JP6732554B2 - 段ボール構造物の圧縮強度評価方法、段ボール箱の圧縮強度評価方法、段ボール構造物の製造方法、プログラム及び記録媒体 - Google Patents

段ボール構造物の圧縮強度評価方法、段ボール箱の圧縮強度評価方法、段ボール構造物の製造方法、プログラム及び記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、段ボール構造物の圧縮強度を評価する方法に関する。また、本発明は、段ボール構造物の製造方法、段ボール構造物の圧縮強度評価方法に関連したプログラム及び記録媒体にも関する。
段ボール紙を原材料として用いた段ボール構造物が、種々の分野で広く利用されている(例えば特許文献1)。図20に示すように、段ボール紙CBは、波状に成形した中芯(中心紙)CBmと、中芯の片側または両側に積層されたライナーCBlと、を含む板状材である。中芯Cbmは、紙を波状に成形したものであり、波を形成する凹部及び凸部が一定の配列方向daに配列され、凹部及び凸部の各々は、その配列方向に直交する長手方向dlに直線状に延びている。
段ボール紙を用いた段ボール構造物は、典型的には段ボール箱や仕切りとして、物品の収納や区画を行うことを目的に、利用されている。したがって、段ボール紙を用いた段ボール構造物は、圧縮力を受ける環境で使用されることが多い。この点から、段ボール箱の圧縮強度の評価は、流通段階で段ボール箱にかかる荷重を計算し、この荷重に耐えられるような適切な板紙材質を選定するといった段ボール箱の製造における基本作業と考えられている。すなわち、段ボール箱は、圧縮強度を事前に評価した上で、その構成が決定される。
アメリカのケリカット氏は、1950年代に、段ボール箱の圧縮強度の評価式を提案した。ケリカット氏によって提案された評価式では、段ボール箱の周囲長Zや段ボール箱を構成する段ボール紙の強度から、段ボール箱の圧縮強度を予測する。この基本式は、ベニア板の強度計算の理論を段ボール箱の圧縮強度計算に応用したものである。日本でも、単位系を変更する等して、次の式(K)によって表されるケリカット式が、圧縮強度〔N〕を評価するための評価式として広く普及している。
P=β×Rx×Z1/3 ・・・(K)
P:箱の圧縮強度〔N〕
β:フルートによる定数
Rx:段ボール紙の総合リングクラッシュ強さ〔N〕
Z:段ボール箱の周囲長〔cm〕
ケリカット式(K)におけるβは、段ボール箱に用いられた段ボール紙の中芯CBmに依存して決定される係数となる。中芯CBmの形式として、例えばJIS Z 1516で規定されたAフルート、Bフルート、Cフルートや、Aフルート及びBフルートを組み合わせたBAフルート、Bフルート及びCフルートを組み合わせたBCフルート等が存在する。例えばAフルートでは、中芯の厚みtが約5mmで、配列方向daに沿った30cmの幅における波の繰り返し頻度を示す段数が34±2となる。同様に、Bフルートでは、中芯の厚みが約3mmで、30cm幅あたりの段数が50±2となり、Cフルートでは、中芯の厚みが約4mmで、30cm幅あたりの段数が40±2となる。例えばAフルートのβ値は0.748となり、Bフルートのβ値は0.612となり、Cフルートのβ値は0.699となり、BAフルートのβ値は0.954となり、BCフルートのβ値は0.889となる。
ケリカット式(K)におけるリングクラッシュ強さは、段ボール箱を構成するライナーCBlや中芯CBmの圧縮強度に基づいて決定される数値であって、段ボール箱をなす段ボール紙の圧縮強度を表す指標となる。段ボール紙の総合リングクラッシュ強さは、ライナーCBlのリングクラッシュ値と、中芯CBmのリングクラッシュ値に当該中芯の段繰り率を掛けた数値と、を合算した値となる。例えば、図20に示された段ボール紙CBの総合リングクラッシュ強さ〔N〕は、次の式(Rx)によって表される。
Rx=R+R×C+R ・・・(Rx)
式Rxにおいて、Rは一方のライナーのリングクラッシュ値であり、Rは他方のライナーのリングクラッシュ値である。また、Rは、中芯のリングクラッシュ値であり、Cは、中芯の段繰り率である。各部材のリングクラッシュ値は、JIS P 8126に準拠して測定される値であり、一般的に使用されている材料のリングクラッシュ値が、JIS P 3902やJIS P 3904において規定されている。また、段繰り率は、ライナーの長さに対する中芯の長さの比であり、中芯の形式に依存して決定される数値である。例えば、Aフルートの段繰り率は1.6となり、Bフルートの段繰り率は1.4となり、Cフルートの段繰り率は1.5となる。
また、ケリカット式(K)における段ボール箱の周囲長Z〔cm〕とは、圧縮荷重が負荷される圧縮方向に直交する方向での段ボール箱の周囲長である。段ボール箱の側部は、その法線方向が圧縮方向と直交して延びる複数の側面を含んでいる。段ボール箱の周囲長Z〔cm〕は、圧縮方向と直交する方向に沿った各側面の幅の合算値とも言える。
広く流通されている段ボール箱であって圧縮強度の評価が必要となる用途で用いられる段ボール箱の多くは、90cm〜200cmの範囲に周囲長を有する。そして、90cm〜200cmの範囲の周囲長を有する段ボール箱の圧縮強度は、ケリカット式(K)によって、比較的高精度に評価することができるとされている。
特開2013−181262号公報
ところで、ケリカット式は、一般的に用いられる大きさ及び形状の段ボール箱の強度推定を行うことができるよう実験によって特定された実験式である。したがって、単純形状の段ボール箱については、例えば図2A及び図2Bに示すA式(0201形式)の段ボール箱については、圧縮強度を評価することができる。その一方で、偏平輪郭を有する段ボール構造物や、直方体や立方体以外の輪郭を有する段ボール構造物、さらには中仕切りや中仕切りを有する段ボール箱等の段ボール構造物については、ケリカット式を用いて圧縮強度の評価を行うことができない。この点は、ケリカット式が変数として周囲長しか含んでいないことからも理解され得る。したがって、実際に作製した段ボール構造物を圧縮試験にかけて、その圧縮強度を評価するしかなかった。段ボール構造物の設計初期に試作して試作品での評価を繰り返しながら、段ボール構造物の大きさ、形状、段ボール紙の形式等を決定していくことは、極めて煩雑であり、段ボール構造物の製造原価の上昇や段ボール構造物の製造期間の長期化を引き起こす。
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであって、段ボール構造物の形式に依存することがなく、段ボール構造物の圧縮強度を簡易且つ高精度化に評価し得るようにすることを目的とする。
本発明による段ボール構造物の圧縮強度評価方法は、
各々が板状形状を有した複数のパネル要素を含む段ボール構造物の圧縮強度を評価する評価方法であって、
前記段ボール構造物に含まれる複数のパネル要素について、それぞれ、圧縮強度を特定する工程と、
前記複数のパネル要素について特定された前記圧縮強度を合算する工程と、を備える。
本発明による段ボール構造物の圧縮強度評価方法において、各パネル要素の圧縮強度は、当該パネル要素の幅と同一の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度に基づいて、或いは、当該パネル要素の幅の二倍の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度に基づいて、特定するようにしてもよい。
本発明による段ボール構造物の圧縮強度評価方法において、
幅方向における両端がそれぞれその全長に亘って他のパネル要素と接続した両端固定パネル要素の圧縮強度は、当該両端固定パネル要素の幅と同一の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度に基づいて、特定し、
前記幅方向における一方の端がその全長に亘って他のパネル要素と接続し且つ前記幅方向における他方の端が自由端となっている片端固定パネル要素の圧縮強度は、当該片端固定パネル要素の幅の二倍の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度に基づいて、特定するようにしてもよい。
本発明による段ボール構造物の圧縮強度評価方法において、
上端が他のパネル要素と接続した前記両端固定パネル要素の圧縮強度は、当該両端固定パネル要素の幅と同一の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度の1/4の圧縮強度として、特定し、
上端が他のパネル要素と接続した前記片端固定パネル要素の圧縮強度は、当該片端固定パネル要素の幅の二倍の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度の1/8の圧縮強度として、特定するようにしてもよい。
本発明による段ボール構造物の圧縮強度評価方法において、
前記幅方向における両端がそれぞれ他のパネル要素と接続して組仕切りの接続部を形成する両端組仕切りパネル要素の圧縮強度は、当該両端組仕切りパネル要素と同一の幅の前記両端固定パネル要素の圧縮強度の0.55倍以上0.75倍以下の値として、特定し、
前記幅方向における一方の端が他のパネル要素と接続して組仕切りの接続部を形成し且つ他方の端が自由端となっている片端組仕切りパネル要素の圧縮強度は、当該片端組仕切りパネル要素と同一の幅の前記片端固定パネル要素の圧縮強度の0.55倍以上0.75倍以下の値として、特定するようにしてもよい。
本発明による段ボール構造物の圧縮強度評価方法において、上端が他のパネル要素と接続されていないパネル要素の圧縮強度は、上端が他のパネル要素と接続したパネル要素の圧縮強度よりも大きな値として、特定するようにしてもよい。
本発明による段ボール構造物の圧縮強度評価方法において、上端が他のパネル要素と接続されていないパネル要素の圧縮強度は、上端が他のパネル要素と接続したパネル要素の圧縮強度の1.05倍以上1.3倍以下の値として、特定するようにしてもよい。
本発明による段ボール構造物の圧縮強度評価方法において、前記段ボール箱の圧縮強度は、周囲長を変数とした指数項および比例項を含む式によって特定されるようにしてもよい。
本発明による段ボール構造物の圧縮強度評価方法において、前記指数項の係数および前記比例項の係数は、段ボール箱の高さに基づいて決定するようにしてもよい。
本発明による段ボール構造物の圧縮強度評価方法において、前記段ボール箱の圧縮強度Pboxは、段ボール箱をなす段ボール紙CBの構成(材料、大きさ、形状)に応じて決定する係数Y、段ボール箱の(圧縮方向に沿った)高さに応じて決定する係数Y、係数Y及び係数Yを含み、周囲長Zを変数とする、次の式により特定されるようにしてもよい。
box=Y(YZ−Y +Y
本発明による段ボール構造物の圧縮強度評価方法において、前記パネル要素の圧縮強度は、当該パネル要素の幅を変数とした指数項および比例項を含む式によって特定されるようにしてもよい。
本発明による段ボール構造物の圧縮強度評価方法において、前記指数項の係数および前記比例項の係数は、前記パネル要素の高さに基づいて決定するようにしてもよい。
本発明による段ボール構造物の圧縮強度評価方法において、前記複数のパネル要素の圧縮強度を特定する工程において、前記段ボール構造物を形成する側部のうち、前記段ボール構造物の全高さに亘って延び且つ波状に成形された中芯の波が高さ方向と直交する方向に並んでいる部分を、一つのパネル要素として、圧縮強度を特定するようにしてもよい。
本発明による段ボール箱の圧縮強度評価方法は、
段ボール箱の圧縮強度を評価する方法であって、
前記段ボール箱の周囲長を変数とした指数項および比例項を含む式によって、前記段ボール箱の圧縮強度が特定される。
本発明による段ボール箱の圧縮強度評価方法において、前記指数項の係数および前記比例項の係数は、段ボール箱の高さに基づいて決定するようにしてもよい。
本発明による段ボール箱の圧縮強度評価方法において、前記段ボール箱の圧縮強度Pboxは、段ボール箱をなす段ボール紙CBの構成(材料、大きさ、形状)に応じて決定する係数Y、段ボール箱の(圧縮方向に沿った)高さに応じて決定する係数Y、係数Y及び係数Yを含み、周囲長Zを変数とする、次の式により特定されるようにしてもよい。
box=Y(YZ−Y +Y
本発明による段ボール構造物の製造方法は、上述した本発明による段ボール構造物の圧縮強度評価方法のいずれかによって、段ボール構造物の圧縮強度を確認する工程を備える。
本発明によるプログラムは、上述した本発明による段ボール構造物の圧縮強度評価方法のいずれかを計算機に実行させる、プログラム。
本発明による記録媒体は、上述した本発明による段ボール構造物の圧縮強度評価方法のいずれかを計算機に実行させるプログラムを記録した記録媒体。
本発明によれば、段ボール構造物の形式に依存することがなく、段ボール構造物の圧縮強度を簡易且つ高精度化に評価することができる。
図1は、段ボール構造物の圧縮強度の評価方法を示す概念図である。 図2Aは、一般的な形式の段ボール箱として形成された段ボール構造物を示す斜視図である。 図2Bは、図2Aの段ボール構造物の製造に用いられる段ボール紙を展開して示す平面図である。 図3Aは、段ボール構造物の他の例を示す斜視図である。 図3Bは、図3Aの段ボール構造物の製造に用いられる段ボール紙を展開して示す平面図である。 図3Cは、図3Aの段ボール構造物に含まれ有効に圧縮荷重を支持し得るパネル要素を分解して示す平面図である。 図4Aは、組仕切りとして形成された段ボール構造物の他の例を示す斜視図である。 図4Bは、図4Aの段ボール構造物の製造に用いられる段ボール紙に分解して示す平面図である。 図4Cは、図4Aの段ボール構造物を構成するパネル要素を分解して示す平面図である。 図5Aは、展示台としても利用され得る段ボール構造物の更に他の例を示す斜視図である。 図5Bは、図5Aの段ボール構造物の側部の構成を説明するための図であって、図5Aの段ボールの横断面図である。 図5Cは、図5Aの段ボール構造物に含まれ有効に圧縮荷重を支持し得るパネル要素を分解して示す平面図である。 図6は、段ボール構造物の更に他の例を示す横断面図であって、段ボール構造物の側部の構成を説明するための図である。 図7は、段ボール構造物の更に他の例を示す横断面図であって、段ボール構造物の側部の構成を説明するための図である。 図8は、段ボール構造物の更に他の例を示す横断面図であって、段ボール構造物の側部の構成を説明するための図である。 図9は、圧縮強度評価の対象としたサンプル1〜5の横断面図および仕切りの展開図を示している。 図10は、圧縮強度評価の対象としたサンプル6〜10の横断面図および仕切りの展開図を示している。 図11は、ケリカット式で予想される圧縮強度と周囲長との関係を示すグラフである。 図12は、ケリカット式から導出される側部の耐荷重分布を示すグラフである。 図13Aは、同一構成の四つの側面によって側部を形成された段ボール箱の耐荷重分布を示す斜視図である。 図13Bは、図13Aの段ボール箱の一つの側面(パネル要素)の、一方の端から幅方向中央までの領域における、耐荷重分布を示す図である。 図13Cは、図13Aの段ボール箱に圧縮荷重を負荷した場合における、当該段ボール箱の変形挙動を示す部分斜視図である。 図14は、第1改良式の導出に利用した耐荷重分布を示すグラフである。 図15は、第1改良式で算出される圧縮強度を、ケリカット式で算出される圧縮強度とともに示す、グラフである。 図16は、試験片の高さと耐荷重との関係を示すグラフである。 図17は、固定定端から遠く離れた位置での耐荷重と、高さとの関係を示すグラフである。 図18は、圧縮強度評価の対象としたサンプル11〜18の横断面図を示している。 図19は、計算機とプログラムを記録した記録媒体とを示す図である。 図20は、段ボール構造物に用いられる段ボール紙を、その法線方向に直交する断面において示す断面図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
以下において、本発明における一実施の形態のよる段ボール構造物の圧縮強度を評価する方法について説明する。また、段ボール構造物の圧縮強度評価方法に関連した、段ボール構造物の製造方法、プログラム、及び、プログラムを記録した記録媒体についても説明する。
<段ボール構造物>
まず、段ボール構造物Sについて説明する。例えば図2A、図3A及び図4Aに示すように、段ボール構造物Sとは、段ボール紙CBを用いて作製された構造物である。段ボール構造物Sは、一般的に、物品の収納や区画を行うことを目的として利用に供されている。段ボール構造物Sの典型的例として、図2A及び図3Aに示された段ボール箱BXや、図4に示された仕切りCPを、例示することができる。
多くの場合、段ボール構造物Sによって収容または区画された物品は、積み重ねて保管や展示される。したがって、一般的な用途において、段ボール構造物Sには圧縮荷重が負荷されることになる。段ボール構造物Sにおいて、圧縮荷重を支持するのは、当該圧縮荷重が負荷される圧縮方向に沿って延びる側部(側面)である。言い換えると、その法線方向が圧縮方向と直交する板状の側部(側面)が、圧縮荷重を有効に支持する部分として機能する。
図20に示すように、段ボール紙CBは、中芯CBmと、中芯CBmの片側または両側に積層されたライナーCBlと、を含む板状の部材であり、軽量且つ比較的高剛性といった特徴を有している。中芯CBmは、シート状の部材、典型的には紙を波状に成形したものであり、波を形成する凹部及び凸部が一定の配列方向daに配列される。
段ボール紙CBは、中芯CBmの波を形成する凹部及び凸部の長手方向dlにおいて、比較的高い圧縮強度を有するようになる。したがって、図2A、図3A及び図4Aに示された例において上下方向へ圧縮荷重が段ボール構造物Sに負荷される場合、段ボール構造物Sの側部の内の、波の長手方向dlが圧縮方向(図における上下方向)に延びている部分が、所謂構造壁として、圧縮荷重に有効に抗することができる。その一方で、段ボール構造物Sの側部の内の、波の配列方向daが圧縮方向(図における上下方向)に延びている部分は、圧縮荷重によって変形しやすくなっており、圧縮荷重を有効に支持することはできない。
図2B、図3B及び図4Bは、それぞれ、図2A、図3A又は図4Aに示された段ボール構造物Sの製造に用いられる段ボール紙CBを示している。段ボール構造物S、とりわけ段ボール箱BXは、製造原価の観点から、一枚の段ボール紙CBを切り抜き且つ折り畳むことによって製造されることが多い(図2B及び図3B参照)。例えば図3A及び図3Bに示された例のように、でき得る限り段ボール紙CBを無駄無く効率的に使用するといった制約の下で、段ボール構造物Sに高い圧縮強度を付与する観点から、通常、圧縮荷重を受ける段ボール構造物Sの側部のより多くの部分において、段ボール紙CBの波の長手方向が圧縮方向に沿うよう、段ボール紙CBの配置が決定される。図2B及び図3Bでは、側部をなす部分を点線で囲っている。また、図2B及び図3Bにおいて、段ボール紙CBのうち、圧縮方向と波の長手方向dlとが一致し且つ圧縮荷重を支持する側部をなす部分に、斜線を付している。
<段ボール構造物の圧縮強度の評価方法の概要>
本実施の形態では、各々が板状形状を有した複数のパネル要素Peを含む段ボール構造物Sの圧縮強度を評価する評価方法として、段ボール構造物Sに含まれる複数のパネル要素Peについて、それぞれ、圧縮強度を特定する工程と、複数のパネル要素Peについて特定された圧縮強度を合算する工程と、を含んだ段ボール構造物の圧縮強度評価方法を提案する。
従来、段ボール箱の圧縮強度の評価式としてケリカット式(K)が広く利用に供されてきた。
P=β×Rx×Z1/3 ・・・(K)
P:箱の圧縮強度〔N〕
β:フルートによる定数
Rx:段ボール紙の総合リングクラッシュ強さ〔N〕
Z:段ボール箱の周囲長〔cm〕
ケリカット式(K)は、段ボール構造物Sの周囲長Zを変数として、圧縮強度を推定する実験式である。ただし、ケリカット式(K)は、一般的な大きさ及び典型的な形状を有した段ボール箱の実験結果に基づいて導出された実験式である。したがって、偏平輪郭を有する段ボール構造物や、直方体や立方体以外の輪郭を有する段ボール構造物について、ケリカット式を用いて圧縮強度の評価を行うことができない。また、一例として図4Aに示された段ボール構造物Sは、周囲長Zに該当する寸法を持たないため、ケリカット式(K)を用いて、圧縮強度を評価することができなかった。
ここで提案する評価方法によれば、まず、段ボール構造物Sに含まれる複数のパネル要素Peについて、それぞれ、圧縮強度を特定する。そして、複数のパネル要素Peについて特定された圧縮強度を合算し、合算値に基づき、段ボール構造物Sの圧縮強度を評価する。したがって、例えば図2Aに示された典型的な形状の段ボール箱BX以外の段ボール構造物Sについても、圧縮強度を評価することが可能となる。なお、図1における左の図が、従来の圧縮強度評価方法を表す概念図であり、図1における右の図が、ここで新たに提案する圧縮強度評価方法を表す概念図である。
ところで、既に説明したように、段ボール構造物Sでは、その側部(側面)が圧縮荷重を支えることになる。ただし、段ボール構造物Sを形成する側部のうち、波状に成形された中芯CBmの波が、段ボール構造物Sの高さ方向(圧縮方向)に並んでいる部分(図3B参照)、言い換えると、波の配列方向daが高さ方向(圧縮方向)と平行になっている部分は、圧縮荷重を有効に支持することができない。段ボール構造物Sを形成する側部のうち、波状に成形された中芯CBmの波が、段ボール構造物Sの高さ方向(圧縮方向)と直交する方向に並んでいる部分が、圧縮荷重を有効に支持することができる。したがって、段ボール構造物Sの圧縮強度を評価する上で、段ボール構造物Sを形成する板状形状の側部のうち、波状に成形された中芯CBmの波が高さ方向(圧縮方向)に並んでいる部分の圧縮強度を、考慮しなくてもよい。複数のパネル要素Peの圧縮強度を特定する工程において、段ボール構造物Sを形成する板状形状の側部のうち、波状に成形された中芯CBmの波が高さ方向(圧縮方向)と直交する方向に並んでいる部分だけを、一つのパネル要素Peとして、圧縮強度を特定する。
一例として、図3A及び図3Bに示された段ボール構造物Sにおいて、当該段ボール構造物Sの高さ方向、つまり圧縮荷重が負荷される圧縮方向に対して、その法線方向が直交するようになる側部(側面)は、二枚の第1パネル要素Pe31、四枚の第2パネル要素Pe32、及び、四枚の第3パネル要素Pe33によって形成される。ただし、第3パネル要素Pe33に含まれた波の配列方向daは、高さ方向(圧縮方向)と平行になり、したがって、第3パネル要素Pe33は、圧縮荷重を有効に支持する側部とはなり得ない。図3A及び図3Bに示された段ボール構造物Sにおいて、圧縮荷重を有効に支持する側部は、図3Cに示された二枚の第1パネル要素Pe31及び四枚の第2パネル要素Pe32となる。したがって、図3Aに示された段ボール構造物Sの圧縮強度は、図3Cに示された二枚の第1パネル要素Pe31及び四枚の第2パネル要素Pe32の圧縮強度の総和とすることができる。
またそもそも、圧縮荷重を負荷されるのは、段ボール構造物を形成する側部のうち、段ボール構造物Sの全高さに亘って延びる部分である。例えば、図5A及び図5Bに示された段ボール構造物Sにおいて、側部をなす板状形状のパネル要素Peのうち、第1パネル要素Pe51、第2パネル要素Pe52、第3パネル要素Pe53及び第4パネル要素Pe54は、段ボール構造物Sの全高に亘って存在し、したがって、圧縮荷重を負荷される。一方、第5パネル要素Pe55は、段ボール構造物Sの全高に亘って延び広がっていない。したがって、第5パネル要素Peは、有効に圧縮荷重を支持する部位とはなり得ない。図5A及び図5Bに示された段ボール構造物Sにおいて、圧縮荷重を有効に支持する側部は、図5Cに示された二枚の第1パネル要素Pe51、四枚の第2パネル要素Pe52、四枚の第3パネル要素Pe53及び四枚の第4パネル要素Pe54となる。したがって、図5Aに示された段ボール構造物Sの圧縮強度は、図5Cに示された二枚の第1パネル要素Pe51、四枚の第2パネル要素Pe52、四枚の第3パネル要素Pe53及び四枚の第4パネル要素Pe54の圧縮強度の総和とすることができる。
なお、図2Aに示された段ボール構造物Sでは、その側部をなす第1パネル要素Pe21、第2パネル要素Pe22、第3パネル要素Pe23、第4パネル要素Pe24及び第5パネル要素Pe25のすべてが、段ボール構造物Sの全高さに亘って延び、且つ、中芯CBmの波の配列方向daが、高さ方向(圧縮方向)に直交している。したがって、第1パネル要素Pe21、第2パネル要素Pe22、第3パネル要素Pe23、第4パネル要素Pe24及び第5パネル要素Pe25のすべてが、圧縮荷重を有効に支持する。したがって、図2Aに示された段ボール構造物Sの圧縮強度は、図2Bに示された第1パネル要素Pe21、第2パネル要素Pe22、第3パネル要素Pe23、第4パネル要素Pe24及び第5パネル要素Pe25の圧縮強度の総和とすることができる。
図4Aに示された段ボール構造物Sでは、すべての構成要素が、側部をなすとともに、段ボール構造物Sの全高さに亘って延び且つ波状に成形された中芯CBmの波が高さ方向と直交する方向に並ぶ。したがって、図4A及び図4Bに示されたすべての構成要素が、圧縮荷重を有効に支持し、したがって、図4A及び図4Bに示された段ボール構造物Sの圧縮強度は、当該段ボール構造物Sをなすすべてのパネル要素Peの圧縮強度の総和とすることができる。
<パネル要素の圧縮強度の特定>
次に、パネル要素Peの圧縮強度の特定方法について説明する。本実施の形態では、まず、各パネル要素Peの幅(圧縮方向に直交する幅方向に沿った長さ)と同一の幅の側面を四つ含む直方体輪郭又は立方体輪郭を有した仮想の段ボール箱の圧縮強度に基づいて、或いは、当該パネル要素の幅の二倍の幅の側面を四つ含む直方体輪郭又は立方体輪郭を有した仮想の段ボール箱の圧縮強度に基づいて、当該パネル要素Peの圧縮強度を特定することを提案する。すなわち、パネル要素Peの圧縮強度を、当該パネル要素Peに対応した構成を側部として有する直方体輪郭又は立方体輪郭の仮想段ボール箱の圧縮強度に基づき、特定する。この評価方法では、各パネル要素Peの圧縮強度を特定するにあたり、まず、当該パネル要素Peが、どのような形式のパネル要素を判断し、パネル要素の圧縮強度を形式に応じて特定することになる。
(両端固定パネル要素および片端固定パネル要素)
典型的には、パネル要素Peは、両端固定パネル要素BFPe及び片端固定パネル要素OFPeのいずれかに区別される。ここで、両端固定パネル要素BFPeとは、圧縮方向に直交する幅方向における両端が、それぞれ、その全長に亘って、構造壁をなす他のパネル要素と接続したパネル要素のことをいう。一方、片端固定パネル要素OFPeとは、幅方向における一方の端が、その全長に亘って、構造壁をなす他のパネル要素と接続し、且つ、幅方向における他方の端が自由端となっているパネル要素のことをいう。なお、他方の端が自由端となっているとは、言い換えると、他方の端が、その全長に亘って構造壁をなす他のパネル要素と接続していないこと、さらに言い換えると、他方の端が、構造壁をなす他のパネル要素と接続していない或いはその全長のうちの一部分だけで構造壁をなす他のパネル要素と接続していること、を意味する。
既に説明したように、段ボール構造物Sをなす段ボール箱BXに圧縮荷重が負荷された場合、段ボール箱BXは、その側部により、圧縮荷重を支持する。そして、構成を同一とする四つの側面を有した段ボール箱BXの圧縮強度、すなわち直方体輪郭または立方体輪郭を有した段ボール箱BXの圧縮強度は、四つの側面をそれぞれなす四つのパネル要素Peの圧縮強度の総和と考えることができる。ここで、段ボール箱BXの各側面は、圧縮方向に直交する幅方向の両端において、その全高さに亘り、他の側面に接続している。したがって、直方体輪郭または立方体輪郭を有した段ボール箱BXは、四つの両端固定パネル要素BFPeを有しており、この四つ両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度の総和が、段ボール箱BXの圧縮強度に相当すると言える。この点から、両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度は、当該両端固定パネル要素BFPeの幅と同一の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度の1/4の値として、特定することができる。
一方、両端固定パネル要素BFPeを幅方向中央で切断した場合、二つの片端固定パネル要素OFPeが得られることになる。そして、段ボール箱BXの側部をなす一つの両端固定パネル要素BFPeに圧縮荷重が負荷された場合、当該片端固定パネル要素OFPeは、幅方向における中央を中心として対称的に変形する。その一方で、片端固定パネル要素OFPeに圧縮荷重が負荷された際、片端固定パネル要素OFPeの自由端は、そもそも、幅方向に大きく変形することはない。これらのことから、圧縮荷重が負荷された際における片端固定パネル要素OFPeの変形挙動は、圧縮荷重が負荷された際における両端固定パネル要素BFPeの一方の固定端から幅方向における中央までの領域における変形挙動と概ね等しくなる。したがって、後述の実験結果からも実証されているように、片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度は、当該片端固定パネル要素OFPeの二倍の幅を持つ両端固定パネル要素BCPの圧縮強度の1/2の値として、特定することができる。言い換えると、片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度は、当該片端固定パネル要素OFPeの幅の二倍の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度の1/8の値として、特定することができる。
(両端組仕切りパネル要素および両端自由パネル要素)
また、図4Aに示された仕切りCPをなす段ボール構造物Sは、所謂組仕切りCPaとなっている。図4Bに示すように、組仕切りCPaは、スリットslを形成された段ボール紙CBを組み合わせることで構成されている。図4Aに示された状態において、段ボール構造物Sは、七つのパネル要素Peを含んでいる。七つのパネル要素Peは、一つの両端組仕切りパネル要素BCPeと、六つの片端組仕切りパネル要素OCPeと、を含んでいる。ここで、両端組仕切りパネル要素BCPeは、幅方向における両端がそれぞれ他のパネル要素Peと接続して組仕切りの接続部jlを形成するパネル要素Peである。また、片端組仕切りパネル要素OCPeは、幅方向における一方の端が他のパネル要素Peと接続して組仕切りの接続部jlを形成し且つ他方の端が自由端となっているパネル要素Peである。すなわち、段ボール構造物Sの含まれるパネル要素Peは、両端固定パネル要素BFPe及び片端固定パネル要素OFPeだけでなく、両端組仕切りパネル要素BCPeや片端組仕切りパネル要素OCPeに区分けされることもある。
両端組仕切りパネル要素BCPeの圧縮強度は、両端固定パネル要素BFPeと同様に、その幅(圧縮方向に直交する幅方向への長さ)に応じて変化する。ただし、両端組仕切りパネル要素BCPeの圧縮強度は、当該両端組仕切りパネル要素BCPeと同一幅を有する両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度よりも若干低くなる。本件発明者が実験及びシミュレーションを行ったところ、両端組仕切りパネル要素BCPeの圧縮強度は、当該両端組仕切りパネル要素BCPeと同一の幅の両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度の0.55倍以上0.75倍以下の値とすることで、精度良く有効に評価し得えた。とりわけ、評価対象となる当該両端組仕切りパネル要素BCPeと同一の幅の両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度の0.64倍の値として画一的に取り扱うことで、両端組仕切りパネル要素BCPeの圧縮強度を充分な精度で評価し得ることも確認された。
次に、片端組仕切りパネル要素OCPeの圧縮強度は、片端固定パネル要素OFPeと同様に、その幅に応じて変化する。ただし、片端組仕切りパネル要素OCPeの圧縮強度は、当該片端組仕切りパネル要素OCPeと同一幅を有する片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度よりも若干低くなる。本件発明者が実験及びシミュレーションを行ったところ、片端組仕切りパネル要素OCPeの圧縮強度は、当該片端組仕切りパネル要素OCPeと同一の幅の片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度の0.55倍以上0.75倍以下の値とすることで、精度良く有効に評価し得えた。とりわけ、評価対象となる当該片端組仕切りパネル要素OCPeと同一の幅の片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度の0.64倍の値として画一的に取り扱うことで、片端組仕切りパネル要素OCPeの圧縮強度を充分な精度で評価し得ることも確認された。
(上端が全幅に亘って他のパネル要素と接続していないパネル要素)
さらに、本件発明者が実験およびシミュレーションを繰り返したところ、パネル要素Peの上端ueの状態に応じて、圧縮強度が変化することが確認された。図2Aに示された段ボール箱BXの圧縮強度は、図2Aに示された段ボール箱BXから蓋を形成するフラップfl等の他のパネル要素Peを取り除いた段ボール箱BXの圧縮強度と、異なった。段ボール箱BXの圧縮強度は、フラップfl等の他のパネル要素Peを取り除くことで上昇した。このような現象が生じる理由の詳細は不明であるが、フラップfl等の他のパネル要素Peが設けられている場合、当該他のパネル要素Peに接続したパネル要素Peが、外方に膨らむ向きに撓むよう仕向けられことが起因しているものと推定される。言い換えると、側部をなすパネル要素Peの上端に接続した他のパネル要素に圧縮荷重が負荷された場合、当該側部をなすパネル要素Peの撓む向きが方向付けられ、これにより、当該パネル要素Peへの比較的変形が生じ易くなるものと推定される。ただし、本発明はこの推定に拘束されるものではない。
そこで、本実施の形態では、上端ueが、その全幅に亘ったいずれの位置においても、他のパネル要素と接続されていないパネル要素の圧縮強度を、上端が他のパネル要素と接続したパネル要素の圧縮強度よりも大きな値として、特定することを提案する。本件発明者が鋭意実験を行ったところ、上端ueが他のパネル要素Peと接続されていないパネル要素Peの圧縮強度は、上端ueが他のパネル要素Peと接続したパネル要素Peの圧縮強度の1.05倍以上1.3倍以下の値とすることで、精度良く有効に評価し得えた。とりわけ、上端ueが他のパネル要素Peと接続したパネル要素Peの圧縮強度の1.1倍の値として画一的に取り扱うことで、上端ueが他のパネル要素Peと接続されていないパネル要素Peの圧縮強度を充分な精度で評価し得ることも確認された。
ところで、例えば段ボール箱BXを構成するパネル要素Peでは、内寸での幅と外寸での幅とが若干異なる。このようなパネル要素Peの幅は、内寸で特定することとする。
<段ボール箱の圧縮強度の特定>
以上において、段ボール構造物Sの圧縮強度を、段ボール構造物Sを構成するパネル要素Peの圧縮強度の総和として、評価することを説明した。また、各パネル要素Peの圧縮強度は、段ボール箱BXの圧縮強度に基づいて、特定され得ることも説明した。次に、段ボール箱BXの圧縮強度の評価方法について説明する。
上述した圧縮強度評価方法では、両端固定パネル要素BFPe及び片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度を特定する前提として、直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度を特定することが必要となる。両端固定パネル要素BFPe及び片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度の特定のために利用される段ボール箱BXの圧縮強度は、後述する本発明者が提案する評価式(T)又は評価式(S)で特定することが好ましいが、特に限定されることなく種々の方法により特定することもできる。例えば、JIS P 8111及びJIS Z 0212 B法に準拠して実施される圧縮試験によって、段ボール箱の圧縮強度を特定することができる。また、圧縮試験によらず、段ボール箱の圧縮強度を評価するための評価式、例えばケリカット式(K)を用いて、段ボール箱BXの圧縮強度を特定するようにしてもよい。
(ケリカット式を利用したパネル要素の圧縮強度の特定)
次に、ケリカット式(K)を利用してパネル要素の圧縮強度を特定する方法について具体的に説明する。従来、段ボール箱の圧壊や座屈に対する強度を推定する手法として、ケリカット式(K)を用いた推定が普及している。
P=β×Rx×Z1/3 ・・・(K)
P:箱の圧縮強度〔N〕
β:フルートによる定数
Rx:段ボール紙の総合リングクラッシュ強さ〔N〕
Z:段ボール箱の周囲長〔cm〕
一方、両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度PBF〔N〕は、上述したように、当該両端固定パネル要素BFPeの幅Lと同一の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度の1/4の圧縮強度として、特定される。したがって、両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度PBF〔N〕は、当該両端固定パネル要素BFPeの幅(圧縮方向に直交する幅方向に沿った長さ)L〔cm〕を用いて、式(KPBF)で表すことができる。
BF=(1/4)×t×β×Rx×(4×L)1/3 ・・・(KPBF
片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度POF〔N〕は、当該片端固定パネル要素OFPeの幅Lの二倍の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度の1/8の圧縮強度POFとして、特定される。したがって、片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度POF〔N〕は、当該片端固定パネル要素OFPeの幅(圧縮方向に直交する幅方向に沿った長さ)L〔cm〕を用いて、式(KPOF)で表すことができる。
OF=(1/8)×t×β×Rx×(8×L)1/3 ・・・(KPOF
両端組仕切りパネル要素BCPeの圧縮強度PBC〔N〕は、当該両端組仕切りパネル要素BCPeと同一の幅Lの両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度PBFの0.55倍以上0.75倍以下の値として、又は、0.64倍の値として、特定される。したがって、両端組仕切りパネル要素BCPeの圧縮強度PBC〔N〕は、当該両端組仕切りパネル要素BCPeの幅(圧縮方向に直交する幅方向に沿った長さ)L〔cm〕を用いて、式(KPBC)で表すことができる。
BC=(1/4)×k×t×β×Rx×(4×L)1/3・・・(KPBC
片端組仕切りパネル要素OCPeの圧縮強度POC〔N〕は、当該片端組仕切りパネル要素OCPeと同一の幅Lの片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度POFの0.55倍以上0.75倍以下の値として、又は、0.64倍の値として、特定される。したがって、片端組仕切りパネル要素OCPeの圧縮強度POC〔N〕は、当該片端組仕切りパネル要素OCPeの幅(圧縮方向に直交する幅方向に沿った長さ)L〔cm〕を用いて、式(KPOC)で表すことができる。
OC=(1/8)×k×t×β×Rx×(8×L)1/3・・・(KPOC
評価式(KPBC)及び評価式(KPOC)における「k」は、両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度に対する両端組仕切りパネル要素BCPeの圧縮強度の低下、或いは、片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度に対する片端組仕切りパネル要素OCPeの圧縮強度の低下を反映させるための係数である。したがって、評価式(KPBC)及び評価式(KPOC)における「k」は、0.55以上0.75以下の値とし、例えば0.64とすることができる。
また、評価式(KPBF)、評価式(KPOF)、評価式(KPBC)及び評価式(KPOC)における「β」及び「Rx」は既に従来技術の欄で説明した従来のケリカット式(K)にも用いられていた係数である。すなわち、「β」及び「Rx」は、評価対象となるパネル要素Peをなす段ボール紙CBの構成に応じて決定される。例えば、「β」はフルートの形式によって決定され、Aフルートのβ値は0.748となり、Bフルートのβ値は0.612となり、Cフルートのβ値は0.699となり、BAフルートのβ値は0.954となり、BCフルートのβ値は0.889となる。また、「Rx」は、従来技術の欄で説明した式(Rx)により特定される。
さらに、評価式(KPBF)、評価式(KPOF)、評価式(KPBC)及び評価式(KPOC)における「t」は、評価対象となるパネル要素Peの上端ueの構成に応じて決定される係数である。上述したように、パネル要素Peが、その上端ueの全幅に亘ったいずれの位置においても他のパネル要素Peと接続していない場合、当該パネル要素Peの圧縮強度が上昇する。そこで、評価対象となるパネル要素Peがその上端において他のパネル要素Peと接続している場合、評価式(KPBF)、評価式(KPOF)、評価式(KPBC)及び評価式(KPOC)中の「t」は、t=1とする。一方、評価対象となるパネル要素Peがその上端において他のパネル要素Peと接続していない場合、評価式(KPBF)、評価式(KPOF)、評価式(KPBC)及び評価式(KPOC)中の「t」は、1.05以上1.3以下の値とし、例えば1.1とすることができる。
ところで、例えば図7に示すように、段ボール構造物Sとして、両端が共に自由端となっているパネル要素(以下において、「両端自由パネル要素」と呼ぶ)を含むこともある。この両端自由パネル要素BRPeは、単純な板状形状の部材となっている。したがって、両端自由パネル要素BRPeの圧縮強度は、両端固定パネル要素BFPeや片端固定パネル要素OFPeと比較して、低くなる。そして、本件発明者が、実験およびシミュレーションを行ったところ、両端自由パネル要素BRPeの圧縮強度PBR〔N〕は、当該両端自由パネル要素BRPeの幅(圧縮方向に直交する幅方向に沿った長さ)L〔cm〕を用いて、式(KPBR)で表すことができる。
BR=s×β×Rx×L ・・・(KPBR
なお、評価式(KPBR)中における「β」及び「Rx」は、それぞれ、評価式(KPBF)、評価式(KPOF)、評価式(KPBC)及び評価式(KPOC)における「β」及び「Rx」と同一である。また、評価式(KPBR)中における「s」は、0.005以上0.02以下の値とし、例えば1.1とすることができる。
<段ボール構造物Sの圧縮強度評価の具体例>
以上に説明してきたように、段ボール構造物Sの圧縮強度は、段ボール構造物Sを構成するパネル要素Peの圧縮強度の総和として求められる。ここで、いくつかの段ボール構造物Sを例示して、各段ボール構造物Sの圧縮強度の評価方法について説明する。
まず、図6に示された例について考える。ここで図6と、後述する図7及び図8は、段ボール構造物Sを圧縮方向から示す模式図であって、段ボール構造物Sを構成するパネル要素Peのうち圧縮荷重を有効に支持し得るパネル要素Peを示している。図6に示された段ボール構造物Sは、幅L61〔cm〕の両端固定パネル要素BFPeを二枚、幅L62〔cm〕の両端固定パネル要素BFPeを三枚、及び、幅L62〔cm〕の片端固定パネル要素OFPeを二枚含んでいる。したがって、図6に示された段ボール構造物Sの圧縮強度は、これらの合計七枚のパネル要素Peの圧縮強度の総和として特定することができる。なお、幅L61〔cm〕の両端固定パネル要素BFPeの一枚当たりの圧縮強度PBFは、上述の評価式(KPBF)を用いて算出することができる。幅L62〔cm〕の両端固定パネル要素BFPeの一枚当たりの圧縮強度PBFは、上述の評価式(KPBF)を用いて算出することができる。幅L62〔cm〕の片端固定パネル要素OFPeの一枚当たりの圧縮強度POFは、上述の評価式(KPOF)を用いて算出することができる。
次に、図7に示された段ボール構造物Sは、幅L71〔cm〕の両端固定パネル要素BFPeを二枚、幅L72〔cm〕の両端固定パネル要素BFPeを二枚、及び、幅L72〔cm〕の両端自由パネル要素BRPeを一枚含んでいる。したがって、図7に示された段ボール構造物Sの圧縮強度は、これらの合計五枚のパネル要素Peの圧縮強度の総和として特定することができる。なお、幅L71〔cm〕の両端固定パネル要素BFPeの一枚当たりの圧縮強度PBFは、上述の評価式(KPBF)を用いて算出することができる。幅L72〔cm〕の両端固定パネル要素BFPeの一枚当たりの圧縮強度PBFは、上述の評価式(KPBF)を用いて算出することができる。幅L72〔cm〕の両端自由パネル要素BRPeの一枚当たりの圧縮強度PBRは、上述の評価式(KPBR)を用いて算出することができる。
次に、図8に示された段ボール構造物Sは、幅L81〔cm〕の両端固定パネル要素BFPeを四枚、及び、幅L82〔cm〕の両端固定パネル要素BFPeを四枚含んでいる。したがって、図8に示された段ボール構造物Sの圧縮強度は、これらの合計八枚のパネル要素Peの圧縮強度の総和として特定することができる。幅L81〔cm〕の両端固定パネル要素BFPeの一枚当たりの圧縮強度PBFは、上述の評価式(KPBF)を用いて算出することができる。幅L82〔cm〕の両端固定パネル要素BFPeの一枚当たりの圧縮強度PBFは、上述の評価式(KPBF)を用いて算出することができる。
さらに、図4Aに示された段ボール構造物Sは、図4Cに示すように、幅L41〔cm〕の片端組仕切りパネル要素OCPeを六枚、及び、幅L42〔cm〕の両端組仕切りパネル要素BCPeを一枚含んでいる。したがって、図4Aに示された段ボール構造物Sの圧縮強度は、これらの合計七枚のパネル要素Peの圧縮強度の総和として特定することができる。なお、幅L41〔cm〕の片端組仕切りパネル要素OCPeの一枚当たりの圧縮強度POCは、上述の評価式(KPOC)を用いて算出することができる。幅L42〔cm〕の両端組仕切りパネル要素BCPeの一枚当たりの圧縮強度PBCは、上述の評価式(KPBC)を用いて算出することができる。
次に、図5Aに示された段ボール構造物Sの圧縮強度について検討する。図5Aに示された段ボール構造物Sにおいて、第5のパネル要素Pe55は、段ボール構造物Sの全高さに亘って延びておらず、したがって、圧縮荷重を有効に支持することができない。そこで、図5Aに示された段ボール構造物Sの圧縮強度は、幅L51〔cm〕の両端固定パネル要素BFPeの二枚分の圧縮強度、幅L52〔cm〕の両端固定パネル要素BFPeの四枚分の圧縮強度、幅L53〔cm〕の両端固定パネル要素BFPeの四枚分の圧縮強度、及び、幅L54〔cm〕の両端固定パネル要素BFPeの四枚分の圧縮強度の合計として評価する。
<圧縮試験の実施による評価方法の検証>
次に、段ボール箱BXと段ボール箱BX内に配置される仕切りCPとからなる段ボール構造物Sを実際に作製し、作製した段ボール構造物Sの圧縮強度を圧縮試験により測定した。作製した段ボール構造物Sは、図9及び図10に示すサンプル1〜10とした。サンプル1〜10の間で、段ボール箱BXの形状は互いに同一とした。サンプル1〜10の段ボール箱BXは、次のように構成した。なお、本明細書での材質の表記は、JIS法に従っている。
・形式: 0201型 (A式)
・材質: LB220×MC125×LB220、Aフルート
・リングクラッシュ値: LB220 ・・・ 331〔N〕
MC125 ・・・ 119〔N〕
・内寸法: 400×250×250〔mm〕
一方、サンプル1〜10の間で、仕切りCPの構成は互いに異なるようにした。サンプル1〜5において、仕切りCPは、段ボール紙CBを折り曲げて形成した。サンプル6〜10において、仕切りCPは、組仕切りCPaとして形成した。図9及び図10には、図6〜図8と同様に、各サンプルを圧縮方向から示す模式的に示している。また、図9及び図10には、仕切りCPをなす段ボール紙CBの展開図を示している。仕切りCPをなす段ボール紙CBは、次の二種類の材料A及び材料Bを用いた。
(材料A)
材質: LB220×MC125×LB220、Aフルート
リングクラッシュ値: LB220 ・・・ 331〔N〕
MCP125 ・・・ 119〔N〕
(材料B)
材質: LC170×MC120×LC170、Aフルート
リングクラッシュ値: LC170 ・・・ 197〔N〕
MC120 ・・・ 115〔N〕
なお、段ボール箱BXをなす各パネル要素Peは、その上端ueにおいて、段ボール箱BXの蓋をなすフラップflと接続していた。一方、仕切りCPは、その上端において、他のパネル要素と接続していないようにした。
圧縮試験は、JIS P 8111及びJIS Z 0212 B法に準拠して実施した。すなわち、まずJIS P 8111に準拠して、測定対象となる段ボール構造物Sの前処理を行った。具体的には、測定対象となる段ボール構造物Sを、温度23±1〔°〕および湿度50±2〔RH%〕に調整された環境内に、段ボール構造物Sの温度及び湿度が平衡状態となるまで、保管した。次に、JIS Z 0212 B法にしたがって、10±3〔mm/min〕の速度で圧縮試験を実施した。段ボール構造物Sが完全に破壊されるまでに圧縮試験機から段ボール構造物Sに負荷された最大荷重〔N〕を圧縮荷重とした。仕切りCPを材料Aとした場合における圧縮強度の試験結果を表1の試験結果の欄に示し、仕切りCPを材料Bとした場合における圧縮強度の試験結果を表2の試験結果の欄に示す。
サンプル1〜10について、すべての側部が有効に圧縮荷重を支持し得るパネル要素Peとして機能するものとして、上述した評価方法により、すなわち各パネル要素Peの圧縮強度を合算することにより、段ボール構造物Sの圧縮荷重を評価した。各パネル要素Peの圧縮強度の特定には、ケリカット式を利用した上述の評価式(KPBF)、評価式(KPOF)、評価式(KPBC)及び評価式(KPOC)を用いた。段ボール箱BXの側部を構成するパネル要素Peの圧縮強度の特定において、評価式(KPBF)中の「t」を1とした。一方、仕切りCPをなすパネル要素Peの圧縮強度の特定においては、評価式(KPBF)、評価式(KPOF)、評価式(KPBC)及び評価式(KPOC)中の「t」を1.1とした。また、サンプル6〜10での組仕切りCPaをなすパネル要素Peの圧縮強度の特定において、評価式(KPBC)及び評価式(KPOC)中の「k」を0.64とした。仕切りCPの材料を材料Aとして算出された圧縮強度の評価値を表1のKP評価値の欄に示し、仕切りCPの材料を材料Bとして算出された圧縮強度の評価値を表2のKP評価値の欄に示す。
Figure 0006732554
Figure 0006732554
表1及び表2に示された結果から、従来ケリカット式では評価し得なかった複雑な形状を有する段ボール構造物Sの圧縮強度を、本実施の形態で提案した評価方法によって、充分高精度に評価し得ることが確認された。
<ケリカット式の改善>
繰り返しになるが、従来、段ボール箱の圧壊や座屈に対する強度、すなわち、段ボール箱の圧縮強度を推定する手法として、ケリカット式(K)を用いた推定が普及している。
P=β×Rx×Z1/3 ・・・(K)
P:箱の圧縮強度〔N〕
β:フルートによる定数
Rx:段ボール紙の総合リングクラッシュ強さ〔N〕
Z:段ボール箱の周囲長〔cm〕
ケリカット式(K)は、一般的に用いられる大きさ及び形状の段ボール箱の強度推定を可能とするよう、実験によって特定された実験式である。ケリカット式では、段ボール構造物の形状に関する変数として周囲長Zのみを考慮していることから、特殊形状の段ボール箱の強度推定に不適であることは既に述べた通りである。加えて、ケリカット式(K)は、一般的な大きさよりも小型または大型の段ボール箱の圧縮強度推定には適さないとされている。とりわけ、周囲長が60cm未満となる小型の段ボール箱BXに対するケリカット式(K)の適用は難しいとされている。ここで一般的な大きさとは、典型的には、周囲長Zが90cm以上200cm以下の範囲である。
その一方で、段ボール構造物Sをパネル要素Peに分割し各パネル要素Peの圧縮強度を特定し、各パネル要素Peの圧縮強度の合算値を、段ボール構造物Sの圧縮強度として評価する場合、長さ(幅)の短いパネル要素Peの圧縮強度を推定する必要も生じる。例えば、異形段ボール箱(オトールカートン(図8参照)やスマートディスプレーカートン(図5A参照)等)では、幅が数cm程度のパネル要素Peの圧縮強度も特定しなければならない。すなわち、上述した評価方法によれば、形状の制約を排除して段ボール箱の圧縮強度を推定することができるが、その際にケリカット式での推定強度に基づいてパネル要素の圧縮強度を特定すると、つまり、上述の評価式(KPBF)、評価式(KPOF)、評価式(KPBC)及び評価式(KPOC)を用いると、結果として、段ボール構造物Sの圧縮強度評価の精度を下げることにもなり得る。パネル要素Peに分解して段ボール構造物Sの圧縮強度を評価する方法との組み合わせにおいて、種々の大きさの段ボール箱について高精度の圧縮強度推定を実施し得るよう、ケリカット式を補正することができれば、都合が良い。このような観点から、本件発明者は、ケリカット式の改良を検討した。
そもそも、ケリカット式(K)は、一般的に用いられる大きさ及び形状の段ボール箱の強度推定を可能とするよう、実験によって特定された実験式である。ケリカット式(K)では、周囲長Zから段ボール箱の圧縮強度推定を実施している。ケリカット式(K)の数式から判断して、ケリカット式を用いた圧縮強度推定法では、圧縮強度が周囲長の1/3乗に比例すると考えている。さらにケリカット式(K)の数式に基づいて判断すれば、段ボール箱の圧縮強度が、段ボール箱をなす段ボール紙の微小周囲長部分の圧縮強度を足し合わせたものと考えることができる。すなわち、微小周囲長部分の圧縮強度の積分値が、周囲長の1/3乗に比例することになる。この仮定に立つと、周囲長を表す変数Zでケリカット式を微分することによって得られた数式が、耐荷重(微小周囲長部分の圧縮強度)の変化を表すことになる。つまり、段ボール箱の圧縮強度は、圧縮方向に直交する幅方向に変化していく耐荷重の分布を幅方向に積分した値といえる。
図11に示されたグラフにおいて、横軸が周囲長Z〔cm〕を示し、縦軸がケリカット式(K)により算出される圧縮強度〔N〕を示している。すなわち、図11に示されたグラフは、ケリカット式(K)における周囲長Z〔cm〕と圧縮強度〔N〕との関係を表している。図11に示されたグラフから、周囲長Zの増加にともなって圧縮強度も増加することが、理解される。また、図12に示されたグラフは、ケリカット式(K)を変数Zで微分したものである。すなわち、図12に示されたグラフは、側部の周囲長の増加にともなった、圧縮強度の変化率を示しており、さらに言い換えると、側部の各位置における耐荷重(圧縮強度)の分布を示していることになる。
同一長さ(同一幅)の四つのパネル要素Peを有した直方体輪郭または立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度がケリカット式(K)を用いて精度良く推定される、ことがよく知られている。この段ボール箱の各側面は、それぞれ、両端固定パネル要素BFPeとなっており、圧縮荷重が負荷された際には幅方向中央を中心として対称的に変形する。したがって、図11に示された、周囲長〔cm〕の変化にともなった段ボール箱BXの圧縮強度〔N〕の変化挙動は、一枚のパネル要素Peの一方の固定端から幅方向中央までの幅(長さ)の変化にともなった当該パネル要素Peの圧縮強度〔N〕の変化挙動に一致するといえる。また、図12に示された、周囲長〔cm〕の変化にともなった段ボール箱BXの耐荷重〔N/cm〕の変化挙動は、一枚のパネル要素Peの一方の固定端からの幅方向距離にともなった各位置での耐荷重〔N/cm〕の変化挙動に一致するといえる。
ここで図13Aは、直方体輪郭または立方体輪郭の段ボール箱に圧縮荷重を負荷した際における各側面の耐荷重分布のイメージを示している。
また、図13Bは、図13Aに示された耐荷重分布のイメージを、一つのパネル要素Peの幅方向に沿った半分の領域について示している。図13Bに示された、一枚のパネル要素Peの一方の固定端からの幅方向距離にともなった耐荷重〔N/cm〕の変化挙動は、ケリカット式から導出された、周囲長〔cm〕の変化にともなった段ボール箱BXの耐荷重〔N/cm〕の図12の変化挙動と一致している。
なお、図13A及び図13Bでは、段ボール箱の上下方向に圧縮荷重が負荷されているとの想定において、パネル要素Peをなす側面の各位置での耐荷重〔N/cm〕を上下方向に延びる直線領域で示している。なお、各側面をなす段ボール紙CBは、中芯CBmの波が延びる方向dlが圧縮方向と平行になるように、配置されている。
図13Bに示すように、両端固定パネル要素BFPeは、他のパネル要素Peに接続する固定端において、最も高い耐荷重を持つようになる。その一方で、両端固定パネル要素BFPeは、幅方向における中央において、最も低い耐荷重を持つようになる。本件発者は、このような耐荷重分布が生じる理由についてさらに検討した。図13Cは、図13A及び図13Bに示された耐荷重分布を測定する際に生じた両端固定パネル要素BFPeの変形を模式的に示していている。図13Cに示された変形態様からも理解され得るように、両端固定パネル要素BFPeは、端において圧壊により破壊に至り、中央おいて座屈により破壊に至る。したがって、図13A及び図13Bに示された端における比較的高い耐荷重は、パネル要素Peをなす段ボール紙の圧壊強度を反映し、中央における比較的低い耐荷重は、パネル要素Peをなす段ボール紙の座屈強度を反映していることになる。
ところで、図12に示された耐荷重ΔP〔N/cm〕を示す曲線は、ケリカット式(K)を変数Z〔cm〕で微分した、次の式(1)で表される。
ΔP=(1/3)×β×Rx×Z(−2/3) ・・・(1)
したがって、ケリカット式(K)では、Z→0における圧壊強度が無限大になると予定し、Z→無限大における座屈強度が0になると予定していることになる。しかしながら実際には、圧壊強度は有限の値であり、したがって、ΔPは縦軸の切片を有すべきである。この点を理由として、周囲長Zが短い場合に、ケリカット式(K)を用いた圧縮強度の推定が、精度低下を来してしまっていたと考えられる。また、座屈強度は、0より大きい値を有し、したがって、ΔPは、Z→無限大において、0ではなく正の値に収束すべきである。周囲長Zが長い場合に、ケリカット式(K)を用いた圧縮強度の推定が、精度低下してしまうのは、Z→無限大におけるΔPの値が実際からずれているためと考えられる。
以上のことを踏まえ、本件発明者は、Zの指数関数を用いた次の式(2)で耐荷重ΔPを表すことが適当であると考え、検討を行った。
ΔP=X×X +X ・・・(2)
この式(2)におけるX、X、Xは係数である。Xは、ΔPが右下がりの曲線となるよう、0<X<1を満たすように決定される。Xは、Z→無限大となったときにおける耐荷重、すなわち座屈強度に相当する。したがって、Xは、座屈強度となるよう、決定される。また、Z→0となったときにおける耐荷重、すなわち圧壊強度は、X+Xとなる。したがって、Xは、X+Xが圧壊強度に相当するよう、決定される。図14に、式(2)を表すグラフを示す。
式(2)は、本来あるべき段ボール箱の圧縮強度Pboxの評価式を変数としての周囲長Zで微分して得られる式である。したがって、式(2)を周囲長Zで積分することにより、圧壊強度及び座屈強度をより正確に考慮した段ボール箱の圧縮強度Pboxの評価式を得ることができる。この段ボール箱の圧縮強度Pboxの評価式は、次の式(3)で表すことができる。
box=Y(YZ−Y +Y) ・・・(3)
式(3)におけるY、Y、Y、Yは係数である。式(3)で表される評価式(T)は、変数としての周囲長Zの指数項、比例項、定数項を有している。
さらに、本件発明者は、実験を行うことにより、式(2)及び式(3)の係数を決定した。そして、周囲長Zが90cm以上200cmとなる範囲において、実績のあるケリカット式(K)と同程度の圧縮強度に算出することができ、周囲長がそれ以外の範囲、とりわけ60cm未満となる範囲において、ケリカット式(K)よりも高精度に段ボール箱BXの圧縮強度を評価することができる第1改良式(T)が得られた。
box=β×Rx×(0.01×Z−3.776×0.97+3.776)
・・・(T)
P:段ボール箱の圧縮強度〔N〕
β:フルートによる定数
Rx:段ボール紙の総合リングクラッシュ強さ〔N〕
Z:段ボール箱の周囲長〔cm〕
図15は、第1改良式(T)を用いて特定される段ボールの圧縮強度と、式(K)で表されるケリカット式を用いて特定される段ボールの圧縮強度と、を比較している。図15に示すように、周囲長Zが90cm以上300cm以下の場合、第1改良式(T)から算出された圧縮強度は、実績のあるケリカット式(K)から算出される圧縮強度と同程度になっている。一方、周囲長Zが90cm未満、とりわけ60cm未満の場合、第1改良式(T)から算出された圧縮強度は、ケリカット式(K)から算出される圧縮強度よりも低い値となっている。また、周囲長Zが300cmを超える場合、第1改良式(T)から算出された圧縮強度は、ケリカット式(K)から算出される圧縮強度よりも若干高い値となっている。従来、ケリカット式(K)を用いた評価方法では、周囲長が短い段ボール箱の圧縮強度が、実際よりも高い圧縮強度に評価されるという傾向があり、この点は、ケリカット氏自身も言及していた。このような傾向に照らすと、第1改良式(T)を用いることで、種々の大きさの段ボール箱BXの圧縮強度を高精度に評価し得ることが理解される。
(第1改良式(T)を利用したパネル要素の圧縮強度の特定)
次に第1改良式(T)を用いて、段ボール構造物Sを構成するパネル要素Peの圧縮強度を特定する方法について説明する。
両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度PBF〔N〕は、上述したように、当該両端固定パネル要素BFPeの幅Lと同一の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度の1/4の圧縮強度として、特定される。したがって、両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度PBF〔N〕は、当該両端固定パネル要素BFPeの幅(圧縮方向に直交する幅方向に沿った長さ)L〔cm〕を用いて、式(TPBF)で表すことができる。
BF=(1/4)×t×β×Rx
×(0.04×L−3.776×0.97(4×L)+3.776)
・・・(TPBF
片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度POF〔N〕は、当該片端固定パネル要素OFPeの幅Lの二倍の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度の1/8の圧縮強度POFとして、特定される。したがって、片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度POF〔N〕は、当該片端固定パネル要素OFPeの幅(圧縮方向に直交する幅方向に沿った長さ)L〔cm〕を用いて、式(TPOF)で表すことができる。
OF=(1/8)×t×β×Rx
×(0.08×L−3.776×0.97(8×L)+3.776)
・・・(TPOF
両端組仕切りパネル要素BCPeの圧縮強度PBC〔N〕は、当該両端組仕切りパネル要素BCPeと同一の幅Lの両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度PBFの0.55倍以上0.75倍以下の値として、又は、0.64倍の値として、特定される。したがって、両端組仕切りパネル要素BCPeの圧縮強度PBC〔N〕は、当該両端組仕切りパネル要素BCPeの幅(圧縮方向に直交する幅方向に沿った長さ)L〔cm〕を用いて、式(TPBC)で表すことができる。
BC=(1/4)×k×t×β×Rx
×(0.04×L−3.776×0.97(4×L)+3.776)
・・・(TPBC
片端組仕切りパネル要素OCPeの圧縮強度POC〔N〕は、当該片端組仕切りパネル要素OCPeと同一の幅Lの片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度POFの0.55倍以上0.75倍以下の値として、又は、0.64倍の値として、特定される。したがって、片端組仕切りパネル要素OCPeの圧縮強度POC〔N〕は、当該片端組仕切りパネル要素OCPeの幅(圧縮方向に直交する幅方向に沿った長さ)L〔cm〕を用いて、式(TPOC)で表すことができる。
OC=(1/8)×k×t×β×Rx
×(0.08×L−3.776×0.97(8×L)+3.776)
・・・(TPOC
評価式(TPBC)及び評価式(TPOC)における「k」は、両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度に対する両端組仕切りパネル要素BCPeの圧縮強度の低下、或いは、片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度に対する片端組仕切りパネル要素OCPeの圧縮強度の低下を反映させるための係数である。したがって、評価式(KPBC)及び評価式(KPOC)における「k」は、0.55以上0.75以下の値とし、例えば0.64とすることができる。
また、評価式(TPBF)、評価式(TPOF)、評価式(TPBC)及び評価式(TPOC)における「β」及び「Rx」は既に従来技術の欄で説明した従来のケリカット式(K)にも用いられていた係数である。すなわち、「β」及び「Rx」は、評価対象となるパネル要素Peをなす段ボール紙CBの構成に応じて決定される。例えば、「β」はフルートの形式によって形成され、Aフルートのβ値は0.748となり、Bフルートのβ値は0.612となり、Cフルートのβ値は0.699となり、BAフルートのβ値は0.954となり、BCフルートのβ値は0.889となる。また、「Rx」は、従来技術の欄で説明した式(Rx)により特定される。
さらに、評価式(TPBF)、評価式(TPOF)、評価式(TPBC)及び評価式(TPOC)における「t」は、評価対象となるパネル要素Peの上端ueの構成に応じて係数である。上述したように、パネル要素Peが、その上端ueの全幅に亘ったいずれの位置においても他のパネル要素Peと接続していない場合、当該パネル要素Peの圧縮強度が上昇する。そこで、評価対象となるパネル要素Peがその上端において他のパネル要素Peと接続している場合、評価式(TPBF)、評価式(TPOF)、評価式(TPBC)及び評価式(TPOC)中の「t」は、t=1とする。一方、評価対象となるパネル要素Peがその上端において他のパネル要素Peと接続していない場合、評価式(TPBF)、評価式(TPOF)、評価式(TPBC)及び評価式(TPOC)中の「t」は、1.05以上1.3以下の値とし、例えば1.1とすることができる。
なお、両端自由パネル要素BRPeの圧縮強度PBR〔N〕に関する上述の評価式(KPBR)は、実験式であって、ケリカット式(K)を変形させる等して導出されたものではない。したがって、評価式(TPBF)、評価式(TPOF)、評価式(TPBC)及び評価式(TPOC)とともに、評価式(KPBR)を用いることができる。繰り返しになるが、本件発明者が、実験およびシミュレーションを行ったところ、両端自由パネル要素BRPeの圧縮強度PBR〔N〕は、当該両端自由パネル要素BRPeの幅(圧縮方向に直交する幅方向に沿った長さ)L〔cm〕を用いて、次の式(KPBR)で表すことができる。評価式(KPBR)中における「s」は、0.005以上0.02以下の値とし、例えば1.1とすることができる。
BR=s×β×Rx×L ・・・(KPBR
<圧縮試験の実施による評価方法の検証>
図5Aに示された段ボール構造物Sをついて、実際に圧縮試験を行って圧縮強度を測定した。また、圧縮試験を行った段ボール構造物Sについて、当該段ボール構造物Sの構造壁をなすパネル要素Peの圧縮強度を積算することで、段ボール構造物Sの圧縮強度の評価を行った。
まず、図5Aに示された段ボール構造物Sを実際に作製した。段ボール構造物Sの作製に使用した段ボール紙CBは、Cフルート(β=0.669)とし、総合リングクラッシュ強さRxが1462〔N〕となる「LB280/MA2000/LB280」を用いた。また、第1パネル要素Pe51の幅L51を280〔mm〕、第2パネル要素Pe52の幅L52を23〔mm〕、第3パネル要素Pe53の幅L53を32〔mm〕、第4パネル要素Pe54の幅L54を45〔mm〕、第5パネル要素Pe55の幅L55を309〔mm〕とした。図5Aに示すように、段ボール構造物Sをなす各パネル要素Peは、その上端ueにおいて、他のパネル要素と接続していないようにした。
圧縮試験は、図9及び図10に示されたサンプル1〜10に対する上述の圧縮試験と同様に、JIS P 8111及びJIS Z」0212 B法に準拠して実施した。圧縮強度の試験結果を表3の試験結果の欄に示す。
次に、圧縮荷重を有効に支持し得るパネル要素Peの圧縮強度を積算することにより、段ボール構造物Sの圧縮荷重を評価した。既に説明したように、図5Aに示された段ボール構造物Sの圧縮強度は、図5Cに示すように、二枚の第1パネル要素Pe51、四枚の第2パネル要素Pe52、四枚の第3パネル要素Pe53及び四枚の第4パネル要素Pe54の圧縮強度の総和とすることができる。第1改良式を利用した上述の評価式(TPBF)を用いて各パネル要素Peの圧縮強度を特定することで算出された段ボール構造物Sの圧縮強度評価値を、表3のTP評価値の欄に示す。また、ケリカット式を利用した上述の評価式(KPBF)を用いて各パネル要素Peの圧縮強度を特定することで算出された段ボール構造物Sの圧縮強度評価値を、表3のKP評価値の欄に示す。第1パネル要素Pe51の圧縮強度を特定する際、評価式(TPBF)及び評価式(KPBF)中の「t」を1とし、第1パネル要素Pe51以外の各パネル要素Peの圧縮強度を特定する際、評価式(TPBF)及び評価式(KPBF)中の「t」を1.1とした。
Figure 0006732554
第1改良式を利用した評価式(TPBF)でパネル要素Peの圧縮強度を特定した場合、ケリカット式を利用した評価式(KPBF)でパネル要素Peの圧縮強度を特定した場合と比較して、段ボール構造物Sの圧縮強度を格段に高精度に評価することができた。とりわけ、評価式(KPBF)を用いた圧縮強度評価値が実際の圧縮試験値よりも高く出ており、改良された評価式(TPBF)を用いた圧縮強度評価値がこの点を是正していることにおいて、第1改良式(S)の有用性を理解することができる。
第2〜第4パネル要素Pe52〜Pe54の幅L52〜L54は非常に狭く、当該パネル要素Peと同一幅の側面を四つ含む直方体輪郭または立方体輪郭の仮想の段ボール箱BXも、非常に小さくなる。この仮想の段ボール箱BXの周囲長は、20cm未満であり、ケリカット式ではその圧縮強度を高精度に推定することができないとされていた。このことが、ケリカット式を利用した評価式(KPBF)でパネル要素Peの圧縮強度を特定した場合における段ボール構造物Sの圧縮強度の評価精度を低下させたと予想される。
<高さ(深さ)の考慮>
ケリカット式(K)は、段ボール箱BXの形状に関する変数として周囲長Zのみを考慮している。しかしながら、既に説明したように、評価式は、本来的には、圧壊強度や座屈強度を反映したものであるべきである。そして、パネル要素Pe等の構成要素の座屈強度は、その高さ(圧縮方向に沿った長さであり、深さとも呼ばれる寸法)に依存して変化する。実際に、段ボール箱BXについて言えば、高さが30cm未満になると、圧縮強度が、10%〜20%程度増加することが知られている。このような観点から、上述の第1改良式をさらに改良して、高さの概念を含んだ第2改良式を提案する。
上述したように、第1改良式の導出において、周囲長Z→0〔cm〕とした際に、パネル要素Peの耐荷重〔N/cm〕が圧壊強度程度になると想定した。この想定は、パネル要素Peの固定端近傍での破壊が圧壊破壊になることを前提としている。また、周囲長Z→無限大とした際に、パネル要素Peの耐荷重が座屈強度程度になると想定した。この想定は、パネル要素Peの固定端から遠く離れた位置での破壊が座屈破壊になることを前提としている。しかしながら、パネル要素Peの高さ〔cm〕によっては、パネル要素Peの固定端から遠く離れた位置においても、完全な座屈に至らないことがある。さらに、パネル要素Peの高さ〔cm〕が非常に小さい場合には、パネル要素Peの固定端から遠く離れた位置においても、パネル要素Peは、座屈ではなく圧壊により破壊に至る。すなわち、周囲長Z→無限大とした際のパネル要素Peの耐荷重は、当該パネル要素Peの高さに応じて、座屈強度程度の値から圧壊強度程度の値までの範囲で変化すべきである。
図16は、段ボール紙CBの耐荷重〔N/cm〕を実際に評価した試験結果を示す。図16に示すように、試験片の高さが短くなると、耐荷重は増加していく。ただし、試験片の高さが所定の高さよりも短くなると、耐荷重は、圧壊強度で一定の値を取るようになる。圧壊強度に至る試験片の長さは、段ボール紙CBの形態に応じて変化する。一方、試験片の高さが長くなると、耐荷重は低下していき、座屈強度に収束していく。本件発明者が確認したところ、試験片の高さが30cmまで短くなった際に、試験片の耐荷重が、試験片の材質に応じた所定の値に収束する。また、本件発明者の調査によれば、耐荷重の最小値は、耐荷重の最大値の概ね1/6となった。
これに対して、上述した式(2)では、固定端から遠く離れた位置での耐荷重を表す定数項が、座屈強度に対応した値「X」となっており、パネル要素Peの高さに依存することはなく一定の値を取る。固定端から遠く離れた位置での耐荷重が、典型的には図16に示すように変化することから、固定端から遠く離れた位置での耐荷重を表す式(2)の定数項も、高さH〔cm〕に応じて変化すべきである。より具体的には、図17に示すように、式(2)における定数項の値、言い換えると、固定端から遠く離れた位置での耐荷重は、高さH〔cm〕が0のときに比較的高い初期値をとり、次に高さH〔cm〕の上昇にともなって低下していき、そして高さが30〔cm〕に到達する際に、座屈強度に対応した値(X)に収束する。すなわち、上述した式(2)の定数項は、正しくは、次の式(4)によって表されるべきである。また、式(4)の係数X、X、Xは、高さH〔cm〕が0のときの初期値(X+X)が、座屈強度に対応した値(X)の約6倍に相当するように決定されるべきである。
ΔP=X×X +X ・・・(2)
(式(2)の定数項)=X+X×X ・・・(4)
さらに、図14を参照して説明したように、耐荷重を表す式(2)の値は、周囲長Zが0のときに、圧壊強度に対応した値(X+X)を取るようにすべきである。式(4)との組み合わせにおいてこの点を満たすべく、式(2)の比例項は、次の式(5)に改められるべきである。
(式(2)の比例項)=X−X×X ・・・(5)
この結果、段ボール箱BXの高さH〔cm〕を考慮することで、上述の式(2)は、次の式(6)に書き換えられる。また、耐荷重分布を表す式(6)を積分すると、圧縮強度を示す式(7)が得られる。式(7)の示すように、式(2)を周囲長Zで積分することで得られる上述の式(3)での係数「Y」、「Y」及び「Y」は、それぞれ、高さH〔cm〕に応じて変化する値となる。
ΔP=(X−X×X )×X +X+X×X ・・・(6)
box=Y(YZ−Y +Y) ・・・(3)
box= ((X−X×X )/lnX×X
+((X+X×X )×Z)
−((X−X×X )/lnX
・・・(7)
つまり、段ボール箱BXの圧縮強度Pboxの評価式(7)は、周囲長Zを変数とする指数項、比例項、及び、定数項を含み、指数項、比例項及び定数項の係数は、段ボール箱BXの高さH〔cm〕に基づいて決定される。
さらに、本件発明者は、実験を行うことにより、式(6)及び式(7)の係数を決定した。そして、周囲長Zが90cm以上200cmとなる範囲において、実績のあるケリカット式(K)と同程度の圧縮強度に算出し、周囲長がそれ以外の範囲、とりわけ60cm未満となり且つ高さHが30cmを下回る場合において、ケリカット式(K)よりも高精度に段ボール箱BXの圧縮強度を評価することができる第2改良式(S)が得られた。
box= β×Rx
×(((−3.78+1.64×0.85)×0.97
+((0.01+0.05×0.85)×Z)
−(−3.78+1.64×0.85))
・・・(S)
P:段ボール箱の圧縮強度〔N〕
β:フルートによる定数
Rx:段ボール紙の総合リングクラッシュ強さ〔N〕
Z:段ボール箱の周囲長〔cm〕
(第2改良式(S)を利用したパネル要素の圧縮強度の特定)
次に第2改良式(S)を用いて、段ボール構造物Sを構成するパネル要素Peの圧縮強度を特定する方法について説明する。以上に説明したように、段ボール箱BXの圧縮強度は、圧縮方向に沿った当該段ボール箱BXの高さに依存して変化する。したがって、各パネル要素Peの圧縮強度は、当該パネル要素Peの幅と同一の幅の側面を四つ含み且つ当該パネル要素Peと同一高さの直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度に基づいて、或いは、当該パネル要素の幅の二倍の幅の側面を四つ含み且つ当該パネル要素Peと同一高さの直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度に基づいて、特定することが、パネル要素Peの圧縮強度を高精度に評価する点において、有効である。
両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度PBF〔N〕は、上述したように、当該両端固定パネル要素BFPeの幅Lと同一の幅の側面を四つ含み且つ当該パネル要素Peと同一高さの直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度の1/4の圧縮強度として、特定することができる。したがって、両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度PBF〔N〕は、当該両端固定パネル要素BFPeの幅(圧縮方向に直交する幅方向に沿った長さ)L〔cm〕及び当該両端固定パネル要素BFPeの高さ(圧縮方向に沿った長さ)H〔cm〕を用いて、式(SPBF)で表すことができる。
BF=(1/4)×t×β×Rx
×(((−3.78+1.64×0.85)×0.97(4×L)
+((0.04+0.20×0.85)×L)
−(−3.78+1.64×0.85))
・・・(SPBF
片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度POF〔N〕は、当該片端固定パネル要素OFPeの幅Lの二倍の幅の側面を四つ含み且つ当該パネル要素Peと同一高さの直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度の1/8の圧縮強度POFとして、特定することができる。したがって、片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度POF〔N〕は、当該片端固定パネル要素OFPeの幅(圧縮方向に直交する幅方向に沿った長さ)L〔cm〕及び当該両端固定パネル要素BFPeの高さ(圧縮方向に沿った長さ)H〔cm〕を用いて、式(SPOF)で表すことができる。
OF=(1/8)×t×β×Rx
×(((−3.78+1.64×0.85)×0.97(8×L)
+((0.08+0.40×0.85)×L)
−(−3.78+1.64×0.85))
・・・(SPOF
両端組仕切りパネル要素BCPeの圧縮強度PBC〔N〕は、当該両端組仕切りパネル要素BCPeと同一の幅Lで当該パネル要素Peと同一高さの両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度PBFの0.55倍以上0.75倍以下の値として、又は、0.64倍の値として、特定することができる。したがって、両端組仕切りパネル要素BCPeの圧縮強度PBC〔N〕は、当該両端組仕切りパネル要素BCPeの幅(圧縮方向に直交する幅方向に沿った長さ)L〔cm〕及び当該両端固定パネル要素BFPeの高さ(圧縮方向に沿った長さ)H〔cm〕を用いて、式(SPBC)で表すことができる。
BC=(1/4)×k×t×β×Rx
×(((−3.78+1.64×0.85)×0.97(4×L)
+((0.04+0.20×0.85)×L)
−(−3.78+1.64×0.85))
・・・(SPBC
片端組仕切りパネル要素OCPeの圧縮強度POC〔N〕は、当該片端組仕切りパネル要素OCPeと同一の幅Lで当該パネル要素Peと同一高さの片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度POFの0.55倍以上0.75倍以下の値として、又は、0.64倍の値として、特定することができる。したがって、片端組仕切りパネル要素OCPeの圧縮強度POC〔N〕は、当該片端組仕切りパネル要素OCPeの幅(圧縮方向に直交する幅方向に沿った長さ)L〔cm〕及び当該両端固定パネル要素BFPeの高さ(圧縮方向に沿った長さ)H〔cm〕を用いて、式(SPOC)で表すことができる。
OC=(1/8)×k×t×β×Rx
×(((−3.78+1.64×0.85)×0.97(8×L)
+((0.08+0.40×0.85)×L)
−(−3.78+1.64×0.85))
・・・(SPOC
評価式(SPBC)及び評価式(SPOC)における「k」は、両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度に対する両端組仕切りパネル要素BCPeの圧縮強度の低下、或いは、片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度に対する片端組仕切りパネル要素OCPeの圧縮強度の低下を反映させるための係数である。したがって、評価式(KPBC)及び評価式(KPOC)における「k」は、0.55以上0.75以下の値とし、例えば0.64とすることができる。
また、評価式(SPBF)、評価式(SPOF)、評価式(SPBC)及び評価式(SPOC)における「β」及び「Rx」は既に従来技術の欄で説明した従来のケリカット式(K)にも用いられていた係数である。すなわち、「β」及び「Rx」は、評価対象となるパネル要素Peをなす段ボール紙CBの構成に応じて決定される。例えば、「β」はフルートの形式によって形成され、Aフルートのβ値は0.748となり、Bフルートのβ値は0.612となり、Cフルートのβ値は0.699となり、BAフルートのβ値は0.954となり、BCフルートのβ値は0.889となる。また、「Rx」は、従来技術の欄で説明した式(Rx)により特定される。
さらに、評価式(SPBF)、評価式(SPOF)、評価式(SPBC)及び評価式(SPOC)における「t」は、評価対象となるパネル要素Peの上端ueの構成に応じて係数である。上述したように、パネル要素Peが、その上端ueの全幅に亘ったいずれの位置においても他のパネル要素Peと接続していない場合、当該パネル要素Peの圧縮強度が上昇する。そこで、評価対象となるパネル要素Peがその上端において他のパネル要素Peと接続している場合、評価式(SPBF)、評価式(SPOF)、評価式(SPBC)及び評価式(SPOC)中の「t」は、t=1とする。一方、評価対象となるパネル要素Peがその上端において他のパネル要素Peと接続していない場合、評価式(SPBF)、評価式(SPOF)、評価式(SPBC)及び評価式(SPOC)中の「t」は、1.05以上1.3以下の値とし、例えば1.1とすることができる。
<圧縮試験の実施による評価方法の検証>
段ボール箱BXのサンプル11〜サンプル18を実際に作製し、作製したサンプルの圧縮強度を圧縮試験により測定した。作製したサンプル11〜18は、図18に示すように、幅が40.5cmである二枚の両端固定パネル要素BFPeと、幅が27cmである二枚の両端固定パネル要素BFPeと、を側部に含む段ボール箱BXとした。サンプル11〜18高さは、高さを10cmから55cmまでの間で変動させた。サンプル11〜18をなす段ボール箱BXの材質は、「LB220/MA140/LB220」のAフルートとした。なお、各サンプルにおいて、段ボール箱BXの側部をなす各パネル要素Peは、その上端ueにおいて、段ボール箱BXの蓋をなすフラップflと接続していた。
圧縮試験は、図9及び図10に示されたサンプル1〜10に対する上述の圧縮試験と同様に、JIS P 8111及びJIS Z」0212 B法に準拠して実施した。圧縮強度の試験結果を表4の試験結果の欄に示す。
次に、圧縮荷重を有効に支持し得るパネル要素Peの圧縮強度を積算することにより、段ボール構造物Sの圧縮荷重を評価した。図18に示された段ボール箱BXの圧縮強度は、幅が40.5cmである二枚の両端固定パネル要素BFPe、及び、幅が27cmである二枚の両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度の総和とすることができる。第2改良式を利用した上述の評価式(SPBF)を用いて各パネル要素Peの圧縮強度を特定することで算出された段ボール箱BXの圧縮強度評価値を、表4のSP評価値の欄に示す。また、ケリカット式を利用した上述の評価式(KPBF)を用いて各パネル要素Peの圧縮強度を特定することで算出された段ボール箱BXの圧縮強度評価値を、表4のKP評価値の欄に示す。各パネル要素Peの圧縮強度を特定する際、評価式(SPBF)及び評価式(KPBF)中の「t」を1とし、「β」を0.748とし、「Rx」を1003〔N〕とした。
Figure 0006732554
第2改良式を利用した評価式(SPBF)での評価値は、全般的に、ケリカット式を利用した評価式(KPBF)での評価値よりも、精度良く段ボール箱BXの圧縮強度を評価することができた。また、高さが30〔30cm〕以上となる場合に、第2改良式を利用した評価式(SPBF)での評価値と、ケリカット式を利用した評価式(KPBF)での評価値が、大きく異なるようになった。
<段ボール構造物の製造方法、プログラム、プログラム記録媒体>
上述してきた段ボール構造物Sの圧縮強度の評価方法は、種々の大きさ及び種々の形状の段ボール構造物Sについて、圧縮強度を簡易且つ高精度に評価することができる。したがって、この評価方法を利用して段ボール構造物Sを製造することが好ましい。すなわち、段ボール構造物Sの製造方法が、段ボール構造物Sを設計する工程と、上述してきたいずれかの圧縮強度評価方法により、設計された段ボール構造物Sの圧縮強度を確認する工程と、を含むむようにしてもよい。このような製造方法によれば、圧縮試験に依らなくとも、段ボール構造物Sの圧縮強度を正確に予測することが可能となるので、段ボール構造物Sを実際に作製して圧縮試験を実施する回数を低減することができる。これにより、段ボール構造物Sの製造原価を低減し且つ製造納期を短縮することが可能となる。
また、計算機を用いて上述した圧縮強度評価方法を実行するようにしてもよい。上述した圧縮強度評価方法を計算機に実行させるためのプログラム、及び、当該プログラムを収容した記録媒体も、本発明の保護範囲である。図19に示すように、計算機10には、設計者等が圧縮強度評価を実行するために入力操作を行うキーボード等の入力装置11や、評価条件や評価結果等を可視化して表示する表示装置12を含むようにしてもよい。また、計算機11は、圧縮強度評価を実行するためのプログラムが記録された記録媒体13にアクセス可能となっている。記録媒体13は、ROMおよびRAM等のメモリ、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROMおよびフレキシブルディスク等のディスク状記録媒体等、既知のプログラム記録媒体から構成され得る。
<まとめ>
以上に説明した一実施の形態において、段ボール構造物の評価方法は、各々が板状形状を有した複数のパネル要素Peを含む段ボール構造物Sの圧縮強度を評価する評価方法であって、段ボール構造物Sに含まれる複数のパネル要素Peについて、それぞれ、圧縮強度を特定する工程と、複数のパネル要素Peについて特定された圧縮強度を合算する工程と、を備える。
この圧縮強度評価方法によれば、段ボール構造物Sの圧縮強度を、当該段ボール構造物Sを構成する各パネル要素Peの圧縮強度に着目して、評価することになる。このような評価方法によれば、特殊形状の段ボール構造物S、具体例として、偏平輪郭を有する段ボール構造物Sや、直方体や立方体以外の輪郭を有する段ボール構造物S、さらには中仕切りCPや中仕切りCPを収容した段ボール箱BX等の段ボール構造物Sについても、圧縮強度を高精度に評価することが可能となる。なお、段ボール構造物Sとは、段ボール紙CBを用いて形成された構造物であって、段ボール箱BXに限られず仕切りCP等をも含む。また、段ボール紙CBとは、波状に成形した中芯(中心紙)CBmと、中芯CBmの片側または両側に積層されたライナー(紙、とりわけ厚紙)CBlと、を含む板状部分のことを指す。
また、上述の一実施の形態において、各パネル要素Peの圧縮強度は、当該パネル要素Peの幅(圧縮方向に直交する幅方向に沿った長さ)Lと同一の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度に基づいて、或いは、当該パネル要素Peの幅Lの二倍の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度に基づいて、特定される。この圧縮強度評価方法によれば、種々の大きさのパネル要素Peの圧縮強度を簡易且つ高精度に評価することができる。
さらに、上述の一実施の形態において、圧縮方向に直交する幅方向における両端がそれぞれその全長に亘って他のパネル要素Peと接続した両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度は、当該両端固定パネル要素BFPeの幅と同一の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度に基づいて、特定される。また、幅方向における一方の端がその全長に亘って他のパネル要素Peと接続し且つ幅方向における他方の端が自由端となっている片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度は、当該片端固定パネル要素OFPeの幅の二倍の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度に基づいて、特定される。この圧縮強度評価方法によれば、種々の大きさの両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度および種々の大きさの片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度を簡易且つ高精度に評価することができる。
さらに、上述の一実施の形態において、上端が他のパネル要素Peと接続した両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度は、当該両端固定パネル要素BFPeの幅と同一の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱BXの圧縮強度の1/4の圧縮強度として、特定される。また、上端が他のパネル要素と接続した片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度は、当該片端固定パネル要素OFPeの幅の二倍の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度の1/8の圧縮強度として、特定される。この圧縮強度評価方法によれば、種々の大きさの両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度および種々の大きさの片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度を簡易且つ高精度に評価することができる。
さらに、上述の一実施の形態において、幅方向における両端がそれぞれ他のパネル要素Peと接続して組仕切りCPaの接続部jlを形成する両端組仕切りパネル要素BCPeの圧縮強度は、当該両端組仕切りパネル要素BCPeと同一の幅の両端固定パネル要素BFPeの圧縮強度の0.55倍以上0.75倍以下の値として、特定される。また、幅方向における一方の端が他のパネル要素Peと接続して組仕切りCPaの接続部jlを形成し且つ他方の端が自由端となっている片端組仕切りパネル要素OCPeの圧縮強度は、当該片端組仕切りパネル要素OCPeと同一の幅の片端固定パネル要素OFPeの圧縮強度の0.55倍以上0.75倍以下の値として、特定される。この圧縮強度評価方法によれば、種々の形状および大きさの組仕切りCPaを構成する両端組仕切りパネル要素BCPeの圧縮強度および片端組仕切りパネル要素OCPeの圧縮強度を簡易且つ高精度に評価することができる。そして、高精度に特定された両端組仕切りパネル要素BCPeの圧縮強度および片端組仕切りパネル要素OCPeの圧縮強度を用いて、種々の形状および大きさの組仕切りCPaの圧縮強度及び種々の形状および大きさの組仕切りCPaを収容した段ボール箱BXの圧縮強度を、高精度に評価することが可能となる。
さらに、上述の一実施の形態において、上端ueが、その全幅に亘ったいずれの位置においても、他のパネル要素Peと接続していないパネル要素Peの圧縮強度は、上端ueが他のパネル要素Peと接続したパネル要素Peの圧縮強度よりも大きな値として、特定される。より具体的には、上端ueが、その全長に亘ったいずれの位置においても、他のパネル要素Peと接続していないパネル要素の圧縮強度は、上端ueが他のパネル要素Peと接続したパネル要素Peの圧縮強度の1.05倍以上1.3倍以下の値として、特定される。この圧縮強度評価方法によれば、種々の構成にて段ボール構造物Sに組み込まれたパネル要素Peの圧縮強度を簡易且つ高精度に評価することができる。
さらに、上述の一実施の形態において、段ボール箱BXの圧縮強度は、周囲長を変数とした指数項および比例項を含む評価式(T)又は評価式(S)によって特定される。この圧縮強度評価方法によれば、種々の大きさの段ボール箱BXの圧縮強度を高精度に評価することができる。とりわけ、従来の評価式では高精度に圧縮強度を正確に評価することができなかった、周囲長が90cm未満の段ボール箱BXや周囲長が200cmを超える段ボール箱BXについて、圧縮強度を高精度に評価することができる点において有用である。また、オトール形状等の異種形状の段ボール箱は、幅狭のパネル要素Peを含んで構成されることがあり、このような幅狭のパネル要素Peの圧縮強度を正確に評価することに極めて好適である。結果として、種々の形状および種々の大きさの段ボール構造物Sの圧縮強度を、さらに高精度に評価することが可能となる。
さらに、上述の一実施の形態において、指数項の係数および比例項の係数は、段ボール箱BXの高さ(圧縮方向に沿った長さ)H〔cm〕に基づいて決定される。より具体的には、段ボール箱BXの圧縮強度Pboxは、当該段ボール箱BXをなす段ボール紙CBの構成(材料、大きさ、形状)に応じて決定する係数Y、段ボール箱BXの高さに応じて決定する係数Y、係数Y及び係数Yを含み、周囲長Zを変数とする、次の式(3)により特定される。
box=Y(YZ−Y +Y) ・・・(3)
この圧縮強度評価方法によれば、高さH〔cm〕を考慮して段ボール箱BXの圧縮強度をさらに高精度に評価することができる。結果として、種々の形状および種々の大きさの段ボール構造物Sの圧縮強度を、さらに高精度に評価することが可能となる。
さらに、上述の一実施の形態において、パネル要素Peの圧縮強度は、当該パネル要素Peの幅(圧縮方向に直交する幅方向に沿った長さ)Lを変数とした指数項および比例項を含む評価式(TPBF)、評価式(TPOF)、評価式(TPBC)及び評価式(TPOC)によって、或いは、評価式(SPBF)、評価式(SPOF)、評価式(SPBC)及び評価式(SPOC)によって、特定される。この圧縮強度評価方法によれば、種々の大きさのパネル要素Peの圧縮強度を高精度に評価することができる。とりわけ、今日存在する従来の評価式(例えば、ケリカット式)では、周囲長の短い段ボール箱BXの圧縮強度を高精度に評価することができず、この結果、幅狭のパネル要素Peの圧縮強度も高精度に評価することができないと考えるべき状況であった。このような状況に対して、パネル要素Peの幅を変数とした指数項および比例項を含む評価式によれば、幅狭のパネル要素Peの圧縮強度を高精度に評価することが可能となる。とりわけ、オトール形状等の異種形状の段ボール箱BXは、幅狭のパネル要素Peを有することがあり、ここで提案する評価式は、このような幅狭のパネル要素Peの圧縮強度を正確に評価することに極めて好適である。結果として、種々の形状および種々の大きさの段ボール構造物Sの圧縮強度を、さらに高精度に評価することが可能となる。
さらに、上述の一実施の形態において、指数項の係数および比例項の係数は、パネル要素Peの高さH〔cm〕に基づいて決定する。この圧縮強度評価方法によれば、高さを考慮してパネル要素Peの圧縮強度をさらに高精度に評価することができる。結果として、種々の形状および種々の大きさの段ボール構造物Sの圧縮強度を、さらに高精度に評価することが可能となる。
さらに、上述の一実施の形態において、複数のパネル要素Peの圧縮強度を特定する工程において、段ボール構造物Sを形成する板状形状の側部のうち、段ボール構造物Sの全高さに亘って延び且つ波状に成形された中芯CBmの波が高さ方向(圧縮方向)と直交する方向(幅方向)に並んでいる部分を、一つのパネル要素Peとして、圧縮強度を特定している。この圧縮強度評価方法によれば、段ボール構造物Sの側部のうち圧縮力に抗する構造となり得る部分(構造壁をなす部分)の圧縮強度を積算して、段ボール構造物Sの全体としての圧縮強度を評価している。したがって、種々の形状および種々の大きさの段ボール構造物Sの圧縮強度を、簡易にかつ高精度に評価することが可能となる。
さらに、上述の一実施の形態では、段ボール箱の圧縮強度を評価する評価方法であって、段ボール箱BXの周囲長Zを変数とした指数項および比例項を含む式によって、段ボール箱BXの圧縮強度を特定する評価方法を提案する。この段ボール箱の圧縮強度評価方法によれば、種々の大きさの段ボール箱BXの圧縮強度を高精度に評価することができる。とりわけ、従来の評価式(例えば、ケリカット式)では高精度に圧縮強度を正確に評価することができなかった、周囲長が60cm未満の段ボール箱BXや周囲長が200cmを超える段ボール箱BXについても、圧縮強度を高精度に評価することができる点において有用である。
さらに、上述の一実施の形態による段ボール箱の圧縮強度評価方法おいて、指数項の係数および比例項の係数は、段ボール箱BXの高さ(圧縮方向に沿った長さ)H〔cm〕に基づいて決定される。より具体的には、段ボール箱BXの圧縮強度Pboxは、当該段ボール箱BXをなす段ボール紙CBの構成(材料、大きさ、形状)に応じて決定する係数Y、段ボール箱BXの高さに応じて決定する係数Y、係数Y及び係数Yを含み、周囲長Zを変数とする、次の式(3)により特定される。
box=Y(YZ−Y +Y) ・・・(3)
この圧縮強度評価方法によれば、高さH〔cm〕を考慮して段ボール箱BXの圧縮強度をさらに高精度に評価することができる。結果として、種々の形状および種々の大きさの段ボール箱BXの圧縮強度を、さらに高精度に評価することが可能となる。
以上、本発明を一実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。
S 段ボール構造物
BX 段ボール箱
fl フラップ
CB 段ボール紙
CBl ライナー
CBm 中芯
CP 仕切り
Cpa 組仕切り
sl スリット
Pe パネル要素
BFPe 両端固定パネル要素BFPe
OFPe 片端固定パネル要素OFPe
BCPe 両端組仕切りパネル要素BCPe
OCPe 片端組仕切りパネル要素OCPe
BRPe 両端自由パネル要素BRPe
fe 固定端
re 自由端
ue 上端
10 計算機
11 入力装置
12 表示装置
13 記録媒体

Claims (15)

  1. 各々が板状形状を有した複数のパネル要素を含む段ボール構造物の圧縮強度を評価する評価方法であって、
    前記段ボール構造物に含まれる複数のパネル要素について、それぞれ、圧縮強度を特定する工程と、
    前記複数のパネル要素について特定された前記圧縮強度を合算する工程と、を備え、
    各パネル要素の圧縮強度は、当該パネル要素の幅と同一の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度に基づいて、或いは、当該パネル要素の幅の二倍の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度に基づいて、特定する、段ボール構造物の圧縮強度評価方法。
  2. 幅方向における両端がそれぞれその全長に亘って他のパネル要素と接続した両端固定パネル要素の圧縮強度は、当該両端固定パネル要素の幅と同一の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度に基づいて、特定し、
    前記幅方向における一方の端がその全長に亘って他のパネル要素と接続し且つ前記幅方向における他方の端が自由端となっている片端固定パネル要素の圧縮強度は、当該片端固定パネル要素の幅の二倍の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度に基づいて、特定する、請求項1に記載の段ボール構造物の圧縮強度評価方法。
  3. 上端が他のパネル要素と接続した前記両端固定パネル要素の圧縮強度は、当該両端固定パネル要素の幅と同一の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度の1/4の圧縮強度として、特定し、
    上端が他のパネル要素と接続した前記片端固定パネル要素の圧縮強度は、当該片端固定パネル要素の幅の二倍の幅の側面を四つ含んだ直方体輪郭又は立方体輪郭の段ボール箱の圧縮強度の1/8の圧縮強度として、特定する、請求項2に記載の段ボール構造物の圧縮強度評価方法。
  4. 前記幅方向における両端がそれぞれ他のパネル要素と接続して組仕切りの接続部を形成する両端組仕切りパネル要素の圧縮強度は、当該両端組仕切りパネル要素と同一の幅の前記両端固定パネル要素の圧縮強度の0.55倍以上0.75倍以下の値として、特定し、
    前記幅方向における一方の端が他のパネル要素と接続して組仕切りの接続部を形成し且つ他方の端が自由端となっている片端組仕切りパネル要素の圧縮強度は、当該片端組仕切りパネル要素と同一の幅の前記片端固定パネル要素の圧縮強度の0.55倍以上0.75倍以下の値として、特定する、請求項2または3に記載の段ボール構造物の圧縮強度評価方法。
  5. 上端が他のパネル要素と接続されていないパネル要素の圧縮強度は、上端が他のパネル要素と接続したパネル要素の圧縮強度の1.05倍以上1.3倍以下の値として、特定する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の段ボール構造物の圧縮強度評価方法。
  6. 前記段ボール箱の圧縮強度は、周囲長を変数とした指数項および比例項を含む式によって特定される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の段ボール構造物の圧縮強度評価方法。
  7. 前記指数項の係数および前記比例項の係数は、段ボール箱の高さに基づいて決定する、請求項6に記載の段ボール構造物の圧縮強度評価方法。
  8. 前記パネル要素の圧縮強度は、当該パネル要素の幅を変数とした指数項および比例項を含む式によって特定される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の段ボール構造物の圧縮強度評価方法。
  9. 前記指数項の係数および前記比例項の係数は、前記パネル要素の高さに基づいて決定する、請求項8に記載の段ボール構造物の圧縮強度評価方法。
  10. 前記複数のパネル要素の圧縮強度を特定する工程において、前記段ボール構造物を形成する側部のうち、前記段ボール構造物の全高さに亘って延び且つ波状に成形された中芯の波が高さ方向と直交する方向に並んでいる部分を、一つのパネル要素として、圧縮強度を特定する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の段ボール構造物の圧縮強度評価方法。
  11. 段ボール箱の圧縮強度を評価する方法であって、
    前記段ボール箱の周囲長を変数とする指数項と、前記段ボール箱の前記周囲長を変数とする比例項と、を含む式によって、前記段ボール箱の圧縮強度が特定され
    前記式は、
    前記段ボール箱の周囲長を表す変数Zを用いて段ボール箱の圧縮強度Pを示すケリカット式(K)の両辺をZで微分することにより、PをZで微分してなる耐荷重ΔPを表す数式であって、Zを変数とする指数項と定数項とを含む数式を導出し、
    次に、この数式をZで積分することによって得られる、段ボール箱の圧縮強度評価方法。
  12. 前記指数項の係数および前記比例項の係数は、段ボール箱の高さに基づいて決定する、請求項11に記載の段ボール箱の圧縮強度評価方法。
  13. 請求項1〜10のいずれか一項に記載された圧縮強度評価方法によって、段ボール構造物の圧縮強度を確認する工程を備える、段ボール構造物の製造方法。
  14. 請求項1〜10のいずれか一項に記載された段ボール構造物の圧縮強度評価方法を計算機に実行させる、プログラム。
  15. 請求項1〜10のいずれか一項に記載された段ボール構造物の圧縮強度評価方法を計算機に実行させるプログラムを記録した記録媒体。
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