着は、多くの場合、低い活性では二元収着により特徴付けられ、式1の二元モデル[21]により記述可能である。かかるデータは、透過物圧力に対する濃度で凹部を呈し、ガラス状ポリマーでの非凝縮性ガス(すなわち、酸素[12]および窒素[22])の二元収着挙動に類似している。
Figure 0006732737
式1中、pは圧力(atm)を表し、kはヘンリーの法則の溶解度係数(cmSTP/cmPoly・atm)であり、C’はラングミュア容量定数(cmSTP/cmPoly)であり、かつbはラングミュア親和性パラメーター(atm−1)である。PEF(菱形)およびPET(丸)の35℃での水収着データは、0.6の活性まで図1にプロットされており、VTIシステム(黒印点)および石英スプリングシステム(白印点)の両方により測定されたデータを反映している。式1による二元モデルの当てはめは、図1に実線によりプロットされており、対応するモデルパラメーターは表2に列挙されている。2つの独立した収着方法により測定されたデータ間の優れた一致は、報告データの一貫性チェックを提供する。二元挙動からの顕著な偏りは0.6の活性後に観測され、本明細書において後に考察する。
Figure 0006732737
図1に報告されたアモルファスPETにおける水の収着値は、アモルファスPETに対する文献中の種々の研究の結果と優れた一致を呈する[1、15、23]。半結晶性PETの水収着結果は、LasoskiおよびCobbs[24]により検証された関係式S=Sにより本アモルファスデータと比較可能である。式中、Sは溶解度を表し(式1のCまたはkに類似する)、かつXはポリマーのアモルファス分率を表す。このように行われた比較から、図1のアモルファスPETのデータは、種々の研究[25、26]の規格化半結晶性データよりもわずかに低いことが明らかである。この挙動は、半結晶性サンプル中の結晶子のごく近くを取り囲む脱緻密化剛性アモルファス部分で収着が増加する可能性があることから理論的に説明可能である[27]。
表2に報告されたアモルファスPETにおける水のラングミュア親和性パラメーター(b)値88.7atm−1は、Shigetomiら[26]により報告された半結晶性PETにおける水の値94.6atm−1とよく一致する。不透過性結晶子は、理想的には、アモルファスドメイン内での透過物とポリマー部位との熱力学的相互作用に影響を及ぼさないはずであるため、この結果は予想される[21]。しかしながら、半結晶性サンプルのkおよびC’パラメーターは、結晶化度の存在により影響を受けるであろう[21]。本開示のkの値237cmSTP/cmPoly・atm(表2)は、Fukudaら[23]によるアモルファス値285cmSTP/cmPoly・atmおよびShigetomiら[26]による規格化半結晶性値284cmSTP/cmPoly・atmと大きさが類似している。bおよびkとは対照的に、本開示のC’値は、Shigetomiら[26]により報告された値と有意に異なる。この差は、サンプル処理時の電位変動[18]、先行する熱履歴、または結晶化度の差[21]のいずれかにより説明可能である。
図1は、PETと比較してPEFにおいて水が顕著に収着されることを明らかにする。この結果は、PETと比較してPEFでより大きいkを示す表2に列挙された二元パラメーターにより解釈可能である。また、PEFの相互作用パラメーター(b)はPETの値よりも有意に大きいことから、水とポリマーマトリックスとの間のより強い相互作用が示唆される。この挙動は、特にPETの非極性フェニル環と比較してPEFのフラン環の極性を考慮すると予想される。また、両ポリエステルにおける水のb値は、酸素のそれぞれの値よりも有意に大きい[12]。これは、2つの透過物の臨界温度およびレナード・ジョーンズ力定数の大きい差に起因する[19]。kおよびb以外に、PETと比較してPEFでより大きいC’が観測された。これは、おそらく、PEFの方が自由体積分率(FFV)が大きいことに起因する[11]。
ガラス状ポリマーにおける高い活性での蒸気収着は、多くの場合、活性に対する溶解度の上昇により特徴付けられる[18、19、28〜30]。かかる等温線は、MauzeおよびStern[31]により提案された修正二元モデルまたはGuoおよびBarbari[32]により、より最近提案された統合二元モデルを用いて記述されてきた。また、両ポリマーとも35℃ではガラス状態で存在するにもかかわらず、ゴム状材料における収着のために開発された式2を介するフローリー・ハギンズ表現によりデータの満足な記述を提供可能である[33]。式2中、pは透過物圧力であり、pは飽和蒸気圧であり、Φは透過物の体積分率であり、かつχは「有効」フローリー・ハギンズ相互作用パラメーターである。Φの計算は式3により達成可能である[28]。式中、Vは35℃での水のモル体積(18.02g/molを0.9941g/cmで除算する)であり、かつCは濃度(cmSTP/cmPoly)である。
Figure 0006732737
一定の相互作用パラメーターと組み合わせた式2の使用は、透過物とポリマーとのランダム混合の理想的な場合を意味する[34〜36]。PETにおけるiso−プロパノール、エタノール、およびメタノールの収着データは、この単純化された方法により良好に記述される[18,19]。しかしながら、より複雑な収着の場合、χに対して濃度に依存する表現が必要であり、ランダム混合からの偏りを提案可能である。式4は、χの濃度依存性を取り込んだ単純なモデルを表す。式中、χ、χ、およびχは、モデルの当てはめに関連する定数である[37,38]。
χ=χ+χ(1−Φ)+χ(1−Φ (4)
両ポリエステルの水収着データは、濃度に依存する相互作用パラメーターと組み合わせた式2によるフローリー・ハギンズの当てはめと共に、図2には濃度単位(cmSTP/cmPoly)および図3にはwt%単位(gHO/gポリ)で全活性範囲にわたり提供されている。水の体積分率に対するフローリー・ハギンズ相互作用パラメーターのグラフは図4に提供されている。この場合、PEFに対する式4のモデルパラメーターは次の通りである。χ=−2273±157、χ=4623±318、およびχ=−2347±161。PETに対する対応するモデルパラメーターは、次のとおりである。χ=−3373±277、χ=6800±558、およびχ=−3424±281。図2および3の黒印点は、自動VTI収着システムにより測定されたデータを表し、白印点は、液体の水で測定されたデータを表す。
以上で述べたように、自動VTIシステムにより0.7〜0.95の活性間で測定された図2および3の黒印データ点は、高い活性で非フィック緩和が長期にわたり存在するため、真の平衡値よりもわずかに低い[14]。高い活性で真の平衡収着等温線を決定するには「かなり時間がかかるであろう」と記述したBerensも真の平衡を達成する前に同様に収着の停止を行った[39]。0.7〜0.95の活性間で図2および3に報告された平衡値と真の平衡値との差は、非フィック緩和に関連する「追加」緩和誘起取込みが少ないため、軽微である[14]。この見解のさらなる検証は、図2および3のデータ(黒印点)と単位活性かつ真の平衡で記録されたデータ(白印点)との優れた一致により提供される。
高い活性でPEFおよびPETの両方で水取込みデータが濃度の上昇を呈し、かつ濃度に依存するχ相互作用パラメーターと組み合わせたフローリー・ハギンズモデルがデータを正確に記述することは、図2から明らかである。また、PETにおける高い活性での識別可能な収着の上昇は、アモルファスPETサンプル[23]および半結晶性PETサンプル[25、40]の両方で報告されているが、不透過性結晶子には膨張に対してマトリックスを安定化させる作用が存在するため、半結晶性サンプルにおける上昇の程度は本開示の場合ほど有意でない。その他の研究では、アモルファスPET[1、13]および半結晶性PET[41]の両方で線形収着等温線が報告されており、これは本開示で観測された傾向とは対照的である。液体の水で測定されたPETの水収着値(図3の白丸)は、類似の測定方法を用いてPark[42]により報告された規格化半結晶性値とよく一致する。0.6超の活性での二元平衡挙動からの偏りは、両ポリエステルで図4および5で観測された第2部の非フィック速度論的緩和の開始と相関する[14]。
PETと同様に、PEFも図2および3に見られるように高い活性で濃度の識別可能な上昇を呈する。以上で述べたように、PETの非極性フェニル環と比較してフラン環の極性が増加しているため、PETと比較してPEFへの水の溶解性は高いことが予想される。両ポリエステルでの上昇は、水クラスター化、可塑化、またはその両方のいずれかが存在することを意味する。これについては次の節で考察する。
図4にプロットされたポリマー−溶媒相互作用パラメーターは、両ポリエステルの濃度依存性を識別可能であることを明らかにする。これまでの研究[34〜36]との関連で、この依存性は、フローリー・ハギンズ理論により規定される水/ポリエステル系におけるランダム混合からの逸脱(すなわちクラスター化)を明らかにしうる。溶解度パラメーター(δ)フレームワークを用いて図4の相互作用パラメーターの検証を行うことが可能であり、その場合、式5に示される関係が利用される[43]。
Figure 0006732737
式5中、下付き文字は透過物(1)およびポリマー(2)を意味し、Vは透過物のモル体積であり、Rは普遍気体定数であり、かつTはケルビン単位の温度である。このフレームワークを用いると、ポリマーおよび溶媒の独立した性質のみに基づいてポリマー−溶媒相互作用パラメーターの値を予測可能である。PETおよびPEFの溶解度パラメーターはグループ寄与法[43]により入手可能であるが、水のδの推定にはかなりの不正確さが存在する。実際上、水の挙動は局所環境により異なりうるため、式5を用いた予測はいくらか推論的になる[44]。しかしながら、水のδの類似性が予想されるため、類似の値のδを有するポリマーと比較するときは依然として式5の定性的適用性は正当化される。
van Krevelen[43]により推定されたPETの溶解度パラメーターは20.5(mJ/m1/2であり、全活性範囲にわたる図4のPETのχの平均値は3.47である。Williamsら[35]によりポリ(メチルアクリレート)(PMA)の平均χ値は3.69と報告された。この値は本発明者らのPETのχ値と一致する。その理由は、PMAの溶解度パラメーター(19.9(mJ/m1/2[43])がPETで報告されたものに類似していることにある。PEFおよびポリマー全般の溶解度パラメーターの推定値は、凝集エネルギー密度の平方根から得られうる(すなわちδ≒(Ecoh1/2)[43]。PEFの凝集エネルギー密度値560J/cmおよびPETの凝集エネルギー密度値540J/cmは先行研究[12]から入手可能であり、PEFはPETと比較してわずかに大きいδ値を呈する。この傾向は、PETの値3.47よりも小さいPEFの平均χ値2.92にも実験的に反映される。したがって、PEFのχ値の方が小さいことから、水との相溶性がより高いことが示唆される。これは、PETと比較してPEFの極性が増加することを考慮すると容易に理論的に説明可能である。
3.2 クラスター化対可塑化
高い蒸気活性での二元収着またはヘンリーの法則の収着からの正の偏りは、ポリマーマトリックス内の透過物の非ランダム分布である単純膨張またはクラスター化の指標となりうる[34、45]。溶解度の上昇が同時に拡散係数の増加を伴ってセグメント移動性の増加の証拠となる場合、可塑化が示唆される。代替的に、溶解度の上昇が拡散水の有効直径の増加(すなわち、水分子が一緒になってクラスター化する)の結果として拡散係数の減少を伴う場合、クラスター化の指標となる[35]。可塑化は高い活性で透過率の増加を生じ、一方、クラスター化は活性を増加させても程度の差はあるが一定した透過率を呈するため、2つの現象を区別するために透過実験を使用することも可能である。可塑化[45〜48]およびクラスター化[28、34〜36、49〜52]の現象は両方とも、広範にわたる透過物およびポリマーで報告されてきた。
クラスター化以外に、ガラス状ポリマーにおける透過物による可塑化はかなり一般的である。多くの研究では、ポリマー膜における二酸化炭素により誘起される膨張および可塑化に重点が置かれてきた[53〜61]。なぜなら、かかる挙動は膜の分離効率を損なう可能性があるからである。いくつかの最近の研究では、種々のコンピューターモデリング技法により関連する可塑化効果が調べられてきた[62〜65]。分子動力学シミュレーションを用いて、NeyertzおよびBrownは、ポリイミド内の自由体積が二酸化炭素誘起膨張を伴って増加すると判断した[65]。さらなる研究では、パラ置換およびメタ置換の両方のポリイミド異性体を調べて、二酸化炭素収着による膨張挙動は、より大きい構造変化ではなくそれぞれのマトリックスにおける局所緩和から生じると結論した[66]。典型的には比較的高い圧力でガラス状ポリマーを可塑化する二酸化炭素[67]以外に、水および有機蒸気も凝縮性の増加およびマトリックスとの相互作用に起因して、収着ヒステリシスにより実証されるように種々のポリマーで可塑化効果を引き起こしやすい[18、45〜47、52、68]。
クラスター化または可塑化の開始は、ZimmおよびLundberg[69]により提案された解析を用いて定性的に決定可能である。これは、いわゆるクラスター積分(G11)により平衡収着等温線の形状を解釈する。式6はその方法を反映している。式中、aは透過物の活性(すなわちp/p)であり、Φは透過物の体積分率であり、かつ
Figure 0006732737

は透過物の部分モル体積を表す。
Figure 0006732737

Figure 0006732737

は、過剰の単一孤立透過物分子中のクラスター透過物分子の数を表す。したがって、このパラメーターは、高い活性では典型的にはゼロではなく、かつ低い活性ではほぼ0でありクラスター化はあまり見られない。以上に述べたように、クラスター化および可塑化の現象は両方とも、高い活性で溶解度の上昇を呈する。式6を用いれば、
Figure 0006732737

のゼロを超える値により示唆される理想からの逸脱および可塑化またはクラスター化の開始を検出することが可能である。図2の両ポリエステルの収着データへの式6の適用は、図5に提供されている。
クラスター化または可塑化のいずれかの開始が両ポリエステルとも約0.6の活性で起こることは、図5から明らかである。この方法の結果とFTIR[51]などの他の技術の結果との間に顕著な差が一部の著者により見出されているため、クラスター化の存在の明確な証拠として図5を物理的に解釈することに関して注意を喚起すべきである。PEFおよびPETの両方で拡散係数挙動対活性の解析を行うことは、クラスター化と可塑化とを識別するのに役立ちうる。PEFおよびPETが両方とも全活性間隔にわたり濃度の増加に伴って拡散係数の増加を呈することは、第2部で報告された詳細な速度論的データから明らかであり、可塑化の見解[14]と一致する。しかしながら、以上に述べたように、クラスター化および可塑化の両方が同時に起こる可能性が依然として存在する。
クラスター化の現象と可塑化の現象との間のさらなる区別は、両ポリエステルの透過率対活性依存性を調べることにより得ることが可能である[49]。この分析では測定されていないが、さまざまな研究者は、活性に依存しない透過率[41]および半結晶性PETの高い活性での透過率のわずかな増加[40、70]の両方を報告している。後者の挙動は、高い活性でアモルファス環境における可塑化の開始により生じる鎖の移動性の増加に一致する。しかしながら、不透過性結晶子の存在は、可塑化に利用可能なアモルファス部分の低減に起因して透過率の増加の大きさを抑制する。いずれにしても、拡散係数と活性との間に軽微な正の相関が他で報告されているため、アモルファスPETで可塑化により生じる透過率の増加は大きいと予想されない[14]。現在、本発明者らの知る限り、PEFの水透過率対活性に関する文献報告は存在しない。PEFにおける水の拡散係数は活性の増加に伴ってわずかに増加することから、可塑化の可能性が示唆される。しかしながら、クラスター化または可塑化のいずれかの存在または不在を検証するために、独立した透過率測定が必要である。
収着された透過物集団の全体が透過プロセスに寄与するため、透過タイムラグおよび独立した収着測定の両方で得られた溶解度係数の一致はまた、クラスター化の不在を示唆する[34]。かかる一致は多くの研究者により半結晶性PETで観測されてきたため[40、41]、PETで可塑化が起こっていることを示す証拠が確認される。
3.3 ヒステリシス
収着ヒステリシスは、透過物の収着サイクルおよび後続の脱着サイクルが重ならない場合に起こり、多種多様な透過物−材料の組合せで起こりうる[71〜73]。ヒステリシス挙動がポリマーマトリックスの膨張に関連付けられており、この場合、鎖は不可逆的に緩和して高い濃度で追加の透過物を組み込む[18、32、39、74、75]。この膨張により誘起される時間に依存する非フィック緩和を第2部で高い水蒸気活性で直接観測した([14]の図4および5を参照されたい)。
本開示のPEFおよびPETの水取込みは両方とも、収着および後続の脱着のサイクル間で識別可能なヒステリシスを呈した。この挙動は、図2の両ポリエステルの濃度対活性の上昇および高い活性での非フィック緩和の存在と相関する[14]。35℃でPEFおよびPETに対して0.95までの活性で自動VTI装置を用いて測定された初期収着/脱着データは、それぞれ図6および7に提供されており、図中、黒丸は収着を表し、白丸は後続の脱着を表す。第1サイクルの終了後にサンプルを45℃で乾燥させ、続いて、より少ないデータ点(第2の収着および脱着サイクルではそれぞれ黒三角および白三角)からなる第2の収着/脱着サイクルを行った。
収着データ(0〜0.6の活性)および脱着データ(0.95〜0の活性)の両方に対する二元モデルパラメーターは、両ポリエステルに対して表2に提供されている。ラングミュア親和性パラメーター(b)は、熱力学的ポリマー/透過物相互作用に関連し、収着プロセス時に変化することは予想されない。したがって、脱着のモデルパラメーターを計算する際、初期収着等温線から得られたb値に固定した。表2のパラメーターの検査により、両ポリエステルで脱着のkおよびC’が両方ともそれぞれの収着値と比較して大きいことは明らかである。かかる挙動は、膨張により生じるガラス状マトリックスのモルフォロジー変化を反映していると理解しうる。C’のより大きい値は、ラングミュアマイクロボイドの数および/または近似的サイズのいずれかの増加と一致し、結果として、膨張したサンプル中の自由体積の増加を表す。水収着容量の増加は、図2の濃度対活性の上昇により容易に観測される。収着および後続のヒステリシス脱着の従来の二元パラメーターを定量的に解釈することにより、ガラスは最大調整活性への暴露の前および後で異なる非平衡状態に調整されることが示唆される。結果として、脱着の二元パラメーターは近似的であると考えるべきであり、完全なものとするために表2に含まれる。
両ポリエステルの脱着トラジェクトリーおよびヒステリシス度は、他の研究においてアセトニトリル/セルロースアセテート系で観測されるように[32、74]、初期収着時に得られた最大値に直接関連する。水/ポリエステル系では二元挙動と可塑化挙動との間の移行を特徴付ける約0.6の活性までの初期収着でヒステリシスが感知できるほど起こるとは予想されない(図5を参照されたい)。第2部の図4および5で観測されるように、約0.6の活性までの単純フィック拡散の存在によりこの見解が確認される[14]。
両ポリエステルを45℃で乾燥させた後、より大きい収着インターバルを用いて第2の収着/脱着サイクルを行うことによりモルフォロジー変化の不変性を調べた。0.3および0.6の活性での両ポリエステルにおける再収着値(図6および7の黒三角)は、初期収着等温線(黒丸)と比較して収着容量の増加を呈する。これは、バージンサンプルと比較して調整サンプルの増加した自由体積への収着と一致している。また、こうした結果から、自由体積潰れの時間スケールがこの実験の収着実験よりも遅いことが示唆されるため、全活性範囲にわたり脱着時に主にフィック速度論が観測されることが確認される([14]の図4および5を参照されたい)。再収着データ点は、初期脱着等温線(白丸)と比較してわずかに低減される。かかる挙動から、高い活性でガラス状マトリックスの膨張時に誘起されるモルフォロジー変化は半永久的なものに過ぎず、脱膨張が実際に起こっていることが示唆される。両ポリエステルの0.95の活性での再収着値(黒三角)は、約0.95の活性での初期収着値(黒丸)に等しく、かつ両サイクルの後続の脱着値(白丸、白三角)は、十分に類似している。これらの結果から、脱着トラジェクトリーは達成された最大収着レベルに依存するという見解が確認される。本開示(図6および7)で観測されたものに類似したヒステリシス挙動は、多くのポリマー/透過物系で報告されてきた[39、45〜47、68]。
VisserおよびWessling[76]による最近の研究では、Matrimidポリイミドで収着誘起緩和の開始を決定するうえで体積膨張の重要性が例示されている。著者らは、任意のガスさらにはクリプトンなどの比較的不活性なガスが閾値体積膨張を超えたときにどのように非フィック収着緩和を引き起こしうるかを示す。サンプルが等方性媒質であると仮定してサンプル厚さ(l)の変化に基づいて式7を用いることにより、ポリマーサンプルの膨張(体積変化、ΔV)を推定可能である[74、77]。式7中、Vおよびlは、それぞれ純粋乾燥ポリマーの体積および厚さを表す。
Figure 0006732737
式7による膨張データの計算は、液体の水での収着試験に基づいて厚いサンプルを用いるときのみ可能であった。厚さ値は、収着試験の前に乾燥サンプルで測定し、かつ収着平衡が達成された後に再び測定した。PEFおよびPETの両方の厚さ変化および体積変化のパーセント値は、単位活性での水の最終濃度と共に表3に提供されている。PEFおよびPETの両方で少なくとも4つの異なるサンプルを測定した。また、不確実性限界は標準誤差に由来する。VisserおよびWessling[76]との関連では、Matrimidにおける種々のガスの非フィック緩和の開始に関して約1.2%の閾値膨張が見出された。この閾値は異なるポリマーでは異なるであろうが、表3の単位活性でのPEFおよびPETの膨張値は、間違いなくそれぞれの未知の閾値限界を超える。表3に報告された膨張データはまた、式8により
Figure 0006732737

で表された両ポリエステル中の水の部分モル体積の計算を可能にする[57]。
Figure 0006732737
Figure 0006732737

PEFおよびPETで得られた
Figure 0006732737

値は、それぞれ27.5±5.6cm/molおよび26.9±6.3cm/molであり、両方とも純粋な液体の水のモル体積(約18cm/mol)よりも大きい。かかる外見上の異常挙動は、次の3つの可能性により説明可能である。1)ポリマーマトリックスにおける高い活性での可塑化により実際上水分子により占有されていない追加の自由体積が形成され、その結果、系に添加された水の真の量と比較してポリマー/水「混合物」に不均衡な体積変化を生じるか、2)厚さ測定が
Figure 0006732737

の真の値を推定するのに十分な程度に正確でないか、または3)両ポリエステルを等方性媒質であるとする仮定が不正確である。両ポリエステルの
Figure 0006732737

値で報告された不確実性限界が大きいため、おそらくオプション2が現実を反映していると考えられる。したがって、膨張測定を行うのにより適したエリプソメトリーまたは他の技術を用いて、両ポリエステルに対して表3に報告されたデータを検証すべきである。
3.4 収着エンタルピー
35℃での平衡収着測定の他に、両ポリエステルにおいて0.2の活性かつ15、25、および45℃で水の取込み値も測定した。0.1〜0.2の活性間で速度論的取込みデータを第2部で考察する[14]。第2部ではまた、PEFおよびPETにおける水に対して拡散の活性化エネルギーおよび透過の活性化エネルギーの推定値を報告する。適用される二元挙動を保証するためにかつ高い活性で図2で観測される濃度の上昇を回避するために、バージンフィルムを用いて0.2の活性で測定を記録した。式9のファントホッフ関係式は、平衡取込みデータの温度依存性を記述可能である。式中、ΔHは収着の有効エンタルピー(kJ/mol)であり、Rは普遍気体定数であり、かつSは前指数因子である。0.2の活性かつ15、25、35、および45℃での取込みデータは、PEF(菱形)およびPET(丸)に対して図8にプロットされており、ラインは式9によるそれぞれのモデルの当てはめを表す。図8に示されるΔH値の不確実性限界は、モデルの当てはめの標準誤差に由来する。
Figure 0006732737
図8のデータは、両ポリエステルで優れた線形性を呈し、純水の凝縮エンタルピーに大きさがかなり類似したΔHの推定値を生成する[78]。かかる挙動は驚くべきことではなく、収着の全エンタルピーが凝縮エンタルピーからの発熱寄与により支配されることを示唆する[36]。したがって、混合エンタルピーからの残留寄与は小さいために理論的に説明される。文献からのPETにおける水のΔH値は乏しくかつバラツキがあり[26、42、79]、一方、PEFの追加のデータは文献に存在しない。ΔHの値はヒルデブランド式から推定可能であるが[80]、非理想挙動の可能性があるため、水の溶解度パラメーターを利用する予測は推奨されない[44]。
4.まとめ
本開示では、第2部で報告された対応する速度論的取込みデータと共に、全水分活性範囲にわたり35℃でアモルファスPEFおよびPETの平衡水取込み性を調べる[14]。次の活性範囲および技術を用いて、すなわち、1)0〜0.6の活性およびマクベイン石英スプリング技術を用いて、2)0〜0.95の活性および自動TA VTI-SA+収着装置を用いて、および3)マイクログラム天秤を用いて水取込みを決定しつつ単位活性で液体の水に浸漬されたサンプルを用いて、水収着値を測定した。3つの独立した方法のすべてで測定された取込みデータの優れた一致により一貫性チェックを提供した。
PEFは、全活性範囲にわたりPETと比較してより高い平衡水取込みを呈する。理論により拘束されるものではないが、この挙動は、水と極性フラン環との親和性がPETの非極性フェニル環との親和性よりも高いことに起因する。PETと比較してPEFのフローリー・ハギンズ相互作用パラメーター(χ)の平均値が低いことからも、水とPEFとの相溶度が高いことが示唆される。低い水分活性で二元収着挙動を観測した。また、ジム・ランドバーク型解析により決定されるように両ポリエステルとも約0.6の活性で水による可塑化の開始が始まった[69]。高い活性での透過物による可塑化の検証は、他に提供されており[14]、両ポリマーで拡散係数と活性増加との間の正の相関により実証される。可塑化挙動またはクラスター化挙動のいずれかとの間のさらなる検証を行うには、これらの研究で行わなかった高い活性での透過実験が必要であろう。本開示の速度論的取込みアナロジーに関するさらなる相補的データおよび関連する考察は、本開示の第2部に提供される[14]。
本節(第1部)は、第2部と組み合わせて[14]、PETと比較してPEFにおける水収着の初めての詳細な報告を提示する。かかる情報は、さまざまな市場でPEFの大規模な商品化を推進するうえで必要である。さらなる節では、乾燥サンプルおよび水和サンプルで得られる熱的および機械的な性質ならびにこうした情報を特に炭酸飲料用のポリ(エチレンフラノエート)パッケージの作製にどのように使用するかに重点を置いて、両ポリエステルの水取込み性に関する追加データを考察する。
参照文献
1. Langevin D, Grenet J, and Saiter JM. Moisture Sorption in PET: Influence on the Thermokinetic Parameters. European Polymer Journal 1994; 30(3):339-345.
2. Lahokallio S, Saarinen K, and Frisk L. Changes in water absorption and modulus of elasticity of flexible printed circuit board materials in high humidity testing. Microelectronics and Packaging Conference (EMPC), 2011 18th European, 2011. pp. 1-6.
3. Mali S, Sakanaka LS, Yamashita F, and Grossmann MVE. Water sorption and mechanical properties of cassava starch films and their relation to plasticizing effect. Carbohydrate Polymers 2005; 60(3):283-289.
4. Auras R, Harte B, and Selke S. Effect of Water on the Oxygen Barrier Properties of Poly(ethylene terephthalate) and Polylactide Films. Journal of Applied Polymer Science 2004;92: 1790-1803.
5. Avantium - PEF bottles. http://avantium.com/yxy/products-applications/fdca/PEF-bottles.html.
6. Gruter G-JM, Sipos L, and Adrianus Dam M. Accelerating research into bio-based FDCA-polyesters by using small scale parallel film reactors. Combinatorial Chemistry & High Throughput Screening 2012; 15(2): 180-188.
7. Jong Ed, Dam MA, Sipos L, and Gruter GJM. Furandicarboxylic Acid (FDCA), A Versatile Building Block for a Very Interesting Class of Polyesters. Biobased Monomers, Polymers, and Materials, vol. 105: American Chemical Society, 2012. pp. 1-13.
8. Knoop RJI, Vogelzang W, van Haveren J, and van Es DS. High molecular weight poly(ethylene-2,5-furanoate); key aspects in synthesis and mechanical property determination. Journal of Polymer Science Part A: Polymer Chemistry 2013; 51(19):4191-4199.
9. Papageorgiou GZ, Tsanaktsis V, and Bikiaris DN. Synthesis of poly(ethylene furandicarboxylate) polyester using monomers derived from renewable resources: thermal behavior comparison with PET and PEN. Physical Chemistry Chemical Physics 2014.
10. Jiang M, Liu Q, Zhang Q, Ye C, and Zhou G. A series of furan-aromatic polyesters synthesized via direct esterification method based on renewable resources. Journal of Polymer Science Part A: Polymer Chemistry 2012;50(5): 1026-1036.
11. Burgess SK, Leisen JE, Kraftschik BE, Mubarak CR, Kriegel RM, and Koros WJ. Chain Mobility, Thermal, and Mechanical Properties of Poly(ethylene furanoate) Compared to Poly(ethylene terephthalate). Macromolecules 2014;47(4): 1383- 1391.
12. Burgess SK, Karvan O, Johnson JR, Kriegel RM, and Koros WJ. Oxygen Sorption and Transport in Amorphous Poly(ethylene furanoate). Polymer 2014;Submitted.
13. Jabarin SA and Lofgren EA. Effects of water absorption on physical properties and degree of molecular orientation of poly (ethylene terephthalate). Polymer Engineering & Science 1986; 26(9):620-625.
14. Burgess SK, Mikkilineni DS, Yu D, Kim DJ, Mubarak CR, Kriegel RM, and Koros WJ. Water Sorption in Poly(ethylene furanoate) Compared to Poly(ethylene terephthalate). Part II: Kinetic Sorption. Polymer 2014;Submitted.
15. Rueda DR and Varkalis A. Water Sorption/Desorption Kinetics in Poly(Ethylene Naphthalene-2,6-Dicarboxylate) and Poly(Ethylene Terephthalate). Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics 1995;33:2263-2268.
16. Rueda DR, Viksne A, Kajaks J, Balta-Calleja FJ, and Zachmann HG. Properties of arylpolyesters with reference to water content. Macromolecular Symposia 1995; 94(1):259-268.
17. McBain JW and Bakr AM. A NEW SORPTION BALANCE 1. Journal of the American Chemical Society 1926; 48(3):690-695.
18. Chandra P and Koros WJ. Sorption and transport of methanol in poly(ethylene terephthalate). Polymer 2009;50:236-244.
19. Chandra P and Koros WJ. Sorption of lower alcohols in poly(ethylene terephthalate). Polymer 2009;50:4241-4249.
20. Lee JS, Adams RT, Madden W, and Koros WJ. Toluene and n-heptane sorption in MatrimidRasymmetric hollow fiber membranes. Polymer 2009; 50(25):6049-6056.
21. Michaels AS, Vieth WR, and Barrie JA. Solution of Gases in Polyethylene Terephthalate. Journal of Applied Physics 1963;34(1): 1-12.
22. Koros WJ, Chan AH, and Paul DR Sorption and transport of various gases in polycarbonate. Journal of Membrane Science 1977;2(0): 165-190.
23. Fukuda M, Kawai H, Yagi N, Kimura O, and Ohta T. FTi.r. study on the nature of water sorbed in poly(ethylene terephthalate) film. Polymer 1990; 31(2):295-302.
24. Lasoski SW and Cobbs WH. Moisture permeability of polymers. I. Role of crystallinity and orientation. Journal of Polymer Science 1959; 36(130):21-33.
25. Myers AW, Meyer JA, Rogers CE, Stannett V, and Szwarc M. Studies in the Gas and Vapor Permeability of Plastic Films and Coated Papers. Part VI. The Permeation of Water Vapor. Tappi 1961 ; 44(1):58-64.
26. Shigetomi T, Tsuzumi H, Toi K, and Ito T. Sorption and diffusion of water vapor in poly(ethylene terephthalate) film. Journal of Applied Polymer Science 2000; 76(1):67-74.
27. Lin J, Shenogin S, and Nazarenko S. Oxygen solubility and specific volume of rigid amorphous fraction in semicrystalline poly(ethylene terephthalate). Polymer 2002; 43(17):4733-4743.
28. Singh A, Freeman BD, and Pinnau I. Pure and mixed gas acetone/nitrogen permeation properties of polydimethylsiloxane [PDMS]. Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics 1998; 36(2):289-301.
29. Berens AR and Hopfenberg HB. Diffusion and relaxation in glassy polymer powders: 2. Separation of diffusion and relaxation parameters. Polymer 1978; 19(5):489-496.
30. Wellons JD and Stannett V. Permeation, sorption, and diffusion of water in ethyl cellulose. Journal of Polymer Science Part A-1 : Polymer Chemistry 1966; 4(3):593- 602.
31. Mauze GR and Stern SA. The solution and transport of water vapor in poly(acrylonitrile): a re-examination. Journal of Membrane Science 1982; 12(1):51- 64.
32. Guo J and Barbari TA. Unified Dual Mode Description of Small Molecule Sorption and Desorption Kinetics in a Glassy Polymer. Macromolecules 2009; 42(15):5700-5708.
33. Flory PJ. Stastical Mechanics of Swelling of Network Structures. The Journal of Chemical Physics 1950; 18(1): 108-111.
34. Orofino TA, Hopfenberg HB, and Stannett V. Characterization of penetrant clustering in polymers. Journal of Macromolecular Science, Part B 969;3(4):777- 788.
35. Williams JL, Hopfenberg HB, and Stannett V. Water transport and clustering in polyvinyl cloride], poly[oxymethylene], and other polymers. Journal of Macromolecular Science, Part B 1969; 3(4):711-725.
36. Stannett V, Haider M, Koros WJ, and Hopfenberg HB. Sorption and Transport of Water Vapor in Glassy Poly(Acrylonitrile). Polymer Engineering and Science, Mid-March 1980; 20(4):300-304.
37. Schuld N and Wolf BA. Solvent quality as reflected in concentration- and temperature-dependent Flory-Huggins interaction parameters. Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics 2001; 39(6):651-662.
38. Kamide K, Sugamiya K, Kawai T, and Miyazaki Y. The Concentration Dependence of the Polymer-Solvent Interaction Parameter for Polystyrene- Methylcyclohexane System. Polym J 1980; 12(1):67-69.
39. Berens AR Effects of sample history, time, and temperature on the sorption of monomer vapor by PVC. Journal of Macromolecular Science, Part B 1977; 14(4):483-498.
40. Hubbell WH, Brandt H, and Munir ZA. Transient and steady-state water vapor permeation through polymer films. Journal of Polymer Science: Polymer Physics Edition 1975; 13(3):493-507.
41. Yasuda H and Stannett V. Permeation, Solution, and Diffusion of Water in Some High Polymers. Journal of Polymer Science 1962;57:907-923.
42. Park H. Characterization of Moisture Diffusion into Polymeric Thin Film. Experimental Mechanics 2013;53(9): 1693-1703.
43. van Krevelen DW and te Nijenhuis K. Properties of Polymers: Their Correlation with Chemical Structure, Their Numerical Estimation and Prediction from Additive Group Contributions, 4th ed. Amsterdam: Elsevier Science & Technology, 2009.
44. Hansen CM. Hansen Solubility Parameters: A User’s Handbook, 2 ed. Boca Raton: CRC Press, Taylor & Francis Group, 2007.
45. Schult KA and Paul DR. Water sorption and transport in a series of polysulfones. Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics 1996; 34(16):2805-2817.
46. Schult KA and Paul DR. Water sorption and transport in blends of poly(vinyl pyrrolidone) and polysulfone. Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics 1997; 35(4):655-674.
47. Schult KA and Paul DR. Water sorption and transport in blends of polyethyloxazoline and polyethersulfone. Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics 1997; 35(6):993-1007.
48. Wellons JD, Williams JL, and Stannett V. Preparation and characterization of some cellulose graft copolymers. Part IV. Some properties of isolated cellulose acetate-styrene graft copolymers. Journal of Polymer Science Part A-1: Polymer Chemistry 1967;5(6): 1341-1357.
49. Barrer RM and Barrie JA. Sorption and Diffusion in Ethyl Cellulose. Part IV. Water in Ethyl Cellulose. Journal of Polymer Science 1958;XXVIII:377-386.
50. Zhang Z, Britt IJ, and Tung MA. Water absorption in EVOH films and its influence on glass transition temperature. Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics 1999; 37(7):691-699.
51. Davis EM and Elabd YA. Water Clustering in Glassy Polymers. The Journal of Physical Chemistry B 2013; 117(36): 10629-10640.
52. Barrie JA and Piatt B. The diffusion and clustering of water vapour in polymers. Polymer 1963; 4(0):303-313.
53. Achoundong CSK, Bhuwania N, Burgess SK, Karvan O, Johnson JR, and Koros WJ. Silane Modification of Cellulose Acetate Dense Films as Materials for Acid Gas Removal. Macromolecules 2013; 46(14):5584-5594.
54. Horn NR and Paul DR Carbon dioxide plasticization and conditioning effects in thick vs. thin glassy polymer films. Polymer 201 1;52(7): 1619-1627.
55. Horn NR and Paul DR Carbon dioxide plasticization of thin glassy polymer films. Polymer 201 ; 52(24):5587-5594.
56. Pantoula M and Panayiotou C. Sorption and swelling in glassy polymer/carbon dioxide systems: Part I. Sorption. The Journal of Supercritical Fluids 2006; 37(2):254-262.
57. Kamiya Y, Hirose T, Naito Y, and Mizoguchi K. Sorptive dilation of polysulfone and poly(ethylene terephthalate) films by high-pressure carbon dioxide. Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics 1988;26(1): 159-177.
58. Wonders AG and Paul DR Effect of C02 exposure history on sorption and transport in polycarbonate. Journal of Membrane Science 1979; 5(0):63-75.
59. Kamiya Y, Hirose T, Mizoguchi K, and Naito Y. Gravimetric study of high- pressure sorption of gases in polymers. Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics 1986;24(7): 1525-1539.
60. Wind JD, Sirard SM, Paul DR, Green PF, Johnston KP, and Koros WJ. Relaxation Dynamics of C02 Diffusion, Sorption, and Polymer Swelling for Plasticized Polyimide Membranes. Macromolecules 2003; 36(17):6442-6448.
61. Wind JD, Sirard SM, Paul DR, Green PF, Johnston KP, and Koros WJ. Carbon Dioxide-Induced Plasticization of Polyimide Membranes: Pseudo-Equilibrium Relationships of Diffusion, Sorption, and Swelling. Macromolecules 2003; 36(17):6433-6441.
62. Holck O, Heuchel M, Bohning M, and Hofmann D. Simulation of experimentally observed dilation phenomena during integral gas sorption in glassy polymers. Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics 2008; 46(1):59-71.
63. Neyertz S, Brown D, Pandiyan S, and van der Vegt NFA. Carbon Dioxide Diffusion and Plasticization in Fluorinated Polyimides. Macromolecules 2010; 43(18):7813-7827.
64. Holck O, Bohning M, Heuchel M, Siegert MR, and Hofmann D. Gas sorption isotherms in swelling glassy polymers-- Detailed atomistic simulations. Journal of Membrane Science 2013; 428(0):523-532.
65. Neyertz S and Brown D. Molecular Dynamics Study of Carbon Dioxide Sorption and Plasticization at the Interface of a Glassy Polymer Membrane. Macromolecules 2013 ;46(6) :2433 -2449.
66. Neyertz S and Brown D. The effect of structural isomerism on carbon dioxide sorption and plasticization at the interface of a glassy polymer membrane. Journal of Membrane Science 2014; 460(0):213-228.
67. Koros WJ and Paul DR CO2 Sorption in Poly(ethylene Terephthalate) above and below the Glass Transition. Journal of Polymer Science: Polymer Physics Edition 1978; 16: 1947-1963.
68. Potreck J, Uyar F, Sijbesma H, Nijmeijer K, Stamatialis D, and Wessling M. Sorption induced relaxations during water diffusion in S-PEEK. Physical Chemistry Chemical Physics 2009; 11(2):298-308.
69. Zimm BH and Lundberg JL. Sorption of Vapors by High Polymers. Journal of Physical Chemistry 1956; 60(4):425-428.
70. Thornton ER, Stannett V, and Szwarc M. The permeation of vapors and liquids through polymer films. Journal of Polymer Science 1958; 28(117):465-468.
71. Martin RT. Water vapor sorption on kaolinite: hysteresis. Clays and Clay Minerals. Berkeley, CA: Pergamon Press, 1959. pp. 259-278.
72. Okubayashi S, Griesser UJ, and Bechtold T. Moisture sorption/desorption behavior of various manmade cellulosic fibers. Journal of Applied Polymer Science 2005;97(4): 1621-1625.
73. Champion D, Loupiac C, Simatos D, Lillford P, and Cayot P. Structural Relaxation During Drying and Rehydration of Food Materials-- the Water Effect and the Origin of Hysteresis. Food Biophysics 2011;6(1): 160-169.
74. Guo J and Barbari TA. A dual mode interpretation of the kinetics of penetrant- induced swelling and deswelling in a glassy polymer. Polymer 2010; 51(22):5145- 5150.
75. Berens AR The solubility of vinyl chloride in poly(vinyl chloride). Die Angewandte Makromolekulare Chemie 1975; 47(1):97-110.
76. Visser T and Wessling M. When Do Sorption-Induced Relaxations in Glassy Polymers Set In? Macromolecules 2007; 40(14):4992-5000.
77. B5hning M and Springer J. Sorptive dilation and relaxational processes in glassy polymer/gas systems - I. Poly(sulfone) and poly(ether sulfone). Polymer 1998; 39(21):5183-5195.
78. Felder RM and Rousseau RW. Elementary Principles of Chemical Processes, 3rd ed.: John Wiley & Sons, Inc., 2005.
79. Launay A, Thominette F, and Verdu J. Water sorption in amorphous poly(ethylene terephthalate). Journal of Applied Polymer Science 1999;73(7): 1131-1137.
80. Comyn J. Polymer Permeability. New York: Elsevier Applied Science Publishers Ltd., 1985. pp. 383.
第2部.速度論的収着
概要
アモルファスポリ(エチレンフラノエート)(PEF)およびポリ(エチレンテレフタレート)(PET)の水拡散係数を全水分活性範囲にわたり35℃で研究した。PEFは、PETと比較して全濃度間隔にわたり約1/5の平均拡散係数を呈する。両ポリエステルにおいて約0.6の活性までフィックの水拡散が観測され、その後、ベーレンス・ホッフェンバーグモデリングフレームワークを用いて非フィック緩和の存在を処理する必要があった。拡散係数と水分濃度増加との間の正の相関により実証されるように、高い活性での透過物による可塑化がPEFおよびPETの両方で見出された。15、25、35、および45℃で測定された拡散係数のアレニウス解釈により、PEFおよびPETの拡散の活性化エネルギーを計算可能であり、それぞれ47.1±2.8kJ/molおよび46.4±3.0kJ/molで類似していた。本開示の情報は、両ポリエステルの平衡水収着性に関する解析を相補する。
1.緒言
ほとんどのポリマーはその可使寿命のある時点で実際に湿潤環境に遭遇するであろうことから、高分子材料で水輸送を含む研究は重要である。水は、単位活性で多種多様なポリマーで望ましくない可塑化効果および膨張効果を引き起こしうるため、かかる輸送データは、液体の水に直接接触する材料で特に重要である[1〜4]。
Avantium(The Netherlands)による最近のイノベーションにより、ポリ(エチレンフラノエート)(PEF)の製造に必要とされる2種のモノマーの1つである2,5−フランジカルボン酸(FDCA)の経済的な大量生産が可能になってきている。全世界のポリエステル市場にPEFを投入することが望ましい。なぜなら、モノマー源が再生可能であり、バリヤー性、機械的性質、および熱的性質がPETと比較して大幅に改善されるからである[5]。多くの研究では、PEFの合成および/または材料の性質の特徴付けの種々の側面に重点が置かれてきたが[6〜11]、基本的な水輸送性に関する文献にデータが存在しない。飲料および食品の包装産業におけるPEFの用途は高湿度環境を含むため、正確な貯蔵寿命予測のために周囲温度での水輸送性に関する知識が必要である。
本開示では、PETと比較してPEFが全濃度間隔にわたり約1/5の平均水拡散係数を呈することを示す。この低減は、PETの移動性フェニル部分と比較してPEFの剛性フラン部分に由来するセグメント移動性の基本的な差に起因する[5]。本開示の結果は、嵩高いナフタレン部分のフリップが妨害されるためPEFにいくらか類似した剛性を呈するポリ(エチレンナフタレート)(PEN)における水の拡散と比較が可能である[12]。RuedaおよびVarkalisは、ポリマーが両方ともアモルファスで水和状態にある場合、PENの拡散係数がPETと比較して約1/3.2であると報告している[13]。興味深いことに、著者らはまた、PEFとPETとを比較した本開示の場合ほど平衡取込みの相違が有意でないにかかわらず[15]、自由体積の差に起因してPETと比較してPENでより高い平衡収着を報告している[13、14]。
この節では、アモルファスPEFおよびPETにおける水拡散の詳細な速度論的研究を提示し、水平衡収着性[15]、酸素輸送[16]、および基本的セグメント移動性[5]に関する先行研究を相補する。第1部の節[15]と同様に、3つの独立した技術を用いて重量測定収着実験を行うことにより、報告された拡散係数の検証を可能にした。全水分活性範囲にわたりアモルファスPEFおよびPETに対する35℃での濃度に依存する拡散係数を提示し、活性の増加との正の相関により実証される可塑化型挙動を提示する。高い活性での非フィック緩和の存在は、この見解と一致しており、第1部[15]で報告された両ポリエステルで観測された収着/脱着ヒステリシスの場合と同様である。拡散活性化エネルギーの追加の測定と他に提供される収着エンタルピーの測定とを組み合わせることにより[15]、両ポリエステルで水透過活性化エネルギーを推定することが可能である。拡散率と溶解度とを含む類似の計算から、PETと比較してPEFでは全濃度間隔にわたり約1/2.8の平均透過率であることは明らかであり、これはAvantium[17]により報告されたPETに対してPEFでは約1/2であることと一致している。本開示は、対応する平衡収着[15]と組み合わせて、PEFにおける水輸送の初めての詳細な解析を提示する。
2.実験
2.1 材料および収着測定
バージンポリ(エチレンフラノエート)(PEF)およびポリ(エチレンテレフタレート)(PET)は、The Coca-Cola Companyにより提供されたものであり、これまでの研究で特徴付けられている[5、15、16]。両ポリエステルの繰返し構造を表4に示す。先行研究[5]に記載のものと同一の溶融プレス/クエンチ法を用いて、アモルファスフィルムを作製した。TA-VTI SA+収着装置で窒素キャリヤーガス(Airgas, Radnor PA)を利用し、すべての収着実験で脱イオン水を使用した。
Figure 0006732737
2.2 収着測定
自動TA VTI-SA+蒸気収着アナライザー(TA Instruments, New Castle, DE)を用いて両ポリエステルに対して収着時および後続の脱着時に0〜0.95の活性で水取込みデータを測定した。この系では、所望の蒸気濃度は、2つの個別のマスフローコントローラーを介して装置により自動制御される個別の湿潤窒素ストリームと乾燥窒素ストリームとを混合することにより得られる。断続的にストリームの含水率を測定する露点アナライザーから装置にフィードバックを提供する。マイクログラム天秤によりサンプル質量を定常的にモニターし、その後、質量の変化が時間に対して観測されないときに平衡が実現される。この技術に関するさらなる詳細は本開示の第1部[15]に提供されている。
2つの追加の重量測定法、すなわち、マクベイン石英スプリング技術[18]および重量測定液体水法を用いて、自動VTI装置により記録された測定の検証および確認を行った。前者の技術は低い蒸気活性で試験するのにより好適であり、一方、後者は単位活性で取込みデータを提供する。さらなる詳細は本開示の第1部に提供されている[15]。
3.結果および考察
3.1 拡散モデルの開発
重量測定水収着値は、典型的には重量パーセント単位の水(wt%、gHO/g乾燥ポリマー)で報告されるが、式10により速度論的情報の抽出に有用な無次元形に変換可能である。
Figure 0006732737
式10中、Mは時間tでの水取込みを表し、Mは平衡時(すなわち無限時間)での水取込みであり、mは天秤により測定されるサンプル質量であり、initialは収着間隔の開始を表し、かつfinalは収着間隔の終了を表す。したがって、式10のM/Mパラメーターは、ゼロから単位量までの範囲内の規格化無次元量を表す。
時間依存拡散方程式の解は、無限シートジオメトリーならびにさまざまな境界条件および初期条件を含む拡散事例に対して広く表にまとめられている[19]。最も単純な解は、フィルム全体にわたり一定の初期濃度(すなわち、t=0でC=C)、およびt>0でフィルム表面が一定の濃度(すなわち、t>0でx=±l/2がC=C、ただし、lはフィルムの全厚さである)とすることにより得られる。これらの条件を用いた解は、式11[19]で提供される。式中、下付き文字「F」はフィックの解を表し、DAvg(cm/s)は濃度間隔にわたり平均された有効拡散係数であり、かつl(cm)はフィルムの全厚さである。
Figure 0006732737
式11は、ポリマー材料における比較的非凝縮性のガス(すなわち、PEFにおけるO[16])および低い活性でのいくつかの蒸気[20、21]の速度論的収着挙動を正確に記述する。ただし、これらの用途の境界条件および初期条件の妥当性に合致させる。式11はまた、本開示で石英スプリングシステムにより測定された水収着データを記述することも可能である(本明細書において後に考察される図9を参照されたい)。以上に述べたように、式11のDAvgは、指定の濃度間隔にわたり平均された「有効」拡散係数を表す。この平均の数学的表現を式12に示す[22]。したがって、本稿に報告されたDAvg値はそれぞれの収着間隔の中点にプロットされる。
Figure 0006732737
低い活性で自動VTI装置により測定された取込みデータは、式11のフィックのモデルにより正確に記述できなかった。この装置で記録されたデータはすべて、より長時間でフィック様挙動に近づく前に短い時間で時間軸に対してわずかではあるが識別可能な凸の湾曲を呈した(本明細書において後に考察される図11を参照されたい)。
異常な速度論的挙動は、装置で利用したプロセス制御スキームにより導入されたラグが主な原因である。乾燥窒素ストリームと完全加湿ストリームとを混合することによりかつ2つの個別のマスフローコントローラーを用いてそれぞれの流量を選択的に制御することによりVTI装置が所望の水濃度を生成することを想起されたい。現在の水分活性で取込み平衡が達成された後、装置は、湿潤ストリームおよび乾燥ストリームの流量を自動調整してその次の所望の活性を生成する。自動制御スキームは、露点アナライザーにより決定された測定含水率のフィードバックを受ける。任意の活性変化時(収着または脱着)、装置は、新しい設定値の活性を得るために、最初に湿潤/乾燥流量を調整して第1の推測値を得るであろう。次いで、新しい流量を一定に保った状態で、装置は、離散期間(約1分)にわたり多くの活性の読みを平均する。平均活性がこの期間後に設定値と異なる場合、装置は、湿潤/乾燥流量に小さい変化を加えて、設定値の活性が達成されるまでプロセスが繰り返される。システムは典型的にはわずか数分後に所望の設定値を達成するが、この変動は異常な収着速度論的挙動を生じるのに十分である。
図11のシグモイド収着データ(本明細書において後に考察される)は、フィルム表面の平衡濃度(C1)が指数関数的に平衡に近づくように記述される式13に示される時間依存境界条件のロング・リッチマン形式を用いて形式的にモデリング可能である[23]。
Figure 0006732737
式13中、τは、フィルム表面で平衡飽和を得るために使用される時定数であり、本開示では、VTIシステムの制御スキームがどれほど速く濃度の段階的変化を実現できるかに関連する装置パラメーターを表す。式13の境界条件を有する時間依存拡散方程式の解は、式14に提供される[19、23]。式中、lはフィルム厚さであり、下付き文字「F−Exp」は、指数関数型境界条件の適用後に得られるフィックの解を表す。
Figure 0006732737
式14に関する有用な特徴は、τ=0のときに元のフィックの解(式11)が回復することであり、これは、表面濃度が最終平衡値に瞬時に近づくこと意味する(すなわち、装置制御スキームは、濃度の段階的変化時に最初の推測で適正な湿気/乾燥流量を「推測する」)。繰り返すが、本開示のパラメーターτは装置の時定数を表し、ポリマーの基本的性質を表さない。式14のさらなる適用およびその変形は、文献の多くの論文に見出しうる[24〜27]。式14の妥当性に関するさらなる実験的検証は、追加情報に提供されている。この追加情報は、DAvgおよびτの値を提供し、可変流量でキャリヤーガスとして窒素、アルゴン、およびヘリウムを用いて測定される。
これまでの考察は、長期非フィック緩和の不在下で単純な透過物拡散に重点を置いてきた。以上で考察したように、かかる緩和は多種多様な透過物およびポリマー系で起こることが知られており、ポリマーのモルフォロジー変化の発生の指標となりうる。非フィック緩和の物理的起源に関する有益な考察は、Sanopoulouら[28,29]およびCrank[19]による研究に見出しうる。非フィック緩和は、BerensおよびHopfenberg[30]により提案された式15および16に示される形式を用いてモデリング可能であり、フィック拡散プロセスおよび一次緩和プロセスは両方とも、独立して存在し、単純な線形重畳を用いて組合せ可能であると言われている。式15中、Mは時間tでの両方の機構による全質量取込みを表し、Mt,Fはフィックモードによる質量取込みであり、かつMt,Rは一次緩和モードによる質量取込みである。
Figure 0006732737
式16中、Φは、各取込みモードの相対的寄与を特定する重み係数を表し、τは、非フィック緩和の時定数であり、かつ下付き文字「BH」および「F」は、それぞれベーレンス・ホッフェンバーグ形式(BH)およびフィック形式(式11)を用いて得られる無限級数解を表す。拡散/緩和現象を記述するさらなるモデルが文献に存在するが[31〜33]、いずれもBHモデルほど単純に実現されない。さらに、式16に規定されるBHフレームワークは、単純フィックの場合の無限級数解(式11)を式14に提供されるより複雑な解で置換え可能であるという点で汎用性がある。本開示で用いた最終表現は式17に提供される。これは、フィルム表面の定常状態濃度に指数関数的に近づく方法(VTIシステムにより測定されたデータの場合)および高い水分濃度で非フィック緩和を重畳する方法の両方を効果的にモデリング可能である。
Figure 0006732737
本明細書全体を通して以下の考察では、式17は「BH−Exp」モデルという。式16、14、および11はすべて、速度論的曲線の形状に依存して式17から回復可能であることを認識することが重要である。たとえば、式17を用いて厳密なフィック取込み曲線をモデリングすると(本明細書において後に考察される図9を参照されたい)、Φ≒1およびτ≒0という値が戻る。同様に、式17を用いて低い水分濃度でVTIシステムにより速度論的データをモデリングすると(図11を参照されたい、すなわち非フィック緩和不在)、Φ≒1およびτ≠0という値が戻る。したがって、式17のモデルは、多種多様な速度論的現象を記述可能なロバストな表現を表す。
実験的速度論的収着データへの式17の適用は、これまでの研究[34]に記載のものに類似したMATLAB(登録商標)非線形最小二乗当てはめルーチンを用いて達成された。式17に4つの未知パラメーターが存在するため、非線形最小二乗当てはめルーチンに必要に「初期推測値」パラメーターの選択に関しておよびこれらのパラメーターがどのように最終最適化モデルパラメーターに影響を及ぼすかに関して注意を払うべきである。たとえば、式14の関数形(図11を参照されたい)は、特にτが大きい値の場合、式17の指数関数的緩和項のシグモイド形状に類似しうる。図11bのデータ(明らかに200s程度のτを有する)をモデリングする場合、τに3000sという純粋に非物理的な初期推測値を選択すると、MATLAB(登録商標)ルーチンは、物理的意味を持たない解最適化空間で局所最小値を選択することにより解を「最適化」する可能性がある。したがって、最終最適化パラメーターが拡散時に起こる物理的現象を真に反映することが保証されるように注意を払うべきである。MATLAB(登録商標)当てはめルーチンの初期推測値パラメーターの選択に関するさらなる考察は、他に提供されている[34]。
最後に、フィック拡散および一次緩和の両方の相対時間スケールに関して留意すべきである。これらのパラメーターの直接比較は、式18[35]で与えられる拡散のデボラ数(De)を介して達成可能である。式中、τは、式17から得られる一次緩和の時定数であり、かつτは、フィック拡散の時定数である。
Figure 0006732737
De≫1およびDe≪1である両極限の場合の速度論的取込みデータでは、単純フィック挙動が観測されるであろう。一方、同程度の拡散時間スケールおよび緩和時間スケールを含む拡散の場合(De≒1)には、緩和に基づくモデル(すなわちBHモデル)で処理する必要がある。デボラ拡散数に関するさらなる考察は、文献[31、35、36]に見出しうる。
3.2 35℃での収着/脱着(第1のサイクル)
低い活性で手動石英スプリング装置により測定された両ポリエステルの水取込みデータは、式11による単純フィックモデルにより正確に記述可能である。図9にはPEF(菱形)およびPET(丸)における35℃での水蒸気の石英スプリングデータ例が提供されており、同一のグラフ上に無次元時間(DAvgt/l1/2を用いて規格化したものがプロットされている。図9の実線は式11によるモデルの当てはめを表す。35℃で液体の水で行われた測定でも式11と取込みデータとの間に類似の一致が観測された。これについては第3.3節で後に考察する。両ポリエステルで石英スプリング法により得られた拡散係数は、追加情報に提供されており、自動VTIシステムにより得られた値との優れた一致を呈する。
自動VTIシステムにより35℃で測定された生の速度論的収着データは、0〜0.95の活性範囲内で収着および後続の脱着に関してPEFについて図10aおよびPETについて図10bに示されている。両ポリエステルに対する図10の第1の検査では、図9に例示されたものに類似した平衡への関数アプローチにより実証されるように、約0.6の活性まで収着時にフィック型取込み挙動を示す(すなわち長期緩和は無視しうる)。しかしながら、約0.6の活性後、収着容量の長期にわたる漸進的増加により長期非フィック緩和が観測される。実際に、両ポリエステルに対する図10の検査では、初期収着時に0.6〜0.95の活性間の取込み曲線が真の収着平衡に達成しなかったことが示される。この現実が最終速度論的モデルパラメーターに及ぼす影響は軽微であるが、本明細書において後に考察する。高い活性で観測された非フィック緩和挙動は、可塑化に関連する収着誘起モルフォロジー変化の開始および調整のサンプルにおける自由体積の全体的増加と一致している。この挙動は、約0.6超の活性で第1部で観測された二元収着からの正の偏りに一致する[15]。図10のものに類似したデータは、スルホン化ポリイミド膜における速度論的水収着でも観測された[37]。
図10のデータは式10により個別の収着/脱着曲線に分割可能であり、それにより、式17の適用およびモデルパラメーターの抽出が容易になる。プロセス制御ラグにより導入された異常な速度論的挙動は、全実験の時間スケール(日)と比較してτの大きさ(分)が小さいにため、図10には現れない。図10aのPEFの速度論的取込みデータのより詳しい検討は、0〜0.1の活性の収着間隔について図11aおよび0.1〜0.2の活性の収着間隔について図11bで提供されている。図11の取込みデータは、制御スキームラグにより導入された異常な速度論的挙動をより良好に例示するために(時間)1/2に対してプロットされている。また、両方とも、式11によるフィックモデル(破線)および式17によるBH−Expモデル(実線)が比較のための図に示されている。ゼロの活性から出発するいずれの濃度段階でも、装置がゼロでない活性から出発する段階的変化を開始した場合よりもかなり大きいτ値を呈することが、VTI操作時に一貫して観測された。この見解は図11aおよび3bで実証される。図11a(活性段階0〜0.1)ではτ=1820sおよび図11b(活性段階0.1〜0.2)ではτ=214s。図11bに類似した異常な速度論的取込み曲線は、Detallanteら[37]によっても観測された。Detallanteらは、本開示と異なる自動蒸気収着システムを使用し、フィルム表面における水蒸気濃度の類似の変動が異常な挙動の原因であると考えた。
図11では、式17によるBH−Expモデルが式11による理想フィックモデルよりも実験データを正確に記述することは明らかである。図11の4つのすべての最良当てはめラインのモデルパラメーターは、図の説明文に提供されている。驚くべきことではないが、2つのモデルから計算された拡散係数の差は、図11bに例示されたものと比較してτ値が大きいため、図11aでは顕著となる。さらに、図11bのτ=214sの値は、単純フィックモデルから計算されたDAvgに軽微な補正をもたらすに過ぎない。図11に示されるデータへの式17のモデリングによりΦ=1の値が得られたことから、これらの実験の時間スケールでは非フィック緩和が不在であることが示唆される。両ポリエステルに対して高い活性で収着時に本開示で観測されたように、ΦF≪1の場合、2つのモデルから計算されたDAvg値間により大きい偏りが現れる。
PEFに対して図10aに示された収着/脱着取込み曲線の個別の分割は図12に提供されており、一方、PETに対する図10bの対応する曲線は図13に提供されている。同一の活性間隔(すなわち、収着では0.1〜0.2および脱着では0.2〜0.1)にわたり測定された収着/脱着曲線は、容易に比較できるようにそれぞれ同一のグラフ上にプロットされている。図12および13の実線は、実験収着データに対する式17によるBH−Expモデルの当てはめを表し、一方、破線は、脱着データに対する対応する当てはめを表す。脱着データは間隔0.1〜0では測定されなかったため、図12aおよび13aでは0〜0.1の活性で収着曲線のみが示されている。
図12のPEFに対する収着/脱着データへのBH−Expモデルの当てはめにより得られた有効拡散係数(DAvg)は、図15に提供されており、図13のPETに対する対応する値は図14に提供されている。これらの図から、両ポリエステルに対してDAvgが収着時に濃度の増加と正の相関を呈することは明らかであり、後続の脱着でも同一の挙動が観測された。0.6までの活性でのDAvg値の初期増加は、典型的な二元挙動により記述可能であり、追加情報で十分に考察される。しかしながら、0.6超の活性では、理想二元挙動からの正の偏りは、透過物誘起可塑化により生じるセグメント移動性の増加と相関する。この挙動は、透過物のクラスター化に対して予想されるものと反対である。クラスター化では、拡散種の速度論的直径が大きいため[38、39]、濃度の増加に伴って拡散係数の減少を呈する。
図14および15のデータも、両ポリエステルに対してそれぞれの脱着値と比較して収着ではわずかに大きいDAvg値を示す。この挙動は、DAvgと濃度との間の正の相関を考慮すると一貫性がある。Crankは、拡散係数が濃度と共に増加する場合、典型的には収着が脱着よりも速いと述べている[19]。それにもかかわらず、収着および脱着に対するDAvg値は、全濃度範囲にわたり大きさが類似しており、これは、ポリスルホン(PSF)における水拡散で観測された挙動に類似している[40]。PEFおよびPETに対する図14および15での傾向は、それぞれポリエーテルスルホン[41]、20%ポリ(ビニルピロリドン)/PSF[40])における水、ならびにいくつかのポリイミド[42]における水で観測されるものとは対照的であり、後者のポリマーは、クラスター化の存在に起因して高い活性での収着で濃度の増加に伴ってDAvgの減少を呈する。
活性に対する真の拡散係数の依存性のより正確な推定は、それぞれの同一の間隔にわたり収着時および後続の脱着時に得られた拡散係数を平均することにより得ることが可能である[19、43]。本方法により得られる平均拡散係数はD(s+d)/2により表される。式中、sおよびdは、それぞれ収着および脱着を表す。PEFおよびPETの両方に対応するD(s+d)/2値は、容易に比較できるように図16に一緒にプロットされている。この平均に関する留意点は、ポリエステル材料のモルフォロジーが高い活性で初期収着後にわずかに変化することである。収着段階は0〜0.95の活性で逐次的に行われ、続いて、脱着段階は0.95〜0の活性で行われることを想起されたい。ポリマーのモルフォロジー変化は、本開示の非フィック緩和により、ならびに本開示の第1部[15]に提示された図14および15で観測された識別可能な収着ヒステリシスにより観測される。0〜0.95の活性でPETに対するD(s+d)/2の値をPEFに対するそれぞれの値で減算すると、低い活性限界および高い活性限界でそれぞれ約2.3から約6.2まで変化し、全濃度範囲にわたって5.0の平均値を有する。PETと比較してPEFで拡散係数が低減するのは、他で考察されるように[5]、セグメント移動性の本質的な差が原因である。図16で観測されたものに類似した拡散係数挙動は、半結晶性PETおよびアモルファスポリ(エチレンナフタレート)(PEN)[13](PEFに類似した剛性を呈する)の両方で観測されている。
両ポリエステルに対して図16に提示された平均拡散係数データはまた、PEFおよびPETに対してそれぞれ第1部[15]の図14および15から得られる平衡水濃度(cmSTP/cmPoly)の関数としてプロット可能である。図16のD(s+d)/2の値は、図17では平均平衡濃度に対してプロットされている。後者は、間隔の開始から終了までの平均濃度を反映し、収着ヒステリシスを考慮して収着濃と脱着濃度との間で再び平均される。図17のラインは、濃度に対する拡散係数の指数関数的依存性を仮定した式19によるモデルの当てはめを表す。
D=Dexp(βCAvg) (19)
式19中、CAvgは以上に挙げた平均濃度を表し、βは定数であり、かつDは無限希釈拡散係数である。PEFに対する式19によるモデルパラメーターは、D=1.0×10−9cm/sおよびβ=0.073(cmSTP/cmPoly)−1であり、一方、PETに対する対応しているモデルパラメーターは、D=9.6×10−9cm/sおよびβ=0.049(cmSTP/cmPoly)−1である。文献の報告から、β値はPETにおいて透過物の拡散サイズの増加に伴って増加し、本開示のPETに対する0.049の値は、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、i−ブタン、およびエチルアセテートで報告された値よりも有意に小さいことが示唆される[21、44、45]。その他に、PEFは、βがわずかに大きい値であることから実証されるようにPETよりも大きい濃度依存性を呈する。かかる結果は、濃度依存性と、透過物とポリマーマトリックスとの間の相互作用との間に正の相関を提案したChandraおよびKoros[21]の観測と一致している。後者の見解は第1部[15]で考察される。そこでは、水は、フラン環が極性であるためPETよりもPEFと高い相溶性を呈することが示される。
両ポリエステルにおける高い活性(>0.6)での収着時の非フィック緩和の存在は、図10、12、および13で観測される平衡への長期にわたるアプローチから明らかである。本開示で報告されたものに類似した非フィック挙動は、ポリエチルオキサゾリンおよびポリエーテルスルホンにおける水収着に関する研究ならびにPETにおける水収着に関するさらなる研究[2、47]でSchultおよびPaul[46]により報告されている。本開示での非フィック挙動の開始は、PEFについて図12におよびPETについて図13に例示される最良当てはめモデルの式17によるそれぞれのΦ値をプロットすることにより最もよく可視化される。初期収着時の活性に対するΦのプロットは、PEF(菱形)およびPET(丸)の両方に対して図18aで提供され、脱着の対応するグラフは、図18bに含まれる。単純フィック拡散は、図18aの両ポリエステルで単位量近傍のΦ値により実証されるように0.6までの活性で収着時に支配的となる。代替的に、Φの大きい系統的減少が0.6超の活性で収着時に観測されることから、緩和が支配的な質量取込みへの移行が示唆される。全濃度範囲にわたり図18bの両ポリエステルに対して単位量近傍のΦ値が観測されるため、フィックの速度論的挙動は脱着プロセスで支配的である。また、脱着の最終段階での平衡へのわずかに遅れたアプローチは、本開示[19]で観測された特定のタイプの濃度依存性を伴いうることも知られている。脱着時の平衡への長期にわたるこうしたアプローチはまた、ポリ(ビニルクロリド)におけるビニルクロリド収着の場合にBerens[48]により観測されたように、またはセルロースアセテートにおけるアセトン収着の場合にBagleyおよびLong[49]により観測されたように、すでに膨張したマトリックスの脱膨張によっても潜在的に生じる可能性がある。したがって、図18bで単位量に等しくないΦ値は、潜在的に、この脱膨張プロセスを記述することを試みた緩和に基づいたモデルまたは拡散係数の濃度依存性により生じる長期にわたるアプローチの結果である。それにもかかわらず、脱着時にフィック速度論的挙動が支配的であるという観測は、収着時に導入された追加の自由体積の潰れがフィック脱着プロセスよりも有意に遅いため、結果的にフィック速度論的挙動が現れる[40、48]という見解と一致している。モルフォロジー変化の存続性に関する簡単な考察は第1部に提供されており、そこには両ポリエステルの収着ヒステリシスが例示されている[15]。図12および13の最良当てはめ曲線に対する式17による残りBH−Expモデルパラメーターは、τについては図19におよびτについては図20に提供されている。
式17によるτ値は、Φ<1のときにMATLAB(登録商標)モデリング技術により正確に評価可能であるに過ぎない。したがって、図19は、単位量未満で約0.5超の活性で収着時の図18aに示されるそれぞれのΦパラメーターに関連してτ値を報告しているに過ぎない。脱着の対応するτ値は、図18bに報告されるΦ<1の値に対して提供されているに過ぎない。PEFおよびPETは両方とも、セグメント移動性に大きい差があるように思われるにもかかわらず[5]、高い活性で収着時に類似の緩和速度を呈することが観測されるのは興味深い。
プロセス制御ラグに関連する装置の時定数(τ)の値は、収着時(黒印)および脱着時(白印)の両方でPEF(菱形)およびPET(丸)に対して図20にプロットされている。繰り返すが、τは基本的ポリマーパラメーターでなく、単に装置制御ラグにより導入された異常な挙動を除去するために利用される。したがって、τは、両ポリエステルに対して0.1〜0.95の活性範囲内でほぼ一定である。例外はゼロから出発する間隔であり、その場合、一貫してより大きいτ値を生じた。一貫性チェックとして、図20に報告されたすべてのτ値は、それぞれの拡散時間スケール(l/DAvg)よりも有意に小さい。窒素の他にアルゴンおよびヘリウムを用いた自動VTI測定は、本開示で式17の選択およびτの役割をさら説明するために0.1〜0.2の活性間隔で追加情報に提供されている。
以上に述べたように、0.6超の活性で収着を完了させるためにさらなる時間を割り当てたが(図10、12、および13を参照されたい)、取込み曲線は完全平衡に達せずに、システムが次の活性段階に進んでも依然として増加し続けた。この効果は、0.9〜0.95の活性間の最大収着間隔で顕著となり、第1部[15]に報告された平衡対濃度の急増に対応する。ポリ(ビニルクロリド)におけるビニルクロリド収着を研究したBerens[48]も、実験時間が過度に長くなるため、真の平衡に達する前に実験を終了させた。
式17に提供される拡散モデルはフィック項および緩和項の両者の線形重畳を表し、両者とも互いに依存せずに起こると仮定されていることを想起されたい[30]。図12および13ではフィック拡散に必要な時間スケールを十分にカバーするように十分な時間を確保したため、真の取込み平衡に達することなく理論上は拡散係数の正確な値を得ることが可能である[49]。さらに、緩和の存在に起因して真の平衡に達しないことが緩和プロセスに関連するモデルパラメーター(式17ではΦおよびτ)にのみ影響を及ぼすようにすべきである。緩和に基づくモデルパラメーターの最終結果では、1)緩和モードの寄与がより大きいため、Φが図18aに例示されたものよりもさらなる減少し、かつ2)緩和プロセスの完了に必要な時間がより長いため、τが図19に例示された値よりも増加するであろう。簡単にするためにおよび最終モデルパラメーターで「一意性」を達成するために、式17ではBHフレームワークで1つのみの緩和項を考慮した。しかしながら、真の平衡に達する場合、完全取込み曲線をモデリングするためにBHフレームワークでさらなる緩和項が必要なる可能性もありうる。したがって、図18および19に提供された緩和パラメーターは、両ポリエステルにおける緩和プロセスで実用的な現象記述を提供する目的に役立つ。以上に述べた考察に続いて、長期緩和の不在下(すなわち、収着時はp/p<0.6および脱着時はすべての活性)で計算された拡散係数は、最適化値のより高い信頼度を反映し、一方、高い活性での収着時のDAvgの最適化値には、式17の緩和寄与が大きいため、より大きい不確実性が存在する。
3.3 35℃での収着/脱着(第2のサイクル)および単位活性での収着
図14(PEF)および15(PET)に報告されたDAvgの値は、初期収着時(黒丸)および後続の脱着時(白丸)のものである。平衡取込みヒステリシスは本開示の第1部に詳述され、そこには収着誘起モルフォロジー変化の存続性を調べるために第2の収着サイクルのデータが含まれていたことを想起されたい([15]の図6および7を参照されたい)。次に、35℃での第2の収着サイクル時の平衡データに対応する速度論的挙動を提示する。
第2のサイクル時の収着は、最初に使用したよりも大きい濃度間隔からなる(すなわち、収着は0〜0.3、0.3〜0.6、0.6〜0.95、および脱着は0.95〜0.6、0.6〜0.3、0.3〜0.05)。35℃での第2のサイクル時の収着および脱着における平均拡散係数(すなわち、すでに考察されたD(s+d)/2)の値は、PEFについて図21およびPETについて図22に濃度間隔の中点に白丸によりプロットされている。第1のサイクル時に得られた対応するD(s+d)/2値は、比較のための図21および22(白菱形)にプロットされている。BH−Expモデル(式17)によるさらなるモデルパラメーターのパラメーター値は、初期収着(図18〜20を参照されたい)で報告されたものに類似しているために含まれていない。
図21および22の拡散係数の検査は、初期および後続の両方の収着サイクルの収着時/脱着時の平均値間の優れた再現性を示す。第2の収着サイクル時の収着時および後続の脱着時に得られた個別の拡散係数は、図21および22には示されていない。実際には、両ポリエステルのこれらのそれぞれの値は、図14および15に報告された初期収着サイクル時の収着/脱着値よりもかなりよい一致を呈した。この見解は、十分な収着サイクルを行えば収着時および脱着時に得られる拡散係数は最終的には収束するという仮説を立てたBerens[48]の研究と一致している。
以上に述べたように、重量測定液体水法を用いて単位活性で取込み実験を行った。この方法により得られる速度論的取込み曲線は、実験的にアクセス可能な長い拡散時間スケールを確保するのに必要なフィルム厚さであるため、高い水分活性にもかかわらずフィック型が支配的であった。それに対応して、両ポリエステルのデボラ数(De)は単位量よりも有意に小さかったため(すなわち、PEFはDe≒0.04およびPETはDe≒0.03)、フィックの速度論的挙動の出現は驚くべきことではない。4つの個別の収着実験のデータを表す速度論的取込み曲線は、PEFについて図23(a)およびPETについて図23(b)に提供され、フィルム厚さの差を規格化するために無次元時間(DAvgt/l1/2に対してプロットされている。収着時に測定された拡散係数(DAvg)の値は、両ポリエステルに対して図21および22に黒丸で提供され、収着間隔の中点(0.5の活性)にプロットされている。
PEFに対して図21にプロットされたDAvgの値(黒丸)は、自動VTI装置により測定された対応する拡散係数との優れた一致を呈する。しかしながら、PETに対して図22にプロットされたそれぞれの値(黒丸)は、VTI装置により測定された値よりもわずかに低い。アモルファスPETに対して単位活性で測定された文献の拡散係数はいくらか変動があるが[47、50、51]、本開示に報告された値と大きさが類似している。
3.4 輸送エネルギー
35℃での以上の測定の他に、15、25、および45℃で0.1〜0.2の活性間隔で両ポリエステルに対して速度論的取込み曲線も測定した。4つのすべての温度に対して0.2の活性での平衡取込みデータが第1部[15]に提示され、そこには両ポリエステルにおける水収着エンタルピーの推定値も報告されている。単純フィック拡散(Φ=1)を保証するためにかつゼロから始まる収着間隔に関連した大きいτ値(すでに考察した)を回避するために、0.1〜0.2の活性で測定を行った。得られた速度論的取込み曲線はフィック型が支配的であり、それに対応して図20に報告されたものに一致する小さいτ値を有していた。拡散係数の温度依存性は式20のアレニウス表現により記述可能である[52]。式中、Eは拡散の活性化エネルギー(kJ/mol)であり、Rは普遍気体定数であり、かつDは前指数因子である。15、25、35、および45℃で測定されたDAvgの値は、PEF(菱形)およびPET(丸)の両方に対して図24に片対数形式でプロットされている。ラインは、対応する式20による当てはめを表し、Eの不確実性限界は、モデルの当てはめの標準誤差から得られる。
Figure 0006732737
図24のアレニウスモデルの当てはめに優れた線形性が観測され、PEFに対して47.1±2.8kJ/molおよびPETに対して46.4±3.0kJ/molのE値の信頼性が得られる。半結晶性およびアモルファスの両方のPETにおける水拡散に関して文献に報告されているE値は、アモルファスPETに対して本開示で報告されたものに類似しているが[47、51、53、54]、PEFについての追加データが文献に存在しない。図24のPEFおよびPETに対するED値の迅速検査は、PEFの方がわずかに高い値であることを示すが、不確実性限界は、両ポリエステルに対して統計的に識別不能な値をもたらす。水拡散に関して図24に示されるE値は、両ポリエステルにおける酸素拡散に関するそれぞれのE値との明白な類似性を示す[16]。かかる挙動は、塩酸ゴム、PET、エチルセルロース、およびポリプロピレンに対して同ポリマーにおける水および酸素に関して類似のE値を報告したYasudaおよびStannettの研究と一致している。
両ポリエステルの水収着の有効エンタルピー(ΔH)の値は第1部で計算され、PEFについて−47.5±0.6kJ/molおよびPETについて−47.0±0.6kJ/molの値を示す[15]。両ポリエステルに対して収着エンタルピーと拡散活性化エネルギーとを組み合わせると、式21により計算可能な透過の有効活性化エネルギー(E)の推定値が得られる。PEFおよびPETにおける水のEの推定値は表5に提供される。表中、不確実性限界は当てはめの標準誤差に由来する。
=E+ΔH (21)
Figure 0006732737
表5に報告されたEの値はゼロに近い小さい値を呈することから、測定された活性範囲(0.1〜0.2)にわたり両ポリエステルにおける水透過率に関して弱い温度依存性が示唆される。半結晶性PETに対して類似のE値が文献[55、56]に報告されている。なお、表2に報告された両ポリエステルのE値は初めての推定値である。将来、独立した透過試験により検証されることが理想的であろう。
4.まとめ
本開示は、35℃で全水分活性間隔にわたりアモルファスPEFおよびPETにおける水の速度論的取込み性を研究し、同一条件で対応する平衡取込み性を研究する先行研究を相補する[15]。これまでの研究と同様に3つの独立した相補的方法を用いて取込みデータを測定した。3つのすべての方法間で優れた一致が観測されたことにより、報告データの一貫性チェックが提供された。
約0.6の活性まで両ポリエステルにおける水拡散に関して単純フィック挙動が観測され、その後、非フィック緩和が存在するためベーレンス・ホッフェンバーグモデルを用いた処理が必要であった。制御スキームにより導入されたラグに起因して、自動VTI装置により測定されたすべての取込みデータに異常な湾曲が導入された。かかる異常挙動は、LongおよびRichman[23]により提案された拡散形式モデルを組み込むことにより問題なく説明されたが、パラメーターの物理的意味は2つの場合で完全に異なる。実際には、本件でのLongおよびRichmanのモデルの使用は単に便宜上に過ぎないが、元のLongおよびRichmanの研究での係数は実際の分子緩和時間に関連していた。
両ポリエステルは、全濃度範囲にわたり拡散係数と濃度増加との間で正の相関を呈した。0〜0.6の活性での拡散係数データは、部分不動化モデルを用いて記述可能であり(追加情報を参照されたい)、その後の二元挙動からの正の偏りは、可塑化の存在の可能性を示す。両ポリエステルにおける高い活性での可塑化またはクラスター化のいずれかの存在をさらに検証するために、本開示では行わなかった透過実験が最終的には必要である。
PEFは、35℃でPETと比較して全濃度範囲にわたり有意に約1/5の平均水拡散係数を呈する。PETに対するPEFの拡散係数の低下は、PETが対称フェニル環であるのに対してPEFが非対称フラン環であることから生じるセグメント移動性の低下に由来する[5]。その他に、PEFのフラン環の極性増加により、PETと比較して全濃度範囲にわたり約1.8倍の平均平衡水溶解性となる[15]。一般的な関係式P=DSを用いてPETに対するPEFの水溶解性の増加と水拡散性の減少とをそれぞれ組み合わせることにより、両ポリエステルの透過性の比較が可能になる。以上に挙げたパラメーターの乗算を行うと、全濃度間隔にわたり35℃でPEFにおける水の平均透過性がPETの約1/2.8となる。この値は、PEFの透過性がPETの約1/2であるというAvantium[17]による報告に類似している。本開示は、第1部の研究[15]と組み合わせて、PEFにおける水輸送の初めての詳細な研究を提供する。
参照文献
1. Hodge RM, Bastow TJ, Edward GH, Simon GP, and Hill AJ. Free Volume and the Mechanism of Plasticization in Water-Swollen Poly(vinyl alcohol). Macromolecules 1996; 29(25):8137-8143.
2. Bastioli C, Guanella I, and Romano G. Effects of water sorption on the physical properties of PET, PBT, and their long fibers composites. Polymer Composites 1990; 11(1):1-9.
3. Mali S, Sakanaka LS, Yamashita F, and Grossmann MVE. Water sorption and mechanical properties of cassava starch films and their relation to plasticizing effect. Carbohydrate Polymers 2005; 60(3):283-289.
4. Lahokallio S, Saarinen K, and Frisk L. Changes in water absorption and modulus of elasticity of flexible printed circuit board materials in high humidity testing. Microelectronics and Packaging Conference (EMPC), 2011 18th European, 2011. pp. 1-6.
5. Burgess SK, Leisen JE, Kraftschik BE, Mubarak CR, Kriegel RM, and Koros WJ. Chain Mobility, Thermal, and Mechanical Properties of Poly(ethylene furanoate) Compared to Poly(ethylene terephthalate). Macromolecules 2014;47(4): 1383-1391.
6. Gruter G-JM, Sipos L, and Adrianus Dam M. Accelerating research into bio-based FDCA-polyesters by using small scale parallel film reactors. Combinatorial Chemistry & High Throughput Screening 2012; 15(2): 180-188.
7. Gandini A, Silvestre AJD, Neto CP, Sousa AF, and Gomes M. The furan counterpart of poly(ethylene terephthalate): An alternative material based on renewable resources. Journal of Polymer Science Part A: Polymer Chemistry 2009; 47(1):295-298.
8. Gomes M, Gandini A, Silvestre AJD, and Reis B. Synthesis and characterization of poly(2,5-furan dicarboxylate)s based on a variety of diols. Journal of Polymer Science Part A: Polymer Chemistry 201 1;49(17):3759-3768.
9. Papageorgiou GZ, Tsanaktsis V, and Bikiaris DN. Synthesis of poly(ethylene furandicarboxylate) polyester using monomers derived from renewable resources: thermal behavior comparison with PET and PEN. Physical Chemistry Chemical Physics 2014.
10. Knoop RJI, Vogelzang W, van Haveren J, and van Es DS. High molecular weight poly(ethylene-2,5-furanoate); key aspects in synthesis and mechanical property determination. Journal of Polymer Science Part A: Polymer Chemistry 2013;51(19):4191-4199.
11. Gopalakrishnan P, Narayan-Sarathy S, Ghosh T, Mahajan K, and Belgacem M. Synthesis and characterization of bio-based furanic polyesters. Journal of Polymer Research 2013;21(1): 1-9.
12. Tonelli AE. PET versus PEN: what difference can a ring make? Polymer 2002;43(2):637-642.
13. Rueda DR and Varkalis A. Water Sorption/Desorption Kinetics in Poly(Ethylene Naphthalene-2,6-Dicarboxylate) and Poly(Ethylene Terephthalate). Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics 1995;33:2263-2268.
14. Rueda DR, Viksne A, Kajaks J, Balta-Calleja FJ, and Zachmann HG. Properties of arylpolyesters with reference to water content. Macromolecular Symposia 1995;94(1):259-268.
15. Burgess SK, Mikkilineni DS, Yu D, Kim DJ, Mubarak CR, Kriegel RM, and Koros WJ. Water Sorption in Poly(ethylene furanoate) Compared to Poly(ethylene terephthalate). Part I: Equilibrium Sorption. Polymer 2014;Submitted.
16. Burgess SK, Karvan O, Johnson JR, Kriegel RM, and Koros WJ. Oxygen Sorption and Transport in Amorphous Poly(ethylene furanoate). Polymer 2014;Submitted.
17. Avantium - PEF bottles. http://avantium.com/yxy/products-applications/fdca/PEF-bottles.html.
18. McBain JW and Bakr AM. A NEW SORPTION BALANCE 1. Journal of the American Chemical Society 1926;48(3):690-695.
19. Crank J. The Mathematics of Diffusion, 2nd ed.: Oxford Science Publications, 1975.
20. Chandra P and Koros WJ. Sorption and transport of methanol in poly(ethylene terephthalate). Polymer 2009;50:236-244.
21. Chandra P and Koros WJ. Sorption of lower alcohols in poly(ethylene terephthalate). Polymer 2009;50:4241-4249.
22. Crank J and Park GS. Diffusion in Polymers. London: Academic Press, 1968.
23. Long FA and Richman D. Concentration Gradients for Diffusion of Vapors in Glassy Polymers and their Relation to Time Dependent Diffusion Phenomenal,2. Journal of the American Chemical Society 1960;82(3):513-519.
24. Rodriguez O, Fornasiero F, Arce A, Radke CJ, and Prausnitz JM. Solubilities and diffusivities of water vapor in poly(methylmethacrylate), poly(2- hydroxyethylmethacrylate), poly ( -viny 1-2 -pyrrolidone) and poly(acrylonitrile). Polymer 2003;44(20):6323-6333.
25. Arce A, Fornasiero F, Rodriguez O, Radke CJ, and Prausnitz JM. Sorption and transport of water vapor in thin polymer films at 35 [degree]C. Physical Chemistry Chemical Physics 2004;6(1): 103-108.
26. Weinmuller C, Langel C, Fornasiero F, Radke CJ, and Prausnitz JM. Sorption kinetics and equilibrium uptake for water vapor in soft-contact-lens hydrogels. Journal of Biomedical Materials Research Part A 2006;77A(2):230-241.
27. Mamaliga I and Negoescu C. SOME ASPECTS OF TWO STAGE DIFFUSION IΝ POLYMER FILMS AND MEMBRANES. Environmental Engineering & Management Journal (EEMJ) 2012; 11(11):2091-2099.
28. Sanopoulou M, Roussis PP, and Petropoulos JH. A detailed study of the viscoelastic nature of vapor sorption and transport in a cellulosic polymer. I. Origin and physical implications of deviations from Fickian sorption kinetics. Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics 1995;33(7):993-1005.
29. Sanopoulou M and Petropoulos JH. Systematic Analysis and Model Interpretation of Micromolecular Non-Fickian Sorption Kinetics in Polymer Films. Macromolecules 2001 ;34(5): 1400-1410.
30. Berens AR and Hopfenberg HB. Diffusion and relaxation in glassy polymer powders: 2. Separation of diffusion and relaxation parameters. Polymer 1978; 19(5):489-496.
31. Sun Y-M. Sorption/desorption properties of water vapour in poly(2-hydroxyethyl methacrylate): 2. Two-stage sorption models. Polymer 1996;37(17):3921-3928.
32. Joshi S and Astarita G. Diffusion-relaxation coupling in polymers which show two-stage sorption phenomena. Polymer 1979;20(4):455-458.
33. Pomerantsev AL. Phenomenological modeling of anomalous diffusion in polymers. Journal of Applied Polymer Science 2005;96(4): 1102-1114.
34. Burgess SK, Kriegel RM, and Koros WJ. Diffusion Coefficient Modeling in Polyester Barrier Materials: Applications of Infinite Series Solutions. Society of Plastics Engineers - ANTEC Las Vegas, Nevada, 2014. pp. 830 - 835.
35. Vrentas JS, Jarzebski CM, and Duda JL. A Deborah number for diffusion in polymer-solvent systems. AIChE Journal 1975;21 (5): 894-901.
36. Potreck J, Uyar F, Sijbesma H, Nijmeijer K, Stamatialis D, and Wessling M. Sorption induced relaxations during water diffusion in S-PEEK. Physical Chemistry Chemical Physics 2009; 11(2):298-308.
37. Detallante V, Langevin D, Chappey C, Metayer M, Mercier R, and Pineri M. Kinetics of water vapor sorption in sulfonated polyimide membranes. Desalination 2002; 148(1-3):333-339.
38. Williams JL, Hopfenberg HB, and Stannett V. Water transport and clustering in poly[vinyl cloride], poly[oxymethylene], and other polymers. Journal of Macromolecular Science, Part B 1969;3(4):711-725.
39. Wellons JD and Stannett V. Permeation, sorption, and diffusion of water in ethyl cellulose. Journal of Polymer Science Part A-1 : Polymer Chemistry 1966;4(3):593- 602.
40. Schult KA and Paul DR. Water sorption and transport in blends of poly(vinyl pyrrolidone) and polysulfone. Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics 1997;35(4):655-674.
41. Schult KA and Paul DR. Water sorption and transport in a series of polysulfones. Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics 1996;34(16):2805-2817.
42. Okamoto K-I, Tanihara N, Watanabe H, Tanaka K, Kita H, Nakamura A, Kusuki Y, and Nakagawa K. Sorption and diffusion of water vapor in polyimide films. Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics 1992;30(11): 1223-1231.
43. Petropoulos JH, Sanopoulou M, and Papadokostaki KG. Beyond Fick: How Best to Deal with non-Fickian Behavior in a Fickian Spirit. Diffusion Fundamentals 2009; 11 : 1-21.
44. Dhoot SN, Freeman BD, Stewart ME, and Hill AJ. Sorption and transport of linear alkane hydrocarbons in biaxially oriented polyethylene terephthalate. Journal of Polymer Science Part B : Polymer Physics 2001 ;39(1 1 ): 1160- 1172.
45. Dhoot SN, Freeman BD, and Stewart ME. Sorption and Transport of Linear Esters and Branched Alkanes in Biaxially Oriented Poly(ethylene terephthalate). Industrial & Engineering Chemistry Research 2004;43(12):2966-2976.
46. Schult KA and Paul DR. Water sorption and transport in blends of polyethyloxazoline and polyethersulfone. Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics 1997;35(6):993-1007.
47. Park H. Characterization of Moisture Diffusion into Polymeric Thin Film. Experimental Mechanics 2013;53(9): 1693-1703.
48. Berens AR Effects of sample history, time, and temperature on the sorption of monomer vapor by PVC. Journal of Macromolecular Science, Part B 1977; 14(4):483-498.
49. Bagley E and Long FA. Two-stage Sorption and Desorption of Organic Vapors in Cellulose Acetatel,2. Journal of the American Chemical Society 1955;77(8):2172- 2178.
50. Langevin D, Grenet J, and Saiter JM. Moisture Sorption in PET: Influence on the Thermokinetic Parameters. European Polymer Journal 1994;30(3):339-345.
51. Launay A, Thominette F, and Verdu J. Water sorption in amorphous poly(ethylene terephthalate). Journal of Applied Polymer Science 1999;73(7): 1131-1137.
52. Michaels AS, Vieth WR, and Barrie JA. Diffusion of Gases in Polyethylene Terephthalate. Journal of Applied Physics 1963;34(1): 13-20.
53. Yasuda H and Stannett V. Permeation, Solution, and Diffusion of Water in Some High Polymers. Journal of Polymer Science 1962;57:907-923.
54. Henry BM, Erlat AG, McGuigan A, Grovenor CRM, Briggs GAD, Tsukahara Y, Miyamoto T, Noguchi N, and Niijima T. Characterization of transparent aluminium oxide and indium tin oxide layers on polymer substrates. Thin Solid Films 2001 ;382(1-2): 194-201.
55. Thornton ER, Stannett V, and Szwarc M. The permeation of vapors and liquids through polymer films. Journal of Polymer Science 1958;28(117):465-468.
56. Hubbell WH, Brandt H, and Munir ZA. Transient and steady-state water vapor permeation through polymer films. Journal of Polymer Science: Polymer Physics Edition 1975; 13(3):493-507.
第2部.速度論的収着 − 追加情報
1.拡散モデルの理由付け
本開示の速度論的収着の節(第2部)で述べたように、自動VTI装置により作成された取込み曲線は、主に自動制御スキームにより導入されたラグに起因して短い時間で異常な湾曲を呈した([1]の図11を参照されたい)。かかるデータは、フィルム表面で表面濃度への指数関数的アプローチを実現するLongおよびRichman[2]により確立されたフレームワークを用いて形式的にモデリングした。境界条件および過渡拡散方程式の解は、以下の式S1およびS2で再現される。式中、lはフィルム厚さであり、Cは濃度であり、DAvgは濃度間隔にわたり平均された有効拡散係数であり、かつτはフィルム表面で平衡飽和を達成する時定数である。
Figure 0006732737
LongおよびRichman[2]の最初の適用では、式S1およびS2は、蒸気収着時にポリマーで起こる非フィック緩和を補償するために組み込まれた。したがって、モデルパラメーターτは、材料の固有の性質を表し、研究対象の透過物/ポリマー系によって異なるであろう。本開示は、VTI装置の自動プロセス制御スキームにより導入されたラグを補償するために便宜性から式S2が組み込まれたという点で元の適用と異なる。自動VTI装置は、所望の水分活性を達成するために異なるそれぞれの流量を用いて2つの個別の窒素ストリーム(一方は完全加湿ストリームおよび他方は乾燥ストリーム)を混合することにより機能する。次いで、得られた混合ストリームは、半分がサンプルの入ったチャンバーに流入しかつ他の半分が空の石英バスケットの入った個別の参照チャンバーに流入するようにスプリットされる。VTI装置の操作に関するさらなる詳細は他に提供されている[1、3]。
本開示で観測された異常な収着速度論的挙動の二次的原因は、サンプルチャンバー内のキャリヤーガスの長い滞留時間によるフィルム表面の水分濃度の変動に由来する。この挙動は、連続撹拌タンク反応器(CSTR)の濃度段階変化で観測されるものに概念的に類似している。本開示でのキャリヤーガスの滞留時間(τRes)は、サンプルチャンバーの体積(cm)をキャリヤーガスの体積流量(cm/min)で除算したものとして定義される。チャンバーの体積は、約152cm(約3.8×3.8×10.5cm)と推定され、かつ湿潤/乾燥合計流量は、すべての水分活性に対して約427cm/minに自動設定された。サンプルチャンバー内のキャリヤーガスの滞留時間の計算は単純であり、約43s(すなわち、152/(427/2))に等しい。したがって、τResの値は、本開示の速度論的収着の節(第2部)の図20の収着時および脱着時に全活性範囲にわたり平均されたτに対する約133sの値よりも小さいが、依然として異常な速度論的挙動全体に寄与する可能性がある。その結果、式S2のτパラメーターは、水分活性の段階変化に伴うプロセス制御ラグおよび二次的滞留時間効果の両方の寄与を反映する。この見解の追加の研究は表S1に提供されている。この表には、手動制御により、より少ない流量で操作された窒素に加えて純粋なヘリウムおよび純粋なアルゴンをキャリヤーガスとして用いてPEFにおける水に対して測定されたDAvgおよびτのデータが列挙されている。表S1のデータはすべて、0.1〜0.2の活性の収着間隔で45℃で測定された。
Figure 0006732737
表S1から分かるように、DAvgおよびτの値は、すべての場合で大きさが類似しており、例外の可能性があるのは、106ccSTP/minの最低窒素流量を用いて測定されたτ値である。この挙動から、キャリヤーガスのタイプも流量も拡散プロセスへの異常な寄与に有意に影響しないことが示唆される。さらに、この挙動は、プロセス制御ラグが異常な収着挙動の主原因であり滞留時間効果がおそらく二次的原因として存在するという見解と一致している。これらの実験から、非物理的な「装置誘起」の異常な挙動を除去するための本開示の式S1およびS2の有用性がさらに確認されるため、より正確な固有のポリマーパラメーターの抽出が可能になる。
2.35℃での石英スプリングによる拡散係数データ
35℃で水収着時に得られた拡散係数は、PEF(菱形)およびPET(丸)に対して自動VTIシステム(黒印点)および手動石英スプリングシステム(白印)により測定されて図25に提供されている。図25のDAvg値は収着間隔の中点にプロットされ、2つの独立した方法間で一致を呈する。
3.部分不動化モデルの解釈
ガラス状ポリマーにおける低い活性の蒸気の拡散は、多くの場合、ラングミュア微小空隙と比較してヘンリーの法則の環境で収着される透過物に対して異なる移動性が存在すると仮定する部分不動化モデル(PIM)を用いて記述可能である[4、5]。離散間隔にわたり平均される拡散係数のPIM表現は式S3で与えられる[6〜8]。式中、Dはヘンリーの法則の環境に対する拡散係数であり、Fはヘンリーの法則の環境と比較してラングミュア微小空隙の透過物の移動性の差であり(D/D)、pは間隔の開始(下付き文字1)および間隔の終了(下付き文字2)における圧力であり、bはラングミュア親和性パラメーターであり、かつK=C’b/kである。
Figure 0006732737
本開示の第1部の部分で考察したように、単純二元収着挙動は、約0.6の活性まで両ポリエステルにおいて35℃で水に対して観測された(参照文献[3]の図1を参照されたい)。式S3の評価に必要な二元モデルパラメーター(すなわち、C’、b、およびk)の値は、参照文献[3]の表2に提供されている。パラメーターFはゼロから1まで変化しうる。前者はラングミュア微小空隙内の全透過物不動化の限界を示し、かつ後者は不動化を示さない。ゼロ近傍のF値は、PETにおけるベンゼン[6]およびメタノール[9]などの凝縮性ガスおよび蒸気の輸送に共通しているため、PETおよびPEFにおける水に対する対応するパラメーターも同様にゼロ近傍であろうと予想される。したがって、後続の考察では両ポリエステルにおける水輸送に対してF≒0の値を仮定する。図26aおよび26bは、それぞれVTI装置を用いた初期収着試験時の35℃でのPEFおよびPETにおける水の拡散係数データを提供する。実線は、両方のそれぞれのデータセットへの式S3の最適当てはめを表す(F≒0を用いた)。式中、PEFにおける水についてD≒2.6×10−9cm/sであり、およびPETにおける水についてD≒1.5×10−8cm/sである。破線は0.6の活性(0.033atm)を表す。これは二元挙動からの逸脱を特徴付ける。
図26に見られるように、単純二元挙動からの逸脱は両ポリエステルとも約0.033atm(0.6の活性)で起こり、可塑化型挙動と一致している。しかしながら、可塑化の存在および透過物のクラスター化の不在を真に確認するには独立した透過実験が必要である。
参照文献
1. Burgess SK, Mikkilineni DS, Yu D, Kim DJ, Mubarak CR, Kriegel RM, and Koros WJ. Water Sorption in Poly(ethylenefuranoate) Compared to Poly(ethylene terephthalate). Part II: Kinetic Sorption. Polymer 2014;Submitted.
2. Long FA and Richman D. Concentration Gradients for Diffusion of Vapors in Glassy Polymers and their Relation to Time Dependent Diffusion Phenomenal,2. Journal of the American Chemical Society 1960; 82(3):513-519.
3. Burgess SK, Mikkilineni DS, Yu D, Kim DJ, Mubarak CR, Kriegel RM, and Koros WJ. Water Sorption in Poly(ethylene furanoate) Compared to Poly(ethylene terephthalate). Part I: Equilibrium Sorption. Polymer 2014;Submitted.
4. Petropoulos JH. Quantitative analysis of gaseous diffusion in glassy polymers. Journal of Polymer Science Part A-2: Polymer Physics 1970;8(10): 1797-1801.
5. Paul DR and Koros WJ. Effect of Partially Immobilizing Sorption on Permeability and the Diffusion Time Lag. Journal of Polymer Science: Polymer Physics Edition 1976; 14:675-685.
6. Patton CJ, Felder RM, and Koros WJ. Sorption and transport of benzene in poly(ethylene terephthalate). Journal of Applied Polymer Science 1984;29(4): 1095-1110.
7. Koros WJ and Hopfenberg HB. Small Molecule Migration in Products Derived from Glassy Polymers. Industrial & Engineering Chemistry Product Research and Development 1979; 18(4):353-358.
8. Koros WJ, Patton CJ, Felder RM, and Fincher SJ. Kinetics and equilibria of sulfur dioxide sorption in kapton polyimide. Journal of Polymer Science: Polymer Physics Edition 1980; 18(7): 1485-1495.
9. Lee JS, Chandra P, Burgess SK, Kriegel R, and Koros WJ. An advanced gas/vapor permeation system for barrier materials: Design and applications to poly(ethylene terephthalate). Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics 2012;50(17): 1262-1270.
第3部.水収着によるPEFおよびPEFコポリマーのプレフォームの加工および可塑化
概要
本開示の態様では、水収着によりポリ(エチレンフラノエート)(PEF)およびPEFコポリマーのプレフォームを加工または可塑化する方法が提供される。また、特に炭酸飲料用のポリマー系パッケージを作製するためにPEFおよびPEFコポリマーのプレフォームを使用する方法も開示される。「パッケージング材料」は、主にポリマー、たとえば本明細書に開示されるポリマーで作製されるか、またはそうしたポリマーを含むボトル、容器、槽、または入れ物を含む。ポリマーパッケージング材料に対して本開示で用いられる他の用語は、たとえば、ポリマー系のパッケージ、ボトル、容器、または槽、ポリマーのパッケージ、ボトル、容器、または槽、あるいは主にポリマー、たとえば本明細書に開示されるポリ(エチレンフラノエート)で作製されるか、またはそうしたポリマーを含むものを含む。
1.水により改質されたPEFおよびPEFコポリマーのプレフォーム
特に、炭酸ソフトドリンク用のボトルをはじめとするボトルおよび容器の作製にプレフォームが有益に使用されうるように、ポリ(エチレンフラノエート)(PEF)およびポリ(エチレンフラノエート)コポリマー(PEFコポリマー)のポリエステルプレフォームの加工ウィンドウを拡張する方法を提供する。たとえば、拡張された加工ウィンドウを呈する水により改質されたPEFおよびPEFコポリマーのプレフォームは、本開示に従って水収着により作製可能である。典型的には、水収着は、PEFおよびPEFコポリマーのプレフォームの可塑化を促進するために周囲温度もしくはより高い温度の水(または高湿度の空気)で行われる。したがって、改質(可塑化)は、典型的には射出成形により作製された後のプレフォーム自体で行われる。本開示に従って水収着プロセスにより改質可能な特定のポリ(エチレンフラノエート)(PEF)プレフォーム特性としては、限定されるものではないが、Tg(ガラス転移温度)、ΔTg、プロセスウィンドウ、乾燥性などが挙げられる。
1.1 取込みおよびバリヤー
PEFへの水の溶解性については、本開示の先行する節に詳述されている。PEFはPETと比較して水の溶解性が増大しかつ飽和状態でより高レベルの水を有することが実証されている。こうした差により、乾燥がより困難になりかつおそらく加工時の有害反応の可能性が増大するであろうため、加工パラメーターの発見は進歩的および非自明的なものとなる。
PEF樹脂およびフィルムに出入りする水の拡散性は、PETと比較して低い。このことからも、以上に詳述したようにPETと比較してPEFの乾燥がより困難になる。全体として透過性は拡散性(PEFの方がPETよりも低い)と溶解性(PETと比較してPEFの方が高い)との積であり、全体としてPETと比較して1/2〜1/3となる。この特徴は、それらの水収着挙動の差を特に理解しなければ従来のPETの乾燥プロセスをPEFの加工に使用できないため、その代わりに新しい方法および技術を開発する必要があることを示唆する。
1.2 活性
本明細書に提示されたデータから示唆されるように、輸送機構は活性および時間の関数として変化する。低濃度の水または低相対湿度(RH)では標準的二元モデルに従う。この機構は、0.6超の水分活性または60%RH超で二元モデルから、使用に供されるプレフォームのプレコンディショニングに有利に使用可能である、なより連続的なモデルに変化する。理論により拘束しようとするものではないが、この観測は、PEFにおける水分子のクラスター化または水のネットワーク形成を示唆する可能性がある。この機構変化は、おそらく水ポリマー鎖間で起こる関係および化学の変化を示唆する。
さらに、可塑化は最も単純にはTgの低下により示唆される。0.6超の活性ではPEFのTgは低下するが材料の弾性率は増加する。弾性率の増加は逆可塑化のプロキシと考えられてきたため、弾性率の大きい増加は予想外の驚くべき結果である。この場合も、理論により拘束されるものではないが、Tgの低下は、水によるポリマー鎖間相互作用の抑制に起因しうるか、または水との会合により鎖移動エネルギーの低下をもたらす潤滑作用に起因しうる。
1.3 プロセスウィンドウ
本開示の他の部分に示されるように、水はPEFを可塑化しTg温度の低下をもたらす。この場合も、理論により拘束しようとするものではないが、このTgの低下は、水とポリマー鎖との会合、鎖間相互作用の遅延、および鎖セグメントの移動エネルギー障壁の低下に起因しうる。したがって、こうして樹脂のTgが低下するため、Tgがより高い場合よりも低い温度で材料の延伸が可能になる。
Tgの低下および可塑化の増加は、ある期間にわたり周囲温度または周囲温度超の(高)温度でPEFまたはPEFコポリマーのプレフォームを水(ガラス転移温度超の熱水を含む)で処理するかまたはそうした水に接触させることにより実現される。一態様では、水とPEFまたはPEFコポリマーのプレフォームとの接触期間は、ある特定のレベルの含水率をプレフォームで達成するのに必要な時間、たとえば、十分に高温の水を用いて約1分間〜約1時間である。また、高温処理および得られる可塑化によりプレフォームに含まれるいずれの応力の緩和も可能になる。一態様では、プレフォームのボディーおよびエンドキャップは、処理されるプレフォームの一部に過ぎない。一般に、材料のTgは、延伸ブロー成形の加工ウィンドウの下限を決定しうると共に、部分的には材料中の水の値を規定する。また、熱水処理による応力の除去は、本方法および本方法により作製されて得られる製品に付加価値も提供する。
本開示の他の部分にも示されるが、PEFの弾性率はTg未満の温度で含湿率と共に増加することが見出された。この驚くべき結果から、材料および製造品で本開示に従って高含湿率を用いて加工した場合に高強度材料の作製が可能になった。また、この特徴は、最終的なボトル、容器、槽、または物品のより低いクリープ性およびより大きい耐温度性ももたらす。
一般論として、延伸ブロー成形または延伸のプロセスウィンドウはTgおよび結晶化温度により決定される。典型的な加工ウィンドウは、Tgよりも約5〜10度高くかつ結晶化温度よりも約5〜10度低く規定可能である。プレフォームのPEF中の水はTg温度の低下をもたらすが、結晶化温度にも結晶化時間にもなんら有意な影響を及ぼさないことを発見した。したがって、本明細書に記載の水収着プレコンディショニングプロセスの結果として、プレフォームまたは製造品を処理することにより延伸温度を低下させることが可能である。
1.4 乾燥
本開示の態様では、PEFにおける水の形状、結晶化度、ならびに拡散性および溶解性は、PEFペレットまたはチップを乾燥させるうえでの課題となる。PEFへの水の溶解性は比較可能なPETチップまたはペレットのものよりも高いため、潜在的に除去の必要な水の量はより多くなる。PEFからの水の拡散性は比較可能なPETペレットまたはチップで観測されるものの約1/6〜1/7であることから、水の除去は時間および温度の点で問題になることが示唆される。さらに、PEF中の水を40〜50ppm未満の含水率まで乾燥させないと、樹脂の劣化、分子量および固有粘度の損失、ならびに不十分な加工ウィンドウおよび不十分な機械的性能をもたらす可能性がある。したがって、効果的な乾燥を達成したりまたは残留水による材料の劣化を補償したりするという課題が存在する。
一態様では、乾燥を行うために調整剤を使用可能であることが見出された。具体的には、不十分な乾燥に起因するPEF中の残留水の影響を補償するために鎖延長添加剤を使用可能である。無水物などの鎖延長剤は水と反応することにより、水とポリマーとの反応ならびに鎖長およびIV(固有粘度)の低減を防止可能である。他の態様では、エポキシド添加剤が同一の結果を提供可能である。オキサゾリンなどのある特定の添加剤は水と反応して非反応性中間体を提供することにより材料の化学乾燥が可能である。その他に、これらの添加剤は、水を捕捉しつつ鎖長およびIVの増加を提供する役割もさらに果たしうる。そのため、ポリマーの主鎖と反応する水が捕捉されないことにより生じるポリマーの損傷をこれらの添加剤の使用により補償可能である。したがって、この方法には、二重の目的、すなわち、1)水を除去して加水分解による損傷を補償するという目的、および2)鎖延長または可能な分岐を介してIVを構築し物理的性質を調整するという目的がある。
また、ある特定の調整剤を用いて固相重合(SSP)を補償することも可能である。そのため、添加剤の他の高度な使用によりIVおよび分子量を構築する添加剤の使用による固相重合の必要性を補償可能である。SSPプロセスは、十分に長い期間にわたって行うと、樹脂が着色を起こすおそれがあると共に射出成形時にさらに変色を起こすおそれもある。したがって、樹脂の色を最小限に抑えるためにSSP時間を短縮することが一般に望ましい。典型的な樹脂は、0.55〜0.65dL/gの反応器後IVから0.8〜0.95dL/gのIVに重合された固体状態であろう。所望のIVが高くなるほど、より多くのSSP時間が必要になるであろう。また、初期射出成形プロセスでは0.65〜0.8dL/gの範囲内の低IV材料を使用可能であるが、製造品は0.84dL/g超のIVを有するにように分子量を構築するために、添加剤を使用することも可能である。好ましくは、製造品は約0.9dL/g超のIVを有するであろう。樹脂の出発IVが低いほど、製造品の目標IVを達成するためにより多くの添加剤が一般に必要であろうが、この方式では約0.02wt%〜約0.9wt%の範囲内の鎖延長添加剤の投入量が効果的に使用可能である。
2.水により改質されたPEFプレフォームの熱的結果および他の試験
2.1 示差走査熱量測定の結果
暴露時間および水温の種々の条件下でプレコンディショニングされたPEFプレフォームを用いて示差走査熱量測定(DSC)試験を行った。第1の加熱DSCスキャンの結果は表Aに提示され、第1の加熱後のサンプルを冷却した後の第2の加熱DSCスキャンの結果は表Bに示されている。
Figure 0006732737
Figure 0006732737
第1および第2の加熱から得られた表AおよびBのデータは、図27〜33にグラフで提示されている。これらの図は、二元モデルからより連続的なモデルまで0.6超の水分活性(または60%RH)での明らかな機構変化を含めて水収着により生じる特性の劇的な提示を提供する。表AおよびBのデータおよび図27〜33を精査すると、次の観測結果が提供される。第1に、熱水処理時間が増加するにつれて第1の加熱時のTgおよびTcの値の低下が観測された。ΔΗ値の測定も行ったところ、熱水処理時間が増加するにつれてより高い(ΔH−ΔH)値が測定された。さらに、一般に結晶化は160℃であまりにも遅かったため、実験時にシグナルの最大値に達しなかった。
したがって、以上のデータから分かるように、本開示は、特に、延伸ブロー成形のためにポリ(エチレンフラノエート)またはポリ(エチレンフラノエート)コポリマーのプレフォームをプレコンディショニングする方法を提供する。本方法は、
a)ポリ(エチレンフラノエート)(PEF)またはポリ(エチレンフラノエート)コポリマー(PEFコポリマー)のプレフォームを提供する工程と、
b)PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームと水または高(>50%)相対湿度の空気とをある期間にわたり周囲温度以上の温度で接触させて、プレコンディショニングされたPEFまたはPEFコポリマーのプレフォームを形成する工程と
を含む。一態様では、PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームと少なくとも約65%の相対湿度の空気とを約0.25h〜約72hの期間にわたり約45℃超の温度で接触させることが可能である。他の態様では、PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームと少なくとも約90%の相対湿度の空気とを約0.5h〜約20hの期間にわたり約50℃超の温度で接触させることが可能である。代替的に、PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームと室温の水とを約3h〜約30hの期間にわたり接触させることが可能であるか、あるいはさらに代替的に、PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームと水とを約15hまでにわたり約80℃の温度で接触させることが可能である。本開示はまた、開示された方法に従って作製されたプレコンディショニングされたポリ(エチレンフラノエート)(PEF)またはポリ(エチレンフラノエート)コポリマー(PEFコポリマー)のプレフォームを提供する。
プレフォームを作製する方法の他に、ポリ(エチレンフラノエート)またはポリ(エチレンフラノエート)コポリマーの容器を作製する方法も提供される。本方法は、
a)本明細書に開示された方法のいずれかに従って延伸ブロー成形するために、ポリ(エチレンフラノエート)(PEF)またはポリ(エチレンフラノエート)コポリマー(PEFコポリマー)のプレフォームをプレコンディショニングして、プレコンディショニングされたPEFまたはPEFコポリマーのプレフォームを形成する工程と、
b)同等のプレコンディショニングされていないPEFまたはPEFコポリマーのプレフォームを延伸ブロー成形するのに必要な対応する温度、圧力、またはその両方よりも低い温度、圧力、またはその両方で、プレコンディショニングされたPEFまたはPEFコポリマーのプレフォームを延伸ブロー成形して、PEFまたはPEFコポリマーの容器を形成する工程と
を含む。この態様では、本明細書に開示された方法のいずれかによりPEFまたはPEFコポリマーのプレフォームをプレコンディショニングすることも可能である。たとえば、約0.25h〜約72hの期間にわたり約45℃超の温度で少なくとも約65%の相対湿度の空気と接触させることにより、PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームをプレコンディショニングすることが可能である。他の態様では、PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームと少なくとも約90%の相対湿度の空気とを約0.5h〜約20hの期間にわたり約50℃超の温度で接触させることが可能である。代替的に、PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームと室温の水とを約3h〜約30hの期間にわたり接触させることが可能であるか、あるいはさらに代替的に、PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームと水とを約15hまでにわたり約80℃の温度で接触させることが可能である。本開示はまた、開示された方法に従って作製されたポリ(エチレンフラノエート)(PEF)またはポリ(エチレンフラノエート)コポリマー(PEFコポリマー)の容器またはボトルを提供する。
いくつかの実施形態では、PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームは、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の相対湿度の空気を用いてコンディショニングされる。さらに、相対湿度パーセントは、両端を含めてこれらの数値のいずれかの間の値に上昇可能である。このパラメーターは、任意の他のパラメーターに依存せずにまたはそれと同時に調整可能である。いくつかの実施形態では、PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームは、約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、または185℃の温度でコンディショニングされる。さらに、温度は、両端を含めてこれらの数値のいずれかの間の値に上昇可能である。このパラメーターは、任意の他のパラメーターに依存せずにまたはそれと同時に調整可能である。いくつかの実施形態では、PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームは、約0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80時間、またはそれを超える期間にわたりコンディショニングされる。さらに、期間は、両端を含めてこれらの数値のいずれかの間の値に延長可能である。このパラメーターは、任意の他のパラメーターに依存せずにまたはそれと同時に調整可能である。
2.2 追加試験
熱的性質(TgおよびTc)は、一般に可塑化効果の指標を提供するが、それだけでなく加工ウィンドウの下端を規定するのに役立つ。Tgの低下は含水率および平衡時間の関数であることがデータから示唆される。直交偏光子を介する写真により可視化される応力パターンは、プレフォーム中の応力および応力度の指標となりうる。応力干渉縞の密度および数は一般に応力度の指標となる。応力解放は、たとえば、より低い水温で水により可塑化されたプレフォームの熱成形または最大加速エージングの時間および温度に起因しうる干渉縞の数の低減または干渉縞の実質的な除去により実証可能である。フリーブローデータは、膨張前に必要とされる誘導時間、膨張速度、および最終膨張値(すなわち延伸比)を低減する応力解放の指標を提供しうる。
軸方向とフープ方向との延伸性の差に及ぼす応力および水の影響も興味深く、応力レベルの低減は、一般に、誘導時間を短縮し、延伸速度を増加し、かつ軸延伸とフープ延伸との差を低減する。可塑化は類似の影響を及ぼしうる。密度測定を用いて延伸時の結晶化量および結晶化度の指標を提供可能であり、プレフォームの密度および結晶化度は歪み硬化レベルの指標となる。酸素およびCOのバリヤー性に関してフリーブローバルーンのディスクを試験しうると共に、それにより、したがって完成品に及ぼす成形型温度、応力、およびプロセスの影響の指標を提供しうる。さらに、固有粘度は、射出成形時の劣化レベルを示しうると共に、プレフォームに及ぼす成形型および水の影響に関して迅速参照点を提供しうる。フリーブローバルーンおよびボトル側壁のインストロン試験を用いて、軸応力およびフープ応力の影響ならびに成形型温度および含水率の影響を示しうる。
本開示は、以下の実施例によりさらに例示されるが、これらの実施例は、本開示の範囲になんら限定を課すものと解釈すべきではない。実施例は、開示された主題を例示するために記載されたものであり、本明細書に開示された主題のすべての態様を包含することが意図されたものではなく、代表的な方法および結果を例示するためのものである。これらの実施例は、当業者に明らかな本発明の均等物および変形形態を除外することが意図されたものではない。
実施例
実施例1
標準的プロセスおよび装置を用いてプレフォームを作製し、制御された相対湿度および温度を有する条件(たとえば、コンディショニングまたは「プレコンディショニング」の室内)で貯蔵する。制御された相対湿度および温度への迅速かつ一様な暴露を可能にする条件下でプレフォームを貯蔵する。暴露時間は、本明細書に提供されたデータに基づくなど、所望の性質を提供するのに十分な時間に基づく。
実施例2
標準的プロセスおよび装置を用いてプレフォームを作製し、特定の期間(典型的には約1〜約15時間)にわたりかつ選択された温度で水の入ったタンクまたは「水浴」中に貯蔵する。プレフォームの一様なコンディショニングを促進するために、プレフォームを水浴中に貯蔵すると共に水を所望の温度に維持しかつ適正に循環する。所望の契約時間後、プレフォームを水から取り出し、プレフォームにトラップされた水をタンブリングにより除去し、およびブロー成形の直前にエアナイフまたはファンにより表面の水を迅速に除去する。
実施例3
標準的プロセスおよび装置を用いてプレフォームを作製し、およびジグに移して仕上げセクションの内側および外側により保持する。ジグは、プレフォームの内側を高温水(循環)に暴露する手段を提供すると共に、プレフォームの外側を高温かつ高相対湿度(>50%)に暴露できるようにするかまたは代わりに昇温でバルク水に暴露できるようにする。所望の接触時間および温度でこれらの条件に暴露した後、プレフォームをジグから取り出し、タンブリングによりバルク水を除去し、エアナイフまたはファンにより表面の水を除去しうると共に、次いで、ただちに延伸ブロー成形によりブローしてボトルにする。
実施例4
表Cおよび図34は、本開示に係るプレフォームの延伸比に及ぼす湿分効果を示すデータを提供する。
Figure 0006732737
値または範囲は、本明細書では、「約」が付された一方の特定の値から、および/または「約」が付された他方の特定の値まで、「約」として表現されうる。かかる値または範囲が表現された場合、開示された他の実施形態は、挙げられた特定の値、一方の特定の値から、および/または他方の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表現された場合、前に付される「約」を用いることによりその特定の値が他の実施形態を形成することは理解されよう。本明細書に開示されたいくつかの値が存在し、かつ各値がその値自体の他に「約」が付されたその特定の値としても本明細書に開示されることは、さらに理解されよう。態様では、「約」は挙げられた値の10%以内、挙げられた値の5%以内、または挙げられた値の2%以内を意味しうる。
また、本明細書で利用しうるいずれの見出しも、特許請求の範囲を解釈したり本明細書に開示される主題の範囲を限定したりするために用いることを意図したものではない。別段に推定的または予言的なものと示唆される実施例を記述するうえでの過去時制の使用はいずれも、推定的または予言的な実施例が実際に行われたこと示唆することを意図したものではない。
特に指定がない限り、いずれかのタイプの範囲、たとえば、重量パーセント、処理時間などの範囲が開示または特許請求される場合、明記された範囲は、任意の部分範囲および部分範囲の組合せを含めて、かかる範囲が合理的に包含しうるそれぞれの可能な数値を個別に開示または特許請求することが意図される。たとえば、重量パーセントなどの測定の範囲を記述する場合、かかる範囲が合理的に包含しうる可能な数値はすべて、たとえば、範囲の端点に存在するよりも1桁多い有効桁を有する範囲内の値を意味しうる。この例では、10パーセント〜20パーセントの重量パーセントは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20重量パーセントを個別に含む。本出願人の意図は、範囲を記述するこれらの2つ方法が互換的であることである。さらに、値の範囲が開示または特許請求され、かかる範囲が合理的に包含しうるそれぞれの可能な数値を本出願人が個別に示唆することを意図する場合、本出願人はまた、範囲の開示がそれに包含されるあらゆる部分範囲および部分範囲の組合せを開示することおよびそれと互換的であることも意図する。本出願人は、たとえば、本出願人が出願申請を行った時点で認識していない参照文献を考慮して、なんらかの理由で本出願人が本開示に係る最大限の規定よりも狭く特許請求する選択を行ったとしても、グループ内の任意の部分範囲または部分範囲の組合せを含めて、任意のかかるグループの任意の個別のメンバーに付帯条件を課すか、またはそれらを除外する権利を留保する。
米国特許商標庁に対するいずれの出願においても、「米国特許商標庁および一般大衆が技術的開示の性質および要旨を簡略的な検査で迅速に判定できるようにするため」、連邦規則集第37編第1.72条の要件および連邦規則集第37編第1.72条第(b)項で明記された目的を満たすように本出願の概要を提供する。したがって、本出願の概要は、特許請求の範囲を解釈したり本明細書に開示される主題の範囲を限定したりするために用いることを意図したものではない。さらに、本明細書で利用されるいずれの見出しも、特許請求の範囲を解釈したり本明細書に開示される主題の範囲を限定したりするために用いることを意図したものではない。
別段に推定的または予言的なものと示唆または理解される実施例を記述するうえでの過去時制の使用はいずれも、推定的または予言的な実施例が実際に行われたこと示唆することを意図したものではない。
本開示に係る態様を記述する以下の番号付きの項を提供する。これらの項は、文脈上許容される場合、本発明の種々の属性、特徴、および実施形態をいずれも独立してまたは任意の組合せで明記する。すなわち、文脈上許容される場合、任意の単一の番号付きの態様および以下の番号付きの態様の任意の組合せは、本開示の種々の属性、特徴、および実施形態を開示する。

Claims (13)

  1. 延伸ブロー成形のためにポリ(エチレンフラノエート)またはポリ(エチレンフラノエート)コポリマーのプレフォームをプレコンディショニングする方法であって、
    a)ポリ(エチレンフラノエート)(PEF)またはポリ(エチレンフラノエート)コポリマー(PEFコポリマー)のプレフォームを有する工程と、
    b)前記PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームと80℃の温度の水と15hまでにわたり接触させる工程と、を含む方法。
  2. 前記PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームが、前記PEFまたはPEFコポリマーのプレフォーム中の残留水の影響を補償するか、または固相重合時間を短縮する調整剤を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記調整剤がPEFまたはPEFコポリマーの鎖長を延長する、請求項に記載の方法。
  4. 前記調整剤が無水物、エポキシド、またはオキサゾリンである、請求項に記載の方法。
  5. 前記調整剤が前記PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームの固有粘度または分子量を増加させる、請求項に記載の方法。
  6. 前記調整剤が前記PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームの0.02wt%〜0.9wt%を占める、請求項に記載の方法。
  7. 平均固有粘度を増加させて、0.8dl/g以上の平均固有粘度(IV)を有するPEFまたはPEFコポリマーのプレフォームを形成するために、前記PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームを固相重合(SSP)プロセスに付す工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記プレコンディショニングされたPEFまたはPEFコポリマーのプレフォームが、コンディショニングされていないPEFまたはPEFコポリマーのプレフォームに対してより低いガラス転移温度を有する、請求項1に記載の方法。
  9. c)前記PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームを水から取り出す工程と、
    d)前記PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームをタンブリングして、前記PEFまたはPEFコポリマーのプレフォーム中にトラップされた水を除去する工程と、
    e)エアナイフまたはファンを用いて前記PEFまたはPEFコポリマーのプレフォームから表面の水を除去する工程と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  10. ポリ(エチレンフラノエート)またはポリ(エチレンフラノエート)コポリマーの容器を作製する方法であって、
    a)請求項1〜のいずれか一項に記載の方法に従ってポリ(エチレンフラノエート)(PEF)またはポリ(エチレンフラノエート)コポリマー(PEFコポリマー)のプレフォームをプレコンディショニングして、プレコンディショニングされたPEFまたはPEFコポリマーのプレフォームを形成する工程と、
    b)前記プレコンディショニングされたPEFまたはPEFコポリマーのプレフォームを延伸ブロー成形してPEFまたはPEFコポリマーの容器を形成する工程と、を含む方法。
  11. 前記延伸ブロー成形工程が、前記プレコンディショニングされたPEFまたはPEFコポリマーのプレフォームのガラス転移温度よりも5℃高い温度から前記プレコンディショニングされたPEFまたはPEFコポリマーのプレフォームの結晶化温度よりも5℃低い温度までとして定義されるプロセスウィンドウで行われる、請求項10に記載の方法。
  12. 前記プレコンディショニングされたPEFまたはPEFコポリマーのプレフォームが、同等のプレコンディショニングされていないPEFまたはPEFコポリマーのプレフォームを延伸ブロー成形するのに必要な対応する温度、圧力、またはその両方よりも低い温度、圧力、またはその両方で延伸ブロー成形されて、前記PEFまたはPEFコポリマーの容器を形成する、請求項10に記載の方法。
  13. 前記PEFまたはPEFコポリマーのプレフォーム上の表面の水が、前記プレコンディショニングされたPEFまたはPEFコポリマーのプレフォームを延伸ブロー成形する直前にエアナイフまたはファンを用いて除去される、請求項10に記載の方法。
JP2017514506A 2014-09-16 2015-09-15 水収着によりポリ(エチレンフラノエート)プレフォームを加工および可塑化する方法 Active JP6732737B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201462051165P 2014-09-16 2014-09-16
US62/051,165 2014-09-16
PCT/US2015/050241 WO2016044305A1 (en) 2014-09-16 2015-09-15 Methods for processing and plasticizing poly(ethylene furanoate) preforms by water sorption

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017530879A JP2017530879A (ja) 2017-10-19
JP6732737B2 true JP6732737B2 (ja) 2020-07-29

Family

ID=55533757

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017514506A Active JP6732737B2 (ja) 2014-09-16 2015-09-15 水収着によりポリ(エチレンフラノエート)プレフォームを加工および可塑化する方法

Country Status (6)

Country Link
US (1) US10940630B2 (ja)
EP (1) EP3194134B1 (ja)
JP (1) JP6732737B2 (ja)
AU (1) AU2015317996B2 (ja)
CA (1) CA2961003C (ja)
WO (1) WO2016044305A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102017108389A1 (de) 2017-04-20 2018-10-25 Leoni Kabel Gmbh Barriereschicht gegen Migration eines Stoffes, elektrischer Leiter, Schlauch, Verfahren zum Fertigen eines beschichteten Kabels oder eines beschichteten Schlauches und Verwendung von Polyethylenfuranoat als Barriereschicht
KR102312052B1 (ko) 2019-11-21 2021-10-18 주식회사 모노리스 고 분자량 및 고 고유 점도를 가지는 폴리에틸렌 푸라노에이트 제조방법

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4376090A (en) * 1979-05-29 1983-03-08 Paul Marcus Injection molding system
EP1090458A1 (en) * 1998-05-28 2001-04-11 Maxim Integrated Products, Inc. Body grabbing switch
USH2132H1 (en) * 2001-06-29 2005-11-01 Eastman Chemical Company Polyester containers having a reduced coefficient of friction
US6406661B1 (en) * 2001-07-06 2002-06-18 Plastic Technologies, Inc. Heat set blow molding process
JP2007111886A (ja) * 2005-10-18 2007-05-10 House Foods Corp プリフォーム殺菌方法
DE102009030762B4 (de) * 2009-06-27 2015-12-31 Netstal-Maschinen Ag Verfahren und Vorrichtung zur Herstellung von Preformen mit Spezialgeometrien
JP2012229395A (ja) 2011-04-11 2012-11-22 Canon Inc プラスチックフィルム
US10137625B2 (en) 2011-07-08 2018-11-27 Toray Plastics (America), Inc. Biaxially oriented bio-based polyester films and laminates
CN104024301B (zh) * 2011-10-24 2016-08-24 福兰尼克斯科技公司 一种制备用于瓶子、膜或纤维用途的且在聚合物骨架内具有2,5-呋喃二甲酸酯部分的聚合物产品的方法
US20130270212A1 (en) 2012-04-16 2013-10-17 The Procter & Gamble Company Plastic Bottles For Perfume Compositions Having Improved Crazing Resistance
MX361593B (es) * 2012-06-05 2018-12-10 Sa Des Eaux Minerales Devian Botellas de plastico moldeado por soplado y su proceso de fabricación.
US20140065398A1 (en) 2012-08-31 2014-03-06 Toray Plastics (America), Inc. Biaxially oriented bio-based polyolefin film that has been extrusion coated with bio-based sealant for lidding applications
MX2015002489A (es) * 2012-08-31 2015-09-07 Eaux Minerales D Evian Et En Abrégé S A E M E Sa Des Botella, metodo para fabricar la misma y uso de monomeros de fdca y diol en dicha botella.
CN104955646B (zh) 2012-12-20 2017-05-24 陶氏环球技术有限责任公司 基于fdca的聚酯的多层膜
EP2938547B1 (en) * 2012-12-28 2017-07-26 Societe Anonyme des Eaux Minerales d'Evian Et en Abrege "S.A.E.M.E" Retractable blow moulded plastic thin-walled container
WO2014124815A1 (en) * 2013-02-18 2014-08-21 Sidel Participations Machine and method for forming containers from preforms carried by successive moulds
EP3038741B1 (en) 2013-08-30 2021-05-19 The Coca-Cola Company Container and preform made from poly(ethylenefuranoate) copolymers and methods
AU2015317998B2 (en) 2014-09-16 2019-04-18 Georgia Tech Research Corporation Methods for plasticizing poly(ethylene furanoate) films by water sorption

Also Published As

Publication number Publication date
AU2015317996B2 (en) 2020-11-19
CA2961003A1 (en) 2016-03-24
EP3194134B1 (en) 2021-01-06
AU2015317996A1 (en) 2017-04-06
US20180154570A1 (en) 2018-06-07
WO2016044305A1 (en) 2016-03-24
US10940630B2 (en) 2021-03-09
EP3194134A4 (en) 2018-06-13
CA2961003C (en) 2023-10-31
JP2017530879A (ja) 2017-10-19
EP3194134A1 (en) 2017-07-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Burgess et al. Water sorption in poly (ethylene furanoate) compared to poly (ethylene terephthalate). Part 2: Kinetic sorption
Burgess et al. Water sorption in poly (ethylene furanoate) compared to poly (ethylene terephthalate). Part 1: Equilibrium sorption
Adewole et al. Current challenges in membrane separation of CO2 from natural gas: A review
Bao et al. Gas permeation properties of poly (lactic acid) revisited
Sonchaeng et al. Poly (lactic acid) mass transfer properties
Mokwena et al. Ethylene vinyl alcohol: a review of barrier properties for packaging shelf stable foods
Tsujita Gas sorption and permeation of glassy polymers with microvoids
Lee et al. Measurement methods for solubility and diffusivity of gases and supercritical fluids in polymers and its applications
JP6732737B2 (ja) 水収着によりポリ(エチレンフラノエート)プレフォームを加工および可塑化する方法
CA2961007C (en) Methods for plasticizing poly(ethylene furanoate) films by water sorption
Salestan et al. Experimental and theoretical studies of biopolymers on the efficient CO2/CH4 separation of thin-film Pebax® 1657 membrane
De Sales et al. Systematic investigation of the effects of temperature and pressure on gas transport through polyurethane/poly (methylmethacrylate) phase-separated blends
Litvinov et al. Morphology, phase composition, and molecular mobility in polyamide films in relation to oxygen permeability
Slee et al. The transport of oxygen through oriented poly (ethylene terephthalate)
Ahmad et al. Novel Polyurethane/Polyvinyl chloride-co-vinyl acetate crosslinked membrane for reverse osmosis (RO)
Biscarat et al. Preparation of dense gelatin membranes by combining temperature induced gelation and dry-casting
Gouveia et al. Ionic liquid-based semi-interpenetrating polymer network (sIPN) membranes for CO2 separation
John et al. The effects of blend ratio, compatibilization and dynamic vulcanization on permeation of gases through HDPE/EVA blends
Liu et al. Sorption, diffusion, and permeation of light olefins in poly (ether block amide) membranes
Musto et al. Benzene-induced crystallization of PPO: a combined thermodynamic and vibrational spectroscopy study
George et al. Molecular transport of aromatic hydrocarbons through nylon‐6/ethylene propylene rubber blends: Relationship between phase morphology and transport characteristics
Aouak et al. Miscibility enhancement of poly (vinyl chloride)/polystyrene blend: Application to membrane separation of benzene from benzene/cyclohexane mixture by pervaporation
Li et al. The effect of binary diluents on the performance of ultrahigh molecular weight polyethylene/SiO2 hybrid hollow fiber membrane
Swamy Sorption and diffusion of chlorinated aliphatic hydrocarbon penetrants into diol chain extended polyurethane membranes
Xu et al. Complex interactions among additive/supercritical CO2/polymer ternary systems and factors governing the impregnation efficiency

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180820

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190628

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190731

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190918

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200213

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200311

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20200324

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200612

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200708

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6732737

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250